(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2018235167
(43)【国際公開日】20181227
【発行日】20200416
(54)【発明の名称】位置・姿勢測定方法及び位置・姿勢測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 15/00 20060101AFI20200319BHJP
   G01S 13/42 20060101ALI20200319BHJP
   G01S 13/88 20060101ALI20200319BHJP
【FI】
   !G01B15/00 C
   !G01S13/42
   !G01S13/88
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】2017566039
(21)【国際出願番号】JP2017022710
(22)【国際出願日】20170620
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000135254
【氏名又は名称】株式会社ニレコ
【住所又は居所】東京都八王子市石川町2951番地4
(74)【代理人】
【識別番号】100105393
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 直哉
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸一
【住所又は居所】東京都八王子市石川町2951番地4株式会社ニレコ内
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕雅
【住所又は居所】東京都八王子市石川町2951番地4株式会社ニレコ内
【テーマコード(参考)】
2F067
5J070
【Fターム(参考)】
2F067AA04
2F067AA31
2F067AA42
2F067BB01
2F067EE04
2F067HH02
2F067JJ02
2F067KK08
2F067RR09
2F067RR26
5J070AC02
5J070AC11
5J070AD06
(57)【要約】
本発明の位置・姿勢測定方法は、測定対象である金属板の一方の側に、開口面が単一平面を形成するように設置された、該測定対象に向けてマイクロ波を送る第1の送信アンテナ、該測定対象に反射されたマイクロ波を受け取る第1及び第2の受信アンテナを使用して、該測定対象の位置及び姿勢の少なくとも一方を定める位置・姿勢測定方法であって、該第1及び第2の受信アンテナの受け取るマイクロ波の信号に基づいて、該第1の送信アンテナから該測定対象を経て該第1の受信アンテナまでの第1の距離、及び該第1の送信アンテナから該測定対象を経て該第2の受信アンテナまでの第2の距離を定めるステップと、該第1及び第2の距離に基づいて、該第1及び第2の受信アンテナの開口面の中心位置を結ぶ基準線に対する、該測定対象の位置及び姿勢の少なくとも一方を定めるステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象である金属板の一方の側に、開口面が単一平面を形成するように設置された、該測定対象に向けてマイクロ波を送る第1の送信アンテナ、該測定対象に反射されたマイクロ波を受け取る第1及び第2の受信アンテナを使用して、該測定対象の位置及び姿勢の少なくとも一方を定める位置・姿勢測定方法であって、
該第1及び第2の受信アンテナの受け取るマイクロ波の信号に基づいて、該第1の送信アンテナから該測定対象を経て該第1の受信アンテナまでの第1の距離、及び該第1の送信アンテナから該測定対象を経て該第2の受信アンテナまでの第2の距離を定めるステップと、
該第1及び第2の距離に基づいて、該第1及び第2の受信アンテナの開口面の中心位置を結ぶ基準線に対する、該測定対象の位置及び姿勢の少なくとも一方を定めるステップと、を含む位置・姿勢測定方法。
【請求項2】
該測定対象が金属板の面であり、該第1の送信アンテナによって、該板面にマイクロ波を送り、該板面の該基準線に対する位置及び傾きの少なくとも一方を測定する請求項1に記載の位置・姿勢測定方法。
【請求項3】
該測定対象が金属板の板幅方向の端部であり、該第1の送信アンテナによって、該金属板の板幅方向の端部にマイクロ波を送り、該金属板の板幅方向の端部の該基準線に対する位置を測定する請求項1に記載の位置・姿勢測定方法。
【請求項4】
測定対象である金属板の位置及び姿勢の少なくとも一方を定める位置・姿勢測定装置であって、
該測定対象に向けてマイクロ波を送る送信アンテナと、
