(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2016511002
(43)【公表日】20160414
(54)【発明の名称】固有外来性遺伝因子のセットについて植物材料を分析するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20060101AFI20160318BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20160318BHJP
   C12N 15/00 20060101ALI20160318BHJP
【FI】
   !C12Q1/68 A
   !C12N15/00 A
   !C12N15/00ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】44
(21)【出願番号】2016501294
(86)(22)【出願日】20140311
(85)【翻訳文提出日】20151029
(86)【国際出願番号】US2014023611
(87)【国際公開番号】WO2014150559
(87)【国際公開日】20140925
(31)【優先権主張番号】61/799,330
(32)【優先日】20130315
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー
【住所又は居所】アメリカ合衆国 インディアナ州 46268, インディアナポリス, ジオンスヴィレ ロード, 9330
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【弁理士】
【氏名又は名称】吉光 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス,ジョン ピー.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 97215 オレゴン州,ポートランド,エスイー マディソン エスティー 4617
(72)【発明者】
【氏名】リー,ワレン エス.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 46112 インディアナ州,ブラウンズバーグ,エーピーティー.イー.,グリーンリッジ パークウェイ 718
(72)【発明者】
【氏名】レディー,ヴァカ スバ
【住所又は居所】アメリカ合衆国 80013 コロラド州,アウロラ,イー.ハミルトン サークル 20598
(72)【発明者】
【氏名】リウ,キシン リアン
【住所又は居所】アメリカ合衆国 97035 オレゴン州,レイク オズウィーゴ,エイブリー レーン 4739
(72)【発明者】
【氏名】ガンパラ,サティアリンガ エス.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 46077 インディアナ州,ズィオンスヴィレ,ヨークシャー サークル 6531
【テーマコード(参考)】
4B024
4B063
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本開示は、植物材料中の異種DNAを検出するシステムおよび方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物DNAを含むサンプルにおいて複数の異種核酸のうち1つまたは複数を同定する方法であって、それぞれの前記異種核酸が、5’から3’方向に、前記複数のメンバーのすべての間で同一であるヌクレオチド配列を有する第1のポリヌクレオチド;前記複数のメンバーのすべての中で固有であるヌクレオチド配列を有する第2のポリヌクレオチド;および前記複数のメンバーのすべての間で同一であるヌクレオチド配列を有する第3のポリヌクレオチドを含むアンプリコンを含み、前記方法が、
植物DNAを含む前記サンプルを提供するステップと;
前記植物DNAを、第1および第3のポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズする一対のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップと;
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において、前記サンプル中の異種核酸に存在するそれぞれの前記アンプリコンを増幅させるステップと;
前記アンプリコンを、第2のポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含む少なくとも1種のプローブ分子と接触させるステップであって、第2のポリヌクレオチドを含むアンプリコンへの前記プローブの特異的ハイブリダイゼーションが検出可能なシグナルを生成する、ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の異種核酸のそれぞれが目的の遺伝子を含み、第2のポリヌクレオチドが、前記複数の異種核酸のそれぞれにおいて前記目的の遺伝子の外側にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1のポリヌクレオチドと第3のポリヌクレオチドが両方とも、前記複数の異種核酸のそれぞれにおいて前記目的の遺伝子の外側にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プローブ分子がフルオロフォアおよびクエンチャーを含み、オリゴヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする第2のポリヌクレオチドを含むアンプリコンのPCR増幅がプローブ分子中のクエンチャーからフルオロフォアを遊離し、それによって検出可能な蛍光シグナルが生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アンプリコンがそれぞれ約70ヌクレオチド長から約80ヌクレオチド長である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のポリヌクレオチドがそれぞれ約15ヌクレオチド長から約25ヌクレオチド長である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のポリヌクレオチドが、それぞれのアンプリコン内の第1のポリヌクレオチドおよび第3のポリヌクレオチドに直接隣接している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記植物DNAを前記オリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップ、それぞれの前記アンプリコンを増幅させるステップ、および前記アンプリコンを前記プローブ分子(複数可)と接触させるステップがエンドポイントPCR反応で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記植物DNAを前記オリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップ、それぞれの前記アンプリコンを増幅させるステップ、および前記アンプリコンを前記プローブ分子(複数可)と接触させるステップがリアルタイムPCR反応で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプルが、前記サンプル中のDNAの総量と比較して少なくとも約8.33×10−8%の量で異種核酸を含み、検出可能なシグナルが、前記プローブの前記異種核酸内の前記アンプリコンへの特異的ハイブリダイゼーションによって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記異種核酸が目的の作物栽培遺伝子であり、前記サンプルが、前記目的の作物栽培遺伝子を導入するための形質遺伝子移入プログラムにおける植物由来である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプルが前記異種核酸を含まないことを特定するために実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
遺伝子組換え植物において複数の異種核酸のうち1つまたは複数を検出するためのシステムであって、
植物発現ベクターのセットであって、それぞれのベクターが、5’から3’方向に、
第1のポリヌクレオチド、
セットのベクターのすべての中で固有であるヌクレオチド配列を有する第2のポリヌクレオチド、および
第3のポリヌクレオチド
を含む異種核酸を含む発現カセットを含む、植物発現ベクターのセットと;
第1のポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする普遍的フォワードプライマーオリゴヌクレオチドと;
第3のポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする普遍的リバースプライマーオリゴヌクレオチドと
を含む、システム。
【請求項14】
前記システムがプローブ分子のセットをさらに含み、それぞれのプローブ分子が、前記セット中のベクターの1種のみの第2のポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含み、第2のポリヌクレオチドを含むアンプリコンへの前記プローブの特異的ハイブリダイゼーションが検出可能なシグナルを生成する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記発現カセットが、前記目的の遺伝子に作動可能に連結されている1つまたは複数の制御因子を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記発現カセットのそれぞれが目的の遺伝子を含み、第2のポリヌクレオチドが、複数の異種核酸のそれぞれにおいて前記目的の遺伝子の外側にある、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
第1のポリヌクレオチドと第3のポリヌクレオチドの両方が、前記発現カセットのそれぞれにおいて前記目的の遺伝子の外側にある、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記プローブ分子がフルオロフォアおよびクエンチャーを含み、また、前記オリゴヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする第2のポリヌクレオチドを含む異種核酸のPCR増幅が前記プローブ分子中の前記クエンチャーから前記フルオロフォアを遊離し、それによって検出可能な蛍光シグナルを生成する、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記異種核酸がそれぞれ約70ヌクレオチド長から80ヌクレオチド長である、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
第2のポリヌクレオチドがそれぞれ約15ヌクレオチド長から25ヌクレオチド長である、請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
第2のポリヌクレオチドが、それぞれの異種核酸内の第1のポリヌクレオチドおよび第3のポリヌクレオチドに直接隣接している、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
前記発現ベクターのセットの少なくとも1つで形質転換された植物由来のDNAを含む少なくとも1種のサンプルをさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項23】
遺伝子組換え植物において複数の異種核酸のうち1つまたは複数を検出する方法であって、
請求項22に記載のシステムを提供するステップと;
植物由来のDNAを、普遍的フォワードプライマーおよび普遍的リバースプライマーと接触させるステップと;
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において、セット中のベクター由来の異種核酸を増幅させるステップと;
第2のポリヌクレオチドのうち1つまたは複数を検出するステップと
を含む、方法。
【請求項24】
前記セット中の前記ベクター由来の複数の前記異種核酸が増幅される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
第2のポリヌクレオチドのうち1つまたは複数を検出するステップが前記増幅核酸を1つまたは複数のプローブ分子と接触させるステップを含み、それぞれのプローブ分子が、前記セット中の前記ベクターの1種のみの第2のポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含み、第2のポリヌクレオチドを含むアンプリコンへのプローブの特異的ハイブリダイゼーションが検出可能なシグナルを生成する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記DNAを前記普遍的フォワードプライマーおよび前記普遍的リバースプライマーと接触させるステップ、前記異種核酸を増幅させるステップ、ならびに前記増幅異種核酸を前記プローブ分子(複数可)と接触させるステップが加水分解プローブPCRアッセイにおいて実施される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
