(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2018079458
(43)【国際公開日】20180503
【発行日】20190919
(54)【発明の名称】樹脂成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20190823BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20190823BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20190823BHJP
   C08K 5/3415 20060101ALI20190823BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20190823BHJP
   B65D 65/02 20060101ALI20190823BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20190823BHJP
【FI】
   !C08L101/00
   !C08K5/09
   !C08K5/098
   !C08K5/3415
   !B32B27/18 E
   !B65D65/02 E
   !B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
【出願番号】2018547641
(21)【国際出願番号】JP2017038103
(22)【国際出願日】20171023
(31)【優先権主張番号】2016208202
(32)【優先日】20161024
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000100849
【氏名又は名称】株式会社アイセロ
【住所又は居所】愛知県豊橋市石巻本町字越川45番地
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(72)【発明者】
【氏名】澤田 志郎
【住所又は居所】愛知県豊橋市石巻本町字越川45番地 株式会社アイセロ内
(72)【発明者】
【氏名】新美 智弘
【住所又は居所】愛知県豊橋市石巻本町字越川45番地 株式会社アイセロ内
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AB03
3E086AD01
3E086AD02
3E086BA02
3E086BA04
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA18
3E086BA19
3E086BA35
3E086BB90
3E086CA40
4F100AA02B
4F100AA17A
4F100AA17B
4F100AH03A
4F100AK01A
4F100AK06
4F100AT00B
4F100BA02
4F100CA14A
4F100GB15
4F100JB02
4J002AA011
4J002BB031
4J002BB051
4J002BB071
4J002BB081
4J002BB091
4J002BB121
4J002BB141
4J002BB171
4J002EG006
4J002EG027
4J002EG037
4J002EG057
4J002EG077
4J002EG107
4J002EU178
4J002FD206
4J002FD207
4J002FD208
4J002GG01
4J002GG02
4J002GL00
4J002GM00
(57)【要約】
鋳鉄、鋼板及び亜鉛メッキ鋼板等の広範囲な物品に対して長期の防錆効果を得ることを課題とする。解決手段として、平均粒径が20μm以上であるカルボン酸アンモニウム塩を含有する樹脂層1を有する樹脂成形体を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が20μm以上であるカルボン酸アンモニウム塩を含有する樹脂層1を有する樹脂成形体。
【請求項2】
樹脂層1は、カルボン酸金属塩を含有する請求項1に記載の樹脂成形体。
【請求項3】
樹脂層1は、カルボン酸、ベンゾトリアゾール系化合物、及びトリルトリアゾール系化合物の1種以上を含有する請求項1又は2に記載の樹脂成形体。
【請求項4】
さらに基材層が積層されている請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂成形体。
【請求項5】
基材層が亜硝酸金属塩、カルボン酸、ベンゾトリアゾール系化合物、トリルトリアゾール系化合物、及びカルボン酸金属塩の1種以上を含有する請求項4に記載の樹脂成形体。
【請求項6】
