(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2019026356
(43)【国際公開日】20190207
【発行日】20200820
(54)【発明の名称】光ファイバ及び光ファイバの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 25/50 20060101AFI20200727BHJP
   C03C 25/326 20180101ALI20200727BHJP
   C03C 25/6226 20180101ALI20200727BHJP
   C03C 25/1065 20180101ALI20200727BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20200727BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20200727BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20200727BHJP
【FI】
   !C03C25/50
   !C03C25/326
   !C03C25/6226
   !C03C25/1065
   !G02B6/44 301A
   !G02B6/44 331
   !G02B6/44 301B
   !C08L75/04
   !C08K5/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
【出願番号】2019533895
(21)【国際出願番号】JP2018015884
(22)【国際出願日】20180417
(31)【優先権主張番号】2017147979
(32)【優先日】20170731
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】橘 久美子
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号 住友電気工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】岩口 矩章
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号 住友電気工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】藤井 隆志
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号 住友電気工業株式会社内
【テーマコード(参考)】
2H250
4G060
4J002
【Fターム(参考)】
2H250AB05
2H250AB10
2H250AD32
2H250BA03
2H250BA18
2H250BA32
2H250BB01
2H250BB07
2H250BB17
2H250BB19
2H250BB33
2H250BC02
2H250BC03
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2H250BD16
2H250BD18
2H250BD20
4G060AA01
4G060AA03
4G060AC14
4G060AC15
4G060AD43
4G060CB09
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4J002FD147
4J002FD156
4J002FD208
4J002FD209
4J002GQ01
(57)【要約】
光ファイバは、ガラスファイバ(13)と、ガラスファイバ(13)の外周を被覆するプライマリ樹脂層(14)と、プライマリ樹脂層(14)の外周を被覆するセカンダリ樹脂層(15)と、を備え、プライマリ樹脂層(14)のpHが、セカンダリ樹脂層(15)のpHよりも大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスファイバと、前記ガラスファイバの外周を被覆するプライマリ樹脂層と、前記プライマリ樹脂層の外周を被覆するセカンダリ樹脂層と、を備え、
前記プライマリ樹脂層のpHが、前記セカンダリ樹脂層のpHよりも大きい、光ファイバ。
【請求項2】
前記プライマリ樹脂層のpHと、前記セカンダリ樹脂層のpHとの差が、1〜3である、請求項1に記載の光ファイバ。
【請求項3】
前記セカンダリ樹脂層のpHが、3〜5である、請求項1又は2に記載の光ファイバ。
【請求項4】
前記セカンダリ樹脂層が、ウレタンオリゴマー、モノマー、光重合開始剤及び酸性物質を含有する樹脂組成物の硬化物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ファイバ。
【請求項5】
前記樹脂組成物が、前記酸性物質を0.10〜10質量%含有する、請求項4に記載の光ファイバ。
【請求項6】
前記プライマリ樹脂層が、ウレタンオリゴマー、モノマー、光重合開始剤及びシランカップリング剤を含有する樹脂組成物の硬化物を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光ファイバ。
