(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2018038031
(43)【国際公開日】20180301
【発行日】20190620
(54)【発明の名称】セラミックス材料の成形方法、セラミックス物品の製造方法及びセラミックス物品
(51)【国際特許分類】
   B28B 3/00 20060101AFI20190530BHJP
   C04B 35/622 20060101ALI20190530BHJP
【FI】
   !B28B3/00 101
   !C04B35/622
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
【出願番号】2018535653
(21)【国際出願番号】JP2017029721
(22)【国際出願日】20170821
(31)【優先権主張番号】2016163805
(32)【優先日】20160824
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目5番1号
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝田 信
【住所又は居所】日本国東京都千代田区丸の内一丁目5番1号 AGC株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】貴島 美紗子
【住所又は居所】日本国東京都千代田区丸の内一丁目5番1号 AGC株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 泰夫
【住所又は居所】日本国東京都千代田区丸の内一丁目5番1号 AGC株式会社内
【テーマコード(参考)】
4G054
【Fターム(参考)】
4G054AA05
4G054AB15
(57)【要約】
外側に突出するバリの少ないセラミックス材料の成形方法及びバリの少ないセラミックス物品の製造方法を提供する。
セラミックス粉末、樹脂、硬化剤及び溶媒を混合して、セラミックス材料となる原料スラリーを得て、原料スラリーを伸縮性容器に注入し、伸縮性容器に注入された原料スラリー中の樹脂を硬化させて所望の形状を有する成形体とし、伸縮性容器から成形体を脱型させる、セラミックス材料の成形方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス粉末、樹脂、硬化剤及び溶媒を混合して、セラミックス材料となる原料スラリーを得て、
前記原料スラリーを伸縮性容器に注入し、
前記伸縮性容器に注入された前記原料スラリー中の前記樹脂を硬化させて所望の形状を有する成形体とし、
前記伸縮性容器から前記成形体を脱型させる、ことを特徴とするセラミックス材料の成形方法。
【請求項2】
前記硬化剤が反応硬化型の硬化剤であって、前記硬化剤と前記樹脂との混合が、前記スラリー注入の直前で行われる請求項1に記載のセラミックス材料の成形方法。
【請求項3】
大気圧以上の圧力下で、前記伸縮性容器を吊り下げて前記樹脂の硬化を行う請求項1又は2に記載のセラミックス材料の成形方法。
【請求項4】
前記樹脂の硬化を、液体中で行う請求項3に記載のセラミックス材料の成形方法。
【請求項5】
前記液体と前記原料スラリーとの比重の比([液体の比重]/[原料スラリーの比重])が0.2以上である請求項4に記載のセラミックス材料の成形方法。
【請求項6】
前記樹脂の硬化で得られる前記成形体が球形である請求項1〜5のいずれか1項に記載のセラミックス材料の成形方法。
【請求項7】
前記セラミックス粉末が、酸化物基準の質量%表示で、α化率70%以上のSiを85質量%以上、第2族、第3族、第4族、第5族、第13族及び第14族の元素群から選ばれる少なくとも1種を含む焼結助剤を酸化物換算で1〜15質量%含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のセラミックス材料の成形方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のセラミックス材料の成形方法により得られた前記成形体を乾燥させて、
前記乾燥された前記成形体を脱脂し、
前記脱脂された前記成形体を焼成する、ことを特徴とするセラミックス物品の製造方法。
【請求項9】
前記焼成で得られた焼結体を、熱間等方圧加圧(HIP)により緻密化する2次焼成を有する請求項8に記載のセラミックス物品の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のセラミックス物品の製造方法で製造されたセラミックス物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス材料の成形方法、セラミックス物品の製造方法及びセラミックス物品に係り、特に、成形時におけるバリ等の形成を抑制したセラミックス材料の成形方法、セラミックス物品の製造方法及びセラミックス物品に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックス部品の成形は、使用する原料としてセラミックス粉末を用いるため、射出成型、鋳込み成型、押出成形等の各種成形方法を使用することができ、様々な形状のセラミックス製品が作製されるようになっている。そして、得られるセラミックス部品をより良い特性を有するものとするため、こちらも様々な工夫がなされており、例えば、脱型と溶媒を含有するセラミックス成形体の乾燥との間においてセラミックス成形体を熱処理し、割れ等が少なく、形状保持性が高く寸法精度にも優れ、焼結体としたときの物性にも優れたセラミックス成形体を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、転がり軸受(ボールベアリング)に使用されるセラミックスボールは非常に高い真球度が求められる。このようなセラミックスボールを製造するには、一般に、セラミックス原料粉末を押し固める成形プロセスと、高温下で焼成する一次焼成プロセス、及びHIP(熱間静水圧プレス)やガス圧焼成等の高温・高圧下で焼成する2次焼成プロセスを経てセラミックス素球を作製し、さらに、得られたセラミックス素球を機械研磨等によって高い真球度となるように研磨仕上げをして製造される。
【0004】
このセラミックス素球の成形プロセスにおいては、まず、金型プレスやラバープレスなどのキャビティ内にセラミックス原料粉末を充填して球状の成形体を形成するが、通常、使用される金型やラバー型は2個以上に分割される型を使用する。そのため、金型プレスやラバープレスの型の合わせ部分に生じる隙間に原料粉末が入り込み押し固められ、一般的にバリと呼ばれる、成形体の表面から外側に突出する不要部分(例えば、円周方向全体にわたって外側に突出する帯状部)が必ず形成されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−1369307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのような帯状の不要部分を有するセラミックスボール素球を、研磨加工によって非常に高い真球度をもつ軸受け用のセラミックスボールに仕上げる場合には、バリ量が多く、その加工に手間がかかり、また、高いコストが必要になってしまう。
