(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2018043293
(43)【国際公開日】20180308
【発行日】20190214
(54)【発明の名称】電子スコープ及び電子内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/06 20060101AFI20190118BHJP
   A61B 1/07 20060101ALI20190118BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20190118BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20190118BHJP
【FI】
   !A61B1/06 531
   !A61B1/07 735
   !A61B1/06 610
   !G02B23/26 B
   !G02B23/24 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】2018537206
(21)【国際出願番号】JP2017030383
(22)【国際出願日】20170824
(31)【優先権主張番号】2016170601
(32)【優先日】20160901
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿六丁目10番1号
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】尾登 邦彦
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿六丁目10番1号 HOYA株式会社内
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040CA03
2H040CA04
2H040CA06
2H040CA11
2H040GA02
2H040GA10
4C161CC06
4C161LL02
4C161QQ06
4C161QQ07
4C161RR04
4C161RR14
4C161WW10
(57)【要約】
所望の波長帯域の光の光量低下を防止できる電子スコープは、体腔内に挿入されるように構成され、先端部に光の射出口を備える挿入管と、第1光を前記先端部から射出するために、前記挿入管の前記先端部まで導光するように構成されたライトガイドと、前記ライトガイドにおける光透過率が前記第1光の波長帯域の透過率以下である波長帯域の第2光を前記先端部から射出するように構成された発光素子と、を備える。前記発光素子から前記先端部に設けられた前記第2光の射出口までの前記第2光の光路長は、前記ライトガイドにおける前記第1光の光路長に比べて短い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に挿入されるように構成され、先端部に光の射出口を備える挿入管と、
第1光を前記先端部から射出するために、前記挿入管の前記先端部まで導光するように構成されたライトガイドと、
前記ライトガイドにおける光透過率が前記第1光の波長帯域の透過率以下である波長帯域の第2光を前記先端部から射出するように構成された発光素子と、を備え、
前記発光素子から前記先端部に設けられた前記第2光の射出口までの前記第2光の光路長は、前記ライトガイドにおける前記第1光の光路長に比べて短い、ことを特徴とする電子スコープ。
【請求項2】
前記発光素子は、前記先端部に設けられている、請求項1に記載の電子スコープ。
【請求項3】
前記第2光は、波長405nmから波長425nmの間にピーク波長を有する、
請求項1または2に記載の電子スコープ。
【請求項4】
前記先端部には、複数の固体発光素子が設けられ、前記発光素子は前記固体発光素子の1つである、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子スコープ。
【請求項5】
前記第1光を前記ライトガイドに射出するように構成された光源装置を備える、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子スコープ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子スコープと、
前記電子スコープを着脱可能に接続可能な電子内視鏡プロセッサと、
を備え、
前記電子内視鏡プロセッサは、
前記第1光を射出するように構成された前記光源装置と、
前記発光素子及び前記光源装置の発光を制御する制御信号を生成するように構成された光源駆動回路と、
を備える、
電子内視鏡システム。
【請求項7】
前記電子内視鏡プロセッサは、前記第1光の光路に挿抜可能な光学フィルタを有する、
請求項6に記載の電子内視鏡システム。
【請求項8】
前記光学フィルタは、可視光帯域のうち、緑色の波長帯域の光のみを透過させるフィルタ特性を有する、
請求項7に記載の電子内視鏡システム。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子スコープと、
前記第1光を前記ライトガイドに射出するように構成された光源装置と、を備える電子内視鏡システム。
【請求項10】
前記第1光は、前記第2光よりも波長の長い光を含む、
請求項5〜9のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項11】
前記光源装置は、互いに波長帯域の異なる光を射出するように構成された複数の光源ユニットを有する、
請求項5〜10のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項12】
前記複数の光源ユニットのうちの一つは、前記第2光を射出するように構成された光源ユニットである、
請求項11に記載の電子内視鏡システム。
【請求項13】
前記発光素子及び前記光源装置を複数のモードの夫々に応じて個別に発光制御するための制御信号を生成するように構成された光源駆動回路を備え、
