(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2018235936
(43)【国際公開日】20181227
【発行日】20190808
(54)【発明の名称】ヒートパイプ
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/04 20060101AFI20190712BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   !F28D15/04 G
   !F28D15/02 102H
   !F28D15/04 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】2019525701
(21)【国際出願番号】JP2018023768
(22)【国際出願日】20180622
(31)【優先権主張番号】2017122778
(32)【優先日】20170623
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 義勝
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 古河電気工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 信一
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 古河電気工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和也
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 古河電気工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】引地 秀太
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 古河電気工業株式会社内
(57)【要約】
本発明は、寒冷地においてコンテナの長手方向が重力方向に対して略平行に設置されても、作動流体の凍結を抑制することで、薄型形状のコンテナであっても、その変形を防止でき、また、優れた熱輸送特性を有するヒートパイプを提供することを目的とする。
両端部が封止された管形状を有するコンテナと、該コンテナ内に収納されたウィック構造体と、該コンテナ内に封入された作動流体と、を備えたヒートパイプであり、前記コンテナの長手方向に垂直な断面の少なくとも一断面において、前記ウィック構造体は、前記コンテナの内面の2箇所において接し、且つ前記ウィック構造体の両側面は前記コンテナのどの内面にも接しておらず、前記ウィック構造体の接していない前記コンテナの内面に、金属焼結体層が形成されているヒートパイプ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部が封止された管形状を有するコンテナと、
該コンテナ内に収納されたウィック構造体と、
該コンテナ内に封入された作動流体と、
を備えたヒートパイプであり、
前記コンテナの長手方向に垂直な断面の少なくとも一断面において、前記ウィック構造体は、前記コンテナの内面の2箇所において接し、且つ前記ウィック構造体の両側面は前記コンテナのどの内面にも接しておらず、
前記ウィック構造体の接していない前記コンテナの内面に、金属焼結体層が形成されているヒートパイプ。
【請求項2】
前記コンテナの長手方向に垂直な断面の、少なくとも一部が扁平加工されている請求項1に記載のヒートパイプ。
【請求項3】
少なくとも一部が扁平加工されている前記断面において、前記ウィック構造体が、平坦な底辺部と凸形状の凸状上辺部を有し、前記凸状上辺部が、対向した内面のうちの一方の内面と接し、前記底辺部が他方の内面と接している請求項2に記載のヒートパイプ。
【請求項4】
両端部が封止された管形状を有し、長手方向に垂直な断面において上下方向に相互に対向している内面のペアを有する扁平型コンテナと、
該扁平型コンテナ内に収納されたウィック構造体と、
該扁平型コンテナ内に封入された作動流体と、
を備えたヒートパイプであり、
前記扁平型コンテナの前記長手方向に垂直な断面の少なくとも一断面において、前記ウィック構造体は、前記扁平型コンテナの前記内面のペアの両方に接し、且つ前記ウィック構造体の両側面は前記扁平型コンテナのどの内面にも接しておらず、
前記ウィック構造体の接していない前記扁平型コンテナの内面に、金属焼結体層が形成されているヒートパイプ。
【請求項5】
前記少なくとも一断面において、前記ウィック構造体の断面が、平坦な底辺部と凸形状の凸状上辺部を有し、前記凸状上辺部が、対向した前記内面のペアのうちの一方の内面と接し、前記底辺部が他方の内面と接している請求項4に記載のヒートパイプ。
【請求項6】
前記金属焼結体層の厚さ/前記コンテナの肉厚の値が、30%〜130%であり、(前記コンテナに接し且つ前記金属焼結体層の厚さに対応した前記ウィック構造体の領域の断面積+前記金属焼結体層の断面積)/(前記ウィック構造体の断面積+前記金属焼結体層の断面積)の値が、45%〜95%である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のヒートパイプ。
【請求項7】
前記ウィック構造体が、金属焼結体である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のヒートパイプ。
【請求項8】
両端部が封止された管形状を有するコンテナと、
該コンテナ内に収納されたウィック構造体と、
該コンテナ内に封入された作動流体と、
を備えたヒートパイプであり、
前記コンテナの長手方向に垂直な断面の少なくとも一断面において、前記ウィック構造体は、上下方向に配置された第1のウィック構造部と第2のウィック構造部からなり、
前記第1のウィック構造部は、前記コンテナの内面の1箇所において接し、且つ前記第1のウィック構造部の両側面は前記コンテナのどの内面にも接しておらず、前記第2のウィック構造部は、前記コンテナの内面の他の1箇所において接し、且つ前記第2のウィック構造部の両側面は前記コンテナのどの内面にも接しておらず、
