(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2019155512
(43)【国際公開日】20190815
【発行日】20200227
(54)【発明の名称】マイクユニット及び音響装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20200131BHJP
   H04R 3/02 20060101ALI20200131BHJP
【FI】
   !H04R1/02 106
   !H04R3/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】2018541710
(21)【国際出願番号】JP2018003955
(22)【国際出願日】20180206
(11)【特許番号】6631719
(45)【特許公報発行日】20200115
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
【住所又は居所】静岡県浜松市中区中沢町10番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 聖一
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】田上 文保
【住所又は居所】静岡県浜松市中区中沢町10番1号 ヤマハ株式会社内
【テーマコード(参考)】
5D017
5D220
【Fターム(参考)】
5D017BC02
5D220CC08
(57)【要約】
音響装置は第1スピーカからの距離と第2スピーカから距離とが略等しくなる位置に配置される双指向性のマイクユニットと、前記マイクユニットから出力される信号に信号処理を施して音信号を出力する音処理部と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スピーカからの距離と第2スピーカから距離とが略等しくなる位置に配置される双指向性のマイクユニットと、
前記マイクユニットから出力される信号に信号処理を施して前記第1スピーカ及び前記第2スピーカへ音信号を出力する音処理部と、を備える音響装置。
【請求項2】
前記マイクユニットは、
ケースと、
前記ケースの内部空間に収納される単一指向性のマイクロホンと、
前記マイクロホンの指向軸に沿った直線上で前記マイクロホンを挟んで前記ケースに開口した第1開口部及び第2開口部と、
を備える請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記ケースは、
底面部と、前記底面部の周縁を囲む壁部と、前記マイクロホンを収納し、且つ前記マイクロホンを収納した状態で前記底面部と前記壁部で囲まれる空間を二つに隔てる収納部と、前記底面部と反対側に開口部を有する本体部と、
前記開口部の一部を覆い前記収納部と接する蓋部とを備え、
前記第1開口部は、前記本体部の長手方向の一方に位置する前記壁部と前記蓋部との間に開口し、
前記第2開口部は、前記本体部の長手方向の他方に位置する前記壁部と前記蓋部との間に開口する、
請求項2に記載の音響装置。
【請求項4】
前記第1開口部と前記第2開口部との間の最短距離は10mm以上40mm以下である請求項3に記載の音響装置。
【請求項5】
前記音信号は、第1音信号と前記第1音信号と同相の第2音信号とを含み、
前記第1音信号は前記第1スピーカに供給され、前記第2音信号は前記第2スピーカに供給される請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の音響装置。
【請求項6】
前記音処理部は、前記マイクユニットから出力される信号と外部信号とを合成する信号処理を施して、前記第1音信号と前記第2音信号とを生成する請求項5に記載の音響装置。
【請求項7】
第1スピーカからの距離と第2スピーカから距離とが略等しくなる位置に配置される双指向性のマイクユニットと、
外部スピーカ及び外部マイクロホンを有する外部装置へ前記外部スピーカに出力される第1信号を送信し、前記外部マイクロホンから出力される第2信号を前記外部装置から受信する通信装置と接続され、前記マイクユニットから出力される信号に信号処理を施して得た音信号を前記第1信号として前記通信装置に出力し、前記通信装置から出力される前記第2信号に信号処理を施して第1音信号及び前記第1音信号と同相の第2音信号を生成し、前記第1音信号を前記第1スピーカに出力し、前記第2音信号を前記第2スピーカに出力する音処理部と、
を備える音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロホンを備える音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の歌唱をマイクロホンで収音して得た歌唱信号と伴奏信号とを合成した信号をスピーカに供給し、スピーカから音を放音するカラオケが広く知られている。車載のカラオケシステムでは、ハウリングを低減するため、例えば、特許文献1には骨伝導手段を自動車のシートに設ける技術が開示されており、また、特許文献2には自動車の各シートに対応させて指向性スピーカを設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−242057号公報
【特許文献2】特許第4999497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、骨伝導手段又は指向性スピーカを採用する場合、カラオケシステムの全体の構成が大がかりとなり、複雑化する。特に、骨伝導手段を用いる場合は、利用者の口元にマイクを配置し、更に利用者はシートに頭を付ける必要がある。このため、利用者の行動が制約されるといった問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ハウリングを低減しつつ音響装置の構成を簡素化することを解決課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る音響装置の一態様は、第1スピーカからの距離と第2スピーカから距離とが略等しくなる位置に配置される双指向性のマイクユニットと、前記マイクユニットから出力される信号に信号処理を施して前記第1スピーカ及び前記第2スピーカへ音信号を出力する音処理部と、を備える。
