(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2018042818
(43)【国際公開日】20180308
【発行日】20190624
(54)【発明の名称】筆記具用水性インク組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/17 20140101AFI20190603BHJP
   B43K 7/00 20060101ALI20190603BHJP
   B43K 8/02 20060101ALI20190603BHJP
【FI】
   !C09D11/17
   !B43K7/00
   !B43K8/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
【出願番号】2018536964
(21)【国際出願番号】JP2017022003
(22)【国際出願日】20170614
(31)【優先権主張番号】2016166619
(32)【優先日】20160829
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
【住所又は居所】東京都品川区東大井5−23−37
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100193404
【弁理士】
【氏名又は名称】倉田 佳貴
(72)【発明者】
【氏名】三好 花奈
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区入江2丁目5番12号 三菱鉛筆株式会社 横浜事業所内
(72)【発明者】
【氏名】小椋 孝介
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区入江2丁目5番12号 三菱鉛筆株式会社 横浜事業所内
(72)【発明者】
【氏名】平山 暁子
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区入江2丁目5番12号 三菱鉛筆株式会社 横浜事業所内
【テーマコード(参考)】
2C350
4J039
【Fターム(参考)】
2C350GA03
2C350GA04
4J039AB07
4J039AB08
4J039AD02
4J039AD03
4J039AD06
4J039AD09
4J039AE02
4J039AE03
4J039AE04
4J039AE05
4J039BC17
4J039BC39
4J039BC60
4J039BD02
4J039BE02
4J039BE15
4J039BE19
4J039BE23
4J039BE30
4J039EA14
4J039EA21
4J039GA26
4J039GA27
(57)【要約】
所望の彩度を容易に得ることができる、筆記具用インキ組成物を提供する。
本発明の筆記具用水性インク組成物は、水、ポリマーで構成されているマトリックス、及び水不溶性染料を有する、有色マイクロスフェア、並びに無着色マイクロスフェアを含有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、
ポリマーで構成されているマトリックス、及び水不溶性染料を有する、有色マイクロスフェア、並びに
無着色マイクロスフェア
を含有している、筆記具用水性インク組成物。
【請求項2】
レーザー回折法により測定したときの、前記無着色マイクロスフェアの平均粒子径が、0.5〜5.0μmである、請求項1に記載の筆記具用水性インク組成物。
【請求項3】
前記有色マイクロスフェアが、OH基を有する樹脂を更に有している、請求項1又は2に記載の筆記具用水性インク組成物。
【請求項4】
前記無着色マイクロスフェアが、ポリマーで構成されているマトリックスを有している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の筆記具用水性インク組成物。
【請求項5】
前記有色マイクロスフェアの前記マトリックスを構成しているポリマーと、前記無着色マイクロスフェアの前記マトリックスを構成しているポリマーとが、同質のポリマーである、
請求項4に記載の筆記具用水性インク組成物。
【請求項6】
前記無着色マイクロスフェアが、水不溶性染料を有しないことを除き、前記有色マイクロスフェアと同種の物質で構成されている、請求項5に記載の筆記具用水性インク組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の筆記具用水性インク組成物であって、
JIS Z 8781に準拠するL表色系において、彩度Cabの値が、前記無着色マイクロスフェアを有しないことを除いて同じ筆記具用水性インク組成物の彩度Cabの値と比較して、140%以上である、筆記具用水性インク組成物。
【請求項8】
インク貯蔵部、筆記部及び保持部を少なくとも具備しており、