前記ウィック構造体の接していない前記コンテナの内面に、金属焼結体層が形成されているヒートパイプ。
【請求項9】
前記第1のウィック構造部は、前記第2のウィック構造部と接している請求項8に記載のヒートパイプ。
【請求項10】
前記コンテナの長手方向に垂直な断面の、少なくとも一部が扁平加工されている請求項8または9に記載のヒートパイプ。
【請求項11】
少なくとも一部が扁平加工されている前記断面において、前記第1のウィック構造部が、凸形状の凸状底辺部と上辺部を有し、前記第2のウィック構造部が、平坦な底辺部と凸形状の凸状上辺部を有し、前記第1のウィック構造部の凸状底辺部が、前記第2のウィック構造部の凸状上辺部と接し、前記第1のウィック構造部の上辺部が、対向した内面のうちの一方の内面と接し、前記第2のウィック構造部の平坦な底辺部が、他方の内面と接している請求項10に記載のヒートパイプ。
【請求項12】
両端部が封止された管形状を有し、長手方向に垂直な断面において上下方向に相互に対向している内面のペアを有する扁平型コンテナと、
該扁平型コンテナ内に収納されたウィック構造体と、
該扁平型コンテナ内に封入された作動流体と、
を備えたヒートパイプであり、
前記扁平型コンテナの前記長手方向に垂直な断面の少なくとも一断面において、前記ウィック構造体は、上下方向に配置された第1のウィック構造部と第2のウィック構造部からなり、前記第1のウィック構造部は、前記扁平型コンテナの前記内面のペアのうちの一方の内面及び前記第2のウィック構造部とそれぞれ接し、且つ前記第1のウィック構造部の両側面は前記扁平型コンテナのどの内面にも接しておらず、前記第2のウィック構造部は、前記扁平型コンテナの前記内面のペアのうちの他方の内面と接し、且つ前記第2のウィック構造部の両側面は前記扁平型コンテナのどの内面にも接しておらず、
前記ウィック構造体の接していない前記扁平型コンテナの内面に、金属焼結体層が形成されているヒートパイプ。
【請求項13】
前記少なくとも一断面において、前記第1のウィック構造部の断面が、凸形状の凸状底辺部と平坦な上辺部を有し、前記第2のウィック構造部の断面が、平坦な底辺部と凸形状の凸状上辺部を有し、前記第1のウィック構造部の凸状底辺部が、前記第2のウィック構造体の凸状上辺部と接し、前記第1のウィック構造部の平坦な上辺部が、前記一方の内面と接し、前記第2のウィック構造部の平坦な底辺部が、前記他方の内面と接している請求項12に記載のヒートパイプ。
【請求項14】
前記金属焼結体層の厚さ/前記コンテナの肉厚の値が、30%〜130%であり、(前記コンテナに接し且つ前記金属焼結体層の厚さに対応した前記ウィック構造体の領域の断面積+前記金属焼結体層の断面積)/(前記ウィック構造体の断面積+前記金属焼結体層の断面積)の値が、45%〜95%である請求項8乃至13のいずれか1項に記載のヒートパイプ。
【請求項15】
前記ウィック構造体が、金属焼結体である請求項8乃至14のいずれか1項に記載のヒートパイプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な最大熱輸送量を有し、さらには熱抵抗の小さい、優れた熱輸送特性を有する薄型形状のヒートパイプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気・電子機器に搭載されている半導体素子等の電子部品は、高機能化に伴う高密度搭載等により、発熱量が増大し、その冷却がより重要となっている。電子部品の冷却方法として、ヒートパイプが使用されることがある。
【0003】
また、上記電子部品の高密度搭載等によるヒートパイプの設置場所の狭小化や上記電子部品の薄型化等から、扁平型ヒートパイプの使用が要求されることがある。扁平型ヒートパイプは、薄型化のために、コンテナの肉厚を薄くすることがある。
【0004】
一方で、ヒートパイプは寒冷地で使用されることがある。ヒートパイプを寒冷地に設置すると、コンテナに封入されている作動流体が凍結して、円滑にヒートパイプが稼働しない場合がある。そこで、複数のヒートパイプのうちの少なくとも1本の作動流体の量を他のヒートパイプの作動流体の量の35〜65%としたヒートパイプ式冷却器により、作動流体が凍結した場合には、まず、作動流体の量が少なくて熱容量の小さいヒートパイプの作動流体を融解させることで、起動に要する時間を短縮することが提案されている(特許文献1)。
【0005】
しかし、特許文献1では、依然として、寒冷地において作動流体は凍結しやすいので、作動流体の凍結時に体積が膨張して、薄型のコンテナが変形、破壊してしまう場合があるという問題があった。また、コンテナが変形してしまうと、ヒートパイプの周囲に配置された液晶やバッテリ等、他の部材に当たって損傷させてしまう場合があるという問題があった。さらに、薄型のコンテナを用いた扁平型ヒートパイプでは、コンテナ内部のクリアランスが狭小なので、作動流体の凍結による体積膨張により、コンテナの変形、破壊がより顕著になってしまう場合があるという問題、扁平型ヒートパイプの長手方向が重力方向に対して略平行に設置されると液相の作動流体がコンテナの底部に溜まりやすくなるので、やはり、作動流体の凍結による体積膨張により、コンテナの変形、破壊がより顕著になってしまう場合があるという問題があった。
【0006】
一方で、作動流体の凍結を防止するために不凍液を使用したり、作動流体の凍結によるコンテナの変形、破壊を防止するためにコンテナの肉厚を厚くすると、ヒートパイプの熱輸送特性が低下してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−274487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、寒冷地においてコンテナの長手方向が重力方向に対して略平行に設置されても、作動流体の凍結を抑制することで、薄型形状のコンテナであっても、その変形を防止でき、また、優れた熱輸送特性を有するヒートパイプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様は、両端部が封止された管形状を有するコンテナと、該コンテナ内に収納されたウィック構造体と、該コンテナ内に封入された作動流体と、を備えたヒートパイプであり、前記コンテナの長手方向に垂直な断面の少なくとも一断面において、前記ウィック構造体は、前記コンテナの内面の2箇所において接し、且つ前記ウィック構造体の両側面は前記コンテナのどの内面にも接しておらず、前記ウィック構造体の接していない前記コンテナの内面に、金属焼結体層が形成されているヒートパイプである。
