(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2016509853
(43)【公表日】20160404
(54)【発明の名称】熱安定なTthPrimPolを用いた増幅及び配列決定方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20060101AFI20160307BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20160307BHJP
   C12N 9/10 20060101ALI20160307BHJP
   C12N 15/01 20060101ALI20160307BHJP
【FI】
   !C12Q1/68 ZZNA
   !C12N15/00 A
   !C12N9/10
   !C12N15/00 X
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】48
(21)【出願番号】2015562213
(86)(22)【出願日】20140314
(85)【翻訳文提出日】20151114
(86)【国際出願番号】EP2014055158
(87)【国際公開番号】WO2014140309
(87)【国際公開日】20140918
(31)【優先権主張番号】13159629.8
(32)【優先日】20130315
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515259018
【氏名又は名称】シグニス バイオテク エセ.エレ.ウ.
【氏名又は名称原語表記】SYGNIS BIOTECH S.L.U.
【住所又は居所】スペイン国 エ−28046 マドリッド、パセオ デ ラ カステリャーナ 123 エス デチャ 3ベー
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】ピチェル、アンヘル ホタ.
【住所又は居所】スペイン国 エ−28221 マドリッド、マハダオンダ、セントラ デル プランティオ 123 4ア
(72)【発明者】
【氏名】ブランコ、ルイス
【住所又は居所】スペイン国 エ−28410 マドリッド、マンサナレス エル レアル、スエルテ デル パロマル 1
【テーマコード(参考)】
4B024
4B050
4B063
【Fターム(参考)】
4B024AA11
4B024AA20
4B024BA10
4B024CA01
4B024CA11
4B024CA20
4B024DA06
4B024EA04
4B024GA11
4B024HA03
4B024HA08
4B024HA19
4B050CC03
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4B063QS03
4B063QS25
4B063QS36
4B063QX01
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は、サーマス・サーモフィルHB27由来の、熱安定な二機能性複製酵素「TthPrimPolを用いた核酸の複製、増幅および配列決定の方法に関する。TthPrimPol酵素は、テンプレート核酸のヌクレオチドの変更に対して非常に耐性を有する。従って、本発明の一態様において、損傷ポリヌクレオチドテンプレートの複製、増幅および配列決定の方法を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライマー不存在下における、DNAの複製、増幅、または配列決定のための方法であって、当該方法が、
a)i)ポリメラーゼ、または
ii)ポリメラーゼコンジュゲート
を用意する工程であって、前記ポリメラーゼまたは前記ポリメラーゼコンジュゲートのポリメラーゼ残基が、配列番号1と少なくとも70%の相同性を有する配列を有し、かつポリメラーゼおよびプライマーゼ活性を有するものである工程と、
b)テンプレート核酸を用意する工程と、
c)核酸の相補鎖を取り込むための、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド誘導体を用意する工程と、
d)適切なバッファーを用意する工程と、
e)第二のポリメラーゼを用意する工程と、そして
f)工程a)乃至e)の材料を適切な時間接触させる工程と
を含んでなる、方法。
【請求項2】
工程e)で用意される前記第二のポリメラーゼが、真核生物ファミリーAのポリメラーゼ、真核生物ファミリーBのポリメラーゼからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二のポリメラーゼが熱安定なポリメラーゼであって、好ましくは、Taqポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼ、Ventポリメラーゼからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程e)で用意される前記第二のポリメラーゼが、Phi29型DNAポリメラーゼまたはそのコンジュゲートである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記a)i)のポリメラーゼ、または前記a)ii)のポリメラーゼコンジュゲートのポリメラーゼ残基が、配列番号1と少なくとも80%の相同性を有する配列を有するものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記a)i)のポリメラーゼ、または前記a)ii)のポリメラーゼコンジュゲートのポリメラーゼ残基が、配列番号1と少なくとも90%の相同性を有する配列を有するものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記a)i)のポリメラーゼ、または前記a)ii)のポリメラーゼコンジュゲートの前記ポリメラーゼ残基が、配列番号1の配列を有するものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程b)の核酸が、損傷を有するものである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記の損傷を有する核酸が、
a)一本鎖または二本鎖の破損を含むか、および/または
b)化学的に修飾を受けたヌクレオチドであるか、好ましくは、酸化ヌクレオチドおよび/または脱アミノ化ヌクレオチドからなる群から選択されるか、最も好ましくは7,8−デヒドロ−8−オキソデアニン、7,8―デヒドロ―8―オキソグアニン、チミングリコール、5―ヒドロキシシトシン5−ヒドロキシウラシルからなる群から選択されるものであるか、および/または
c)ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドで包埋された組織に由来すること
を特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程c)のヌクレオチド誘導体の少なくとも一種が、化学的に修飾を受けたヌクレオチドである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程c)のヌクレオチド誘導体が、
a)酸化ヌクレオチド誘導体、および/または
b)脱アミノ化ヌクレオチド、
c)少なくとも一つの立体的に嵩高い側基を含む誘導体
からなる群から選択されたヌクレオチド誘導体の少なくとも一種からなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程b)のテンプレート核酸が、100未満の細胞、好ましくは単一の細胞に由来する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
汚染DNAの増幅が抑制される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法に使用するための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の工程a)に定義したポリメラーゼまたはポリメラーゼコンジュゲート。
【請求項15】
改変を検出するための方法であって、特に、DNAテンプレートにおける酸化工程の生成物を検出するための方法であって、工程a)からf)によるDNA複製を含んでなる、方法:
a.i.ポリメラーゼ、または
ii.ポリメラーゼコンジュゲート
を用意する工程であって、前記ポリメラーゼまたは前記ポリメラーゼコンジュゲートのポリメラーゼ残基が、配列番号1と少なくとも70%の相同性を有する配列を有し、かつポリメラーゼおよびプライマーゼ活性を有するものである工程、
b.テンプレート核酸を用意する工程、
c.核酸の相補鎖を取り込むための、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド誘導体を用意する工程、
d.適切なバッファーを用意する工程、
e.場合により任意で、一つ以上のプライマーを用意する工程、そして
f.工程a)乃至e)の材料を適切な時間接触させ、場合により高温、好ましくは40℃超の温度、最も好ましくは50℃超の温度で接触させる工程;
g.複数の配列のリードから、工程a)の配列の全てのリードに対する、各ヌクレオチドの位置に関して取り込まれたヌクレオチドの相対的な割合を計算する工程、および
h.取り込まれたヌクレオチドの全割合と、テンプレートにおけるDNA改変の元の特徴とを関連づける工程。
【請求項16】
請求項1〜7のいずれか一項で定義した工程をさらに含んでなる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ランダム変異のための方法であって、
a)核酸を酸化性化合物と接触させる工程であって、当該接触によって核酸の塩基を酸化する工程、および
b)酸化された核酸を、請求項1〜7の工程a)いずれかに定義したポリメラーゼまたはポリメラーゼコンジュゲートを用いて複製する工程
を含んでなる、方法。
【請求項18】
20ヶ月を超えて適切な条件下で保存可能である、DNA分子を増幅するためのキットであって:
a)請求項1〜7のいずれか一項に定義したポリメラーゼを有する第一の容器、および
b)一つ以上のデオキシリボヌクレオシド三リン酸を有する第二の容器
を備えてなる、キット。
【請求項19】
20ヶ月を超えて適切な条件下で保存可能である、RNA分子を増幅するためのキットであって:
a)請求項1〜7の工程a)のいずれかに定義したポリメラーゼを有する第一の容器、および
b)一つ以上のリボヌクレオシド三リン酸を有する第二の容器
を備えてなる、キット。
【請求項20】
20ヶ月を超えて適切な条件下で保存可能である、RNA分子を配列決定するためのキットであって:
a)請求項1〜7の工程a)のいずれかに定義したポリメラーゼを有する第一の容器、
b)一つ以上のジデオキシリボヌクレオシドを有する第二の容器、および
c)一つ以上のデオキシリボヌクレオシド三リン酸を有する第三の容器
を備えてなる、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、高温菌株であるサーマス・サーモフィル(Thermus thermophilus)HB27の熱安定なプライマーゼ/ポリメラーゼタンパク質TthPrimPol、ならびに核酸の合成、増幅および配列決定の方法への使用に関する。さらに本発明は、損傷DNAまたはRNAの増幅のためのTthPrimPolからなるプライマーを要さない方法とともに前記タンパク質からなるツールおよびキットを開示する。
【背景技術】
【0002】
これまでに知られているほとんど全てのDNA複製システムにおいて、複製の開始には、DNAポリメラーゼによって追加されたヌクレオチドの受容体であるフリーの水酸基を必要とする。この目的のため、複数の異なる解決法が述べられており、全ての細胞生命体とともに多くのウィルスおよびプラスミドにおいて、「プライマーゼ」と称される専門のRNAポリメラーゼが、リボヌクレオチドを重合化し、DNAポリメラーゼによって続いて伸長される短RNAプライマーを生成させる(KornbergおよびBaker著、1991年)。レトロエレメントおよびレトロウィルスにおいて、逆転写酵素は、tRNAを用いて複製を開始する(Lodish、Berkら著、1999年)。バクテリオファージPhi29などのウィルスに由来のタンパク質刺激性システムにおいて、特定のセリン、スレオニンまたはチロシンの側鎖に由来のOH基は、DNA複製の開始点として用いられる(Salas著、1991年)。最後に、ローリングサークル複製モデルに従うウィルスにおいて、エンドヌクレアーゼは、DNA鎖の一方においてニックを生じさせ、DNAポリメラーゼによって伸長されるフリーの3‘OH基を生成する(IlyinaおよびKoonin著、1992年;ならびにNoirot―GrosおよびEhrlich著、1996年)。
【0003】
プライマーゼは、進化的に無関係な2つの系統群、すなわち、DnaG様プライマーゼ(細菌)及びAEP様プライマーゼ(古細菌および真核生物)に分類され得る(Aravind、Leipeら著、1998年;およびIyer、Kooninら著、2005年)。近年、「PrimPol」と称されるAEPsの新規の亜群について述べられており、グラム陽性細菌のプラスミッドにも孤発的に存在する(Lipps著、2004年;およびLipps、Weinzierlら著、2004年)。PrimPolsは、DNAポリメラーゼおよびRNAプライマーゼの両方の活性を示し、また、複製開始複合体を形成するためにヘリカーゼにしばしば関与する。これらの特徴により、システムが、同一の酵素が開始と伸長段階の両方を行うことを可能とする。またごく最近、プライマーゼおよびポリメラーゼの活性も有するヘリカーゼについて述べられている(SanchezーBerrondo、Mesaら著、2011年)。真核生物のプライマーゼとは異なり、古細菌のプライマーゼは、RNA鎖およびDNA鎖の両方の開始及び伸長を、それぞれ1kbまたは7kbまで行うことが可能である(Chemnitz Galal、Panら著、2012年;Lao―SirieixおよびBell著、2004年;ならびにLao―Sirieix、Pellegriniら著、2005年)。特定のPrimPolファミリーメンバーのさらなる酵素的特徴について述べられており、例えば、Garcia Gomezは、ヒトPRIMPOL遺伝子(CCDC111としても知られている)によりコードされたヒトPrimPol(HsPrimPol)が、鋳型DNAの酸化的ヌクレオチドの改変などの脱塩基部位のバイパスを可能とすることを示し、DNAのメンテナンスの役割およびアレストされた複製フォークの再開始について提案しており(Garcia Gomez、Martinez Jimenezら著、2012年)、一方、サーモコッカス・ナウティラスの30/1プラスミドであるpTN2の熱安定なprimpolは、末端トランスフェラーゼ活性を有する(国際公開2011/098588号)。
【0004】
