(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2016510056
(43)【公表日】20160404
(54)【発明の名称】無細胞百日咳ワクチン
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/10 20060101AFI20160307BHJP
   A61K 39/08 20060101ALI20160307BHJP
   A61K 39/05 20060101ALI20160307BHJP
   A61K 39/102 20060101ALI20160307BHJP
   A61K 39/29 20060101ALI20160307BHJP
   A61K 39/13 20060101ALI20160307BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20160307BHJP
   A61K 39/295 20060101ALI20160307BHJP
【FI】
   !A61K39/10
   !A61K39/08
   !A61K39/05
   !A61K39/102
   !A61K39/29
   !A61K39/13
   !A61P31/04
   !A61K39/295
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】33
(21)【出願番号】2015560695
(86)(22)【出願日】20140306
(85)【翻訳文提出日】20150907
(86)【国際出願番号】EP2014054379
(87)【国際公開番号】WO2014135651
(87)【国際公開日】20140912
(31)【優先権主張番号】61/774,993
(32)【優先日】20130308
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13169328.5
(32)【優先日】20130527
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】301055549
【氏名又は名称】クルセル ホランド ベー ヴェー
【住所又は居所】オランダ国 2333 セーエヌ レイデン アルキメデスウェツハ 4
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(74)【代理人】
【識別番号】100173657
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬沼 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヤン チュニス プールマン
【住所又は居所】オランダ国 2333 セーエヌ レイデン アルキメデスウエッハ 4−6
【テーマコード(参考)】
4C085
【Fターム(参考)】
4C085AA03
4C085AA38
4C085BA10
4C085BA12
4C085BA17
4C085BA18
4C085BA53
4C085BA89
4C085BB12
4C085CC07
4C085DD62
4C085EE03
4C085EE06
4C085FF02
(57)【要約】
本発明は、ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)抗原の、百日咳トキソイド(PT)と、線維状ヘマグルチニン(FHA)と、2型および3型の線毛(FIM)と、任意選択でペルタクチン(PRN)と、を含む無細胞百日咳(aP)ワクチン組成物に関する。ここで、FIMは、12〜100μg/ヒト用量の量で存在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)抗原の、百日咳トキソイド(PT)と、線維状ヘマグルチニン(FHA)と、2型および3型の線毛(FIM)と、を含む無細胞百日咳(aP)ワクチン組成物であって、FIMが12〜100μg/ヒト用量の量で存在する、無細胞百日咳(aP)ワクチン組成物。
【請求項2】
FIMが15〜60μg/ヒト用量の量で存在する、請求項1に記載のaP組成物。
【請求項3】
FIMが20〜60μg/ヒト用量の量で存在する、請求項1または2に記載のaP組成物。
【請求項4】
FIMが20〜50μg/ヒト用量の量で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のaP組成物。
【請求項5】
FIMが20〜25μg/ヒト用量の量で存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のaP組成物。
【請求項6】
ペルタクチン(PRN)をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のaP組成物。
【請求項7】
PTが遺伝学的に解毒されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のaPワクチン組成物。
【請求項8】
B.ペルツッシス(B.pertussis)以外の1種以上の病原体に由来する抗原をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
破傷風トキソイドとジフテリアトキソイドとを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
a)ヘモフィルス・インフルエンザ(Heamophilus influenzae)(Hib)オリゴ糖または多糖コンジュゲート、
b)B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)、および
c)不活性化ポリオウイルス(IPV)、の1つ以上を含む、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項11】
アジュバントをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記アジュバントが、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、またはそれらの組合せを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物を被験体に投与することを含む、ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)に対するワクチンを被験体に接種する方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物を被験体に投与することを含む、ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)のPRN陰性株の感染により引き起こされる百日咳から被験体を防御する方法。
【請求項15】
次のボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)抗原、すなわち、百日咳トキソイド(PT)と、線維状ヘマグルチニン(FHA)と、2型および3型の線毛(FIM)と、任意選択でペルタクチン(PRN)と、を被験体に投与することを含む、ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)、任意選択で、ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)のPRN陰性株に対するワクチンをヒト被験体に接種する方法であって、FIMが12〜100μgの量で投与される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルスケアの分野に関する。より特定的には、無細胞百日咳ワクチンの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)は、百日咳の原因因子である。1940年代における死滅全細胞B.ペルツッシス(B.pertussis)(wP)ワクチンの導入により、子供および乳児において百日咳の罹患率および死亡率の低減に成功してきた[http://www.cdc.gov/vaccines/pubs/pinkbook/downloads/pert.pdf、Bisgard,K.M.http://www.cdc.gov/vaccines/pubs/pertussisguide/downloads/chapter1.pdf.2000、Edwards,K.M.&Decker,M.D.Pertussis vaccines.In Vaccines(Plotkin,S.A.,Orenstein,W.A.&Offit,P.A.編) Elsevier Health Sciences,2008.467−517(この教科書は、これ以降では「Vaccines,Plotkin 2008」として参照される)]。それにもかかわらず、世界中で、百日咳は、子供において重要な問題を残している。WHOによる推定値から、2008年に約1600万例の百日咳が発生し、この疾患が原因で約195,000人の子供が死亡したことが示唆される。
【0003】
1990年代以降、wPワクチンは、ほとんどの高所得国で、より最近ではいくつかの中所得国で、無細胞百日咳(aP)ワクチンに置き換えられてきた。高リスクの発熱(≧38℃)、注射部位における反応原性、ならびにそれほどでもないが痙攣および筋緊張低下−反応性低下発作を伴うwPワクチンと比べて、無細胞百日咳ワクチンは、比較的少ない副作用を誘発する[Zhang,Cochrane Database Syst Rev 2011]。
【0004】
aPワクチン導入の10〜20年後、米国、英国、オーストラリア、ノルウェー、およびオランダをはじめとするいくつかの国により、青年および成人における百日咳の届け出の上昇が報告されてきた。可能な説明としては、診断および調査の改善、ワクチンに対する循環B.ペルツッシス(B.pertussis)株の順応、および/またはaPワクチンに伴う漸減免疫の増加が挙げられる[Tanaka,Jama 2003,290:2968−2975、Satoh,Comp Immunol Microbiol Infect Dis 2010,33:e81−88、Zepp,Lancet Infect Dis 2011、De Greeff,PLoS One 2010,:e14183、Tan,Pediatr Infect Dis J 2005,24(5 Suppl):S10−18]。
【0005】
現在、許可されたaPワクチンはすべて、最小1つただしほとんどが複数の最大5つまでの(解毒された)B.ペルツッシス(B.pertussis)病原性因子からなる。aPワクチンはすべて、百日咳トキソイド(PT)を含有する。多成分aPワクチンは、少なくとも、PTとB.ペルツッシス(B.pertussis)表面アドヘシン線維状ヘマグルチニン(FHA)とを含む。価数の増加に伴って、アドヘシンペルタクチン(PRN)ならびに2型および3型の線毛(FIM2およびFIM3、本明細書ではまとめてFIMまたはFIM2/3として参照される)がさらに1つ以上存在する[Edwards,In:Vaccines,Plotkin,2008.467−517]。
【0006】