第2のポリヌクレオチドのうち1つまたは複数を検出するステップが、前記増幅核酸を配列決定するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
配列番号1〜21からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む核酸。
【請求項29】
配列番号22〜42からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項28に記載の核酸。
【請求項30】
遺伝子組換え生物において外来性核酸を検出するためのシステムであって、
前記システムが、
配列番号1〜21からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む少なくとも1種の核酸と;
前記システムにおいて前記少なくとも1種の核酸(複数可)のそれぞれに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含む少なくとも1種のプローブ分子と
を含む、システム。
【請求項31】
配列番号1〜21からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む前記核酸が、配列番号22〜42からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
配列番号1〜21からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む前記核酸に特異的にハイブリダイズする2種のプライマーオリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
配列番号22〜42からなる群から選択される前記ヌクレオチド配列内の部位で前記核酸に特異的にハイブリダイズする2種のプライマーオリゴヌクレオチドをさらに含み、前記プライマーオリゴヌクレオチドが、配列番号1〜21からなる群から選択される前記ヌクレオチド配列内の部位で前記核酸に特異的にハイブリダイズしない、請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
植物DNAを含むサンプルにおいて複数の異種核酸のうち1つまたは複数を同定する方法であって、それぞれの異種核酸が、5’から3’方向に、前記複数のメンバーのすべての間で同一であるヌクレオチド配列を有する第1のポリヌクレオチド;前記複数のメンバーのすべての中で固有であるヌクレオチド配列を有する第2のポリヌクレオチド;および前記複数のメンバーのすべての間で同一であるヌクレオチド配列を有する第3のポリヌクレオチドを含むアンプリコンを含み、前記方法が、
植物DNAを含む前記サンプルを提供するステップと;
前記植物DNAを、第1および第3のポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズする一対のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップと;
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において、前記サンプル中の異種核酸に存在するそれぞれのアンプリコンを増幅させるステップと;
前記増幅アンプリコンを配列決定して、前記固有の第2のポリヌクレオチドのうち1つまたは複数の存在を判定するステップと
を含む、方法。
【請求項35】
前記複数の異種核酸のそれぞれが目的の遺伝子を含み、第2のポリヌクレオチドが、複数の異種核酸のそれぞれにおいて前記目的の遺伝子の外側にある、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
第1のポリヌクレオチドと第3のポリヌクレオチドが両方とも、前記複数の異種核酸のそれぞれにおいて前記目的の遺伝子の外側にある、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記アンプリコンがそれぞれ約70ヌクレオチド長から約80ヌクレオチド長である、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
第2のポリヌクレオチドがそれぞれ約15ヌクレオチド長から約25ヌクレオチド長である、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
第2のポリヌクレオチドが、それぞれのアンプリコン内の第1のポリヌクレオチドおよび第3のポリヌクレオチドに直接隣接している、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記植物DNAを前記オリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップ、それぞれの前記アンプリコンを増幅させるステップ、および前記アンプリコンを前記プローブ分子(複数可)と接触させるステップがエンドポイントPCR反応で実施される、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記植物DNAを前記オリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップ、それぞれのアンプリコンを増幅させるステップ、および前記アンプリコンを前記プローブ分子(複数可)と接触させるステップがリアルタイムPCR反応で実施される、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記サンプルが、前記サンプル中のDNAの総量と比較して少なくとも約8.33×10−8%の量で異種核酸を含み、検出可能なシグナルが、前記プローブの異種核酸内のアンプリコンへの特異的ハイブリダイゼーションによって生成される、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記異種核酸が目的の作物栽培遺伝子であり、前記サンプルが、前記目的の作物栽培遺伝子を導入するための形質遺伝子移入プログラムにおける植物由来である、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
前記サンプルが前記異種核酸を含まないことを特定するために実施される、請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、固有外来性遺伝因子のセットについて植物材料を分析するためのシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR ANALYSIS OF PLANT MATERIAL FOR SET OF UNIQUE EXOGENOUS GENETIC ELEMENTS)に関する、2013年3月15日出願の米国仮特許出願第61/799,330号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、植物の生物工学に関する。本開示の実施形態は、遺伝子組換え植物およびそれから得られる産物の産生および商品化を経てトランスジェニック事象(transgenic event)を検出および追跡するためのシステムおよび方法における固有外来性遺伝因子の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
遺伝子組換え生物(GMO)、例えば、遺伝子組換え植物は、通常、移植生物体への異種遺伝子構築物の挿入が関与する少なくとも1つの形質転換事象と定義される。異種遺伝子構築物は、典型的には、少なくとも1つの目的の遺伝子と遺伝子発現の調節を行うための制御領域とを含む、いくつかの因子から構成されている。さらに、構築物は、クローニングベクター由来のDNA配列に隣接させることができる。大部分の遺伝子組換え植物は、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター(P−35S)および/またはCaMV 35Sターミネーター(T−35S)、またはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ノパリンシンターゼターミネーター(T−Nos)を含有する構築物で形質転換されている。最も一般的に使用されているクローニングベクターは、アンピシリン(bla)抗生物質に対する耐性をコードしている遺伝子を含有するpBR322、およびネオマイシン/カナマイシン(nptll)抗生物質に対する耐性をコードしている遺伝子を含有するベクターに由来する。
【0004】
多くの理由によりGMOの検出が切望されている。例えば、定性的検出は、認可されていないGMO材料またはこうした材料の使用の同定に使用することができる。さらに、検出では、安全材料もしくは危険材料を同定すること、または同一性が保存されている材料の純度を認定することが切望されている。定量的検出は、GMO混入の法的な、または契約上合意された閾値を順守するために(例えば、有機農法またはシードロット証明の場合などで高純度の生成物が望まれる場合)使用することができる。また検出は、GMO材料の追跡が可能になることによって安全性評価とリスク管理での役割を果たすことができる。前述の用途のほとんどにおいて、検出方法に対し高感度であることが求められている。
【0005】
分析時間と関連コストを低減する、導入遺伝子の検出およびGMOの同定を行う有効な分析方法の開発が長年にわたり極めて盛んな研究分野であった。Morriset et al. (2008) Eur. Food Res. Technol. 227:1287-97。しかし未だに、目下の使用において多数の異種遺伝子構築物および形質転換事象に適切な検出能力を提供する適切な攻略は考案されていない。DNAは、種子、飼料または高度加工食品サンプルからの抽出後、効率よく検出することができるとの理由から、GMOのルーチン的な実験室での検出および定量に選択される分析物である。
【0006】
現在の好ましい導入遺伝子検出方法は、トランスジェニック植物における事象特異的因子(例えば、導入遺伝子配列)を検出する。トランスジェニック事象において統合された一般的な遺伝因子のほとんど(例えば、プロモーター、レポーター遺伝子、ターミネーター)は複数のベクターにおいて頻繁に使用されているので、これらの遺伝因子によって特定の事象を追跡することは困難になる。
【0007】
検出アッセイに対して所望される感度があるため、DNAは、典型的には、まず、こうしたアッセイのサンプルからポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅される。PCR系のGMO検出方法は、それらの特異性のレベルによって分類することができる。それぞれのカテゴリーは、PCR反応で増幅されるDNAの同一性に対応する:(1)スクリーニング標的;(2)遺伝子特異的標的;(3)構築物特異的標的;および(4)事象特異的標的。
【0008】
PCR法の第1のカテゴリー(すなわち、スクリーニング標的、例えば、P−35S、T−35S、T−Nos、bla、およびornptll遺伝因子の増幅)は、形質転換材料を検出するための幅広い用途を有する。Matsuoka et al. (2002) J. Agric. Food Chem. 93:35-8。しかし、GMO由来のDNAの存在は必ずしもスクリーニング標的の存在から得られるものではないことから、これらの方法はGMOの同定に使用することができない。例えば、P−35SまたはT−35Sの供給源は、天然CaMVであり得る。Wolf et al. (2000) Eur. Food Res. Technol. 210:367-72。
【0009】
PCR法の第2のカテゴリー(すなわち、目的の遺伝子、例えば、CryIA遺伝子の増幅)は、第1のカテゴリーの方法よりも特異的である。Vaitilingom et al. (1999) J. Agric. Food Chem. 47:5261-6。利用可能な(また一般に使用されている)プロモーターおよびターミネーターよりも目的の遺伝子では多くの多様性があり、通常、特定導入遺伝子を増幅するための正のシグナルは、GM由来DNAがサンプル中に存在することを意味する。しかし、これらの方法は、目的の同じ遺伝子、例えば、除草剤耐性遺伝子などを含み得る様々なGMOを区別することができない。通常の導入遺伝子が他の遺伝子と共にスタックされ、特に特定のGMOの特性である組み合わせであるので、この欠点は、今後、一層問題化する。
【0010】
PCR法標的の第3のカテゴリー(すなわち、異種遺伝子構築物の隣接する因子間の、例えば、プロモーターと目的の遺伝子の間の結合の増幅)は、今日の技術の限界内において、形質転換事象の唯一の固有シグネチャーを提供する。Zimmerman et al. (1998) Lebensm. -Wiss u Technol. 31: 664-7。残念なことに、事象特異的な方法でさえもそれらに限界がある。例えば、2種のGMO(例えば、2種の異なるGMトウモロコシ、例えば、T25およびMon810)が交雑された場合、得られたハイブリッドの結果は両事象の特性を含んでいる可能性があり、したがって、PCR試験でその2種の親を判別することができない。これらの検出方法に関する困難なさらなる限界は、それぞれのGMOの同定に特異的プライマー対が必要とされることである。さらに、構築物の挿入部位に関する情報がプライマーの設計と検出アッセイの実施に必要であるが、このことによって特性決定されていないGMOの検出は不可能である。
【0011】