前記光源駆動回路は、第1のモードにおいて少なくとも前記光源装置を発光駆動する第1制御信号を生成し、第2のモードにおいて少なくとも前記発光素子を発光駆動する第2制御信号を生成することにより、前記光源装置及び前記発光素子を制御するように構成されている、
請求項5〜12のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項14】
前記固体発光素子及び前記光源装置を個別に発光制御するための制御信号を生成するように構成された光源駆動回路を備え、
前記電子スコープは、被写体を所定のフレーム周期で撮像して画像信号を生成するように構成された撮像素子を備え、
前記光源駆動回路は、前記画像信号の1フレーム毎に、少なくとも前記光源装置を発光駆動する第1制御信号と少なくとも前記発光素子を発光駆動する第2制御信号を交互に切り替えて生成するように構成されている、
請求項5〜12のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子スコープ及び電子内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
照射光の分光強度特性を変化させ、特殊な画像を撮影することが可能な内視鏡システムが知られている。例えば特許文献1に、この種の内視鏡システムに使用される光源装置の具体的構成が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の内視鏡システムは、2つの発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)と光学フィルタが搭載された光源装置を備えている。2つのLEDの内、一方は紫色の波長帯域の光を射出する紫色LEDである。また、他方のLEDは、青色LEDと黄色の蛍光体を有する蛍光体LEDである。青色のLED光と黄色の蛍光を混色することにより、擬似的な白色光を射出する。光学フィルタは、特定の波長域の光のみを通過させる波長選択フィルタであり、蛍光体LEDから射出される照射光の光路上に挿抜可能に配置される。
【0004】
特許文献1に記載の光源装置では、光学フィルタが光路上から抜出されているときは、蛍光体LEDから射出された光が、波長帯域が制限されることなく、白色光として被写体に照射される。一方、光学フィルタが光路上に挿入されているときは、蛍光体LEDから射出され波長帯域が制限された照射光と、紫色LEDから射出された照射光の両方が被写体に照射される。このように、照射光の分光強度特性を変化させ、特定の波長帯域の光のみを被写体に照射することにより、生体内の被写体のうち、特定の組織を強調した撮影画像を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2012/108420号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の内視鏡システムでは、光源装置から射出された光は、電子スコープ内の光ファイバ内に入射される。そして、光ファイバ内を導光した光は、電子スコープの先端部から射出される。光ファイバは、可視光帯域の光を透過させる特性を有している。しかし、光ファイバは、その材質に応じて、透過率の波長依存性を有している。例えば、光ファイバに一般的に使用される石英は、光の波長が短くなるほど透過率が低くなる。そのため、波長の比較的短い紫色の光を用いて被写体を観察する場合、紫色の光の光量が少なく、得られる撮影画像が暗くなるという問題があった。また、光ファイバには、使用する材質や経時劣化により黄変が生じる場合がある。この黄変により、光ファイバの紫色の波長帯域の光に対する透過率が低下し、撮影画像が更に暗くなるという問題があった。
このような問題は、光ファイバの光の透過率が波長帯域で異なっていることに起因する。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑み、光ファイバの光の透過率が波長帯域で異なる特性を有していても、所望の波長帯域の光の光量低下を防止することができる電子スコープ及び電子内視鏡システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係る電子スコープは、
体腔内に挿入されるように構成され、先端部に光の射出口を備える挿入管と、
第1光を前記先端部から射出するために、前記挿入管の前記先端部まで導光するように構成されたライトガイドと、
前記ライトガイドにおける光透過率が前記第1光の波長帯域の透過率以下である波長帯域の第2光を前記先端部から射出するように構成された発光素子と、を備える。
前記発光素子から前記先端部に設けられた前記第2光の射出口までの前記第2光の光路長は、前記ライトガイドにおける前記第1光の光路長に比べて短い。
【0009】
一実施形態によれば、前記発光素子は、前記先端部に設けられている、ことが好ましい。
【0010】
一実施形態によれば、前記第2光は、波長405nmから波長425nmの間にピーク波長を有する、ことが好ましい。
【0011】
一実施形態によれば、前記先端部には、複数の固体発光素子が設けられ、前記発光素子は前記固体発光素子の1つである、ことが好ましい。
【0012】
一実施形態によれば、前記電子スコープは、前記第1光を前記ライトガイドに射出するように構成された光源装置を備える、ことが好ましい。
【0013】
本発明の他の一実施形態に係る電子内視鏡システムは、
前記電子スコープと、
前記電子スコープを着脱可能に接続可能な電子内視鏡プロセッサと、
を備える。
前記電子内視鏡プロセッサは、
前記第1光を射出するように構成された前記光源装置と、
前記発光素子及び前記光源装置の発光を制御する制御信号を生成するように構成された光源駆動回路と、
を備える。
【0014】
一実施形態によれば、前記電子内視鏡プロセッサは、前記第1光の光路に挿抜可能な光学フィルタを有する、ことが好ましい。
【0015】
一実施形態によれば、前記光学フィルタは、可視光帯域のうち、緑色の波長帯域の光のみを透過させるフィルタ特性を有する、ことが好ましい。
【0016】
本発明の他の一実施形態に係る電子内視鏡システムは、
前記電子スコープと、