【請求項7】
前記モノマーが、複素環含有モノマーを含む、請求項6に記載の光ファイバ。
【請求項8】
ガラスファイバと、前記ガラスファイバの外周を被覆するプライマリ樹脂層と、前記プライマリ樹脂層の外周を被覆するセカンダリ樹脂層と、を備える光ファイバの製造方法であって、
プライマリ樹脂層用の樹脂組成物を紫外線の照射により硬化して前記プライマリ樹脂層を形成する工程と、セカンダリ樹脂層用の樹脂組成物を紫外線の照射により硬化して前記セカンダリ樹脂層を形成する工程と、を含み、
前記プライマリ樹脂層用の樹脂組成物と前記セカンダリ樹脂層用の樹脂組成物とを硬化させたときに、前記プライマリ樹脂層のpHが前記セカンダリ樹脂層のpHよりも大きくなっている、光ファイバの製造方法。
【請求項9】
前記プライマリ樹脂層のpHと、前記セカンダリ樹脂層のpHとの差が、1〜3である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記セカンダリ樹脂層のpHが、3〜5である、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記セカンダリ樹脂層用の樹脂組成物が、ウレタンオリゴマー、モノマー、光重合開始剤及び酸性物質を含有する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記樹脂組成物が、前記酸性物質を0.10〜10質量%含有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プライマリ樹脂層用の樹脂組成物が、ウレタンオリゴマー、モノマー、光重合開始剤及びシランカップリング剤を含有する、請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記モノマーが、複素環含有モノマーを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ及び光ファイバの製造方法に関する。
本出願は、2017年7月31日出願の日本出願第2017−147979号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ファイバは、光伝送体であるガラスファイバを保護するための被覆樹脂層を有している。被覆樹脂層は、例えば、プライマリ樹脂層及びセカンダリ樹脂層の2層から構成される。プライマリ樹脂層には、ガラスファイバに対して優れた密着性を有することが求められている。例えば、特許文献1には、密着性を向上するために、プライマリ樹脂層を形成する樹脂組成物に、シラン化合物と、該シラン化合物の加水分解を促進するための光酸発生剤とを含有させることが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−531799号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様に係る光ファイバは、ガラスファイバと、ガラスファイバの外周を被覆するプライマリ樹脂層と、プライマリ樹脂層の外周を被覆するセカンダリ樹脂層とを備え、プライマリ樹脂層のpHが、セカンダリ樹脂層のpHよりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本発明の光ファイバの一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
光ファイバには、低温で側圧が付与された際に発生する微小な曲げにより誘起される伝送損失の増加を小さくすること、すなわち、光ファイバの低温特性を向上することが求められている。しかしながら、低ヤング率のプライマリ樹脂層に光酸発生剤等の非架橋成分が含まれていると、光ファイバの低温における伝送損失が増加する場合がある。
【0007】
そこで、本開示は、良好な動疲労係数を有しつつ低温特性にも優れる光ファイバ及び光ファイバの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
[本開示の効果]
本開示によれば、良好な動疲労係数を有しつつ低温特性にも優れる光ファイバ及び光ファイバの製造方法を提供することが可能となる。
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の一態様に係る光ファイバは、ガラスファイバと、ガラスファイバの外周を被覆するプライマリ樹脂層と、プライマリ樹脂層の外周を被覆するセカンダリ樹脂層とを備え、プライマリ樹脂層のpHが、セカンダリ樹脂層のpHよりも大きい。
【0010】
プライマリ樹脂層のpHを、セカンダリ樹脂層のpHよりも大きくすることで、良好な動疲労係数を有しつつ低温特性にも優れる光ファイバを作製することができる。
【0011】
光ファイバの動疲労係数を良好な範囲とする観点から、プライマリ樹脂層のpHとセカンダリ樹脂層のpHとの差は、1〜3であってもよい。同じ観点から上記セカンダリ樹脂層のpHは、3〜5であってもよい。
【0012】
光ファイバの動疲労係数を高くする観点から、上記セカンダリ樹脂層は、ウレタンオリゴマー、モノマー、光重合開始剤及び酸性物質を含有する樹脂組成物の硬化物を含んでもよい。