新しい手法は、サンプル中に存在する特定のGMOを探索し、同定するための最適なセットの異なる検出方法の選択を含む、一般的な方策に準拠する。Querci et al. (2010) Anal. Bioanal. Chem. 396:1991-2002。最近、多くのGMOに挿入されている特定のDNA配列と隣接する因子を含む、特定のGMOに対する最適な検出方法についての情報を提供するデータベースが提供された。Dong et al. (2008) BMC Bioinformatics 9:260。新しいGMOが導入され、GMO検出に関与する実体についての集合的タスクとして検出方法が調査された場合、データベースは更新され増やされることになっている。このデータベースは、GMO試験を実施する分析実験室にとっての有用なツールとなることが期待されている。
【0012】
しかし、将来、承認されたGMO植物の数が増加し、そのそれぞれがその独自の最適な検出方法を有することになることから、この一般通念によるGMO検出は非常に経費がかかるようになる。さらに、単一のGMOに複数の農業形質を組み合わせることがますます一般的になっていく(「遺伝子スタッキング」)。Taverniers et al. (2008) Environ. Biosafety Res. 7:197-218。遺伝子スタッキングは、GMO検出に困難な課題をもたらす。単一種子または個々の植物に由来する組織の試験を除き、既存の検出方法は、2種以上の単一形質GMO由来の材料の組み合わせ存在と単一のスタックGMOを十分に識別することができない。Akiyama et al. (2005) J. Agric. Food Chem. 55:5942-7;Holst-Jensen et al. (2006) J. Agric. Food Chem. 54:2799-809;Taverniers et al. (2008)、上掲。
【0013】
近年、マイクロアレイ/チップおよびマルチプレックスPCRを含むDNA系検出方法について、検出アッセイの感度およびアウトプットを高め、スタックGMOを同定することに関する可能性が調査された。例えば、Tengs et al. (2007) BMC Biotechnol. 7:91を参照されたい。例えば、Peano et al. (2005) Anal. Biochem. 346:90-100およびPrins et al. (2008) BMC Genomics 9:584では、導入遺伝子特異的連結反応、連結オリゴヌクレオチドのPCR増幅、ハイブリダイゼーションおよびマイクロアレイ検出を組み合わせる手法が報告された。この手法では、増幅したライゲーション産物を標的としたマイクロアレイ表面に固定されている複数のオリゴヌクレオチドタグを使用し、マルチプレックス機能を提供した。このような検出方法およびマルチプレックス手段は、GMO検出方法の開発に現在使用されている手法が、異なった多数の事象を含む複雑なサンプルから、将来高感度検出が必要とされるであろうという予測に応えるものであることを示している。
【発明の概要】
【0014】
本明細書では、多数の固有のトランスジェニック事象の存在を判定するための高特異的かつ高感度の単一PCR系検出アッセイを提供するシステムについて記載する。いくつかの実施形態において、本システムおよびその方法は、方法の実施にトランスジェニック事象の組込み部位に関するいかなる情報も必要でない。いくつかの実施例において、一対のオリゴヌクレオチドプライマー(普遍的プライマー対)を使用して、多数の異なる外来性構築物由来のポリヌクレオチドを増幅させ、その後、これを単一アッセイによって特異的に検出することができる。本明細書の実施形態は、類似の熱力学的特性を有し得る固有のヌクレオチド配列(ベクターのセット内)を利用するが、この配列(本明細書の一部の箇所では「固有外来性遺伝因子」または「UGE」と呼ぶ)は、特定の導入遺伝子に固有に関連しており、しかも、実質的に、ベクターのセット内の他のこうした固有ヌクレオチドと同じアッセイで検出され得る。本明細書のシステムおよび方法は、複数の導入遺伝子を検出/スクリーニングする単一の手段を提供することができ、その結果、外因存在試験に必要とされる検出アッセイの全体的な数を減らすことができる。
【0015】
いくつかの実施形態は、植物または植物材料(例えば、種子)中の異種核酸を同定する方法であって、異種核酸が5’ポリヌクレオチド、UGE、および3’ポリヌクレオチドを含む、方法を提供する。特定の実施形態において、こうした方法は、植物または植物材料由来のDNAを含むサンプルを提供するステップと;5’および3’ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする一対のオリゴヌクレオチドプライマーをDNAと接触させるステップと;5’ポリヌクレオチド、UGE、および3’ポリヌクレオチドを含むアンプリコンを増幅させるステップと;特異的プローブを使用して(例えば、蛍光系PCRアッセイ、例えば、加水分解プローブアッセイにおいて)UGEを検出するステップとを含む。特定の実施形態において、こうした方法は、5’ポリヌクレオチド、UGEおよび3’ポリヌクレオチドを含む増幅断片を配列決定することによりUGEを検出するステップを含む。本明細書でのいくつかの実施例によって証明されているように、特定の実施形態による方法は、一般的にいうGMO検出方法において先例がない驚くべき特異性を提供する。
【0016】
いくつかの実施形態は、植物または植物材料の少なくとも1種の異種核酸を検出するためのシステムを提供する。いくつかのシステムは、5’ポリヌクレオチド、UGEおよび3’ポリヌクレオチドを含有する異種核酸をそれぞれ含むベクターのセットを含み、ここで、5’ポリヌクレオチドおよび3’ポリヌクレオチドがベクターのセットにおいて普遍的であり(すなわち、全部に共通であり)、かつ、それぞれのベクターのUGEがセットに固有である。いくつかのシステムは、5’ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする普遍的フォワードプライマーオリゴヌクレオチドと、3’ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする普遍的リバースプライマーオリゴヌクレオチドを含み得る。特定のシステムは、プローブ分子のセットを含んでいてもよく、ここで、それぞれのプローブ分子はベクターセット中のUGE1つにだけ特異的にハイブリダイズする。
【0017】
本明細書のシステムおよび方法は、以前は利用不可能であった特異性および一般化可能性のレベルで、スタック導入遺伝子によるものを含む、GMO植物における莫大な数のトランスジェニック事象の存在の同定に使用することができる。いくつかの例において、本明細書のシステムおよび方法は、非常に経費のかかる手法となり得る、異なる事象に対する検出アッセイを独立して開発し、良好なGMOの有効範囲を得る個別の検出方法を組み合わせる必要性を省く。
【0018】
目的の多重遺伝子は、UGEおよび普遍的プライマー部位を含む植物転換ベクターへ導入することができ、また、これらのベクターを使用してトランスジェニック植物を得ることができる。その結果、多重遺伝子は形質転換され、単一UGE特異的検出アッセイを使用してトランスジェニック植物で追跡され得る。これらの構築物で形質転換されたトランスジェニック植物は、さらなる用途のためのトランスジェニック植物の同定に必要とされるアッセイ数をこれまで利用可能な技術と比較して著しく減らすバルク分離分析手法を使用して試験することができる。さらに、本明細書のシステムおよび方法は、目的の形質の存在、ならびに目的以外の形質の非存在(外因存在)に関する圃場サンプルの分析を容易にすることによって、形質遺伝子移入プログラムの商業的進出の決定を支援することができる。
【0019】
前述のおよび他の態様は、添付の図面を参照しながら進める、いくつかの実施形態に関する以下の詳細な説明からより一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】それぞれ、プラスミドpEPP1135〜pEPP1140由来の6つの例示的なUGE含有ポリヌクレオチド(配列番号55〜60)間の配列アライメントの概要を示す図である。F−プライマーおよびR−プライマーは、普遍的フォワードおよびリバースPCRプライマーを表わす。
【図2】UGE特異的PCRアッセイから得た検出結果を挙げる図である。UGE特異的プラスミドDNAを陽性対照(円で示す)として使用し、非トランスジェニックコーンDNAおよび鋳型無しの対照サンプルを陰性対照として使用した。サンプルは三連で実施した。
【図3】非常に低濃度の標的UGE DNAは、それに特異的にハイブリダイズするように設計された加水分解プローブを使用して検出することができることを示す検出結果を示す図である。0.0000001ng〜1ngの範囲の鋳型(プラスミドDNA)濃度をエンドポイントPCRにおいて試験した(左から右への配向を示す)。鋳型無しの対照は、特異性がないことを試験するため、含めた(円で示す)。
【図4】蛍光系加水分解PCRアッセイを使用する非トランスジェニックコーンゲノムDNAバックグラウンドに標的UGE(配列番号3)を含むプラスミドの検出結果を示す図である。融解曲線分析および標的に対するサイクル数および内部対照クロスポイント(Cp)を示している。
【図5】蛍光系加水分解PCRアッセイを使用する非トランスジェニックコーンゲノムDNAバックグラウンドに標的UGE(配列番号8)を含むプラスミドの検出結果を示す図である。融解曲線分析および標的に対するサイクル数および内部対照クロスポイント(Cp)を示している。
【図6】UGEクローニングの方策を示す概略図である。概略図において、「PTU」は植物形質転換ユニットを表わし、「ZP」はUGEを含むアンプリコンを表わす。「LB」および「RB」はそれぞれ、T−DNAの左境界配列および右境界配列を表わす。
【図7】農業形質プロジェクト用のUGEクローニングの方策の例を示す概略図である。この例は、選択可能マーカー(OsAct1−AAD1−ZmLip)と目的の作物栽培遺伝子の間にUGEがクローニングされたことを示す。
【図8】Tトランスジェニックコーン種子中のUGE配列の検出を示すデータを挙げる図である。陽性対照:UGE配列を含有するプラスミドDNA;陰性対照:非トランスジェニックコーンゲノムDNA;8A:UGE2を含有するトランスジェニックコーン種子;8B:UGE3を含有するトランスジェニックコーン種子。
【図9】ホモ接合トランスジェニックコーン種子サンプル中のUGE配列(UGE3)の検出を示すデータを示す図である。陰性対照−非トランスジェニックコーンDNA;陽性対照−ZCZ0000003プラスミドDNA;サンプル−UGE3を発現するトランスジェニックTコーン種子DNA(pDAB108526、pDAB108527、pDAB108528;表9に記載したように、6つの異なる種子供給源を使用した)。
【図10】トランスジェニックトウモロコシ(UGE3)由来のUGE検出の感度を示すデータを示す図である。陰性対照−非トランスジェニックコーンDNA;陽性対照−ZCZ0000003プラスミドDNAサンプル−トランスジェニックTコーン種子DNAの希釈(pDAB108526−供給源ID# ZQ11LQ199088.0016.016)。
【図11】スパイクしたトランスジェニック種子サンプル中のUGEの加水分解プローブPCRアッセイによる検出を示すデータを示す図である。陰性対照−非トランスジェニックコーンDNA;陽性対照−1%のゲノムDNA;サンプル−スパイクコーン種子由来の36のDNAサンプル(99個の非トランスジェニック種子中に1個のトランスジェニック種子)−12回の生物学的な繰り返しと3回の技術的な繰り返し。
【0021】
配列表
添付の配列表に列記された核酸配列は、37C.F.R.§1.822において規定されたように、ヌクレオチド塩基についての標準的な文字省略を使用して示している。各核酸配列の一方の鎖のみを示すが、相補鎖は表示した鎖をすべて考慮することにより含まれるものと理解する。添付の配列表において:
【0022】
配列番号1〜21は、(同一の)UGEポリヌクレオチド(それぞれ、「UGE1」〜「UGE21」)に特異的にハイブリダイズするように設計された例示的なオリゴヌクレオチドプローブを示す。
【0023】
配列番号22〜42は、アンプリコン(「アンプリコン1〜21」)を示し、それぞれ、例示のUGEと普遍的PCRフォワードプライマーおよびリバースプライマーに対する5’および3’結合部位を含む。
【0024】
配列番号43〜46は、加水分解プローブアッセイによるUGE検出用のアンプリコンを生成するための特定のUGE蛍光系PCRアッセイにおいて有用なプライマーを示す。
【0025】
配列番号47は、PCRと加水分解プローブ反応条件を実証するための特定の実施形態において陽性対照として使用可能なトウモロコシインベルターゼ遺伝子を示す。
【0026】
配列番号48は、PCRと加水分解プローブ反応条件を実証するための特定の実施形態において陽性対照として使用可能なトウモロコシZSSIIb遺伝子を示す。
【0027】
配列番号49〜50は、トウモロコシインベルターゼ遺伝子の一部の増幅に有用であるプライマーを示す。
【0028】
配列番号51は、トウモロコシインベルターゼ遺伝子の検出に使用可能なプローブオリゴヌクレオチドを示す。
【0029】
配列番号52〜53は、トウモロコシZSSIIb遺伝子の一部の増幅に有用であるプライマーを示す。
【0030】
配列番号54は、トウモロコシZSSIIb遺伝子の検出に使用可能なプローブオリゴヌクレオチドを示す。
【0031】
配列番号55〜60は、植物形質転換ベクターのセット(pEPP1135〜pEPP1140)のメンバー由来のUGE含有ポリヌクレオチドを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