該測定対象に反射されたマイクロ波を受け取る第1及び第2の受信アンテナと、
演算部と、を含み、
該送信アンテナ、及び該第1及び第2の受信アンテナは、該測定対象の一方の側に、3個の開口面が単一平面を形成するように設置されており、
該演算部は、第1及び第2の受信アンテナが受け取るマイクロ波の信号に基づいて、該送信アンテナから該測定対象を経て該第1の受信アンテナまでの第1の距離、及び該送信アンテナから該測定対象を経て該第2の受信アンテナまでの第2の距離を定め、該第1及び第2の距離を使用して、該第1及び第2の受信アンテナの開口面の中心位置を結ぶ基準線に対する、該測定対象の位置及び姿勢の少なくとも一方を定めるように構成された、位置・姿勢測定装置。
【請求項5】
送信アンテナ、第1の受信アンテナ、及び第2の受信アンテナの指向角が18度から30度の範囲である請求項4に記載の位置・姿勢測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ方式の金属板の位置・姿勢測定方法及びアンテナ方式の金属板の位置・姿勢測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行する金属板の板幅方向の端部、または板面にマイクロ波を放射し、板幅方向の端部、または板面に反射されたマイクロ波を検出することによって、金属板の板幅方向の端部の位置、または金属板の板厚方向の板面の位置を測定するアンテナ方式の測定方法及びアンテナ方式の測定装置が開発されている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
しかし、従来のアンテナ方式の測定方法及びアンテナ方式の測定装置は、たとえば、金属板の板幅方向の端部位置を測定する場合に、金属板の板幅方向の端部位置の変化と金属板の板厚方向の端部位置の変化とを区別することができなかった。また、従来のアンテナ方式の測定方法及び測定装置は、たとえば、金属板の板厚方向の板面の位置を測定する場合に、金属板の板厚方向の位置の変化と金属板の基準位置に対する傾きとを区別することができなかった。このように、従来のアンテナ方式の測定方法及び測定装置によって得られる金属板の位置・姿勢に関する情報は十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】W02006/048979A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、金属板の位置・姿勢に関し、従来よりも多くの情報を得ることのできるアンテナ方式の位置・姿勢測定方法及びアンテナ方式の位置・姿勢測定装置に対するニーズがある。本発明の課題は、金属板の位置・姿勢に関し、従来よりも多くの情報を得ることのできるアンテナ方式の位置・姿勢測定方法及びアンテナ方式の位置・姿勢測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の位置・姿勢測定方法は、測定対象である金属板の一方の側に、開口面が単一平面を形成するように設置された、該測定対象に向けてマイクロ波を送る第1の送信アンテナ、該測定対象に反射されたマイクロ波を受け取る第1及び第2の受信アンテナを使用して、該測定対象の位置及び姿勢の少なくとも一方を定める位置・姿勢測定方法であって、該第1及び第2の受信アンテナの受け取るマイクロ波の信号に基づいて、該第1の送信アンテナから該測定対象を経て該第1の受信アンテナまでの第1の距離、及び該第1の送信アンテナから該測定対象を経て該第2の受信アンテナまでの第2の距離を定めるステップと、該第1及び第2の距離に基づいて、該第1及び第2の受信アンテナの開口面の中心位置を結ぶ基準線に対する、該測定対象の位置及び姿勢の少なくとも一方を定めるステップと、を含む。
【0007】
本態様の位置・姿勢測定方法においては、該第1の送信アンテナから該測定対象を経て該第1の受信アンテナまでの第1の距離、及び該第1の送信アンテナから該測定対象を経て該第2の受信アンテナまでの第2の距離に基づいて、該第1及び第2の受信アンテナの開口面の中心位置を結ぶ基準線に対する、該測定対象の位置及び姿勢の少なくとも一方を定めるので、該測定対象、すなわち金属板の位置・姿勢に関し、従来よりも多くの情報を得ることができる。
【0008】
本発明の第1の態様の第1の実施形態の位置・姿勢測定方法においては、該測定対象が金属板の面であり、該第1の送信アンテナによって、該板面にマイクロ波を送り、該板面の該基準線に対する位置及び傾きの少なくとも一方を測定する。
【0009】
本実施形態の位置・姿勢測定方法によれば、金属板の板厚方向の位置の変化、及び金属板の該基準線に対する傾きの一方または両方を測定することができる。