前記第1光を前記ライトガイドに射出するように構成された光源装置と、を備える。
【0017】
一実施形態によれば、前記第1光は、前記第2光よりも波長の長い光を含む、ことが好ましい。
【0018】
一実施形態によれば、前記光源装置は、互いに波長帯域の異なる光を射出するように構成された複数の光源ユニットを有する、ことが好ましい。
【0019】
一実施形態によれば、前記複数の光源ユニットのうちの一つは、前記第2光を射出するように構成された光源ユニットである、ことが好ましい。
【0020】
一実施形態によれば、前記電子内視鏡システムは、前記発光素子及び前記光源装置を複数のモードの夫々に応じて個別に発光制御するための制御信号を生成するように構成された光源駆動回路を備え、
前記光源駆動回路は、第1のモードにおいて少なくとも前記光源装置を発光駆動する第1制御信号を生成し、第2のモードにおいて少なくとも前記発光素子を発光駆動する第2制御信号を生成することにより、前記光源装置及び前記発光素子を制御するように構成されている、ことが好ましい。
【0021】
位置実施目痛いによれば、前記電子内視鏡システムは、前記固体発光素子及び前記光源装置を個別に発光制御するための制御信号を生成するように構成された光源駆動回路を備え、
前記電子スコープは、被写体を所定のフレーム周期で撮像して画像信号を生成するように構成された撮像素子を備え、
前記光源駆動回路は、前記画像信号の1フレーム毎に、少なくとも前記光源装置を発光駆動する第1制御信号と少なくとも前記発光素子を発光駆動する第2制御信号を交互に切り替えて生成するように構成されている、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
上述の電子スコープ及び電子内視鏡システムによれば、光ファイバの光の透過率が波長帯域で異なる特性を有していても、所望の波長帯域の光の光量低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る電子内視鏡システムのブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る光源装置のブロック図である。
【図3】(a),(b)は、本発明の第1の実施形態に係る照明光の分光強度分布を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る光源装置のブロック図である。
【図5】(a),(b)は、本発明の第2の実施形態に係る照明光の分光強度分布を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る光源装置のブロック図である。
【図7】(a),(b)は、本発明の第3の実施形態に係る照明光の分光強度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下においては、本発明の一実施形態として内視鏡用光源装置を備える電子内視鏡システムを例に取り説明する。
【0025】
本発明の一実施形態の電子スコープは、
・体腔内に挿入されるように構成され、先端部に光の射出口を備える挿入管と、
・第1光を先端部から射出するために、挿入管の先端部まで導光するように構成されたライトガイドと、
・ライトガイドにおける光透過率が第1光の波長帯域の透過率以下である波長帯域の第2光を先端部から射出するように構成された発光素子と、
を備える。
このとき、発光素子から先端部に設けられた第2光の射出口までの第2光の光路長は、第1光を導光するライトガイドにおける第1光の光路長に比べて短い。
このように、ライトガイドにおける光透過率が第1光の波長帯域の透過率以下である第2光の光路長は、第1光を導光するライドガイドの光路長よりも短いので、ライトガイドによる第2光の導光の有無に係らず、第2光のライトガイドによる光損失は全くないか、あるいは抑制される。このため、先端部から照明光として射出される第2光の光量低下を皆無にする、あるいは抑制することができる。一実施形態の電子スコープによれば、発光素子は、電子スコープの先端部に設けられることが好ましい。これにより、ライトガイドによる第2光の導光を不要とすることができるので、第2光の、ライトガイドによる光損失は皆無になる。
一実施形態の電子スコープによれば、第2光は、ライドガイドケーブルによる導光を用いて先端部の射出口から射出される構成であってもよい。この場合においても、第2光を導光するライトガイドケーブルの長さは短いので、第1光と同じライトガイドケーブルで導光される場合に比べて、第2光のライトガイドによる光損失は抑制される。
一実施形態によれば、発光素子は、ライトガイドにおける光透過率が第1光の波長帯域の透過率より低い第2光を射出するように構成されていることが好ましい。
以下、実施形態に沿って説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る内視鏡用光源装置201を備えた電子内視鏡システム1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、電子内視鏡システム1は、医療用に特化されたシステムであり、電子スコープ100、プロセッサ200及びモニタ300を備えている。
【0027】
電子スコープ100は、人の体腔内に挿入される挿入管101と、接続部102を有している。電子スコープ100は、接続部102を介して、プロセッサ200に着脱可能に接続される。
【0028】
プロセッサ200は、システムコントローラ21及びタイミングコントローラ22を備えている。システムコントローラ21は、メモリ23に記憶された各種プログラムを実行し、電子内視鏡システム1全体を統合的に制御する。また、システムコントローラ21は、操作パネル24に接続されている。システムコントローラ21は、操作パネル24に入力される術者からの指示に応じて、電子内視鏡システム1の各動作及び各動作のためのパラメータを変更する。タイミングコントローラ22は、各部の動作のタイミングを調整するクロックパルスを電子内視鏡システム1内の各回路に出力する。
【0029】
