(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2018083967
(43)【国際公開日】20180511
【発行日】20190919
(54)【発明の名称】電気集塵機
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/10 20060101AFI20190823BHJP
   B03C 3/40 20060101ALI20190823BHJP
   B03C 3/41 20060101ALI20190823BHJP
   B03C 3/47 20060101ALI20190823BHJP
   B03C 3/74 20060101ALI20190823BHJP
   B03C 3/66 20060101ALI20190823BHJP
   B03C 3/70 20060101ALI20190823BHJP
   B03C 3/82 20060101ALI20190823BHJP
【FI】
   !B03C3/10 Z
   !B03C3/40 A
   !B03C3/41 C
   !B03C3/47
   !B03C3/74 Z
   !B03C3/66
   !B03C3/70 Z
   !B03C3/82
   !B03C3/41 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】2018548607
(21)【国際出願番号】JP2017037466
(22)【国際出願日】20171017
(31)【優先権主張番号】2016216853
(32)【優先日】20161107
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】591059445
【氏名又は名称】ホーコス株式会社
【住所又は居所】広島県福山市草戸町2丁目24番20号
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐介
【住所又は居所】広島県福山市駅家町法成寺1613番地50 ホーコス株式会社福山北事業所内
【テーマコード(参考)】
4D054
【Fターム(参考)】
4D054AA09
4D054BA01
4D054BA06
4D054BA15
4D054BB05
4D054BB26
4D054BC02
4D054BC28
4D054BC31
4D054BC33
4D054EA08
4D054EA18
4D054EA19
(57)【要約】
電気集塵機(1)は、側板(11、12)の間に集塵電極板(2)と荷電電極板(9)とが交互に配置された、含塵気流(P)から粉塵を捕集する電極ユニット(10)を収容する。電極ユニット(10)は、荷電電極板(9)をその上部でぶら下げ状態で保持する荷電軸(18)を具備している。荷電軸(18)は、側板(11、12)の上部位置に固定された絶縁部材(15)により、側板(11、12)に対して電気的絶縁を保った状態で支持されている。電気集塵機(1)の筐体(4)に設けられた開閉可能な天井扉(31)を開けることによって、電極ユニット(10)の上部に位置する絶縁部材(15)を、作業員が開口(36)から直接清掃することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口を有する筐体と、
粉塵を含んだ含塵気流を前記筐体内に吸い込む吸気口と、
前記吸気口から吸い込まれた含塵気流が流れる流路に設けられ、前記含塵気流中の粉塵を捕集する電極ユニットと、
粉塵が取り除かれた清浄気流を排出する排気口と、を備え、
前記電極ユニットは、前記筐体から取り外し可能であって、対向する一対の側板と、粉塵を捕集するとともに捕集した粉塵を回転による遠心力で分離する複数の集塵電極板と、前記集塵電極板のそれぞれと対向する複数の荷電電極板と、駆動モータの回転力を受けて前記集塵電極板を回転させる回転軸と、電源から前記荷電電極板へ電圧を印加するための荷電軸と、を有し、
前記集塵電極板と前記荷電電極板は、前記一対の側板間に、所定間隔を置いて交互に積層状に配置されており、
前記荷電軸は、前記荷電電極板をその上部においてぶら下げ状態で保持するとともに、絶縁部材によって前記側板に電気的絶縁状態で支持されており、
前記絶縁部材は、前記開口から目視可能でかつ清掃可能な、前記側板の上部位置に設けられていることを特徴とする電気集塵機。