【0010】
本発明の第1の態様の第2の実施形態の位置・姿勢測定方法においては、該測定対象が金属板の板幅方向の端部であり、該第1の送信アンテナによって、該金属板の板幅方向の端部にマイクロ波を送り、該金属板の板幅方向の端部の該基準線に対する位置を測定する。
【0011】
本実施形態の位置・姿勢測定方法によれば、金属板の板幅方向の端部の位置を測定する場合に、金属板の板幅方向の位置の変化、及び金属板の板厚方向の位置の変化の一方または両方を測定することができる。
【0012】
本発明の第2の態様の位置・姿勢測定装置は、測定対象である金属板の位置及び姿勢の少なくとも一方を定める位置・姿勢測定装置であって、該測定対象に向けてマイクロ波を送る送信アンテナと、該測定対象に反射されたマイクロ波を受け取る第1及び第2の受信アンテナと、演算部と、を含み、該送信アンテナ、及び該第1及び第2の受信アンテナは、該測定対象の一方の側に、3個の開口面が単一平面を形成するように設置されており、該演算部は、第1及び第2の受信アンテナが受け取るマイクロ波の信号に基づいて、該送信アンテナから該測定対象を経て該第1の受信アンテナまでの第1の距離、及び該送信アンテナから該測定対象を経て該第2の受信アンテナまでの第2の距離を定め、該第1及び第2の距離を使用して、該第1及び第2の受信アンテナの開口面の中心位置を結ぶ基準線に対する、該測定対象の位置及び姿勢の少なくとも一方を定めるように構成されている。
【0013】
本態様の位置・姿勢測定装置は、該第1の送信アンテナから該測定対象を経て該第1の受信アンテナまでの第1の距離、及び該第1の送信アンテナから該測定対象を経て該第2の受信アンテナまでの第2の距離に基づいて、該第1及び第2の受信アンテナの開口面の中心位置を結ぶ基準線に対する、該測定対象の位置及び姿勢の少なくとも一方を定めるので、該測定対象、すなわち金属板の位置・姿勢に関し、従来よりも多くの情報を得ることができる。
【0014】
本発明の第2の態様の第1の実施形態の位置・姿勢測定においては、送信アンテナ、第1の受信アンテナ、及び第2の受信アンテナの指向角が18度から30度の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】測定対象が、金属板の板面である場合の、従来のアンテナ方式の距離測定装置を示す図である。
【図2】測定対象が、金属板の板面である場合の、従来のアンテナ方式の距離測定装置を示す図である。
【図3】測定対象が、板幅方向の端部である場合の、従来のアンテナ方式の距離測定装置を示す図である。
【図4】測定対象が、金属板の板幅方向の端部である場合の、従来のアンテナ方式の距離測定装置を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態のアンテナ方式の位置・姿勢測定装置を示す図である。
【図6】送信アンテナ、第1の受信アンテナ、及び第2の受信アンテナの開口面を示す図である。
【図7】送信アンテナ、第1の受信アンテナ、及び第2の受信アンテナのxz面内の指向性を絶対利得で示す図である。
【図8】送信アンテナ、第1の受信アンテナ、及び第2の受信アンテナのyz面内の指向性を絶対利得で示す図である。
【図9】送信アンテナ、第1の受信アンテナ、及び第2の受信アンテナのx軸及びz軸を含む断面を示す図である。
【図10】測定対象である金属板の板面が面Sと平行である場合に、送受信アンテナと板との配置を示す図である。
【図11】測定対象である金属板の板面の、面Sに対する角度がθである場合に、送受信アンテナと板との配置を示す図である。
【図12】図11に示す場合において、演算部150が角度θ及び真距離Lを求める方法を示す流れ図である。
【図13】真距離Lが1000ミリメータの場合に、角度θと測定された距離Z1及びZ2との関係を示す図である。
【図14】真距離Lが1500ミリメータの場合に、角度θと測定された距離Z1及びZ2との関係を示す図である。
【図15】金属板の板厚方向の中心位置のx座標が0である場合に、送受信アンテナと板との配置を示す図である。
【図16】金属板の板厚方向の中心位置のx座標がXである場合に、送受信アンテナと板との配置を示す図である。
【図17】図16に示す場合において、演算部がx座標X及び真距離Lを求める方法を示す流れ図である。
【図18】真距離Lが500ミリメータの場合に、x座標Xと測定された距離Rx1及びRx2との関係を示す図である。
【図19】真距離Lが1000ミリメータの場合に、x座標Xと測定された距離Rx1及びRx2との関係を示す図である。
【図20】真距離Lが1500ミリメータの場合に、x座標Xと測定された距離Rx1及びRx2との関係を示す図である。
