(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2019220912
(43)【国際公開日】20191121
【発行日】20200820
(54)【発明の名称】多層フィルム及び包装材
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20200727BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20200727BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20200727BHJP
【FI】
   !B32B27/32 E
   !B32B27/00 A
   !B65D65/40 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】2020519553
(21)【国際出願番号】JP2019017601
(22)【国際出願日】20190425
(31)【優先権主張番号】2018092983
(32)【優先日】20180514
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
【住所又は居所】東京都板橋区坂下3丁目35番58号
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124143
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 嘉久
(72)【発明者】
【氏名】庄司 賢人
【住所又は居所】埼玉県北足立郡伊奈町大字小室4472番地1 DIC株式会社 埼玉工場内
(72)【発明者】
【氏名】薄井 達彦
【住所又は居所】埼玉県北足立郡伊奈町大字小室4472番地1 DIC株式会社 埼玉工場内
(72)【発明者】
【氏名】松原 弘明
【住所又は居所】埼玉県北足立郡伊奈町大字小室4472番地1 DIC株式会社 埼玉工場内
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
ポリプロピレン系樹脂を主成分とする表面層(A)、直鎖低密度ポリエチレンを主成分とする中間層(B)、環状ポリオレフィン系樹脂を主成分とする中間層(C)及びヒートシール層(D)が、(A)/(B)/(C)/(D)の順に積層された多層フィルムであり、前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中の直鎖低密度ポリエチレンの含有量が65質量%以上である多層フィルムにより、良好なヒートシール性や耐衝撃性、易引き裂き性と共に、高温高湿環境下にさらされた後に低温環境下にさらされた際の好適な引き裂き性を実現できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂を主成分とする表面層(A)、直鎖低密度ポリエチレンを主成分とする中間層(B)、環状ポリオレフィン系樹脂を主成分とする中間層(C)及びヒートシール層(D)が、(A)/(B)/(C)/(D)の順に積層された多層フィルムであり、前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中の直鎖低密度ポリエチレンの含有量が65質量%以上であることを特徴とする多層フィルム。
【請求項2】
前記中間層(B)中の直鎖低密度ポリエチレンの密度が0.925g/cm以下である請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項3】
前期中間層(B)の層中の平均密度が0.930g/cm以下である請求項1又は2に記載の多層フィルム。
【請求項4】
前記ヒートシール層(D)が直鎖低密度ポリエチレンを主成分とする請求項1〜3のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項5】
前記ヒートシール層(D)中の直鎖低密度ポリエチレンの密度が0.916g/cm以上である請求項4に記載の多層フィルム。
【請求項6】
前記中間層(C)に含まれる環状ポリオレフィン系樹脂中の60質量%以上が、ガラス転移温度が120℃以下の環状ポリオレフィン系樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項7】
前記多層フィルムの総厚みが20〜60μmの範囲である請求項1〜6のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の多層フィルムを用いた包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品や医療品等の包装材に使用する多層フィルムに関し、より詳細には、良好な裂け性を有する包装材を実現可能な多層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品や医療品等の包装材としては、内容物の保護の観点から良好なヒートシール性や耐衝撃性を有することに加え、使用時には内容物を容易に取り出せる易開封性や易引き裂き性が求められる。良好なヒートシール性や耐衝撃性と、易引き裂き性とを有するフィルムとしては、例えば、環状構造を有さないポリオレフィン系樹脂を主成分とする層と、環状ポリオレフィン系樹脂を主成分とする層とを、特定の厚み比率で複数層積層した多層フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。当該多層フィルムは、当該構成により、好適なヒートシール性や耐衝撃性と、易引き裂き性とを兼備すると共に、引き裂き時の直進カット性に優れることから、極めて良好な引き裂き開封性を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−089619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装材は、その使用用途によっては、ヒートシール後のボイル殺菌等により高温高湿環境下にさらされたり、その後の流通段階では冷蔵や冷凍により低温環境下にさらされたりすることがある。