国際公開第96/34883号パンフレットには、1〜10μg/ヒト用量の量のFIMが記載され、aPワクチンで10および5μg/ヒト用量の用量が例示されているが、実際には5μg/ヒト用量の用量のみが試験され、試験ワクチンが有効であるとみなされたにすぎない。
【0007】
aP5ワクチン(5つの成分PT、FHA、PRN、FIM2/3を有する無細胞百日咳ワクチンであり、DTaP5は、破傷風トキソイドおよびジフテリアトキソイドをさらに含むaP5ワクチンである)は、現在入手しうる最も有効なaPワクチンであると一般に考えられている。市販の登録aP5ワクチン中に存在するaP成分の個々の量は、(マイクログラム/ヒト用量単位で)PTが2.5〜20、FHAが5〜20、PRNが3、かつFIMが5である。
【0008】
1990年代中期に欧州で行われた無細胞百日咳ワクチン有効性試験のいくつかでは、個々のaPワクチン成分に対して防御の免疫相関因子を決定する努力がなされた。スウェーデンにおけるDTaP5(PT+FHA+PRN+FIM2/3)試験のデータを用いて、臨床的防御と、PRN、FIM2、およびPTに対するIgG抗体の暴露前の血清中の存在と、の間で統計的に有意な相関が実証されたが、FHAに対する相関は実証されなかった[Storsaeter,Vaccine 1998,16:1907−1916]。FIM3は、DTaP5内の非防御成分であると思われる[Poolman,Expert Reviews Vaccines 2007,6:47−56]。
【0009】
独国におけるワクチン試験で被験体から捕集された血清により、防御と相関するPT、FHA、PRN、およびFIM2に対する抗体の特異的レベルの推定が可能であったが、PRNおよびPTに対する抗体のみが、防御と有意に相関付けられたにすぎなかった[Stehr,1998,Pediatrics 101:1−11、Cherry,1998,Vaccine 16:1901−1906]。それに加えて、前臨床研究から、ネズミ鼻腔内感染モデルにおいてPRNの添加がPTとFHAとを含有するワクチンにより付与される防護レベルを向上させること[Guiso,1999,Vaccine 17:2366−2376;DeNoel,2005,Vaccine 23:5333−5341]、およびPRNに対する抗体がB.ペルツッシス(B.pertussis)のオプソニン食作用にきわめて重要であること[Hellwig,2003,JID 188:738−742]が示されている。まとめると、これらのデータから、PTおよびPRNは、現在の無細胞百日咳ワクチン中の主要な防御抗原であることが示唆される。
【0010】
プロスペクティブaPワクチン有効性試験の一部として、参加者から得られた逐次血清サンプルで、PT、FHA、PRN、およびFIM2/3に対する防御IgGを18ヶ月間にわたり測定した。18ヶ月間にわたり、PTに対するIgGの減衰パーセントが最も高く(幾何平均IgG力価の73%の低減)、PRN、FHA、およびFIMに対する抗体の低減パーセントよりも有意に高かった。これとは対照的に、PRNに対するIgG抗体は、最も低い減衰率を有していた(幾何平均IgG力価の56%の低減)[Le,2004,JID,190:535−544]。
【0011】
1)PTおよびPRNが、aPワクチン中の主要な防御抗原であり、かつ2)PTに対する抗体が、PRNに対する抗体よりも有意に高い減衰率を有するという2つの観測結果を組み合わせると、抗PRN抗体が、B.ペルツッシス(B.pertussis)感染に対するaP媒介長期防護を提供するうえできわめて重要であることが浮き彫りになる。
【0012】
しかしながら、世界中で、たとえば、フランス、日本、オランダ、米国、フィンランド、ノルウェー、およびスウェーデンで、PRNを発現しないB.ペルツッシス(B.pertussis)株の出現が、過去数年間観測されてきた[Bouchez,2009,Vaccine 27:6034−41、Hegerle,2012,Clin.Microbiol.Infect.18:E340−346、Otsuka,2012,PloS One 7:e31985、Advani,2013,J.Clin.Micro 51:422−428]。米国における最近の研究から、2011年〜2012年の間にPhiladelphiaで入院した子供の検体から培養されたB.ペルツッシス(B.pertussis)の12個の単離株のうち11個は、実際にPRN陰性であることが示された[Queenan,2013,N Engl J Med.368:583−4]。この株の順応が主にワクチン駆動であるかは、現在のところ、分かっていない。これらのPRN陰性株は、とくに抗PT力価が低下した場合、ワクチン誘導免疫を回避でき、このことが、B.ペルツッシス(B.pertussis)疾患の増加が観測されたことに寄与してきた可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、現在許可されている市販のaPワクチンは、とくに新たに出現するPRN陰性株に対して、有効性が不十分であると思われる。とくにそのようなPRN陰性B.ペルツッシス(B.pertussis)株に対して、改善された有効性を有するさらなるaPワクチンの必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、驚くべきことに、高用量のFIM2/3を含むaPワクチンが、PRN陰性B.ペルツッシス(B.pertussis)株に対する有意に改善された防護を示すことを見いだした。本発明は、B.ペルツッシス(B.pertussis)抗原の、百日咳トキソイド(PT)と、線維状ヘマグルチニン(FHA)と、2型および3型の線毛(FIM)と、任意選択でペルタクチン(PRN)と、を含む無細胞百日咳(aP)ワクチン組成物を提供する。ここで、FIMは、12〜100μg/ヒト用量の量で存在する。
【0015】
特定の実施形態では、FIMは、15〜80、15〜60、20〜60、もしくは12〜50、15〜50、20〜50、20〜30、20〜25、もしくは12〜30、もしくは12〜25、または約13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、もしくは25μg/ヒト用量の量で存在する。
【0016】
好ましい実施形態では、本発明に係るaPワクチンは、ペルタクチン(PRN)を含む。
【0017】
特定の実施形態では、PTは、遺伝学的に解毒される。
【0018】
特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、B.ペルツッシス(B.pertussis)以外の1種以上の病原体由来の抗原をさらに含む。
【0019】
特定の実施形態では、組成物は、a)破傷風トキソイド、b)ジフテリアトキソイド、c)b型ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)(Hib)オリゴ糖または多糖コンジュゲート、d)B型肝炎ウイルス表面抗原(HBSAg)、およびe)不活性化ポリオウイルス(IPV)の1つ以上を含む。特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、本発明に係る無細胞百日咳ワクチン組成物と、破傷風トキソイドと、ジフテリアトキソイドと、を含む。
【0020】
特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、アジュバントをさらに含む。特定の実施形態では、アジュバントは、アルミニウム塩、たとえば、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、またはリン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムの両方を含む。
【0021】
本発明はまた、本発明に係る組成物を被験体に投与することを含む、被験体においてB.ペルツッシス(B.pertussis)に対する免疫反応を誘導するかまたは被験体にB.ペルツッシス(B.pertussis)に対するワクチンを接種する方法を提供する。
【0022】
本発明はまた、本発明に係る組成物を被験体に投与することを含む、B.ペルツッシス(B.pertussis)のPRN陰性株の感染により引き起こされる百日咳から被験体を防御する方法を提供する。
【0023】
本発明はまた、組成物を被験体に投与することにより、被験体においてB.ペルツッシス(B.pertussis)に対する免疫反応を誘導するのにまたは被験体にB.ペルツッシス(B.pertussis)に対するワクチンを接種するのに、使用するための、本発明に係る組成物を提供する。本発明はまた、組成物を被験体に投与することにより、被験体においてB.ペルツッシス(B.pertussis)に対する免疫反応を誘導するためのまたは被験体にB.ペルツッシス(B.pertussis)に対するワクチンを接種するための、医薬を調製するための、本発明に係る組成物を提供する。特定の実施形態では、免疫反応が望まれるB.ペルツッシス(B.pertussis)は、PRN陰性株を含む。
【0024】
本発明はまた、次のボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)抗原、すなわち、百日咳トキソイド(PT)と、線維状ヘマグルチニン(FHA)と、2型および3型の線毛(FIM)と、任意選択でペルタクチン(PRN)と、を被験体に投与することを含む、ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)、任意選択で、ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)のPRN陰性株に対するワクチンをヒト被験体に接種する方法を提供する。ここで、FIMは、12〜100μgの量で投与される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】DTaP5ワクチン(aP5)またはaP5+FIMを接種したマウスにおける鼻腔内チャレンジ後の0、2、5、および8日目のB.ペルツッシス(B.pertussis)の平均log10CFU/肺。マウスに4および7週齢でワクチンを接種し、9週間でB.ペルツッシス(B.pertussis)の次の異なる株を鼻腔内にチャレンジした。WHO18323(図1A)、臨床PRN陰性単離株PRN−STOP(図1B)、および臨床PRN陰性単離株PRN−IS(図1C)。p<0.05(ウィルコクソン正確検定を用いてaP5およびaP5+FIMのワクチン接種後の各特定の時点の平均log10CFUカウント数を比較する)。p<0.01(共分散分析を用いてaP5およびaP5+FIMのワクチン接種後の0日目〜8日目のlog10CFU反応−時間プロファイルを比較する)。
【図2】4および7週齢で漸増量のFIMが添加されたaP2ワクチンを1/10ヒト用量で接種した9週間後にPRN陰性B.ペルツッシス(B.pertussis)株I195をチャレンジしたマウスの肺の平均log10CFUカウント数。詳細については実施例2を参照されたい。