【0013】
上記樹脂組成物は、酸性物質を0.10〜10質量%含有してもよい。これにより、光ファイバの低温特性をより向上することができる。
【0014】
ガラスファイバに対する密着性を向上する観点から、上記プライマリ樹脂層は、ウレタンオリゴマー、モノマー、光重合開始剤及びシランカップリング剤を含有する樹脂組成物の硬化物を含んでもよい。
【0015】
プライマリ樹脂層を形成する樹脂組成物に含まれるモノマーは、複素環含有モノマーを含んでもよい。これにより、樹脂組成物の速硬化性を高めることができる。
【0016】
本発明の一態様に係る光ファイバの製造方法は、ガラスファイバと、ガラスファイバの外周を被覆するプライマリ樹脂層と、プライマリ樹脂層の外周を被覆するセカンダリ樹脂層と、を備える光ファイバの製造方法であって、プライマリ樹脂層用の樹脂組成物を紫外線の照射により硬化してプライマリ樹脂層を形成する工程と、セカンダリ樹脂層用の樹脂組成物を紫外線の照射により硬化してセカンダリ樹脂層を形成する工程と、を含み、プライマリ樹脂層用の樹脂組成物とセカンダリ樹脂層用の樹脂組成物とを硬化させたときに、プライマリ樹脂層のpHがセカンダリ樹脂層のpHよりも大きくなっている。
【0017】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る光ファイバの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
(光ファイバ)
図1は、本発明の一形態である光ファイバの一例を示す概略断面図である。光ファイバ10は、ガラスファイバ13と、ガラスファイバ13の外周に設けられた被覆樹脂層16とを備えている。被覆樹脂層16は、ガラスファイバ13の外周に接して設けられたプライマリ樹脂層14と、プライマリ樹脂層14を被覆するセカンダリ樹脂層15を含んでいる。
【0019】
ガラスファイバ13は、コア11とクラッド12とからなり、クラッド12はコア11を取り囲んでいる。コア11及びクラッド12は石英ガラス等のガラスを主に含み、例えば、コア11にはゲルマニウムを添加した石英を用いることができ、クラッド12には純石英、又は、フッ素が添加された石英を用いることができる。
【0020】
図1において、例えば、ガラスファイバ13の外径(D2)は125μm程度であり、ガラスファイバ13を構成するコア11の直径(D1)は、7〜15μm程度である。
【0021】
被覆樹脂層16の厚さは、通常、60〜70μm程度である。プライマリ樹脂層14及びセカンダリ樹脂層15の各層の厚さは、10〜50μm程度であってもよく、例えば、プライマリ樹脂層14の厚さが35μmで、セカンダリ樹脂層15の厚さが25μmであってもよい。光ファイバ10の外径は、245〜265μm程度であってもよい。
【0022】
プライマリ樹脂層14は、ウレタンオリゴマー、モノマー、光重合開始剤及びシランカップリング剤を含有する樹脂組成物を硬化させて形成することができる。すなわち、プライマリ樹脂層14は、ウレタンオリゴマー、モノマー、光重合開始剤及びシランカップリング剤を含有する樹脂組成物の硬化物を含むことができる。
【0023】
ウレタンオリゴマーは、ポリオール、ポリイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレート及び1価アルコールを反応させて調製することができる。
【0024】
ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味する。(メタ)アクリロイルについても同様である。
【0025】
ポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びビスフェノールA・エチレンオキサイド付加ジオールが挙げられる。
【0026】
ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアナートが挙げられる。
【0027】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0028】
1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びオレイルアルコールが挙げられる。
【0029】
ウレタンオリゴマーを調製する際には、触媒、重合禁止剤等を使用してもよい。触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズマレート、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸2−エチルヘキシル)、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸イソオクチル)及びジブチルスズオキシドが挙げられる。重合禁止剤としては、例えば、メトキノン及びヒドロキノンが挙げられる。
【0030】
ウレタンオリゴマーは、下記反応生成物(A)及び(B)を含むことができる。
(A):H−PI−(PO−PI)n−R
(B):H−PI−(PO−PI)n−H