このような包装材には、様々な温度変化の影響を受けた後でも、好適な裂け性を有することが求められる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、良好なヒートシール性や耐衝撃性、易引き裂き性と共に、高温高湿環境下にさらされた後に低温環境下にさらされた場合にも一方向への引き裂き性に優れた多層フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする表面層(A)、直鎖低密度ポリエチレンを主成分とする中間層(B)、環状ポリオレフィン系樹脂を主成分とする中間層(C)及びヒートシール層(D)が、(A)/(B)/(C)/(D)の順に積層された多層フィルムであり、前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中の直鎖低密度ポリエチレンの含有量が65質量%以上である多層フィルムにより、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の多層フィルムは、良好なヒートシール性や耐衝撃性、易引き裂き性と共に、高温高湿環境や低温環境下にさらされた場合などの温湿度変化を受けた際にも一方向への優れた引き裂き性を有することから、ヒートシール後にボイル殺菌を行う食料・医療用品の包装用途に好適に適用できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の多層フィルムは、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする表面層(A)、直鎖低密度ポリエチレンを主成分とする中間層(B)、環状ポリオレフィン系樹脂を主成分とする中間層(C)及びヒートシール層(D)が、(A)/(B)/(C)/(D)の順に積層された多層フィルムであり、前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中の直鎖低密度ポリエチレンの含有量が65質量%以上の多層フィルムである。
【0009】
[表面層(A)]
本発明の多層フィルムの表面層(A)は、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする層である。当該ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、たとえばプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、メタロセン触媒系ポリプロピレンなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用してもよいし、併用してもよい。これらのポリプロピレン系樹脂を表面層(A)として用いた場合には、フィルムの耐熱性が向上する。更に、単体で使用する場合には、この表面層(A)が包装材の表層となることから、光沢を有した包装材とすることができる。
【0010】
また、表面層(A)に使用する樹脂としては、プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレンランダム共重合体を併用することも好ましい。プロピレン単独重合体は、耐熱性や剛性の向上が期待でき、プロピレン−エチレンランダム共重合体は、光沢性の向上が期待できる。これらポリプロピレン系樹脂を併用する事で、耐熱性・光沢性を有した包装材を得やすくなる。
【0011】
また、これらのポリプロピレン系樹脂は、MFR(230℃)が0.5〜30.0g/10分で、融点が110〜165℃であるものが好ましく、より好ましくは、MFR(230℃)が2.0〜15.0g/10分で、融点が115〜162℃のものである。MFR及び融点がこの範囲であれば、フィルムの成膜性が向上する。
【0012】
前記その他のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1等が挙げられ、これらの2種以上を同時に共重合したものであっても良い。共重合形式としてはランダム共重合、ブロック共重合のいずれもでも使用できる。
【0013】
これらの中でも、エチレンとの共重合体であることが好ましい。また、共重合体におけるその他のα−オレフィンの含有率としては、2〜23モル%が好ましく、より好ましくは2.5〜15モル%である。
【0014】
表面層(A)は、上記ポリプロピレン系樹脂を主成分とするものであり、本発明の効果を損なわない範囲で共押出可能なその他の樹脂を併用しても良い。なお、「主成分とする」とは具体的には表面層(A)に用いる樹脂成分のうちの70質量%以上がポリプロピレン系樹脂であることをいうものであり、80質量%以上がポリプロピレン系樹脂であることが好ましく、90質量%以上がポリプロピレン系樹脂であることがより好ましい。
【0015】
表面層(A)に使用する、上記ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂としては、包装用フィルムに使用される各種樹脂を使用でき、なかでも、エチレン系樹脂等のオレフィン系樹脂を好ましく使用できる。エチレン系樹脂としては超低密度ポリエチレン(VLDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状中密度ポリエチレン(LMDPE),中密度ポリエチレン(MDPE)等のポリエチレン樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等を使用できる。
【0016】
上記プロピレン系樹脂以外の樹脂としてオレフィン系樹脂を使用する場合には、その含有量が表面層(A)に含まれる樹脂成分中の30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0017】
また、オレフィン系樹脂として環状ポリオレフィン系樹脂を使用してもよいが、表面層(A)に含まれる樹脂成分中の環状ポリオレフィン系樹脂の含有量は10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、実質的に使用しないことも好ましい。