【請求項2】
前記一対の側板の少なくとも一方と前記筐体との間に、ループ状のシール材が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の電気集塵機。
【請求項3】
前記側板の外側にあって、前記荷電電極板へ与えられる電圧を前記電源から受電する受電部と、
前記側板の外側にあって、前記駆動モータの回転力を前記回転軸へ伝達する連結体とを備え、
前記シール材は、前記受電部と前記連結体とを囲うように設けられ、前記受電部および前記連結体を、前記流路を流れる含塵気流に対してシールすることを特徴とする、請求項2に記載の電気集塵機。
【請求項4】
前記シール材は、前記側板の周縁に沿って一周するように設けられていることを特徴とする、請求項2または3に記載の電気集塵機。
【請求項5】
前記受電部は、前記側板の外側に露出した前記荷電軸の端部により構成されており、前記連結体は、マグネット式カップリングにより構成されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の電気集塵機。
【請求項6】
前記筐体は、前記開口を覆う開閉可能な扉を有することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の電気集塵機。
【請求項7】
前記筐体は、前記電極ユニットの前記絶縁部材に対して洗浄液やエアーを吹き付けるノズルを有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の電気集塵機。
【請求項8】
前記筐体は、前記電極ユニットを出し入れするための側面扉と、当該側面扉と対向する側壁とを有し、
前記電極ユニットは、前記一対の側板の一方と前記側面扉とが対向し、前記一対の側板の他方と前記側壁とが対向するように、前記流路に配置されており、
前記一対の側板と、前記筐体の天井と、前記筐体の床面とで囲まれた空間が、集塵室を形成しており、
前記集塵室において、前記集塵電極板と前記荷電電極板との間を前記含塵気流が流れることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の電気集塵機。
【請求項9】
前記電極ユニットが複数設けられ、
前記各電極ユニットが、前記集塵電極板および前記荷電電極板の積層方向に並んで、前記筐体に収容されていることを特徴とする、請求項1に記載の電気集塵機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロナ放電によって帯電した微粒子をクーロン力の作用によって捕集する電気集塵機に関し、特に工場等で発生する塵埃やヒューム、切削油等を用いた金属加工等により発生するオイルミストや油煙等(以下、これらを総称して「粉塵」という)を捕集する電気集塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
非常に微細な粒径を持つ粉塵を吸引して工場内の空気を清浄に保つ集塵機には、粉塵に荷電電極から発生させたコロナ放電によって電荷を与えて帯電させ、クーロン力を利用して対極となる集塵電極に粉塵を電気的に引寄せて捕集する電気集塵機が存在する。ごく微細な粉塵をフィルタで捕集しようとすると、高性能のフィルタ(例えばHEPAフィルタ)が必要とされるが、このようなフィルタはすぐに目詰まりが発生して頻繁に交換しなければならないため、電気集塵機は、ランニングコストの観点からして非常に優位である。
【0003】
しかし、電気集塵機は、集塵電極に付着し電荷を失った粉塵が堆積してくると、集塵電極からの粉塵の飛散が起こりやすい状態となり、また粉塵が荷電電極板に接近すると異常放電を起こしやすい状態となり、徐々に捕集効率が落ちてしまう。このため、集塵電極に堆積した粉塵を定期的に除去するメンテナンスが欠かせない。特に、ヒュームやオイルミストや油煙といった粘性の高い粉塵などは、装置を分解して集塵電極部を洗浄する必要があり、メンテナンスには非常な手間と時間と専門性を要する。
【0004】