【0010】
本発明の態様は、前記コンテナの長手方向に垂直な断面の、少なくとも一部が扁平加工されているヒートパイプである。
【0011】
本発明の態様は、少なくとも一部が扁平加工されている前記断面において、前記ウィック構造体が、平坦な底辺部と凸形状の凸状上辺部を有し、前記凸状上辺部が、対向した内面のうちの一方の内面と接し、前記底辺部が他方の内面と接しているヒートパイプである。
【0012】
本発明の態様は、両端部が封止された管形状を有し、長手方向に垂直な断面において上下方向に相互に対向している内面のペアを有する扁平型コンテナと、該扁平型コンテナ内に収納されたウィック構造体と、該扁平型コンテナ内に封入された作動流体と、を備えたヒートパイプであり、前記扁平型コンテナの前記長手方向に垂直な断面の少なくとも一断面において、前記ウィック構造体は、前記扁平型コンテナの前記内面のペアの両方に接し、且つ前記ウィック構造体の両側面は前記扁平型コンテナのどの内面にも接しておらず、前記ウィック構造体の接していない前記扁平型コンテナの内面に、金属焼結体層が形成されているヒートパイプである。
【0013】
上記態様では、扁平型コンテナの内面は、ウィック構造体に接した部位と、金属焼結体層が形成されている部位とを有している。
【0014】
本発明の態様は、前記少なくとも一断面において、前記ウィック構造体の断面が、平坦な底辺部と凸形状の凸状上辺部を有し、前記凸状上辺部が、対向した前記内面のペアのうちの一方の内面と接し、前記底辺部が他方の内面と接しているヒートパイプである。
【0015】
本発明の態様は、前記金属焼結体層の厚さ/前記コンテナの肉厚の値が、30%〜130%であり、(前記コンテナに接し且つ前記金属焼結体層の厚さに対応した前記ウィック構造体の領域の断面積+前記金属焼結体層の断面積)/(前記ウィック構造体の断面積+前記金属焼結体層の断面積)の値が、45%〜95%であるヒートパイプである。
【0016】
本発明の態様は、前記ウィック構造体が、金属焼結体であるヒートパイプである。
【0017】
本発明の態様は、両端部が封止された管形状を有するコンテナと、該コンテナ内に収納されたウィック構造体と、該コンテナ内に封入された作動流体と、を備えたヒートパイプであり、前記コンテナの長手方向に垂直な断面の少なくとも一断面において、前記ウィック構造体は、上下方向に配置された第1のウィック構造部と第2のウィック構造部からなり、前記第1のウィック構造部は、前記コンテナの内面の1箇所において接し、且つ前記第1のウィック構造部の両側面は前記コンテナのどの内面にも接しておらず、前記第2のウィック構造部は、前記コンテナの内面の他の1箇所において接し、且つ前記第2のウィック構造部の両側面は前記コンテナのどの内面にも接しておらず、前記ウィック構造体の接していない前記コンテナの内面に、金属焼結体層が形成されているヒートパイプである。
【0018】
本発明の態様は、前記第1のウィック構造部は、前記第2のウィック構造部と接しているヒートパイプである。
【0019】
本発明の態様は、前記コンテナの長手方向に垂直な断面の、少なくとも一部が扁平加工されているヒートパイプである。
【0020】
本発明の態様は、少なくとも一部が扁平加工されている前記断面において、前記第1のウィック構造部が、凸形状の凸状底辺部と上辺部を有し、前記第2のウィック構造部が、平坦な底辺部と凸形状の凸状上辺部を有し、前記第1のウィック構造部の凸状底辺部が、前記第2のウィック構造部の凸状上辺部と接し、前記第1のウィック構造部の上辺部が、対向した内面のうちの一方の内面と接し、前記第2のウィック構造部の平坦な底辺部が、他方の内面と接しているヒートパイプである。
【0021】
本発明の態様は、両端部が封止された管形状を有し、長手方向に垂直な断面において上下方向に相互に対向している内面のペアを有する扁平型コンテナと、該扁平型コンテナ内に収納されたウィック構造体と、該扁平型コンテナ内に封入された作動流体と、を備えたヒートパイプであり、前記扁平型コンテナの前記長手方向に垂直な断面の少なくとも一断面において、前記ウィック構造体は、上下方向に配置された第1のウィック構造部と第2のウィック構造部からなり、前記第1のウィック構造部は、前記扁平型コンテナの前記内面のペアのうちの一方の内面及び前記第2のウィック構造部とそれぞれ接し、且つ前記第1のウィック構造部の両側面は前記扁平型コンテナのどの内面にも接しておらず、前記第2のウィック構造部は、前記扁平型コンテナの前記内面のペアのうちの他方の内面と接し、且つ前記第2のウィック構造部の両側面は前記扁平型コンテナのどの内面にも接しておらず、前記ウィック構造体の接していない前記扁平型コンテナの内面に、金属焼結体層が形成されているヒートパイプである。
【0022】
上記態様では、扁平型コンテナの内面は、第1のウィック構造部または第2のウィック構造部に接した部位と、金属焼結体層が形成されている部位とを有している。
【0023】
本発明の態様は、前記少なくとも一断面において、前記第1のウィック構造部の断面が、凸形状の凸状底辺部と平坦な上辺部を有し、前記第2のウィック構造部の断面が、平坦な底辺部と凸形状の凸状上辺部を有し、前記第1のウィック構造部の凸状底辺部が、前記第2のウィック構造体の凸状上辺部と接し、前記第1のウィック構造部の平坦な上辺部が、前記一方の内面と接し、前記第2のウィック構造部の平坦な底辺部が、前記他方の内面と接しているヒートパイプである。
【0024】
本発明の態様は、前記金属焼結体層の厚さ/前記コンテナの肉厚の値が、30%〜130%であり、(前記コンテナに接し且つ前記金属焼結体層の厚さに対応した前記ウィック構造体の領域の断面積+前記金属焼結体層の断面積)/(前記ウィック構造体の断面積+前記金属焼結体層の断面積)の値が、45%〜95%であるヒートパイプである。
【0025】