【0007】
さらに、研磨加工の際、帯状部の角部が砥石に当たって欠けることなどにより、セラミックスボール自身に欠陥が発生する場合がある。その場合、研磨球にキズなどが残ってしまうため、製品として使用できなくなり、製品の製造歩留まりが低下してしまう、などの問題もあった。
【0008】
上記の点を鑑み、本発明は、セラミックス物品の製造において、外側に突出するバリの少ない成形体を得られるセラミックス材料の成形方法及びそのようなバリの少ない成形体を焼結させて得られるセラミックス物品及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、スラリー状のセラミックス材料を伸縮性容器に注入、充填した後、硬化させて成形することで、形状保持性が良好で、バリの少ない成形体が得られることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明のセラミックス材料の成形方法は、セラミックス粉末、樹脂、硬化剤及び溶媒を混合して、セラミックス材料となる原料スラリーを得て、前記原料スラリーを伸縮性容器に注入し、前記伸縮性容器に注入された前記原料スラリー中の前記樹脂を硬化させて所望の形状を有する成形体とし、前記伸縮性容器から前記成形体を脱型させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のセラミックス物品の製造方法は、上記セラミックス材料の成形方法により得られた前記成形体を乾燥させて、前記乾燥された前記成形体を脱脂し、前記脱脂された前記成形体を焼成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のセラミックス材料の成形方法によれば、形状保持性が良好で、バリの少ない成形体が得られる。また、本発明のセラミックス物品及びその製造方法によれば、上記成形体を焼成してセラミックス物品を製造するため、所望の形状でバリの少ない焼結体が得られる。
このようなバリの少ない焼結体は、研磨加工等の加工量が少なくて済み、製造コストを低減できる。さらに、加工時における欠陥の発生が抑えられ、製品歩留まりを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のセラミックス材料の成形方法の一例における、各工程のフローチャートである。
【図2】伸縮性容器に原料スラリーを充填した状態の一例を示す図である。
【図3】本発明のセラミックス物品の製造方法の一例を示す各工程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態であるセラミックス材料の成形方法及びセラミックス物品の製造方法について詳細に説明する。
【0015】
[セラミックス材料の成形方法]
本発明の一実施形態であるセラミックス材料の成形方法は、原料混合工程、脱泡工程、スラリー注入工程、硬化工程及び脱型工程を有する(図1)。これらの各工程についてそれぞれ説明する。
【0016】
(原料混合工程)
原料混合工程は、所望の組成を有するセラミックス粉末と、樹脂、硬化剤及び溶媒とを混合して、スラリー状のセラミックス材料(以下、原料スラリーと称する)を得る工程である(S1)。
【0017】
ここで用いられるセラミックス粉末は、焼結によりセラミックスとなるものであれば特に限定されるものではなく、公知のセラミックス粉末が挙げられる。このセラミックス粉末としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、SiAlON等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】
また、セラミックス粉末は、後述する焼結工程において安定した焼結体が得られるように、その50%粒径D50は1.0μm未満が好ましい。50%粒径D50が1.0μm以上では、スラリー中の粒子沈降による成形不良を引き起こし、焼結密度の低下を招くおそれがある。50%粒径D50は、より好ましくは0.8μm以下、さらに好ましくは0.6μm以下である。また、粒径D50は0.1μm以上が、取扱い時の飛散、詰まり防止や調達が容易になるため好ましい。
【0019】
また、セラミックス粉末として窒化ケイ素(Si)を用いる場合、焼結して得られる組織は、窒化ケイ素を主成分とする主相結晶粒子が、ガラス質及び/又は結晶質の結合相にて結合した形態のものとなる。
【0020】
このときSiを含むセラミックス粉末としては、粉末に含まれるSiのα化率が70%以上の粉末が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。α化率が70%未満の粉末であると焼結時のαからβへの相転移の際の針状組織の組み込み効果が十分得られず強度が低下する。90%以上の粉末であれば、充分な組み込み効果が得られ強度、特に靱性の高い焼結体が得られる。セラミックス粉末中に、このようなSiを85質量%以上含有していることが好ましく、92質量%以上含有していることがより好ましい。
【0021】
また、焼結助剤として、第2族(アルカリ土類金属)、第3族(希土類(スカンジウム族))、第4族(チタン族)、第5族(土類金属(バナジウム族))、第13族(ホウ素族(土類金属))、第14族(炭素族)の元素群から選ばれる少なくとも1種を含む焼結助剤を酸化物換算で1〜15質量%含有することが好ましく、2〜8質量%含有していることがさらに好ましい。均一で高強度な焼結体を得るためには焼結助剤の含有量は、少ない方が好ましいが、1質量%未満になると焼結体を得ることが困難になるおそれがある。
【0022】
樹脂は、後述する硬化工程において、セラミックス材料を所望の形状に成形するための成分であり、公知の硬化性樹脂が挙げられる。本実施形態に用いられる樹脂としては、硬化工程により保形性が良好であることが求められ、重合反応により3次元網目構造を形成するものが使用される。このとき、混合物の流動性を高め、後述する伸縮性容器への充填性が良好な点で液状であることが好ましい。
【0023】
また、硬化工程後、焼結する前の脱脂工程においてセラミックス成形体から除去しやすいことも求められる。このような樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル酸樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。なかでも、エポキシ樹脂は、保形性が良好であるため好適に用いられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型等のビスフェノール類のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、メチルグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、シクロヘキセンオキサイド型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、等が挙げられる。