プロセッサ200は、光源装置201を備えている。図2に、光源装置201のブロック図を示す。光源装置201は、第1〜第4の光源ユニット111〜114を備えている。第1〜第4の光源ユニット111〜114はそれぞれ、第1〜第4光源駆動回路141〜144によって生成される制御信号によって個別に発光制御される。
【0030】
第1の光源ユニット111は、赤色の波長帯域(例えば、波長が620〜680nm)の光を射出する赤色LED(Light Emitting Diode)である。第2の光源ユニット112は、青色の波長帯域(例えば、波長が430〜470nm)の光を射出する青色LEDと蛍光体を有している。蛍光体は、青色LEDから射出された青色LED光によって励起され、緑色の波長帯域(例えば、波長が460〜600nm)の蛍光を発する。第3の光源ユニット113は、青色の波長帯域(例えば、波長が430〜470nm)の光を射出する青色LEDである。第4の光源ユニット114は、紫色の波長帯域(例えば、波長が395〜435nm)の光を射出する紫色LEDである。
【0031】
各光源ユニット111〜114の光の射出方向の前方にはそれぞれ、コリメートレンズ121〜124が配置されている。第1の光源ユニット111から射出された赤色LED光は、コリメートレンズ121によって平行光に変換され、ダイクロイックミラー131に入射される。また、第2の光源ユニット112から射出された光、すなわち、青色LED光及び緑色の蛍光は、コリメートレンズ122によって平行光に変換され、ダイクロイックミラー131に入射される。ダイクロイックミラー131は、第1の光源ユニット111から射出された光の光路と、第2の光源ユニット112から射出された光の光路とを合成する。詳しくは、ダイクロイックミラー131は、波長600nm付近にカットオフ波長を有しており、カットオフ波長以上の波長の光を透過させ、カットオフ波長よりも短い波長の光を反射する特性を有している。そのため、第1の光源ユニット111から射出された赤色LED光はダイクロイックミラー131を透過し、第2の光源ユニット112から射出された光はダイクロイックミラー131で反射される。これにより、赤色LED光の光路と青色LED光及び緑色の蛍光の光路が合成される。ダイクロイックミラー131によって光路が合成された光は、ダイクロイックミラー132に入射される。
【0032】
第3の光源ユニット113から射出された青色LED光は、コリメートレンズ123によって平行光に変換され、ダイクロイックミラー132に入射される。ダイクロイックミラー132は、ダイクロイックミラー131から入射された光の光路と、第3の光源ユニット113から射出された青色LED光の光路とを合成する。詳しくは、ダイクロイックミラー132は、波長500nm付近にカットオフ波長を有しており、カットオフ波長以上の波長の光を透過させ、カットオフ波長よりも短い波長の光を反射する特性を有している。そのため、ダイクロイックミラー131から入射された光のうち、赤色LED光及び緑色の蛍光はダイクロイックミラー132を透過し、青色LED光はダイクロイックミラー132で反射される。また、第3の光源ユニット113から射出された青色LEDは、ダイクロイックミラー132で反射される。これにより、赤色LED光及び緑色の蛍光の光路と、第3の光源ユニット113から射出された青色LEDの光路が合成される。ダイクロイックミラー132によって光路が合成された光は、ダイクロイックミラー133に入射される。
【0033】
第4の光源ユニット114から射出された紫色LED光は、コリメートレンズ124によって平行光に変換され、ダイクロイックミラー133に入射される。ダイクロイックミラー133は、ダイクロイックミラー132から入射された光の光路と、第4の光源ユニット114から射出され紫色LED光の光路とを合成する。詳しくは、ダイクロイックミラー133は、波長430nm付近にカットオフ波長を有しており、カットオフ波長以上の波長の光を透過させ、カットオフ波長よりも短い波長の光を反射する特性を有している。そのため、ダイクロイックミラー132から入射された光と、第4の光源ユニット114から射出された紫色LED光は、ダイクロイックミラー133によってその光路が合成され、光源装置201から照明光Lとして射出される。
【0034】
光源装置201から射出された照明光Lは、集光レンズ25によりLCB(Light Carrying Bundle)11の入射端面に集光されてLCB11内に入射される。
【0035】
LCB11内に入射された照明光Lは、LCB11内を伝播する。LCB11内を伝播した照明光Lは、電子スコープ100の先端部101Aに配置されたLCB11の射出端面から射出され、射出口101Bに設けられた配光レンズ12を介して被写体に照射される。配光レンズ12からの照明光Lによって照明された被写体からの戻り光は、対物レンズ13を介して固体撮像素子14の受光面上で光学像を結ぶ。
【0036】
固体撮像素子14は、ベイヤ型画素配置を有する単板式カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。固体撮像素子14は、受光面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積して、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の画像信号を生成して出力する。なお、固体撮像素子14は、CCDイメージセンサに限らず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやその他の種類の撮像装置に置き換えられてもよい。固体撮像素子14はまた、補色系フィルタを搭載したものであってもよい。
【0037】
電子スコープ100の接続部102内には、ドライバ信号処理回路15が備えられている。ドライバ信号処理回路15には、固体撮像素子14から被写体の画像信号が所定のフレーム周期で入力される。フレーム周期は、例えば、1/30秒である。ドライバ信号処理回路15は、固体撮像素子14から入力される画像信号に対して所定の処理を施してプロセッサ200の前段信号処理回路26に出力する。
【0038】
