(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2019167274
(43)【国際公開日】20190906
【発行日】20200409
(54)【発明の名称】付加製造装置および付加製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/21 20140101AFI20200313BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20200313BHJP
   B23K 26/342 20140101ALI20200313BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20200313BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20200313BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20200313BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20200313BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20200313BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20200313BHJP
   B29C 64/141 20170101ALI20200313BHJP
【FI】
   !B23K26/21 Z
   !B23K26/34
   !B23K26/342
   !B22F3/105
   !B22F3/16
   !B33Y30/00
   !B33Y10/00
   !B33Y50/02
   !B29C64/393
   !B29C64/141
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
【出願番号】2018550002
(21)【国際出願番号】JP2018008111
(22)【国際出願日】20180302
(11)【特許番号】6452920
(45)【特許公報発行日】20190116
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】加藤木 英隆
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】中野 善和
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
【テーマコード(参考)】
4E168
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4E168BA35
4E168BA37
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4F213WL87
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
付加製造装置(1)は、造形材料を溶融させるレーザビームを送給位置へ照射する照射部と、ビードを積み上げて基材(2)に堆積物を造形するための制御を担う制御部である数値制御装置(3)と、制御部による制御のためのパラメータの演算処理を実行する演算部である演算装置(4)とを備える。演算部は、積み重ねられる2つのビードのうち先に形成されるビードである第1のビードの形成における送給位置である第1の位置と、2つのビードのうち第1のビードに積み上げられるビードである第2のビードの形成における送給位置である第2の位置とについて、第1のビードの幅とレーザビームの径とを基に、第1のビードの幅の方向である設定方向における第1の位置と第2の位置との間隔を算出する。制御部は、第1の位置から設定方向へ間隔だけずれた位置を第2の位置とする制御により、第2のビードの一部を第1のビードよりも設定方向へ突出させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に堆積物を造形する付加製造装置であって、
造形材料を送給位置へ送給する送給部と、
前記造形材料を溶融させるレーザビームを前記送給位置へ照射する照射部と、
前記基材に対する前記送給位置の移動と前記造形材料の溶融とにより形成されるビードを積み上げて前記堆積物を造形するための制御を担う制御部と、
前記制御部による制御のためのパラメータの演算処理を実行する演算部と、を備え、
前記演算部は、積み重ねられる2つのビードのうち先に形成されるビードである第1のビードの形成における前記送給位置である第1の位置と、前記2つのビードのうち前記第1のビードに積み上げられるビードである第2のビードの形成における前記送給位置である第2の位置とについて、前記第1のビードの幅と前記レーザビームの径とを基に、前記第1のビードの前記幅の方向である設定方向における前記第1の位置と前記第2の位置との間隔を算出し、
前記制御部は、前記第1の位置から前記設定方向へ前記間隔だけずれた位置を前記第2の位置とする制御により、前記第2のビードの一部を前記第1のビードよりも前記設定方向へ突出させることを特徴とする付加製造装置。
【請求項2】
前記演算部は、前記ビードの形状の測定により得られた実測値を基に、前記間隔を補正することを特徴とする請求項1に記載の付加製造装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記第2の位置を前記送給位置とする前記レーザビームの照射における前記レーザビームの径を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の付加製造装置。
【請求項4】
前記演算部は、前記第2の位置を前記送給位置とする前記レーザビームの照射における前記第1のビードからの前記レーザビームのはみ出し幅を基に、前記間隔を補正することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の付加製造装置。
【請求項5】
前記造形材料がワイヤであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の付加製造装置。
【請求項6】
前記第1のビードの前記幅をBW、前記レーザビームの径をLD、前記間隔を表すパラメータであって前記第1の位置から前記第2の位置への前記送給位置の移動量をKS、として、前記演算部は、KS+LD/2≦BW/2の関係を満足する前記KSを算出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の付加製造装置。
【請求項7】
基材に堆積物を造形する付加製造装置の付加製造方法であって、
造形材料を送給位置へ送給する工程と、
前記造形材料を溶融させるレーザビームを前記送給位置へ照射する工程と、
前記基材に対する前記送給位置の移動と前記造形材料の溶融とにより形成されるビードを積み上げて前記堆積物を造形するための制御を行う工程と、
前記制御のためのパラメータの演算処理を実行する工程と、を含み、
積み重ねられる2つのビードのうち先に形成されるビードである第1のビードの形成における前記送給位置である第1の位置と、前記2つのビードのうち前記第1のビードに積み上げられるビードである第2のビードの形成における前記送給位置である第2の位置とについて、前記第1のビードの幅と前記レーザビームの径とを基に、前記第1のビードの前記幅の方向である設定方向における前記第1の位置と前記第2の位置との間隔を算出し、