【図21】図5に示した位置・姿勢測定装置によって、金属板の反りを測定する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、従来のアンテナ方式の距離測定装置を示す図である。測定対象は、金属板の板面である。図1において、距離測定装置は、送信アンテナ111A、受信アンテナ113A、及び演算部150Aを含む。図1において、2個の送受信アンテナの開口面は単一平面上にありこの面を面Sと呼称する。面Sは、金属板210が基準位置にある場合に、金属板210の板面211に平行に設置されており、図1は、面S、及び金属板210の板面211に垂直な断面を示す。送信アンテナ111Aから放射された電磁波(マイクロ波)は、測定対象である金属板210の板面211に反射されて、受信アンテナ113Aに到達する。演算部150Aは、送信アンテナ111Aから放射され、板面211に反射されて、受信アンテナ113Aに到達するマイクロ波の、送信アンテナ111Aから板面211までの経路の距離L01、及び板面211から受信アンテナ113Aまでの経路の距離L02の和を、マイクロ波の伝送による遅延時間及び位相の少なくとも一方を使用して求め、面Sから金属板210の板面211までの距離Lを測定する。図1及びその他の図において、両矢印は金属板の移動方向を示す。金属板が両矢印の方向に移動すると、距離Lが変化する。
【0017】
図2は、従来のアンテナ方式の距離測定装置を示す図である。測定対象は、金属板の板面である。図2は、面S、及び金属板210の板面211に垂直な断面を示す。図2において、金属板210の板面211は、面Sに対して、角度θだけ傾斜している。この場合に、送信アンテナ111Aから放射され、板面211に反射されて、受信アンテナ113Aに到達するマイクロ波の、送信アンテナ111Aから板面211までの経路の距離L01’、及び板面211から受信アンテナ113Aまでの経路の距離L02’は、それぞれ図1の場合の距離L01、及び距離L02よりも小さくなる。したがって、演算器150Aによる距離の測定値は、図1の場合の測定値よりも小さくなる。
【0018】
このように、従来のアンテナ方式の距離測定装置によれば、金属板210の板面211が、面Sに対して傾斜している場合に、面Sから金属板210の板面211までの距離の測定値は板面211の傾斜角度によって変化する。したがって、従来のアンテナ方式の距離測定装置は、面Sから金属板210の板面211までの距離Lの変化と、金属板210の板面211の傾斜角度の変化と、を区別することができない。
【0019】
図3は、従来のアンテナ方式の距離測定装置を示す図である。測定対象は、金属板の板幅方向の端部である。図3において、面Sは、金属板220の板面221に垂直に設置されており、図3は、面S、及び金属板220の板面221に垂直な断面を示す。さらに、図3において、送信アンテナ111Aの開口面及び受信アンテナ113Aの開口面は、金属板220が基準位置にある場合に、面S上の2個の開口面の中心を通り面Sに垂直な直線Aが、金属板220の板厚方向の中心を通るように設置される。すなわち、送受信アンテナの2個の開口面は、2個の開口面の中心が金属板220の板幅方向の端部223に対向するように設置される。送信アンテナ111Aから放射された電磁波(マイクロ波)は、測定対象である金属板210の板幅方向の端部223に反射されて、受信アンテナ113Aに到達する。演算部150Aは、板面211に反射されて、受信アンテナ113Aに到達するマイクロ波の、送信アンテナ111Aから板幅方向の端部223までの経路の距離L01、及び板幅方向の端部223から受信アンテナ113Aまでの経路の距離L02の和を、マイクロ波の伝送による遅延時間及び位相の少なくとも一方を使用して求め、面Sから金属板210の板幅方向の端部223までの距離Lを測定する。
【0020】
図4は、従来のアンテナ方式の距離測定装置を示す図である。測定対象は、金属板の板幅方向の端部である。図4は、開口面S、及び金属板220の板面221に垂直な断面を示す。図4において、金属板220は、面Sの2個の開口面の中心を通り面Sに垂直な直線Aから垂直方向に、かつ上方に距離Xだけ離れた場所に位置する。すなわち、金属板220の位置は、基準位置から垂直方向に、かつ上方にXだけ変位している。この場合に、板幅方向の端部223に反射されて、受信アンテナ113Aに到達するマイクロ波の、送信アンテナ111Aから板幅方向の端部223までの経路の距離L01’、及び板幅方向の端部223から受信アンテナ113Aまでの経路の距離L02’は、それぞれ図1の場合の距離L01、及び距離L02よりも大きくなる。したがって、演算器150Aによる距離の測定値は、図3の場合の測定値よりも大きくなる。
