(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2019150895
(43)【国際公開日】20190808
【発行日】20200924
(54)【発明の名称】電解液、電気化学デバイス、リチウムイオン二次電池及びモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20200828BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20200828BHJP
   H01G 11/06 20130101ALI20200828BHJP
   H01G 11/64 20130101ALI20200828BHJP
   C07C 69/653 20060101ALI20200828BHJP
   C07F 7/08 20060101ALI20200828BHJP
   C07C 233/09 20060101ALI20200828BHJP
   C07C 233/13 20060101ALI20200828BHJP
   C07D 295/185 20060101ALI20200828BHJP
   H01G 9/035 20060101ALN20200828BHJP
【FI】
   !H01M10/0567
   !H01M10/052
   !H01G11/06
   !H01G11/64
   !C07C69/653CSP
   !C07F7/08 K
   !C07C233/09 Z
   !C07C233/13
   !C07D295/185
   !H01G9/035
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】147
【出願番号】2019568954
(21)【国際出願番号】JP2019000366
(22)【国際出願日】20190109
(31)【優先権主張番号】2018014068
(32)【優先日】20180130
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区中崎西2丁目4番12号 梅田センタービル
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑嶋 佳子
【住所又は居所】大阪府大阪市北区中崎西二丁目4番12号 梅田センタービル ダイキン工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】山内 昭佳
【住所又は居所】大阪府大阪市北区中崎西二丁目4番12号 梅田センタービル ダイキン工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠希
【住所又は居所】大阪府大阪市北区中崎西二丁目4番12号 梅田センタービル ダイキン工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】林 航太郎
【住所又は居所】大阪府大阪市北区中崎西二丁目4番12号 梅田センタービル ダイキン工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】仲村 尚子
【住所又は居所】大阪府大阪市北区中崎西二丁目4番12号 梅田センタービル ダイキン工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴哉
【住所又は居所】大阪府大阪市北区中崎西二丁目4番12号 梅田センタービル ダイキン工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】下岡 俊晴
【住所又は居所】大阪府大阪市北区中崎西二丁目4番12号 梅田センタービル ダイキン工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】山本 禎洋
【住所又は居所】大阪府大阪市北区中崎西二丁目4番12号 梅田センタービル ダイキン工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】山崎 穣輝
【住所又は居所】大阪府大阪市北区中崎西二丁目4番12号 梅田センタービル ダイキン工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】高橋 謙三
【住所又は居所】大阪府大阪市北区中崎西二丁目4番12号 梅田センタービル ダイキン工業株式会社内
【テーマコード(参考)】
4H006
4H049
5E078
5H029
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB78
4H006BM10
4H006BM71
4H006BV34
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ30
4H049VR24
4H049VU25
4H049VW01
5E078AA05
5E078AA09
5E078AB01
5E078AB02
5E078AB06
5E078DA14
5H029AJ04
5H029AJ05
5H029AK01
5H029AK03
5H029AK05
5H029AK16
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL04
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL12
5H029AL16
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ02
(57)【要約】
電気化学デバイスの高温保存特性及びサイクル特性を向上させることができる電解液を提供する。一般式(1−1)(式中、R101は、フッ素化されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基等であり、構造中にO等を含んでいてもよい。)及び(1−2)(式中、R102及びR103は、(i)互いに独立に、H、F、フッ素化されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基等であるか、又は、(ii)互いに連結して窒素原子とともに5員又は6員の複素環を形成する炭化水素基であり、構造中にO等を含んでいてもよい。)で表される化合物の少なくとも1種を含む電解液である。
[化1]

[化2]
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1−1)及び(1−2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする電解液。
一般式(1−1):
【化1】
(式中、R101は、フッ素化されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基、フッ素化されていてもよい炭素数2〜8のアルケニル基、フッ素化されていてもよい炭素数2〜9のアルキニル基、又は、フッ素化されていてもよい炭素数6〜12のアリール基であり、構造中にO、Si、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。)
一般式(1−2):
【化2】
(式中、R102及びR103は、(i)互いに独立に、H、F、フッ素化されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基、フッ素化されていてもよい炭素数2〜7のアルケニル基、フッ素化されていてもよい炭素数2〜9のアルキニル基又はフッ素化されていてもよい炭素数5〜12のアリール基であるか、又は、(ii)互いに連結して窒素原子とともに5員又は6員の複素環を形成する炭化水素基である。R102及びR103は、構造中にO、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。)
【請求項2】
請求項1記載の電解液を備えることを特徴とする電気化学デバイス。
【請求項3】
請求項1記載の電解液を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
請求項2記載の電気化学デバイス、又は、請求項3記載のリチウムイオン二次電池を備えることを特徴とするモジュール。
【請求項5】
下記一般式(11):
【化3】
(式中、R111は、炭素数2〜7のフッ素化アルケニル基、炭素数2〜7のフッ素化アルキニル基、炭素数5〜9の非フッ素化アルキニル基、又は、フッ素化されていてもよい炭素数6〜12のアリール基であり、構造中にO及びSiからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。)で表されることを特徴とする化合物。
【請求項6】
下記一般式(12):
【化4】
(式中、R112及びR113は、(i)互いに独立に、F、炭素数1〜7の非フッ素化アルキル基、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、フッ素化されていてもよい炭素数3〜7のアルケニル基又はフッ素化されていてもよい炭素数3〜7のアルキニル基であり、かつR112及びR113の少なくともどちらか一方がF、炭素数3〜7の非フッ素化アルキル基、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、フッ素化されていてもよい炭素数3〜7のアルケニル基又はフッ素化されていてもよい炭素数3〜7のアルキニル基であるか、又は、(ii)互いに連結して窒素原子とともに5員又は6員の複素環を形成する炭化水素基である。R112及びR113は、構造中にO、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。)で表されることを特徴とする化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電解液、電気化学デバイス、リチウムイオン二次電池及びモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電気製品の軽量化、小型化にともない、高いエネルギー密度をもつリチウムイオン二次電池等の電気化学デバイスの開発が進められている。また、リチウムイオン二次電池等の電気化学デバイスの適用分野が拡大するにつれて特性の改善が要望されている。特に今後、車載用にリチウムイオン二次電池が使われた場合、電池特性の改善はますます重要となる。
【0003】
特許文献1には、アクリル酸メチル等の化合物を含む電解液が記載されている。
【0004】
特許文献2には、N,N−ジメチルアクリルアミド等の化合物を含む電解液が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−185212号公報
【特許文献2】特開2003−86246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、電気化学デバイスの高温保存特性及びサイクル特性を向上させることができる電解液、及び、当該電解液を備える電気化学デバイスを提供することを目的とする。
本開示は、また、新規なフッ素化アクリル酸エステル化合物及びフッ素化アクリルアミド化合物を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、下記一般式(1−1)及び(1−2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする電解液に関する。
一般式(1−1):
【化1】
(式中、R101は、フッ素化されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基、フッ素化されていてもよい炭素数2〜8のアルケニル基、フッ素化されていてもよい炭素数2〜9のアルキニル基、又は、フッ素化されていてもよい炭素数6〜12のアリール基であり、構造中にO、Si、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。)
一般式(1−2):
【化2】
(式中、R102及びR103は、(i)互いに独立に、H、F、フッ素化されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基、フッ素化されていてもよい炭素数2〜7のアルケニル基、フッ素化されていてもよい炭素数2〜9のアルキニル基又はフッ素化されていてもよい炭素数5〜12のアリール基であるか、又は、(ii)互いに連結して窒素原子とともに5員又は6員の複素環を形成する炭化水素基である。R102及びR103は、構造中にO、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。)
【0008】
本開示は、上記電解液を備えることを特徴とする電気化学デバイスにも関する。
【0009】
本開示は、上記電解液を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池にも関する。
【0010】
本開示は、上記電気化学デバイス、又は、上記リチウムイオン二次電池を備えることを特徴とするモジュールにも関する。
【0011】
本開示は、下記一般式(11):
【化3】
(式中、R111は、炭素数2〜7のフッ素化アルケニル基、炭素数2〜7のフッ素化アルキニル基、炭素数5〜9の非フッ素化アルキニル基、又は、フッ素化されていてもよい炭素数6〜12のアリール基であり、構造中にO及びSiからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。)で表されることを特徴とする化合物にも関する。
【0012】
本開示は、下記一般式(12):
【化4】
(式中、R112及びR113は、(i)互いに独立に、F、炭素数1〜7の非フッ素化アルキル基、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、フッ素化されていてもよい炭素数3〜7のアルケニル基又はフッ素化されていてもよい炭素数3〜7のアルキニル基であり、かつR112及びR113の少なくともどちらか一方がF、炭素数3〜7の非フッ素化アルキル基、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、フッ素化されていてもよい炭素数3〜7のアルケニル基又はフッ素化されていてもよい炭素数3〜7のアルキニル基であるか、又は、(ii)互いに連結して窒素原子とともに5員又は6員の複素環を形成する炭化水素基である。R112及びR113は、構造中にO、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。)で表されることを特徴とする化合物にも関する。
【発明の効果】
【0013】
本開示の電解液によれば、電気化学デバイスの高温保存特性及びサイクル特性を向上させることができる。上記電解液を備える電気化学デバイスは、高温保存特性及びサイクル特性に優れる。
また、本開示によれば、新規なフッ素化アクリル酸エステル化合物及びフッ素化アクリルアミド化合物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示を具体的に説明する。
【0015】
本開示の電解液は、下記一般式(1−1)及び(1−2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種(以下、化合物(1)ともいう)を含むことを特徴とする。
一般式(1−1):
【化5】
一般式(1−2):
【化6】
上記特徴により、本開示の電解液は、電気化学デバイスの高温保存特性及びサイクル特性を向上させることができる。
また、従来、非水電解液二次電池の特性向上のために種々の添加剤、例えば、ビニレンカーボネート及びその誘導体(特開平8−45545号公報)やハロゲン原子置換環状炭酸エステル(国際公開第98/15024号)を含有させた電解液が提案されている。しかし、これらの化合物を含む電解液は、当該化合物が、負極表面で還元分解されて被膜を形成し、この被膜により電解液の過度の分解が抑制され、充放電サイクルを向上させる効果がある一方、高温環境下や高電圧条件下において二次電池を貯蔵した場合や充放電サイクルを繰り返した場合に発生するガス量が多いという問題があった。本開示の電解液は、化合物(1)を含むことにより、高温保存時や充放電サイクル時に発生するガス量を低く抑えることができ、電池特性を向上させることができる。
【0016】
化合物(1)は、一般式(1−1)で表される化合物(1−1)、及び、一般式(1−2)で表される化合物(1−2)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
【0017】
一般式(1−1)中、R101は、フッ素化されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基、フッ素化されていてもよい炭素数2〜8のアルケニル基、フッ素化されていてもよい炭素数2〜9のアルキニル基、又は、フッ素化されていてもよい炭素数6〜12のアリール基であり、構造中にO、Si、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0018】
101としての上記アルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
上記アルキル基は、非フッ素化アルキル基であってもフッ素化アルキル基であってもよく、また、構造中にO、Si、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。また、上記アルキル基は環構造を有していてもよい。上記環は芳香環であってもよい。
【0019】
101としての上記アルキル基としては、メチル基(−CH)、エチル基(−CHCH)、プロピル基(−CHCHCH)、イソプロピル基(−CH(CH)、ノルマルブチル基(−CHCHCHCH)等の非フッ素化アルキル基;−CF、−CFH、−CFH、−CFCF、−CFCFH、−CFCFH、−CHCF、−CHCFH、−CHCFH、−CFCFCF、−CFCFCFH、−CFCFCFH、−CHCFCF、−CHCFCFH、−CHCFCFH、−CHCHCF、−CHCHCFH、−CHCHCFH、−CF(CF、−CF(CFH)、−CF(CFH、−CH(CF、−CH(CFH)、−CH(CFH、−CHCF(CF)OC、−CHCFOCF等のフッ素化アルキル基;−CHSi(CH、−CHCHSi(CH等のトリアルキルシリルアルキル基等が挙げられる。
更に、下記式で示されるような、構造中にO、Si、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよいシクロアルキル基や、芳香環を有するアルキル基も挙げられる。
【化7】
上記アルキル基としては、なかでも、メチル基、エチル基、−CHCF、−CHCFH、−CHCFH、−CHCFCF、−CHCFCFH、−CHCFCFH、−CHSi(CHが好ましい。
【0020】
101としての上記アルケニル基は、炭素数が2〜6であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。
上記アルケニル基は、非フッ素化アルケニル基であってもフッ素化アルケニル基であってもよく、また、構造中にO、Si、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0021】
101としての上記アルケニル基としては、エテニル基(−CH=CH)、1−プロペニル基(−CH=CH−CH)、1−メチルエテニル基(−C(CH)=CH)、2−プロペニル基(−CH−CH=CH)、1−ブテニル基(−CH=CH−CHCH)、2−メチル−1−プロペニル基(−CH=C(CH)−CH)、1−メチル−1−プロペニル基(−C(CH)=CH−CH)、1−エチルエテニル基(−C(CHCH)=CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)、2−メチル−2−プロペニル基(−CH−C(CH)=CH)、1−メチル−2−プロペニル基(−CH(CH)−CH=CH)、3−ブテニル基(−CHCH−CH=CH)、1−メチレン−2−プロペニル基(−C(=CH)−CH=CH)、1,3−ブタジエニル基(−CH=CH−CH=CH)、2,3−ブタジエニル基(−CH−CH=C=CH)、1−メチル−1,2−プロパジエニル基(−C(CH)=C=CH)、1,2−ブタジエニル基(−CH=C=CH−CH)、2−ペンテニル基(−CH−CH=CH−CHCH)、2−エチル−2−プロペニル基(−CH−C(CHCH)=CH)、1−エチル−2−プロペニル基(−CH(CHCH)−CH=CH)、3−ペンテニル基(−CHCH−CH=CH−CH)、及び、これらの基において少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された基等が挙げられる。
更に、下記式で示されるようなシクロアルケニル基、及び、これらの基において少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された基も挙げられる。
【化8】
【0022】
上記アルケニル基としては、なかでも、2−プロペニル基(−CH−CH=CH)、3−ブテニル基(−CHCH−CH=CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)、2−メチル−2−プロペニル基(−CH−C(CH)=CH)、2−ペンテニル基(−CH−CH=CH−CHCH)、
【化9】
及び、これらの基において少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された基が好ましく、2−プロペニル基(−CH−CH=CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)、2−ペンテニル基(−CH−CH=CH−CHCH)、
【化10】
及び、これらの基において少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された基がより好ましい。
【0023】
101としての上記アルキニル基は、炭素数が3〜9であることが好ましく、3〜4又は6〜9であることがより好ましい。
上記アルキニル基は、非フッ素化アルキニル基であってもフッ素化アルキニル基であってもよく、また、構造中にO、Si、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0024】
101としての上記アルキニル基としては、エチニル基(−C≡CH)、1−プロピニル基(−C≡C−CH)、2−プロピニル基(−CH−C≡CH)、1−ブチニル基(−C≡C−CHCH)、2−ブチニル基(−CH−C≡C−CH)、3−ブチニル基(−CHCH−C≡CH)、1−ペンチニル基(−C≡C−CHCHCH)、2−ペンチニル基(−CH−C≡C−CHCH)、3−ペンチニル基(−CHCH−C≡C−CH)、4−ペンチニル基(−CHCHCH−C≡CH)、−CH−C≡C−TMS、−CH−C≡C−TES、−CH−C≡C−TBDMS、−CH−C≡C−Si(OCH、−CH−C≡C−Si(OC、及び、これらの基において少なくとも1個の水素原子がフッ素原子により置換された基等が挙げられる。
なお、TMSは−Si(CHを、TESは−Si(Cを、TBDMSは−Si(CHC(CHを表す。
【0025】
上記アルキニル基としては、なかでも、2−プロピニル基(−CH−C≡CH)、2−ブチニル基(−CH−C≡C−CH)、−CH−C≡C−TMS、−CH−C≡C−TBDMS、及び、これらの基の少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された基が好ましく、2−プロピニル基(−CH−C≡CH)、−CH−C≡CF、−CH−C≡C−CF、−CH−C≡C−TMS、−CH−C≡C−TBDMSがより好ましい。
【0026】
101としての上記アリール基は、芳香環から1つの水素原子を除去した基であり、6員の芳香族炭化水素環を含むことが好ましく、また、単環性又は2環性であることが好ましい。
上記アリール基は、非フッ素化アリール基であってもフッ素化アリール基であってもよく、また、構造中にO、Si、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0027】
上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、アニシル基、ナフチル基等が挙げられ、これらはフッ素原子を有していてもよく、有さなくてもよい。なかでも、フッ素原子を有していてもよいフェニル基が好ましく、フッ素原子を有していないフェニル基がより好ましい。
【0028】
101としては、フッ素化されていてもよいアルケニル基、フッ素化されていてもよいアルキニル基が好ましい。
【0029】
化合物(1−1)としては、例えば、下記式で表される化合物が例示できる。
【化11】
【化12】
【化13】
【0030】
化合物(1−1)としては、なかでも、下記式で表される化合物が好ましい。
【化14】
【化15】
【0031】
化合物(1−1)としては、なかでも、下記式で表される化合物が特に好ましい。
【化16】
【0032】
化合物(1−1)のうち、下記一般式(11):
【化17】
で表されることを特徴とする化合物(11)は、新規化合物である。本開示は、化合物(11)にも関する。
【0033】
一般式(11)中、R111は、炭素数2〜7のフッ素化アルケニル基、炭素数2〜7のフッ素化アルキニル基、炭素数5〜9の非フッ素化アルキニル基、又は、フッ素化されていてもよい炭素数6〜12のアリール基であり、構造中にO及びSiからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0034】
111としての上記フッ素化アルケニル基は、炭素数が2〜6であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。
上記フッ素化アルケニル基は、構造中にO及びSiからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0035】
111としての上記フッ素化アルケニル基としては、エテニル基(−CH=CH)、1−プロペニル基(−CH=CH−CH)、1−メチルエテニル基(−C(CH)=CH)、2−プロペニル基(−CH−CH=CH)、1−ブテニル基(−CH=CH−CHCH)、2−メチル−1−プロペニル基(−CH=C(CH)−CH)、1−メチル−1−プロペニル基(−C(CH)=CH−CH)、1−エチルエテニル基(−C(CHCH)=CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)、2−メチル−2−プロペニル基(−CH−C(CH)=CH)、1−メチル−2−プロペニル基(−CH(CH)−CH=CH)、3−ブテニル基(−CHCH−CH=CH)、1−メチレン−2−プロペニル基(−C(=CH)−CH=CH)、1,3−ブタジエニル基(−CH=CH−CH=CH)、2,3−ブタジエニル基(−CH−CH=C=CH)、1−メチル−1,2−プロパジエニル基(−C(CH)=C=CH)、1,2−ブタジエニル基(−CH=C=CH−CH)、2−ペンテニル基(−CH−CH=CH−CHCH)、2−エチル−2−プロペニル基(−CH−C(CHCH)=CH)、1−エチル−2−プロペニル基(−CH(CHCH)−CH=CH)及び3−ペンテニル基(−CHCH−CH=CH−CH)において、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された基等が挙げられる。
【0036】
上記フッ素化アルケニル基としては、なかでも、2−プロペニル基(−CH−CH=CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)及び2−ペンテニル基(−CH−CH=CH−CHCH)において、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された基が好ましい。
【0037】
111としての上記フッ素化アルキニル基は、炭素数が2〜6であることが好ましく、3〜5であることがより好ましい。
上記フッ素化アルキニル基は、構造中にO及びSiからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0038】
111としての上記フッ素化アルキニル基としては、エチニル基(−C≡CH)、1−プロピニル基(−C≡C−CH)、2−プロピニル基(−CH−C≡CH)、1−ブチニル基(−C≡C−CHCH)、2−ブチニル基(−CH−C≡C−CH)、3−ブチニル基(−CHCH−C≡CH)、1−ペンチニル基(−C≡C−CHCHCH)、2−ペンチニル基(−CH−C≡C−CHCH)、3−ペンチニル基(−CHCH−C≡C−CH)及び4−ペンチニル基(−CHCHCH−C≡CH)において、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子により置換された基等が挙げられる。
【0039】
上記フッ素化アルキニル基としては、なかでも、2−プロピニル基(−CH−C≡CH)及び2−ブチニル基(−CH−C≡C−CH)において、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子により置換された基が好ましく、−CH−C≡CF、−CH−C≡C−CFがより好ましい。
【0040】
111としての上記非フッ素化アルキニル基は、構造中にO及びSiからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
111としての上記非フッ素化アルキニル基としては、1−ペンチニル基(−C≡C−CHCHCH)、2−ペンチニル基(−CH−C≡C−CHCH)、3−ペンチニル基(−CHCH−C≡C−CH)、4−ペンチニル基(−CHCHCH−C≡CH)、−CH−C≡C−TMS、−CH−C≡C−TES、−CH−C≡C−TBDMS、−CH−C≡C−Si(OCH、−CH−C≡C−Si(OC等が挙げられる。
【0041】
上記非フッ素化アルキニル基としては、なかでも、2−ペンチニル基(−CH−C≡C−CHCH)、3−ペンチニル基(−CHCH−C≡C−CH)、−CH−C≡C−TMS、−CH−C≡C−TBDMSが好ましい。
【0042】
111としての上記アリール基は、芳香環から1つの水素原子を除去した基であり、6員の芳香族炭化水素環を含むことが好ましく、また、単環性又は2環性であることが好ましい。
上記アリール基は、非フッ素化アリール基であってもフッ素化アリール基であってもよく、また、構造中にO及びSiからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0043】
上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、アニシル基、ナフチル基等が挙げられ、これらはフッ素原子を有していてもよく、有さなくてもよい。なかでも、フッ素原子を有していてもよいフェニル基が好ましく、フッ素原子を有していないフェニル基がより好ましい。
【0044】
111としては、上記フッ素化アルケニル基、上記非フッ素化アルキニル基が好ましい。
【0045】
化合物(11)としては、例えば、下記式で表される化合物が例示できる。
【化18】
【化19】
【0046】
化合物(11)としては、なかでも、下記式で表される化合物が好ましい。
【化20】
【0047】
化合物(11)は、下記一般式(a):
【化21】
(式中、X101はハロゲン原子である。)で表される化合物(a)と、下記一般式(b):
111−OH
(式中、R111は上記と同じである。)で表される化合物(b)とを反応させて、上記一般式(11)で表される化合物(11)を得る工程(1−1)を含む製造方法により、好適に製造することができるが、これに限定されるものではない。
【0048】
一般式(a)中、X101はハロゲン原子である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、なかでもフッ素原子が好ましい。
【0049】
工程(1−1)の反応では、化合物(a)1モルに対して、化合物(b)を0.5〜2.0モル使用することが好ましく、0.7〜1.3モル使用することがより好ましく、0.9〜1.1モル使用することが更に好ましい。
【0050】
工程(1−1)の反応は、塩基の存在下に実施することが好ましい。上記塩基としては、アミン、無機塩基等が挙げられる。
上記アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリ(n−プロピル)アミン、トリ(n−ブチル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジン、ルチジン、γ−コリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、プロトンスポンジ等が挙げられる。
上記無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素リチウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、塩化リチウム、臭化リチウム等が挙げられる。
上記塩基としては、なかでも、アミンが好ましく、トリエチルアミン、ピリジンがより好ましい。
【0051】
上記塩基は、化合物(a)1モルに対して、1.0〜2.0モル使用することが好ましく、1.0〜1.2モル使用することがより好ましい。
【0052】
工程(1−1)の反応は、溶媒の有無に関わらず実施できる。溶媒中で実施する場合、上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、n−デカン、イソドデカン、トリデカン等の非芳香族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、ベラトロール、ジエチルベンゼン、メチルナフタレン、ニトロベンゼン、o−ニトロトルエン、メシチレン、インデン、ジフェニルスルフィド等の芳香族炭化水素溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ジイソブチルケトン、イソホロン等のケトン溶媒;ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグライム、フェネトール、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、ジイソアミルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、マロン酸ジエチル、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等のエステル溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド系溶媒;及びN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド溶媒等が挙げられる。
なかでも、ハロゲン化炭化水素溶媒が好ましく、ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロホルムがより好ましい。
【0053】
工程(1−1)の反応の温度としては、−10〜70℃が好ましく、0〜25℃がより好ましく、0〜10℃が更に好ましい。
【0054】
工程(1−1)の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜24時間がより好ましく、0.1〜12時間が更に好ましい。
【0055】
各工程の終了後、溶媒の留去、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等により生成物を分離・精製してもよい。
【0056】
一般式(1−2)中、R102及びR103は、(i)互いに独立に、H、F、フッ素化されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基、フッ素化されていてもよい炭素数2〜7のアルケニル基、フッ素化されていてもよい炭素数2〜9のアルキニル基又はフッ素化されていてもよい炭素数5〜12のアリール基であるか、又は、(ii)互いに連結して窒素原子とともに5員又は6員の複素環を形成する炭化水素基である。R102及びR103は、構造中にO、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0057】
102及びR103としての上記アルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
上記アルキル基は、非フッ素化アルキル基であってもフッ素化アルキル基であってもよく、また、構造中にO、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0058】
102及びR103としての上記アルキル基としては、メチル基(−CH)、エチル基(−CHCH)、プロピル基(−CHCHCH)、イソプロピル基(−CH(CH)、ノルマルブチル基(−CHCHCHCH)、ターシャリーブチル基(−C(CH)、イソプロピル基(−CH(CH)、シクロプロピル基(−CHCHCH)等の非フッ素化アルキル基;−CF、−CFH、−CFH、−CFCF、−CFCFH、−CFCFH、−CHCF、−CHCFH、−CHCFH、−CFCFCF、−CFCFCFH、−CFCFCFH、−CHCFCF、−CHCFCFH、−CHCFCFH、−CHCHCF、−CHCHCFH、−CHCHCFH、−CF(CF、−CF(CFH)、−CF(CFH、−CH(CF、−CH(CFH)、−CH(CFH、−CHCF(CF)OC、−CHCFOCF等のフッ素化アルキル基等が挙げられる。
上記アルキル基としては、なかでも、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、−CHCFが好ましい。