そこで、例えば特許文献1に示される電気集塵機では、上流側に荷電電極部、下流側に集塵電極部を設け、それぞれの電極部をユニット化し、装置から電極を簡単に取り出すことができるようになっている。また、各電極部の集塵電極は、およそ1分間に1回程度の回転数で回転しており、集塵電極に付着した粉塵は、集塵電極に対して接するように配置された環状帯体が掻き取るようになっている。この掻き取り式の集塵電極を有する電気集塵機(以下、「掻き取り式電気集塵機」と称する)の場合、集塵電極の洗浄の頻度を一定程度低くすることができる。
【0005】
ところで通常、電気集塵機には荷電電極に高電圧が印加されているため、集塵電極が固定されている場合、あるいは特許文献1のように緩やかに回転する場合には、粉塵が堆積すると電極間でスパークが起きやすい。そしてスパークが連続で発生した場合には、火災などの危険性を考慮して、機械は強制的に停止するようになっている。
【0006】
一方、特許文献2には、集塵電極の回転速度を上げた電気集塵機が開示されている。この電気集塵機では、集塵電極を1分間におよそ200回程度の回転数で回転させるので(以下、この電気集塵機を「高速回転式電気集塵機」と称する)、電極間でスパークが発生してもすぐに断ち切られ、連続スパークは発生しにくくなる。そのため、高電圧を安定的に与えることが可能となり、放電量を維持できるため、捕集効率も高くなる。
【0007】
また、集塵電極が高速回転するため、粉塵は遠心力により振り切られるので、集塵電極に粉塵が堆積しにくくなり、洗浄の頻度を低くすることができる。
【0008】
さらに、高速回転式電気集塵機では、装置に設けられたノズルなどから水や洗剤を噴射して、集塵電極を洗浄することがある。高速回転式電気集塵機は、高速回転による遠心力で水や洗剤を振り切ることができるため、乾燥が早く、運転停止時間を短くできるというメリットがあることから、集塵電極の洗浄が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−262007号公報
【特許文献2】特開2008−142670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の掻き取り式電気集塵機では、電極部がユニット化されているため、電極部を筐体から取り出すことは簡単ではあるが、荷電電極である固定電極板に切り欠きを設け、さらに集塵電極板の一枚一枚に環状帯体が接するように設ける必要があることから、ユニットそのものの構造が複雑とならざるを得ない。また、荷電電極を中心部から外周にかけて一部切り欠いていることから、集塵電極との間で斥力が働く面積も小さくなり、捕集効率が下がるというデメリットもある。
【0011】
また、固定の荷電電極板には高電圧(+/−数千ボルト以上)が加わっており、これを接地電圧と分離するために、荷電電極板は絶縁部材である碍子を介して筐体内に配置されている。この碍子に粉塵が堆積すると、スパークが発生して火災になる危険があるため、掻き取り式電気集塵機では、碍子部分にも粉塵の堆積を防ぐべく、集塵電極の緩やかな回転を利用したカム式の掻き取り手段が設けられており、電極ユニットの構造はさらに複雑になっている。
【0012】
掻き取り式電気集塵機は、集塵電極の洗浄メンテナンスの頻度を一定程度下げることができ、さらに掻き取り手段によって碍子に粉塵が堆積するのをある程度は防ぐことができるものの、碍子に堆積した粉塵を完全に取り除くことは難しく、結局は電極ユニットを筐体から取り出して洗浄しなければならないのが実情である。
【0013】
一方、高速回転式電気集塵機では、遠心力による効果で集塵電極に粉塵が堆積しにくいため、洗浄メンテナンスが必要となる周期を長くすることができるものの、碍子部分については、高速回転の利点は及ばず、含塵気流に触れる期間は長くなる。しかるに、碍子部の粉塵を取り除くには、結局、装置を分解しなければ清掃はできないなど、メンテナンスのしやすさに難点があり、高速回転の利点を完全に生かしきれていない構造となっていた。
【0014】
高速回転式電気集塵機は、電極へ汚れは付きにくいとはいえ、徐々に汚れが堆積したり、磨耗や腐食などの経年劣化が起こったりした場合、作業者によるメンテナンスが必要となる。特許文献2の電気集塵機では、駆動部が本体に固定されている為、洗浄時には電極を一つずつ取外して洗浄する必要があり、洗浄のために運転を長時間停止させる必要が生じ、これが機械稼働率を下げる要因になっていた。
【0015】