前記第1の位置から前記設定方向へ前記間隔だけずれた位置を前記第2の位置とする制御により、前記第2のビードの一部を前記第1のビードよりも前記設定方向へ突出させることを特徴とする付加製造方法。
【請求項8】
前記設定方向を第1の設定方向とする前記ビードの積み上げにより第1の堆積物を造形する工程と、
前記設定方向を第2の設定方向とする前記ビードの積み上げにより、前記第1の堆積物へ向けて延ばされる第2の堆積物を造形する工程と、
前記第1の堆積物と前記第2の堆積物とを前記基材より上方にて繋いで、1つの構造物を造形する工程と、を含むことを特徴とする請求項7に記載の付加製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元造形物を製造する付加製造装置および付加製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
指向性エネルギー堆積法により三次元造形物を製造する付加製造装置が知られている。付加製造装置としては、レーザビームにより造形材料を溶融させて、溶融した造形材料からなるビードの堆積による堆積物を造形するものがある。また、アーク放電により造形材料を溶融させて堆積物を造形する付加製造装置がある。特許文献1には、造形材料であるワイヤをアーク放電により溶融して形成されるビードを積み上げて三次元造形物である堆積物を造形する造形装置の技術が開示されている。特許文献1の造形装置は、下層のビードから変位させた上層のビードを積み上げていくことにより、傾斜を含む堆積物を造形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−160217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1の手法では、下層のビードに対して上層のビードを傾斜させる角度が大きくなるほど、ビードの堆積による延伸が水平方向よりも高さ方向へ大きくなるように、上層のビードの堆積における造形材料の滴下位置が補正される。特許文献1の手法では、基材上の位置から水平方向における所望の位置へ堆積物を到達させるようにビードを堆積させる場合において、水平方向よりも鉛直方向への堆積物の延びが顕著となってしまうことになる。また、鉛直方向への堆積物の延びを抑制させるために、ビードを堆積させる向きを水平方向へ近づけるように単に堆積物の傾斜を大きくさせた場合には、堆積物を倒れさせないように安定させることが困難となる。このように、上記の特許文献1の技術によると、水平方向への堆積物の延びが大きくなるようにビードを堆積させるともに堆積物を安定して造形することが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、水平方向への堆積物の延びが大きくなるようにビードを堆積させるともに堆積物を安定して造形可能とした付加製造装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる付加製造装置は、基材に堆積物を造形する。本発明にかかる付加製造装置は、造形材料を送給位置へ送給する送給部と、造形材料を溶融させるレーザビームを送給位置へ照射する照射部と、基材に対する送給位置の移動と造形材料の溶融とにより形成されるビードを積み上げて堆積物を造形するための制御を担う制御部と、制御部による制御のためのパラメータの演算処理を実行する演算部とを備える。演算部は、積み重ねられる2つのビードのうち先に形成されるビードである第1のビードの形成における送給位置である第1の位置と、2つのビードのうち第1のビードに積み上げられるビードである第2のビードの形成における送給位置である第2の位置とについて、第1のビードの幅とレーザビームの径とを基に、第1のビードの幅の方向である設定方向における第1の位置と第2の位置との間隔を算出する。制御部は、第1の位置から設定方向へ間隔だけずれた位置を第2の位置とする制御により、第2のビードの一部を第1のビードよりも設定方向へ突出させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる付加製造装置は、水平方向への堆積物の延びが大きくなるようにビードを堆積させるともに堆積物を安定して造形することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる付加製造装置の構成を模式的に示す図
【図2】図1に示す付加製造装置によるビードの形成について説明する図
【図3】図2に示すビードが形成される様子を上から見た状態を示す図
【図4】図2に示すビードが積み上げられている様子を示す断面図
【図5】図2に示すビードが積み上げられる際のビードの積層ピッチと、ビードの幅の方向への送給位置の移動量とについて説明する図
【図6】図2に示すビードの斜め方向への積み上げによる堆積物の造形について説明する第1の図
【図7】図6に示す斜め方向へのビードの積み上げによる堆積物の造形についてのパラメータについて説明する図
【図8】図1に示す付加製造装置による斜め方向へのビードの積み上げによる堆積物の造形の手順を示すフローチャート
【図9】図1に示す付加製造装置により照射されるレーザビームの形状を説明する図
【図10】図9に示すタイプL3のレーザビームを送給位置へ照射する場合について説明する図
【図11】図10に示すレーザビームのビードからのはみ出しを抑制するためのパラメータの補正について説明する図
【図12】図9に示すタイプL3のレーザビームについて説明する図
【図13】図2に示すビードの斜め方向への積み上げによる堆積物の造形について説明する第2の図
【図14】図1に示す付加製造装置が有する数値制御装置のハードウェア構成図
【図15】図1に示す付加製造装置が有する演算装置のハードウェア構成図
【図16】本発明の実施の形態2にかかる付加製造装置におけるパラメータの補正について説明する図
【図17】本発明の実施の形態3にかかる付加製造装置におけるパラメータの補正について説明する図
【図18】本発明の実施の形態4にかかる付加製造装置における制御について説明する図
【図19】本発明の実施の形態5にかかる付加製造装置による堆積物の造形について説明する図
【図20】本発明の実施の形態6にかかる付加製造装置による堆積物の造形について説明する図
【図21】本発明の実施の形態6の第1変形例にかかる付加製造装置による堆積物の造形について説明する図
【図22】本発明の実施の形態6の第2変形例にかかる付加製造装置による堆積物の造形について説明する図
【図23】本発明の実施の形態6の第3変形例にかかる付加製造装置による堆積物の造形について説明する図
【図24】図23に示す堆積物の造形において使用される補助基材の上面拡大図
【図25】図23に示す堆積物の造形において使用される補助基材の側面拡大図
【図26】図23に示す構成の要部断面を示す図
【図27】本発明の実施の形態6の第4変形例にかかる付加製造装置による堆積物の造形について説明する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態にかかる付加製造装置および付加製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる付加製造装置1の構成を模式的に示す図である。付加製造装置1は、指向性エネルギー堆積法により三次元造形物を製造する装置である。付加製造装置1は、三次元造形物である堆積物を基材2の面に造形する。基材2は、ステージ13に載置される。図1に示す基材2は板材である。基材2は、板材以外であっても良い。
【0011】
付加製造装置1は、レーザビームを出射するレーザ発振器10と、レーザ発振器10から出射されたレーザビームが通る光伝達経路11と、光伝達経路11からのレーザビームを基材2へ向けて照射する加工ヘッド12とを備える。レーザ発振器10と、光伝達経路11と、加工ヘッド12とは、造形材料を溶融させるレーザビームを送給位置へ照射する照射部を構成する。レーザ発振器10は、COレーザおよびCOレーザといった気体レーザ、半導体レーザといった固体レーザまたはファイバーレーザである。