【0059】
102及びR103としての上記アルケニル基は、炭素数が2〜5であることが好ましく、3〜5であることがより好ましい。
上記アルケニル基は、非フッ素化アルケニル基であってもフッ素化アルケニル基であってもよく、また、構造中にO、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0060】
102及びR103としての上記アルケニル基としては、エテニル基(−CH=CH)、1−プロペニル基(−CH=CH−CH)、1−メチルエテニル基(−C(CH)=CH)、2−プロペニル基(−CH−CH=CH)、1−ブテニル基(−CH=CH−CHCH)、2−メチル−1−プロペニル基(−CH=C(CH)−CH)、1−メチル−1−プロペニル基(−C(CH)=CH−CH)、1−エチルエテニル基(−C(CHCH)=CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)、2−メチル−2−プロペニル基(−CH−C(CH)=CH)、1−メチル−2−プロペニル基(−CH(CH)−CH=CH)、3−ブテニル基(−CHCH−CH=CH)、1−メチレン−2−プロペニル基(−C(=CH)−CH=CH)、1,3−ブタジエニル基(−CH=CH−CH=CH)、2,3−ブタジエニル基(−CH−CH=C=CH)、1−メチル−1,2−プロパジエニル基(−C(CH)=C=CH)、1,2−ブタジエニル基(−CH=C=CH−CH)、2−ペンテニル基(−CH−CH=CH−CHCH)、2−エチル−2−プロペニル基(−CH−C(CHCH)=CH)、1−エチル−2−プロペニル基(−CH(CHCH)−CH=CH)、3−ペンテニル基(−CHCH−CH=CH−CH)、及び、これらの基において少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された基等が挙げられる。
【0061】
上記アルケニル基としては、なかでも、2−プロペニル基(−CH−CH=CH)、及び、2−プロペニル基において少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された基が好ましく、2−プロペニル基(−CH−CH=CH)がより好ましい。
【0062】
102及びR103としての上記アルキニル基は、炭素数が2〜5であることが好ましく、3〜5であることがより好ましい。
上記アルキニル基は、非フッ素化アルキニル基であってもフッ素化アルキニル基であってもよく、また、構造中にO、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0063】
102及びR103としての上記アルキニル基としては、エチニル基(−C≡CH)、1−プロピニル基(−C≡C−CH)、2−プロピニル基(−CH−C≡CH)、1−ブチニル基(−C≡C−CHCH)、2−ブチニル基(−CH−C≡C−CH)、3−ブチニル基(−CHCH−C≡CH)、1−ペンチニル基(−C≡C−CHCHCH)、2−ペンチニル基(−CH−C≡C−CHCH)、3−ペンチニル基(−CHCH−C≡C−CH)、4−ペンチニル基(−CHCHCH−C≡CH)、及び、これらの基において少なくとも1個の水素原子がフッ素原子により置換された基等が挙げられる。
【0064】
上記アルキニル基としては、なかでも、2−プロピニル基(−CH−C≡CH)、2−ブチニル基(−CH−C≡C−CH)、及び、これらの基において少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された基が好ましく、2−プロピニル基(−CH−C≡CH)がより好ましい。
【0065】
102及びR103としての上記アリール基は、芳香環から1つの水素原子を除去した基であり、6員の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を含むことが好ましく、また、単環性又は2環性であることが好ましい。
上記アリール基は、非フッ素化アリール基であってもフッ素化アリール基であってもよく、また、構造中にO、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0066】
上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、アニシル基、ナフチル基、ピリジル基等が挙げられ、これらはフッ素原子を有していてもよく、有さなくてもよい。なかでも、フッ素原子を有していてもよいフェニル基、フッ素原子を有していてもよいピリジル基が好ましく、フッ素原子を有していないフェニル基、フッ素原子を有していないピリジル基がより好ましい。
【0067】
102及びR103としての上記炭化水素基は、互いに連結して窒素原子(一般式(1−2)におけるアミド結合中の窒素原子)とともに5員又は6員の複素環を形成する。上記複素環は、非芳香族複素環であることが好ましい。上記炭化水素基は、炭素数が3〜5であることが好ましく、4〜5であることがより好ましい。また、上記炭化水素基は、構造中にO、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
上記炭化水素基としては、上記窒素原子とともにピロリジン環を形成する基、上記窒素原子とともにピペリジン環を形成する基、上記窒素原子とともにオキサゾリジン環を形成する基、上記窒素原子とともにモルホリン環を形成する基、上記窒素原子とともにチアゾリジン環を形成する基、上記窒素原子とともに2,5−ジヒドロ−1H−ピロール環を形成する基、上記窒素原子とともにピロール−2,5−ジオン環を形成する基、上記窒素原子とともに4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール環を形成する基等が挙げられる。なかでも、上記窒素原子とともにピロリジン環を形成する基、上記窒素原子とともにピペリジン環を形成する基、上記窒素原子とともにモルホリン環を形成する基、上記窒素原子とともに2,5−ジヒドロ−1H−ピロール環を形成する基、上記窒素原子とともにピロール−2,5−ジオン環を形成する基が好ましい。
【0068】
102及びR103は、いずれも、H及び上記アリール基以外の基であることが好ましい。
102及びR103は、不飽和結合を含まないことが好ましい。この場合、電解液の高温保存後の抵抗増加を一層抑制することができる。
102及びR103は、同一であっても異なっていてもよい。
【0069】
化合物(1−2)としては、例えば、下記式で表される化合物が例示できる。
【化22】
【0070】
化合物(1−2)としては、なかでも、下記式で表される化合物が好ましい。
【化23】
【0071】
化合物(1−2)のうち、下記一般式(12):
【化24】
で表されることを特徴とする化合物(12)は、新規化合物である。本開示は、化合物(12)にも関する。
【0072】
一般式(12)中、R112及びR113は、(i)互いに独立に、F、炭素数1〜7の非フッ素化アルキル基、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、フッ素化されていてもよい炭素数3〜7のアルケニル基又はフッ素化されていてもよい炭素数3〜7のアルキニル基であり、かつR112及びR113の少なくともどちらか一方がF、炭素数3〜7の非フッ素化アルキル基、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、フッ素化されていてもよい炭素数3〜7のアルケニル基又はフッ素化されていてもよい炭素数3〜7のアルキニル基であるか、又は、(ii)互いに連結して窒素原子とともに5員又は6員の複素環を形成する炭化水素基である。R112及びR113は、構造中にO、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0073】
112及びR113としての上記非フッ素化アルキル基は、炭素数が1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。上記非フッ素化アルキル基は、構造中にエーテル結合を有していてもよい。
上記非フッ素化アルキル基としては、メチル基(−CH)、エチル基(−CHCH)、プロピル基(−CHCHCH)、イソプロピル基(−CH(CH)、シクロプロピル基(−CHCHCH)、ノルマルブチル基(−CHCHCHCH)、ターシャリーブチル基(−C(CH)等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基が好ましい。
【0074】
112及びR113としての上記フッ素化アルキル基は、炭素数が1〜4であることが好ましく、炭素数1〜3であることが好ましい。上記フッ素化アルキル基は、構造中にエーテル結合を有していてもよい。
上記フッ素化アルキル基としては、−CF、−CFH、−CFH、−CFCF、−CFCFH、−CFCFH、−CHCF、−CHCFH、−CHCFH2、−CFCFCF、−CFCFCFH、−CFCFCFH、−CHCFCF、−CHCFCFH、−CHCFCFH、−CHCHCF、−CHCHCFH、−CHCHCFH、−CF(CF、−CF(CFH)、−CF(CFH、−CH(CF、−CH(CFH)、−CH(CFH、−CHCF(CF)OC、−CHCFOCF等が挙げられる。なかでも、−CHCFが好ましい。
【0075】
112及びR113としての上記アルケニル基は、炭素数が3〜5であることが好ましく、3〜4であることがより好ましい。
上記アルケニル基は、非フッ素化アルケニル基であってもフッ素化アルケニル基であってもよく、また、構造中にエーテル結合を有していてもよい。
【0076】
112及びR113としての上記アルケニル基としては、1−プロペニル基(−CH=CH−CH)、1−メチルエテニル基(−C(CH)=CH)、2−プロペニル基(−CH−CH=CH)、1−ブテニル基(−CH=CH−CHCH)、2−メチル−1−プロペニル基(−CH=C(CH)−CH)、1−メチル−1−プロペニル基(−C(CH)=CH−CH)、1−エチルエテニル基(−C(CHCH)=CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)、2−メチル−2−プロペニル基(−CH−C(CH)=CH)、1−メチル−2−プロペニル基(−CH(CH)−CH=CH)、3−ブテニル基(−CHCH−CH=CH)、1−メチレン−2−プロペニル基(−C(=CH)−CH=CH)、1,3−ブタジエニル基(−CH=CH−CH=CH)、2,3−ブタジエニル基(−CH−CH=C=CH)、1−メチル−1,2−プロパジエニル基(−C(CH)=C=CH)、1,2−ブタジエニル基(−CH=C=CH−CH)、2−ペンテニル基(−CH−CH=CH−CHCH)、2−エチル−2−プロペニル基(−CH−C(CHCH)=CH)、1−エチル−2−プロペニル基(−CH(CHCH)−CH=CH)、3−ペンテニル基(−CHCH−CH=CH−CH)、及び、これらの基において少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された基等が挙げられる。
【0077】
上記アルケニル基としては、なかでも、2−プロペニル基(−CH−CH=CH)、及び、2−プロペニル基において少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された基が好ましく、2−プロペニル基(−CH−CH=CH)がより好ましい。
【0078】
112及びR113としての上記アルキニル基は、炭素数が3〜5であることが好ましく、3〜4であることがより好ましい。
上記アルキニル基は、非フッ素化アルキニル基であってもフッ素化アルキニル基であってもよく、また、構造中にエーテル結合を有していてもよい。
【0079】
112及びR113としての上記アルキニル基としては、1−プロピニル基(−C≡C−CH)、2−プロピニル基(−CH−C≡CH)、1−ブチニル基(−C≡C−CHCH)、2−ブチニル基(−CH−C≡C−CH)、3−ブチニル基(−CHCH−C≡CH)、1−ペンチニル基(−C≡C−CHCHCH)、2−ペンチニル基(−CH−C≡C−CHCH)、3−ペンチニル基(−CHCH−C≡C−CH)、4−ペンチニル基(−CHCHCH−C≡CH)、及び、これらの基において少なくとも1個の水素原子がフッ素原子により置換された基等が挙げられる。
【0080】
上記アルキニル基としては、なかでも、2−プロピニル基(−CH−C≡CH)が好ましい。
【0081】
112及びR113としての上記炭化水素基は、互いに連結して窒素原子(一般式(12)におけるアミド結合中の窒素原子)とともに5員又は6員の複素環を形成する。上記複素環は、非芳香族複素環であることが好ましい。上記炭化水素基は、炭素数が3〜5であることが好ましく、4〜5であることがより好ましい。また、上記炭化水素基は、構造中にO、S及びNからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
上記炭化水素基としては、上記窒素原子とともにピロリジン環を形成する基、上記窒素原子とともにピペリジン環を形成する基、上記窒素原子とともにオキサゾリジン環を形成する基、上記窒素原子とともにモルホリン環を形成する基、上記窒素原子とともにチアゾリジン環を形成する基、上記窒素原子とともに2,5−ジヒドロ−1H−ピロール環を形成する基、上記窒素原子とともにピロール−2,5−ジオン環を形成する基、上記窒素原子とともに4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール環を形成する基等が挙げられる。なかでも、上記窒素原子とともにピロリジン環を形成する基、上記窒素原子とともにピペリジン環を形成する基、上記窒素原子とともにモルホリン環を形成する基、上記窒素原子とともに2,5−ジヒドロ−1H−ピロール環を形成する基、上記窒素原子とともにピロール−2,5−ジオン環を形成する基が好ましい。
【0082】
112及びR113は、少なくともどちらか一方がF、上記フッ素化アルキル基、上記アルケニル基又は上記アルキニル基であることが好ましい。
112及びR113は、同一であっても異なっていてもよい。
【0083】
化合物(12)としては、例えば、下記式で表される化合物が例示できる。
【化25】
【0084】
化合物(12)としては、なかでも、下記式で表される化合物が好ましい。
【化26】
【0085】
化合物(12)は、下記一般式(a):
【化27】
(式中、X101はハロゲン原子である。)で表される化合物(a)と、下記一般式(c):
【化28】
(式中、R112及びR113は上記と同じである。)で表される化合物(c)とを反応させて、上記一般式(12)で表される化合物(12)を得る工程(1−2)を含む製造方法により、好適に製造することができるが、これに限定されるものではない。
【0086】
一般式(a)中、X101はハロゲン原子である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、なかでもフッ素原子が好ましい。
【0087】
工程(1−2)の反応では、化合物(a)1モルに対して、化合物(c)を0.5〜4.0モル使用することが好ましく、0.7〜3.0モル使用することがより好ましく、0.9〜2.2モル使用することが更に好ましい。
【0088】
工程(1−2)の反応は、塩基の存在下に実施することが好ましい。上記塩基としてはアミン、無機塩基等が挙げられる。
上記アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリ(n−プロピル)アミン、トリ(n−ブチル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジン、ルチジン、γ−コリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、プロトンスポンジ等が挙げられ、反応原料として使用する化合物(c)も上記アミンに含まれる。
上記無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素リチウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、塩化リチウム、臭化リチウム等が挙げられる。
上記塩基としては、なかでも、アミンが好ましく、反応原料である化合物(c)と化合物(c)以外のアミンを併用しても良く、併用しなくとも良い。化合物(c)以外のアミンとしてはトリエチルアミン、ピリジンが好ましい。
【0089】
上記塩基として、化合物(c)以外の塩基を併用する場合、化合物(a)1モルに対して、1.0〜2.0モル使用することが好ましく、1.0〜1.2モル使用することがより好ましい。
【0090】
工程(1−2)の反応は、溶媒の有無に関わらず実施できる。溶媒中で実施する場合、上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、n−デカン、イソドデカン、トリデカン等の非芳香族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、ベラトロール、ジエチルベンゼン、メチルナフタレン、ニトロベンゼン、o−ニトロトルエン、メシチレン、インデン、ジフェニルスルフィド等の芳香族炭化水素溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ジイソブチルケトン、イソホロン等のケトン溶媒;ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、メチル t−ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグライム、フェネトール、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、ジイソアミルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、マロン酸ジエチル、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等のエステル溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド系溶媒;及びN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド溶媒等が挙げられる。
なかでも、ハロゲン化炭化水素溶媒が好ましく、ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロホルムがより好ましい。
【0091】
工程(1−2)の反応の温度としては、−10〜70℃が好ましく、0〜25℃がより好ましく、0〜10℃が更に好ましい。
【0092】
工程(1−2)の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜24時間がより好ましく、0.1〜12時間が更に好ましい。
【0093】
各工程の終了後、溶媒の留去、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等により生成物を分離・精製してもよい。
【0094】
化合物(1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0095】
本開示の電解液は、電解液に対し、化合物(1)を0.001〜10質量%含むことが好ましい。化合物(1)の含有量が上記範囲内にあると、電気化学デバイスの高温保存特性やサイクル特性を一層向上させることができる。化合物(1)の含有量としては、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、0.1質量%以上が特に好ましい。また、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
【0096】
本開示の電解液は、溶媒(但し、化合物(1)を除く)を含むことが好ましい。
【0097】
上記溶媒は、カーボネート及びカルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0098】
上記カーボネートは、環状カーボネートであってもよいし、鎖状カーボネートであってもよい。
【0099】
上記環状カーボネートは、非フッ素化環状カーボネートであってもよいし、フッ素化環状カーボネートであってもよい。
【0100】
上記非フッ素化環状カーボネートとしては、非フッ素化飽和環状カーボネートが挙げられ、炭素数2〜6のアルキレン基を有する非フッ素化飽和アルキレンカーボネートが好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基を有する非フッ素化飽和アルキレンカーボネートがより好ましい。
【0101】
なかでも、上記非フッ素化飽和環状カーボネートとしては、誘電率が高く、粘度が好適となる点で、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、シス−2,3−ペンチレンカーボネート、シス−2,3−ブチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート及びブチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0102】
上記非フッ素化飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0103】
上記非フッ素化飽和環状カーボネートが含まれる場合、上記非フッ素化飽和環状カーボネートの含有量は、上記溶媒に対して5〜90体積%であることが好ましく、10〜60体積%であることがより好ましく、15〜45体積%であることが更に好ましい。
【0104】
上記フッ素化環状カーボネートは、フッ素原子を有する環状カーボネートである。フッ素化環状カーボネートを含む溶媒は、高電圧下でも好適に使用することができる。
なお、本明細書において「高電圧」とは、4.2V以上の電圧をいう。また、「高電圧」の上限は4.9Vが好ましい。
【0105】
上記フッ素化環状カーボネートは、フッ素化飽和環状カーボネートであってもよいし、フッ素化不飽和環状カーボネートであってもよい。
【0106】
上記フッ素化飽和環状カーボネートは、フッ素原子を有する飽和環状カーボネートであり、具体的には、下記一般式(A):
【0107】
【化29】
(式中、X〜Xは同じか又は異なり、それぞれ−H、−CH、−C、−F、エーテル結合を有してもよいフッ素化アルキル基、又は、エーテル結合を有してもよいフッ素化アルコキシ基を表す。ただし、X〜Xの少なくとも1つは、−F、エーテル結合を有してもよいフッ素化アルキル基、又は、エーテル結合を有してもよいフッ素化アルコキシ基である。)で示される化合物が挙げられる。上記フッ素化アルキル基とは、−CF、−CFH、−CHF等である。
【0108】
上記フッ素化飽和環状カーボネートを含むと、本開示の電解液を高電圧リチウムイオン二次電池等に適用した場合電解液の耐酸化性が向上し、安定で優れた充放電特性が得られる。
なお、本明細書中で「エーテル結合」は、−O−で表される結合である。
【0109】
誘電率、耐酸化性が良好な点から、X〜Xの1つ又は2つが、−F、エーテル結合を有してもよいフッ素化アルキル基、又は、エーテル結合を有してもよいフッ素化アルコキシ基であることが好ましい。
【0110】
低温での粘性の低下、引火点の上昇、更には電解質塩の溶解性の向上が期待できることから、X〜Xは、−H、−F、フッ素化アルキル基(a)、エーテル結合を有するフッ素化アルキル基(b)、又は、フッ素化アルコキシ基(c)であることが好ましい。
【0111】
上記フッ素化アルキル基(a)は、アルキル基が有する水素原子の少なくとも1つをフッ素原子で置換したものである。フッ素化アルキル基(a)の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜17がより好ましく、1〜7が更に好ましく、1〜5が特に好ましい。
炭素数が大きくなりすぎると低温特性が低下したり、電解質塩の溶解性が低下したりするおそれがあり、炭素数が少な過ぎると、電解質塩の溶解性の低下、放電効率の低下、更には粘性の増大等がみられることがある。
【0112】
上記フッ素化アルキル基(a)のうち、炭素数が1のものとしては、CFH−、CFH−、CF−が挙げられる。特に、CFH−又はCF−が高温保存特性上好ましく、CF−が最も好ましい。
【0113】
上記フッ素化アルキル基(a)のうち、炭素数が2以上のものとしては、下記一般式(a−1):
−R− (a−1)
(式中、Rはフッ素原子を有していてもよい炭素数1以上のアルキル基;Rはフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜3のアルキレン基;ただし、R及びRの少なくとも一方はフッ素原子を有している)で示されるフッ素化アルキル基が、電解質塩の溶解性が良好な点から好ましく例示できる。
なお、R及びRは、更に、炭素原子、水素原子及びフッ素原子以外の、その他の原子を有していてもよい。
【0114】
は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1以上のアルキル基である。Rとしては、炭素数1〜16の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。Rの炭素数としては、1〜6がより好ましく、1〜3が更に好ましい。
【0115】
として、具体的には、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基として、CH−、CHCH−、CHCHCH−、CHCHCHCH−、
【0116】
【化30】
【0117】
等が挙げられる。
【0118】
また、Rがフッ素原子を有する直鎖状のアルキル基である場合、CF−、CFCH−、CFCF−、CFCHCH−、CFCFCH−、CFCFCF−、CFCHCF−、CFCHCHCH−、CFCFCHCH−、CFCHCFCH−、CFCFCFCH−、CFCFCFCF−、CFCFCHCF−、CFCHCHCHCH−、CFCFCHCHCH−、CFCHCFCHCH−、CFCFCFCHCH−、CFCFCFCFCH−、CFCFCHCFCH−、CFCFCHCHCHCH−、CFCFCFCFCHCH−、CFCFCHCFCHCH−、HCF−、HCFCH−、HCFCF−、HCFCHCH−、HCFCFCH−、HCFCHCF−、HCFCFCHCH−、HCFCHCFCH−、HCFCFCFCF−、HCFCFCHCHCH−、HCFCHCFCHCH−、HCFCFCFCFCH−、HCFCFCFCFCHCH−、FCH−、FCHCH−、FCHCF−、FCHCFCH−、FCHCFCF−、CHCFCH−、CHCFCF−、CHCFCHCF−、CHCFCFCF−、CHCHCFCF−、CHCFCHCFCH−、CHCFCFCFCH−、CHCFCFCHCH−、CHCHCFCFCH−、CHCFCHCFCHCH−、CHCFCHCFCHCH−、HCFClCFCH−、HCFCFClCH−、HCFCFClCFCFClCH−、HCFClCFCFClCFCH−等が挙げられる。
【0119】
また、Rがフッ素原子を有する分岐鎖状のアルキル基である場合、
【0120】
【化31】
【0121】
【化32】
【0122】
等が好ましく挙げられる。ただし、CH−やCF−という分岐を有していると粘性が高くなりやすいため、その数は少ない(1個)かゼロであることがより好ましい。
【0123】
はフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜3のアルキレン基である。Rは、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このような直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を構成する最小構造単位の一例を下記に示す。Rはこれらの単独又は組合せで構成される。
【0124】
(i)直鎖状の最小構造単位:
−CH−、−CHF−、−CF−、−CHCl−、−CFCl−、−CCl
【0125】
(ii)分岐鎖状の最小構造単位:
【0126】
【化33】
【0127】
なお、以上の例示のなかでも、塩基による脱HCl反応が起こらず、より安定なことから、Clを含有しない構成単位から構成されることが好ましい。
【0128】
は、直鎖状である場合には、上述した直鎖状の最小構造単位のみからなるものであり、なかでも−CH−、−CHCH−又は−CF−が好ましい。電解質塩の溶解性をより一層向上させることができる点から、−CH−又は−CHCH−がより好ましい。
【0129】
は、分岐鎖状である場合には、上述した分岐鎖状の最小構造単位を少なくとも1つ含んでなるものであり、一般式−(CX)−(XはH、F、CH又はCF;XはCH又はCF。ただし、XがCFの場合、XはH又はCHである)で表されるものが好ましく例示できる。これらは特に電解質塩の溶解性をより一層向上させることができる。
【0130】
好ましいフッ素化アルキル基(a)としては、例えばCFCF−、HCFCF−、HCFCF−、CHCF−、CFCHF−、CHCF−、CFCFCF−、HCFCFCF−、HCFCFCF−、CHCFCF−、
【0131】
【化34】
【0132】
【化35】
【0133】
等が挙げられる。
【0134】
上記エーテル結合を有するフッ素化アルキル基(b)は、エーテル結合を有するアルキル基が有する水素原子の少なくとも1つをフッ素原子で置換したものである。上記エーテル結合を有するフッ素化アルキル基(b)は、炭素数が2〜17であることが好ましい。炭素数が多過ぎると、上記フッ素化飽和環状カーボネートの粘性が高くなり、また、フッ素含有基が多くなることから、誘電率の低下による電解質塩の溶解性低下や、他の溶剤との相溶性の低下がみられることがある。この観点から上記エーテル結合を有するフッ素化アルキル基(b)の炭素数は2〜10がより好ましく、2〜7が更に好ましい。
【0135】
上記エーテル結合を有するフッ素化アルキル基(b)のエーテル部分を構成するアルキレン基は直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基でよい。そうした直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を構成する最小構造単位の一例を下記に示す。
【0136】
(i)直鎖状の最小構造単位:
−CH−、−CHF−、−CF−、−CHCl−、−CFCl−、−CCl
【0137】
(ii)分岐鎖状の最小構造単位:
【0138】
【化36】
【0139】
アルキレン基は、これらの最小構造単位単独で構成されてもよく、直鎖状(i)同士、分岐鎖状(ii)同士、又は、直鎖状(i)と分岐鎖状(ii)との組み合わせにより構成されてもよい。好ましい具体例は、後述する。
【0140】
なお、以上の例示のなかでも、塩基による脱HCl反応が起こらず、より安定なことから、Clを含有しない構成単位から構成されることが好ましい。
【0141】
更に好ましいエーテル結合を有するフッ素化アルキル基(b)としては、一般式(b−1):
−(ORn1− (b−1)
(式中、Rはフッ素原子を有していてもよい、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基;Rはフッ素原子を有していてもよい、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基;n1は1〜3の整数;ただし、R及びRの少なくとも1つはフッ素原子を有している)で示されるものが挙げられる。
【0142】
及びRとしては以下のものが例示でき、これらを適宜組み合わせて、上記一般式(b−1)で表されるエーテル結合を有するフッ素化アルキル基(b)を構成することができるが、これらのみに限定されるものではない。
【0143】
(1)Rとしては、一般式:XC−(Rn2−(3つのXは同じか又は異なりいずれもH又はF;Rは炭素数1〜5のフッ素原子を有していてもよいアルキレン基;n2は0又は1)で表されるアルキル基が好ましい。
【0144】
n2が0の場合、Rとしては、CH−、CF−、HCF−及びHCF−が挙げられる。
【0145】
n2が1の場合の具体例としては、Rが直鎖状のものとして、CFCH−、CFCF−、CFCHCH−、CFCFCH−、CFCFCF−、CFCHCF−、CFCHCHCH−、CFCFCHCH−、CFCHCFCH−、CFCFCFCH−、CFCFCFCF−、CFCFCHCF−、CFCHCHCHCH−、CFCFCHCHCH−、CFCHCFCHCH−、CFCFCFCHCH−、CFCFCFCFCH−、CFCFCHCFCH−、CFCFCHCHCHCH−、CFCFCFCFCHCH−、CFCFCHCFCHCH−、HCFCH−、HCFCF−、HCFCHCH−、HCFCFCH−、HCFCHCF−、HCFCFCHCH−、HCFCHCFCH−、HCFCFCFCF−、HCFCFCHCHCH−、HCFCHCFCHCH−、HCFCFCFCFCH−、HCFCFCFCFCHCH−、FCHCH−、FCHCF−、FCHCFCH−、CHCF−、CHCH−、CHCFCH−、CHCFCF−、CHCHCH−、CHCFCHCF−、CHCFCFCF−、CHCHCFCF−、CHCHCHCH−、CHCFCHCFCH−、CHCFCFCFCH−、CHCFCFCHCH−、CHCHCFCFCH−、CHCFCHCFCHCH−、CHCHCFCFCHCH−、CHCFCHCFCHCH−等が例示できる。
【0146】
n2が1であり、かつRが分岐鎖状のものとしては、
【0147】
【化37】
【0148】
等が挙げられる。
【0149】
ただし、CH−やCF−という分岐を有していると粘性が高くなりやすいため、Rが直鎖状のものがより好ましい。
【0150】
(2)上記一般式(b−1)の−(ORn1−において、n1は1〜3の整数であり、好ましくは1又は2である。なお、n1=2又は3のとき、Rは同じでも異なっていてもよい。
【0151】
の好ましい具体例としては、次の直鎖状又は分岐鎖状のものが例示できる。
【0152】
直鎖状のものとしては、−CH−、−CHF−、−CF−、−CHCH−、−CFCH−、−CFCF−、−CHCF−、−CHCHCH−、−CHCHCF−、−CHCFCH−、−CHCFCF−、−CFCHCH−、−CFCFCH−、−CFCHCF−、−CFCFCF−等が例示できる。
【0153】
分岐鎖状のものとしては、
【0154】
【化38】
【0155】
等が挙げられる。
【0156】
上記フッ素化アルコキシ基(c)は、アルコキシ基が有する水素原子の少なくとも1つをフッ素原子で置換したものである。上記フッ素化アルコキシ基(c)は、炭素数が1〜17であることが好ましい。より好ましくは、炭素数1〜6である。
【0157】
上記フッ素化アルコキシ基(c)としては、一般式:XC−(Rn3−O−(3つのXは同じか又は異なりいずれもH又はF;Rは好ましくは炭素数1〜5のフッ素原子を有していてもよいアルキレン基;n3は0又は1;ただし3つのXのいずれかはフッ素原子を含んでいる)で表されるフッ素化アルコキシ基が特に好ましい。
【0158】
上記フッ素化アルコキシ基(c)の具体例としては、上記一般式(a−1)におけるRとして例示したアルキル基の末端に酸素原子が結合したフッ素化アルコキシ基が挙げられる。
【0159】
上記フッ素化飽和環状カーボネートにおけるフッ素化アルキル基(a)、エーテル結合を有するフッ素化アルキル基(b)、及び、フッ素化アルコキシ基(c)のフッ素含有率は10質量%以上が好ましい。フッ素含有率が低過ぎると、低温での粘性低下効果や引火点の上昇効果が充分に得られないおそれがある。この観点から上記フッ素含有率は12質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましい。上限は通常76質量%である。
フッ素化アルキル基(a)、エーテル結合を有するフッ素化アルキル基(b)、及び、フッ素化アルコキシ基(c)のフッ素含有率は、各基の構造式に基づいて、{(フッ素原子の個数×19)/各基の式量}×100(%)により算出した値である。
【0160】
また、誘電率、耐酸化性が良好な点からは、上記フッ素化飽和環状カーボネート全体のフッ素含有率は10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。上限は通常76質量%である。
なお、上記フッ素化飽和環状カーボネートのフッ素含有率は、フッ素化飽和環状カーボネートの構造式に基づいて、{(フッ素原子の個数×19)/フッ素化飽和環状カーボネートの分子量}×100(%)により算出した値である。
【0161】
上記フッ素化飽和環状カーボネートとしては、具体的には、例えば、以下が挙げられる。
【0162】
〜Xの少なくとも1つが−Fであるフッ素化飽和環状カーボネートの具体例として、
【0163】
【化39】
等が挙げられる。これらの化合物は、耐電圧が高く、電解質塩の溶解性も良好である。
【0164】
他に、
【0165】
【化40】
【0166】
等も使用できる。
【0167】
〜Xの少なくとも1つがフッ素化アルキル基(a)であり、かつ残りが全て−Hであるフッ素化飽和環状カーボネートの具体例としては、
【0168】
【化41】
【0169】
【化42】
【0170】
【化43】
【0171】
等が挙げられる。
【0172】
〜Xの少なくとも1つが、エーテル結合を有するフッ素化アルキル基(b)、又は、フッ素化アルコキシ基(c)であり、かつ残りが全て−Hであるフッ素化飽和環状カーボネートの具体例としては、
【0173】
【化44】
【0174】
【化45】
【0175】
【化46】
【0176】
【化47】
【0177】
【化48】
【0178】
【化49】
【0179】
等が挙げられる。
【0180】
なかでも、上記フッ素化飽和環状カーボネートとしては、以下の化合物のいずれかであることが好ましい。
【0181】
【化50】
【0182】
【化51】
【0183】
