(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2019026502
(43)【国際公開日】20190207
【発行日】20200727
(54)【発明の名称】打込機
(51)【国際特許分類】
   B25C 1/06 20060101AFI20200626BHJP
   B25C 1/04 20060101ALI20200626BHJP
【FI】
   !B25C1/06
   !B25C1/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
【出願番号】2019533981
(21)【国際出願番号】JP2018024853
(22)【国際出願日】20180629
(31)【優先権主張番号】2017148496
(32)【優先日】20170731
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
【住所又は居所】東京都港区港南二丁目15番1号
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安富 俊徳
【住所又は居所】茨城県ひたちなか市武田1060番地
(72)【発明者】
【氏名】益子 弘識
【住所又は居所】茨城県ひたちなか市武田1060番地
(72)【発明者】
【氏名】三苫 祐輝
【住所又は居所】茨城県ひたちなか市武田1060番地
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC02
3C068CC07
3C068DD01
3C068HH04
3C068HH16
3C068HH19
(57)【要約】
止具を被打込材に打ち込む時の仕上がりを良好にすることの可能な打込機を提供する。打撃部(12)と、打撃部(12)で止具(58)を打撃させる第1付勢部と、第1操作部(66)及び第2操作部(68)と、打撃部(12)を第1方向に移動させる制御部と、を有する打込機(10)であって、制御部は、第2操作部(68)が被打込材(70)に押し付けられた後に第1操作部(66)が操作されると、打撃部(12)を第1方向(B1)に移動させて止具(58)を打撃させる第1の打ち込みモードと、第1操作部(66)が操作され、かつ、第2操作部(68)を被打込材(70)に押し付けられたことを検出すると、打撃部(12)を第1方向(B1)に移動させて止具(58)を打撃させる第2の打ち込みモードと、打撃部(12)の移動状態に基づいて、第2の打ち込みモードを制限する制限モードと、選択可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向及び前記第1方向とは逆の第2方向に移動可能な打撃部と、前記打撃部を第1方向に移動させて前記打撃部で止具を打撃させる第1付勢部と、作業者が操作する第1操作部と、前記止具を打ち込む被打込材に押し付けられる第2操作部と、前記第1操作部が操作されたこと及び前記第2操作部が前記被打込材に押し付けられたことを検出すると、前記第1付勢部により前記打撃部を前記第1方向に移動させる制御部と、を有する打込機であって、
前記制御部は、
前記第2操作部が前記被打込材に押し付けられた後に前記第1操作部が操作されたことを検出すると、前記第1付勢部により前記打撃部を前記第1方向に移動させて前記止具を打撃させる第1の打ち込みモードと、
前記第1操作部が操作されたこと及び、前記第2操作部を前記被打込材に押し付けられたことを検出すると、前記第1付勢部により前記打撃部を前記第1方向に移動させて前記止具を打撃させる第2の打ち込みモードと、
前記止具を打撃する前記打撃部の移動状態に基づいて、前記第2の打ち込みモードを制限する制限モードと、
を選択可能である、打込機。
【請求項2】
前記打撃部を前記第2方向に移動させ、かつ、所定位置で停止させる第2付勢部が設けられ、
前記制御部は、前記所定位置で停止している前記打撃部を前記第2付勢部により前記第2方向に移動させた後、前記打撃部を前記第1付勢部により前記第1方向に移動させて前記打撃部で前記止具を打撃させ、さらに、前記打撃部を前記第2付勢部により前記第2方向に移動させて前記所定位置に戻し、
前記移動状態は、前記所定位置で停止している前記打撃部が前記第2方向に移動を開始した時点から、前記打撃部が前記止具を打撃し、さらに、前記打撃部が前記第2方向に移動されて前記所定位置に至るまでの動作時間を含む、請求項1記載の打込機。
【請求項3】
前記第2付勢部は、
電力が供給されて回転する電動モータと、
前記電動モータに電力を供給する電源と、
前記電動モータの回転力で前記打撃部を前記第2方向に移動させる動力伝達機構と、
を有する、請求項2記載の打込機。
【請求項4】
前記動作時間を、前記電源の電圧に基づいて判断する第1判断部が設けられている、請求項3記載の打込機。
【請求項5】
前記動作時間を、前記電源の電流値に基づいて判断する第2判断部が設けられている、請求項3または4記載の打込機。
【請求項6】
前記動作時間を、前記電源の温度に基づいて判断する第3判断部が設けられている、請求項3乃至5の何れか1項記載の打込機。
【請求項7】
前記動作時間を、前記電源の使用履歴に基づいて判断する第4判断部が設けられている、請求項3乃至5の何れか1項記載の打込機。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2の打ち込みモードが制限されている際に、前記第1の打ち込みモードの選択を可能である、請求項1乃至7の何れか1項記載の打込機。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1の打ち込みモード及び前記第2の打ち込みモードの選択を共に制限する、請求項1乃至7の何れか1項記載の打込機。
【請求項10】
前記制御部は、前記打撃部が前記止具を打撃する前に、前記第1の打ち込みモードの選択を制限するか、または前記第1の打ち込みモードの選択及び前記第2の打ち込みモードの選択を共に制限する、請求項1乃至9の何れか1項記載の打込機。
【請求項11】
前記制御部は、前記打撃部が前記止具を打撃した後に、前記第1の打ち込みモードの選択を制限するか、または前記第1の打ち込みモードの選択及び前記第2の打ち込みモードの選択を共に制限する、請求項1乃至9の何れか1項記載の打込機。
【請求項12】
前記制御部が選択するモードを表示する表示部が設けられ、
前記表示部は、前記打撃部が前記止具を打撃する前に、前記制御部が選択するモードを表示する、請求項1乃至11の何れか1項記載の打込機。
【請求項13】
前記制御部が選択するモードを表示する表示部が設けられ、