樹脂成形体がシート状物又は袋状物である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、気化性防錆剤としてアルキルジカルボン酸アンモニウム塩とともに、水溶性防錆助剤を含有させた防錆剤組成物と、該防錆剤組成物を熱可塑性樹脂に含有させてなる防錆剤樹脂組成物は知られている。
また、特許文献2に記載されるように、気化性防錆剤を含有したフィルムと直接接着するベース樹脂シートがサーマルラミネーションで接着され、かつ、気化性防錆剤含有樹脂フィルムが金属製品側となるように二次成形された多層シートからなる金属製品包装用容器も公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−308726号公報
【特許文献2】特開2007−230568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属製品等を収納するための防錆フィルムとして2層からなる積層シートを採用することによって、より長期間の防錆効果を発揮できるようにすることは可能であるが、例えば特許文献1に記載の発明により、気化性防錆剤と水溶性防錆剤を含有する樹脂層を有する防錆フィルムを使用すると、使用時における気化性防錆剤の発生を制御することが困難であり、結果的に、長期にわたる防錆剤の発生を持続させることが困難であった。
また特許文献2に記載するように、気化性防錆剤を含有するシートの片面に基材シートを積層することによって、防錆効果を長期にわたって発揮させることも知られていた。
しかしながら、これらのシートによっても長期にわたる防錆性を達成することはできず、現在でも、鋳鉄、鋼板及び亜鉛メッキ鋼板等の広範囲な物品に対して長期の防錆効果が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の手段で解決することができることを見出し、本発明をなすに至った。
1.平均粒径が20μm以上であるカルボン酸アンモニウム塩を含有する樹脂層1を有する樹脂成形体。
2.樹脂層1は、カルボン酸金属塩を含有する1に記載の樹脂成形体。
3.樹脂層1は、カルボン酸、ベンゾトリアゾール系化合物、及びトリルトリアゾール系化合物の1種以上を含有する1又は2に記載の樹脂成形体。
4.さらに基材層が積層されている1〜3のいずれかに記載の樹脂成形体。
5.基材層が亜硝酸金属塩、カルボン酸、ベンゾトリアゾール系化合物、トリルトリアゾール系化合物、及びカルボン酸金属塩の1種以上を含有する4に記載の樹脂成形体。
6.樹脂成形体がシート状物又は袋状物である1〜5のいずれかに記載の樹脂成形体。
【発明の効果】
【0006】
本発明の特定の粒径を有するカルボン酸アンモニウム塩を含有する樹脂成形体によると、少なくとも一部をこの成形体から構成してなる容器又はシート状物、袋状物は、内容物に発錆する可能性がある金属製品等の製品を収納する、又は製品と一緒に梱包されることにより、より長期間にわたって防錆効果を維持することができる。そのため、金属製品を輸送・保管等する際に錆の発生をより長期にわたり確実に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は樹脂層1を含む樹脂成形体であり、さらに樹脂層2を設けても良く、また場合に応じて基材層を設けることもできる発明である。
以下に、本発明の形態を説明する。
(カルボン酸アンモニウム塩)
本発明中のカルボン酸アンモニウム塩としては、脂肪族カルボン酸アンモニウム塩及び芳香族カルボン酸アンモニウム塩のいずれでも良い。
使用できるカルボン酸アンモニウム塩としては、酪酸、イソ酪酸、メタクリル酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ソルビン酸、オレイン酸、オレイル酸、イソヘキサン酸、2−メチルペンタン酸、2−エチルブタン酸、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、2−プロピルヘプタン酸、イソウンデカン酸、イソドデカン酸、2−ブチルオクタン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二カルボン酸、ドデカン二酸等の脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩や、安息香酸、アミノ安息香酸、サリチル酸、p-tert-ブチル安息香酸、o-スルホ安息香酸、1-ナフトエ酸、2-ナフトエ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ケイ皮酸等の芳香族カルボン酸のアンモニウム塩から、1種以上を採用できる。
本発明において、特に樹脂層1のみの成形体とする場合には、脂肪族カルボン酸アンモニウム塩よりも芳香族カルボン酸アンモニウム塩を採用するほうが、長期の防錆性を発揮させる点において好ましい場合がある。
また、脂肪族カルボン酸アンモニウム塩は樹脂成形体表面にブリードアウトすることで製品外観を悪化させやすいものがあるため、芳香族カルボン酸アンモニウム塩を採用する方が、製品外観上好ましい。