【0021】
このように、従来のアンテナ方式の距離測定装置によれば、金属板220が基準位置から直線Aの垂直方向、すなわち板面221の垂直方向に変位している場合に、面Sから金属板220の板幅方向の端部223までの距離の測定値が板面の垂直方向の変位の大きさによって変化する。したがって、従来のアンテナ方式の距離測定装置は、面Sから金属板210の板幅方向の端部223までの距離Lの変化と、金属板の、板面の垂直方向の変位の変化と、を区別することができない。
【0022】
図5は、本発明の一実施形態のアンテナ方式の位置・姿勢測定装置を示す図である。測定対象は、金属板210の板面、または金属板220の板幅方向の端部である。図5においては、測定対象が板面211である金属板210と、測定対象が板幅方向の端部223である金属板220と、が同時に示されている。図5に示すように、位置・姿勢測定装置は、送信アンテナ111、第1の受信アンテナ113、第2の受信アンテナ115、及び演算部150を含む。図5において、3個の送受信アンテナの開口面は単一平面上にあり、この面を面Sと呼称する。面Sは、金属板210が基準位置にある場合に、金属板210の板面211に平行に設置されており、図5は、面S、及び金属板210の板面211に垂直な断面を示す。また、図5において、送受信アンテナの面Sは、金属板220の板面221に垂直に設置されており、図5は、面S、及び金属板220の板面221に垂直な断面を示す。さらに、図5において、送受信アンテナの3個の開口面は、金属板220が基準位置にある場合に、3個の開口面の中心を通り面Sに垂直な直線Aが、金属板220の板厚方向の中心を通るように設置される。面Sと直線Aとの交点を原点Oとし、原点Oから直線Aに沿って板面211の方向に延びるz軸を定める。また、図5において、原点Oから上方に延びるx軸と原点Oから紙面の垂直方向に延びるy軸とを、面S内に定める。図5の演算部150については後で説明する。
【0023】
送信アンテナ111、第1の受信アンテナ113、及び第2の受信アンテナ115は、角錐ホーンアンテナである。一例として、アンテナによって送信され受信されるマイクロ波の周波数は10GHzである。
【0024】
図6は、送信アンテナ111、第1の受信アンテナ113、及び第2の受信アンテナ115の開口面を示す図である。開口面は矩形であり、一例として、長辺は123mm、短辺は96mmである。送信アンテナ111、第1の受信アンテナ113、及び第2の受信アンテナ115の開口面の中心位置C1、C2、及びC3は、直線上に配置される。C1及びC2間の距離、ならびにC1及びC3間の距離をaで表す。一例として、aは125mmである。中心位置C1は原点Oと一致する。上記の直線を基準線Bと呼称する。基準線Bはx軸と一致する。本実施形態において、第1の受信アンテナ113、送信アンテナ111、及び第2の受信アンテナ115の開口面は、x方向に上記の順序で互いに近接して配置される。
【0025】
図7は、送信アンテナ111、第1の受信アンテナ113、及び第2の受信アンテナ115のxz面内の指向性を絶対利得で示す図である。メイン・ローブの大きさは19.2dB、メイン・ローブの方向はz軸の方向である。指向角(半値角)は、18.9度である。指向角は、マイクロ波の大きさがピークを基準として−3dB以上である範囲に相当する。図7において、指向角を点線で示した。また、サイド・ローブの大きさは、メイン・ローブの大きさを基準として−30.5dBである。図7において、サイド・ローブの大きさを二点鎖線で示した。
【0026】
図8は、送信アンテナ111、第1の受信アンテナ113、及び第2の受信アンテナ115のyz面内の指向性を絶対利得で示す図である。メイン・ローブの大きさは19.2dB、メイン・ローブの方向はz軸の方向である。指向角(半値角)は、18.8度である。指向角は、マイクロ波の大きさがピークを基準として−3dB以上である範囲に相当する。図8において、指向角を点線で示した。また、サイド・ローブの大きさは、メイン・ローブの大きさを基準として−11.1dBである。図8において、サイド・ローブの大きさを二点鎖線で示した。
【0027】
