(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2019039389
(43)【国際公開日】20190228
【発行日】20200409
(54)【発明の名称】シートベルト装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/40 20060101AFI20200313BHJP
【FI】
   !B60R22/40 102
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
【出願番号】2019537596
(21)【国際出願番号】JP2018030470
(22)【国際出願日】20180817
(31)【優先権主張番号】2017162151
(32)【優先日】20170825
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
【住所又は居所】スウェーデン王国 44783 ボールゴーダ ヴァレンティンスヴァーゲン 22
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 克弘
【住所又は居所】神奈川県横浜市港北区新横浜3−17−6 オートリブ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】日端 岩太
【住所又は居所】神奈川県横浜市港北区新横浜3−17−6 オートリブ株式会社内
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018HA07
3D018HB03
3D018HD02
3D018HE02
(57)【要約】
シートベルトリトラクタ(11)は、アジャストギヤ(74)の回転をセンサハウジング(32)に伝達して、センサハウジング(32)を車両前後方向に揺動させる回転伝達機構(76)を含む。慣性体(35)を慣性体支持面(33)に載置しているセンサ組み付け体(39)が中立位置に置かれた状態の重心(G)は、センサハウジング(32)の揺動軸(L1)の軸中心(O)を通る鉛直線(V1)から外れた位置に位置する。これにより、回転伝達機構(76)によってアジャストギヤ(74)からセンサハウジング(32)にシートバック(16)の傾き角度に応じた角度の回転を伝えるとともに、重心(G)によりセンサ組み付け体(39)を常に一方方向に回動させて回転伝達機構(76)の部品間のガタを吸収して、シートバック(16)の傾き角度とセンサハウジング(32)の回転角度を精度よく同期させて加速度センサ(30)の精度向上を図る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リクライニング式シートのシートバックに取り付けられ、必要時にシートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタと、
前記リクライニング式シートのシートバックとシートクッションの連結部に配置され、前記シートバックが車両前後方向に傾動する時の傾き角度を検出し、当該傾き角度を前記シートベルトリトラクタに伝えるためのケーブルを有するケーブル進退機構と、
を備えるシートベルト装置であって、
前記ケーブル進退機構は、
前記シートバックの前記傾き角度に対応する距離を、前記ケーブルの長さ方向に、前記ケーブルが前進または後進するものであり、
前記シートベルトリトラクタは、
前記シートバックに固定されるリトラクタフレームと、
前記リトラクタフレームにより支持され、前記シートベルトを巻き取るためのスピンドルと、
前記リトラクタフレームに取り付けられ、車両前後方向における加速度を検出する加速度センサと、
該加速度センサによって検出される車両前後方向の加速度に応じて、シートベルトの引き出し動作をロックするロック機構と、
前記加速度センサのセンサ基準面を水平に保つ姿勢制御機構と、を有し、
前記加速度センサは、
前記リトラクタフレームに固定されたセンサカバーと、
車両前後方向に所定値以上の加速度が作用したとき車両の前後方向へ移動する慣性体、車両左右方向に沿った揺動軸を有し、前記センサカバーに保持され、前記慣性体が載置される前記センサ基準面を有するセンサハウジング、及び前記慣性体が車両前後方向へ移動することに連動して前記ロック機構をロック側へ作動させる作動部材を備えるセンサ組み付け体と、を有し、
前記姿勢制御機構は、
前記ケーブル進退機構による前記ケーブルの前進または後進の距離に応じた角度を回動する回転部材を備え、
前記シートベルトリトラクタは、更に、
前記回転部材の回転を前記センサハウジングに伝達して、前記センサハウジングを車両前後方向に揺動させる回転伝達機構を含み、
前記慣性体を前記センサ基準面に載置している前記センサ組み付け体が中立位置に置かれた状態の重心は、前記センサハウジングの前記揺動軸の軸中心を通る鉛直線から外れた位置に位置することを特徴とするシートベルト装置。
【請求項2】
前記回転部材と前記センサハウジングとは、所定の隙間を持って互いに対向可能で、且つ、前記回転部材の両方向の回転に対して前記センサハウジングが追従するように互いに係合可能な係合部及び被係合部をそれぞれ備え、
前記センサ組み付け体の重心は、前記係合部と前記被係合部とが常時接触するように設定されることを特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。
【請求項3】
前記回転部材の係合部はピンであり、
前記センサハウジングの被係合部は、該ピンを挟むように位置する1対のアーム部であり、
前記センサ組み付け体の重心は、前記ピンと前記アーム部とが常時接触するように設定されることを特徴とする請求項2に記載のシートベルト装置。
【請求項4】
前記センサハウジングは、前記回転部材に設けられたピンを挟むように位置する1対のアーム部を備え、
前記ピンは、最大外径寸法が縮小可能に弾性変形可能であると共に、前記1対のアーム部の両内側面に同時に常時接触していることを特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。
【請求項5】
前記リトラクタフレームは、前記シートバックの左右方向の中心を上下方向に延びる直線に対して車両の左右方向に傾斜して前記シートバックに固定され、
前記センサハウジングの揺動軸が、車両左右方向に対して水平方向に設置されるように、前記回転部材の回転軸と前記センサハウジングの揺動軸とが車両左右方向に対して所定角度を持って交差することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシートベルト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内の乗員を保護するためのシートベルト装置に係り、特にシートベルトリトラクタをリクライニング式シートのシートバックに組み込むようにしたシートベルト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるシートベルト装置は、シートベルトリトラクタから引き出されたシートベルトによって、シートに着座する乗員を拘束して車両衝突時等に乗員を保護するためのものである。シートベルトリトラクタは、車両衝突時等に水平方向に所定値より大きな加速度が作用した際に、この加速度を加速度センサで検出して、シートベルトのロック機構を作動させ、これによりシートベルトを引き出し不能にする。加速度センサに使用される慣性体としては、ボールを使用したものや自立慣性体を使用したものが知られている。
【0003】