前記表示部は、前記制御部が前記第1の打ち込みモードの制限を解除する際、または前記第1の打ち込みモード及び前記第2の打ち込みモードの制限を解除する際、前記制御部が制限を解除することを前記表示部で表示する、請求項1乃至12の何れか1項記載の打込機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打撃部を移動させ、打撃部で止具を打撃する打込機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、打撃部を移動させ、打撃部で止具を打撃する打込機が知られており、その打込機が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された打込機は、ハウジング、打撃部、モータ、バネ、圧縮解放機構及びマガジンを有する。モータはハウジング内に収容され、打撃部は、プランジャと、プランジャに固定されたブレードと、を有する。プランジャはハウジング内で往復移動可能である。バネは、プランジャを止具の打撃方向に付勢する。ハウジングは、ハンドル及び電池保持部を有する。コントローラがハウジング内に設けられている。トリガがハンドルに設けられている。トリガが操作されるとトリガスイッチがオンする。電池が電池保持部に着脱される。ハウジングにノーズが設けられ、マガジン内の止具はノーズに供給される。プッシュレバがノーズに設けられている。プッシュレバが被打込材に押し付けられると、プッシュスイッチがオンする。電池、トリガスイッチ、プッシュスイッチ及びモータは、コントローラに接続されている。
【0003】
作業者は、打撃部が待機位置で停止している際に、プシュレバを被打込材に押し付け、かつ、トリガを操作することによって、電池からモータに電力が供給されてモータを回転させる。圧縮解放機構は打撃部に係合しており、打撃部はモータの回転力で上死点に向けて移動する。打撃部が移動するとバネは圧縮される。打撃部が上死点に到達すると、圧縮解放機構は打撃部から解放され、打撃部はバネの力で下死点に向けて移動する。打撃部が移動すると、ブレードの先端により止具が打撃され、止具は被打込材に打ち込まれる。ブレードが止具を打撃した後、モータの回転により圧縮解放機構が打撃部に係合し、打撃部が待機位置に到達すると、モータが停止する。特許文献1には、当該打込み動作の一例として、連発打ちの動作においては、作業者はトリガを引きながらプシュレバを被打込材に押し付けることによって行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5424105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された打込機は、打撃部が止具を打撃する際の動作時間が変化すると、打込機の操作によって、止具を被打込材に打ち込む時の仕上がりを良好に維持できない可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、止具を被打込材に打ち込む時の仕上がりを良好に維持可能な打込機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の打込機は、第1方向及び前記第1方向とは逆の第2方向に移動可能な打撃部と、前記打撃部を第1方向に移動させて前記打撃部で止具を打撃させる第1付勢部と、作業者が操作する第1操作部と、前記止具を打ち込む被打込材に押し付けられる第2操作部と、前記第1操作部が操作されたこと及び前記第2操作部が前記被打込材に押し付けられたことを検出すると、前記第1付勢部により前記打撃部を前記第1方向に移動させる制御部と、を有する打込機であって、前記制御部は、前記第2操作部が前記被打込材に押し付けられた後に前記第1操作部が操作されたことを検出すると、前記第1付勢部により前記打撃部を前記第1方向に移動させて前記止具を打撃させる第1の打ち込みモードと、前記第1操作部が操作されたこと及び、前記第2操作部を前記被打込材に押し付けられたことを検出すると、前記第1付勢部により前記打撃部を前記第1方向に移動させて前記止具を打撃させる第2の打ち込みモードと、前記止具を打撃する前記打撃部の移動状態に基づいて、前記第2の打ち込みモードを制限する制限モードと、を選択可能である。
【発明の効果】
【0008】
一実施形態の打込機は、止具を被打込材に打ち込む時の仕上がりを良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態である打込機のうち打撃部を含む箇所の側面断面図である。
【図2】打込機のうち蓄電池を含む箇所の側面断面図である。
【図3】打込機の正面断面図である。
【図4】打込機の制御系統を示すブロック図である。
【図5】打込機の制御例を示すフローチャートである。
【図6】打込機に用いる蓄電池の性能と、許可されるモードとの関係の一例を示すマップである。
【図7】打込機に用いる蓄電池の性能と、許可されるモードとの関係の他の例を示すマップである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る打込機を、図面を参照して説明する。
【0011】
図1、図2及び図3に打込機10が示されている。打込機10は、ハウジング11、打撃部12、圧力室13、動力伝達機構14及び電動モータ15を有する。ハウジング11は、外殻要素であり、打撃部12は、ハウジング11の内部から外部に亘って配置されている。圧力室13は、打撃部12を上死点から下死点に向かう第1方向B1で移動させる。動力伝達機構14は、打撃部12を第1方向とは逆の第2方向B2で移動させる。電動モータ15は、ハウジング11の内部に設けられている。
【0012】
ハウジング11は、筒形状の本体16と、本体16の開口部を閉じたカバー17と、本体16に連続するハンドル18及びモータ収容部19と、ハンドル18とモータ収容部19とを接続する接続部20と、を有する。蓄圧容器21及びシリンダ22がハウジング11内に設けられ、環状の接続具23は、蓄圧容器21とシリンダ22とを接続している。圧力室13は蓄圧容器21内に形成されている。
【0013】
打撃部12は、シリンダ22内に移動可能に配置されたピストン24と、ピストン24に固定されたドライバブレード25と、を有する。ピストン24は、シリンダ22の中心線A1方向に移動可能である。中心線A1方向は、第1方向B1及び第2方向B2に対して平行である。ピストン24の外周にシール部材79が取り付けられており、シール部材79はシリンダ22の内面に接触してシール面を形成する。シール部材79は、圧力室13を気密に維持する。シール部材79は合成樹脂製である。
【0014】
圧縮性の気体が圧力室13内に封入されている。圧力室13に封入する気体は、空気の他、不活性ガス、例えば、窒素ガス、希ガス等を用いることができる。本開示では、圧力室13に乾燥空気が封入されている例を説明する。ドライバブレード25は金属製または樹脂製である。図3に示すように、ドライバブレード25の長手方向に沿ってラック26が設けられている。ラック26は、複数の凸部26Aを有する。複数の凸部26Aは、中心線A1方向に一定の間隔をおいて配置されている。
