(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2016511331
(43)【公表日】20160414
(54)【発明の名称】改善された可染性のための繊維の処理
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/463 20060101AFI20160318BHJP
   D06M 11/00 20060101ALI20160318BHJP
   D06M 11/38 20060101ALI20160318BHJP
   D06P 5/00 20060101ALI20160318BHJP
   D06P 3/66 20060101ALI20160318BHJP
   D06P 3/60 20060101ALI20160318BHJP
【FI】
   !D06M13/463
   !D06M11/00 110
   !D06M11/38
   !D06P5/00 103
   !D06P5/00 106
   !D06P3/66 B
   !D06P3/60 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
(21)【出願番号】2015555133
(86)(22)【出願日】20130125
(85)【翻訳文提出日】20150721
(86)【国際出願番号】US2013023180
(87)【国際公開番号】WO2014116230
(87)【国際公開日】20140731
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】515198511
【氏名又は名称】カラーゼン、エルエルシー
【住所又は居所】アメリカ合衆国 10001 ニューヨーク、ニューヨーク、ウェスト サーティフォース ストリート 31、ナンバー 6
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レオナード、トニー、エム.
【住所又は居所】アメリカ合衆国、ノースカロライナ、ムーアズヴィル、レイク パイン ロード 141
【テーマコード(参考)】
4H057
4L031
4L033
【Fターム(参考)】
4H057AA02
4H057BA07
4H057CA11
4H057CA12
4H057CB18
4H057CB34
4H057CC01
4H057DA01
4H057DA24
4H057GA07
4H057HA03
4H057HA13
4L031AA02
4L031AB01
4L031BA11
4L031DA09
4L033AB01
4L033AC15
4L033BA86
(57)【要約】
本技術は、繊維を染料に接触させる前の繊維の前処理を含む、繊維を染色するための装置および方法を対象とする。本技術はまた、繊維の可染性を改善する方法、ならびに染色工程の効率を高めて染料の浪費および損失を最小限にする方法を対象とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース繊維を処理する方法であって、
(a)前記繊維の試料を入手するステップと、
(b)前記繊維の前記試料を、
i.約0.5〜約15g/Lの湿潤剤と、
ii.約5〜約150g/Lのアルカリ組成物と、
iii.約5〜約200g/Lのアンモニウム塩と、
を含む溶液に接触させるステップと、
(c)前記溶液を前記繊維と反応させるために備えるステップとを含む、上記方法。
【請求項2】
前記湿潤剤が、非イオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記湿潤剤が、アニオン性/非イオン性の混合界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アルカリ組成物が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アンモニウム塩が、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(CHPTAC)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(b)が、前記繊維の前記試料を前記溶液に浸漬することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(b)が、前記繊維の前記試料を前記溶液に約10〜約60秒の間浸漬することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(b)が、前記繊維の前記試料を、前記溶液を含有する飽和パッドに接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(c)が、前記繊維の前記試料を前記溶液から取り出すことと、前記繊維の前記試料を密閉容器の中に約8〜24時間の期間保管することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(d)前記繊維を、約6.0未満のpHを維持するために十分な量の酸に、前記繊維の前記表面で接触させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
繊維を所望の色に染色するために必要とされる染料の量を、最小限にする方法であって、
(a)前記繊維を、湿潤剤、アルカリ組成物、およびアンモニウム塩を含む溶液に接触させることによって処理するステップと、
(b)前記繊維を、前記溶液との接触から取り出すステップと、
(c)前記繊維を密閉容器の中に約8時間〜約24時間の期間保管するステップと、
(d)前記繊維を前記密閉容器から取り出すステップと、