そこで本発明は、上記実情に鑑み、捕集効率が高くシンプルな構造の電極ユニットを有し、装置を分解したり、電極ユニットを装置から取り出したりすることなく、簡単かつ確実に粉塵が堆積した絶縁部材を清掃でき、ユーザーにとってメンテナンスしやすい構造の電気集塵機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するため、本発明では、荷電電極板へ電圧を印加するための荷電軸が、荷電電極板をその上部においてぶら下げ状態で保持するとともに、絶縁部材によって電極ユニットの側板に電気的絶縁状態で支持されている。そして、絶縁部材は、電気集塵機の筐体上部の開口から目視可能でかつ清掃可能な、側板の上部位置に設けられている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電極ユニットの側板に支持された荷電軸に荷電電極板をぶら下げ状態で保持し、側板の上部にのみ、荷電軸を支持する絶縁部材を設け、筐体の上部開口から、側板の上部に位置する絶縁部材を直接、作業員の指で触れたり、清掃道具を使って清掃できるようにした。これにより、粉塵によって絶縁部材が汚れても、作業員は、装置を分解することなく、電極ユニットを取り出すこともなく、絶縁部材を直接清掃することができる。さらに、万一電極部に不具合が生じても、電極をユニットとして簡単に取り外してメンテナンスや交換ができるため、電気集塵機の保守を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】電気集塵機を示す図であり、図1Aは斜視図、図1Bは断面図である。
【図2】電気集塵機を側面から見た断面図であり、図2Aは電極ユニットを含めた断面図、図2Bは電極ユニットを取り除いた断面図である。
【図3】電気集塵機の分解図であり、図3Aは電極ユニットを取り出した様子を示す図、図3Bは側面扉の裏側を示す図である。
【図4】電極ユニットを示す図であり、図4Aは斜視図、図4Bは碍子周辺断面図である。
【図5】電気集塵機の天井扉を開けた状態を示す図であり、図5Aは表側から見た斜視図、図5Bは裏側から見た斜視図である。
【図6】電気集塵機の他の実施例を示す図である。
【図7】放電線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明においては、集塵電極板に捕集された粉塵を集塵電極板の回転による遠心力で分離する電気集塵機において、集塵電極板と荷電電極板を交互に配置する電極部のユニット化について検討を加えた。そして、電極部を、対向する一対の側板の間に集塵電極板と荷電電極板を一体化した電極ユニットとして構成し、この電極ユニットを電気集塵機の筐体から取り出せるようにした。また、荷電電極板を保持した荷電軸を支持する絶縁部材を、電極ユニットの側板上部に位置させることによって、筐体上部の開口から、絶縁部材の汚れを直接確認でき、清掃具で汚れを拭えるようにした。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、一対の側板の少なくとも一方と筐体との間に、ループ状のシール材が設けられる。このシール材を、荷電電極板へ与えられる電圧を受電する受電部と、駆動モータの回転力を回転軸へ伝達する連結体とを囲うように設けることで、流路を流れる含塵気流に対して受電部と連結体をシールすることができる。シール材は、側板の周縁に沿って一周するように設けてもよい。受電部は、例えば側板の外側に露出した荷電軸の端部により構成することができ、連結体は、例えばマグネット式カップリングにより構成することができる。
【0021】
電気集塵機の筐体は、上部に設けられた開口を覆う開閉可能な扉を有していてもよい。また、電気集塵機の筐体は、電極ユニットの絶縁部材に対して洗浄液やエアーを吹き付けるノズルを有していてもよい。このノズルにより、絶縁部材の汚れをすばやく取り除き、また、洗浄液が付着した絶縁部材をすばやく乾燥することができる。
【0022】