ところで、リクライニング式シートのシートバックに、この種の加速度センサを備えたシートベルトリトラクタを装備した場合、シートバックのリクライニング角度(傾き角度)によって、シートベルトリトラクタの姿勢が変化してしまうため、そのままでは適正に加速度を検出できなくなる。そこで、シートバックのリクライニング角度によらず、適正に加速度を検出できるようにした加速度センサを装備したシートベルト装置が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1及び特許文献2に記載のシートベルト装置は、シートクッションから突設されたシートバック支持アームとリクライニング回転軸との連結部分に、シートバックの傾き角度に応じた長さだけケーブルを進退させるケーブル進退機構を配置する。そして、シートバックが前後に傾動した際に、ケーブル進退機構とシートベルトリトラクタとの間に架け渡されたケーブルにより、加速度センサのセンサ基準線を常に鉛直方向に向けるように制御して、加速度を適正に検出可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特開2000−79867号公報
【特許文献2】日本国特開2000−52921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2に記載のシートベルト装置によると、姿勢制御用ロータに設けられ、下方に向って拡開する略三角形状の立上片係合溝に、上端が尖頭状のセンサケースの立上片が、若干の遊びをもって係合して、姿勢制御用ロータの回転をセンサケースに伝達して加速度センサのセンサ基準線を常に鉛直方向に向けるように制御している。しかしながら、センサケースの回転には、立上片係合溝と立上片とのガタによるバックラッシュにより往復作動時のヒステリシスが発生するため、加速度センサを水平に維持することが難しく、ロック性能がばらつく問題があった。
【0007】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ケーブル進退機構からシートベルトリトラクタの加速度センサまでを連結する連結部品間のガタ(バックラッシュ)に起因するヒステリシスを抑制して、加速度センサの精度を向上することができるシートベルト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の構成によって達成される。
(1) リクライニング式シートのシートバックに取り付けられ、必要時にシートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタと、
前記リクライニング式シートのシートバックとシートクッションの連結部に配置され、前記シートバックが車両前後方向に傾動する時の傾き角度を検出し、当該傾き角度を前記シートベルトリトラクタに伝えるためのケーブルを有するケーブル進退機構と、
を備えるシートベルト装置であって、
前記ケーブル進退機構は、
前記シートバックの前記傾き角度に対応する距離を、前記ケーブルの長さ方向に、前記ケーブルが前進または後進するものであり、
前記シートベルトリトラクタは、
前記シートバックに固定されるリトラクタフレームと、
前記リトラクタフレームにより支持され、前記シートベルトを巻き取るためのスピンドルと、
前記リトラクタフレームに取り付けられ、車両前後方向における加速度を検出する加速度センサと、
該加速度センサによって検出される車両前後方向の加速度に応じて、シートベルトの引き出し動作をロックするロック機構と、
前記加速度センサのセンサ基準面を水平に保つ姿勢制御機構と、を有し、
前記加速度センサは、
前記リトラクタフレームに固定されたセンサカバーと、
車両前後方向に所定値以上の加速度が作用したとき車両の前後方向へ移動する慣性体、車両左右方向に沿った揺動軸を有し、前記センサカバーに保持され、前記慣性体が載置される前記センサ基準面を有するセンサハウジング、及び前記慣性体が車両前後方向へ移動することに連動して前記ロック機構をロック側へ作動させる作動部材を備えるセンサ組み付け体と、を有し、
前記姿勢制御機構は、
前記ケーブル進退機構による前記ケーブルの前進または後進の距離に応じた角度を回動する回転部材を備え、
前記シートベルトリトラクタは、更に、
前記回転部材の回転を前記センサハウジングに伝達して、前記センサハウジングを車両前後方向に揺動させる回転伝達機構を含み、
前記慣性体を前記センサ基準面に載置している前記センサ組み付け体が中立位置に置かれた状態の重心は、前記センサハウジングの前記揺動軸の軸中心を通る鉛直線から外れた位置に位置することを特徴とするシートベルト装置。
(2) 前記回転部材と前記センサハウジングとは、所定の隙間を持って互いに対向可能で、且つ、前記回転部材の両方向の回転に対して前記センサハウジングが追従するように互いに係合可能な係合部及び被係合部をそれぞれ備え、
前記センサ組み付け体の重心は、前記係合部と前記被係合部とが常時接触するように設定されることを特徴とする(1)に記載のシートベルト装置。
(3) 前記回転部材の係合部はピンであり、
前記センサハウジングの被係合部は、該ピンを挟むように位置する1対のアーム部であり、
前記センサ組み付け体の重心は、前記ピンと前記アーム部とが常時接触するように設定されることを特徴とする(2)に記載のシートベルト装置。
(4) 前記センサハウジングは、前記回転部材に設けられたピンを挟むように位置する1対のアーム部を備え、
前記ピンは、最大外径寸法が縮小可能に弾性変形可能であると共に、前記1対のアーム部の両内側面に同時に常時接触していることを特徴とする(1)に記載のシートベルト装置。
(5) 前記リトラクタフレームは、前記シートバックの左右方向の中心を上下方向に延びる直線に対して車両の左右方向に傾斜して前記シートバックに固定され、
前記センサハウジングの揺動軸が、車両左右方向に対して水平方向に設置されるように、前記回転部材の回転軸と前記センサハウジングの揺動軸とが車両左右方向に対して所定角度を持って交差することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のシートベルト装置。
【0009】
なお、本発明の「上下」または「上下方向」とは、車両の中心から床方向と天井方向を見たときの方向を示し、また、「左右または左右方向」とは、車両の車幅方向を示す。
また、「水平」または「水平方向」とは、水平(水平方向)を含み、当該水平から少し変化しても、製造上で発生する誤差や、製品を設計する場合に本発明の効果を生じることができる範囲を含む。
【0010】
また、「中立位置に置かれている状態」とは、慣性体とセンサ組み付け体が静止状態のときに、センサ組み付け体の慣性体(例えば、ボール)の幾何学的な中心(又は揺動軸)を通り、重力の作用する力の向きに延びる鉛直線が、慣性体支持面の最深部(例えば、慣性体支持面の底部の中心近傍)を通るように静止している慣性体とセンサ組み付け体の位置関係を言う。
【0011】
さらに、「シートバックの車両前後方向への傾き角度」において、シートバックの傾き角度の検出範囲は、乗員が着座できる程度にシートバックが起き上がった状態から、当該シートバックを車両後方側に倒した状態までの間で検出できるように設定している。しかしながら、シートバックを前方に倒した状態から後方に倒した状態の間すべてで角度検出するように角度検出部分を設計することも可能であり、シートバックの傾き角度の検出範囲は、顧客の要望に応じて任意に設定可能である。
【0012】
また、「前記シートバックの左右方向の中心を上下方向に延びる直線に対して車両の左右方向に傾斜」について、以下の実施形態では、上下方向に延びる直線に対して、左右方向にそれぞれ±15°傾斜したものしか記載されていないが、合理的に設計されている限り、左右方向にそれぞれ0°〜±45°の間で設定が可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシートベルト装置においては、シートベルトリトラクタは、回転部材の回転をセンサハウジングに伝達して、センサ基準面が水平な状態に保持されるように、センサハウジングを車両前後方向に揺動させる回転伝達機構を含む。また、慣性体をセンサ基準面に載置しているセンサ組み付け体が中立位置に置かれている状態の重心は、センサハウジングの揺動軸の軸中心を通る鉛直線から外れた位置に位置する。