前記インク貯蔵部に請求項1〜7のいずれか一項に記載の筆記具用水性インク組成物が貯蔵されている、筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具用水性インク組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水性サインペン、水性ボールペンなどの筆記具に使用する水性インクの着色成分として、染料及び顔料が知られている。
【0003】
染料を使用したインクは、染料が水可溶性のために文字・描線が汗や水で滲んだり消失したりして筆記した文字・描線が不鮮明になる欠点があり、いわゆる耐水性が劣る。また、染料自体は耐光性が劣るので、文字・描線が長期の間に変質するという問題がある。一方、顔料を使用したインクは、耐水性や耐光性に関して問題はないが、顔料の種類によって材質、大きさ、比重等が異なるため顔料毎に異なる分散処理が必要となるという問題が生じる。特に所望の色相を得るために色相の異なる顔料を混ぜ、調色すると、その性質の違いからインクの安定性が損なわれることが多い。このような問題を解決するため、染料又は顔料を用いて樹脂を着色したり、マイクロカプセル化した種々のインキが提案されている。
【0004】
特許文献1では、非変色性顔料と、ビヒクルとからなる、筆記具用インキ組成物が開示されている。特許文献1では、この非変色性顔料として、染料又は顔料をマイクロカプセル壁膜に内包したマイクロカプセルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−150331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のマイクロカプセルを用いたインキ組成物は、耐水性、耐光性等の利点を有するものの、所望の彩度を得ることが困難であり、その結果、得られる色彩の自由度が大きくないものであった。
【0007】
そこで、所望の彩度を容易に得ることができる、筆記具用インキ組成物を提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討したところ、以下の手段により上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記のとおりである:
〈1〉 水、
ポリマーで構成されているマトリックス、及び水不溶性染料を有する、有色マイクロスフェア、並びに
無着色マイクロスフェア
を含有している、筆記具用水性インク組成物。
〈2〉 レーザー回折法により測定したときの、上記無着色マイクロスフェアの平均粒子径が、0.5〜5.0μmである、上記〈1〉項に記載の筆記具用水性インク組成物。
〈3〉 上記有色マイクロスフェアが、OH基を有する樹脂を更に有している、上記〈1〉又は〈2〉項に記載の筆記具用水性インク組成物。
〈4〉 上記無着色マイクロスフェアが、ポリマーで構成されているマトリックスを有している、上記〈1〉〜〈3〉項のいずれか一項に記載の筆記具用水性インク組成物。
〈5〉 上記有色マイクロスフェアの上記マトリックスを構成しているポリマーと、上記無着色マイクロスフェアの上記マトリックスを構成しているポリマーとが、同質のポリマーである、
上記〈4〉項に記載の筆記具用水性インク組成物。
〈6〉 上記無着色マイクロスフェアが、水不溶性染料を有しないことを除き、上記有色マイクロスフェアと同種の物質で構成されている、上記〈5〉項に記載の筆記具用水性インク組成物。
〈7〉 上記〈1〉〜〈6〉項のいずれか一項に記載の筆記具用水性インク組成物であって、
JIS Z 8781に準拠するL表色系において、彩度Cabの値が、上記無着色マイクロスフェアを有しないことを除いて同じ筆記具用水性インク組成物の彩度Cabの値と比較して、140%以上である、筆記具用水性インク組成物。
〈8〉 インク貯蔵部、筆記部及び保持部を少なくとも具備しており、
上記インク貯蔵部に上記〈1〉〜〈7〉項のいずれか一項に記載の筆記具用水性インク組成物が貯蔵されている、筆記具。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所望の彩度を容易に得ることができる、筆記具用インキ組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《筆記具用水性インク組成物》
本発明の筆記具用水性インク組成物は、水、ポリマーで構成されているマトリックス、及び水不溶性染料を有する、有色マイクロスフェア、並びに無着色マイクロスフェアを含有している。
【0011】
本発明者らは、筆記具用水性インク組成物を、上記の構成とすることにより、所望の彩度を容易に得ることができることを見出した。理論に拘束されることを望まないが、これは、筆記具用水性インク組成物に無着色マイクロスフェアを含有させることにより、(1)無着色マイクロスフェアが紙の表面の繊維の間の隙間を塞ぎ、それによって有色マイクロスフェアが紙の表面の繊維の間に潜り込みにくくなること、及び、(2)紙の表面を無着色マイクロスフェアが覆うことにより、紙による可視光の反射を防止できることに起因すると考えられる。
【0012】