【0018】
本発明で使用する表面層(A)中には、上記以外の他の樹脂を併用してもよい。当該他の樹脂としては、例えば、ポリエチレン系エラストマー、ポリプロピレン系エラストマー、ブテン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー;エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート(EMA)共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)等のエチレン系共重合体;更にはエチレン−アクリル酸共重合体のアイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体のアイオノマー等を例示できる。
【0019】
上記他の樹脂を使用する場合には、その含有量が表面層(A)に含まれる樹脂成分中の30質量%以下で使用することが好ましく、30質量%以下で使用することがより好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0020】
表面層(A)中には、上記樹脂成分以外に各種添加剤等を適宜併用してもよい。添加剤としては、例えば、滑剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐電防止剤、防曇剤等、着色剤等を適宜使用できる。これら添加剤を使用する場合には、表面層(A)に使用する樹脂成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以下、より好ましくは0.01〜1質量部程度で使用する。
【0021】
特に、フィルム成形時の加工適性、充填機の包装適性を付与するため、表面層(A)の摩擦係数は0.9以下、中でも0.8以下である事が好ましいので、表面層(A)には、滑剤やブロッキング防止剤を適宜添加する事も好ましい。
【0022】
表面層(A)の多層フィルムに対する厚み比率は、良好な裂け性、特に一方向への優れた裂け性や、好適な剛性や耐熱性、包装機械適性等を得やすいことから、多層フィルムの総厚みに対する表面層(A)の厚み比率としては、10〜40%の範囲であることが好ましく、特に10〜30%の範囲であることが好ましい。
【0023】
[中間層(B)]
本発明の多層フィルムの第一の中間層(B)は、直鎖低密度ポリエチレンを主成分とする層である。環状ポリオレフィン系樹脂を主成分とする中間層(C)に、直鎖低密度ポリエチレン主成分とする中間層(B)を積層することで、好適な耐衝撃性を有すると共に、高温高湿環境下や低温環境下にさらされた後にも一方向への引き裂き性に優れた多層フィルムを実現できる。中間層(B)に使用する直鎖低密度ポリエチレンの密度は、良好な裂け性や耐衝撃性を得やすいことから、好ましくは0.930g/cm以下、より好ましくは0.925g/cm以下、さらに好ましくは0.910〜0.920g/cmである。また、中間層(B)の層中の樹脂成分の平均密度は0.930g/cm以下であることが好ましく、0.915〜0.930g/cmであることがより好ましい。
【0024】
直鎖低密度ポリエチレンのMFRは、0.1〜20g/10分(190℃、21.18N)、好ましくは0.3〜10g/10分(190℃、21.18N)、より好ましくは0.5〜5g/10分(190℃、21.18N)である。MFRがこの範囲であると、良好な成膜性が得られる点で好ましい。
【0025】
本発明においては、中間層(B)中の直鎖低密度ポリエチレンの含有量を中間層(B)に含まれる樹脂成分中の65質量%以上とすることで、好適な耐衝撃性、高温高湿環境下や低温環境下にさらされた後にも一方向への優れた引き裂き性を実現できる。当該含有量は、中間層(B)に含まれる樹脂成分中の68質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。また、中間層(B)に含まれる樹脂成分中の100質量%が、直鎖低密度ポリエチレンであってもよい。
【0026】
中間層(B)中には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記直鎖低密度ポリエチレン以外の他の樹脂を併用してもよい。その他の併用できる樹脂種としては、例えば、上記表面層(A)にて例示した直鎖低密度ポリエチレン系樹脂以外のポリエチレン系樹脂や、ポリプロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂を例示できる。なかでも高密度ポリエチレンは、剛性や易裂け性を向上させやすいため好ましい。上記直鎖低密度ポリエチレン以外の樹脂としてオレフィン系樹脂を使用する場合には、その含有量が中間層(B)に含まれる樹脂成分中の35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
【0027】
また、オレフィン系樹脂として環状ポリオレフィン系樹脂を使用してもよいが、中間層(B)に含まれる樹脂成分中の環状ポリオレフィン系樹脂の含有量は10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、実質的に使用しないことも好ましい。
【0028】
また、中間層(B)中には、上記以外の他の樹脂を併用してもよく、当該他の樹脂としては、表面層(A)にて例示した熱可塑性エラストマーやエチレン系共重合体、アイオノマー等を例示できる。当該他の樹脂を使用する場合には、その含有量が中間層(B)に含まれる樹脂成分中の35質量%以下で使用することが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
【0029】
中間層(B)中には、上記樹脂成分以外に各種添加剤等を適宜併用してもよい。添加剤としては、例えば、滑剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐電防止剤、防曇剤等、着色剤等を適宜使用できる。これら添加剤を使用する場合には、中間層(B)に使用する樹脂成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以下、より好ましくは0.01〜1質量部程度で使用する。