上記フッ素化飽和環状カーボネートとしては、その他にも、trans−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−(1,1−ジフルオロエチル)−4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−5,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4,5,5−トリフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン等が挙げられる。
【0184】
上記フッ素化飽和環状カーボネートとしては、なかでも、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート(3,3,3−トリフルオロプロピレンカーボネート)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルエチレンカーボネートがより好ましい。
【0185】
上記フッ素化不飽和環状カーボネートは、不飽和結合とフッ素原子とを有する環状カーボネートであり、芳香環又は炭素−炭素二重結合を有する置換基で置換されたフッ素化エチレンカーボネート誘導体が好ましい。具体的には、4,4−ジフルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネート等が挙げられる。
【0186】
上記フッ素化環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0187】
上記フッ素化環状カーボネートが含まれる場合、上記フッ素化環状カーボネートの含有量は、上記溶媒に対して5〜90体積%であることが好ましく、10〜60体積%であることがより好ましく、15〜45体積%であることが更に好ましい。
【0188】
上記鎖状カーボネートは、非フッ素化鎖状カーボネートであってもよいし、フッ素化鎖状カーボネートであってもよい。
【0189】
上記非フッ素化鎖状カーボネートとしては、例えば、CHOCOOCH(ジメチルカーボネート:DMC)、CHCHOCOOCHCH(ジエチルカーボネート:DEC)、CHCHOCOOCH(エチルメチルカーボネート:EMC)、CHOCOOCHCHCH(メチルプロピルカーボネート)、メチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、メチル−2−フェニルフェニルカーボネート、フェニル−2−フェニルフェニルカーボネート、トランス−2,3−ペンチレンカーボネート、トランス−2,3−ブチレンカーボネート、エチルフェニルカーボネート等の炭化水素系鎖状カーボネートが挙げられる。なかでも、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジメチルカーボネートからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0190】
上記非フッ素化鎖状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0191】
上記非フッ素化鎖状カーボネートが含まれる場合、上記非フッ素化鎖状カーボネートの含有量は、上記溶媒に対して10〜90体積%であることが好ましく、40〜85体積%であることがより好ましく、50〜80体積%であることが更に好ましい。
【0192】
上記フッ素化鎖状カーボネートは、フッ素原子を有する鎖状カーボネートである。フッ素化鎖状カーボネートを含む溶媒は、高電圧下でも好適に使用することができる。
【0193】
上記フッ素化鎖状カーボネートとしては、一般式(B):
RfOCOOR (B)
(式中、Rfは、炭素数1〜7のフッ素化アルキル基であり、Rは、炭素数1〜7のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基である。)で示される化合物を挙げることができる。
【0194】
Rfは、炭素数1〜7のフッ素化アルキル基であり、Rは、炭素数1〜7のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基である。
上記フッ素化アルキル基は、アルキル基が有する水素原子の少なくとも1つをフッ素原子で置換したものである。Rがフッ素原子を含むアルキル基である場合、フッ素化アルキル基となる。
Rf及びRは、低粘性である点で、炭素数が1〜7であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。
炭素数が大きくなりすぎると低温特性が低下したり、電解質塩の溶解性が低下したりするおそれがあり、炭素数が少な過ぎると、電解質塩の溶解性の低下、放電効率の低下、更には粘性の増大等がみられることがある。
【0195】
炭素数が1のフッ素化アルキル基としては、CFH−、CFH−、CF−等が挙げられる。特に、CFH−又はCF−が高温保存特性上好ましい。
【0196】
炭素数が2以上のフッ素化アルキル基としては、下記一般式(d−1):
−R− (d−1)
(式中、Rはフッ素原子を有していてもよい炭素数1以上のアルキル基;Rはフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜3のアルキレン基;ただし、R及びRの少なくとも一方はフッ素原子を有している)で示されるフッ素化アルキル基が、電解質塩の溶解性が良好な点から好ましく例示できる。
なお、R及びRは、更に、炭素原子、水素原子及びフッ素原子以外の、その他の原子を有していてもよい。
【0197】
は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1以上のアルキル基である。Rとしては、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。Rの炭素数としては、1〜3がより好ましい。
【0198】
として、具体的には、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基として、CH−、CF−、CHCH−、CHCHCH−、CHCHCHCH−、
【0199】
【化52】
【0200】
等が挙げられる。
【0201】
また、Rがフッ素原子を有する直鎖状のアルキル基である場合、CF−、CFCH−、CFCF−、CFCHCH−、CFCFCH−、CFCFCF−、CFCHCF−、CFCHCHCH−、CFCFCHCH−、CFCHCFCH−、CFCFCFCH−、CFCFCFCF−、CFCFCHCF−、CFCHCHCHCH−、CFCFCHCHCH−、CFCHCFCHCH−、CFCFCFCHCH−、CFCFCFCFCH−、CFCFCHCFCH−、CFCFCHCHCHCH−、CFCFCFCFCHCH−、CFCFCHCFCHCH−、HCF−、HCFCH−、HCFCF−、HCFCHCH−、HCFCFCH−、HCFCHCF−、HCFCFCHCH−、HCFCHCFCH−、HCFCFCFCF−、HCFCFCHCHCH−、HCFCHCFCHCH−、HCFCFCFCFCH−、HCFCFCFCFCHCH−、FCH−、FCHCH−、FCHCF−、FCHCFCH−、FCHCFCF−、CHCFCH−、CHCFCF−、CHCFCHCF−、CHCFCFCF−、CHCHCFCF−、CHCFCHCFCH−、CHCFCFCFCH−、CHCFCFCHCH−、CHCHCFCFCH−、CHCFCHCFCHCH−、CHCFCHCFCHCH−、HCFClCFCH−、HCFCFClCH−、HCFCFClCFCFClCH−、HCFClCFCFClCFCH−等が挙げられる。
【0202】
また、Rがフッ素原子を有する分岐鎖状のアルキル基である場合、
【0203】
【化53】
【0204】
【化54】
【0205】
等が好ましく挙げられる。ただし、CH−やCF−という分岐を有していると粘性が高くなりやすいため、その数は少ない(1個)かゼロであることがより好ましい。
【0206】
はフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜3のアルキレン基である。Rは、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このような直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を構成する最小構造単位の一例を下記に示す。Rはこれらの単独又は組合せで構成される。
【0207】
(i)直鎖状の最小構造単位:
−CH−、−CHF−、−CF−、−CHCl−、−CFCl−、−CCl
【0208】
(ii)分岐鎖状の最小構造単位:
【0209】
【化55】
【0210】
なお、以上の例示のなかでも、塩基による脱HCl反応が起こらず、より安定なことから、Clを含有しない構成単位から構成されることが好ましい。
【0211】
は、直鎖状である場合には、上述した直鎖状の最小構造単位のみからなるものであり、なかでも−CH−、−CHCH−又は−CF−が好ましい。電解質塩の溶解性をより一層向上させることができる点から、−CH−又は−CHCH−がより好ましい。
【0212】
は、分岐鎖状である場合には、上述した分岐鎖状の最小構造単位を少なくとも1つ含んでなるものであり、一般式−(CX)−(XはH、F、CH又はCF;XはCH又はCF。ただし、XがCFの場合、XはH又はCHである)で表されるものが好ましく例示できる。これらは特に電解質塩の溶解性をより一層向上させることができる。
【0213】
好ましいフッ素化アルキル基としては、具体的には、例えば、CFCF−、HCFCF−、HCFCF−、CHCF−、CFCH−、CFCFCF−、HCFCFCF−、HCFCFCF−、CHCFCF−、
【0214】
【化56】
【0215】
【化57】
【0216】
等が挙げられる。
【0217】
なかでも、RfとRのフッ素化アルキル基としては、CF−、CFCF−、(CFCH−、CFCH−、CCH−、CFCFCH−、HCFCFCH−、CFCFHCFCH−、CFH−、CFH−が好ましく、難燃性が高く、レート特性や耐酸化性が良好な点から、CFCH−、CFCFCH−、HCFCFCH−、CFH−、CFH−がより好ましい。
【0218】
がフッ素原子を含まないアルキル基の場合は炭素数1〜7のアルキル基である。Rは、低粘性である点で、炭素数が1〜4であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
【0219】
上記フッ素原子を含まないアルキル基としては、例えば、CH−、CHCH−、(CHCH−、C−等が挙げられる。なかでも、粘度が低く、レート特性が良好な点から、CH−、CHCH−が好ましい。
【0220】
上記フッ素化鎖状カーボネートは、フッ素含有率が15〜70質量%であることが好ましい。フッ素含有率が上述の範囲であると、溶剤との相溶性、塩の溶解性を維持することができる。上記フッ素含有率は、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、35質量%以上が特に好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。
なお、本開示においてフッ素含有率は、上記フッ素化鎖状カーボネートの構造式に基づいて、
{(フッ素原子の個数×19)/フッ素化鎖状カーボネートの分子量}×100(%)
により算出した値である。
【0221】
上記フッ素化鎖状カーボネートとしては、低粘性である点で、以下の化合物のいずれかであることが好ましい。
【0222】
【化58】
【0223】
上記フッ素化鎖状カーボネートとしては、メチル2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート(FCHCOC(=O)OCH)が特に好ましい。
【0224】
上記フッ素化鎖状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0225】
上記フッ素化鎖状カーボネートが含まれる場合、上記フッ素化鎖状カーボネートの含有量は、上記溶媒に対して10〜90体積%であることが好ましく、40〜85体積%であることがより好ましく、50〜80体積%であることが更に好ましい。
【0226】
上記カルボン酸エステルは、環状カルボン酸エステルであってもよいし、鎖状カルボン酸エステルであってもよい。
【0227】
上記環状カルボン酸エステルは、非フッ素化環状カルボン酸エステルであってもよいし、フッ素化環状カルボン酸エステルであってもよい。
【0228】
上記非フッ素化環状カルボン酸エステルとしては、非フッ素化飽和環状カルボン酸エステルが挙げられ、炭素数2〜4のアルキレン基を有する非フッ素化飽和環状カルボン酸エステルが好ましい。
【0229】
炭素数2〜4のアルキレン基を有する非フッ素化飽和環状カルボン酸エステルの具体的な例としては、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、αメチル−γ−ブチロラクトンが挙げられる。なかでも、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトンがリチウムイオン解離度の向上及び負荷特性向上の点から特に好ましい。
【0230】
上記非フッ素化飽和環状カルボン酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0231】
上記非フッ素化飽和環状カルボン酸エステルが含まれる場合、上記非フッ素化飽和環状カルボン酸エステルの含有量は、上記溶媒に対して0〜90体積%であることが好ましく、0.001〜90体積%であることがより好ましく、1〜60体積%であることが更に好ましく、5〜40体積%であることが特に好ましい。
【0232】
上記鎖状カルボン酸エステルは、非フッ素化鎖状カルボン酸エステルであってもよいし、フッ素化鎖状カルボン酸エステルであってもよい。上記溶媒が上記鎖状カルボン酸エステルを含む場合、電解液の高温保存後の抵抗増加を一層抑制することができる。
【0233】
上記非フッ素化鎖状カルボン酸エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、tert−ブチルプロピオネート、tert−ブチルブチレート、sec−ブチルプロピオネート、sec−ブチルブチレート、n−ブチルブチレート、ピロリン酸メチル、ピロリン酸エチル、tert−ブチルホルメート、tert−ブチルアセテート、sec−ブチルホルメート、sec−ブチルアセテート、n−ヘキシルピバレート、n−プロピルホルメート、n−プロピルアセテート、n−ブチルホルメート、n−ブチルピバレート、n−オクチルピバレート、エチル2−(ジメトキシホスホリル)アセテート、エチル2−(ジメチルホスホリル)アセテート、エチル2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、エチル2−(ジエチルホスホリル)アセテート、イソプロピルプロピオネート、イソプロピルアセテート、エチルホルメート、エチル2−プロピニルオギザレート、イソプロピルホルメート、イソプロピルブチレート、イソブチルホルメート、イソブチルプロピオネート、イソブチルブチレート、イソブチルアセテート等が挙げられる。
【0234】
なかでも、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチルが好ましく、特に好ましくはプロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピルである。
【0235】
上記非フッ素化鎖状カルボン酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0236】
上記非フッ素化鎖状カルボン酸エステルが含まれる場合、上記非フッ素化鎖状カルボン酸エステルの含有量は、上記溶媒に対して0〜90体積%であることが好ましく、0.001〜90体積%であることがより好ましく、1〜60体積%であることが更に好ましく、5〜40体積%であることが特に好ましい。
【0237】
上記フッ素化鎖状カルボン酸エステルは、フッ素原子を有する鎖状カルボン酸エステルである。フッ素化鎖状カルボン酸エステルを含む溶媒は、高電圧下でも好適に使用することができる。
【0238】
上記フッ素化鎖状カルボン酸エステルとしては、下記一般式:
31COOR32
(式中、R31及びR32は、互いに独立に、炭素数1〜4のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基であり、R31及びR32の少なくとも一方はフッ素原子を含む。)で示されるフッ素化鎖状カルボン酸エステルが、他溶媒との相溶性や耐酸化性が良好な点から好ましい。
【0239】
31及びR32としては、例えばメチル基(−CH)、エチル基(−CHCH)、プロピル基(−CHCHCH)、イソプロピル基(−CH(CH)、ノルマルブチル基(−CHCHCHCH)、ターシャリーブチル基(−C(CH)等の非フッ素化アルキル基;−CF、−CFH、−CFH、−CFCF、−CFCFH、−CFCFH、−CHCF、−CHCFH、−CHCFH、−CFCFCF、−CFCFCFH、−CFCFCFH、−CHCFCF、−CHCFCFH、−CHCFCFH、−CHCHCF、−CHCHCFH、−CHCHCFH、−CF(CF、−CF(CFH)、−CF(CFH、−CH(CF、−CH(CFH)、−CH(CFH、−CF(OCH)CF、−CFCFCFCF、−CFCFCFCFH、−CFCFCFCFH、−CHCFCFCF、−CHCFCFCFH、−CHCFCFCFH、−CHCHCFCF、−CHCHCFCFH、−CHCHCFCFH、−CHCHCHCF、−CHCHCHCFH、−CHCHCHCFH、−CF(CF)CFCF、−CF(CFH)CFCF、−CF(CFH)CFCF、−CF(CF)CFCFH、−CF(CF)CFCFH、−CF(CF)CHCF、−CF(CF)CHCFH、−CF(CF)CHCFH、−CH(CF)CFCF、−CH(CFH)CFCF、−CH(CFH)CFCF、−CH(CF)CFCFH、−CH(CF)CFCFH、−CH(CF)CHCF、−CH(CF)CHCFH、−CH(CF)CHCFH、−CFCF(CF)CF、−CFCF(CFH)CF、−CFCF(CFH)CF、−CFCF(CF)CFH、−CFCF(CF)CFH、−CHCF(CF)CF、−CHCF(CFH)CF、−CHCF(CFH)CF、−CHCF(CF)CFH、−CHCF(CF)CFH、−CHCH(CF)CF、−CHCH(CFH)CF、−CHCH(CFH)CF、−CHCH(CF)CFH、−CHCH(CF)CFH、−CFCH(CF)CF、−CFCH(CFH)CF、−CFCH(CFH)CF、−CFCH(CF)CFH、−CFCH(CF)CFH、−C(CF、−C(CFH)、−C(CFH等のフッ素化アルキル基等が挙げられる。なかでもメチル基、エチル基、−CF、−CFH、−CFCF、−CHCF、−CHCFH、−CHCFH、−CHCHCF、−CHCFCF、−CHCFCFH、−CHCFCFHが他溶媒との相溶性、粘度、耐酸化性が良好な点から特に好ましい。
【0240】
上記フッ素化鎖状カルボン酸エステルの具体例としては、例えばCFCHC(=O)OCH(3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチル)、HCFC(=O)OCH(ジフルオロ酢酸メチル)、HCFC(=O)OC(ジフルオロ酢酸エチル)、CFC(=O)OCHCHCF、CFC(=O)OCH、CFC(=O)OCHCFCFH(トリフルオロ酢酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)、CFC(=O)OCHCF、CFC(=O)OCH(CF、ペンタフルオロ酪酸エチル、ペンタフルオロプロピオン酸メチル、ペンタフルオロプロピオン酸エチル、ヘプタフルオロイソ酪酸メチル、トリフルオロ酪酸イソプロピル、トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸tert−ブチル、トリフルオロ酢酸n−ブチル、テトラフルオロ−2−(メトキシ)プロピオン酸メチル、酢酸2,2−ジフルオロエチル、酢酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、CHC(=O)OCHCF(酢酸2,2,2−トリフルオロエチル)、酢酸1H,1H−ヘプタフルオロブチル、4,4,4−トリフルオロ酪酸メチル、4,4,4−トリフルオロ酪酸エチル、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エチル、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸3,3,3トリフルオロプロピル、3−(トリフルオロメチル)酪酸エチル、2,3,3,3−テトラフルオロプロピオン酸メチル、2,2−ジフルオロ酢酸ブチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピオン酸メチル、2−(トリフルオロメチル)−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチル、ヘプタフルオロ酪酸メチル等の1種又は2種以上が例示できる。
なかでもCFCHC(=O)OCH、HCFC(=O)OCH、HCFC(=O)OC、CFC(=O)OCH、CFC(=O)OCHCFCFH、CFC(=O)OCHCF、CFC(=O)OCH(CF、ペンタフルオロ酪酸エチル、ペンタフルオロプロピオン酸メチル、ペンタフルオロプロピオン酸エチル、ヘプタフルオロイソ酪酸メチル、トリフルオロ酪酸イソプロピル、トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸tert−ブチル、トリフルオロ酢酸n−ブチル、テトラフルオロ−2−(メトキシ)プロピオン酸メチル、酢酸2,2−ジフルオロエチル、酢酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、CHC(=O)OCHCF、酢酸1H,1H−ヘプタフルオロブチル、4,4,4−トリフルオロ酪酸メチル、4,4,4−トリフルオロ酪酸エチル、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エチル、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸3,3,3−トリフルオロプロピル、3−(トリフルオロメチル)酪酸エチル、2,3,3,3−テトラフルオロプロピオン酸メチル、2,2−ジフルオロ酢酸ブチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピオン酸メチル、2−(トリフルオロメチル)−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチル、ヘプタフルオロ酪酸メチルが、他溶媒との相溶性及びレート特性が良好な点から好ましく、CFCHC(=O)OCH、HCFC(=O)OCH、HCFC(=O)OC、CHC(=O)OCHCFがより好ましく、HCFC(=O)OCH、HCFC(=O)OC、CHC(=O)OCHCFが特に好ましい。
【0241】
上記フッ素化鎖状カルボン酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0242】
上記フッ素化鎖状カルボン酸エステルが含まれる場合、上記フッ素化鎖状カルボン酸エステルの含有量は、上記溶媒に対して10〜90体積%であることが好ましく、40〜85体積%であることがより好ましく、50〜80体積%であることが更に好ましい。
【0243】
上記溶媒は、上記環状カーボネート、上記鎖状カーボネート及び上記鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、上記環状カーボネートと、上記鎖状カーボネート及び上記鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種とを含むことがより好ましい。上記環状カーボネートは、飽和環状カーボネートであることが好ましい。
上記の組成の溶媒を含有する電解液は、電気化学デバイスの高温保存特性やサイクル特性を一層向上させることができる。
【0244】
上記溶媒が上記環状カーボネートと、上記鎖状カーボネート及び上記鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種とを含む場合、上記環状カーボネートと、上記鎖状カーボネート及び上記鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種とを合計で、10〜100体積%含むことが好ましく、30〜100体積%含むことがより好ましく、50〜100体積%含むことが更に好ましい。
【0245】
上記溶媒が上記環状カーボネートと、上記鎖状カーボネート及び上記鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種とを含む場合、上記環状カーボネートと、上記鎖状カーボネート及び上記鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種との体積比としては、5/95〜95/5が好ましく、10/90以上がより好ましく、15/85以上が更に好ましく、20/80以上が特に好ましく、90/10以下がより好ましく、60/40以下が更に好ましく、50/50以下が特に好ましい。
【0246】
上記溶媒は、また、上記非フッ素化飽和環状カーボネート、上記非フッ素化鎖状カーボネート及び上記非フッ素化鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことも好ましく、上記非フッ素化飽和環状カーボネートと、上記非フッ素化鎖状カーボネート及び上記非フッ素化鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種とを含むことがより好ましい。上記の組成の溶媒を含有する電解液は、比較的低電圧で使用される電気化学デバイスに好適に利用できる。
【0247】
上記溶媒が上記非フッ素化飽和環状カーボネートと、上記非フッ素化鎖状カーボネート及び上記非フッ素化鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種とを含む場合、上記非フッ素化飽和環状カーボネートと、上記非フッ素化鎖状カーボネート及び上記非フッ素化鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種とを合計で、5〜100体積%含むことが好ましく、20〜100体積%含むことがより好ましく、30〜100体積%含むことが更に好ましい。
【0248】
上記電解液が上記非フッ素化飽和環状カーボネートと、上記非フッ素化鎖状カーボネート及び上記非フッ素化鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種とを含む場合、上記非フッ素化飽和環状カーボネートと、上記非フッ素化鎖状カーボネート及び上記非フッ素化鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種との体積比としては、5/95〜95/5が好ましく、10/90以上がより好ましく、15/85以上が更に好ましく、20/80以上が特に好ましく、90/10以下がより好ましく、60/40以下が更に好ましく、50/50以下が特に好ましい。
【0249】
上記溶媒は、また、上記フッ素化飽和環状カーボネート、上記フッ素化鎖状カーボネート及び上記フッ素化鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことも好ましく、上記フッ素化飽和環状カーボネートと、上記フッ素化鎖状カーボネート及び上記フッ素化鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種とを含むことがより好ましい。上記の組成の溶媒を含有する電解液は、比較的低電圧で使用される電気化学デバイスだけでなく、比較的高電圧で使用される電気化学デバイスにも好適に利用できる。
【0250】
上記溶媒が上記フッ素化飽和環状カーボネートと、上記フッ素化鎖状カーボネート及び上記フッ素化鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種とを含む場合、上記フッ素化飽和環状カーボネートと、上記フッ素化鎖状カーボネート及び上記フッ素化鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種とを合計で、5〜100体積%含むことが好ましく、10〜100体積%含むことがより好ましく、30〜100体積%含むことが更に好ましい。
【0251】
上記溶媒が上記フッ素化飽和環状カーボネートと、上記フッ素化鎖状カーボネート及び上記フッ素化鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種とを含む場合、上記フッ素化飽和環状カーボネートと、上記フッ素化鎖状カーボネート及び上記フッ素化鎖状カルボン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種との体積比としては、5/95〜95/5が好ましく、10/90以上がより好ましく、15/85以上が更に好ましく、20/80以上が特に好ましく、90/10以下がより好ましく、60/40以下が更に好ましく、50/50以下が特に好ましい。
【0252】
また、上記溶媒として、イオン液体を用いることもできる。「イオン液体」とは、有機カチオンとアニオンとを組み合わせたイオンからなる液体である。
【0253】
有機カチオンとしては、特に限定されないが、例えば、ジアルキルイミダゾリウムカチオン、トリアルキルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムイオン;テトラアルキルアンモニウムイオン;アルキルピリジニウムイオン;ジアルキルピロリジニウムイオン;及びジアルキルピペリジニウムイオンが挙げられる。
【0254】
これらの有機カチオンのカウンターとなるアニオンとしては、特に限定されないが、例えば、PFアニオン、PF(Cアニオン、PF(CFアニオン、BFアニオン、BF(CFアニオン、BF(CF)アニオン、ビスオキサラトホウ酸アニオン、P(C)Fアニオン、Tf(トリフルオロメタンスルホニル)アニオン、Nf(ノナフルオロブタンスルホニル)アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン、ジシアノアミンアニオン、ハロゲン化物アニオンを用いることができる。
【0255】
上記溶媒は、非水溶媒であることが好ましく、本開示の電解液は、非水電解液であることが好ましい。
上記溶媒の含有量は、電解液中70〜99.999質量%であることが好ましく、80質量%以上がより好ましく、92質量%以下がより好ましい。
【0256】
本開示の電解液は、更に、一般式(5)で示される化合物(5)を含んでもよい。
【0257】
一般式(5):
【化59】
(式中、Aa+は金属イオン、水素イオン又はオニウムイオン。aは1〜3の整数、bは1〜3の整数、pはb/a、n203は1〜4の整数、n201は0〜8の整数、n202は0又は1、Z201は遷移金属、周期律表のIII族、IV族又はV族の元素。
201は、O、S、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基又は炭素数6〜20のハロゲン化アリーレン基(アルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基、及び、ハロゲン化アリーレン基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよく、またn202が1でn203が2〜4のときにはn203個のX201はそれぞれが結合していてもよい)。
201は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基(アルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基、及び、ハロゲン化アリーレン基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよく、またn201が2〜8のときにはn201個のL201はそれぞれが結合して環を形成してもよい)又は−Z203203
201、Y202及びZ203は、それぞれ独立でO、S、NY204、炭化水素基又はフッ素化炭化水素基。Y203及びY204は、それぞれ独立でH、F、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数6〜20のハロゲン化アリール基(アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基及びハロゲン化アリール基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよく、Y203又はY204が複数個存在する場合にはそれぞれが結合して環を形成してもよい)。
【0258】
a+としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン、セシウムイオン、銀イオン、亜鉛イオン、銅イオン、コバルトイオン、鉄イオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、チタンイオン、鉛イオン、クロムイオン、バナジウムイオン、ルテニウムイオン、イットリウムイオン、ランタノイドイオン、アクチノイドイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、水素イオン、テトラエチルホスホニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、トリエチルスルホニウムイオン等が挙げられる。
【0259】
電気化学的なデバイス等の用途に使用する場合、Aa+は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、水素イオンが好ましく、リチウムイオンが特に好ましい。Aa+のカチオンの価数aは、1〜3の整数である。3より大きい場合、結晶格子エネルギーが大きくなるため、溶媒に溶解することが困難になるという問題が起こる。そのため溶解度を必要とする場合は1がより好ましい。アニオンの価数bも同様に1〜3の整数であり、特に1が好ましい。カチオンとアニオンの比を表す定数pは、両者の価数の比b/aで必然的に決まる。
【0260】
次に、一般式(5)の配位子の部分について説明する。本明細書において、一般式(5)におけるZ201に結合している有機又は無機の部分を配位子と呼ぶ。
【0261】
201は、Al、B、V、Ti、Si、Zr、Ge、Sn、Cu、Y、Zn、Ga、Nb、Ta、Bi、P、As、Sc、Hf又はSbであることが好ましく、Al、B又はPであることがより好ましい。
【0262】
201は、O、S、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基又は炭素数6〜20のハロゲン化アリーレン基を表す。これらのアルキレン基及びアリーレン基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよい。具体的には、アルキレン基及びアリーレン基上の水素の代わりに、ハロゲン原子、鎖状又は環状のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アシル基、アミド基、水酸基を置換基として持っていてもよいし、アルキレン及びアリーレン上の炭素の代わりに、窒素、硫黄、酸素が導入された構造であってもよい。またn202が1でn203が2〜4のときには、n203個のX201はそれぞれが結合していてもよい。そのような例としては、エチレンジアミン四酢酸のような配位子を挙げることができる。
【0263】
201は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基又は−Z203203(Z203、Y203については後述)を表す。ここでのアルキル基及びアリール基も、X201と同様に、その構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよく、またn201が2〜8のときにはn201個のL201はそれぞれが結合して環を形成していてもよい。L201としては、フッ素原子又はシアノ基が好ましい。フッ素原子の場合には、アニオン化合物の塩の溶解度や解離度が向上し、これに伴ってイオン伝導度が向上するからである。また、耐酸化性が向上し、これにより副反応の発生を抑制することができるからである。
【0264】
201、Y202及びZ203は、それぞれ独立で、O、S、NY204、炭化水素基又はフッ素化炭化水素基を表す。Y201及びY202は、O、S又はNY204であることが好ましく、Oであることがより好ましい。化合物(5)の特徴として、同一の配位子内にY201及びY202によるZ201との結合があるため、これらの配位子がZ201とキレート構造を構成している。このキレートの効果により、この化合物の耐熱性、化学的安定性、耐加水分解性が向上している。この配位子中の定数n202は0又は1であるが、特に、0の場合はこのキレートリングが五員環になるため、キレート効果が最も強く発揮され安定性が増すため好ましい。
なお、本明細書において、フッ素化炭化水素基は、炭化水素基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された基である。
【0265】
203及びY204は、それぞれ独立で、H、F、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数6〜20のハロゲン化アリール基であり、これらのアルキル基及びアリール基は、その構造中に置換基又はヘテロ原子を有してもよく、またY203又はY204が複数個存在する場合には、それぞれが結合して環を形成してもよい。