図9は、送信アンテナ111、第1の受信アンテナ113、及び第2の受信アンテナ115のx軸及びz軸を含む断面を示す図である。上述のように、x軸は、直線Bと一致し、z軸は、直線Aと一致する。図9において、斜線で示した領域は、測定対象によって反射されたマイクロ波のうち、第1の受信アンテナ113が有効に受け取ることができるマイクロ波のz軸を基準とした角度の範囲を示す。z軸を基準とした角度の範囲は、約±12.5度である。第1の受信アンテナ113は、z軸を基準とした角度が、約±12.5度の範囲で開口面に入射するマイクロ波を有効に受け取ることができる。しかし、第1の受信アンテナ113は、測定対象である金属板210の板面211のうち斜線で示した領域に接する領域R3以外の領域で反射されたマイクロ波を有効に受け取ることができない。同様に、第2の受信アンテナ115は、z軸を基準とした角度が、約±12.5度の範囲で開口面に入射するマイクロ波を有効に受け取ることができる。しかし、第2の受信アンテナ115は、測定対象である金属板210の板面211のうち、測定対象によって反射されたマイクロ波のうち、第2の受信アンテナ115が有効に受け取ることができるマイクロ波のz軸を基準とした角度の範囲を示す領域に接する領域R5以外の領域で反射されたマイクロ波を有効に受け取ることができない。他方、送信アンテナ111は、z軸を基準とした角度が、約±12.5度の範囲に有効にマイクロ波を放射することができる。しかし、送信アンテナ111は、測定対象である金属板210の板面211のうち、放射することができるマイクロ波のz軸を基準とした角度の範囲を示す領域に接する領域R1以外の領域に有効にマイクロ波を放射することができない。結局、本実施形態のアンテナ方式の位置・姿勢測定装置の測定可能範囲は、測定対象である金属板210の板面211のうち、領域R1と領域R3と領域R5とが重なる領域Rである。
【0028】
本実施形態の測定装置では、ピークを基準として−6dB以上の大きさのマイクロ波まで処理することができる。したがって、処理可能な角度範囲は、上述のように約±12.5度であり、指向角よりも大きい。図7及び図8において本実施形態の測定装置の処理可能な角度範囲を一点鎖線で示した。一般的に、本発明において使用される送受信アンテナの指向角は、18度から30度の範囲であるのが好ましい。
【0029】
最初に、測定対象が金属板の板面である場合について説明する。
【0030】
図10は、測定対象である金属板210の板面211が面Sと平行である場合に、送受信アンテナと板との配置を示す図である。図10は、面S、及び金属板210の板面211に垂直な断面を示す。この場合に、送信アンテナ111から放射され、板面211に反射されて、第1の受信アンテナ113に到達するマイクロ波の、送信アンテナ111から板面211までの経路の距離L01、及び板面211から第1の受信アンテナ113までの経路の距離L02の和L01+L02は、送信アンテナ111から放射され、板面211に反射されて、第2の受信アンテナ115に到達するマイクロ波の、送信アンテナ111から板面211までの経路の距離L03、及び板面211から第2の受信アンテナ115までの経路の距離L04の和L03+L04と等しい。
【0031】
図11は、測定対象である金属板210の板面211が、面Sとなす角度がθである場合に、送受信アンテナと板との配置を示す図である。図11は、面S、及び金属板210の板面211に垂直な断面を示す。この場合に、送信アンテナ111から放射され、板面211に反射されて、第1の受信アンテナ113に到達するマイクロ波の、送信アンテナ111から板面211までの経路の距離L01’、及び板面211から第1の受信アンテナ113までの経路の距離L02’の和L01’+L02’は、送信アンテナ111から放射され、板面211に反射されて、第2の受信アンテナ115に到達するマイクロ波の、送信アンテナ111から板面211までの経路の距離L03’、及び板面211から第2の受信アンテナ115までの経路の距離L04’の和L03’+L04’とは異なる。ここで、第1の受信アンテナ113によって、距離L01’+L02’を進行するマイクロ波の伝送による遅延時間及び位相の少なくとも一方を使用して測定される距離は、送信アンテナ111から放射され、板面211に反射されて、第1の受信アンテナ113に到達するマイクロ波が、板面211上で反射される点P3から、点P3において、板面211に垂直な直線と面Sとの交点までの距離Z1である。また、第2の受信アンテナ115によって、距離L03’+L04’を進行するマイクロ波の伝送による遅延時間及び位相の少なくとも一方を使用して測定される距離は、送信アンテナ111から放射され、板面211に反射されて、第2の受信アンテナ115に到達するマイクロ波が、板面211上で反射される点P5から、点P5において、板面211に垂直な直線と面Sとの交点までの距離Z2である。図11において、距離Lは、直線Aに沿った面Sから板面211までの距離を示す。距離Lを真距離とも呼称する。
【0032】
図5に示すように、演算部150は、送信部151、第1の受信部153、第2の受信部155、角度及びパス変動演算部157、及び真距離演算部159を含む。
【0033】