【0030】
前記ポリエチレン系樹脂(b)を主成分とする中間層(B)の多層フィルム(I)に対する厚み比率としては、方向性のある易開封性と、その他の性能バランス、特に耐低温衝撃性の観点より、30%以上であることを必須とするものであり、特に40〜65%の範囲であることが好ましい。
【0031】
[中間層(C)]
本発明の多層フィルムの第二の中間層(C)には環状ポリオレフィン系樹脂を含有することで、優れた易引き裂き性や直進カット性を実現できる。当該環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、環状共役ジエン重合体等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体が好ましい。また、ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体(以下、「COP」という。)、ノルボルネン系単量体とエチレン等のオレフィンを共重合したノルボルネン系共重合体(以下、「COC」という。)等が挙げられる。また、COP及びCOCの水素添加物も、特に好ましい。また、環状ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、5,000〜500,000が好ましく、より好ましくは7,000〜300,000である。
【0032】
前記ノルボルネン系重合体と原料となるノルボルネン系単量体は、ノルボルネン環を有する脂環族系単量体である。このようなノルボルネン系単量体としては、例えば、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、エチリデテトラシクロドデセン、ジシクロペンタジエン、ジメタノテトラヒドロフルオレン、フェニルノルボルネン、メトキシカルボニルノルボルネン、メトキシカルボニルテトラシクロドデセン等が挙げられる。これらのノルボルネン系単量体は、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
【0033】
前記ノルボルネン系共重合体は、前記ノルボルネン系単量体と共重合可能なオレフィンとを共重合したものであり、このようなオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素原子数2〜20個を有するオレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン;1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエンなどが挙げられる。
【0034】
中間層(C)中に含まれる環状ポリオレフィン系樹脂の含有量は、中間層(C)に含まれる樹脂成分中の70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。環状ポリオレフィン系樹脂の含有量を当該範囲とすることで、耐衝撃性を損なうことなく、好適な易引き裂き性や直進カット性を実現しやすくなる。
【0035】
また、中間層(C)中に使用する環状ポリオレフィン系樹脂は、そのガラス転移温度が140℃以下であることが好ましく、50〜140℃であることがより好ましく、70〜120℃であることがさらに好ましい。環状ポリオレフィン系樹脂として当該ガラス転移温度のものを使用することで、良好な耐熱性や剛性を得やすく、また、落下等に対する耐破袋性を向上させやすくなる。また、良好な相溶性を得やすくなり、外観ムラを抑制しやすくなる。ガラス転移温度(Tg)は、DSCにより測定して得られる値である。
【0036】
また、異なるガラス転移温度の環状ポリオレフィン系樹脂を併用してもよいが、その60質量%以上は、押出適性、コスト、易裂け性等の観点からガラス転移点が120℃以下の環状ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
【0037】
環状ポリオレフィン系樹脂のMFRは、0.2〜17g/10分(230℃、21.18N)、好ましくは3〜15g/10分(230℃、21.18N)、より好ましくは5〜13g/10分(230℃、21.18N)である。MFRがこの範囲であると、直鎖状低密度ポリエチレンとの相溶性に優れ、なおかつ各種の多層成膜法において良好な成膜性が得られる点で好ましい。
【0038】
本発明に使用する環状ポリオレフィン系樹脂として使用できる市販品として、ノルボルネン系モノマーの開環重合体(COP)としては、例えば、日本ゼオン株式会社製「ゼオノア(ZEONOR)」等が挙げられ、ノルボルネン系共重合体(COC)としては、例えば、三井化学株式会社製「アペル」、ポリプラスチックス社製「トパス(TOPAS)」等が挙げられる。
【0039】
中間層(C)中の樹脂成分としては、上記環状ポリオレフィン系樹脂のみを含有することも好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、これら樹脂成分以外の他の樹脂を併用してもよい。その他の併用できる樹脂種としては、例えば、上記表面層(A)にて、例示したポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等の環状ポリオレフィン系樹脂以外の環状構造を有さないオレフィン系樹脂を例示できる。これら環状構造を有さないオレフィン系樹脂を使用する場合には、中間層(C)に含まれる樹脂成分中の30質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下とすることがより好ましく、10質量%以下とすることがさらに好ましい。また下限は特に制限されるものではないが、所望する特性に応じて1質量%以上の含有量にて適宜使用すればよい。
【0040】