(e)前記繊維が所望の色に到達するまで前記繊維を染料に接触させるステップとを含み、前記繊維は、未処理の繊維に対して必要とされるよりも最大50容量%少ない染料を用いて前記所望の色に染色される、上記方法。
【請求項12】
ステップ(d)の後、前記繊維が、約6より低い前記繊維のpHを維持するために十分な量の酸性溶液に接触される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記繊維が、ステップ(d)と(e)との間に乾燥される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
繊維中の染料の保持力を最適化する方法であって、
(a)前記繊維を、湿潤剤、苛性ソーダ、およびアンモニウム塩を含む溶液に接触させることによって処理するステップと、
(b)前記繊維を前記溶液との接触から取り出すステップと、
(c)前記繊維を65〜120%の含浸量に絞液するステップと、
(d)前記繊維を容器の中で約8時間〜約24時間の期間保管するステップと、
(e)前記繊維を染色するステップとを含む、上記方法。
【請求項15】
ステップ(d)の後、前記繊維が約6より低いpHを維持するために十分な量の酸に接触される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
湿潤剤、アルカリ組成物、およびアンモニウム塩を含む溶液で前処理された繊維を含む織物であって、前記前処理ステップが、前記繊維の約8〜約24時間の期間の密閉容器の中での保管を含み、未処理の繊維を含む織物を染色するために必要とされる染料の量の75%以下を用いて、実質的に同一の色の濃淡を呈する、上記織物。
【請求項17】
織物を染色する方法であって、
(a)繊維を入手するステップと、
(b)前記繊維を、湿潤剤、苛性ソーダ、およびアンモニウム塩を含む溶液に接触させることによって、前記繊維を処理するステップと、
(c)前記処理済みの繊維を編むかまたは織って前記織物を生産するステップと、
(d)前記織物を染料に接触させて前記織物を所望の色に至らせるステップとを含み、それにより、前記織物を前記所望の色に至らせるために必要とされる、ステップ(d)において用いられる染料の量が、未処理の前記同一の織物の試料を処理するために必要とされる染料の量よりも少なくとも約25%少なくなる、上記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、布地の分野に関し、より具体的には、染色剤の使用により色および色彩を繊維に付与する工程、およびかかる工程の効率を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
布地は、衣類、服飾品、および布地を含む他の消費財の製造工程の一部として、しばしば染色される。しかしながら、布地を染色剤で処理する工程はしばしば高価で、非効率的で、かつ環境上問題がある。例えば、従来のセルロース染色工程は、大量の水、塩、アルカリ、および熱を使用することを必要とし、過剰な汚染を発生し得る。また、従来の布地染色の非効率性は、所望の色に到達する能力の低さ、ならびににじみおよび退色などの問題を招く。これらの問題は、所望の色に到達するために大量の水、エネルギー、染料、および化学薬品を必要とし、よって染色工程中のより高い費用およびより大きい環境影響につながり得る。染色の非効率性は、購買および顧客による使用の前または後の望ましくないにじみまたは退色にさらにつながり得、染色された布地の不十分な品質管理という結果を招く。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ある特定の実施形態において、本技術は、セルロース繊維を処理する方法を対象とする。本方法は、繊維を入手することと、約0.5〜約15g/Lの湿潤剤、約5〜約300g/Lのアルカリ組成物、および約5〜約200g/Lのアンモニウム塩を含む溶液に接触させることを含む。本技術は、この溶液が反応するように備える。繊維は、溶液との接触から取り出され得、75%〜150%の含水率に絞液される。繊維は、密閉容器の中に、例えば、約8時間〜約24時間の期間保管され得る。
【0004】
他の実施形態において、本技術は、繊維を所望の色に染色するために必要とされる染料の量を最小限にする方法を対象とする。本方法は、湿潤剤、アルカリ組成物、およびアンモニウム塩を含む溶液に接触させることよって繊維を処理することを含む。繊維は、溶液との接触から取り出され得、75%〜150%の含水率に絞液され得る。繊維は、密閉容器の中で、例えば、約8時間〜約24時間の期間保管され得る。繊維はまた、密閉容器から取り出され、例えば、酸性溶液で水洗することによって中和され得る。繊維は次に、乾燥され得、繊維が所望の色に達するまで染料に接触され得る。
【0005】
本技術は、より少ない水、エネルギー、化学薬品、および時間を用いて繊維を染色するように備える。例えば、結果は、未処理の繊維と比較して、最大90%少ない水、75%少ないエネルギー、50%少ない染料、95%少ない化学薬品、および3分の1の時間となり得る。
【0006】
他の実施形態において、本技術は、湿潤剤、アルカリ組成物、および第4級アンモニウム塩を含むがこれに限定されないアンモニウム塩を含む溶液に接触されることによって繊維を処理することを含む、繊維内の染料の保持力を最適化する方法を対象とする。繊維は、溶液との接触から取り出され、75%〜150%の含水率に絞液され得る。繊維は、密閉容器の中で、例えば、約8時間〜約24時間の期間保管され得る。繊維はまた、密閉容器から取り出され、例えば酸性溶液で水洗することによって中和され得る。繊維は次に、乾燥され、繊維が所望の色に達するまで染料に接触され得る。
【0007】