ここで、Hは水酸基含有(メタ)アクリレートの残基を表し、PIはポリイソシアネートの残基を表し、POはポリオールの残基を表し、Rはアルコールの残基を表す。アルコールは炭素数が5までの低級アルコールが好ましい。nは1以上の整数を表し、1〜4であることが好ましい。
【0031】
ウレタンオリゴマーの調製について、具体例を挙げて説明する。例えば、ポリオールとしてポリプロピレングリコール、ポリイソシアネートとしてトリレンジイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレートとして2−ヒドロキシエチルアクリレート、1価のアルコールとしてメタノールを使用する場合、ウレタンオリゴマーは、下記反応生成物(A1)及び(B1)を含むことができる。
(A1):H1−TDI−(PPG−TDI)n−R1
(B1):H1−TDI−(PPG−TDI)n−H1
ここで、H1は2−ヒドロキシエチルアクリレートの残基を表し、TDIはトリレンジイソシアネートの残基を表し、PPGはポリプロピレングリコールの残基を表し、R1はメタノールの残基を表す。
【0032】
反応生成物(A)及び(A1)は、片末端非反応性オリゴマーであるため、硬化物の架橋密度を下げる効果があり、ヤング率を低減することができる。反応生成物(B)及び(B1)は、両末端反応性オリゴマーであるため、硬化物の架橋密度を上げることができる。
【0033】
本実施形態に係るウレタンオリゴマーは、一方の末端に(メタ)アクリロイル基を有し、もう一方の末端にアルコキシ基を有する片末端非反応性オリゴマーを含有していることが好ましい。片末端非反応性オリゴマーは、ポリオール、ポリイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレート及び1価アルコールの反応物である。
【0034】
プライマリ樹脂層のヤング率を低くする観点から、ウレタンオリゴマーは、ウレタンオリゴマーの全量を基準として、片末端非反応性オリゴマーを20質量%以上含むことが好ましく、40〜100質量%含むことがより好ましい。
【0035】
ウレタンオリゴマーは、両末端に(メタ)アクリロイル基を有する両末端反応性オリゴマーを更に含有してもよい。両末端反応性オリゴマーは、ポリオール、ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物である。
【0036】
樹脂組成物中のウレタンオリゴマーの含有量は、樹脂組成物の全量を基準として、35〜90質量%であることが好ましく、50〜85質量%であることがより好ましく、60〜80質量%であることが更に好ましい。
【0037】
モノマーとしては、重合性基を1つ有する単官能モノマー、重合性基を2つ以上有する多官能モノマーを用いることができる。モノマーは、2種以上を混合して用いてもよい。
【0038】
単官能モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有モノマー;N−アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、3−(3−ピリジニル)プロピル(メタ)アクリレート等の複素環含有モノマー;マレイミド、N−シクロへキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等のN−置換アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマーが挙げられる。中でも、速硬化性に優れることから、モノマーは、複素環含有モノマーを含むことが好ましい。
【0039】
多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物のジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14−テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16−ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,20−エイコサンジオールジ(メタ)アクリレート、イソペンチルジオールジ(メタ)アクリレート、3−エチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート等の2官能モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクロイルオキシエチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート等の3官能以上のモノマーが挙げられる。中でも、プライマリ樹脂層の強靭性を向上するために、モノマーは、2官能モノマーを含むことが好ましい。
【0040】
樹脂組成物中のモノマーの含有量は、樹脂組成物の全量を基準として、5〜45質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが更に好ましい。
【0041】
光重合開始剤としては、公知のラジカル光重合開始剤の中から適宜選択して使用することができ、例えば、アシルホスフィンオキサイド系開始剤及びアセトフェノン系開始剤が挙げられる。光重合開始剤は、2種以上を混合して用いてもよい。