【0012】
ワイヤ送給装置6は、造形材料であるワイヤ7を送給する。ワイヤ送給ガイド8は、ワイヤ送給装置6から送給されたワイヤ7を基材2の上の送給位置へ導く。ワイヤ送給ガイド8は、加工ヘッド12と一体とされている。ワイヤ送給装置6とワイヤ送給ガイド8とは、ワイヤ7を送給位置へ送給する送給部を構成する。ワイヤ送給ガイド8は、ワイヤ7の先端21が送給位置に到達するように、ワイヤ7を送給する。ワイヤ7の材料は、レーザ発振器10からのレーザビームの照射により溶融可能な金属を含む材料である。
【0013】
Z軸駆動装置14は、鉛直方向であるZ軸方向において加工ヘッド12を移動させる。X軸駆動装置15は、Z軸方向に垂直なX軸方向において加工ヘッド12を移動させる。Y軸駆動装置16は、Z軸方向とX軸方向とに垂直なY軸方向において加工ヘッド12を移動させる。加工ヘッド12は、Z軸駆動装置14とX軸駆動装置15とY軸駆動装置16との機構によりZ軸方向、X軸方向およびY軸方向の三次元方向へ移動可能とされている。付加製造装置1は、Z軸駆動装置14、X軸駆動装置15およびY軸駆動装置16の3つの駆動装置以外の機構を備えていても良い。
【0014】
付加製造装置1は、付加製造装置1の全体を統括制御する数値制御装置3と、演算処理を実行する演算装置4と、データベースを保持する記憶装置5とを備える。付加製造装置1の制御部である数値制御装置3は、基材2に対する送給位置の移動とワイヤ7の溶融とにより形成されるビードを積み上げて基材2に堆積物を造形するための制御を担う。付加製造装置1の演算部である演算装置4は、数値制御装置3による制御のためのパラメータの演算処理を実行する。付加製造装置1の記憶部である記憶装置5は、データベースにパラメータを格納する。
【0015】
数値制御装置3は、レーザ発振器10へ指令を送ることにより、レーザ発振器10からのレーザビームの出射および出射停止と、出射されるレーザビームのパワーとを制御する。数値制御装置3は、Z軸駆動装置14とX軸駆動装置15とY軸駆動装置16とへ指令を送ることにより、Z軸駆動装置14とX軸駆動装置15とY軸駆動装置16との駆動を制御する。Z軸駆動装置14とX軸駆動装置15とY軸駆動装置16とは、数値制御装置3から受けた指令にしたがって、加工ヘッド12を移動させる。数値制御装置3は、ワイヤ送給装置6へ指令を送ることにより、ワイヤ送給装置6からのワイヤ7の送給および送給停止と、ワイヤ7の送給速度とを制御する。
【0016】
付加製造装置1は、形成されるビードの形状を測定する測定装置17を備える。測定装置17は、ビードの像を取り込む撮像センサを備える。測定装置17は、撮像センサにより得た撮像データからビードの幅および高さのデータを取得し、取得されたデータを数値制御装置3へ送る。測定装置17は、レーザ変位センサ等の、ビードの形状を測定可能な非接触型の位置センサ、または接触型の位置センサを備えていても良い。
【0017】
次に、実施の形態1にかかる付加製造装置1による堆積物の造形について説明する。図2は、図1に示す付加製造装置1によるビード22の形成について説明する図である。図2では、堆積物のうち最も下の1層目となるビード22を基材2の上に形成する手順を示している。
【0018】
ワイヤ送給装置6とワイヤ送給ガイド8とは、送給位置へワイヤ7を送給する。ワイヤ7は、基材2においてビード22の形成を進行させる向きとは逆の向きへワイヤ7の先端21が送給位置において向くように送給される。送給位置は、基材2のうち堆積物が設けられる面、またはそれよりも上の位置とされる。送給位置は、基材2のうち堆積物が設けられる面内の位置であっても良い。加工ヘッド12からのレーザビーム20は、送給位置の先端21へ向けて照射する。
【0019】
ワイヤ7は、レーザビーム20を受けることにより加熱されて、先端21付近がワイヤ7の融点よりも高温となることで、先端21から溶融する。ワイヤ7の溶融物は、基材2に載せられる。基材2のうちレーザビーム20の照射を受けている部分は溶融している。ワイヤ7の溶融物は基材2の溶融部分へ溶接される。
【0020】
付加製造装置1は、X軸駆動装置15とY軸駆動装置16との少なくとも一方の駆動により、ビード22の形成を進行させる向きへ加工ヘッド12を移動させる。付加製造装置1は、水平方向における加工ヘッド12の移動により、送給位置を移動させる。付加製造装置1は、加工ヘッド12ではなくステージ13の移動により基材2に対して送給位置を移動させても良い。付加製造装置1は、加工ヘッド12とステージ13との少なくとも一方の移動により、基材2に対して相対的に送給位置を移動可能であれば良い。
【0021】
送給位置の移動により、送給位置の移動の軌跡に沿って、ワイヤ7の溶融物と基材2との溶接が進められる。あらかじめ設定された位置まで送給位置が移動してから、レーザ発振器10は、レーザビーム20の出射を停止する。ワイヤ送給装置6は、ワイヤ7の送給を停止する。このようにして、付加製造装置1は、基材2の上に、ワイヤ7の溶融物と基材2との溶接によるビード22を形成する。図2では、送給位置を一方向へ移動させることで、線状のビード22が形成される様子を示している。
【0022】
付加製造装置1は、1層目のビード22の上に、1層目のビード22と同様の手順により2層目のビード22を形成する。2層目のビード22の形成の際、1層目のビード22のうちレーザビーム20の照射を受けた部分が溶融する。2層目のビード22は、ワイヤ7の溶融物と1層目のビード22との溶接により形成される。付加製造装置1は、2層目のビード22と同様に、3層目以降のビード22を形成する。付加製造装置1は、このようにしてビード22を積み上げていくことで、堆積物を造形する。
【0023】
付加製造装置1により形成されるビード22は、図2に示すような線状なビード22に限られない。付加製造装置1は、水平方向において送給位置を自在に移動させることで、さまざまな形状のビード22を形成することができる。ビード22は、円弧といった曲線を持つ形状であっても良く、円のようなループ形状であっても良い。付加製造装置1は、ループ形状のビード22の積み上げにより、中空の堆積物を造形可能とする。付加製造装置1は、水平方向の一定の範囲内をビード22で埋め尽くすことで、面状のビード22を形成しても良い。付加製造装置1は、面状のビード22の積み上げにより、中実の堆積物を造形可能とする。
【0024】
次に、図3から図6を参照して、ビード22の形状および位置に関するパラメータについて説明する。演算装置4は、以下に説明するパラメータの演算処理を実行する。図3は、図2に示すビード22が形成される様子を上から見た状態を示す図である。ワイヤ送給装置6は、径WDのワイヤ7を送給する。レーザビーム20の径LDは、ワイヤ7の径WDと同じ程度か、径WDより大きい。送給位置への径WDのワイヤ7の送給と、送給位置への径LDのレーザビーム20の照射とにより、少なくとも径WDより大きい幅BWのビード22が形成される。ビード22の形状は、ワイヤ7の送給速度と、レーザビーム20の移動速度と、基材2およびワイヤ7の材質と、レーザビーム20のビーム形状とによって変化する。
【0025】
図4は、図2に示すビード22が積み上げられている様子を示す断面図である。図4、および後述する図5以降の断面図では、断面を示すハッチングを省略している。ビード22と基材2との境界ではビード22の材質と基材2の材質とが浸透し合うことにより、ビード22と基材2との境界が明確ではないことがある。図4では、ビード22と基材2との境界を線により模式的に表しているものとする。ビード22同士の境界も、ビード22と基材2との境界と同様に、線により模式的に表しているものとする。