本発明の態様は、前記ウィック構造体が、金属焼結体であるヒートパイプである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の態様によれば、ウィック構造体の接していない前記コンテナの内面に、金属焼結体層が形成されていることにより、液相の作動流体が金属焼結体層により分散されて、寒冷地においてコンテナの長手方向が重力方向に対して略平行に設置されても作動流体の凍結を抑制できる。このように、寒冷地においてコンテナの長手方向が重力方向に対して略平行に設置されても作動流体の凍結を抑制できるので、薄型形状の肉厚の薄いコンテナであっても変形を防止できる。また、不凍液を使用する必要はなく、肉厚の薄いコンテナを使用できるので、優れた熱輸送特性を発揮する。さらに、コンテナの長手方向が重力方向に対して略平行に設置されても作動流体の凍結を抑制できるので、ヒートパイプの設置姿勢の自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態例に係るヒートパイプの断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態例に係るヒートパイプの断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態例に係るヒートパイプの断面図である。
【図4】本発明の第4実施形態例に係るヒートパイプの断面図である。
【図5】本発明の第5実施形態例に係るヒートパイプの断面図である。
【図6】本発明の第6実施形態例に係るヒートパイプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の第1実施形態例に係るヒートパイプについて、図面を用いながら説明する。
【0029】
図1に示すように、第1実施形態例に係るヒートパイプ1は、一方の平坦な内面11と一方の平坦な内面11に対向した他方の平坦な内面12とを有する管形状の扁平型コンテナ10と、他方の平坦な内面12に配設されたウィック構造体21と、扁平型コンテナ10に封入された作動流体(図示せず)とを備えている。
【0030】
扁平型コンテナ10は、一方の平坦な内面11と、一方の平坦な内面11に対向した他方の平坦な内面12と、一方の平坦な内面11と他方の平坦な内面12との間に形成された曲面部13、13’と、を有する密閉された直線状の管材であり、長手方向に対して直交方向(すなわち、長手方向に垂直)の断面形状が、扁平形状となっている。すなわち、扁平型コンテナ10は、長手方向に垂直な断面おいて上下方向に相互に対向している平坦な内面のペアを有している。扁平型コンテナ10は、その長手方向の全域が扁平型となっている。また、扁平型コンテナ10は、長手方向に対して直交方向の内部空間の断面積は、いずれの部位も同一となっており、一方の平坦な内面11は、他方の平坦な内面12に対して略平行方向に形成されている。さらに、一方の平坦な内面11と他方の平坦な内面12との距離は、特に限定されないが、扁平型コンテナ10では1.5mm以下、特に1.0mm以下の薄型形状となっている。また、扁平型コンテナ10の肉厚は、特に限定されないが、例えば、50〜500μmである。ヒートパイプ1の熱輸送方向は、扁平型コンテナ10の長手方向である。ヒートパイプ1では、一方の平坦な内面11と他方の平坦な内面12との距離は、扁平型コンテナ10の長手方向全体に渡って、略同一となっている。
【0031】
ウィック構造体21は、他方の平坦な内面12から突出した凸形状の凸状上辺部である曲部22と平坦な底辺部23とを有し、底辺部23が他方の平坦な内面12の一部領域と接している。ヒートパイプ1では、底辺部23が他方の平坦な内面12に固着されている。また、ウィック構造体21は、扁平型コンテナ10の長手方向に対して直交方向(扁平型コンテナ10の断面)について、その略中央部に設けられている。ヒートパイプ1では、扁平型コンテナ10の長手方向に対して直交方向におけるウィック構造体21の断面形状は、略半楕円状となっている。
【0032】
ヒートパイプ1では、扁平型コンテナ10の他方の平坦な内面12のうちウィック構造体21の底辺部23と接していない領域、扁平型コンテナ10の一方の平坦な内面11のうちウィック構造体21の曲部22と接していない領域、及び扁平型コンテナ10の曲面部13、13’は、いずれも、金属焼結体層20が形成されている。すなわち、扁平型コンテナ10の内面のうち、ウィック構造体21と接していない領域は、金属焼結体層20で被覆されている。金属焼結体層20の内面(表面)は、扁平型コンテナ10の内部空間に対して露出している。
【0033】
ウィック構造体21は、曲部22が、扁平型コンテナ10の一方の平坦な内面11と接している。ヒートパイプ1では、曲部22の頂部が、一方の平坦な内面11と接している。また、曲部22の頂部が、一方の平坦な内面11に圧接された状態となっている。従って、曲部22の頂部は、圧縮されてつぶれた状態となっている。これにより、ウィック構造体21の毛細管圧力がさらに向上し、液相の作動流体をより円滑に還流させることができる。
【0034】
ウィック構造体21は、扁平型コンテナ10の一方の端部から他方の端部まで延在している。ウィック構造体21の、扁平型コンテナ10の長手方向に対して直交方向の最大幅は、扁平型コンテナ10の一方の端部、中央部、他方の端部のいずれにおいても、特に限定されないが、ヒートパイプ1では、一方の端部から他方の端部まで略同じ最大幅となっている。
【0035】
金属焼結体層20は、扁平型コンテナ10の一方の端部から他方の端部まで延在している。従って、金属焼結体層20は、扁平型コンテナ10の長手方向の全体に形成されている。また、金属焼結体層20の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.30mm以下である。扁平型コンテナ10の断面における、金属焼結体層20の厚さ/扁平型コンテナ10の肉厚の比率は、特に限定されないが、液相の作動流体の液溜まりを確実に防止する点から30%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、60%以上が特に好ましい。一方で、上記比率の上限値は、特に限定されないが、気相の作動流体の流通性の点から130%以下が好ましい。また、上記断面において、(扁平型コンテナ10に接し且つ金属焼結体層20の厚さに対応したウィック構造体21の領域(図1の符号aの領域)の断面積+金属焼結体層20の断面積)/(ウィック構造体21の断面積+金属焼結体層20の断面積)の比率は、特に限定されないが、液相の作動流体の液溜まりを確実に防止する点から45%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上が特に好ましい。一方で、上記比率の上限値は、特に限定されないが、気相の作動流体の流通性の点から95%以下が好ましい。