本発明の典型的な実施形態では、電気集塵機の筐体は、電極ユニットを出し入れするための側面扉と、当該側面扉と対向する側壁とを有している。電極ユニットは、一対の側板の一方と側面扉とが対向し、一対の側板の他方と側壁とが対向するように、流路に配置されている。そして、一対の側板と、筐体の天井と、筐体の床面とで囲まれた空間が、集塵室を形成しており、この集塵室において、集塵電極板と荷電電極板との間を含塵気流が流れる。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明による電気集塵機1の実施例について、図1を参照して説明する。本実施例による電気集塵機1は、箱型の筐体4と、マシニングセンタ(図示せず)などから排気ダクト(図示せず)を経由して粉塵を含む含塵気流Pを吸込む吸気口20と、粉塵が取り除かれて浄化された清浄空気Fを排出する排気口21とを有している。吸気口20から筐体4内に導入された含塵気流Pは、吸気口20と排気口21との間に形成された流路D(図1B)を矢印方向に流れる。筐体4の天井22は、2つの開閉可能な天井扉31と、中央の天板23とからなっている。筐体4内の流路Dには、電極ユニット10が設置されている。電極ユニット10は、粉塵を捕集する複数の集塵電極板2と、集塵電極板2のそれぞれと対向する複数の荷電電極板9とを備えており、これらの電極板2、9は、平行かつ等間隔で交互に積層状に配置されている。筐体4は、電極ユニット10を出し入れするための側面扉6を有している。電極ユニット10の下流側には、ファン8が配置されており、このファン8により筐体4内に気流を発生させて、強制的に排気を行う。
【0024】
図2Aは、電気集塵機1の側面断面図である。図2Aは集塵電極板2と荷電電極板9とが、手前側からみて互いに重なり合っている状態を示している。集塵電極板2は円板状プレートであり、回転軸13を中心として回転する。荷電電極板9は、荷電軸18に保持されていて、含塵気流Pが流れる上流側において、集塵電極板2の半径よりもやや小さい半径(回転軸13を中心とする)の円弧部を有しており、この円弧部の外周から放電ピン14が放射状に突出している。放電ピン14は、粉塵に電荷を印加する放電部を構成している。放電ピン14の先端は、集塵電極板2の外周縁と同じかそれより若干内側に位置している。荷電電極板9の円弧部における放電ピン14の配列方向は、集塵電極板2の外周縁に沿っている。天板23の直下には、ノズル27が設けられている。このノズル27は、荷電軸18を支持する絶縁部材15に対して洗浄液やエアーを吹き付けるノズルである。絶縁部材15は、絶縁性に優れ機械的強度の大きいセラミックなどの硬質磁器に釉薬(上薬)を塗布して焼成したもので、碍子状に形成されている。絶縁部材15として、市販の碍子を用いることもできる。この絶縁部材15に洗浄液やエアーを吹き付けることにより、絶縁部材15を洗浄することができ、また洗浄液が付着した絶縁部材15をすばやく乾燥することもできる。なお、ノズル27は天板23の直下に限らず、他の場所に設置することもできる。
【0025】
図2Bは電極ユニット10を筐体4から取り除いた状態を示している。図1Aに示した側面扉6と対向する筐体4の側壁5には、荷電電極板9に給電を行うための接触部37が設けられる。接触部37は、接触電極37aと、この接触電極37aの周囲に設けられた絶縁部材37bとからなる。絶縁部材37bは、前述の絶縁部材15と同様のもので、接触電極37aを側壁5に電気的絶縁状態で支持する。破線で示す24は、側壁5の外側にある駆動モータ35(図5B)からの回転力を、集塵電極板2の回転軸13に伝達する連結体としてのカップリングである。カップリング24としてマグネット式カップリングを用いることにより、カップリング24は、側壁5を貫通することなく、回転軸13へ動力を伝達することができる。
【0026】
図3Aは、電気集塵機1の側面扉6を取り外し、筐体4の開口部25を開いて電極ユニット10を取り出した様子を示している。図3Aから明らかなように、電極ユニット10は、一対の側板11、12(一般に金属製)を備えており、側板11と側壁5とが対向し、側板12と側面扉6とが対向するように筐体4内に収容されている。側面扉6を取り外すことにより、電極ユニット10を筐体4の開口部25から取り出すことができる。電極ユニット10の底部には一対の脚部17が設けられている。この脚部17は、筐体4側の床面3のやや上(図2参照)に設けられた一対の案内路7上を、図2において手前から電気集塵機1の側壁5側に摺動し、これによって電極ユニット10が筐体4内に挿入される。図3Aに示すように、電極ユニット10の側板12の周囲には、ループ状のシール材16が、側板12の周縁に沿って一周するように設けられている。また、開口部25の周囲にも、ループ状のシール材26が、開口部25の周縁に沿って一周するように設けられている。螺子6aは、側面扉6を筐体4に押しつけて固定する螺子である。図3Bは側面扉6の裏側を示している。電気集塵機1に電極ユニット10を挿入し、側面扉6を螺子6aで締めたときに、側面扉6の二点鎖線d2で示した位置に側板12のシール材16が押圧される。また、螺子6aにより、側面扉6の裏側において、筐体4側のシール材26が二点鎖線d3で示した位置に押付けられる。