【0024】
エポキシ樹脂の平均分子量は20〜30000が好ましく、粉体との混合が容易であり、かつ一定の機械強度が得られることから、50〜3000がより好ましく、50〜2500がさらに好ましい。
【0025】
硬化剤は、樹脂を硬化させるものであり、使用する樹脂に応じて選択する。この硬化剤としては、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリアミド系硬化剤等が挙げられる。アミン系硬化剤は反応が迅速であるという点で好ましく、酸無水物系硬化剤は耐熱衝撃性に優れた硬化物が得られるという点で好ましい。
【0026】
アミン系硬化剤としては、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン等が挙げられ、モノアミン、ジアミン、トリアミン、ポリアミンのいずれも用いることができる。酸無水物系硬化剤としてはメチルテトラヒドロ無水フタル酸、2塩基酸ポリ無水物等が挙げられる。
【0027】
溶媒は、使用する原料の混合物の粘度を調整してスラリー状にし、後述する伸縮性容器内への原料スラリーの充填を容易にするものである。ここで用いる溶媒としては、例えば、水、アルコール類、その他有機溶媒が使用できる。その中でも、製造コストや環境負荷の観点から水系であることが好ましい。
【0028】
なお、このとき、後述する脱脂工程において、樹脂の除去を容易にするため、樹脂と溶媒との親和性が良好な組み合わせとする。親和性が悪いと分離して成形体内部で偏析し、焼結時にポアなどの欠陥が発生する原因となるおそれがある。
【0029】
上記した、セラミックス粉末、樹脂、硬化剤及び溶媒を混合して、原料スラリーとする。このとき、混合は公知の方法により行えばよく、例えば、ディゾルバー、ホモミキサー、ニーダー、ロールミル、サンドミル、ボールミル、ビーズミル、バイブレーターミル、高速インペラーミル、超音波ホモジナイザー、振とう機、遊星ミル、自公転ミキサー、インラインミキサー等が挙げられる。
【0030】
また、反応硬化型の場合、樹脂と硬化剤とを混合した時点から反応が開始してしまうため、樹脂を含有するスラリーと、硬化剤を含有するスラリーと、を別々に調製しておき、使用時にこれらを混合するようにしてもよい。なお、このときセラミックス粉末は、いずれかのスラリーに混合しておけばよく、両方のスラリーに混合しておいてもよく、さらに、セラミックス粉末を含有するスラリーを別に用意しておいてもよい。なかでも、混合したとき濃度変動等が少なく、安定した操作ができるため、セラミックス材料は樹脂と硬化剤のそれぞれを含有する両方のスラリーに混合し、同程度の濃度に調製しておくことが好ましい。
【0031】
まず、ガラス原料混合物及び水を含有する原料スラリーを調製する。
ここで得られる原料スラリーの粘度は、後述するスラリー注入工程における充填が容易に行える粘度であればよく、例えば、せん断速度が10[1/s]における粘度が50Pa・s以下が好ましく、20Pa・s以下がより好ましい。充填後のハンドリング性を考慮すると0.1〜10Pa・sの範囲であることがさらに好ましい。この粘度は、使用する原料において溶媒の使用量や樹脂の添加量によって容易に調整できる。
【0032】
なお、原料混合工程における混合によって空気等が巻き込まれ、得られた原料スラリー中に気体が含まれる場合がある。そのため、次工程であるスラリー注入工程の前に、原料スラリーに含有される気体を除去する脱泡工程を行うことが好ましい。原料スラリー中に気体が含まれていると、硬化工程において内部に気泡によるポアが生じ、焼成して得られるセラミックス物品中にも残ってしまうおそれがある。
【0033】
この脱泡工程は、原料スラリーを減圧状態において脱泡させればよく、脱泡ポンプ(真空ポンプ)や脱泡ミキサー等を用いて行うことができる。脱泡は、例えば、1〜5分、0.6〜10kPaの減圧下において処理すればよい。脱泡ミキサーを用いる場合、原料混合工程と脱泡工程を同時に行うようにすることもできる。ここで用いる脱泡ミキサーとしては、例えば、真空ポンプ搭載の自転・公転ミキサー、プラネタリーミキサー等が挙げられる。
【0034】
(スラリー注入工程)
スラリー注入工程は、上記原料混合工程及び脱泡工程を経て得られた原料スラリーを、成形容器に注入する工程である(S2)。本発明においては、成形容器として伸縮性容器を用いることを特徴とする。
【0035】
ここで用いる伸縮性容器は、伸縮性の素材から構成され、原料スラリーの注入によって伸長方向に変形可能な容器である。この伸縮性容器を形成する伸縮性の素材としては、伸縮性を有する公知の素材が挙げられ、例えば、ラテックス等の天然ゴムや、ニトリルゴムやポリウレタン等の合成ゴムなど、の弾性材料が挙げられる。
【0036】
この伸縮性容器としては、任意の形状の容器とでき、例えば、バルーン形状のようにスラリー注入する原料スラリーを球状に保持できるものや、楕円やハート型、等に保持可能なものが挙げられる。また、伸縮性容器の伸縮性を場所によって変えたり、硬質部材と伸縮性部材とを組み合わせたりして、所望の形状となるようにしてもよい。
【0037】
このような伸縮性容器としては、原料スラリーの注入口を1つとすることが好ましい。これは、原料スラリーの注入が終了したとき、この注入口を1か所塞ぐだけで容易に密閉することができるためである。なお、密閉するにあたっては、素材が伸縮性であるため、結束バンド、結束クリップ等によって容易に密閉できる。図2には、球状の成形体を得られる伸縮性容器1に原料スラリーを充填し、注入口1aを結束バンド11により塞いで密閉した状態の一例を示した。
【0038】
なお、ここでは、原料スラリーの注入口が一つの例を示したが、注入口を複数設けてもよい。注入口が一つの場合、伸縮性容器の形状が変化しやすく、成形体又は焼結体の注入口近傍にできる突起等の不要部分が1つのため研磨加工の手間が少なく有利である。注入口が複数の場合、原料スラリーの短時間で注入できるためスラリーの均一注入や生産性の向上に有利である。一方で、成形体又は焼結体において注入口近傍に複数箇所の不要部分が形成され研磨加工の負荷が増大したり、異なる注入口から注入されたスラリー流の合流線(所謂ウェルドライン)が生じてしまう場合がある。
【0039】
このような伸縮性容器にスラリー注入するには、原料スラリーを送液して伸縮性容器内に供給できる装置を用いればよく、例えば、ダイヤフラムポンプ、チューブポンプ、シリンジポンプ等のポンプが一般的に挙げられ、特に、脈動を発生させない構造をもつ、精密等速カムを搭載した回転容積式ダイヤフラムポンプが好ましい。また、原料を混合して原料スラリーを調製しながら送液可能なインラインミキサー等を用いることもできる。インラインミキサーを用いる場合には、上記原料混合工程とスラリー注入工程とを同時に行うようにできる。また、インラインミキサーは、上記したように原料スラリーとして樹脂を含有するスラリーと、硬化剤を含有するスラリーと、を用意して成形する場合、両スラリーを混合して直ぐに伸縮性容器に送液し充填可能であり好ましい。