スルホロブス・イスランジクス由来のクレンアーキオータのプラスミドpRN1のORF904タンパク質を含む、古細菌のプラスミッドに由来の二機能性複製酵素に見出されたタイプのプライマーゼ−ポリメラーゼ(PrimPol)ドメインを含むと予測された、サーマス・ファーモフィルHB29由来の推定保存タンパク質AAS81004.1をクローニングし、可溶性型および活性型でE.coliに過剰発現させ、均一に精製した。単離タンパク質(以下、TthPrimPolと称する)の酵素学的特性を深く特徴付けする一方、発明者らが驚くべきことに、予測されたプライマーゼ活性とは別に、このタンパク質が、損傷または汚染鋳型に対する耐性を予期せず高度に有することを発見し、新たな増幅および配列決定方法の開発が可能となった。
【0005】
例えばMullis(米国特許第5,656,493号明細書)によって提示されたポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)による核酸の増幅は、医学及び生物学的研究に用いられる不可欠な技術である。核酸のクローニング、操作または配列決定、遺伝子のDNAを基礎とした機能的および系統発生学的分析、疾病の検出および診断ならびに法医科学および実父確定検査などの種々の適用例にうまく適用されてきた。
【0006】
現在、第一世代配列決定、第二世代配列決定、またはしばしば次世代配列決定(NGS)、及び第三世代もしくは単一分子配列決定(SMS)と一般的に称される、複数の異なる配列決定技術が存在する。第一世代の配列決定は、マキサム・ギルバート法(MaxamおよびGilbert著、1977年)またはサンガー法(Sanger、Nicklenら著、1977年;ならびにSangerおよびCoulson著、1978年)と主に称され、後者のみが現在用いられている。
【0007】
第二世代または次世代の配列決定は、塩基の位置を先進的な技術で(光学的に)に検出する方法を用いて同時に多数の配列を生成する技術を参照する。現存する方法の概観は、Metzker著、2009年に挙げられている。
【0008】
第三世代または単一分子配列決定(SMS)技術は、予めの増幅を必要とせず、DNAのクローンまたは類似物ではない配列でなくとも、しばしば、「リアルタイム」に一分子を、ポリメラーゼの活性をオンラインで記録することを意味する(Sam、Lipsonら著、2011年;ならびにThompsonおよびMilos著、2011年)。
【0009】
しかしながら、高温で作用可能であり、長鎖の生成物、好ましくは5kb長の生成物を、追加のタンパク質の存在の必要なく、製造可能な、プリムポールのDNA/RNAポリメラーゼファミリーに属する、新規で熱安定な、高度に処理可能なポリメラーゼが、依然として大いに必要とされている。
【0010】
特に、待たれるのは、DNAポリメラーゼ活性を容易に生じかつ示し、また、好ましくはプライマーの不存在下で、未知のDNAテンプレートを合成または増幅することが可能であり、忠実な長鎖生成物を製造し得る、熱安定なDNAポリメラーゼである。
【0011】
特に、法医学および臨床的な増幅適用例、ならびに第二および第三世代の配列決定の分野において、種々の基質であるヌクレオチドに高度に耐性であり、しばしば質の低い改変テンプレートを取り扱い可能であるポリメラーゼについて、特に興味が持たれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的の一つは、テンプレートの質が低い場合であっても、特に、DNAまたはRNAテンプレートの、プライマーフリーな増幅方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的において、高温であっても、忠実な、RNAの逆転写の方法を提供する。
【0014】
これらおよびその他の目的は、下記及び特許請求の範囲に述べられた本発明の主題によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、明細書および特許請求の範囲に定義された主題に関する。この主題は、核酸の複製、増幅または配列決定のための方法であって、TthPrimPol酵素を用意する工程、テンプレート核酸を用意する工程、核酸の相補鎖に取り込むための、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチドアナログを用意する工程、適切なバッファーを用意する工程、場合により任意で、一つ以上のプライマーを用意する工程、そして上記の材料を、場合により高温で、適切な時間、接触させる工程を含んでなる。
【0016】
他の態様において、本発明は、DNAのプライマーフリーの増幅のための方法に関し、増幅反応のために用意された二つのポリメラーゼの両方によるDNAの共同での合成を任意に有するものであって、TthPrimPol酵素を用意する工程、特にPhi29型の第二のポリメラーゼを用意する工程、テンプレート核酸を用意する工程、核酸の相補鎖に取り込むための、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチドアナログを用意する工程、適切なバッファーを用意する工程、そして上記の材料を、場合により高温で、適切な時間、接触させる工程を含んでなる。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、cDNAの合成またはRT PCRのための方法に関し、この方法は、TthPrimPol酵素を用意する工程、テンプレートRNAを用意する工程、dNTPsを用意する工程、適切なバッファーを用意する工程、場合により任意で、一つ以上のプライマーを用意する工程、そして上記の材料を、場合により高温で、適切な時間、接触させる工程を含んでなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】潜在性のあるプライマーゼ認識配列(GTCC)が複数のウィルス、原核生物および真核生物RNAプライマーゼによるプライミング反応の開始に関して好ましいテンプレートの状況に従ってチミジン残基によってフランキングされた(CavanaughおよびKuchta著、2009年)一本鎖オリゴヌクレオチドにおけるTthPrimPol DNAのプライマーゼ活性を示している(Holmes、Cheriathundamら著、1985年;ParkerおよびCheng著、1987年、FrickおよびRichardson著、2001年)。プライミングは、「TC」配列の前部でのみ起こり、ポリdTトラックの反対ではプライミングは起こらない。プライマーとして作用するヌクレオチド(5‘位置)は、マンガンの存在下、リボヌクレオチド(ATP)またはデオキシヌクレオチド(dATP)のいずれであってもよいが、マグネシウムが金属補助因子である場合、デオキシヌクレオチド(dATP)のみである。添加されたヌクレオチド(3’位置)は、金属補助因子にかかわらず、デオキシヌクレオチド(dATP)でなければならない。条件:1μM DNA(配列番号3)、400nM TthPrimPol、5mM MgCl、1 mM MnCl、16nM [γ−32P]ATP、16nM [α−32P]ATP、10μM GTP/dGTP、60分間、55℃。
【図2】CTCが、配列番号4によるチミジンリッチなssDNAの状態におけるTthPrimPolの好ましいテンプレートの開始部位であることを示す。Cが開始部位に先行するヌクレオチドである場合、テンプレートのTCの開始部位に先行するヌクレオチドに、最大のプライマーゼ活性を有するという強力な効果が存在する。条件:1μM DNA (配列番号4)、400nM TthPrimPol+Hisタグ、5mM MgCl、16nM [γ−32P]ATP、1μM GTP、55℃で60分間。
【図3】一本鎖の環状DNAテンプレート(M13mp18 ssDNA)に対するTthPrimPolのDNAプライマーゼ活性を示す。TthPrimPolは、合成に関してデオキシヌクレオチドに対して厳格に依存する一方、リボヌクレオチドが存在する場合、実質的に生成物は生じない。条件:400ng M13mp18 ssDNA、400nM TthPrimPol+Hisタグ、1mM MnCl、16nM [γ−32P]ATP、100nM ATP/dATP、1μM CTP/dCTP、1μM GTP/dGTP、1μM UTP/dTTP、55℃で60分間。
【図4】TthPrimPolのDNA重合反応を示す。この酵素は、デオキシヌクレオチドを重合することにより、提供されたテンプレート(配列番号5)に従って、プライマー分子(配列番号6)を完全に伸長することが可能である。マンガンがより効果的であるようではあるが、マグネシウムおよびマンガンが、DNAの重合に関する金属補助印紙として有効である。条件:5nM DNA、1mmM MgCl、100μM dNTPs、40℃で60分間。
【図5】配列番号7から9で形成された、ギャップを有する二本鎖DNAに対するTthPrimPolのDNA/RNA重合活性を示す。RNAの重合の場合により低い有効性が見られ、マンガンに対して厳密に依存するようである。さらに、マンガンは、ギャップを有するDNAに対して鎖置換合成を強力に刺激し、テンプレート配列全体の使用を可能とする。条件:5nM DNA、1mM MnCl、5mM MgCl、100μM NTPs/dNTPs、40℃で30分間。
【図6】TthPrimPolがRNA指向性ポリメラーゼでもあることを示す。DNAプライマー(配列番号8)から開始した配列番号のRNAテンプレートの逆転写を示す。この反応の効率は、DNAテンプレートを用いた場合に達成する効率よりも低く、RNAで指示されたDNAポリメラーゼ活性は、マンガンに厳格に依存するようである。同様のプライマーおよびDNAテンプレート(配列番号10)を用いたDNA指向性ポリメラーゼ活性について比較した結果を得た。条件:5nM DNA/RNA、1mM MnCl、5mM MgCl、1μM dNTPs、40℃で60分間。
【図7】TthPrimPolによるDNA合成の高い忠実性を示す。4つのdNTPsのそれぞれについて、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンの存在下、4つの可能性のあるテンプレート塩基(配列番号13によるテンプレート;配列番号14によるプライマー)に対して取り込まれるべき基質として個々に検討した。全ての場合において、TthPrimPolは、高い忠実性を以て、第一の利用可能なテンプレート塩基によって指示された相補的なヌクレオチドを優先的に挿入する。マンガンであっても、TthPrimPolによるDNAの重合中の塩基の識別は、正しく対となったプライマー末端を伸長する場合、正しいワトソン・クリック型の塩基対を形成するように高い忠実性を提供する。条件:10nM DNA、40℃で20分間、5mM MgCl、200nM TthPrimPol、1μM dNTPs(上部パネル);1mM MnCl、50nM TthPrimPol、100nM dNTPs(それぞれ下部のパネル)。
【図8】TthPrimPolの、その基質であるデオキシリボヌクレオチドdTTP、dGTP、dCTPおよびdATPに対する相当のアフィニティーを示す。単一の代謝回転の条件下、酵素の濃度がDNAの濃度よりも高い場合、dNTPsの取り込みは、TthPrimPolがdNTPsに関して高いアフィニティーを有すること、および特定のdNTPを最もよく取り込むことに対するバイアスを有さないことを明らかにしている。配列番号13によるテンプレート;配列番号14によるプライマー。条件:10nM DNA、1mM MnCl、50nM TthPrimPol、40℃で20分間。
【図9】損傷を受けたDNAに対するTthPrimPolの高い耐性を示す。このタンパク質は、脱塩基部位(AP)を含む、配列番号13によるテンプレート、7,8−ジヒドロ−8−オキソアデニン(8oxoA)、7,8−ジヒドロ−8−オキソグアニン(8oxoG)、チミングリコール(Tg)、5−ヒドロキシシトシン(5OHC)または5−ヒドロキシウラシル(5OHU)を与えた。示したように、TthPrimPolは、損傷部位の反対のプライマー(配列番号14)のテンプレート依存性伸長により、または損傷部位および次のテンプレートの塩基(dG挿入物)をコピーすることにより、効果的な損傷部位のバイパスを行うことができる。条件:10nM DNA、1mM MnCl、50nM TthPrimPol、100μM dNTPs、40℃で20分間。
【図10】酸化ストレスの結果としてDNAに生じる損傷の最も頻繁にみられる、主にsynコンフォメーションにおける形態のひとつである、8oxoG(7,8−ジヒドロ−8−オキソグアニン)の、dATPを導入する効果的なバイパスを示す。障害部位の反対側へのdATPの導入の動態は、反対側の損傷を受けていないTと同一である。配列番号13によるテンプレート;配列番号14によるプライマー。条件:10nM DNA、1mM MnCl、50nM TthPrimPol、40℃で20分間。
【図11】TthPrimPolが末端のトランスフェラーゼ活性とともにエキソヌクレアーゼ活性を欠くことを示す。TthPrimPolは、ホモポリマーであるssDNA分子(配列番号15および16)の3‘末端に種々のヌクレオチドを追加することができず、このことは、TthPrimPolが厳格にテンプレート依存性酵素であることを示唆する。複数のDNAポリメラーゼファミリーにおいて進化的に保存された3’−5‘エキソヌクレアーゼの活性部位を形成するExolI、ExoIIおよびExoIIIコンセンサスモチーフを欠くことと一致してDNA分子が分解されないことから(Bernad、Blancoら著、1989年)、dNTPsを用いないコントロールの反応もまた、TthPrimPolが3’−5‘エキソヌクレアーゼ活性を欠くことを示す。条件:5nM DNA、400nM TthPrimPol、1mM MnCl、5mM MgCl、100μM dNTPs、58℃で60分間。
【図12】TthPrimPolによるssDNAのプライマーフリーでの効果的な増幅を示す。両種類のTthPrimPol(+/−Hisタグ)は、dNTP基質は存在するが特定のまたはランダムなプライマーの添加なく、大量の一本鎖M13mp18テンプレートDNAを増幅することが可能であり、このことは、TthPrimPolの能力がDNAプライマーゼおよびDNAポリメラーゼの両方として作用することを明確に示すものである。他方、リボヌクレオチド(NTPs)は、TthPrimPolによるDNAの増幅に関して貧弱な基質であるようである。条件:50mM Tris―HCl pH 7.5、1mM DTT、0.1μg/μL BSA、50mM NaCl、5%グリセロール、1mM MnCl、200ng M13mp18 ssDNA、65℃で6時間。
【図13】TthPrimPolが金属補助因子に依存することを示す。最も効果的な増幅は、a)1mM Mn2+またはb)5mM Mg2+の存在下で検出された一方、c)Co2+およびd)Ca2+は、試験したいずれの濃度でも不適切な補助因子である。条件:50mM Tris―HCl pH 7.5、1mM DTT、0.1μg/μL BSA、32mM NaCl、5%グリセロール、200ng M13mp18 ssDNA、400nM TthPrimPol、65℃で3時間。