他の実施形態において、本技術は、湿潤剤、アルカリ組成物、およびアンモニウム塩を含む溶液で前処理された繊維を含む織物を対象とする。前処理ステップは、繊維の密閉容器の中での約8時間〜約24時間の期間の保管を含み得る。
【0008】
他の実施形態において、本技術は、湿潤剤、苛性ソーダ、およびアンモニウム塩を含む溶液に繊維を接触させることによって繊維を処理することを含む、織物を染色する方法を対象とする。繊維は糸に加工され、編まれるかまたは織られて織物を生産し得る。織物は、織物を所望の色に至らせるために必要とされる染料の量が、未処理の同一の織物の試料を染色するために必要とされる染料の量よりも少なくとも約25%少なくなるように、染料に接触されて織物を所望の色に至らせ得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本技術の方法に従って染色された織物の所望の色を実証する比較試験の結果を示す。本試験は、(1)未処理の綿繊維で作製され、従来の反応染色手順で染色された織物、(2)吸尽前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順を用いて染色された織物、(3)本発明の飽和/保管前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順を用いて染色された織物、および(4)本発明の飽和/保管前処理済みの繊維で作製され、「非化学的染色手順」を用いて25%削減した染料および50%削減した染料で染色された織物の反射率値を比較する。
【0010】
【図2】本技術の方法に従って染色された織物の所望の色を実証する比較試験の結果を示す。本試験は、1)未処理の綿繊維で作製され、従来の反応染色手順で染色された織物、(2)吸尽前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順を用いて4%のEverzol Navy EDで染色された織物、(3)飽和/保管前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順を用いて2%のEverzol Navy ED(50%削減した染料)で染色された織物、(4)飽和/保管前処理済みの繊維で作製され、「非化学的染色手順」を用いて3%のEverzol Navy ED(25%削減した染料)で染色された織物、および(5)飽和/保管前処理済みの繊維で作製され、「非化学的染色手順」を用いて4%のEverzol Navy EDで染色された織物の染料吸尽のレベルを比較する(図の右側の凡例において上から下へ一覧表示する)。
【0011】
【図3】未処理の綿繊維で作製され、従来の反応染色手順で染色された織物の、従来の反応染浴および連続する水洗浴の透過率値を示す。
【0012】
【図4】未処理の綿繊維で作製され、従来の反応染色手順で染色された織物の、従来の染浴およびそれぞれの連続する水洗からの色の減少のグラフ表現を示す。
【0013】
【図5】従来の反応染色手順(4%のEverzol Navy ED)で染色された未処理の綿織物の、染浴および連続する水洗浴の標本を示す。
【0014】
【図6】吸尽前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順を用いて染色された織物の、吸尽前処理染浴および連続する水洗浴の透過率値を示す。
【0015】
【図7】吸尽前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順を用いて染色された織物の、染浴およびそれぞれの連続する水洗からの色の減少のグラフ表現を示す。
【0016】
【図8】「非化学的」染色手順(4%のEverzol Navy ED)で染色された吸尽前処理済みの綿織物の、染浴および連続する水洗浴の標本を示す。
【0017】
【図9】本発明の飽和/保管前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順を用いて染色された織物の、染浴および連続する水洗浴の透過率値を示す。
【0018】
【図10】本発明の飽和/保管前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順を用いて染色された織物の、染浴およびそれぞれの連続する水洗からの色の減少のグラフ表現を示す。
【0019】
【図11】「非化学的」染色手順(4%のEverzol Navy ED)で染色された、飽和/保管前処理済みの綿織物の、染浴および連続する水洗浴の標本を示す。
【0020】
【図12】浸潤された/保管された前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順および25%削減した染料を用いて染色(3%のEverzol Navy ED)された織物の、染浴および連続する水洗浴の透過率値を示す。
【0021】
【図13】浸潤された/保管された前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順および25%削減した染料(3%のEverzol Navy ED)を用いて染色された織物の、染浴およびそれぞれの連続する水洗からの色の減少のグラフ表現を示す。
【0022】
【図14】「非化学的」染色手順および25%削減した染料(3%のEverzol Navy ED)で染色された、浸潤された保管された前処理済みの綿織物の、染浴および連続する水洗浴の標本を示す。
【0023】
【図15】浸潤された/保管された前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順および50%削減した染料(2%のEverzoi Navy ED)を用いて染色されたた織物の、染浴および連続する水洗浴の透過率値を示す。
【0024】