【0014】
これにより、回転伝達機構によって回転部材からセンサハウジングにシートバックの傾き角度に応じた角度の回転を伝えるとともに、センサ組み付け体の重心に作用する回転トルクによりセンサ組み付け体を常に一方方向に回動させて回転伝達機構の部品間のガタを吸収する。このため、ガタの有無や大きさに拘らずセンサハウジングのヒステリシスの発生を防止して、シートバックの傾き角度とセンサハウジングの回転角度を精度よく同期させることができる。従って、センサ基準面を、任意なシートバック傾き角度においても、精度よく水平に保つことができて、加速度センサの精度向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は、本発明の第1実施形態に係るシートベルト装置を備えたリクライニング式シートの側面図、(b)は、同リクライニング式シートの左座席の後面図であり、(c)は、同リクライニング式シートの右座席の後面図である。
【図2】(a)は、左側に所定角度θだけ傾けて取り付けられる右座席用のシートベルトリトラクタを車両前方側から見た断面図、(b)は、右側に所定角度θだけ傾けて取り付けられる左座席用のシートベルトリトラクタを車両前方側から見た断面図である。
【図3】同シートベルトリトラクタの分解斜視図である。
【図4】同シートベルトリトラクタの加速度センサと姿勢制御機構の分解斜視図である。
【図5】(a)は、同加速度センサと姿勢制御機構の組立状態を示す斜視図、(b)はその側面図である。
【図6】図5(b)のVI−VI矢視断面図で、シートベルトリトラクタが右側に所定角度θだけ傾いて取り付けられているときの状態を示す図である。
【図7】(a)は、左座席用のシートベルトリトラクタに用いられるセンサハウジングの構成を示す斜視図、(b)は、右座席用のシートベルトリトラクタに用いられるセンサハウジングの構成を示す斜視図である。
【図8】(a)は、シートベルトリトラクタが車幅方向(右方向)に傾斜して取り付けられていることを示す側面図で、(b)は、姿勢制御機構のアジャストギヤ(回転部材)の回転軌道面(鉛直面に対して傾いた面)に垂直な方向からアジャストギヤのピンの移動軌跡を示す図、(c)は、センサハウジングの回転軌道面(鉛直面)に垂直な方向(水平方向)からアジャストギヤのピンの移動軌跡を示す図、(d)は、センサハウジングの回転軌道面(鉛直面)に垂直な方向(水平方向)からスリットの移動軌跡を示す図、(e)は、(c)と(d)の移動軌跡の合成図である。
【図9】(a)は、左座席用シートベルトリトラクタに使用する姿勢制御機構のプーリの斜視図、(b)は、その正面図、(c)は、(b)のIXc−IXc矢視断面図、(d)は、右座席用シートベルトリトラクタに使用する姿勢制御機構のプーリの斜視図、(e)は、その正面図、(f)は、(e)のIXf−IXf矢視断面図である。
【図10】プーリのケーブル巻き付け溝の回転中心からの半径〔図9(c)、(f)のケーブル巻き付け溝73bの半径r〕の変化を示す図である。
【図11】アジャストギヤのピンと、センサハウジングのスリットとの間に隙間が設けられた状態を示す断面図である。
【図12】センサ組み付け体の重心、及びセンサ組み付け体とアジャストギヤ(回転部材)との位置関係を示す断面図である。
【図13】シートバックの傾き角度ごとのシートベルトリトラクタとケーブル進退機構の状態を示す側面図で、(a)は、後ろ倒し15°のときの状態、(b)は、後ろ倒し95°のときの状態、(c)は、前倒し75°のときの状態を示す。
【図14】ケーブル進退機構を示す分解斜視図である。
【図15】同ケーブル進退機構の状態を示す側面図で、(a)はシートバックが後ろ倒し15°のときの状態、(b)はシートバックが後ろ倒し95°のときの状態、(c)はシートバックが前倒し75°のときの状態を示す。
【図16】センサ組み付け体が71.27°反時計方向に回動した状態を示す断面図である。
【図17】(a)は、センサ組み付け体が12.7°時計方向に回動した状態を示す断面図であり、(b)は、(a)のXVII部拡大図である。
【図18】第2実施形態のセンサ組み付け体とアジャストギヤ(回転部材)の関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るシートベル装置の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1(a)〜(c)に示すように、第1実施形態のシートベルト装置10は、リクライニング式シート15のシートバック16に取り付けられ、必要時にシートベルト19を巻き取るシートベルトリトラクタ11と、リクライニング式シート15のシートバック16とシートクッション17の連結部18に配置され、シートバック16の傾き角度に応じた距離だけケーブル13を進退させることで、シートバック16の傾動動作をケーブル13を介してシートベルトリトラクタ11に伝えるケーブル進退機構80と、を備え、車両内の乗員をリクライニング式シート15に対して拘束する。通常、ケーブル13は、後述する外装チューブにより覆われており、外装チューブの両端がシートベルトリトラクタ11とケーブル進退機構80のケーシング等に固定され、内部に収容されたケーブル13が、外装チューブに対してスムーズにスライドできるように構成されている。
【0018】
シートベルトリトラクタ11は、シートバック16のリクライニング角度に応じて、車両の前後方向に任意の角度で傾動する。また、車両の幅方向(車両左右方向)においては、シートベルトリトラクタ11からシートベルト19を滑らかに繰り出し可能とするため、車種やシート仕様によってそれぞれ異なる所定角度θで取り付けられる。ここでは、シートベルトリトラクタ11の基準取付姿勢は、車両の後方に略15°傾斜している(後ろ倒し15°)と共に、車両の幅方向に所定角度θ(=15°)だけ傾斜した姿勢で、シートバック16に取り付けられている。つまり、図1(b)に示すように、左座席の場合は、後ろ側から見て左側に所定角度θ(=15°)だけ傾斜して取り付けられており、図1(c)に示すように、右座席の場合は、後ろ側から見て右側に所定角度θ(=15°)だけ傾斜して取り付けられている。
【0019】
図2及び図3に示すように、シートベルトリトラクタ11は、シートバック16の左右方向の中心を上下方向に延びる直線に対して車両の左右方向に傾斜してシートバック16に固定されるリトラクタフレーム21を備えており、リトラクタフレーム21には、シートベルト19を巻き取るためのスピンドル22が回転可能に支持されている。
【0020】
スピンドル22の軸方向の一端側には、スピンドル22をシートベルト19の巻き取り方向に回転付勢するリトラクタスプリング23が連結され、リトラクタスプリング23は、カバー23aに収容されている。
【0021】
スピンドル22の軸方向の他端側には、シートベルト19の引き出し動作をロックするロック機構24の一構成要素であるステアリングホイール25と、車両に作用する前後方向の加速度を検出し、検出された加速度に応じてロック機構24を作動させる加速度センサ30と、シートバック16の傾き角度によらず、加速度センサ30のセンサ基準面(後述する慣性体支持面33)を水平に保つ姿勢制御機構70とが設けられている。
【0022】
ステアリングホイール25は、スピンドル22と一体回転するように結合されると共に、外周面に、後述する第1センサレバー36の上部爪部36bと係合する周方向に所定の間隔で並んだ複数の係合爪25aを有しており、ステアリングホイールカバー27の内部に収容されている。また、加速度センサ30を含むシートベルトリトラクタ11の他端側の側面全体が、リトラクタカバー29によって覆われている。