【図14】増幅されたM13mp18 ssDNAの収率が、a)Mg2+の存在下、またはb)Mn2+の存在下のいずれかで、プライマーフリーのアッセイにおいて用いたTthPrimPolの量に比例することを示す。条件:50mM Tris―HCl pH 7.5、1mM DTT、0.1μg/μL BSA、50mM NaCl、5%グリセロール、100mM dNTPs、100ng M13mp18 ssDNA、400nM TthPrimPol、65℃で3時間。
【図15】増幅されたDNAの収率に対する、一本鎖テンプレートDNAの濃度の影響を示す。TthPrimPolによるプライマーフリーの増幅におけるM13mp18 ssDNA。産物の量は、Mg2+の存在下(左側)、またはMn2+の存在下(右側)のいずれかにおいて、テンプレートDNAの初期量に依存する。条件:50mM Tris―HCl pH 7.5、1mM DTT、0.1μg/μL BSA、32mM NaCl、5%グリセロール、100μM dNTPs、400nM TthPrimPol、5mM MgCl、1mM MnCl、65℃で3時間。
【図16】a)Mg2+の存在下、またはb)Mn2+の存在下における、TthPrimPolによるM13mp18 ssDNAのプライマーフリーでの増幅における増幅産物の反応時間依存的な収率を示す。いずれの場合において、おそらくdNTPの欠乏により、増幅は、4時間で飽和する。条件:50mM Tris―HCl pH 7.5、1mM DTT、0.1μg/μL BSA、50mM NaCl(補助因子としてMgClを用いた場合、32mM)、5%グリセロール、100μM dNTPs、400nM TthPrimPol、200nM M13mp18 ssDNA、5mM MgCl、1mM MnCl、65℃。
【図17】dNTP濃度の関数としての、量および移動度における増幅産物のバリエーションを示す。各金属補助因子に関する最も良好なdNTP濃度は、マンガンを用いた場合の100μMからマグネシウムの場合の500μMの範囲であった。最も高い濃度では、阻害的であるようである。Mg2+の存在下(左側)、またはMn2+の存在下(右側)のそれぞれにおける増幅産物は、各金属に関するdNTPの有効な間隔を考慮すると、同様の移動度および収率を有する。条件:50mM Tris―HCl pH 7.5、1mM DTT、0.1μg/μL BSA、32mM NaCl、5%グリセロール、400nM TthPrimPol、200ng M13mp18 ssDNA、5mM MgCl、1mM MnCl、65℃で3時間。
【図18】ssDNAの増幅に用いた金属補助因子についてのインキュベーション温度の影響を示す。最適な温度範囲は、マグネシウムと比較して(55〜60℃)、マンガンの方が(52〜62℃)と広い。条件:50mM Tris―HCl pH 7.5、1mM DTT、0.1μg/μL BSA、32mM NaCl、5%グリセロール、400nM TthPrimPol、200ng M13mp18 ssDNA、100μM dNTPs、5mM MgCl、1mM MnCl、3時間。
【図19】TthPrimPolによるランダムプライマーの置換、およびPhi29DNAポリメラーゼによる多重の変位増幅を示す。両酵素の組み合わせは、二本鎖プラスミドDNAを良好に増幅可能である。増幅産物の量は、TthPrimPolの用量依存的に、また200nM TthPrimPolの存在下で増加し、増幅されたDNAの収率および移動度は、ランダムオリゴヌクレオチドプライマー(RP)の使用で顕著である。条件:1ng pRSET DNA(3kb)、50μM ランダムプライマー(RP)、40ng Phi29 DNAポリメラーゼ、400nM TthPrimPol、10mM MgCl、500μM dNTPs、30℃で5時間。
【図20】一連のPhi29の全ゲノム増幅(WGA)実験における、増幅産物のTthPrimPol用量依存的増加を示す。TthPrimPolおよびPhi29 DNAポリメラーゼ(DNApol)の両酵素の組み合わせは、ランダムプライマー(RP)を用いる、良好に確率されたWGA法と比較して、収率の点で、染色体DNAを良好に増幅可能である。条件:650ng Phi29 DNApol(QualiPhi)、400nM TthPrimPol、1ng 染色体DNA、50μM ランダムプライマー、10mM MgCl、500μM dNTPs、30℃で16時間。
【図21】TthPrimPolが長時間安定かつ活性を有することを示す。2011年7月7日および19ヶ月後(2013年3月6日)にそれぞれ行った実験において、同様のバッチのTthPrimPol酵素で大量の増幅核酸を得た。一本鎖M13mp18 ssDNAa)のプライマーフリーの増幅を示す。16ヶ月を超える期間TthPrimPolを保存しても、テンプレート依存的なプライマーの伸長能力に変化はないb)。条件:a)に関して、50mM Tris―HCl pH7.5、1mM DTT、0.1μg/μL BSA、32mM NaCl、5%グリセロール、400nM TthPrimPol、200ng M13mp18 ssDNA、100μM dNTPs、65℃で3時間。b)に関して、5nM DNA、5mM MgCl、100μM dNTPs、40℃で60分間。テンプレートおよびプライマーは、それぞれ配列番号5および6。
【図22】TthPrimPolが、HsPrimPolよりもより効果的なであることを示す。NTPsおよびdNTPの存在下でのM13mp18 ssDNAの増幅を示す。より低量(200nM)のTthPrimPolであっても、Hsよりも多くの増幅核酸を生成する。他方、両酵素は、同様の範囲において、dNTPsよりも低い効率性でNTPsを利用する。
【図23】TthPrimPolが蛍光標識されたdNTPsを取り込むことができることを示す。Cy5で標識されたdCTPの取り込みを示す。条件:10nM DNA(配列番号10および8)、100nM TthPrimPol、1mM MnCl、5mM MgCl、温度40℃で20分間。
【図24】本発明に用いたアミノ酸および核酸の全体像を示す。
【図25】Phi29DNAポリメラーゼと組み合わせたTthPrimPolによる効果的な増幅に要するテンプレートDNAの最小量を示す。TthPrimPolおよび野生型のPhi29DNAポリメラーゼの両酵素の組み合わせは、少なくとも10fgのテンプレートDNAからヒト染色体DNAを良好に増幅することができる。二つの独立した一連の実験(図25aおよび図25b)を示しており、各反応条件でn数3で行う。インキュベーションの混合物には、50μL中、50mM Tris―HCl pH 7.5、50mM KCl、1mM DTT、10mM MgCl、500μM dNTPs、700ng 野生型のPhi29DNApol、400nM TthPrimPol、および指示量のヒト染色体DNAを含む。NTC(非テンプレートのコントロール)は、反応にテンプレートDNAに添加していないことを示す。30℃で6時間、反応混合物をインキュベートした。PicoGreen試薬(Quant―iT(登録商標)PicoGreen dsDNA試薬、Invitrogen)を用いて増幅産物を定量した。アスタリスクは、三つの複製物のうちの二つについてDNAの増幅が失敗した反応を示す。X軸:ヒト染色体テンプレートDNAの量;Y軸:DNAの収率(μg)。
【図26】TthPrimPolとPhi29DNAポリメラーゼを組み合わせたことによる、非特異的なバックグラウンドのDNA増幅が抑制されることを示す。TthPrimPolおよびPhi29DNAポリメラーゼの両酵素の組み合わせは、試験したいずれのインキュベーション時間(16時間未満)においても、外的に添加したテンプレートDNA分子が存在しない場合にDNA増幅が起きない。他方、Phi29DNAポリメラーゼとランダムプライマーとの組み合わせによって、反応を3時間のみインキュベートする場合であっても有意にDNAの収率を増加させる。従って、TthPrimPolを使用することで、外的に添加したテンプレートDNAの存在しない場合に非特異的なバックグラウンドのDNA増幅を阻止する。逆に、TthPrimPolおよびPhi29DNAポリメラーゼの両酵素の組み合わせでは、外的に添加したテンプレートDNA分子の存在下、かなりの量の増幅したDNAを生成する(図26b)。各反応条件は、n数3で行う。インキュベーションの混合物は、50μL中、50mM Tris―HCl pH7.5、50mM KCl、1mM DTT、10mM MgCl、500μM dNTPs、700ng QualiPhi Phi29DNAPol(酵素の向上型)、400nM TthPrimPolまたは50μM ランダムプライマーを含む。NTC(非テンプレートのコントロール)は、反応に外的にテンプレートDNAを添加しないことを示す。DNAは、1ngのヒト染色体DNAが、反応にテンプレートとして添加されることを示す。30℃で示した時間、反応混合物をインキュベートした。PicoGreen試薬(Quanti―iT(登録商標)PicoGreen dsDNA試薬、Invitrogen)を用いて、増幅産物を定量した。
【図27】Phi29DNAポリメラーゼを組み合わせたTthPrimPolによる酵母染色体DNAの増幅を示す。TthPrimPolおよびPhi29の両酵素の組み合わせは、ランダムプライマー(RP)を用いる、良好に確立されたWGA法と比較して、収率について酵母染色体DNAを良好に増幅することができる。インキュベーションの混合物は、50μL中、50mM Tris―HCl pH7.5、50mM KCl、1mM DTT、10mM MgCl、500μM dNTPs、1ng Saccharomyces cerevisiae染色体DNA、750ng 野生型Phi29DNAPol(Repli―G 単一細胞型、Qiagen)、50μM ランダムヘキサマーまたは指示量のTthPrimPolを含む。30℃で3時間、反応混合物をインキュベートした。PicoGreen試薬(Quanti―iT(登録商標)PicoGreen dsDNA試薬、Invitrogen)を用いて、増幅産物を定量した。
【図28】参照ゲノムに対する、得たMiSeq配列リードマップを拡張したものを示す。このまとめは、各サンプルに関するリード数の全数、ゲノムに対してマッピングされたリード数、および参照ゲノムに対してマッピングされなかったリード数を詳細に示す。さらに、マッピングされまたマッピングされなかったリード数のサンプル画分当たり、質のクリッピング後の平均リード長とともにゲノムに対してマッピングされまたはマッピングされなかった塩基の全数および画分を示す。最も顕著な点として、増幅されなかったサンプルおよびTth/Phiの増幅サンプルが同様の程度(>90%)でマッピングされ、一方、ランダムにプライミングされたサンプル(RP)の83.92%のみ、参照に対してマッピングされた。
【図29】個々の染色体を基礎とした、シグネチャーのオーバーリプリゼントおよびアンダーリプリゼントの分析を示す。非増幅サンプル(NA)に対する、ランダムにプライミングしたサンプル(RP)およびTth/Phiの増幅サンプルの両方を比較すると、NAサンプルとTth/Phiサンプルとで17%の相対差で低下したことが明らかとなった。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の種々の態様を以下に述べ、そして特許請求の範囲を記載する。
【0020】
推定保存タンパク質AAS81004.1は、サーマス・サーモフィラスHB27に由来し、スルフォロブス・イスランジカス由来のクレナーキオータプラスミッドpRN1(pRN1 primpol)のORF904タンパク質を含む、アーキオータプラスミドに由来の二機能性複製物に見出されるタイプのプリマーゼ−ポリメラーゼ(PrimPol)を含むと推定され、これをクローニングし、溶解型および活性型にて大腸菌内に過剰発現させ、均質に精製した。
【0021】
本発明者らは、精製されたTthPrimPolが、潜在的なプライマーゼ認識配列(GTCC)がチミン残基でフランキングされた一本鎖オリゴヌクレオチドに対して強力なDNAプライマーゼ活性を示すことを見出した(CavanaughおよびKuchta著、2009年)。ピリミジンのこのようなトラクトは、複数のウィルス、原核生物および真核生物のRNAプライマーゼによるプライミング反応の開始に関する好ましいテンプレートコンテキストであることが示された(Holmes、Cheriathundamら著、1985年;ParkerおよびCheng著、1987年;FrickおよびRichardson著、2001年)。驚くべきことに、本発明者らは、プライミングが「TC」配列の前部にのみ生じ、ポリdTトラックの反対側ではプライミングは生じないことを見出した。テンプレート配列の要件に関するさらなる分析によって、TthPrimPolのプライマーゼ活性に対する、テンプレートの開始部位に先行するヌクレオチドの効果、すなわち、Cは、A、GまたはTに対して好ましいこと、を明らかとした。TthPrimPolがテンプレートの開始部位としてCTCを好むとしても、一般的に、遺伝型であるXTC(Xは、A、C、GまたはT)の任意の配列に対するプライマーゼとして作用可能である。適度な配列の要件は、ほぼすべての天然のテンプレートのランダムプライミングに関して優れた基礎を形成する。
【0022】
本発明者らは、TthPrimPolが、RNAおよびDNA鎖の両方の開始および伸長を各々1kbまたは7kb未満まで実行可能である他のAEPプライマーゼとも知られる、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有することをさらに見出した(Chemnitz Galal、Panら著、2012年;Lao―SirieixおよびBell著、2004年;Lao―Sirieix、Pellegriniら著、2005年)。また、本発明者らは、TthPrimPolが、RNAをDNAに逆転写可能であったこと、したがって、逆転写酵素として作用可能であり、また、ギャップを有するテンプレートに対して作用する場合に鎖変位活性を保持することを見出した。しかしながら、RNAポリメラーゼの場合、TthPrimPolは、金属補助因子としてマンガンに厳格に依存すること、およびあまり効果的でない。
【0023】
これらの知見は、TthPrimPolの能力を、種々のテンプレートとともに基質を利用することについての第一のヒントを与えた。したがって、本発明者らは、損傷を有するDNAに対するTthPrimPolの耐性を試験した。このタンパク質は、脱塩基部位(AP)である、7,8―ジヒドロ―8―オキソアデニン(8oxoA)、7,8―ジヒドロ―8―オキソグアニン(8oxoG)、チミングリコール(Tg)、5−ヒドロキシシトシン(5OHC)または5−ヒドロキシウラシル(5OHU)を含むテンプレートを与えられた。本発明者らは、障害部位の反対側にヌクレオチドを挿入することにより、または障害部位をスキップすることおよび次のテンプレートの塩基をコピーすることにより、有効な損傷部位のバイパスを行うことが可能であることを驚くべきことに見出した。酸化ストレスの結果としてDNAに生じる障害の最も頻繁な形態のひとつである8oxoG(BerquistおよびWilson著、2012年)は、dATPを導入するsynコンフォメーションにおいて主としかつ効果的にパイパスされた。
【0024】