【0015】
図3のように、ホルダ28が本体16の内部から外部に亘って配置されている。ホルダ28は、アルミニウム合金製、マグネシウム合金製、または、高剛性の合成樹脂製等が好適である。ホルダ28は、筒形状の荷重受け部29と、荷重受け部29に連続したテール部31と、を有する。テール部31はモータ収容部19に連続している。
【0016】
荷重受け部29は本体16内に配置されており、荷重受け部29は軸孔32を有する。荷重受け部29内にバンパ33が設けられている。バンパ33は合成ゴム製または合成樹脂製である。バンパ33は軸孔34を有する。軸孔32,34は、共に中心線A1を中心として配置され、ドライバブレード25は、軸孔32,34内で中心線A1方向に移動可能である。ノーズ部35がねじ部材78を用いてテール部31に固定されており、ノーズ部35は射出路36を有する。射出路36は、空間、若しくは通路であり、ドライバブレード25は射出路36内で中心線A1方向に移動可能である。
【0017】
電動モータ15はモータ収容部19内に設けられている。電動モータ15は、モータ収容部19に対して回転しないステータ15Aと、モータ収容部19内で回転可能なロータ15Bと、ロータ15Bが取り付けられたモータ軸37と、を有する。ステータ15Aは、通電用のコイルを有し、ロータ15Bは永久磁石を有する。通電用のコイルは、3相、つまり、U相、V相、W相に対応する3本のコイルを含む。電動モータ15は、ブラシレスモータである。コイルに通電されて回転磁界が形成され、ロータ15Bが回転する。
【0018】
モータ軸37は軸受38,39により回転可能に支持されている。モータ軸37は軸線A2を中心として回転可能である。図2のように、接続部20に対して着脱可能な蓄電池40が設けられ、蓄電池40は、電動モータ15のステータ15Aに電力を供給する。
【0019】
蓄電池40は、収容ケース41と、収容ケース41内に収容した電池セルとを有する。電池セルは、充電及び放電が可能な二次電池であり、電池セルは、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池の何れかを用いることができる。蓄電池40は直流電源である。収容ケース41内に第1端子が設けられ、第1端子は電池セルに接続されている。接続部20に第2端子が固定され、蓄電池40を接続部20に取り付けると、第1端子と第2端子とが通電可能に接続される。
【0020】
図1のように、ギヤケース42がテール部31内に設けられ、減速機43がギヤケース42内に設けられている。減速機43は、入力部材44、出力部材45及び3組の遊星歯車機構を有する。入力部材44は、モータ軸37に固定されている。入力部材44及び出力部材45は、軸線A2を中心として回転可能である。モータ軸37の回転力は、入力部材44を経由して出力部材45に伝達される。減速機43は、入力部材44に対する出力部材45の回転速度を低速とする。
【0021】
動力伝達機構14は、本体16内に設けられている。動力伝達機構14は、ピンホイール軸48と、ピンホイール軸48に固定されたピンホイール49と、ピンホイール49に設けたピニオン77と、を有する。ピンホイール軸48は、軸受46,47により回転可能に支持されている。ピニオン77は、ピンホイール49の円周方向に間隔をおいて配置された複数のピン77Aを有する。ラック26を構成する凸部26Aの数と、ピニオン77を構成するピン77Aの数とは同一である。動力伝達機構14は、ピンホイール49の回転力を、打撃部12の移動力に変換する。
【0022】
回転制御機構51がギヤケース42内に設けられている。回転制御機構51は、減速機43とピンホイール49との間の動力伝達経路に配置されている。回転制御機構51は、出力部材45の回転方向に関わりなく、出力部材45の回転力をピンホイール軸48に伝達する。また、回転制御機構51は、ピンホイール軸48がドライバブレード25から伝達される力で回転することを防止する。
【0023】
また、釘58を収容するマガジン59が設けられ、マガジン59はノーズ部35及び接続部20により支持されている。マガジン59は、釘58を射出路36に供給する送り機構を有する。
【0024】
モータ基板60がモータ収容部19内に設けられ、図4に示すインバータ回路61が、モータ基板60に設けられている。インバータ回路61は、複数のスイッチング素子を有し、複数のスイッチング素子は、それぞれ単独でオン及びオフが可能である。
【0025】
図2のように、制御基板62が接続部20内に設けられ、制御基板62に、図4に示すマイクロコンピュータ63が設けられている。マイクロコンピュータ63は、入力ポート、出力ポート、中央演算処理装置、記憶装置及びタイマを有する。マイクロコンピュータ63は、第2端子及びインバータ回路61に接続されている。
【0026】
図1に示すように、ハンドル18にトリガ66が設けられている。トリガ66は作業者により操作される。トリガスイッチ67がハンドル18内に設けられており、トリガスイッチ67は、トリガ66に操作力が加えられるとオンし、かつ、トリガ66に加えられた操作力が解除されるとオフする。
【0027】
プシュレバ68がノーズ部35に取り付けられている。プシュレバ68はノーズ部35に対して中心線A1方向に移動可能である。図1のように、プシュレバ68を中心線A1方向に付勢する弾性部材74が設けられている。弾性部材74は金属製の圧縮コイルバネであり、弾性部材74は、プシュレバ68をバンパ33から離れる向きで付勢する。ノーズ部35にストッパ86が設けられ、弾性部材74で付勢されるプシュレバ68はストッパ86に接触して停止する。
【0028】
図4に示すプッシュスイッチ69がノーズ部35に設けられている。プッシュスイッチ69は、プシュレバ68が被打込材70に押し付けられるとオンする。プッシュスイッチ69は、プシュレバ68が被打込材70から離れるとオフする。
【0029】
図4に示すメインスイッチ81がハウジング11に設けられている。メインスイッチ81は、接続部20またはハンドル18に設けられている。作業者がメインスイッチ81を操作する。蓄電池40が接続部20に取り付けられている状態で、作業者がメインスイッチ81をオンすると、蓄電池40の電圧がマイクロコンピュータ63に印加され、マイクロコンピュータ63が起動する。作業者がメインスイッチ81をオフすると、マイクロコンピュータ63が停止する。マイクロコンピュータ63は、メインスイッチ81がオンされた後、作業者の打込み動作が一定時間検出されない場合、つまり、トリガスイッチ67及びプッシュスイッチ69からの信号が一定時間検出されない場合は、自動的にメインスイッチ81をオフする。
【0030】