【図16】浸潤された/保管された前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順および50%削減した染料(2%のEverzol Navy ED)を用いて染色された織物の、染浴およびそれぞれの連続する水洗からの色の減少のグラフ表現を示す。
【0025】
【図17】「非化学的」染色手順でおよび50%削減した染料(2%のEverzol Navy ED)で染色された、浸潤された/保管された前処理済みの綿織物の、染浴の標本を示す。
【0026】
【図18】1)未処理の綿繊維で作製され、従来の反応染色手順で染色された織物、(2)吸尽前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順を用いて染色された織物、(3)飽和/保管前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順を用いて4%のEverzol Navy EDで染色された織物、(4)飽和/保管前処理済みの繊維で作製され、非化学的染色手順を用いて25%削減した染料および50%削減した染料で染色された織物、(5)飽和/保管前処理済みの繊維で作製され、「非化学的染色手順」を用いて50%削減した染料で染色された織物の、初期染料濃度および残留染浴の透過率値を示す。
【0027】
【図19】(1)未処理の綿繊維で作製され、従来の反応染色手順で染色された織物、(2)吸尽前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順を用いて4%のEverzol Navy EDで染色された織物、(3)飽和/保管前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順を用いて4%のEverzol Navy EDで染色された織物、(4)飽和/保管前処理済みの繊維で作製され、「非化学的染色手順」を用いて25%削減した染料および50%削減した染料染色された織物、および(5)飽和/保管前処理済みの繊維で作製され、「非化学的染色手順」を用いて50%削減した染料で染色された織物の、初期染料濃度および残留染浴のグラフ表現を示す。
【0028】
【図20】1)未処理の綿繊維で作製され、従来の反応染色手順で染色された織物、(2)吸尽前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順を用いて4%のEverzol Navy EDで染色された織物、(3)飽和/保管前処理済みの繊維で作製され、「非化学的」染色手順を用いて4%のEverzol Navy EDで染色された織物、(4)飽和/保管前処理済みの繊維で作製され、「非化学的染色手順」を用いて25%削減した染料で染色された織物、および(5)飽和/保管 前処理済みの繊維で作製され、「非化学的染色手順」を用いて50%削減した染料で染色された織物の、初期染料濃度および残留染浴の比較を示す。
【0029】
【図21】「非化学的」染色手順で染色された(4%のEverzol Navy ED、3%のEverzol Navy ED、および2%のEverzol Navy ED)飽和/保管前処理済みの綿織物の、染浴の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本技術の開示全体にわたり、引用されるすべての参考文献の開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。かかる参考文献の開示と本開示との間に不一致があった場合は、本開示が支配性を持つ。
【0031】
本明細書で用いられる場合、「繊維」という用語は、植物もしくは動物、または他の物質の、その長さに対して直径が非常に小さい、繊維の繊細な毛状部分を指す。
【0032】
本明細書で用いられる場合、「繊維の連続的なまとまり」という用語は、緩く集められた、撚られていない繊維の連続的な束を指す。
【0033】
本明細書で用いられる場合、「糸」という用語は、個々の繊維の一群が一緒に撚られたときに作製される、布地繊維の連続的な撚糸を意味する。
【0034】
本明細書で用いられる場合、「織物」という用語は、繊維から製造される糸を編むまたは織ることから生じ、衣類、服飾品、または最終的な商品に究極的に裁断および縫製され得る、最終的な、完成した布地材料を意味する。
【0035】
本明細書で用いられる場合、「含浸量」という用語は、完全な浸潤および絞液後に繊維によって保持され、繊維の湿重量のその乾燥重量に対する比率から計算される、溶液の量を意味する。
【0036】
ある特定の実施形態において、本技術は、例えば、染料による染色の受容性および効果を改善するための、綿繊維などのセルロース系繊維などの繊維の化学的応用および改変のための工程を対象とする。
【0037】
ある特定の実施形態において、本明細書に記載の技術に従う工程は、以下の等式のうちの1つ以上を呈する。
【化1】
【0038】
等式Iは、特定の第4級アンモニウム塩3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(CHPTAC)がアルカリ組成物(この場合、苛性ソーダNaOH)と反応して、CHPTACのエポキシドであるエポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(EPTAC)を生成する実証である。CHPTACはセルロースと反応しないため、とセルロースの反応の前に、まず反応型のエポキシドのEPTACに変換されなければならない。
【0039】
等式IIは、EPTACがセルロース分子(ROH++)と反応して「正に帯電した綿」を生成する実証である。この反応は、セルロース分子上にアニオン染色剤などのアニオン性(負に帯電した)組成物を引き付け得る永久正電荷部位を作り出す。これは、次に染色剤に接触され得る処理済みの綿である。