【0023】
図3及び図4に示すように、加速度センサ30は、センサカバー31と、センサハウジング32と、慣性体としての鉄製のボール35と、作動部材である第2センサレバー37と、を有している。センサカバー31は、シートバック16と一体的に車両前後方向に傾動するようリトラクタフレーム21の外側面に固定される。センサハウジング32は、車両左右方向に沿った揺動軸L1(図6参照)を中心としてセンサカバー31に対して車両前後方向揺動自在に支持され、シートバック16の傾動時に、姿勢制御機構70によりセンサカバー31に対して車両前後方向に回動させられることで、車両前後方向においてセンサ基準面としての慣性体支持面33を水平な状態に保持する。ボール35は、センサハウジング32の慣性体支持面33上に支持されて所定値以上の車両前後方向の加速度が作用したとき中立位置から変位する。第2センサレバー37は、ボール35が車両前後方向に変位した際に連動してロック機構24をロック側へ作動させる。
【0024】
なお、センサハウジング32、ボール(慣性体)35、及び第2センサレバー(作動部材)37は、センサ組み付け体39を構成する(図11参照)。後に詳述するが、ボール35を慣性体支持面33上に載置しているセンサ組み付け体39が中立位置に置かれている状態の重心Gは、センサハウジング32の揺動軸L1の軸中心Oを通る鉛直線V1の延長線上から外れた位置に設定されている。
【0025】
具体的には、図6にも示すように、センサカバー31の一対の支持孔31a、31bに、センサハウジング32の外側面に突設した一対のボス部32a、32bがそれぞれ嵌合されることにより揺動軸L1が構成されており、センサハウジング32は、この揺動軸L1を中心に車両前後方向に揺動可能である。また、図4に示すように、センサハウジング32の一対のブラケット32c、32dに形成されたレバー支持孔32e、32fに第2センサレバー37の一対の回動突起37a、37bが嵌合され、第2センサレバー37は、センサハウジング32に対して車両前後方向に回動可能に支持されている。
【0026】
センサハウジング32は、下方に凹むすり鉢状の凹面である慣性体支持面33を上側の内底面に備えており、その慣性体支持面33上にボール35が載置されている。慣性体であるボール35は、所定以上の車両前後方向の加速度を受けたとき、中立位置から変位して車両(即ち、シートベルトリトラクタ11)に作用する加速度を検知する。なお、前述した慣性体支持面33が水平な状態とは、慣性体支持面33の基準面(例えば、慣性体支持面33の上面)が水平であることを言う。
【0027】
第1センサレバー36は、図3に示すように、基端部に嵌合孔が設けられたボス部36aを有し、先端部が、ステアリングホイール25に当接する上部爪部36b及び第2センサレバー37に当接する下部爪部36cが設けられた略Y字型に形成されている。第1センサレバー36は、ステアリングホイール25の下方に配されており、ボス部36aの嵌合孔が、リトラクタフレーム21に固定された支持軸(図示略)に回動自在に嵌合している。そして、嵌合孔を有するボス部36aを中心として上方に回動することで、上部爪部36bがステアリングホイール25の係合爪25aに係合して、ステアリングホイール25の回転を規制する。従って、ステアリングホイール25と第1センサレバー36とにより、ロック機構24が構成されている。
【0028】
第2センサレバー37は、図3及び図4に示すように、基端部に形成された回動突起37a、37bと、先端側に形成されてボール35の上面に被さる椀部37cと、椀部37cの上面に形成されたリブ37dと、を備えている。回動突起37a、37bは、センサハウジング32のレバー支持孔32e、32fに回動自在に嵌合されている。第2センサレバー37は、椀部37cがボール35の上側に接触すると共に、リブ37dの上面に第1センサレバー36の下部爪部36cが当接している。そして、加速度によってボール35が中立位置から変位すると、上側に回動して下部爪部36cを介して第1センサレバー36を上方に押し上げ、ステアリングホイール25の係合爪25aに上部爪部36bを係合させて、ステアリングホイール25をロックする。なお、第1センサレバー36と第2センサレバー37とは、ボール35が変位した際に、反対方向に回動するようにボール35の中心から見て回動軸線の位置が互いに逆方向に設定されている。
【0029】
また、図4に示すように、センサハウジング32の前後方向の姿勢を制御する姿勢制御機構70は、リトラクタフレーム21の側板の内側に配された第1プーリケース71及び第2プーリケース72と、それら第1プーリケース71及び第2プーリケース72を合わせることで形成された内部空間の中に収容されたプーリ(第1プーリ)73と、アジャストギヤ74と、プーリ73を回転付勢するトーションスプリング75と、アジャストギヤ74の回転を加速度センサ30のセンサハウジング32に伝達する回転伝達機構76(図6参照)と、から構成されている。
【0030】
プーリ73は、第1プーリケース71に設けられた支持軸71cを中心に、第1プーリケース71及び第2プーリケース72に回転自在に支持されており、ケーブル進退機構80によるケーブル13の進退の動きを回転運動に変換し、ケーブル13の進退の動きに応じた角度だけシートバック16の傾動方向と同方向に回転する。このプーリ73には、ケーブル13を巻き取るためのケーブル巻き付け溝73bが外周面に設けられており、ケーブル13の一端部(上端部)がエンドブロック13aを介してプーリ73に固定されている。なお、ケーブル13は、外装チューブ13b内に通されており、外装チューブ13bの一端が第1プーリケース71及び第2プーリケース72に固定されている。
【0031】
トーションスプリング75(図3参照)は、プーリ73をケーブル13の巻き取り方向に回転付勢している。また、アジャストギヤ74は、プーリ73の側部に形成されたギヤ73aに噛み合って、シートバック16の傾動方向と逆方向に同一回転角度で同期回転する回転部材である。そして、図6に示すように、一方の軸突起74aを第1プーリケース71に形成した支持孔71aに嵌め、先端が球状になった他方の軸突起74bを、第1プーリケース71の開口窓71b(図4参照)を通して、センサハウジング32のボス部32bの端面の球面穴32gに嵌めることにより、アジャストギヤ74は、回転軸L2を中心にして回動できるように支持されている。この場合、球面穴32gと球状の軸突起74bの嵌合により、アジャストギヤ74の回動軸L2とセンサハウジング32の揺動軸L1は、任意の角度を持った状態で軸突起74bの中心で1点で交差している。
【0032】
回転伝達機構76は、アジャストギヤ(回転部材)74の回転をセンサハウジング32に伝達して、センサハウジング32を揺動させることで、加速度センサ30のセンサ基準線S1(中立位置にあるボール35の中心点を通るセンサ基準面に対して垂直な線)を車両前後方向において鉛直方向に指向させて、センサ基準線S1に垂直なセンサ基準面としての慣性体支持面33を水平に保持するものである。このような回転伝達機構76は、アジャストギヤ74とセンサハウジング32にそれぞれ形成された、揺動軸L1および回動軸L2から半径方向に離れた位置に配されて互いに係合するピン(係合部)74cとスリット32hの組み合わせによって構成されている。
【0033】
ここでは、ピン74cがアジャストギヤ74側に形成され、スリット32hがセンサハウジング32側に形成されているが、逆に形成されていてもよい。なお、スリット32hは、センサハウジング32の側部下方に突設した1対のアーム部(被係合部)32iによって形成されている。このアーム部32iは、スリット32hとピン74cとが確実に係合でき、しかも、他の部分と干渉をしない必要がある。そのため、図7(a)に示すような左座席用のシートベルトリトラクタに使用するセンサハウジング32L(32)と、図7(b)に示すような右座席用のシートベルトリトラクタに使用するセンサハウジング32R(32)とで、アーム部32iの形状に若干違いを設けている。
