(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2016510832
(43)【公表日】20160411
(54)【発明の名称】小型回転式粘度計測定結果が改善されたマルチグレードエンジン油配合物
(51)【国際特許分類】
   C10M 171/00 20060101AFI20160314BHJP
   C10N 20/00 20060101ALN20160314BHJP
   C10N 20/02 20060101ALN20160314BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20160314BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20160314BHJP
【FI】
   !C10M171/00
   !C10N20:00 A
   !C10N20:00 Z
   !C10N20:02
   !C10N30:00 Z
   !C10N40:25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】36
(21)【出願番号】2016500182
(86)(22)【出願日】20140128
(85)【翻訳文提出日】20150804
(86)【国際出願番号】US2014013411
(87)【国際公開番号】WO2014143422
(87)【国際公開日】20140918
(31)【優先権主張番号】13/837,845
(32)【優先日】20130315
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/838,093
(32)【優先日】20130315
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国、カリフォルニア州 94583、サン・ラモン、ボリンジャー・キャニオン・ロード 6001
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソウザ、アレックス ベリンガイ
【住所又は居所】アメリカ合衆国、カリフォルニア、サン ラモン、ボリンジャー キャニオン ロード 6001
(72)【発明者】
【氏名】ベータ ニーブ、ガーソン ヴィエラ
【住所又は居所】アメリカ合衆国、カリフォルニア、サン ラモン、ボリンジャー キャニオン ロード 6001
(72)【発明者】
【氏名】レモス、ルイス フェイヨ
【住所又は居所】アメリカ合衆国、カリフォルニア、サン ラモン、ボリンジャー キャニオン ロード 6001
(72)【発明者】
【氏名】ソウザ、ワンダーリー カレイラ ジュニア
【住所又は居所】アメリカ合衆国、カリフォルニア、サン ラモン、ボリンジャー キャニオン ロード 6001
(72)【発明者】
【氏名】アンサリ、マシュー フセイン
【住所又は居所】アメリカ合衆国、カリフォルニア、サン ラモン、ボリンジャー キャニオン ロード 6001
(72)【発明者】
【氏名】ブラフマン、レベッカ エリザベス
【住所又は居所】アメリカ合衆国、カリフォルニア、サン ラモン、ボリンジャー キャニオン ロード 6001
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104EA02A
4H104EA02Z
4H104EA04A
4H104EA04Z
4H104EA20Z
4H104EA21A
4H104LA20
4H104PA41
(57)【要約】
a)少なくとも約55wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約25wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、シクロパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントに対するパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントの比は約2であり、約359℃から490℃の間の沸点範囲、約96から106の間のVI、約190℃から228℃の間の引火点、100℃で約3.0cStから7.0cStの間の動粘度、及び40℃で約24cStから34cStの間の動粘度を備える、第1基油;b)第2基油;並びにc)添加剤パッケージを含み、第1基油を約30wt%から50wt%の間及び第2基油を約10wt%から30wt%間で含む、マルチグレードエンジン油。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも約55wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約25wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、シクロパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントに対するパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントの比は約2であり、約359℃から490℃の間の沸点範囲、約96から106の間のVI、約190℃から228℃の間の引火点、100℃で約3.0cStから7.0cStの間の動粘度、及び40℃で約24cStから34cStの間の動粘度を備える、第1基油;
b)第2基油;並びに
c)添加剤パッケージ
を含み、第1基油を約30wt%から50wt%の間、及び第2基油を約10wt%から30wt%の間で含む、マルチグレードエンジン油。
【請求項2】
第2基油が、連続数の炭素原子を有する炭化水素を含み、約370℃から530℃の間の沸点範囲、約90から110の間のVI、約6.0wt%から16wt%の間のノアック揮発性、100℃で約4.0cStから9.0cStの間の動粘度、40℃で約36cStから50cStの間の動粘度、約202℃から240℃の間の引火点、1wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約3200cPから3800cPの間のCCS VIS、及び、約−8℃から−17℃の間の流動点を備える、請求項1に記載のマルチグレードエンジン油。
【請求項3】
第2基油が、約355℃から553℃の間の沸点範囲、約90から105の間のVI、約7.0wt%から17wt%の間のノアック揮発性、100℃で約4.0cStから8.0cStの間の動粘度、40℃で約35cStから51cStの間の動粘度、約206℃から235℃の間の引火点、2.5wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約2900cPから4200cPの間のCCS VIS、及び、約−9℃から−18℃の間の流動点を備える、請求項1に記載のマルチグレードエンジン油。
【請求項4】
約85から98の間のVI、100℃で約1.0cStから4.0cStの間の動粘度、40℃で約6.0cStから14cStの間の動粘度、約150℃から172℃の間の引火点、及び約0℃から−6℃の間の流動点を備える第3基油をさらに含む、請求項2又は3に記載のマルチグレードエンジン油。
【請求項5】
約5wt%から20wt%の第3基油を含む、請求項4に記載のマルチグレードエンジン油。
【請求項6】
a)少なくとも約60wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約28wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、約99から103の間のVI、約198℃から220℃の間の引火点、100℃で約4.0cStから6.0cStの間の動粘度、及び40℃で約26cStから32cStの間の動粘度を備える、第1基油;
b):約100から104の間のVI、約8.0wt%から13wt%の間のノアック揮発性、100℃で約5.0cStから8.0cStの間の動粘度、40℃で約39cStから47cStの間の動粘度、約208℃から234℃の引火点、0.8wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約3300cPから3700cPの間のCCS VIS、及び約−11℃から−14℃の間の流動点を備える、第2基油;並びに
c)約88から95の間のVI、100℃で約2.0cStから3.0cStの間の動粘度、約158℃から164℃の間の引火点、及び約−1℃から−4℃の間の流動点を備える、第3基油
をさらに含み、約49.2wt%の第1基油、及び約20wt%の第2基油、及び約13wt%の第3基油を含む、請求項2に記載のマルチグレードエンジン油。
【請求項7】
a)少なくとも約60wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約28wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、約99から103の間のVI、約198℃から220℃の間の引火点、100℃で約4.0cStから6.0cStの間の動粘度、及び、40℃で約26cStから32cStの間の動粘度を備える、第1基油;
b)約94から102の間のVI、約10wt%から14wt%の間のノアック揮発性、100℃で約5.5cStから7.5cStの間の動粘度、40℃で約39cStから47cStの間の動粘度、約211℃から229℃の間の引火点、2wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約3100cPから3900cPの間のCCS VIS、及び、約−11℃から−16℃の間の流動点を備える、第2基油;並びに
c)約88から95の間のVI、100℃で約2.0cStから3.0cStの間の動粘度、約158℃から164℃の間の引火点、及び、約−1℃から−4℃の間の流動点を備える、第3基油
をさらに含み、約49.2wt%の第1基油、及び約20wt%の第2基油、及び約13wt%の第3基油を含む、請求項3に記載のマルチグレードエンジン油。
【請求項8】
添加剤パッケージが、
a)約5wt%から15wt%の間の洗剤及び分散剤;
b)約3wt%から9wt%の間の非分散性粘度調整剤;
c)約0.5wt%から2wt%の間の摩擦低減化合物;
d)約ゼロから0.5wt%の間の流動点降下剤;並びに
e)約0.001から0.008wt%の間の解乳化剤
を含む、請求項6又は7に記載のマルチグレードエンジン油。
【請求項9】
SAE粘度グレード0W−XX、5W−XX又は10W−XX(XXが整数20、30又は40を表す)のエンジン油に関する仕様を満たす、請求項1に記載のマルチグレードエンジン油。
【請求項10】
−30℃で50,000未満のMRVを有し、降伏応力がない、請求項1、6又は7に記載のマルチグレードエンジン油。
【請求項11】
a)降伏応力がなく、−30℃で50,000未満のMRV;
b)約15wt%又未満は10wt%未満のノアック揮発性;
c)約40,000cPから50,000cPの間の走査ブルックフィールド粘度;及び
d)約−39℃から−46℃の間の流動点
を有する、請求項1に記載のマルチグレードエンジン油。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SAE粘度グレード0W−XX、5W−XX又は10W−XXエンジン油に関する仕様を満たすように配合されたマルチグレードエンジン油に関し、ここで、XXは、整数20、30又は40を表す。SAE粘度グレード10W−30に関する仕様を満たす配合物は、本発明を使用して首尾よく調製された。これは、配合物のMRVが、降伏応力なく−30℃で60,000cP未満の測定結果を有しなければならないことを必要とする。本発明はさらに、追加の流動点降下剤を要することなく、基油又は基油ブレンドの一部を適当な量のグループII基油と置き換えることでワックス結晶化を減少することによってMRV性能を改善するための直観的プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑油ベースストック(basestocks)を製造するために使用される脱ロウプロセスは、許容されるベースストック製造仕様を超えるワックスの量を産出するプロセスにおいて故障又は非効率をもたらす恐れがある。汚染ワックスの存在又は過剰なワックス含有量は、溶剤脱ロウプロセスにおいて使用されるワックスフィルターの破れ又は裂け目を介するワックスの漏出、溶剤脱ロウプロセスの過負荷、接触脱ロウプロセスにおいて使用される触媒床を介するベースストックチャンネリング、接触脱ロウプロセスの過負荷、不十分な触媒活性若しくは選択性の結果として生じ、又はプロセスへの原油若しくは供給原料が予想よりも著しく異なるため、不適当な脱ロウプロセス条件をもたらす恐れがある。
【0003】
望ましくない量の汚染ワックス又は過剰ワックスを含有する潤滑油ベースストックは、ワックス結晶の成長をもたらす恐れがあり、このワックス結晶の成長は、典型的に遅いプロセスであり、数日後又は数週後に視覚検査で目に見えるようになるのみであり得る。帰結として、完全配合油が生成される場合、未同定の望ましくないワックス汚染を含有するベースストックを使用することで、全バッチの生成物が粘度測定の仕様を満たすのに失敗するという結果になり得る。さらに、配合潤滑油は、曇り点及び/又は流動点に関して油について設定された仕様に合格するにもかかわらず、油のための重要な低温粘度測定特性[例えば、コールドクランキングシミュレーター(CCS)粘度又は小型回転式粘度計(MRV)]に不適合であることがわかった。
【0004】