ピンホイール49の回転状態、つまり、回転角度を検出する位置検出センサ72が設けられている。位置検出センサ72はテール部31に設けられている。また、永久磁石82がピンホイール49に取り付けられている。位置検出センサ72は永久磁石82が形成する磁界の強度に応じた信号を出力する。位置検出センサ72は永久磁石82から離れている。位置検出センサ72は、非接触形の磁気センサである。
【0031】
図4に示す位相検出センサ83が、モータ収容部19内に設けられている。位相検出センサ83は、モータ軸37の回転方向の位置、つまり、位相を検出して信号を出力する。モータ軸37に永久磁石が取り付けられている。位相検出センサ83は磁気センサである。位相検出センサ83は、永久磁石が形成する磁界の強度に応じた信号を出力する。
【0032】
さらに、図4に示す温度検出センサ80が設けられている。温度検出センサ80は、蓄電池40の温度、ハウジング11の内部の温度を検出して信号を出力する。蓄電池検出センサ84が接続部20に設けられている。蓄電池検出センサ84は、蓄電池40の有無を検出して信号を出力する。さらに、電圧検出センサ85及び電流値検出センサ87が設けられている。電圧検出センサ85は、蓄電池40とインバータ回路61との間の電圧を検出して信号を出力する。電流値検出センサ87は、蓄電池40とインバータ回路61との間の電流値を検出して信号を出力する。さらに、打撃部位置センサ88がノーズ部35に設けられている。打撃部位置センサ88は、打撃部12の中心線A1方向の位置を検出して信号を出力する。
【0033】
図2のように、接続部20に表示部71が設けられている。表示部71は、例えば、発光ダイオード(LED:light emitting diode)ランプ、発光ダイオードディスプレイ、液晶パネルを含む。表示部71は、打込機10の状態、例えば、打込機10で使用可能なモード、制限されているモード、蓄電池40の電圧を表示する。表示部71は接続部20の外部に露出しており、作業者は表示部71を目視可能である。なお、メインスイッチ81は、表示部71に設けられていてもよい。
【0034】
マイクロコンピュータ63は、トリガスイッチ67の信号、プッシュスイッチ69の信号、メインスイッチ81の信号、電圧検出センサ85の信号、温度検出センサ80の信号、位置検出センサ72の信号、位相検出センサ83の信号、蓄電池検出センサ84の信号、電流値検出センサ87の信号及び打撃部位置センサ88の信号を処理し、インバータ回路61及び表示部71を制御する。
【0035】
打込機10の使用例を説明する。作業者が蓄電池40を接続部20に取り付け、作業者がメインスイッチ81をオンするとマイクロコンピュータ63が起動する。マイクロコンピュータ63は、トリガスイッチ67がオフされていること、または、プッシュスイッチ69がオフされていることのうち、少なくとも一方が検出されていると、電動モータ15を停止させる。
【0036】
また、電動モータ15が停止していると、図3のように、ピニオン77のピン77Aと、ラック26の凸部26Aとが係合しており、ピストン24はバンパ33から離れて停止している。つまり、ピストン24は待機位置で停止している。待機位置は、中心線A1方向で上死点と下死点との間にある。ピストン24の上死点は、図1及び図3において、中心線A1方向でピストン24が圧力室13に最も近づいた位置である。ピストン24の下死点は、図1のようにピストン24がバンパ33に押し付けられた位置である。
【0037】
ピストン24が図3のように待機位置で停止していると、ドライバブレード25の先端25Aは、中心線A1方向で、釘58の頭部58Aとノーズ部35の先端35Aとの間に位置する。ピストン24が待機位置で停止し、かつ、プシュレバ68が被打込材70から離れていると、プシュレバ68はストッパ86に接触して停止している。
【0038】
マイクロコンピュータ63は、位置検出センサ72から出力される信号に基づいて、ピストン24が待機位置にあることを検出し、マイクロコンピュータ63は電動モータ15を停止している。電動モータ15が停止していると、回転制御機構51が、ピストン24を待機位置に保持する。
【0039】
ピストン24及びドライバブレード25は、圧力室13の空気圧に応じた付勢力を受けており、ドライバブレード25が受けた付勢力は、ピンホイール49を介してピンホイール軸48に伝達される。ピンホイール軸48が図3で時計方向の回転力を受けると、回転制御機構51が回転力を受け止め、ピンホイール軸48の回転を防止する。このように、電動モータ15が停止し、かつ、ピンホイール49が停止し、ピストン24が図3の待機位置で停止している。
【0040】
マイクロコンピュータ63は、トリガスイッチ67がオンされ、かつ、プッシュスイッチ69がオンされていると、インバータ回路61のスイッチング素子をオン及びオフする制御を繰り返し、蓄電池40の電力を電動モータ15に供給する。すると、電動モータ15のモータ軸37が回転する。モータ軸37の回転力は、減速機43を経由してピンホイール軸48に伝達される。
【0041】
モータ軸37及び出力部材45の回転方向は同一であり、出力部材45が回転すると、出力部材45の回転力はピンホイール49に伝達され、ピンホイール49は、図3で反時計方向に回転する。ピンホイール49が図3で反時計方向に回転すると、ピンホイール49の回転力が、ドライバブレード25及びピストン24に伝達され、ピストン24が中心線A1方向で圧力室13に近づくように、第2方向B2で移動する。つまり、ピストン24は、圧力室13の空気圧に抗して、待機位置から上死点に向けて上昇する。ピストン24が待機位置から上昇すると、圧力室13の空気圧が上昇する。
【0042】
ピストン24が上死点に到達すると、ドライバブレード25の先端25Aは、釘58の頭部58Aよりも上に位置する。また、ピストン24が上死点に到達すると、ピニオン77のピン77Aが、ラック26の凸部26Aから解放される。このため、打撃部12は、圧力室13の空気圧で下死点に向けて第1方向B1で移動、つまり、下降する。打撃部12が下降すると、ドライバブレード25は、射出路36にある釘58の頭部58Aを打撃し、釘58は被打込材70に打ち込まれる。
【0043】
また、釘58の全体が被打込材70に食い込んで釘58が停止すると、その反力でドライバブレード25の先端25Aが釘58の頭部58Aから離れる。また、ピストン24はバンパ33に衝突し、バンパ33が弾性変形することで、ピストン24及びドライバブレード25の運動エネルギを吸収する。
【0044】
また、電動モータ15のモータ軸37は、ドライバブレード25が釘58を打撃した後も回転する。そして、ピニオン77のピン77Aがラック26の凸部26Aに係合すると、ピンホイール49の回転力でピストン24が、図1において再度上昇する。マイクロコンピュータ63は、釘58の打ち込み後もピンホイール49の位置を検出している。マイクロコンピュータ63は、ピンホイール49の位置から、ピストン24が図3の待機位置に至ったことを検出すると、電動モータ15を停止する。つまり、ピンホイール49が停止し、回転制御機構51がピストン24を待機位置に保持する。