【0008】
カルボン酸アンモニウム塩の含有量としては、含有される樹脂層100重量部中0.01〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜9重量部であり、より好ましくは0.2〜6重量部である。0.01重量部未満であると十分な防錆性を発揮させることが困難であり、10重量部を超えると成形加工が困難になる。
カルボン酸アンモニウム塩は粒子状の形状で樹脂層1に含有されており、その平均粒径は20μm以上であり、好ましくは20〜400μm、より好ましくは20〜200μm、さらに好ましくは20〜100μmである。なお、この平均粒径は樹脂層に含有されるカルボン酸アンモニウム塩の粒子のうち、その長径が10μm以下の粒子を除いた粒子を基にして、その長径を基に求めた平均粒径である。これは、微細な粒子は長期の防錆性の維持に大きくは寄与しない可能性があることを理由とし、その微細な粒子が少ないこと、また一定の範囲の粒子径の粒子が多く含有されていることを意味している。
さらに樹脂層1に含有されるカルボン酸アンモニウム塩の最大粒径は、好ましくは5000μm以下であり、さらに好ましくは3000μm以下、より好ましくは500μm以下である。カルボン酸アンモニウム塩の粒径が5000μmを超えると、樹脂成形体の強度低下や粒子の脱落等による金属製品への汚染のおそれがある。最大粒径は粒子1000個の粒径の測定値のうち最大の粒径である。
この範囲の平均粒径及び/又は最大粒径であると、樹脂層1の表面にカルボン酸アンモニウム塩の粒子が、樹脂に覆われた状態での凸部が形成される。このような凸部の存在によって、防錆のためのガスをより多く発生させることができ、防錆性の向上に寄与できることになる。また、このようなフィルム表面の凸部により防錆対象の物品等に対する密着防止の効果があり、かつ防錆対象の物品にカルボン酸アンモニウム塩の粒子が直に接触して、防錆対象の物品の表面を汚染することを防止できる。
但し、樹脂層を構成する樹脂にカルボン酸アンモニウム塩の粒子を配合し、樹脂を溶融・混練し、例えばシート状等に成形する一連の工程を経ることによって、配合前のカルボン酸アンモニウム塩の粉は、粉砕されて平均粒径が小さくなることがある。このため、本発明における上記平均粒径は、樹脂層1を形成した後に、樹脂層1に含有されるカルボン酸アンモニウム塩に関する値である。
この特定の粒子径を持つカルボン酸アンモニウム塩を含有することにより、発生する防錆ガスの量を制御することにより、防錆効果を長期にわたって安定的に維持できる。
【0009】
(カルボン酸金属塩)
本発明中のカルボン酸金属塩としては、脂肪族カルボン酸金属塩及び芳香族カルボン酸金属塩のいずれでも良い。
これらのカルボン酸金属塩としては、イソ酪酸、メタクリル酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ソルビン酸、オレイン酸、オレイル酸、イソヘキサン酸、2−メチルペンタン酸、2−エチルブタン酸、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、2−プロピルヘプタン酸、イソウンデカン酸、イソドデカン酸、2−ブチルオクタン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二カルボン酸、ドデカン二酸等の脂肪族カルボン酸や、安息香酸、アミノ安息香酸、サリチル酸、p-tert-ブチル安息香酸、o-スルホ安息香酸、1-ナフトエ酸、2-ナフトエ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ケイ皮酸等の芳香族カルボン酸のナトリウム塩、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の金属塩から、1種以上を採用できる。
【0010】
カルボン酸金属塩の含有量としては、含有される樹脂層100重量部中0.001〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは0.01〜5重量部である。0.001重量部未満であると十分な防錆性を発揮させることが困難であり、10重量部を超えると成形加工が困難になるだけでなく、長期的な防錆性を発揮させることが困難になる。
【0011】
(カルボン酸)
本発明中のカルボン酸としては、脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸のいずれでも良い。
これらのカルボン酸としては、イソ酪酸、メタクリル酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ソルビン酸、オレイン酸、オレイル酸、イソヘキサン酸、2−メチルペンタン酸、2−エチルブタン酸、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、2−プロピルヘプタン酸、イソウンデカン酸、イソドデカン酸、2−ブチルオクタン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二カルボン酸、ドデカン二酸等の脂肪族カルボン酸や、安息香酸、アミノ安息香酸、サリチル酸、p-tert-ブチル安息香酸、o-スルホ安息香酸、1-ナフトエ酸、2-ナフトエ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ケイ皮酸等の芳香族カルボン酸から、1種以上を採用できる。
これらカルボン酸の含有量としては、含有される樹脂層100重量部中0.001〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは0.01〜5重量部である。0.001重量部未満であると防錆性をさらに向上させることが困難であり、10重量部を超えると成形加工が困難になるだけでなく、長期的な防錆性を発揮させることが困難になる。
【0012】
(ベンゾトリアゾール系化合物及びトリルトリアゾール系化合物)
本発明中のベンゾトリアゾール系化合物及びトリルトリアゾール系化合物としては、ベンゾトリアゾール、4−メチルベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール等から選ばれた1種以上を採用することができる。
これらベンゾトリアゾール系化合物及びトリルトリアゾール系化合物の含有量としては、含有される樹脂層100重量部中0.001〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは0.01〜5重量部である。0.001重量部未満であると長期の防錆性をさらに向上させることが困難であり、10重量部を超えると成形加工が困難になるだけでなく、長期的な防錆性を発揮させることが困難になる。
【0013】
(亜硝酸金属塩)
本発明中の亜硝酸金属塩としては、亜硝酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等から選ばれた1種以上を採用することができる。
これら亜硝酸金属塩の含有量としては、含有される樹脂層100重量部中0.001〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは0.01〜5重量部である。0.001重量部未満であると防錆性をさらに向上させることが困難であり、10重量部を超えると成形加工が困難になるだけでなく、長期的な防錆性を発揮させることが困難になる。
【0014】
(樹脂層1及び2)
樹脂層1及び2の各層を構成する樹脂としては、各層が独立して、ポリオレフィン系重合体、つまり、オレフィンの単独重合体、及び/又は、オレフィンを単量体として用いた共重合体から選ばれた1種以上を選択して使用することができる。
ポリオレフィン系重合体を構成するオレフィン(オレフィン単量体)としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。従って、ポリオレフィン系重合体としては、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、1−ブテン系重合体、1−ヘキセン系重合体、4−メチル−1−ペンテン系重合体等が挙げられる。これら重合体は1種のみで用いてもよく、2種以上を併用してもよい。すなわち、ポリオレフィン系重合体は各種の重合体の混合物であっても良い。
上記のうち、エチレン系重合体としては、エチレン単独重合体(ポリエチレン)、及び、エチレンと他の単量体との共重合体(エチレン共重合体)が挙げられる。エチレン単独重合体としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
また、エチレン共重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体等が挙げられる。
なお、エチレン共重合体に含まれるエチレン単位(エチレンに由来する構成単位)は、全構成単位数のうち50%よりも大きければよいが(通常99.999%以下)、例えば、全構成単位数のうち80〜99.999%とすることができ、また90〜99.995%とすることができ、さらには99.0〜99.990%とすることができる。
また、プロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体(ポリプロピレン)、及び、プロピレンと他の単量体との共重合体(プロピレン共重合体)が挙げられる。プロピレン共重合体としては、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ペンテン共重合体、プロピレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる。