【図3】4および7週齢で5μgのFIMが添加されたまたは添加されていないaP5ワクチンを1/10ヒト用量で接種した9週間後にB.ペルツッシス(B.pertussis)の4つの株をチャレンジしてから5日後のマウスの肺の平均log10CFUカウント数。詳細については実施例3を参照されたい。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、解毒されたボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)病原性因子、特定的には、百日咳トキソイド(PT)と、線維状ヘマグルチニン(FHA)と、2型および3型の線毛(FIM)と、任意選択でペルタクチン(PRN)と、を含む組成物に関する。ここで、FIMは、12〜100μg/ヒト用量の量で存在する。そのような組成物は、無細胞百日咳(aP)ワクチンとして使用可能であり、驚くべきことに、本明細書では現在入手可能なクラス最高のaP5ワクチンよりも有効であることが実証される。
【0027】
特定的には、FIMの用量をこの成分に対してこれまでに記載された推奨投与量と比較して増加させると、市販のaP5ワクチンおよび他の市販のaPワクチンと比較して、B.ペルツッシス(B.pertussis)の新たに出現するPRN陰性株に対するワクチンの有効性が改善される。これは、きわめて驚くべきことである。なぜなら、先行技術では、FIM/ヒト用量の量を推奨の5μgよりも増加させるという提案はなんらなされておらず、しかも、当技術分野では、この成分の量を増加させても有効性は改善されないという提案が実際になされているからである。
【0028】
ワクチン中のFIMの投与量を増加させる効果は、たとえば、ヒトモデルおよび動物モデルで研究されてきた。17〜19ヶ月齢の乳児では、10μgのPT、5μgのFHA、3μgのPRN、および5μgのFIM2/3を含むかまたはこれらの抗原すべてを2倍量で含むかのいずれかの2つの5成分aPワクチン間で、免疫化後の有害反応の頻度、抗体力価、または平均力価増加倍率に差は存在しないことが示された(Halperin,Arch Pedi Adol Med 1994,148:1220−1224)。
【0029】
動物モデルでは、異なる量のFIMを含有する3種類の百日咳ワクチンをマウスに接種した時、体重、脾臓重量、末梢白血球数、および肺からのB.ペルツッシス(B.pertussis)のクリアランスに差は存在しないことが判明した(Morokuma,Devel Biol Stand 1991,73:223−232)。
【0030】
他の研究から、高用量(20μg)または低用量(4μg)のいずれかの組換えFIM2またはFIM3を摂取したマウス間でIgG抗体レベルに差は存在しないことが示された。鼻腔内チャレンジの7日後、対照マウス、FIM2のワクチンが接種されたマウス、またはFIM3のワクチンが接種されたマウスの肺の細菌負荷量に差は存在しなかった(Xu,BMC Microbiology 2009,9:274−281)。
【0031】
したがって、マウス鼻咽頭チャレンジモデルで高用量のFIMを用いるとワクチン接種の有効性が増加するという本発明者らの知見は、きわめて驚くべきことである。
【0032】
このように、先行技術では、aPワクチン中のFIMの量を通常量よりも増加させると、新たに出現するPRN陰性突然変異株に対する有効性が改善されるという示唆も提案もなされていない。
【0033】
本明細書で用いられる「ヒト用量」(ときには「単回ヒト用量」として参照される)とは、単回投与でヒトに投与されるワクチンの量を意味する。典型的には、この量は、0.1〜2ml、たとえば、0.2〜1ml、典型的には0.5mlの量で存在する。したがって、指示量は、たとえば、マイクログラム/0.5mlバルクワクチン単位の濃度で存在する。したがって、特定の実施形態では、(単回)ヒト用量は、0.5mlに等しい。
【0034】
市販されているまたは市販されていたいくつかのaPワクチンの成分は、“Vaccines.第5版S.Plotkin,W.Orenstein,P.Offit,2008,第21章第2節”Pertussis vaccines”,K.M.Edwards&M.D.Decker.p.467−517の表21−3および21−4(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。本発明に係るaPワクチン組成物は、PTとFHAとFIM2/3と好ましくはPRNとを含む。これらの成分は、種々の市販のaPワクチン中の標準的成分であり、さまざまな製造業者から入手可能であり(たとえば、Vaccines,Plotkin 2008の第21章の表21−3を参照されたい)、たとえば、List Biological Laboratories,Inc(Campbell,California)から市販されている。本発明に係る組成物は、百日咳トキソイド(PT)としても知られる解毒された百日咳毒素を含む。PTは、化学的または遺伝学的に解毒可能である。化学的解毒は、たとえば、さまざまな従来の化学的解毒方法のいずれか、たとえば、ホルムアルデヒド、過酸化水素、テトラニトロメタン、またはグルタルアルデヒドによる処理により、行われる。たとえば、解毒は、国際公開第96/34883号パンフレットの第17頁および実施例3(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように行うことが可能である。特定の好ましい実施形態では、PTは、遺伝学的に解毒される。これは、百日咳毒素の触媒サブユニットS1の酵素活性を不活性化するように百日咳毒素遺伝子に突然変異を起こすことにより行うことが可能であり、たとえば、米国特許第7,144,576号明細書、米国特許第7,666,436号明細書、および米国特許第7,427,404号明細書に記載されている。百日咳毒素を解毒するのにとくに有利な突然変異は、たとえば、米国特許第7,427,404号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に提供されている。とくに有利な実施形態は、S1サブユニット中の百日咳ホロ毒素アミノ酸配列のアミノ酸残基Glu129がGlyにより置換(E129G)され、かつArg9がLysにより置換(R9K)された百日咳毒素である(米国特許第7,427,404号明細書、Buasri,BMC Microbiology 2012,12:61)。そのような遺伝学的に解毒されたPT(E129G、R9K)はまた、適宜、このPTの産生の増強を示す遺伝子工学操作された株から単離可能である[Buasri,2012,上掲]。遺伝学的に解毒された突然変異体を使用する利点は、解毒のために危険な化学物質をまったくもしくはそれほど使用する必要がないこと、PT抗原のエピトープの保存性が改善されること、したがって、それに対する免疫反応が良くなること、および/またはより少量の抗原をワクチンで使用可能であることである。他の実施形態では、PTは、化学的に解毒される。化学的または遺伝学的に解毒されたPTは、aPワクチンで広範に使用されている(たとえば、Vaccines,Plotkin 2008の第21章の表21−3を参照されたい)。PTは、たとえば、国際公開第96/34883号パンフレットの第16頁および実施例2(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように取得および精製が可能である。PTはまた、たとえば、米国特許第5085862号明細書、国際公開第96/34623号パンフレット、米国特許第4705868号明細書、欧州特許第0336736号明細書、国際公開第9115505号パンフレット、欧州特許第0306318号明細書、欧州特許第0322533号明細書、欧州特許第0396964号明細書、欧州特許第0275689号明細書、国際公開第91/12020号パンフレット、欧州特許第0427462号明細書、国際公開第9819702号パンフレット、および米国特許第4784589号明細書(それぞれ参照により本明細書に組み込まれる)に記載の方法を用いて、取得可能である。
【0035】
化学的または遺伝学的に解毒されたPTは、種々の供給業者から入手可能である。特定の実施形態では、本発明に係るワクチン中のPTの量は、2〜50μg、5〜40μg、10〜30μg、または20〜25μg/ヒト用量(典型的には0.5ml)である。
【0036】
特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、B.ペルツッシス(B.pertussis)の69kDの外膜タンパク質であるペルタクチン(PRN)(したがって、ときには69K抗原として参照される)を含む。PRNは、たとえば、国際公開第96/34883号パンフレットの第18〜19頁および実施例2(参照により本明細書に組み込まれる)に記載のように取得および精製が可能である。また、たとえば、欧州特許第0162639号明細書、欧州特許第0484621号明細書、米国特許第6444211号明細書、米国特許第5276142号明細書、米国特許第5101014号明細書、欧州特許第0336736号明細書、国際公開第96/34623号パンフレット、国際公開第90/16651号パンフレット、および国際公開第90/56076号パンフレット(いずれも参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように取得することも可能である。PRNはまた、たとえば、[Buasri,2012,上掲]に記載されるように、適宜、高レベルのPRNを発現するように遺伝子工学操作されたB.ペルツッシス(B.pertussis)株から単離することも可能である。
【0037】
特定の実施形態では、本発明に係るワクチン中のPRNの量は、0.5〜100μg、1〜50μg、2〜20μg、3〜30μg、5〜20μg、または6〜10μg/ヒト用量(典型的には0.5ml)である[たとえば、欧州特許第0928198号明細書を参照されたい]。
【0038】
本発明に係る組成物は、気道の宿主腺毛上皮細胞へのB.ペルツッシス(B.pertussis)の接着に重要なB.ペルツッシス(B.pertussis)の主要な230kDaアドヘシンでありかつ市販の多価aPワクチンの確立された成分である、線維状ヘマグルチニン(FHA)を含む。FHAは、たとえば、国際公開第96/34883号パンフレットの第17〜18頁および実施例2(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように取得および精製が可能である。FHAはまた、たとえば、国際公開第9013313号パンフレット、欧州特許第0484621号明細書、国際公開第9634623号パンフレット、欧州特許第0336736号明細書、国際公開第9115505号パンフレット、米国特許第4784589号明細書、および国際公開第9004641号パンフレット(いずれも参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように取得可能である。
【0039】
特定の実施形態では、本発明に係るワクチン中のFHAの量は、2〜50μg、5〜40μg、10〜30μg、または20〜25μg/ヒト用量(典型的には0.5ml)である。
【0040】