I.いくつかの実施形態の概要
高感度で確実な検出方法が遺伝子組換え生物(GMO)のモニタリングに必要とされている。既存のDNA検出方法は、トランスジェニック植物におけるスクリーニング因子、植物特異的因子または事象特異的因子を標的とすることを対象としている。本明細書では、固有の合成非コード合成DNA配列(UGE)の使用について記載しており、これは、植物形質転換ベクターへ組み込まれた場合、確固たる普遍的アッセイ開発用の標的として機能を果たすことによりトランスジェニック植物をモニタリングするのを支援することができる。いくつかのUGE配列について蛍光系アッセイ開発の容易性を試験し、トランスジェニック植物のモニタリングにおけるそれらの有用性を証明した。普遍的プライマー部位に隣接されているUGEを含む構築物を植物形質転換ベクターに導入したところ、特異的加水分解プローブ検出アッセイがそれぞれの形質転換ベクターを速やかに追跡することが示された。
【0033】
II.略語
[0001] ABC−トランスポーター ATP−結合カセットトランスポーター
[0002] AP 外因存在
[0003] BHQ2 Black Hole Quencher(商標)−2
[0004] FAM 6−カルボキシフルオレセインアミダイト
[0005] FET 蛍光エネルギー転移
[0006] HEX ヘキサクロロ−フルオレセイン
[0007] MGBNFQ Minor Groove Binder非蛍光クエンチャー
[0008] PCR ポリメラーゼ連鎖反応
[0009] UGE 固有外来性遺伝因子
【0034】
III.用語
外因存在:本明細書で使用される場合、「外因存在」(AP)とは、植物材料サンプル中の極微量のトランスジェニック材料が意図的ではなく偶発的に混入していることを意味する。外因存在は、例えば、全体的に非トランスジェニック材料から構成されていると考えられるサンプル中の極微量のトランスジェニック材料の存在によって例証することができるか、または、全体的に異なるタイプのトランスジェニック材料から構成されていると考えられる材料のサンプル中の極微量のあるタイプのトランスジェニック材料の存在によって例証することができる。
【0035】
戻し交配:戻し交配方法は、植物への核酸配列の導入に使用することができる。戻し交配技術は、植物に新しい形質を導入するのに数十年間幅広く使用されてきた。Jensen, N., Ed. Plant Breeding Methodology, John Wiley & Sons, Inc., 1988。代表的な戻し交配プロトコルにおいて、目的のオリジナルの変種(反復戻し交配親)は、移そうとする目的の遺伝子を担持するもう1つの変種(非反復戻し交配親)に交配される。次いで、この交配から得られる後代が再度反復戻し交配親に交配され、非反復戻し交配親由来の移入遺伝子に加えて、本質的にすべての所望する反復性植物の形態学的特性および生理学的特性が転換植物において回収される植物が得られるまで、この方法は繰り返される。
【0036】
単離された:「単離された」生体成分(例えば、核酸またはタンパク質)は、その成分が天然に存在する生物体の細胞中の他の生体成分(すなわち、他の染色体および染色体外DNAおよびRNA、ならびにタンパク質)から、成分内で化学的変化または機能的変化をもたらしながら(例えば、核酸は、染色体中の残りのDNAに核酸を連結している化学結合を破壊することにより、染色体から単離することができる)、実質的に分離され、隔てて産生され、または離して精製されたものである。「単離された」核酸分子およびタンパク質は、標準の精製法によって精製された核酸分子およびタンパク質を含んでいる。またこの用語は、宿主細胞において組換え発現によって調製される核酸およびタンパク質、ならびに、化学的に合成される核酸分子、タンパク質およびペプチドを包含している。
【0037】
核酸分子:本明細書で使用される場合、用語「核酸分子」とは、重合形態のヌクレオチドを意味するものであってよい。これには、RNA、cDNA、ゲノムDNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の両方と、上記の合成形態および混合ポリマーが包含され得る。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはいずれかのタイプのヌクレオチドの修飾形態を意味するものであってよい。本明細書で使用される場合の「核酸分子」とは、「核酸」および「ポリヌクレオチド」と同義である。核酸分子は、別段の定めがない限り、通常、少なくとも10塩基長である。この用語は、一本鎖および二本鎖の形態のDNAが包含されている。核酸分子は、天然および/または非天然ヌクレオチド結合によって相互に連結されている天然ヌクレオチドと修飾ヌクレオチドのいずれかまたは両方を包含し得る。
【0038】
核酸分子は、当業者によって容易に認識されるように、化学的または生化学的に修飾されていてもよく、あるいは、非天然ヌクレオチド塩基または誘導体化ヌクレオチド塩基を含有していてもよい。こうした修飾としては、例えば、標識、メチル化、1つまたは複数の天然ヌクレオチドの類似体による置換、ヌクレオチド間の修飾(例えば、非荷電結合:例えば、メチルホスホン酸、リン酸トリエステル、ホスホロアミド酸、カルバミン酸など;荷電結合:例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど;ペンダント部分:例えば、ペプチド;インターカレーター:例えば、アクリジン、ソラレンなど;キレート剤;アルキル化剤;および修飾結合:例えば、アルファアノマー核酸など)が挙げられる。また用語「核酸分子」には、任意の位相幾何学的高次構造、例えば、一本鎖、二本鎖、部分的二重鎖、三重鎖、ヘアピン、環状、および施錠型の高次構造が含まれる。
【0039】
外来性:本明細書で核酸(例えば、ポリヌクレオチド、DNA、RNAおよび遺伝子)に適用される場合の用語「外来性」とは、それらの特定の環境または状況には通常存在しない、1つまたは複数の核酸(複数可)を意味する。例えば、宿主細胞が自然界の非形質転換宿主細胞では生じない核酸で形質転換される場合、その核酸は宿主細胞に対し外来性である。また、本明細書で使用される場合の用語外来性とは、宿主細胞中に既に存在する核酸と配列は同一であるが、宿主細胞内に既に存在する同一配列を有する核酸とは異なる細胞またはゲノムの状況で配置されている、1つまたは複数の核酸(複数可)を意味する。例えば、同一配列を有する核酸とは異なる場所で宿主細胞のゲノムに組み込まれる核酸は、通常、宿主細胞のゲノムに組み込まれた場合、宿主細胞に対し外来性である。さらに、同一配列を有する核酸が宿主細胞のゲノム中にのみ通常存在する場合、宿主細胞中のプラスミドまたはベクター中に存在する核酸(例えば、DNA分子)は、宿主細胞に対して外来性である。
【0040】
異種性:本明細書で核酸(例えば、ポリヌクレオチド、DNA、RNAおよび遺伝子)に適用される場合の用語「異種性」とは、異なる起原を意味する。例えば、宿主細胞が自然界の非形質転換宿主細胞では生じない核酸で形質転換される場合、その核酸は宿主細胞対し異種性(および外来性)である。さらに、形質転換している核酸の異なる因子(例えば、プロモーター、エンハンサー、コード配列、ターミネーターなど)は、相互に、かつ/または形質転換宿主に対し、異種性で有り得る。また、本明細書で使用される場合の用語異種性とは、宿主細胞中に既に存在する核酸と配列は同一であるが、異なる追加配列に現在連結されており、かつ/または異なるコピー数で存在するなどの1つまたは複数の核酸(複数可)に適用され得る。
【0041】
配列同一性:本明細書で使用される場合の用語「配列同一性」または「同一性」とは、2つの核酸またはポリペプチド配列の状況において、特定の比較ウィンドウにわたって、最大の一致となるように整列された場合に同一である2つの配列中の残基を意味し得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「配列同一性の割合」とは、比較ウィンドウにわたって、2つの最適に整列された配列(例えば、核酸配列およびアミノ酸配列)を比較することにより決定される値を意味し得る。ここで、比較ウィンドウにおける配列の一部は、この2つの配列の最適アライメントの(付加または欠失を含まない)参照配列と比較した場合に、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでいてもよい。前記割合は、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸の残基が両方の配列に生じる位置の数を決定して、マッチした位置の数を算出し、マッチした位置の数を、比較ウィンドウにおける位置の総数で割り、その結果に100を掛けて、配列同一性の割合を算出することにより計算される。
【0043】
比較のために配列を整列させる方法は、当分野において公知である。様々なプログラムおよびアライメントアルゴリズムが、例えば、Smith and Waterman (1981) Adv. Appl. Math. 2:482;Needleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:443;Pearson and Lipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:2444;Higgins and Sharp (1988) Gene 73:237-44;Higgins and Sharp (1989) CABIOS 5:151-3;Corpet et al. (1988) Nucleic Acids Res. 16:10881-90;Huang et al. (1992) Comp. Appl. Biosci. 8:155-65;Pearson et al. (1994) Methods Mol. Biol. 24:307-31;Tatiana et al. (1999) FEMS Microbiol. Lett. 174:247-50に記載されている。配列アライメント法および相同性算出の詳細な考察は、例えば、Altschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10で確認することができる。
【0044】
国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)ベーシックローカルアライメント検索ツール(BLAST(商標);Altschul et al. (1990))は、複数の配列分析プログラムと連結して使用するために、複数の供給元、例えば、国立バイオテクノロジー情報センター(Bethesda,MD)から、および、インターネット上で入手可能である。このプログラムを使用する配列同一性の決定方法の説明は、インターネット上で、BLAST(商標)の「help」欄で利用可能である。核酸配列の比較において、BLAST(商標)(Blastn)プログラムの「Blast2配列」機能を、デフォルトパラメーターを用いて使用することができる。参照配列に対しより一層大きな類似性を有する核酸配列は、この方法により評価された場合、同一性の割合が高くなることを示すであろう。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に同一の」とは、85%を超えて同一であるヌクレオチド配列を意味し得る。例えば、実質的に同一のヌクレオチド配列は、参照配列に対して少なくとも85.5%;少なくとも86%;少なくとも87%;少なくとも88%;少なくとも89%;少なくとも90%;少なくとも91%;少なくとも92%;少なくとも93%;少なくとも94%;少なくとも95%;少なくとも96%;少なくとも97%;少なくとも98%;少なくとも99%;または少なくとも99.5%同一であり得る。
【0046】
プローブ:いくつかの実施形態において、サンプル中の特定の核酸(例えば、UGE)の存在は、核酸プローブを使用することによって検出することができる。プローブは、DNA分子またはRNA分子であってよい。プローブは、特定の核酸のヌクレオチド配列の全部または一部を含有していてよく、また、少なくとも1つの追加のヌクレオチド配列および/または標識(複数可)を任意選択でさらに含有していてもよい。
【0047】
オリゴヌクレオチドプローブ配列は、合成的に、またはクローニングによって調製することができる。適切なクローニングベクターは、当業者には公知である。オリゴヌクレオチドプローブは、標識化されていてもよいし、標識されていなくてもよい。核酸分子を標識する様々な技術が存在し、例えば、限定するものではないが、ニックトランスレーション法による放射性標識;ランダムプライミング;末端デオキシトランスフェラーゼによる尾部付加などが挙げられ、この場合、使用されるヌクレオチドは、例えば、放射性32Pで標識される。使用可能な他の標識としては、例えば、限定するものではないが、フルオロフォア(例えば、単独使用で、またはクエンチャー併用);酵素;酵素基質;酵素補因子;酵素阻害剤などが挙げられる。あるいは、単独でまたは他の反応性薬剤と併せて、検出可能なシグナルを発生する標識の使用は、受容体が結合するリガンドに置き換えてもよく、この場合、受容体は、単独または他の試薬と併せるいずれかによって、検出可能なシグナルを発生するように(例えば、上記の標識により)標識されている。例えば、Leary et al. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4045-9を参照されたい。
【0048】