【0026】
図3に示す送給位置への径WDのワイヤ7の送給と、送給位置への径LDのレーザビーム20の照射とにより、図4に示すように鉛直方向における高さBHのビード22が基材2に形成される。なお、実施の形態1において、ビード22は、BH≦BWを満足するように形成されるものとする。ここで、基材2からn回目に積み上げられたビード22を、ビード22−nとする。「n」は1以上の任意の整数とする。高さBHnは、ビード22−nの高さBHとする。幅BWnは、ビード22−nの幅BWとする。ビード22−2,22−3・・の幅BW2,BW3・・は、基材2上のビード22の幅である幅BW1と同じか幅BW1より小さい。ビード22−2,22−3・・の高さBH2,BH3・・は、基材2上のビード22の高さBH1と同じか高さBH1より小さい。測定装置17は、ビード22,22−nが形成されるたびに幅BWnと高さBHnとを測定しても良い。幅BWnと高さBHnとは、実験により取得されて、あらかじめ記憶装置5内のデータベースに格納されていても良い。なお、幅BWnと高さBHnとは、鉛直方向へのビード22の積み上げによる堆積物の造形についてのパラメータとする。
【0027】
図5は、図2に示すビード22が積み上げられる際のビード22の積層ピッチと、ビード22の幅BWの方向への送給位置の移動量とについて説明する図である。送給位置は、ワイヤ7が送給される位置である。積層ピッチBPは、鉛直方向における送給位置の間隔である。ここで、i回目に積層されたビード22の積層ピッチBPを、積層ピッチBPiとする。「i」は1以上の任意の整数とする。実施の形態1では、積層ピッチBP1,BP2,BP3・・・は、いずれも等しいものとする。積層ピッチBPiは、あらかじめ記憶装置5内のデータベースに格納される。なお、積層ピッチBPiは、鉛直方向へのビード22の積み上げによる堆積物の造形についてのパラメータとする。
【0028】
移動量BSは、面状のビード22が形成される場合における面方向における送給位置の移動量とする。面方向とは、基材2のうちビード22が形成される表面に平行な方向とする。鉛直方向において隣り合うビード22同士と同様に、水平方向において隣り合うビード22同士は互いに溶接される。ここで、j回目に積層されたビード22の移動量BSを、移動量BSjとする。「j」は1以上の任意の整数とする。実施の形態1では、移動量BS1,BS2,BS3・・・は、いずれも等しいものとする。移動量BSjは、あらかじめ記憶装置5内のデータベースに格納される。移動量BSjは、鉛直方向へのビード22の積み上げによる堆積物の造形についてのパラメータとする。
【0029】
付加製造装置1では、所望の堆積物の造形のためのパラメータが格納されたデータベースは、実際の製品加工より前に構築される。数値制御装置3は、製品加工ではデータベースのパラメータにしたがって各種条件を設定する。演算装置4は、データベースに格納されているパラメータを基に、各種条件の補正のための演算処理を実行する。
【0030】
付加製造装置1は、鉛直方向と水平方向との間の斜め方向へのビード22の積み上げによる堆積物の造形を行い得る。図6は、図2に示すビード22の斜め方向への積み上げによる堆積物の造形について説明する第1の図である。
【0031】
堆積物のうち最も下の1層目のビード22−1は、図2および図3に示す場合と同様に形成される。下から2層目のビード22−2は、ビード22−1の中心よりも設定方向へ中心を移動させて形成される。設定方向は、ビード22の堆積によって堆積物を延伸させる目標とする方向としてあらかじめ設定された方向とする。図6に示す矢印Aは、設定方向を表している。ビード22−2の形成における送給位置は、ビード22−1の形成における送給位置に対し上方へピッチKPだけ移動した位置であって、かつビード22−1の形成における送給位置に対し設定方向へ移動量KSだけ移動した位置である。ビード22−2は、ビード22−2の一部をビード22−1よりも設定方向へ突出させて、ビード22−1から斜め方向へ積み上げられる。3層目以降においても、ビード22は、ビード22−2と同様に斜め方向へ積み上げられる。設定方向へ所望の長さを持つ堆積物が得られるまで、ビード22の積み上げが繰り返される。なお、ビード22は、ビード22−1,22−2,22−nの各々を区別せずに称したものとする。
【0032】
次に、斜め方向へのビード22の積み上げによる堆積物の造形についてのパラメータについて説明する。図7は、図6に示す斜め方向へのビード22の積み上げによる堆積物の造形についてのパラメータについて説明する図である。
【0033】
ここで、第1のビードは、互いに積まれる2つのビードのうち先に形成されるビードとする。第2のビードは、当該2つのビードのうち第1のビードに積み上げられるビードとする。2つのビード22−1,22−2に着目した場合、ビード22−1は第1のビード、ビード22−2は第2のビードである。第1の位置C1は、第1のビードの形成における送給位置である。第2の位置C2は、第2のビードの形成における送給位置である。第2の位置C2は、第1の位置C1から設定方向へ移動量KSだけずれた位置である。移動量KSは、設定方向における第1の位置C1と第2の位置C2との間隔を表すパラメータである。ビード22−2のうち設定方向側の突出量OHの部分は、ビード22−1よりも設定方向へ突出している部分である。
【0034】
図3に示す場合と同様に、ワイヤ7の径WDとレーザビーム20の径LDとには、WD≦LDの関係が成り立つ。また、図5に示す場合はビード22の最上部にビード22が積み上げられるのに対して、図7に示す場合はビード22の最上部より低い位置にビード22が積み上げられるため、図5に示す場合における積層ピッチBPと図7に示すピッチKPとには、KP≦BPの関係が成り立つ。図5に示す場合はビード22が面方向へ並べられるのに対して、図7に示す場合は面方向においてビード22が重ね合わせられるため、図5に示す場合における移動量BSと図7に示す移動量KSとには、KS≦BSの関係が成り立つ。さらに、実施の形態1では、ビード22は、KP<BHを満足するように形成される。KP<BHと、上述するBH≦BWとから、KP≦BWの関係が成り立つ。
【0035】
ビード22−1,22−2の形成において、第1の位置C1から第2の位置C2への送給位置の移動量KSは、次の式(1)の関係を満足する。演算装置4は、ビード22−1の幅BWとレーザビーム20の径LDとを基に、式(1)の関係を満足する移動量KSを算出する。式(1)を満足する移動量KSが設定されることにより、付加製造装置1は、突出量OHの部分を有するビード22−2を形成することができる。
KS+LD/2≦BW/2 ・・・(1)
【0036】
式(1)によると、移動量KSとレーザビーム20の半径LD/2との和がビード22の幅の半分BW/2以下となるように、径LDが設定される。発明者らは、式(1)を満足する条件での試験を行った。試験においては、移動量KSが0.5mm、径LDが4.0mm、幅BWが6.0mmであるときに、1回目に積み上げられるビード22−1におよそ1.2mmの突出量OH1の突出部分が形成されることを確認した。また、移動量KSを1.0mmに変更して、2回目に積み上げられるビード22−2におよそ0.8mmの突出量OH2の突出部分が形成されることを確認した。3回目以降のビード22の積み上げにおいては、平均しておよそ0.5mmの突出量OHの突出部分が形成されることを確認した。試験においては、ワイヤ7の径WDを1.2mm、ビード22の高さBHを3.0mmとした。また、1回目の積み上げにおけるピッチKPは1.0mm、2回目以降の積み上げにおけるピッチKPは0.5mmとした。
【0037】