ドライバ信号処理回路15はまた、メモリ16にアクセスして電子スコープ100の固有情報を読み出す。メモリ16に記録される電子スコープ100の固有情報には、例えば、固体撮像素子14の画素数や感度、動作可能なフレーム周期、型番等が含まれる。ドライバ信号処理回路15は、メモリ16から読み出された固有情報をシステムコントローラ21に出力する。
【0039】
システムコントローラ21は、電子スコープ100の固有情報に基づいて各種演算を行い、制御信号を生成する。システムコントローラ21は、生成された制御信号を用いて、プロセッサ200に接続されている電子スコープ100に適した処理がなされるようにプロセッサ200内の各種回路の動作やタイミングを制御する。
【0040】
タイミングコントローラ22は、システムコントローラ21によるタイミング制御に従って、ドライバ信号処理回路15にクロックパルスを供給する。ドライバ信号処理回路15は、タイミングコントローラ22から供給されるクロックパルスに従って、固体撮像素子14をプロセッサ200側で処理される映像のフレーム周期に同期したタイミングで駆動制御する。
【0041】
前段信号処理回路26は、ドライバ信号処理回路15から1フレーム周期で入力される画像信号に対してデモザイク処理、マトリックス演算、Y/C分離等の所定の信号処理を施して、画像メモリ27に出力する。
【0042】
画像メモリ27は、前段信号処理回路26から入力される画像信号をバッファし、タイミングコントローラ22によるタイミング制御に従い、後段信号処理回路28に出力する。
【0043】
後段信号処理回路28は、画像メモリ27から入力される画像信号を処理してモニタ表示用の画面データを生成し、生成されたモニタ表示用の画面データを所定のビデオフォーマット信号に変換する。変換されたビデオフォーマット信号は、モニタ300に出力される。これにより、被写体の画像がモニタ300の表示画面に表示される。
【0044】
また、電子スコープ100の挿入管101の先端部101Aには、LED18(発光素子、あるいは固体発光素子)が配置されている。LED18は、接続部102内に設けられた光源駆動回路17によって生成される制御信号によって発光制御される。LED18は、紫色の波長帯域(例えば、波長が395〜435nm)の光を射出する紫色LEDである。LED18から射出された紫色LED光は、射出口101Cに設けられた配光レンズ19を介して被写体に照射される。先端部101AにLED18を設けるのは、LED108が射出する光(第2光)が、光の一部を吸収するLCB11によって導光される構成としないためである。LCB11は、光の波長帯域によって透過率が異なる透過特性を有する。このため、LED18は、ライトガイドにおける光透過率が光源装置201の射出する光の波長帯域の透過率以下である波長帯域の光を射出する。本実施形態では、LED18が射出する光は、紫色の波長帯域の光である。
【0045】
一実施形態の電子内視鏡システム1によれば、通常観察モードと特殊観察モードを含む複数の観察モードを有している。各観察モードは、観察する被写体によって手動又は自動で切り替えられる。例えば、被写体を通常光で照明して観察したい場合は、観察モードが通常観察モードに切り替えられる。通常光は、例えば、白色光や擬似白色光である。白色光は可視光帯域においてフラットな分光強度分布を有する。擬似白色光は、分光強度分布はフラットではなく、複数の波長帯域の光が混色されている。また、例えば、被写体を特殊光で照明することによって特定の生体組織が強調された撮影画像を得たい場合は、観察モードが特殊観察モードに切り替えられる。特殊光は、例えば、特定の生体組織に対して吸光度の高い光である。以下では、特殊観察モードで強調される生体組織が、表層血管である場合について説明する。
【0046】
表層血管は、その内部にヘモグロビンを有する血液を含んでいる。ヘモグロビンは、波長415nm付近と550nm付近に吸光度のピークを有することが知られている。そのため、被写体に対して表層血管を強調するのに適した特殊光(具体的には、ヘモグロビンの吸光度のピークである波長415nm付近の強度が高い光)を照射することにより、表層血管が強調された撮影画像を得ることができる。また、波長415nm付近の光と共に、ヘモグロビンの吸光度のもう一つのピークである波長550nm付近の強度が高い特殊光を照射することにより、表層血管が強調された状態を維持しつつ、明るい撮影画像を得ることができる。なお、表層血管を観察する場合、特殊光の分光強度のピークは、415nmに完全に一致している必要はない。特殊光は、波長415nmの光を含んでいればよい。例えば、製造の容易性、製品性能の安定性、製品の安定供給と言った観点を加味すれば、波長405nmから波長425nmの間にピーク波長を有しているものを選択することが好適である。
【0047】
図3(a),(b)は、各観察モードにおいて、電子スコープ100から射出される照射光Lの分光強度分布を示している。図3(a)は、通常観察モードにおける照射光L(通常光)の分光強度分布を示し、図3(b)は、特殊観察モードにおける照射光L(特殊光)の分光強度分布を示している。図3に示される分光強度分布の横軸は波長(nm)を示し、縦軸は照射光Lの強度を示している。なお、縦軸は、強度の最大値が1となるように規格化されている。
【0048】
電子内視鏡システム1が通常観察モードである場合、第1〜第3の光源ユニット111〜113と、LED18が発光駆動され、第4の光源ユニット114は発光駆動されない。図3(a)には、第1〜第3の光源ユニット111〜113及びLED18から射出される光の強度分布D111〜D113、D18が示されている。また、図3(a),(b)には、各ダイクロイックミラー131〜133のカットオフ波長λ131〜λ133が点線で示されている。図3(a)に示す分光強度分布のうち、実線で示される領域が、電子スコープ100から射出され、照明光Lとして使用される領域である。また、破線で示される領域が、光源装置201から射出されず、照明光Lとして使用されない領域である。
【0049】
