(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2018116800
(43)【国際公開日】20180628
【発行日】20191024
(54)【発明の名称】積層体、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20190927BHJP
   B32B 9/04 20060101ALI20190927BHJP
   B32B 27/26 20060101ALI20190927BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20190927BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20190927BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20190927BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20190927BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20190927BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20190927BHJP
   C09D 11/30 20140101ALN20190927BHJP
【FI】
   !B32B9/00 Z
   !B32B9/04
   !B32B27/26
   !B32B27/30 A
   !B32B27/20 Z
   !C09D201/00
   !C09D133/00
   !C09D7/63
   !B41J2/01 501
   !B41J2/01 129
   !C09D11/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
【出願番号】2018557647
(21)【国際出願番号】JP2017043476
(22)【国際出願日】20171204
(31)【優先権主張番号】2016247839
(32)【優先日】20161221
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番2号
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100155620
【弁理士】
【氏名又は名称】木曽 孝
(72)【発明者】
【氏名】中林 亮
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 コニカミノルタ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】大柴 武雄
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 コニカミノルタ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】三輪 英也
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 コニカミノルタ株式会社内
【テーマコード(参考)】
2C056
4F100
4J038
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056FC01
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4J039EA34
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4J039GA24
(57)【要約】
長期に亘って、金属光沢層が劣化し難く、かつ簡便な方法で形成された積層体、およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、積層体は、金属光沢層と、前記金属光沢層の少なくとも一方の面に配置された、ゲル化剤を含む保護層と、を有する。前記ゲル化剤は、脂肪族ケトン化合物、脂肪族エステル化合物、高級脂肪酸、高級アルコール、および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる、少なくとも一種の化合物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属光沢層と、前記金属光沢層の少なくとも一方の面に配置された、ゲル化剤を含む保護層と、を有し、
前記ゲル化剤が、脂肪族ケトン化合物、脂肪族エステル化合物、高級脂肪酸、高級アルコール、および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる、少なくとも一種の化合物である、積層体。
【請求項2】
前記ゲル化剤の含有量が、前記保護層の全質量に対して1〜10質量%である、
請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記保護層が、樹脂を含む、
請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
前記保護層が、(メタ)アクリル樹脂を含む、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
前記保護層が、色材を含む、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記金属光沢層が、銀または銅を含む、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
前記金属光沢層が、金属ナノ粒子を含む、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
金属光沢層と、前記金属光沢層の少なくとも一方の面に配置された、ゲル化剤を含む保護層と、を有する積層体の製造方法であって、
金属光沢層を準備する工程と、
ゲル化剤を含む保護層形成用組成物をインクジェット法により塗布し、前記保護層を形成する工程と、
を有し、
前記ゲル化剤が、脂肪族ケトン化合物、脂肪族エステル化合物、高級脂肪酸、高級アルコール、および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる、少なくとも一種の化合物である、積層体の製造方法。
【請求項9】
前記保護層形成用組成物は、光重合性化合物を含み、
前記保護層を形成する工程は、塗布された前記保護層形成用組成物に活性光線を照射する工程を含む、
請求項8に記載の積層体の製造方法。
【請求項10】
前記光重合性化合物は、(メタ)アクリレートを含む、
請求項9に記載の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ラベル、パッケージ、広告印刷物や写真等の記録物において、金属光沢調の印刷の需要が高まっている。金属光沢調の印刷技術として、従来はオフセット印刷、グラビア印刷、またはスクリーン印刷等のアナログ印刷が用いられてきた。これに対し、より微細な画像を形成でき、デジタル印刷が可能なインクジェット方式の技術開発が進められている。例えば、金属ナノ粒子をインクジェット法で塗布することにより、金属光沢色を発する画像を記録することが検討されている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、銀ナノ粒子を用いて金属光沢層を形成した場合、空気中への曝露により、銀ナノ粒子が、酸化、硫化、もしくは塩化されやすく、経時で金属光沢層が劣化(変色)する、との課題があった。このような金属光沢層の安定性を向上させるために以下の手法が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献2には、銀膜上に、ストレートシリコーン樹脂を含む保護層を形成し、銀膜を保護する手法が開示されている。また、特許文献3には、銀めっき上に、粘土鉱物および樹脂を含む保護層を形成する手法が開示されている。
【0005】
一方、特許文献4には、銀顔料層を紫外線や水分等から保護するため、金属層上に、パラフィンワックス等を含む保護層を形成する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−134935号公報
【特許文献2】特開2008−007557号公報
【特許文献3】国際公開第2014/014025号
【特許文献4】特開2013−95081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2および4の保護層は、ガスバリア性が十分でない。そのため、長期の使用によって、金属光沢層(銀膜や銀顔料層)中の金属が酸化、硫化、もしくは塩化されやすく、金属光沢感が失われやすかった。