本発明に係る組成物は、線毛2および3または凝集原2および3またはAgg2および3としても参照される線毛凝集原2および3を含む(本明細書では、混合物としてのFIM2とFIM3との組合せである、FIM2およびFIM3としてまたは「FIM」もしくは「FIM2/3」として参照される)。典型的には、本発明に係る組成物では、FIM2対FIM3の重量比は、約1:3〜約3:1、たとえば、約1:1〜約3:1、たとえば、約1.5:1〜約2:1である。FIMの調製は、国際公開第96/34883号パンフレットの第12〜13頁および実施例2(参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載されている。FIMはまた、たとえば、国際公開第9634623号パンフレット、米国特許第4784589号明細書、米国特許第6475754号明細書、欧州特許第0555894号明細書、国際公開第9858668号パンフレット、および国際公開第0207764号パンフレット(いずれも参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように取得可能である。
【0041】
本発明に係るワクチン中のFIMの量は、12〜100μg/ヒト用量(典型的には0.5ml)である。特定の実施形態では、この量は、12〜50μgまたは12〜30μg/ヒト用量(典型的には0.5ml)である。本発明の好ましい実施形態では、FIMの量は、少なくとも15μg/ヒト用量(典型的には0.5ml)である。特定の実施形態では、この量は、15〜100μg、15〜80μg、15〜60μg、15〜50μg、15〜30μg、または15〜25μg/ヒト用量(典型的には0.5ml)である。本発明の好ましい実施形態では、FIMの量は、少なくとも20μg/ヒト用量(典型的には0.5ml)である。特定の実施形態では、この量は、20〜100μg、20〜80μg、20〜60μg、20〜50μg、20〜30μg、20〜25μg、または25〜50μg/ヒト用量(典型的には0.5ml)である。
【0042】
FIMは、B.ペルツッシス(B.pertussis)から単離可能であるか、または組換え産生可能であるか、または、たとえば、List Biological Laboratories,Inc(Campbell,California;http://www.listlabs.com,オンラインカタログの製品番号186)から市販品として入手可能である。
【0043】
特定の好ましい実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、ヒト用量あたり(または0.5mlバルクワクチンあたり)、10〜25μgのPTと、10〜25μgのFHAと、3〜8μgのPRNと、12〜50μgのFIMと、を含む。特定の好ましい実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、ヒト用量あたり(または0.5mlバルクワクチンあたり)、20〜25μgのPTと、20〜25μgのFHAと、3〜8μgのPRNと、12〜50μgのFIMと、を含む。特定の好ましい実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、ヒト用量あたり(または0.5mlバルクワクチンあたり)、20〜25μgのPTと、20〜25μgのFHAと、3〜8μgのPRNと、12〜25μgのFIMと、を含む。特定の実施形態では、本発明は、ヒト用量あたり(または0.5mlバルクワクチンあたり)、約20μgのPTと、約20μgのFHAと、約3μgのPRNと、約15〜20μgのFIMと、を含むワクチンを提供する。
【0044】
本発明に係るワクチンを調製する単純な一方法は、市販のaP5ワクチンに市販のFIMを添加することである。本発明に係るワクチンはまた、PTとFHAとを含むがFIMを含まない市販のaPワクチン(aP2)、またはPTとFHAとPRNとを含むがFIMを含まない市販のaPワクチン(aP3)に、FIMを添加することにより、単純に調製可能である。特定の実施形態では、所望により、最初に、アジュバント、たとえば、水酸化アルミニウムおよび/またはリン酸アルミニウムに、FIMを吸着させ、その後、他方成分に添加しうる。他の実施形態では、FIMは、アジュバント化への事前の吸着を行うことなく他の成分に添加される。
【0045】
本開示で用いられる数値に対する「約」という用語は、その値±10%を意味する。
【0046】
本発明に係る組成物は、特定の実施形態では、たとえば、組合せワクチンを取得すべく非百日咳タンパク質成分をも含みうる[Decker,M.D.,Edwards,K.M.&Bogaerts,H.H.Combination vaccines.In Vaccines(Plotkin,S.,Orenstein,W.A.&Offit,P.A.編)Elsevier Health Sciences,2008.1069−1101]。したがって、特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、B.ペルツッシス(B.pertussis)以外の1種以上の病原体から得られる抗原をさらに含みうる。特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、次のもの、すなわち、破傷風トキソイド(TT)、ジフテリアトキソイド(DT)、b型ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)オリゴ糖または多糖コンジュゲート(Hib)、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)、不活性化ポリオウイルス(IPV)の1つ以上を含む。
【0047】
そのような非百日咳成分を有するaPの組合せワクチンは、公知であり、広範に使用されている。組合せワクチンの調製は、たとえば、国際公開第2010/046935号パンフレット、米国特許第6013264号明細書、国際公開第2007/054820号パンフレット、国際公開第98/000167号パンフレット、および欧州特許第1946769号明細書(すべて参照により組み込まれる)に記載されている。
【0048】
特定の実施形態では、本発明に係るaP5(またはaP4:PT、FHA、FIM2/3)は、DTおよびTTをさらに含む組成物で存在し、したがって、本発明に係るDTaP5(またはDTaP4)ワクチンを提供する。DTaP5ワクチンは、ジフテリア、破傷風、および百日咳を予防するために広範に使用されている。本発明に係るワクチンは、以前に記載のDTaP5ワクチンよりも多量のFIMを有し、従来のDTaP5ワクチンよりもPRN陰性B.ペルツッシス(B.pertussis)株に対して有効である。
【0049】
DTの単離、精製、および解毒を行う一方法は、国際公開第96/34883号パンフレットの第33〜34頁(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。DTはまた、たとえば、米国特許第4709017号明細書、米国特許第5843711号明細書、米国特許第5601827号明細書、米国特許第5917017号明細書、および国際公開第96/34623号パンフレット(すべて参照により組み込まれる)に記載されるように取得可能である。
【0050】
TTの単離、精製、および解毒を行う一方法は、国際公開第96/34883号パンフレットの第34〜36頁(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。TTはまた、たとえば、欧州特許第0209281号明細書、欧州特許第0478602号明細書、および国際公開第96/34623号パンフレット(すべて参照により組み込まれる)に記載されるように取得可能である。
【0051】
Hibオリゴ糖または多糖コンジュゲートは、たとえば、国際公開第2007/054820号パンフレット、国際公開第2004/110480号パンフレット、米国特許第6333036号明細書、国際公開第2010/046935号パンフレット、米国特許第4372945号明細書、米国特許第4474757号明細書、国際公開第95/08348号パンフレット、国際公開第2010/046935号パンフレット、米国特許第4673574号明細書、欧州特許第0161188号明細書、欧州特許第0208375号明細書、および欧州特許第0477508号明細書(すべて参照により組み込まれる)に記載されるように取得可能である。Hib抗原は、たとえば、Hibの莢膜多糖、またはこの多糖もしくはその誘導オリゴ糖と、担体タンパク質、たとえば、DT、TT、もしくはCRM197(コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)C7(b197)から単離されたジフテリア毒素の非毒性変異体)と、のコンジュゲートでありうる。
【0052】
HBsAgは、たとえば、欧州特許第0226846号明細書、欧州特許第0299108号明細書、米国特許第6013264号明細書、国際公開第2007/054820号パンフレット、国際公開第2010/046935号パンフレット、および国際公開第9324148号パンフレット(すべて参照により組み込まれる)に記載されるように取得可能である。
【0053】
IPVは、1つのタイプのポリオウイルス(1型、2型、もしくは3型)を含有する1価、(2つのタイプのポリオウイルス、たとえば、1型と2型、1型と3型、または2型と3型を含有する)2価、または(3つのタイプのポリオウイルス、すなわち、1型と2型と3型を含有する)3価でありうる。好ましくは、本発明に係るIPVは、不活性化ポリオウイルスの1型、2型、および3型を含有する。IPVは、たとえば、米国特許第4525349号明細書および国際公開第2011/006823号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように取得可能である。
【0054】
これらの非百日咳成分は、種々の製造業者から入手可能である。例は、[“Vaccines.”第5版S.Plotkin,W.Orenstein,P.Offit,2008,第38章第2節(“Combination vaccines”,M.D.Decker,K.M.Edwards,H.H.Bogaerts,p1069−1101)]に記載されている。
【0055】
特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、以上に記載の実施形態のいずれか1つに記載の百日咳成分を含む組成物(aP5またはaP4ワクチン)(すなわち、12〜100μgのFIM/ヒト用量と、PTと、FHAと、任意選択でPRNと、を含み、これ以降では、「本発明に係るaP」または簡潔さを期して「aP5」として参照される)と、DTと、を含む。
【0056】
特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、本発明に係るaPとTTとを含む。
【0057】
特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、本発明に係るaPとIPVとを含む(本明細書では「aP5−IPV」として参照される)。
【0058】
特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、本発明に係るaPとDTとTTとを含む(本明細書では「DTaP5」として参照される)。
【0059】