【0040】
(硬化工程)
硬化工程は、伸縮性容器内に原料スラリーを注入した後、原料スラリー内の樹脂成分を硬化させてセラミックス材料を所望の形状に硬化させるものである(S3)。この硬化工程においては、原料スラリーの特性に応じて、所望の硬化条件として硬化させるものである。
【0041】
例えば、反応硬化型の原料スラリーの場合、樹脂成分を含有するスラリーと硬化剤成分を含有するスラリーとを混合した時点から反応が始まり硬化するため、所定時間放置しておけばよい。このとき、硬化時間としては、1時間〜3日程度とし、製造効率の点から1〜24時間が好ましく、1〜12時間がより好ましい。
【0042】
また、加熱硬化型の原料スラリーの場合、所望の温度に加熱し、十分な硬化時間を確保すればよい。例えば、80〜150℃で、5分〜120分加熱硬化させればよい。製造条件や製造効率等を考慮すれば、80〜100℃で、5〜90分が好ましく、80〜100℃で、5〜60分がより好ましい。
【0043】
なお、この硬化工程において、原料スラリーが充填された伸縮性容器は、伸縮性容器自らの形状や、その形状保持を助ける補助部材などにより、原料スラリーが所望の形状となる環境下で硬化させる。伸縮性容器の成形形状への影響が小さければ、硬化用の載置台等を用意し載置してもよいが、伸縮性容器に収容されており変形しやすいため、外力がなるべくかからないように、空中に吊るして硬化させることが好ましい。この場合、荷重のかかる点が分散され成形体の変形を小さくできる。
【0044】
また、吊るす場合には、荷重が1点だと変形力が集中しやすくなるため、伸縮性容器とは別に荷重を分散させることができる中空保持用の補助部材を使用してもよい。このとき補助部材は、伸縮性容器よりも伸縮性の高い素材で、複数個所で外部に固定されながら、伸縮性容器は伸縮性部分で保持するようにすればよく、ハンモックのような部材が挙げられる。この補助部材は、スラリーを収容するものではないため、網状のものとしてもよい。
【0045】
また、この硬化工程において、原料スラリーが充填された伸縮性容器を液体中に吊るすようにして硬化を行ってもよい。液体中に吊るすことによって、伸縮性容器には大気圧に加えて液体による圧力が加わり、重力により下方に変形しようとする力を緩和することができる。
【0046】
さらに、液体中に吊るす場合、使用する液体の比重と伸縮性容器中に充填した原料スラリーの比重との比([液体の比重]/[原料スラリーの比重])を0.2以上、より好ましくは0.5〜1.5の範囲とすることが好ましい。このように両者の比重比を調整することによって、原料スラリーにかかる変形圧力をより小さいものとできる。
【0047】
ここで使用できる液体としては、水、ポリタングステン酸ナトリウム水溶液、硫酸バリウムコロイド溶液等が挙げられる。ポリタングステン酸ナトリウム等の比重の大きい物質を溶質とすると溶液自体の比重が大きくなり好ましく、濃度を変更することで比重も容易に調整できる。例えば、セラミックス粉末としてSiを用いる場合、その原料スラリーの比重は1.8〜2.2g/cm程度であり、60%ポリタングステン酸ナトリウム水溶液の比重は1.9g/cmであるため、前記比重比は0.9〜1.1となり、この組み合わせにより液体中の硬化を行うことが好ましい。
【0048】
なお、この硬化工程において、伸縮性容器のみでは所望の形状となりにくい場合には、前述の吊るす、載置台、液体中に限らず何れの硬化方法においても、前述の補助部材や所望の形状を有する成形用の型を用いてもよい。すなわち、従来使用していた金型や発泡スチロール製、ゴム製等の型と組み合わせて硬化させ、成形体を作製してもよい。この場合、従来と同等の成形型を用いていても、原料スラリーは伸縮性容器に収容されているため、円周方向に連続した突出部が形成されることなく、所望の形状に形成できる。
【0049】
(脱型工程)
脱型工程は、硬化工程で硬化させたセラミックス材料の成形体を伸縮性容器から取り出す工程である(S4)。この脱型工程においては、伸縮性材料の一部を破損させ、破裂させればよい。そもそも、スラリー注入工程において、伸縮性容器内に原料スラリーが充填されることで、伸縮性容器は伸張される。そのため、その一部を破損させると、一気に全体が破裂し、収縮するため、極めて容易に脱型することができる。
【0050】
具体的には、注入口の周囲を引張ることで引張応力をかけるとともに、伸縮性容器内に空隙を拡張させ、その空隙に刃物等を差し入れるようにして伸縮性容器の一部を破損させればよい。
【0051】
また、注入口を開いて伸縮性容器を破損させないで成形体を取り出すことも可能である。例えば、伸縮性容器内に空気などの気体を導入して伸縮性容器を膨らませて空隙を形成して成形体を取り出してもよい。この場合、伸縮性容器は繰り返し使用でき、製造コストの低減を図ることができる。
【0052】
このようにして、伸縮性材料から取り出されたセラミックス材料の成形体は、伸縮性材料の伸張状態に応じた所望の形状となっており、その表面は、所望の形状の成形体表面から突出して存在するバリ等が少なく、円滑なものとして得られる。
【0053】
[セラミックス物品の製造方法]
次に、本発明の一実施形態であるセラミックス物品の製造方法について説明する。このセラミックス物品の製造方法は、上記セラミックス材料の成形方法により得られた成形体を乾燥させる乾燥工程と、乾燥された成形体を脱脂する脱脂工程と、脱脂された成形体を焼結させる焼結工程と、を有する。
【0054】
すなわち、このセラミックス物品の製造方法は、原料混合工程と、スラリー注入工程と、硬化工程と、脱型工程と、乾燥工程と、脱脂工程と、焼成工程と、を有する(図3)。ただし、原料混合工程から脱型工程まで(S1〜S4)は、上記セラミックス材料の成形方法と同一であるため説明を省略する。
【0055】
(乾燥工程)
乾燥工程は、脱型工程で得られた上記成形体から水分、揮発性溶媒等を除去して乾燥させる工程である(S5)。この乾燥工程においては、成形体にクラック等を生じさせないように緩やかに乾燥を行う。すなわち、成形体の表面と内部における乾燥速度の差に起因する収縮応力によるクラック等の発生を防止しながら、乾燥させる。
【0056】
この乾燥工程の条件としては、例えば、25〜30℃、相対湿度60〜95%で、48時間〜7日等の比較的穏やかな条件で、長い時間かけて成形体に含有する水分等を除去する条件が挙げられる。ここで、乾燥工程は、成形体の含水率が絶乾時の質量に対して20%以下となるまで行うことが好ましい。
【0057】
(脱脂工程)