【0040】
染料
本明細書に記載の技術の実施形態は、染色されることが所望される繊維への染料の適用を企図する。ある特定の実施形態において、アニオン染料(例えば、反応染料、直接染料、および酸性染料)が本明細書に記載の用途について有用であると認められている。他の実施形態において、用いられる染料は必ずしもアニオン性ではないが、本明細書に記載の方法についてやはり有用であり得る。例えば、建染染料および硫化染料は、本明細書に記載のある特定の実施形態について有用であると認められている染料である。本明細書において企図される繊維に対する親和性を呈する任意の染料が適切であり得る。例えば、繊維が綿繊維である実施形態において、セルロースに対する親和性を呈する任意の染料が、本実施形態について有用であり得る。
【0041】
繊維
本明細書に記載の実施形態について有用な繊維は、綿繊維などのセルロース繊維(分離した繊維として、または繊維もしくは糸の連続的なまとまりの形状としてのどちらか)、リネン、ビスコース、竹、ジュート、亜麻、および任意の他のセルロース繊維を含むがこれらに限定されない。繊維を前処理した後、この繊維は染色され得る、繊維は染色され得る糸に紡がれる、または糸は染色され得る織物に編まれるもしくは織られる、または織物は完成品、例えば衣服になり、これは染色され得る。繊維は、自由形状で、または繊維の連続的なまとまりの形状で前処理され得る。
【0042】
前処理溶液
種々の実施形態において、本明細書に記載の方法は、繊維を染料に接触させる前に、繊維を前処理溶液に接触させることを含む。前処理溶液は、続いて染料に接触されたときに、繊維が、例えば、所望の色彩に到達するために、より少ない染料溶液の量が必要とされるように、染色剤を保持する増大された能力、複数の洗浄後の退色なく染料を保持する、最終的な織物の優れた能力、および減少した環境影響、水の使用、またはエネルギーの使用などの、優れた性質を呈する形で有利に影響を与え得る。
【0043】
前処理溶液は、ある特定の実施形態において、湿潤剤、例えば水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)または水酸化カリウム(苛性カリ)などの水酸化アルカリまたはアルカリ金属水酸化物などのアルカリ組成物、アンモニウム塩(例えば、第4級アンモニウム塩)などの塩、ならびに水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、または水酸化セシウムを含む任意の他の水酸化アルカリを含む。
【0044】
湿潤剤は、ある特定の実施形態において、例えば「Cottoclarin 88 ECO」の商品名で中国上海市のPulcra Specialty Chemicals,Ltdから市販のアニオン性および非イオン性界面活性剤の混合を含み得る。かかる組成物は、繊維の瞬間的な飽和および浸透について有用であると認められている。かかる組成物は、綿繊維について有用であることが特に知られている。
【0045】
ある特定の実施形態において、繊維は、多くの方途のうちの任意のものにより、前処理溶液に接触され得、例えば、パディング工程において前処理溶液が適用されるときに、望ましい結果が達成され得るということがわかっている。繊維は、例えば、鉢に浸潤され、ローラーまたはパディング染色機を通され得る。繊維は、例えば、約15〜約30秒の間パッドに接触され得る。噴霧または泡沫塗布器もまた用いられ得、つまり、前処理溶液は繊維上に直接噴霧または泡付与することにより繊維に適用され得る。
【0046】
ある特定の実施形態において、前処理溶液は、例えばアンモニウム塩などのアミノ基を含む組成物を含む。本技術の実施形態について有用なアンモニウム塩の例は、例えば第4級アンモニウム塩を含む。例示的な第4級アンモニウム塩は、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(CHPTACであり、PTACとしても知られる)であり、これは米国ノースカロライナ州ムーアスビル(Mooresville)のMFI Technologies、Inc.から「Catdye」の商品名で市販されている。
【0047】
ある特定の実施形態において、前処理溶液は、アルカリ組成物を含む。有用なアルカリ組成物の例は、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水酸化カリウムおよび同等物、ならびに前述のいずれかの混合物を含むがこれらに限定されない。
【0048】
密閉容器
ある特定の実施形態において、本技術の方法および工程は、繊維の前処理溶液との接触後、繊維をフィルムまたは密閉容器の中に保管するステップをさらに含む。本明細書において用いられる場合、「密閉容器」とは、外部環境との接触から実質的に分離されたフィルム、容器、または器を意味する。種々の実施形態において、フィルムはプラスチックフィルムであり得、密閉容器は蓋を持つ器もしくはタンク、または外気および環境への曝露を実質的に妨げ、かつ不純物が取り込まれること、または繊維の試料あるいはそれらが保管されている溶液の任意の部分の除去を実質的に妨げるために、繊維の試料が保管され得る、任意の他の保持容器であり得る
【0049】
種々の実施形態において、繊維は約8時間〜約24時間、約12〜約20時間、または約15〜約18時間の期間にわたり、密閉容器の中に保管される。ある特定の実施形態において、密閉容器は加熱され得るが、しかしながら、この工程ステップの利点は、熱を加えることなく望ましい結果が達成され得るということであり、つまり、反応は室温で発生し得る。
【0050】