特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、本発明に係るaPとDTとTTとHibとを含む(本明細書では「DTaP5−Hibとして参照される)。
【0060】
特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、本発明に係るaPとDTとTTとIPVとを含む(本明細書では「DTaP5−IPV」として参照される)。
【0061】
特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、本発明に係るaPとDTとTTとHBSAgとを含む(本明細書では「DTaP5−HepB」として参照される)。
【0062】
特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、本発明に係るaPとDTとTTとHibとHBSAgとを含む(本明細書では「DTaP5−Hib−HepB」として参照される)。
【0063】
特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、本発明に係るaPとDTとTTとHibとIPVとを含む(本明細書では「DTaP5−Hib−IPV」として参照される)。
【0064】
特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、本発明に係るaPとDTとTTとHBSAgとIPVとを含む(本明細書では「DTaP5−HepB−IPV」として参照される)。
【0065】
特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、本発明に係るaPとDTとTTとHibとHBSAgとIPVを含む(本明細書では「DTaP5−Hib−HepB−IPV」として参照される)。
【0066】
任意選択で、さらなる非百日咳成分、たとえば、髄膜炎菌および/または肺炎球菌に由来する抗原など、組合せワクチンでaPと組み合わされることのある成分を添加しうる。
【0067】
組合せワクチンでは、非百日咳成分の量は、さまざまでありうる。一般的には、個別ワクチンまたは組合せワクチンに典型的に存在するこれらの成分の量を本発明に従って使用することが可能である。たとえば、種々の成分および組合せワクチンについては、“Vaccines.”第5版S.Plotkin,W.Orenstein,P.Offit,2008,第2節を参照されたい。とくに、第38章には、aPワクチンと上述した成分とを含む組合せワクチンが記載されており[Decker,pp1069−1101]、第10章には、DTが記載されており[Vitek,pp139−156]、第31章には、TTが記載されており[Wassilak,pp805−840]、第25章には、IPVワクチンが記載されており[Plotkin,pp605−630]、第11章には、Hibワクチンが記載されており[Chandran,pp157−176]、そして第13章には、B型肝炎ワクチンが記載されている(HBsAgに基づく)[Mast,pp205−242](すべて参照により組み込まれる)。用量あたりの抗原の好適量の例(DTおよびTTの量をIU単位またはLf単位(凝集単位)で表すこともまた、一般的であるが(たとえば、[Decker,In:Vaccines,pp1069−1101,上掲]を参照されたい)、ここでは、マイクログラムで表す)は、たとえば、1〜100μg、たとえば、2〜40μg、たとえば、6〜25μg、たとえば、15〜25μgのDT、1〜50μg、たとえば、2〜20μg、たとえば、5〜10μgのTT、1〜100μg、たとえば、3〜40μgのHBsAgタンパク質/ミリリットル、0.1〜100μg、たとえば、0.2〜50μg、たとえば、1〜25μg、たとえば、2〜10μgの、担体タンパク質にコンジュゲートされた形態のHib莢膜多糖またはそのオリゴ糖であろう。ただし、これらに限定されるものではない。野生型由来IPV含有産物(wt−IPV)は、一般的には、1型、2型、および3型のポリオウイルスに対して、それぞれ、40−8−32D抗原単位/用量を含有するように製剤化される。しかしながら、これらの量もまた、変化させることが可能であり、たとえば、1型のIPVに対して10〜20D抗原単位などのより少ない量を使用することが可能であり、2型および3型のIPVに対しても、量を変化させることが可能である(たとえば、欧州特許第2066344号明細書を参照されたい)。
【0068】
また、意図される使用に従って、量を変化させることが可能であり、たとえば、特定の実施形態では、ブースターワクチンは、プライムワクチンよりも少ない単位の特定の成分を含有しうる。本発明に係る組成物中のタンパク質成分は、適格被験体への投与時に免疫反応を誘導することが意図される。タンパク質またはその突然変異体、たとえば、トキソイドが本明細書で参照される場合、常に、タンパク質の一部もまた使用可能であり、免疫反応の誘導に関して等価な性質またはいくつかの場合には好ましい性質を有しうることは、当業者には明らかであろう。さらに、タンパク質は、(追加の)突然変異、たとえば、欠失、挿入、置換などを含有しうる。したがって、指示タンパク質成分の免疫原性フラグメントおよび変異体は、本明細書の指示タンパク質の意味に含まれる。
【0069】
本発明に係る組成物は、適格被験体への投与時に組成物中の1つ以上の成分に対する免疫反応を発生する無細胞百日咳ワクチンとしてまたは組合せワクチンの成分として、使用可能である。免疫反応は、細胞性反応および/または体液性反応を含みうる。そのような免疫反応は、好ましくは、病原体の感染に対してもしくは疾患に対して防御を行うか、またはそれぞれの成分が由来する病原体により引き起こされる症状の重症度を少なくとも低減する(すなわち、いずれの場合も、好ましくは、B.ペルツッシス(B.pertussis)に対して、好ましくは、そのPRN陰性突然変異株に対しても)。したがって、本発明に係る組成物は、好適には、ワクチンとして参照可能である。ワクチンの用量とは、被験体への単回投与で投与される量のことである。被験体は、好適には、動物またはヒトでありうる。また、特定の好ましい実施形態では、被験体は、ヒトである。多くのワクチンは、好適には、実際には好ましくは、個体においてブースト効果を得るのに十分な時間間隔で、たとえば、少なくとも4週間、数年間、約20年間までの投与間の間隔で、同一個体に2回以上投与される。ナイーブ乳児に対しては、通常、複数回の免疫が施される。本発明に係る組成物はまた、2回以上投与されうる。たとえば、一実施形態では、少なくとも4週間の間隔で、たとえば、1ヶ月間または2ヶ月間の各投与間の間隔で、2回、3回、またはそれ以上の回数で、投与されうるが、これに限定されるものではない。一例は、EPIスケジュールに基づく6週齢、10週齢、および14週齢での投与であるが、これに限定されるものではないである。他のレジメンは、2ヶ月齢、4ヶ月齢、6ヶ月齢であろう。特定の実施形態では、ブースターワクチン接種は、10〜20年後、たとえば、青年期に、施される。さらに、10年ごとのブースターワクチン接種が施されうる。特定の実施形態では、本発明に係るaPは、生後1年目に2回または3回投与され、生後2年目にさらなるブーストが投与され、4〜5歳でさらなるブースターが投与され、その後、約12歳で青年期ブーストが投与される。また、Td(青年に施されるTT−DT含有ワクチン)ブースター推奨基準に従いうる。すなわち、10年間ごと行い、無細胞百日咳成分が本発明に係るaPであるTdapでTdを置き換えうる。しかしながら、異なる国家当局による市販のaPワクチンの免疫スケジュール(レジメン)が多種多様であることから明らかなように、好適には、本発明に係るaPワクチンのワクチン接種スキームを変化させうることは、当業者には明らかであろう(たとえば、表21−5,“Vaccines.”第5版.S.Plotkin,W.Orenstein,P.Offit,2008,第21章第2節“Pertussis vaccines”,K.M.Edwards&M.D.Decker.p.467−517)。
【0070】
本発明に係る組成物はまた、他のワクチンによりすでにワクチン接種された集団に対するブースターワクチンとしても、好適に使用されうる。他のワクチンは、本発明に係るワクチンとは異なる組成のwPもしくはaPワクチン、または本発明に係るワクチンとは異なる組成のwPもしくはaPを含む組合せワクチンである。そのようなブースターは、たとえば、10年間を超えてB.ペルツッシス(B.pertussis)に対するワクチンが接種されていない成人または高齢者のワクチン接種にも使用されうる。そのようなブースターワクチン接種を、たとえば、5年ごと、10年ごと、または15年ごとに約1回繰り返すことが有用でありうる。また、以前のTdap履歴に関係なく、妊娠するたびに妊婦に破傷風トキソイド、弱毒化ジフテリアトキソイド、および無細胞百日咳ワクチン(Tdap)を投与することが推奨されてきた。特定の実施形態では、本発明に係るaPは、たとえば、aPとしてまたはTdapとして、乳児、子供、青年、成人、高齢者、または妊婦に投与される。
【0071】
本発明に係る組成物は、医薬組成物である。そのような組成物は、本発明に係る組成物と、典型的には薬学的に許容可能な担体または賦形剤と、を含む。本発明との関連では、「薬学的に許容可能」という用語は、担体または賦形剤が、利用した投与量および濃度で、投与された被験体において望ましくない影響や有害な影響を引き起こさないことを意味する。そのような薬学的に許容可能な担体および賦形剤は、当技術分野で周知である[Remington.The Science and Practise of Pharmacy,Mack Publishing Company 1990、Frokjaer,S.&Hovgaard,L.Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins,2000、Handbook of Pharmaceutical Excipients,Pharmaceutical Press 2000]。組成物は、好ましくは、無菌溶液として製剤化され投与される。無菌溶液は、無菌濾過によりまたは当技術分野でそれ自体公知の他の方法により、調製される。次いで、その溶液を凍結乾燥可能であるか、または医薬投与容器中に充填可能である。溶液のpHは、一般的には、pH3.0〜9.5、たとえば、pH5.0〜7.5の範囲内である。組成物の成分は、典型的には、好適な薬学的に許容可能な緩衝剤を有する溶液中に存在し、溶液はまた、塩を含有しうる。特定の実施形態では、界面活性剤が存在する。特定の実施形態では、ワクチンは、注射用製剤の形態に製剤化されうる。これらの製剤は、有効量のタンパク質成分を含有し、無菌の液体溶液、液体懸濁液、または凍結乾燥物のいずれかであり、任意選択で、安定化剤または賦形剤を含有する。aPワクチンまたは組合せワクチンの貯蔵および医薬投与に好適な製剤のいくつかの例は、公知である(たとえば、[”Vaccines.”第5版.S.Plotkin,et al,上掲]の表21−3および21−4)。好適な希釈剤の例は、PBSまたは生理食塩水である。任意選択で、保存剤、たとえば、フェノキシエタノール、チメロサール、またはパラベンが存在しうる。保存剤が存在する場合、好ましくは、低レベルで存在する。組合せワクチンがIPVを含む場合、チメロサールの使用は、好ましくは、回避される。なぜなら、チメロサールは、IPV成分の効力の喪失を引き起こすおそれがあるからである(たとえば、Sawyer LA,1994,Vaccine 12:851−856、欧州特許第2066344号明細書を参照されたい)。任意選択で微量成分として存在しうるさらなる成分は、ポリソルベート−80、ゼラチン、および化学的トキソイド化のレムナント(たとえば、PTが化学的トキソイド化される場合)、たとえば、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒドである。