【0008】
一方、特許文献3の保護層は、比較的ガスバリア性が高い。その理由は、以下の通りである。粘土鉱物は、保護層形成用組成物中で、膨潤・分離・架橋して三次元的な構造体を形成する。銀めっきを覆う保護層中にこのような構造体が含まれると、外気に含まれる金属腐食性のガスが銀めっきに到達するまでの経路が入り組み、金属腐食性のガスが銀めっきに到達し難くなる。
【0009】
しかしながら、特許文献3の保護層は、その形成時に、保護層形成用組成物内で粘土鉱物を膨潤させたり架橋させたりする必要がある。そのため、保護層形成用組成物の溶媒組成に制約があったり、成膜条件に制限がある。また、保護層形成用組成物内で、上記三次元的な構造体が形成されると、保護層形成用組成物の粘度が非常に高くなる。したがって、インクジェット法等、より高精細な記録物を得るための印刷プロセスで保護層を形成することが難しい、との課題もある。
【0010】
以上のように、従来の技術では、インクジェット法等の印刷方法によって、十分なガスバリア性を有する保護層を形成することは困難であった。本発明は、このような課題を鑑みてなされたものである。すなわち、長期に亘って、金属光沢層が劣化し難く、かつ簡便な方法で形成された積層体、およびその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1は、以下の積層体に関する。
[1]金属光沢層と、前記金属光沢層の少なくとも一方の面に配置された、ゲル化剤を含む保護層と、を有し、前記ゲル化剤が、脂肪族ケトン化合物、脂肪族エステル化合物、高級脂肪酸、高級アルコール、および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる、少なくとも一種の化合物である、積層体。
【0012】
[2]前記ゲル化剤の含有量が、前記保護層の全質量に対して1〜10質量%である、[1]に記載の積層体。
[3]前記保護層が、樹脂を含む、[1]または[2]に記載の積層体。
[4]前記保護層が、(メタ)アクリル樹脂を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]前記保護層が、色材を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]前記金属光沢層が、銀または銅を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7]前記金属光沢層が、金属ナノ粒子を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
【0013】
本発明の第2は、以下の積層体の製造方法に関する。
[8]金属光沢層と、前記金属光沢層の少なくとも一方の面に配置された、ゲル化剤を含む保護層と、を有する積層体の製造方法であって、金属光沢層を準備する工程と、ゲル化剤を含む保護層形成用組成物をインクジェット法により塗布し、前記保護層を形成する工程と、を有し、前記ゲル化剤が、脂肪族ケトン化合物、脂肪族エステル化合物、高級脂肪酸、高級アルコール、および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる、少なくとも一種の化合物である、積層体の製造方法。
【0014】
[9]前記保護層形成用組成物は、光重合性化合物を含み、前記保護層を形成する工程は、塗布された前記保護層形成用組成物に活性光線を照射する工程を含む、[8]に記載の積層体の製造方法。
[10]前記光重合性化合物は、(メタ)アクリレートを含む、[9]に記載の積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、長期に亘って、金属光沢層が劣化し難く、かつ簡便な方法で形成された積層体を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.積層体
本発明の積層体は、金属光沢層と、当該金属光沢層の少なくとも一方の面に配置された保護層と、を有する。本発明の積層体では、保護層が金属光沢層を、空気中に含まれる酸素や硫黄成分、塩素成分等から保護し、金属光沢層中の金属の酸化、硫化、もしくは塩化等による劣化を抑制する。
【0017】
前述のように、従来の積層体では、金属光沢層上に配置された保護層のガスバリア性が十分でなく、金属光沢層が経時で劣化し、変色したり金属光沢感が失われやすい、との課題があった。また、粘土鉱物を保護層に含めること等も検討されているが、粘土鉱物を含む溶液は、非常に粘度が高くなりやすく、インクジェット法等の印刷プロセスに適用し難い、との課題があった。
【0018】
これに対し、本発明の積層体は、金属光沢層を保護する保護層が、脂肪族ケトン化合物、脂肪族エステル化合物、高級脂肪酸、高級アルコール、および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる、少なくとも一種の化合物であるゲル化剤を含む。このような保護層で保護された金属光沢層は、外気の影響を受け難く、長期に亘って光沢が維持される。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
【0019】
上記の特定のゲル化剤は、保護層内で結晶化しており、三次元的な構造体を密に形成している。そして、保護層内に侵入したガスは、当該構造体に沿って移動する。本発明の積層体では、腐食性のガスが保護層に侵入しても、当該保護層内で上記構造体が入り組んでいるため、ガスが金属光沢層に到達し難く、長期間に亘って金属光沢層の劣化が抑制される、と考えられる。
【0020】
ここで、一般的にゲル化剤として知られている化合物であっても、結晶化度が低い化合物では、三次元的な構造体が密に形成されない。そして、保護層に密な三次元的な構造体が含まれないと、前述のガスバリア効果が得られないと考えられる。ゲル化剤が三次元的な構造体を密に形成するためには、ゲル化剤に強い分子間相互作用(静電相互作用、水素結合、ファンデルワールス力等)が必要である。つまり、前述の特許文献4に記載されているパラフィンワックス等、分子間相互作用の弱いゲル化剤では、三次元的な構造体が形成されてもこれらが密にならず、金属光沢層の劣化防止に寄与できないと考えられる。これに対し、前述の特定のゲル化剤は、分子間相互作用が強く、三次元的な構造体が密に形成されるため、金属光沢層の劣化防止に十分に寄与できる。
【0021】
また、上記の特定のゲル化剤は、比較的高い温度では、三次元的な構造体を形成せず、低温となったときに初めて結晶化して三次元的な構造体を形成する。したがって、後述の積層体の製造方法で説明するように、保護層を形成するための組成物(保護層形成用組成物)の粘度を、高温では低くすることができる。つまり、インクジェット法等の印刷プロセスによって保護層を形成することが可能である。
【0022】
ここで、本発明の積層体は、金属光沢層の少なくとも一方の面に保護層が配置されていればよく、例えば金属光沢層および保護層をそれぞれ一層ずつ有していてもよい。また、金属光沢層の両面に保護層が配置されていてもよく、例えば、保護層/金属光沢層/保護層の順に配置されていてもよい。また、本発明の積層体は、金属光沢層および保護層の他に、基材を有していてもよく、例えば、基材/金属光沢層/保護層の順に配置されていてもよい。さらに、基材がガス透過性を有する場合等には、基材/保護層/金属光沢層/保護層の順に各層が配置されていてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の層を含んでいてもよい。積層体がいずれの構造を有する場合にも、金属腐食性のガスが、保護層側から侵入することを抑制できる。また、金属光沢層の両面に保護層が配置されている場合には、金属光沢層の両面を保護することができ、金属光沢層の劣化がより抑制されやすくなる。以下、積層体を構成する各層について説明する。
【0023】
1.保護層
保護層は、金属光沢層を覆い、金属光沢層の劣化を抑制するための層である。当該保護層は、金属光沢層上にのみ配置されていてもよく、金属光沢層が形成されていない領域にも配置されていてもよい。保護層には、少なくともゲル化剤が含まれ、通常、樹脂およびゲル化剤が含まれる。保護層には、必要に応じて色材やその他の添加剤等が含まれていてもよい。
【0024】
ゲル化剤は、前述のように、保護層内で結晶構造を有していることが好ましく、板状に結晶化したゲル化剤によって形成された三次元空間を有する構造(以下、当該構造を「カードハウス構造」とも称する)を形成していることが好ましい。保護層内にカードハウス構造が形成されていると、保護層内に侵入した金属腐食性のガス等の金属光沢層に到達し難く、長期間に亘って金属光沢層が劣化等し難くなる。
【0025】