【0266】
また、上述した配位子の数に関係する定数n203は、1〜4の整数であり、好ましくは1又は2であり、より好ましくは2である。また、上述した配位子の数に関係する定数n201は、0〜8の整数であり、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくは0、2又は4である。更に、n203が1のときn201は2、n203が2のときn201は0であることが好ましい。
【0267】
一般式(5)において、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基は、分岐や水酸基、エーテル結合等の他の官能基を持つものも含む。
【0268】
化合物(5)としては、一般式:
【化60】
(式中、Aa+、a、b、p、n201、Z201及びL201は上述したとおり)で示される化合物、又は、一般式:
【化61】
(式中、Aa+、a、b、p、n201、Z201及びL201は上述したとおり)で示される化合物であることが好ましい。
【0269】
化合物(5)としては、リチウムオキサラトボレート塩類が挙げられ、下記式:
【化62】
で示されるリチウムビス(オキサラト)ボレート(LIBOB)、下記式:
【化63】
で示されるリチウムジフルオロオキサラトボレート(LIDFOB)、
【0270】
化合物(5)としては、また、下記式:
【化64】
で示されるリチウムジフルオロオキサラトホスファナイト(LIDFOP)、下記式:
【化65】
で示されるリチウムテトラフルオロオキサラトホスファナイト(LITFOP)、下記式:
【化66】
で示されるリチウムビス(オキサラト)ジフルオロホスファナイト等が挙げられる。
【0271】
その他、錯体中心元素がホウ素であるジカルボン酸錯体塩の具体例としては、リチウムビス(マロナト)ボレート、リチウムジフルオロ(マロナト)ボレート、リチウムビス(メチルマロナト)ボレート、リチウムジフルオロ(メチルマロナト)ボレート、リチウムビス(ジメチルマロナト)ボレート、リチウムジフルオロ(ジメチルマロナト)ボレート等が挙げられる。
【0272】
錯体中心元素がリンであるジカルボン酸錯体塩の具体例としては、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート、リチウムトリス(マロナト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(マロナト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(マロナト)ホスフェート、リチウムトリス(メチルマロナト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(メチルマロナト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(メチルマロナト)ホスフェート、リチウムトリス(ジメチルマロナト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(ジメチルマロナト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(ジメチルマロナト)ホスフェート等が挙げられる。
【0273】
錯体中心元素がアルミニウムであるジカルボン酸錯体塩の具体例としては、LiAl(C、LiAlF(C)等が挙げられる。
【0274】
中でも、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェートが、入手の容易さや安定な被膜状の構造物の形成に寄与することができる点から、より好適に用いられる。
化合物(5)としては、リチウムビス(オキサラト)ボレートが特に好ましい。
【0275】
化合物(5)の含有量としては、より一層の優れたサイクル特性が得られることから、上記溶媒に対して、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、10質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。
【0276】
本開示の電解液は、更に、電解質塩(但し、化合物(5)を除く)を含むことが好ましい。上記電解質塩としては、リチウム塩、アンモニウム塩、金属塩のほか、液体状の塩(イオン性液体)、無機高分子型の塩、有機高分子型の塩等、電解液に使用することができる任意のものを用いることができる。
【0277】
リチウムイオン二次電池用電解液の電解質塩としては、リチウム塩が好ましい。
上記リチウム塩として任意のものを用いることができ、具体的には以下のものが挙げられる。例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAlF、LiSbF、LiTaF、LiWF、LiAsF,LiAlCl,LiI、LiBr、LiCl、LiB10Cl10、LiSiF、LiPFO、LiPO等の無機リチウム塩;
LiWOF等のタングステン酸リチウム類;
HCOLi、CHCOLi、CHFCOLi、CHFCOLi、CFCOLi、CFCHCOLi、CFCFCOLi、CFCFCFCOLi、CFCFCFCFCOLi等のカルボン酸リチウム塩類;
FSOLi、CHSOLi、CHFSOLi、CHFSOLi、CFSOLi、CFCFSOLi、CFCFCFSOLi、CFCFCFCFSOLi、リチウムメチルサルフェート、リチウムエチルサルフェート(COSOLi)、リチウム2,2,2−トリフルオロエチルサルフェート等のS=O基を有するリチウム塩類;
LiN(FCO)、LiN(FCO)(FSO)、LiN(FSO、LiN(FSO)(CFSO)、LiN(CFSO、LiN(CSO、リチウムビスパーフルオロエタンスルホニルイミド、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、リチウム環状1,2−エタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−プロパンジスルホニルイミド、リチウム環状1,4−パーフルオロブタンジスルホニルイミド、LiN(CFSO)(FSO)、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(POF等のリチウムイミド塩類;
LiC(FSO、LiC(CFSO、LiC(CSO等のリチウムメチド塩類;
その他、式:LiPF(C2n+16−a(式中、aは0〜5の整数であり、nは1〜6の整数である)で表される塩(例えばLiPF(C、LiPF(CF、LiPF(iso−C、LiPF(iso−C)、LiPF(CF、LiPF(C)、LiPF(CFSO、LiPF(CSO、LiBFCF、LiBF、LiBF、LiBF(CF、LiBF(C、LiBF(CFSO、LiBF(CSO等の含フッ素有機リチウム塩類、LiSCN、LiB(CN)、LiB(C、Li(C)、LiP(C、Li1212−b(bは0〜3の整数)等が挙げられる。
【0278】
中でも、LiPF、LiBF、LiSbF、LiTaF、LiPO、FSOLi、CFSOLi、LiN(FSO、LiN(FSO)(CFSO)、LiN(CFSO、LiN(CSO、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiC(FSO、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiBFCF、LiBF、LiPF(CF、LiPF(C等が出力特性やハイレート充放電特性、高温保存特性、サイクル特性等を向上させる効果がある点から特に好ましく、LiPF、LiN(FSO及びLiBFからなる群より選択される少なくとも1種のリチウム塩が最も好ましい。
【0279】
これらの電解質塩は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合の好ましい一例は、LiPFとLiBFとの併用や、LiPFとLiPO、COSOLi又はFSOLiとの併用であり、高温保存特性、負荷特性やサイクル特性を向上させる効果がある。
【0280】
この場合、電解液全体100質量%に対するLiBF、LiPO、COSOLi又はFSOLiの配合量に制限は無く、本開示の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本開示の電解液に対して、通常、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、また、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0281】
また、他の一例は、無機リチウム塩と有機リチウム塩との併用であり、この両者の併用は、高温保存による劣化を抑制する効果がある。有機リチウム塩としては、CFSOLi、LiN(FSO、LiN(FSO)(CFSO)、LiN(CFSO、LiN(CSO、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiC(FSO、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiBFCF、LiBF、LiPF(CF、LiPF(C等であるのが好ましい。この場合には、電解液全体100質量%に対する有機リチウム塩の割合は、好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。
【0282】
電解液中のこれらの電解質塩の濃度は、本開示の効果を損なわない限り特に制限されない。電解液の電気伝導率を良好な範囲とし、良好な電池性能を確保する点から、電解液中のリチウムの総モル濃度は、好ましくは0.3mol/L以上、より好ましくは0.4mol/L以上、更に好ましくは0.5mol/L以上であり、また、好ましくは3mol/L以下、より好ましくは2.5mol/L以下、更に好ましくは2.0mol/L以下である。
【0283】
リチウムの総モル濃度が低すぎると、電解液の電気伝導率が不十分の場合があり、一方、濃度が高すぎると、粘度上昇のため電気伝導度が低下する場合があり、電池性能が低下する場合がある。
【0284】
電気二重層キャパシタ用電解液の電解質塩としては、アンモニウム塩が好ましい。
上記アンモニウム塩としては、以下(IIa)〜(IIe)が挙げられる。
(IIa)テトラアルキル4級アンモニウム塩
一般式(IIa):
【0285】
【化67】
(式中、R1a、R2a、R3a及びR4aは同じか又は異なり、いずれも炭素数1〜6のエーテル結合を含んでいてもよいアルキル基;Xはアニオン)
で示されるテトラアルキル4級アンモニウム塩が好ましく例示できる。また、このアンモニウム塩の水素原子の一部又は全部がフッ素原子及び/又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基で置換されているものも、耐酸化性が向上する点から好ましい。
【0286】
具体例としては、一般式(IIa−1):
【0287】
【化68】
(式中、R1a、R2a及びXは前記と同じ;x及びyは同じか又は異なり0〜4の整数で、かつx+y=4)
で示されるテトラアルキル4級アンモニウム塩、一般式(IIa−2):
【0288】
【化69】
(式中、R5aは炭素数1〜6のアルキル基;R6aは炭素数1〜6の2価の炭化水素基;R7aは炭素数1〜4のアルキル基;zは1又は2;Xはアニオン)
で示されるアルキルエーテル基含有トリアルキルアンモニウム塩、
等が挙げられる。アルキルエーテル基を導入することにより、粘性の低下を図ることができる。
【0289】
アニオンXは、無機アニオンでも有機アニオンでもよい。無機アニオンとしては、例えばAlCl、BF、PF、AsF、TaF、I、SbFが挙げられる。有機アニオンとしては、例えばビスオキサラトボレートアニオン、ジフルオロオキサラトボレートアニオン、テトラフルオロオキサラトホスフェートアニオン、ジフルオロビスオキサラトフォスフェートアニオン、CFCOO、CFSO、(CFSO、(CSO等が挙げられる。
【0290】
これらのうち、耐酸化性やイオン解離性が良好な点から、BF、PF、AsF、SbFが好ましい。
【0291】
テトラアルキル4級アンモニウム塩の好適な具体例としては、EtNBF、EtNClO、EtNPF、EtNAsF、EtNSbF、EtNCFSO、EtN(CFSON、EtNCSO、EtMeNBF、EtMeNClO、EtMeNPF、EtMeNAsF、EtMeNSbF、EtMeNCFSO、EtMeN(CFSON、EtMeNCSOを用いればよく、特に、EtNBF、EtNPF、EtNSbF、EtNAsF、EtMeNBF、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム塩等が挙げられる。
【0292】
(IIb)スピロ環ビピロリジニウム塩
一般式(IIb−1):
【0293】
【化70】
(式中、R8a及びR9aは同じか又は異なり、いずれも炭素数1〜4のアルキル基;Xはアニオン;n1は0〜5の整数;n2は0〜5の整数)
で示されるスピロ環ビピロリジニウム塩、一般式(IIb−2):
【0294】
【化71】
(式中、R10a及びR11aは同じか又は異なり、いずれも炭素数1〜4のアルキル基;Xはアニオン;n3は0〜5の整数;n4は0〜5の整数)
で示されるスピロ環ビピロリジニウム塩、又は、一般式(IIb−3):
【0295】
【化72】
(式中、R12a及びR13aは同じか又は異なり、いずれも炭素数1〜4のアルキル基;Xはアニオン;n5は0〜5の整数;n6は0〜5の整数)
で示されるスピロ環ビピロリジニウム塩が好ましく挙げられる。また、このスピロ環ビピロリジニウム塩の水素原子の一部又は全部がフッ素原子及び/又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基で置換されているものも、耐酸化性が向上する点から好ましい。
【0296】
アニオンXの好ましい具体例は、(IIa)の場合と同じである。なかでも、解離性が高く、高電圧下での内部抵抗が低い点から、BF−、PF−、(CFSON−又は(CSON−が好ましい。
【0297】
スピロ環ビピロリジニウム塩の好ましい具体例としては、例えば、
【化73】
等が挙げられる。
【0298】
このスピロ環ビピロリジニウム塩は溶媒への溶解性、耐酸化性、イオン伝導性の点で優れている。
【0299】
(IIc)イミダゾリウム塩
一般式(IIc):
【0300】
【化74】
(式中、R14a及びR15aは同じか又は異なり、いずれも炭素数1〜6のアルキル基;Xはアニオン)
で示されるイミダゾリウム塩が好ましく例示できる。また、このイミダゾリウム塩の水素原子の一部又は全部がフッ素原子及び/又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基で置換されているものも、耐酸化性が向上する点から好ましい。
【0301】
アニオンXの好ましい具体例は、(IIa)と同じである。
【0302】
好ましい具体例としては、例えば
【0303】
【化75】
等が挙げられる。
【0304】
このイミダゾリウム塩は粘性が低く、また溶解性が良好な点で優れている。
【0305】
(IId):N−アルキルピリジニウム塩
一般式(IId):
【0306】
【化76】
(式中、R16aは炭素数1〜6のアルキル基;Xはアニオン)
で示されるN−アルキルピリジニウム塩が好ましく例示できる。また、このN−アルキルピリジニウム塩の水素原子の一部又は全部がフッ素原子及び/又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基で置換されているものも、耐酸化性が向上する点から好ましい。
【0307】
アニオンXの好ましい具体例は、(IIa)と同じである。
【0308】
好ましい具体例としては、例えば
【0309】
【化77】
等が挙げられる。
【0310】
このN−アルキルピリジニウム塩は粘性が低く、また溶解性が良好な点で優れている。
【0311】
(IIe)N,N−ジアルキルピロリジニウム塩
一般式(IIe):
【0312】
【化78】
(式中、R17a及びR18aは同じか又は異なり、いずれも炭素数1〜6のアルキル基;Xはアニオン)
で示されるN,N−ジアルキルピロリジニウム塩が好ましく例示できる。また、このN,N−ジアルキルピロリジニウム塩の水素原子の一部又は全部がフッ素原子及び/又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基で置換されているものも、耐酸化性が向上する点から好ましい。
【0313】
アニオンXの好ましい具体例は、(IIa)と同じである。
【0314】
好ましい具体例としては、例えば
【0315】
【化79】
【0316】
【化80】
等が挙げられる。
【0317】
このN,N−ジアルキルピロリジニウム塩は粘性が低く、また溶解性が良好な点で優れている。
【0318】
これらのアンモニウム塩のうち、(IIa)、(IIb)及び(IIc)が溶解性、耐酸化性、イオン伝導性が良好な点で好ましく、更には
【0319】
【化81】
(式中、Meはメチル基;Etはエチル基;X、x、yは式(IIa−1)と同じ)
が好ましい。
【0320】
また、電気二重層キャパシタ用電解質塩として、リチウム塩を用いてもよい。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiN(FSO、LiAsF、LiSbF、LiN(SOが好ましい。
更に容量を向上させるために、マグネシウム塩を用いてもよい。マグネシウム塩としては、例えば、Mg(ClO、Mg(OOC等が好ましい。
【0321】
電解質塩が上記アンモニウム塩である場合、濃度は、0.7モル/リットル以上であることが好ましい。0.7モル/リットル未満であると、低温特性が悪くなるだけでなく、初期内部抵抗が高くなってしまうおそれがある。上記電解質塩の濃度は、0.9モル/リットル以上であることがより好ましい。
上記濃度の上限は、低温特性の点で、2.0モル/リットル以下であることが好ましく、1.5モル/リットル以下であることがより好ましい。
上記アンモニウム塩が、4フッ化ホウ酸トリエチルメチルアンモニウム(TEMABF)の場合、その濃度は、低温特性に優れる点で、0.7〜1.5モル/リットルであることが好ましい。
また、4フッ化ホウ酸スピロビピロリジニウム(SBPBF)の場合は、0.7〜2.0モル/リットルであることが好ましい。
【0322】
本開示の電解液は、一般式(2):
【化82】
(式中、X21は少なくともH又はCを含む基、n21は1〜3の整数、Y21及びZ21は、同じか又は異なり、少なくともH、C、O又はFを含む基、n22は0又は1、Y21及びZ21はお互いに結合して環を形成してもよい。)で示される化合物(2)を更に含むことが好ましい。上記電解液が化合物(2)を含むと、高温で保管した場合でも、容量保持率が一層低下しにくく、ガスの発生量が更に増加しにくい。
【0323】
n21が2又は3の場合、2つ又は3つのX21は同じであっても異なっていてもよい。
21及びZ21が複数存在する場合、複数存在するY21及びZ21は同じであっても異なっていてもよい。
【0324】
21としては、−CY2121−(式中、Y21及びZ21は上記のとおり)又は−CY21=CZ21−(式中、Y21及びZ21は上記のとおり)で示される基が好ましい。
【0325】
21としては、H−、F−、CH−、CHCH−、CHCHCH−、CF−、CFCF−、CHFCH−及びCFCFCF−からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
21としては、H−、F−、CH−、CHCH−、CHCHCH−、CF−、CFCF−、CHFCH−及びCFCFCF−からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0326】
又は、Y21及びZ21は、お互いに結合して、不飽和結合を含んでもよく、芳香族性を有していてもよい炭素環又は複素環を形成することができる。環の炭素数は3〜20が好ましい。
【0327】
次いで、化合物(2)の具体例について説明する。なお、以下の例示において「類縁体」とは、例示される酸無水物の構造の一部を、本開示の趣旨に反しない範囲で、別の構造に置き換えることにより得られる酸無水物を指すもので、例えば複数の酸無水物からなる二量体、三量体及び四量体等、又は、置換基の炭素数が同じではあるが分岐鎖を有する等構造異性のもの、置換基が酸無水物に結合する部位が異なるもの等が挙げられる。
【0328】
5員環構造を形成している酸無水物の具体例としては、無水コハク酸、メチルコハク酸無水物(4−メチルコハク酸無水物)、ジメチルコハク酸無水物(4,4−ジメチルコハク酸無水物、4,5−ジメチルコハク酸無水物等)、4,4,5−トリメチルコハク酸無水物、4,4,5,5−テトラメチルコハク酸無水物、4−ビニルコハク酸無水物、4,5−ジビニルコハク酸無水物、フェニルコハク酸無水物(4−フェニルコハク酸無水物)、4,5−ジフェニルコハク酸無水物、4,4−ジフェニルコハク酸無水物、無水シトラコン酸、無水マレイン酸、メチルマレイン酸無水物(4−メチルマレイン酸無水物)、4,5−ジメチルマレイン酸無水物、フェニルマレイン酸無水物(4−フェニルマレイン酸無水物)、4,5−ジフェニルマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、5−メチルイタコン酸無水物、5,5−ジメチルイタコン酸無水物、無水フタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物等、及びそれらの類縁体等が挙げられる。
【0329】
6員環構造を形成している酸無水物の具体例としては、シクロヘキサンジカルボン酸無水物(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物等)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、無水グルタル酸、無水グルタコン酸、2−フェニルグルタル酸無水物等、及びそれらの類縁体等が挙げられる。
【0330】
その他の環状構造を形成している酸無水物の具体例としては、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物、無水ジグリコール酸等、及びそれらの類縁体等が挙げられる。
【0331】
環状構造を形成するとともに、ハロゲン原子で置換された酸無水物の具体例としては、モノフルオロコハク酸無水物(4−フルオロコハク酸無水物等)、4,4−ジフルオロコハク酸無水物、4,5−ジフルオロコハク酸無水物、4,4,5−トリフルオロコハク酸無水物、トリフルオロメチルコハク酸無水物、テトラフルオロコハク酸無水物(4,4,5,5−テトラフルオロコハク酸無水物)、4−フルオロマレイン酸無水物、4,5−ジフルオロマレイン酸無水物、トリフルオロメチルマレイン酸無水物、5−フルオロイタコン酸無水物、5,5−ジフルオロイタコン酸無水物等、及びそれらの類縁体等が挙げられる。
【0332】
化合物(2)としては、なかでも、無水グルタル酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、フェニルコハク酸無水物、2−フェニルグルタル酸無水物、無水マレイン酸、メチルマレイン酸無水物、トリフルオロメチルマレイン酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、無水コハク酸、メチルコハク酸無水物、ジメチルコハク酸無水物、トリフルオロメチルコハク酸無水物、モノフルオロコハク酸無水物、テトラフルオロコハク酸無水物等が好ましく、無水マレイン酸、メチルマレイン酸無水物、トリフルオロメチルマレイン酸無水物、無水コハク酸、メチルコハク酸無水物、トリフルオロメチルコハク酸無水物、テトラフルオロコハク酸無水物がより好ましく、無水マレイン酸、無水コハク酸が更に好ましい。
【0333】
化合物(2)は、一般式(3):
【0334】
【化83】
(式中、X31〜X34は、同じか又は異なり、少なくともH、C、O又はFを含む基)で示される化合物(3)、及び、一般式(4):
【0335】
【化84】
(式中、X41及びX42は、同じか又は異なり、少なくともH、C、O又はFを含む基)で示される化合物(4)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0336】
31〜X34としては、同じか又は異なり、アルキル基、フッ素化アルキル基、アルケニル基及びフッ素化アルケニル基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。X31〜X34の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜3がより好ましい。
【0337】
31〜X34としては、同じか又は異なり、H−、F−、CH−、CHCH−、CHCHCH−、CF−、CFCF−、CHFCH−及びCFCFCF−からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
【0338】
41及びX42としては、同じか又は異なり、アルキル基、フッ素化アルキル基、アルケニル基及びフッ素化アルケニル基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。X41及びX42の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜3がより好ましい。
【0339】
41及びX42としては、同じか又は異なり、H−、F−、CH−、CHCH−、CHCHCH−、CF−、CFCF−、CHFCH−及びCFCFCF−からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
【0340】
化合物(3)は、以下の化合物のいずれかであることが好ましい。
【0341】
【化85】
【0342】
化合物(4)は、以下の化合物のいずれかであることが好ましい。
【0343】
【化86】
【0344】
上記電解液は、高温で保管した場合でも、容量保持率が一層低下しにくく、ガスの発生量が更に増加しにくいことから、上記電解液に対して、0.0001〜15質量%の化合物(2)を含むことが好ましい。化合物(2)の含有量としては、0.01〜10質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が更に好ましく、0.1〜1.0質量%が特に好ましい。
【0345】
上記電解液が化合物(3)及び(4)の両方を含む場合、高温で保管した場合でも、容量保持率が一層低下しにくく、ガスの発生量が更に増加しにくいことから、上記電解液は、上記電解液に対して、0.08〜2.50質量%の化合物(3)及び0.02〜1.50質量%の化合物(4)を含むことが好ましく、0.80〜2.50質量%の化合物(3)及び0.08〜1.50質量%の化合物(4)を含むことがより好ましい。
【0346】
本開示の電解液は、下記一般式(1a)、(1b)及び(1c)で表されるニトリル化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい。
【化87】
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基(CN)、ハロゲン原子、アルキル基、又は、アルキル基の少なくとも一部の水素原子をハロゲン原子で置換した基を表す。nは1〜10の整数を表す。)
【化88】
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキル基の少なくとも一部の水素原子をハロゲン原子で置換した基、又は、NC−Rc1−Xc1−(Rc1はアルキレン基、Xc1は酸素原子又は硫黄原子を表す。)で表される基を表す。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又は、アルキル基の少なくとも一部の水素原子をハロゲン原子で置換した基を表す。mは1〜10の整数を表す。)
【化89】
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、シアノ基(CN)を含む基、水素原子(H)、ハロゲン原子、アルキル基、又は、アルキル基の少なくとも一部の水素原子をハロゲン原子で置換した基を表す。ただし、R、R、R及びRのうち少なくとも1つはシアノ基を含む基である。lは1〜3の整数を表す。)
これにより、電気化学デバイスの高温保存特性を向上させることができる。上記ニトリル化合物を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0347】
上記一般式(1a)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基(CN)、ハロゲン原子、アルキル基、又は、アルキル基の少なくとも一部の水素原子をハロゲン原子で置換した基である。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。中でもフッ素原子が好ましい。
アルキル基としては、炭素数1〜5のものが好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
アルキル基の少なくとも一部の水素原子をハロゲン原子で置換した基としては、上述したアルキル基の少なくとも一部の水素原子を上述したハロゲン原子で置換した基が挙げられる。
及びRがアルキル基、又は、アルキル基の少なくとも一部の水素原子をハロゲン原子で置換した基である場合は、RとRとが互いに結合して環構造(例えば、シクロヘキサン環)を形成していてもよい。
及びRは、水素原子又はアルキル基であることが好ましい。
【0348】
上記一般式(1a)において、nは1〜10の整数である。nが2以上である場合、n個のRは全て同じであってもよく、少なくとも一部が異なっていてもよい。Rについても同様である。nは、1〜7の整数が好ましく、2〜5の整数がより好ましい。
【0349】
上記一般式(1a)で表されるニトリル化合物としては、ジニトリル及びトリカルボニトリルが好ましい。
ジニトリルの具体例としては、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル、メチルマロノニトリル、エチルマロノニトリル、イソプロピルマロノニトリル、tert−ブチルマロノニトリル、メチルスクシノニトリル、2,2−ジメチルスクシノニトリル、2,3−ジメチルスクシノニトリル、2,3,3−トリメチルスクシノニトリル、2,2,3,3−テトラメチルスクシノニトリル、2,3−ジエチル−2,3−ジメチルスクシノニトリル、2,2−ジエチル−3,3−ジメチルスクシノニトリル、ビシクロヘキシル−1,1−ジカルボニトリル、ビシクロヘキシル−2,2−ジカルボニトリル、ビシクロヘキシル−3,3−ジカルボニトリル、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジカルボニトリル、2,3−ジイソブチル−2,3−ジメチルスクシノニトリル、2,2−ジイソブチル−3,3−ジメチルスクシノニトリル、2−メチルグルタロニトリル、2,3−ジメチルグルタロニトリル、2,4−ジメチルグルタロニトリル、2,2,3,3−テトラメチルグルタロニトリル、2,2,4,4−テトラメチルグルタロニトリル、2,2,3,4−テトラメチルグルタロニトリル、2,3,3,4−テトラメチルグルタロニトリル、1,4−ジシアノペンタン、2,6−ジシアノヘプタン、2,7−ジシアノオクタン、2,8−ジシアノノナン、1,6−ジシアノデカン、1,2−ジジアノベンゼン、1,3−ジシアノベンゼン、1,4−ジシアノベンゼン、3,3’−(エチレンジオキシ)ジプロピオニトリル、3,3’−(エチレンジチオ)ジプロピオニトリル、3,9−ビス(2−シアノエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ブタンニトリル、フタロニトリル等を例示できる。これらのうち、特に好ましいのはスクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリルである。
また、トリカルボニトリルの具体例としては、ペンタントリカルボニトリル、プロパントリカルボニトリル、1,3,5−ヘキサントリカルボニトリル、1,3,6−ヘキサントリカルボニトリル、ヘプタントリカルボニトリル、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,3,5−ペンタントリカルボニトリル、シクロヘキサントリカルボニトリル、トリスシアノエチルアミン、トリスシアノエトキシプロパン、トリシアノエチレン、トリス(2−シアノエチル)アミン等が挙げられ特に好ましいものは、1,3,6−ヘキサントリカルボニトリル、シクロヘキサントリカルボニトリルであり、最も好ましいものはシクロヘキサントリカルボニトリルである。
【0350】
上記一般式(1b)において、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキル基の少なくとも一部の水素原子をハロゲン原子で置換した基、又は、NC−Rc1−Xc1−(Rc1はアルキレン基、Xc1は酸素原子又は硫黄原子を表す。)で表される基であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又は、アルキル基の少なくとも一部の水素原子をハロゲン原子で置換した基である。
ハロゲン原子、アルキル基、及び、アルキル基の少なくとも一部の水素原子をハロゲン原子で置換した基については、上記一般式(1a)について例示したものが挙げられる。
上記NC−Rc1−Xc1−におけるRc1はアルキレン基である。アルキレン基としては、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。
、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又は、アルキル基の少なくとも一部の水素原子をハロゲン原子で置換した基であることが好ましい。
、R及びRの少なくとも1つは、ハロゲン原子、又は、アルキル基の少なくとも一部の水素原子をハロゲン原子で置換した基であることが好ましく、フッ素原子、又は、アルキル基の少なくとも一部の水素原子をフッ素原子で置換した基であることがより好ましい。
及びRがアルキル基、又は、アルキル基の少なくとも一部の水素原子をハロゲン原子で置換した基である場合は、RとRとが互いに結合して環構造(例えば、シクロヘキサン環)を形成していてもよい。
【0351】
上記一般式(1b)において、mは1〜10の整数である。mが2以上である場合、m個のRは全て同じであってもよく、少なくとも一部が異なっていてもよい。Rについても同様である。mは、2〜7の整数が好ましく、2〜5の整数がより好ましい。
【0352】
上記一般式(1b)で表されるニトリル化合物としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、ラウロニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、2−メチルブチロニトリル、トリメチルアセトニトリル、ヘキサンニトリル、シクロペンタンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、フルオロアセトニトリル、ジフルオロアセトニトリル、トリフルオロアセトニトリル、2−フルオロプロピオニトリル、3−フルオロプロピオニトリル、2,2−ジフルオロプロピオニトリル、2,3−ジフルオロプロピオニトリル、3,3−ジフルオロプロピオニトリル、2,2,3−トリフルオロプロピオニトリル、3,3,3−トリフルオロプロピオニトリル、3,3’−オキシジプロピオニトリル、3,3’−チオジプロピオニトリル、ペンタフルオロプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、ベンゾニトリル等が例示できる。これらのうち、特に好ましいのは,3,3,3−トリフルオロプロピオニトリルである。
【0353】
上記一般式(1c)において、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、シアノ基(CN)を含む基、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又は、アルキル基の少なくとも一部の水素原子をハロゲン原子で置換した基である。
ハロゲン原子、アルキル基、及び、アルキル基の少なくとも一部の水素原子をハロゲン原子で置換した基については、上記一般式(1a)について例示したものが挙げられる。
シアノ基を含む基としては、シアノ基のほか、アルキル基の少なくとも一部の水素原子をシアノ基で置換した基が挙げられる。この場合のアルキル基としては、上記一般式(1a)について例示したものが挙げられる。
、R、R及びRのうち少なくとも1つはシアノ基を含む基である。好ましくは、R、R、R及びRのうち少なくとも2つがシアノ基を含む基であることであり、より好ましくは、R及びRがシアノ基を含む基であることである。R及びRがシアノ基を含む基である場合、R及びRは、水素原子であることが好ましい。
【0354】
上記一般式(1c)において、lは1〜3の整数である。lが2以上である場合、l個のRは全て同じであってもよく、少なくとも一部が異なっていてもよい。Rについても同様である。lは、1〜2の整数が好ましい。
【0355】
上記一般式(1c)で表されるニトリル化合物としては、3−ヘキセンジニトリル、ムコノニトリル、マレオニトリル、フマロニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトノニトリル、3−メチルクロトノニトリル、2−メチル−2−ブテンニトリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−2−ペンテンニトリル、3−メチル−2−ペンテンニトリル、2−ヘキセンニトリル等が例示され、3−ヘキセンジニトリル、ムコノニトリルが好ましく、特に3−ヘキセンジニトリルが好ましい。