本発明に係る音響装置の他の態様は、第1スピーカからの距離と第2スピーカから距離とが略等しくなる位置に配置される双指向性のマイクユニットと、外部スピーカ及び外部マイクロホンを有する外部装置へ前記外部スピーカに出力される第1信号を送信し、前記外部マイクロホンから出力される第2信号を前記外部装置から受信する通信装置と接続され、前記マイクユニットから出力される信号に信号処理を施して得た音信号を前記第1信号として前記通信装置に出力し、前記通信装置から出力される前記第2信号に信号処理を施して第1音信号及び前記第1音信号と同相の第2音信号を生成し、前記第1音信号を前記第1スピーカに出力し、前記第2音信号を前記第2スピーカに出力する音処理部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態に係る音響装置の構成例を示す図である。
【図2】音響装置を搭載した車両の平面である。
【図3】音響装置を搭載した車両の側面図である。
【図4】マイクユニットの構造を示す分解斜視図である。
【図5】ケースの平面図である。
【図6】蓋部の平面図である。
【図7】蓋部の断面図である。
【図8】マイクユニットの平面図である。
【図9】位相差の測定実験を説明するための図である。
【図10】指向性が単一指向性のマイクロホンを用いた場合の実験結果を示すグラフである。
【図11】指向性が双指向性のマイクロホンを用いた場合の実験結果を示すグラフである。
【図12】マイクユニットの周波数特性の結果を示す図である。
【図13】張り出し部の効果を説明するためのグラフである。
【図14】張り出し部の効果を説明するためのグラフである。
【図15】音響装置の応用例1を説明するための図である。
【図16】音響装置の応用例2を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法及び縮尺は実際のものと適宜異なる。また、以下に記載する実施形態は、本発明の好適な具体例である。このため、本実施形態には、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
図1は本実施形態に係る音響装置1の構成例を示す図である。音響装置1は、車両に搭載されたカーステレオやスピーカとともに車載カラオケシステムを実現する装置である。音響装置1は、車載カラオケシステムの利用者の歌声を収音するためのマイクユニット100と、マイクユニット100の出力信号Dに信号処理を施す音処理部200とを有する。マイクユニット100と音処理部200はオーディオケーブルなどの信号線によって電気的に接続されている。
【0010】
図2は、音響装置1を搭載した車両Cの平面図であり、図3は車両Cの側面図である。車両Cの車室CRには、音響装置1の他に、矩形に配置された4つの座席51〜54と、天井6と、フロントライトドア71と、フロントレフトドア72と、リアライトドア73と、リアレフトドア74と、第1スピーカSP1と、第2スピーカSP2と、が配置される。車両Cが日本向けの製品である場合、座席51は運転席であり、座席52は助手席である。但し、車両Cが米国又は欧米向けの製品である場合、座席51は助手席であり、座席52は運転席である。以下の説明では車両Cが日本向けの製品であることを想定する。
座席53は後部右座席であり、座席54は後部左座席である。座席51〜54の各々は、布又は革を素材とする材質であり吸音性を有する。座席51〜54は、共通の方向を向いている。
【0011】
第1スピーカSP1、及び第2スピーカSP2の各々は所謂ドアスピーカである。第1スピーカSP1はその放音面を座席51に向けた姿勢でフロントライトドア71に配置されている。第2スピーカSP2はその放音面を座席52に向けた姿勢でフロントレフトドア72に配置されている。図2及び図3では詳細な図示が省略されているが、第1スピーカSP1及び第2スピーカSP2の各々はオーディオケーブルなどの信号線を介して音響装置1の音処理部200に接続されている。図2及び図3では音処理部200の図示も省略されているが、音処理部200は車両Cの運転席側のコンソールに配置されている。
【0012】
音響装置1のマイクユニット100は、収音した音を音信号に変換して音処理部200へ出力する。マイクユニット100は、第1スピーカSP1及び第2スピーカSP2の各々からの距離が略等しくなる位置に配置される。本実施形態では、マイクユニット100は、車室CRの天井6におけるルームランプ近傍に配置される。図2及び図3では、ルームランプの図示は省略されている。
【0013】
音処理部200は例えばDSP(Digital Signal Processor)である。図1に示すように、音処理部200には、マイクユニット100の出力信号Dが与えられるとともに、カーステレオに含まれる楽音再生装置からカラオケ曲の伴奏信号が外部信号Qとして与えられる。図2及び図3では、カラオケ曲の伴奏信号を出力する楽音再生装置の図示は省略されている。この楽音再生装置の具体例としてはCDプレイヤが挙げられる。音処理部200は、マイクユニット100から出力される出力信号Dと外部信号Qとに信号処理を施して第1スピーカSP1に第1音信号X1を出力し、第2スピーカSP2に第2音信号X2を出力する。第2音信号X2は第1音信号X1と同相の信号である。すなわち、音処理部200は、位相差のない第1音信号X1及び第2音信号X2を生成して各スピーカに出力する。音処理部200から第1スピーカSP1へ出力する第1音信号X1と音処理部200から第2スピーカSP2へ出力する第2音信号X2はモノラル信号であっても良く、又はステレオ信号であっても良い。音処理部200が実行する信号処理の具体例としては、マイクユニット100の出力信号Dを増幅する処理、出力信号Dに対してリバーブ等の音響効果を付与する処理、又は出力信号Dと外部信号Qと合成するミキシング処理等が挙げられる。