汚染ワックス又は過剰ワックスは、残留ワックスを含有する潤滑油ベースストックから作製される任意の配合油が低温で適正に機能するのに失敗するという結果をもたらすことがある。そのままでは、残留ワックス汚染は、不満足な低温粘度測定特性を有する配合油を産出する恐れがある。これに関して、汚染ワックス又は過剰ワックスは、完全配合油における低温粘度測定値の高度に非ニュートン性の増加をもたらして、低温で高い粘度及び/又は不十分なポンプ能力につながることがある。エンジン油、油圧油又はトランスミッション液に関して、低温粘度測定値の増加又は濾過性の低減若しくは喪失は、油が重要な構成要素を適正に潤滑するのに失敗するという結果をもたらす。さらに、ワックス結晶は、静置すると油中にヘイズを形成することがあり、これは、美観の観点から同様に利用者にとって望ましくない。
【0005】
エンジン油は、自動車エンジン及びディーゼルエンジンにおける使用が意図される完成クランクケース潤滑剤であり、2種の一般の構成成分;潤滑性基油及び添加剤からなる。潤滑性基油は、これらの完成潤滑剤における主要な構成要素であり、エンジン油の特性に著しく寄与する。一般に、一部の潤滑性基油は、個々の潤滑性基油及び個々の添加剤の混合物を多様にすることによって、様々なエンジン油を製造するために使用される。エンジン油の様々な粘度グレードの最小仕様は、2009年1月に改訂された通りのSAE J300標準によって設定されている。
【0006】
とりわけ、相手先商標製品製造業者(OEM’s)、American Petroleum Institute(API)、Association des Consructeurs d’ Automobiles(ACEA)、American Society of Testing and Materials(ASTM)、International Lubricant Standardization and Approval Committee(ILSAC)、及びSociety of Automotive Engineers(SAE)を含めて、多数の管理組織が、潤滑性基油及びエンジン油に関する仕様を定義している。ますます、エンジン油の仕様は、優れた低温特性、高い酸化安定性及び低い揮発性を有する製品を求めている。現在では、今日製造される基油のごく一部だけが、これらの需要仕様を満たすことができる。
【0007】
したがって、2009年1月に改訂された通りのSAE J300下の厳しい小型回転式粘度計(MRV:mini−rotary viscometer)粘度仕様に合格することが難しい潤滑性基油又は配合潤滑油の汚染ワックス又は過剰ワックスを除去又は低減するための方法又はプロセスが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、本発明は、(a)少なくとも約55wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約25wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、シクロパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントに対するパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントの比は約2であり、約359℃から490℃の間の沸点範囲、約96から106の間のVI、約190℃から228℃の間の引火点、100℃で約3.0cStから7.0cStの間の動粘度、及び40℃で約24cStから34cStの間の動粘度を備える、第1基油;(b)第2基油;並びに(c)添加剤パッケージを含むマルチグレードエンジン油を提供する。該マルチグレードエンジン油は、第1基油を約30wt%から50wt%の間及び第2基油を約10wt%から30wt%で含む。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、約5wt%から60wt%の間の基油又は基油ブレンドを、グループII基油を含む約5wt%から60wt%の間の第2基油と置き換えることを含む、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一部の実施形態において、本発明は、
(a)少なくとも約55wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約25wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、シクロパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントに対するパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントの比は約2であり、約359℃から490℃の間の沸点範囲、約96から106の間のVI、約190℃から228℃の間の引火点、100℃で約3.0cStから7.0cStの間の動粘度、及び40℃で約24cStから34cStの間の動粘度を備える、第1基油;
(b)連続数(consecutive number)の炭素原子を有する炭化水素を含み、約370℃から530℃の間の沸点範囲、約90から110の間のVI、約6.0wt%から16wt%の間のノアック揮発性、100℃で約4.0cStから9.0cStの間の動粘度、40℃で約36cStから50cStの間の動粘度、約202℃から240℃の間の引火点、1wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約3200cPから3800cPの間のCCS VIS、及び、約−8℃から−17℃の間の流動点を備える、第2基油;並びに
(c)添加剤パッケージ
を含み、約30wt%から50wt%の間の第1基油、及び約10wt%から30wt%間の第2基油を含む、マルチグレードエンジン油を提供する。
【0011】
一部の実施形態において、本発明は、
(a)少なくとも約55wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約25wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、シクロパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントに対するパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントの比は約2であり、約359℃から490℃の間の沸点範囲、約96から106の間のVI、約190℃から228℃の間の引火点、100℃で約3.0cStから7.0cStの間の動粘度、及び40℃で約24cStから34cStの間の動粘度を備える、第1基油;
(b)約355℃から553℃の間の沸点範囲、約90から105の間のVI、約7.0wt%から17wt%の間のノアック揮発性、100℃で約4.0cStから8.0cStの間の動粘度、40℃で約35cStから51cStの間の動粘度、約206℃から235℃の間の引火点、2.5wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約2900cPから4200cPの間のCCS VIS、及び、約−9℃から−18℃の間の流動点を備える、第2基油;並びに
(c)添加剤パッケージ
を含み、約30wt%から50wt%の間の第1基油、及び、約10wt%から30wt%の間の第2基油を含む、マルチグレードエンジン油を提供する。
【0012】
一部の実施形態において、本発明は、
(a)少なくとも約55wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約25wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、シクロパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントに対するパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントの比は約2であり、約359℃から490℃の間の沸点範囲、約96から106の間のVI、約190℃から228℃の間の引火点、100℃で約3.0cStから7.0cStの間の動粘度、及び40℃で約24cStから34cStの間の動粘度を備える、第1基油;
(b)連続数の炭素原子を有する炭化水素を含み、約370℃から530℃の間の沸点範囲、約90から110の間のVI、約6.0wt%から16wt%の間のノアック揮発性、100℃で約4.0cStから9.0cStの間の動粘度、40℃で約36cStから50cStの間の動粘度、約202℃から240℃の間の引火点、1wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約3200cPから3800cPの間のCCS VIS、及び、約−8℃から−17℃の間の流動点を備える、第2基油;
(c)約85から98の間のVI、100℃で約1.0cStから4.0cStの間の動粘度、40℃で約6.0cStから14cStの間の動粘度、約150℃から172℃の間の引火点、及び約0℃から−6℃の間の流動点を備える、第3基油;並びに
(d)添加剤パッケージ
を含み、約30wt%から50wt%の間の第1基油、約10wt%から30wt%の間の第2基油、及び約5wt%から20wt%の間の第3基油を含む、マルチグレードエンジン油を提供する。
【0013】
一部の実施形態において、本発明は、
(a)少なくとも約55wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約25wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、シクロパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントに対するパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントの比は約2であり、約359℃から490℃の間の沸点範囲、約96から106の間のVI、約190℃から228℃の間の引火点、100℃で約3.0cStから7.0cStの間の動粘度、及び40℃で約24cStから34cStの間の動粘度を備える、第1基油;
(b)約355℃から553℃の間の沸点範囲、約90から105の間のVI、約7.0wt%から17wt%の間のノアック揮発性、100℃で約4.0Stから8.0cStの間の動粘度、40℃で約35cStから51cStの間の動粘度、約206℃から235℃の間の引火点、2.5wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約2900cPから4200cPの間のCCS VIS、及び約−9℃から−18℃の間の流動点を備える、第2基油;
(c)約85から98の間のVI、100℃で約1.0cStから4.0cStの間の動粘度、40℃で約6.0cStから14cStの間の動粘度、約150℃から172℃の間の引火点、及び約0℃から−6℃の間の流動点を備える、第3基油;並びに
(d)添加剤パッケージ
を含み、約30wt%から50wt%の間の第1基油、約10wt%から30wt%の間の第2基油、及び約5wt%から20wt%の間の第3基油を含む、マルチグレードエンジン油を提供する。
【0014】
一部の実施形態において、本発明は、第1基油がPetrobras(商標)Paraffinic Light Neutral 30であり、第2基油がChevron(商標)220Rであると定める。
【0015】
一部の実施形態において、本発明は、第1基油がPetrobras(商標)Paraffinic Light Neutral 30であり、第2基油がMotiva(商標)Star 6であると定める。
【0016】
一部の実施形態において、本発明は、第3基油がPetrobras(商標)Paraffinic Spindle 09であると定める。
【0017】
一部の実施形態において、本発明は、
(a)少なくとも約60wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約28wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、約99から103の間のVI、約198℃から220℃の間の引火点、100℃で約4.0cStから6.0cStの間の動粘度、及び40℃で約26cStから32cStの間の動粘度を備える、第1基油;
(b)約100から104の間のVI、約8.0wt%から13wt%の間のノアック揮発性、100℃で約5.0cStから8.0cStの間の動粘度、40℃で約39cStから47cStの間の動粘度、約208℃から234℃の引火点、0.8wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約3300cPから3700cPの間のCCS VIS、及び約−11℃から−14℃の間の流動点を備える、第2基油;並びに
(c)約88から95の間のVI、100℃で約2.0cStから3.0cStの間の動粘度、約158℃から164℃の間の引火点、及び約−1℃から−4℃の間の流動点を備える、第3基油;
を含み、約49.2wt%の第1基油、及び約20wt%の第2基油、及び約13wt%の第3基油を含む、マルチグレードエンジン油を提供する。
【0018】
一部の実施形態において、本発明は、
(a)少なくとも約60wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約28wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、約99から103の間のVI、約198℃から220℃の間の引火点、100℃で約4.0cStから6.0cStの間の動粘度、及び40℃で約26cStから32cStの間の動粘度を備える、第1基油;