脱脂工程は、乾燥工程で得られた上記成形体から樹脂、不揮発性溶媒等を除去する工程である(S6)。この工程においては、次工程の焼結工程で焼結を阻害する成分をほぼ完全に取り除くことが好ましい。このような成分が多量に残留していると、焼結時に焼結体内にポアが生じたり、炭化物が副生成物として生じたりして、最終的な製品として求める特性が得られなくなる等のおそれがある。
【0058】
この脱脂工程の条件としては、例えば、400〜800℃で、5日〜14日等の比較的長い時間をかけて成形体に含有する樹脂成分等を除去する条件が挙げられる。ここで、特に窒化ケイ素における脱脂工程は、成形体中の残存炭素量が200ppm以下となるまで行うことが好ましい。なお、SiC等の炭化物に関してはこの限りではない。
【0059】
(焼成工程)
焼成工程は、脱脂工程を経た成形体を焼成することでセラミックス材料を焼結させ、セラミックス物品とする工程である(S7)。この焼成工程における焼成は、混合粉末を焼結させて、セラミックスを得るものであり、公知の焼成方法により製造すればよい。
【0060】
焼成工程における焼成条件は、焼成してセラミックス体を得られれば、特に限定されないが、例えば窒化ケイ素を焼成する場合には、窒素雰囲気下で酸素濃度が50ppm以下の雰囲気が好ましい。このとき、本工程における焼成温度の最高温度は、窒化ケイ素が熱分解をし始める1800℃以下とするもので、この最高温度は1650〜1750℃の範囲が好ましい。また、焼成時間は240分〜12時間の範囲が好ましい。
【0061】
(2次焼成工程)
焼成工程で得られた焼成体を、さらに所望の特性を有する焼結体とするために、2次焼成工程に付してもよい。この2次焼成工程は、焼成工程(1次焼成)で得られた焼成体に対して、さらに高圧処理をして、焼成体の組織を緻密化する工程である。
【0062】
この2次焼成工程における高圧処理としては、熱間等方圧プレス(HIP)、ガス圧焼成、ホットプレス等を用いることができる。一般に焼結により得られる焼結体は強度が高く、HIPにより1500〜1700℃、50〜200MPaの範囲で処理することが好ましい。
【実施例】
【0063】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定して解釈されるものではない。
【0064】
[実施例1]
(スラリーabの調製)
窒化ケイ素粉末(デンカ(株)製、商品名SN−9FWS) 73.01質量部、焼結助剤としてスピネル粉末 2.09質量部、溶媒として水 23.16質量部、分散剤として第4級アンモニウム塩(セイケム製) 1.61質量部、をボールミルにより混合し、原料スラリーのベースとなる窒化ケイ素スラリー(スラリーab)を調製した。
なお、上記ボールミルにおいては、粉砕メディアとして窒化ケイ素ボール((株)ニッカトー製、直径5mm)を用いた。
【0065】
(スラリーa1の調製及び脱泡)
上記スラリーabを90.10質量部、水溶性エポキシ樹脂(ナガセケムテックス(株)製) 9.9質量部、を真空ポンプ搭載自転公転式ミキサーにより混合し、エポキシ樹脂含有窒化ケイ素スラリー(スラリーa1)を調製した。
なお、減圧(0.6kPa)により、スラリーa1は10μm以上の気泡を含まないものとした。
【0066】
(スラリーa2の調製及び脱泡)
上記スラリーab 98.4質量部、樹脂硬化剤(トリエチレンテトラミンと2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを2:1の質量比で混合したもの) 1.6質量部、を真空ポンプ搭載自転公転式ミキサーにより混合し、樹脂硬化剤含有窒化ケイ素スラリー(スラリーa2)を調製した。
なお、減圧(0.6kPa)により、スラリーa2は10μm以上の気泡を含まないものとした。
【0067】
(スラリー注入)
スラリーa1をスラリータンク1に、スラリーa2をスラリータンク2に、それぞれ同じ体積となるように充填した後、脈動を発生させることがなく、エアーの巻き込みを発生させない、精密等速カムを搭載した株式会社タクミナ製回転容積式ダイヤフラムポンプ2台を用いてスラリータンク1及びスラリータンク2からそれぞれスラリーa1及びスラリーa2を吸引、吐出させ、スラリーa1及びスラリーa2を合流させる配管を介して、ノリタケカンパニー製インラインミキサー(商品名:スタティックミキサー)に送液した。
【0068】
インラインミキサーにて、混合してエポキシ樹脂及び樹脂硬化剤を含有する原料スラリーAとし、それと同時に、原料スラリーAをインラインミキサーの出口側に接続した伸縮性ゴム容器1(不二ラテックス製)に供給した。
【0069】
上記ダイヤフラムポンプのインバータ制御により、原料スラリーA 150mLが伸縮性ゴム容器1に供給圧力0.13MPaで供給、充填され、図2に示したように、伸縮性ゴム容器1が球状に膨張した後に、伸縮性ゴム容器結束治具(不二ラテックス製)にて結束を行った。なお、伸縮性ゴム容器1は、注入口を1つ有し、球状に伸縮可能なゴム容器である。
【0070】
(硬化)
原料スラリーAが充填された伸縮性ゴム容器1を、水温25℃の水中(比重:1.0)に一晩つるすことにより、伸縮性ゴム容器1内で、エポキシ樹脂と樹脂硬化剤とを反応させ硬化させた。このとき、充填した窒化ケイ素スラリーは変形をすることなく、球状に硬化された。
【0071】
(脱型)
伸縮性ゴム容器1の注入口を引っ張ることで、伸縮性ゴム容器1に引張り応力をかけるとともに、伸縮性ゴム容器内に空隙を拡張させ、その空隙に刃物を入れ、伸縮性ゴム容器1を破裂させ、球状に硬化した窒化ケイ素成形体1を取り出した。得られた窒化ケイ素成形体1は、直径66mmで、円周方向全体にわたって外側に突出する帯状のバリはなく、その表面は非常に平滑であった。
【0072】
(乾燥)
急速な乾燥によるクラック(球体表面と球体内部の乾燥速度差に起因する収縮応力によるクラック)の発生を抑制するために、温度25℃、相対湿度90%に制御した恒温・恒湿槽内で、球状に硬化した窒化珪素成形体1を、発泡性ウレタン樹脂の上に1週間静置し乾燥させた。
【0073】
(脱脂)
乾燥した窒化ケイ素成形体1を、大気雰囲気下で、室温から700℃まで1週間かけて昇温させ、700℃で1日保持することより、窒化ケイ素成形体1が含有する硬化樹脂成分を焼失させて脱脂を行った。
【0074】
(焼成)
脱脂した窒化ケイ素成形体1を、窒素雰囲気下1700℃、保持時間12時間で焼成した。この焼成後に球状の窒化ケイ素焼結体1を得た。
【0075】
(HIP)
さらに、窒化ケイ素焼結体1に対し、窒素ガスを圧媒として100MPaの圧力下1700℃でHIP(熱間等方圧プレス)を行った。HIP後に密度が3.2g/cmの緻密で表面が滑らかな直径50mmの球状の窒化ケイ素焼結体1を得た。
【0076】
(評価)
窒化ケイ素焼結体1から試験片を加工し、3点曲げ強度、ビッカース硬度、IF法により破壊靭性測定、断面のSEM(走査型電子顕微鏡)観察を行った結果、「JIS R 1669」の転がり軸受用窒化ケイ素の規格「Class1」を満たしていることを確認した。
【0077】
[実施例2]
(スラリーbbの調製)