【0014】
図1に示すマイクユニット100は、車室CR内にてカラオケ曲を歌唱する歌唱者の歌声Z3を収音するためのものであるが、第1スピーカSP1から出力される音Z1及び第2スピーカSP2から出力される音Z2についても収音する。マイクユニット100の出力信号Dは音処理部200による信号処理を経て第1スピーカSP1及び第2スピーカSP2の各々に与えられる。音響装置1を用いた車載カラオケシステムでは、第1スピーカSP1から出力された音Z1及び第2スピーカSP2から出力された音Z2がマイクユニット100及び音処理部200を経由して第1スピーカSP1及び第2スピーカSP2へ帰還する。このため、ハウリングが発生する可能性がある。しかし、本実施形態では、マイクユニット100は双指向性の特性を有する。また、上述したように第1スピーカSP1からマイクユニット100までの距離と第2スピーカSP2からマイクユニット100までの距離とは略等しい。このため、音Z1と音Z2とは、後述するように図8に示すマイクロホン3のダイヤフラムにおいて相殺される。一方、利用者は、座席51又は座席52に着席して発声する。従って、利用者の歌声Z3はマイクユニット100で収音される。マイクユニット100の出力信号Dは利用者の歌声Z3を含む。出力信号Dと外部信号Qとがミキシングされ、第1音信号X1として第1スピーカSP1に出力され第2音信号X2として第2スピーカSP2から出力されるが、マイクロホン3のダイヤフラムにおいて相殺されるので、ハウリングを低減することができる。
【0015】
以下では、ハウリングを低減するマイクユニット100の構造を中心に説明する。図4は、本実施形態に係るマイクユニット100の分解斜視図である。図4に示すようにマイクユニット100は略直方体の形状をしている。マイクユニット100は、ケース2とマイクロホン3とを備える。ケース2は、マイクユニット100からマイクロホン3を除いた部分である。
【0016】
ケース2は、本体部10と蓋部40とを備える。本体部10及び蓋部40は、例えば、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)等の樹脂を材料とし、各々一体成形で製造される。本体部10の形状は、略箱型である。本体部10は、底面部11と、底面部11の周縁を囲む壁部とを備える。壁部は、第1壁111、第2壁112、第3壁113、及び第4壁114を備える。第1壁111は第2壁112と向かい合い、第3壁113は第4壁114と向かい合う。この例において、第1壁111、第2壁112、第3壁113、及び第4壁114の高さは等しく、底面部11に対して垂直に設けられている。第1壁111、第2壁112、第3壁113、及び第4壁114の蓋部40側には、内側に溝13が形成されている。図4に示す蓋部4の幅W1と、本体部10の第1壁111の溝13から本体部10の第2壁112の溝13までの長さW2は略等しい。蓋部40は溝13に嵌め込むことが可能である。
【0017】
本体部10には、第1壁111と第2壁112との間にマイクロホン3を収納する収納部20が設けられている。収納部20は、貫通孔21を有している。貫通孔21の断面は円形であり、貫通孔21に円柱の形状をしたマイクロホン3が嵌め込まれる。なお、図4では省略したが、マイクロホン3と音処理部200とを接続する信号線を外部に引き出すための貫通孔が本体部10に設けられている。収納部20は、マイクロホン3を収納し、且つマイクロホン3を収納した状態で底面部11と壁部で囲まれる空間を二つに隔てる。
【0018】
収納部20の蓋部40の側は、蓋部40の下部の曲面に沿うように、曲面となっている。具体的には、蓋部40の下部の曲面の曲率半径は、収納部20の上部の曲率半径と略等しい。図4に示すように、収納部20の蓋部40側には、蓋部40の裏面に設けられた2つの爪部411の各々が嵌め込まれる2つの穴22が設けられている。本実施形態では、蓋部40の裏面に設けられた2つの爪部411の各々を上記2つの穴22の各々に嵌め込むように蓋部40を本体部10に装着することで、本体部10に対して蓋部40が固定される。
【0019】
図5は、本体部10の平面図である。図5において、本体部10の長手方向がX方向であり、これと直交する短手方向がY方向である。図4及び図5に示すように、本体部10は、底面部11と反対側に開口する開口部Rを備える。開口部RのX方向の長さは、蓋部40のX方向の長さより長い。第1壁111、第2壁112、第3壁113、第4壁114、及び底面部11により区画された本体部10の内部空間は、収納部20によって内部空間K1と内部空間K2とに略等分される。
【0020】
図6は、蓋部40の平面図であり、図7は図6に示す蓋部40を破断線E−E’で切断した断面図である。図6において、蓋部40の長手方向がX方向であり、これと直交する短手方向がY方向である。蓋部40の裏面、すなわち本体部10の側の面には、本体部10の側に突出した2つの爪部411が形成されている。爪部411の高さは、穴22の深さよりも短く、爪部411を穴22に嵌め込んだ場合、蓋部40が収納部20から浮き上がることがない。蓋部40は、本体部10の開口部Rの一部を覆い、収納部20と接する。
【0021】
図8は、マイクユニット100の平面図である。マイクロホン3は、音を電気信号に変換して音信号として出力する。マイクロホン3の形式は、ムービングコイル型、リボン型、コンデンサ型の何れかであってもよい。本実施形態では、マイクロホン3として、エレクトレットコンデンサマイクロホンが用いられている。マイクロホン3は、ダイヤフラムとエレクトレット素子とを備える。マイクロホン3では、ダイヤフラムとエレクトレット素子とによってコンデンサが構成され、ダイヤフラムが音波によって振動することによってダイヤフラムとエレクトレット素子との距離が変化する。これによりコンデンサの容量値が変化し、マイクロホン3は容量値の変化を音信号として出力する。