JIS Z 8781に準拠するL表色系において、本発明の筆記具用水性インク組成物の彩度Cabの値は、無着色マイクロスフェアを有しないことを除いて同じ筆記具用水性インク組成物の彩度Cabの値の、140%以上、170%以上、又は200%以上であることができる。ここで、彩度Cabの値は、本発明の筆記具用水性インク組成物のa値及びb値を用いて、以下の式で表される。
【数1】
【0013】
この彩度Cabの値は、例えば以下の条件で測定したものであることができる:
分光測色計(SC−T(P)、スガ試験機社)
光学条件:拡散照明8°受光 d8方式(正反射を除く)
光源:12V50Wハロゲンランプ
測色条件:D65光、10°視野
測定領域:5φ(3か所測定の平均)
【0014】
なお、「無着色マイクロスフェアを有しないことを除いて同じ」とは、無着色マイクロスフェアを、これと同量の水に置き換えていることを意味するものである。
【0015】
本発明の筆記具用水性インク組成物は、少なくとも二種の有色マイクロスフェアを含有していてもよい。この場合、有色マイクロスフェアのうちの一種のマトリックスと、有色マイクロスフェアのうちの他の一種のマトリックスとは、同種のポリマーで構成されていることが好ましい。また、有色マイクロスフェアのうちの一種の水不溶性染料と、有色マイクロスフェアのうちの他の一種の水不溶性染料とは、異なっていてよい。ここで、本明細書において「同種のポリマー」とは、ポリマーを構成するモノマーが同じであることを意味するものである。
【0016】
有色マイクロスフェアのマトリックスを同種のポリマーで構成することにより、有色マイクロスフェアの材質、大きさ、比重等を略同程度にそろえることができる。それによれば、筆記具用水性インク組成物中の有色マイクロスフェアの均一な分散を容易とし、その結果、混色により容易に所望の色相を得ることができる。
【0017】
本発明の筆記具用水性インク組成物中の有色マイクロスフェアの含有率は、5質量%以上、7質量%以上、又は10質量%以上であることができ、また45質量%以下、40質量%以下、又は35質量%以下であることができる。5質量%未満であると、色力が不足する場合があり、45質量%を超えると、インクの流動性が低下する場合がある。
【0018】
本発明の筆記具用水性インク組成物中の無着色マイクロスフェアの含有率は、1質量%以上、3質量%以上、又は5質量%以上であることができ、また25質量%以下、20質量%以下、又は15質量%以下であることができる。この含有率を調節することにより、本発明の筆記具用水性インク組成物の彩度を調節することができる。
【0019】
以下では、本発明の筆記具用水性インク組成物の各構成要素について説明する。
【0020】
〈水〉
水は、イオン交換水、蒸留水等であることができる。
【0021】
〈有色マイクロスフェア〉
有色マイクロスフェアは、マトリックス及び水不溶性染料を有する。また、有色マイクロスフェアは、OH基を有する樹脂を更に含有していてもよい。
【0022】
有色マイクロスフェア中の水不溶性染料の含有率は、10質量%以上、20質量%以上、又は30質量%以上であることができ、また45質量%以下、40質量%以下、又は35質量%以下であることができる。この含有率は、(水不溶性染料の質量部)/(水不溶性染料の質量部+ポリマーの質量部)×100により算出できるものである。
【0023】
レーザー回折法により測定したときの、有色マイクロスフェアの平均粒子径は、0.3μm以上、0.5μm以上、又は1.0μm以上であることが、所望の色力を発現する観点、及び描線のテカリや紙面の裏側に色が抜ける現象を防止する観点から好ましく、また3.0μm以下、2.5μm以下、又は2.0μm以下であることが、筆跡にカスレを生じさせない観点から好ましい。ここでいう平均粒子径とは、レーザー回折法において体積基準により算出されたD50の値である。
【0024】
{マトリックス}
マトリックスは、ポリマーで構成されている。
【0025】
(ポリマー)
マトリックスを構成するポリマーは、例えばエポキシポリマー、メラミンポリマー、アクリルポリマー、ウレタンポリマー、若しくはウレアポリマー、又はこれらの組合せであることができる。
【0026】
{水不溶性染料}
水不溶性染料は、常温において水に不溶の染料であり、例えば造塩染料、分散染料、油溶性染料等を用いることができるが、発色性の観点から、造塩染料を用いることが好ましい。
【0027】
造塩染料としては、例えばアゾ系、金属錯塩アゾ系、アンスラキノン系及び金属フタロシアニン系の化学構造を有する染料が挙げられ、例えばオリエント化学工業株式会社のValifast(登録商標) Black 1807、Valifast(登録商標) Blue 2620、Valifast(登録商標) Brown 2402、Valifast(登録商標) Green 1501、Valifast(登録商標) Orange 2210、Valifast(登録商標) Pink 2310、Valifast(登録商標) Red 1355、Valifast(登録商標) VIOLET 1701、Valifast(登録商標) Yellow 1101等を用いることができる。
【0028】