またプローブは、検出しようとする特定の核酸(すなわち、標的)に「特異的にハイブリダイズ可能な」または「特異的に相補的である」核酸分子であってよい。「特異的にハイブリダイズ可能な」および「特異的に相補的である」とは、プローブと標的との間で安定した特異的結合が起こるような十分な相補性の程度を示す用語である。核酸分子は、特異的にハイブリダイズ可能であるためには、その標的配列に100%相補的である必要はない。核酸分子は、特異的結合が望ましい条件下で、例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、核酸が非標的配列へ非特異的結合するのを回避する程度の十分な相補性がある場合、特異的にハイブリダイズ可能である。
【0049】
特定のストリンジェンシーの程度をもたらすハイブリダイゼーション条件は、選択するハイブリダイゼーション法の性質およびハイブリダイズする核酸配列の組成および長さに応じて変動する。一般的に、ハイブリダイゼーションの温度およびハイブリダイゼーションバッファーのイオン強度(特に、Naおよび/またはMg++濃度)がハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定するが、洗浄回数もまたストリンジェンシーに影響する。ストリンジェンシーの特定の程度を得るのに必要とされるハイブリダイゼーション条件に関する計算は当業者に公知であり、例えば、Sambrook et al. (ed.) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., vol. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989, chapters 9 and 11;およびHames and Higgins (eds.) Nucleic Acid Hybridization, IRL Press, Oxford, 1985で論じられている。核酸のハイブリダイゼーションに関するさらなる詳細な指示とガイダンスは、例えば、Tijssen, "Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays," in Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes, Part I, Chapter 2, Elsevier, NY, 1993;およびAusubel et al., Eds., Current Protocols in Molecular Biology, Chapter 2, Greene Publishing and Wiley-Interscience, NY, 1995で確認することができる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「ストリンジェントな条件」は、ハイブリダイゼーション分子とDNA標的の間のミスマッチが25%未満である場合にだけハイブリダイゼーションが生じる条件を含む。「ストリンジェントな条件」は、特定レベルのストリンジェンシーをさらに包含する。したがって、本明細書で使用される場合、「穏やかなストリンジェンシー」条件は、配列ミスマッチが25%を超える分子はハイブリダイズしない条件下のものであり、「中間のストリンジェンシー」はミスマッチが15%を超える分子はハイブリダイズしないという条件下のものであり;「高ストリンジェンシー」条件は、ミスマッチが10%を超える配列はハイブリダイズしないという条件下のものである。「超高ストリンジェンシー」の条件は、ミスマッチが6%を超える配列はハイブリダイズしないという条件下のものである。
【0051】
特定の実施形態において、ストリンジェントな条件は、6×生理食塩水クエン酸ナトリウム(SSC)バッファー、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、および100μg剪断サケ精巣DNA中、65℃でのハイブリダイゼーション、続いて2×SSCバッファーおよび0.5%SDS中、続いて1×SSCバッファーおよび0.5%SDS中、最後に0.2×SSCバッファーおよび0.5%SDS中、65℃での15〜30分の連続洗浄である。
【0052】
作動可能に連結された:第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的な関係がある場合、第1の核酸配列は第2の核酸配列に作動可能に連結されている。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を与える場合、プロモーターはコード配列に作動可能に連結されている。組換え的に産生される場合、作動可能に連結された核酸配列は通常連続しており、必要に応じて、同一リーディングフレーム内で2種のタンパク質コード領域を連結させる。しかし、因子は、作動可能に連結されるのに連続している必要はない。
【0053】
プロモーター:転写に必要とされる、一般に上流(遺伝子の5’領域方向)に配置されているDNAの領域である。プロモーターは、それらが調節する遺伝子を適切に活性化または抑制することができる。プロモーターは、転写因子によって認識される特定配列を含有する。これらの因子はプロモーターDNA配列に結合し、遺伝子のコード領域からRNAを合成する酵素である、RNAポリメラーゼを漸増させる。いくつかの実施形態において、組織特異的プロモーターが使用される。組織特異的プロモーターは、生物の他の組織よりもプロモーターが特異的である組織において、関連遺伝子の高レベルの転写を指示するDNA配列である。組織特異的プロモーターの例としては、タペータム特異的プロモーター;葯特異的プロモーター;花粉特異的プロモーター(例えば、米国特許第7,141,424号および国際PCT出願第WO99/042587号を参照されたい);胚珠特異的プロモーター(例えば、米国特許出願第2001/047525 A1号を参照されたい);果実特異的プロモーター(例えば、米国特許第4,943,674号および同第5,753,475号を参照されたい);ならびに種子特異的プロモーター(例えば、米国特許第5,420,034号および同第5,608,152号を参照されたい)が挙げられる。いくつかの実施形態において、発生段階特異的プロモーター、例えば、発生後期段階で活性のあるプロモーターもまた使用される。
【0054】
形質転換される:ウイルスまたはベクターは、それが核酸分子を細胞に移す場合、細胞を「形質転換する」か、「形質導入する」。核酸分子の細胞ゲノムへの組込み、またはエピソーム複製のいずれかにより核酸分子が細胞により安定的に複製される場合、細胞は、細胞内に形質導入された核酸分子により「形質転換」される。本明細書で使用される場合、用語「形質転換」は、核酸分子をこうした細胞内に導入することができるすべての技術を含む。例としては、限定するものではないが、ウイルスベクターによるトランスフェクション、プラスミドベクターによる形質転換、エレクトロポレーション(Fromm et al. (1986) Nature 319:791-3)、リポフェクション(Felgner et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413-7)、マイクロインジェクション(Mueller et al. (1978) Cell 15:579-85);アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介による移入(Fraley et al. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4803-7)、DNA直接取り込み、および微粒子銃(Klein et al. (1987) Nature 327:70)が挙げられる。
【0055】
導入遺伝子:外来性核酸配列。一例において、導入遺伝子は、遺伝子配列(例えば、除草剤耐性遺伝子)、産業的または製薬的に有用な化合物をコードしている遺伝子、または所望する農業上の形質をコードしている遺伝子である。さらに別の例において、導入遺伝子はアンチセンス核酸配列であって、この場合、アンチセンス核酸配列の発現が標的核酸配列の発現を阻害する。導入遺伝子は、この導入遺伝子に作動可能に連結している制御配列(例えば、プロモーター)を含有し得る。
【0056】
ベクター:本明細書で使用される場合、用語「ベクター」とは、少なくとも1つの核酸セグメント(複数可)を細胞に移入することができるポリヌクレオチドまたは他の分子を意味する。ベクターは、ベクター維持を媒介し、かつ/またはその目的の使用を可能にする成分/因子(例えば、複製、薬剤耐性もしくは抗生物質耐性を付与する遺伝子、多重クローニング部位、および/または、クローン化遺伝子を発現させることができる作動可能に連結されているプロモーター/エンハンサー因子に必要な配列)を任意選択で含むことができる。ベクターは、例えば、プラスミド、バクテリオファージ、または植物もしくは動物ウイルスに由来するものであってよい。「クローニングベクター」、「シャトルベクター」または「サブクローニングベクター」は、一般に、クローニングステップまたはサブクローニングステップを容易にするための作動可能に連結されている因子を含む(例えば、複数の制限エンドヌクレアーゼ部位を含有する多重クローニング部位)。
【0057】
発現ベクター:本明細書で使用される場合の用語「発現ベクター」とは、特定の宿主生物でコード配列の発現を促進し得る、作動可能に連結されているポリヌクレオチド配列を含むベクターを意味する。例えば、細菌の発現ベクターは、細菌でコード配列の発現を促進し得る。同様に、植物発現ベクターは、植物細胞でコード配列の発現を促進し得る。原核生物で発現を促進するポリヌクレオチド配列としては、例えば、限定するものではないが、プロモーター;オペレーター;およびリボソーム結合部位が挙げられる。真核生物の発現ベクター(例えば、植物発現ベクター)は、例えば、プロモーター;エンハンサー;終止コドン;および原核生物の発現ベクターにおいて使用されるものとは通常異なるポリアデニル化シグナル(および他の配列)を含み得る。
【0058】
形質または表現型:用語「形質」と「表現型」は、本明細書では同義に使用される。本開示の目的において、特定に興味深い形質としては、例えば、作物において発現され得る場合、作物学的に重要な形質を包含している。
【0059】
固有外来性遺伝因子(UGE):UGEは、植物形質転換ベクターに組み込まれた場合に、DNA検出アッセイの標的として機能する、固有の合成DNA配列である。まず、1つの固有の事前確認済みUGEを植物形質転換ベクターに導入する。次に、UGE含有植物形質転換ベクターを、同一プロモーターによって駆動される多重遺伝子のクローニングに使用する。UGE特異的蛍光系PCRアッセイは、比較的に容易にそれぞれの形質転換ベクターを追跡するために急速に開発されている。これらの構築物に由来するトランスジェニック植物は、バルク分離分析手法を使用して試験しアッセイの数を有意に減らすことができる。
【0060】
IV.固有外来性遺伝因子
本明細書の実施形態は、核酸のUGE特異的検出の普遍的方法を開発するために使用することができる、固有の合成非コード合成DNA配列(本明細書では「固有外来性遺伝因子」または「UGE」と呼ばれる)を包含する。UGEは、セットのそれらのすべてがハイブリダイゼーションアッセイにおけるオリゴヌクレオチドと同様の熱力学的特性を有するように設計することができる。例えば、生物体へ導入するための核酸のセットのうち、別個の/固有のUGEのセットは、そのセットの核酸に目的のさらなる核酸(複数可)と共に包含され、特異的に識別可能な方法で、特定の会社または研究所からの構築物、特定のクラスの遺伝子または遺伝因子を含有する構築物、および/またはこうした構築物を含むGMO(例えば、植物)を同定することができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、UGEは、このセットに普遍的である、通常プライマーに隣接され増幅される固有の同定マーカーであり、その結果、UGEを含む核酸を、例えば、DNA配列分析、ハイブリダイゼーション、および蛍光系PCR分析によって、普遍的かつ特異的に同定することができる。いくつかの例において、GMO中のUGEを含む異種核酸は、UGEに特異的にハイブリダイズする固有の消光可能な蛍光標識プローブ(例えば、加水分解プローブ)と共に、蛍光系リアルタイムPCR方法を使用して同定することができる。例えば、UGEオリゴヌクレオチドそのものは、標識プローブ分子に組み込むことができる。普遍的PCRプライマーおよびUGEは、多数の異なる導入遺伝子を含む複合GMO材料に対し、単一アッセイで高特異的かつ高効率の増幅および蛍光系検出を提供することができる。いくつかの例において、GMO中のUGEを含む異種核酸は、サンプル中に存在するUGEの同一性が判定されるように、普遍的プライマーに隣接されている増幅DNA断片を配列決定することにより同定することができる。
【0062】
蛍光結合PCRは、特定の実施形態において検出アッセイとして利用される。こうしたPCR系アッセイは、当技術分野で公知である。米国特許第5,210,015号および同第5,487,972号。例えば、特定の実施形態は、3つのオリゴヌクレオチド:フォワードプライマー;リバースプライマー;および蛍光発生プローブが関与するPCR反応を利用する。蛍光発生プローブとしては、例えば、限定するものではないが、リポーター蛍光色素により5’末端で標識されているオリゴヌクレオチド(例えば、FAMおよびHEX)と、クエンチャー色素により3’末端で標識されているオリゴヌクレオチド(例えば、MGBNFQおよびBHQ2)を挙げることができる。こうした例示的プローブ分子において、特定波長(488nm)におけるリポーター蛍光色素の励起は、クエンチャー色素に対し空間的に近接した結果によるFET抑制によって蛍光は誘導されない。加水分解プローブPCRアッセイの際、プローブはプライマーと最初に標的DNAにハイブリダイズする。伸長段階において、プライマー間に配置されているプローブはポリメラーゼと接触し、そのエキソヌクレアーゼ活性によって加水分解される。プローブの加水分解は蛍光リポーターをFET抑制から解放し、リポーターの蛍光はPCR産物の蓄積に応じて各々のPCRサイクルで増加する。