【0022】
図8に示すように、マイクユニット100のケース2の上面には、第1開口部S1と第2開口部S2が設けられている。第1開口部S1は、開口部Rにおける本体部10の長手方向の一方の壁部である第4壁114と蓋部40との間に開口する。第2開口部S2は、開口部Rにおける本体部10の長手方向の他方の壁部である第3壁113と蓋部40との間に開口する。第1開口部S1は、第1壁111、第2壁112、第4壁114及び蓋部40によって囲まれている。第2開口部S2は、第1壁111、第2壁112、第3壁113及び蓋部40によって囲まれている。
【0023】
以下の説明では、第4壁114と向かい合うマイクロホン3の面を第1面P1、第3壁113と向かい合うマイクロホン3の面を第2面P2、第1面P1から第4壁114に向かう方向を第1方向D1、第1方向D1と反対の方向であって第2面P2から第3壁113に向かう方向を第2方向D2とする。マイクロホン3の第1面P1から第1方向D1へ蓋部40が張り出した張り出し部421の長さをL1、マイクロホン3の第2面P2から第2方向D2へ蓋部40が張り出した張り出し部422の長さをL2とする。本実施形態では、L1とL2とが略等しくなるように蓋部40が構成されている。即ち、第1開口部S1からマイクロホン3の第1面P1に至る距離は、第2開口部S2からマイクロホン3の第2面P2に至る距離と等しい。
【0024】
本実施形態におけるマイクロホン3は第1方向D1の方向にのみ感度を有する単一指向性マイクである。ケース2における第1開口部S1と第2開口部S2は、マイクロホン3の指向軸に沿った直線上でマイクロホン3を挟んで設けられている。以下、このような単一指向性マイクを用いてマイクユニット100を構成した理由を、本願発明者の行った実験の結果を参照しつつ説明する。
【0025】
<実験結果1>
本願の発明者は、マイクユニット100に入射する音とマイクユニット100から出力される音信号の位相差をマイクユニット100に対する音の入射方向毎に測定する実験を行った。
【0026】
この実験では、図9におけるXYZ座標の原点にマイクユニット100の長手方向がX方向となり、マイクユニット100の短手方向がY方向となるようにマイクユニット100を配置した。マイクユニット100からX軸の正の方向に所定距離だけ隔ててスピーカを配置した。X軸の正の方向は図8に示す第1方向D1となる。マイクユニット100はZ軸と並行な点Jを通る軸を中心にXY平面上で回転させることができる。
【0027】
まず、マイクユニット100に対する上記スピーカからの音の入射角が0度となるようにマイクユニット100の位置を設定する。この状態で100Hz、300Hz、400Hz、600Hz、800Hz、1000Hz、1500Hz、2000Hz及び2500Hzの各周波数の音をスピーカからマイクユニット100に向けて放射して上記位相差を計測する実験を行った。
【0028】
この後、マイクユニット100に対する上記スピーカからの音の入射角が30度、60度、90度、100度、110度、120度、150度及び180度となるようにマイクユニット100をXY平面上で回転させた。そして、各入射角について、入射角が0度の場合と同様に、100Hz、300Hz、400Hz、600Hz、800Hz、1000Hz、1500Hz、2000Hz及び2500Hzの各周波数の音をマイクユニット100に向けて放射して上記位相差を計測した。この実験結果を図10に示す。
【0029】
図10を参照すれば明らかなように、マイクユニット100に入射する音とマイクユニット100から出力される音信号の位相差はマイクユニット100に対する音の入射角が0度であるときは0度であり、入射角が30度、60度、90度と大きくなるに連れて±30度の範囲で次第に大きくなる。音の入射角が90度よりも大きくなると上記位相差は拡大し、入射角が180度では位相差は90度〜150度程度となる。注目すべき点は、マイクロホン3は第1方向D1の方向にのみ感度を有する単一指向性マイクであるにも拘らず、マイクユニット100では入射角が180度の方向、すなわち、第2方向D2の方向から到来する音に対しても感度を有し位相差が発生している。マイクユニット100はあたかも双指向性マイクロホンのように振る舞う。これは、マイクユニット100では、第2方向D2の方向から到来した音がケース2における第2開口部S2→内部空間K2→蓋部40と収納部20の隙間→内部空間K1と回り込むこと起因していると考えられる。
【0030】
音響装置1の搭載された車両Cにおいて、第1スピーカSP1がマイクユニット100に対して入射角0度の方向に位置しており、第2スピーカSP2が入射角180度の方向に位置していたとする。この場合、第1スピーカSP1から出力された音と当該音に応じてマイクユニット100から出力される音信号の位相差は0度となり、第2スピーカSP2から出力された音と当該音に応じてマイクユニット100から出力される音信号の位相差は90〜150度となる。
【0031】
前述したように本実施形態では、マイクユニット100は第1スピーカSP1からの距離と第2スピーカSP2からの距離が略等しい位置に配置されており、第1スピーカSP1と第2スピーカSP2の各々からは同相の音が出力される。このため、本実施形態では、第1スピーカSP1から出力された音と第2スピーカSP2から出力された音についてのマイクロホン3のダイヤフラム上での位相差は90度〜150度となり、第1スピーカSP1から出力された音と第2スピーカSP2から出力された音はマイクロホン3のダイヤフラム上では当該位相差に応じて相殺される。その結果、マイクユニット100の出力信号Dでは、車載カラオケシステムの利用者の歌声に対応する信号成分が主な信号成分となる。第1スピーカSP1からの距離と第2スピーカSP2からの距離が略等しいとは、距離が完全に一致する必要はなく、第1スピーカSP1から出力される音と、第2スピーカSP2から出力される音の一部が双指向性のマイクユニット100において相殺される位置にマイクユニット100が配置されることを意味する。例えば、第1スピーカSP1からマイクユニット100まの距離と第2スピーカSP2からマイクユニット100まの距離との比が80%以上120%以下であることが好ましい。