中間層(C)中には、上記樹脂成分以外に各種添加剤等を適宜併用してもよい。添加剤としては、例えば、滑剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐電防止剤、防曇剤等、着色剤等を適宜使用できる。これら添加剤を使用する場合には、中間層(B)に使用する樹脂成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以下、より好ましくは0.01〜1質量部程度で使用する。
【0041】
また、中間層(C)の多層フィルムに対する厚み比率としては、コスト面と成膜性やフィルムのカール性の観点より、30%以下であることが好ましく、後述する共押出積層法による成膜が良好であることより、5%以上であることが好ましい。
【0042】
[ヒートシール層(D)]
本発明の多層フィルム使用するヒートシール層(D)は、各種包装用フィルムに使用されるヒートシール層を適宜使用できる。なかでも、前記樹脂層(A)、中間層(B)、中間層(C)等と積層しやすいことから、ポリオレフィン系樹脂、特に環状構造を有さないポリオレフィン系樹脂を主成分とする層であることが好ましい。当該ポリオレフィン系樹脂としては、上記表面層(A)等にて例示したポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を好ましく使用できる。
【0043】
なかでも、強度や密封性、包装機械適性の観点から、密度が0.916〜0.935g/cmのポリエチレン系樹脂あるいはメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体であるポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。特に、好適な直進カット性等を損なうことなく好適なシール性を得やすいことから直鎖低密度ポリエチレンを使用することが好ましい。また、ボイル殺菌工程でのフィルムの互着の抑制からも上記密度の範囲が好ましい。
【0044】
ヒートシール層(D)に含まれる樹脂成分中の上記ポリオレフィン系樹脂の含有量は70質量%以上とすることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。また、ヒートシール層(D)に含まれる樹脂成分中の100質量%が、直鎖低密度ポリエチレンであってもよい。
【0045】
中間層(B)中には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記ポリオレフィン系樹脂以外の他の樹脂を併用してもよく、当該他の樹脂としては、表面層(A)にて例示した熱可塑性エラストマーやエチレン系共重合体、アイオノマー等を例示できる。当該他の樹脂を使用する場合には、その含有量がヒートシール層(D)に含まれる樹脂成分中の30質量%以下で使用することが好ましく、30質量%以下で使用することがより好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0046】
ヒートシール層(D)中には、上記樹脂成分以外に各種添加剤等を適宜併用してもよい。添加剤としては、例えば、滑剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐電防止剤、防曇剤等、着色剤等を適宜使用できる。これら添加剤を使用する場合には、ヒートシール層(D)に使用する樹脂成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以下、より好ましくは0.01〜1質量部程度で使用する。特に、フィルム成形時の加工適性、充填機の包装適性を付与するため、ヒートシール層(D)の摩擦係数は0.9以下、中でも0.8以下である事が好ましいので、ヒートシール層(D)には、滑剤やアンチブロッキング剤を適宜添加する事も好ましい。
【0047】
また、特に単体で包装機械を使用して包装する場合には、多層フィルムの表面層(A)と、ヒートシール層(D)とで、融点に差がある樹脂を用いることが、シールバーの温度を高くすることができ、シール強度を向上できる観点より好ましく、具体的には、表面層(A)の融点が、ヒートシール層(D)の融点より10℃以上高くすることが好ましい。
【0048】
ヒートシール層(D)の多層フィルムの総厚みに対する厚み比率は、好適な裂け性とシール強度とを得やすいことから、30%以下であることが好ましく、10〜25%の範囲であることがより好ましい。
【0049】
[多層フィルム]
本発明の多層フィルム(I)は、上記表面層(A)、中間層(B)、中間層(C)及びヒートシール層(D)が、(A)/(B)/(C)/(D)の順に積層された多層フィルムである。本発明の多層フィルムは当該構成により、良好なヒートシール性や耐衝撃性、易引き裂き性と共に、高温高湿環境下や低温環境下にさらされた後にも一方向への優れた引き裂き性を実現できる。
【0050】
本発明の多層フィルム(I)は、フィルムの厚さが20〜60μmのものが好ましく、より好ましくは30〜50μmである。フィルムの厚さがこの範囲であれば、安定したシール強度、包装機械適性、優れた耐ピンホール性能、易引き裂き性能等を得やすくなる。
【0051】
また、各層の厚みは、特に制限されるものではないが、例えば、表面層(A)の厚みとしては、3〜15μmであることが好ましく、5〜12μmであることがより好ましい。中間層(B)の厚みは8〜35μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。中間層(C)の厚みは1〜15μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。ヒートシール層(D)の厚みは2〜20μmであることが好ましく、4〜15μmであることがより好ましい。
【0052】
本発明の多層フィルムは、内容物保護の観点から、そのシール強度が5N/15mm以上である事が好ましく、10N/15mm以上であることがより好ましい。
【0053】
本発明の多層フィルムの曇り度は、包装する内容物を視認しやすいことから、10%以下である事が好ましく、8%以下であることがより好ましく。本発明の多層フィルムは、このような高い透明性を有する場合には、好適な包装適性や好適な印刷密着性を実現しやすい。
【0054】