(b)約94から102の間のVI、約10wt%から14wt%の間のノアック揮発性、100℃で約5.5cStから7.5cStの間の動粘度、40℃で約39cStから47cStの間の動粘度、約211℃から229℃の間の引火点、2wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約3100cPから3900cPの間のCCS VIS、及び約−11℃から−16℃の間の流動点を備える、第2基油;並びに
(c)約88から95の間のVI、100℃で約2.0cStから3.0cStの間の動粘度、約158℃から164℃の間の引火点、及び約−1℃から−4℃の間の流動点を備える、第3基油;
を含み、約49.2wt%の第1基油、及び約20wt%の第2基油、及び約13wt%の第3基油を含む、マルチグレードエンジン油を提供する。
【0019】
一部の実施形態において、本発明は、添加剤パッケージが、(a)約5wt%から15wt%の間の洗剤及び分散剤;(b)約3wt%から9wt%の間の非分散性粘度調整剤;(c)約0.5wt%から2wt%の間の摩擦低減化合物;(d)約ゼロから0.5wt%の間の流動点降下剤;並びに(e)約0.001wt%から0.008wt%の間の解乳化剤を含む、マルチグレードエンジン油を提供する。
【0020】
一部の実施形態において、本発明は、XXが整数20、30又は40を表すSAE粘度グレード0W−XX、5W−XX又は10W−XXのエンジン油に関する仕様を満たすマルチグレードエンジン油を提供する。
【0021】
一部の実施形態において、本発明は、SAE粘度グレード10W−30エンジン油に関する仕様を満たすマルチグレードエンジン油を提供する。
【0022】
一部の実施形態において、本発明は、−30℃で50,000未満のMRVを有し、降伏応力がない、マルチグレードエンジン油を提供する。
【0023】
一部の実施形態において、本発明は、(a)降伏応力がなく、−30℃で50,000未満のMRV;(b)約15wt%又は10wt%未満のノアック揮発性;(c)約40,000cPから50,000cPの間の走査ブルックフィールド粘度;及び(d)約−39℃から−46℃の間の流動点を有する、マルチグレードエンジン油を提供する。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、約5wt%から60wt%の間の基油又は基油ブレンドを、約5wt%から60wt%の間のグループII基油を含む第2基油で置き換えることを含む、MRV性能を改善する又は潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供する。
【0025】
一部の実施形態において、本発明は、約5wt%から60wt%の間の基油又は基油ブレンドを約5wt%から60wt%の間の第2基油で置き換えることを含む、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供し、ここで、第2基油は、連続数の炭素原子を有する炭化水素を含み、約370℃から530℃の間の沸点範囲、約90から110の間のVI、約6.0wt%から16wt%の間のノアック揮発性、100℃で約4.0cStから9.0cStの間の動粘度、40℃で約36cStから50cStの間の動粘度、約202℃から240℃の間の引火点、1wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約3200cPから3800cPの間のCCS VIS、及び約−8℃から−17℃の間の流動点を備える。
【0026】
一部の実施形態において、本発明は、約5wt%から60wt%の間の基油又は基油ブレンドを約5wt%から60wt%の間の第2基油で置き換えることを含む、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供し、ここで、第2基油は、約355℃から553℃の間の沸点範囲、約90から105の間のVI、約7.0wt%から17wt%の間のノアック揮発性、100℃で約4.0cStから8.0cStの間の動粘度、40℃で約35cStから51cStの間の動粘度、約206℃から235℃の間の引火点、2.5wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約2900cPから4200cPの間のCCS VIS、及び約−9℃から−18℃の間の流動点を備える。
【0027】
一部の実施形態において、本発明は、約5wt%から60wt%の間の基油又は基油ブレンドを約5wt%から60wt%の間の第2基油で置き換えることを含む、MRV性能を改善する又は潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供し、ここで、第2基油は、連続数の炭素原子を有する炭化水素を含み、約370℃から530℃の間の沸点範囲、約90から110の間のVI、約6.0wt%から16wt%の間のノアック揮発性、100℃で約4.0cStから9.0cStの間の動粘度、40℃で約36cStから50cStの間の動粘度、約202℃から240℃の間の引火点、1wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約3200cPから3800cPの間のCCS VIS、及び約−8℃から−17℃の間の流動点を備える。
【0028】
一部の実施形態において、本発明は、約5wt%から60wt%の間の基油又は基油ブレンドを約5wt%から60wt%の間の第2基油で置き換えることを含む、MRV性能を改善する又は潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供し、ここで、第2基油は、約355℃から553℃の間の沸点範囲、約90から105の間のVI、約7.0wt%から17wt%の間のノアック揮発性、100℃で約4.0cStから8.0cStの間の動粘度、40℃で約35cStから51cStの間の動粘度、約206℃から235℃の間の引火点、2.5wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約2900cPから4200cPの間のCCS VIS、及び約−9℃から−18℃の間の流動点を備える。
【0029】
一部の実施形態において、本発明は、
(a)少なくとも約55wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約25wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、シクロパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントに対するパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントの比は約2であり、約359℃から490℃の間の沸点範囲、約96から106の間のVI、約190℃から228℃の間の引火点、100℃で約3.0cStから7.0cStの間の動粘度、及び40℃で約24cStから34cStの間の動粘度を備える、第1基油を得ること;並びに(b)第2基油とステップ(a)で得られる第1基油とをブレンドすること
をさらに含む、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供する。
【0030】
一部の実施形態において、本発明は、第1基油がグループI基油である、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供する。
【0031】
一部の実施形態において、本発明は、MRV性能を改善するとともに、追加の流動点降下剤を用いずに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供する。
【0032】
一部の実施形態において、本発明は、
(a)少なくとも約55wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約25wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、シクロパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントに対するパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントの比は約2であり、約359℃から490℃の間の沸点範囲、約96から106の間のVI、約190℃から228℃の間の引火点、100℃で約3.0cStから7.0cStの間の動粘度、及び40℃で約24cStから34cStの間の動粘度を備える、第1基油を得ること;並びに(b)第2基油とステップ(a)で得られる第1基油とをブレンドすること、
をさらに含む、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供し、
ここで、第2基油は、連続数の炭素原子を有する炭化水素を含み、約370℃から530℃の間の沸点範囲、約90から110の間のVI、約6.0wt%から16wt%の間のノアック揮発性、100℃で約4.0cStから9.0cStの間の動粘度、40℃で約36cStから50cStの間の動粘度、約202℃から240℃の間の引火点、1wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約3200cPから3800cPの間のCCS VIS、並びに約−8℃から−17℃の間の流動点を備える。
【0033】
一部の実施形態において、本発明は、
(a)少なくとも約55wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約25wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、シクロパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントに対するパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントの比は約2であり、約359℃から490℃の間の沸点範囲、約96から106の間のVI、約190℃から228℃の間の引火点、100℃で約3.0cStから7.0cStの間の動粘度、及び40℃で約24cStから34cStの間の動粘度を備える、第1基油を得ること;並びに(b)第2基油とステップ(a)で得られる第1基油とをブレンドすること
をさらに含む、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供し、
ここで、第2基油は、約355℃から553℃の間の沸点範囲、約90から105の間のVI、約7.0wt%から17wt%の間のノアック揮発性、100℃で約4.0cStから8.0cStの間の動粘度、40℃で約35cStから51cStの間の動粘度、約206℃から235℃の間の引火点、2.5wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約2900cPから4200cPの間のCCS VIS、及び約−9℃から−18℃の間の流動点を備える。
【0034】
一部の実施形態において、本発明は、
(a)少なくとも約55wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約25wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、シクロパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントに対するパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントの比は約2であり、約359℃から490℃の間の沸点範囲、約96から106の間のVI、約190℃から228℃の間の引火点、100℃で約3.0cStから7.0cStの間の動粘度、及び40℃で約24cStから34cStの間の動粘度を備える、第1基油を得ること;並びに(b)第2基油とステップ(a)で得られる第1基油とをブレンドすること
をさらに含む、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供し、
ここで、第2基油は、連続数の炭素原子を有する炭化水素を含み、約370℃から530℃の間の沸点範囲、約90から110の間のVI、約6.0wt%から16wt%の間のノアック揮発性、100℃で約4.0cStから9.0cStの間の動粘度、40℃で約36cStから50cStの間の動粘度、約202℃から240℃の間の引火点、1wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約3200cPから3800cPの間のCCS VIS、並びに約−8℃から−17℃の間の流動点を備え、さらに、約85から98の間のVI、100℃で約1.0cStから4.0cStの間の動粘度、40℃で約6.0cStから14cStの間の動粘度、約150℃から172℃の間の引火点、及び約0℃から−6℃の間の流動点を備える、第3基油を含む。
【0035】
一部の実施形態において、本発明は、