【0063】
いくつかの実施形態において、UGEは、オリゴヌクレオチドプローブがセット中のそれぞれのUGEに特異的にハイブリダイズするように設計され得るように、UGEを含むセット内の適切な配列多様性を提供するのに十分な長さを有するように設計される。例えば、UGEは、例えば、限定するものではないが、約10を超える;約15を超える;約20を超える;約25を超える;約10〜約25;約15〜約25;約10〜約20;約15〜約20のヌクレオチド長であるように設計することができる。特定の実施形態において、UGEは、UGE1〜UGE21(配列番号1〜21)からなる群から選択される。
【0064】
いくつかの実施形態において、UGEは、隣接する普遍的プライマーをさらに含む増幅可能な核酸(アンプリコン)に含まれていてもよい。いくつかの例において、隣接する普遍的プライマーはUGEに直接隣接していてもよく;すなわち、任意のさらなるヌクレオチド配列により分離されない。UGEおよび隣接する普遍的プライマーを含むアンプリコンは、PCR反応において増幅可能なように十分な長さであり得る。例えば、限定するものではないが、こうしたアンプリコンは、約150未満;約130未満;約110未満;約100未満;約90未満;約85未満;約80未満;約60〜約100;約60〜約90;約60〜約80;約70〜約100;約70〜約90;約70〜約80のヌクレオチド長であってよい。特定の実施形態において、UGEおよび隣接するプライマー部位を含むアンプリコンは、アンプリコン1〜21(配列番号22〜42)からなる群から選択される。
【0065】
いくつかの実施形態において、UGE(例えば、隣接する普遍的プライマーをさらに含むアンプリコン中のもの)は、例えば、例えば限定するものではないが線状プラスミドおよび閉鎖環状プラスミドをはじめとするベクターシステムに含まれ得る。特定の例において、ベクターは発現ベクターであってもよい。特定の実施形態によるUGEを含むアンプリコンは、例えば、核酸配列が1つまたは複数の制御配列に作動可能に連結されるようベクターに挿入することができる。多数のベクターをこの目的に利用することができ、特定のベクターの選択は、例えば、ベクターに挿入しようとする核酸のサイズ、ベクターで形質転換される特定の宿主細胞、および/または発現されることが望まれる融合タンパク質の量に依存し得る。ベクターは、典型的には様々な成分を含有しており、その同一性は、ベクターの機能(例えば、DNAの増幅およびDNAの発現)ならびにベクターが適合する特定の宿主細胞に依存する。
【0066】
いくつかの実施形態は、普遍的プライマー部位に隣接されているUGEと、少なくとも1つの制御配列に作動可能に連結されている目的の遺伝子を含む植物形質転換ベクターを包含し得る。目的の遺伝子は、制御配列(複数可)のコントロール下において、植物細胞、組織または生物体で発現させ、融合タンパク質を産生させることができる。こうした制御配列は、宿主植物細胞において機能するプロモーター配列であってよい。
【0067】
いくつかの実施形態による核酸分子での使用に適したプロモーターは、誘導性、ウイルス性、合成、または構成的であるものが挙げられ、それらのすべては当技術分野で公知である。本発明の実施形態において有用であり得るプロモーターの非限定的な例は、以下によって提供される:米国特許第6,437,217号(トウモロコシRS81プロモーター);同第5,641,876号(イネアクチンプロモーター);同第6,426,446号(トウモロコシRS324プロモーター);同第6,429,362号(トウモロコシPR−1プロモーター);同第6,232,526号(トウモロコシA3プロモーター);同第6,177,611号(構成的トウモロコシプロモーター);同第5,322,938号、第5,352,605号、第5,359,142号および第5,530,196号(35Sプロモーター);同第6,433,252号(トウモロコシL3オレオシンプロモーター);同第6,429,357号(イネアクチン2プロモーター、およびイネアクチン2イントロン);同第6,294,714号(光誘導性プロモーター);同第6,140,078号(塩誘導性プロモーター);同第6,252,138号(病原体誘導性プロモーター);同第6,175,060号(亜リン酸欠損誘導性プロモーター);同第6,388,170号(双方向性プロモーター);同第6,635,806号(ガンマ−コイキシン(coixin)プロモーター);および米国特許出願第09/757,089号(トウモロコシ葉緑体アルドラーゼプロモーター)。
【0068】
追加の例示的なプロモーターとしては、ノパリンシンターゼ(NOS)プロモーター(Ebert et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84(16):5745-9);オクトピンシンターゼ(OCS)プロモーター(アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の腫瘍誘発プラスミド上に担持されているもの);カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)19Sプロモーターなどのカリモウイルスプロモーター(Lawton et al. (1987) Plant Mol. Biol. 9:315-24);CaMV 35Sプロモーター(Odell et al. (1985) Nature 313:810-2);ゴマノハグサ(figwort)モザイクウイルス35S−プロモーター(Walker et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84(19):6624-8);スクロースシンターゼプロモーター(Yang and Russell (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:4144-8);R遺伝子複合体プロモーター(Chandler et al. (1989) Plant Cell 1:1175-83);クロロフィルa/b結合タンパク質遺伝子プロモーター;CaMV35S(米国特許第5,322,938号、同第5,352,605号、同第5,359,142号、および同第5,530,196号);FMV35S(米国特許第6,051,753号、および同第5,378,619号);PC1SVプロモーター(米国特許第5,850,019号);SCP1プロモーター(米国特許第6,677,503号);およびAGRtu.nosプロモーター(GenBank受託番号V00087、Depicker et al. (1982) J. Mol. Appl. Genet. 1:561-73;Bevan et al. (1983) Nature 304:184-7)が挙げられる。
【0069】
特定の実施形態において、本発明の核酸分子は組織特異的プロモーターを含んでいてもよい。組織特異的プロモーターは、生物のその他の組織と比べて、プロモーターが特異的である組織において作動可能に連結されているヌクレオチド配列の高レベルの転写を指示するヌクレオチド配列である。組織特異的プロモーターの例としては、限定するものではないが、タペート組織特異的プロモーター;葯特異的プロモーター;花粉特異的プロモーター(例えば、米国特許第7,141,424号および国際PCT出願第WO99/042587号を参照されたい);胚珠特異的プロモーター(例えば、米国特許出願第2001/047525 A1号を参照されたい);果実特異的プロモーター(例えば、米国特許第4,943,674号および同第5,753,475号を参照されたい);および種子特異的プロモーター(例えば、米国特許第5,420,034号および同第5,608,152号を参照されたい)が挙げられる。いくつかの実施形態において、発生段階特異的プロモーター(例えば、発生の後期段階で活性のあるプロモーター)は、本発明の組成物または方法において使用することができる。
【0070】
いくつかの実施形態において核酸分子に作動可能に連結され得る追加の制御配列としては、プロモーター配列と翻訳リーダー配列として機能するコード配列の間に位置している5’UTRが挙げられる。翻訳リーダー配列は完全にプロセシングされたmRNAに存在しており、一次転写物のプロセシングおよび/またはRNA安定性に影響を及ぼし得る。翻訳リーダー配列の例としては、トウモロコシおよびペチュニア熱ショックタンパク質リーダー(米国特許第5,362,865号)、植物ウィルスコートタンパク質リーダー、植物ルビスコリーダー、ならびに他が挙げられる。例えば、Turner and Foster (1995) Molecular Biotech. 3(3):225-36を参照されたい。5’UTRの非限定的な例は、GmHsp(米国特許第5,659,122号);PhDnaK(米国特許第5,362,865号);AtAnt1;TEV(Carrington and Freed (1990) J. Virol. 64:1590-7);およびAGRtunos(GenBank受託番号V00087;およびBevan et al. (1983)、上掲)により提供される。
【0071】
また、いくつかの実施形態において核酸分子に作動可能に連結され得る追加の制御配列としては、3’非翻訳配列、3’転写終止領域、またはポリアデニル化領域が挙げられる。これらは、ヌクレオチド配列の下流に位置している遺伝因子であって、ポリアデニル化シグナル、および/または転写もしくはmRNAプロセシングに影響を及ぼし得る他の制御シグナルを提供するポリヌクレオチドが挙げられる。ポリアデニル化シグナルは、mRNA前駆体の3’末端へのポリアデニル酸ヌクレオチドの付加を引き起こすように植物において機能する。ポリアデニル化配列は、様々な植物遺伝子に、またはT−DNA遺伝子に由来し得る。3’転写終止領域の非限定的な例は、ノパリンシンターゼ3’領域である(nos 3’;Fraley et al. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4803-7)。異なる3’非翻訳領域の使用の例は、Ingelbrecht et al. (1989) Plant Cell 1:671-80で提供されている。ポリアデニル化シグナルの非限定的な例としては、エンドウ(Pisum sativum)RbcS2遺伝子(Ps.RbcS2−E9;Coruzzi et al. (1984) EMBO J. 3:1671-9)およびAGRtu.nos(GenBank受託番号E01312)由来のものが挙げられる。
【0072】
特定の実施形態において有用であり得る制御配列に関する追加の情報は、例えば、Goeddel (1990) "Gene Expression Technology," Methods Enzymol. 185, Academic Press, San Diego, CAに記載されている。
【0073】
本発明の組換え核酸分子またはベクターは、形質転換細胞、例えば植物細胞などに選択可能な表現型を付与する選択可能マーカーを含んでいてもよい。また、選択可能マーカーを使用して、本発明の核酸分子を含む植物または植物細胞を選択することもできる。マーカーは、殺生物剤耐性、抗生物質耐性(例えば、カナマイシン、ジェネテシン(G418)、ブレオマイシン、およびハイグロマイシン)、または除草剤耐性(例えば、グリホサート)をコードしていてよい。選択可能マーカーの例としては、限定するものではないが、カナマイシン耐性を付与し、また、例えば、カナマイシンおよびG418を使用するために選択することができるneo遺伝子;ビアラホス耐性を付与するbar遺伝子;グリホサート耐性を付与する変異EPSPシンターゼ遺伝子;ブロモキシニルに対する耐性を付与するニトリラーゼ遺伝子;イミダゾリノンまたはスルホニル尿素耐性を付与する変異アセト乳酸シンターゼ遺伝子(ALS);およびメトトレキサート耐性DHFR遺伝子が挙げられる。化学薬剤、例えば、限定するものではないが、アンピシリン;ブレオマイシン;クロラムフェニコール;ゲンタマイシン;ハイグロマイシン;カナマイシン;リンコマイシン;メトトレキサート;ホスフィノトリシン;ピューロマイシン;スペクチノマイシン;リファンピシン;ストレプトマイシン;およびテトラサイクリンに対する耐性を付与する複数の選択可能マーカーを利用することができる。こうした選択可能マーカーの例は、例えば、米国特許第5,550,318号;同第5,633,435号;同第5,780,708号および同第6,118,047号に説明されている。
【0074】