【0036】
ヒートパイプ1の扁平型コンテナ10の内面には、凹凸状の細溝が形成されていてもよい。扁平型コンテナ10の内面に凹凸状の細溝が形成されている場合には、扁平型コンテナ10の肉厚は、細溝の底部(凹部の底部)における肉厚であり、金属焼結体層20の厚さは、細溝の底部(凹部の底部)における厚さである。
【0037】
図1に示すように、扁平型コンテナ10の内部空間のうち、ウィック構造体21の配置されていない部位は、気相の作動流体の蒸気流路24となっている。つまり、一方の平坦な内面11のうちのウィック構造体21と接していない領域(すなわち、一方の平坦な内面11の金属焼結体層20表面)と、ウィック構造体21の曲部22表面と、他方の平坦な内面12のうちのウィック構造体21と接していない領域(すなわち、他方の平坦な内面12の金属焼結体層20表面)と、扁平型コンテナ10の曲面部13、13’(すなわち、曲面部13、13’の金属焼結体層20表面)から、蒸気流路24が形成されている。従って、蒸気流路24は、扁平型コンテナ10の長手方向に対して平行方向に延在している。また、蒸気流路24は、ウィック構造体21の両側に設けられている。
【0038】
扁平型コンテナ10の材質は、特に限定されず、例えば、熱伝導率に優れた点から銅、銅合金、軽量性の点からアルミニウム、アルミニウム合金、強度の改善の点からステンレス等を使用することができる。その他、使用状況に応じて、スズ、スズ合金、チタン、チタン合金、ニッケル及びニッケル合金等を用いてもよい。ウィック構造体21の材質は、特に限定されず、銅粉及びステンレス粉等の金属粉、カーボン粉、銅粉とカーボン粉との混合粉、上記粉体のナノ粒子、金属メッシュと金属粉を組み合わせた複合金属等の焼結体を使用することができる。焼結体は、上記粉体や複合金属を焼結して粉体を接合することにより製造でき、焼結によって、毛細管圧力を有する多孔質構造が形成される。金属焼結体層20の材質は、金属粉を含む粉体の焼結体であれば、特に限定されず、例えば、銅粉及びステンレス粉等の金属粉、銅粉とカーボン粉との混合粉、上記粉体のナノ粒子等の焼結体を使用することができる。
【0039】
また、扁平型コンテナ10に封入する作動流体としては、扁平型コンテナ10の材料との適合性に応じて、適宜選択可能であり、例えば、水、代替フロン、パーフルオロカーボン、シクロペンタン等を挙げることができる。
【0040】
次に、本発明の第1実施形態例に係るヒートパイプ1の熱輸送のメカニズムについて説明する。ヒートパイプ1が、受熱部にて熱的に接続された発熱体(図示せず)から受熱すると、受熱部にて作動流体が液相から気相へ相変化する。この気相の作動流体が、蒸気流路24を、扁平型コンテナ10の長手方向に受熱部から放熱部へと流れることで、発熱体からの熱が受熱部から放熱部へ輸送される。受熱部から放熱部へ輸送された発熱体からの熱は、熱交換手段の設けられた放熱部にて、気相の作動流体が液相へ相変化することで潜熱として放出される。放熱部にて放出された潜熱は、放熱部に設けられた熱交換手段(図示せず)によって、放熱部からヒートパイプ1の外部環境へ放出される。放熱部にて液相に相変化した作動流体は、ウィック構造体21に取り込まれ、ウィック構造体21の毛細管圧力によって、放熱部から受熱部へと返送される。
【0041】
第1実施形態例に係るヒートパイプ1では、ウィック構造体21の接していない扁平型コンテナ10の内面に金属焼結体層20が形成されていることにより、液相の作動流体が金属焼結体層20の毛細管力により分散、すなわち、金属焼結体層20により液相の作動流体の液溜まりが防止されるので、寒冷地においてコンテナの長手方向が重力方向に対して略平行に設置されても液相の作動流体の凍結を抑制できる。このように、寒冷地においてコンテナの長手方向が重力方向に対して略平行に設置されても液相の作動流体の凍結を抑制できるので、薄型形状の肉厚の薄い扁平型コンテナ10であっても、その変形や破壊を防止できる。また、第1実施形態例に係るヒートパイプ1では、作動流体として不凍液を使用する必要はなく、肉厚の薄い扁平型コンテナ10を使用できるので、優れた熱輸送特性を発揮できる。さらに、扁平型コンテナ10の長手方向が重力方向に対して略平行となるように設置されても作動流体の凍結を抑制できるので、ヒートパイプ1の設置姿勢の自由度が向上する。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態例に係るヒートパイプについて、図面を用いながら説明する。なお、第1実施形態例に係るヒートパイプと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0043】
第1実施形態例に係るヒートパイプでは、曲部と底辺部を有するウィック構造体21であって、曲部が扁平型コンテナの一方の平坦な内面と接し、底辺部が他方の平坦な内面と接していたが、これに代えて、図2に示すように、第2実施形態例に係るヒートパイプ2では、ウィック構造体21は、一方の平坦な内面11に配設された第1のウィック構造部21−1と、他方の平坦な内面12に配設された第2のウィック構造部21−2と、を有している。
【0044】
第1のウィック構造部21−1は、一方の平坦な内面11から突出した凸形状の凸状底辺部である第1の曲部22−1と平坦な上辺部23−1とを有し、平坦な上辺部23−1が一方の平坦な内面11の一部領域と接している。ヒートパイプ2では、平坦な上辺部23−1が一方の平坦な内面11に固着されている。また、第1のウィック構造部21−1は、扁平型コンテナ10の長手方向に対して直交方向(扁平型コンテナ10の断面)について、その略中央部に設けられている。ヒートパイプ2では、扁平型コンテナ10の長手方向に対して直交方向における第1のウィック構造部21−1の断面形状は、略半楕円状となっている。
【0045】