さらに、本発明者らは、TthPrimPolが、プライマーフリーの環境においても、全ゲノム増幅(WGA)に関して、また、共有的に閉鎖したDNAのローリングサークル増幅(RCA)に関して、魅力的なポリメラーゼとする強力な鎖変位活性を有することを示した。
【0025】
上記の知見が、TthPrimPolの全般的な酵素的特徴を述べているが、この酵素の日常の実験室内での使用への技術的な適用もまた、溶解性や安定性などの基礎的なタンパク質の特徴に依存する。C末端近傍にジンクフィンガードメインを含むより複雑な構造に起因する場合もある、単離後まもなくそのプライマーゼ活性を少なくとも欠いたHsPrimPolとは異なり(Garcia Gomez、Martinez Jimenezら著、2012年)、本発明者らは、ジンクフィンガーフリーのTthPrimPolが、長期間、高度に安定で、プライマーゼおよびポリメラーゼ活性を保持することを見出した。驚くべきことに、本発明者らは、TthPrimPolのプライマーゼ活性、ポリメラーゼ活性のいずれも−80℃で20カ月以上保存した場合にあっても有意に低下しないことを見出し(図21)、これはこの物質を、通常の実験室内において使用される信頼性のある方法の開発のための魅力的なタンパク質とする。
【0026】
本明細書に述べるこれらおよびその他の知見により、新規で、好ましくはプライマーフリーでの、核酸の増幅、複製および配列決定に関して信頼性のある方法の開発が可能になる。さらなる態様において、これらの知見により、ランダム変異導入に関する新規の方法の開発も可能になる。
【0027】
したがって、第一の態様において、本発明は、下記の工程を有する核酸の複製、増幅または配列決定のための方法に関し、この方法は、
a.i.ポリメラーゼ、または
ii.ポリメラーゼコンジュゲート、
を用意する工程であって、ポリメラーゼまたはポリメラーゼコンジュゲートのポリメラーゼ残基が、配列番号1と少なくとも70%の相同性を有する配列を有し、かつポリメラーゼおよびプライマーゼ活性を有するものである工程と、
b.テンプレート核酸を用意する工程と、
c.核酸の相補鎖を取り込むための、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド誘導体を用意する工程と、
d.適切なバッファーを用意する工程と、
e.場合により、一つ以上のプライマーを用意する工程と、そして
f.工程a乃至eの材料を適切な時間、場合により高温で、接触させる工程とを含んでなる。
【0028】
好ましい実施例において、本発明は、プライマーの存在しない条件において、DNAの複製、増幅または配列決定のための方法であって、
a)i)ポリメラーゼ、または
ii)ポリメラーゼコンジュゲート、
を用意する工程であって、ポリメラーゼまたはポリメラーゼコンジュゲートのポリメラーゼ残基が、配列番号1と少なくとも70%の相同性を有する配列を有し、かつポリメラーゼおよびプライマーゼ活性を有する、工程と、
b)テンプレート核酸を用意する工程と、
c)核酸の相補鎖を取り込むための、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド誘導体を用意する工程と、
d)適切なバッファーを用意する工程と、
e)第二のポリメラーゼを用意する工程と、そして
f)工程a)乃至e)の材料を適切な時間接触させる工程
とを含んでなる。
【0029】
複製、増幅、配列決定、ポリメラーゼまたは「ポリメラーゼ活性」ならびにプライマーまたは核酸の用語は、本技術分野において周知である。
【0030】
核酸の用語は、例えば、DNAおよびRNAの全体的な名称であって、ポリヌクレオチドと同義語である。核酸は、全ての生命体において豊富に見出され、遺伝の基礎となる遺伝的情報のエンコーディング、伝達および発現の機能を有する。
【0031】
例えば、DNAポリメラーゼ活性の用語は、デオキシリボヌクレオチドをDNAへの重合を触媒する酵素の活性を示す。DNAポリメラーゼ酵素は、DNA鎖をコピーする工程であるDNAの複製におけるその役割について最もよく知られており、ポリメラーゼは、生のDNA鎖をテンプレートとして「読み取り」、これを新たな鎖を合成するのに使用する。ポリメラーゼ活性は、例えば、実施例1によるアッセイ、または当業者に周知の種々のDNAポリメラーゼ活性アッセイにおいて測定されてもよい。
【0032】
一般に、増幅の用語は、遺伝子が過剰発現され得る多くの方法の一つを意味する。ここで用いるように、増幅の用語は、一片のDNAまたは全DNA分子がコピーされまたは多重化され得る多くのin vitroの方法の一つを主として意味する。in―vitroでの増幅方法の非限定的な例には、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、LAMP(Loop mediated Isothermal Amplification)、RDC(Reaction deplacement chimeric)、NASVAまたはPhi29ポリメラーゼを用いた等温増幅(US 5001050;WO/2011/000997)が挙げられ、共有結合的に閉鎖されたDNAの場合のローリングサークル増幅(RCA)、または線形のゲノムDNAの全ゲノム増幅(WGA)などの鎖変位増幅として主として実行されるものである。
【0033】
熱安定性および鎖変位能に起因して、TthPrimPolは、PCR法とともに、強力な鎖変位能を要する等温条件で有益に使用され得る。両ケースにおいて、本発明の方法は、TthPrimPolが、損傷を有するDNAを増幅する際に特に有用である、複製の再開を可能とすることから、従来の増幅方法に対して有益性を付加するであろう。
【0034】
DNAの配列決定の用語は、DNA鎖におけるアデニン、グアニン、シトシンおよびチミンの四つの塩基の並びを決定するのに用いられる種々の方法および技術論を含む、DNA分子中のヌクレオチドの正確な並びを決定する工程を定義する。今日現在、第一世代の配列決定、第二世代の配列決定および第三世代の配列決定、または一分子配列決定(SMS)と一般的に称される、異なる複数の配列決定技術が存在する。第一世代の配列決定は、マキサム・ギルバート法(MaxamおよびGilbert著、1977年)またはSanger法(Sanger。Nicklenら著、1977年;SangerおよびCoulson著、1978年)を主に意味し、そのうち、後者のみが現在使用されている。
【0035】
第二のまたは次世代の配列決定は、塩基の一を先進的な技術的(光学的)検出技術を用いて同時に多くの配列を生成する技術を意味する。現存する方法に対する概説は、(Metzker著、2009年)に述べられている。
【0036】
NGS技術は、合成による配列決定技術とも称されるサイクルシークエンシング技術である:Illumina Platform(Bentley、Balasubramanianら著、2008年)、Life technologies Ion Torrent platform(www.iontorrent.com/technology―scalability―simplicity―speed)。最も古い次世代の配列決定技術の一つは、ピロシークエンスである(Ronaghi、Karamohamedら著、1996年;Ronaghi、Uhlenら著、1998年)。この技術は、鎖の伸長中に放出されるピロリン酸(PPi)の検出を基礎とする。可視光は、取り込まれたヌクレオチドの数に比例して生成される。放出されたPPiは、ATPスルフリラーゼによりATPに変換される。ATPは、その後、ルシフェリンを酸化し閃光を生じるエネルギーをルシフェラーゼに提供する。DNAの配列は、ヌクレオチドが連続する前もって決定された並びに添加されることから、決定され得る。
【0037】
配列決定の応用例において用いられる蛍光で改変されたヌクレオチドは、酵素に対して天然の基質と同様に挙動しないことから、利用されるポリメラーゼに問題をしばしば引き起こす。これらのヌクレオチドは、高い特異性で成長する鎖に取り込まれなければならず、蛍光の残基は、効果的に続く画像化において分解されるべきであり、次のサイクルで効果的に伸長されるべきである。サイクルシークエンシング技術において、一つの改変されたヌクレオチドの取り込みは、反応の可逆的な終了をもたらし、改変されたヌクレオチドは、したがって、「可逆的ターミネーター」として分類される。2‘−デオキシリボース糖の3’−酸素に結合された分解可能基を有する3‘−ブロックされたターミネーター、および3’−ブロックされていないターミネーターという可逆的なターミネーターの二つのグループが存在する。可能なブロッキング基としては、3‘−O−アリル(例えば、f3’−アリル−dCTP―アリル―bodipy―FL―510[λabs(max)=502nm;λem(max)=510nm]、3’―O―アリル―dUTP―アリル―R6G[λabs(max)=525nm;λem(max)=550nm]、3’―O―アリル―dATP―アリル―ROX[λabs(max)=585nm;λem(max)=602nm]3’―アリル―dGTP―アリル―bodipy―650[λabs(max)=630nm;λem(max)=650nm](Ju、Kimら著、2006年)、現在Intelligent Biosystemsにより用いられている/Qiagen(www.intelligentbiosystems.com)。3’―オアジドメチルに用いた他のブロッキング基(Bentley,Balasubramanianら著、2008年;Guo、Xuら著、2008年)は、Illuminaにより用いられた。これらのヌクレオチドの例には、下記のものが含まれる:ddCTP―N3―Bodipy―FL―510(λabs(max)=502nm;λem(max)=510nm)、ddUTP―N3―R6G(λabs(max)=525nm;λem(max)=550nm)、ddATP―N3―ROX(λabs(max)=585nm;λem(max)=602nm)、およびddGTP―N3―Cy5(λabs(max)=649nm;λem(max)=670nm)。ヌクレオチドの3’―末端により大きな基を付加することは、改変されていない基質と比較して、これらのヌクレオチドの取り込みに不利である。この問題の共通の解決法は、3’―ブロックされたターミネーターヌクレオチドが良好に耐性を有する突然変異されたDNA−ポリメラーゼである。
【0038】
3’―ブロックされていない可逆的なターミネーターは、ポリメラーゼについて問題が少なく、天然の基質として同様の取り込みの特徴をしばしば有し得る(Wu、Stupiら著、2007年)。これらのヌクレオチドは、N6―アルキル化され、光分解性を有する。
【0039】
最近、正確性およびリード長を改善する、さらに好ましい化学が紹介されている(Litosh、Wuら著、2011年)。このターミネーターの改変は、5−ヒドロキシメチル―2’―デオキシウリジン三リン酸(HOMedUTP)を基礎とする。
【0040】
その他の3’―ブロックされていないターミネーターは、第一の改変されたヌクレオチドが取り込まれた後に追加のヌクレオチドを取り込むことを阻害するように大型の色素基の立体障害を用いる(Turcatti、Romieuら著、2008年)。
【0041】
本発明の第一の態様の特定の実施形態において、TthPrimPolは、高い保持性、テンプレートDNAの改変に対する無感受性、および用いるヌクレオチドに対する高い耐性に起因して良好に適合されるために、次世代の配列決定に有利に用いられるであろう。
【0042】
単一分子配列決定技術は、フルオロフォアが核酸塩基ではなく末端のリン酸に結合され、ポリメラーゼによる取り込みが大きな問題ではなく天然の塩基が成長するDNA鎖に取り込まれる、ヌクレオチドに依存する(Life Technologies/VisiGen and Pacific Biosciences (Eid、Fehrら著、2009年))。
【0043】
第三世代の配列決定または単一分子配列決定(SMS)は、事前の増幅を必要とせず、またクローンもDNAの集合体などの配列も必要としないが、ポリメラーゼの活性のオンラインでの記録を意味する、しばしば「リアルタイム」で単一分子を必要とする(Sam、Lipsonら著、2011年;ThompsonおよびMilos著、2011年)。
【0044】
重要なSMSの配列決定プラットフォームは、Life Technologies FRETを基礎とした技術を含み、これは、Pacific Biosciencesの、ポリメラーゼにリンクされた量子ドットを用い、蛍光的に結合されたヌクレオチドの近似値を測定するゼロモードの導波装置の中心に固定化されたPhi29DNApolを用い、またはプライマーがガラス表面に固定化されたHelicos Biosciencesのものを用いる。
【0045】
根本的に異なる技術は、メンブレンを通じてDNAまたはヌクレオチドを移動可能とする「ナノポア」を基礎とする(Branton、Deamerら著、2008年)。この技術は、Oxford Nanopore Technologies (www.nanoporetech.com)により主として市販されている。最初のアイディアが合成中およびイオン電流がポアを通過するという変化の測定中単一のDNA鎖がポアを貫通することに基づくものであった一方(Maglia、Restrepoら著、2008年)、別の可能性は、エキソヌクレアーゼを用いること、および放出されたヌクレオチドがポアを通過するのを検出することに関係している(Clarke、Wuら著、2009年)。この技術は、高価な蛍光標識したヌクレオチドがもはや必要なくなることから、配列決定に関する価格の革命を起こし得るものであった。
【0046】
これらのナノポアに用いられるタンパク質としては、α−ヘモリシン(Maglia、Restrepoら著。2008年;Jetha、Wigginら著、2009年)またはMspA(Derrington、Butlerら著、2010年;Manrao、Derringtonら著、2011年;Manrao、Derringtonら著、2012年;Pavlenok、Derringtonら著、2012年;Butler、Pavlenokら著、2008年)が挙げられる。
【0047】
これまで、Phi29 DNApolは、Lievermann、ManraoまたはWendellにより述べられた適用例に主として用いられている(Lieverman、Cherfら著、2010年;Manrao、Derringtonら著、2012年;Wendell、Jingら著、2009年)。本発明の第一の態様の他の特別な実施形態において、TthPrimPolは、単一分子のナノポアの配列決定を向上させるように、α−ヘモリシンまたはMspAまたは同様のタンパク質とともに、またはこれらと共有的にリンクされて使用されている。この実施形態におけるTthPrimPolを用いることの具体的な利点の一つは、反応において異なるヌクレオチド(例えば、dNTPs、NTPs、oxoNTPs)に対する高い耐性である。より多くの適用例において異なる改変されたヌクレオチド(例えば、蛍光標識されたもの)を用いていることから、TthPrimPolは、改変されたヌクレオチドについて高い処理性および質を提供するようである。
【0048】
酵素は、特別な生物学的機能を有する複雑なタンパク性の生体分子である。インタクトのタンパク質は、一次構造、二次構造、三次構造および時に四次構造を有する。