(a)少なくとも約55wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約25wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、シクロパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントに対するパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントの比は約2であり、約359℃から490℃の間の沸点範囲、約96から106の間のVI、約190℃から228℃の間の引火点、100℃で約3.0cStから7.0cStの間の動粘度、及び40℃で約24cStから34cStの間の動粘度を備える、第1基油を得ること;並びに(b)第2基油とステップ(a)で得られる第1基油とをブレンドすることをさらに含む、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供し、ここで、第2基油は、約355℃から553℃の間の沸点範囲、約90から105の間のVI、約7.0wt%から17wt%の間のノアック揮発性、100℃で約4.0cStから8.0cStの間の動粘度、40℃で約35cStから51cStの間の動粘度、約206℃から235℃の間の引火点、2.5wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約2900cPから4200cPの間のCCS VIS、及び約−9℃から−18℃の間の流動点を備え、さらに、約85から98の間のVI、100℃で約1.0cStから4.0cStの間の動粘度、40℃で約6.0cStから14cStの間の動粘度、約150℃から172℃の間の引火点、及び約0℃から−6℃の間の流動点を備える、第3基油を含む。
【0036】
一部の実施形態において、本発明は、
(a)少なくとも約60wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約28wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、約99から103の間のVI、約198℃から220℃の間の引火点、100℃で約4.0cStから6.0cStの間の動粘度、及び40℃で約26cStから32cStの間の動粘度を備える、第1基油を得ること;
(b)約88から95の間のVI、100℃で約2.0cStから3.0cStの間の動粘度、約158℃から164℃の間の引火点、及び約−1℃から−4℃の間の流動点を備える第3基油と、ステップ(a)で得られる第1基油とをブレンドすること;並びに
(c)約100から104の間のVI、約8.0wt%から13wt%の間のノアック揮発性、100℃で約5.0cStから8.0cStの間の動粘度、40℃で約39cStから47cStの間の動粘度、約208℃から234℃の引火点、0.8wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約3300cPから3700cPの間のCCS VIS、及び約−11℃から−14℃の間の流動点を備える第2基油と、ステップ(b)で得られる基油ブレンドとをブレンドすることをさらに含み、マルチグレードエンジン油は、約49.2wt%の第1基油、及び約20wt%の第2基油、及び約13wt%の第3基油を含む、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供する。
【0037】
一部の実施形態において、本発明は、
(a)少なくとも約60wt%の分子がパラフィン官能性を有し、少なくとも約28wt%の分子がシクロパラフィン官能性を有し、約99から103の間のVI、約198℃から220℃の間の引火点、100℃で約4.0cStから6.0cStの間の動粘度、及び40℃で約26cStから32cStの間の動粘度を備える、第1基油;
(b)約88から95の間のVI、100℃で約2.0cStから3.0cStの間の動粘度、約158℃から164℃の間の引火点、及び約−1℃から−4℃の間の流動点を備える第3基油と、ステップ(a)で得られる第1基油とをブレンドすること、;並びに
(c)約94から102の間のVI、約10wt%から14wt%の間のノアック揮発性、100℃で約5.5cStから7.5cStの間の動粘度、40℃で約39cStから47cStの間の動粘度、約211℃から229℃の間の引火点、2wt%未満の総芳香族含量、−20℃で約3100cPから3900cPの間のCCS VIS、及び約−11℃から−16℃の間の流動点を備える第2基油と、ステップ(b)で得られる基油ブレンドとをブレンドすることをさらに含み、マルチグレードエンジン油は、約49.2wt%の第1基油、及び約20wt%の第2基油、及び約13wt%の第3基油を含む、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供する。
【0038】
一部の実施形態において、本発明は、約5wt%から60wt%の間の基油又は基油ブレンドを約5wt%から60wt%の間の第2基油で置き換えることを含み、添加剤パッケージの添加をさらに含む、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供する。
【0039】
一部の実施形態において、本発明は、(a)Petrobras(商標)Paraffinic Light Neutral 30である第1基油を得ること;及び(b)Chevron(商標)220Rである第2基油とステップ(a)で得られる第1基油とをブレンドすることをさらに含む、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供する。
【0040】
一部の実施形態において、本発明は、(a)Petrobras(商標)Paraffinic Light Neutral 30である第1基油を得ること;及び(b)Motiva(商標)Star 6である第2基油とステップ(a)で得られる第1基油とをブレンドすることをさらに含む、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供する。
【0041】
一部の実施形態において、本発明は、第3基油がPetrobras(商標)Paraffinic Spindle 09である、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供する。
【0042】
一部の実施形態において、本発明は、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供し、ここで、潤滑油は、(a)約5wt%から15wt%の間の洗剤及び分散剤;(b)約3wt%から9wt%の間の非分散性粘度調整剤;(b)約0.5wt%から2wt%の間の摩擦低減化合物;(c)約ゼロから0.5wt%の間の流動点降下剤;及び(d)約0.001wt%から0.008wt%の間の解乳化剤を含む添加剤パッケージをさらに含む。
【0043】
一部の実施形態において、本発明は、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供し、ここで、潤滑油は、XXが整数20、30又は40を表すSAE粘度グレード0W−XX、5W−XX又は10W−XXのエンジン油に関する仕様を満たすマルチグレードエンジン油を含む。
【0044】
一部の実施形態において、本発明は、MRV性能を改善するとともに潤滑油におけるワックス結晶化を減少するためのプロセスを提供し、ここで、潤滑油は、(a)降伏応力がなく、−30℃で50,000未満のMRV;(b)約15wt%未満又は10wt%未満のノアック揮発性;(c)約40,000から50,000cPの間の走査ブルックフィールド粘度;及び(d)約−39℃から−46℃の間の流動点を有するマルチグレードエンジン油を含む。
【0045】
I.水素化分解
水素化分解(hydrocracking)ゾーンにおける運転条件は、重質炭化水素供給原料を、オリジナルの基油に性能改善を与える20wt%超、25wt%超又は30wt%超のロウ質中間留分を含有する生成物スレート(slate)に転化するために選択される。異なる実施形態において、水素化分解ゾーンにおける運転条件は、重質炭化水素供給原料を、20wt%超、25wt%超、30wt%超、32wt%超、又は34wt%超からのロウ質中間留分を含有する生成物スレートに転化するために選択することができる。異なる実施形態において、水素化分解ゾーンにおける運転条件は、重質炭化水素供給原料を、60wt%未満、50wt%未満、40wt%未満又は35wt%未満のロウ質中間留分を含有する生成物スレートに転化するために選択することができる。一実施形態において、水素化分解ゾーンにおける運転条件は、重質炭化水素供給原料を、20wt%超、25wt%超又は30wt%超から、40wt%未満のロウ質中間体を含有する生成物スレートに転化するために選択される。
【0046】
水素化分解ゾーンにおける温度は、約650°F(345℃)から約800°F(425℃)の範囲内など、約500°F(260℃)から約900°F(480℃)の範囲内である。1000psig超の全圧が使用される。例えば、全圧は、約1500psig超、又は約2000psig超であってよい。より大きな最大圧力は文献において報告されており、運転可能であるが、最大の実際の全圧は、一般に、約3000psigを超えない。液時空間速度(LHSV)は、通常、約0.5から約1.5など、約0.2から約5.0の範囲内に入る。水素の供給(補給及び再循環の両方)は、好ましくは、標的分子を分解(クラッキング)するために必要とされる化学量論量を超えており、通常、1バレル当たり約500標準立方フィート(SCF)から約20,000標準立方フィートの範囲内に入る。一実施形態において、水素は、1バレル当たり約2000SCFから約10,000SCFの範囲内である。
【0047】
水素化分解ゾーンにおいて使用される触媒は、水素化活性及び脱水素化活性を有する天然材料及び合成材料で構成されている。これらの触媒は、標的分子をクラッキングするとともに所望の生成物スレートを生成するために予備選択される。水素化分解触媒は、重質炭化水素供給原料を、オリジナルのベース材料(base stock)に性能改善を与えるロウ質中間留分の商業的に著しい量を含有する生成物スレートに転化するために選択される。例証的な市販のクラッキング触媒は、一般に、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ複合体、シリカ−アルミナ−ジルコニア複合体、シリカ−アルミナ−チタニア複合体、酸処理粘土、結晶性アルミノシリカートゼオライトのモレキュラーシーブ、例えば、ゼオライトA、ホージャサイト、ゼオライトX、ゼオライトY、及び上記の様々な組合せからなる支持体を含有する。水素化/脱水素化構成成分は、一般に、元素周期表のVIII族又はVIB族の金属又は金属化合物からなる。例えば、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム及びそれらの組合せなど、金属及びそれらの化合物は、水素化分解触媒の公知の水素化構成成分である。
【0048】
II.分離
分離は、蒸留によって行われる。より低い沸点の留分及びより高い沸点の留分は、ある特定の温度でロウ質中間留分中の炭化水素をきれいに分離するために選択される塔頂温度、塔底温度、塔頂圧力及び塔底圧力を有する真空蒸留を慎重に制御することによって分離することができる。所望の留分の最も高い収率及び正確なカットポイントを提供するために、米国特許第3,365,386号、同第4,617,092号又は同第4,894、145号において教示されているものなど、様々な異なる型の真空蒸留制御システムが用いられ得る。さらに、より高い沸点の留分は、分離ステップからの底部留分であってよい。より低い沸点の留分は、留出物サイドカットである。
【0049】
III.溶剤脱ロウ
一実施形態において、溶剤脱ロウは、より低い沸点の留分又はより高い沸点の留分を脱ロウするために使用される。基油を作製するための溶剤脱ロウは、70年超の間使用されており、例えば、石油の化学技術(Chemical Technology of Petroleum)、第3版、William Gruse及びDonald Stevens、McGraw−Hill Book Company、Inc.、New York、1960年、566〜570ページに記載されている。基本的プロセスは、
ロウ質炭化水素流と溶剤とを混合すること、
混合物を冷やすことで、ワックス結晶を析出させること、
典型的に回転ドラムフィルターを使用して、濾過によってワックスを分離させること、
ワックス及び脱ロウ油濾液から溶剤を回収すること
を伴う。
【0050】
溶剤は、溶剤脱ロウプロセスに再循環することができる。溶剤は、例えば、ケトン(メチルエチルケトン又はメチルイソ−ブチルケトンなど)及び芳香族(トルエンなど)を含むことができる。他の型の適当な溶剤は、C3〜C6ケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びそれらの混合物)、C6〜C10芳香族炭化水素(例えば、トルエン)、ケトン及び芳香族の混合物(例えば、メチルエチルケトン及びトルエン)、自動冷蔵溶剤、例えば、液化された常態では気体のC2〜C4炭化水素、例えばプロパン、プロピレン、ブタン、ブチレン及びそれらの混合物である。メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンの混合物も使用することができる。
【0051】
溶剤脱ロウは、その当初から精密化されてきた。例えば、ExxonのDILCHILL(登録商標)脱ロウプロセスは、細長い撹拌槽、好ましくは垂直塔内で、ワックスの析出を促進しながら油ストックの少なくとも一部を可溶化する予冷溶剤を用いて、ロウ質炭化水素油ストックを冷却することを伴う。ロウ質油は、細長い段階的冷却ゾーン又は塔に、それの曇り点を上回る温度で導入される。冷たい脱ロウ溶剤は、複数のポイント又は段階に沿って冷却ゾーンに増加的に導入されながら、それの中における高程度のかき混ぜを維持することで、それらが冷却ゾーンを通る時に溶剤及びワックス/油混合物の実質的に瞬時の混合を起こし、それによって、油中のワックスの少なくとも一部を析出する。DILCHILL(登録商標)脱ロウは、米国特許第4,477,333号、同第3,773,650号及び同第3,775,288号において、より詳細に考察されている。Texacoも、該プロセスにおける精密化を開発した。例えば、米国特許第4,898,674号は、メチルエチルケトン(MEK)対トルエンの比を制御すること、及びこの比を調整することができることがいかに重要であるかを開示しており、というのは、それが様々なベースストックを加工するための最適な濃度の使用を可能にするからである。共通して、ブライトストック(bright stocks)を加工する場合には0.7:lから1:1の比を使用することができ、軽質ストック(light stocks)を加工する場合には1.2:1から約2:1の比を使用することができる。