【0032】
このように、第1スピーカSP1及び第2スピーカSP2の各々から出力された音はマイクユニット100のダイヤフラム上で一部又は全部が相殺される。従って、マイクユニット100の出力信号Dと外部信号Qとをミキシングした音信号を第1スピーカSP1及び第2スピーカSP2の各々に与えたとしても、ハウリングが低減される。なお、本願発明者が別途行った実験によれば、マイクユニット100に対して0度方向から到来する音と180度方向から到来する音との位相差が150度〜210度の範囲に収まっていれば、ハウリングの低減効果が得られることが判明した。
【0033】
また、本願発明者は、マイクユニット100に代えて双指向性マイクロホンを用いて、マイクユニット100に対する実験と同様の実験を行った。この実験では音の入射角を変えつつ当該双指向性マイクロホンに入射する音と当該双指向性マイクロホンから出力される音信号の位相差を測定した。より詳細に説明すると、本願発明者は、100Hz、250Hz、500Hz、1000Hz、及び2500Hzの各周波数の音について上記位相差を計測する実験を行った。この実験結果を図11に示す。
【0034】
図11を参照すれば明らかなように、双指向性マイクロホンに対する音の入射角が0度であるときの位相差は0度であり、入射角が30度、60度、90度と大きくなるに連れて位相差は次第に大きくなる。この点はマイクユニット100の場合と同様である。そして、音の入射角が90度よりも大きくなると位相差は急峻に大きくなり、入射角が120度以上では位相差はほぼ一定(180度)となる。双指向性マイクロホンは音の入射角180度の方向にも感度を有するからである。
【0035】
図11に示す実験結果からすると、双指向性マイクロホンに対して入射角0度方向と入射角180度方向とから同相の音を放射すれば、双指向性マイクロホンのダイヤフラム上で両者の音を完全に相殺できると考えられる。このため、音響装置1においてマイクユニット100に代えて双指向性マイクロホンを用い、第1スピーカSP1と第2スピーカSP2とから同相の音を出力すれば、マイクユニット100を用いた場合よりも更にハウリングを低減できるかに見える。
【0036】
しかし、本願発明者の行った実験によれば、マイクユニット100を用いた方が特に低音域において良好な音を得られることが判明した。これは、第1スピーカSP1がマイクユニット100に対して入射角0度内には、座席51〜54や各座席に着席している搭乗者など音の伝搬に影響を与える物が多数存在すること、及び、低音ほど音の回り込みが発生し易く車室CR内に存在する物の影響を受け易いこと、に起因していると考えられる。このように、双指向性マイクロホンを用いた場合よりも低音域において良好な音が得られるため、本実施形態では、単一指向性のマイクロホン3をケース2に収めることで双指向性を持たせたマイクユニット100が用いられている。
【0037】
<実験結果2>
本願発明者は、マイクユニット100の出力信号Dに対する張り出し部421及び422の有無の影響を見極めるために以下の実験を行った。より詳細に説明すると、本願発明者は、可聴帯域を含む10Hz〜20000Hzの周波数範囲において、張り出し部421及び422を有するマイクユニット100と張り出し部421及び422の無いマイクユニット100の各々について出力信号Dの周波数特性を測定する実験を行った。この実験結果を図12に示す。なお、張り出し部421及び422の無いマイクユニット100とは、L1=L2=0となるように蓋部40が形成されたマイクユニット100のことを言う。
【0038】
図12に示すように、400Hzよりも高い周波数範囲の各周波数において張り出し部421及び422を有するマイクユニット100の出力信号Dの音圧レベルと張り出し部421及び422の無いマイクユニット100の出力信号Dの音圧レベルは概ね等しいものの、400Hzより低い周波数では前者の音圧レベルが高くなっている。これは、張り出し部421及び422を有するマイクユニット100では、張り出し部421及び422と収納部20と底面部11と底面部11に対して垂直に起立する壁部とによってヘルムホルツ共鳴器が形成され、このヘルムホルツ共鳴器の共鳴によって400Hzより低い周波数の音の音圧レベルが増強されていると考えられる。
【0039】
具体的には、マイクユニット100では、内部空間K1のうち張り出し部421によって覆われた部分をキャビティとし、第1開口部S1をネックとするヘルムホルツ共鳴器が形成されると考えられる。同様に、内部空間K2においても張り出し部422によって覆われた部分をキャビティとし、第2開口部S2をネックとするヘルムホルツ共鳴器が形成されると考えられる。そして、これらヘルムホルツ共鳴器によって400Hzより低い周波数の音の音圧レベルが増強されていると考えられる。本実施形態では、マイクユニット100には、張り出し部421及び422が設けられている。この結果、マイクユニット100の出力信号Dは400Hzより低い低音域の音量が増加する。
【0040】
<実験結果3>
また、本願発明者は、張り出し部421及び422の好適な長さを見極めるために以下の実験を行った。すなわち、本願発明者は、張り出し部421の長さL1及び張り出し部422のL2の各々を5mm、7mm、10mm、15mm、及び20mmとしたマイクユニット100に対して100Hz及び200Hzの各周波数の音を放射した場合に当該マイクユニット100から出力される出力信号Dの音圧レベルを計測する実験を行った。これらの実験結果を図13及び図14に示す。
【0041】