【0042】
アセトフェノン系開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、商品名「Irgacure 184」)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASF社製、商品名「Irgacure 1173」)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(BASF社製、商品名「Irgacure 651」)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製、商品名「Irgacure
907」)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(BASF社製、商品名「Irgacure 369」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン及び1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンが挙げられる。
【0043】
アシルホスフィンオキサイド系開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(BASF社製、商品名「Irgacure TPO」)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASF社製、商品名「Irgacure 819」)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドが挙げられる。
【0044】
樹脂組成物中の光重合開始剤の含有量は、樹脂組成物の全量を基準として、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.3〜7質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることが更に好ましい。
【0045】
プライマリ樹脂層を形成する樹脂組成物はシランカップリング剤を含有することで、ガラスファイバとプライマリ樹脂層との間の密着力を調整し易くなる。シランカップリング剤としては、樹脂組成物の硬化の妨げにならないものであれば、特に限定されない。シランカップリング剤は、2種以上を混合して用いてもよい。
【0046】
シランカップリング剤としては、例えば、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、オリゴマー付加メルカプトプロピルトリメトキシシラン(メルカプトプロピルトリメトキシシランのSHの部分とウレタンオリゴマーのNCOとを反応させたシランカップリング剤、例えば、反応生成物(A)のRがメルカプトプロピルトリメトキシシランの残基であるシラン化合物)、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド及びγ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドが挙げられる。
【0047】
シランカップリング剤として、下記一般式(1)又は(2)で表されるシランカップリング剤を用いてもよい。
【0048】
【化1】
【0049】
式(1)中、Rは紫外線照射により反応性を有する基を示す。紫外線照射によりにより反応性を有する基としては、例えば、メルカプト基、メルカプトアルキル基、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等の官能基を有する基が挙げられる。
【0050】
式(1)及び(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。R〜Rとして、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基が挙げられる。式(1)中のR〜Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、式(2)中のR〜Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0051】
一般式(1)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
【0052】
一般式(2)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びテトラプロポキシシランが挙げられる。
【0053】
樹脂組成物中のシランカップリング剤の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として、0.2〜5質量%であることが好ましく、0.3〜3質量%であることがより好ましく、0.5〜2質量%であることが更に好ましい。
【0054】
プライマリ樹脂層14のヤング率は、光ファイバの低温特性をより一層向上する観点から、23℃で0.03〜0.5MPaであることが好ましい。プライマリ樹脂層14のヤング率は、光ファイバ10の23℃でのPullout Modulus試験によって測定することができる。プライマリ樹脂層14のヤング率は、片末端非反応性オリゴマーの含有量、樹脂組成物の硬化条件等により調製することができる。