【0049】
それらの生物学的機能およびそれらの分子安定性さえ、これらの構造の保存性に依存し、また、温度、凍結/融解サイクル、pH、タンパク質濃度、塩条件、溶媒などの種々の因子により影響されることは当業者に周知である。さらに、タンパク質の構造および安定性は、個々のアミノ酸の酸化により影響され、そのうち、主に、メチオニン、システイン、トリプトファン、チロシンおよびヒスチジンは、酸化に影響されやすい(Kim、Berryら著、2001年)。本技術分野において用いられているように、タンパク質の安定性は、ユニークな三次元構造がランダムなコイル状のポリペプチド鎖に展開することに関与する、標準ギブスエネルギー変化ΔGにより定量的に記述される(Hinz、Steifら著、1993年)。
【0050】
対照的に、本明細書で用いられるように、タンパク質または酵素の安定性との用語は、主に、長時間に渡ってその酵素活性の保持を意味する。
【0051】
本明細書に述べるように酵素活性の保持は、プライマーゼおよびポリメラーゼ活性が、新鮮に単離されたTthPrimPolの、少なくとも30%、40%、50%、好ましくは少なくとも60%、70%、80%、好ましくは少なくとも85%、90%、95%、約100%保持することを意味するものと好ましく意図される。
【0052】
酵素の活性とともに安定性に影響を与える一つの態様は、保存に用いられるバッファー、および酵素反応を実行するために用いられるバッファーである。本発明の方法に用いられるバッファーは、特に限定されないが、当業者は、本発明の方法に実行とともに保存のためのバッファーの条件の最適化を日常的に行い得る。
【0053】
本発明の方法のいずれにも用いられるタンパク質は、従って、適した条件で保存される場合、本明細書で定義されるように、長期間、プライマーゼおよびポリメラーゼ活性を保持するタンパク質として特徴付けられる。タンパク質の安定性およびしたがって保存可能期間が、タンパク質の本質的性質、および保存条件の両方に依存することは、当業者に周知であり、また、種々の方法および技術が、保存条件を最適化するのに本技術分野において既に利用可能であることは、当業者に周知である。総括的概論については、Simpsonに述べられている(Simpton著、2005年)。
【0054】
特定の実施形態において、本発明の第一の態様の方法は、従って、適した保存条件下、その活性、少なくとも4、5、6ヶ月、好ましくは少なくとも7、8、9ヶ月、好ましくは少なくとも10、11、12ヶ月、好ましくは少なくとも13、14、15ヶ月、好ましくは少なくとも16、17、18ヶ月、好ましくは少なくとも19、20、21ヶ月、好ましくは少なくとも22、23、24ヶ月保持することが好ましいTthPrimPol酵素を有する。
【0055】
最も好ましい実施形態において、本発明の方法は、適した条件下、その活性を2年以上保持するTthPrimPol酵素を有する。
【0056】
本明細書に用いられるように、本発明の方法のいずれにも用いられるタンパク質は、例えば配列番号1との相同性が71%、72%、73%、74%、75%、76%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%である、配列番号1に少なくとも70%の相同性を有する配列を有するタンパク質であり、任意にポリメラーゼおよび/またはプライマーゼ活性を有する。
【0057】
最も好ましい実施形態において、本発明の方法のいずれにも用いられるタンパク質は、配列番号1の配列を有するタンパク質である。
【0058】
相同性のパーセンテージは、当業者によって容易に決定され得る。非限定的な例として、20アミノ酸のペプチドに関して、第一の態様による配列に対して70%の相同性とは、20アミノ酸のうちの14アミノ酸が同一であることを意味する。また、NCBIまたはEBIなどの最も有名な生物学的情報登録ウェブサイトは、相同性の計算および/または核酸配列のホモロジーとともに、アミノ酸の相同性および/またはホモロジーの計算に関するサービスを提供する。当業者には、例えば、一般的なBLAST (Basic Local Alignment Search Tool)が、このような計算に適することが知られている(Altschul、Gishら著、1990年)。
【0059】
本明細書に定義するように、本発明の方法のいずれにも用いられるタンパク質が、配列番号1を有するタンパク質の誘導体であってもよいこと、および一つ以上のアミノ酸の変換、および/または一つ以上の連続するアミノ酸の挿入、および/または連続するアミノ酸の逆位、および/またはアミノ酸の欠失を有してもよいことは、当業者に理解されるであろう。本発明の方法のいずれにも用いるためのタンパク質誘導体は、当業者に周知であり、特に限定されない一つ以上の共有的改変をさらに有していてもよい。好ましくは、この一つ以上の共有的改変は、アセチル化、アミド化、ジスルフィド結合形成、ホルミル化、糖化、メチル化、リン酸化、硫酸化からなる群から選択される。
【0060】
一般的に、本発明の方法のいずれにも用いるためのタンパク質またはタンパク質誘導体は、キメラタンパク質、キメラタンパク質誘導体またはキメラタンパク質コンジュゲートであってもよい。キメラペプチドなどは、特に限定されず、当業者に一般的に周知である。
【0061】
好ましくは、このようなキメラタンパク質またはキメラタンパク質誘導体は、本発明の方法のいずれにも用いるためのタンパク質またはタンパク質誘導体を有するタンパク質コンジュゲートであり、上記に開示した通りである。本明細書で用いる場合、「タンパク質コンジュゲート」は、追加の部分とともに本明細書で開示のタンパク質またはタンパク質誘導体を有するコンジュゲートを意味する。この追加の部分は、特に限定されない。好ましくは、追加の部分は、本明細書に開示するタンパク質またはタンパク質誘導体に共有的に結合される。本発明の方法に用いるための追加の部分は、一つ以上の斯かる部分をも意味してもよい。よって、タンパク質コンジュゲートは、例えば所与のタイプの部分のうちの二つ以上の部分および/または異なるタイプの部分の二つ以上の部分など、一つ以上の斯かる部分を有してもよい。前記部分は、好ましくはHelix―ヘアピン−ヘリックス部分などの核酸、ジャイレース部分などのDNA巻き戻し部分、大腸菌のPriBタンパク質の部分又は天然痘のicp8の部分などの一本鎖結合部分と相互作用すると知られる部分から好ましく選択される。
【0062】
一般に、このような誘導体またはコンジュゲートが、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%の増加など、配列番号1を有するタンパク質のタンパク質活性と比較して、増加したプライマーゼおよび/またはポリメラーゼ活性を有してもよいことは、当業者により理解されるであろう。
【0063】
本発明によると、本発明の方法のいずれにも用いるためのタンパク質、タンパク質誘導体またはコンジュゲートは、従って、例えば配列番号2を有する分子に存在するようHis―タグなどのタンパク質、タンパク質誘導体またはコンジュゲートの単離が容易な、検出可能なラベルまたはタグを有してもよい。
【0064】
このようなタンパク質誘導体またはタンパク質コンジュゲートは、例えば、化学合成、宿主細胞における製造またはこれらの組み合わせを含む方法によるなど、当業者により容易に取得可能である。
【0065】
分子生物学における長らくの問題は、RNAからDNAへの転写(逆転写)である。これには、PCRを基礎とした分析など、cDNAの構築が必要である。これまで、この逆転写は、例えば、元々レトロウィルスから単離されたMMLV RT、AMV RT、HIV―1 RTなどの可能性のある複数の酵素によって行われている。今までのところ、RTsの一つの問題は、これらの酵素の通常の反応温度(37または42℃)中で溶融され得ない複雑な二次構造に起因して、全細胞mRNAの不均一な転写である。これは、miRNAなどのヘアピン構造を含むmRNAを逆転写しようとする場合、特に問題である。
【0066】
RT酵素のより熱安定性の高い複数のバージョンが紹介されている:MMLV―RTの突然変異体(Gerard、Foxら著、1997年)(Maxima Reverse Transcriptase)、突然変異MMLV RT(Thermo Scientificによるwww.thermoscientificbio.com/reverse―transcription―rtpcr―rtqpcr/maxima―reverse―transcripatse/)、70℃で作動するように要求される突然変異MMLV RTであるRocketScript(登録商標) RT(Bioneerによるus.bioneer.com/products/accupower/accupower―rocketscript―overview.aspx)、PyroPhage RT (www.lucigen.com)(Schoenfeld、Pattersonら著、2008年;Schoenfeld、Lilesら著、2009年;Moser、DiFrancescoら著、2012年)、Tth Reverse Transcriptase / DNA Polymerase(マンガンイオン存在下、RNAをも転写し得るが高度に不正確であるサーマス・サーモフィラス(Tth)PolI)(MyersおよびGelfand著、1991年)。
【0067】
TthPrimPolは、高い熱安定性および高い処理性を有することから、複雑なRNAを逆転写する際の問題点に関して優れた解決法を提供する。
【0068】
従って、本発明の好ましい実施形態において、TthPrimPolは、適切なバッファーを有するRTとして用いられるであろう。
【0069】
上記の延長において、TthPrimPolは、PCR反応において、RTおよびDNA−ポリメラーゼとしても同時に使用されるであろう。その利点は、RNAがテンプレートとして直接用いられ得ることであって、二つの異なる反応について追加の労力やコストを回避し、また二つの異なる反応による可能性のあるバイアスや汚染を回避することである。専門家に知られているように、典型的な温度プロファイルは、斯かる組み合わされた反応に使用され得る(例えば、94℃での初期の変成、70℃で30分間のRT反応、およびPCR反応に関する94、50および70℃の追加のサイクリングなど)。
【0070】
本明細書に用いられる、ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログの用語は、特に限定されず、例えば、限定されないdATP、dCTP、dGTP、dTTp、dITP、dUTPまたはこれらの誘導体などのデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTPs)を含むことを意味する。このような誘導体に関する非限定的な例としては、ddATP、ddCTP、ddGTP、ddTTp、ddITP、ddUTPなどのジデオキシヌクレオチド、または8oxoA、8oxoG、5OHC、5OHUなどの酸化誘導体、または蛍光標識された誘導体などの標識誘導体、または第三世代の配列決定に用いられる標識などのさらにより複雑な標識などが挙げられる。
【0071】
本明細書に用いられる、難解なテンプレート、損傷DNA、損傷核酸または汚染DNAの用語は、相互に置き換え可能なものとして用いられ、従来の増幅または配列決定方法で取り扱うことが難しいヌクレオチドの塩基における変化を有する核酸を意味する。非限定的な例としては、例えば8oxoA、8oxoGなどの酸化ストレスにより導入された変化、またはホルムアルデヒドなどの架橋剤により導入された変化などの生理的に生じる変化が挙げられる。
【0072】
TthPrimPolは異なるDNA改変を高度に受け入れるものであることから、本発明の第一の態様のさらなる実施形態は、かかる損傷DNAの配列決定または増幅のためのTthPrimPolを包含する。
【0073】
本分野における一つの大きな要求はFFPEサンプルを配列決定することであり、それは多くの臨床的試料がこのような形態で保存されているからである。ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドなどの架橋剤は、従来の手法で取り扱うことが困難なようにDNAに変化を導入し得る。よって、特別な実施形態において、核酸の配列決定および増幅の方法は、FFPE試料のサンプルからのDNAまたはRNAテンプレートを含む方法である。
【0074】
さらなる特別な実施形態において、核酸の配列決定または増幅の方法は、例えば8oxoA、8oxoG、5OHC、5OHUなどの酸化ヌクレオチド塩基を含む方法である。
【0075】
同様に、テンプレートの組成における高い耐性ゆえ、TthPrimPolは、法医学的DNA材料または考古学的サンプルに由来のDNAを増幅しかつ配列決定するのに用いられ得る。
【0076】
他の実施形態において、TthPrimPolは、生理学的に生じるDNAの改変を解読するのに用いられ得る。このような改変の例としては、8oxoA、8oxoG、5OHC、5OHUが挙げられる。8oxoGの例によって特徴付けられるように、TthPrimPolは、特定の確度でヌクレオチドを合成された鎖に挿入することにより改変を「リード」することができる。8oxoGの場合、dAは、障害部位に対向するdCよりもより頻繁に少なくとも5回挿入されるであろう。異なる改変について、挿入に関する特別な特徴的な分布または優先度が存在する。ディープ配列決定を行う場合、位置Xにおける元のDNAの改変は、同様の配列の多くの異なるリードが得られることから(例えば、30〜50リード)、この位置におけるリードヌクレオチドの部分分布から推察され得る。同様に、チミジンダイマーについて、DNAの改変は、元の配列に由来する塩基の欠失から確立され得る。
【0077】
この適用例は、薬物の効果がDNA改変の性質および程度を決定することによりモニタリングされ得た場合、例えば、加齢の分野において有利である。同様に、このような適用例は、特定の療法の効果を決定しまたは癌細胞を分類するのに、腫瘍学の分野において有用であり得る。
【0078】
臨床的な診断応用例とともに基礎的なゲノム研究の両方において、サンプルが単一細胞へとより小さくなる分析へと向かっている。同様に、法医学的分析もまた、非常に少量の遺伝子材料にしばしば依存する。これら全ての場合において、配列決定やDNAアレイハイブリダイゼーションなどの下流の目的のため、サンプルの採取から遺伝子情報の取り扱いおよび増幅までの工程のいずれにも核酸を持ち込まないことは、極めて重要である。
【0079】
回避することがしばしば困難な汚染の一つの源は、酵素の調製および試薬(例えば、バッファー、ヌクレオチドなど)に付随する核酸材料である。
【0080】
phi29 ポリメラーゼおよびランダムヘキサマープライマーを用いるMDA法(Multiple displacement amplification)は、Phi29ポリメラーゼの高い忠実性およびその高い加工性のため、単一細胞WGAに関して好ましい方法となっている(Macaulay IC、Voet T著、2014年)。しかしながら、MALBACなどのPEP―PCRやDA―PCRに基づく適用例などのランダムプライマーを用いるその他の不利な方法もまた、存在する(Zhang L.ら著、1992年)。