【0034】
このようなシートベルトリトラクタ11は、車種やシート仕様ごとに異なる基準取付姿勢、例えば、車両の後方に略15°傾斜すると共に車両の幅方向(左右方向)にθ=15°傾斜した状態でシートバック16に取り付けられる。シートベルトリトラクタ11が、車種やシート仕様によって車幅方向で異なる傾き方向や角度で取り付けられるのは、スピンドル22の車幅方向の傾きをシートベルト19の引き出し方向と一致させることにより、滑らかな引き出しを可能とするためである。
【0035】
従って、図6に示すように、リトラクタフレーム21を右側に所定角度θ(=15°)だけ傾けて取り付けることで、姿勢制御機構70のプーリ73やアジャストギヤ74の回動軌道面が鉛直面に対して右側に所定角度θだけ傾く場合と、この逆に、図示はしないが、リトラクタフレーム21を左側に所定角度θだけ傾けて取り付けることで、姿勢制御機構70のプーリ73やアジャストギヤ74の回動軌道面が鉛直面に対して左側に所定角度θだけ傾く場合との2つの取付姿勢がある。
【0036】
このような取付姿勢から、本実施形態では、アジャストギヤ74の回動軸L2が車両左右方向に沿った水平方向に対して所定角度θだけ傾斜していることを前提としており、そのようにアジャストギヤ74の回動軸L2が水平に対して傾いている場合でも、加速度センサ30のセンサハウジング32の揺動軸L1が水平に保たれて加速度センサ30のセンサ基準線S1が鉛直方向を指向するように、センサカバー31が左右座席用ごとのタイプ別にそれぞれ用意されている。そのため、水平に対して傾斜したアジャストギヤ74の回動軸L2と水平に保たれたセンサハウジング32の揺動軸L1は、所定角度θを持って交差した関係に設定され、その上で、前述のピン74cとスリット32hの組み合わせによって回転伝達機構76が構成されている。
【0037】
ここで、シートバック16の傾き角度(リクライニング角度)とセンサハウジング32の回転角度(シートバック16の傾動方向と反対向きの回転角度)は精度よく同期する必要がある。シートバック16の回転角度とセンサハウジング32の回転角度が精度よく同期していないと、慣性体支持面33が精度よく水平に保たれず、それにより、加速度センサ30が正確に反応することができない。
【0038】
ところが、上記の構成のように、スリット32hとピン74cによってアジャストギヤ74からセンサハウジング32に回転を伝える場合に、プーリ73やアジャストギヤ74の回転軌道面とセンサハウジング32の回転軌道面が互いに非平行であると、それに起因して、アジャストギヤ74とセンサハウジング32の間に回転角度ズレが発生する。
また、ケーブル進退機構80及び姿勢制御機構70の構成部品間には、ガタが発生する可能性があり、往復作動時に構成部品間にヒステリシス損失が発生し、センサハウジング32の位置が不安定となる場合がある。特に、センサハウジング32のスリット32hとアジャストギヤ74のピン74cとの間のガタや、プーリ73のギヤ73aとアジャストギヤ74のギヤ間のバックラッシュなどによってもアジャストギヤ74とセンサハウジング32の間にはヒステリシス損失が発生し、チルトロック性能にばらつきが生じやすい。
【0039】
先ず、アジャストギヤ74の回転軌道面とセンサハウジング32の回転軌道面が互いに非平行の場合に生じる回転角度ズレについて説明する。例えば、アジャストギヤ74とセンサハウジング32の両者の回転軌道面が互いに平行であって、両者の軸(回動軸L2と揺動軸L1)が同一直線上にあると仮定した場合は、アジャストギヤ74とセンサハウジング32が回転した際に、ピン74cとスリット32hの力の伝達のための接触点の位置が一定で変化しないので、その接触点の軌道は真円となるのであるが、アジャストギヤ74とセンサハウジング32の両者の回転軌道面が互いに非平行である場合は、接触点の位置が回転角度に応じて半径方向に変化することになるため、接触点の回転軌道が非円形(楕円形状)となる。
【0040】
以下、図8を用いて詳しく説明する。センサハウジング32のスリット32hの回転軌道K1は、図8(d)に示すように、センサハウジング32の回転軌道面(鉛直面)に垂直な水平方向から見ると真円になる。しかしながら、アジャストギヤ74のピン74cの回転軌道K2は、図8(b)に示すように、アジャストギヤ74の回転軌道面(鉛直面)に垂直な水平方向から見ると真円になるが、図8(c)に示すように、センサハウジング32の回転軌道面(鉛直面)に垂直な水平方向から見ると楕円となる。
【0041】
そのため、前記接触点の位置が回転角度に応じて半径方向に変化し、接触点の軌道が図8(e)に示すように真円からずれて非円形(楕円形のピン74cの軌道と一致)となる。それにより、アジャストギヤ74とセンサハウジング32との間に回転角度ズレが発生するようになる。例えば、アジャストギヤ74が60°回動したときに、センサハウジング32が58°や62°回動するようなことが生じる。そうすると、シートバック16の傾き角度とセンサハウジング32の回転角度が同期しない状態となって、センサハウジング32の慣性体支持面33が正確に水平に保持されなくなる。
【0042】
姿勢制御機構70の傾き方向が図8(a)の場合と逆の場合も、回転角度に応じてピン74cとスリット32hの接触点の位置が半径方向に変化することによって、接触点の軌道が楕円状になる。但し、姿勢制御機構70の傾き方向の違いによって楕円の形は異なる。
【0043】
そこで、そのような回転角度ズレを補償するための補償手段が、ケーブル進退機構80から姿勢制御機構70までの間に設けられている。そして、シートバック16の傾き角度を、回転角度ズレを見込んだ角度だけ修正しながらセンサハウジング32に伝えるようにしている。これにより、回転角度ズレが補償された状態でセンサハウジング32が回動することになるため、シートバック16の傾き角度にほぼ同期するようにセンサハウジング32を回動させることができるようになる。
【0044】
具体的には、ケーブル進退機構80から延びるケーブル13の進退の動きが、シートバック16の傾き角度を正確に反映しているとして、補償手段は、姿勢制御機構70のプーリ73に設ける。即ち、姿勢制御機構70には、ケーブル13の進退の動きを回転運動に変換しアジャストギヤ74に回転を伝えるプーリ73が設けられており、そのプーリ73のケーブル巻き付け溝73bの周方向の経路を非真円のスプライン曲線状に形成することで、ケーブル巻き付け溝73bの半径rをプーリ73の回転角度に応じて変化するように設定する。すなわち、補償手段は、このスプライン曲線状に形成したプーリ73の半径rの変化するケーブル巻き付け溝73bによって構成される。
【0045】
なお、「スプライン曲線状」とは、スプライン曲線の他、例えば、第1平面上にある円を、当該第1平面と平行でない第2平面に、当該第2平面に対して垂直でその上方から投影したときに、当該平行でない第2平面に投影された当該円の円周上に描かれる曲線などを含める。
【0046】
ケーブル巻き付け溝73bのプロフィール(スプライン曲線)は、計算や実測により得たアジャストギヤ74とセンサハウジング32の回転角度ズレのデータに基づいて設定される。図9(a)〜(c)は左座席用シートベルトリトラクタに使用するプーリ(便宜上「L15°プーリ」と称す)の構成図であり、(d)〜(f)は右座席用シートベルトリトラクタに使用するプーリ(便宜上「R15°プーリ」と称す)の構成図である。また、図10は、L15°プーリ73LとR15°プーリ73Rのケーブル巻き付け溝73bのプロフィール(回転中心からの半径rの変化)を真円プーリと比較して示す図である。
【0047】