【0027】
図1Bおよび図2Aに示すように、電極ユニット10においては、荷電軸18に、荷電電極板9がその上部でぶら下げ状態で保持されている。具体的には、図4Aに示すように、側板11、12の上部に絶縁部材15が固定されていて、この絶縁部材15により各荷電軸18(図4B参照)が支持され、かつ各荷電軸18と側板11、12との間の電気的絶縁がなされる。荷電軸18は、荷電電極板9の上部に間隔を置いて設けられた接続孔9a(図1B参照)を介して、荷電電極板9に荷電電位を与える。荷電軸18には、隣接する荷電電極板9の間および荷電電極板9と側板11、12との間に介在する、複数のスペーサ29が挿入されている。このスペーサ29によって、集塵電極板2を収容する空間が設けられている。荷電電極板9には、回転軸13を非接触に通過させる貫通孔9b(図1B参照)が開口されている。一方、荷電電極板9の下部では、支持棒30がスペーサ29を介して荷電電極板9同士を固定している。支持棒30およびスペーサ29によって、隣りあう荷電電極板9の間隔が維持される。支持棒30は荷電電極板9を安定的に保持する役割を有しており、側板11、12に接触していない。含塵気流Pに触れる絶縁部材15は、電極ユニット10の上部のみに設けられている。
【0028】
側板11、12には、軸受け19が設けられている。この軸受け19は、回転軸13を回転自在に受けている。回転軸13は、円板状の集塵電極板2の中央に設けられた図示しない接続孔を貫通している。回転軸13には、集塵電極板2同士の間に介在するスペーサ(図示せず)が挿入されており、このスペーサによって、集塵電極板2が荷電電極板9に接触しないようにするためのスペースが確保されている。含塵気流Pは、側板11と12の間を流れるようになっており、粉塵は集塵電極板2に捕集される。
【0029】
電極ユニット10の荷電軸18、回転軸13、および支持棒30の周辺構造を説明する。図4Bにおいて、絶縁部材15は、側板11、12を貫通しており、側板11、12に設けられた貫通孔11a、12aに埋め込み状態で固定されている。絶縁部材15が埋め込み状態で固定されていることにより、側板11、12の表裏で貫通孔11a、12aを通じて空気が行き来することは抑止されている。後述の高圧電源から荷電軸18へ荷電電位を給電する箇所は、1箇所でよい。本例では、図4AにおけるSで示した絶縁部材15の箇所で給電が行われる。このため、Sの箇所では、荷電軸18が側板11を貫通することが必須であるが、他の箇所では、荷電軸18が側板11、12を貫通することは必須ではなく、絶縁部材15によって荷電軸18が側板11、12に固定されていればよい。
【0030】
回転軸13は、側板11、12を貫通する図示しない孔に設けられた軸受け19により回転自在に軸支されている。回転軸13の一端は、側板11を貫通しており、側板11の外側では、駆動モータ35の動力を受けるため、カップリング13aが回転軸13に固定されている。本実施例においては、駆動モータ35の動力を集塵電極板2に伝達する連結体として、マグネット式のカップリング13aを用いたが、これに限定されることなく、スプライン軸やフレキシブルカップリングなどを用いてもよい。集塵電極板2は、駆動モータ35と連動して1分間に200回程度の回転数で回転する。
【0031】
図4Aに示すように、側板11は、図3Aで示した側板12と同様に、その周縁に沿って一周するループ状のシール材16を有している。側壁5の接触電極37a(図2B)から荷電電位を受電するため、Sの位置にある絶縁部材15で絶縁された荷電軸18の端部を、図4Bに示すように、受電部18aとして側板11の外側に露出させる必要がある。さらに、駆動モータ35から集塵電極板2の回転力を受けるため、図4Aに示すように、連結体13aを側板11の外側に露出させる必要がある。電気集塵機1の筐体4に電極ユニット10を収容し、螺子6aで側面扉6を締めたときに、電極ユニット10の側板11と筐体4の側壁5とが対向し、側板11の周縁に沿って一周するシール材16が、筐体4の側壁5に押圧される。図2Bにおいて、シール材16が押しつけられる側壁5の箇所を二点鎖線d1で示した。これにより、側壁5と側板11とシール材16とで取り囲まれたシール空間が形成される。シール材16が一周して取り囲むこのシール空間によって、受電および動力伝達の行われる箇所が、含塵気流Pの流れる空間からシールされ、汚染空気Pにより汚染されるのを抑制できる。また、側面扉6と側板12とシール材16とで取り囲まれた空間も、含塵気流Pの流れる空間からシールされたシール空間となっている。