【0072】
好ましくは、本発明に係るワクチンは、2〜8℃で貯蔵される。
【0073】
特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、1種以上のアジュバントをさらに含む。適用される抗原決定基に対する免疫反応をさらに増加させるアジュバントは、当技術分野で公知である(たとえば、アジュバントに関するレビューについては、Montomoli,2011,Expert Rev Vaccines 10:1053−1061を参照されたい)。好適なアジュバントの例としては、アルミニウム塩、たとえば、水酸化アルミニウムおよび/またはリン酸アルミニウム、油エマルジョン組成物(または水中油型組成物)、たとえば、スクアレン−水エマルジョンを含めて、MF59など(たとえば、国際公開第90/14837号パンフレットを参照されたい)、サポニン配合物、たとえば、QS21および免疫刺激複合体(ISCOMS)など(たとえば、米国特許第5,057,540号明細書、国際公開第90/03184号パンフレット、国際公開第96/11711号パンフレット、国際公開第2004/004762号パンフレット、国際公開第2005/002620号パンフレットを参照されたい)、トール様レセプター(TLR)アゴニスト、たとえば、TLR7アゴニスト(たとえば、国際公開第2012/117377号パンフレット、第15〜18頁などを参照されたい)、たとえば、TLRアゴニストが吸着されうる水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩との組合せ、細菌または微生物の誘導体、たとえば、モノホスホリルリピドA(MPL)、3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)、CpGモチーフ含有オリゴヌクレオチド、ADPリボシル化細菌毒素またはその突然変異体、たとえば、E.コリ(E.coli)熱不安定性エンテロトキシンLT、コレラ毒素CTなどが挙げられる。たとえば、PTおよび破傷風トキソイドはまた、特有のアジュバント性を有する。特定の実施形態では、本発明に係る組成物は、0.05〜5mg、たとえば、0.075〜1.0mgのアルミニウム含有量/用量の濃度で、たとえば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸カリウムアルミニウム、またはそれらの組合せの形態で、アジュバントとしてアルミニウムを含む。
【0074】
他の実施形態では、本発明で使用される組成物は、さらなるアジュバントを含まない。
【0075】
好ましくは、本発明に係るワクチン組成物は、アジュバントを含む。特定の好ましい実施形態では、アジュバントは、アルミニウム塩、たとえば、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、またはそれらの組合せである。好ましくは、aP抗原の1つ以上またはすべてが、アルミニウム塩上に吸着される。他の抗原もまた、アルミニウム塩上に吸着されうる。特定の実施形態では、aP抗原の1つ以上またはすべて(PT、FHA、FIM、存在する場合PRN)が、水酸化アルミニウム上に吸着される。特定の実施形態では、aP抗原の1つ以上またはすべて(PT、FHA、FIM、存在する場合PRN)が、リン酸アルミニウム上に吸着される。aPワクチンおよびアルミニウム塩とのaP組合せワクチンの製剤は、たとえば、[Denoel,2002,Vaccine 20:2551−2555]に記載されている。典型的には、個々の成分は、アルミニウム塩上に個別に吸着され、その後、成分は、混合されてワクチン製剤を形成する。また、これにより、特定の成分が、第1のアルミニウム塩[たとえば、Al(PO)4]上に吸着され、一方、他の成分が第2のアルミニウム塩[たとえば、Al(OH)3]上に吸着されたワクチンを調製することが可能である。また、組合せワクチンの他の成分は、アルミニウム塩上に吸着されうる。たとえば、DTおよびTTは、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムまたはこれらの組合せ上に吸着されうる。DTおよびTTの成分は、aP成分と同一のまたは異なるアルミニウム塩に吸着されうる。価数を増加させた組合せワクチンのさらなる成分もまた、アルミニウム塩上に吸着されうる。たとえば、HBsAg、Hib、および/またはIPVは、アルミニウム塩上に吸着されることもあれば、吸着されないこともある。特定の好ましい実施形態では、組合せワクチンがHBsAgを含む場合、HBsAgは、リン酸アルミニウム上に吸着される(たとえば、国際公開第93/24148号パンフレットを参照されたい)。組合せワクチンにHibが含まれ、かつ特定の他の成分、たとえば、DT、TT、またはaPの1つ以上が、水酸化アルミニウム上に吸着される場合、干渉のリスク(Hib成分の有効性の低減)は、たとえば、Hibをリン酸アルミニウム上に吸着させることにより、またはアルミニウムアジュバント上に吸着されないHibを使用して、Hibを同時に(すなわち、投与直前に)添加するか、または国際公開第99/48525号パンフレットに詳細に記載されるように、水酸化アルミニウムアジュバントがあらかじめ飽和されるようにアジュバント水酸化アルミニウム上に吸着された他の成分と混合して、これを他の成分と組み合わせることにより、低減されうる。したがって、当業者であれば、本発明に係る組合せワクチンを好適に製剤化する種々の方法に気付く。
【0076】
特定の実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、PTと、FHAと、FIM2/3と、水酸化アルミニウムと、任意選択でPRNと、を含む。特定の実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、PTと、FHAと、FIM2/3と、リン酸アルミニウムと、任意選択でPRNと、を含む。特定の実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、PTと、FHAと、FIM2/3と、水酸化アルミニウムと、リン酸アルミニウムと、任意選択でPRNと、を含む。特定の実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、DTaP5と、水酸化アルミニウムと、を含む。特定の実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、DTaP5と、リン酸アルミニウムと、を含む。特定の実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、DTaP5と、水酸化アルミニウムと、リン酸アルミニウムと、を含む。特定の実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、aP5−IPVと、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムと、を含む。特定の実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、DTaP5−IPVと、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムと、を含む。特定の実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、DTaP5−Hibと、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムと、を含む。特定の実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、DTaP5−HepBと、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムと、を含む。特定の実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、DTaP5−Hib−HepBと、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムと、を含む。特定の実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、DTaP5−Hib−IPVと、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムと、を含む。特定の実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、DTaP5−HepB−IPVと、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムと、を含む。特定の実施形態では、本発明に係るワクチン組成物は、DTaP5−Hib−HepB−IPVと、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムと、を含む。
【0077】
本発明に係る組成物の投与は、標準的投与経路を用いて実施可能である。実施形態は、たとえば、真皮内、筋肉内、経皮、鼻腔内などへの注射による非経口投与を含むが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、ワクチンは、大腿または三角筋への筋肉内注射により投与される。当業者であれば、ワクチン中の抗原の少なくとも1つに対する免疫反応を誘導するために本発明に係るワクチンを投与する種々の可能性が分かる。一般的には、百日咳ワクチンの標準用量は、大腿前外側部または必要であれば三角筋の筋肉内に投与される0.5mLである。しかしながら、1回の投与時に患者に提供される組成物中の成分の量は、当業者に公知のように、変化させることが可能である。また、アジュバントは、使用する場合、送達システムに適合化させることが可能である。
【0078】