ある特定の実施形態において、繊維が密閉容器の中に必要とされる期間保管された後、繊維は保管ユニットから取り出され、次に酸性溶液に接触される。この接触は、アルカリ組成物への曝露後、織物のpHを酸性レベルに下げる効果を有し得る。これは、織物を染色するための既知の方法が多量のアルカリ性廃液をもたらすため特に有用であり、ゆえに任意の前処理ステップの廃液に酸を加えることは、溶液を中和し、その環境影響を最小限にし得る。
【0051】
種々の実施形態において、繊維は、酸性溶液の連続的な流れに接触され得る。本明細書に記載の実施形態において、繊維中に存在する液体のpHを下げるために効果的な任意の酸性溶液が、本明細書において検討された目的について有用であり得る。クエン酸などの有機酸が特に有用であるということが見出されているが、しかしながら、例えば酢酸またはリン酸などの他の酸もまた用いられ得る。本明細書において用いられる場合、「織物のpH」とは、織物中に保持された液体のpHを指し、これは織物から流出した液体を集めることによって(滴り落ちる際に集めることによって、または選択的に、例えば絞る、圧延するなどの機械的圧力を織物に印加することによって)計測され、次に織物から流出した液体のpHを計測する。種々の実施形態において、用いられる酸の量は、織物のpHを約7.0未満、約6.5未満、約6.0未満、約5.0未満、約4.8未満、約4〜約6.5、または約4〜約5に維持するために十分である。
【0052】
本明細書において検討された種々の実施形態の方法の完了後、繊維の連続的なまとまりは、緩い繊維に加工され得るか、または繊維の連続的なまとまりとしてその状態が保持され得るか、または糸に加工され得るか、または織物に織られるもしくは編まれ得る。本技術の実施形態に従う繊維の前処理が繊維に多くの利点を付加するということが見出されている。
【0053】
ある特定の実施形態において、繊維は次に、本明細書に記載されるような前処理工程の後に染色工程を経得る。他の実施形態において、これらは糸に加工されてから次に染色されるか、または織物に織られるまたは編まれてから次に染色されるか、または最終的な消費者製品にされてから次に染色され得る。どの段階で染色が実施されるかに関わらず、利点は繊維中に残る前処理であるということが見出されている。
【0054】
技術の種々の実施形態は、実施例において本明細書により完全に記載される。
【実施例】
【0055】
例1
前処理工程‐本発明の「飽和/保管」工程
一梱とされた綿繊維が処理されてカードラップを生成するか、または繊維の連続的なまとまりとされる。繊維は塗布機に運ばれ、そこで繊維がパディング鉢に移動し、
【0056】
1.約1〜約10g/LのCottoclarin 88 ECO湿潤剤、
【0057】
2.約10〜約100g/Lの苛性ソーダ(NaOH)、
【0058】
3.約10〜約150g/Lの「Catdye」CPHTAC、を含有する溶液に接触する。
【0059】
繊維はパディング鉢に浸潤され、約65〜約150%のパディング溶液の含浸量を保持するように絞液される。絞液後、得られた繊維は保管容器内に密封される。容器は室温で約8時間〜約24時間保管され、その時間中に溶液と繊維との間の反応が発生する。
【0060】
保管時間の完了後、繊維は容器から取り出され、繊維のpHを約4〜6.5の範囲に低下させるために酸性溶液で水洗される。繊維は次に、約40%未満の含水率に絞液され、熱したオーブンの中で乾燥され得る。乾燥した繊維は、緩い繊維として一梱とされ得る。
【0061】
例2(比較例)
前処理工程‐「吸尽」工程
繊維はステンレス鋼の有孔キャリアの中に入れられ、繊維を通して処理溶液を循環させ得る目盛り付きの器の中に入れられる。この溶液は、
【0062】
1.約3〜約15g/Lの湿潤剤、
【0063】
2.約25〜約100g/Lの苛性ソーダ(NaOH)、
【0064】
3.約25〜約150g/Lの「Catdye」CPHTAC、を含有する。
【0065】
これらの器に含まれる水の量は、例1に必要とされる量の約5〜約10倍である。この溶液は、約60〜約90℃に加熱される。この溶液は、この温度で約30〜約90分間循環された。この溶液は次に排水され、繊維は水で約60〜約80℃で洗浄された。この水洗浴は排水され、器はここでより冷たい水およびpHを約6.5より低く下げるための十分な酸で満たされる。繊維キャリアが次に器から取り出され、過剰水が繊維から除去される。繊維は次にキャリアから取り出され、乾燥され、緩い繊維として一梱とされる。
【0066】
例3(比較例)
従来の反応染色手順(前処理なし)による4%の染料溶液
従来の、未処理の綿ニット織物の20グラムの試料が以下のように染色された。試料は10:1の水分量を有する1g/LのAmwet AFX(非イオン性湿潤剤)を含有する水浴中で調製された。この溶液および織物は、80℃に加熱され、完全な飽和を確保するため15分間循環された。この溶液は排水された。
【0067】
10:1の水分量を有する新たな水浴が35℃で4%のEnverzol Navy ED(owg)(米国Everlight Chemicalsから市販)とともに調製され、織物に加えられた。織物は5分間撹拌され、80g/LのNaSO4(硫酸ナトリウム)が浴に溶解された。20g/LのNaCO3(ソーダ灰)が染浴に加えられた。染浴は60℃に加熱され、45分間撹拌された。染浴は排水され貯留された。
【0068】
200mLの真水が織物に加えられ、35℃で10分間撹拌された。この浴は排水され、1番目の水洗として記録された。
【0069】
1g/Lのクエン酸を入れた200mLの真水が織物に加えられ、70℃で10分間撹拌された。この浴は排水され、2番目の水洗として記録された。
【0070】
2g/Lのせっけん剤を入れた200mLの真水が織物に加えられ、95℃で10分間撹拌された。この浴は排水され、3番目の水洗として記録された。
【0071】
200mLの真水が織物に加えられ、60℃で10分間撹拌された。この浴は排水され、4番目の水洗として記録された。