図13は、100Hzの周波数の音についての計測結果を示すグラフであり、図14は200Hzの周波数の音についての計測結果を示すグラフである。図13及び図14を参照すれば明らかなように、100Hzの周波数の音と200Hzの周波数の音の何れについても、張り出し部421及び422の長さが5〜10mmの範囲では張り出し部421及び422が長くなるほどマイクユニット100の出力信号の音圧レベルは高くなる。また、張り出し部421及び422の長さが10〜15mmの範囲ではマイクユニット100の出力信号Dの音圧レベルは略一定となる。そして、張り出し部421及び422の長さが15mmを上回ると再び張り出し部421及び422が長くなるほどマイクユニット100の出力信号Dの音圧レベルは高くなる。
【0042】
従って、マイクユニット100における張り出し部421及び422は長ければ長い程好ましく、少なくとも5mm以上であることが好ましいと考えられる。マイクユニット100では張り出し部421及び422の長さに応じて上記ヘルムホルツ共鳴器のキャビティの体積が定まり、張り出し部421及び422の長さが十分でないと、換言すればキャビティの体積が十分でないと、ヘルムホルツ共鳴が発現しないと考えられるからである。また、張り出し部421及び422が長ければ長い程音響的には好ましいと考えられるが、張り出し部421及び422を長くするとマイクユニット100は必然的に大きくなり、ルームランプ近傍への配置に支障が生じる。ルームランプ近傍へのマイクユニット100の配置を考慮すると、張り出し部421及び422の長さは最大でも20mm程度が好ましいと考えられる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の音響装置1によれば、マイクユニット100の出力信号Dと外部信号Qとをミキシングした音信号を第1スピーカSP1及び第2スピーカSP2の各々に与えたとしても、ハウリングが低減される。加えて、本実施形態では、シートに頭を付けることを利用者に強いるなど利用者の行動が制約されることはなく、双指向性マイクロホンを用いた場合よりも低音域において良好な音が得られる。つまり、本実施形態によれば、ハウリングを低減しつつ音響装置1の構成を簡素化でき、しかも低音域の音量を大きくできる。
【0044】
<応用例1>
次に、音響装置1の応用例について説明する。音響装置1は、マイクユニット100により収音した歌声とカラオケの伴奏音とをミキシングし、第1スピーカSP1及び第2スピーカSP2の各々から同相の音として出力させる。音響装置1では、同相の音をマイクユニット100のダイヤフラム上で相殺することで、ハウリングを低減している。ハウリングの低減が重要となり、かつ車載マイク及び車載スピーカを利用する他の技術としては車載用のハンズフリー電話が挙げられる。音響装置1は車載用のハンズフリー電話にも応用可能である。
【0045】
例えば、図15に示すように車両CAには利用者Aが操作する通話装置3Aが設けられており、車両CBでは利用者Bが通話装置3Bを操作することを想定する。通話装置3Aは、音響装置1A、通信装置2A、第1スピーカSP1a及び第2スピーカSP2aを備える。通話装置3Bは、音響装置1B、通信装置2B、第1スピーカSP1b及び第2スピーカSP2bを備える。上述した実施形態と同様にマイクユニット100a及び100bは双指向性である。また、第1スピーカSP1aからマイクユニット100aまでの距離と第2スピーカSP2aからマイクユニット100aまでの距離とは略等しい。同様に第1スピーカSP1bからマイクユニット100bまでの距離と第2スピーカSP2bからマイクユニット100bまでの距離とは略等しい。音響装置1A及び1Bは、上述した音響装置1と同様に構成されている。音響装置1Aの音処理部200aは、マイクユニット100aから出力される出力信号Dに信号処理を施して得た音信号を第1信号Maとして通信装置2Aに出力する。通信装置2Aは第1信号Maを外部装置として機能する通話装置3Bへ送信する。また、通信装置2Aは第2信号Mbを受信して音処理部200aへ出力する。音処理部200aは、第2信号Mbに信号処理を施して第1音信号X1及び第1音信号X1と同相の第2音信号X2を生成し、第1音信号X1を第1スピーカSP1aに出力し、第2音信号X2を第2スピーカSP2に出力する。この例の音処理部200aは、出力信号Dと通話装置3Bから受信した第2信号Mbとをミキシングして音信号を生成しない。この点で、音処理部200aは上述した実施形態の音処理部200と相違する。
【0046】
通話装置3Bは、通話装置3Aと同様に構成されている。従って、音響装置1Bの音処理部200bは出力信号Dと通話装置3Aから受信した第1信号Maとをミキシングして音信号を生成しない。マイクユニット100bは通話装置3B及び音響装置1Bの外部に設けられた外部マイクロホンとして機能し、第1スピーカSP1b及び第2スピーカSP2bは通話装置3B及び音響装置1Bの外部に設けられた外部スピーカとして機能する。
【0047】
通話装置3A及び通話装置3Bを用いた車載ハンズフリー電話では、利用者Bの音声は、以下の経路で循環する。経路は、通話装置3Bのマイクユニット100b→通信装置2B→通信装置2A→音響装置1Aに接続された第1スピーカSP1a及び第2スピーカSP2a→音響装置1Aのマイクユニット100aとなる。この経路で音がフィードバックされると、ハウリングが発生する。しかし、第1スピーカSP1a及び第2スピーカSP2aの各々から出力された音は双指向性のマイクユニット100aにおいて相殺されるので、ハウリングが低減される。
また、利用者Aの音声は、利用者Bの音声と同様に、第1スピーカSP1b及び第2スピーカSP2bの各々から出力された音は双指向性のマイクユニット100bにおいて相殺されるので、ハウリングが低減される。
【0048】
<応用例2>
応用例2は、応用例1と同様に、上述した音響装置1をハンズフリー電話に適用したものである。但し、車両CAには利用者Aが操作する通話装置3Aが設けられており、車両CBでは利用者Bが通話装置3Cを操作することを想定する。この例の通話装置3Cは携帯電話である。