【0356】
上記ニトリル化合物の含有量は、電解液に対して0.2〜7質量%であることが好ましい。これにより、電気化学デバイスの高電圧での高温保存特性、安全性を一層向上させることができる。上記ニトリル化合物の含有量の合計の下限は0.3質量%がより好ましく、0.5質量%が更に好ましい。上限は5質量%がより好ましく、2質量%が更に好ましく、0.5質量%が特に好ましい。
【0357】
本開示の電解液は、イソシアナト基を有する化合物(以下、「イソシアネート」と略記する場合がある)を含んでもよい。上記イソシアネートとしては、特に限定されず、任意のイソシアネートを用いることができる。イソシアネートの例としては、モノイソシアネート類、ジイソシアネート類、トリイソシアネート類等が挙げられる。
【0358】
モノイソシアネート類の具体例としては、イソシアナトメタン、イソシアナトエタン、1−イソシアナトプロパン、1−イソシアナトブタン、1−イソシアナトペンタン、1−イソシアナトヘキサン、1−イソシアナトヘプタン、1−イソシアナトオクタン、1−イソシアナトノナン、1−イソシアナトデカン、イソシアナトシクロヘキサン、メトキシカルボニルイソシアネート、エトキシカルボニルイソシアネート、プロポキシカルボニルイソシアネート、ブトキシカルボニルイソシアネート、メトキシスルホニルイソシアネート、エトキシスルホニルイソシアネート、プロポキシスルホニルイソシアネート、ブトキシスルホニルイソシアネート、フルオロスルホニルイソシアネート、メチルイソシアネート、ブチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0359】
ジイソシアネート類の具体例としては、1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,7−ジイソシアナトヘプタン、1,8−ジイソシアナトオクタン、1,9−ジイソシアナトノナン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−ジイソシアナトプロペン、1,4−ジイソシアナト−2−ブテン、1,4−ジイソシアナト−2−フルオロブタン、1,4−ジイソシアナト−2,3−ジフルオロブタン、1,5−ジイソシアナト−2−ペンテン、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、1,6−ジイソシアナト−2−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−フルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,4−ジフルオロヘキサン、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−1,1’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチル=イソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチル=イソシアネート)、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0360】
トリイソシアネート類の具体例としては、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン、1,3,5−トリス(6−イソシアナトヘキサ−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、4−(イソシアナトメチル)オクタメチレン=ジイソシアネート等が挙げられる。
【0361】
中でも、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3,5−トリス(6−イソシアナトヘキサ−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートが、工業的に入手し易いものであり、電解液の製造コストが低く抑えられる点で好ましく、また技術的な観点からも安定な被膜状の構造物の形成に寄与することができ、より好適に用いられる。
【0362】
イソシアネートの含有量は、特に限定されず、本開示の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電解液に対して、好ましくは0.001質量%以上、1.0質量%以下である。イソシアネートの含有量がこの下限以上であると、非水系電解液二次電池に、十分なサイクル特性向上効果をもたらすことができる。また、この上限以下であると、非水系電解液二次電池の初期の抵抗増加を避けることができる。イソシアネートの含有量は、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上、また、より好ましくは0.8質量%以下、更に好ましくは0.7質量%以下、特に好ましくは0.6質量%以下である。
【0363】
本開示の電解液は、環状スルホン酸エステルを含んでもよい。環状スルホン酸エステルとしては、特に限定されず、任意の環状スルホン酸エステルを用いることができる。環状スルホン酸エステルの例としては、飽和環状スルホン酸エステル、不飽和環状スルホン酸エステル、飽和環状ジスルホン酸エステル、不飽和環状ジスルホン酸エステル等が挙げられる。
【0364】
飽和環状スルホン酸エステルの具体例としては、1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−メチル−1,3−プロパンスルトン、2−メチル−1,3−プロパンスルトン、3−メチル−1,3−プロパンスルトン、1,3−ブタンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、2−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、3−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、4−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、1−メチル−1,4−ブタンスルトン、2−メチル−1,4−ブタンスルトン、3−メチル−1,4−ブタンスルトン、4−メチル−1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン等が挙げられる。
【0365】
不飽和環状スルホン酸エステルの具体例としては、1−プロペン−1,3−スルトン、2−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、1−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、2−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、3−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、1−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、2−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、3−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、1−ブテン−1,4−スルトン、2−ブテン−1,4−スルトン、3−ブテン−1,4−スルトン、1−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、2−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、3−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、4−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、1−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、2−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、3−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、4−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、1,3−プロペンスルトン、1−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、2−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、3−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、4−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、1−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、2−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、3−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、4−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、1−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、2−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、3−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、4−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、1−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、2−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、3−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、4−メチル−3−ブテン−14−スルトン等が挙げられる。
【0366】
中でも、1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−プロペン−1,3−スルトンが、入手の容易さや安定な被膜状の構造物の形成に寄与することができる点から、より好適に用いられる。環状スルホン酸エステルの含有量は、特に限定されず、本開示の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電解液に対して、好ましくは0.001質量%以上、3.0質量%以下である。
【0367】
環状スルホン酸エステルの含有量がこの下限以上であると、非水系電解液二次電池に、十分なサイクル特性向上効果をもたらすことができる。また、この上限以下であると、非水系電解液二次電池の製造コストの増加を避けることができる。環状スルホン酸エステルの含有量は、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上、また、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、特に好ましくは1.8質量%以下である。
【0368】
本開示の電解液は、更に、重量平均分子量が2000〜4000であり、末端に−OH、−OCOOH、又は、−COOHを有するポリエチレンオキシドを含有してもよい。
このような化合物を含有することにより、電極界面の安定性が向上し、電気化学デバイスの特性を向上させることができる。
上記ポリエチレンオキシドとしては、例えば、ポリエチレンオキシドモノオール、ポリエチレンオキシドカルボン酸、ポリエチレンオキシドジオール、ポリエチレンオキシドジカルボン酸、ポリエチレンオキシドトリオール、ポリエチレンオキシドトリカルボン酸等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なかでも、電気化学デバイスの特性がより良好となる点で、ポリエチレンオキシドモノオールとポリエチレンオキシドジオールの混合物、及び、ポリエチレンカルボン酸とポリエチレンジカルボン酸の混合物であることが好ましい。
【0369】
上記ポリエチレンオキシドの重量平均分子量が小さすぎると、酸化分解されやすくなるおそれがある。上記重量平均分子量は、3000〜4000がより好ましい。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算により測定することができる。
【0370】
上記ポリエチレンオキシドの含有量は、電解液中1×10−6〜1×10−2mol/kgであることが好ましい。上記ポリエチレンオキシドの含有量が多すぎると、電気化学デバイスの特性を損なうおそれがある。
上記ポリエチレンオキシドの含有量は、5×10−6mol/kg以上であることがより好ましい。
【0371】
本開示の電解液は、添加剤として、更に、フッ素化飽和環状カーボネート、不飽和環状カーボネート、過充電防止剤、その他の公知の助剤等を含有していてもよい。これにより、電気化学デバイスの特性の低下を抑制することができる。
【0372】
フッ素化飽和環状カーボネートとしては、上述した一般式(A)で示される化合物が挙げられる。なかでも、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、モノフルオロメチルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルエチレンカーボネート(4−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−[1,3]ジオキソラン−2−オン)が好ましい。フッ素化飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0373】
上記フッ素化飽和環状カーボネートの含有量は、上記電解液に対して、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましく、0.1〜3質量%であることが更に好ましい。
【0374】
不飽和環状カーボネートとしては、ビニレンカーボネート類、芳香環又は炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類、フェニルカーボネート類、ビニルカーボネート類、アリルカーボネート類、カテコールカーボネート類等が挙げられる。
【0375】
ビニレンカーボネート類としては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、4,5−ジフェニルビニレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、4,5−ジビニルビニレンカーボネート、アリルビニレンカーボネート、4,5−ジアリルビニレンカーボネート、4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニレンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、プロパルギルエチレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート等が挙げられる。
【0376】
芳香環又は炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類の具体例としては、ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−ビニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、4,5−ジエチニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−エチニルエチレンカーボネート、4−ビニル−5−エチニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−エチニルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフェニルエチレンカーボネート、4−フェニル−5−ビニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−フェニルエチレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−メチル−5−アリルエチレンカーボネート、4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−5−アリルエチレンカーボネート等が挙げられる。
【0377】
なかでも、不飽和環状カーボネートとしては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、4,5−ビニルビニレンカーボネート、アリルビニレンカーボネート、4,5−ジアリルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−ビニルエチレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−メチル−5−アリルエチレンカーボネート、4−アリル−5−ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、4,5−ジエチニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−エチニルエチレンカーボネート、4−ビニル−5−エチニルエチレンカーボネートが好ましい。また、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネートは更に安定な界面保護被膜を形成するので、特に好ましく、ビニレンカーボネートが最も好ましい。
【0378】
不飽和環状カーボネートの分子量は、特に制限されず、本開示の効果を著しく損なわない限り任意である。分子量は、好ましくは、50以上、250以下である。この範囲であれば、電解液に対する不飽和環状カーボネートの溶解性を確保しやすく、本開示の効果が十分に発現されやすい。不飽和環状カーボネートの分子量は、より好ましくは80以上であり、また、より好ましくは150以下である。
【0379】
不飽和環状カーボネートの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
【0380】
不飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0381】
上記不飽和環状カーボネートの含有量は、特に制限されず、本開示の効果を著しく損なわない限り任意である。上記不飽和環状カーボネートの含有量は、電解液100質量%中0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上である。また、上記含有量は、5質量%以下が好ましく、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。上記範囲内であれば、電解液を用いた電気化学デバイスが十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
【0382】
不飽和環状カーボネートとしては、上述のような非フッ素化不飽和環状カーボネートの他、フッ素化不飽和環状カーボネートも好適に用いることができる。
フッ素化不飽和環状カーボネートは、不飽和結合とフッ素原子とを有する環状カーボネートである。フッ素化不飽和環状カーボネートが有するフッ素原子の数は1以上があれば、特に制限されない。中でもフッ素原子が通常6以下、好ましくは4以下であり、1個又は2個のものが最も好ましい。
【0383】
フッ素化不飽和環状カーボネートとしては、フッ素化ビニレンカーボネート誘導体、芳香環又は炭素−炭素二重結合を有する置換基で置換されたフッ素化エチレンカーボネート誘導体等が挙げられる。
【0384】
フッ素化ビニレンカーボネート誘導体としては、4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニレンカーボネート等が挙げられる。
【0385】
芳香環又は炭素−炭素二重結合を有する置換基で置換されたフッ素化エチレンカーボネート誘導体としては、4−フルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−アリルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート等が挙げられる。
【0386】
なかでも、フッ素化不飽和環状カーボネートとしては、4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニレンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−アリルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネートが、安定な界面保護被膜を形成するので、より好適に用いられる。
【0387】
フッ素化不飽和環状カーボネートの分子量は、特に制限されず、本開示の効果を著しく損なわない限り任意である。分子量は、好ましくは、50以上であり、また、500以下である。この範囲であれば、電解液に対するフッ素化不飽和環状カーボネートの溶解性を確保しやすい。
【0388】
フッ素化不飽和環状カーボネートの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。分子量は、より好ましくは100以上であり、また、より好ましくは200以下である。
【0389】
フッ素化不飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、フッ素化不飽和環状カーボネートの含有量は、特に制限されず、本開示の効果を著しく損なわない限り任意である。フッ素化不飽和環状カーボネートの含有量は、通常、電解液100質量%中、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。この範囲内であれば、電解液を用いた電気化学デバイスが十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
【0390】
本開示の電解液は、三重結合を有する化合物を含んでいてもよい。分子内に三重結合を1つ以上有している化合物であれば特にその種類は限定されない。
三重結合を有する化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
1−ペンチン、2−ペンチン、1−ヘキシン、2−ヘキシン、3−ヘキシン、1−ヘプチン、2−ヘプチン、3−ヘプチン、1−オクチン、2−オクチン、3−オクチン、4−オクチン、1−ノニン、2−ノニン、3−ノニン、4−ノニン、1−ドデシン、2−ドデシン、3−ドデシン、4−ドデシン、5−ドデシン、フェニルアセチレン、1−フェニル−1−プロピン、1−フェニル−2−プロピン、1−フェニル−1−ブチン、4−フェニル−1−ブチン、4−フェニル−1−ブチン、1−フェニル−1−ペンチン、5−フェニル−1−ペンチン、1−フェニル−1−ヘキシン、6−フェニル−1−ヘキシン、ジフェニルアセチレン、4−エチニルトルエン、ジシクロヘキシルアセチレン等の炭化水素化合物;
【0391】
2−プロピニルメチルカーボネート、2−プロピニルエチルカーボネート、2−プロピニルプロピルカーボネート、2−プロピニルブチルカーボネート、2−プロピニルフェニルカーボネート、2−プロピニルシクロヘキシルカーボネート、ジ−2−プロピニルカーボネート、1−メチル−2−プロピニルメチルカーボネート、1,1−ジメチル−2−プロピニルメチルカーボネート、2−ブチニルメチルカーボネート、3−ブチニルメチルカーボネート、2−ペンチニルメチルカーボネート、3−ペンチニルメチルカーボネート、4−ペンチニルメチルカーボネート等のモノカーボネート;2−ブチン−1,4−ジオールジメチルジカーボネート、2−ブチン−1,4−ジオールジエチルジカーボネート、2−ブチン−1,4−ジオールジプロピルジカーボネート、2−ブチン−1,4−ジオールジブチルジカーボネート、2−ブチン−1,4−ジオールジフェニルジカーボネート、2−ブチン−1,4−ジオールジシクロヘキシルジカーボネート等のジカーボネート;
【0392】
酢酸2−プロピニル、プロピオン酸2−プロピニル、酪酸2−プロピニル、安息香酸2−プロピニル、シクロヘキシルカルボン酸2−プロピニル、酢酸1,1−ジメチル−2−プロピニル、プロピオン酸1,1−ジメチル−2−プロピニル、酪酸1,1−ジメチル−2−プロピニル、安息香酸1,1−ジメチル−2−プロピニル、シクロヘキシルカルボン酸1,1−ジメチル−2−プロピニル、酢酸2−ブチニル、酢酸3−ブチニル、酢酸2−ペンチニル、酢酸3−ペンチニル、酢酸4−ペンチニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ビニル、アクリル酸2−プロペニル、アクリル酸2−ブテニル、アクリル酸3−ブテニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸2−プロペニル、メタクリル酸2−ブテニル、メタクリル酸3−ブテニル、2−プロピン酸メチル、2−プロピン酸エチル、2−プロピン酸プロピル、2−プロピン酸ビニル、2−プロピン酸2−プロペニル、2−プロピン酸2−ブテニル、2−プロピン酸3−ブテニル、2−ブチン酸メチル、2−ブチン酸エチル、2−ブチン酸プロピル、2−ブチン酸ビニル、2−ブチン酸2−プロペニル、2−ブチン酸2−ブテニル、2−ブチン酸3−ブテニル、3−ブチン酸メチル、3−ブチン酸エチル、3−ブチン酸プロピル、3−ブチン酸ビニル、3−ブチン酸2−プロペニル、3−ブチン酸2−ブテニル、3−ブチン酸3−ブテニル、2−ペンチン酸メチル、2−ペンチン酸エチル、2−ペンチン酸プロピル、2−ペンチン酸ビニル、2−ペンチン酸2−プロペニル、2−ペンチン酸2−ブテニル、2−ペンチン酸3−ブテニル、3−ペンチン酸メチル、3−ペンチン酸エチル、3−ペンチン酸プロピル、3−ペンチン酸ビニル、3−ペンチン酸2−プロペニル、3−ペンチン酸2−ブテニル、3−ペンチン酸3−ブテニル、4−ペンチン酸メチル、4−ペンチン酸エチル、4−ペンチン酸プロピル、4−ペンチン酸ビニル、4−ペンチン酸2−プロペニル、4−ペンチン酸2−ブテニル、4−ペンチン酸3−ブテニル等のモノカルボン酸エステル、フマル酸エステル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル;
【0393】
2−ブチン−1,4−ジオールジアセテート、2−ブチン−1,4−ジオールジプロピオネート、2−ブチン−1,4−ジオールジブチレート、2−ブチン−1,4−ジオールジベンゾエート、2−ブチン−1,4−ジオールジシクロヘキサンカルボキシレート、ヘキサヒドロベンゾ[1,3,2]ジオキサチオラン−2−オキシド(1,2−シクロヘキサンジオール、2,2−ジオキシド−1,2−オキサチオラン−4−イルアセテート、2,2−ジオキシド−1,2−オキサチオラン−4−イルアセテート等のジカルボン酸エステル;
【0394】
シュウ酸メチル2−プロピニル、シュウ酸エチル2−プロピニル、シュウ酸プロピル2−プロピニル、シュウ酸2−プロピニルビニル、シュウ酸アリル2−プロピニル、シュウ酸ジ−2−プロピニル、シュウ酸2−ブチニルメチル、シュウ酸2−ブチニルエチル、シュウ酸2−ブチニルプロピル、シュウ酸2−ブチニルビニル、シュウ酸アリル2−ブチニル、シュウ酸ジ−2−ブチニル、シュウ酸3−ブチニルメチル、シュウ酸3−ブチニルエチル、シュウ酸3−ブチニルプロピル、シュウ酸3−ブチニルビニル、シュウ酸アリル3−ブチニル、シュウ酸ジ−3−ブチニル等のシュウ酸ジエステル;
【0395】
メチル(2−プロピニル)(ビニル)ホスフィンオキシド、ジビニル(2−プロピニル)ホスフィンオキシド、ジ(2−プロピニル)(ビニル)ホスフィンオキシド、ジ(2−プロペニル)2(−プロピニル)ホスフィンオキシド、ジ(2−プロピニル)(2−プロペニル)ホスフィンオキシド、ジ(3−ブテニル)(2−プロピニル)ホスフィンオキシド、及びジ(2−プロピニル)(3−ブテニル)ホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;
【0396】
メチル(2−プロペニル)ホスフィン酸2−プロピニル、2−ブテニル(メチル)ホスフィン酸2−プロピニル、ジ(2−プロペニル)ホスフィン酸2−プロピニル、ジ(3−ブテニル)ホスフィン酸2−プロピニル、メチル(2−プロペニル)ホスフィン酸1,1−ジメチル−2−プロピニル、2−ブテニル(メチル)ホスフィン酸1,1−ジメチル−2−プロピニル、ジ(2−プロペニル)ホスフィン酸1,1−ジメチル−2−プロピニル、及びジ(3−ブテニル)ホスフィン酸1,1−ジメチル−2−プロピニル、メチル(2−プロピニル)ホスフィン酸2−プロペニル、メチル(2−プロピニル)ホスフィン酸3−ブテニル、ジ(2−プロピニル)ホスフィン酸2−プロペニル、ジ(2−プロピニル)ホスフィン酸3−ブテニル、2−プロピニル(2−プロペニル)ホスフィン酸2−プロペニル、及び2−プロピニル(2−プロペニル)ホスフィン酸3−ブテニル等のホスフィン酸エステル;
【0397】
2−プロペニルホスホン酸メチル2−プロピニル、2−ブテニルホスホン酸メチル(2−プロピニル)、2−プロペニルホスホン酸(2−プロピニル)(2−プロペニル)、3−ブテニルホスホン酸(3−ブテニル)(2−プロピニル)、2−プロペニルホスホン酸(1,1−ジメチル−2−プロピニル)(メチル)、2−ブテニルホスホン酸(1,1−ジメチル−2−プロピニル)(メチル)、2−プロペニルホスホン酸(1,1−ジメチル−2−プロピニル)(2−プロペニル)、及び3−ブテニルホスホン酸(3−ブテニル)(1,1−ジメチル−2−プロピニル)、メチルホスホン酸(2−プロピニル)(2−プロペニル)、メチルホスホン酸(3−ブテニル)(2−プロピニル)、メチルホスホン酸(1,1−ジメチル−2−プロピニル)(2−プロペニル)、メチルホスホン酸(3−ブテニル)(1,1−ジメチル−2−プロピニル)、エチルホスホン酸(2−プロピニル)(2−プロペニル)、エチルホスホン酸(3−ブテニル)(2−プロピニル)、エチルホスホン酸(1,1−ジメチル−2−プロピニル)(2−プロペニル)、及びエチルホスホン酸(3−ブテニル)(1,1−ジメチル−2−プロピニル)等のホスホン酸エステル;
【0398】
リン酸(メチル)(2−プロペニル)(2−プロピニル)、リン酸(エチル)(2−プロペニル)(2−プロピニル)、リン酸(2−ブテニル)(メチル)(2−プロピニル)、リン酸(2−ブテニル)(エチル)(2−プロピニル)、リン酸(1,1−ジメチル−2−プロピニル)(メチル)(2−プロペニル)、リン酸(1,1−ジメチル−2−プロピニル)(エチル)(2−プロペニル)、リン酸(2−ブテニル)(1,1−ジメチル−2−プロピニル)(メチル)、及びリン酸(2−ブテニル)(エチル)(1,1−ジメチル−2−プロピニル)等のリン酸エステル。
【0399】
これらのうち、アルキニルオキシ基を有する化合物は、電解液中でより安定に負極被膜を形成するため好ましい。
【0400】
更に、2−プロピニルメチルカーボネート、ジ−2−プロピニルカーボネート、2−ブチン−1,4−ジオールジメチルジカーボネート、酢酸2−プロピニル、2−ブチン−1,4−ジオールジアセテート、シュウ酸メチル2−プロピニル、シュウ酸ジ−2−プロピニル等の化合物が保存特性向上の点から特に好ましい。
【0401】
上記三重結合を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。本開示の電解液全体に対する三重結合を有する化合物の配合量に制限は無く、本開示の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本開示の電解液に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、また、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下の濃度で含有させる。上記範囲を満たした場合は、出力特性、負荷特性、サイクル特性、高温保存特性等の効果がより向上する。
【0402】
本開示の電解液においては、電解液を用いた電気化学デバイスが過充電等の状態になった際に電池の破裂・発火を効果的に抑制するために、過充電防止剤を用いることができる。
【0403】
過充電防止剤としては、ビフェニル、o−ターフェニル、m−ターフェニル、p−ターフェニル等の無置換又はアルキル基で置換されたターフェニル誘導体、無置換又はアルキル基で置換されたターフェニル誘導体の部分水素化物、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン、ジフェニルシクロヘキサン、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダン、シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、クメン、1,3−ジイソプロピルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、t−ヘキシルベンゼン、アニソール等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼンフルオロベンゼン、フルオロトルエン、ベンゾトリフルオリド等の上記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、1,6−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物;3−プロピルフェニルアセテート、2−エチルフェニルアセテート、ベンジルフェニルアセテート、メチルフェニルアセテート、ベンジルアセテート、フェネチルフェニルアセテート等の芳香族アセテート類;ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート等の芳香族カーボネート類;トルエン、キシレン等のトルエン誘導体;2−メチルビフェニル、3−メチルビフェニル、4−メチルビフェニル、o−シクロヘキシルビフェニル等の無置換又はアルキル基で置換されたビフェニル誘導体等が挙げられる。中でも、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物、ジフェニルシクロヘキサン、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダン、3−プロピルフェニルアセテート、2−エチルフェニルアセテート、ベンジルフェニルアセテート、メチルフェニルアセテート、ベンジルアセテート、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート等が好ましい。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合は、特に、シクロヘキシルベンゼンとt−ブチルベンゼン又はt−アミルベンゼンとの組み合わせ、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン等の酸素を含有しない芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種と、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の含酸素芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種を併用するのが過充電防止特性と高温保存特性のバランスの点から好ましい。
【0404】
本開示に使用する電解液には、カルボン酸無水物(但し、化合物(2)を除く)を用いてもよい。下記一般式(6)で表される化合物が好ましい。カルボン酸無水物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
【0405】
【化90】
(一般式(6)中、R61、R62はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい、炭素数1以上15以下の炭化水素基を表す。)
【0406】
61、R62は、一価の炭化水素基であれば、その種類は特に制限されない。例えば、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合したものであってもよい。脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよく、不飽和結合(炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合)を含んでいてもよい。また、脂肪族炭化水素基は、鎖状であっても環状であってもよく、鎖状の場合は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。更には、鎖状と環状とが結合したものであってもよい。なお、R61及びR62は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0407】