なお、プロピレン共重合体に含まれるプロピレン単位(プロピレンに由来する構成単位)は、全構成単位数のうち50%以上(通常99.999%以下)であればよいが、例えば、全構成単位数のうち80〜99.999%とすることができ、また90〜99.995%とすることができ、さらには99.0〜99.990%とすることができる。
また、ポリオレフィン系重合体には、本発明の目的を害しない範囲で、オレフィンを除く単量体に由来する構成単位を含んでもよい。オレフィン以外の単量体としては、不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸等)、不飽和カルボン酸エステル(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等)、ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、フマル酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル等)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
なお、ポリオレフィン系重合体に含まれるオレフィン以外の単量体に由来する構成単位は、含まれるとしても全構成単位数のうち40%以下(通常0.001%以上)が好ましい。例えば、全構成単位数のうち0.001〜25%とすることができ、また0.005〜15%とすることができ、さらには0.01〜10%とすることができる。
ポリオレフィン系樹脂の密度としては加工性の観点から0.880〜0.950g/cmが好ましい。また、機械強度や加工性の観点から、メルトフローレート値(MFR)は1.0〜10.0g/10minの範囲が好ましく、溶融加工時に適度な粘度を持つことにより、粒子状のカルボン酸アンモニウム塩を樹脂中に包含及び被覆することが可能となり、樹脂成形体から防錆剤が脱落することを防ぐことが可能となる。
また、本発明の効果を妨げない範囲において、アンチブロッキング剤(AB剤)、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、加工性改良剤等の樹脂に添加される公知の添加剤を樹脂層1及び2に添加することができる。
なお、防錆剤を樹脂層中に保持させることを目的として、アイオノマー樹脂や官能基含有ポリオレフィン樹脂を樹脂層1や樹脂層2に配合しなくても、本発明によれば十分に長期の防錆性を発揮できる。
また樹脂層1及び2の厚みは独立して30〜500μmであり、さらに30〜200μmが好ましい。
【0015】
理由は不明であり、防錆される金属の種類によっても異なるが、本発明はカルボン酸アンモニウム塩のみを含有する樹脂層1のみからなる成形体であっても、一応の長期の防錆性を有するが、さらにカルボン酸金属塩、カルボン酸、ベンゾトリアゾール系化合物及びトリルトリアゾール系化合物の1種以上を同時に含有させることによって、より長期の防錆性に優れる成形体を得ることができる。
またカルボン酸アンモニウム塩を含有する樹脂層1と、脂肪族カルボン酸金属塩、亜硝酸金属塩、カルボン酸、ベンゾトリアゾール系化合物、及びトリルトリアゾール系化合物の1種以上を含有する樹脂層2を積層させることによって、さらに長期にわたる防錆性を向上させることができる。
詳細なメカニズムは定かではないが、カルボン酸アンモニウム塩の粒径を特定の範囲にすることで、フィルム表面に凸が形成され、それにより長期的な防錆効果を発現していると考えられる。
【0016】
(基材層)
本発明の樹脂成形体には、樹脂層1及び/又は樹脂層2側の表面にさらに基材層を設けることができる。
基材層は、本発明の成形体に強度を付与すること、ガスバリア性や水蒸気バリア性を付与すること、また触感や美観を向上させること等を目的に設けられる。基材層を構成する材料としては、樹脂層1及び2からなる防錆効果を阻害しない材料を採用することができ、樹脂層1や樹脂層2を構成する樹脂との密着性に優れた材料であることが好ましい。そのため、基材層を構成する材料としては、上記の樹脂層1及び樹脂層2に使用できる樹脂、樹脂層1や樹脂層2との密着性に優れる樹脂、それに加えて織布、不織布、紙を採用することができる。
樹脂を採用する場合において、樹脂層に含有される添加剤としては、公知の各種の添加剤を含有させることができる。また、樹脂層としては多孔性でもよく、多孔性でなくてもよい。
そのような樹脂による基材層の成形方法としては、樹脂層1及び/又は樹脂層2を成形する際に同時に成形してもよく、樹脂層1や樹脂層2とは別に成形しておき、その後に公知の手段によって積層させる方法を採用できる。
【0017】
(樹脂層1を有する樹脂成形体の製造及び使用)