さらに、移動量KSが次の式(2)の関係を満足することで、斜め方向へ積み上げられたビード22−2に、さらに斜め方向へ積み上げられるビード22を形成することができる。
KS+LD/2≦OH+BW/2 ・・・(2)
【0038】
上述するKP≦BWと式(1)とにより、KS+LD/2≦BW/2およびBW/2≧BH/2>KP/2を満足することで、KS+LD/2>KP/2となり、KP<2×KS+LDとなる。上述するKP<BHは、ピッチKPが高さBHを超えないことを表している。KP<BHと式(1)を含めて導き出されたKP<2×KS+LDを満足するように、既に形成されたビード22に積み上げられるビード22の形成における送給位置が設定される。この場合、既に形成されたビード22にワイヤ7が当てられて、既に形成されたビード22のうちビード22の中心よりも設定方向における側方部分のほうが、当該中心よりも上方の部分と比べて造形材料の溶着が多くなるようにして、ビード22が形成される。これにより、付加製造装置1は、水平方向への堆積物の延びが大きくなるようにビード22を堆積させることができる。既に形成されたビード22にワイヤ7が当てられない場合も、径LDが式(1)を満足する範囲を超えない値であれば、側方部分における造形材料の溶着が多くなるようにしてビード22を形成することができる。
【0039】
また、ビード22−2に斜め方向へ積み上げられるビード22の形成において照射されるレーザビーム20が、ビード22−2の突出量OHの部分からはみ出ないようにできれば、基材2へのレーザビーム20の不要な照射を抑制できる。付加製造装置1は、基材2へのレーザビーム20の不要な照射を抑制できることで、基材2に残される熱影響層を少なくさせることができる。
【0040】
付加製造装置1は、n回目に積み上げられるビード22−nについて、ビード22−nの1つ下のビード22−(n−1)に対し設定方向へ突出している部分を含むようにして形成される。ビード22−nについて、ピッチKPnと移動量KSnと突出量OHnとが設定される。斜め方向へのビード22の積み上げによる堆積物の造形についてのパラメータであるピッチKP,KPnと、移動量KS,KSnと、突出量OH,OHnとは、記憶装置5のデータベースへ格納される。
【0041】
図8は、図1に示す付加製造装置1による斜め方向へのビード22の積み上げによる堆積物の造形の手順を示すフローチャートである。ステップS1において、付加製造装置1は、基材2の上に第1のビードであるビード22−1を形成する。ステップS2では、付加製造装置1は、ステップS1において形成されたビード22−1の位置である第1の位置C1から設定方向である幅BWの方向へ移動した位置である第2の位置C2に送給位置を合わせて、ビード22−1の上に次のビード22−2を形成する。
【0042】
ステップS3では、付加製造装置1は、ビード22の堆積物の設定方向における幅があらかじめ設定された幅に達したか否かを判断する。堆積物の幅が設定された幅に達していない場合(ステップS3,No)、ステップS2とステップS3とを繰り返す。堆積物の幅が設定された幅に達した場合(ステップS3,Yes)、付加製造装置1は、堆積物の造形を終了する(エンド)。
【0043】
ユーザは、完成品の設計データを付加製造装置1へ読み込ませる。演算装置4は、設計データに基づいて、堆積物の造形のためのパラメータを算出する。付加製造装置1は、算出されたパラメータを使用して、図8に示す手順によって堆積物を造形する。演算装置4は、堆積物の造形の際に測定装置17により取得されたデータを用いて、移動量KSおよびピッチKPといったパラメータを算出する。演算装置4は、算出されたパラメータを保存していき、製品となる堆積物の造形における加工特性を表すデータベースを構築する。付加製造装置1は、構築されたデータベースにしたがって、製品となる堆積物の造形を行う。
【0044】
付加製造装置1は、第1のビードの幅BWとレーザビーム20の径LDとを基に移動量KSを設定することで、第1のビードよりも設定方向への突出量OHの突出させた部分を含む第2のビードが形成されるように送給位置を設定する。付加製造装置1は、ビード22を積み上げるごとに、設定方向への移動量KSの送給位置の移動により、鉛直方向への延びよりも水平方向への延びが増すようにして堆積物を造形することができる。付加製造装置1は、設定方向への突出量OHが形成されるようにビード22を堆積させるとともに、第1のビードに対して安定させることができる位置に第2のビードが形成されるように第2のビードの形成における送給位置を設定することができる。これにより、付加製造装置1は、堆積物の倒れを抑制しながらビード22を堆積することができる。以上により、付加製造装置1は、水平方向への堆積物の延びが大きくなるようにビード22を堆積させるともに堆積物を安定して造形することができるという効果を奏する。
【0045】
次に、斜め方向へのビード22の積み上げによる堆積物の造形におけるパラメータの補正について説明する。図9は、図1に示す付加製造装置1により照射されるレーザビーム20の形状を説明する図である。付加製造装置1は、送給位置へ向けて収束する形状であるタイプL1のレーザビーム20と、送給位置へ向けて平行に進行するタイプL2のレーザビーム20と、送給位置へ向けて径が拡張される形状であるタイプL3のレーザビーム20とを使用し得る。タイプL1のレーザビーム20は、焦点位置が送給位置よりもレーザ発振器10側とは逆側に設定されたガウシアンビームである。タイプL3のレーザビーム20は、焦点位置が送給位置よりもレーザ発振器10側に設定されたガウシアンビームである。タイプL2のレーザビーム20は、いわゆるトップハットビームである。付加製造装置1は、タイプL3のレーザビーム20が使用される場合に、基材2へのレーザビーム20の不要な照射を抑制するためのパラメータの補正を行うことができる。
【0046】
図10は、図9に示すタイプL3のレーザビーム20を送給位置へ照射する場合について説明する図である。付加製造装置1は、レーザビーム20の径LDをビード22の幅BWよりも小さくすることで、または焦点位置を調整することで、基材2への不要なレーザビーム20の照射を抑制し得る。タイプL3のレーザビーム20は、送給位置での径LDに比べて、送給位置より先の基材2の位置での径が広がることとなる。このため、送給位置での所望の径LDが得られる一方で、ビード22−1からはみ出し幅LOにおいてレーザビーム20がはみ出ることがある。
【0047】
図11は、図10に示すレーザビーム20のビード22−1からのはみ出しを抑制するためのパラメータの補正について説明する図である。図11の左部には、第2の位置C2にて径LDとされたレーザビーム20が照射している状態を示している。この状態では、第2の位置C2より基材2側におけるレーザビーム20の拡がりによって、基材2では、はみ出し幅LOにおけるレーザビーム20のはみ出し部23が生じている。
【0048】
図11の右部には、第1の位置C1にて径LDとされたレーザビーム20が照射している状態を示している。この状態では、第2の位置C2にて径LDとされたレーザビーム20が照射する場合よりも、第2の位置C2より基材2側におけるレーザビーム20の拡がりが抑制される。このように、演算装置4は、レーザビーム20があらかじめ設定された径LDとなる位置を第2の位置C2から第1の位置C1へ移動させることで、第2の位置C2を送給位置とするレーザビーム20の照射におけるレーザビーム20の径を補正する。基材2では、レーザビーム20の拡がりが抑えられることで、ビード22−1からのレーザビーム20のはみ出しが低減される。これにより、付加製造装置1は、基材2への不要なレーザビーム20の照射を抑制して、基材2に生じる熱影響層を少なくさせることができる。図11の右部に示す状態では、レーザビーム20の全体がビード22−1によって受け止められている。この場合、付加製造装置1は、基材2へのレーザビーム20のはみ出しが無い状態にできる。なお、レーザビーム20のビード22−1からのはみ出しを抑制するためのレーザビーム20の径の補正により、当該補正が行われない場合と比較して、ビード22−2のサイズは小さくなる。