【0052】
ワックス混合物は、典型的に、−10℃から−40℃の範囲、又は−20℃から−35℃の範囲における温度に冷やされることで、ワックス結晶を析出させる。濾過によってワックスを分離させるのに、綿;多孔質金属布;又は合成材料で作製された布などの紡織繊維で作製することができる濾布を含むフィルターを使用してよい。
【0053】
溶剤脱ロウ条件には、ロウ質炭化水素流へ添加される場合に、脱ロウ温度で約5:1から約20:1の液体/固体重量比、及び1.5:1から5:1の間の溶剤/油体積比を提供するのに充分である溶剤の量が含まれ得る。
【0054】
IV.水素化異性化
高パラフィン系ワックスは、潤滑剤組成物の基油を提供するための水素化異性化を含むプロセスにかけられる。水素化異性化は、分子構造中への分岐鎖の選択的添加によって基油の低温流動特性を改善することが意図される。水素化異性化は、理想的には、高パラフィン系ワックスの非ロウ質イソパラフィンへの高い転化レベルを達成しながら、同時にクラッキングによる転化を最小化する。ある実施形態において、水素化異性化のための条件は、ロウ質フィードにおける約700°F超で沸騰する化合物の約700°F未満で沸騰する化合物への転化が、約10wt%から50wt%間の、例えば15wt%から45wt%の間で維持されるように制御される。
【0055】
水素化異性化は、形状選択的中間細孔径モレキュラーシーブを使用して行われる。使用される水素化異性化触媒は、形状選択的中間細孔径モレキュラーシーブ及び任意選択により触媒活性金属水素化構成成分を耐火性酸化物支持体上に含む。「中間細孔径」(“intermediate pore size”)という成句は、本明細書で使用される場合、多孔質無機酸化物がか焼形態である場合には約3.9Åから約7.1Åの範囲における有効な孔開口を意味する。使用される形状選択的中間細孔径モレキュラーシーブは、一般に、1−D10−、11−又は12−環のモレキュラーシーブである。実施形態において、モレキュラーシーブは1−D10−環の種類であり、ここで、10−(又は11−又は12−)環のモレキュラーシーブは、酸素によって接合されている10(又は11又は12)個の四面体配位原子(T−原子)を有する。1−Dモレキュラーシーブにおいて、10−環(又は、より大きい)細孔は、互いに平行であり、相互接続していない。しかしながら、中間細孔径モレキュラーシーブのより広範な定義を満たすが、8員環を有する交差細孔(intersecting pores)が含まれる1−D10−環のモレキュラーシーブもまた、モレキュラーシーブの定義内に包含することができることを留意されたい。1−D、2−D及び3−Dとしてのゼオライト内チャンネルの分類は、F.R.Rodrigues、L.D.Rollman及びC.Naccacheによって編集されたゼオライト、科学及び科学技術(Zeolites,Science and Technology)、NATO ASIシリーズ、1984年において、R.M.Barrerによって説明されおり、この分類を、参照によりその全体を組み込む(特に75ページを参照されたい)。
【0056】
水素化異性化のために使用される他の形状選択的中間細孔径モレキュラーシーブは、SAPO−11、SAPO−31及びSAPO−41など、リン酸アルミニウムに基づいている。SM−3は、良好な形状選択的中間細孔径SAPOの例であり、これは、SAPO−11モレキュラーシーブのものに入る結晶性構造を有する。SM−3の調製及びそれの独特な特徴は、米国特許第4,943,424号及び同第5、158,665号に記載されている。金属負荷小結晶子MTTモレキュラーシーブも、良好な形状選択的中間細孔径モレキュラーシーブである。金属負荷小結晶子MTTモレキュラーシーブ触媒の調製は、2007年10月2日に出願された米国特許出願第11/866,281号に記載されている。水素化異性化のために使用される他の形状選択的中間細孔径モレキュラーシーブは、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、ZSM−57、SSZ−32、オフレタイト、及びフェリエライトなどのゼオライトである。
【0057】
実施形態において、中間細孔径モレキュラーシーブは、チャンネルの選択結晶学的自由直径(selected crystallographic free diameters)、選択結晶子サイズ(選択チャンネル長に対応する)、及び選択酸性度を特徴とする。モレキュラーシーブのチャンネルの望ましい結晶学的自由直径は、約3.9Åから約7.1Åの範囲であり、7.1以下の最大結晶学的自由直径及び3.9Å以上の最小結晶学的自由直径を有する。最大結晶学的自由直径は7.1以下であってよく、最小結晶学的自由直径は4.0Å以上である。最大結晶学的自由直径は6.5以下であってよく、最小結晶学的自由直径は4.0Å以上である。モレキュラーシーブのチャンネルの結晶学的自由直径は、Ch.Baerlocher、W.M.Meier、及びD.H.Olsonによる「ゼオライト骨格型のアトラス(Atlas of Zeolite Framework Types)」、第5改訂版、2001年、Elsevier、10〜15ページに公表されている。
【0058】
中間細孔径モレキュラーシーブの例は、例えば、米国特許第5,135,638号及び同第5,282,958号に記載されている。米国特許第5,282,958号において、こうした中間細孔径モレキュラーシーブは、せいぜい約0.5ミクロンの結晶子サイズ並びに少なくとも約4.8Åの最小直径及び約7.1Åの最大直径を有する細孔を有する。触媒は、チューブ反応器内に位置される場合にその0.5グラムが、370℃、1200psigの圧力、160ml/minの水素流、及び1ml/hrの供給量で、ヘキサデカンの少なくとも50%を転化するのに充分な酸性度を有する。触媒は、他の種へのノルマルヘキサデカン(n−C16)の96%転化をもたらす条件下で使用される場合、40パーセント以上の異性化選択性も呈する(異性化選択性は以下の通りに決定される:100×(生成物中wt%分岐C16)/(生成物中wt%分岐C16+生成物中wt%C13−)。
【0059】
モレキュラーシーブは、さらに、約4.0Åから約7.1Åの範囲、例えば、4.0Åから6.5Åの範囲における結晶学的自由直径を有する細孔又はチャンネルを特徴とすることができる。モレキュラーシーブのチャンネルの結晶学的自由直径は、Ch.Baerlocher、W.M.Meier、及びD.H.Olsonによる「ゼオライト骨格型のアトラス(Atlas of Zeolite Framework Types)」、第5改訂版、2001年、Elsevier、10〜15ページに公表されている。
【0060】
モレキュラーシーブのチャンネルの結晶学的自由直径が不明であれば、モレキュラーシーブの有効な孔サイズは、標準的吸着技法及び公知の最小動力学的直径の炭化水素質化合物を使用して測定することができる。Breck、ゼオライトモレキュラーシーブ(Zeolite Molecular Sieves)、1974(殊に8章);Andersonら、J.Catalysis 58、114(1979);及び米国特許第4,440,871号を参照されたい。孔サイズを決定するための吸着測定を実施する際に、標準的技法が使用される。約10分未満(25℃でp/p=0.5)でモレキュラーシーブ上のそれの平衡吸着値の少なくとも95%に達しないならば、特定の分子が除かれたと考えることが好都合である。中間細孔径モレキュラーシーブは、ほとんど支障なく、5.3Åから6.5Åの動力学的直径を有する分子を典型的に受け入れる。
【0061】
水素化異性化触媒は、しばしば、触媒活性水素化金属を含む。触媒活性水素化金属の存在は、生成物改善、殊に粘度指数及び安定性をもたらす。典型的な触媒活性水素化金属としては、クロミウム、モリブデン、ニッケル、バナジウム、コバルト、タングステン、亜鉛、白金及びパラジウムが挙げられる。実施形態において、触媒活性水素化金属は、白金、パラジウム、及びそれらの混合物から選択される。白金及び/又はパラジウムが使用されるならば、活性水素化金属の総量は、典型的に、合計触媒の0.1から5重量パーセント、通常0.1から2重量パーセントの範囲であり、10重量パーセントを超えることはない。
【0062】
耐火性酸化物支持体は、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、チタニア及びそれらの組合せを含めて、触媒のための従来から使用されているような酸化物支持体から選択することができる。
【0063】
水素化異性化の条件は、シクロパラフィン官能性を有する分子5wt%超を含む基油を達成するように合わせられる。該条件は、マルチシクロパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントに対するモノシクロパラフィン官能性を有する分子の重量パーセントの比が5超、例えば10超、15超又は20超である基油を提供することができる。水素化異性化の条件は、使用されるフィードの特性、触媒が硫化物であろうとなかろうと使用される触媒、所望の収量、及び基油の所望の特性に依存する。水素化異性化プロセスが実施され得る条件には、約500°Fから約775°F(260℃から約413℃)、例えば600°Fから約750°F(315℃から約399℃)、又は600°Fから約700°F(315℃から約371℃)の温度;及び約15psigから3000psig、例えば100psigから2500psigの圧力が含まれる。この文脈における水素化異性化圧力は、水素化異性化反応器内の水素部分圧力を指すが、水素部分圧力は、全圧と実質的に同じ(又はほぼ同じ)である。接触中の液時空間速度は、一般に、約0.1hrから20hr、例えば約0.1hrから約5hrである。水素対炭化水素比は、1モル炭化水素当たり約1.0モルから約50モルのH、例えば、1モル炭化水素当たり約10モルから約20モルのHの範囲内に入る。水素化異性化を実施するための適当な条件は、米国特許第5,282,958号及び同第5,135,638号に記載されている。
【0064】
水素化異性化条件は、正規化したn−d−Mによって、2wt%から10wt%の間のナフテン系炭素、90wt%から98wt%の間のパラフィン系炭素、及び1wt%未満の芳香族炭素を有する基油を製造するために選択することができる。N−d−M分析は、正規化したASTM D3238−95(2005年に再承認された)により行われる。一実施形態における重量パーセント芳香族炭素(「Ca」)、重量パーセントナフテン系炭素(「Cn」)及び重量パーセントパラフィン系炭素(「Cp」)は、正規化したASTM D3238−95(2005年に再承認された)によって測定することができる。ASTM D3238−95(2005年に再承認された)は、n−d−M方法による石油の炭素分布の算出及び構造グループ分析のための標準試験法である。この方法は、この用途においてオレフィン含有量が2wt%以下であることを意味すると想定される「オレフィンフリー」供給原料用である。正規化プロセスは、以下からなる:A)Ca値がゼロ未満であるならば、Caはゼロと設定され、Cn及びCpは、和が100%であるように比例して増加される;B)Cn値がゼロ未満であるならば、Cnはゼロと設定され、Ca及びCpは、和が100%であるように比例して増加される;並びにC)Cn及びCaの両方がゼロ未満であるならば、Cn及びCaはゼロと設定され、Cpは100%と設定される。
【0065】
水素は、水素化異性化プロセスの間、反応帯域中に、典型的には約0.5から30MSCF/bbl(1バレル当たり千標準立方フィート)、例えば約1から約10MSCF/bblの水素対フィード比で存在する。水素対フィード比は、約712.4から約3562リットルH/リットル油(約4から約20MSCF/bbl)であってよい。水素は時々生成物から分離され、反応帯域に再循環される。
【0066】
V.水素化処理
水素化異性化プロセスへの高パラフィン系ロウ質フィードは、水素化異性化より前に水素化処理されることがある。水素化処理は、通常、主要な目的が供給原料からの様々な金属異物、例えばヒ素、アルミニウム及びコバルト;ヘテロ原子、例えば硫黄及び窒素;酸素化物;又は芳香族の除去である、遊離水素の存在下で実施される触媒プロセスを指す。一般に、水素化処理作業において、炭化水素分子のクラッキング、即ち、より大きい炭化水素分子をより小さい炭化水素分子に分解することは最小化され、不飽和炭化水素は、全体的又は部分的のいずれかで水素化される。
【0067】
VI.水素化仕上げ
水素化仕上げは、高パラフィン系ワックスから誘導される基油を提供するための水素化異性化に続くステップとしてしばしば使用される水素化処理プロセスである。水素化仕上げは、痕跡量の芳香族、オレフィン、着色物質及び溶剤を除去することによって基油の酸化安定性、UV安定性及び外観を改善するために用いることができる。本明細書で使用される場合、UV安定性という用語は、UV光及び酸素に曝露された場合の基油又は潤滑剤組成物の安定性を指す。不安定性は、通常フロック(floc)若しくは曇りとして見られる視認可能な析出形態、又はより暗色の色が紫外線及び空気への曝露で発生する場合に示される。水素化仕上げの一般の記載は、米国特許第3,852,207号及び同第4,673,487号において見出だすことができる。不純物を除去するための粘土処理は、高パラフィン系ワックスから誘導される基油を提供するための代替の最終プロセスステップである。
【0068】
VII.分留