図16に通信システムのブロック図を示す。通話装置3Cは、音響装置1C、通信装置2C及び外部スピーカSPcを備える。音響装置1Cは、外部マイクロホン100c及び音処理部200cを備える。外部マイクロホン100cは利用者Bの口元に位置し、外部スピーカSPcは利用者Bの耳元に位置する。従って、外部スピーカSPcから出力された音は外部マイクロホン100cに入力されない。音処理部200cは、外部マイクロホン100cから出力される第2信号Mbを通信装置2Cに出力する。通信装置2Cは第2信号Mbを通話装置3Aへ送信する。また、通信装置2Cは第1信号Maを受信して音処理部200cへ出力する。音処理部200cは、第1信号Maに信号処理を施して外部スピーカSPcに出力する。
【0049】
通話装置3A及び通話装置3Cを用いた通信システムでは、利用者Aの音声は、以下の経路で伝送される。経路は、通話装置3Aのマイクユニット100a→通信装置2A→通話装置3Cの通信装置2C→音響装置1Cに接続された外部スピーカSPcとなる。外部スピーカSPcから出力される音は外部マイクロホン100cに入力されないので、利用者Aの音声が通話装置3Cから通話装置3A戻ってこない。従って、利用者Aの音声は循環しない。また、利用者Bの音声は、応用例1で説明したように循環しない。従って、通話装置3Cが携帯電話又は固定電話のようにスピーカから出力される音がマイクロホンに入力しない構成の場合、利用者Bの音声が通話装置3Aから通話装置3Cに戻ってしまい、利用者Bの音声が通話装置3Cで聞こえてしまうといった不都合を解消することができる。
【0050】
<変形例>
以上の実施態様は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は相矛盾しない限り適宜に併合され得る。
(1)ハウリング低減効果を高めるために、音処理部200における信号処理に、適応フィルタやノッチフィルタを利用した周知のハウリングキャンセル処理を含めてもよい。
【0051】
(2)上述した実施形態の音響装置1では、第1開口部S1及び第2開口部S2を有するケース2に単一指向性のマイクロホン3を収納することで双指向性を持たせたマイクユニット100を用いた。しかし、単一指向性のマイクロホン3に代えて双指向性のマイクロホンを用いてもよい。
【0052】
(3)上述の実施形態では音響装置1の車載カラオケシステムへの適用例を説明し、上述の応用例では音響装置1の車載ハンズフリー電話への適用例を説明したが、音響装置1の適用対象は車載システムに限定されない。例えば住宅の居間などに配置されるカラオケシステムやハンズフリー電話に音響装置1を適用してもよい。
(4)上述したように第1音信号X1及び第2音信号X2は、ステレオ信号でも良いし、あるいはモノラル信号でも良い。音処理部200に入力する外部信号Qがステレオ信号である場合、第1音信号X1及び第2音信号X2はステレオ信号となる。一方、音処理部200に入力する外部信号Qがモノラル信号である場合、第1音信号X1及び第2音信号X2はモノラル信号となる。第1音信号X1及び第2音信号X2がステレオ信号となる場合、モノラル信号と比較して、ハウリングの抑制効果が低減する。そこで、音処理部200に以下の機能を持たせても良い。音処理部200は、音処理部200に入力する外部信号Qがステレオ信号の場合、外部信号Qをモノラル信号に変換する信号変換部を備える。この信号変換部は、ユーザーの入力操作に応じてステレオ信号をモノラル信号に変換する。あるいは、信号変換部は自動でステレオ信号をモノラル信号に変換する。さらに、信号変換部は第1音信号X1及び第2音信号X2の信号レベルが基準値以上となる場合に、自動でステレオ信号をモノラル信号に変換しても良い。
【0053】
<実施形態及び各変形例の少なくとも1つから把握される態様>
上述した実施形態及び各変形例の少なくとも1つから以下の態様が把握される。
音響装置の一態様は、第1スピーカからの距離と第2スピーカから距離とが略等しくなる位置に配置される双指向性のマイクユニットと、前記マイクユニットから出力される信号に信号処理を施して前記第1スピーカ及び前記第2スピーカへ音信号を出力する音処理部と、を備える。この態様によれば、第1スピーカ及び第2スピーカの各々から同相の音を出力させるようにすれば、それらの音をマイクユニットのダイヤフラム上で略相殺し、第1スピーカ及び第2スピーカの各々から出力された音に対応する信号成分の少ない音信号をマイクユニットから音処理部へ出力させることができる。
【0054】
上述した音響装置の一態様として、前記マイクユニットは、ケースと、前記ケースの内部空間に収納される単一指向性のマイクロホンと、前記マイクロホンの指向軸に沿った直線上で前記マイクロホンを挟んで前記ケースに開口した第1開口部及び第2開口部と、を備えることが好ましい。この態様によれば、マイクユニットとして双指向性マイクロホンを用いたマイクユニットを用いた場合に比較して、音の回り込みに影響を与える物が存在する空間で上記音響装置を利用しても第1及び第2スピーカの各々から出力された音をマイクロホンのダイヤフラム上で適度に相殺することができる。
【0055】
上述した音響装置の一態様として、第1開口部と第2開口部との間の最短距離、換言すれば張り出し部421及び422の各々の長さの略2倍の距離は10mm以上40mm以下であることが好ましい。上述した音響装置では第1開口部と第2開口部との間の最短距離に応じて第1開口部をネックとするヘルムホルツ共鳴器と第2開口部をネックとするヘルムホルツ共鳴器が形成され、これらヘルムホルツ共鳴器のキャビティの大きさは第1開口部と第2開口部の距離に応じて定まる。第1開口部と第2開口部との間の最短距離が10mmを下回ると十分な大きさのキャビティを確保することができず、ヘルムホルツ共鳴器として機能しなくなる。一方、第1開口部と第2開口部の距離が40mmを上回るマイクユニット100が大きくなりすぎ、ルームランプ近傍への配置に支障が生じる。従って、第1開口部と第2開口部の距離は0mm以上40mm以下であることが好ましい。
【0056】