【0045】
作業者は、打込機10を使用する際、連発モードまたは単発モードの何れかを選択する。連発モードは、トリガ66とプッシュレバ68の操作順によらず、第1の操作または第2の操作により、釘58を被打込材70に打ち込むことが可能である。第1の操作は、トリガ66に操作力を加えた状態で、プシュレバ68を被打込材70に押し付ける操作と、プシュレバ68を被打込材70から離す操作とを交互に繰り返すことで、釘58を被打込材70に打ち込む。第2の操作は、プッシュレバ68を被打込材70に押し付けた状態で、トリガ66に操作力を加える操作と、トリガ66の操作力を解除する操作とを交互に繰り返すことで、釘58を被打込材70に打ち込む。
【0046】
単発モードは、プシュレバ68を被打込材70に押し付けた後、トリガ66に操作力を加え、釘58を被打込材70に打ち込んだ後、トリガ66の操作力を解除し、かつ、プシュレバ68を被打込材70から離す、という操作を行うものである。
【0047】
連発モードが選択されて打撃部12が1本の釘58を打ち込む際の移動状態、例えば、動作時間の把握態様としては、第1の把握態様及び第2の把握態様がある。第1の把握態様は、待機位置に停止しているピストン24が上昇を開始した時点から、ピストン24が下降して下死点に到達し、その後に、ピストン24が待機位置に到達するまでの経過時間を、動作時間として把握するものである。第2の把握態様は、ドライバブレード25が釘58の打撃を開始した位置から、ドライバブレード25が釘58の打撃を終了する位置に移動した時間を、動作時間として把握するものである。この場合、ノーズ部35における射出路36近傍に設けた位置検出センサ88により、ドライバブレード25の位置を検出する。
【0048】
打撃部12が釘58を打ち込む際の動作時間は、蓄電池40の性能により変化する。マイクロコンピュータ63は、蓄電池40の性能に応じて、単発モード及び連発モードの選択を、それぞれ制限及び許可することが可能である。
【0049】
マイクロコンピュータ63が行う制御例は、図5のフローチャートに示されている。作業者がステップS1でメインスイッチ81をオンすると、マイクロコンピュータ63が起動する。マイクロコンピュータ63の起動時には前回のモード選択によらず、単発モードが設定される。マイクロコンピュータ63は、ステップS2において、蓄電池40の温度Tbは、所定温度よりも高いか否かを判断する。所定温度は、蓄電池40の放電特性に基づいて、実験またはシミュレーションにより設定した値である。
【0050】
所定温度の技術的意味は、打撃部12が待機位置から移動を開始した時点から、所定時間内に釘58の打ち込み動作が完了する否かを判断する基準である。所定温度は、例えば、−5℃に設定される。蓄電池40の温度が所定温度を超えていると、蓄電池40の放電特性が良好である。つまり、連発モードまたは単発モードの何れを選択した場合でも、釘58を被打込材70に打ち込む際の仕上がりを良好に維持できる。
【0051】
これに対して、蓄電池40の温度が所定温度以下であると、蓄電池40の放電特性が低下する。つまり、単発モードのように、1回の打ち込み動作から次の打ち込み動作までの間に、次のような操作を行うため、操作時間が長い。具体的には、プシュレバ68を被打込材70に押し付けた後にトリガ66に操作力を加え、釘58を被打込材70に打ち込んだ後、トリガ66の操作力を解除し、かつ、プシュレバ68を被打込材70から離し、再びプシュレバ68を被打込材70に押し付けた後、トリガ66に操作力を加えるまで、といったように、1回目の打ち込み操作から、次の打ち込み操作までの操作時間が長い。
【0052】
この場合は、蓄電池40の放電特性の低下により、打撃部12の動作時間が長くなったとしても、蓄電池40の放電特性の低下により、釘58を被打込材70に打ち込む際の仕上がりが低下することはない。また、蓄電池40の放電特性の低下により、釘58を被打込材70に打ち込む際の仕上がりが低下しても、仕上がりの低下程度は相対的に小さく、作業者が無視できる程度である。
【0053】
これに対して、連発モードのように、1回目の打ち込み動作から次の打ち込み動作までの間の操作時間は、単発モードの操作時間に比べて短い。具体的に説明すると、連発モードにおいて第1の操作を行う操作時間、つまり、トリガ66に操作力を加え、かつ、プュレバ68を被打込材70に押し付けて釘58を被打込材70に打ち込んだ時点から、プシュレバ68を被打込材70から離し、再びプッシュレバ68を被打込み材70に押し付けるまでの操作時間は短い。また、連発モードにおいて第2の操作を行う操作時間、つまり、トリガ66に操作力を加え、かつ、プシュレバ68を被打込材70に押し付けて釘58を被打込材70に打ち込んだ時点から、トリガ66に加えた操作力を解除し、かつ、プッシュレバ68を被打込材70に押し付けたまま移動し、再びトリガ66に操作力を加えるまでの操作時間は短い。
【0054】
このように、1回目の打ち込み動作から、次の打ち込み動作までの間における操作時間が短い場合において、蓄電池40の放電特性の低下により打撃部12の動作時間が長くなると、打込機10が1回目の打ち込み動作から次の打ち込み動作に移行していたとしても、打込機10による釘58の次の打ち込みが完了しておらず、釘58を被打込材70に打ち込む際の仕上がりが低下する。
【0055】
マイクロコンピュータ63は、ステップS2でYesと判断すると、ステップS3において、作業者が連発モードを選択しているか否かを判断する。マイクロコンピュータ63は、ステップS3でYesと判断すると、ステップS4において、連発モードに対応する通常の打ち込み動作を行う。
【0056】
マイクロコンピュータ63は、ステップS5において、蓄電池40の電圧Vが、所定電圧を超えているか否かを判断する。蓄電池40の定格電圧が18Vであり、最大21Vまで充電可能であると、所定電圧は、一例として15Vである。マイクロコンピュータ63は、ステップS5でYesと判断すると、ステップS6において、打撃部12が釘58を打ち込む際の動作時間tが、第1所定時間未満であるか否かを判断する。マイクロコンピュータ63は、位置検出センサ72の信号を処理して動作時間tを求める。
【0057】
第1所定時間は、連発モードで釘58の打ち込みを行う際に、プシュレバ68が被打込材70から離れる前に、釘58の打ち込みを完了可能であるものとして設定された値である。第1所定時間は、一例として550msを用いることが可能である。マイクロコンピュータ63は、ステップS6でYesと判断するとステップS4に進む。
【0058】