分散染料としては、例えばC.I.Disperse Yellow 198、C.I.Disperse Yellow 42、C.I.Disperse Red 92、C.I.Disperse Violet 26、C.I.Disperse Violet 35、C.I.Disperse Blue 60、及びC.I.Disperse Blue 87から選択される少なくとも1種の染料を用いることができる。
【0029】
油溶性染料としては、例えばオリエント化学工業株式会社のOil Black 860、Oil Blue 613、Oil Brown BB、Oil Green 530、Oil Orange 201、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 318、Oil Yellow 105等を用いることができる。
【0030】
{樹脂}
OH基を有する樹脂は、マトリックス中に含有されている。この樹脂は、筆記具用水性インク組成物の製造方法に関して以下に言及する有機溶剤に溶解できるものであることができる。また、この樹脂は、分子量が400以上、500以上、600以上、又は1000以上である樹脂であることができる。
【0031】
OH基を有する樹脂としては、例えば、テルペンフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリオール変性キシレン樹脂、エチレンオキシド変性キシレン樹脂、マレイン酸樹脂、水酸基変性アクリル樹脂水酸基変性スチレンアクリル樹脂、カルボキシル変性アクリル樹脂、カルボキシル変性スチレンアクリル樹脂等が挙げられる。
【0032】
上記のOH基を有する樹脂の中でも、フェノール性OH基を有する樹脂、例えばテルペンフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂等を用いることが、筆記具用水性インク組成物の彩度を高める観点から好ましい。
【0033】
フェノール性OH基を有する樹脂の中でも、テルペンフェノール樹脂を用いることが、筆記具用水性インク組成物の彩度を高める観点から好ましい。ここで、テルペンフェノール樹脂は、テルペンとフェノールとの共重合体を意味するものである。ここで、「テルペン」とは、複数のイソプレン単位が結合した構造を有する化合物群を言うものであり、例えばモノテルペン(C10)、セスキテルペン(C15)、ジテルペン(C20)、セステルテルペン(C25)、トリテルペン(C30)、テトラテルペン(C40)等が挙げられる。また、フェノールは、非置換のフェノールであっても、アルキル置換フェノールであってもよい。
【0034】
OH基を有する樹脂の水酸基価は、50KOHmg/g以上、100KOHmg/g以上、120KOHmg/g以上であり、かつ250KOHmg/g以下、200KOHmg/g以下、又は180KOHmg/g以下であることが、樹脂をマイクロスフェア中に良好に保持する観点から好ましい。ここで、「水酸基価」は、試料1g中の水酸基と当量の水酸化カリウムのミリグラム(mg)数を意味するものである。
【0035】
〈無着色マイクロスフェア〉
無着色マイクロスフェアは、着色されていないマイクロスフェア、すなわち染料及び顔料を有しないマイクロスフェアを言うものである。
【0036】
無着色マイクロスフェアとしては、例えばポリマーで構成されているマトリックスを有しているマイクロスフェア、透明無機粒子等を用いることができる。このポリマーとしては、例えば有色マイクロスフェアに関して挙げたポリマー、若しくはポリオレフィンポリマー、又はこれらの組合せであることができる。
【0037】
無着色マイクロスフェアは、中空又は中実のマイクロスフェアであってよいが、中実のマイクロスフェアであることが、本発明の筆記具用水性インク組成物の彩度を良好に向上させる観点から好ましい。
【0038】
無着色マイクロスフェアのマトリックスを構成しているポリマーと、有色マイクロスフェアのマトリックスを構成しているポリマーとは、同質のポリマーであることが好ましい。ここで、「同質のポリマー」とは、例えば有色マイクロスフェアのマトリックスがウレタンポリマーで構成されている場合には、無着色マイクロスフェアのマトリックスもウレタンポリマーで構成されていることを言うものであり、これらのウレタンポリマーが必ずしも同種のポリマーであることは必ずしも必要ではない。
【0039】
また、同質のポリマーで構成されている無着色マイクロスフェアの中でも、水不溶性染料を有しないことを除き、有色マイクロスフェアと同種の物質で構成されている無着色マイクロスフェアを用いることが、本発明の筆記具用水性インク組成物の彩度を良好に向上させる観点から好ましい。更に、このような無着色マイクロスフェアを用いることにより、有色マイクロスフェアと無着色マイクロスフェアとの間で材質、大きさ、比重等を略同程度にそろえ、それによって筆記具用水性インク組成物中のマイクロスフェアの均一な分散を容易とし、その結果、混色により容易に所望の色相を得ることができる。特に、有色マイクロスフェアがOH基を有する樹脂を含有している場合には、無着色マイクロスフェアもOH基を有する同種の樹脂を含有していることが、筆記具用水性インク組成物の彩度を高める観点から好ましい。