【0032】
このように、含塵気流Pの流路Dに設置される電極ユニット10の側板11、12の外側は、シール材16によって含塵気流Pにさらされることがなく、側板11、12の内側は、含塵気流Pにさらされる集塵室42(図5参照)となっている。集塵室42は、側板11、12と、筐体4の天井22(図1参照)と、筐体4の床面3(図1参照)とで囲まれた空間であり、この集塵室42において、集塵電極板2と荷電電極板9との間を含塵気流Pが流れる。
【0033】
図5は、天井扉31を開けた状態を示す図である。天井扉31は、吸気口20側と排気口21側に2枚設けられている。いずれの天井扉31も、一対のレール32、32に沿ってスライド可能であり、固定具33により筐体4に固定される。天井扉31をスライドさせると、筐体4に設けられた開口36が開く。開口36は、筐体4内に収容された電極ユニット10の集塵室42内の絶縁部材15に触れることのできる十分な広さを有する。開口36が開くと、電気集塵機1に収容された電極ユニット10の側板11、12に挟まれた集塵電極板2および荷電電極板9を外側から望むことができる。含塵気流Pにさらされる側板11、12の内側に露出した絶縁部材15の直上を覆うような構造物が、電気集塵機1側にも電極ユニット10側にも無いため、開口36を介して、作業員がウエスやブラシなどの清掃具を挿入して絶縁部材15の表面を直接拭うことができる。含塵気流Pにさらされる側の絶縁部材15の形状については、円板状のような単調な形状である方が、清掃がしやすいので望ましい。
【0034】
2枚の天井扉31をスライドさせて開口36を開くことにより、電極ユニット10の4箇所の絶縁部材15を全て清掃することができる。尚、図5Bにおいて、35は集塵電極板2に回転力を与える駆動モータである。また、34は荷電電極板9に荷電電位を与えるためのリード線であって、高圧電源40と受電部18a(図4B)とを電気的に接続している。筐体4自体は接地され、集塵電極板2も接地されている。
【0035】
次に、本実施例の電気集塵機1の動作について説明する。
駆動モータ35を駆動することにより、集塵電極板2を回転させる。また、ファン8の回転により、吸気口20から筐体4内へ流入した含塵気流Pが、集塵電極板2と荷電電極板9の間を移動する。荷電電極板9の放電ピン14の先端から発生したコロナ放電によって、含塵気流Pに含まれる粉塵がマイナスあるいはプラスに帯電する。集塵電極板2と荷電電極板9が対向することにより、これらの間に電界が形成されており、帯電した粉塵は、接地側の集塵電極板2に引寄せられて捕集される。
【0036】
集塵電極板2が高速で回転するため、集塵電極板2上に付着した粉塵は遠心力によって振り切られる。このため、集塵電極板2上には粉塵が堆積しにくく、洗浄などのメンテナンス周期を長くすることができる。一方、集塵室42内の絶縁部材15は、メンテナンス頻度が減少したことで、含塵気流Pにさらされる期間が長くなるため、集塵電極板2よりも洗浄が必要となる周期は短い。しかし、一対の側板11、12の上部に渡した2本の荷電軸18に荷電電極板9をぶら下げ状態で保持する構造により、荷電軸18を支持する絶縁部材15もまた、電極ユニット10の上部にのみ存在することとなる。したがって、電気集塵機1の筐体4に設けた開口36から、集塵室42内の、含塵気流Pにさらされる絶縁部材15を作業員がウエスやブラシで直接拭えるため、わざわざ電極ユニット10を筐体4から取り外す必要が無く、保守を手軽に行える。また、定期的なメーカなどの専門家によるメンテナンス周期を長くすることができる。
【0037】
また、側面扉6をはずすだけで、集塵電極板2や荷電電極板9を電極ユニット10ごと簡単に取り外すことができるので、交換作業は極めて容易である。このため、例えば、工場などにおいて電気集塵機1の連続稼働が必要な環境の下では、電極ユニット10を新しい電極ユニット10と交換するだけで、すぐに運転を開始することができ、運転停止時間を極めて短くできる。