図12は、図11に示す場合において、演算部150が角度θ及び真距離Lを求める方法を示す流れ図である。
【0034】
図12のステップS1010において、送信部151が送信用のマイクロ波を生成し、送信アンテナ111に送る。第1の受信部153は、送信アンテナ111から放射され、測定対象に反射された後、第1の受信アンテナ113によって受け取られたマイクロ波の信号を第1の受信アンテナ113から受け取る。第1の受信部153は、第1の受信アンテナ113から受け取ったマイクロ波の伝送による遅延時間及び位相の少なくとも一方を使用して距離Z1を求める。第2の受信部155は、送信アンテナ111から放射され、測定対象に反射された後、第2の受信アンテナ115によって受け取られたマイクロ波の信号を第2の受信アンテナ115から受け取る。第2の受信部155は、第2の受信アンテナ115から受け取ったマイクロ波の伝送による遅延時間及び位相の少なくとも一方を使用して距離Z2を求める。マイクロ波の伝送による遅延時間及び位相の少なくとも一方を使用して距離を求める方法は、たとえば、WO2009/050831A1に詳細に記載されている。
【0035】
図12のステップS1020において、角度及びパス変動演算部157が距離Z1及び距離Z2から角度θを求める。図11において、以下の関係が成立する。
【数1】
【0036】
ここでaは、上述のように、図6におけるC1及びC2間の距離、またはC1及びC3間の距離を表す。また、角度θは、z軸を基準として時計回りの角度である。上記の式から以下の式が導かれる。
【数2】
したがって、距離Z1及び距離Z2から角度θを求めることができる。
【0037】
図12のステップS1030において、角度及びパス変動演算部157が、距離Z1または距離Z2、及び角度θから真距離Lを求める。図11において、以下の関係が成立する。
【数3】
上記の式から以下の式が導かれる。
【数4】
したがって、距離Z1または距離Z2及び角度θから真距離Lを求めることができる。
【0038】
図13は、真距離Lが1000ミリメータの場合に、角度θと測定された距離Z1及びZ2との関係を示す図である。図13の横軸は角度θを示す。角度の単位は度である。図13の縦軸は測定された距離及びZ1−Z2を示す。測定された距離及びZ1−Z2の単位はミリメータである。
【0039】
図14は、真距離Lが1500ミリメータの場合に、角度θと測定された距離Z1及びZ2との関係を示す図である。図13の横軸は角度θを示す。角度の単位は度である。図13の縦軸は測定された距離及びZ1−Z2を示す。測定された距離及びZ1−Z2の単位はミリメータである。
【0040】
つぎに、測定対象が金属板の板幅方向の端部である場合について説明する。
【0041】
図15は、金属板220の板厚方向(x軸方向)の中心位置のx座標が0である場合に、送受信アンテナと板との配置を示す図である。図15は、面S、及び金属板220の板面221に垂直な断面を示す。この場合に、送信アンテナ111から放射され、金属板220の板幅方向の端部223に反射されて、第1の受信アンテナ113に到達するマイクロ波の、送信アンテナ111から金属板220の板幅方向の端部223までの経路の距離L01、及び金属板220の板幅方向の端部223から第1の受信アンテナ113までの経路の距離L02の和L01+L02は、送信アンテナ111から放射され、金属板220の板幅方向の端部223に反射されて、第2の受信アンテナ115に到達するマイクロ波の、送信アンテナ111から金属板220の板幅方向の端部223までの経路の距離L03、及び金属板220の板幅方向の端部223から第2の受信アンテナ115までの経路の距離L04の和L03+L04と等しい。
【0042】
図16は、金属板220の板厚方向の中心位置のx座標がXである場合に、送受信アンテナと板との配置を示す図である。図16は、面S、及び金属板220の板面221に垂直な断面を示す。この場合に、送信アンテナ111から放射され、金属板220の板幅方向の端部223に反射されて、第1の受信アンテナ113に到達するマイクロ波の、金属板220の板幅方向の端部223から第1の受信アンテナ113までの経路の距離L02’は、送信アンテナ111から放射され、金属板220の板幅方向の端部223に反射されて、第2の受信アンテナ115に到達するマイクロ波の、金属板220の板幅方向の端部223から第2の受信アンテナ115までの経路の距離L04’と異なる。ここで、送信アンテナ111から放射され、金属板220の板幅方向の端部223に反射されて、第1の受信アンテナ113に到達するマイクロ波の、送信アンテナ111から金属板220の板幅方向の端部223までの経路の距離L01’=L03’と、距離L02’との和をRx1で表し、距離L01’=L03’と、距離L04’との和をRx2で表す。図16に示す場合に、距離をRx1と距離をRx2とは異なる。図16において、距離Lは、直線A(z軸)に沿った面Sから金属板220の板幅方向の端部223までの距離を示す。距離Lを真距離とも呼称する。