樹脂層1を有する樹脂成形体は、押出、インフレーション、真空成形、加圧成形等の公知の手段により成形され、フィルム、シート状物、袋状物、また積層されたシート状物、筒や箱状の任意の形状を有することができる。そして樹脂層1側の面が容器又は包装用シートの内側、つまり収納や梱包されて防錆されるべき物品側に位置されるようにして使用されても良く、その逆に樹脂層2を設ける場合にはその樹脂層2側の面が容器又は包装用シートの内側、つまり収納や梱包されて防錆されるべき物品側に位置されるようにして使用されても良い。
但し、本発明はカルボン酸アンモニウム塩の平均粒径が特定の範囲である。しかしながら、カルボン酸アンモニウム塩は樹脂に添加され混練される間、及び成形加工される工程において粉砕されて平均粒径が小さくなる性質を有することがあるので、成形後において、本発明にて規定される特定の平均粒径を備えるように注意する必要がある。
この特定の粒子径を持つカルボン酸アンモニウム塩を含有することにより、発生する防錆ガスの量を制御し、結果、防錆効果を長期にわたって安定的に維持できる。
さらに2層の樹脂層を採用することによって、樹脂層2又は1表面から内部に向けて湿気が少しずつ浸透するので、発生する防錆ガスも少しずつであるために、カルボン酸変性ポリオレフィン系ポリマー、ワックス類、ノニオン系界面活性剤、無機多孔体等の防錆徐放剤を添加しなくても、高い防錆効果を長期にわたってより安定的に維持できる。
また、防錆すべき対象の物品としては、鋳鉄、鋼板及び亜鉛メッキ鋼板等の広範囲のものを対象とすることができる。
【実施例】
【0018】
以下に示す実施例及び比較例により、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例は本発明の1形態を示すものであり本発明はこれに限定されるものではない。
低密度ポリチレン〔住友化学(株)製、スミカセンF200、密度=0.924g/cm、MFR=2.0g/10分〕100重量部に対して表1に示す防錆成分を添加、ハンドブレンドで攪拌混合し、成形用コンパウンドをそれぞれ調整した。これらのコンパウンドをインフレーション押出成形機により150℃の成形温度でチューブ状フィルムを作製した。実施例1〜11及び比較例1〜9については単層機にて、実施例12〜17については2層機にて、2つの層の厚さが同じ厚さとなるように成形した。
【0019】
◎ 防錆試験
A.〔防錆フィルムの防錆試験〕
タテ100mm×ヨコ100mm×高さ150mmの枠組内に下記〔C〕の試験片をナイロン製の釣糸で吊し、作製したフィルムで枠組みをガゼットシールし密封した。
この試験形態を下記〔B〕の試験環境下、指定期間置いた後、表面の錆の発錆状態を下記〔D〕の評価法に基づき評価した。
【0020】
B.〔試験環境〕
25℃、70%RH:4時間
50℃、95%RH:4時間
設定移動時間:2時間、計12時間/1サイクル
評価
中期効果:3日間(6サイクル)
長期効果:7、14日間(14、28サイクル)
【0021】
C.〔試験片〕
鋳鉄 (JIS G 5501) サイズ:φ30mm×8mm
鋼板 (JIS G 3141) サイズ:1.2mm×30mm×50mm
亜鉛メッキ鋼板( JIS H 8610) サイズ:1.4mm×30mm×50mm
【0022】
D.〔防錆評価基準〕
◎ : 錆、変色なし
○ : 点錆、わずかな変色発生
△ : 試験片の面積の10%未満に錆、又は変色発生
× : 試験片の面積の10〜50%未満に錆、又は変色発生
××: 試験片の面積の50%以上に錆又は変色発生
【0023】
〔カルボン酸アンモニウム塩の平均粒径測定条件〕
樹脂層1を実体顕微鏡LEICA DFC295を用いて写真に撮り、そのデータに基づいて測定した。
なお、粒径が10μm以下の粒子は測定対象にしなかったので、本発明でいう平均粒径とは粒子の長径が10μmを超える粒子1000個を母集団として下記の式で求めた値である。
平均粒径=(10μmを超える粒の長径の合計)/ 粒子の個数
【0024】
【表1】
【0025】
実施例1〜11は樹脂層1のみからなる成形体の例であり、実施例12〜17は樹脂層1(厚み50μm)と樹脂層2(厚み50μm)を積層させて合計の厚みが100μmである成形体の例である。
実施例1〜17の結果によれば、カルボン酸アンモニウム塩の平均粒径が20μm以上である場合には、鋳鉄、鋼板及び亜鉛メッキ鋼板のいずれに対しても、中期(3日)では十分な防錆性を発揮できた。そして実施例4のように、樹脂層1の100重量部中に安息香酸アンモニウムを6重量部配合した場合、及び実施例8の結果からわかるように、樹脂層1の厚さが200μmの場合には、鋳鉄や亜鉛メッキ鋼板においてさらに長期(7日間)の防錆性を発揮できた。
実施例2と樹脂層1の組成が共通する樹脂層の厚みを50μmとし、さらに樹脂層2を設けた実施例12によれば、より長期の防錆性に優れた。
さらに、樹脂層2としてセバシン酸ナトリウムと亜硝酸ナトリウムを併用すると、鋳鉄、鋼板及び亜鉛メッキ鋼板のいずれに対しても長期にわたり優れた防錆性を得た。
【国際調査報告】