【0049】
図12は、図9に示すタイプL3のレーザビーム20について説明する図である。一般に、光源から焦点距離ffの位置である焦点位置におけるレーザビーム20の直径dは、照射部に設けられている光学レンズの諸元パラメータにより決まる。焦点位置から距離Δfにおけるレーザビーム20の径LDは、あらかじめ測定されることが望ましい。径LDがビーム強度の86.5%が集光される径であるとすると、径LDは、LD=2×Δf×θfの式により概略的に計算される。径LDがビーム強度の100%が集光される径であるとすると、径LDは、LD=2×(2×Δf×θf)の式により概略的に計算される。θfは、レーザビーム20の光束と光軸Xとがなす最大角度とする。
【0050】
上記の式であるLD=2×Δf×θfによると、Δf=25.0mm、θf=0.064radの場合、LD=3.2mmとなる。KP=2.0mmとした場合、図11に示す第1の位置C1での径LDは、LD=2×(Δf+KP)×θfの式により、LD≒3.46mmとなる。この場合、はみ出し幅LOは、LO=(Δf+KP)×θfの式により、LO≒0.13mm程度となる。はみ出し幅LOは、ビード22が積み上げられるにしたがい大きくなる。
【0051】
演算装置4は、LO=(Δf+KP)×θfの式により算出されるはみ出し幅LOをデータベースに格納されている移動量KSから差し引くことにより、移動量KSを補正しても良い。移動量KSの補正により、レーザビーム20の全体がビード22−1によって受け止められるようにできることで、基材2へのレーザビーム20のはみ出しを抑制することができる。これにより、付加製造装置1は、基材2へのレーザビーム20のはみ出しを抑制して、基材2に生じる熱影響層を少なくさせることができる。演算装置4は、データベースに格納されているピッチKPを適宜小さくする補正により、はみ出し幅LOを小さくさせる補正を行っても良い。この場合も、付加製造装置1は、基材2へのレーザビーム20のはみ出しを抑制して、基材2に生じる熱影響層を少なくさせることができる。なお、演算装置4は、基材2での熱影響層の発生を考慮しなくても良い場合は、上述のような補正を行わなくても良い。
【0052】
演算装置4は、上述のようなタイプL3のレーザビーム20が使用される場合におけるパラメータの補正を、タイプL1またはタイプL2のレーザビーム20が使用される場合に行っても良い。この場合も、付加製造装置1は、基材2へのレーザビーム20のはみ出しを抑制して、基材2に生じる熱影響層を少なくさせることができる。
【0053】
演算装置4は、光学レンズの諸元パラメータを使用して、はみ出し幅LOを計算しても良い。演算装置4は、得られたはみ出し幅LOを記憶装置5のデータベースに格納する。演算装置4は、付加製造装置1の外部の装置での演算により得られたはみ出し幅LOをデータベースへ格納しても良い。演算装置4は、レーザビーム20の照射による実験データを基にはみ出し幅LOを計算しても良い。
【0054】
図13は、図2に示すビード22の斜め方向への積み上げによる堆積物の造形について説明する第2の図である。ここで、ビード22A−nは、矢印Aの方向を設定方向として積み上げられるビード22−nとする。ビード22B−nは、矢印Aの方向とは逆の矢印Bの方向を設定方向として積み上げられるビード22−nとする。図13に示す例では、ビード22A−nの積み上げと、ビード22−nの積み上げとを行い、2つの堆積物が繋がれてなる1つの構造物を造形する様子を示している。矢印Aの方向は、ビード22A−1からビード22B−1へ向かう第1の設定方向である。矢印Bの方向は、矢印Aの方向とは逆の方向であって、ビード22B−1からビード22A−1へ向かう第2の設定方向である。付加製造装置1は、設定方向を第1の設定方向とするビード22A−nの積み上げにより第1の堆積物を造形する。付加製造装置1は、設定方向を第2の設定方向とするビード22B−nの積み上げにより、第1の堆積物へ向けて延ばされる第2の堆積物を造形する。付加製造装置1は、第1の堆積物と第2の堆積物とを基材2の上方にて繋いで、1つの構造物を造形する。
【0055】
ビード22A−1の形成における送給位置と、ビード22B−1の形成における送給位置との間の距離Dと、ビード22A−1,22B−1の幅BWと、突出量OHとが、D−BW≦(m+1)×OHの関係を満足するまで、ビード22A−1からのビード22の積み上げとビード22B−1からのビード22の積み上げとが行われる。「m」は任意の自然数であって、矢印Aの方向を設定方向とする堆積物と矢印Bの方向を設定方向とする堆積物とが繋げられるまでにビード22A−1とビード22B−1とから積み上げられるビード22の数を表す。距離Dは、あらかじめ設定されており、データベースに格納されている。
【0056】
2つの堆積物同士の間隔が突出量OH以下となって、最後のビード22A−nが積み上げられることにより、矢印Aの方向を設定方向とする堆積物と矢印Bの方向を設定方向とする堆積物とが繋げられる。このようにして、付加製造装置1は、基材2のうちビード22A−1とビード22B−1との間を覆ういわば蓋状の構造物を造形する。付加製造装置1は、鉛直方向への延びよりも水平方向への延びが増すようにして堆積物を造形可能であることで、蓋状の構造物の造形が可能となる。
【0057】
付加製造装置1は、造形材料にワイヤ7が用いられることで、粉末状の造形材料が用いられる場合と比べて、造形材料の飛散を抑制できる。このため、付加製造装置1は、造形材料にワイヤ7が用いられることで、完成品における不要な造形材料の残存を低減できる。付加製造装置1は、蓋状の構造物を造形する場合に、蓋により覆われる空間内における不要な造形材料の残存を低減できる。
【0058】
図14は、図1に示す付加製造装置1が有する数値制御装置3のハードウェア構成図である。数値制御装置3の制御機能は、メモリ102に格納されるプログラムを実行するプロセッサ101により実現される。プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はDSP(Digital Signal Processor)である。数値制御装置3の機能は、プロセッサ101と、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ102に格納される。メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリ等の内蔵メモリである。ディスプレイ103は、付加製造装置1の制御に関する表示画面を表示する。
【0059】
図15は、図1に示す付加製造装置1が有する演算装置4のハードウェア構成図である。演算装置4の演算機能は、メモリ112に格納されるプログラムを実行するプロセッサ111により実現される。プロセッサ111は、CPU、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はDSPである。演算装置4の機能は、プロセッサ111と、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ112に格納される。メモリ112は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリ等の内蔵メモリである。ディスプレイ113は、演算処理に関する表示画面を表示する。
【0060】
実施の形態2.