ここで、ゲル化剤は、脂肪族ケトン化合物、脂肪族エステル化合物、高級脂肪酸、高級アルコール、および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる、少なくとも一種の化合物である。保護層には、当該ゲル化剤が1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0026】
上記ゲル化剤は、分子中に炭素数が12以上26以下である飽和または不飽和のアルキル基を含むことが好ましい。ゲル化剤が、炭素数が上記範囲であるアルキル基を含むと、ゲル化剤が形成する結晶がアルキル基どうしの疎水性相互作用により密になり、保護層のガスバリア性が高まりやすくなる。なお、当該アルキル基の一部には、置換基が結合していてもよい。
【0027】
ゲル化剤の具体例を以下に示すが、ゲル化剤は、これらの化合物に限定されない。
脂肪族ケトン化合物の例には、ジリグノセリルケトン、ジベヘニルケトン、ジステアリルケトン、ジエイコシルケトン、ジパルミチルケトン、ジミリスチルケトン、ジラウリルケトン、ミリスチルパルミチルケトン、パルミチルステアリルケトン、ミリスチルベヘニルケトン、バルミチルベヘニルケトン、およびステアリルベヘニルケトン等が含まれる。
【0028】
また、脂肪族ケトン化合物の市販品の例には、18−Pentatriacontanon、Alfa Aeser社製、Hentriacontan−16−on、Alfa Aeser社製、およびカオーワックスT1、花王社製(「カオーワックス」は同社の登録商標)が含まれる。
【0029】
脂肪族エステル化合物の例には、ベヘニン酸ベヘニル、イコサン酸イコシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸パルミチル、ステアリン酸ラウリル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オレイル、オレイン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、リノール酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸アラキジル、およびグリセリン脂肪酸エステル等が含まれる。
【0030】
脂肪族エステル化合物の市販品の例には、EMALEX CC−18およびEMALEX CC−10等のEMALEXシリーズ、日本エマルジョン社製(「EMALEX」は同社の登録商標);リケマールシリーズおよびポエムシリーズ、理研ビタミン社製(「リケマール」および「ポエム」はいずれも同社の登録商標);ユニスターM−2222SLおよびスパームアセチ、日油社製(「ユニスター」は同社の登録商標);エキセパールSSおよびエキセパールMY−M、花王社製(「エキセパール」は同社の登録商標);ならびにアムレプスPC、高級アルコール工業社製(「アムレプス」は同社の登録商標);が含まれる。これらの市販品は、二種類以上の化合物の混合物であることが多いため、分離・精製したものが、保護層に含まれていてもよい。
【0031】
高級脂肪酸の例には、ベヘニン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、およびエルカ酸が含まれる。
【0032】
高級アルコールの例には、ステアリルアルコール、およびベヘニルアルコールが含まれる。
【0033】
脂肪酸アミドの例には、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ラウリル酸アミド、リシノール酸アミド、および12−ヒドロキシステアリン酸アミドが含まれる。
【0034】
脂肪酸アミドの市販品の例には、ニッカアマイドシリーズ、日本化成社製(「ニッカアマイド」は同社の登録商標);ITOWAXシリーズ、伊藤製油社製;およびFATTYAMIDシリーズ、花王社製;が含まれる。
【0035】
また、脂肪酸アミドは、N−置換脂肪酸アミドや特殊脂肪酸アミドであってもよい。N−置換脂肪酸アミドの例には、N−ステアリルステアリン酸アミドおよびN−オレイルパルミチン酸アミドが含まれる。一方、特殊脂肪酸アミドの例には、N,N’−エチレンビスステアリルアミド、N,N’−エチレンビス−12−ヒドロキシステアリルアミドおよびN,N’−キシリレンビスステアリルアミドが含まれる。
【0036】
ゲル化剤の含有量は特に制限されないが、保護層の全質量に対して1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、2〜8質量%であることがより好ましく、さらに好ましくは3〜6質量%である。ゲル化剤の含有量を1質量%以上とすることで、保護層中に十分な量の結晶(三次元的な構造体)が形成され、保護層のガスバリア性が高まる。一方、ゲル化剤の量が過剰であると、保護層の強度が低下しやすくなるが、ゲル化剤の量が10質量%以下であれば、保護層の強度が十分に高くなる。
【0037】
保護層に含まれるゲル化剤の量は、ゲル化剤のみを溶解する溶剤に保護層を浸漬し、当該溶剤に溶解したゲル化剤を、質量分析装置等で分析することで、特定することができる。
【0038】
一方、保護層に含まれる樹脂は、可視光透過性が高く、ゲル化剤を十分に保持可能であり、かつ金属光沢層との密着性が高い樹脂であれば特に制限されない。樹脂の例には、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、マレイン酸樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、およびアルキド樹脂等が含まれる。保護層中には、樹脂が1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味する。上記の樹脂の中でも、金属光沢層中の金属と配位結合し、保護層と金属光沢層との密着性が良好となりやすい、との観点から、(メタ)アクリル樹脂が特に好ましい。
【0039】
樹脂の金属光沢層への付量は、保護層の厚みに応じて適宜選択され、通常1g/m以上30g/m以下であることが好ましく、3g/m以上〜10g/m以下であることがより好ましく、3g/m以上5g/m以下であることがさらに好ましい。樹脂の付量が1g/m以上であると、保護層と金属光沢層との密着性が十分に高まりやすく、保護層の強度も十分に高まりやすい。一方、樹脂の付量が1g/m以下であると、相対的にゲル化剤の量が十分となり、保護層のガスバリア性が高まりやすく、ひいては、長期間に亘って金属光沢層が劣化し難くなる。
【0040】
保護層には染料または顔料等の色材が含まれていてもよい。耐候性の良好な画像を得る観点からは、色材は顔料であることが好ましい。顔料は、形成すべき画像の色彩等に応じて、例えば、黄(イエロー)顔料、赤またはマゼンタ顔料、青またはシアン顔料および黒顔料から選択することができる。
【0041】
黄顔料の例には、C.I.Pigment Yellow(以下、単に「PY」ともいう。) 1、PY3、PY12、PY13、PY14、PY17、PY34、PY35、PY37、PY55、PY74、PY81、PY83、PY93、PY94,PY95、PY97、PY108、PY109、PY110、PY137、PY138、PY139、PY153、PY154、PY155、PY157、PY166、PY167、PY168、PY180、PY185、およびPY193等が含まれる。
【0042】
赤あるいはマゼンタ顔料の例には、C.I.Pigment Red(以下、単に「PR」ともいう。) 3、PR5、PR19、PR22、PR31、PR38、PR43、PR48:1、PR48:2、PR48:3、PR48:4、PR48:5、PR49:1、PR53:1、PR57:1、PR57:2、PR58:4、PR63:1、PR81、PR81:1、PR81:2、PR81:3、PR81:4、PR88、PR104、PR108、PR112、PR122、PR123、PR144、PR146、PR149、PR166、PR168、PR169、PR170、PR177、PR178、PR179、PR184、PR185、PR208、PR216、PR226、およびPR257、C.I.Pigment Violet(以下、単に「PV」ともいう。) 3、PV19、PV23、PV29、PV30、PV37、PV50、およびPV88、ならびに、C.I.Pigment Orange(以下、単に「PO」ともいう。) 13、PO16、PO20、およびPO36等が含まれる。
【0043】
青またはシアン顔料の例には、C.I.Pigment Blue(以下、単に「PB」ともいう。) 1、PB15、PB15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4、PB15:6、PB16、PB17−1、PB22、PB27、PB28、PB29、PB36、およびPB60等が含まれる。