【0040】
レーザー回折法により測定したときの、無着色マイクロスフェアの平均粒子径は、0.5μm以上、1.0μm以上、又は1.5μm以上であることが、本発明の筆記具用水性インク組成物の彩度を良好に向上させる観点から好ましく、また5.0μm以下、4.5μm以下、又は4.0μm以下であることが、粒子の沈降やインクの流出性の阻害を生じさせない観点から好ましい。ここでいう平均粒子径とは、レーザー回折法において体積基準により算出されたD50の値である。
【0041】
〈他の成分〉
本発明の筆記具用水性インク組成物は、種々の添加剤、例えば、防錆剤、防腐剤、PH調整剤、潤滑剤、保湿剤、樹脂、天然多糖類等の増粘剤等を含有していてもよい。
【0042】
《筆記具》
本発明の筆記具は、インク貯蔵部、筆記部及び保持部を少なくとも具備している。このインク貯蔵部には、上記の筆記具用水性インク組成物が貯蔵されている。本発明の筆記具は、サインペンであってもよく、又はボールペンであってもよい。
【0043】
ここで、本明細書において「サインペン」とは、インク貯蔵部に貯蔵されているインクを、毛細管現象により樹脂製の筆記部に供給する機構を有するペンを意味するものであり、当業者により「マーキングペン」として言及されるペンも含まれる。また、本明細書において「ボールペン」とは、筆記部に備えられているボールの回転によって、インク貯蔵部に貯蔵されているインクを滲出させる機構を有するペンを意味する。
【0044】
〈インク貯蔵部〉
インク貯蔵部には、上記の筆記具用水性インク組成物が貯蔵されている。
【0045】
インク貯蔵部は、インクを貯蔵し、かつ筆記部にインクを供給することができる物であれば、任意の物を用いることができる。
【0046】
〈筆記部〉
筆記部は、筆記具の用途に応じ、随意の材料で構成されていてよい。本発明の筆記具がサインペンである場合、筆記部としては、例えば繊維芯及びプラスチック芯等が挙げられる。本発明の筆記具がボールペンである場合、筆記部は、ボールペンチップを先端部に備えた筆記部であることができる。
【0047】
《筆記具用水性インク組成物の製造方法》
本発明の筆記具用水性インク組成物を製造する方法は、有色マイクロスフェア作成工程、無着色マイクロスフェア準備工程、及びインク組成物調製工程を含むことができる。
【0048】
〈有色マイクロスフェア作成工程:乳化重合法〉
乳化重合法による有色マイクロスフェア作成工程は、油相を作製すること、水相を作製すること、及び油相と水相とを混合させて油相の成分を乳化した後に重合させる工程からなる。
【0049】
{油相}
油相は、有機溶剤、水不溶性染料、及びモノマー又はプレポリマーを含有している。この有機溶剤は、複数種含有されていてもよい。
【0050】
この油相は、有機溶剤を所定の温度に加温しながら、水不溶性染料を加えて撹拌し、次いで、モノマー又はプレポリマーを加え、更に随意に他の有機溶剤を加えることにより、作製することができる。
【0051】
(有機溶剤)
有機溶剤の25℃における水への溶解性は、0.1g/100g以上、1g/100g以上、3g/100g以上、又は5g/100g以上であることができ、また40g/100g以下、35g/100g以下、30g/100g以下、又は25g/100g以下であることができる。
【0052】
この溶解性は、0.1g/100g以上、1g/100g以上、3g/100g以上、又は5g/100g以上であることが、染料を良好に分散させる観点から好ましく、また15g/100g以下、14g/100g以下、13g/100g以下、又は10g/100g以下であることが、染料及び樹脂の析出を抑制すること、及び好ましい円形度にする観点から好ましい。
【0053】
溶解性が上記の範囲を満足する有機溶剤としては、例えばフェニルグリコール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノベンジルエーテル、酢酸エチル等を用いることができる。
【0054】
また、有機溶剤としては、25℃における水への溶解性が0.1g/100g未満である有機溶剤を別途用いてもよい。このような有機溶剤としては、アルキルスルフォン酸フェニルエステル、フタル酸エチルヘキシル、フタル酸トリデシル、トリメリット酸エチルヘキシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、液状のキシレン樹脂等が挙げられる。
【0055】
(水不溶性染料)
水不溶性染料は、有色マイクロスフェアに関して挙げた水不溶性染料を用いることができる。
【0056】
(モノマー又はプレポリマー)
ポリマーを構成するモノマー又はプレポリマーは目的に応じて各種選択される。例えばメラミンモノマー又はプレポリマー、エポキシモノマー又はプレポリマー、アクリルモノマー又はプレポリマー、イソシアネートモノマー又はプレポリマーを用いることができる。
【0057】
メラミンモノマー又はプレポリマーとしては、メラミン、メラミンシアヌレート、エチレンジメラミン、メチロールメラミン等を用いることができる。