【0055】
セカンダリ樹脂層15は、例えば、ウレタンオリゴマー、モノマー、光重合開始剤及び酸性物質を含む紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させて形成することができる。すなわち、セカンダリ樹脂層15は、ウレタンオリゴマー、モノマー、光重合開始剤及び酸性物質を含有する樹脂組成物の硬化物を含むことができる。ウレタンオリゴマー、モノマー及び光重合開始剤としては、特に限定されず、プライマリ樹脂層を形成する樹脂組成物で例示したものから適宜、選択してもよい。
【0056】
セカンダリ樹脂層に酸性物質が含まれることで、光ファイバの動疲労係数を高くできると共に、光ファイバの低温特性を向上し易くなる。本実施形態に係る酸性物質としては、光酸発生剤、酸性の官能基を有する化合物等を用いることができる。
【0057】
光酸発生剤としては、例えば、ジアゾニウム塩系酸発生剤、スルホニウム塩系酸発生剤、ホスホニウム塩系酸発生剤及びヨードニウム塩系酸発生剤が挙げられる。
【0058】
スルホニウム塩系酸発生剤としては、特に限定されないが、例えば、下記式(S−1)、(S−2)、(S−3)及び(S−4)で表されるトリアリールスルホニウム塩が挙げられる。
【0059】
【化2】
【0060】
ヨードニウム塩系酸発生剤としては、特に限定されないが、例えば、下記式(I−1)、(I−2)及び(I−3)で表されるジアリールヨードニウム塩が挙げられる。
【0061】
【化3】
【0062】
酸性の官能基を有する化合物としては、カルボキシル基、スルホ基又はメルカプト基を有する化合物を用いることができる。酸性の官能基を有する化合物として具体的には、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
【0063】
酸性物質の含有量は、樹脂組成物の全量を基準として0.10〜10質量%であることが好ましく、0.15〜8質量%であることがより好ましく、0.20〜6質量%であることが更に好ましく、0.25〜5.5質量%であることが特に好ましい。酸性物質の含有量が上記範囲にあると、機械強度(引張強度)が低下し難くなる。
【0064】
動疲労係数を高くする観点から、セカンダリ樹脂層のpHは、3〜5であることが好ましく、3〜4.5であることがより好ましい。プライマリ樹脂層のpHを、セカンダリ樹脂層のpHよりも大きくすることで、動疲労係数の高い光ファイバを作製することができる。プライマリ樹脂層のpHとセカンダリ樹脂層のpHとの差は、1〜3であることが好ましく、1.5〜3であることがより好ましい。プライマリ樹脂層のpHは6〜8であってもよい。
【0065】
本実施形態に係る樹脂組成物は、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、光増感剤等を更に含んでもよい。
【0066】
(光ファイバの製造方法)
ガラスファイバ13に被覆樹脂層16を形成する方法としては、従来、光ファイバの製造に用いられている方法を適用することができる。
【0067】
本実施形態の光ファイバ10は、ガラスファイバ13の外周に、樹脂組成物を塗布してから、紫外線を照射して塗布した樹脂組成物を硬化させ、被覆樹脂層16を形成することにより製造することができる。
【0068】
この際、プライマリ樹脂層用の樹脂組成物をガラスファイバ13の外周に塗布し、紫外線の照射によって硬化させてプライマリ樹脂層14を形成した後、セカンダリ樹脂層用の樹脂組成物をプライマリ樹脂層14の周囲に塗布し、紫外線の照射によって硬化させてセカンダリ樹脂層15を形成する方式(wet−on−dry方式)を用いてもよい。この場合には、セカンダリ樹脂層用の樹脂組成物を硬化させるときに、プライマリ樹脂層のpHがセカンダリ樹脂層のpHよりも大きくなるようにする。また、プライマリ樹脂層用の樹脂組成物をガラスファイバ13の外周に塗布した後、その周りにセカンダリ樹脂層用の樹脂組成物を塗布し、紫外線の照射によって同時に硬化させてプライマリ樹脂層14及びセカンダリ樹脂層15を形成する方式(wet−on−wet方式)を用いてもよい。この場合には、プライマリ樹脂層用の樹脂組成物及びセカンダリ樹脂層用の樹脂組成物を硬化させるときに、プライマリ樹脂層のpHがセカンダリ樹脂層のpHよりも大きくなるようにする。いずれの場合も、具体的には、酸性物質をプライマリ樹脂層用の樹脂組成物には添加せず、セカンダリ樹脂層用の樹脂組成物に添加することができる。すなわち、プライマリ樹脂層用の樹脂組成物のpHは、セカンダリ樹脂層用の樹脂組成物のpHよりも大きい。酸性物質をプライマリ樹脂層用の樹脂組成物に添加しないので、酸性物質が原因となって光ファイバの低温における伝送損失が増加することを防止することができる。そして、セカンダリ樹脂層に含まれている酸性物質に由来する水素イオンが拡散してプライマリ樹脂層中に移行してプライマリ樹脂層のpHが低下する。これによりプライマリ樹脂層とガラスファイバとの密着が強固になり光ファイバの動疲労係数が高くなる。