緑顔料の例には、C.I.Pigment Green(以下、単に「PG」ともいう。) 7、PG26、PG36、およびPG50等が含まれる。
黒顔料の例には、C.I.Pigment Black(以下、単に「PBk」ともいう。) 7、PBk26、およびPBk28等が含まれる。
【0044】
色材の含有量は、色材の種類等に応じて適宜選択されるが、保護層の質量に対して0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましく、1〜3質量%であることがさらに好ましい。色材の量が過剰になると、保護層の光透過性が低くなり、金属光沢層由来の金属光沢感が視認され難くなるが、上記範囲であれば、積層体に、金属光沢層由来の金属光沢感が生じやすい。
【0045】
保護層には、上記顔料と共に分散剤が含まれていてもよい。分散剤は、顔料の分散性を高めて発色を十分にするために用いることができる。分散剤の例には、分散剤として公知の水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、およびステアリルアミンアセテート等が含まれる。
【0046】
分散剤の含有量は、例えば、顔料の全質量に対して20質量%以上70質量%以下とすることができる。
【0047】
さらに、保護層には、界面活性剤や紫外線吸収剤等の各種添加剤が、本発明の効果を損なわない範囲で含まれていてもよい。
【0048】
保護層の厚みは特に制限されないが、保護層のガスバリア性を十分に高めるとの観点から、1μm以上20μm以下であることが好ましく、3μm以上10μm以下であることがより好ましい。保護層の厚みが当該範囲であると、保護層のガスバリア性が十分に高くなる。また、保護層の厚みが過度に厚いと、保護層の光透過性が低くなり、積層体の金属光沢感が低下するが、上記範囲であれば、十分な金属光沢感が得られやすい。
【0049】
2.金属光沢層
金属光沢層は、金属を含み、金属光沢を有する層である。金属光沢層は、金属のみからなる層であってもよく、金属と、これを結着するバインダとを含む層であってもよい。金属光沢層は、色材をさらに含む層であってもよい。
【0050】
金属光沢層が含む金属の例には、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金、アルミニウム、亜鉛、クロム、鉄、コバルト、モリブデン、ジルコニウム、ルテニウム、イリジウム、タンタル、水銀、インジウム、スズ、鉛、およびタングステン等が含まれ、金属光沢層には、これらの金属が単体で含まれてもよく、これらの合金や、酸化物が含まれていてもよい。これらのうち、高い光沢を発現可能であり、かつ、安価であることから、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、スズ、鉛、クロム、亜鉛およびアルミニウムが好ましく、金、銀、銅、スズ、クロム、鉛およびアルミニウムがより好ましく、銀および銅がさらに好ましい。
【0051】
ここで、金属光沢層には、膜状の金属が含まれていてもよく、粒子状の金属が含まれていてもよいが、高精細な画像を形成可能であるとの観点から、金属光沢層には金属ナノ粒子が含まれていることが好ましい。金属ナノ粒子は、上記金属やその酸化物等を主成分とするものであればよい。例えば、金属ナノ粒子に、不可避的に含まれる他の成分が微量に含まれていてもよい。また、金属ナノ粒子は、分散安定性を高めるためにクエン酸等で表面処理されていてもよい。
【0052】
金属ナノ粒子の平均粒子径は特に限定されないが、金属光沢層を作製するための組成物(後述の金属光沢層形成用組成物)中での分散安定性および保存安定性を高める観点からは、3nm以上100nm以下であることが好ましく、15nm以上50nm以下であることがより好ましい。金属ナノ粒子の平均粒子径は、動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置を使用して求めた体積平均粒子径とすることができる。
【0053】
一方、金属光沢層に含まれる樹脂や色材は、保護層に含まれる樹脂や色材と同様とすることができる。ただし、樹脂については、インクジェット法等の印刷プロセスで金属光沢層を形成する際の、吐出性の観点から、後述の金属光沢層形成用組成物中でエマルションとなる樹脂が望ましい。特に、保護層との密着性を確保するとの観点から、ポリエステル、ウレタン、またはアクリル系の樹脂であることがより好ましい。これらの樹脂であれば、保護層に含まれる樹脂成分との相互作用により、金属光沢層から保護層が剥離しにくくなる。なお、樹脂や色材の量は、金属光沢層の金属光沢感を損なわない範囲であれば特に制限されず、その種類等に応じて適宜選択される。
【0054】
金属光沢層の厚みは特に限定されないが、金属光沢を十分に発現させる観点からは、0.05μm以上1μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。
【0055】
3.基材
基材は特に限定されず、アート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙およびキャスト紙等を含む塗工紙;非塗工紙を含む吸収性の基材(紙基材);ポリエステル(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリプロピレン(PP)、アクリル樹脂(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリブタジエンテレフタレート(PBT)等を含むプラスチックで構成される非吸収性の基材(プラスチック基材);ならびに金属類およびガラス等を含む非吸収性の無機媒体;を用いることができる。
【0056】
また、基材の形状は特に制限されず、積層体の用途に応じて適宜選択される。
【0057】
4.その他の層
上記積層体は、前述の保護層、金属光沢層、および基材以外の層を含んでもよい。例えば、上記積層体は、基材と金属光沢層との間にプライマー層や離型層等を含んでいてもよい。プライマー層が配置されていると、基材と金属光沢層との密着性が高くなる。一方、離型層が配置されていると、積層体から基材を剥離して、金属光沢層および保護層のみを、各種用途に用いること等が可能となる。
【0058】
プライマー層は、前述の保護層に含まれる樹脂と同前述の様の樹脂を含む層とすることができる。また、離型層は、公知の離型剤からなる層とすることができる。プライマー層や離型層の厚みは、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されず、プライマー層や離型層を構成する樹脂の種類等に応じて適宜選択される。
【0059】
5.積層体の用途
上記積層体は、金属光沢の発現が求められる用途に好ましく用いることができる。例えば、上記積層体は、ラベル、パッケージ、広告印刷物や写真等の各種記録物に用いることができる。上記記録物は、単一の文字または文字の集合であってもよく、図形、絵、写真等の画像であってもよい。また、上記積層体は、回路のプリント配線等にも用いることも可能である。
【0060】
B.積層体の製造方法
前述の積層体は、金属光沢層を準備する工程(金属光沢層準備工程)と、ゲル化剤を含む保護層形成用組成物をインクジェット法により塗布し、保護層を形成する工程(保護層形成工程)と、を行うことにより、製造することができる。ここで、金属光沢層準備工程および保護層形成工程は、いずれを先に行ってもよい。また、保護層を金属光沢層の両面に形成する場合、保護層形成工程を2回行ってもよい。
【0061】
以下、基材/金属光沢層/保護層の順に配置されている積層体の製造方法を例に、各工程を説明するが、本発明の積層体の製造方法は以下の例に限定されない。
【0062】
1.金属光沢層準備工程
金属光沢層準備工程は、例えば、基材表面に金属光沢層を形成する工程とすることができる。本工程では、基材の全面に金属光沢層を形成してもよく、基材の一部の領域にのみ金属光沢層を形成してもよい。
【0063】
金属光沢層の形成方法は特に制限されず、金属の種類や、金属光沢層の形状に応じて適宜選択される。例えば、蒸着法や、スパッタ法等の乾式成膜法であってもよく、ロールコーターやスピンコーターによる塗布、スプレー塗布、浸漬、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等の湿式成膜法であってもよい。これらのうち、精細な形状の金属光沢層が形成可能であるとの観点から、インクジェット法が特に好ましい。以下、インクジェット法で金属光沢層を形成する方法を説明する。
【0064】
インクジェット法で金属光沢層を形成する場合、金属光沢層形成用組成物を、ノズルから吐出して基材上に塗膜を形成し、これを乾燥させて、金属光沢層を形成する。
【0065】