マイクロコンピュータ63は、ステップS6でNoと判断するとステップS7において、動作時間tが、第2所定時間未満であるか否かを判断する。第2所定時間は、第1所定時間よりも大きい。第2所定時間は、単発モードで打ち込みを行う際に、プシュレバ68が被打込材70から離れる前に、釘58の打ち込みを完了可能であるものとして設定された値である。第2所定時間は、一例として780msを用いることが可能である。マイクロコンピュータ63は、ステップS7でNoと判断するとステップS8において、電動モータ15を停止させ、かつ、表示部71で“打込機10の使用停止”と表示させ、図5の制御を終了する。つまり、マイクロコンピュータ63は、ステップS8において、単発モード及び連発モードを共に制限、具体的には禁止する。
【0059】
マイクロコンピュータ63は、ステップS2またはステップS3でNoと判断した場合は、ステップS9に進んで単発モードを許可し、かつ、連発モードを禁止する。つまり、作業者が単発モードを選択すると電動モータ15は回転するが、作業者が連発モードを選択しても電動モータ15は停止している。マイクロコンピュータ63は、ステップS2またはステップS3でNoと判断してステップS9に進んだ場合、単発モードを許可し、かつ、連発モードを禁止することを、表示部71で表示させる。なお、マイクロコンピュータ63がステップS3でNoと判断してステップS9に進んだ場合、連発モードが禁止される訳ではない。
【0060】
マイクロコンピュータ63は、ステップS9に次ぐステップS10において、単発モードに対応する通常の打ち込み動作を行う。マイクロコンピュータ63は、ステップS10に次ぐステップS11において、蓄電池40の電圧Vが、所定電圧15Vを超えているか否かを判断する。マイクロコンピュータ63は、ステップS11またはステップS5でNoと判断すると、ステップS8に進む。
【0061】
マイクロコンピュータ63は、ステップS11でYesと判断すると、ステップS12において、動作時間tが第2所定時間780ms未満であるか否かを判断する。マイクロコンピュータ63はステップS12でNoと判断すると、ステップS8に進む。マイクロコンピュータ63は、ステップS12でYesと判断するとステップS13に進み、動作時間tが第1所定時間550msであるか否かを判断する。
【0062】
マイクロコンピュータ63は、ステップS13でNoと判断すると、ステップS10に進む。マイクロコンピュータ63は、ステップS13でYesと判断すると、ステップS14に進んで連発モードの制限を解除し、ステップS3に進む。また、マイクロコンピュータ63は、ステップS3において、表示部71で“単発モードから連発モードに切り替えることが可能”を表示させる。
【0063】
このように、マイクロコンピュータ63が図5の制御例は、蓄電池40の温度Tb、蓄電池40の電圧V及び動作時間tを判断し、判断結果に基づいて連発モードまたは単発モードのそれぞれの制限、許可、制限解除を判断する。このため、作業者が打込機10を使用して釘58を被打込材70に打ち込む際、作業者は打込機10の使用モードとして蓄電池40の性能に適したものを選択可能である。具体的には、連発モードまたは単発モードの何れを選択する場合でも、打込機10を被打込材70から離す前に、釘58を被打込材70に打ち込む動作を完了できる。したがって、釘58を被打込材70に打ち込む際の仕上がりを良好に維持できる。釘58を被打込材70に打ち込む際の仕上がりが良好とは、釘58の頭部58Aが被打込材70の表面から突出していないことである。
【0064】
また、マイクロコンピュータ63は、蓄電池40の性能が、連発モード及び単発モードの何れにも適さない状況であると判断すると、その判断結果を表示部71で表示させ、作業者に状況を認識させることができる。
【0065】
なお、蓄電池40の温度Tb、蓄電池40の電圧V及び動作時間tのうち、少なくとも1つの条件の判断ステップの実行タイミングは、他のステップの実行タイミングまたは判断タイミングと入れ替えてもよい。また、マイクロコンピュータ63は、図5に示されている蓄電池40の温度Tb、蓄電池40の電圧V、動作時間tのうち、少なくとも1つの条件を判断し、その判断結果に基づいて、連発モードまたは単発モードのそれぞれについて、制限及び許可を判断してもよい。
【0066】
図6は、蓄電池40の性能と打込機10の使用モードとの関係の一例を示すマップである。実線で示す性能P1は、蓄電池40の電圧Vが所定電圧15Vを超えている際に、蓄電池40の温度が−5℃を超える常温、例えば、10℃であり、かつ、動作時間tが第1所定時間550ms未満であると、連発モード及び単発モードの両方が許可されることを表している。
【0067】
破線で示す性能P2は、蓄電池40の電圧Vが所定電圧15Vを超えている際に、蓄電池40の温度が−5℃であり、かつ、動作時間tが第1所定時間550ms以上であり、かつ、第2所定時間780ms未満であると、単発モードのみ許可されることを表している。
【0068】
二点鎖線で示す性能P3は、蓄電池40の電圧Vが所定電圧15Vを超えている際に、蓄電池40の温度が−10℃であり、かつ、動作時間tが第1所定時間550ms以上であり、かつ、第2所定時間780ms未満であると、単発モードのみ許可されることを表している。
【0069】
図7は、蓄電池40の性能と打込機10の使用モードとの関係の一例を示すマップである。図7の横軸に示す応答時間は、打撃部12が待機位置から上昇を開始した時点から、被打込材70に対する釘58の打ち込みが完了する時点までの経過時間として把握可能である。釘58の打ち込み完了とは、釘58の頭部58Aが被打込材70に進入した状態を意味する。また、応答時間は、打撃部12が待機位置から上昇を開始した時点から、上死点に到達するまでの時間として把握することも可能である。
【0070】
応答時間は、電圧検出センサ85の信号、打撃部位置センサ88の信号などから推定可能である。単発モードでは、プッシュレバ68が被打込材70に押し付けられている状態で、トリガ66が操作されると、打撃部12が待機位置から上昇を開始する。連発モードでは、トリガ66が操作されている状態でプッシュレバ68が被打込材70に押し付けられると、打撃部12が待機位置から上昇を開始する。
【0071】
実線で示す性能P4は、蓄電池40の電圧Vが所定電圧15Vを超えている際に、蓄電池40の温度が−5℃を超える常温、例えば、10℃であり、かつ、応答時間が第3所定時間T1未満であると、連発モード及び単発モードの両方が許可されることを表している。
【0072】
破線で示す性能P5は、蓄電池40の電圧Vが所定電圧15Vを超えている際に、蓄電池40の温度が−5℃であり、かつ、応答時間が第3所定時間T1以上であり、かつ、第4所定時間T2未満であると、単発モードのみ許可されることを表している。
【0073】