任意選択により、高パラフィン系ワックスから誘導される軽質基油を提供するためのプロセスには、水素化異性化より前に高パラフィン系ロウ質フィードを分留すること、又は水素化異性化プロセスから得られる基油を分留することが含まれ得る。高パラフィン系ロウ質フィード又は異性化基油を複数の留分に分留することは、一般に、常圧蒸留若しくは真空蒸留のいずれかによって、又は常圧蒸留及び真空蒸留の組合せによって達成される。常圧蒸留は、典型的に、約600°F超から約750°F(約315℃から約399℃)の初留点を有する底部留分から、より軽質の蒸留留分、例えばナフサ及び中間留分を分離するために使用される。より高い温度で、炭化水素の熱クラッキングが起こり、装置の汚損及びより重質のカットのより低い収率をもたらす恐れがある。真空蒸留は、典型的に、より高い沸点材料、例えば基油を、異なる沸点範囲のカット(cuts)に分離するために使用される。基油を異なる沸点範囲のカットに分留することにより、基油製造プラントが、1つを超えるグレード又は粘度である基油を生成することが可能になる。
【0069】
VIII.HPLC−UVによる芳香族測定
基油における芳香族官能性を有する分子の低い濃度を測定するために使用される方法には、HP Chem−ステーションに連結されたHP1050 Diode−Array UV−Vis検出器と一体になっているHewlett Packard 1050 Series Quaternary Gradient High Performance Liquid Chromatography(HPLC)システムを使用する。高飽和基油中における個々の芳香族クラスの同定を、それらのUVスペクトルパターン及びそれらの溶出時間に基づいて行った。この分析のために使用されるアミノカラムは、主にそれらの環数(又はより正確には、二重結合数)に基づいて芳香族分子を区別する。したがって、単一環芳香族含有分子が最初に溶出し、その後、1分子当たり二重結合数が増加する順番で多環式芳香族が続く。同様の二重結合特徴を有する芳香族について、環上にアルキル置換だけを有するものは、シクロパラフィン系置換を有するものより素早く溶出すると考えられる。
【0070】
様々な基油芳香族炭化水素をそれらのUV吸光度スペクトルから明解に同定することは、それらのピーク電子遷移が、環系上のアルキル置換及びシクロパラフィン系置換の量に依存する程度に、純粋なモデル化合物類似体に対して全てレッドシフトされるという事実によって幾分複雑化された。これらの深色シフトは、芳香族環におけるπ電子のアルキル基非局在化によって引き起こされることがよく知られている。潤滑剤範囲で沸騰する非置換芳香族化合物はほとんどないので、ある程度のレッドシフトが予想され、同定された芳香族基の素成分(principle aromatic groups)の全てに観察された。
【0071】
溶出する芳香族化合物の定量化を、その芳香族について適切な保持時間窓にわたって各一般のクラスの化合物のために最適化された波長から作製されたクロマトグラムを積分することによって行った。各芳香族クラスについての保持時間窓限度を、異なる時間で溶出する化合物の個々の吸光度スペクトルを手作業で評価すること、及びモデル化合物吸収スペクトルとのそれらの定性的相似点に基づく適切な芳香族クラスにそれらを割り当てることによって決定した。ほとんど例外なく、5つのクラスの芳香族化合物だけが、高飽和APIグループII及びIIIの基油中で観察された。
【0072】
IX.HPLC−UV較正
HPLC−UVは、非常に低いレベルでも、これらのクラスの芳香族化合物を同定するために使用される。多環芳香族は、典型的に、単一環芳香族より10倍から200倍強く吸収する。アルキル置換は、吸収も約20%影響した。そのため、様々な種の芳香族を分離及び同定するとともに、どのくらい効果的にそれらが吸収するかを知るためにHPLCを使用することが重要である。
【0073】
5つのクラスの芳香族化合物を同定した。最も高く保持されたアルキル−シクロアルキル−1−環芳香族と最も高くなく保持されたアルキルナフタレンとの間の小さい重複を除いて、芳香族化合物クラスの全てをベースライン分割した。共溶出する1−環及び2−環芳香族についての272nmでの積分限度を、垂直滴下方法によって行った。各一般の芳香族クラスのための波長依存性応答因子を、置換芳香族類似体に対して最も近いスペクトルピーク吸光度に基づく純粋なモデル化合物混合物からベールの法則プロットを構築することによって最初に決定した。
【0074】
例えば、基油におけるアルキル−シクロヘキシルベンゼン分子は、非置換テトラリンモデル化合物が268nmでするのと同じ(禁じられた)遷移に対応する明確なピーク吸光度を272nmで呈する。基油試料におけるアルキル−シクロアルキル−1−環芳香族の濃度を、272nmでのそれのモル吸収率応答因子がベールの法則プロットから算出された268nmでのテトラリンのモル吸収率におよそ等しいと想定することによって算出した。芳香族の重量パーセント濃度を、各芳香族クラスについての平均分子量が基油試料全体についての平均分子量におよそ等しいと想定することによって算出した。
【0075】
この較正方法を、包括的HPLCクロマトグラフィーを介して基油から直接的に1−環芳香族を単離することによって、さらに改善した。これらの芳香族を用いて直接的に較正することで、モデル化合物に伴う想定及び不確実性を取り除いた。予想される通り、単離された芳香族試料は、モデル化合物より低い応答因子を有していたが、なぜならば、それは、より高く置換されていたからであった。
【0076】
より具体的には、HPLC−UV方法を正確に較正するため、置換ベンゼン芳香族を、Waters半合成用HPLCユニットを使用して基油のバルクから分離した。試料10グラムをn−ヘキサン中に1:1で希釈し、Rainin Instruments、Emeryville、Californiaによって製造されたアミノ結合シリカカラム、5cm×22.4mmのIDガード、続いて、8〜12ミクロンのアミノ結合シリカ粒子の2つの25cm×22.4mmのIDカラム上に、移動相としてn−ヘキサンを用いて、18ml/minの流量で注入した。カラム溶出液を、265nm及び295nmで設定された二重の波長UV検出器からの検出器応答に基づいて画分化した。265nm吸光度が、単一環芳香族溶出物の発現を合図する0.01吸光度単位の変化を示すまで、飽和物画分を収集した。265nmと295nmとの間の吸光度比が、2つの環芳香族溶出物の発現を示す2.0に減少するまで、単一環芳香族画分を収集した。HPLCカラムを過負荷することに起因する「テーリング」(“tailing”)飽和物画分から離れたモノ芳香族画分を再びクロマトグラフィーにかけることによって、単一環芳香族画分の精製及び分離を行った。
【0077】
この精製芳香族「標準」は、アルキル置換が、非置換テトラリンに対して、モル吸収率応答因子を約20%減少することを示した。
【0078】
X.NMRによる芳香族の確認
精製されたモノ芳香族標準における芳香族官能性を有する分子の重量パーセントを、長期の炭素13NMR分析によって確認した。較正するためにはNMRがHPLC UVより簡便であったが、なぜならば、それは芳香族炭素を単純に測定したので、分析されている芳香族のクラスに応答が依存しなかったためである。高飽和基油における芳香族の95〜99%が単一環芳香族であるのがわかったことによって、NMRの結果を%芳香族炭素から%芳香族分子に換算した(HPLC−UV及びD2007と一致させるため)。
【0079】
0.2%の芳香族分子まで芳香族を正確に測定するために、高出力、長い持続期間(duration)、及び良好なベースライン分析が必要であった。
【0080】
より具体的には、少なくとも1つの芳香族官能基を有する低濃度の全ての分子をNMRによって正確に測定するために、500:1(ASTM標準的手法E 386による)の最小炭素感受性を与えるように標準的なD5292−99方法を修正した。10〜12mmのNaloracプローブを有する400〜500MHzのNMR上で実行される15時間の持続期間を使用した。Acorn PC積分ソフトウェアを使用して、ベースラインの形状を定義し、一貫して積分した。脂肪族ピークを芳香族領域の中にイメージ化することからの人為現象を回避するため、実行中にキャリアの周波数を1回変更した。キャリアのスペクトルのいずれか側でスペクトルをとることによって、分解能が有意に改善された。
【0081】
XI.エンジン油組成物
基油は、潤滑剤組成物の最も重要な構成成分であり、一般に、潤滑剤組成物の70%超を占める。潤滑剤組成物は、基油及び少なくとも1種の添加剤を含む。潤滑剤組成物は、自動車、ディーゼルエンジン、車軸、トランスミッション、及び工業用途において使用することができる。潤滑剤組成物は、関係管理組織によって定義されている通りの、それらの意図される用途に関する仕様を満たさなければならない。
【0082】
潤滑剤組成物を提供するために基油とブレンドすることができる添加剤としては、潤滑剤組成物の選択特性を改善することが意図されるものが挙げられる。典型的な添加剤としては、例えば、耐磨耗添加剤、極圧剤、洗剤(例えば、金属含有洗剤)、分散剤(例えば、無灰分散剤)、抗酸化剤、流動点降下剤、VI向上剤(VII)、粘度調整剤、摩擦調整剤、解乳化剤、消泡剤、阻害剤(例えば、腐食阻害剤、さび阻害剤など)、シール膨張剤、乳化剤、湿潤剤、潤滑性能向上剤、金属不活性化剤、ゲル化剤、粘着剤、殺細菌剤、流動性制御剤、及び着色料などが挙げられる。添加剤は、様々な添加剤を含有する添加剤パッケージの形態で添加することができる。
【0083】
分散剤:分散剤は、一般に、使用中の酸化から結果として得られた不溶性材料を懸濁状態に維持するために使用され、したがって、エンジン部品上のスラッジ凝集及び沈殿又は堆積を防止する。分散剤の例として、窒素含有無灰(金属非含有)分散剤が挙げられる。無灰分散剤は、一般に、分散されるべき粒子と結び付くことができる官能性基を有する油溶性ポリマー炭化水素骨格を含む。分散剤の他の例としては、以下に限定されないが、アミン、アルコール、アミド、又は架橋基を介してポリマー骨格に付着されているエステル極性部分が挙げられる。
【0084】
無灰分散剤は、長鎖炭化水素置換モノ及びジカルボン酸又はそれらの無水物の油溶性塩、エステル、アミノ−エステル、アミド、イミド及びオキサゾリン;長鎖炭化水素のチオカルボキシラート誘導体、そこに直接付着されているポリアミンを有する長鎖脂肪族炭化水素;並びに長鎖置換フェノールとホルムアルデヒド及びポリアルキレンポリアミンとを縮合することによって形成されるマンニッヒ縮合生成物から選択することができる。カルボン酸分散剤は、少なくとも34個及び好ましくは少なくとも54個の炭素原子を含むカルボン酸アシル化剤(酸、無水物、エステルなど)と、窒素含有化合物(アミンなど)、有機ヒドロキシ化合物(一価及び多価アルコールを含めて、脂肪族化合物、又はフェノール及びナフトールを含めて、芳香族化合物など)及び/又は塩基性無機材料との反応生成物である。これらの反応生成物としては、イミド、アミド、及びエステル、例えば、スクシンイミド分散剤が挙げられる。
【0085】
他の適当な無灰分散剤は、相対的に高分子量の脂肪族ハロゲン化物及びアミン、好ましくはポリアルキレンポリアミンの反応生成物であるアミン分散剤も挙げられる。他の例としては、さらに、アルキル基が少なくとも30個の炭素原子を含有するアルキルフェノールと、アルデヒド(殊にホルムアルデヒド)及びアミン(殊にポリアルキレンポリアミン)との反応生成物である「マンニッヒ分散剤」が挙げられ得る。さらに、無灰分散剤としては、なお、カルボン酸分散剤、アミン分散剤又はマンニッヒ分散剤と、ジメルカプトチアゾール、尿素、チオ尿素、二硫化炭素、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、炭化水素置換無水コハク酸、ニトリルエポキシド及びホウ素化合物などの試薬とを反応させることによって得られる、処理後分散剤が挙げられ得る。適当な無灰分散剤はポリマーであってよく、これは、メタクリル酸デシル、ビニルデシルエーテル及び高分子量オレフィンなどの油溶化性モノマーと極性置換基を含有するモノマーとのインターポリマーである。他の適当な無灰分散剤としては、約2300ダルトンの数平均分子量を有するポリイソブチレンから誘導されるエチレンカーボナート処理ビススクシンイミドも挙げられ得る(「PIBSA 2300」)。
【0086】
粘度指数向上剤(調整剤):エンジン油ベースストックの粘度指数は、粘度調整剤(VM)又は粘度指数向上剤(VII)として機能するある特定のポリマー性材料を、エンジン油の最終重量の0.3wt%から25wt%の量で、そこに組み込むことによって、増加又は改善することができる。例としては、以下に限定されないが、オレフィンコポリマー、例えばエチレン−プロピレンコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、水和スチレン−イソプレンコポリマー、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリメタクリラート、ビニルピロリドン及びメタクリラートコポリマー並びに分散剤型粘度指数向上剤が挙げられる。これらの粘度調整剤は、任意選択により、例えばマレイン酸無水物などのグラフト化材料でグラフト化されていてよく、グラフト化材料は、例えば、アミン、アミド、窒素含有複素環式化合物又はアルコールと反応させることで、多機能性粘度調整剤(分散剤−粘度調整剤)を形成することができる。
【0087】
粘度調整剤の他の例としては、スターポリマー(例えば、イソプレン/スチレン/イソプレントリブロックを含むスターポリマー)が挙げられる。粘度調整剤のなお他の例としては、低ブルックフィールド粘度及び高剪断安定性のポリアルキル(メタ)アクリラート、高ブルックフィールド粘度及び高剪断安定性の分散剤特性を有する官能化ポリアルキル(メタ)アクリラート、700ダルトンから2,500ダルトンを範囲とする重量平均分子量を有するポリイソブチレン、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0088】