金属光沢層形成用組成物には、金属ナノ粒子および溶媒が少なくとも含まれ、本発明の効果を損なわない範囲で、保湿剤や、顔料や染料等の色材、樹脂成分、その他の添加剤等が含まれてもよい。
【0066】
金属光沢層形成用組成物に含まれる金属ナノ粒子は、前述の金属光沢層の説明で挙げた金属またはその酸化物のナノ粒子とすることができる。金属ナノ粒子は、金属光沢層形成用組成物内で、コロイドの状態で存在することが好ましい。金属ナノ粒子が、コロイド状態で分散していると、その分散安定性が高まる。
【0067】
金属光沢層形成用組成物に含まれる金属ナノ粒子の量は、金属光沢層形成用組成物の全質量に対して1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。
【0068】
一方、金属光沢層形成用組成物に含まれる溶媒は、金属ナノ粒子を均一に分散させることが可能な溶媒であれば特に制限されず、水や、アルコール等の有機溶媒等とすることができる。溶媒の量は、金属光沢層形成用組成物の所望の粘度に合わせて適宜選択される。
【0069】
また、金属光沢層形成用組成物に含まれる保湿剤は、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリセロール類、グリコール類および糖質等とすることができる。金属光沢層形成用組成物に保湿剤が含まれると、金属光沢層形成用組成物の乾燥が抑制され、ノズルの目詰まり等が生じ難くなる。当該保湿剤の含有量は、金属光沢層形成用組成物の全質量に対して30質量%以上70質量%以下であることが好ましく、35質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上50質量%以下であることがさらに好ましい。
【0070】
また、金属光沢層形成用組成物に含まれる色材は、前述の金属光沢層の説明で挙げた色材とすることができ、その量は、色材の種類等に合わせて適宜選択される。また、金属光沢層形成用組成物に含まれる樹脂成分は、前述の金属光沢層で説明した樹脂、もしくはその前駆体とすることができる。前述のように、樹脂は、金属光沢層形成用組成物内でエマルションとなっていることが好ましい。その量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されず、その種類等に応じて適宜選択される。さらに、その他の添加剤の例には、界面活性剤や、防腐剤、pH調整剤等が含まれる。これらの量も、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されず、その種類等に応じて適宜選択される。
【0071】
ここで、上記金属光沢層形成用組成物の粘度は、インクジェット記録装置のノズルからの吐出安定性をより高めるとの観点から、1cP以上100cP未満であることが好ましく、1cP以上50cP以下であることがより好ましく、1cP以上15cP以下であることがさらに好ましい。
【0072】
インクジェット法で金属光沢層を形成する場合、金属光沢層形成用組成物の塗膜を基材上に形成した後、塗膜を乾燥させる。塗膜の乾燥方法は金属光沢層形成用組成物に含まれる成分に応じて適宜選択される。塗膜の乾燥方法の一例として、加熱や自然乾燥等が挙げられる。また、必要に応じて上述の金属ナノ粒子の焼結温度まで加熱し、金属ナノ粒子を焼結させてもよい。
【0073】
2.保護層形成工程
本工程では、前述の金属光沢層上に、保護層形成用組成物をインクジェット法により塗布し、塗膜を硬化させて保護層を形成する。ここで、保護層形成用組成物は、熱硬化性の組成物であってもよく、光硬化性の組成物であってもよいが、光硬化性の組成物であることが、得られる保護層と金属光沢層との密着性が良好になるとの観点から好ましい。以下、保護層形成用組成物が、光硬化性である場合を例に説明する。
【0074】
光硬化性の保護層形成用組成物には、ゲル化剤、光重合性化合物、および光重合開始剤が含まれる。当該保護層形成用組成物には、必要に応じて顔料や染料等の色材、さらに添加剤等が含まれていてもよい。
【0075】
ここで、保護層形成用組成物に含まれるゲル化剤は、前述の保護層の説明で挙げたゲル化剤とすることができる。ゲル化剤は、脂肪族ケトン化合物、脂肪族エステル化合物、高級脂肪酸、高級アルコール、および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる、少なくとも一種の化合物であり、当該ゲル化剤は、保護層形成時に、ゲル化温度以下で結晶化する化合物であることが好ましい。
【0076】
ゲル化温度とは、加熱によりゾル化または液体化した保護層形成用組成物を冷却していったときに、保護層形成用組成物がゾルからゲルに相転移し、保護層形成用組成物の粘度が急変する温度をいう。具体的には、ゾル化または液体化した保護層形成用組成物を、レオメータ(例えば、Anton Paar社製、PhysicaMCRシリーズ)で粘度を測定しながら冷却していき、粘度が急激に上昇した温度を、保護層形成用組成物のゲル化温度とすることができる。
【0077】
保護層形成用組成物の塗布時の粘度を適切にし、かつ保護層のガスバリア性を十分に高くするとの観点から、保護層形成用組成物中のゲル化剤の量は、保護層形成用組成物の全質量に対して1質量%以上10質量%以下であることが特に好ましく、2質量%以上8質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上6質量%以下であることがさらに好ましい。
【0078】
また、保護層形成用組成物に含まれる光重合性化合物は、前述の樹脂の前駆体であり、活性光線の照射によって重合または架橋反応し、保護層形成用組成物を硬化させる作用を有する化合物であればよい。光重合性化合物の例には、ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物が含まれる。光重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマーあるいはこれらの混合物のいずれであってもよい。光重合性化合物は、保護層形成用組成物中に1種のみ含まれていてもよく、2種類以上含まれていてもよい。
【0079】
ラジカル重合性化合物は、不飽和カルボン酸エステル化合物であることが好ましく、(メタ)アクリレートであることがより好ましい。保護層形成用組成物に(メタ)アクリレートが含まれると、(メタ)アクリレートが金属光沢層中の金属と配位結合し、保護層と金属光沢層との密着性が高くなる。ラジカル重合性化合物は、保護層形成用組成物中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタアクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基またはメタアクリロイル基を意味する。
【0080】
(メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、およびt−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等を含む単官能の(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、およびトリシクロデカンジメタノールジアクリレート等を含む2官能のアクリレート;ならびに、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、およびペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート等を含む3官能以上のアクリレート;等が含まれる。
【0081】
(メタ)アクリレートは、変性物であってもよい。変性物である(メタ)アクリレートの例には、トリエチレンエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート等を含むエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート;トリプロピレンエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート等を含むエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を含むカプロラクトン変性(メタ)アクリレート;ならびにカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を含むカプロラクタム変性(メタ)アクリレート;等が含まれる。
【0082】
(メタ)アクリレートは、重合性オリゴマーであってもよい。重合性オリゴマーである(メタ)アクリレートの例には、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、および直鎖(メタ)アクリルオリゴマー等が含まれる。