実施の形態2および3は、測定装置17による実測値に基づくパラメータの補正の例について説明する。図16は、本発明の実施の形態2にかかる付加製造装置1におけるパラメータの補正について説明する図である。実施の形態2では、測定装置17によるビード22の2分の1幅BW/2の実測値BWR/2または突出量OHの実測値OHRを基に、移動量KSを補正する。実施の形態2では、上記の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1とは異なる点を主に説明する。
【0061】
図16では、ビード22−1の実測値BWR/2とビード22−3の実測値OHRとを示している。BW/2>BWR/2が成り立つ場合、演算装置4は、データベースに格納されている移動量KSを、KS’=KS+{(BW−BWR)/2}×αとする補正を行う。または、OH>OHRが成り立つ場合、演算装置4は、データベースに格納されている移動量KSを、KS’=KS+(OH−OHR)×βとする補正を行う。αおよびβは、1以上かつ2以下の数値であって、任意に設定される数値とする。演算装置4は、補正後の移動量KS’と、移動量KS’の算出にて設定されたαおよびβをデータベースに格納する。なお、演算装置4による移動量KSの補正は、上記の式にしたがった演算以外の演算によるものであっても良いものとする。
【0062】
数値制御装置3は、ビード22の幅BWの実測値BWRとデータベースに格納されている幅BWとの差が過大と判断した場合に、造形を停止させても良い。例えば、BWR>2×BWが成り立つ場合、実測値BWRと幅BWとの差が過大であり斜め方向へのビード22の安定した積み上げが困難となることが予想される。この場合に、数値制御装置3は、造形を停止させるとともに、ディスプレイ103にアラームを表示する。
【0063】
数値制御装置3は、実測値OHRとデータベースに格納されている突出量OHとの差が過大と判断した場合に、造形を停止させても良い。例えば、OHR>2×OHが成り立つ場合、実測値OHRと突出量OHとの差が過大であり斜め方向へのビード22の安定した積み上げが困難となることが予想される。この場合に、数値制御装置3は、造形を停止させるとともに、ディスプレイ103にアラームを表示する。
【0064】
図13に示す蓋状の構造物の造形においては、矢印Aの方向を設定方向とする堆積物と矢印Bの方向を設定方向とする堆積物とについて、測定された実測値BWR/2,OHRを基に移動量KSが補正される。また、蓋状の構造物の造形においては、D≧OHR+BWR/2が成り立つ場合は、事前に予測される個数のビード22によって2つの堆積物は繋がれず、構造物が完成されないことが予想される。この場合に、数値制御装置3は、ディスプレイ103にアラームを表示しても良い。また、構造物の完成のためには事前に予測されている数より多くのビード22が形成されることとなることから、数値制御装置3は、構造物の完成までの時間が延長されることをディスプレイ103に表示しても良い。
【0065】
実施の形態3.
図17は、本発明の実施の形態3にかかる付加製造装置1におけるパラメータの補正について説明する図である。実施の形態3では、測定装置17によるビード22の高さBHの実測値BHRまたは基材2からのビード22の積み上げ高さの実測値BTRを基に、ピッチKPを補正する。実施の形態3では、上記の実施の形態1および2と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1および2とは異なる点を主に説明する。
【0066】
図17では、ビード22−1の実測値BHRとビード22−3の実測値BTRとを示している。BH>BHRが成り立つ場合、演算装置4は、データベースに格納されているピッチKPを、KP’=KP+(BH−BHR)×γに補正する。また、ビード22−1,22−2,22−3の高さBHの合計をBH+BHnと表すとして、BTR>BH+BHnが成り立つ場合、演算装置4は、データベースに格納されているピッチKPを、KP’=KP+(BH+BHn−BTR)×δに補正する。γおよびδは、1以上かつ2以下の数値であって、任意に設定される数値とする。演算装置4は、補正後のピッチKP’と、ピッチKP’の算出にて設定されたγおよびδをデータベースに格納する。
【0067】
数値制御装置3は、ビード22の高さBHの実測値BHRとデータベースに格納されている高さBHとの差が過大と判断した場合に、造形を停止させても良い。例えば、BHR>2×BHが成り立つ場合、実測値BHRと高さBHとの差が過大であり斜め方向へのビード22の安定した積み上げが困難となることが予想される。この場合に、数値制御装置3は、造形を停止させるとともに、ディスプレイ103にアラームを表示する。
【0068】
数値制御装置3は、ビード22の積み上げ高さの実測値BTRとデータベースに格納されている高さBHの合計であるBH+BHnとの差が過大と判断した場合に、造形を停止させても良い。例えば、BTR>2×(BH+BHn)が成り立つ場合、実測値BTRとBH+BHnとの差が過大であり斜め方向へのビード22の安定した積み上げが困難となることが予想される。この場合に、数値制御装置3は、造形を停止させるとともに、ディスプレイ103にアラームを表示する。
【0069】
図13に示す蓋状の構造物の造形においては、矢印Aの方向を設定方向とする堆積物と矢印Bの方向を設定方向とする堆積物とについて、測定された実測値BHR,BTRを基にピッチKPが補正される。ビード22は、突出量OHの部分が重力によって垂れた形状となる。かかる垂れによるビード22の変形を抑制するために、演算装置4は、逐次測定された実測値BTRによってピッチKPを補正しても良い。
【0070】
実施の形態4.
図18は、本発明の実施の形態4にかかる付加製造装置1における制御について説明する図である。実施の形態4では、基材2または第1のビードの温度を計測して、計測された温度を基に、造形を停止あるいは条件を変更する。実施の形態4では、上記の実施の形態1から3と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から3とは異なる点を主に説明する。
【0071】
実施の形態4では、測定装置17には、温度センサが含まれている。温度センサは、非接触のパイロメータ等のレーザ装置である。測定装置17は、第1ビードであるビード22−1の形成のときに、基材2の温度LTRを計測する。測定装置17は、第2ビードの形成のとき、第1ビードの温度LTRを計測する。図18には、基材2の温度LTRと、第2ビードであるビード22−2の形成のときにおける第1ビードであるビード22−1の温度LTRを示している。演算装置4は、データベースに格納されている温度LTと温度LTRとを比較する。第1ビードに第2ビードを積み上げる工程が連続して行われる場合、LTR≒LTとなる。
【0072】
ビード22の積み上げが続けられることで、基材2と形成されたビード22とには、レーザビーム20の照射による熱が蓄積されていく。これに対し、堆積物の造形の途中でビード22の積み上げが中断される場合、基材2またはビード22の温度LTRは温度LTから低下することがあり得る。基材2と形成されたビード22との温度LTRの低下により、ビード22の形成の安定性に影響が及ぶことがあり得る。この場合に、数値制御装置3は、造形を停止させるか、条件を変更して造形を続ける。また、数値制御装置3は、ディスプレイ103にアラームを表示する。演算装置4は、温度LTと温度LTRとの差に基づいて、データベースに格納されている各種条件のパラメータを補正しても良い。
【0073】
付加製造装置1は、温度LTRの低下が確認された場合に、第1ビードへの第2ビードの斜め方向への積み上げを一時的に鉛直方向への積み上げに置き換えて、造形を継続しても良い。これにより、付加製造装置1は、安定した造形を行うことができる。付加製造装置1は、温度LTRの低下が確認された場合に、ワイヤ送給装置6による送給を停止させてレーザビーム20を基材2とビード22とに照射しても良い。付加製造装置1は、基材2とビード22との温度を上昇させて、安定した造形を行うことができる。
【0074】
図13に示す蓋状の構造物の造形においては、矢印Aの方向を設定方向とする堆積物と矢印Bの方向を設定方向とする堆積物とのそれぞれについて温度LTRが計測されても良い。
【0075】
実施の形態5.