【0038】
また、掻き取り式電気集塵機と異なり、集塵電極板2と荷電電極板9との重なりあう部分に切り欠きなどがないため、電極板間での斥力が途切れる場所がなく、捕集効率もより高くなる。
【0039】
また、開口36が十分に広く開いていることから、高圧洗浄機を使って絶縁部材15や集塵電極板2を洗浄することもできる。洗浄後、集塵電極板2を高速回転させることで、乾燥も早く運転停止時間を短くすることができる。
【実施例2】
【0040】
図6は、電極ユニット10Aを2つ収容した電気集塵機100を示している。各電極ユニット10Aは、集塵電極板2および荷電電極板9の積層方向に並んで、筐体4に収容される。電極ユニット10Aの側板11A、12Aは長方形状であり、実施例1の電極ユニット10の側板11、12とは若干外形が異なるが、荷電電極板9、集塵電極板2、およびその他の構造は、実施例1と同じである。図の左側の電極ユニット10Aの側板12Aと、右側の電極ユニット10Aの側板11Aとを重ねあわせたときに、夫々の荷電軸18(図4B参照)を電気的に接続する接触子41が設けられている。また、左側の電極ユニット10Aの側板12Aと、右側の電極ユニット10Aの側板11Aとを重ねあわせたときに、夫々の回転軸13間で回転力を伝達する連結体(図示せず)が設けられている。
【0041】
2つの電極ユニット10Aを隣接して配置し、夫々の対向する側板11A、12Aを互いに重ねあわせたときに、側板間にあるシール材16がシール空間を形成する(なお、図6では左側の電極ユニット10Aの側板12Aにシール材16が設けられているため、右側の電極ユニット10Aの側板11Aのシール材はなくてもよい)。このシール空間内に、各電極ユニット10Aの荷電軸18を電気的に接続する接触子41や、各電極ユニット10Aの回転軸13間で回転力を伝達する連結体(図示せず)を収容し、これらを汚染空気からシールする。この実施例2によれば、2つの電極ユニット10Aを隣接配置することで、電極ユニットそのものを大きくすることなく、風量の大きな電気集塵機を必要とする需要に対応することができる。また、開口36(図5参照)は、筐体4の幅に匹敵する広さを有しているので、電極ユニット10Aの集塵室内の全ての絶縁部材15を、作業員が直接清掃できる。
【0042】
本発明では、上述した以外にも、以下のような種々の実施例を採用することができる。
【0043】
図4においては、電極ユニット10の側板11に、受電部18aと連結体13aを取り囲む単一のシール材16を設けたが、受電部18aと連結体13aを別々に取り囲む2つのシール材16を設けてもよい。
【0044】
上記実施例1、2においては、絶縁部材15としてセラミックを例に挙げたが、セラミックの替わりにガラスや合成樹脂などで絶縁部材15を形成してもよい。つまり、絶縁部材15は、絶縁性に優れ機械的強度の大きい材質であればよく、その形状も、碍子状以外の形状であってもよい。また、架電軸18の端部に、例えば円筒状の樹脂部材を装着し、あるいは樹脂を一体成形して、これらの樹脂部分を絶縁部材としてもよい。
【0045】
上記実施例1、2において、放電部は放電ピン14の他に、のこぎり刃のような尖端を有した部材でもよく、図7に示すような、放電線14´であってもよい。また、荷電電極板9と放電部とを別体にすることもできる。
【0046】
上記実施例1、2においては、シール材16が側板11、12側に設けられているが、シール材16は側壁5や側面扉6の内側に設けても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 電気集塵機
2 集塵電極板
3 床面
4 筐体
5 側壁
6 側面扉
9 荷電電極板
10 電極ユニット
11、12 側板
13 回転軸
15 絶縁部材
16 シール材
18 荷電軸
18a 受電部
20 吸気口
21 排気口
22 天井
13a、24 カップリング(連結体)
26 シール材
27 ノズル
31 天井扉
35 駆動モータ
36 開口
42 集塵室
D 流路
P 含塵気流
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【国際調査報告】