【0083】
一方、カチオン重合性化合物は、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、およびオキセタン化合物等でありうる。カチオン重合性化合物は、保護層形成用組成物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種類以上含まれていてもよい。
【0084】
ビニルエーテル化合物の例には、ブチルビニルエーテル、ブチルプロペニルエーテル、ブチルブテニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルエトキシビニルエーテル、アセチルエトキシエトキシビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルおよびアダマンチルビニルエーテル等を含む単官能のビニルエーテル化合物;エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールビニルエーテル、ブチレンジビニルエーテル、ジブチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ノルボルニルジメタノールジビニルエーテル、イソバイニルジビニルエーテル、ジビニルレゾルシンおよびジビニルハイドロキノン等を含む2官能のビニルエーテル化合物;ならびに、グリセリントリビニルエーテル、グリセリンエチレンオキシド付加物トリビニルエーテル(エチレンオキシドの付加モル数6)、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリビニルエーテルエチレンオキシド付加物トリビニルエーテル(エチレンオキシドの付加モル数3)、ペンタエリスリトールトリビニルエーテルおよびジトリメチロールプロパンヘキサビニルエーテル等ならびにこれらのオキシエチレン付加物等を含む3官能以上のビニルエーテル化合物;等が含まれる。
【0085】
エポキシ化合物の例には、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェノール(ポリエチレンオキシ)5−グリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ラウリルグリシジルエーテル、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサンおよびノルボルネンオキシド等を含む単官能のエポキシ化合物;1,2:8,9ジエポキシリモネン、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルおよび1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等を含む2官能のエポキシ化合物;ならびに、ポリグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルおよびペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等を含む3官能以上のエポキシ化合物;等が含まれる。
【0086】
オキセタン化合物の例には、2−(3−オキセタニル)−1−ブタノール、3−(2−(2−エチルヘキシルオキシエチル))−3−エチルオキセタンおよび3−(2−フェノキシエチル)−3−エチルオキセタン等を含む単官能のオキセタン化合物;ならびに、キシリレンビスオキセタン、および3,3’−(オキシビスメチレン)ビス(3‐エチルオキセタン)等を含む多官能のオキセタン化合物;等が含まれる。
【0087】
光重合性化合物の含有量は、例えば、保護層形成用組成物の全質量に対して50質量%以上90質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
【0088】
なお、得られる保護層にカードハウス構造をより形成させやすくする観点から、保護層形成用組成物中で光重合性化合物とゲル化剤とが相溶していることが好ましい。
【0089】
また、保護層形成用組成物に含まれる光重合開始剤は、上記光重合性化合物の種類に合わせて適宜選択される。光重合性化合物がラジカル重合性の官能基を有する化合物であるときは、光重合開始剤として、光ラジカル開始剤が含まれる。一方、上記光重合性化合物がカチオン重合性の官能基を有する化合物であるときは、光重合開始剤として、光酸発生剤が含まれる。光重合開始剤は、保護層形成用組成物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種類以上含まれていてもよい。また、光重合開始剤として、光ラジカル開始剤および光酸発生剤の両方が含まれていてもよい。
【0090】
光ラジカル開始剤には、開裂型ラジカル開始剤および水素引き抜き型ラジカル開始剤が含まれる。
【0091】
開裂型ラジカル開始剤の例には、アセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン系の開始剤、アシルホスフィンオキシド系の開始剤、ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステルが含まれる。
【0092】
水素引き抜き型ラジカル開始剤の例には、ベンゾフェノン系の開始剤、チオキサントン系の開始剤、アミノベンゾフェノン系の開始剤、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノンおよびカンファーキノンが含まれる。
【0093】
光酸発生剤の例には、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩、ヨードニウム(4−メチルフェニル)(4−(2−メチルプロピル)フェニル)ヘキサフルオロホスフェート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、および3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が含まれる。
【0094】
光重合開始剤の含有量は、保護層形成用組成物が十分に硬化できる範囲であればよく、例えば、保護層形成用組成物の全質量に対して0.01質量%以上10質量%以下とすることができる。
【0095】
また、保護層形成用組成物には、顔料(色材)や、分散剤等がさらに含まれていてもよい。これらは、前述の保護層の説明で挙げた化合物と同様である。またその含有量は、保護層形成用組成物の全質量に対して、0.5質量%以上10質量%以下とすることができる。さらに、保護層形成用組成物には、増感助剤や界面活性剤等、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の添加剤が含まれていてもよい。
【0096】
上記保護層形成用組成物は、前述の光重合性化合物およびゲル化剤と、任意の各成分とを、加熱下において混合することにより調製することができる。この際、得られた混合液を所定のフィルターで濾過することが好ましい。また、顔料および分散剤を含有する保護層形成用組成物を調製するときは、顔料および分散剤が溶媒中に分散された顔料分散体をあらかじめ調製しておき、これに残りの成分を添加して加熱しながら混合してもよい。
【0097】
顔料および分散剤の分散は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、およびペイントシェーカーにより行うことができる。
【0098】
インクジェット記録装置のノズルからの射出性をより高める観点から、保護層形成用組成物の80℃における粘度は3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。
【0099】
一方、金属光沢層上に着弾して常温に降温した保護層形成用組成物内に生じるゲル化剤の結晶(三次元的な構造体)の量は、25℃における保護層形成用組成物の粘度と相関する。具体的には、結晶量が多くなると、保護層形成用組成物の粘度が高まる。そこで、保護層中の結晶量を十分に高め、保護層のガスバリア性を高めるとの観点から、保護層形成用組成物の25℃における粘度は1000mPa・s以上であることが好ましい。
【0100】
また、保護層形成用組成物のゲル化温度は、40℃以上70℃以下であることが好ましい。保護層形成用組成物のゲル化温度が40℃以上であると、金属光沢層上に着弾後、保護層形成用組成物が速やかにゲル化する。つまり、保護層形成用組成物内で、ゲル化剤が結晶化する。一方、保護層形成用組成物のゲル化温度が70℃以下であると、射出時の温度が通常80℃程度であるインクジェットヘッドにおいて、保護層形成用組成物がゲル化し難く、より安定して保護層形成用組成物を射出することができる。
【0101】