いずれのプーリ73L、73Rも、アジャストギヤ74とセンサハウジング32の回転角度ズレを補償することができるプロフィールでケーブル巻き付け溝73bの半径rが決められている。従って、これらのプーリ73L、73Rを姿勢制御機構70に組み込むことによって、シートバック16の傾き角度とセンサハウジング32の回転角度を精度よく同期させることができ、センサ基準面である慣性体支持面33を、任意なシートバック傾き角度においても、精度よく水平に保つことができて、加速度センサ30の精度向上を図ることができる。
【0048】
次に、ケーブル進退機構80及び姿勢制御機構70の構成部品間のガタに起因する回転角度ズレについて説明する。例えば、図11に示すように、スリット32hとピン74cとの間には、アジャストギヤ74とセンサハウジング32とを滑らかに作動させるために不可避な隙間sがある。このため、アジャストギヤ74の往復動により駆動されるセンサ組み付け体39の回転角度にヒステリシスが発生し、結果として加速度センサ30の姿勢にばらつきが生じる可能性がある。
【0049】
これに対して、本実施形態の加速度センサ30は、図12に示すように、センサ組み付け体39が中立位置に置かれた状態のセンサ組み付け体39の重心Gが、センサハウジング32の揺動軸L1の軸中心Oを通る鉛直線V1の延長線上から外れた位置(図12においては鉛直線V1の左側)にあるので、センサ組み付け体39には、常に、センサハウジング32の揺動軸L1を中心として反時計方向に回動させる回転トルクが作用している。
【0050】
これにより、図12において、左側のアーム部32iの内側面がピン74cに当接し、スリット32hとピン74cとの隙間sが吸収(一方向に偏寄)された状態で停止する。そして、シートバック16の傾き角度(リクライニング角度)が変更されてアジャストギヤ74が回転した後も、センサ組み付け体39は、左側のアーム部32iの内側面とピン74cとの当接状態が維持される。
【0051】
詳細には、図13(a)に示す位置から図13(b)に示す位置までシートバック16が車両後方に倒される場合(つまり、シートバック16がシートクッション17の連結部18まわりに時計方向に回転)、図12において、アジャストギヤ74は回動軸L2回りに反時計方向に回転して、ピン74cが左側のアーム部32iの内側面から離間する方向に移動する。しかし、センサ組み付け体39には、センサハウジング32の揺動軸L1を中心として反時計方向に回動させる回転トルクが作用しているので、センサ組み付け体39はピン74cの移動に追従して回転し、左側のアーム部32iの内側面とピン74cとの当接状態が維持され、加速度センサ30の水平が保たれる。
【0052】
また、図13(b)に示す位置から図13(a)に示す位置までシートバック16が戻される場合、あるいは、図13(a)に示す位置から図13(c)に示す位置までシートバック16が折り畳まれる場合(つまり、シートバック16がシートクッション17の連結部18まわりに反時計方向に回転)、図12において、アジャストギヤ74は回動軸L2回りに時計方向に回転する。これにより、ピン74cは、センサ組み付け体39に作用する反時計方向の回転トルクに抗して、左側のアーム部32iの内側面を押圧してセンサ組み付け体39、即ち、加速度センサ30の水平状態を維持する。
【0053】
また、左側のアーム部32iの内側面とピン74cとが当接した状態において、加速度センサ30のセンサ基準線S1が鉛直方向を指向するようにセンサハウジング32のスリット32hを設計すれば、アジャストギヤ74の回転が精度よくセンサハウジング32に伝達されて加速度センサ30の精度向上を図ることができる。このような設計によれば、スリット32h及びピン74cとの隙間sの寸法公差を緩和することができる。
【0054】
さらに、センサハウジング32やアジャストギヤ74に熱変形や摩耗などが発生する場合でも、温度試験や耐久試験によりセンサハウジング32やアジャストギヤ74の単品での変形量を計測することでセンサハウジング32の位置変化が予測可能となり、加速度センサ30の信頼性が向上する。
【0055】
なお、上記説明では、センサ組み付け体39の重心Gは、センサハウジング32の揺動軸L1の軸中心Oを通る鉛直線V1の左側にあるものとして説明したが、センサ組み付け体39の重心Gは、鉛直線V1の右側にある場合にも同様である。この場合、センサ組み付け体39には、シートバック16が回転する方向と同じ時計方向の回転トルクが作用してピン74cが右側のアーム部32iの内側面に当接している。そして、図13(a)に示す位置から図13(b)に示す位置までシートバック16が車両後方に倒される場合、アジャストギヤ74は回動軸L2回りに反時計方向に回転し、ピン74cがセンサ組み付け体39に作用する回転トルクに抗して右側のアーム部32iの内側面を押圧する。また、図13(b)に示す位置から図13(a)に示す位置までシートバック16が戻される場合、あるいは、図13(a)に示す位置から図13(c)に示す位置までシートバック16が折り畳まれる場合、アジャストギヤ74は回動軸L2回りに時計方向に回転してピン74cが右側のアーム部32iの内側面から離間する方向に移動する。しかしながら、センサ組み付け体39には、センサハウジング32の揺動軸L1を中心として時計方向に回動させる回転トルクが作用しているので、センサ組み付け体39はピン74cの移動に追従して回転し、右側のアーム部32iの内側面とピン74cとの当接状態が維持され、加速度センサ30の水平が保たれる。
【0056】
なお、重心位置によるセンサ組み付け体39の反時計方向への回動は、アジャストギヤ74よりも上流側の構成部品間のガタ、例えば、互いに噛合するプーリ73のギヤ73aとアジャストギヤ74のギヤ間のバックラッシュも同時に吸収する。これにより、プーリ73の回転が、精度よくアジャストギヤ74を介してセンサハウジング32に伝達されて加速度センサ30の精度が向上する。
【0057】
また、ケーブル13の下端側を連結するケーブル進退機構80は、シートバックのリクライニング角度に応じて、ケーブル進退機構80から延びるケーブル13を精度よく進退させ得るものであれば特にタイプや仕様は限定されない。
【0058】
ここでのケーブル進退機構80は、図14に示すように、レバー81と、ケーシング82と、カバー83と、プーリ(第2プーリ)85と、ケーブルアジャスタ86とを有している。レバー81は、アーム81aと、アーム81aの基端部に一体化されたリング部81bと、リング部81bの中央に形成された円形孔81cと、リング部81bの周部に突設されたレバー突起81dとを有し、アーム81aがシートクッション17に固定されている。
【0059】
ケーシング82は、外周壁82aの内側に環状凹部82cを介して円筒状のボス部82bを形成したもので、外周壁82aの一部にケーブル引出部82dを備えており、ボス部82bをシートクッション17とシートバック16を回動自在に連結する連結部18(図1参照)に位置決めした状態で、カバー83と共にシートバック16に固定されている。また、レバー81の円形孔81cにケーシング82のボス部82bを嵌めることで、ケーシング82は、レバー81に対しボス部82bを中心として回動可能に連結されている。
【0060】
プーリ85は、リング部85aの中央に円形孔85cを形成すると共に、リング部85aの周方向の一部の外周部に扇形状のカム部85bを形成し、そのカム部85bの外周面にケーブル巻き付け溝85dを形成したもので、ケーシング82のボス部82bに回動可能に嵌まることで、ケーシング82の環状凹部82c内に収容されている。
【0061】