本発明の多層フィルム(I)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、樹脂層(A)、中間層(B)、中間層(C)、シール層(D)に用いる各樹脂又は樹脂混合物を、それぞれ別々の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で(A)/(B)/(C)/(D)の順で積層した後、インフレーションやTダイ・チルロール法等によりフィルム状に成形する共押出法が挙げられる。この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。さらに、本発明の中間層(B)で用いるポリエチレン系樹脂は、その他の層で使用する高密度ポリエチレンや、環状ポリオレフィン系樹脂との軟化点(融点)の差が大きいため、相分離やゲルを生じることがある。このような相分離やゲルの発生を抑制するためには、比較的高温で溶融押出を行うことができるTダイ・チルロール法が好ましい。
【0055】
本発明の多層フィルム(I)は、上記の製造方法によって、実質的に無延伸の多層フィルムとして得られるため、真空成形による深絞り成形等の二次成形も可能となる。
【0056】
さらに、印刷インキとの接着性や、ラミネート用シーラントフィルムとして使用する場合のラミネート適性を向上させるため、前記樹脂層(A)に表面処理を施すことが好ましい。このような表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理等の表面酸化処理、あるいはサンドブラスト等の表面凹凸処理を挙げることができるが、好ましくはコロナ処理である。
【0057】
本発明の多層フィルムからなる包装材としては、食品、薬品、工業部品、雑貨、雑誌等の用途に用いる包装袋、包装容器等が挙げられる。
【0058】
前記包装袋は、本発明の多層フィルム(I)のシール層(D)をヒートシール層として、シール層(D)同士を重ねてヒートシール、あるいは樹脂層(A)とシール層(D)とを重ね合わせてヒートシールすることにより形成した包装袋であることが好ましい。例えば当該多層フィルム2枚を所望とする包装袋の大きさに切り出して、それらを重ねて3辺をヒートシールして袋状にした後、ヒートシールをしていない1辺から内容物を充填しヒートシールして密封することで包装袋として用いることができる。さらには自動包装機によりロール状のフィルムを円筒形に端部をシールした後、上下をシールすることにより包装袋を形成することも可能である
【0059】
また、シール層(D)とヒートシール可能な別のフィルムを重ねてヒートシールすることにより包装袋・容器を形成することも可能である。その際、使用する別のフィルムとしては、比較的機械強度の弱いLDPE、EVA等のフィルムを用いることができる。また、LDPE、EVA等のフィルムと、比較的引き裂き性の良い延伸フィルム、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)等とを貼り合わせたラミネートフィルムも用いることができる。
【0060】
本発明の多層フィルム(I)は、他の基材と貼りあわせても使用できる。この時使用することができる他の基材としては、特に限定されるものではないが、本発明の効果を容易に発現させる観点から、高剛性、高光沢を有するプラスチック基材、特には二軸延伸された樹脂フィルムを用いることが好ましい。また透明性を必要としない用途の場合はアルミ箔を単独あるいは組み合わせて使用することもできる。
【0061】
延伸された樹脂フィルムとしては、易引裂き性等の観点から、例えば、二軸延伸ポリエステル(PET)、易裂け性二軸延伸ポリエステル(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリアミド(PA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)を中心層とした共押出二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)をコートした共押出二軸延伸ポリプロピレン等が挙げられる。これらは、単独あるいは複合化して使用しても良い。
【0062】
上記の製造方法によって得られた多層フィルムに前記基材を積層し、ラミネートフィルムとする場合の積層方法としては、例えば、ドライラミネーション、ウェットラミネーション、ノンソルベントラミネーション、押出ラミネーション等の方法が挙げられる。
【0063】
前記ドライラミネーションで用いる接着剤としては、例えば、ポリエーテル−ポリウレタン系接着剤、ポリエステル−ポリウレタン系接着剤等が挙げられる。また各種の粘着剤を使用することもできるが、感圧性粘着剤を用いることが好ましい。感圧性粘着剤としては、例えば、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、これらの混合物をベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンのような有機溶剤に溶解したゴム系粘着剤、或いは、これらゴム系粘着剤にアビエチレン酸ロジンエステル、テルペン・フェノール共重合体、テルペン・インデン共重合体などの粘着付与剤を配合したもの、或いは、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸n−ブチル共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体などのガラス転移点が−20℃以下のアクリル系共重合体を有機溶剤で溶解したアクリル系粘着剤などを挙げることができる。
【0064】
本発明の多層フィルムを用いた包装材には、初期の引き裂き強度を弱め、開封性を向上するため、シール部にVノッチ、Iノッチ、ミシン目、微多孔などの任意の引き裂き開始部を形成することが好ましい。
【0065】
本発明の多層フィルムは、方向性のある易引き裂き性を有することから、包装形態としては、包装体の上部をテープや金具や樹脂製のクロージャー等で結束した巾着用包装やフィルムの流れ方向と垂直な方向(TD)に再封機能を有したチャック、ジッパー等の線ファスナーを付着した再封性包装に好適である。
【0066】
(実施例1)