また、第2のウィック構造部21−2は、他方の平坦な内面12から突出しかつ凸形状の凸状底辺部である第1の曲部22−1と対向した、凸形状の凸状上辺部である第2の曲部22−2と平坦な底辺部23−2とを有し、平坦な底辺部23−2が他方の平坦な内面12の一部領域と接している。ヒートパイプ2では、平坦な底辺部23−2が他方の平坦な内面12に固着されている。また、第2のウィック構造部21−2は、扁平型コンテナ10の長手方向に対して直交方向について、その略中央部に設けられている。ヒートパイプ2では、扁平型コンテナ10の長手方向に対して直交方向における第2のウィック構造部21−2の断面形状は、略半楕円状となっている。
【0046】
ヒートパイプ2では、扁平型コンテナ10の一方の平坦な内面11のうち第1のウィック構造部21−1の平坦な上辺部23−1と接していない領域、扁平型コンテナ10の他方の平坦な内面12のうち第2のウィック構造部21−2の平坦な底辺部23−2と接していない領域、及び扁平型コンテナ10の曲面部13、13’は、いずれも、金属焼結体層20が形成されている。すなわち、扁平型コンテナ10の内面のうち、ウィック構造体21と接していない領域は、金属焼結体層20で被覆されている。金属焼結体層20の内面(表面)は、扁平型コンテナ10の内部空間に対して露出している。
【0047】
第1のウィック構造部21−1は、第1の曲部22−1が、第2のウィック構造部21−2の第2の曲部22−2と接している。ヒートパイプ2では、第1の曲部22−1の底部と第2の曲部22−2の頂部が、相互に接している。また、第1の曲部22−1の底部と第2の曲部22−2の頂部が、いずれも圧接された状態となっている。従って、第1の曲部22−1の底部と第2の曲部22−2の頂部は、圧縮されてつぶれた状態となっている。これにより、第1のウィック構造部21−1及び第2のウィック構造部21−2の毛細管圧力がさらに向上し、液相の作動流体をより円滑に還流させることができる。
【0048】
扁平型コンテナ10の断面における、金属焼結体層20の厚さ/扁平型コンテナ10の肉厚の比率は、特に限定されないが、液相の作動流体の液溜まりを確実に防止する点から30%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、60%以上が特に好ましい。一方で、上記比率の上限値は、特に限定されないが、気相の作動流体の流通性の点から130%以下が好ましい。また、上記断面において、(扁平型コンテナ10に接し且つ金属焼結体層20の厚さに対応したウィック構造体21の領域(図2の符号aの領域)の断面積+金属焼結体層20の断面積)/(ウィック構造体21の断面積+金属焼結体層20の断面積)の比率は、特に限定されないが、液相の作動流体の液溜まりを確実に防止する点から45%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上が特に好ましい。一方で、上記比率の上限値は、特に限定されないが、気相の作動流体の流通性の点から95%以下が好ましい。
【0049】
ヒートパイプ2の扁平型コンテナ10の内面には、凹凸状の細溝が形成されていてもよい。扁平型コンテナ10の内面に凹凸状の細溝が形成されている場合には、扁平型コンテナ10の肉厚は、細溝の底部(凹部の底部)における肉厚であり、金属焼結体層20の厚さは、細溝の底部(凹部の底部)における厚さである。
【0050】
第2実施形態例に係るヒートパイプ2でも、ウィック構造体21の接していない扁平型コンテナ10の内面に金属焼結体層20が形成されていることにより、液相の作動流体が金属焼結体層20の毛細管力により分散、すなわち、金属焼結体層20により液相の作動流体の液溜まりが防止されるので、寒冷地においても液相の作動流体の凍結を抑制できる。
【0051】
次に、本発明の第3実施形態例に係るヒートパイプについて、図面を用いながら説明する。なお、第1、第2実施形態例に係るヒートパイプと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0052】
第1実施形態例に係るヒートパイプのコンテナの断面形状は、対向した一方の平坦な内面と他方の平坦な内面を有する扁平型であったが、これに代えて、図3に示すように、第3実施形態例に係るヒートパイプ3では、コンテナ10の断面形状は、平坦部と半楕円状の部位とからなる扁平形状となっている。
【0053】
すなわち、ヒートパイプ3では、コンテナ10の長手方向に垂直な断面について、その一部の領域だけが扁平加工されている。前記断面のうち、扁平加工された領域が他方の平坦な内面を形成し、扁平加工されていない領域が、他方の平坦な内面と対向する略半楕円形状の一方の内面となっている。
【0054】
ウィック構造体21は、扁平加工された他方の平坦な内面から突出した凸形状の凸状上辺部である曲部と平坦な底辺部とを有し、平坦な底辺部が、扁平加工された他方の平坦な内面の一部領域と接している。ヒートパイプ3でも、平坦な底辺部が他方の平坦な内面に固着されている。また、ウィック構造体21は、コンテナ10の長手方向に対して直交方向(コンテナ10の断面)について、その略中央部に設けられている。ヒートパイプ3でも、コンテナ10の長手方向に対して直交方向におけるウィック構造体21の断面形状は、略半楕円状となっている。
【0055】
また、ウィック構造体21は、その曲部が、コンテナ10の略半楕円形状である一方の内面と接している。ヒートパイプ3でも、曲部の頂部が、一方の内面と接している。
【0056】
ヒートパイプ3でも、コンテナ10の他方の平坦な内面のうちウィック構造体21の平坦な底辺部と接していない領域、略半楕円形状の一方の内面のうちウィック構造体21の曲部と接していない領域は、いずれも、金属焼結体層20が形成されている。すなわち、コンテナ10の内面のうち、ウィック構造体21と接していない領域は、金属焼結体層20で被覆されている。金属焼結体層20の内面(表面)は、コンテナ10の内部空間に対して露出している。
【0057】
第3実施形態例に係るヒートパイプ3でも、ウィック構造体21の接していないコンテナ10の内面に金属焼結体層20が形成されていることにより、液相の作動流体が金属焼結体層20の毛細管力により分散されるので、寒冷地においても液相の作動流体の凍結を抑制できる。
【0058】