【0069】
被覆樹脂層16を構成するセカンダリ樹脂層15の外周面には、光ファイバを識別するためにインク層となる着色層を形成してもよい。また、セカンダリ樹脂層15を着色層としてもよい。着色層は、光ファイバの識別性を向上する観点から、顔料を含有することが好ましい。顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華等の着色顔料、γ−Fe、γ−Feとγ−Feの混晶、CrO、コバルトフェライト、コバルト被着酸化鉄、バリウムフェライト、Fe−Co、Fe−Co−Ni等の磁性粉、MIO、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、トリポリリン酸アルミニウム、亜鉛、アルミナ、ガラス、マイカ等の無機顔料が挙げられる。また、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料を用いることもできる。顔料には、各種表面改質、複合顔料化等の処理が施されていてもよい。
【0070】
(光ファイバリボン)
本実施形態の光ファイバを用いて光ファイバリボンを作製することができる。光ファイバリボンは、並列配置された複数本の光ファイバがリボン材により一体化されたものである。リボン材は、例えば、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂等によって形成されている。
【実施例】
【0071】
以下、本発明に係る実施例及び比較例を用いた評価試験の結果を示し、本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0072】
[ウレタンオリゴマーの合成]
(合成例1)
ポリオールとしてポリプロピレングリコール(日油株式会社、製品名「ユニオールD−2000」、数平均分子量2000)、ポリイソシアネートとして2,4−トリレンジイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物として2−ヒドロキシエチルアクリレート、1価のアルコールとしてメタノール、重合禁止剤としてメトキノン、触媒としてジフキチルスズジラウレートを用いて、反応を行い、ウレタンオリゴマーを合成した。ウレタンオリゴマー中の片末端非反応性オリゴマー(片末端がメタノールで封止されたオリゴマー)の含有量は、20質量%であった。
【0073】
(合成例2)
2−ヒドロキシエチルアクリレート及びメタノールの配合量を変更した以外は、合成例1と同様にして、片末端非反応性オリゴマーの含有量が、100質量%のウレタンオリゴマーを合成した。
【0074】
(合成例3)
2−ヒドロキシエチルアクリレート及びメタノールの配合量を変更した以外は、合成例1と同様にして、片末端非反応性オリゴマーの含有量が、40質量%のウレタンオリゴマーを合成した。
【0075】
[プライマリ樹脂層用の樹脂組成物の調製]
(調製例A1)
ウレタンオリゴマーとして合成例1で得られたオリゴマーを75質量部、単官能モノマーとしてノニルフェニルアクリレート12質量部及びN−ビニルカプロラクタム6質量部、多官能モノマーとして1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを2質量部、光重合開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Irgacure TPO)を1質量部、シランカップリング剤として3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)を1質量部混合して、樹脂組成物A1を得た。
【0076】
(調製例A2)
シランカップリング剤をオリゴマー付加MPTS(メルカプトプロピルトリメトキシシランのSHの部分とウレタンオリゴマーのNCOとを反応させたシランカップリング剤(反応生成物(A)のRがメルカプトプロピルトリメトキシシランの残基であるシラン化合物))に変更した以外は調製例A1と同様にして、樹脂組成物A2を得た。
【0077】
(調製例A3)
シランカップリング剤をオリゴマー付加MPTS及びテトラエトキシシラン(TEOS)に変更した以外は調製例A1と同様にして、樹脂組成物A3を得た。
【0078】
(調製例A4)
ウレタンオリゴマーを合成例2で得られたオリゴマーに変更した以外は調製例A1と同様にして、樹脂組成物A4を得た。
【0079】
(調製例A5)
ウレタンオリゴマーを合成例3で得られたオリゴマーに変更した以外は調製例A1と同様にして、樹脂組成物A5を得た。
【0080】
(調製例A6)
上記式(S−2)で表されるトリアリールスルホニウム塩(酸発生剤)を5質量部混合した以外は調製例A1と同様にして、樹脂組成物A6を得た。
【0081】
[セカンダリ樹脂層用の樹脂組成物の調製]
(調製例B1)
数平均分子量1000のポリプロピレングリコール、2,4−トリレンジイソシアネート及び2−ヒドロキシエチルアクリレートを反応させて得られたウレタンオリゴマーを75質量部と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジアクリレートを10質量部と、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure 184)を3質量部、上記酸発生剤を5質量部混合して樹脂組成物B1を得た。