保護層形成用組成物の80℃における粘度、25℃における粘度およびゲル化温度は、レオメータにより、保護層形成用組成物の動的粘弾性の温度変化を測定することにより求めることができる。これらの粘度およびゲル化温度は、以下の方法によって得られる値である。保護層形成用組成物を100℃に加熱し、ストレス制御型レオメータPhysica社製、MCR301(コーンプレートの直径:75mm、コーン角:1.0°)、Anton Paar社製によって粘度を測定しながら、剪断速度11.7(1/s)、降温速度0.1℃/sの条件で20℃まで保護層形成用組成物を冷却して、粘度の温度変化曲線を得る。80℃における粘度および25℃における粘度は、粘度の温度変化曲線において80℃、25℃における粘度をそれぞれ読み取ることにより求める。ゲル化温度は、粘度の温度変化曲線において、粘度が200mPa・sとなる温度として求める。
【0102】
ここで、保護層形成用組成物が光硬化性である場合、金属光沢層上に形成された保護層形成用組成物の塗膜に、活性光線を照射することで、保護層形成用組成物を硬化させる。保護層形成用組成物の硬化性を高める観点から、活性光線は、保護層形成用組成物の着弾後0.001秒以上2.0秒以下の間に照射することが好ましく、より高精細な画像を形成する観点から、0.001秒以上1.0秒以下の間に照射することがより好ましい。
【0103】
保護層形成用組成物に照射する活性光線の例には、電子線、紫外線、α線、γ線、およびエックス線が含まれる。これらのうち、取り扱いの容易さおよび人体への影響の少なさの観点から、紫外線が好ましい。また、光源の輻射熱によって、保護層形成用組成物が溶け、硬化不良が生じることを抑制するとの観点から、光源は発光ダイオード(LED)であることが好ましい。保護層形成用組成物を硬化させるための活性光線を照射することができるLED光源の例には、395nm、水冷LED、Phoseon Technology社製、Heraeus社製、京セラ社製、HOYA社製、およびIntegration Technology社製が含まれる。
【0104】
照射する活性光線の光量は、200mJ/cm以上1000mJ/cmであることが好ましい。上記光量が200mJ/cm以上であると、光重合性化合物を十分に重合および架橋させて、保護層の強度を十分に高めることができる。一方、上記光量が過剰であると、照射される光の熱によるゲル化剤の再溶解によって、ゲル化剤の三次元的な構造体が崩れ、得られる保護層のガスバリア性が低くなることがある。これに対し、上記光量が1000mJ/cm以下であれば、ゲル化剤の再溶解等が生じ難く、保護層のガスバリア性が十分に高くなる。上記観点からは、照射する活性光線の光量は300mJ/cm以上800mJ/cm以下であることがより好ましく、350mJ/cm以上500mJ/cm以下であることがさらに好ましい。
【0105】
なお、上記では、保護層形成用組成物を、インクジェット法で塗布する方法のみ説明したが、保護層形成用組成物は、例えばロールコート法等で塗布することも可能である。
【0106】
3.その他の層の形成
本発明の積層体の製造方法には、前述の金属光沢層準備工程および保護層形成工程以外に、プライマー層を形成する工程や、離型層を形成する工程等を有していてもよい。
【0107】
上記プライマー層や離型層は、これらの層を構成する樹脂、またはその前駆体を含む樹脂組成物を塗布し、硬化することで形成することができる。樹脂組成物の塗布方法は特に限定されない。例えば、ロールコーターやスピンコーター等で塗布してもよく、スプレー塗布、浸漬、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等により塗布してもよい。また、インクジェット法で上記樹脂組成物を塗布してもよい。これらのうち、より精細な記録物を形成する観点からは、インクジェット法が好ましい。
【0108】
また、樹脂組成物の硬化方法は、樹脂組成物の組成に合わせて適宜選択され、例えば加熱や、活性光線の照射等とすることができる。
【実施例】
【0109】
以下において、本発明の具体的な実施例を説明する。なお、これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
【0110】
1.材料の準備
実施例および比較例には、以下の化合物を用いた。
[ゲル化剤]
・ジステアリルケトン(カオーワックスT1、花王社製)
・ジパルミチルケトン(Hentriacontan−16−on、Arfa Aeser社製)
・ジラウリルケトン(12−tricosanone、Arfa Aeser社製)
・ステアリン酸ステアリル(エキセパールSS、花王社製)
・ベヘニン酸ベヘニル(ユニスターM−2222SL、日油社製)
・パルミチン酸セチル(アムレプスPC、高級アルコール工業社製)
・ベヘニン酸(ルナックBA、花王社製)
・ベヘニルアルコール(ベヘニルアルコール80R、高級アルコール工業社製)
・エルカ酸アミド(ニュートロンS、日本精化社製)
【0111】
[粘土鉱物]
・モンモリロナイト(クニピアF、クニミネ工業社製)
【0112】
[パラフィンワックス]
・パラフィン系ワックス(AQUACER(登録商標)539、ビックケミージャパン社製)
【0113】
[光重合性化合物]
・ポリエチレングリコール#400ジアクリレート(A−400、新中村化学社製)
・4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(SR494、SARTOMER社製)
・6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(SR499、SARTOMER社製)
・3,3’−(オキシビスメチレン)ビス(3‐エチルオキセタン)(OXT221、東亞合成社製)
・1,2:8,9ジエポキシリモネン(セロキサイド3000、ダイセル社製)
【0114】
[光重合開始剤]
・ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(DAROCUR TPO、BASF社製)
・トリアリールスルフォニウム ヘキサフルオロホスフェート(IRGACURE270、BASF社製)
【0115】
[その他]
<増感助剤>
・p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル(KayacureEPA、日本化薬社製)
<界面活性剤>
KF−352(信越化学社製)
<分散剤>
アジスパーPB824(味の素ファインテクノ社製)
<顔料>
顔料1:Pigment Blue 15:4(クロモファインブルー6332JC、大日精化社製)
顔料2:Pigment Red 122(クロモファインレッド6112JC、大日精化社製)
顔料3:Pigment Yellow 180(クロモファインイエロー6280JC、大日精化社製)
<樹脂>
ウレタンエマルション樹脂(SF−210、第一工業製薬社製)
ポリエステルエマルション樹脂(バイロナールMD−1200、東洋紡社製)
アクリルエマルション樹脂(RE−218、星光PMC社製)
【0116】
2.顔料分散液の調製
以下の手順で顔料分散液を調製した。
アジスパーPB824 9質量部、およびトリプロピレングリコールジアクリレート(APG−200、新中村化学社製)71質量部を、ステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱攪拌して溶解させた。
当該溶液を室温まで冷却した後、当該溶液に顔料1、顔料2、または顔料3のいずれか1つを20質量部加え、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れて密栓した。これをペイントシェーカーにて所定の時間(顔料1:5時間、顔料2:8時間、顔料3:8時間)分散処理した後、ジルコニアビーズを除去した。
【0117】
3.保護層形成用組成物の調製
下記表1に示す組成となるように各成分を混合し、80℃に加熱して攪拌した。得られた溶液を加熱下、ADVATEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過した。
【0118】
4.金属光沢層の形成
基材として、表1に示すように、ガラス(glanova、日本板硝子社製)または樹脂製フィルム(コスモシャインA4100、東洋紡社製)を用いた。また、金属光沢層は、以下の方法で作製した。なお、基材として、樹脂製フィルムを用いる場合(実施例10)には、後述の方法で、基材上に保護層を形成してから金属光沢層を形成し、金属光沢層上にさらに保護層を形成した。