摩擦調整剤:潤滑油組成物は、少なくとも摩擦調整剤(例えば、硫黄含有モリブデン化合物)を含むことができる。ある特定の硫黄含有オルガノ−モリブデン化合物は、潤滑油組成物における摩擦を調整する一方で、抗酸化及び耐磨耗の利点も提供することが知られている。油溶性オルガノ−モリブデン化合物の例としては、モリブデンスクシンイミド錯体、ジチオカルバマート、ジチオホスファート、ジチオホスフィナート、キサンタート、チオキサンタート及び硫化物など、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0089】
他の例としては、摩擦調整性の燃料節約添加剤として第3級ヒドロキシルアミン及び脂肪酸の少なくともモノ−、ジ−又はトリエステルが挙げられる。他の例は、スクシンアミド酸、スクシンイミド、及びそれらの混合物の群から選択される。他の例は、脂肪族脂肪アミン、エーテルアミン、アルコキシ化脂肪族脂肪アミン、アルコキシ化エーテルアミン、油溶性脂肪族カルボン酸、ポリオールエステル、脂肪酸アミド、イミダゾリン、第3級アミン、アンモニア又は第1級アミンと反応させたヒドロカルビルコハク酸無水物又はヒドロカルビルコハク酸、及びそれらの混合物から選択される。
【0090】
シール膨潤剤(seal swelling agents):シールフィックスは、シール膨潤剤又はシールパシファイアー(seal pacifiers)とも名付けられている。それらは、適正なエラストマー密閉を確実にするとともに早期のシール失敗及び漏出を防止するため、潤滑剤又は添加剤組成物中にしばしば用いられる。シール膨張剤は、油溶性飽和脂肪族又は芳香族炭化水素エステル、例えばジ−2−エチルヘキシルフタラート、脂肪族アルコール、例えばトリデシルアルコールを伴った鉱物油、ヒドロカルボニル置換フェノールとの組合せにおけるトリホスファイトエステル、及びジ−2−エチルヘキシルセバカートから選択することができる。
【0091】
腐食阻害剤(抗腐食剤):これらの添加剤は、エンジン油中に含有される金属性部品の劣化を低減するために、約0.02wt%から1wt%の量で典型的に添加される。例としては、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ホスホ硫化炭化水素、及び好ましくはアルキル化フェノール又はアルキルフェノールチオエステルの存在下で、ホスホ硫化炭化水素とアルカリ土類金属酸化物又は水酸化物との反応によって得られる生成物が挙げられる。さび阻害剤又は抗腐食剤は、非イオン性ポリオキシエチレン表面活性剤であってよい。非イオン性ポリオキシエチレン表面活性剤としては、以下に限定されないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールモノステアラート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート、及びポリエチレングリコールモノオレアートが挙げられる。さび阻害剤又は抗腐食剤は、他の化合物であってもよく、例えば、ステアリン酸及び他の脂肪酸、ジカルボン酸、金属石鹸、脂肪酸アミン塩、重スルホン酸の金属塩、多価アルコールの部分的カルボン酸エステル、及びリン酸エステルが挙げられる。さび阻害剤は、ステアリン酸カルシウム塩であってよい。
【0092】
洗剤:エンジン油組成物において、金属含有洗剤又は灰分形成洗剤は、堆積を低減又は除去するための洗剤及び酸中和剤又はさび阻害剤の両方として機能し、それによって、磨耗及び腐食を低減し、エンジン寿命を伸ばす。洗剤は、一般に、酸有機化合物の金属塩を含む極性頭部を有する、長い疎水性尾部を有する極性頭部を含む。
【0093】
エンジン油組成物は、通常には塩(例えば、過塩基性塩)である1種又は複数の洗剤を含有することができる。過塩基性塩又は過塩基性材料は、金属及びその金属と反応する特定の酸性有機化合物の化学量論に従って存在する量を超える金属含有量を特徴とする単相の均一ニュートン系である。エンジン油組成物は、少なくともカルボキシラート洗剤を含むことができる。カルボキシラート洗剤、例えばサリチラートは、芳香族カルボン酸と酸化物又は水酸化物などの適切な金属化合物とを反応させることによって調製することができる。エンジン油組成物は、少なくとも過塩基性洗剤を含むことができる。過塩基性洗剤の例としては、以下に限定されないが、スルホン酸カルシウム、カルシウムフェナート、サリチル酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、及びそれらの混合物が挙げられる。過塩基性洗剤は、低過塩基性であってよい(例えば、約50未満の全塩基価(TBN))。適当な過塩基性洗剤は、代替として、高過塩基性(例えば、約150を超えるTBN)又は中過塩基性(例えば、50から150の間のTBN)であってよい。潤滑油組成物は、全ての低TBN洗剤、全ての高TBN洗剤、又はそれら2つの型の混合物であってよい1種超の過塩基性洗剤を含むことができる。潤滑油組成物のための他の適当な洗剤としては、例えば、フェナート/サリチラート、スルホナート/フェナート、スルホナート/サリチラート、及びスルホナート/フェナート/サリチラートなどの「ハイブリッド」洗剤が挙げられる。該組成物は、アルキルベンゼン及び発煙スルホン酸、フェナート(高過塩基性、中過塩基性又は低過塩基性)、高過塩基性フェネートステアラート、フェノラート、サリチラート、ホスホナート、チオホスホナート、スルホナート、カルボキシラート、イオン性界面活性剤、及びスルホナートなどから作製された洗剤を含むことができる。
【0094】
酸化阻害剤/抗酸化剤:酸化阻害剤又は抗酸化剤は、運転中に劣化するという鉱物油の傾向を低減し、この劣化は、金属表面上のスラッジ、ラッカー及びワニス様堆積物など酸化の生成物によって証明される。エンジン油組成物は、フェノール系抗酸化剤、アミン系抗酸化剤、又はそれらの組合せの群から選択される少なくとも抗酸化剤約50ppmから約5.00wt%を含有することができる。抗酸化剤の量は、0.10wt%から3.00wt%の間であってよい。抗酸化剤の量は、約0.20wt%から0.80wt%の間であってよい。使用される抗酸化剤の例は、該油組成物の合計重量の約0.05wt%から2.00wt%の量におけるジ−C8−ジフェニルアミンである。抗酸化剤の他の例としては、MoS及びMo酸化物化合物が挙げられる。
【0095】
抗酸化剤の他の例としては、ヒンダードフェノール;C5からC12のアルキル側鎖を有するアルキルフェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩;カルシウムノニルフェノール硫化物;油溶性フェナート及び硫化フェナート;ホスホ硫化又は硫化炭化水素又はエステル;亜リン酸エステル;チオカルバミン酸金属;当技術分野において知られている油溶性銅化合物;フェニルナフチルアミン、例えばフェニレンジアミン、フェノチアジン、ジフェニルアミン、ジアリールアミン;フェニル−アルファナフチルアミン、2,2’−ジエチル−4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、2,2’−ジエチル−4−t−オクチルジフェニルアミン;C5からC12のアルキル側鎖を有するアルキルフェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムノニルフェノールスルフィド、バリウムt−オクチルフェノールスルフィド、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジオクチルフェニルアミン、フェニルアルファナフチルアミン及びそれらの混合物が挙げられる。これらの抗酸化剤の一部は、さらに、腐食阻害剤として機能する。耐磨耗薬剤としても機能する他の適当な抗酸化剤としては、2,5−ビス−オクチルジチオチアジアゾールなどのビスアルキルジチオチアジアゾールが挙げられる。
【0096】
消泡剤:エンジン油は、約5ppmから約50ppmを範囲とする量で消泡剤(泡阻害剤)を含むことができる。例としては、メタクリル酸アルキルポリマー、ジメチルシリコーンポリマー、及びポリシロキサン型の泡阻害剤、例えば、泡制御のためのシリコーン油及びポリジメチルシロキサンが挙げられる。消泡剤は、ポリジメチルシロキサン及びフルオロシリコーンの混合物であってよい。消泡剤の別の例は、約3:1から約1:4を範囲とするフルオロシリコーン消泡剤対アクリラート消泡剤の重量比を有するアクリラートポリマー消泡剤であり得る。消泡剤の別の例は、エンジン油におけるケイ素の総量が少なくとも30ppmであるような消泡有効量のケイ素含有消泡剤であり得る。ケイ素含有消泡剤は、フルオロシリコーン、ポリジメチルシロキサン、フェニル−メチルポリシロキサン、線状シロキサン、環式シロキサン、分岐シロキサン、シリコーンポリマー及びコポリマー、オルガノ−シリコーンコポリマー、並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0097】
耐磨耗剤:耐磨耗剤も、エンジン油組成物に添加することができる。該組成物は、ホスファート、ホスファイト、カルバマート、エステル、硫黄含有化合物、及びモリブデン錯体から選択される少なくとも一つの耐磨耗剤を含むことができる。適当な耐磨耗剤の他の代表は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛、Zn又はMoジチオカルバマート、ホスファイト、リン酸アミン、ホウ酸化スクシンイミド、スルホン酸マグネシウム、及びそれらの混合物である。該組成物は、耐磨耗剤及び抗酸化剤として少なくとも一つのジヒドロカルビルジチオホスファート金属を約0.1wt%から約10wt%の量で含むことができる。該金属は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、又はアルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、ニッケル若しくは銅であってよい。
【0098】
極圧剤:エンジン油組成物は、極圧剤を含むことができる。例としては、アルカリ土類金属ホウ酸化極圧剤及びアルカリ金属ホウ酸化極圧剤が挙げられる。他の例としては、硫化オレフィン、ジアルキル−1−ジチオリン酸亜鉛(第1級アルキル、第2級アルキル、及びアリール型)、硫化ジ−フェニル、トリ−クロロステアリン酸メチル、塩素化ナフタレン、フルオロアルキルポリシロキサン、ナフテン酸鉛、中和又は部分的中和ホスファート、ジ−チオホスファート、及び硫黄非含有ホスファートが挙げられる。
【0099】
上述されている添加剤の一部は、多様な効果を提供することができ、したがって、例えば、単一添加剤が分散剤並びに酸化阻害剤として作用し得る。これらの多機能性添加剤はよく知られている。さらに、エンジン油組成物が、上述されている添加剤の1種又は複数を含有する場合、各添加剤は、典型的に、添加剤がそれの所望される機能を提供するのを可能にする量で基油中にブレンドされる。添加剤群(「添加剤パッケージ」と称されることがある濃縮物)を含む1種又は複数の添加剤濃縮物を調製することは、必要不可欠でないが、望ましいことがあり、これによって、いくつかの添加剤が油に同時に添加されて、最終の油組成物を形成することができる。最終組成物は、該濃縮物約0.5wt%から約30wt%を用いることができ、残部は潤滑粘度の油である。構成成分は任意の順序でブレンドすることができ、構成成分の組合せとしてブレンドすることができる。
【0100】
定義及び用語
以下の用語は、明細書の全体にわたって使用され、別段に表示されていない限り以下の意味を有する。
【0101】
「グループI基油」という成句は、90パーセント未満の飽和物及び/又は0.03パーセント超の硫黄を含有し、米国石油協会公報1509の表E−1に規定されているASTM法を使用して80以上及び120未満の粘度指数を有する。
【0102】
「グループII基油」という用語は、90%以上の飽和物及び0.03%以下の硫黄を含有するとともに米国石油協会公報1509の表E−1に規定されているASTM法を使用して80以上及び120未満の粘度指数を有する基油を指す。
【0103】
「グループII+基油」という用語は、110以上及び120未満の粘度指数を有するグループII基油を指す。
【0104】
「グループIII基油」という用語は、90%以上の飽和物及び0.03%以下の硫黄を含有するとともに米国石油協会公報1509の表E−1に規定されているASTM法を使用して120以上の粘度指数を有する基油を指す。
【0105】
「フィッシャー・トロプシュ誘導」という用語は、生成物、留分又はフィードがフィッシャー・トロプシュプロセスによって、ある段階に由来する又は生成されることを意味する。
【0106】
「石油誘導」という用語は、生成物、留分又はフィードが、蒸留する石油原油からの蒸気オーバーヘッド流及び非蒸発性残留部分である残留燃料に由来することを意味する。石油誘導生成物、留分又はフィードの供給源は、ガス田凝縮物からであってよい。
【0107】
「マルチグレードエンジン油」という用語は、SAE J300における2つの異なるSAE数の限度内に入る粘度/温度指標を有するエンジン油を指す。本発明は、MRV粘度仕様を含めて2009年に改訂された通りのSAE J300下の仕様を満たすマルチグレードエンジン油は、それらが流動点低下基油ブレンド構成成分及び添加剤パッケージとブレンドされるとき、定義されたシクロパラフィン官能性を有するフィッシャー・トロプシュ基油から調製することができるという発見に向けられている。
【0108】
高パラフィン系ワックスは、一般には40wt%超であるが、50wt%超又は75wt%超であってよく、100wt%未満又は99wt%未満であってよい、高含有量のn−パラフィンを有するワックスを意味する。高パラフィン系ワックスの例としては、スラックワックス、脱油スラックワックス、精製ろう下油、ロウ質潤滑剤ラフィナート、n−パラフィンワックス、NAOワックス、化学的植物プロセスにおいて生成されるワックス、脱油石油誘導ワックス、微結晶性ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0109】