また、R61、R62の炭化水素基が置換基を有する場合、その置換基の種類は、本開示の趣旨に反するものでない限り特に制限されないが、例としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子である。又はロゲン原子以外の置換基として、エステル基、シアノ基、カルボニル基、エーテル基等の官能基を有する置換基等も挙げられ、好ましくはシアノ基、カルボニル基である。R61、R62の炭化水素基は、これらの置換基を一つのみ有していてもよく、二つ以上有していてもよい。二つ以上の置換基を有する場合、それらの置換基は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0408】
61、R62の各々の炭化水素基の炭素数は、通常1以上であり、また通常15以下、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは9以下である。RとRとが互いに結合して二価の炭化水素基を形成している場合は、その二価の炭化水素基の炭素数が、通常1以上であり、また通常15以下、好ましくは13以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である。尚、R61、R62の炭化水素基が炭素原子を含有する置換基を有する場合は、その置換基も含めたR61、R62全体の炭素数が上記範囲を満たしていることが好ましい。
【0409】
次いで、上記一般式(6)で表わされる酸無水物の具体例について説明する。なお、以下の例示において「類縁体」とは、例示される酸無水物の構造の一部を、本開示の趣旨に反しない範囲で、別の構造に置き換えることにより得られる酸無水物を指すもので、例えば複数の酸無水物からなる二量体、三量体及び四量体等、又は、置換基の炭素数が同じではあるが分岐鎖を有する等構造異性のもの、置換基が酸無水物に結合する部位が異なるもの等が挙げられる。
【0410】
まず、R61、R62が同一である酸無水物の具体例を以下に挙げる。
【0411】
61、R62が鎖状アルキル基である酸無水物の具体例としては、無水酢酸、プロピオン酸無水物、ブタン酸無水物、2−メチルプロピオン酸無水物、2,2−ジメチルプロピオン酸無水物、2−メチルブタン酸無水物、3−メチルブタン酸無水物、2,2−ジメチルブタン酸無水物、2,3−ジメチルブタン酸無水物、3,3−ジメチルブタン酸無水物、2,2,3−トリメチルブタン酸無水物、2,3,3−トリメチルブタン酸無水物、2,2,3,3−テトラメチルブタン酸無水物、2−エチルブタン酸無水物等、及びそれらの類縁体等が挙げられる。
【0412】
61、R62が環状アルキル基である酸無水物の具体例としては、シクロプロパンカルボン酸無水物、シクロペンタンカルボン酸無水物、シクロヘキサンカルボン酸無水物等、及びそれらの類縁体等が挙げられる。
【0413】
61、R62がアルケニル基である酸無水物の具体例としては、アクリル酸無水物、2−メチルアクリル酸無水物、3−メチルアクリル酸無水物、2,3−ジメチルアクリル酸無水物、3,3−ジメチルアクリル酸無水物、2,3,3−トリメチルアクリル酸無水物、2−フェニルアクリル酸無水物、3−フェニルアクリル酸無水物、2,3−ジフェニルアクリル酸無水物、3,3−ジフェニルアクリル酸無水物、3−ブテン酸無水物、2−メチル−3−ブテン酸無水物、2,2−ジメチル−3−ブテン酸無水物、3−メチル−3−テン酸無水物、2−メチル−3−メチル−3−ブテン酸無水物、2,2−ジメチル−3−メチル−3−ブテン酸無水物、3−ペンテン酸無水物、4−ペンテン酸無水物、2−シクロペンテンカルボン酸無水物、3−シクロペンテンカルボン酸無水物、4−シクロペンテンカルボン酸無水物等、及びそれらの類縁体等が挙げられる。
【0414】
61、R62がアルキニル基である酸無水物の具体例としては、プロピン酸無水物、3−フェニルプロピン酸無水物、2−ブチン酸無水物、2−ペンチン酸無水物、3−ブチン酸無水物、3−ペンチン酸無水物、4−ペンチン酸無水物等、及びそれらの類縁体等が挙げられる。
【0415】
61、R62がアリール基である酸無水物の具体例としては、安息香酸無水物、4−メチル安息香酸無水物、4−エチル安息香酸無水物、4−tert−ブチル安息香酸無水物、2−メチル安息香酸無水物、2,4,6−トリメチル安息香酸無水物、1−ナフタレンカルボン酸無水物、2−ナフタレンカルボン酸無水物等、及びそれらの類縁体等が挙げられる。
【0416】
また、R61、R62がハロゲン原子で置換された酸無水物の例として、主にフッ素原子で置換された酸無水物の例を以下に挙げるが、これらのフッ素原子の一部又は全部を塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子に置換して得られる酸無水物も、例示化合物に含まれるものとする。
【0417】
61、R62がハロゲン原子で置換された鎖状アルキル基である酸無水物の例としては、フルオロ酢酸無水物、ジフルオロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、2−フルオロプロピオン酸無水物、2,2−ジフルオロプロピオン酸無水物、2,3−ジフルオロプロピオン酸無水物、2,2,3−トリフルオロプロピオン酸無水物、2,3,3−トリフルオロプロピオン酸無水物、2,2,3,3−テトラプロピオン酸無水物、2,3,3,3−テトラプロピオン酸無水物、3−フルオロプロピオン酸無水物、3,3−ジフルオロプロピオン酸無水物、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸無水物、パーフルオロプロピオン酸無水物等、及びそれらの類縁体等が挙げられる。
【0418】
61、R62がハロゲン原子で置換された環状アルキル基である酸無水物の例としては、2−フルオロシクロペンタンカルボン酸無水物、3−フルオロシクロペンタンカルボン酸無水物、4−フルオロシクロペンタンカルボン酸無水物等、及びそれらの類縁体等が挙げられる。
【0419】
61、R62がハロゲン原子で置換されたアルケニル基である酸無水物の例としては、2−フルオロアクリル酸無水物、3−フルオロアクリル酸無水物、2,3−ジフルオロアクリル酸無水物、3,3−ジフルオロアクリル酸無水物、2,3,3−トリフルオロアクリル酸無水物、2−(トリフルオロメチル)アクリル酸無水物、3−(トリフルオロメチル)アクリル酸無水物、2,3−ビス(トリフルオロメチル)アクリル酸無水物、2,3,3−トリス(トリフルオロメチル)アクリル酸無水物、2−(4−フルオロフェニル)アクリル酸無水物、3−(4−フルオロフェニル)アクリル酸無水物、2,3−ビス(4−フルオロフェニル)アクリル酸無水物、3,3−ビス(4−フルオロフェニル)アクリル酸無水物、2−フルオロ−3−ブテン酸無水物、2,2−ジフルオロ−3−ブテン酸無水物、3−フルオロ−2−ブテン酸無水物、4−フルオロ−3−ブテン酸無水物、3,4−ジフルオロ−3−ブテン酸無水物、3,3,4−トリフルオロ−3−ブテン酸無水物等、及びそれらの類縁体等が挙げられる。
【0420】
61、R62がハロゲン原子で置換されたアルキニル基である酸無水物の例としては、3−フルオロ−2−プロピン酸無水物、3−(4−フルオロフェニル)−2−プロピン酸無水物、3−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−2−プロピン酸無水物、4−フルオロ−2−ブチン酸無水物、4,4−ジフルオロ−2−ブチン酸無水物、4,4,4−トリフルオロ−2−ブチン酸無水物等、及びそれらの類縁体等が挙げられる。
【0421】
61、R62がハロゲン原子で置換されたアリール基である酸無水物の例としては、4−フルオロ安息香酸無水物、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ安息香酸無水物、4−トリフルオロメチル安息香酸無水物等、及びそれらの類縁体等が挙げられる。
【0422】
61、R62がエステル、ニトリル、ケトン、エーテル等の官能基を有する置換基を有している酸無水物の例としては、メトキシギ酸無水物、エトキシギ酸無水物、メチルシュウ酸無水物、エチルシュウ酸無水物、2−シアノ酢酸無水物、2−オキソプロピオン酸無水物、3−オキソブタン酸無水物、4−アセチル安息香酸無水物、メトキシ酢酸無水物、4−メトキシ安息香酸無水物等、及びそれらの類縁体等が挙げられる。
【0423】
続いて、R61、R62が互いに異なる酸無水物の具体例を以下に挙げる。
【0424】
61、R62としては上に挙げた例、及びそれらの類縁体の全ての組み合わせが考えられるが、以下に代表的な例を挙げる。
【0425】
鎖状アルキル基同士の組み合わせの例としては、酢酸プロピオン酸無水物、酢酸ブタン酸無水物、ブタン酸プロピオン酸無水物、酢酸2−メチルプロピオン酸無水物、等が挙げられる。
【0426】
鎖状アルキル基と環状アルキル基の組み合わせの例としては、酢酸シクロペンタン酸無水物、酢酸シクロヘキサン酸無水物、シクロペンタン酸プロピオン酸無水物、等が挙げられる。
【0427】
鎖状アルキル基とアルケニル基の組み合わせの例としては、酢酸アクリル酸無水物、酢酸3−メチルアクリル酸無水物、酢酸3−ブテン酸無水物、アクリル酸プロピオン酸無水物、等が挙げられる。
【0428】
鎖状アルキル基とアルキニル基の組み合わせの例としては、酢酸プロピン酸無水物、酢酸2−ブチン酸無水物、酢酸3−ブチン酸無水物、酢酸3−フェニルプロピン酸無水物プロピオン酸プロピン酸無水物、等が挙げられる。
【0429】
鎖状アルキル基とアリール基の組み合わせの例としては、酢酸安息香酸無水物、酢酸4−メチル安息香酸無水物、酢酸1−ナフタレンカルボン酸無水物、安息香酸プロピオン酸無水物、等が挙げられる。
【0430】
鎖状アルキル基と官能基を有する炭化水素基の組み合わせの例としては、酢酸フルオロ酢酸無水物、酢酸トリフルオロ酢酸無水物、酢酸4−フルオロ安息香酸無水物、フルオロ酢酸プロピオン酸無水物、酢酸アルキルシュウ酸無水物、酢酸2−シアノ酢酸無水物、酢酸2−オキソプロピオン酸無水物、酢酸メトキシ酢酸無水物、メトキシ酢酸プロピオン酸無水物、等が挙げられる。
【0431】
環状アルキル基同士の組み合わせの例としては、シクロペンタン酸シクロヘキサン酸無水物、等が挙げられる。
【0432】
環状アルキル基とアルケニル基の組み合わせの例としては、アクリル酸シクロペンタン酸無水物、3−メチルアクリル酸シクロペンタン酸無水物、3−ブテン酸シクロペンタン酸無水物、アクリル酸シクロヘキサン酸無水物、等が挙げられる。
【0433】
環状アルキル基とアルキニル基の組み合わせの例としては、プロピン酸シクロペンタン酸無水物、2−ブチン酸シクロペンタン酸無水物、プロピン酸シクロヘキサン酸無水物、等が挙げられる。
【0434】
環状アルキル基とアリール基の組み合わせの例としては、安息香酸シクロペンタン酸無水物、4−メチル安息香酸シクロペンタン酸無水物、安息香酸シクロヘキサン酸無水物、等が挙げられる。
【0435】
環状アルキル基と官能基を有する炭化水素基の組み合わせの例としては、フルオロ酢酸シクロペンタン酸無水物、シクロペンタン酸トリフルオロ酢酸無水物、シクロペンタン酸2−シアノ酢酸無水物、シクロペンタン酸メトキシ酢酸無水物、シクロヘキサン酸フルオロ酢酸無水物、等が挙げられる。
【0436】
アルケニル基同士の組み合わせの例としては、アクリル酸2−メチルアクリル酸無水物、アクリル酸3−メチルアクリル酸無水物、アクリル酸3−ブテン酸無水物、2−メチルアクリル酸3−メチルアクリル酸無水物、等が挙げられる。
【0437】
アルケニル基とアルキニル基の組み合わせの例としては、アクリル酸プロピン酸無水物、アクリル酸2−ブチン酸無水物、2−メチルアクリル酸プロピン酸無水物、等が挙げられる。
【0438】
アルケニル基とアリール基の組み合わせの例としては、アクリル酸安息香酸無水物、アクリル酸4−メチル安息香酸無水物、2−メチルアクリル酸安息香酸無水物、等が挙げられる。
【0439】
アルケニル基と官能基を有する炭化水素基の組み合わせの例としては、アクリル酸フルオロ酢酸無水物、アクリル酸トリフルオロ酢酸無水物、アクリル酸2−シアノ酢酸無水物、アクリル酸メトキシ酢酸無水物、2−メチルアクリル酸フルオロ酢酸無水物、等が挙げられる。
【0440】
アルキニル基同士の組み合わせの例としては、プロピン酸2−ブチン酸無水物、プロピン酸3−ブチン酸無水物、2−ブチン酸3−ブチン酸無水物、等が挙げられる。
【0441】
アルキニル基とアリール基の組み合わせの例としては、安息香酸プロピン酸無水物、4−メチル安息香酸プロピン酸無水物、安息香酸2−ブチン酸無水物、等が挙げられる。
【0442】
アルキニル基と官能基を有する炭化水素基の組み合わせの例としては、プロピン酸フルオロ酢酸無水物、プロピン酸トリフルオロ酢酸無水物、プロピン酸2−シアノ酢酸無水物、プロピン酸メトキシ酢酸無水物、2−ブチン酸フルオロ酢酸無水物、等が挙げられる。
【0443】
アリール基同士の組み合わせの例としては、安息香酸4−メチル安息香酸無水物、安息香酸1−ナフタレンカルボン酸無水物、4−メチル安息香酸1−ナフタレンカルボン酸無水物、等が挙げられる。
【0444】
アリール基と官能基を有する炭化水素基の組み合わせの例としては、安息香酸フルオロ酢酸無水物、安息香酸トリフルオロ酢酸無水物、安息香酸2−シアノ酢酸無水物、安息香酸メトキシ酢酸無水物、4−メチル安息香酸フルオロ酢酸無水物、等が挙げられる。
【0445】
官能基を有する炭化水素基同士の組み合わせの例としては、フルオロ酢酸トリフルオロ酢酸無水物、フルオロ酢酸2−シアノ酢酸無水物、フルオロ酢酸メトキシ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸2−シアノ酢酸無水物、等が挙げられる。
【0446】
上記の鎖状構造を形成している酸無水物のうち好ましくは、無水酢酸、プロピオン酸無水物、2−メチルプロピオン酸無水物、シクロペンタンカルボン酸無水物、シクロヘキサンカルボン酸無水物等、アクリル酸無水物、2−メチルアクリル酸無水物、3−メチルアクリル酸無水物、2,3−ジメチルアクリル酸無水物、3,3−ジメチルアクリル酸無水物、3−ブテン酸無水物、2−メチル−3−ブテン酸無水物、プロピン酸無水物、2−ブチン酸無水物、安息香酸無水物、2−メチル安息香酸無水物、4−メチル安息香酸無水物、4−tert−ブチル安息香酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸無水物、2−(トリフルオロメチル)アクリル酸無水物、2−(4−フルオロフェニル)アクリル酸無水物、4−フルオロ安息香酸無水物、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ安息香酸無水物、メトキシギ酸無水物、エトキシギ酸無水物、であり、より好ましくは、アクリル酸無水物、2−メチルアクリル酸無水物、3−メチルアクリル酸無水物、安息香酸無水物、2−メチル安息香酸無水物、4−メチル安息香酸無水物、4−tert−ブチル安息香酸無水物、4−フルオロ安息香酸無水物、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ安息香酸無水物、メトキシギ酸無水物、エトキシギ酸無水物である。
【0447】
これらの化合物は、適切にリチウムオキサラート塩との結合を形成して耐久性に優れる皮膜を形成することで、特に耐久試験後の充放電レート特性、入出力特性、インピーダンス特性を向上させることができる観点で好ましい。
【0448】
なお、上記カルボン酸無水物の分子量に制限は無く、本開示の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常90以上、好ましくは95以上であり、一方、通常300以下、好ましくは200以下である。カルボン酸無水物の分子量が上記範囲内であると、電解液の粘度上昇を抑制でき、かつ皮膜密度が適正化されるために耐久性を適切に向上することができる。
【0449】
また、上記カルボン酸無水物の製造方法にも特に制限は無く、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。以上説明したカルボン酸無水物は、本開示の非水系電解液中に、何れか1種を単独で含有させてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有させてもよい。
【0450】
また、本開示の電解液に対する上記カルボン酸無水物の含有量に特に制限は無く、本開示の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本開示の電解液に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、また、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下の濃度で含有させることが望ましい。カルボン酸無水物の含有量が上記範囲内であると、サイクル特性向上効果が発現しやすくなり、また反応性が好適であるため電池特性が向上しやすくなる。
【0451】
本開示の電解液には、公知のその他の助剤を用いることができる。その他の助剤としては、ペンタン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘプタン、ベンゼン、フラン、ナフタレン、2−フェニルビシクロヘキシル、シクロヘキサン、2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等の炭化水素化合物;
フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド、モノフルオロベンゼン、1−フルオロ−2−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−4−tert−ブチルベンゼン、1−フルオロ−3−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−2−シクロヘキシルベンゼン、フッ素化ビフェニル等の含フッ素芳香族化合物;
エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート、メトキシエチル−メチルカーボネート等のカーボネート化合物;
ジオキソラン、ジオキサン、2,5,8,11−テトラオキサドデカン、2,5,8,11,14−ペンタオキサペンタデカン、エトキシメトキシエタン、トリメトキシメタン、グライム、エチルモノグライム等のエーテル系化合物;
ジメチルケトン、ジエチルケトン、3−ペンタノン等のケトン系化合物;
2−アリル無水コハク酸等の酸無水物;
シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸エチルメチル、シュウ酸ジ(2−プロピニル)、シュウ酸メチル2−プロピニル、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジ(2−プロピニル)、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸2−プロピニル、2−ブチン−1,4−ジイルジホルメート、メタクリル酸2−プロピニル、マロン酸ジメチル等のエステル化合物;
アセトアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系化合物;
硫酸エチレン、硫酸ビニレン、亜硫酸エチレン、フルオロスルホン酸メチル、フルオロスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、ブスルファン、スルホレン、ジフェニルスルホン、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド、ビニルスルホン酸メチル、ビニルスルホン酸エチル、ビニルスルホン酸アリル、ビニルスルホン酸プロパルギル、アリルスルホン酸メチル、アリルスルホン酸エチル、アリルスルホン酸アリル、アリルスルホン酸プロパルギル、1,2−ビス(ビニルスルホニロキシ)エタン、無水プロパンジスルホン酸、無水スルホ酪酸、無水スルホ安息香酸、無水スルホプロピオン酸、無水エタンジスルホン酸、メチレンメタンジスルホネート、メタンスルホン酸2−プロピニル、ペンテンサルファイト、ペンタフルオロフェニルメタンスルホネート、プロピレンサルフェート、プロピレンサルファイト、プロパンサルトン、ブチレンサルファイト、ブタン−2,3−ジイルジメタンスルホネート、2−ブチン−1,4−ジイルジメタンスルホネート、ビニルスルホン酸2−プロピニル、ビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテル、5−ビニル−ヘキサヒドロ−1,3,2−ベンゾジオキサチオール−2−オキシド、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸2−プロピニル、5,5−ジメチル−1,2−オキサチオラン−4−オン2,2−ジオキシド、3−スルホ−プロピオン酸無水物トリメチレンメタンジスルホネート2−メチルテトラヒドロフラン、トリメチレンメタンジスルホネート、テトラメチレンスルホキシド、ジメチレンメタンジスルホネート、ジフルオロエチルメチルスルホン、ジビニルスルホン、1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタン、エチレンビススルホン酸メチル、エチレンビススルホン酸エチル、エチレンサルフェート、チオフェン1−オキシド等の含硫黄化合物;
1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルスクシンイミド、ニトロメタン、ニトロエタン、エチレンジアミン等の含窒素化合物;
亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、メチルホスホン酸ジメチル、エチルホスホン酸ジエチル、ビニルホスホン酸ジメチル、ビニルホスホン酸ジエチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル、ジメチルホスフィン酸メチル、ジエチルホスフィン酸エチル、トリメチルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィンオキシド、リン酸ビス(2,2−ジフルオロエチル)2,2,2−トリフルオロエチル、リン酸ビス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)2,2,2−トリフルオロエチル、リン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)メチル、リン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)エチル、リン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)2,2−ジフルオロエチルリン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)、リン酸トリス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル)、リン酸トリオクチル、リン酸2−フェニルフェニルジメチル、リン酸2−フェニルフェニルジエチル、リン酸(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)メチル、メチル2−(ジメトキシホスホリル)アセテート、メチル2−(ジメチルホスホリル)アセテート、メチル2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、メチル2−(ジエチルホスホリル)アセテート、メチレンビスホスホン酸メチル、メチレンビスホスホン酸エチル、エチレンビスホスホン酸メチル、エチレンビスホスホン酸エチル、ブチレンビスホスホン酸メチル、ブチレンビスホスホン酸エチル、酢酸2−プロピニル2−(ジメトキシホスホリル)、酢酸2−プロピニル2−(ジメチルホスホリル)、酢酸2−プロピニル2−(ジエトキシホスホリル)、酢酸2−プロピニル2−(ジエチルホスホリル)、リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリエチルシリル)、リン酸トリス(トリメトキシシリル)、亜リン酸トリス(トリメチルシリル)、亜リン酸トリス(トリエチルシリル)、亜リン酸トリス(トリメトキシシリル)、ポリリン酸トリメチルシリル等の含燐化合物;
ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリメトキシシリル)等の含ホウ素化合物;
ジメトキシアルミノキシトリメトキシシラン、ジエトキシアルミノキシトリエトキシシラン、ジプロポキシアルミノキシトリエトキシシラン、ジブトキシアルミノキシトリメトキシシラン、ジブトキシアルミノキシトリエトキシシラン、チタンテトラキス(トリメチルシロキシド)、チタンテトラキス(トリエチルシロキシド)、テトラメチルシラン等のシラン化合物;
等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。
上記その他の助剤としては、なかでも、含燐化合物が好ましく、リン酸トリス(トリメチルシリル)、亜リン酸(トリストリメチルシリル)が好ましい。
【0452】
その他の助剤の配合量は、特に制限されず、本開示の効果を著しく損なわない限り任意である。その他の助剤は、電解液100質量%中、好ましくは、0.01質量%以上であり、また、5質量%以下である。この範囲であれば、その他助剤の効果が十分に発現させやすく、高負荷放電特性等の電池の特性が低下するといった事態も回避しやすい。その他の助剤の配合量は、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、また、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0453】
本開示の電解液は、本開示の効果を損なわない範囲で、環状及び鎖状カルボン酸エステル、エーテル化合物、窒素含有化合物、ホウ素含有化合物、有機ケイ素含有化合物、不燃(難燃)化剤、界面活性剤、高誘電化添加剤、サイクル特性及びレート特性改善剤、スルホン系化合物等を添加剤として更に含有してもよい。
【0454】
上記環状カルボン酸エステルとしては、その構造式中の全炭素原子数が3〜12のものが挙げられる。具体的には、ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン、ガンマカプロラクトン、イプシロンカプロラクトン、3−メチル−γ−ブチロラクトン等が挙げられる。中でも、ガンマブチロラクトンがリチウムイオン解離度の向上に由来する電気化学デバイスの特性向上の点から特に好ましい。
【0455】
添加剤としての環状カルボン酸エステルの配合量は、通常、溶媒100質量%中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。この範囲であると、電解液の電気伝導率を改善し、電気化学デバイスの大電流放電特性を向上させやすくなる。また、環状カルボン酸エステルの配合量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。このように上限を設定することにより、電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避し、負極抵抗の増大を抑制し、電気化学デバイスの大電流放電特性を良好な範囲としやすくする。
【0456】
また、上記環状カルボン酸エステルとしては、フッ素化環状カルボン酸エステル(含フッ素ラクトン)も好適に用いることができる。含フッ素ラクトンとしては、例えば、下記式(C):
【0457】
【化91】
【0458】
(式中、X15〜X20は同じか又は異なり、いずれも−H、−F、−Cl、−CH又はフッ素化アルキル基;ただし、X15〜X20の少なくとも1つはフッ素化アルキル基である)
で示される含フッ素ラクトンが挙げられる。
【0459】
15〜X20におけるフッ素化アルキル基としては、例えば、−CFH、−CFH、−CF、−CHCF、−CFCF、−CHCFCF、−CF(CF等が挙げられ、耐酸化性が高く、安全性向上効果がある点から−CHCF、−CHCFCFが好ましい。
【0460】
15〜X20の少なくとも1つがフッ素化アルキル基であれば、−H、−F、−Cl、−CH又はフッ素化アルキル基は、X15〜X20の1箇所のみに置換していてもよいし、複数の箇所に置換していてもよい。好ましくは、電解質塩の溶解性が良好な点から1〜3箇所、更に好ましくは1〜2箇所である。
【0461】
フッ素化アルキル基の置換位置は特に限定されないが、合成収率が良好なことから、X17及び/又はX18が、特にX17又はX18がフッ素化アルキル基、なかでも−CHCF、−CHCFCFであることが好ましい。フッ素化アルキル基以外のX15〜X20は、−H、−F、−Cl又はCHであり、特に電解質塩の溶解性が良好な点から−Hが好ましい。
【0462】
含フッ素ラクトンとしては、上記式で示されるもの以外にも、例えば、下記式(D):
【0463】
【化92】
【0464】
(式中、A及びBはいずれか一方がCX226227(X226及びX227は同じか又は異なり、いずれも−H、−F、−Cl、−CF、−CH又は水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよくヘテロ原子を鎖中に含んでいてもよいアルキレン基)であり、他方は酸素原子;Rf12はエーテル結合を有していてもよいフッ素化アルキル基又はフッ素化アルコキシ基;X221及びX222は同じか又は異なり、いずれも−H、−F、−Cl、−CF又はCH;X223〜X225は同じか又は異なり、いずれも−H、−F、−Cl又は水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよくヘテロ原子を鎖中に含んでいてもよいアルキル基;n=0又は1)
で示される含フッ素ラクトン等も挙げられる。
【0465】
式(D)で示される含フッ素ラクトンとしては、下記式(E):
【0466】
【化93】
【0467】
(式中、A、B、Rf12、X221、X222及びX223は式(D)と同じである)
で示される5員環構造が、合成が容易である点、化学的安定性が良好な点から好ましく挙げられ、更には、AとBの組合せにより、下記式(F):
【0468】
【化94】
【0469】
(式中、Rf12、X221、X222、X223、X226及びX227は式(D)と同じである)
で示される含フッ素ラクトンと、下記式(G):
【0470】
【化95】
【0471】
(式中、Rf12、X221、X222、X223、X226及びX227は式(D)と同じである)
で示される含フッ素ラクトンがある。
【0472】
これらのなかでも、高い誘電率、高い耐電圧といった優れた特性が特に発揮できる点、そのほか電解質塩の溶解性、内部抵抗の低減が良好な点で本開示における電解液としての特性が向上する点から、
【0473】
【化96】
等が挙げられる。
フッ素化環状カルボン酸エステルを含有させることにより、イオン伝導度の向上、安全性の向上、高温時の安定性向上といった効果が得られる。
【0474】
上記鎖状カルボン酸エステルとしては、その構造式中の全炭素数が3〜7のものが挙げられる。具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−n−ブチル、メチルブチレート、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−t−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸イソプロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸−n−プロピル、イソ酪酸イソプロピル等が挙げられる。
【0475】
中でも、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、酪酸メチル、酪酸エチル等が粘度低下によるイオン伝導度の向上の点から好ましい。
【0476】
上記エーテル化合物としては、炭素数2〜10の鎖状エーテル、及び炭素数3〜6の環状エーテルが好ましい。
炭素数2〜10の鎖状エーテルとしては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジメトキシメタン、メトキシエトキシメタン、ジエトキシメタン、ジメトキシエタン、メトキシエトキシエタン、ジエトキシエタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。
【0477】
また、上記エーテル化合物としては、フッ素化エーテルも好適に用いることができる。
上記フッ素化エーテルとしては、下記一般式(I):
Rf−O−Rf (I)
(式中、Rf及びRfは同じか又は異なり、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のフッ素化アルキル基である。ただし、Rf及びRfの少なくとも一方は、フッ素化アルキル基である。)
で表されるフッ素化エーテル(I)が挙げられる。フッ素化エーテル(I)を含有させることにより、電解液の難燃性が向上するとともに、高温高電圧での安定性、安全性が向上する。
【0478】
上記一般式(I)においては、Rf及びRfの少なくとも一方が炭素数1〜10のフッ素化アルキル基であればよいが、電解液の難燃性及び高温高電圧での安定性、安全性を一層向上させる観点から、Rf及びRfが、ともに炭素数1〜10のフッ素化アルキル基であることが好ましい。この場合、Rf及びRfは同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
なかでも、Rf及びRfが、同じか又は異なり、Rfが炭素数3〜6のフッ素化アルキル基であり、かつ、Rfが炭素数2〜6のフッ素化アルキル基であることがより好ましい。
【0479】
Rf及びRfの合計炭素数が少な過ぎるとフッ素化エーテルの沸点が低くなりすぎ、また、Rf又はRfの炭素数が多過ぎると、電解質塩の溶解性が低下し、他の溶媒との相溶性にも悪影響が出始め、また粘度が上昇するためレート特性が低減する。Rfの炭素数が3又は4、Rfの炭素数が2又は3のとき、沸点及びレート特性に優れる点で有利である。
【0480】
上記フッ素化エーテル(I)は、フッ素含有率が40〜75質量%であることが好ましい。この範囲のフッ素含有率を有するとき、不燃性と相溶性のバランスに特に優れたものになる。また、耐酸化性、安全性が良好な点からも好ましい。
上記フッ素含有率の下限は、45質量%がより好ましく、50質量%が更に好ましく、55質量%が特に好ましい。上限は70質量%がより好ましく、66質量%が更に好ましい。
なお、フッ素化エーテル(I)のフッ素含有率は、フッ素化エーテル(I)の構造式に基づいて、{(フッ素原子の個数×19)/フッ素化エーテル(I)の分子量}×100(%)により算出した値である。
【0481】
Rfとしては、例えば、CFCFCH−、CFCFHCF−、HCFCFCF−、HCFCFCH−、CFCFCHCH−、CFCFHCFCH−、HCFCFCFCF−、HCFCFCFCH−、HCFCFCHCH−、HCFCF(CF)CH−等が挙げられる。また、Rfとしては、例えば、−CHCFCF、−CFCFHCF、−CFCFCFH、−CHCFCFH、−CHCHCFCF、−CHCFCFHCF、−CFCFCFCFH、−CHCFCFCFH、−CHCHCFCFH、−CHCF(CF)CFH、−CFCFH、−CHCFH、−CFCH等が挙げられる。
【0482】
上記フッ素化エーテル(I)の具体例としては、例えばHCFCFCHOCFCFH、CFCFCHOCFCFH、HCFCFCHOCFCFHCF、CFCFCHOCFCFHCF、C13OCH、C13OC、C17OCH、C17OC、CFCFHCFCH(CH)OCFCFHCF、HCFCFOCH(C、HCFCFOC、HCFCFOCHCH(C、HCFCFOCHCH(CH等が挙げられる。
【0483】
なかでも、片末端又は両末端にHCF−又はCFCFH−を含むものが分極性に優れ、沸点の高いフッ素化エーテル(I)を与えることができる。フッ素化エーテル(I)の沸点は、67〜120℃であることが好ましい。より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上である。
【0484】
このようなフッ素化エーテル(I)としては、例えば、CFCHOCFCFHCF、CFCFCHOCFCFHCF、HCFCFCHOCFCFHCF、HCFCFCHOCHCFCFH、CFCFHCFCHOCFCFHCF、HCFCFCHOCFCFH、CFCFCHOCFCFH等の1種又は2種以上が挙げられる。
なかでも、高沸点、他の溶媒との相溶性や電解質塩の溶解性が良好な点で有利なことから、HCFCFCHOCFCFHCF(沸点106℃)、CFCFCHOCFCFHCF(沸点82℃)、HCFCFCHOCFCFH(沸点92℃)及びCFCFCHOCFCFH(沸点68℃)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、HCFCFCHOCFCFHCF(沸点106℃)及びHCFCFCHOCFCFH(沸点92℃)からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0485】
炭素数3〜6の環状エーテルとしては、1,2−ジオキサン、1,3−ジオキサン、2−メチル−1,3−ジオキサン、4−メチル−1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、メタホルムアルデヒド、2−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、2−(トリフルオロエチル)ジオキソラン2,2,−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ジオキソラン等、及びこれらのフッ素化化合物が挙げられる。中でも、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタン、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、クラウンエーテルが、リチウムイオンへの溶媒和能力が高く、イオン解離度を向上させる点で好ましく、特に好ましくは、粘性が低く、高いイオン伝導度を与えることから、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタンである。