【0072】
それぞれ10分間、4回の追加の水洗が35℃で浴が透明になるまで継続された。
【0073】
洗い流された染料の量、ならびに透明の浴を取得するために必要とされる水洗の数は、以下のように書き留められ記録された。透過率値を測定するため、残留染浴(染色完了後に残った染料の量)およびすべての水洗浴が分光光度計を用いて評価された。これらの値は、それぞれのステップ後に織物中に残留する染料の量の指示を提供し、図3に一覧表示された。図4は、それぞれのステップの色の減少のグラフ表現である。図4に観察されるように、未定着染料を従来の反応染色手順を用いて未処理の綿から除去するためには多くの水洗を必要とする。従来の手順はまた、未定着染料の除去を改善するために、高温洗浄を必要とする。著しい色の減少は、これらの高温洗浄後まで達成されない。これは、図4において100に向かう折れ線グラフとして確認され得る。それぞれのステップの色の減少は、図5において視覚的に確認され得る。
【0074】
例4(比較例)
前処理済みの綿を用いた反応染料による「非化学的」染色(4%の染料溶液)(「吸尽」前処理方法)
湿潤剤で吸尽前処理済みの(前処理方法に従って)繊維から製造された糸で作製された綿ニット織物の20グラムの試料が取得された。織物は、「非化学的」染色手順で以下のように処理された。試料は10:1の水分量を有する1g/LのAmwet AFX(非イオン性湿潤剤)を含有する水浴に加えられた。織物は5分間撹拌された。この35℃で調製された水浴に、4%のEnverzol Navy ED(owg)が加えられた。織物は、この染浴中で35℃の温度を維持しながら30分間撹拌された。染浴の温度は次に、80℃に上昇された。この温度は、追加の15分間の間維持された。この時間後、染色は完了し、染浴は排水され貯留された。
【0075】
200mLの真水が織物に加えられ、35℃で10分間撹拌された。この浴は排水され、1番目の水洗として記録された。
【0076】
200mLの真水が追加され、70℃で10分間撹拌された。この浴は排水され、2番目の水洗として記録された。
【0077】
5回の追加の水洗が35℃でそれぞれ10分間、浴が透明になるまで継続された。
【0078】
吸尽前処理済みの繊維を用いて染色された織物は、従来の反応手順を用いて染色された織物と同一の色の深さを発現しなかったということが観察された(本明細書において用いられる場合、「従来の反応手順」とは、化学薬品を用いた未処理の織物の染色(つまり、本明細書に記載される「非化学的」染色でない)を意味する。これは、図1および図2の反射情報を比較したときに確認され得る。同一の割合のEverzol Navy EDの染色は、大幅に少ない濃淡を生成する。例2において生成された吸尽処理された織物を使用すると、色は化学薬品を必要とせずに取得され得るが、必要とされる化学薬品を使用した例3における従来の手順濃淡のレベルほどではない。この色のより低い産出は、より多い残留染料が染浴中に残り、除去しようと試行するために多くの洗浄を必要とすることをもたらす。図6および図7は、洗浄中の色の除去を確認する。より低い産出および多くの洗浄は、吸尽アンモニウム塩の繊維への適用の反応の低効率のためである。図8は、水洗中の色の減少を示し、1回少ない水洗が必要とされ、より低い温度で達成されることを確認する。染料は織物からより容易にかつ高温を必要とせずに除去されたが、より高い残留染料のため、多くの水洗を必要とした。
【0079】
例5
本発明の処理済み綿の手順を用いた反応染料での「非化学的」染色(4%の染色溶液)
綿ニット織物が、本技術の実施形態に従って前処理済みの(本明細書において「飽和/保管」技術とも称される)糸から作製された。綿ニット織物の20グラムの試料が、10:1の水分量を有し、1g/LのAmwet AFX(非イオン性湿潤剤)を含有する水浴に加えられた。この織物は5分間撹拌された。35℃で調製された水浴に、4%のEnverzol Navy ED(owg)が追加された。織物は、この染浴中で35℃の温度を維持しながら30分間撹拌された。染浴の温度は次に、80℃に上昇された。この温度は、追加の15分間の間維持された。染浴は排水され貯留された。
【0080】
200mLの水が織物に加えられ、35℃で10分間撹拌された。この浴は排水され、1番目の水洗として記録された。
【0081】
200mLの真水が加えられ、35℃で10分間撹拌された。この浴は排水され、2番目の水洗として記録された。
【0082】
1回の追加の水洗が、35℃で10分間、浴が透明になるまで継続された。
【0083】
本発明の飽和/保管の適用で前処理済みの繊維から作製された織物は、例3および例4の結果よりも濃い濃淡を有するということが観察された。これは、この染浴について従来の反応手順および吸尽繊維適用よりも多くの色が吸尽された(すなわち、より多くの染料が織物上に達し、かつより少ない染料が浪費された)ということを示す。これは、図1および図2の反射率値を比較したときに確認され得る。織物上へのより多くの色の吸尽があると、より少ない残留染料が染浴中に残り、染色された織物上のより少ない未定着の染料が洗い流される。図9および図10は、透明な水洗浴を生成するために、より低い染浴レベルおよび3回の水洗のみの必要性を確認する。図11は、3回の水洗のみの必要を確認する。
【0084】
見てわかるように、より少ない水洗およびより高い染料吸尽は、従来の反応染料と比較したときに、著しい水および時間の節約を生成する。この「非化学的」染色を用いた前処理済みの織物は、未処理の綿を染色するために必要とされる染色用化学薬品(塩およびアルカリ)の必要なしで従来の反応手順と等しいかより良好な濃い紺色を生成した。本発明の飽和/保管適用の綿繊維とともに生成される織物を用いると、環境に排出されると汚染を引き起こす、必要とされる染料化学薬品は、ここで排除され得る。前処理の高い効率による、より短い染色サイクル(より少ない水洗)およびより低い温度要件は、すべてが染色のための著しいエネルギーの節約に貢献する。