「高パラフィン系ワックスから誘導される」という用語は、生成物、留分又はフィードが、ある段階で高パラフィン系ワックスから由来する又は生成されることを意味する。
【0110】
芳香族は、非局在化電子の非断続雲を分け合う少なくとも1つの原子団を含有する任意の炭化水素系化合物を意味し、ここで、原子団における非局在化電子の数は、4n+2のヒュッケル則の解に対応する(例えば、6電子についてはn=1、など)。代表例としては、以下に限定されないが、ベンゼン、ビフェニル及びナフタレンなどが挙げられる。
【0111】
シクロパラフィン官能性を有する分子は、単環式又は縮合多環式の飽和炭化水素基であるか、又は1個若しくは複数の置換基として該飽和炭化水素基を含有する、任意の分子を意味する。シクロパラフィン系基は、1個又は複数、例えば1個から3個の置換基で任意選択により置換されていてよい。代表例としては、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロヘプチル、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロペンタレン、(ペンタデカン−6−イル)シクロヘキサン、3,7,10−トリシクロヘキシルペンタデカン、及びデカヒドロ−1−(ペンタデカン−6−イル)ナフタレンなどが挙げられる。
【0112】
モノシクロパラフィン官能性を有する分子は、環炭素が3個から7個である単環式飽和炭化水素基である任意の分子、又は環炭素が3個から7個である単一の単環式飽和炭化水素基で置換されている任意の分子を意味する。シクロパラフィン系基は、1個又は複数、例えば1個から3個の置換基で任意選択により置換されていてよい。代表例としては、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロヘプチル、及び(ペンタデカン−6−イル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0113】
マルチシクロパラフィン官能性を有する分子は、縮合環が2個以上である縮合多環式飽和炭化水素環基である任意の分子、縮合環が2個以上である1個若しくは複数の縮合多環式飽和炭化水素環基で置換されている任意の分子、又は環炭素が3個から7個である1個超の単環式飽和炭化水素基で置換されている任意の分子を意味する。縮合多環式飽和炭化水素環基は、しばしば、2個の縮合した環である。シクロパラフィン系基は、1個又は複数、例えば1個から3個の置換基で任意選択により置換されていてよい。代表例としては、以下に限定されないが、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロペンタレン、3,7,10−トリシクロヘキシルペンタデカン、及びデカヒドロ−1−(ペンタデカン−6−イル)ナフタレンなどが挙げられる。
【0114】
ブルックフィールド粘度:ASTM D2983−04aは、低温で自動車用流体潤滑剤の低剪断速度粘度を決定するために使用される。オートマチックトランスミッション液、ギヤ油、トルク流体及びトラクター流体、並びに工業用油圧油及び自動車用油圧油の低温での低剪断速度粘度は、ブルックフィールド粘度によって頻繁に特定される。
【0115】
動粘度は、重力下での流体の流れに対する抵抗性の測定値である。多くの基油、それらから作製される潤滑剤組成物、及び装置の正確な動作は、使用されている流体の適切な粘度に依存する。動粘度は、ASTM D445−06によって決定される。結果はmm/sで報告される。
【0116】
粘度指数(VI)は、油の動粘度上の温度変化の効果を示す経験的無単位数である。粘度指数はASTM D2270−04によって決定される。
【0117】
流動点は、基油の試料が、慎重に制御される条件下で流れ始める温度の測定値である。流動点は、ASTM D5950−02に記載されている通りに決定することができる。結果は摂氏温度で報告される。多くの市販の基油は、流動点についての仕様を有する。基油が低い流動点を有する場合、基油は、他の良好な低温特性、例えば、低い曇り点、低いコールドフィルター目詰まり点、及び低温クランキング粘度をも有する可能性が高い。
【0118】
ノアック揮発性は、通常、ASTM D5800−05手順Bに従って試験される。ノアック揮発性を算出するためのより好都合な方法及びASTM D5800−05とよく相関するものは、ASTM D6375−05による熱重量分析器(TGA)試験を使用することによる。TGAノアック揮発性は、別段に明記されていない限り本開示の全体にわたって使用される。
【0119】
本明細書において開示されている通りの潤滑剤組成物の基油は、低温及び高剪断下でも優れた粘度計測に関する特性を有し、マルチグレードエンジン油において、それらを非常に有用にする。コールドクランキングシミュレーター見かけ粘度(CCS VIS)は、低温及び高剪断下で基油の粘度計測に関する特性を測定するために使用される試験である。CCS VISを決定するための試験方法は、ASTM D5293−02である。結果は、mPa・sで報告される。CCS VISは、低温エンジンクランキングと相関することが見出された。最大CCS VISについての仕様は、2009年に改訂されたSAE J300によって自動車用エンジン油について定義されている。0W SAE粘度グレードエンジン油についての最大CCS VISは、−35℃で6200mPa・sである。
【0120】
ポンプ能力のメカニズムに関連する小型回転式粘度計(MRV)試験であるASTM D4684−07は、低剪断速度測定である。遅い試料冷却速度は、この方法の重要な特色である。試料は、加温、遅い冷却、及び浸漬サイクルが含まれる特定の熱的履歴を有するように予備処理される。MRVは、閥値より大きいならば、空気と結合してポンプ輸送が不能になる問題が発生する可能性を示す見かけ降伏応力を測定する。ある特定の粘度(現在では、2009年にSAE J300によって60,000mPa・sと定義されている)を超えると、該油は、「流れ制限」(“flow−limited”)挙動と呼ばれるメカニズムによって、ポンプ能力不能の事態になる恐れがある。SAE 0W油は、例えば、降伏応力がなく、−40℃で60,000mPa・sの最大粘度を有することが必要とされる。この方法は、1s−1から50s−1の剪断速度下での見かけ粘度も測定する。
【0121】
高温高剪断速度粘度(HTHS)は、燃焼内燃エンジン内の高負荷ジャーナルベアリングに似ている条件下での流れ、典型的には150℃で1,000,000s−1に対する流体の抵抗性の尺度である。HTHSは、所定の潤滑剤を用いて高温でエンジンがどのように動作するかについての、100℃での動的低剪断速度粘度より良好な指標である。HTHS値は、ベアリングにおける油膜厚さに直接相関する。SAE J300 2009は、ASTM D4683、ASTM D4741、又はASTM D5481によって測定されるHTHSについての現在の仕様を包含している。SAE 20粘度グレードエンジン油は、例えば、2.6mPa・sの最小HTHSを有することが必要とされる。
【0122】
走査ブルックフィールド粘度:ASTM D5133−05は、エンジン油の低温、低剪断速度、粘度/温度依存性を測定するために使用される。エンジン油の低温、低剪断粘度測定挙動は、油が、寒冷温度が始まった直後又は最終的にエンジン損傷を防止するのに十分な量で、油だめ(sump)インレットスクリーンに、次いで油ポンプに、次いで潤滑を必要とするエンジン内の部位に流れるかどうかを決定する。ASTM D5133−05の走査ブルックフィールド粘度技法は、1℃/時間の一定速度で冷却される場合の試料のブルックフィールド粘度を測定する。MRVのように、ASTM D5133−05は、低温での油のポンプ能力に関連することが意図される。該試験は、試料が30,000mPa・sに達する温度として定義されるゲル化点を報告する。ゲル化指数も報告され、−5℃から最低試験温度への粘度増加の変化の最大速度として定義される。乗用自動車エンジン油についての最新のAPI SM/ILSAC GF−4仕様は、12の最大ゲル化指数を必要としている。
【0123】
本明細書において別段に表示されていない限り、本発明に関連して使用される科学及び技術用語は、当業者によって共通して理解される意味を有する。さらに、別段に文脈によって必要とされていない限り、単数の用語には複数が含まれ、複数の用語には単数が含まれる。より具体的には、この明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」には、別段に文脈が明らかに指示していない限り、複数の言及対象が含まれる。したがって、例えば、「脂肪酸」への言及には、複数の脂肪酸などが含まれる。加えて、明細書及び添付の特許請求の範囲において提供される範囲には、端点の両方及び端点間の全ての点が含まれる。そのため、2.0から3.0の範囲には、2.0、3.0、及び2.0から3.0の間の全ての点が含まれる。さらに、該明細書及び特許請求の範囲において使用される量、百分率又は割合を表す全ての数、及び他の数値は、全ての例において「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「が含まれる」という用語及びそれの文法的変異形は、非限定的であると意図されるので、リスト中における項目の記述は、置換することができる又はリストされている項目に添加することができる他の類似項目を排除しない。本明細書で使用される場合、「を含む」という用語は、その用語を受けて同定される要素又はステップが含まれることを意味するが、任意のこうした要素又はステップは網羅的でなく、実施形態には、他の要素又はステップが含まれる。
【0124】
Motiva(商標)Star 6は、表1の特性を有する基油を指す。
【表1】
【0125】
Petrobras(商標)Paraffinic Light Neutral 30は、表2の特性を有する基油を指す。
【表2】
【0126】
Petrobras(商標)Paraffinic Spindle 09は、表3の特性を有する基油を指す。
【表3】
【0127】
Chevron(商標)220Rは、表4の特性を有する基油を指す。
【表4】
【実施例】
【0128】
以下の実施例は、本発明の詳細な実施形態を実証するために提供されるものである。以下の実施例に開示されている方法が、単に、本発明の例証的な実施形態を表していることは、当業者によって認識されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、多くの変更が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、記載されている具体的な実施形態において行われ得ること、及び、類似又は同様の結果をそれでもなお得ることを認識するべきである。
【0129】
(例1)
試験の第1ラウンドにおいて、KV100(ASTM D445)、KV40(ASTM D445)、粘度指数(ASTM D2270)、−25℃でのCCS(ASTM D5293)、流動点(ASTM D97)、−30℃でのMRV(ASTM D4684)について、オリジナルの配合物を試験した。%PPDのみを変更して、追加の配合物を試験した。表5に、配合物及び試験結果を示す。
【表5】
【0130】
(例2)
試験の第2セットにおいて、走査ブルックフィールド(ASTM D5133)、小型回転式粘度計(ASTM 5133)、及び流動点について、再びオリジナルの配合物を試験した。20%のグループII油を含有するように調整された基油比を有する2つの追加の配合物を試験した。表6において下記に示される通り、20wt%グループII油を有するとともにPPDを有しない第4配合物を作製した。
【表6】
【0131】
表5及び6における結果は、以下の点を示している:グループII基油を有する配合物についての低温流動特性は、グループII基油を有しないオリジナルの配合物より良好であった。最も著しいことに、オリジナルの配合物へのグループII基油の添加は、追加のPPDを必要とせずに降伏応力を取り除いた。グループIIの添加は、多少のPPDの必要を取り除かなかったが、多少のPPDを有する配合物へのグループIIの添加は、MRV降伏応力を取り除くための強力な解決法であると判明した。
【0132】
その上、グループII基油の添加は、−30℃でのMRV粘度を低下させ、流動点をわずかに低下させた。そのため、MRV降伏応力を取り除くことに加えて、グループIIの添加は、配合物がMRV粘度及び流動点の仕様をより確実に満たす助けとなり得る。
【0133】
全体的に、MRVの改善についていくつかの可能な理由がある。我々は、グループIIがワックス構造をさらに崩壊させるという理論を立てている。おそらく、現存のワックス構造に干渉することは、追加のワックス構造の形成を引き起こし得る。代替として、PPDは、グループI及びグループIIの溶液の両方において、より適合性があり得る。
【0134】
全ての特許、特許出願及び公報は、各個々の特許、特許出願又は公報が参照により組み込まれていることが具体的且つ個々に示されているのと同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0135】
本発明は、本発明の個々の態様の単一の例示と意図される本明細書に記載されている具体的な実施形態によって範囲が制限されるべきではなく、機能的に均等の方法及び構成成分は本発明の範囲内である。実際に、本発明の様々な修飾は、本明細書に示されているもの及び記載されているものに加えて、前述の説明から当業者に明らかとなる。こうした改変は、添付の特許請求の範囲内に入ると意図される。
【国際調査報告】