図19は、本発明の実施の形態5にかかる付加製造装置1による堆積物の造形について説明する図である。実施の形態5では、付加製造装置1は、円の径を漸次小さくさせながら円に沿ってビード22を形成することにより円筒状の構造物31に蓋状の堆積物32を造形する。実施の形態5では、上記の実施の形態1から4と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から4とは異なる点を主に説明する。
【0076】
付加製造装置1は、円に沿って形成されるビードの積み上げにより、構造物31を造形する。付加製造装置1は、構造物31に沿って送給位置を移動させて、構造物31の上にビード22を形成する。演算装置4は、円に沿って送給位置を1周移動させると、突出量OHあるいは突出量の実測値OHRに相当する長さを当該円の半径から減じて、次に送給位置を移動させる円を設定する。数値制御装置3は、円に沿って送給位置を1周移動させるごとにビード22の形成を中断して、1層ごとのビード22を形成させる。または、数値制御装置3は、円の半径を減少させながら送給位置を螺旋状に移動させて、一筆書きの要領で各層のビード22を形成する。構造物31の中心軸上付近に送給位置が到達するまで送給位置を移動させることで、構造物31の上を覆う堆積物32が完成する。このようにして、付加製造装置1は、斜め方向へビード22を積み上げる手法を応用して、蓋状の堆積物32を造形することができる。
【0077】
なお、付加製造装置1は、多角形といった円以外のループ形状に沿って送給位置を移動させることにより、堆積物を造形しても良い。付加製造装置1は、下層に対し上層における送給位置の移動軌跡が相似かつ縮小された形状とすることで、円に沿って送給位置を移動させる場合と同様に堆積物を造形することができる。
【0078】
実施の形態6.
図20は、本発明の実施の形態6にかかる付加製造装置1による堆積物の造形について説明する図である。実施の形態6では、付加製造装置1は、ビード33Aを斜め方向へ積み上げる一方、ビード33Bを鉛直方向へ積み上げる。付加製造装置1は、ビード33Aを斜め方向へ積み上げていき、設定方向の先にあるビード33Bの堆積物にまでビード33Aの堆積物を到達させる。これにより、付加製造装置1は、基材2からビード33Bの堆積物の上面に到達する蓋状の構造物34を造形することができる。
【0079】
図21は、本発明の実施の形態6の第1変形例にかかる付加製造装置1による堆積物の造形について説明する図である。実施の形態6の第1変形例では、付加製造装置1は、ビード33Aを斜め方向へ積み上げていき、設定方向の先にある構造物34Bにまでビード33Aの堆積物を到達させる。構造物34Bは、基材2に載置されたものであっても良く、基材2のうち上方へ向けて突出させた部分であっても良い。
【0080】
基材2に形成されるビード33Aの中心から構造物34Bまでの水平方向における距離Eと、構造物34Bの鉛直方向における高さFから、基材2に対してビード33Aの堆積物を傾斜させる角度θは、arctan(F/E)=θにより求められる。演算装置4は、移動量KSを基に、ピッチKPをKP’=KS×(F/E)とする補正を行う。これにより、付加製造装置1は、基材2から構造物34Bの上面に到達する蓋状の構造物35を造形することができる。
【0081】
図22は、本発明の実施の形態6の第2変形例にかかる付加製造装置1による堆積物の造形について説明する図である。実施の形態6の第2変形例では、設定方向における穴36よりも手前側の位置から設定方向へビード33Aを重ねていき、穴36の先にまでビード33Aの堆積物を到達する。実施の形態6の第2変形例では、ビード33Aから設定方向への先には、基材2から立てられた他の堆積物も構造物も設けられていない。基材2上からのビード33Aの積み上げにより、堆積物は水平方向へ近い方向へ延ばされて、基材2のうち穴36を超えた先の領域へ到達する。
【0082】
移動量KSが実施の形態1の式(2)の関係を満足するとともに、ピッチKPが小さくされることで、水平方向に近い方向へビード33Aの堆積物が延ばされる。これにより、付加製造装置1は、設定方向において穴36を跨ぐように延ばされたビード33Aの堆積物を造形することで、穴36を覆う蓋状の構造物37を造形することができる。
【0083】
図23は、本発明の実施の形態6の第3変形例にかかる付加製造装置1による堆積物の造形について説明する図である。実施の形態6の第3変形例では、付加製造装置1は、第2変形例と同様の穴36を覆うメッシュ状の補助基材38が配置されて、蓋状の構造物37を造形する。
【0084】
図24は、図23に示す堆積物の造形において使用される補助基材38の上面拡大図である。補助基材38は、幅MDの線状の材料39を、幅MWの網目をなすように編み込んで構成されている。
【0085】
図25は、図23に示す堆積物の造形において使用される補助基材38の側面拡大図である。補助基材38は、高さMTにて材料39を編み込んで構成されている。補助基材38の材料は、ワイヤ7の材料と同じ材料か、基材2の材料と同じ材料とされる。
【0086】
図26は、図23に示す構成の要部断面を示す図である。ビード33A−1は、基材2に設けられる。ビード33A−2,33A−3と、ビード33A−2,33A−3の設定方向側に形成される他のビード33Aとは、突出量OHが(MW+MD)×p=OHの関係を満足するまで、ビード33Aの積み上げが継続される。「p」は任意の整数であって、穴36よりも設定方向の手前側の位置から穴36よりも先の位置にまで堆積物が繋げられるまでに積み上げられるビード33Aの数を表す。
【0087】
ビード33A−2,33A−3と、ビード33A−2,33A−3の設定方向側に形成される他のビード33Aについて、KS=OHが成り立つ。また、ビード33A−2については、KP=MTが成り立つ。ビード33A−3と、ビード33A−3の設定方向側に形成される他のビード33Aについて、KP=0が成り立つ。
【0088】
補助基材38は、溶融によりビード33Aと基材2とに溶接される。付加製造装置1は、穴36を覆う補助基材38が設けられていることで、穴36の内部にまでビード33Aが垂れるようなビード33Aの変形を抑制できる。付加製造装置1は、穴36を覆う蓋状の構造物37を造形することができる。
【0089】
図27は、本発明の実施の形態6の第4変形例にかかる付加製造装置1による堆積物の造形について説明する図である。実施の形態6の第4変形例では、付加製造装置1は、複数の線状の材料41を有する補助基材40が配置されて、蓋状の構造物42を造形する。材料41は、平行かつ等間隔で配置される。付加製造装置1は、穴36を覆う補助基材40が設けられていることで、穴36の内部にまでビード33Aが垂れるようなビード33Aの変形を抑制できる。付加製造装置1は、穴36を覆う蓋状の構造物37を造形することができる。
【0090】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 付加製造装置、2 基材、3 数値制御装置、4 演算装置、5 記憶装置、6 ワイヤ送給装置、7 ワイヤ、8 ワイヤ送給ガイド、10 レーザ発振器、11 光伝達経路、12 加工ヘッド、13 ステージ、14 Z軸駆動装置、15 X軸駆動装置、16 Y軸駆動装置、17 測定装置、20 レーザビーム、21 先端、22,33A,33B ビード、23 はみ出し部、31,34,34B,35,37,42 構造物、32 堆積物、36 穴、38,40 補助基材、39,41 材料、101,111 プロセッサ、102,112 メモリ、103,113 ディスプレイ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【国際調査報告】