【0058】
エポキシモノマー又はプレポリマーとしては、アリルグリシジルエーテル、ビスフェノールA−エピクロルヒドリンプレポリマー等を用いることができる。
【0059】
アクリルモノマー又はプレポリマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチルアクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を用いることができる。
【0060】
イソシアネートモノマー又はプレポリマーとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、イソシアネートプレポリマー等を用いることができる。
【0061】
{水相}
水相は、水及び分散剤を混合させることにより作製することができる。分散剤としては、例えばポリビニルアルコールを用いることができるが、これに限定されない。
【0062】
{乳化及び重合工程}
油相の成分を乳化し、さらに重合させる工程は、水相に油相を投入し、ホモジナイザー等を用いて所定の温度に加温しながら乳化混合することにより行うことができる。
【0063】
{他の工程}
有色マイクロスフェア作成工程は、他の工程、例えば有色マイクロスフェアを分級する工程を含んでいてもよい。
【0064】
〈無着色マイクロスフェアの準備〉
無着色マイクロスフェアの準備は、市販の無着色マイクロスフェアを準備すること、又は随意の方法により無着色マイクロスフェアを作製することにより行うことができる。特に、水不溶性染料を用いないことを除き、有色マイクロスフェアに関して挙げた方法と同一の方法により、無着色マイクロスフェアを作製することが好ましい。
【0065】
〈インク組成物調製工程〉
インク組成物調製工程は、作成した有色マイクロスフェア、無着色マイクロスフェア、及び筆記具用水性インク組成物を構成する他の成分をディスパー等の攪拌機器を用いて混合しながら、従来公知の方法により行うことができる。
【実施例】
【0066】
実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0067】
《水性インク組成物の作製》
〈有色マイクロスフェアの作製〉
{有色マイクロスフェアA}
(油相溶液の作製)
有機溶剤としてのベンジルアルコール9.6質量部を60℃に加温しながら、ここに水不溶性染料としての油溶性黒染料(Valifast Blue 2620、オリヱント化学工業社)2.4質量部及びテルペンフェノール樹脂(YSポリスターK125、ヤスハラケミカル株式会社)1.0質量部を加えて十分に溶解させた。次いで、ここにプレポリマーとしてのヘキサメチレンジイソシアネートビウレット変性体(D−165N、三井化学社)7.6質量部を加えて、油相溶液を作製した。
【0068】
(水相溶液の作製)
蒸留水200質量部を60℃に加温しながら、ここに分散剤としてのポリビニルアルコール(PVA−205、クラレ社)15質量部を溶解して、水相溶液を作製した。
【0069】
(乳化重合)
60℃の水相溶液に油相溶液を投入し、ホモジナイザーで6時間撹拌することにより乳化混合して重合を完了した。得られた分散体を遠心処理することでマイクロスフェアを回収し、有色マイクロスフェアAを得た。有色マイクロスフェアAの平均粒子径は、1.0μmであった。有色マイクロスフェアAの原料成分については、下記の表1にまとめている。
【0070】
{有色マイクロスフェアB}
水不溶性染料(Valifast Blue 2620、オリヱント化学工業社)2.4質量部を水不溶性染料(Oil Pink 312、オリヱント化学工業社製)2.8質量部に、ベンジルアルコール9.6質量部をエチレングリコールモノベンジルエーテル11.5質量部に、テルペンフェノール樹脂(YSポリスターK125、ヤスハラケミカル株式会社)1.0質量部をテルペンフェノール樹脂(YSポリスターK140、ヤスハラケミカル株式会社)0.8質量部に、ヘキサメチレンジイソシアネートビウレット変性体(D−165N、三井化学社)7.6質量部をペンタン−1,5−ジイソシアネートイソシアヌレート変性体(D−370N、三井化学社)を7.2質量部に変更したことを除き、有色マイクロスフェアAと同様にして、有色マイクロスフェアBを得た。有色マイクロスフェアBの平均粒子径は、1.0μmであった。有色マイクロスフェアBの原料成分については、下記の表1にまとめている。
【0071】
{有色マイクロスフェアC}
水不溶性染料(Valifast Blue 2620、オリヱント化学工業社)2.4質量部を水不溶性染料(OSPI Yellow RY、オリヱント化学工業社製)4.0質量部に、ベンジルアルコール9.6質量部をフェニルグリコール16.0質量部に、テルペンフェノール樹脂(YSポリスターK125、ヤスハラケミカル株式会社)1.0質量部をテルペンフェノール樹脂(YSポリスターN125、ヤスハラケミカル株式会社)1.2質量部に、ヘキサメチレンジイソシアネートビウレット変性体(D−165N、三井化学社)7.6質量部をキシリレンジイソシアネートTMPアダクト変性体(D−110N、三井化学社)8.4質量部に変更したことを除き、有色マイクロスフェアAと同様にして、有色マイクロスフェアCを得た。有色マイクロスフェアCの平均粒子径は、1.0μmであった。有色マイクロスフェアCの原料成分については、下記の表1にまとめている。