次に、本発明の第4実施形態例に係るヒートパイプについて、図面を用いながら説明する。なお、第1〜第3実施形態例に係るヒートパイプと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0059】
第2実施形態例に係るヒートパイプのコンテナの断面形状は、対向した一方の平坦な内面と他方の平坦な内面を有する扁平型であったが、これに代えて、図4に示すように、第4実施形態例に係るヒートパイプ4では、コンテナ10の断面形状は、平坦部と半楕円状の部位とからなる扁平形状となっている。
【0060】
すなわち、ヒートパイプ4では、コンテナ10の長手方向に垂直な断面について、その一部の領域だけが扁平加工されている。前記断面のうち、扁平加工された領域が他方の平坦な内面を形成し、扁平加工されていない領域が、他方の平坦な内面と対向する略半楕円形状の一方の内面となっている。
【0061】
第1のウィック構造部21−1は、略半楕円形状である一方の内面11から突出した凸形状の凸状底辺部である第1の曲部と上辺部とを有し、上辺部が略半楕円形状である一方の内面11の一部領域と接している。ヒートパイプ4でも、上辺部が一方の内面に固着されている。また、第1のウィック構造部21−1は、コンテナ10の長手方向に対して直交方向(コンテナ10の断面)について、その略中央部に設けられている。
【0062】
また、第2のウィック構造部21−2は、扁平加工された他方の平坦な内面から突出しかつ凸形状の凸状底辺部である第1の曲部と対向した、凸形状の凸状上辺部である第2の曲部と平坦な底辺部とを有し、平坦な底辺部が他方の平坦な内面の一部領域と接している。ヒートパイプ4でも、平坦な底辺部が他方の平坦な内面に固着されている。また、第2のウィック構造部21−2は、コンテナ10の長手方向に対して直交方向について、その略中央部に設けられている。ヒートパイプ4でも、コンテナ10の長手方向に対して直交方向における第2のウィック構造部21−2の断面形状は、略半楕円状となっている。
【0063】
第1のウィック構造部21−1は、その第1の曲部が、第2のウィック構造部の第2の曲部と接している。ヒートパイプ4でも、第1の曲部の底部と第2の曲部の頂部が、相互に接している。
【0064】
ヒートパイプ4でも、コンテナ10の略半楕円形状である一方の内面のうち、第1のウィック構造部21−1の上辺部と接していない領域、コンテナ10の他方の平坦な内面のうち第2のウィック構造部21−2の平坦な底辺部と接していない領域は、いずれも、金属焼結体層20が形成されている。すなわち、コンテナ10の内面のうち、ウィック構造体21と接していない領域は、金属焼結体層20で被覆されている。金属焼結体層20の内面(表面)は、コンテナ10の内部空間に対して露出している。
【0065】
第4実施形態例に係るヒートパイプ4でも、ウィック構造体21の接していないコンテナ10の内面に金属焼結体層20が形成されていることにより、液相の作動流体が金属焼結体層20の毛細管力により分散されるので、寒冷地においても液相の作動流体の凍結を抑制できる。
【0066】
次に、本発明の第5実施形態例に係るヒートパイプについて、図面を用いながら説明する。なお、第1〜第4実施形態例に係るヒートパイプと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0067】
第2実施形態例に係るヒートパイプのコンテナの断面形状は扁平型であったが、これに代えて、図5に示すように、第5実施形態例に係るヒートパイプ5では、コンテナ10の断面形状は、円形状となっている。すなわち、ヒートパイプ5のコンテナ10は、上記第1〜第4実施形態例に係るヒートパイプのコンテナとは異なり、扁平加工されていない形状となっている。第5実施形態例に係るヒートパイプ5でも、上記第1〜第4実施形態例に係るヒートパイプと同様に、ウィック構造体21の接していないコンテナ10の内面に金属焼結体層20が形成されていることにより、液相の作動流体が金属焼結体層20の毛細管力により分散されるので、寒冷地においても液相の作動流体の凍結を抑制できる。
【0068】
次に、本発明の第6実施形態例に係るヒートパイプについて、図面を用いながら説明する。なお、第1〜第5実施形態例に係るヒートパイプと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0069】
コンテナの断面形状が平坦部と半楕円状の部位とからなる扁平形状となっている第4実施形態例に係るヒートパイプでは、第1のウィック構造部21−1は第2のウィック構造部21−2と接していたが、これに代えて、図6に示すように、第6実施形態例に係るヒートパイプ6では、第1のウィック構造部21−1は第2のウィック構造部21−2と接していない態様となっている。
【0070】
ヒートパイプ6では、第1のウィック構造部21−1は、凸形状の凸状底辺部である第1の曲部が、第2のウィック構造部の、凸形状の凸状上辺部である第2の曲部とは、接していない態様となっている。
【0071】
第6実施形態例に係るヒートパイプ6でも、ウィック構造体21の接していないコンテナ10の内面に金属焼結体層20が形成されていることにより、液相の作動流体が金属焼結体層20の毛細管力により分散されるので、寒冷地においても液相の作動流体の凍結を抑制できる。
【0072】
次に、本発明のヒートパイプの製造方法例について説明する。ここでは、第1の実施形態例に係るヒートパイプの製造方法を例にとって説明する。前記製造方法は特に限定されないが、例えば、第1の実施形態例に係るヒートパイプは、円形状の管材の長手方向に沿って、所定形状の切り欠き部を有する芯棒を挿入する。管材の内面と切り欠き部外面との間に形成された空隙部にウィック構造体となる材料(例えば、粉末状の金属材料)を充填する。さらに、管材の内面と芯棒外面との間の隙間に、金属焼結体層となる材料(例えば、粉末状の金属材料)を充填する。次に、加熱処理して、ウィック構造体と金属焼結体層の前駆体を形成する。その後、芯棒を管材から引き抜き、管材を扁平加工することにより、ウィック構造体と金属焼結体層を有するヒートパイプを製造する。
【0073】