【0081】
例えば、Woybeらは、通常のMDA試薬において細菌由来の汚染物を見出している。また、Blaineyおよび同僚(2011年)は、デジタルMDA(dMDA)と称される新規の高感度検出方法を用いた三つの市販のPhi29ポリメラーゼ調製物に存在するDNAを見出している。大腸菌DNAによるPhi29ポリメラーゼの汚染もまた、Yokouchiおよび同僚によって見出されている(Yokouchi H.ら著、2006年)。
【0082】
Taqポリメラーゼまたはその変異体を用いるPCR型の反応における外部のDNA汚染物が存在することは、例えば、Heinら著(2007年);Corlessら著(2000年)およびChamplot S.ら著(2010年)など、文献に広く報告されている。
【0083】
本発明の例15は、汚染増幅を抑制するため、ランダムプライマーをPrimPolと置き換える一つの実施例を説明している。この例は、Phi29DNAポリメラーゼとの組み合わせを述べており、その他のポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)もまた、ここに用いられ得る。
【0084】
川下における分析に関して、非常に少量のDNAを増幅する必要性がこれまでになく増している。このことは、例えば、法医学または病理学的試料、また単一細胞または少数の細胞にも適用される。特に興味深い適用例は、例えば、健常者の細胞または疾病を有する組織との遺伝的差異についての情報を得るための斯かる増幅材料の配列決定である。医学において、このことは、同定された変異に基づく薬物(例えば、キナーゼ阻害剤)の選択がなされる、腫瘍学の分野において極めて貴重である。従って、増幅材料が、サンプルの元の配列特徴を最大限の忠実性で反映することは、極めて重要である。
【0085】
しかしながら、少量のサンプルから遺伝材料を増幅するための現在の方法論は不完全である。元の核酸材料の代表例にはバイアスが存在する。これは、複数の科学論文において体系的に評価されている。
【0086】
例えば、Pinardおよび同僚(Pinardら著、2006年)は、MDA(multiple displacement amplification)を含む事なる増幅方法を検討した。増幅されていないサンプルと比較して、ゲノム領域の適用範囲に有意な偏差が存在した。また、増幅されていないサンプルに対してGC含量がずれるというバイアスが存在した。
【0087】
また、Paezら(2004年)は、増幅された核酸材料に対して選択的な過小評価および損失を報告した。Raghunathanら(2005年)は、単一の大腸菌細胞からMDAにより増幅されたDNAのqPCR手法を用いて、バイアスを見出した。さらに、ヒトおよび酵母の染色体の両方の末端に対する領域的な近接度に関連した配列の損失について述べている(Lageら著(2003年))。Hosonoら(2003年)は、MDA型の増幅が、qPCRにより判断された遺伝子座の過大評価または過小評価をもたらすと説明している。
【0088】
Hanら(2012年)は、MDAにより増幅されたヒトDNAにおいて、見かけのコピー数多型(CNVs)の変化を見出した。彼らは、一貫して低度に増幅された領域が、より高いGC含量をも有したことを見出した。Pughら(2008年)もまた、GC含量に関連しまた染色体末端近傍におけるCNVsの有意な見かけの変化を同定した。
【0089】
MDA法により導入されたこれらのアーチファクトは、特に、診断および治療決定を行う際の臨床的な使用に関して、重大な問題を引き起こす。用いられるランダムプライマーの種類の変化が導入されるバイアスの種類を改変することから(Alsmadiら著、2009年)、このバイアスの少なくとも一部が、Phi29DNAポリメラーゼとともにMDA法に本質的に必要とされるランダムプライマーに起因することは、明らかである。従って、導入されるバイアスが少なくまたは少なくとも異なるタイプである代替的な増幅方法が必要とされている。
【0090】
例16は、MDA型の増幅におけるランダムプライマーをTthPrimPolと置き換えることが代替例を提供することを示す。
【0091】
そのため、好ましい実施形態において、本発明は、汚染DNAの増幅が抑制された本発明による方法に関する。
【実施例】
【0092】
次に、以下の非限定的な例を参照して、本発明についてさらに述べる。
【0093】
例1:特定の材料および方法
TthPrimPolのクローニング:サーマス・サーモフィラスHB27ゲノム(DDBJ/EMBL/GeneBank AE017221.1; GI:46197919)の配列分析により、アーキアル/ユーカリアルプライマーゼ(AEP)スーパーファミリーに属するタンパク質をコードするORF TTC0656を明らかにした。この配列の情報を用いて、我々は、サーマス・サーモフィラスのゲノムDNAからPCRによりTthPrimPol遺伝子の増幅のための二つのプライマー(配列番号11および17)を合成した。Expand High Fidelityポリメラーゼ(ロッシュ)を用いてPCRにより増幅された遺伝子断片は、TAクローニングによりpGEM T―easyベクター(Promega)にライゲートし、配列決定により確認した。NdeIおよびEcoRI部位を用いて、標的遺伝子を有する断片は、pET21およびpET28ベクター(Novagen)にライゲートした。pET28ベクターにより、Ni2+―アフィニティー樹脂上での精製のためのヘキサヒスチジル配列を有する多機能性リーダーペプチドとの融合物として組み換えタンパク質の発現を可能とする。
【0094】
TthPrimPolの過剰生産および精製:TthPrimPolの発現は、argU、ileYおよびleuW tRNA遺伝子の過剰なコピーを有する、大腸菌株BL21−CodonPlus (DE3)―RIL(Stratagene)内で行われた。TthPrimPolの発現は、LB中30℃で600nmの吸光度0.5まで成長させたログフェーズの大腸菌細胞1.5Lに1mM IPTGを添加することにより誘導された。誘導後、細胞を、30℃で5時間インキュベートした。続いて、培養された細胞を回収し、ペレット化した細胞を計量し凍結させた(−20℃)。
【0095】
TthPrimPol−Hisタグの精製:4℃で行われた精製の直前、凍結細胞(3.7g)を解凍し、1mM NaClを添加した20mLのバッファーA(50mM Tris―HCl、pH7.5、5%グリセロール、0.5mM EDTA、1mM DTT)に再懸濁し、その後、氷上で超音波処理することで、破砕した。細胞の破片は、3000rpmでの5分間の遠心分離の後、廃棄された。不溶性材料は、11000rpmでの20分間の遠心分離により、ペレット化された。DNAは、0.4%ポリエチレンイミン(水中10%のストック溶液、pH7.5)で沈殿させ、11000rpmで20分間遠心分離を行うことで、堆積させた。バッファーAで最終濃度0.25M NaClの最終濃度になるように上清を希釈し、30%の飽和度の硫酸アンモニウムで沈殿させ、ポリエチレンイミンを有さないタンパク質ペレットを得た。このペレットを、0.25% Tween―20を添加したバッファーAに再懸濁し、0.2M NaClおよび0.25% Tween―20を添加したこのバッファーで前もって平衡化されたHiTrapヘパリンHPカラム(5mL、GE Healthcare)に充填した。0.2M NaClおよび0.25% Tween―20を添加したバッファーAを用いて完全に洗浄した後、0.2〜0.8M NaClの線形勾配でタンパク質を溶出させた。TthPrimPolを有する溶出物を、最終濃度0.2MのNaClとなるようにバッファーAで希釈し、0.2M NaClおよび0.25% Tween―20を添加したバッファーAで前もって平衡化したmonoS 4.6/100PEカラム(1.7mL、GE Healthcare)に充填した。カラムを洗浄し、0.1〜1M NaClの線形勾配でタンパク質を溶出させた。TthPrimPolを有する画分をプールし、0.2M NaClに希釈し、同様のバッファーで前もって平衡化されたHitrapヘパリンHPカラム(5mL、GE Healthcare)に充填した。カラムを洗浄し、1M NaClおよび0.25% Tween―20を添加したバッファーAを用いてタンパク質を溶出させた。この画分は、高度に精製された(>99%)TthPrimPolを含有する。既知の濃度の標準品を用いて、クマシーブルー染色10%SDS―ポリアクリルアミドゲルのデンシトメーターにより、タンパク質濃度を計算した。50%(v/v)グリセロールに調節された最終画分を−80℃で保存した。
【0096】
TthPrimPol+Hisタグの精製:4℃で行われた精製の直前、凍結された細胞(3.5g)を解凍し、1mM NaCl、0.25% Tween―20および30mM イミダゾールを添加した20mLのバッファーA(50mM Tris―HCl、pH7.5、5%グリセロール、0.5mM EDTA、1mM DTT)に再懸濁し、その後、氷上での超音波処理により破砕した。40000gでの50分間の遠心分離の後、細胞の破片および不溶性材料を廃棄した。1M NaCl、0.25% Tween―20および30mM イミダゾールを添加したバッファーAで前もって平衡化されたHiTrap粗FFカラム(5mL、GE Healthcare)に上清を充填した。1M NaCl、0.25% Tween―20および30mM イミダゾールを添加したバッファーAで完全に洗浄した後、30〜250mMイミダゾールの線形勾配でタンパク質を溶出させた。TthPrimPolを有する溶出物を、最終濃度0.1M NaClになるように0.25% Tween―20を添加したバッファーAで希釈し、1M NaClおよび0.25% Tween―20を添加したバッファーAで前もって平衡化されたHiTrapヘパリンHPカラム(5mL、GE Healthcare)に充填した。カラムを洗浄し、タンパク質を、1M NaClおよび0.25% Tween―20を添加したバッファーAで溶出した。この画分は、高度に精製された(>99%)TthPrimPolを含有する。既知の濃度の標準品を用いて、クマシーブルー染色10%SDS―ポリアクリルアミドゲルのデンシトメーターにより、タンパク質濃度を計算した。50%(v/v)グリセロールに調節された最終画分を−80℃で保存した。
【0097】
DNA基質:PAGEで精製した合成オリゴヌクレオチドをSigma社から得た。TthPrimPolのポリメラーゼ活性を評価するため、P1プライマー(5’CTGCAGCTGATGCGCC;配列番号6)をT1テンプレート(5’GTACCCGGGGATCCGTACGGCGCATCAGCTGCAG;配列番号5)に、P2プライマー(5’GTACCCGGGGATCCGTAC;配列番号14)をT2テンプレート(5’CTGCAGCTGATGCGCXGTACGGATCCCCGGGTAC;配列番号13)であって、Xが、A、C、G、T、脱塩基部位(AP)、7,8―ジヒドロ―8―オキソアデニン(8oxoA)、7.8―ジヒドロ―8―オキソアデニン(8oxoG)、チミングリコール(Tg)、5―ヒドロキシシトシン(5OHC)または5−ヒドロキシウラシル(5OHU)であるテンプレートに、P3プライマー(5’GATCACAGTGAGTAC;配列番号8)をT3テンプレート(T3DNA 5’AGAAGTGTATCTTGTACTCACTGTGATC;配列番号10またはT3RNA 5’AGAAGUGUAUCUUGUACUCACUGUGAUC;配列番号12)に、アニーリングすることにより、テンプレート/プライマー分子を生成した。P3プライマー(配列番号8)をT4テンプレート(5’ACTGGCCGTCGTTCTATTGTACTCACTGTGATC;配列番号7)および下流のオリゴヌクレオチドDG5P(5‘―リン酸基を有する5‘AACGACGGCCAGT;配列番号9)にアニーリングすることにより、5−ヌクレオチドのギャップを有する分子を生成した。プライマーを、その5’末端に蛍光標識(Cy5)した。各プライマーは、50mM Tris―HCl、pH7.5および0.3M NaClの存在下、異なるDNA分子を生成するため、テンプレート、またはテンプレートおよび下流のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされ、一昼夜室温で緩徐に冷却する前に80℃で10分間加熱した。プライマーゼ活性を測定するため、我々は、推定上のヘルペスウィルスのプライミング部位を含むXTCCオリゴヌクレオチド(5’T15CCTXT10、Xは、A、C、GまたはT;配列番号4)を用いた(CavanaughおよびKuchta著、2009年)。
【0098】
プライマーゼアッセイ:プライマーゼ活性を測定するため、テンプレートとして、M13mp18 ssDNA(20μg/μL)またはXTCCオリゴヌクレオチド(1μM)を用いた。反応混合物(20μL)は、TthPrimPol(400nM)の存在下、50mM Tris―HCl、pH7.5、75mM NaCl、5mM MgClまたは1mM MnCl、1mM DTT、2.5%グリセロール、0.1mg/mL BSA、[α−32P]dATP(16nM;3000Ci/ミリモル)または[γ−32P]dATP(16nM;3000Ci/ミリモル)、指示量の各dNTPまたはNTPを含有する。55℃で60分後、ホルムアミド充填バッファー(10mM EDTA、95%v/vホルムアミド、0.3%w/vキシレンシアノール)を添加することにより、反応を停止した。8M尿素含有20%ポリアクリルアミド配列決定ゲル中で反応を行った。電気泳動後、オートラジオグラフィーによりde novoで合成されたポリヌクレオチド(プライマー)を検出した。
【0099】
DNAおよびRNAポリメライゼイションアッセイ:インキュベーション混合物は、20μL中、50mM Tris―HCl、pH7.5、5mM MgClまたは1mM MnCl、1mM DTT、5%グリセロール、0.1mg/mL BSA、各ケースに示したDNAハイブリッド5nM、指示量の各dNTPまたはNTPおよび指示量のTthPrimPolを含有する。40℃で示した時間の間、反応混合物をインキュベートし、10μLの停止溶液(10mM EDTAおよび97.5%脱イオン化ホルムアミド)を添加することにより反応を停止した。標識化プライマー鎖の伸長は、8M尿素および20%PAGEにより分析され、Typhoon9410スキャナー(GE Healthcare)を用いて可視化された。
【0100】
循環DNA増幅反応:TthPrimPolの増幅能を測定するため、テンプレートとしてM13mp18 ssDNAおよびpET28dsDNAを用いた。インキュベーション混合物は、20μL中、50mM Tris―HCl、pH7.5、1mM DTT、5%グリセロール、0.1mg/mL BSA、指示量のテンプレートDNA、示した濃度のMgClまたはMnCl、指示量の各dNTPまたはNTPおよび指示量のTthPrimPolを含有する。示した時間、異なる温度(35〜85℃の範囲)で反応混合物をインキュベートし、氷上で温度を低下させることで、反応を停止した。増幅産物は、ネーティブゲル電気泳動により分析された。
【0101】