第1の光源ユニット111から射出される光の分光強度分布D111は、波長約650nmをピークとする急峻な強度分布を有している。第2の光源ユニット112から射出される光の分光強度分布D112は、波長約450nmと波長約550nmにピークを有している。この2つのピークはそれぞれ、青色LED112から射出される光の分強度分布のピークと、緑色の蛍光体が発する蛍光の分光強度分布のピークである。また、第3の光源ユニット113から射出される光の分光強度分布D113は、波長約450nmをピークとする急峻な強度分布を有している。また、LED18から射出される光の分光強度分布D18は、波長約415nmをピークとする急峻な強度分布を有している。
【0050】
通常観察モードでは、電子スコープ100からは、紫外領域(近紫外の一部)から赤色領域にかけて広い波長帯域を有する照明光Lが射出される。この照明光Lの分光強度分布は、図3(a)に示す分光強度分布D111〜D113、D18のうち、実線で示される領域を足し合わせたものになる。この照明光Lを用いて被写体を撮影することにより、通常のカラー撮影画像を得ることができる。
【0051】
なお、通常観察モードでは、LED18は、発光駆動されなくてもよい。LED18が発光駆動されない場合においても、照明光Lは青色から赤色領域にかけて広い波長帯域を有する照明光Lが射出される。この照明光Lを用いて被写体を撮影することにより、通常のカラー撮影画像を得ることができる。
【0052】
電子内視鏡システム1が特殊観察モードである場合、第2の光源ユニット112と、LED18が発光駆動され、第1、第3及び第4の光源ユニット111、113、114は発光駆動されない。これにより、ヘモグロビンの吸光度のピークである波長415nm付近の強度が、他の波長帯域の強度よりも相対的に高くなり、表層血管が強調された撮影画像を得ることができる。また、第2の光源ユニット112から射出される光は、ヘモグロビンの吸光度のもう一つのピークである波長550nm付近の光を含んでいる。そのため、LED18と共に、第2の光源ユニット112を発光駆動することにより、表層血管が強調された状態を維持しつつ、撮影画像の輝度を上げることができる。
【0053】
このように、本実施形態によれば、電子内視鏡システム1は、複数の光源ユニット111〜114及びLED18を有している。また、複数の光源ユニット111〜114及びLED18は、観察モードに応じて個別に発光制御される。そのため、光源ユニット111〜114、LED18のうち、何れを発光駆動するかを選択すると共に、その駆動電流を変更することにより、照射光Lの分光強度特性を観察モードに応じたものに切り替えることができる。
【0054】
また、本実施形態の電子内視鏡システム1は、観察モードとして、通常観察モードと特殊観察モードを交互に切り替え得ながら撮影を行うツインモードを有している。ツインモードでは、撮影画像の1フレーム毎に、観察モードが、通常観察モードと特殊観察モードの間で交互に切り替えられる。そのため、光源ユニット111〜114及びLED18の発光制御も、撮影装置の1フレーム毎に切り替えられる。具体的には、観察モードが通常観察モードのとき、第1〜第3の光源ユニット111〜113及びLED18が発光駆動され、第4の光源ユニット114は発光駆動されない。また、一実施形態によれば、LED18は発光駆動されない。また、観察モードが特殊観察モードのとき、第2の光源ユニット112及びLED18が発光駆動され、第1、第3及び第4の光源ユニット111、113、114は発光駆動されない。通常観察モードで撮影された撮影画像(通常撮影画像)と、特殊観察モードで撮影された撮影画像(特殊撮影画像)は、後段信号処理回路28で合成される。これにより、通常撮影画像と特殊撮影画像がモニタ300に並べて表示される。
したがって、一実施形態によれば、光源駆動回路17,141〜144は、LED18及び光源装置201を個別に発光制御するための制御信号を生成するように構成される。このとき、電子スコープ100は、被写体を所定のフレーム周期で撮像して画像信号を生成するように構成された固体撮像素子14を備え、光源駆動回路17,141〜144は、画像信号の1フレーム毎に、少なくとも光源装置201を発光駆動する第1制御信号と少なくともLED18を発光駆動する第2制御信号を交互に切り替えて生成するように構成されていることが好ましい。
【0055】
なお、LED18から射出される光と第4の光源ユニット114から射出される光は何れも、紫色の波長帯域の光である。そのため、被写体を紫色の波長帯域の光で照明する場合、LED18と第4の光源ユニット114の何れか一方のみを発光させればよい。第4の光源ユニット114を発光させる場合、第4の光源ユニット114から射出された紫色LED光は、LCB11を通って被写体に照射される。LCB11は可視光を透過させる特性を有しているが、この透過率は波長帯域によって変化し、例えば光の波長が短くなるほど小さくなる。また、LCB11は、電子スコープ100の接続部102から挿入管101の先端部にかけて、1メートル以上の長尺な形状を有する。そのため、LCB11に入射された紫色LED光の光量を100%とした場合、LCB11を通って挿入管101の先端部から射出される紫色LED光の光量は、例えば、40%程度に減少する。これにより、被写体に照射される紫色LED光の光量が少なくなり、撮影画像が暗くなる場合がある。これに対し、第4の光源ユニット114の代わりに挿入管101の先端部に配置されたLED18を発光させる場合、LED18から射出された紫色LED光には、LCB11を透過することによる光量損失が生じないため、被写体に照射される紫色LED光の光量が不足することを防止することができる。
したがって、一実施形態によれば、光源駆動装置17、141〜144は、LED18(発光素子)及び光源装置201を複数のモードの夫々に応じて個別に発光制御するための制御信号を生成するように構成され、光源駆動回路17、141〜144は、第1のモードにおいて少なくとも光源装置201を発光駆動する第1制御信号を生成し、第2のモードにおいて少なくともLED18を発光駆動する第2制御信号を生成することにより、光源装置201及びLED18を制御するように構成されていることが好ましい。
これにより、第2のモードにおける照明光の光量が第1のモードにおける照明光の光量に対して極端に低くなることを解消することができる。