【0082】
(調製例B2)
酸発生剤5質量部を、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PETMP)3質量部に変更した以外は調製例B1と同様にして、樹脂組成物B3を得た。
【0083】
(調製例B3)
酸発生剤の量を5質量部から2.5質量部に変更した以外は調製例B1と同様にして、樹脂組成物B3を得た。
【0084】
(調製例B4)
酸発生剤の量を5質量部から0.25質量部に変更した以外は調製例B1と同様にして、樹脂組成物B4を得た。
【0085】
(調製例B5)
酸発生剤を配合しなかった以外は調製例B1と同様にして、樹脂組成物B5を得た。
【0086】
[光ファイバ10の作製]
(実施例1)
コア11とクラッド12から構成され、外径(D2)が125μmのガラスファイバ13を準備した。次いで、ガラスファイバ13の外周面に、樹脂組成物A1を用いてプライマリ樹脂層14を形成し、樹脂組成物B1用いてセカンダリ樹脂層15を形成して、光ファイバ10を作製した。プライマリ樹脂層14の厚さは、35μmであり、セカンダリ樹脂層15の厚さは25μmであった。
【0087】
(実施例2)
樹脂組成物A2を用いてプライマリ樹脂層を形成し、樹脂組成物B2を用いてセカンダリ樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様に操作して光ファイバを得た。
【0088】
(実施例3)
樹脂組成物A2を用いてプライマリ樹脂層を形成し、樹脂組成物B3を用いてセカンダリ樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様に操作して光ファイバを得た。
【0089】
(実施例4)
樹脂組成物A3を用いてプライマリ樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様に操作して光ファイバを得た。
【0090】
(実施例5)
樹脂組成物A4を用いてプライマリ樹脂層を形成し、樹脂組成物B4を用いてセカンダリ樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様に操作して光ファイバを得た。
【0091】
(実施例6)
樹脂組成物A5を用いてプライマリ樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様に操作して光ファイバを得た。
【0092】
(比較例1)
樹脂組成物A6を用いてプライマリ樹脂層を形成し、樹脂組成物B5を用いてセカンダリ樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様に操作して光ファイバを得た。
【0093】
[評価]
樹脂組成物及び光ファイバについて、以下の条件で評価した。結果を表1に示す。
【0094】
(pH測定)
プライマリ樹脂層用の樹脂組成物及びセカンダリ樹脂層用の樹脂組成物のそれぞれに対して、窒素雰囲気下で100mJ/cmの紫外線を照射して硬化し、フィルムを作製した。次いで、純水に0.01N水酸化ナトリウム水溶液又は0.01NHC水溶液を加えてpHを7.0に調整した水溶液30gに、フィルム2gを浸漬し、80℃で24時間抽出した後の水溶液のpHをpHメーターで測定した。
【0095】
(プライマリ樹脂層のヤング率)
プライマリ樹脂層のヤング率は、23℃でのPullout Modulus(POM)法により測定した。光ファイバ10の2箇所を2つのチャック装置で固定し、2つのチャック装置の間の被覆樹脂層16(プライマリ樹脂層14及びセカンダリ樹脂層15)部分を除去し、次いで、一方のチャック装置を固定し、他方のチャック装置を固定したチャック装置の反対方向に緩やかに移動させた。光ファイバ10における移動させるチャック装置に挟まれている部分の長さをL、チャックの移動量をZ、プライマリ樹脂層14の外径をDp、ガラスファイバ13の外径をDf、プライマリ樹脂層14のポアソン比をn、チャック装置の移動時の荷重をWとした場合、下記式からプライマリ樹脂層14のヤング率を求めた。
ヤング率(MPa)=((1+n)W/πLZ)×ln(Dp/Df)
【0096】
(低温特性)
2kgのスクリーニング張力をかけた光ファイバ10の伝送損失を23℃で測定した後、光ファイバ10を−40℃に2時間置いて伝送損失を測定した。−40℃に置く前の光ファイバ10と比べて、−40℃に置いた後の光ファイバ10の1550nmの波長の光の伝送損失の増加を求めた。伝送損失の増加が0.03dB/km以下を「OK」、0.03dB/km超を「NG」とした。
【0097】
(動疲労係数の測定)
引張試験機を用いて、Telcordia GR−20−COREの規定にそってn値を測定し、n値が20以上のものを合格とした。
【0098】
【表1】
【符号の説明】
【0099】
10…光ファイバ、11…コア、12…クラッド、13…ガラスファイバ、14…プライマリ樹脂層、15…セカンダリ樹脂層、16…被覆樹脂層。
【図1】
【国際調査報告】