二点鎖線で示す性能P6は、蓄電池40の電圧Vが所定電圧15Vを超えている際に、蓄電池40の温度が−10℃であり、かつ、応答時間が第3所定時間T1以上であり、かつ、第4所定時間T2未満であると、単発モードのみ許可されることを表している。なお、図7のマップに示す応答時間は、釘58の長さが同じであることを前提としている。
【0074】
マイクロコンピュータ63は、図5の制御例、図6のマップ及び図7のマップに示されていない条件に基づいて、蓄電池40の性能を判断可能である。例えば、蓄電池40の電流値から蓄電池40の性能を判断し、その判断結果に基づいて、連発モード及び単発モードのそれぞれを制限及び許可することも可能である。蓄電池40の温度を直接検出する他、ハウジング11内の温度から蓄電池40の性能を間接的に判断し、その判断結果に基づいて、連発モード及び単発モードのそれぞれを制限及び許可することも可能である。また、蓄電池40の使用履歴、例えば、釘58の打ち込み回数、蓄電池40を接続部20に着脱した回数に基いて蓄電池40の性能を判断し、その判断結果に基づいて、連発モード及び単発モードのそれぞれを制限及び許可することも可能である。釘58の打ち込み回数は、位置検出センサ72の信号または位相検出センサ83の信号から判断可能である。蓄電池40を接続部20に着脱した回数は、蓄電池検出センサ84の信号から判断可能である。
【0075】
また、マイクロコンピュータ63は、釘58を打ち込む前または釘58の打ち込みを行う前の何れにおいても、連発モードを制限すること、連発モードを制限し、かつ、単発モードを許可すること、連発モード及び単発モードを共に制限すること、モードの制限を解除すること、を行うことが可能である。釘58を打ち込む前は、作業者がトリガ66を操作せず、かつ、プシュレバ68が被打込材70から離れている際を含む。
【0076】
また、マイクロコンピュータ63は、モードを制限すること、モードの制限を解除することを、釘58を打ち込む前または釘58の打ち込み後の何れにおいても、表示部71で表示可能である。
【0077】
なお、マイクロコンピュータ63は、釘58を打ち込む前に各種の制御を行う場合、各種のセンサやスイッチの信号を処理して、蓄電池40の温度、蓄電池40の電圧、蓄電池40の電流値、蓄電池40の使用履歴等の条件から、蓄電池40の性能または釘58を打撃部12で打ち込む際の動作時間を推定する。
【0078】
実施形態で説明した事項の技術的意味は、次の通りである。圧力室13は、第1付勢部の一例であり、トリガ66は、第1操作部の一例である。プシュレバ68は、第2操作部の一例であり、マイクロコンピュータ63は、制御部、第1判断部、第2判断部、第3判断部及び第4判断部の一例である。蓄電池40、電動モータ15及び動力伝達機構14は、第2付勢部の一例である。単発モードが第1の打ち込みモードであり、連発モードが第2の打ち込みモードである。マイクロコンピュータ63が、連発モードを制限することが制限モードである。ピストン24が待機位置にある際の打撃部12の位置が、所定位置である。釘58は、止具の一例である。
【0079】
打込機は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、ベローズとピストンとを接続し、ベローズ内に圧力室を形成することも可能である。また、第1付勢部は、弾性部材の付勢力で、打撃部を第1方向に移動させるものを含む。弾性部材は、金属製のスプリング、合成ゴムを含む。第2付勢部は、ラックアンドピニオン機構の他、カム機構、牽引機構を含む。牽引機構は、モータ、ワイヤ、モータの回転力が伝達されるドラム、クラッチ機構を有する。ワイヤは、打撃部に接続され、かつ、ドラムに巻かれている。クラッチ機構は、モータとドラムとの間の動力伝達経路を接続及び遮断する。モータの回転力でワイヤがドラムに巻き取られて牽引されると、打撃部は第2方向に移動する。クラッチが動力伝達経路を遮断すると、打撃部は第1付勢部により第1方向に移動する。
【0080】
第1操作部は、作業者が操作する要素であり、トリガ、レバー、ボタン、パネルを含むむ。第1操作部は、往復移動するもの、回転移動するものの他、移動しないものを含む。第2操作部は、レバー、シャフト、ロッド、アームを含む。第2操作部は被打込材に押し付けられて移動する要素、または移動しない要素を含む。第2操作部は、被打込材に押し付けられたことを圧力センサにより検出することも可能である。
【0081】
本実施形態の打込機は、打撃部の待機位置が下死点であるもの、または上死点であるものを含む。何れの構造を有する打込機においても、打撃部が止具を打撃した後、下死点から待機位置に移動する際の動作時間は、電源の性能により変化する。
【0082】
制御部、第1判断部、第2判断部、第3判断部及び第4判断部のうちの少なくとも1つの要素は、プロセッサ、回路、記憶装置、モジュール及びユニットを含む。打撃部を第2位置から第1位置に向けて移動させるモータは、電動モータの他、油圧モータ、空気圧モータを含む。電動モータは、ブラシ付きモータまたはブラシレスモータの何れでもよい。電動モータの電源は、直流電源または交流電源のいずれでもよい。電源は、ハウジングに対して着脱可能なものと、ハウジングに対して電力ケーブルを介して接続されるものと、を含む。
【0083】
なお、図3を参照する説明において、ピンホイール49が反時計方向に回転することを記載している。これは、図3で打込機10を正面視した状態で、ピンホイール49の回転方向を説明するために、便宜的に行った定義付けである。被打込材70は、床、壁、天井、柱、屋根を含む。被打込材70の材質は、木材、コンクリート、石膏を含む。止具は、軸形状の釘の他、コ字形のタッカを含む。
【符号の説明】
【0084】
10…打込機、12…打撃部、13…圧力室、14…動力伝達機構、15…電動モータ、40…蓄電池、58…釘、63…マイクロコンピュータ、66…トリガ、68…プシュレバ、71…表示部、B1…第1方向、B2…第2方向。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】

【手続補正書】
【提出日】20200130
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向及び前記第1方向とは逆の第2方向に移動可能な打撃部と、前記打撃部を第1方向に移動させて前記打撃部で止具を打撃させる第1付勢部と、作業者が操作する第1操作部と、前記止具を打ち込む被打込材に押し付けられる第2操作部と、前記第1操作部が操作されたこと及び前記第2操作部が前記被打込材に押し付けられたことを検出すると、前記第1付勢部により前記打撃部を前記第1方向に移動させる制御部と、を有する打込機であって、
前記制御部は、作業者の操作によって、
前記第1操作部及び前記第2操作部が両方操作されたことを検出すると、前記打撃部によって第1回目の打ち込みを行わせる第1の打ち込みモードと、
前記第1操作部が操作された状態で、前記第2操作部が操作される毎に、前記打撃部によって打ち込みを行わせる第2の打ち込みモードと、