【0072】
〈無着色マイクロスフェアの準備〉
{無着色マイクロスフェアA〜C}
水不溶性染料を用いなかったことを除き、有色マイクロスフェアA〜Cと同様にして、無着色マイクロスフェアA〜Cをそれぞれ作製した。無着色マイクロスフェアA〜Cの平均粒子径は、いずれも0.9μmであった。
【0073】
{無着色マイクロスフェアD}
無着色マイクロスフェアDとしては、アクリル粒子(アートパールJ−4PY、根上工業社、平均粒子径2.2μm)を用いた。
【0074】
{無着色マイクロスフェアE}
無着色マイクロスフェアEとしては、ポリエチレン粒子(ケミパールW500、三井化学社、平均粒子径2.5μm)を用いた。
【0075】
{無着色マイクロスフェアF}
水相溶液におけるポリビニルアルコール(PVA−205、クラレ社)の質量部を45質量部に変更したことを除き、無着色マイクロスフェアCと同様にして、無着色マイクロスフェアFを作製した。マイクロスフェアFの平均粒子径は、0.6μmであった。
【0076】
{無着色マイクロスフェアG}
無着色マイクロスフェアGとしては、ウレタン粒子(MM−120TW、根上工業社、平均粒子径2.0μm)を用いた。
【0077】
{無着色マイクロスフェアH}
水相溶液におけるポリビニルアルコール(PVA−205、クラレ社)の質量部を50質量部に変更したことを除き、無着色マイクロスフェアBと同様にして、無着色マイクロスフェアHを作製した。マイクロスフェアHの平均粒子径は、0.4μmであった。
【0078】
{無着色マイクロスフェアI}
無着色マイクロスフェアIとしては、中空のプラスチック粒子(SN−1055、ローペイク社、平均粒子径1.0μm)を用いた。
【0079】
〈インク組成物の調製〉
{実施例1〜7}
下記の表2に詳細を示すように、上記の有色マイクロスフェア(5質量部)、上記の無着色マイクロスフェア(15質量部)、溶剤としてのプロピレングリコール(5質量部)、及びイオン交換水(75質量部)を用い、実施例1〜7の水性インク組成物を100質量部作製した。
【0080】
{比較例1〜4}
下記の表2に詳細を示すように、上記の有色マイクロスフェア(5質量部)、溶剤としてのプロピレングリコール(5質量部)、及びイオン交換水(90質量部)を用い、比較例1〜4の水性インク組成物を100質量部作製した。
【0081】
{実施例8〜13}
下記の表3に詳細を示すように、有色マイクロスフェアB(2質量部)、上記の無着色マイクロスフェア(18質量部)、溶剤としてのプロピレングリコール(5質量部)、及びイオン交換水(90質量部)を用い、実施例8〜13の水性インク組成物を100質量部作製した。
【0082】
{比較例5}
下記の表3に詳細を示すように、有色マイクロスフェアB(2質量部)、溶剤としてのプロピレングリコール(5質量部)、及びイオン交換水(93質量部)を用い、比較例5の水性インク組成物を100質量部作製した。
【0083】
〈筆記具用水性インク組成物及び筆記具の作製〉
{実施例14}
下記の表4に詳細を示すように、有色マイクロスフェアA(5質量部)、無着色マイクロスフェアA(15質量部)、増粘剤としてのキサンタンガム(KESLAN S、三晶株式会社、0.18質量部)、リン酸エステル(プライサーフA219B、第一工業製薬株式会社、0.5質量部)、防腐剤(バイオデン421、大和化学工業株式会社、0.2質量部)、防錆剤としてのベンゾトリアゾール(0.3質量部)、pH調整剤としてのアミノメチルプロパノール(0.1質量部)、溶剤としてのプロピレングリコール(15質量部)、及びイオン交換水(63.72質量部)を用い、ボールペン用水性インク組成物を100質量部作製した。
【0084】
次いで、ポリプロピレン製インク収容管(内径4.0mm、長さ113mm)、ステンレス製チップ(超硬合金ボール、ボール径0.5mm)及び該収容管と該チップを連結する継手からなるリフィールに上記のボールペン用水性インク組成物を充填した。次いで、インク後端に鉱油、ポリブテン、オレフィン系エラストマーからなるインク追従体を装填した。このリフィールを、ボールペン(シグノUM−100、三菱鉛筆社)の軸に装填して、実施例14の水性ボールペンを作成した。
【0085】
{実施例15}
下記の表4に詳細を示すように、有色マイクロスフェアB(5質量部)、無着色マイクロスフェアB(15質量部)、防腐剤(バイオデン421、大和化学工業株式会社、0.2質量部)、pH調整剤としてのアミノメチルプロパノール(0.1質量部)、溶剤としてのプロピレングリコール(3質量部)、並びにイオン交換水(73.7質量部)を用い、サインペン用水性インク組成物を100質量部作製した。
【0086】
次いで、三菱鉛筆社製PM−120T(商品名「プロッキー」、ペン芯:極細芯(POM樹脂芯)及び細字丸芯(PET繊維芯)、以下同様)のペン体に、上記のサインペン用水性インク組成物を充填して、実施例15のサインペンを作成した。サインペンに関する評価は、細字丸芯を用いて行った。