次に、本発明の他の実施形態例に係るヒートパイプについて説明する。上記第1、第2実施形態例に係るヒートパイプでは、扁平型コンテナは、その長手方向の全域が扁平型となっていたが、これに代えて、長手方向の一部を扁平型としてもよい。また、第1実施形態例に係るヒートパイプのウィック構造体、第2実施形態例に係るヒートパイプの第1のウィック構造部と第2のウィック構造部は、いずれも、略半楕円状となっていたが、形状は特に限定されず、例えば、略三角形状、略矩形状等でもよい。
【0074】
上記各実施形態例に係るヒートパイプでは、コンテナの断面において、コンテナの内面のうちウィック構造体と接していない領域の全体が金属焼結体層で被覆されていたが、これに代えて、コンテナの内面のうち、ウィック構造体と接していない領域の一部に金属焼結体層が設けられてもよい。上記各実施形態例に係るヒートパイプでは、金属焼結体層は、コンテナの一方の端部から他方の端部まで延在していたが、これに代えて、長手方向の一部領域に設けられていてもよい。特に、重力方向に液相の作動流体が貯留するので、液相の作動流体の貯留しやすい部分、すなわち、重力方向下方側となる部分に、ウィック構造体と金属焼結体層が設けられていればよい。上記各実施形態例に係るヒートパイプでは、ウィック構造体の曲部の頂部は、圧接された状態となっていたが、圧接されていない状態でもよい。
【0075】
上記第1、第2実施形態例に係るヒートパイプでは、一方の平坦な内面と他方の平坦な内面との距離は、扁平型コンテナの長手方向全体に渡って略同一となっていたが、これに代えて、長手方向の一部において、一方の平坦な内面と他方の平坦な内面との距離が異なる扁平型コンテナを用いてもよい。
【実施例】
【0076】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
【0077】
実施例1〜10及び比較例1では、ヒートパイプとして、図2に示す第2実施形態例に係る態様のヒートパイプを用いた。ただし、比較例1では、金属焼結体層は設けないヒートパイプとした。コンテナとして、実施例1〜10及び比較例1では、いずれも、長さ200mm×外径10mmの断面が円形状の管材を、1.3mmに扁平加工したものを使用した。コンテナに封入される作動流体として、水を使用した。なお、実施例2と実施例6は、金属焼結体層の材質の点で相違するヒートパイプである。実施例1と実施例5は金属焼結体層の材質の点で相違し、実施例1と実施例3はウィック構造体の断面における最大幅の点で相違するヒートパイプである。上記ヒートパイプを長手方向が垂直になるように設置し、−20℃×23分→65℃×23分でヒートサイクル試験にかけた後、目視でコンテナ形状に変形が見られなったものの割合を、ヒートサイクルOK率(%)として測定した。
【0078】
熱特性評価は、以下のように測定した。
発熱体として、10mm×20mm、60Wのものを使用した。この発熱体を、実施例1〜10及び比較例1で用いたものと同じ構造のコンテナ(ヒートパイプ)の他方の端部に接触させ、コンテナ(ヒートパイプ)の一方の端部から15mmの部位に熱電対を設置し、ΔTを計測して、以下の4段階で評価した。
ΔTが0℃以上5℃以下を「A」
ΔTが5℃超8℃以下を「B」
ΔTが8℃超10℃以下を「C」
ΔTが10℃超を「D」
【0079】
実施例及び比較例の具体的な試験条件と試験結果を下記表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
表1から、金属焼結体層を設けた実施例1〜10のヒートパイプでは、寒冷な環境においてヒートサイクル数50回でもコンテナ形状の変形が確実に抑制されて、優れたヒートサイクルOK率を得た。金属焼結体層の厚さ/コンテナの肉厚の比率が60%〜120%、(扁平型コンテナに接し且つ金属焼結体層の厚さに対応したウィック構造体の領域(図2の符号aの領域)の断面積+金属焼結体層の断面積)/(ウィック構造体の断面積+金属焼結体層の断面積)の比率が73%〜92%である実施例2、6、8〜10は、ヒートサイクル数100回でもコンテナ形状の変形が確実に抑制されて、より優れたヒートサイクルOK率が得られた。さらに、金属焼結体層の厚さ/コンテナの肉厚の比率が80%〜120%、(扁平型コンテナに接し且つ金属焼結体層の厚さに対応したウィック構造体の領域の断面積+金属焼結体層の断面積)/(ウィック構造体の断面積+金属焼結体層の断面積)の比率が78%〜92%である実施例8〜10では、ヒートサイクル数200回でもコンテナ形状の変形が確実に抑制されて、特に優れたヒートサイクルOK率が得られた。
【0082】
また、表1から、金属焼結体層を設けた実施例1〜10のヒートパイプでは、ΔTが5℃超と優れた熱輸送特性を発揮した。特に、金属焼結体層の厚さ/コンテナの肉厚の比率が40%、(扁平型コンテナに接し且つ金属焼結体層の厚さに対応したウィック構造体の領域(図2の符号aの領域)の断面積+金属焼結体層の断面積)/(ウィック構造体の断面積+金属焼結体層の断面積)の比率が49%である実施例1、3、5、金属焼結体層の厚さ/コンテナの肉厚の比率が120%、(扁平型コンテナに接し且つ金属焼結体層の厚さに対応したウィック構造体の領域(図2の符号aの領域)の断面積+金属焼結体層の断面積)/(ウィック構造体の断面積+金属焼結体層の断面積)の比率が92%である実施例10では、ΔTが10℃超と、より優れた熱輸送特性を発揮した。
【0083】
一方で、金属焼結体層を設けなかった比較例1のヒートパイプでは、ヒートサイクル数50回でヒートサイクルOK率が0%となってしまい、寒冷な環境におけるコンテナ形状の変形を抑制できなかった。
【0084】
また、比較例1では、ΔTが0℃以上5℃以下であり、実施例1〜10と比較して優れた熱輸送特性は得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明のヒートパイプは、寒冷な環境においてコンテナの長手方向が重力方向に対して略平行に設置されても、作動流体の凍結を抑制することで、薄型形状のコンテナの変形を防止でき、また、優れた熱輸送特性も発揮するので、例えば、寒冷地にて使用する分野で利用価値が高い。
【符号の説明】
【0086】
1、2、3、4、5、6 ヒートパイプ
10 コンテナ
20 金属焼結体層
21 ウィック構造体
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【国際調査報告】