表面層(A)、中間層(B)、中間層(C)及びヒートシール層(D)の各層を形成する樹脂成分として、各々下記の樹脂を使用して、各層を形成する樹脂混合物を調整した。各層を形成する樹脂混合物を4台の押出機に各々供給し、表面層(A)/中間層(B)/中間層(C)/ヒートシール層(D)にて形成される積層フィルムの各層の平均厚さが7μm/15μm/3μm/5μmとなるように、押出温度250℃でTダイから共押出して、40℃の水冷金属冷却ロールで冷却し、全厚が30μmの積層フィルムを成形した。次いで、得られた積層フィルムの表面層(A)に濡れ張力が40mN/mとなるようにコロナ放電処理を施して、積層フィルムを得た。
表面層(A):プロピレン単独重合体(密度0.900g/cm、MFR8.0g/10min)(以下、PP(1)と称する。)50質量部と、プロピレン−エチレンランダム共重合体(密度0.900g/cm、MFR8.0g/10min)(以下、PP(2)と称する。)50質量部との混合物。
中間層(B):直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm、MFR4.0g/10min)(以下、LLDPE(1)と称する。)100質量部。
中間層(C):ノルボルネン系共重合体(密度1.010g/cm、MFR7.0g/10min)(以下、COC(1)と称する。)100質量部。
ヒートシール層(D):直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.935/cm、MFR5.0g/10min(以下、LLDPE(2)と称する。)100質量部。
【0067】
(実施例2)
中間層(B)及びヒートシール層(D)に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層(B):LLDPE(1)80質量部と、高密度ポリエチレン(密度0.960g/cm、MFR8.0g/10min)(HDPE(1))20質量部との混合物。
ヒートシール層(D):LLDPE(1)100質量部。
【0068】
(実施例3)
中間層(B)に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例2と同様にして積層フィルムを得た。
中間層(B):LLDPE(1)90質量部と、HDPE(1)10質量部との混合物。
【0069】
(実施例4)
中間層(B)に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例2と同様にして積層フィルムを得た。
中間層(B):LLDPE(1)100質量部。
【0070】
(実施例5)
中間層(C)に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例4と同様にして積層フィルムを得た。
中間層(C):ノルボルネン系共重合体(密度1.020g/cm、MFR8.0g/10min)(以下、COC(2)と称する。)100質量部。
【0071】
(実施例6)
中間層(B)に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例2と同様にして積層フィルムを得た。
中間層(B):直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.915g/cm、MFR3.0g/10min)(以下、LLDPE(3)と称する。)100質量部。
【0072】
(実施例7)
表面層(A)に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は、実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
表面層(A):PP(1)70質量部と、PP(2)30質量部との混合物。
【0073】
(実施例8)
表面層(A)に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例4と同様にして積層フィルムを得た。
表面層(A):PP(1)50質量部と、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合(密度0.900g/cm、MFR7.0g/10min)(以下、PP(3)と称する。)50質量部との混合物。
【0074】
(比較例1)
中間層(B)に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例2と同様にして積層フィルムを得た。
中間層(B):LLDPE(1)65質量部と、HDPE(1)35質量部との混合物。
【0075】
(比較例2)
中間層(B)に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
中間層(B):LLDPE(1)65質量部と、HDPE(1)35質量部との混合物。
【0076】
(比較例3)
中間層(B)に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層(B):LLDPE(1)65質量部と、HDPE(1)35質量部との混合物。
【0077】
[耐ボイル性]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを、シール層を内側にして縦ピロー製袋機でセンターシール温度160℃、エンドシール温度150℃の条件で製袋し、縦180mm×横150mm、各シール部のシール幅が10mmの製袋サンプルを得た。得られた製袋サンプルにボイル殺菌装置を用いて98℃、30分の加熱処理を施し、加熱処理後の製袋サンプルの破袋の有無を目視にて評価した。また、加熱処理後の製袋サンプルを常温まで冷却した後、シール面の互着の有無を目視にて評価した。
○:破袋やシール面の互着が無い
×:破袋やシール面の互着が有る
【0078】