【0087】
《評価》
作製した実施例1〜13、及び比較例1〜5の水性インク組成物を、バーコータ(RDS06、株式会社安田精機製作所)を用い、クラークケント紙(連量 160kg)に展色した。
【0088】
また、作製した実施例14のボールペン及び実施例15のサインペンを用い、クラークケント紙(連量 160kg)に一辺2cmの正方形を塗りつぶした。
【0089】
次いで、展色したインクの明度及び彩度を、以下の条件で測定した:
分光測色計(SC−T(P)、スガ試験機社)
光学条件:拡散照明8°受光 d8方式(正反射を除く)
光源:12V50Wハロゲンランプ
測色条件:D65光、10°視野
測定領域:5φ(3か所測定の平均)
【0090】
結果を表2〜4に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【0095】
表2から、同色の有色マイクロスフェアAを用いた実施例1及び2並びに比較例1に関して言及すると、無着色マイクロスフェアを含有している実施例1及び2の水性インク組成物は、無着色マイクロスフェアを含有していない比較例1の水性インク組成物と比較して、彩度の値が150%以上となっており、特に無着色マイクロスフェアAを含有している実施例1の水性インク組成物は、彩度の値が200%以上となっていることが理解できよう。また、同様の傾向は、表2に示す実施例3〜7及び比較例2〜4の間、並びに表3に示す実施例8〜13及び比較例5の間にも確認できる。
【0096】
また、表3から、実施例8〜11に関して言及すると、無着色マイクロスフェアが、有色マイクロスフェアと同質であるウレタンポリマーで構成されている、実施例8及び11の水性インク組成物は、無着色マイクロスフェアが、有色マイクロスフェアと同質でないポリマーで構成されている実施例9及び10の水性インク組成物と比較して、高い彩度が得られており、特に無着色マイクロスフェアBを含有している実施例8においては、特に高い彩度が得られていることが理解できよう。
【0097】
また、実施例11及び12に関して言及すると、無着色マイクロスフェアの粒子径が0.5μm〜5.0μmの範囲内にある実施例11の水性インク組成物の彩度が高いことが理解できよう。更に、実施例8及び13を比較すると、無着色マイクロスフェアが中実のマイクロスフェアである実施例8の水性インク組成物の彩度が高いことが理解できよう。
【0098】
更に、表4から、実施例14及び15に関して言及すると、これらの筆記具用水性インク組成物は、同様のマイクロスフェアを有する実施例1及び3とそれぞれ同等の彩度及び明度を有していることから、実施例1〜13の水性インク組成物に関して言及した無着色マイクロスフェアによる高い彩度は、筆記具用水性インク組成物においても同様に得られることが理解できよう。

【手続補正書】
【提出日】20190128
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、
ポリマーで構成されているマトリックス、及び水不溶性染料を有する、有色マイクロスフェア、並びに
無着色マイクロスフェア
を含有しており、かつ
レーザー回折法により測定したときの、前記有色マイクロスフェアの平均粒子径が、0.5〜2.0μmである、
筆記具用水性インク組成物。
【請求項2】
レーザー回折法により測定したときの、前記無着色マイクロスフェアの平均粒子径が、0.5〜5.0μmである、請求項1に記載の筆記具用水性インク組成物。
【請求項3】
前記有色マイクロスフェアが、OH基を有する樹脂を更に有している、請求項1又は2に記載の筆記具用水性インク組成物。
【請求項4】
前記無着色マイクロスフェアが、ポリマーで構成されているマトリックスを有している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の筆記具用水性インク組成物。
【請求項5】
前記有色マイクロスフェアの前記マトリックスを構成しているポリマーと、前記無着色マイクロスフェアの前記マトリックスを構成しているポリマーとが、同質のポリマーである、
請求項4に記載の筆記具用水性インク組成物。
【請求項6】
前記無着色マイクロスフェアが、水不溶性染料を有しないことを除き、前記有色マイクロスフェアと同種の物質で構成されている、請求項5に記載の筆記具用水性インク組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の筆記具用水性インク組成物であって、
JIS Z 8781に準拠するL*a*b*表色系において、彩度C*abの値が、前記無着色マイクロスフェアを有しないことを除いて同じ筆記具用水性インク組成物の彩度C*abの値と比較して、140%以上である、筆記具用水性インク組成物。
【請求項8】
インク貯蔵部、筆記部及び保持部を少なくとも具備しており、
前記インク貯蔵部に請求項1〜7のいずれか一項に記載の筆記具用水性インク組成物が貯蔵されている、筆記具。
【国際調査報告】