プーリ85のリング部85aの周方向の一部には、扇形状のカム部85bに隣接してアジャスタ収容凹部85eが設けられており、姿勢制御機構70のプーリ73(図4及び図6参照)に先端が巻き付けられたケーブル13の基端が、エンドブロック13a及びアジャスタ収容凹部85eに収容されたケーブルアジャスタ86を介して、プーリ85に固定されている。そして、プーリ85のカム部85bのケーブル巻き付け溝85dに、ケーシング82のケーブル引出部82dを通してケーシング82内に導入されたケーブル13の基端側が、1/4周程度ではあるが、巻き付けられている。なお、ケーブル13の外装チューブ13bの下端は、ケーシング82のケーブル引出部82dに固定されており、内装されたケーブル13だけを外装チューブ13bに対してスライドさせて、姿勢制御機構70に向けて進退させることができる。
【0062】
カバー83は、プーリ85やレバー81のリング部81bをケーシング82に収容した状態で、ケーシング82の開口面を覆うようにケーシング82にボルト止めされている。
【0063】
このケーブル進退機構80は、シートバック16が傾動した際に、ケーブル13をシートバック16の傾き角度に対応する距離を、ケーブル13の長さ方向に、前進または後進する。例えば、図15(a)に示す基準姿勢から図15(b)に示す位置までシートバック16が傾動した場合、レバー81のレバー突起81dにプーリ85のカム部85bの一端が突き当たることで、プーリ85は移動できない状態となるが、ケーシング82はシートバック16と共に回動するので、ケーブル13の外装チューブ13bはケーシング82と共に移動する。これにより、外装チューブ13bに対してケーブル13の基端側が引き出されることになるので、ケーブル13には引き込み動作(プーリ85のカム溝85dにとっては巻き取り動作に相当)が与えられ、それが姿勢制御機構70に伝えられる。
【0064】
また、反対に、図15(b)に示す位置から図15(a)に示す位置までシートバック16が戻された場合、ケーシング82が逆方向に回転することにより、外装チューブ13bがケーブル13の基端側に戻される。このため、姿勢制御機構70のトーションスプリング75によって引っ張られたケーブル13が外装チューブ13bの中に戻る形になり、ケーブル13には押し出し動作(プーリ85のカム溝85dにとっては引き出し動作に相当)が与えられ、それが姿勢制御機構70に伝えられる。
【0065】
なお、図15(a)に示す位置から図15(c)に示す位置へシートバック16が折り畳まれる場合には、ケーシング82がシートバック16と共に回動し、ケーシング82がプーリ85のカム部85bの一端と当接した後は、プーリ85もケーシング82とともに回動するので、ケーブル13の外装チューブ13bに対する引き込み動作は行われない。
また、他のケーブル進退機構80としては、例えば、ピニオンとラックを組み合わせた方式などを採用することができる。
【0066】
以下、本実施形態の作用について説明する。
図13はシートバックの傾き角度ごとのシートベルトリトラクタとケーブル進退機構の状態を示す図で、(a)は後ろ倒し15°のときの状態、(b)は後ろ倒し95°のときの状態、(c)は前倒し75°のときの状態をそれぞれ示す側面図である。
【0067】
通常、加速度センサ30の有効使用範囲は、(a)の後ろ倒し15°を基準にした所定の傾き角度範囲であるから、その範囲にあることを前提として作用を説明する。
【0068】
シートバック16のリクライニング角度が調節されると、そのリクライニング角度に応じた距離だけケーブル13が進退し、ケーブル13の進退に応じて姿勢制御機構70のプーリ73が回転する。プーリ73がシートバック16の傾動方向と同方向に回転すると、アジャストギヤ74がプーリ73と同じ角度だけ逆方向に回動し、その回動がピン74cとスリット32hによってセンサハウジング32に伝えられ、センサハウジング32がシートバック16の傾き角度と同角度だけ反対方向に回動して、センサハウジング32の慣性体支持面33が水平に保持される。
【0069】
この際、上述したように、アジャストギヤ74とセンサハウジング32の回転角度位置によって回転角度ズレが発生することになるが、その回転角度ズレは、ケーブル巻き付け溝73bの半径の変化によってその回転角度ズレを補償するようにプーリ73が回転することによって修正されるので、シートバック16の傾き角度とセンサハウジング32の回転角度とが精度よく同期する。その結果、センサハウジング32の慣性体支持面33が、シートバック16のリクライニング角度に拘わらず、常に精度よく水平に保持される。
【0070】
また、センサ組み付け体39の重心位置Gを、センサハウジング32の揺動軸L1の軸中心Oを通る鉛直線V1の延長線上から外れた位置に設定してセンサ組み付け体39を一方方向に回動させ、アーム部32iの内側面をピン74cに常時当接させている。したがって、スリット32hとピン74cとの隙間が吸収され、ケーブル進退機構80及び姿勢制御機構70の構成部品間のガタ、特に、スリット32hとピン74c間のガタは修正される。
【0071】
この状態で、車両の衝突などにより、加速度センサ30に所定値より大きな水平方向の加速度が作用すると、慣性体支持面33上に載せられている慣性体であるボール35が中立位置から変位する。これにより、第2センサレバー37が回動し、この回動が第1センサレバー36に伝達され、第1センサレバー36が回動することで、上部爪部36bがステアリングホイール25の係合爪25aに係合して、ステアリングホイール25の回転を規制し、シートベルト19の繰り出しを阻止して乗員を拘束する。
【0072】
このように、センサハウジング32は、車両前後方向における傾きが常に水平状態で維持されるので、加速度センサ30は、車両進行方向に対して緩やかな減速度が作用した場合や、緩減速から急減速に移行した場合など、いずれの場合であっても加速度を適正に検出して、シートベルト19のロック遅れを生じることなく、シートベルト19の引き出しをロックする。
【0073】
なお、図16に示すように、設計上は、センサ組み付け体39の反時計方向の傾斜角度が71.27°になると、センサ組み付け体39の重心Gが下向きになり、アーム部32iをピン74cに押し付けることができない。従って、この角度までリクライニングすると、アーム部32iとピン74cとの間にガタが発生する。一方、シートベルトリトラクタ11を前後左右に傾けるロック角度試験において、加速度センサ30内のボール35が転がり、第2センサレバー37が作動して、ウェビングが引き出しできなくなるまでの、センサ組み付け体39の最大の許容傾斜角度は、45°であるので、上記傾斜角度でガタが発生しても実際には問題とならない。
【0074】
また、図17に示すように、通常、ピン74cが左側のアーム部に当接している状態で、重心Gが既に前方に偏っているので、慣性体35は、センサ組み付け体39の時計方向の傾斜角度が12.7°を越えた角度になった時に、第2センサレバー37が作動する。この時、センサ組み付け体39の重心Gは、反時計方向に回転して移動し、水平ラインとの角度差が、8.56°となる。この重心Gは、センサハウジング32の揺動軸L1の軸中心Oを通る鉛直線V1を越える位置にないため、常に、加速度センサ30は時計方向に付勢されており、第2センサレバー37は安定して作動することができる。
【0075】
このため、車両の後方方向への加速度(車両が加速)に対しては、センサ組み付け体39は反時計方向に回転するので、アーム部32iとピン74cとの間にガタが発生せず、バラつきは小さい。一方、車両の前方方向への加速度(車両が減速)に対しては、センサ組み付け体39が時計方向に回転し、ピン74cが移動できるアーム部32i間の角度Aの分だけ、慣性体支持面33の角度が変化する。このため、この角度Aの変化を見込んで、慣性体支持面33の形状を設定すればよい。
【0076】
上記したように、本実施形態のシートベルト装置10によれば、姿勢制御機構70は、アジャストギヤ74の回転をセンサハウジング32に伝達して、センサハウジング32を車両前後方向に揺動させる回転伝達機構76を含む。また、慣性体35を慣性体支持面33に載置しているセンサ組み付け体39が中立位置に置かれた状態の重心Gは、センサハウジング32の揺動軸L1の軸中心Oを通る鉛直線V1から外れた位置に位置する。