百日咳に対するワクチン接種では単一組成物を有することが好ましいが、本明細書に記載の本発明の効果はまた、aPワクチンの成分、すなわち、PT、FHA、FIM、および任意選択でPRNを12〜100μgのヒト用量で接種することにより得ることも可能であることは、当業者であれば気付くであろう。この場合、成分は、必ずしもすべてが同一の組成物中に存在しているわけではなく、たとえば、FIM(の一部)は、個別の組成物中に存在する。たとえば、市販のaPワクチン(0〜5μg/ヒト用量の用量でFIMを有する)は、12〜100μg、たとえば、15〜80μg、20〜60μg、20〜50μg、または20〜25μgのFIMの全投与用量に対する個別成分としてFIMを共投与することにより、たとえば、PT、FHA、任意選択で5μgの用量のFIM、および任意選択でPRNを含む第1のaPワクチン組成物を注射し、そして12〜100μg、たとえば、15〜80μg、20〜60μg、20〜50μg、または20〜25μgのFIMの全投与量を補完するようにFIM(の残りの部分)を含む個別の組成物を注射することにより、補完可能である。そのような実施形態では、共投与とは、個別の組成物が、1時間以内、好ましくは数分間以内の投与間隔で投与(たとえば、注射)されること、好ましくは、本質的に同時に投与されること(たとえば、共注射または逐次注射により)を意味する。他の選択肢として、1回の注射(本発明に係る組成物である組成物を用いて)で十分であるように、化合物を投与直前に混合しうる。したがって、本発明はまた、次のボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)抗原、すなわち、百日咳トキソイド(PT)と、線維状ヘマグルチニン(FHA)と、2型および3型の線毛(FIM)と、任意選択でペルタクチン(PRN)と、を被験体に投与することを含む、ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)、任意選択で、ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)のPRN陰性株に対するワクチンをヒト被験体に接種する方法を提供する。ここで、FIMは、12〜100μgの量で投与される。好ましい実施形態では、これは、本発明に係る単一組成物を投与することにより行われる。
【0079】
以下の実施例で本発明をさらに説明する。実施例は、本発明をなんら限定するものではない。それらは、本発明を明確化する役割を果たす。
【実施例】
【0080】
実施例1.aP5ワクチン中のFIMが高用量であるとPRN陰性B.ペルツッシス(B.pertussis)に対する防護が改善される
方法:
aPワクチンの臨床的有効性と相関する検証されたマウスボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)肺チャレンジモデル(Guiso,1999,Vaccine 17;2366−2376、Denoel,2005,Vaccine 23:5333−5341、Godfroid,2004,Int.J.Med.Microbiol.294;269−276)を用いて、2μgの精製FIM2/3抗原(List Biological Laboratories Inc)が添加されたまたは添加されていないヒト用量の1/4の許可された5成分無細胞百日咳ワクチン(ADACEL(商標),Sanofi Pasteur;この実施例ではさらにaP5として参照される)の有効性を試験した。各0.5mL用量のADACEL(商標)は、5Lfの破傷風トキソイド、2Lfのジフテリアトキソイド、および5つの無細胞百日咳抗原(2.5μgの解毒された百日咳毒素、5μgの線維状ヘマグルチニン、3μgのペルタクチン、および5μgの2型および3型の線毛)を含有する。簡潔に述べると、4および7週齢でFIM2/3抗原を用いてまたは用いずにヒト用量の1/4でaP5を雌Balb/cマウスの皮下に接種した。したがって、動物は、1.25μgのFIM2/3(aP5群)または3.25μgのFIM2/3(aP5+FIM群)(それぞれ、ヒトでは5μgおよび13μgに等しい)のいずれかを摂取した。9週齢で、マウスの鼻腔内に約106cfuのB.ペルツッシス(B.pertussis)WHO18323(ペルタクチン陽性株)、ペルタクチン陰性株PRN−STOP、およびペルタクチン陰性株PRN−IS[Queenan,2013,N Engl J Med.368:583−4]をチャレンジした。チャレンジの2時間後、2日後、5日後、および8日後(n=5/群)、段階希釈の肺ホモジネートをプレーティングした後、ボルデー・ジャング寒天プレート上で成長させたB.ペルツッシス(B.pertussis)コロニーをカウントすることにより、肺クリアランスを決定した。
【0081】
結果:
FIM2/3抗原が添加されたまたは添加されていないaP5ワクチンの接種後の治療反応−経時プロファイルを図1に示す。aP5またはaP5+FIMのワクチンが接種されたマウス間で5日目および8日目の平均log10CFUカウント数の統計的有意差を試験するために、ウィルコクソン正確検定を使用した。それに加えて、治療反応経時(0日目から8日目まで)プロファイルデータを共分散分析によりモデリングした(Milliken GA et al.Analysis of Covariance,カンザス州立大学(Kansas State University)統計学部(Dept of Statistics),1989.、SAS Institute Inc.,SAS/STAT User’s Guide,バージョン6,第4版,第2巻Cary,NC:SAS Institute Inc.,1989)。
【0082】
B.ペルツッシス(B.pertussis)WHO18323株(PRN陽性株、図1A)では、片側ウィルコクソン正確ノンパラメトリック検定を用いた5日目のlog10CFUカウント数の差の比較から、aP5+FIMによるワクチン接種後の平均log10CFUカウント数が、aP5単独によるワクチン接種後のものよりも有意に低いことが示された(p<0.05)。サンプル治療反応−時間プロファイルデータのモデリングでは、傾き項として日数を、二次曲率項として日数×日数を用いた共分散分析による当てはめから、0日目から8日目まで治療反応の統計的有意差は示されなかった。
【0083】
B.ペルツッシス(B.pertussis)PRN−STOP株のチャレンジ後(図1B)、片側ウィルコクソン正確ノンパラメトリック検定を用いた5日目のlog10CFUカウント数の差の比較から、aP5+FIMによるワクチン接種後の平均log10CFUカウント数が、aP5単独によるワクチン接種後のものよりも有意に低いことが示された(p<0.02)。サンプル治療反応−時間プロファイルデータのモデリングでは、共分散分析モデルによる当てはめから、0日目から8日目まで治療反応の統計的有意差は示されなかった。
【0084】
B.ペルツッシス(B.pertussis)PRN−IS株(図1C)では、片側ウィルコクソン正確ノンパラメトリック検定を用いた5日目のlog10CFUカウント数の差の比較から、ワクチン治療間で有意差は示唆されなかった。8日目、ウィルコクソン正確ノンパラメトリック検定を用いて、aP5+FIMによるワクチン接種後の平均log10CFUカウント数が、aP5単独によるワクチン接種後の平均log10CFUカウント数と比較して、低い傾向があった(P<0.08)。ウィルコクソン正確検定の漸近アナログから、8日目に顕著なワクチン差が示された(p<0.03)。サンプル治療反応−時間プロファイルデータのモデリングでは、傾き項として日数を、二次曲率項として日数×日数×trtを用いた共分散分析による当てはめから、0日目から8日目まで治療反応の差は示唆されなかった。
【0085】
治療効果の差を試験するために、0日目から8日目までの治療プロファイル間の線型対比を行ったところ、aP5+FIMによるワクチン接種後の平均log10CFUカウント数が、aP5単独によるワクチン接種後に測定されたものよりも有意に低いことが示唆された(p<0.01)。
【0086】
要約すると、これらの結果から、ヒト用量の1/4のAdacelワクチンに2μgのFIM2/3を添加すると、マウス鼻咽頭チャレンジモデルにおいて、PRN陰性B.ペルツッシス(B.pertussis)単離株に対するこのワクチンの有効性が有意に増加することが示される。この知見は、驚くべきことである。なぜなら、百日咳ワクチン中のFIMの量の増加により、その有効性が増加するという提案は、これまでなんらなされてこなかったからである。この結果は、現在出現しつつある世界中で疾患を引き起こしているPRN陰性株との関連で、とくに重要である。
【0087】
実施例2.マウスチャレンジモデルにおけるFIM添加後のワクチンの有効性の増加は用量依存的である
方法:
FIMの用量の増加がワクチンの有効性の増加と相関するか、このことから効果がFIM特異的であることが示されるかを調べるために、以上に記載の検証されたマウスボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)肺チャレンジモデルを使用した。FIM2/3(List Biological Laboratories Inc;さらにFIMとして参照される材料)の添加を行ってまたは行わずに、1/10ヒト用量の許可された2成分aPワクチン(PENTAVAC(登録商標),Sanofi Pasteur MSD;これ以降ではaP2として参照されるワクチン)を動物に接種した。各ヒト0.5mL用量のPENTAVAC(登録商標)は、(少なくとも)40IUの破傷風トキソイド(TT)、(少なくとも)30IUのジフテリアトキソイド(DT)、それぞれ40、8、および32D抗原単位の1型、2型、および3型の不活性化ポリオウイルス(IPV)、TTにコンジュゲートされた10μgのB型H.インフルエンザ(H.Influenzae)多糖(Hib−TT)、および2つの無細胞百日咳抗原(25μgの解毒された百日咳毒素(PT)および25μgの線維状ヘマグルチニン(FHA))を含有する。5、10、15、20、25、または50μgのFIM/ヒト用量にそれぞれ対応する0.5、1.0、1.5、2.0、2.5または5.0μgのFIMを水酸化アルミニウムに吸着させ、許可されたaP2ワクチンと共投与した(個別の注射として)(したがって、本発明に係る高用量のFIMを有するaPワクチンを模倣して)。9週齢で、マウスの鼻腔内に約10cfuのPRN陰性B.ペルツッシス(B.pertussis)株(I195)をチャレンジした。2時間(n=5/群)および5日間(n=10/群)で、段階希釈の肺ホモジネートをプレーティングした後、ボルデー・ジャング寒天プレート上で成長させたB.ペルツッシス(B.pertussis)コロニーをカウントすることにより、肺クリアランスを決定した。
【0088】
結果:
ワクチンを接種したマウスの肺から培養されたB.ペルツッシス(B.pertussis)コロニーの数の用量依存的減少が、漸増量のFIMを用いて観測された。同様に、ワクチンを接種したマウスの肺から培養されたB.ペルツッシス(B.pertussis)コロニーの数の用量依存的減少が、1/25稀釈および漸増量のFIMを用いてワクチンを接種したマウスで観測された。図2は、B.ペルツッシス(B.pertussis)株I195によるチャレンジの5日後、漸増量のFIMの存在下で1/10ヒト用量のaP2ワクチンを接種したマウスの肺から得られたlog10CFUカウント数を示している。表1は、FIMを用いてまたは用いずに1/10ヒト用量でaP2ワクチンを接種した後の平均log10CFUカウント数を比較して、平均log10CFUカウント数およびマン・ホイットニー法(GraphPad Prism)を用いて計算されたp値を示している。2μg以上のFIMを1/10ヒト用量のaP2に添加した後(20μgのヒト用量等価量)、ワクチンの有効性が有意に増加した。
【0089】
結論:
ワクチンの有効性に及ぼすFIM用量の増加の用量依存的影響から、この影響がFIMに特異的であることが実証される。それに加えて、高用量のFIMを含むワクチンは、現在市販されているaP5ワクチン中に存在する最大量のFIM(5μg/ヒト用量)を含有するワクチンよりも有効である。このことは、10μg/ヒト用量を超えてaPワクチン中のFIMの用量を増加させると有効性が改善されることを示した実施例1の知見と一致し、この知見を異なるaPワクチンおよび追加のPRN陰性百日咳菌株にまでさらに拡張する。
【0090】
実施例3.FIMが添加されたaP5ワクチンの有効性の増加は複数のB.ペルツッシス(B.pertussis)株に対しても観測される
方法:
以上に記載の検証されたマウスボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)肺チャレンジモデルを用いて、FIMの用量の増加がさまざまなB.ペルツッシス(B.pertussis)株に対するワクチンの有効性を改善するかを調べた。50μg/ヒト用量に対応する5μgのFIM(List Biological Laboratories Inc)を添加してまたは添加せずに(水酸化アルミニウムへの吸着後、個別の注射として)、1/10ヒト用量のADACEL(登録商標)(Sanofi Pasteur;ヒト用量あたり2.5μgのPT、5μgのFHA、3μgのPRN、および5μgのFIM2/3を含有する(実施例1をも参照されたい);本明細書ではaP5として参照される)またはBOOSTRIX(登録商標)(GlaxoSmithKline Biologicals;ヒト用量あたり5Lfの破傷風トキソイド、2.5Lfのジフテリアトキソイド、8μgのPT、8μgのFHA、および2.5μgのPRNを含有する;本明細書ではaP3として参照される)を使用した。4および7週齢でワクチンが接種された動物に、9週齢で、次のB.ペルツッシス(B.pertussis)株、すなわち、WHO18323(PRN陽性)、24422(PRN陰性)、24421(PRN陰性)、またはI195(PRN陰性)の1つをチャレンジした。2時間(n=5/群)および5日間(n=10/群)で、段階希釈の肺ホモジネートをプレーティングした後、ボルデー・ジャング寒天プレート上で成長させたB.ペルツッシス(B.pertussis)コロニーをカウントすることにより、肺クリアランスを決定した。
【0091】
結果:
5μgのFIMを1/10ヒト用量のaP5に添加したところ、すべてのB.ペルツッシス(B.pertussis)株に対するワクチンの有効性が改善され、試験された百日咳菌株の3つ(WHO18323(p=0.04)、PRN−24421(p=0.03)、およびPRN−I195(p=0.001))に対して統計的有意性に達した(図3、表2)。
【0092】
この実験はまた、aP3(1/10ヒト用量)を用いて行われた。チャレンジ株の3つ(WHO18323、24422、および24421)では、FIMの添加後の低減は、このaP3ワクチン(BOOSTRIX(登録商標))を用いて観測されなかったが、このことは、この特定のaP3を用いて、FIMなしで投与した場合、これらのチャレンジ株ですでに高い有効性が観測されたことにより、おそらく部分的には説明されよう。しかしながら、B.ペルツッシス(B.pertussis)株I195をチャレンジした場合、FIMをこのaP3に添加することにより、log10CFUカウント数の有意な低減が観測された。
【0093】
全体的に、これらのデータから、高用量のFIMを有するワクチンは、一連の百日咳菌株に対する改善された有効性を有することが示唆される。
【0094】
結論:
高レベルのFIMを市販のaP5ワクチンと組み合わせて免疫した後、一群のB.ペルツッシス(B.pertussis)株に対する有効性の増加が観測されたことから、異なる百日咳菌株に対しても高FIM用量の利点が観測されることが示唆される。したがって、本発明に係る高用量のFIMを含むワクチンは、百日咳疾患率の減少に寄与できるであろう。
【0095】
実施例4.現在市販されているさまざまなaPワクチンにFIMを添加することによる有効性の増加
方法:
以上に記載の検証されたマウスボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)肺チャレンジモデルを用いて、FIM(List Biological Laboratories Inc)の用量の増加により、ADACEL(登録商標)(Sanofi Pasteur;ヒト用量あたりaP成分として2.5μgのPT、5μgのFHA、3μgのPRN、および5μgのFIM2+3を含有する)、PENTAVAC(登録商標)(Sanofi Pasteur MSD;ヒト用量あたりaP成分として25μgのPTおよび25μgのFHAを含有する)、またはBOOSTRIX(登録商標)(GlaxoSmithKline Biologicals;ヒト用量あたりaP成分として8μgのPT、8μgのFHA、および2.5μgのPRNを含有する)のワクチンの有効性が改善されるかを調べた。
【0096】
5μgのFIMを市販のワクチンに添加してまたは添加せずに(ヒト用量あたり50μgのFIMを添加することに対応する)、4および7週齢で1/10ヒト用量のワクチンをマウスに接種し、9週齢でB.ペルツッシス(B.pertussis)ペルタクチン陰性株I195をチャレンジし、そしてチャレンジの5日後、ボルデー・ジャング寒天プレート上で成長させたB.ペルツッシス(B.pertussis)コロニーをカウントすることにより、肺クリアランスを決定した(n=10/群)。
【0097】
結果:
3つのワクチンすべてにおいて、市販のワクチンを単独で接種した後の平均log10CFUカウント数と比較して、FIMの添加により平均log10CFUカウントは有意に低下した(表3)。
【0098】
結論:
FIMの添加後、3つのワクチンの有効性はすべて、有意に改善された。このことから、FIMの効果は、さまざまな量の百日咳抗原とさまざまな量のFIMとを含有する一連の市販のaPワクチンに一般化可能であることが示唆される。すでにFIMを含むワクチン(ADACEL(登録商標))またはFIMを含まないワクチン(PENTAVAC(登録商標)もしくはBOOSTRIX(登録商標))の有効性が改善されることから、ワクチンの有効性に寄与するのは、FIMの存在だけでなく、FIMの用量もまた、重要であることが示される。
【0099】
実施例5.高用量のFIMを含むワクチンを接種した後の広範にわたる百日咳菌株に対する抗FIM抗体機能の増加
百日咳菌成分に対する抗体の機能活性は、とくに、毒素中和や細菌凝集などの機能活性をそれぞれ有する抗体を誘導することが知られるPTおよびFIMを含有する新しい製剤を評価する場合、考慮すべき重要な追加のパラメーターとして同定されてきた。全細胞B.ペルツッシス(B.pertussis)凝集抗体を測定するアッセイが確立されている。百日咳ワクチンの防御効果と直接相関することが見いだされている機能閾値は存在しないが、それにもかかわらず、それらは、新しいワクチン製剤と、安全かつ有効であることが明らかにされているものと、の全体比較の一部として、決定すべき重要な免疫パラメーターである(aPワクチンに対するWHO推奨草案WHO/BS/2011.2158、セクションC.2.1.2より)。したがって、FIM含有aPワクチンに対するそのようなアッセイの妥当性を考慮して、凝集アッセイを用いて、種々のB.ペルツッシス(B.pertussis)株に対して本発明に係るワクチンをさらに試験した。
【0100】
方法:
FIM(List Biological Laboratories Inc)の添加を行ってまたは行わずに、1/10ヒト用量のPENTAVAC(登録商標)(Sanofi Pasteur MSD;aP抗原としてヒト用量あたり25μgのPTおよび25μgのFHAを含有する;本明細書ではaP2として参照される)を用いて、4および7週齢でワクチンが接種されたマウスから血清を捕集した。ヒト用量あたりそれぞれ5または20μgのFIMに対応する量の0.5または2.0μgのFIMを水酸化アルミニウムに吸着させ、市販のaP2ワクチンと共投与した(個別の注射として)。9週目、5匹の動物/投与群を屠殺し、最終採血から単離された血清を抗FIM(機能性)抗体レベルの研究のためにプールした。FIMに対する機能性抗体反応を評価するために、凝集アッセイを行った。このアッセイでは、試験血清中に機能性抗体が存在すると、B.ペルツッシス(B.pertussis)と混合したときに抗原/抗体複合体が形成される。陽性凝集は、抗原/抗体複合体の存在に起因してウェル内の不透明溶液の存在として定義される。陰性凝集は、ウェルの底部の明確な細菌沈降物として観測される。簡潔に述べると、50μlの試験血清をPBS中に段階希釈し、1.0のOD600のB.ペルツッシス(B.pertussis)懸濁液50μlと混合した。この混合物を一晩インキュベートし、翌日、反転鏡を用いて細菌沈降物の存在または不在を決定した。凝集力価は、完全凝集をもたらす最大希釈として定義される。
【0101】
マウスのワクチン接種により誘導された抗FIM抗体が一群のB.ペルツッシス(B.pertussis)株に対して機能性であるかを調べるために、血清が10個の異なるFIM発現B.ペルツッシス(B.pertussis)株に凝集する能力を有するかを試験した。一群の30個の最近の臨床B.ペルツッシス単離株(B.pertussis)(PhiladelphiaのSt.Christopher’s Hospital for ChildrenのAlan Evangelista博士により親切にも提供された)から、24個の単離株は、陽性対照の市販の抗FIMモノクローナル抗体(06/128,NIBSC,UK)との明確な凝集リードアウトを示したことから、これらの株がFIM抗原を発現することが確認される。マウス血清を試験するために、この一群の24個の株から5個のPRN陰性株および5個のPRN陽性株を選択した。
【0102】
結果:
FIMの存在下でワクチンを接種したところ、機能性抗体力価が誘導された。FIMの存在下でワクチンが接種されたマウスの6個のマウス血清プールのすべてで、10個のB.ペルツッシス(B.pertussis)株すべてに対して、陽性凝集が観測された。FIMを含まない、ワクチンが接種されていない対照群および1/10ヒト用量のaP2のみが接種された群は、なんら凝集を示さなかった(表4)。検証されたマウスボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)肺チャレンジモデルにおいて、高用量のFIMが、低用量のFIMよりも有効であることが示されたが(実施例2)、明確なFIM用量−反応相関(他のFIM用量に関してはデータが示されていない)が存在しなかったので、おそらく、WHO標準アッセイの限界であり、凝集の小さな差を検出するのに十分な感度でないためと思われる。
【0103】
結論:
FIMの存在下で市販のワクチンを接種すると、PRN陰性株またはPRN陽性株のいずれでも、広範なB.ペルツッシス(B.pertussis)株に対する機能性抗体が誘導される。この知見から示唆されるように、高用量のFIMを含むワクチンは、広範なB.ペルツッシス(B.pertussis)株により引き起こされる百日咳疾患を低減するのに有効であろう。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
【表3】
【0107】
【表4】
【図1】
【図2】
【図3】
【国際調査報告】