【0043】
図17は、図16に示す場合において、演算部150がx座標X及び真距離Lを求める方法を示す流れ図である。
【0044】
図17のステップS2010において、送信部151が送信用のマイクロ波を生成し、送信アンテナ111に送る。第1の受信部153は、送信アンテナ111から放射され、測定対象に反射された後、第1の受信アンテナ113によって受け取られたマイクロ波の信号を第1の受信アンテナ113から受け取る。第1の受信部153は、第1の受信アンテナ113から受け取ったマイクロ波の伝送による遅延時間及び位相の少なくとも一方を使用して距離Rx1を求める。第2の受信部155は、送信アンテナ111から放射され、測定対象に反射された後、第2の受信アンテナ115によって受け取られたマイクロ波の信号を第2の受信アンテナ115から受け取る。第2の受信部155は、第2の受信アンテナ115から受け取ったマイクロ波の伝送による遅延時間及び位相の少なくとも一方を使用して距離Rx2を求める。マイクロ波の伝送による遅延時間及び位相の少なくとも一方を使用して距離を求める方法は、たとえば、WO2009/050831A1に詳細に記載されている。
【0045】
図17のステップS2020において、角度及びパス変動演算部157が距離Rx1及び距離Rx2からx座標Xを求める。
【0046】
図16から以下の関係が得られる。
【数5】
式(1)および式(2)をLについて整理すると以下の式が得られる。
【数6】
さらに、式(3)及び式(4)からLを消去して、Xの2次方程式の形に整理して、その解Xを求めると以下の式が得られる。
【数7】
したがって、式(5)を使用して、距離Rx1及び距離Rx2からx座標Xを求めることができる。
【0047】
図17のステップS2030において、角度及びパス変動演算部157が、式(3)または式(4)を使用して、距離Rx1、または距離Rx2及びx座標Xから真距離Lを求める。
【0048】
図18は、真距離Lが500ミリメータの場合に、x座標Xと測定された距離Rx1及びRx2との関係を示す図である。図18の横軸はx座標Xを示す。x座標Xの単位はミリメータである。図18の縦軸は測定された距離を示す。測定された距離の単位はミリメータである。X=0のときにRx1=Rx2=508ミリメータである。
【0049】
図19は、真距離Lが1000ミリメータの場合に、x座標Xと測定された距離Rx1及びRx2との関係を示す図である。図19の横軸はx座標Xを示す。x座標Xの単位はミリメータである。図19の縦軸は測定された距離を示す。測定された距離の単位はミリメータである。X=0のときにRx1=Rx2=1004ミリメータである。
【0050】
図20は、真距離Lが1500ミリメータの場合に、x座標Xと測定された距離Rx1及びRx2との関係を示す図である。図20の横軸はx座標Xを示す。x座標Xの単位はミリメータである。図20の縦軸は測定された距離を示す。測定された距離の単位はミリメータである。X=0のときにRx1=Rx2=1503ミリメータである。
【0051】
つぎに、金属板の反りの測定について説明する。
【0052】
図21は、図5に示した位置・姿勢測定装置によって、金属板の反りを測定する方法を説明するための図である。図21において、たとえば、矯正ローラを310で示す。反りを有する金属板230は、反りを減少または除去するために矯正ローラ310で処理される。矯正ローラ310入側または出側のライン上に図5に示した位置・姿勢測定装置が設置される。位置・姿勢測定装置の3個の送受信アンテナの開口面を含む面Sは、ラインに置かれた反りのない金属板の板面と平行となるように設置される。すなわち、図21において面Sは、水平に設置される。図12に示した方法によって、板面231の送受信アンテナに対向する箇所の法線の鉛直方向に対する角度θが求まる。角度θは、板面231の送受信アンテナに対向する箇所の水平方向に対する角度であり、大まかに板面231の反りを表す。したがって、角度θを求めることにより金属板の反りを測定することができる。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】

【手続補正書】
【提出日】20200204
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図5】
【国際調査報告】