また、もしくは代わりに、本発明の核酸分子またはベクターは、スクリーニング可能マーカーを含んでいてもよい。スクリーニング可能なマーカーを使用して発現をモニターすることができる。例示的なスクリーニング可能なマーカーとしては、様々な発色基質が知られている酵素をコードするβ−グルクロニダーゼまたはuidA遺伝子(GUS)(Jefferson et al. (1987) Plant Mol. Biol. Rep. 5:387-405);植物組織においてアントシアニン色素(赤色)の生成を制御する産物をコードするR−locus遺伝子(Dellaporta et al. (1988) "Molecular cloning of the maize R-nj allele by transposon tagging with Ac." In 18th Stadler Genetics Symposium, P. Gustafson and R. Appels, eds., Plenum, NY (pp. 263-82));β−ラクタマーゼ遺伝子(Sutcliffe et al. (1978) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:3737-41);様々な発色基質が知られている酵素をコードする遺伝子(例えば、PADAC、発色セファロスポリン);ルシフェラーゼ遺伝子(Ow et al. (1986) Science 234:856-9);発色カテコールを変換するカテコールジオキシゲナーゼをコードするxylE遺伝子(Zukowski et al. (1983) Gene 46(2-3):247-55);アミラーゼ遺伝子(Ikatu et al. (1990) Bio/Technol. 8:241-2);チロシンをDOPAおよびドパキノンへと酸化し、次いでメラニンへ縮合させることができる酵素をコードするチロシナーゼ遺伝子(Katz et al. (1983) J. Gen. Microbiol. 129:2703-14);およびα−ガラクトシダーゼが挙げられる。
【0075】
宿主細胞の形質転換に適した方法としては、例えば、限定するものではないが、プロトプラストの形質転換によって(例えば、米国特許第5,508,184号を参照されたい);脱水/阻害媒介型のDNA組込みによって(例えば、Potrykus et al. (1985) Mol. Gen. Genet. 199:183-8を参照されたい);エレクトロポレーションによって(例えば、米国特許第5,384,253号を参照されたい);炭化珪素繊維を用いた撹拌によって(例えば、米国特許第5,302,523号および同第5,464,765号を参照されたい);アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性形質転換によって(例えば、米国特許第5,563,055号、同第5,591,616号、同第5,693,512号、同第5,824,877号、同第5,981,840号、および同第6,384,301号を参照されたい);ならびにDNA被覆粒子の加速によって(例えば、米国特許第5,015,580号、同第5,550,318号、同第5,538,880号、同第6,160,208号、同第6,399,861号、および同第6,403,865号を参照されたい)、DNAを細胞内に導入することができる任意の方法が挙げられる。このような技法を適用することによって、実質的にいかなる種の細胞も安定的に形質転換することができる。いくつかの実施形態において、形質転換しているDNAは宿主細胞のゲノムに組み込まれる。多細胞種の場合、トランスジェニク細胞はトランスジェニック生物に再生させることができる。これらの技法のいずれかを使用して、例えば、トランスジェニック植物のゲノムに本発明の1つまたは複数の核酸配列を含むトランスジェニック植物を産生することができる。
【0076】
植物に発現ベクターを導入するための最も幅広く利用されている方法は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)の天然形質転換システムに基づいている。A.ツメファシエンス(A. tumefaciens)およびA.リゾゲネス(A. rhizogenes)は、植物細胞に遺伝的形質転換を起こす植物病原性土壌細菌である。A.ツメファシエンス(A. tumefaciens)およびA.リゾゲネス(A. rhizogenes)のそれぞれのTおよびRプラスミドは、植物の遺伝的形質転換の原因となり得る遺伝子を担持している。T(腫瘍誘発性)−プラスミドは、T−DNAとして知られている大きなセグメントを含有しており、これが形質転換植物に移入される。Tプラスミドの別のセグメントであるvir領域は、T−DNA移入に関与している。T−DNA領域は、それぞれ末端反復ヌクレオチド配列で構成されている左側および右側ボーダーに隣接している。いくつかの改変バイナリーベクターにおいては、腫瘍誘発性遺伝子は欠失されており、vir領域の機能を利用して、T−DNAボーダー配列に隣接している外来DNAを移入する。またT−領域は、例えば、トランスジェニック植物および細胞を効率的に回収する選択可能なマーカー、ならびに本発明の融合タンパク質をコードしている核酸などを移入するための挿入配列に関する複数のクローニング部位を含有していてもよい。
【0077】
したがって、いくつかの実施形態においては、植物形質転換ベクターは、A.ツメファシエンス(A. tumefaciens)のTプラスミド(例えば、米国特許第4,536,475号、同第4,693,977号、同第4,886,937号、および同第5,501,967号、ならびに欧州特許EP 0 122 791を参照されたい)、またはA.リゾゲネス(A. rhizogenes)のRプラスミドに由来する。追加の植物形質転換ベクターとしては、例えば、限定するものではないが、Herrera-Estrella et al. (1983) Nature 303:209-13;Bevan et al. (1983)、上掲;Klee et al. (1985) Bio/Technol. 3:637-42;および欧州特許EP 0 120 516に記載されているベクター、ならびに前述のいずれかに由来するものが挙げられる。植物と自然的に相互作用する他の細菌、例えば、シノリゾビウム(Sinorhizobium)、根粒菌(Rhizobium)、およびメソリゾビウム(Mesorhizobium)などは、多くの様々な植物への遺伝子移入を媒介するように改変することができる。これらの植物関連共生細菌は、解除されたTプラスミドと適切なバイナリーベクターの両方を獲得することによって遺伝子移入用のコンピテントが作製され得る。
【0078】
レシピエント細胞に外来性DNAを提供した後、形質転換細胞は、一般に、さらなる培養と植物再生のために同定される。形質転換細胞を同定する能力を改善するため、前述のように、形質転換体の作製に使用されるベクターと共に、選択可能またはスクリーニング可能なマーカー遺伝子を使用することが望まれ得る。選択可能なマーカーを使用する場合、形質転換細胞は、この細胞を1つまたは複数の選択的薬剤に曝露することによって、潜在的形質転換細胞群内で同定される。スクリーニング可能なマーカーを使用する場合、細胞は、所望のマーカー遺伝子形質についてスクリーニングすることができる。
【0079】
選択的薬剤への曝露で生存する細胞、またはスクリーニングアッセイにおいてポジティブスコア化された細胞は、植物の再生をサポートする培地で培養することができる。いくつかの実施形態において、任意の適切な植物組織培養培地(例えば、MSおよびN6培地)は、さらなる物質、例えば、成長調節物質などを含むことにより改変することができる。組織は、植物再生の取組みを開始するのに十分な組織が入手できるまで、またはマニュアル選択の繰り返しラウンドに続いて、この組織の形態が再生に適するようになるまで(例えば、少なくとも2週間)、成長調節物質を含む基本培地上に維持され、次いで、苗条形成を促進する培地に移され得る。培養物は、十分な苗条形成が得られるまで定期的に移される。苗条が形成されたならば、根形成を促進する培地に移される。十分な根が形成されたならば、植物をさらに成長および成熟させるため、土壌に移すことができる。
【0080】
アグロバクテリウム(Agrobacterium)依存性形質転換法を使用して形成されるトランスジェニック植物は、典型的には、1つの染色体に挿入される単一組換えDNA配列を含有する。単一組換えDNA配列は、「トランスジェニック事象」または「組込み事象」と呼ばれる。こうしたトランスジェニック植物は、挿入DNA配列に対してヘテロ接合性である。いくつかの実施形態において、導入遺伝子に関してホモ接合性であるトランスジェニック植物は、単一外来性遺伝子配列を含有する独立した分離個体トランスジェニック植物をそれ自体に、例えば、F植物に性別的に交配させ(自家受粉)、F種子を産生することによって得られる。産生されたF種子の4分の1は、導入遺伝子に関してホモ接合性である。F種子が出芽すると、典型的には、ヘテロ接合体とホモ接合体を区別することができるSNPアッセイまたは熱増幅アッセイ(すなわち、接合性アッセイ)を使用して、ヘテロ接合性について試験することができる植物が得られる。
【0081】
本発明の核酸分子による植物または植物細胞の直接的形質転換に加えて、トランスジェニック植物は、少なくとも1つのトランスジェニック事象を有する第1の植物とこうした事象を欠失している第2の植物とを交雑させることによって、いくつかの実施形態において調製することができる。例えば、UGEを含む核酸分子を、形質転換に適している第1の植物系統に導入してトランスジェニック植物を産生することができ、そのトランスジェニック植物を第2の植物系統と交雑させて、UGEを含む核酸分子を第2の植物系統に移入させることができる。
【0082】
本明細書のいくつかの実施形態において、任意のGMOを分析することができる。特定の実施形態において、GMOは遺伝子組換え植物である。本明細書の特定のシステムおよび方法を使用して分析される植物材料サンプルは、異なる多数の外来性核酸、例えば、限定するものではないが、遺伝子組換え植物に特異的であるか、または遺伝子組換え植物起原を有する外来性核酸を含み得る任意の物質であってよい。いくつかの例において、サンプルは、食品、食品成分、食品添加物および/またはGMO由来の材料を含み得る固体もしくは液体状の抽出物であってよい。いくつかの例において、核酸は、分析前に、植物材料サンプルから抽出することができる。
【0083】
遺伝子組換え植物は、双子葉植物または単子葉植物の植物種であってよい。本発明の特定の実施形態によって分析され得る双子葉植物からの植物細胞の非限定的な例としては、次のものが挙げられる:アルファルファ;マメ;アブラナ;ブロッコリー;キャベツ;キャノーラ;ニンジン;カリフラワー;セロリ;ハクサイ;ワタ;キュウリ;ナス;レタス;メロン;エンドウ;トウガラシ;ピーナッツ;ジャガイモ;カボチャ;ラディッシュ;ナタネ;ホウレンソウ;ダイズ;カボチャ;テンサイ;ヒマワリ;タバコ;トマト;およびスイカ。本発明の特定の実施形態によって分析され得る単子葉植物からの植物細胞の非限定的な例としては、次のものが挙げられる:トウモロコシ;タマネギ;イネ;モロコシ;コムギ;ライムギ;キビ;サトウキビ;オートムギ;ライコムギ;スイッチグラス;およびターフグラス。
【0084】
以下の実施例は、ある特定の態様および/または実施形態を説明するために提供されている。実施例は、例示されている特定の態様または実施形態に本開示を限定するものと解釈されるべきではない。
[実施例]
【実施例1】
【0085】
トランスジェニック植物産生のための固有遺伝因子を含むベクターの設計および構築物
15〜25bpのランダムヌクレオチド配列を含む固有合成遺伝因子(UGE)をExcel(登録商標)(MICROSOFT)アプリケーションでマクロを使用して作製した。乱数系列は、数字1から4の所望の長さで作製した。それぞれの数字を指定したヌクレオチド塩基に対応させ(例えば、1=A;2=C;3=G;および4=T)、その後、クローニング操作用の市販ベンダーによって合成されるポリヌクレオチドを作製した。
【0086】
UGEは、それぞれ、普遍的PCRフォワードプライマーおよびリバースプライマーの結合用フランキング配列を含む70〜80bp長の配列(本明細書ではアンプリコンと呼ばれる)に組み入れた。21種のUGEおよび21種の関連アンプリコン(それぞれ、UGE配列および隣接する普遍的プライマー結合部位を含む)を設計し、民間会社によって高コピープラスミドに合成された(DNA 2.0; Menlo Park, CA)。表1に21種のUGEの配列と対応するアンプリコンを記載する。
【0087】
【表1】
【0088】
改良した高コピー植物形質転換ベクターのセットは、前駆体植物形質転換ベクター(アグロバクテリウム(Agrobacterium)バイナリーベクター)のNarIII部位とAsiSI部位に、(セットに固有の)UGEを含む、選択アンプリコン断片をクローニングすることにより構築した。アンプリコン断片は、一般に、植物選択可能マーカーとして機能するように設計された遺伝子(例えば、除草剤耐性遺伝子)のプロモーター領域と目的の第1の遺伝子の(逆方向)プロモーター領域の間に配置した。多くの場合、他の目的の遺伝子もまた、T−DNA境界の間に含まれていた。
【実施例2】
【0089】
トウモロコシゲノムDNAの抽出
単一トウモロコシ種子サンプルから得たゲノムDNAは、改良FastID(商標)法を使用して抽出した(FastID(商標)ゲノムDNA96ウェル抽出キット;GENETIC ID、Fairfield、IA)。種子サンプルは、4mLのポリカーボネートバイアル(OPS Diagnostics LLC、Lebanon、NJ)中で9.65cmのステンレス鋼球を使用し、GENO/GRINDER(商標)2010(SPEX SAMPLEPREP、Metuchen、NJ)で2分間、1500rpmにて粉砕した。プロテイナーゼKを含有する1mL溶解バッファー(FastID(商標)ゲノムDNAキット)を単一種子粉砕粉末に加え、スラリーを1500rpmで20秒間さらにホモジナイズした。バイアルを3分間1450×gで遠心分離にかけ、200μLの上清を、磁気ビーズ(MAGATTRACT(商標)サスペンションG;Qiagen)と共に結合バッファーを含有するKINGFISHER(商標)96ウェルディープウェルプレート(Thermo Fisher Scientific Inc.、Indianapolis、IN)に移した。