窒化ケイ素粉末((株)デンカ製、商品名:SN−9FWS) 73.04質量部、焼結助剤として、スピネル粉末 2.19質量部及び酸化セリウム粉末(信越化学製) 0.04質量部、溶媒として水を23.15質量部、分散剤として第4級アンモニウム塩(セイケム製)を1.61質量部、をボールミルにより混合し、原料スラリーのベースとなる窒化ケイ素スラリー(スラリーbb)を調製した。
なお、上記ボールミルにおいては、粉砕メディアとして窒化ケイ素ボール(ニッカトー製、直径5mm)を用いた。
【0078】
以下、スラリーabの代わりに上記スラリーbbを用いた以外は、実施例1と同様の操作によりエポキシ樹脂含有窒化珪素スラリー(スラリーb1)及び樹脂硬化剤含有窒化珪素スラリー(スラリーb2)を調製、脱泡した。さらに、スラリーa1、a2の代わりにスラリーb1、b2を用い、スラリーb1とb2とを混合してなる原料スラリーBを用いた以外は、実施例1と同様の操作により、スラリー注入、硬化、脱型を経て、球状に硬化した窒化ケイ素成形体2を作製した。得られた窒化ケイ素成形体2は、直径が66mmで、円周方向全体にわたって外側に突出する帯状のバリはなく、その表面は非常に平滑であった。
【0079】
以下、実施例1と同様の乾燥、脱脂、焼成、HIPを経て、密度が3.2g/mの緻密で表面が滑らかな直径50mmの球状の窒化ケイ素焼結体2を得た。
実施例1と同様の評価をした結果、「JIS R 1669」の転がり軸受用窒化ケイ素の規格「Class1」を満たしていることが確認された。
【0080】
[実施例3]
硬化操作において、水中の代わりに60%ポリタングステン酸ナトリウム水溶液中(比重:1.9)に、原料スラリーAが充填された伸縮性ゴム容器1を一晩つるすことにより硬化させた以外は実施例1と同様に処理し、球状に硬化した窒化ケイ素成形体3を作製した。得られた窒化ケイ素成形体3は、直径が66mmで、円周方向全体にわたって外側に突出する帯状のバリはなく、その表面は非常に平滑であった。
【0081】
以下、実施例1と同様の乾燥、脱脂、焼成、HIPを経て、密度が3.2g/mの緻密で表面が滑らかな直径50mmの球状の窒化ケイ素焼結体3を得た。
実施例1と同様の評価をした結果、「JIS R 1669」の転がり軸受用窒化ケイ素の規格「Class1」を満たしていることが確認された。
【0082】
[実施例4]
(スラリーcbの調製)
炭化ケイ素粉末(屋久島電工製、商品名:OY−15)を69.56質量部、焼結助剤として酸化アルミニウムを5.29質量部、酸化イットリウムを0.68質量部、溶媒として、水を23.04質量部、分散剤として第4級アンモニウム塩(セイケム製) 1.40質量部、をボールミルにより混合し、原料スラリーのベースとなる炭化ケイ素スラリー(スラリーcb)を調製した。
なお、上記ボールミルにおいては、粉砕メディアとしてアルミナボール(ニッカトー製、直径5mm)を用いた。
【0083】
(スラリーc1の調製及び脱泡)
上記スラリーcb 90.41質量部、水溶性エポキシ樹脂(ナガセケムテック製) 9.59質量部、を真空ポンプ搭載自転公転式ミキサーにより混合し、水溶性エポキシ樹脂含有炭化ケイ素スラリー(スラリーc1)を調製した。
なお、減圧(0.6kPa)により、スラリーc1は10μm以上の気泡を含まないものとした。
【0084】
(スラリーc2の調製及び脱泡)
上記スラリーcb 98.53質量部、樹脂硬化剤(トリエチレンテトラミンと2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを2:1の質量比で混合したもの) 1.47質量部、を真空ポンプ搭載自転公転式ミキサーにより混合し、樹脂硬化剤含有窒化ケイ素スラリー(スラリーc2)を調製した。
なお、減圧(0.6kPa)により、スラリーc2は10μm以上の気泡を含まないものとした。
【0085】
以下スラリーa1、a2の代わりにスラリーc1、c2を用い、スラリーc1とc2とを混合してなる原料スラリーCを用いた以外は、実施例1と同様の操作により、スラリー注入、硬化、脱型を経て、球状に硬化した炭化ケイ素成形体4を作製した。得られた炭化ケイ素成形体4は、直径66mmで、円周方向全体にわたって外側に突出する帯状のバリはなく、その表面は非常に平滑であった。
【0086】
以下、実施例1と同様の乾燥、脱脂を経て、脱脂した炭化ケイ素成形体4を、アルゴンガス雰囲気下1970℃、保持時間12時間で焼成した。この焼成後に球状の炭化ケイ素焼結体4を得た。
【0087】
(HIP)
さらに、炭化ケイ素焼結体4に対し、アルゴンガスを圧媒として100MPaの圧力下1900℃でHIP(熱間等方圧プレス)を行った。HIP後に密度が3.2g/cmの緻密で表面が滑らかな直径50mmの球状の炭化ケイ素焼結体4を得た。
【0088】
(評価)
炭化ケイ素焼結体4から試験片を加工し、3点曲げ強度を測定した結果、試験片数20個の平均強度は720MPa断面のSEM(走査型電子顕微鏡)観察を行った結果、10μm以上のポアは観察されなかった。
【0089】
[実施例5]
(スラリーdbの調製)
酸化アルミニウム(昭和電工製、商品名:160SG) 81.87質量部、溶媒として水 17.41質量部、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩(中京油脂製) 0.72質量部、をボールミルにより混合し、原料スラリーのベースとなる酸化アルミニウムスラリー(スラリーdb)を調製した。
なお、上記ボールミルにおいては、粉砕メディアとしてアルミナボール(ニッカトー製、直径5mm)を用いた。
【0090】
(スラリーd1の調製及び脱泡)
上記スラリーdb 90.41質量部、水溶性エポキシ樹脂(ナガセケムテック製) 9.59質量部、を真空ポンプ搭載自転公転式ミキサーにより混合し、水溶性エポキシ樹脂含有酸化アルミニウムスラリー(スラリーd1)を調製した。
なお、減圧(0.6kPa)により、スラリーd1は10μm以上の気泡を含まないものとした。
【0091】
(スラリーd2の調製及び脱泡)
上記スラリーdb 98.41質量部、樹脂硬化剤(トリエチレンテトラミンと2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを2:1の質量比で混合したもの) 1.59質量部、を真空ポンプ搭載自転公転式ミキサーにより混合し、樹脂硬化剤含有酸化アルミニウムスラリー(スラリーd2)を調製した。
なお、減圧(0.6kPa)により、スラリーd2は10μm以上の気泡を含まないものとした。
【0092】
以下スラリーa1、a2の代わりにスラリーd1、d2を用い、スラリーd1とd2とを混合してなる原料スラリーDを用いた以外は、実施例1と同様の操作により、スラリー注入、硬化、脱型を経て、球状に硬化した酸化アルミニウム成形体5を作製した。得られた酸化アルミニウム成形体5は、直径が66mmで、円周方向全体にわたって外側に突出する帯状のバリはなく、その表面は非常に平滑であった。
【0093】