を実行可能であり、
更に制御部は、
前記第2の打ち込みモードで、前記打撃部によって第1回目の打ち込みのみを許可すること、
または、
前記第1の打ち込みモードから前記第2の打ち込みモードへの変更を禁止すること、
を行う制限モードを備えている、打込機。
【請求項2】
前記制御部は、異常状態と判断した際に、自動的に前記制限モードを選択する、請求項1記載の打込機。
【請求項3】
前記打撃部を前記第2方向に移動させる第2付勢部が設けられ、
前記制御部は、前記所定位置で停止している前記打撃部を前記第2付勢部により前記第2方向に移動させた後、前記打撃部を前記第1付勢部により前記第1方向に移動させて前記打撃部で前記止具を打撃させ、さらに、前記打撃部を前記第2付勢部により前記第2方向に移動させて前記所定位置に戻し、
前記制御部は、前記所定位置で停止している前記打撃部が前記第2方向に移動を開始した時点から、前記打撃部が前記止具を打撃し、さらに、前記打撃部が前記第2方向に移動されて前記所定位置に至るまでの動作時間に基づいて前記異常状態を判断する、請求項2記載の打込機。
【請求項4】
前記第2付勢部は、
電力が供給されて回転する電動モータと、
前記電動モータに電力を供給する電源と、
前記電動モータの回転力で前記打撃部を前記第2方向に移動させる動力伝達機構と、
を有する、請求項2記載の打込機。
【請求項5】
前記電源は蓄電池であり、
前記制御部は、前記蓄電池の電圧に基づいて前記異常状態を判断する、請求項4記載の打込機。
【請求項6】
前記制御部は、前記電源の電流値に基づいて前記異常状態を判断する、請求項4記載の打込機。
【請求項7】
前記制御部は、前記電源の温度に基づいて前記異常状態を判断する、請求項4乃至6の何れか1項記載の打込機。
【請求項8】
前記制御部は、前記電源の使用履歴に基づいて前記異常状態を判断する、請求項4記載の打込機。
【請求項9】
前記第1の打ち込みモード、前記第2の打ち込みモード、前記制限モードの何れのモードが行われているかを表示する表示部が、更に設けられている、請求項1乃至8の何れか1項記載の打込機。
【請求項10】
第1方向及び前記第1方向とは逆の第2方向に移動可能な打撃部と、
電源の電力により前記打撃部を前記第2方向に移動させる電動モータと、
前記打撃部を第1方向に移動させて前記打撃部で止具を打撃させる第1付勢部と、
作業者が操作する第1操作部と、
作業者が操作し、かつ、前記止具を打ち込む被打込材に押し付けられる第2操作部と、
前記第1操作部が操作されたこと及び前記第2操作部が前記被打込材に押し付けられたことを検出すると、前記第1付勢部により前記打撃部を前記第1方向に移動させる制御部と、
を有する打込機であって、
前記制御部は、
作業者によって前記第2操作部が前記被打込材に押し付けられた後に前記第1操作部が操作されたことを検出すると、前記第1付勢部により前記打撃部を前記第1方向に移動させる打ち込み動作を行う第1の打ち込みモードと、
作業者によって前記第1操作部が操作されたこと及び、前記第2操作部が前記被打込材に押し付けられたことを検出すると、前記第1付勢部により前記打撃部を前記第1方向に移動させて前記止具を打撃させる打ち込み動作を行う第2の打ち込みモードと、
を実行可能であり、
前記制御部は、前記電源の状態に基づいて、前記第2の打ち込みモードによる打ち込み動作を禁止し、前記第1の打ち込みモードによる打ち込み動作のみを許可する、打込機。
【請求項11】
第1方向及び前記第1方向とは逆の第2方向に移動可能な打撃部と、
電動モータと、
前記電動モータの回転力を前記打撃部の移動力に変換する動力伝達機構と、
前記電動モータに電力を供給する蓄電池と、
作業者が操作する第1操作部と、
止具を打ち込む被打込材に押し付けられる第2操作部と、
前記電動モータの回転を制御可能な制御部と、
を有する打込機であって、
前記制御部は、作業者の選択に応じて、
前記第2操作部が前記被打込材に押し付けられた後に前記第1操作部が操作されたことを検出すると、前記打撃部を前記第1方向に移動させて前記止具を打撃させる第1の打ち込みモードによる打ち込み動作と、
前記第1操作部が操作されたこと及び、前記第2操作部を前記被打込材に押し付けられたことを検出すると、前記打撃部を前記第1方向に移動させて前記止具を打撃させる第2の打ち込みモードによる打ち込み動作と、
を実現可能であり、
更に前記制御部は、前記蓄電池の状態に基づいて、前記第2の打ち込みモードによる打ち込み動作を禁止し、前記第1の打ち込みモードによる打ち込み動作のみを許容する、打込機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
一実施形態の打込機は、第1方向及び前記第1方向とは逆の第2方向に移動可能な打撃部と、前記打撃部を第1方向に移動させて前記打撃部で止具を打撃させる第1付勢部と、作業者が操作する第1操作部と、前記止具を打ち込む被打込材に押し付けられる第2操作部と、前記第1操作部が操作されたこと及び前記第2操作部が前記被打込材に押し付けられたことを検出すると、前記第1付勢部により前記打撃部を前記第1方向に移動させる制御部と、を有する打込機であって、前記制御部は、作業者の操作によって、前記第1操作部及び前記第2操作部が両方操作されたことを検出すると、前記打撃部によって第1回目の打ち込みを行わせる第1の打ち込みモードと、前記第1操作部が操作された状態で、前記第2操作部が操作される毎に、前記打撃部によって打ち込みを行わせる第2の打ち込みモードと、を実行可能であり、更に制御部は、前記第2の打ち込みモードで、前記打撃部によって第1回目の打ち込みのみを許可すること、または、前記第1の打ち込みモードから前記第2の打ち込みモードへの変更を禁止すること、を行う制限モードを備えている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
また、マイクロコンピュータ63は、釘58を打ち込む前または釘58の打ち込みを行うの何れにおいても、連発モードを制限すること、連発モードを制限し、かつ、単発モードを許可すること、連発モード及び単発モードを共に制限すること、モードの制限を解除すること、を行うことが可能である。釘58を打ち込む前は、作業者がトリガ66を操作せず、かつ、プシュレバ68が被打込材70から離れている際を含む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
第1操作部は、作業者が操作する要素であり、トリガ、レバー、ボタン、パネルを含む。第1操作部は、往復移動するもの、回転移動するものの他、移動しないものを含む。第2操作部は、レバー、シャフト、ロッド、アームを含む。第2操作部は被打込材に押し付けられて移動する要素、または移動しない要素を含む。第2操作部は、被打込材に押し付けられたことを圧力センサにより検出することも可能である。
【国際調査報告】