また、以下に示すように、銀を含む金属光沢層(実施例1〜14、16〜22、および比較例1〜3)は、インクジェット法で作製し、銅を含む金属光沢層(実施例15)は、蒸着法で作製した。なお実施例1〜14、16〜19、比較例1〜3では金属光沢層形成用組成物(銀−1)を用いて金属光沢層(銀−1)を形成し、実施例20では、金属光沢層形成用組成物(銀−2)を用いて金属光沢層(銀−2)を形成し、実施例21では、金属光沢層形成用組成物(銀−3)を用いて金属光沢層(銀−3)を形成し、実施例22では、金属光沢層形成用組成物(銀−4)を用いて金属光沢層(銀−4)を形成した。
【0119】
(金属光沢層の形成(銀−1))
銀ナノ粒子分散液(AGSK−3000E、新光化学社製、銀30質量%含有)50質量部に、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(ハイモールTM、東邦化学工業社製)40質量部、およびテトラエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール40、KHネオケム社製)10質量部を混合して、金属光沢層形成用組成物(銀−1)を調製した。
ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録装置を用いて、上記金属光沢層形成用組成物を基材上に塗布し、ベタ画像からなる塗膜を形成した。このとき、インクジェットヘッドを、液滴量14pl、印字速度0.5m/sec、射出周波数10.5kHz、印字率100%となる条件で駆動させた。塗膜形成後、120℃で1時間加熱乾燥させて、厚み300nmの金属光沢層を形成した。
【0120】
(金属光沢層の形成(銀−2))
以下のように金属光沢層形成用組成物を調製した以外は、上記金属光沢層の形成(銀−1)と同様に金属光沢層(銀−2)を形成した。
銀ナノ粒子分散液(AGSK−3000E、新光化学社製、銀30質量%含有)50質量部に、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(ハイモールTM、東邦化学工業社製)36質量部、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール40、KHネオケム社製)10質量部、およびSF−210(ウレタンエマルション樹脂、第一工業製薬社製)4質量部、を混合して、金属光沢層形成用組成物(銀−2)を調製した。
【0121】
(金属光沢層の形成(銀−3))
金属光沢層の形成(銀−2)における、金属光沢層形成用組成物の調製において、SF−210をバイロナールMD−1200(ポリエステルエマルション樹脂、東洋紡社製)に変更した以外は同様の方法で金属光沢層(銀−3)を形成した。
【0122】
(金属光沢層の形成(銀−4))
金属光沢層の形成(銀−2)における、金属光沢層形成用組成物の調製において、SF−210をRE−218(アクリルエマルション樹脂、星光PMC社製)に変更した以外は同様の方法で金属光沢層(銀−4)を形成した。
【0123】
(金属光沢層の形成(銅))
蒸着装置としてシンクロン製のBMC−800Tを用いて、ガラス基板上に厚みが300nmとなるように、銅を蒸着させ、金属光沢層を得た。このときの投入電流値は210Å、製膜レートは7Å/sとした。
【0124】
5.保護層の形成
前述の保護層形成用組成物を、ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェットヘッドを有するインクジェット記録装置に装填した。インクジェット記録装置のインクジェットヘッドの温度は80℃に設定した。この装置を用いて、金属光沢層上に保護層形成用組成物の塗膜を形成した。なお、実施例10では樹脂フィルムを基材として使用しており、樹脂フィルム側からの腐食性ガスの侵入を防ぐ必要がある。そこで、基材上に保護層を形成した後、当該保護層上に他のガラス基材の実施例と同様に、金属光沢層および保護層を形成した。なお、いずれの実施例においても、保護層の形状は、金属光沢層の形状と同一とした。
印字後、Phoseon Technology社製水冷ユニット付きのLEDランプから光(395nm、8W/cm)を照射し、樹脂を硬化させた。ランプから保護層形成用組成物の塗膜表面までの距離は20mmとした。保護層形成用組成物の塗膜の搬送速度は、60m/sとした。これにより、厚み4μmの保護層を形成した。
【0125】
【表1】
【0126】
6.評価
得られた積層体について、硫化試験、膜強度評価、および密着性評価を行った。また、保護層形成用組成物について、インクジェット(IJ)吐出安定性評価を行った。結果を表2に示す。
【0127】
(1)硫化試験
各積層体に対して、以下の「硫黄試験」を行い、積層体の硫化耐性を評価した。
[硫黄試験]
密閉可能なガラス瓶内に、硫黄粉末を入れたシャーレを置いた。続いて、各積層体を硫黄粉末の入ったシャーレから10cm離した位置に置き、容器を密閉した。そして、容器を80℃で19時間加熱し、積層体を硫黄蒸気雰囲気下に曝露した。その後、ガラス瓶から積層体を取出し、可視光領域での反射率の変化を測定した。
なお、反射率からL、a、bを算出し、色差ΔEabを用いて評価した。ΔEabの値が大きいほど、反射率と色味の変化が大きく、金属光沢層中の金属の硫化が進行しているといえる。ΔEabは、以下の式から導き出した。また、ΔEabについて、以下の基準で評価した。
ΔEab=〔(ΔL+(Δa+(Δb1/2
○:ΔEabが5未満
△:ΔEabが5以上、10未満
×:ΔEabが10以上
【0128】
(2)IJ吐出安定性評価
保護層形成用組成物を、インクジェット記録装置のインクジェットヘッド(ノズル数:512)から吐出し、ノズル欠の有無について目視観察を行った。当該結果について、以下の基準で評価した。
○:ノズル欠の発生が全く認められなかった
△:全ノズル512個中、1〜4個のノズルでノズル欠が認められた
×:全ノズル512個中、5個以上のノズルでノズル欠が認められた
【0129】
(3)膜強度評価
JIS K5701−1における6.2.3 耐摩擦性試験に準拠して、膜強度を評価した。具体的には、適切な大きさに切り取った印刷用コート紙(OKトップコート 米坪量128g/m 王子製紙社製)を積層体の保護層上に設置し、荷重をかけて擦り合わせた。その後、画像濃度低下の程度を目視観察し、下記の基準に従って耐擦過性を評価した。
○:30回以上擦っても、変化はまったく認められない
△:30回擦った段階で変化が認められるが、実用上許容範囲にある
×:30回未満の擦りで、明らかな変化が認められ、実用に耐えない品質である
【0130】
(4)密着性評価
各積層体の保護層を1mm間隔で100マスにクロスカットした。当該クロスカット部分に住友スリーエム社製Scotchテープを十分に密着させ、90°の角度で剥がした。このときの剥離の程度を、下記の基準で評価した。
◎:100マスすべての剥離がまったく認められず、クロスカット時の傷やクロスカットの交点においても剥離がまったく認められない
○:100マスすべての剥離がまったく認められないが、クロスカット時の傷やクロスカットの交点において、多少の剥離が認められる
△:剥離が1〜49マス認められる
×:剥離が50〜100マス認められ、実用に耐えない品質である
【0131】
【表2】
【0132】
表2に示すように、保護層が特定のゲル化剤(脂肪族ケトン化合物、脂肪族エステル化合物、高級脂肪酸、高級アルコール、および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる、少なくとも一種の化合物)を含む場合、硫化耐性や膜強度、金属光沢層との密着性が良好であった(実施例1〜22)。また特に、ゲル化剤の含有量が、保護層の質量に対して、1〜10質量%であると、硫化耐性が良好となり、膜強度も十分に高かった(実施例1〜12、および15〜22)。また、保護層が、オキセタン樹脂を含む場合には、保護層と金属光沢層との密着性が若干低下したのに対し(実施例16)、保護層がアクリル樹脂を含む場合、保護層と金属光沢層との密着性が良好であった(実施例1〜15、および17〜22)。また、金属光沢層中に樹脂を含む場合には、保護層と金属光沢層の密着性がより高まる結果となった。(実施例20〜22)。
【0133】
一方、ゲル化剤を含まない、もしくはゲル化剤の代わりにパラフィンワックスを含む場合には、硫化耐性が低かった(比較例1および3)。また、ゲル化剤の代わりに粘土鉱物を含む場合、インクジェット吐出性が安定せず、均一な膜が形成されなかった。そのため、硫化耐性が十分に高まらなかった(比較例2)。
【0134】
本出願は、2016年12月21日出願の特願2016−247839号に基づく優先権を主張する。当該出願明細書に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明に係る積層体は、長期に亘って、金属光沢層が劣化し難く、かつ簡便な方法で作製可能である。したがって、種々のラベル、パッケージ、広告印刷物や写真等の記録物、さらにはプリント配線基板等に適用可能である。
【国際調査報告】