【0090】
あるいは、バルク粉砕粉末に外因存在試験を行う予定である実験において、600μLの溶解バッファーを添加し、スラリーをGENO/GRINDER(商標)2010で5分間1360rpmにてホモジナイズした。サンプルを6800×gで5分間遠沈し、200μLの上清を、磁気ビーズと共に結合バッファーを含有するKINGFISHER(商標)プレートに移した。
【0091】
両場合(単一種子およびバルク粉砕種子)において、磁気ビーズに結合しているDNAを洗浄し、KINGFISHER(商標)自動DNA抽出プラットフォームを使用して溶出させた。DNAを200μLの1×TEバッファー(10mMのTrisHCL、1mMのEDTA、pH8.0)に溶出させ、その後使用するまで4℃で保存した。抽出したDNAの量は、QUANT−IT(商標)PICO GREEN DNAアッセイキット(MOLECULAR PROBES; Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用して計量し、バッファーを10ng/μLの最終濃度まで添加した。
【実施例3】
【0092】
トランスジェニックトウモロコシ植物の産生
胚が約1.8〜2.4mmの長さになった時、未成熟胚をトウモロコシ(Zea mays)近交系B104の穂から単離した。胚を、アセトシリンゴンおよび界面活性剤BREAK THRU(商標)S−233含有のアグロバクテリウム懸濁液と20〜30分間、1.0の吸光度でインキュベートし、次いで、胚盤向けの同時培養培地に入れた。
【0093】
同時培養ステップを3〜4日間継続し、次いで、胚を抗生物質含有の植物組織培養培地上に7日間移し、アグロバクテリウム(Agrobacterium)増殖を抑制しカルス形成を開始させた。カルスを、適切な選択剤を含有する培地に移し、3週間、非形質転換組織の増殖を抑制し、次いで、7日間、植物成長ホルモン含有の選択培地に入れ、不定胚の発芽を誘導した。植物成長ホルモン培地に暴露した1週間後、カルスを選択と同時に植物再生培地に置いた。
【0094】
植物は、典型的には、植物再生培地に移した後1〜2週間以内に形成され、小植物体に成長した時に植物成長培地に移した。それぞれの植物から得た10〜15mgの葉組織を、1週間前に選択可能なマーカー遺伝子(AAD1;米国特許第7,838,733号)の加水分解プローブPCR分析用にサンプリングし、一構築物当たり30〜40個の少ないコピー数の事象(すなわち、1〜3個のコピー選択可能なマーカー遺伝子)を移植用の温室に移し、温室内で増殖させた。Tの事象のすべてに対して雄穂が取り除かれ、Tを採種するためB104花粉を用いて授粉させた。T植物とT植物を自家受粉させ、ホモ接合性種子を得た。
【実施例4】
【0095】
ベクターセットに含まれる固有遺伝因子の検出
UGEアンプリコンを含有するプラスミドDNA中の個々のUGEは、固有の加水分解オリゴヌクレオチドプローブを用いてPCR方法を使用して検出した。普遍的プライマーは、構築物の異なる群からのUGEを増幅および検出用PCRアッセイで使用した。表1に記載したアンプリコンの増幅に使用される普遍的プライマーを表2に示す。消光可能な蛍光系PCR加水分解プローブは、標的UGEに特異的にハイブリダイズすることができるように設計され、FAM蛍光リポーター色素(クエンチャーとしてのMGBNFQ)により標識した。加水分解プローブオリゴヌクレオチドは、検出しようとするUGEと同一のヌクレオチド配列を含んでいた。
【0096】
UGEの事前検証は、UGE含有プラスミドDNAそのものの連続希釈と、様々な濃度のUGE含有プラスミドDNAでスパイクした非トランスジェニックコーンゲノムDNAを試験することにより実施した。したがって、プライマーおよび加水分解プローブも、増幅して標的コーン内部対照、ZSSIIb(配列番号48)およびインベルターゼ(配列番号47)に特異的にハイブリダイズするように設計した。表3。これらの対照プローブは、HEX蛍光リポーター色素(クエンチャーとしてのBHQ2)により標識した。プライマーおよびプローブは、Applied BioSystems(Carlsbad、CA)またはIntegrated DNA Technologies(Coralville、IA)から入手した。PCR試薬は、Qiagen(Valencia、CA)から入手した。
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
加水分解プローブPCRアッセイによる検証によって、個々のUGEが高精度で、特異的かつ効率よく検出されたことが明らかになった。エンドポイントPCR技術およびリアルタイムPCR技術は、表4〜5の条件に従って、プラスミドおよびコーンゲノムDNAからのUGEの検出に利用した。Biplex PCRアッセイ(TAQMAN(登録商標))は、標的(UGE)と内部対照(インベルターゼまたはZSSIIb)の両方を検出するために実施した。
【0100】
【表4】
【0101】
PCRミックスを作製した後(表4)、7μLのミックス(384ウェルプレートに対して)または12μLのミックス(96ウェルプレートに対して)を各ウェルへ移し、3μLのDNAサンプル(一反応当たり30ng以下)を添加した。PCRプレートをFLEXISEAL(商標)膜を用いてシールし、反応をサーモサイクラーで実施した。
【0102】
UGEプラスミドが非トランスジェニックトウモロコシから調製したゲノムDNAへスパイクされる場合(表5b)、または、UGEがトランスジェニックトウモロコシから調製されたゲノムDNAにおいてアッセイされる場合(表5c)、様々なPCR条件をプラスミドサンプルにおけるUGEの検出に利用した(表5a)。UGEプラスミドがトウモロコシゲノムDNAへスパイクされ、UGEがトランスジェニックトウモロコシDNAにおいてアッセイされる場合の実験において、biplex加水分解プローブPCRアッセイを実施し、UGE遺伝子とトウモロコシ内部対照(参照)遺伝子(インベルターゼまたはZSSIIb)の両方を検出した。エンドポイントPCR反応については、C1000サーモサイクラー(BIORAD)またはPE9700サーモサイクラー(PERKIN ELMER)のいずれかを使用した。リアルタイムPCR反応については、LIGHTCYCLER(登録商標)IIサーモサイクラー(ROCHE)を使用した。
【0103】
【表5】
【0104】
[0010]終了したPCRプレートは、PHERASTAR(商標)FS蛍光プレートリーダー(BMG LABTECH;Cary、NC)で読み取った。
【0105】
6つのUGE(表1;UGE1〜UGE6)の1つを含むアンプリコンを合成し、高コピー数プラスミドへクローニングし、適切なプラスミドDNA(すなわち、pEPP1135〜pEPP1140;それぞれUGE1〜UGE6に対応)をPCR増幅の試験およびエンドポイントPCR反応における高効率、特異的および高感度の検出に使用した。6つのUGEと隣接する因子を含むポリヌクレオチドの配列は、ヌクレオチド配列の違いを示すようにベクターNTIに並べた。図1。
【0106】
UGE検出の特異性
6つのUGEを標的とする加水分解プローブ(FAM蛍光色素で標識)を、それぞれのUGEプラスミドDNA(pEPP1135〜pEPP1140)に対して試験した。6つの異なるUGEの1つを標的とするように設計したそれぞれの加水分解プローブは、標的UGE(円印)を特異的に増幅し、非特異的な増幅/交配の反応性は他のプローブからは確認されなかった。図2。加水分解プローブは、プラスミドDNA(pEPP1135〜pEPP1140)中にカセットを含有する6つのすべての異なるUGEを区別することが示された。またプローブは、鋳型無しの対照および陰性対照のコーンDNAに対しては非特異的結合を除外することも試験した。図2。
【0107】
UGE検出の感度
それぞれのUGE含有プラスミドに対して適切なUGE鋳型/加水分解プローブの組み合わせを使用して、加水分解プローブアッセイエンドポイントPCR反応を実施し、方法の感度レベルを判定した。UGEを含有するプラスミドDNAをPCR増幅用の鋳型として使用した。0.0000001ng〜1ngの濃度範囲のプラスミドDNAを試験した。結果から、極低濃度のUGE含有鋳型DNAはすべての加水分解プローブで検出することができることが示された。図3。またプローブは、鋳型無しの対照および陰性対照のコーンDNAに対しては非特異的結合を除外することも試験した。図3。
【実施例5】
【0108】
トウモロコシDNA中の固有遺伝因子の特異的および高感度な検出
非トランスジェニックトウモロコシゲノムDNA中のUGE DNAの検出
UGE(UGE2、UGE3、およびUGE7〜UGE21)は、トウモロコシゲノムDNAのバックグラウンドへスパイクされた時にリアルタイム加水分解プローブPCRによって検出した。0.0000001ng〜1ngの希釈範囲で試験した。リアルタイムPCRは、LIGHTCYCLER(商標)IIサーモサイクラーを使用して実施した。融解曲線を分析し、それぞれの標的DNA希釈に対して平均Cp値を計算した。試験したそれぞれのUGEについて決定した検出限界を表6に記載する。それぞれのアッセイの例(UGE3およびUGE4の検出)は、図4および図5にそれぞれ示す。これらのPCR結果は、UGEを高感度で検出することができる可能性を示し、このことは、UGEが植物形質転換構築物検出の新規手段を提供可能であることを示唆している。
【0109】
【表6】
【0110】
トランスジェニックトウモロコシ植物の種子由来のゲノムDNA中のUGEの検出。
UGEアンプリコンを、図6〜7に記載の手法に従って、植物形質転換ベクターへさらにクローニングした。UGEを含む12のアンプリコンを、目的の異なる遺伝子を担持する366種の植物発現ベクターにおいて使用し、約8,000のトランスジェニック事象が生じた。表7。
【0111】
【表7】
【0112】
UGE2およびUGE3含有構築物による形質転換によって得られたヘテロ接合Tトランスジェニック事象の種子から単離したゲノムDNAをUGE検出試験に使用した(種子供給源は表8に示す)。前述のように、ゲノムDNAが単離された。ゲノムDNAの濃度を10ng/μLに調整し、合計30ngのゲノムDNAをそれぞれのPCR反応に使用した。非トランスジェニックコーン種子DNAを陰性対照として使用した。
【0113】
【表8】
【0114】
UGE特異的エンドポイント加水分解プローブPCRアッセイを実施し、サンプル番号に対する正規化蛍光の関数として結果を分析した。図8。結果から、トランスジェニックサンプル由来の標的UGE配列の増幅および検出が高感度であり、非トランスジェニックコーンサンプル由来では増幅がないことが示された。これによって、検出方法の特異性が示唆された。
【実施例6】
【0115】
外因存在試験に対する固有遺伝因子の使用
外因存在の検出に対するUGEの使用を試験するため、Tホモ接合体種子を、UGE3含有構築物による形質転換によって産生されたトランスジェニック植物から得た(種子供給源は表9に示す)。合計で、1事象当たり35個のホモ接合トランスジェニック種子が選択され、ゲノムDNAが単離された。
【0116】
【表9】
【0117】
UGE特異的エンドポイント加水分解プローブPCRアッセイを実施し、結果を実施例5で述べたようにして分析した。結果から、ホモ接合トランスジェニックサンプルおよび陽性対照サンプルからの標的UGE3配列の増幅が明らかであることと、非トランスジェニックトウモロコシサンプル(陰性対照)からは増幅がないことが示された。図9。
【0118】
トランスジェニック供給源ID番号ZQ11LQ199088.0016.016(表9)の35個のホモ接合種子から調製したトウモロコシゲノムDNAのサンプルをプールし、連続希釈物(100%、10%、1%、0.5%および0.1%のトランスジェニックDNA)を、バックグラウンド(希釈剤)として非トランスジェニックトウモロコシゲノムDNAを使用し生成した。それぞれのトランスジェニックDNA希釈は、エンドポイント加水分解プローブPCRアッセイ(40サイクル)において6回繰り返し行った。
【0119】
結果は、サンプル番号に対する相対蛍光の関数として分析した。図10。測定した相対蛍光がすべての希釈から検出された。非特異的増幅は、陰性サンプル(鋳型無しの対照および非トランスジェニックDNA対照)からは確認されたかった。これらの結果により、UGEは、トランスジェニックトウモロコシ種子から調製したゲノムDNAにおいて非常に高感度で正確に検出することができることが示唆される。
【0120】
100個の種子のプールは、典型的には、1%の感度の要件に匹敵する、99個の非トランスジェニック種子中に混入している1個のトランスジェニック種子を同定する適切な検出方法が必要とされる外因存在について試験される。UGE(UGE3)を含有する単一のトランスジェニックTコーン種子(pDAB108526−供給源ID番号ZQ11LQ199088.0016.016)を99個の非トランスジェニックコーン種子のプールへ加えた。種子プールからの単離DNAについて、エンドポイント加水分解プローブPCRを使用して試験した。結果から、混入種子はUGE特異的アッセイを使用して容易に検出できることが示唆された(図11)。これは、UGEがAP試験およびトランスジェニック事象のモニタリングに使用可能であるという論拠により一層の説得力を加えるものである。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【配列表】
2016511002000001.app
【国際調査報告】