【0056】
また、本実施形態では、可視光のうち、比較的波長の短い紫色の波長帯域の光を射出するLED18が挿入管101の先端部に配置され、それ以外の比較的波長の長い光を射出する光源ユニット111〜113は、プロセッサ200の光源装置201に配置されている。LCB11は、可視光のうち、紫色よりも波長の長い青色、緑色、赤色の光に対して、比較的高い透過率を有している。そのため、光源ユニット111〜113が光源装置201に配置されていたとしても、LCB11においてこれらの光源ユニット111〜113から射出される光の光量損失は起きにくい。
【0057】
また、図2に示す光源装置201は、紫色LEDを有する第4の光源ユニット114を有しているが、本発明の実施形態はこの構成に限定されない。電子スコープ100がLED18を有している場合、光源装置201は光源ユニット114を有していなくてもよい。しかし、プロセッサ200には様々な種類の電子スコープ100が着脱可能に接続される。そのため、LED18を有していない電子スコープ100をプロセッサ200に接続して使用する場合に備え、プロセッサ200の光源装置201は、第4の光源ユニット114を有していることが望ましい。
【0058】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態にかかる電子内視鏡システム1について説明する。第2の実施形態に係る電子内視鏡システム1は、プロセッサ200の光源装置201の構成が異なること以外は、第1の実施形態の電子内視鏡システム1と同じである。
【0059】
図4は、第2の実施形態に係る電子内視鏡システム1のうち、プロセッサ200が備える光源装置201のブロック図である。光源装置201は、第1、第2の光源ユニット211、212を備えている。第1、第2の光源ユニット211、212はそれぞれ、第1、第2光源駆動回路241、242により生成される制御信号によって個別に発光制御される。
【0060】
第1の光源ユニット211は、赤色の波長帯域(例えば、波長が620〜680nm)の光を射出する赤色LED(Light Emitting Diode)である。第2の光源ユニット212は、青色の波長帯域(例えば、波長が430〜470nm)の光を射出する青色LEDと蛍光体を有している。蛍光体は、青色LEDから射出された青色LED光によって励起され、緑色の波長帯域(例えば、波長が460〜600nm)の蛍光を発する。
【0061】
各光源ユニット211、212の光の射出方向の前方にはそれぞれ、コリメートレンズ221、222が配置されている。第1の光源ユニット211から射出された赤色LED光は、コリメートレンズ221によって平行光に変換され、ダイクロイックミラー231に入射される。また、第2の光源ユニット212から射出された光、すなわち、青色LED光及び緑色の蛍光は、コリメートレンズ222によって平行光に変換され、ダイクロイックミラー231に入射される。ダイクロイックミラー231は、第1の光源ユニット211から射出された光の光路と、第2の光源ユニット212から射出された光の光路とを合成する。詳しくは、ダイクロイックミラー231は、波長600nm付近にカットオフ波長を有しており、カットオフ波長以上の波長の光を透過させ、カットオフ波長よりも短い波長の光を反射する特性を有している。そのため、第1の光源ユニット211から射出された赤色LED光はダイクロイックミラー231を透過し、第2の光源ユニット212から射出された光はダイクロイックミラー231で反射される。これにより、赤色LED光の光路と青色LED光及び緑色の蛍光の光路が合成される。ダイクロイックミラー231によって光路が合成された光は、光源装置201から照明光Lとして射出される。
【0062】
図5は、各観察モードにおいて、電子スコープ100から射出される照射光Lの分光強度分布を示している。図5(a)は、通常観察モードにおける照射光L(通常光)の分光強度分布を示し、図5(b)は、特殊観察モードにおける照射光L(特殊光)の分光強度分布を示している。図5に示される分光強度分布の横軸は波長(nm)を示し、縦軸は照射光Lの強度を示している。なお、縦軸は、強度の最大値が1となるように規格化されている。
【0063】
電子内視鏡システム1が通常観察モードである場合、第1、第2の光源ユニット211、212及びLED18が発光駆動される。図5(a)には、第1、第2の光源ユニット211、212及びLED18から射出される光の分光強度分布D211、D212、D18が示されている。また、図5(a)には、ダイクロイックミラー231のカットオフ波長λ231が点線で示されている。図5(a)に示す分光強度分布のうち、実線で示される領域が、電子スコープ100から射出され、照明光Lとして使用される領域である。
【0064】
ダイクロイックミラー231で、各光源ユニット211、212から射出された光の光路が合成され、且つ、LED18が発光駆動されることにより、電子スコープ100からは、紫外領域(近紫外の一部)から赤色領域にかけて広い波長帯域を有する照射光L(通常光)が射出される。この照射光L(通常光)の分光強度分布は、図5(a)に示す分光強度分布D211、D212、D18のうち、実線で示される領域を足し合わせたものになる。この照射光L(通常光)を被写体に照射することにより、通常のカラー撮影画像を得ることができる。
【0065】
また、電子内視鏡システム1が特殊観察モードである場合、第2の光源ユニット212とLED18が発光駆動され、第1の光源ユニット211は発光駆動されない。また、第2の光源ユニット212の駆動電流は、通常観察モード時の駆動電流よりも小さく設定される。これにより、照射光L(特殊光)のうち、ヘモグロビンの吸光度のピークである波長415nm付近の強度が、他の波長帯域の強度よりも相対的に高くなり、表層血管が強調された撮影画像を得ることができる。また、光源ユニット212から射出される光は、ヘモグロビンの吸光度のもう一つのピークである波長550nm付近の光を含んでいる。そのため、光源ユニット211と共に、光源ユニット212を発光駆動することにより、表層血管が強調された状態を維持しつつ、撮影画像の輝度を上げることができる。