Phi29DNApolを基礎としたローリングサークル増幅(RCA)のためのランダムプライマーの合成:インキュベーション混合物は、12.5μL中、40mM Tris―HCl、pH7.5、50mM KCl、45mM (NHSO、10mM MgCl、0.025% Tween―20、500μM dNTPs、50μM ランダムヘキサマー、1ng pRSET、40ng Phi29 DNApolおよび指示量のTthPrimPolを含有する。酵素を添加する前にテンプレートDNAを変性するため、反応混合物を沸騰(95℃で3分間)させた。その後、反応混合物を30℃で5時間インキュベートした。増幅産物を、HindIIで消化し、ネーティブゲル電気泳動で分析した。
【0102】
Phi29 DNApolを基礎とした全ゲノム増幅(WGA)のためのランダムプライマーの合成:インキュベーション混合物は、50μL中、40mM Tris―HCl、pH7.5、50mM KCl、45mM (NHSO、10mM MgCl、0.025% Tween―20、500μM dNTPs、50μM ランダムヘキサマー、1ng ヒトゲノムDNA、650ng Phi29 DNApolおよび指示量のTthPrimPolを含有する。反応混合物を、30℃で16時間インキュベートした。PicoGreen試薬(Quant―iT(登録商標)PicoGreen dsDNA試薬、Invitrogen)を用いて、増幅産物を定量した。
【0103】
酵母の増殖およびゲノムDNAの単離:酵母株BY4741を、Euroscarf(Institute of Molecular Biosciences、J.W.Goethe―University Frankfurt)から受け取り、YPD(1L当たり、10g酵母エキス、20gペプトン、20gデキストロース)培地中、30℃で増殖させた。Qiagenのゲノムチップ100/G(QIAGEN Genomic DNA Handbook、2012年4月)の推奨プロトコルに従って、ゲノムDNAの単離のため、二つの異なる一昼夜の培養物50mL(OD600=1;〜1.5×10細胞)を用いた。
【0104】
1%アガロースゲル上で単離DNAを分析し、OD260/280およびOD260/230の吸光度を測定した。最終的に、消化性について、DNAを試験した:1単位のEcoRIを用いて37℃で1時間、100ngのygDNAを消化した。
【0105】
200ng/μLの濃度の酵母DNAの二つのサンプルを単離した。下流の実験において、サンプル番号1を用いた。
【0106】
酵母DNAのMiSeq配列決定:Phi29ポリメラーゼ(サンプル名Tth―100/Phi、Tth―200/PhiおよびTth―400/Phi)と組み合わせた、増幅されていない酵母DNA(サンプルNA)、従来の増幅酵母DNA(サンプルRP)、および一定のTthPrimPol(それぞれ100、200および400ng)をリンスすることにより増幅された酵母DNAのいずれか2μgから出発して、Illumina配列決定に関する正規のサービス提供者であるGATC(GATC Biotech AG、ドイツ)により、MiSeq配列決定機(Illumina、米国)を用いて、五つのサンプルにつき、ライブラリーの調製、多重化および配列決定を行った。選択された配列決定パラメータは、以下の通りである:対となった末端のリード、リード長300bp。GATCは、各サンプルの一つおよびリード指示について、10fastqファイルのデータを返送した。
【0107】
例2:TthPrimPolは、dNTPsを用いて核酸合成を開始し得る活性型プライマーゼである
精製されたTthPrimPolは、潜在的なプライマーゼ認識配列(GTCC)がチミン残基によってフランキングされた一本鎖オリゴヌクレオチドに対してDNAプライマーゼ活性を示した(CavanaughおよびKuchta著、2009年)。このようなピリミジンのトラクトは、複数のウィルス、原核生物および真核生物のRNAプライマーゼによるプライミング反応の開始に関して好ましいテンプレートコンテキストであることが示されている(Holmes、Cheriathundamら著、1985年;ParkerおよびCheng著、1987年;FrickおよびRichardson著、2001年)。示したように(図1)、プライミングは、「TC」配列の前部でのみ生じ、ポリdTトラックの対向部位ではプライミングは存在しない。プライマー(5‘位置)として作用するヌクレオチドは、マンガン存在下、リボヌクレオチド(ATP)またはデオキシヌクレオチド(dATP)のいずれかであり得るが、マグネシウムが金属補助因子である場合にデオキシヌクレオチド(dATP)のみである。添加されたヌクレオチド(3’位置)は金属補助因子にかかわらず、デオキシヌクレオチド(dATP)でなければならない。テンプレート配列の要件に関する分析は、テンプレート開始部位に先行するヌクレオチドの強力な効果を示した。図2に示すように、TthPrimPolのプライマーゼ活性は、Cが開始部位に先行するヌクレオチドである場合に、最大となった。さらに、示したように(図3)、TthPrimPolは、一本鎖環状DNAテンプレート(M13mp18 ssDNA)に対してDNAプライマーゼ活性を示した。興味深いことに、タンパク質は、合成のためのデオキシヌクレオチドに厳格に依存したが、実質的には、リボヌクレオチドの存在下では産物は生成しなかった。
【0108】
一般に、プライマーゼは、RNAプライマーを生じるが、始原細菌およびいくつかの細菌のAEPに関連したプライマーゼは、プライミングに関する有効な基質としてdNTPsを用いる場合、このルールの例外である(Sanchez―Berrondo、Mesaら著、2011年;Lao―Sirieix、Pellegriniら著、2005年)。この独自のRNA/DNAプライマーゼ活性は、TthPrimPolに固有のものでもあることが示された。
【0109】
例3:TthPrimPolは、有効なポリメラーゼでもある
真核生物のプライマーゼと異なり、始原細菌のプライマーゼは、それぞれ1kb未満または7kb未満のRNA鎖およびDNA鎖の両方の開始および伸長を実行可能である(Chemnitz、Galal、Panら著、2012年;Lao―SirieixおよびBell著、2004年;Lao―Sirieix、Pellegriniら著2005年)。したがって、これらの酵素は、プライマーゼおよびポリメラーゼの両方、または「PrimPols」である(Lipps、Rotherら著、2003年)。このことから、我々は、DNA/RNAのプライマーゼ活性に加えて、TthPrimPolが、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有するかどうかを最初に検討した。図4に示すように、TthPrimPolは、18デオキシヌクレオチド未満の重合によりテンプレート/プライマー分子を完全に伸長可能であった。マンガンが最も効率的な金属イオンであるが、マグネシウムおよびマンガンは、DNA重合のための金属補助因子として有効であった。示したように(図5)、TthPrimPolは、RNA重合の場合にはより低い効率であるが、ギャップを有するDNA分子に対してDNAおよびRNA合成を行うことも可能であった。さらに、RNAポリメラーゼ活性は、マンガンに厳格に依存するようであった。また、マンガンは、ギャップを有するDNAに対して鎖変位合成を強力に刺激し、全テンプレート配列の使用を可能とする(+18)。
【0110】
例3:TthPrimPolは、逆転写酵素活性を有する
示したように(図6)、TthPrimPolは、反応の効率性がDNAテンプレートで達成されるよりも低いが、相補的DNA鎖を合成するのにRNAテンプレートを使用可能であった。さらに、RNAで指示されたDNAポリメラーゼ活性は、マンガンに厳格に依存するようであった。
【0111】
例4:TthPrimPolは、忠実にdNTPsを取り込む
忠実なDNA合成を触媒するTthPrimPolの能力を分析するため、四つのdNTPsのそれぞれは、マグネシウムまたはマンガンのいずれかの存在下、四つの可能性のあるテンプレートの塩基に対向して取り込まれるべき基質として個々に測定された。図7は、全てのケースにおいて、TthPrimPolが、第一の利用可能なテンプレートの塩基によって指示される相補的なヌクレオチドを好ましく挿入したことを示す。マンガンの場合であっても、TthPrimPolによるDNA重合中の塩基の識別は、正しい対となるプライマーの末端を伸長する際、正しいワトソン・クリック型塩基対を形成するように強力なバイアスを提供した。また、dNTPsに関するTthPrimPolのアフィニティーを決定するため、複数の測定を行った。単一の代謝回転の条件下、酵素の濃度がDNAの濃度よりも高い場合(図8)は、dNTPの取り込みは、酵素が、低濃度で提供された相補的なヌクレオチドを効率的に挿入し得たことから、TthPrimPolがdNTPsに対して高いアフィニティーを有することが明確に明らかとなった。
【0112】
例5:TthPrimPolは、損傷DNAに対して高い耐性を有する
損傷DNAに対するTthPrimPolの耐性を同定するため、タンパク質は、脱塩基部位(AP)、7,8―ジヒドロ―8―オキソアデニン(8oxoA)、7,8―ジヒドロ―8―オキソグアニン(8oxoG)、チミングリコール(Tg)、5−ヒドロキシシトシン(5OHC)または5−ヒドロキシウラシル(5OHU)を有するテンプレートを受けた。図9に示すように、TthPrimPolは、障害に対向してヌクレオチドを挿入することにより、または障害をスキップすることおよび次のテンプレート塩基(dG挿入)をコピーすることにより、効果的な障害のバイパスを行い得た。酸化ストレスの結果としてDNAに生じる損傷の最も頻繁な形態のひとつである(BerquistおよびWilson著、2012年)グアニンの酸化型(8oxoG)は、dATPを導入するsynコンフォメーションにおいて主としてかつ効果的にパイパスされた。示したように(図10)、8oxoGに対向したdATPの挿入の動態は、損傷されていないTに対向するものと同一であった。
【0113】
TthPrimPolがテンプレート−プライマーおよびギャップを有するDNA分子に対して合成を行い得たが、ホモポリマーssDNA分子の3‘末端に種々のヌクレオチドを追加することはできなかった(図11)が、したがって、このことは、TthPrimPolが、厳格に、テンプレート依存性酵素であることを示唆する。DNA分子は、複数のDNAポリメラーゼファミリーにおける進化的に保存された3’―5‘エキソヌクレアーゼ活性部位を形成する、ExoI、ExoIIおよびExoIIIコンセンサスモチーフを欠くことと一致して、分解されなかったから、dNTPsを有しないコントロール反応もまた、3’―5‘エキソヌクレアーゼ活性を欠くことを示した。
【0114】
例6:TthPrimPolは、効果的な環状DNAの増幅を行う
TthPrimPolが、高度に効果的なDNAプライマーゼおよびDNAポリメラーゼ活性を組み合わせるが、我々は、酵素が、DNAの増幅を上手く行い得ると仮説した。TthPrimPolの増幅能を同定するため、TthPrimPolおよびdNTPまたはNPTsは存在するが特定のまたはランダムなプライマーは存在しない条件で、テンプレートDNAとしてM13mp18 ssDNAを用いた。図12に示したように、TthPrimPol(+/−Hisタグ)の両方のバージョンは、dNTPsの存在下で入力したDNAを大量に増幅可能であった。一方、リボヌクレオチドは、TthPrimPolによるDNA増幅に関して貧弱な基質であるようである。
【0115】
例7:補助因子
図13a−dに示すように、コバルトおよびカルシウムは、金属イオンを活性化するのに有用ではなかったが、マンガンおよびマグネシウムのみが、増幅反応中、金属補助因子として作用し得た。増幅産物の量は、マンガンの濃度範囲が0.5〜2.5mMおよびマグネシウムが2.5〜10mMにおいて最大であった。
【0116】
我々は、次に、増幅産物を得るのに必要なタンパク質の量を分析した。図14a〜bに示したように、増幅反応の収率は、金属補助因子としてマグネシウムまたはマンガンのいずれかを用い、測定に用いたTthPrimPolの量に比例した。同様に、増幅産物の量は、テンプレートDNAの初期量に依存した(図15参照)。反応時間に反して、示したように(図16aおよびb)、増幅は、用いられた金属補助因子(Mn2+またはMg2+)に依存せずに、4時間の見かけの限度に達し、これは、おそらく、dNTPの枯渇に起因する。また、ヌクレオチドの濃度の効果についても検討した。図17はdNTP濃度の関数として、量および移動度における増幅産物の変動を示す。各金属補助因子に関する最も良好なdNTP濃度は、マンガンを用いた場合の100μMからマグネシウムの場合の500μMの範囲であった。これより高い濃度では、阻害的であるようであった。増幅産物は(Mg2+対Mn2+)、各金属に関するdNTPの効果的な間隔を考慮すると同様の移動度および収率を有した。最終的に、増幅の収率を最大化した各金属補助因子に関する温度を同定するため、インキュベーション温度を分析した。示したように(図18)、各金属補助因子に関する最適な温度は、マグネシウムを用いた場合には、55〜60℃であり、マンガンの場合に52〜62℃であった。
【0117】
例8:TthPrimPolは、Phi29DNAポリメラーゼによる次なる増幅に関するDNAをプライミングし得る
TthPrimPolが効率的で多用途のDNAプライマーゼであるという前提から出発して、我々は、環状dsDNAをランダムにプライミングするというTthPrimPolの能力を分析した。このプライミングされたDNAは、その結果、Phi29DNApolによる多重の変位増幅に関して有効であろう。その後、Phi29DNAポリメラーゼにより生成した変位された鎖はTthPrimPolに関する新たな基質を構成するが、この場合、酵素が新たなプライマーをランダムに合成でき、したがって、Phi29DNApolに関する新たな開始部位を生成し、かつ対数的DNA増幅に達するであろう。図19に示すように、両酵素の組み合わせは、プラスミドDNAを上手く増幅可能であり、増幅産物の量は、TthPrimPolの用量依存的に増加し、ランダムな合成プライマーの追加の必要をなくす。ゲノムDNAを効率的にプライミングするTthPrimPolの能力を分析するため、本発明者らは、一連の全ゲノム増幅実験を実行した。再び言及するが、本発明者らは、増幅されたDNAをTthPrimPolの用量依存的に得て、400nMのTthPrimPolを添加した際に最高に達した。これより多くの量は、検討しなかった。これらの例は、TthPrimPolが、線形DNAの増幅においても、また環状DNAの増幅においても、合成ヘキサヌクレオチドを置換し得ることを明確に示す(図20)。
【0118】
例9:TthPrimPolは、HsPrimPolよりもより効率的なポリメラーゼである