【0486】
上記窒素含有化合物としては、ニトリル、含フッ素ニトリル、カルボン酸アミド、含フッ素カルボン酸アミド、スルホン酸アミド及び含フッ素スルホン酸アミド、アセトアミド、ホルムアミド等が挙げられる。また、1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサジリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルスクシンイミド等も使用できる。ただし、上記一般式(1a)、(1b)及び(1c)で表されるニトリル化合物は上記窒素含有化合物に含めないものとする。
【0487】
上記ホウ素含有化合物としては、例えば、トリメチルボレート、トリエチルボレート等のホウ酸エステル、ホウ酸エーテル、及び、ホウ酸アルキル等が挙げられる。
【0488】
上記有機ケイ素含有化合物としては、例えば、(CH−Si、(CH−Si−Si(CH、シリコンオイル等が挙げられる。
【0489】
上記不燃(難燃)化剤としては、リン酸エステルやホスファゼン系化合物が挙げられる。上記リン酸エステルとしては、例えば、含フッ素アルキルリン酸エステル、非フッ素系アルキルリン酸エステル、アリールリン酸エステル等が挙げられる。なかでも、少量で不燃効果を発揮できる点で、含フッ素アルキルリン酸エステルであることが好ましい。
【0490】
上記ホスファゼン系化合物は例えば、メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、フェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、ジメチルアミノペンタフルオロシクロトリホスファゼン、ジエチルアミノペンタフルオロシクロトリホスファゼン、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、エトキシヘプタフルオロシクロテトラホスファゼン等が挙げられる。
【0491】
上記含フッ素アルキルリン酸エステルとしては、具体的には、特開平11−233141号公報に記載された含フッ素ジアルキルリン酸エステル、特開平11−283669号公報に記載された環状のアルキルリン酸エステル、又は、含フッ素トリアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
【0492】
上記不燃(難燃)化剤としては、(CHO)P=O、(CFCHO)P=O、(HCFCHO)P=O、(CFCFCHP=O、(HCFCFCHP=O等が好ましい。
【0493】
上記界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれでもよいが、サイクル特性、レート特性が良好となる点から、フッ素原子を含むものであることが好ましい。
【0494】
このようなフッ素原子を含む界面活性剤としては、例えば、下記式(30):
RfCOO (30)
(式中、Rfは炭素数3〜10のエーテル結合を含んでいてもよい含フッ素アルキル基;MはLi、Na、K又はNHR’(R’は同じか又は異なり、いずれもH又は炭素数が1〜3のアルキル基)である)
で表される含フッ素カルボン酸塩や、下記式(40):
RfSO (40)
(式中、Rfは炭素数3〜10のエーテル結合を含んでいてもよい含フッ素アルキル基;MはLi、Na、K又はNHR’(R’は同じか又は異なり、いずれもH又は炭素数が1〜3のアルキル基)である)
で表される含フッ素スルホン酸塩等が好ましい。
【0495】
上記界面活性剤の含有量は、充放電サイクル特性を低下させずに電解液の表面張力を低下させることができる点から、電解液中0.01〜2質量%であることが好ましい。
【0496】
上記高誘電化添加剤としては、例えば、スルホラン、メチルスルホラン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。
【0497】
上記サイクル特性及びレート特性改善剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
【0498】
また、本開示の電解液は、更に高分子材料と組み合わせてゲル状(可塑化された)のゲル電解液としてもよい。
【0499】
かかる高分子材料としては、従来公知のポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシド、それらの変性体(特開平8−222270号公報、特開2002−100405号公報);ポリアクリレート系ポリマー、ポリアクリロニトリルや、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂(特表平4−506726号公報、特表平8−507407号公報、特開平10−294131号公報);それらフッ素樹脂と炭化水素系樹脂との複合体(特開平11−35765号公報、特開平11−86630号公報)等が挙げられる。特には、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体をゲル電解質用高分子材料として用いることが望ましい。
【0500】
そのほか、本開示の電解液は、特願2004−301934号明細書に記載されているイオン伝導性化合物も含んでいてもよい。
【0501】
このイオン伝導性化合物は、式(101):
A−(D)−B (101)
[式中、Dは式(201):
−(D1)−(FAE)−(AE)−(Y)− (201)
(式中、D1は、式(2a):
【0502】
【化97】
【0503】
(式中、Rfは架橋性官能基を有していてもよい含フッ素エーテル基;R10はRfと主鎖を結合する基又は結合手)
で示される側鎖に含フッ素エーテル基を有するエーテル単位;
FAEは、式(2b):
【0504】
【化98】
【0505】
(式中、Rfaは水素原子、架橋性官能基を有していてもよいフッ素化アルキル基;R11はRfaと主鎖を結合する基又は結合手)
で示される側鎖にフッ素化アルキル基を有するエーテル単位;
AEは、式(2c):
【0506】
【化99】
【0507】
(式中、R13は水素原子、架橋性官能基を有していてもよいアルキル基、架橋性官能基を有していてもよい脂肪族環式炭化水素基又は架橋性官能基を有していてもよい芳香族炭化水素基;R12はR13と主鎖を結合する基又は結合手)
で示されるエーテル単位;
Yは、式(2d−1)〜(2d−3):
【0508】
【化100】
【0509】
の少なくとも1種を含む単位;
nは0〜200の整数;mは0〜200の整数;pは0〜10000の整数;qは1〜100の整数;ただしn+mは0ではなく、D1、FAE、AE及びYの結合順序は特定されない);
A及びBは同じか又は異なり、水素原子、フッ素原子及び/又は架橋性官能基を含んでいてもよいアルキル基、フッ素原子及び/又は架橋性官能基を含んでいてもよいフェニル基、−COOH基、−OR(Rは水素原子又はフッ素原子及び/又は架橋性官能基を含んでいてもよいアルキル基)、エステル基又はカーボネート基(ただし、Dの末端が酸素原子の場合は−COOH基、−OR、エステル基及びカーボネート基ではない)]
で表される側鎖に含フッ素基を有する非晶性含フッ素ポリエーテル化合物である。
【0510】
本開示の電解液は、スルホン系化合物を含んでもよい。スルホン系化合物としては、炭素数3〜6の環状スルホン、及び炭素数2〜6の鎖状スルホンが好ましい。1分子中のスルホニル基の数は、1又は2であることが好ましい。
【0511】
環状スルホンとしては、モノスルホン化合物であるトリメチレンスルホン類、テトラメチレンスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類;ジスルホン化合物であるトリメチレンジスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類等が挙げられる。中でも誘電率と粘性の観点から、テトラメチレンスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類がより好ましく、テトラメチレンスルホン類(スルホラン類)が特に好ましい。
【0512】
スルホラン類としては、スルホラン及び/又はスルホラン誘導体(以下、スルホランも含めて「スルホラン類」と略記する場合がある。)が好ましい。スルホラン誘導体としては、スルホラン環を構成する炭素原子上に結合した水素原子の1以上がフッ素原子やアルキル基で置換されたものが好ましい。
【0513】
中でも、2−メチルスルホラン、3−メチルスルホラン、2−フルオロスルホラン、3−フルオロスルホラン、2,2−ジフルオロスルホラン、2,3−ジフルオロスルホラン、2,4−ジフルオロスルホラン、2,5−ジフルオロスルホラン、3,4−ジフルオロスルホラン、2−フルオロ−3−メチルスルホラン、2−フルオロ−2−メチルスルホラン、3−フルオロ−3−メチルスルホラン、3−フルオロ−2−メチルスルホラン、4−フルオロ−3−メチルスルホラン、4−フルオロ−2−メチルスルホラン、5−フルオロ−3−メチルスルホラン、5−フルオロ−2−メチルスルホラン、2−フルオロメチルスルホラン、3−フルオロメチルスルホラン、2−ジフルオロメチルスルホラン、3−ジフルオロメチルスルホラン、2−トリフルオロメチルスルホラン、3−トリフルオロメチルスルホラン、2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、3−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、3−スルホレン、5−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン等がイオン伝導度が高く入出力が高い点で好ましい。
【0514】
また、鎖状スルホンとしては、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、n−プロピルメチルスルホン、n−プロピルエチルスルホン、ジ−n−プロピルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、イソプロピルエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、n−ブチルメチルスルホン、n−ブチルエチルスルホン、t−ブチルメチルスルホン、t−ブチルエチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメチルメチルスルホン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルスルホン、ジフルオロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタフルオロエチルメチルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロメチルスルホン、パーフルオロエチルメチルスルホン、エチルトリフルオロエチルスルホン、エチルペンタフルオロエチルスルホン、ジ(トリフルオロエチル)スルホン、パーフルオロジエチルスルホン、フルオロメチル−n−プロピルスルホン、ジフルオロメチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロメチル−n−プロピルスルホン、フルオロメチルイソプロピルスルホン、ジフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロエチルイソプロピルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−プロピルスルホン、ペンタフルオロエチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−ブチルスルホン、トリフルオロエチル−t−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−t−ブチルスルホン等が挙げられる。
【0515】
中でも、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、n−プロピルメチルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、n−ブチルメチルスルホン、t−ブチルメチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメチルメチルスルホン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルスルホン、ジフルオロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタフルオロエチルメチルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロエチルスルホン、エチルペンタフルオロエチルスルホン、トリフルオロメチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−ブチルスルホン、トリフルオロエチル−t−ブチルスルホン、トリフルオロメチル−n−ブチルスルホン、トリフルオロメチル−t−ブチルスルホン等がイオン伝導度が高く入出力が高い点で好ましい。
【0516】
スルホン系化合物の含有量は、特に制限されず、本開示の効果を著しく損なわない限り任意であるが、上記溶媒100体積%中、通常0.3体積%以上、好ましくは0.5体積%以上、より好ましくは1体積%以上であり、また、通常40体積%以下、好ましくは35体積%以下、より好ましくは30体積%以下である。スルホン系化合物の含有量が上記範囲内であれば、サイクル特性や保存特性等の耐久性の向上効果が得られやすく、また、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避することができ、非水系電解液二次電池の入出力特性や充放電レート特性を適正な範囲とすることができる。
【0517】
本開示の電解液は、出力特性向上の観点から、添加剤として、フルオロリン酸リチウム塩類(但し、LiPFを除く)及びS=O基を有するリチウム塩類からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(7)を含むことも好ましい。
なお、添加剤として化合物(7)を使用する場合、上述した電解質塩としては、化合物(7)以外の化合物を使用することが好ましい。
【0518】
上記フルオロリン酸リチウム塩類としては、モノフルオロリン酸リチウム(LiPOF)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)等が挙げられる。
上記S=O基を有するリチウム塩類としては、モノフルオロスルホン酸リチウム(FSOLi)、メチル硫酸リチウム(CHOSOLi)、エチル硫酸リチウム(COSOLi)、2,2,2−トリフルオロエチル硫酸リチウム等が挙げられる。
化合物(7)としては、中でも、LiPO、FSOLi、COSOLiが好ましい。
【0519】
化合物(7)の含有量は、上記電解液に対し、0.001〜20質量%であることが好ましく、0.01〜15質量%であることがより好ましく、0.1〜10質量%であることが更に好ましく、0.1〜7質量%であることが特に好ましい。
【0520】
本開示の電解液には必要に応じて、更に他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、例えば、金属酸化物、ガラス等が挙げられる。
【0521】
本開示の電解液は、フッ化水素(HF)の含有量が5〜200ppmであることが好ましい。HFを含有することにより、上述した添加剤の被膜形成を促進させることができる。HFの含有量が少なすぎると、負極上での被膜形成能力が下がり、電気化学デバイスの特性が低下する傾向がある。また、HF含有量が多すぎると、HFの影響により電解液の耐酸化性が低下する傾向がある。本開示の電解液は、上記範囲のHFを含有しても、電気化学デバイスの高温保存性回復容量率を低下させることがない。
HFの含有量は、10ppm以上がより好ましく、20ppm以上が更に好ましい。HFの含有量はまた、100ppm以下がより好ましく、80ppm以下が更に好ましく、50ppm以下が特に好ましい。
HFの含有量は、中和滴定法により測定することができる。
【0522】
本開示の電解液は、上述した成分を用いて、任意の方法で調製するとよい。
【0523】
本開示の電解液は、例えば、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、ハイブリッドキャパシタ、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスに好適に適用することができる。以下、本開示の電解液を用いた非水系電解液電池について説明する。
上記非水系電解液電池は、公知の構造を採ることができ、典型的には、イオン(例えばリチウムイオン)を吸蔵・放出可能な正極及び正極と、上記本開示の電解液とを備える。このような本開示の電解液を備える電気化学デバイスもまた、本開示の一つである。
【0524】
電気化学デバイスとしては、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、キャパシタ(ハイブリッドキャパシタ、電気二重層キャパシタ)、ラジカル電池、太陽電池(特に色素増感型太陽電池)、リチウムイオン一次電池、燃料電池、各種電気化学センサー、エレクトロクロミック素子、電気化学スイッチング素子、アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ等が挙げられ、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタが好適である。
上記電気化学デバイスを備えるモジュールも本開示の一つである。
【0525】
本開示はまた、本開示の電解液を備えるリチウムイオン二次電池にも関する。
上記リチウムイオン二次電池は、正極、負極、及び、上述の電解液を備えることが好ましい。
【0526】
<正極>
正極は、正極活物質を含む正極活物質層と、集電体とから構成される。
【0527】
上記正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限されないが、例えば、リチウム含有遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物、硫化物、導電性高分子等が挙げられる。なかでも、正極活物質としては、リチウム含有遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が好ましく、特に、高電圧を産み出すリチウム含有遷移金属複合酸化物が好ましい。
【0528】
リチウム含有遷移金属複合酸化物の遷移金属としてはV、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、LiCoO等のリチウム・コバルト複合酸化物、LiNiO等のリチウム・ニッケル複合酸化物、LiMnO、LiMn、LiMnO等のリチウム・マンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をNa、K、B、F、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si、Nb、Mo、Sn、W等の他の元素で置換したもの等が挙げられる。置換されたものの具体例としては、例えば、LiNi0.5Mn0.5、LiNi0.85Co0.10Al0.05、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiNi0.6Co0.2Mn0.2、LiNi0.33Co0.33Mn0.33、LiNi0.45Co0.10Al0.45、LiMn1.8Al0.2、LiMn1.5Ni0.5等が挙げられる。
【0529】
なかでも、上記リチウム含有遷移金属複合酸化物としては、高電圧にした場合でもエネルギー密度が高いLiMn1.5Ni0.5、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiNi0.6Co0.2Mn0.2が好ましい。
【0530】
リチウム含有遷移金属リン酸化合物の遷移金属としては、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、例えば、LiFePO、LiFe(PO、LiFeP等のリン酸鉄類、LiCoPO等のリン酸コバルト類、これらのリチウム遷移金属リン酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Nb、Si等の他の元素で置換したもの等が挙げられる。
【0531】
上記リチウム含有遷移金属複合酸化物としては、例えば、
式:LiMn2−b(式中、0.9≦a;0≦b≦1.5;MはFe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Sn、Cr、V、Ti、Mg、Ca、Sr、B、Ga、In、Si及びGeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属)で表されるリチウム・マンガンスピネル複合酸化物、
式:LiNi1−c(式中、0≦c≦0.5;MはFe、Co、Mn、Cu、Zn、Al、Sn、Cr、V、Ti、Mg、Ca、Sr、B、Ga、In、Si及びGeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属)で表されるリチウム・ニッケル複合酸化物、又は、
式:LiCo1−d(式中、0≦d≦0.5;MはFe、Ni、Mn、Cu、Zn、Al、Sn、Cr、V、Ti、Mg、Ca、Sr、B、Ga、In、Si及びGeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属)で表されるリチウム・コバルト複合酸化物が挙げられる。
【0532】
なかでも、エネルギー密度が高く、高出力なリチウムイオン二次電池を提供できる点から、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiMn、LiNi0.8Co0.15Al0.05、又はLiNi1/3Co1/3Mn1/3が好ましい。
【0533】
その他の上記正極活物質として、LiFePO、LiNi0.8Co0.2、Li1.2Fe0.4Mn0.4、LiNi0.5Mn0.5、LiV等が挙げられる。
【0534】
硫化物としては、TiSやMoS等の二次元層状構造をもつ化合物や、一般式MeMo(MeはPb,Ag,Cuをはじめとする各種遷移金属)で表される強固な三次元骨格構造を有するシュブレル化合物等が挙げられる。また、硫黄単体やLiSで表される有機リチウム硫化物等も挙げられる。
【0535】
導電性高分子としては、p−ドーピング型の導電性高分子やn−ドーピング型の導電性高分子が挙げられる。導電性高分子としては、ポリアセチレン系、ポリフェニレン系、複素環ポリマー、イオン性ポリマー、ラダー及びネットワーク状ポリマー等が挙げられる。
【0536】
また、正極活物質にリン酸リチウムを含ませると、連続充電特性が向上するので好ましい。リン酸リチウムの使用に制限はないが、前記の正極活物質とリン酸リチウムを混合して用いることが好ましい。使用するリン酸リチウムの量は上記正極活物質とリン酸リチウムの合計に対し、下限が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、上限が、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0537】
また、上記正極活物質の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
【0538】
これら表面付着物質は、例えば、溶媒に溶解又は懸濁させて該正極活物質に含浸添加、乾燥する方法、表面付着物質前駆体を溶媒に溶解又は懸濁させて該正極活物質に含浸添加後、加熱等により反応させる方法、正極活物質前駆体に添加して同時に焼成する方法等により該正極活物質表面に付着させることができる。なお、炭素を付着させる場合には、炭素質を、例えば、活性炭等の形で後から機械的に付着させる方法も用いることもできる。
【0539】
表面付着物質の量としては、上記正極活物質に対して質量で、下限として好ましくは0.1ppm以上、より好ましくは1ppm以上、更に好ましくは10ppm以上、上限として、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下で用いられる。表面付着物質により、正極活物質表面での電解液の酸化反応を抑制することができ、電池寿命を向上させることができるが、その付着量が少なすぎる場合その効果は十分に発現せず、多すぎる場合には、リチウムイオンの出入りを阻害するため抵抗が増加する場合がある。
【0540】
正極活物質の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が挙げられる。また、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成していてもよい。
【0541】
正極活物質のタップ密度は、好ましくは0.5g/cm以上、より好ましくは0.8g/cm以上、更に好ましくは1.0g/cm以上である。該正極活物質のタップ密度が上記下限を下回ると正極活物質層形成時に、必要な分散媒量が増加すると共に、導電材や結着剤の必要量が増加し、正極活物質層への正極活物質の充填率が制約され、電池容量が制約される場合がある。タップ密度の高い複合酸化物粉体を用いることにより、高密度の正極活物質層を形成することができる。タップ密度は一般に大きいほど好ましく、特に上限はないが、大きすぎると、正極活物質層内における電解液を媒体としたリチウムイオンの拡散が律速となり、負荷特性が低下しやすくなる場合があるため、上限は、好ましくは4.0g/cm以下、より好ましくは3.7g/cm以下、更に好ましくは3.5g/cm以下である。
なお、本開示では、タップ密度は、正極活物質粉体5〜10gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、ストローク約20mmで200回タップした時の粉体充填密度(タップ密度)g/cmとして求める。
【0542】
正極活物質の粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは0.8μm以上、最も好ましくは1.0μm以上であり、また、好ましくは30μm以下、より好ましくは27μm以下、更に好ましくは25μm以下、最も好ましくは22μm以下である。上記下限を下回ると、高タップ密度品が得られなくなる場合があり、上限を超えると粒子内のリチウムの拡散に時間がかかるため、電池性能の低下をきたしたり、電池の正極作成、即ち活物質と導電材やバインダー等を溶媒でスラリー化し、薄膜状に塗布する際に、スジを引く等の問題を生ずる場合がある。ここで、異なるメジアン径d50をもつ上記正極活物質を2種類以上混合することで、正極作成時の充填性を更に向上させることができる。
【0543】
なお、本開示では、メジアン径d50は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって測定される。粒度分布計としてHORIBA社製LA−920を用いる場合、測定の際に用いる分散媒として、0.1質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、5分間の超音波分散後に測定屈折率1.24を設定して測定される。
【0544】
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には、上記正極活物質の平均一次粒子径としては、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.2μm以上であり、上限は、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、更に好ましくは3μm以下、最も好ましくは2μm以下である。上記上限を超えると球状の二次粒子を形成し難く、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が大きく低下するために、出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなる場合がある。逆に、上記下限を下回ると、通常、結晶が未発達であるために充放電の可逆性が劣る等の問題を生ずる場合がある。
【0545】
なお、本開示では、一次粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により測定される。具体的には、10000倍の倍率の写真で、水平方向の直線に対する一次粒子の左右の境界線による切片の最長の値を、任意の50個の一次粒子について求め、平均値をとることにより求められる。
【0546】
正極活物質のBET比表面積は、好ましくは0.1m/g以上、より好ましくは0.2m/g以上、更に好ましくは0.3m/g以上であり、上限は好ましくは50m/g以下、より好ましくは40m/g以下、更に好ましくは30m/g以下である。BET比表面積がこの範囲よりも小さいと電池性能が低下しやすく、大きいとタップ密度が上がりにくくなり、正極活物質層形成時の塗布性に問題が発生しやすい場合がある。
【0547】
なお、本開示では、BET比表面積は、表面積計(例えば、大倉理研社製全自動表面積測定装置)を用い、試料に対して窒素流通下150℃で30分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定した値で定義される。
【0548】
本開示のリチウムイオン二次電池が、ハイブリッド自動車用や分散電源用の大型リチウムイオン二次電池として使用される場合、高出力が要求されるため、上記正極活物質の粒子は二次粒子が主体となることが好ましい。
上記正極活物質の粒子は、二次粒子の平均粒子径が40μm以下で、かつ、平均一次粒子径が1μm以下の微粒子を、0.5〜7.0体積%含むものであることが好ましい。平均一次粒子径が1μm以下の微粒子を含有させることにより、電解液との接触面積が大きくなり、電極と電解液との間でのリチウムイオンの拡散をより速くすることができ、その結果、電池の出力性能を向上させることができる。
【0549】
正極活物質の製造法としては、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。特に球状ないし楕円球状の活物質を作成するには種々の方法が考えられるが、例えば、遷移金属の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節して球状の前駆体を作成回収し、これを必要に応じて乾燥した後、LiOH、LiCO、LiNO等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法等が挙げられる。
【0550】
正極の製造のために、前記の正極活物質を単独で用いてもよく、異なる組成の2種以上を、任意の組み合わせ又は比率で併用してもよい。この場合の好ましい組み合わせとしては、LiCoOとLiNi0.33Co0.33Mn0.33等のLiMn若しくはこのMnの一部を他の遷移金属等で置換したものとの組み合わせ、あるいは、LiCoO若しくはこのCoの一部を他の遷移金属等で置換したものとの組み合わせが挙げられる。
【0551】
上記正極活物質の含有量は、電池容量が高い点で、正極合剤の50〜99.5質量%が好ましく、80〜99質量%がより好ましい。また、正極活物質の、正極活物質層中の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは82質量%以上、特に好ましくは84質量%以上である。また上限は、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。正極活物質層中の正極活物質の含有量が低いと電気容量が不十分となる場合がある。逆に含有量が高すぎると正極の強度が不足する場合がある。
【0552】
上記正極合剤は、更に、結着剤、増粘剤、導電材を含むことが好ましい。
上記結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安全な材料であれば、任意のものを使用することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、キトサン、アルギン酸、ポリアクリル酸、ポリイミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物;EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0553】
結着剤の含有量は、正極活物質層中の結着剤の割合として、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、また、通常80質量%以下、好ましくは60質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、最も好ましくは10質量%以下である。結着剤の割合が低すぎると、正極活物質を十分保持できずに正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させてしまう場合がある。一方で、高すぎると、電池容量や導電性の低下につながる場合がある。
【0554】
上記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン、ポリビニルピロリドン及びこれらの塩等が挙げられる。1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0555】
活物質に対する増粘剤の割合は、通常0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、また、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下の範囲である。この範囲を下回ると、著しく塗布性が低下する場合がある。上回ると、正極活物質層に占める活物質の割合が低下し、電池の容量が低下する問題や正極活物質間の抵抗が増大する問題が生じる場合がある。
【0556】
上記導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス、カーボンナノチューブ、フラーレン、VGCF等の無定形炭素等の炭素材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。導電材は、正極活物質層中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、また、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有するように用いられる。含有量がこの範囲よりも低いと導電性が不十分となる場合がある。逆に、含有量がこの範囲よりも高いと電池容量が低下する場合がある。
【0557】
スラリーを形成するための溶媒としては、正極活物質、導電材、結着剤、並びに必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。水系溶媒としては、例えば、水、アルコールと水との混合媒等が挙げられる。有機系溶媒としては、例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類;キノリン、ピリジン等の複素環化合物;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、アクリル酸メチル等のエステル類;ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン等のアミン類;ジエチルエーテル、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
【0558】
正極用集電体の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼、ニッケル等の金属、又は、その合金等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が挙げられる。なかでも、金属材料、特にアルミニウム又はその合金が好ましい。
【0559】
集電体の形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられ、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。これらのうち、金属薄膜が好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成してもよい。薄膜の厚さは任意であるが、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、また、通常1mm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。薄膜がこの範囲よりも薄いと集電体として必要な強度が不足する場合がある。逆に、薄膜がこの範囲よりも厚いと取り扱い性が損なわれる場合がある。
【0560】
また、集電体の表面に導電助剤が塗布されていることも、集電体と正極活物質層の電気接触抵抗を低下させる観点で好ましい。導電助剤としては、炭素や、金、白金、銀等の貴金属類が挙げられる。
【0561】
集電体と正極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、(電解液注液直前の片面の正極活物質層の厚さ)/(集電体の厚さ)の値が20以下であることが好ましく、より好ましくは15以下、最も好ましくは10以下であり、また、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、最も好ましくは1以上の範囲である。この範囲を上回ると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる場合がある。この範囲を下回ると、正極活物質に対する集電体の体積比が増加し、電池の容量が減少する場合がある。