【0066】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態にかかる電子内視鏡システム1について説明する。第3の実施形態に係る電子内視鏡システム1は、光源装置201が特定の波長帯域の光のみを透過させる光学フィルタ351を有しているという点で、第1及び第2の実施形態とは異なる。
【0067】
図6は、第3の実施形態に係る電子内視鏡システム1のうち、プロセッサ200が備える光源装置201のブロック図である。光源装置201は、光源ユニット311を備えている。光源ユニット311は、光源駆動回路341により生成される制御信号によって発光制御される。また、光源ユニット311は、青色の波長帯域(例えば、波長が430〜470nm)の光を射出する青色LEDと蛍光体を有している。蛍光体は、青色LEDから射出された青色LED光によって励起され、緑色の波長帯域(例えば、波長が460〜600nm)の蛍光を発する。この青色LED光と緑色の蛍光が合わさることにより、光源ユニット311からは擬似的な白色光が射出される。光源ユニット311から射出された光はコリメートレンズ321によって平行光に変換される。
【0068】
また、光源装置201は、光源ユニット311から射出される光の光路上に挿抜可能な光学フィルタ351を有している。光学フィルタ351は、波長550nm付近の波長帯域の光のみを透過させるフィルタ特性を有している。
【0069】
図7は、各観察モードにおいて、電子スコープ100から射出される照射光Lの分光強度分布を示している。図7(a)は、通常観察モードにおける照射光L(通常光)の分光強度分布を示し、図7(b)は、特殊観察モードにおける照射光L(特殊光)の分光強度分布を示している。図7に示される分光強度分布の横軸は波長(nm)を示し、縦軸は照射光Lの強度を示している。なお、縦軸は、強度の最大値が1となるように規格化されている。
【0070】
電子内視鏡システム1が通常観察モードである場合、光源ユニット311及びLED18が発光駆動される。また、光学フィルタ351は、光路上から退避される。光源ユニット311から射出される光の分光強度分布D311は、波長約450nm及び約550nmにピークを有している。この2つのピークはそれぞれ、青色LED光及び緑色の蛍光の分光強度分布のピークである。LED18から射出される光の分光強度分布D18は、波長415nmにピークを有している。
【0071】
また、電子内視鏡システム1が特殊観察モードである場合、光源ユニット311及びLED18が発光駆動される。また、光学フィルタ351は、光路上に挿入される。そのため、光源ユニット311から射出された光は、光学フィルタ351によって波長550nm付近の波長帯域にのみ強度を有する光に制限される。これにより、照射光L(特殊光)のうち、ヘモグロビンの吸光度のピークである波長415nm付近及び550nm付近の強度が、他の波長帯域の強度よりも相対的に高くなり、表層血管が強調された撮影画像を得ることができる。
【0072】
第1〜3の実施形態では、光源装置201は、プロセッサ200に搭載された構成であるが、一実施形態によれば、光源装置201は、電子スコープ100に搭載されることも好ましい。この場合、光源装置201は、接続部102あるいは、接続部102と先端部101Aとの間に設けられた、術者が電子スコープ100を操作する操作部に設けられてもよい。この場合においても、光源装置201から射出された光(第1光)は、LCB11に射出され、LCB11を介して先端部101Aまで導光される。
また、一実施形態によれば、光源装置201は、プロセッサ200とは別体の装置として、電子内視鏡システム1の構成装置とすることも好ましい。
【0073】
なお、本実施形態において、光源ユニット311は、蛍光体を有するLEDに限定されない。例えば、光源ユニット311は、キセノンランプ等の白色の光を発するランプであってもよい。
【0074】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本発明の実施形態に含まれる。
【0075】
例えば、上記各実施形態では、各光源ユニットはLEDを有している。本発明はこれに限定するものではなく、各光源ユニットにLD(Laser Diode)を採用することも可能である。また、挿入管101の先端部に配置されるLED18は、LEDの代わりにLDを採用することも可能である。
【0076】
また、上記各実施形態では、挿入管101の先端部には、1つのLED18を有しているが、本発明はこれに限定するものではない。例えば、挿入管101の先端部101Aには複数のLED18が配置されていてもよい。この場合、一実施形態によれば、先端部101Aに設けるLED18が射出するそれぞれの光は、光源装置201から射出される光に比べて、LCB11における光透過率が同等あるいはそれよりも低い波長帯域の光であることが、光量の低下を効率よく抑制することができる点から好ましい。
【符号の説明】
【0077】
1 電子内視鏡システム
11 LCB
12 配光レンズ
13 対物レンズ
14 固体撮像素子
15 ドライバ信号処理回路
16 メモリ
17 光源駆動回路
18 LED
19 配光レンズ
21 システムコントローラ
22 タイミングコントローラ
23 メモリ
24 操作パネル
25 集光レンズ
26 前段信号処理回路
27 画像メモリ
28 後段信号処理回路
100 電子スコープ
101 挿入管
101A 先端部
101B,101C 射出口
102 接続部
111〜114 光源ユニット
121〜124 コリメートレンズ
131〜133 ダイクロイックミラー
141〜144 光源駆動回路
200 プロセッサ
201 光源装置
211、212 光源ユニット
221、222 コリメートレンズ
231 ダイクロイックミラー
241、242 光源駆動回路
311 光源ユニット
321 コリメートレンズ
341 光源駆動回路
351 光学フィルタ
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【国際調査報告】