[横裂け性]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを、シール層を内側にして縦ピロー製袋機で製袋し、縦180mm×横150mmの製袋サンプルを得た。得られた製袋サンプルの縦シール部の中央位置に、5mmの切れ込みを入れ、当該切れ込みの両側を、切れ込みが広がるように縦方向側に引っ張って、製袋サンプルの縦シール面の両横端まで裂けるように開封した。開封した際の両横端部の裂け位置と、両横端部の縦方向の中央位置との距離の差を測定し、横方向への選択的な裂け性を評価した。なお、裂け性の評価は、ボイル殺菌前の製袋サンプルと、上記[耐ボイル性]評価と同様の条件でボイル殺菌した後に冷蔵環境下で4時間静置した製袋サンプルの評価を行った。ボイル殺菌前の製袋サンプル及びボイル殺菌後冷蔵した製袋サンプルは、各々3つずつ作成し、これらの平均値を評価結果とした。
○:中央位置と裂け位置の差が両横端共に30mm未満
△:中央位置と裂け位置の差が両横端共に30mm以上〜40mm以下
×:両横端部まで裂けない製袋サンプルが1つ以上
[耐衝撃性]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを、0℃下に調整した恒温室内で4時間静置した。その後、テスター産業製BU−302型フィルムインパクトテスターを用いて、振り子の先端に1.5インチのヘッドを取り付け、フィルムインパクト法による衝撃強度を測定した。
○:衝撃強度が0.90(J)以上
△:衝撃強度が0.60以上(J)〜0.90(J)未満
×:衝撃強度が0.60(J)未満
【0079】
[剛性の測定]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを、23℃における1%接線モジュラス(単位:MPa)を、ASTM D−882に基づき、テンシロン引張試験機〔株式会社エー・アンド・デー製〕を用いて測定した。測定はフィルム製造時の押出方向(以下、「MD」という)及びフィルム幅方向(以下、「CD」という)にて実施した。
【0080】
[シール強度]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを用いて、150℃、0.2MPa、1秒の条件にて、シール幅10mmでヒートシールした試験片を作成し、15mm幅に裁断し、引張試験機にて、シール強度を測定した。同様の評価を3回実施し、これらの平均値を評価結果とした。
○:ヒートシール強度が5N/15mm以上
×:ヒートシール強度が5N/15mm未満
【0081】
[透明性]
実施例及び比較例にて得られたフィルムの曇り度を、JIS K7105に基づきヘーズメーター(日本電飾工業株式会社製)を用いて測定した(単位:%)。透明性は下記基準にて評価した。
○:曇り度が8%未満
×:曇り度が8%以上
【0082】
[表面摩擦係数]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを用い、ASTM−D1894に基づき、23℃、50%RH下で、表面層(A)同士の静摩擦係数、及び、ヒートシール層(D)同士の静摩擦係数をスリップテスター法にて測定した。
○:静摩擦係数が0.8未満
×:静摩擦係数が0.8以上
【0083】
上記で得られた結果を表1〜2に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
上記表から明らかなとおり、実施例1〜8の本発明の積層フィルムは、ボイル殺菌可能であり、高温高湿環境下や低温環境下にさらされた後にも横裂け性を示し、好適な耐衝撃強度を有するものであった。一方、比較例1〜3の積層フィルムは、加熱処理した後の低温環境下での横裂け性、好適な耐衝撃強度が得られないものであった。

【手続補正書】
【提出日】20200428
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂を主成分とする表面層(A)、直鎖低密度ポリエチレンを主成分とする中間層(B)、環状ポリオレフィン系樹脂を主成分とする中間層(C)及びヒートシール層(D)が、(A)/(B)/(C)/(D)の順に積層された共押出多層フィルムであり、前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中の直鎖低密度ポリエチレンの含有量が65質量%以上であり、前記中間層(C)に含まれる樹脂成分中の環状ポリオレフィン系樹脂の含有量が70質量%以上であり、前記中間層(C)の厚み比率が多層フィルムの30%以下であることを特徴とする多層フィルム。
【請求項2】
前記中間層(B)中の直鎖低密度ポリエチレンの密度が0.925g/cm以下である請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項3】
前期中間層(B)の層中の平均密度が0.930g/cm以下である請求項1又は2に記載の多層フィルム。
【請求項4】
前記ヒートシール層(D)が直鎖低密度ポリエチレンを主成分とする請求項1〜3のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項5】
前記ヒートシール層(D)中の直鎖低密度ポリエチレンの密度が0.916g/cm以上である請求項4に記載の多層フィルム。
【請求項6】
前記中間層(C)に含まれる環状ポリオレフィン系樹脂中の60質量%以上が、ガラス転移温度が120℃以下の環状ポリオレフィン系樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項7】
前記多層フィルムの総厚みが20〜60μmの範囲である請求項1〜6のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項8】
前記表面層(A)が、プロピレン系樹脂として、プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレンランダム共重合体とを含有する請求項1〜7のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項9】
無延伸の多層フィルムである請求項1〜8のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の多層フィルムを用いた包装材。
【請求項11】
前記表面層(A)を表層とした請求項10に記載の包装材。
【国際調査報告】