【0077】
これにより、回転伝達機構76によってアジャストギヤ74からセンサハウジング32にシートバック16の傾き角度に応じた角度の回転を伝えるとともに、重心Gによりセンサ組み付け体39を常に一方方向に回動させて、特に、回転伝達機構76の構成部品間のガタを吸収する。このため、ガタの有無や大きさに拘らず、シートバック16の傾き角度とセンサハウジング32の回転角度を精度よく同期させることができる。従って、センサ基準面である慣性体支持面33を、任意なシートバック傾き角度においても、精度よく水平に保つことができて、加速度センサ30の精度向上を図ることができる。
【0078】
また、アジャストギヤ74のピン74cと、センサハウジング32の1対のアーム部32iとで、回転伝達機構76を構成することで、アジャストギヤ74の回転をセンサハウジング32に容易に伝達することができる。また、センサ組み付け体39の重心Gを、ピン74cとアーム部32iとが常時接触するように設定することで、慣性体支持面33を、任意なシートバック傾き角度においても、精度よく水平に保つことができて、加速度センサ30の精度向上を図ることができる。
【0079】
また、本実施形態では、センサハウジング32の揺動軸L1が、車両左右方向に対して水平方向に設置されるように、アジャストギヤ74の回動軸L2とセンサハウジング32の揺動軸L1とが所定角度を持って交差し、シートバック16が車両前後方向に傾動しても、センサハウジング32の車両前後方向の揺動により、センサハウジング32の慣性体支持面33が水平な状態に保持される。これにより、リトラクタフレーム21の取付態様(例えば、左に傾けて取り付ける場合と右に傾けて取り付ける場合)に拘わらず、少なくとも加工の面倒なリトラクタフレーム21を共通部品化することができるので、コスト低減に寄与することができる。
【0080】
(第2実施形態)
図18は、本発明の第2実施形態に係るシートベルト装置において、センサ組み付け体とアジャストギヤ(回転部材)の関係を示す断面図である。
第1実施形態では、センサ組み付け体39の重心Gを、センサハウジング32の揺動軸L1の軸中心Oを通る鉛直線V1から外れた位置に設定することで、センサハウジング32のスリット32hとアジャストギヤ74のピン74cとのガタを吸収するようにした。本実施形態では、センサ組み付け体39の重心Gの設計は第1実施形態と同様とする一方、アジャストギヤ74のピン74cにスリット74dを設けた構成とし、最大外径寸法が縮小可能に弾性変形可能であると共に、センサハウジング32のアーム部32iの両内側面に同時に常時接触させている。
【0081】
この場合、アジャストギヤ74のピン74cは、弾性力によりアーム部32iの両内側面に同時に軽接触させることで、センサハウジング32のスリット32hとアジャストギヤ74のピン74cとのガタを容易に吸収することができる。また、センサ組み付け体39の重心Gをセンサハウジング32の揺動軸L1の軸中心Oを通る鉛直線V1から外れた位置に設定してセンサ組み付け体39を常に一方方向に回動させることで、プーリ73のギヤ73aとアジャストギヤ74のギヤ間のバックラッシュが吸収される。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0082】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0083】
例えば、上記実施形態では、回転伝達機構76が、アジャストギヤ74のピン74cと、該ピン74cを挟むように位置する、センサハウジング32の1対のアーム部32iと、を用いて構成されているが、本発明の回転伝達機構は、これに限らない。即ち、回転部材とセンサハウジングとは、所定の隙間を持って互いに対向可能で、且つ、回転部材の両方向の回転に対してセンサハウジング32が追従するように互いに係合可能な係合部及び被係合部をそれぞれ備え、センサ組み付け体39の重心Gが、係合部と被係合部とが常時接触するように設定されればよい。
【0084】
また、本発明のセンサ組み付け体39の重心Gの設定は、本実施形態のような、シートベルトリトラクタ11を車両の幅方向に傾斜してシートバックに取り付けられる形態に限定されるものではなく、アジャストギヤ74の回動軸L2が水平となるようなシートベルトリトラクタ11にも適用可能である。
【0085】
(変形例1)
また、上記実施形態のシートベルト装置では、姿勢制御機構70のプーリ73のケーブル巻き付け溝73bのプロフィールをスプライン曲線状とすることで補償手段を構成したが、ケーブル進退機構80のプーリ85のケーブル巻き付け溝85dのプロフィールをスプライン曲線状とすることで、補償手段を構成してもよい。
【0086】
即ち、このケーブル進退機構80のプーリ85のケーブル巻き付け溝85dをスプライン曲線状に形成することにより、ケーブル13の巻き付け半径がプーリ85の回転角度に応じて変化するように設定する。そうすることで、アジャストギヤ74とセンサハウジング32の回転角度ズレを補償することができる。この場合、姿勢制御機構70のプーリ73のケーブル巻き付け溝73bのプロフィールはスプライン曲線状ではなく真円となっている。
【0087】
(変形例2)
また、アジャストギヤ74とセンサハウジング32の回転角度ズレを補償する補償手段としては、姿勢制御機構70のプーリ73の支持軸、すなわち、本実施形態では、プーリ73を支持する第1プーリケース71の支持軸71cのプロフィールをスプライン曲線状としても、同様の効果を奏することができる。
【0088】
(変形例3)
また、上記実施形態では、姿勢制御機構70のプーリ73のギヤ73aにアジャストギヤ74を噛み合わせることで、アジャストギヤ74を回転部材とし、そのアジャストギヤ74の回転をセンサハウジング32にピン74cとスリット32hの組み合わせで伝達させるようにした場合を説明したが、回転部材をプーリ73自体によって構成することも可能である。
【0089】
つまり、プーリ73に対するケーブル13の巻き付け方向を上記実施形態と逆に設定すれば、シートバック16の回転方向と逆方向に姿勢制御機構70のプーリ73を回転させることができるので、そのプーリ73にピンを設けてセンサハウジング32のスリット32hに係合させることで、センサハウジング32をシートバック16と逆方向に回動させることができる。
【0090】
この場合にも、プーリ73の回転軌道面とセンサハウジング32の回転軌道面とが非平行であり、プーリ73からセンサハウジング32に回転を伝える際に、両回転軌道面が非平行であることに起因して発生する回転角度ズレを補償する補償手段が、ケーブル進退機構80から姿勢制御機構70までの間に設けられている。
【0091】
なお、本出願は、2017年8月25日出願の日本特許出願(特願2017−162151)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0092】
10 シートベルト装置
11 シートベルトリトラクタ
13 ケーブル
15 リクライニング式シート
16 シートバック
17 シートクッション
18 連結部
19 シートベルト
21 リトラクタフレーム
22 スピンドル
24 ロック機構
30 加速度センサ
31 センサカバー
32 センサハウジング
32i アーム部
33 慣性体支持面
35 ボール(慣性体)
37 第2センサレバー(作動部材)
39 センサ組み付け体
70 姿勢制御機構
74 アジャストギヤ(回転部材)
74c ピン
76 回転伝達機構
80 ケーブル進退機構
G 重心
L1 揺動軸
L2 回転軸
S1 センサ基準線
V1 鉛直線
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【国際調査報告】