以下、実施例1と同様の乾燥、脱脂を経て、脱脂した酸化アルミニウム成形体5を、大気雰囲気下1400℃、保持時間12時間で焼成した。この焼成後に密度が4.0g/cmの緻密で表面が滑らかな直径50mmの酸化アルミニウム焼結体5を得た。
【0094】
(評価)
酸化アルミニウム焼結体5から試験片を加工し、3点曲げ強度を測定した結果、試験片数20個の平均強度は500MPa、断面のSEM(走査型電子顕微鏡)観察を行った結果、10μm以上のポアは観察されなかった。
【0095】
[実施例6]
(スラリーebの調製)
酸化ジルコニウム(東ソー製、商品名:TZ−3YE) 87.17質量部、溶媒として水を12.07質量部、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩(中京油脂製) 0.76質量部、をボールミルにより混合し、原料スラリーのベースとなる酸化ジルコニウムスラリー(スラリーeb)を調製した。
【0096】
なお、上記ボールミルにおいては、粉砕メディアとしてジルコニアボール(ニッカトー製、直径5mm)を用いた。
【0097】
(スラリーe1の調製及び脱泡)
上記スラリーeb 90.41質量部、水溶性エポキシ樹脂(ナガセケムテック製) 9.59質量部、を真空ポンプ搭載自転公転式ミキサーにより混合し、エポキシ樹脂含有酸化ジルコニウムスラリー(スラリーe1)を調製した。
【0098】
なお、減圧(0.6kPa)により、スラリーe1は10μm以上の気泡を含まないものとした。
【0099】
(スラリーe2の調製及び脱泡)
上記スラリーeb 98.41質量部、樹脂硬化剤(トリエチレンテトラミンと2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを2:1の質量比で混合したもの) 1.59質量部、を真空ポンプ搭載自転公転式ミキサーにより混合し、樹脂硬化剤含有酸化ジルコニウムスラリー(スラリーe2)を調製した。
なお、減圧(0.6kPa)により、スラリーe2は10μm以上の気泡を含まないものとした。
【0100】
以下スラリーa1、a2の代わりにスラリーe1、e2を用い、スラリーe1とe2とを混合してなる原料スラリーEを用いた以外は、実施例1と同様の操作により、スラリー注入、硬化、脱型を経て、球状に硬化した酸化ジルコニウム成形体6を作製した。得られた酸化ジルコニウム成形体6は、直径66mmで、円周方向全体にわたって外側に突出する帯状のバリはなく、その表面は非常に平滑であった。
【0101】
以下、実施例1と同様の乾燥、脱脂を経て、脱脂した酸化ジルコニウム成形体6を、大気雰囲気下1500℃、保持時間12時間で焼成した。この焼成後に密度が6.0g/cmの緻密で表面が滑らかな直径50mmの球状の酸化ジルコニウム焼結体6を得た。
【0102】
(評価)
酸化ジルコニウム焼結体6から試験片を加工し、3点曲げ強度を測定した結果、試験片数20個の平均強度は1000MPa、断面のSEM(走査型電子顕微鏡)観察を行った結果、10μm以上のポアは観察されなかった。
【0103】
[比較例1]
実施例1のスラリーab、スラリーa1、及びスラリーa2の調製及び脱泡を経たのち、実施例1のスラリー注入における伸縮性ゴム容器1を、型取りシリコーン(信越シリコーン製、商品名:KE−1310T及びその硬化剤(商品名:CX32−164))で作製した、注入口と注出口をそれぞれ持ち、注入口と注出口の中心で2分割された構造の、型取りシリコーン製容器に変更した。なお、型取りシリコーン製容器は、直径66mmのABS製マスターモデル球にて型取りして成形面が作製された容器である。
【0104】
実施例1と同様の操作により送液したインラインミキサーにて、混合してエポキシ樹脂及び樹脂硬化剤を含有する原料スラリーAとし、それと同時に、原料スラリーAをインラインミキサーの出口側に接続した、型取りシリコーン製容器1に供給した。
【0105】
上記ダイヤフラムポンプのインバータ制御により、原料スラリーA 150mLが型取りシリコーン製容器C1に供給、充填された後、注出口からでてきたのを確認し、注入口と注出口にあらかじめ備え付けていたボールバルブで閉栓を行った。
【0106】
(硬化)
原料スラリーAが充填された型取りシリコーン製容器を、机上に一晩放置して、原料スラリーAを硬化させた。
【0107】
(脱型)
注入口と注出口の中心で2分割された構造の、型取りシリコーン製容器を分割し、型取りシリコーン製容器内で球状に硬化した窒化ケイ素成形体C1を取り出した。
【0108】
球状に硬化した窒化ケイ素成形体C1には、注入口と注出口の中心で2分割された箇所に沿って、円周方向外側に、薄片帯状の突起物が確認された。薄片帯状の突起物は非常にもろく、指でつまむと容易に崩壊したが、成形体には帯状の跡が残った。
【0109】
また、注入口と注出口に起因する、円柱状の突起物が球状の窒化ケイ素成形体C1に形成されていた。円柱状の突起物は、鋭利な刃物を用いて、削り落としたが、その個所に円形の跡が残った。
【0110】
(乾燥)
急速な乾燥によるクラック(球体表面と球体内部の乾燥速度差に起因する収縮応力によるクラック)の発生を抑制するために、温度25℃、相対湿度90%に制御した恒温・恒湿槽内で、球状に硬化した窒化珪素成形体C1を、注入口の円形痕を下、注出口の円形痕を上にして発泡性ウレタン樹脂の上に1週間静置し乾燥させた。
【0111】
乾燥させた窒化ケイ素成形体C1には、薄片帯状の跡があり、また注入口及び注出口に起因した円形状の跡が残っていた。
【0112】
以下、実施例1と同様の脱脂を経て、脱脂された窒化ケイ素成形体C1を、窒素雰囲気下1700℃、保持時間12時間で焼成を行い、球状の窒化ケイ素焼結体C1を得た。
【0113】
焼成後の球状の窒化ケイ焼結体C1には、薄片帯状の跡が残っていた。また、注入口と注出口に起因した円形状の跡と、その個所にクラックが確認された。
【0114】
[比較例2]
実施例1のスラリーab、スラリーa1、及びスラリーa2の調製及び脱泡を経たのち、実施例1のスラリー注入における伸縮性ゴム容器1を、発泡スチロールで作製した、注入口と注出口をそれぞれ持ち、注入口と注出口の中心で2分割された構造の、発泡スチロール製容器に変更した。なお、発泡スチロール製容器は、直径66mmの球形状となる部分を切削されて作製された。
【0115】
実施例1と同様の操作により送液したインラインミキサーにて、混合してエポキシ樹脂及び樹脂硬化剤を含有する原料スラリーAとし、それと同時に、原料スラリーAをインラインミキサーの出口側に接続した発泡スチロール製容器1に供給した。
【0116】
上記ダイヤフラムポンプのインバータ制御により、原料スラリーA 150mLが発泡スチロール製容器に充填されたのち、注出口からでてきたのを確認し、注入口と注出口にあらかじめ備え付けていたボールバルブで閉栓を行った。
【0117】
(硬化)
原料スラリーAが充填された発泡スチロール製容器を、机上に一晩放置して、原料スラリーAを硬化させた。
【0118】
(脱型)