【0562】
正極の製造は、常法によればよい。例えば、上記正極活物質に、上述した結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状の正極合剤とし、これを集電体に塗布し、乾燥した後にプレスして高密度化する方法が挙げられる。
【0563】
上記高密度化は、ハンドプレス、ローラープレス等により行うことができる。正極活物質層の密度は、好ましくは1.5g/cm以上、より好ましくは2g/cm以上、更に好ましくは2.2g/cm以上であり、また、好ましくは5g/cm以下、より好ましくは4.5g/cm以下、更に好ましくは4g/cm以下の範囲である。この範囲を上回ると集電体/活物質界面付近への電解液の浸透性が低下し、特に高電流密度での充放電特性が低下し高出力が得られない場合がある。また下回ると活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大し高出力が得られない場合がある。
【0564】
本開示の電解液を用いる場合、高出力かつ高温時の安定性を高める観点から、正極活物質層の面積は、電池外装ケースの外表面積に対して大きくすることが好ましい。具体的には、二次電池の外装の表面積に対する正極の電極面積の総和が面積比で15倍以上とすることが好ましく、更に40倍以上とすることがより好ましい。電池外装ケースの外表面積とは、有底角型形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分の縦と横と厚さの寸法から計算で求める総面積をいう。有底円筒形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分を円筒として近似する幾何表面積である。正極の電極面積の総和とは、負極活物質を含む合剤層に対向する正極合剤層の幾何表面積であり、集電体箔を介して両面に正極合剤層を形成してなる構造では、それぞれの面を別々に算出する面積の総和をいう。
【0565】
正極板の厚さは特に限定されないが、高容量かつ高出力の観点から、芯材の金属箔厚さを差し引いた合剤層の厚さは、集電体の片面に対して下限として、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上で、また、好ましくは500μm以下、より好ましくは450μm以下である。
【0566】
また、上記正極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
【0567】
<負極>
負極は、負極活物質を含む負極活物質層と、集電体とから構成される。
【0568】
負極材料としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。具体例としては、炭素材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料、導電性高分子等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
【0569】
上記負極活物質としては、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物や人造黒鉛、天然黒鉛等のリチウムを吸蔵・放出可能な炭素質材料;酸化錫、酸化ケイ素等のリチウムを吸蔵・放出可能な金属酸化物材料;リチウム金属;種々のリチウム合金;リチウム含有金属複合酸化物材料等を挙げることができる。これらの負極活物質は、2種以上を混合して用いてもよい。
【0570】
リチウムを吸蔵・放出可能な炭素質材料としては、種々の原料から得た易黒鉛性ピッチの高温処理によって製造された人造黒鉛若しくは精製天然黒鉛、又は、これらの黒鉛にピッチその他の有機物で表面処理を施した後炭化して得られるものが好ましく、天然黒鉛、人造黒鉛、人造炭素質物質並びに人造黒鉛質物質を400〜3200℃の範囲で1回以上熱処理した炭素質材料、負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる結晶性を有する炭素質からなり、かつ/又はその異なる結晶性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、負極活物質層が少なくとも2種以上の異なる配向性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、から選ばれるものが、初期不可逆容量、高電流密度充放電特性のバランスがよくより好ましい。また、これらの炭素材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0571】
上記の人造炭素質物質並びに人造黒鉛質物質を400〜3200℃の範囲で1回以上熱処理した炭素質材料としては、石炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチ、石油系ピッチ及びこれらピッチを酸化処理したもの、ニードルコークス、ピッチコークス及びこれらを一部黒鉛化した炭素剤、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等の有機物の熱分解物、炭化可能な有機物及びこれらの炭化物、又は炭化可能な有機物をベンゼン、トルエン、キシレン、キノリン、n−ヘキサン等の低分子有機溶剤に溶解させた溶液及びこれらの炭化物等が挙げられる。
【0572】
上記負極活物質として用いられる金属材料(但し、リチウムチタン複合酸化物を除く)としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、リチウム単体、リチウム合金を形成する単体金属及び合金、又はそれらの酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、硫化物若しくはリン化物等の化合物のいずれであってもよく、特に制限されない。リチウム合金を形成する単体金属及び合金としては、13族及び14族の金属・半金属元素を含む材料であることが好ましく、より好ましくはアルミニウム、ケイ素及びスズ(以下、「特定金属元素」と略記)の単体金属及びこれら原子を含む合金又は化合物である。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0573】
特定金属元素から選ばれる少なくとも1種の原子を有する負極活物質としては、いずれか1種の特定金属元素の金属単体、2種以上の特定金属元素からなる合金、1種又は2種以上の特定金属元素とその他の1種又は2種以上の金属元素とからなる合金、並びに、1種又は2種以上の特定金属元素を含有する化合物、及びその化合物の酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、硫化物若しくはリン化物等の複合化合物が挙げられる。負極活物質としてこれらの金属単体、合金又は金属化合物を用いることで、電池の高容量化が可能である。
【0574】
また、これらの複合化合物が、金属単体、合金又は非金属元素等の数種の元素と複雑に結合した化合物も挙げられる。具体的には、例えばケイ素やスズでは、これらの元素と負極として作動しない金属との合金を用いることができる。例えば、スズの場合、スズとケイ素以外で負極として作用する金属と、更に負極として動作しない金属と、非金属元素との組み合わせで5〜6種の元素を含むような複雑な化合物も用いることができる。
【0575】
具体的には、Si単体、SiB、SiB、MgSi、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SiO(0<v≦2)、LiSiOあるいはスズ単体、SnSiO、LiSnO、MgSn、SnO(0<w≦2)が挙げられる。
また、Si又はSnを第一の構成元素とし、それに加えて第2、第3の構成元素を含む複合材料が挙げられる。第2の構成元素は、例えば、コバルト、鉄、マグネシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム及びジルコニウムのうち少なくとも1種である。第3の構成元素は、例えば、ホウ素、炭素、アルミニウム及びリンのうち少なくとも1種である。
特に、高い電池容量及び優れた電池特性が得られることから、上記金属材料として、ケイ素又はスズの単体(微量の不純物を含んでよい)、SiO(0<v≦2)、SnO(0≦w≦2)、Si−Co−C複合材料、Si−Ni−C複合材料、Sn−Co−C複合材料、Sn−Ni−C複合材料が好ましい。
【0576】
負極活物質として用いられるリチウム含有金属複合酸化物材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、特に制限されないが、高電流密度充放電特性の点からチタン及びリチウムを含有する材料が好ましく、より好ましくはチタンを含むリチウム含有複合金属酸化物材料が好ましく、更にリチウムとチタンの複合酸化物(以下、「リチウムチタン複合酸化物」と略記)が好ましい。すなわち、スピネル構造を有するリチウムチタン複合酸化物を、電解液電池用負極活物質に含有させて用いると、出力抵抗が大きく低減するので特に好ましい。
【0577】
上記リチウムチタン複合酸化物としては、一般式:
LiTi
[式中、Mは、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わす。]
で表される化合物であることが好ましい。
上記組成の中でも、
(i)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(ii)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(iii)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましい。
【0578】
上記化合物の特に好ましい代表的な組成は、(i)ではLi4/3Ti5/3、(ii)ではLiTi、(iii)ではLi4/5Ti11/5である。また、Z≠0の構造については、例えば、Li4/3Ti4/3Al1/3が好ましいものとして挙げられる。
【0579】
上記負極合剤は、更に、結着剤、増粘剤、導電材を含むことが好ましい。
【0580】
上記結着剤としては、上述した、正極に用いることができる結着剤と同様のものが挙げられる。負極活物質に対する結着剤の割合は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、0.6質量%以上が特に好ましく、また、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、8質量%以下が特に好ましい。負極活物質に対する結着剤の割合が、上記範囲を上回ると、結着剤量が電池容量に寄与しない結着剤割合が増加して、電池容量の低下を招く場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極電極の強度低下を招く場合がある。
【0581】
特に、SBRに代表されるゴム状高分子を主要成分に含有する場合には、負極活物質に対する結着剤の割合は、通常0.1質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、0.6質量%以上が更に好ましく、また、通常5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下が更に好ましい。また、ポリフッ化ビニリデンに代表されるフッ素系高分子を主要成分に含有する場合には負極活物質に対する割合は、通常1質量%以上であり、2質量%以上が好ましく、3質量%以上が更に好ましく、また、通常15質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、8質量%以下が更に好ましい。
【0582】
上記増粘剤としては、上述した、正極に用いることができる増粘剤と同様のものが挙げられる。負極活物質に対する増粘剤の割合は、通常0.1質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、0.6質量%以上が更に好ましく、また、通常5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下が更に好ましい。負極活物質に対する増粘剤の割合が、上記範囲を下回ると、著しく塗布性が低下する場合がある。また、上記範囲を上回ると、負極活物質層に占める負極活物質の割合が低下し、電池の容量が低下する問題や負極活物質間の抵抗が増大する場合がある。
【0583】
負極の導電材としては、銅やニッケル等の金属材料;グラファイト、カーボンブラック等の炭素材料等が挙げられる。
【0584】
スラリーを形成するための溶媒としては、負極活物質、結着剤、並びに必要に応じて使用される増粘剤及び導電材を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系溶媒としては、水、アルコール等が挙げられ、有機系溶媒としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。
【0585】
負極用集電体の材質としては、銅、ニッケル又はステンレス等が挙げられる。なかでも、薄膜に加工しやすいという点、及び、コストの点から銅箔が好ましい。
【0586】
集電体の厚さは、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは50μm以下である。負極集電体の厚さが厚すぎると、電池全体の容量が低下し過ぎることがあり、逆に薄すぎると取扱いが困難になることがある。
【0587】
負極の製造は、常法によればよい。例えば、上記負極材料に、上述した結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状とし、集電体に塗布し、乾燥した後にプレスして高密度化する方法が挙げられる。また、合金材料を用いる場合には、蒸着法、スパッタ法、メッキ法等の手法により、上述の負極活物質を含有する薄膜層(負極活物質層)を形成する方法も用いられる。
【0588】
負極活物質を電極化した際の電極構造は特に制限されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上が更に好ましく、1.3g・cm−3以上が特に好ましく、また、2.2g・cm−3以下が好ましく、2.1g・cm−3以下がより好ましく、2.0g・cm−3以下が更に好ましく、1.9g・cm−3以下が特に好ましい。集電体上に存在している負極活物質の密度が、上記範囲を上回ると、負極活物質粒子が破壊され、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を招く場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大し、単位容積当たりの容量が低下する場合がある。
【0589】
負極板の厚さは用いられる正極板に合わせて設計されるものであり、特に制限されないが、芯材の金属箔厚さを差し引いた合剤層の厚さは通常15μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、また、通常300μm以下、好ましくは280μm以下、より好ましくは250μm以下が望ましい。
【0590】
また、上記負極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
【0591】
<セパレータ>
本開示のリチウムイオン二次電池は、更に、セパレータを備えることが好ましい。
上記セパレータの材質や形状は、電解液に安定であり、かつ、保液性に優れていれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。なかでも、本開示の電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
【0592】
樹脂、ガラス繊維セパレータの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、芳香族ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ガラスフィルター等を用いることができる。ポリプロピレン/ポリエチレン2層フィルム、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層フィルム等、これらの材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なかでも、上記セパレータは、電解液の浸透性やシャットダウン効果が良好である点で、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等であることが好ましい。
【0593】
セパレータの厚さは任意であるが、通常1μm以上であり、5μm以上が好ましく、8μm以上が更に好ましく、また、通常50μm以下であり、40μm以下が好ましく、30μm以下が更に好ましい。セパレータが、上記範囲より薄過ぎると、絶縁性や機械的強度が低下する場合がある。また、上記範囲より厚過ぎると、レート特性等の電池性能が低下する場合があるばかりでなく、電解液電池全体としてのエネルギー密度が低下する場合がある。
【0594】
更に、セパレータとして多孔性シートや不織布等の多孔質のものを用いる場合、セパレータの空孔率は任意であるが、通常20%以上であり、35%以上が好ましく、45%以上が更に好ましく、また、通常90%以下であり、85%以下が好ましく、75%以下が更に好ましい。空孔率が、上記範囲より小さ過ぎると、膜抵抗が大きくなってレート特性が悪化する傾向がある。また、上記範囲より大き過ぎると、セパレータの機械的強度が低下し、絶縁性が低下する傾向にある。
【0595】
また、セパレータの平均孔径も任意であるが、通常0.5μm以下であり、0.2μm以下が好ましく、また、通常0.05μm以上である。平均孔径が、上記範囲を上回ると、短絡が生じ易くなる。また、上記範囲を下回ると、膜抵抗が大きくなりレート特性が低下する場合がある。
【0596】
一方、無機物の材料としては、例えば、アルミナや二酸化ケイ素等の酸化物、窒化アルミや窒化ケイ素等の窒化物、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩が用いられ、粒子形状若しくは繊維形状のものが用いられる。
【0597】
形態としては、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状のものが用いられる。薄膜形状では、孔径が0.01〜1μm、厚さが5〜50μmのものが好適に用いられる。上記の独立した薄膜形状以外に、樹脂製の結着剤を用いて上記無機物の粒子を含有する複合多孔層を正極及び/又は負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる。例えば、正極の両面に90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子を、フッ素樹脂を結着剤として多孔層を形成させることが挙げられる。
【0598】
<電池設計>
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。
【0599】
電極群占有率が、上記範囲を下回ると、電池容量が小さくなる。また、上記範囲を上回ると空隙スペースが少なく、電池が高温になることによって部材が膨張したり電解質の液成分の蒸気圧が高くなったりして内部圧力が上昇し、電池としての充放電繰り返し性能や高温保存等の諸特性を低下させたり、更には、内部圧力を外に逃がすガス放出弁が作動する場合がある。
【0600】
集電構造は、特に制限されないが、本開示の電解液による高電流密度の充放電特性の向上をより効果的に実現するには、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にすることが好ましい。この様に内部抵抗を低減させた場合、本開示の電解液を使用した効果は特に良好に発揮される。
【0601】
電極群が上記の積層構造のものでは、各電極層の金属芯部分を束ねて端子に溶接して形成される構造が好適に用いられる。一枚の電極面積が大きくなる場合には、内部抵抗が大きくなるので、電極内に複数の端子を設けて抵抗を低減することも好適に用いられる。電極群が上記の捲回構造のものでは、正極及び負極にそれぞれ複数のリード構造を設け、端子に束ねることにより、内部抵抗を低くすることができる。
【0602】
外装ケースの材質は用いられる電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
【0603】
金属類を用いる外装ケースでは、レーザー溶接、抵抗溶接、超音波溶接により金属同士を溶着して封止密閉構造とするもの、若しくは、樹脂製ガスケットを介して上記金属類を用いてかしめ構造とするものが挙げられる。上記ラミネートフィルムを用いる外装ケースでは、樹脂層同士を熱融着することにより封止密閉構造とするもの等が挙げられる。シール性を上げるために、上記樹脂層の間にラミネートフィルムに用いられる樹脂と異なる樹脂を介在させてもよい。特に、集電端子を介して樹脂層を熱融着して密閉構造とする場合には、金属と樹脂との接合になるので、介在する樹脂として極性基を有する樹脂や極性基を導入した変成樹脂が好適に用いられる。
【0604】
本開示のリチウムイオン二次電池の形状は任意であり、例えば、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等の形状が挙げられる。なお、正極、負極、セパレータの形状及び構成は、それぞれの電池の形状に応じて変更して使用することができる。
【0605】
また、本開示のリチウムイオン二次電池を備えるモジュールも本開示の一つである。
【0606】
また、正極、負極、及び、上述の電解液を備え、上記正極は、正極集電体及び正極活物質を含む正極活物質層を備えており、上記正極活物質は、Mnを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池も、好適な態様の一つである。Mnを含む正極活物質を含む正極活物質層を備えることから、上記リチウムイオン二次電池は、高温保存特性により一層優れる。
【0607】
上記Mnを含む正極活物質としては、エネルギー密度が高く、高出力なリチウムイオン二次電池を提供できる点から、LiMn1.5Ni0.5、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiNi0.6Co0.2Mn0.2が好ましい。
【0608】
上記正極活物質の、正極活物質層中の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは82質量%以上、特に好ましくは84質量%以上である。また上限は、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。正極活物質層中の正極活物質の含有量が低いと電気容量が不十分となる場合がある。逆に含有量が高すぎると正極の強度が不足する場合がある。
【0609】
上記正極活物質層は、更に、導電材、増粘剤及び結着剤を含んでもよい。
【0610】
上記結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安全な材料であれば、任意のものを使用することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、エチレン−プロピレンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0611】
結着剤の含有量は、正極活物質層中の結着剤の割合として、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、また、通常80質量%以下、好ましくは60質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、最も好ましくは10質量%以下である。結着剤の割合が低すぎると、正極活物質を十分保持できずに正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させてしまう場合がある。一方で、高すぎると、電池容量や導電性の低下につながる場合がある。
【0612】
上記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0613】
活物質に対する増粘剤の割合は、通常0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、また、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下の範囲である。この範囲を下回ると、著しく塗布性が低下する場合がある。上回ると、正極活物質層に占める活物質の割合が低下し、電池の容量が低下する問題や正極活物質間の抵抗が増大する問題が生じる場合がある。
【0614】
上記導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。導電材は、正極活物質層中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、また、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有するように用いられる。含有量がこの範囲よりも低いと導電性が不十分となる場合がある。逆に、含有量がこの範囲よりも高いと電池容量が低下する場合がある。
【0615】
上記正極集電体は、高温保存特性がより一層改善することから、弁金属又はその合金で構成されていることが好ましい。上記弁金属としては、アルミニウム、チタン、タンタル、クロム等が挙げられる。上記正極集電体は、アルミニウム又はアルミニウムの合金で構成されていることがより好ましい。
【0616】
上記リチウムイオン二次電池は、高温保存特性がより一層改善することから、上記正極集電体と電気的に接続されている部分のうち電解液と接触する部分についても、弁金属又はその合金で構成されていることが好ましい。特に、電池外装ケース、及び、上記電池外装ケースに収容されるリード線や安全弁等のうち正極集電体と電気的に接続されていて、かつ非水電解液と接触する部分は、弁金属又はその合金で構成することが好ましい。弁金属又はその合金により被覆したステンレスを使用してもよい。
【0617】
上記正極の製造方法は、上述したとおりであり、例えば、上記正極活物質に、上述した結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状の正極合剤とし、これを上記正極集電体に塗布し、乾燥した後にプレスして高密度化する方法が挙げられる。
【0618】
上記負極の構成は上述したとおりである。
【0619】
上記電気二重層キャパシタは、正極、負極、及び、上述の電解液を備えていてよい。
上記電気二重層キャパシタでは、正極及び負極の少なくとも一方は分極性電極であり、分極性電極及び非分極性電極としては特開平9−7896号公報に詳しく記載されている以下の電極が使用できる。
【0620】
本開示で用いる活性炭を主体とする分極性電極は、好ましくは大比表面積の不活性炭と電子伝導性を付与するカーボンブラック等の導電剤とを含むものである。分極性電極は種々の方法で形成することができる。例えば、活性炭粉末とカーボンブラックとフェノール系樹脂を混合し、プレス成形後不活性ガス雰囲気中及び水蒸気雰囲気中で焼成、賦活することにより、活性炭とカーボンブラックからなる分極性電極を形成できる。好ましくは、この分極性電極は集電体と導電性接着剤等で接合する。
【0621】
また、活性炭粉末、カーボンブラック及び結合剤をアルコールの存在下で混練してシート状に成形し、乾燥して分極性電極とすることもできる。この結合剤には、例えばポリテトラフルオロエチレンが用いられる。また、活性炭粉末、カーボンブラック、結合剤及び溶媒を混合してスラリーとし、このスラリーを集電体の金属箔にコートし、乾燥して集電体と一体化された分極性電極とすることもできる。
【0622】
活性炭を主体とする分極性電極を両極に用いて電気二重層キャパシタとしてもよいが、片側に非分極性電極を用いる構成、例えば、金属酸化物等の電池活物質を主体とする正極と、活性炭を主体とする分極性電極の負極とを組合せた構成、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、離脱しうる炭素材料を主体とする負極、又はリチウム金属やリチウム合金の負極と、活性炭を主体とする分極性の正極とを組合せた構成も可能である。
【0623】
また、活性炭に代えて又は併用して、カーボンブラック、グラファイト、膨張黒鉛、ポーラスカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、ケッチェンブラック等の炭素質材料を用いてもよい。
【0624】
非分極性電極としては、好ましくはリチウムイオンを可逆的に吸蔵、離脱しうる炭素材料を主体とするものとし、この炭素材料にリチウムイオンを吸蔵させたものを電極に使用する。この場合、電解質にはリチウム塩が使用される。この構成の電気二重層キャパシタによれば、更に高い4Vを超える耐電圧が得られる。
【0625】
電極の作製におけるスラリーの調製に用いる溶媒は結合剤を溶解するものが好ましく、結合剤の種類に合わせ、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、イソホロン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、フタル酸ジメチル、エタノール、メタノール、ブタノール又は水が適宜選択される。
【0626】
分極性電極に用いる活性炭としては、フェノール樹脂系活性炭、やしがら系活性炭、石油コークス系活性炭等がある。これらのうち大きい容量を得られる点で石油コークス系活性炭又はフェノール樹脂系活性炭を使用するのが好ましい。また、活性炭の賦活処理法には、水蒸気賦活処理法、溶融KOH賦活処理法等があり、より大きな容量が得られる点で溶融KOH賦活処理法による活性炭を使用するのが好ましい。
【0627】
分極性電極に用いる好ましい導電剤としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、金属ファイバ、導電性酸化チタン、酸化ルテニウムが挙げられる。分極性電極に使用するカーボンブラック等の導電剤の混合量は、良好な導電性(低い内部抵抗)を得るように、また多すぎると製品の容量が減るため、活性炭との合計量中1〜50質量%とするのが好ましい。
【0628】
また、分極性電極に用いる活性炭としては、大容量で低内部抵抗の電気二重層キャパシタが得られるように、平均粒径が20μm以下で比表面積が1500〜3000m/gの活性炭を使用するのが好ましい。また、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、離脱しうる炭素材料を主体とする電極を構成するための好ましい炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化メソカーボン小球体、黒鉛化ウィスカ、気層成長炭素繊維、フルフリルアルコール樹脂の焼成品又はノボラック樹脂の焼成品が挙げられる。
【0629】
集電体は化学的、電気化学的に耐食性のあるものであればよい。活性炭を主体とする分極性電極の集電体としては、ステンレス、アルミニウム、チタン又はタンタルが好ましく使用できる。これらのうち、ステンレス又はアルミニウムが、得られる電気二重層キャパシタの特性と価格の両面において特に好ましい材料である。リチウムイオンを可逆的に吸蔵、離脱しうる炭素材料を主体とする電極の集電体としては、好ましくはステンレス、銅又はニッケルが使用される。
【0630】
また、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、離脱しうる炭素材料にあらかじめリチウムイオンを吸蔵させるには、(1)粉末状のリチウムを、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、離脱しうる炭素材料に混ぜておく方法、(2)リチウムイオンを可逆的に吸蔵、離脱しうる炭素材料と結合剤により形成された電極上にリチウム箔を載せ、電極と電気的に接触させた状態で、この電極をリチウム塩を溶かした電解液中に浸漬することによりリチウムをイオン化させ、リチウムイオンを炭素材料中に取り込ませる方法、(3)リチウムイオンを可逆的に吸蔵、離脱しうる炭素材料と結合剤により形成された電極をマイナス側に置き、リチウム金属をプラス側に置いてリチウム塩を電解質とする非水系電解液中に浸漬し、電流を流して電気化学的に炭素材料中にリチウムをイオン化した状態で取り込ませる方法がある。
【0631】
電気二重層キャパシタとしては、巻回型電気二重層キャパシタ、ラミネート型電気二重層キャパシタ、コイン型電気二重層キャパシタ等が一般に知られており、上記電気二重層キャパシタもこれらの形式とすることができる。
【0632】
例えば巻回型電気二重層キャパシタは、集電体と電極層の積層体(電極)からなる正極及び負極を、セパレータを介して巻回して巻回素子を作製し、この巻回素子をアルミニウム製等のケースに入れ、電解液、好ましくは非水系電解液を満たしたのち、ゴム製の封口体で封止して密封することにより組み立てられる。
【0633】
セパレータとしては、従来公知の材料と構成のものが使用できる。例えば、ポリエチレン多孔質膜、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン繊維やガラス繊維、セルロース繊維の不織布等が挙げられる。
【0634】
また、公知の方法により、電解液とセパレータを介してシート状の正極及び負極を積層したラミネート型電気二重層キャパシタや、ガスケットで固定して電解液とセパレータを介して正極及び負極をコイン型に構成したコイン型電気二重層キャパシタとすることもできる。
【0635】
本開示の電解液は、ハイブリッド自動車用や分散電源用の大型リチウムイオン二次電池用や、電気二重層キャパシタ用の電解液として有用である。
【実施例】
【0636】
次に本開示を実施例を挙げて説明するが、本開示はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0637】
合成例1
<2−フルオロアクリル酸2−フルオロ−2−プロペニルエステルの製造>
窒素置換した反応容器にトリエチルアミン(2.4g,24.0mmol)、2−フルオロ−2−プロペン−1−オール(1.5g,20.0mmol)、塩化メチレン16mLを加え、2−フルオロアクリロイルフルオリド(1.8g,20.0mmol)を塩化メチレン8mLに溶解した溶液を0℃で滴下した。この溶液を室温に戻して2時間撹拌した後、反応溶液に水を加えて洗浄し、濃縮後、蒸留して目的の2−フルオロアクリル酸2−フルオロ−2−プロペニルエステル(1.6g,10.6mmol,収率53%)を得た。
【0638】
合成例2
<2−フルオロアクリル酸2−プロピニルエステルの製造>
窒素置換した反応容器にトリエチルアミン(2.4g,24.0mmol)、プロパルギルアルコール(1.1g,20.0mmol)、塩化メチレン16mLを加え、2−フルオロアクリロイルフルオリド(1.8g,20.0mmol)を塩化メチレン8mLに溶解した溶液を0℃で滴下した。この溶液を室温に戻して2時間撹拌した後、反応溶液に水を加えて洗浄し、濃縮後、蒸留して目的の2−フルオロアクリル酸2−プロピニルエステル(1.6g,12.2mmol,収率61%)を得た。
【0639】
合成例3
<2−フルオロアクリル酸3−トリメチルシリル−2−プロピニルエステルの製造>
窒素置換した反応容器にトリエチルアミン(2.4g,24.0mmol)、3−トリメチルシリル−2−プロピン−1−オール(2.6g,20.0mmol)、塩化メチレン16mLを加え、2−フルオロアクリロイルフルオリド(1.8g,20.0mmol)を塩化メチレン8mLに溶解した溶液を0℃で滴下した。この溶液を室温に戻して2時間撹拌した後、反応溶液に水を加えて洗浄し、濃縮後、蒸留して目的の2−フルオロアクリル酸3−トリメチルシリル−2−プロピニルエステル(2.0g,10.0mmol,収率50%)を得た。
【0640】
合成例4
<N,N−ジアリル−2−フルオロアクリルアミドの製造>
窒素置換した反応容器にトリエチルアミン(2.4g,24.0mmol)、ジアリルアミン(1.5g,20.0mmol)、塩化メチレン16mLを加え、2−フルオロアクリロイルフルオリド(1.8g,20.0mmol)を塩化メチレン8mLに溶解した溶液を0℃で滴下した。この溶液を室温に戻して2時間撹拌した後、反応溶液に水を加えて洗浄し、濃縮後、蒸留して目的のN,N−ジアリル−2−フルオロアクリルアミド(2.5g,14.8mmol,収率74%)を得た。
【0641】
合成例5
<N−アリル−N−tert−ブチル−2−フルオロアクリルアミドの製造>
窒素置換した反応容器にトリエチルアミン(2.4g,24.0mmol)、N−アリル−N−tert−ブチルアミン(2.3g,20.0mmol)、塩化メチレン16mLを加え、2−フルオロアクリロイルフルオリド(1.8g,20.0mmol)を塩化メチレン8mLに溶解した溶液を0℃で滴下した。この溶液を室温に戻して2時間撹拌した後、反応溶液に水を加えて洗浄し、濃縮後、蒸留して目的のN−アリル−N−tert−ブチル−2−フルオロアクリルアミド(2.0g,10.8mmol,収率54%)を得た。
【0642】
合成例6
<N,N−ジエチル−2−フルオロアクリルアミドの製造>
窒素置換した反応容器にトリエチルアミン(2.4g,24.0mmol)、ジエチルアミン(1.5g,20.0mmol)、塩化メチレン16mLを加え、2−フルオロアクリロイルフルオ