TthPrimPolの熱安定性にもかかわらず、酵素は、良好に特徴付けれたHsPrimPolと基本的な機能のほとんどを共有する(Garcia Gomez著、2012年参照)。我々は、従って、両酵素が、ランダムプライマーも特定のプライマーも添加せず、比較様式にてDNAを増幅し得るかどうか、知りたかった。従って、プライマーの不存在下、それぞれの最適な反応温度にて、M13mp18 ssDNAを増幅するのに、かなりの量のTthPrimPolおよびHsPrimPolを用いた。NTPsの存在下、TthPrimPolおよびHsPrimPolは、かなりの量の産物を生成したが、逆に、DNAの存在下では、TthPrimPolは、HsPrimPolよりもさらにより効率的に作用し、HsPrimPolと比較して、かなり大量の増幅DNAをもたらした(図22)。
【0119】
例10:キットの化合物としてのTthPrimPol
長期間実験室でしばしば保存される、特にキットの開発に関して、化合物の安定性は、常に重要な特性である。この論点を解決するため、単離TthPrimPolは、保存バッファー中で−20℃で複数ヶ月保存可能である。本明細書において述べたTthPrimPolのプライマーゼおよびポリメラーゼの活性を検討した、頻繁に繰り返した実験において(例えば、図21参照)、測定された活性に有意な減少は示されない。
【0120】
例11:異なるポリメラーゼと組み合わせた、プライマーゼとしてのTthPrimPolの使用
本発明の一つの実施形態は、DNA増幅に関するその他のポリメラーゼとともにプライマーゼとしてのTthPrimPolの使用である。現在、全ゲノム増幅(WGA)は、Phi29DNApolおよびランダムオリゴヌクレオチド(MDA、多重変位増幅)を用いて好ましく行われる(Spit、Le Caignecら著、2006年;Spits、Le Caignecら著、2006年;SilanderおよびSaarela著、2008年;Alsmadi、Alkayalら著、2009年)。WGAは、線形ゲノムDNAに対して実行される、一種の鎖変位増幅である。他の種の鎖変位増幅は、共有的に閉鎖した環状DNAの増幅に使用される、ローリングサークル増幅(RCA)である。再び言及するが、Phi29DNApolは、RNA法に関して好ましい酵素である。TthPrimPolは、図19および20に示す増幅方法であるWGAおよびRCAの両方において、オリゴヌクレオチドを置き換え得る。アレストされた複製フォークの再開としての提唱された生来の役割に起因して、TthPrimPolは、従来のPCR法において共同的な方法で有益に使用されるであろう。
【0121】
例12:DNAラベリング
一つの実施形態において、TthPrimPolは、標識されたヌクレオチドを相補的なDNA鎖に取り込むことを有する核酸の複製または増幅のための方法に用いられる。たとえば、蛍光部分を有するヌクレオチド(図23)または放射性ヌクレオチドは、測定における検出のためのDNA分子を標識するのに使用され得る。TthPrimPolは、その高い加工性および取り込まれるべきヌクレオチドに関する高い耐性のため、良好に適合されている。斯かる標識化は、たとえば、AffymetrixアレイなどのDNAアレイ用のサンプル調製にも用いられ得る。
【0122】
例13:DNAの突然変異化
TthPrimPolは、テンプレート鎖を重度に酸化しTthPrimPolで親DNAを増幅させることにより、DNAを突然変異するのに使用され得る。異なるヌクレオチドを取り込むことにより(図7および8)、ランダム変異導入が達成される。
【0123】
例14:DNAおよびRNAの増幅
TthPrimPolは、Phi29DNAポリメラーゼを用いる一つに同様の適用例において、プライマーを用いまたは用いずにDNAを増幅するのに、高い加工性に起因して、用いられ得る。さらに、TthPrimPolは、RNA依存性RNAポリメラーゼとしての機能において、RNAを増幅するのに用いられ得る。このことは、例えば、CNSにおける神経細胞に由来する、または腫瘍学研究における細胞に由来するなど、単一細胞または少数の細胞の発現プロファイルを得ようとする場合に、特に必要とされている。今までのところ、RNAの増幅プロトコルは、多くの工程を有する手技に依拠している(Rossner、Hirrlingerら著、2006年;Newrzella、Pahlavanら著、2007年)。TthPrimPolに基づくRNA増幅は、均一でバイアスを有さない増幅産物を生成するであろう。追加の利点は、関連するRNAsesを阻害するであろう、増幅が行われ得る間の高い温度であり、また、二次構造を溶解することである。
【0124】
例15:非特異なバックグラウンドDNAの抑制
驚くべきことに、本発明者らは、TthPrimPolおよびPhi29DNAポリメラーゼの両酵素の組み合わせは、試験したインキュベーション時間(16時間以下)のいずれにおいても、外的に添加したテンプレートDNA分子の不存在下で(図26a)、DNA増幅を行わない。斯かる条件において、TthPrimPolのプライマーゼ活性は、未変性のDNA(一本鎖DNA)の存在に依存するようである。
【0125】
従って、さらなる実施形態において、TthPrimPolおよびPhi29DNAポリメラーゼの組み合わせは、等温性MDAにおいて、汚染DNAの増幅を回避するのに用いられる。斯かる汚染DNAは、酵素の調製および試薬に由来する核酸材料を回避するのが困難な場合にしばしば見られる。
【0126】
例16:TthPrimPolおよびPhi29ポリメラーゼの組み合わせにより増幅されたDNAプローブの全ゲノム配列決定
TthPrimPolおよびPhi29―polの組み合わせ(Tth/Phi)を用いた共同的な増幅は、最も少量のDNAの増幅を可能とし(例14)、これを、限定的な量のテンプレートDNAから全ての目的のDNAプローブの生成に関して理想的な方法とする。従来のMDAが、標的のDNAおよびランダムプライマーの組成に依存して、主としてコピー数のバイアスであるバイアスを招来させるが(Alsmadi著、2009年)、我々は、DNAのTth/Phi増幅がバイアスの少ない増幅を可能にするかどうかを検討した。
【0127】
従って、また、Tth/Phiで増幅されたDNAの量を同定するため、我々は、MiSeq(Illumina、米国)配列決定機を用いて、非増幅酵母(BY7471株)DNA(NA)、増幅(ランダムにプライミングされた)酵母DNA(RP)および(種々の量のTthPrimPol:100ng、200ngおよび400ngを用いて)Tth/Phiにより増幅されたDNAを配列決定した。
【0128】
塩基の量の値の評価は、FastX―toolkit(hannonlab.cshl.edu/fastx_toolkit)を用いて行われたが、これは、試験した全てのサンプルには有意な差異は明らかにされず、従って、Tth/Phiの増幅方法が、次世代の配列決定(NGS)プローブの調製に良好に適合されていると結論付け得る。
【0129】
配列ライブラリーの調製に由来する変化量を区別するため、等量(140万)で。ランダムに選択された、高品質(Phred値>20;Ewing B.ら著。1998年)の対となった末端配列のリード(280万の単一末端のリード)を、全てのさらなる分析工程のため、用いた。
【0130】
NGSデータデットをさらに分析するため、ソフトウェア「CLC Genomic Workbench」バージョン7.0(CLC Bio;デンマーク)を用いた。このソフトウェアは、NGS配列分析に特徴に富んだ統合ソフトウェアソリューションであって、参照ゲノムに対して全てのリードをマッピングすることを可能にするだけでなく、(このマッピングに基づいて)オーバーリプリゼントおよびアンダーリプリゼントのゲノム領域を同定することを可能にする。全てのサンプルについてこのマッピング分析を行うことで、本発明者らは、RPリードの83.92%のみが参照に対してマッピングされた一方、90%以上の全てのNA(90.48%)およびTth/Phiリード(91.92%および91.90%)が、参照に対してマッピングされたことを見出した(図28)。Tth/PhiとRPとのこの差異は、染色体レベルに対するオーバーリプリゼントおよびアンダーリプリゼントの領域における有意差(p=0.00029)によっても実証された。
【0131】
増幅されたDNAの場合、オーバーリプリゼントおよびアンダーリプリゼントの領域の全数は、配列決定法および増幅法の両方によって提示された全体的なバイアスの値である。対照的に、NAサンプルについて。オーバーリプリゼントおよびアンダーリプリゼントの領域の全数は、配列決定法に依存するのみである。
【0132】
NAに対してRPおよびNAに対してTth/Phiを比較する場合の相対的な差異は、従って、増幅法によってのみ提示されるバイアスの値である。従って、Tth/Phi増幅は、RP増幅よりも17%少ないバイアスを示しており、このことは、RP増幅に対するTth/Phi増幅の明確な有益性を示すものである(図29)。
【0133】
参考文献
【0134】
本発明は、以下の項目1から23にさらに関する。
項目1. 核酸の複製、増幅または配列決定のための方法であって:
a)i)ポリメラーゼ、または
ii)ポリメラーゼコンジュゲート
を用意する工程であって、前記ポリメラーゼまたは前記ポリメラーゼコンジュゲートのポリメラーゼ残基が、配列番号1と少なくとも70%の相同性を有する配列を有し、かつポリメラーゼおよびプライマーゼ活性を有するものである工程と、
b)テンプレート核酸を用意する工程と、
c)核酸の相補鎖を取り込むための、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド誘導体を用意する工程と、
d)適切なバッファーを用意する工程と、
e)場合により、一つ以上のプライマーを用意する工程と、そして
f)適切な時間、場合により高温で、好ましくは40℃以上の温度で、最も好ましくは50℃超の温度で、工程a)乃至e)の材料を接触させる工程
とを含んでなる、方法。
項目2. a)i)のポリメラーゼ、またはa)ii)のポリメラーゼコンジュゲートのポリメラーゼ残基が、配列番号1と少なくとも80%の相同性を有する配列を有するものである、項目1に記載の方法。
項目3. a)i)のポリメラーゼ、またはa)ii)のポリメラーゼコンジュゲートのポリメラーゼ残基が、配列番号1と少なくとも90%の相同性を有する配列を有するものである、項目1に記載の方法。
項目4. a)i)のポリメラーゼ、またはa)ii)のポリメラーゼコンジュゲートのポリメラーゼ残基が、配列番号1の配列を有するものである、項目1に記載の方法。
項目5. 工程b)の核酸が、損傷を有するものである、項目1〜4のいずれか一項に記載の方法。
項目6. 前記の損傷を有する核酸が:
a)一本鎖または二本鎖の破損を有するか、および/または
b)好ましくは、酸化ヌクレオチドおよび/または脱アミノ化ヌクレオチドからなる群から選択され、最も好ましくは7,8−デヒドロ−8−オキソデアニン、7,8−デヒドロ―8―オキソグアニン、チミングリコール、5―ヒドロキシシトシン5−ヒドロキシウラシルからなる群から選択される、化学的に修飾を受けたヌクレオチドを有すること、および/または
c)ホルムアルデヒド、またはパラホルムアルデヒドで包埋された組織に由来すること
を特徴とする、項目5に記載の方法。
項目7. 工程c)のヌクレオチド誘導体の少なくとも一種が、化学的に修飾を受けたヌクレオチドである、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
項目8. 工程c)のヌクレオチド誘導体が:
a)酸化ヌクレオチド誘導体、および/または
b)脱アミノ化ヌクレオチド、
c)少なくとも一つの立体的に嵩高い側基を含む誘導体
からなる群から選択されたヌクレオチド誘導体の少なくとも一種からなる、項目7に記載の方法。
項目9. 工程b)のテンプレート核酸は、100未満の細胞、好ましくは単一の細胞に由来する、項目1〜8のいずれか一項に記載の方法。
項目10. 工程e)にはプライマーが用意されない、項目1〜9のいずれか一項に記載の方法。
項目11. 工程b)の核酸が、デオキシリボ核酸(DNA)である、項目1〜10のいずれか一項に記載の方法。
項目12. 工程b)の核酸が、リボ核酸(RNA)である、項目1〜10のいずれか一項に記載の方法。
項目13. RNAの逆転写を含んでなる、項目12に記載の方法。
項目14. 第二のポリメラーゼを含んでなる、項目1〜12のいずれか一項に記載の方法。
項目15. 前記の第二のポリメラーゼが、真核生物ファミリーAのポリメラーゼ、真核生物ファミリーBのポリメラーゼからなる群から選択される、項目14に記載の方法。
項目16. 前記の第二のポリメラーゼが、Taqポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼ、Ventポリメラーゼからなる群から選択される、項目14に記載の方法。
項目17. 前記の第二のポリメラーゼが、Phi29型DNAポリメラーゼまたはそのコンジュゲートである、項目14に記載の方法。
項目18. 項目1〜17のいずれか一項に記載の方法に用いられる、項目1〜4のいずれか一項に定義したポリメラーゼまたはポリメラーゼコンジュゲート。
項目19. 改変を検出するための方法であって、特に、DNAテンプレートにおける酸化工程の生成物を検出するための方法であって:
a)項目1〜4のいずれか一項に記載の多重の配列の読み取りを実行する工程と、
b)工程aの配列のリードの全体に渡って各ヌクレオチドの位置に関して取り込まれたヌクレオチドの全割合を計算する工程と、そして
c)取り込まれたヌクレオチドの全割合を、テンプレートにおけるDNA改変の元の性質と関連づける工程
とを含んでなる、方法。
項目20. ランダム変異のための方法であって、
a)核酸を酸化性化合物と接触させる工程であって、前記接触によって、核酸の塩基を酸化させる、工程、および
b)酸化された核酸を、項目1〜4のいずれか一項に定義したポリメラーゼまたはポリメラーゼコンジュゲートを用いて複製させる工程
を含んでなる、方法。
項目21. 20ヶ月を超えて適切な条件下で保存可能である、DNA分子を増幅するためのキットであって:
a)項目1〜4に記載のポリメラーゼを有する第一の容器と、
b)一つ以上のデオキシリボヌクレオシド三リン酸を有する第二の容器と
を備えてなる、キット。
項目22. 20ヶ月を超えて適切な条件下で保存可能である、RNA分子を増幅するためのキットであって:
a)項目1〜4に記載のポリメラーゼを有する第一の容器と、
b)一つ以上のリボヌクレオシド三リン酸を有する第二の容器と
を備えてなる、キット。
項目23. 20ヶ月を超えて適切な条件下で保存可能である、核酸分子を配列決定するためのキットであって:
a)項目1〜4に記載のポリメラーゼを有する第一の容器と、
b)一つ以上のジデオキシリボヌクレオシド三リン酸を有する第二の容器と、
c)一つ以上のデオキシリボヌクレオシド三リン酸を有する第三の容器と
をそなえてなる、キット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図13d】
【図14a】
【図14b】
【図15】
【図16a】
【図16b】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25a】
【図25b】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図21】
【配列表】
2016509853000001.app
【国際調査報告】