【0085】
例6
本発明の前処理済みの綿の手順を用いた「非化学的」染色(3%染色溶液)
【0086】
本明細書に記載の本発明の飽和/保管技術の一実施形態に従って前処理済みの繊維から生成された糸とともに作製された20グラムの綿織物の試料が取得された。この織物は、以下の通りに「非化学的」染色手順を用いて染色された。この織物は、10:1の水分量を有する、1g/LのAmwet AFX(非イオン性湿潤剤)を含有する水浴に加えられた。この織物は、5分間撹拌された。この35℃で調製された水浴に、3%のEnverzol Navy ED(owg)が加えられた。織物は、この染浴中で35℃の温度を維持しながら30分間撹拌された。染浴の温度は次に、80℃に上昇された。この温度および撹拌は、追加の15分間の間維持された。この時間後、染色は完了し、染浴は排水され貯留された。
【0087】
200mLの真水が繊維に加えられ、35℃で10分間撹拌された。この浴は排水され、1番目の水洗として記録された。
【0088】
200mLの真水が加えられ、35℃で10分間撹拌された。この浴は排水され、2番目の水洗として記録された。得られた水洗浴が透明であったため、追加の水洗は必要とされなかった。
【0089】
例5の染色で例3(比較例)よりも濃い濃淡が取得されたため、図11から見てわかるように、染浴中になおいくらかの未定着染料が存在することが結論付けられた。このため、この例6は、試料の織物および「非化学的」工程を用いて、例5で用いられたように調製され、かつEverzol Navy EDを4%から3%(owg)にのみ削減した。これは例3から例5に至る25%の色の減少である。この染色の結果は、図12および図13に示されるように観察された。図2は、それぞれの染色(従来、吸尽前処理、4%の染料溶液による本発明の飽和/保管前処理、3%の染料溶液による本発明の飽和/保管前処理、および2%の染料溶液による本発明の飽和/保管前処理)の差異のグラフ表現を提供する。
【0090】
図13からわかるように、結果はレベルの低下した染料が、より多くの染料が染浴から、および溶液から吸尽されるという結果になるということを確認した。織物から色を除去するのに2回の水洗のみが必要とされた。これは、図14に示されるように観察された。
【0091】
例7
本発明の処理済み綿の手順を用いた「非化学的」染色(2%の染色溶液)
本発明の「飽和/保管」技術の一実施形態に従って前処理済みの繊維から生産された糸で作製された、20グラムの綿織物の試料が取得された。この繊維は、「非化学的」染色手順を用いて以下のように染色された。繊維は、10:1の水分量を有し、1g/LのAmwet AFX(非イオン性湿潤剤)を含有する水浴に加えられた。繊維は5分間撹拌された。この35℃で調製された水浴に、2%のEnverzol Navy ED(owg)が加えられた。織物は、35℃の温度を30分間維持しながら、この染浴中で撹拌された。染浴の温度は次に、80℃に上昇された。この温度および撹拌は、追加の15分間の間維持された。この時間後、染色は完了し、染浴は排水され貯留された。得られた染浴が透明であったため、追加の水洗は必要とされなかった。
【0092】
染浴が完全に透明になり得るかどうかを判断するため、本実施例は、本発明の飽和/保管技術の一実施形態に従って前処理済みの繊維から製造された糸で作製された綿織物を用いて調製された。この試料は、2%のEverzol Navy EDで染色され、例1および例3から、染料の50%の削減を現した。図15および図16は、染色後の色の残留を示す。この染料は、完全に吸尽された。これは、染色剤が染浴から除去されることを可能にし、かつ染色において用いられた水を再利用することを許容するという点で、本明細書に記載の実施形態が当技術分野で知られている方法よりも大いに優れていることを確認するものである。図17は、本染浴の視覚的観察である。見てわかるように、染浴は視覚的に透明であり、所望される最適な結果を示す。
【0093】
図18および図19は、本明細書において用いられるすべての染浴である例3、例4、例5、例6、例7、および初期濃度4%のEverzol Navy EDを含有する浴の中におけるすべてのパラメータの比較を示す。従来の反応染色手順を基準として未処理の綿(例3)に用いると、時間、水、化学薬品、および染料の以下の差異が計算され得る。
【0094】
例4では、99%の化学薬品の節約が必要とされる。染料の量は同一であるが、取得された色の深度はより浅かった。1回少ない水洗が浴をクリアにするために必要とされたため、これは、11%の水の節約および24%の時間の削減のみであったことを表す。
【0095】
例5は、同一の99%の化学薬品の節約を有するが、同一のレベルの染料を使用し、例4よりも濃い濃淡を達成した。浴をクリアにするために3回の水洗のみが必要とされ、56%の水の節約および46%の時間の削減を表す。
【0096】
例6は、やはり99%の化学薬品の節約および25%の染色剤の節約が加えられることを表す。2回の水洗が必要とされ、67%の節水および56%の時間の節約が発生する結果となる。
【0097】
例7は、継続する99%の化学薬品の節約による50%の染料の削減の実証である。染色サイクル中にすべての染料が吸尽されるため、水の節約は90%、時間の節約は62%である。
【0098】
上記の実施例は単なる例示であって本技術を制限するものでなく、本技術の趣旨を逸脱することなく追加的な実施形態および変形形態が可能であるということに留意すべきである。

【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【国際調査報告】