注入口と注出口の中心で2分割された構造の、発泡スチロール製容器を分割し、発泡スチロール容器内で球状に硬化した窒化ケイ素成形体C2を取り出した。
【0119】
球状に硬化した窒化ケイ素成形体C2には、注入口と注出口の中心で2分割された箇所に沿って、円周方向外側に、薄片帯状の突起物が確認された。薄片帯状の突起物は非常にもろく、指でつまむと容易に崩壊したが、成形体には帯状の跡が残った。
【0120】
また、注入口と注出口に起因する、円柱状の突起物が球状の窒化ケイ素成形体C2に形成されていた。円柱状の突起物は、鋭利な刃物を用いて、削り落としたが、その個所に円形の跡が残った。
【0121】
さらに、球状の窒化ケイ素成形体C2の表面には、発泡スチロール表面の気孔に起因した無数の微細な突起物が確認された。
【0122】
以下、比較例1と同様の乾燥を経て、乾燥させた窒化ケイ素成形体C2には、薄片帯状の跡があり、また注入口及び注出口に起因した円形状の跡が残っていた。
【0123】
さらに、球状の窒化ケイ素成形体C2の表面には、発泡スチロール表面の気孔に起因した無数の微細な突起物が確認された。
【0124】
以下、実施例1と同様の脱脂を経て、脱脂された窒化ケイ素脱脂体C2を、窒素雰囲気下1700℃、保持時間12時間で焼成を行い、球状の窒化ケイ素焼結体C2を得た。
【0125】
焼成後の球状の窒化ケイ焼結体C2には、薄片帯状の跡が残っていた。また、注入口と注出口に起因した円形状の跡と、その個所にクラックが確認された(クラックは、硬化時に形成された注出口側の円柱状の突起物が残した跡に発生していた)。乾燥で注出口側円形痕を上にしたことで、重力の影響で水分が下方に移動するために、その個所での乾燥が他の球体表面よりも早くなったことで、その部分に乾燥収縮に起因する残留応力が残り、焼成でクラックを発生させたものと考えられる。
【0126】
さらに、窒化ケイ素焼結体C2の表面には、発泡スチロール表面の気孔に起因した無数の微細な突起物が確認された。
以下、本実験はNGとして、作業を中断した。
【0127】
[比較例3]
(ラバープレス用造粒粉の作製)
実施例1と同様の操作でスラリーabを調製した。
調製したスラリーabに水を追加し、セラミックス粉末固形分が20質量%となるように濃度を調整し、スラリーf1とした。
スラリーf1を2流体ノズル方式を採用した小型スプレードライヤーで乾燥を行い、10〜50μmに粒度の分布をもつ顆粒状の窒化ケイ素造粒粉Fを作製した。
【0128】
(ラバープレス成形)
マスターモデルとして直径76.2mm(3インチ)の鋼球(SUJ2)を用い、型取りシリコーン(信越シリコーン製、商品名:KE−1310T及びその硬化剤(商品名:CX32−1649)で作製した、注入口を持ち、注入口の中心で2分割された構造の、直径76.2mm球の型取りシリコーン製容器C3に、顆粒状の窒化ケイ素造粒粉末Fを充填した。
【0129】
顆粒状の窒化ケイ素造粒粉末Fを充填した直径76.2mm球の型取りシリコーン製容器C3を、真空パック包装した後、水を圧力媒体として180MPaで冷間等圧プレス(CIP)を行った。
【0130】
CIP後に、真空パックから直径76.2mm球の型取りシリコーン製容器C3を取り出した後に分割し、CIPにより圧縮成型された直径58mmの球状のラバープレス成形体C3が得られた。
【0131】
得られたラバープレス成形体C3の表面は、乾式成形特有のザラザラした(微粉末が圧密されてできた微細な凹凸をもつ)表面を有していた。また、球体表面には、注入口に起因する円柱状の突起物、及び円周方向外側に型の分割面に沿って、帯状突起物がそれぞれ形成されていた。
【0132】
(脱脂及び一次焼成)
球状のラバープレス成形体1を、真空雰囲気下で、室温から700℃まで24時間かけて昇温させ、900℃で12時間保持することより乾燥させた窒化ケイ素成形体C3に含有する分散剤成分を焼失させる脱脂を行った。
【0133】
次いで、900℃で12時間保持した後、窒素ガスを導入し、1700℃まで8時間かけて昇温させ、1700℃で12時間、焼成を行った。焼成後に、球状の窒化ケイ素焼結体C3を得た。
【0134】
焼成後の窒化ケイ素焼結体C3は、(微粉末が圧密されてできた微細な凹凸をもつ)ザラザラした表面を持っていた。また、注入口に起因する円柱状の突起物、及び円周方向外側に帯状突起物が焼結体に形成されていた。
【0135】
(HIP)
窒化ケイ素焼結体C3を、窒素ガスを圧媒として100MPaの圧力下1700℃でHIPを行った。HIP後に密度が3.2g/cmで、表面に微細な凹凸を持ち、円周方向外側に帯状突起物、注入口に起因する円柱状の突起物をもつ、直径50mmの球状の窒化ケイ素焼結体C3を得た。
【0136】
[比較例4]
スラリーabの調製からスラリー注入までの一連の操作を実施例1と同様に行った。
【0137】
(硬化)
原料スラリーAが充填され、球状に膨張した伸縮性ゴム容器1を、一晩、机上に放置した。それにより、球状に膨張したゴム容器内で、樹脂と樹脂硬化剤と反応により硬化した窒化ケイ素スラリーが、重力により机上で押しつぶされる状態となり、いびつな球体に変形して硬化した。
【0138】
(脱型)
伸縮性ゴム容器1の注入口を引っ張ることで、伸縮性ゴム容器1に引張り応力をかけ、かつ、空隙を伸縮性ゴム容器1内に拡張させた状態とし、その空隙に刃物を入れ、伸縮性ゴム容器1を破裂させた。
【0139】
破裂した伸縮性ゴム容器1から、いびつな球状に硬化した窒化ケイ素成形体C4を取り出した。窒化ケイ素成形体C4は、円周方向全体にわたって外側に突出するような帯状部はなく、その表面は非常に平滑であったが、目標の球体が得られなかったため、以降の作業は中止とした。
【0140】
上記した実施例1〜6及び比較例1〜4について、得られた成形体の成形性、バリ、表面性状、について以下のように評価し、その結果を表1にまとめて示した。
[成形性]
得られた成形体形状について、以下の基準で評価した。
良:所望の形状の成形体が得られた
不良:所望の形状ではない又はクラック等が発生した
[バリ]
良:得られた成形体にバリがない
不良:得られた成形体にバリがある
[表面性状]
得られた成形体の表面について、目視及び触診により、光の反射が良好で手触りが円滑なものを「つるつる」と、光の反射が良好でない又は手触りで引っ掛かりを感じる場合を「ザラザラ」と、評価した。
【0141】
【表1】
【0142】
以上より、本発明のセラミックス材料の成形方法及びセラミックス物品の製造方法によれば、表面には外側に突出した帯状部等のバリがなく平滑な表面の成形体及び焼結体が容易に得られる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明のセラミックス材料の成形方法及びセラミックス物品の製造方法は、所望の形状のセラミックス物品を効率的に製造でき、軸受け用セラミックスボールの製造にも適用可能である。
【符号の説明】
【0144】
1…伸縮性容器、1a…注入口、11…結束バンド。
【図1】
【図2】
【図3】
【国際調査報告】