上述した音響装置の一態様として、前記音信号は、第1音信号と前記第1音信号と同相の第2音信号とを含み、前記第1音信号は前記第1スピーカに供給され、前記第2音信号は前記第2スピーカに供給されることが好ましい。この態様によれば第1及び第2スピーカの各々から出力された音がマイクユニット及び音処理部経由で第1及び第2スピーカに帰還することが回避され、ハウリングを低減することができる。
【0057】
上述した音響装置の一態様として、前記音処理部は、前記マイクユニットから出力される信号と外部信号とを合成する信号処理を施して、前記第1音信号と前記第2音信号とを生成することが好ましい。この態様によれば、マイクユニットから出力される信号と外部信号とを合成した信号を第1スピーカと第2スピーカに供給するが、第1スピーカからマイクユニットまでの距離と第2スピーカからマイクユニットまでの距離とは略等しいので、双指向性のマイクユニットにおいて、第1スピーカからの音と第2スピーカからの音が相殺される。従って、マイクユニットは、利用者の音声を電気信号に変換して出力することができる。この結果、例えば、カラオケ又はハンズフリー電話においてハウリングを低減することができる。
【0058】
音響装置の他の態様は、第1スピーカからの距離と第2スピーカから距離とが略等しくなる位置に配置される双指向性のマイクユニットと、外部スピーカ及び外部マイクロホンを有する外部装置へ前記外部スピーカに出力される第1信号を送信し、前記外部マイクロホンから出力される第2信号を前記外部装置から受信する通信部と接続され、前記マイクユニットから出力される信号に信号処理を施して得た音信号を前記第1信号として前記通信部に出力し、前記通信部から出力される前記第2信号に信号処理を施して第1音信号及び前記第1音信号と同相の第2音信号を生成し、前記第1音信号を前記第1スピーカに出力し、前記第2音信号を前記第2スピーカに出力する音処理部と、を備える。
この態様によれば、音響装置を用いて利用者が喋ると、利用者の音声がマイクユニットによって収音され第1信号として相手方の外部装置に送信される。一方、相手方の音声は外部マイクロホンによって第2信号に変換される。音処理部は第2信号に基づいて第1音信号及び第2音信号を生成するので、利用者は相手方の音声を聞くことができる。また、第1スピーカと第2スピーカから出力される相手方の音声は双指向性のマイクユニットで相殺されるので、ハウリングを低減することができる。
【符号の説明】
【0059】
1…音響装置、100…マイクユニット、100c…外部マイクロホン、200…音処理部、2…ケース、2A…通信装置、3…マイクロホン、10…本体部、11…底面部、12…貫通孔、13…溝部、20…収納部、21…貫通孔、22…穴、40…蓋部、411…爪部、421,422…張り出し部、111…第1壁、112…第2壁、113…第3壁、114…第4壁、D1…第1方向、D2…第2方向、S1…第1開口部、S2…第2開口部、SP1…第1スピーカ、SP2…第2スピーカ、SPc…外部スピーカ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】

【手続補正書】
【提出日】20180809
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有するケースと、
前記ケースの前記内部空間に収納される単一指向性のマイクロホンと、
前記ケースに設けられた第1開口部と、
前記ケースに設けられた第2開口部と、
を備え、
前記第1開口部及び前記第2開口部は、前記マイクロホンの指向軸に沿った直線上で前記マイクロホンを挟んで配置される、
マイクユニット。
【請求項2】
前記ケースは、本体部と蓋部とを備え、
前記本体部は、
底面部と、
前記底面部の周縁を囲む壁部と、
前記マイクロホンを収納し、且つ前記マイクロホンを収納した状態で前記底面部と前記壁部で囲まれる空間を二つに隔てる収納部と、
前記底面部と反対側に開口部を有し、
前記蓋部は、前記開口部の一部を覆い前記収納部と接し、
前記第1開口部は、前記本体部の長手方向の一方に位置する前記壁部と前記蓋部との間隙であり、
前記第2開口部は、前記本体部の長手方向の他方に位置する前記壁部と前記蓋部との間隙である、
請求項1に記載のマイクユニット。
【請求項3】
前記第1開口部と前記第2開口部との間の距離は10mm以上40mm以下である請求項2に記載のマイクユニット。
【請求項4】
請求項1乃至3のうち何れか1項に記載のマイクユニットと、
前記マイクユニットから出力される信号に信号処理を施して第1スピーカ及び第2スピーカへ音信号を出力する音処理部と、
を備え、
前記マイクユニットは、前記第1スピーカからの距離と前記第2スピーカからの距離とが略等しくなる位置に配置される、
音響装置。
【請求項5】
前記音信号は、第1音信号と前記第1音信号と同相の第2音信号とを含み、
前記第1音信号は前記第1スピーカに供給され、前記第2音信号は前記第2スピーカに供給される請求項に記載の音響装置。
【請求項6】
前記音処理部は、前記マイクユニットから出力される信号と外部信号とを合成する信号処理を施して、前記第1音信号と前記第2音信号とを生成する請求項5に記載の音響装置。
【請求項7】
請求項1乃至3のうち何れか1項に記載のマイクユニットと、
外部スピーカ及び外部マイクロホンを有する外部装置へ前記外部スピーカに出力される第1信号を送信し、前記外部マイクロホンから出力される第2信号を前記外部装置から受信する通信装置と接続される音処理部と、
を備え、
前記マイクユニットは、第1スピーカからの距離と第2スピーカからの距離とが略等しくなる位置に配置され、
前記音処理部は、前記マイクユニットから出力される信号に信号処理を施して得た音信号を前記第1信号として前記通信装置に出力し、前記通信装置から出力される前記第2信号に信号処理を施して第1音信号及び前記第1音信号と同相の第2音信号を生成し、前記第1音信号を前記第1スピーカに出力し、前記第2音信号を前記第2スピーカに出力する
響装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、マイクロホンを備えるマイクニット及び、マイクユニットを備える音響装置に関する。
【国際調査報告】