(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2016535403
(43)【公表日】20161110
(54)【発明の名称】発光デバイス
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20161014BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20161014BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20161014BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20161014BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20161014BHJP
【FI】
   !H05B33/02
   !H05B33/14 A
   !H05B33/28
   !H05B33/26 Z
   !H05B33/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】2016526925
(86)(22)【出願日】20141104
(85)【翻訳文提出日】20160427
(86)【国際出願番号】EP2014073616
(87)【国際公開番号】WO2015067571
(87)【国際公開日】20150514
(31)【優先権主張番号】13191601.7
(32)【優先日】20131105
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】316005362
【氏名又は名称】オーエルイーディーワークス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】OLEDWorks GmbH
【住所又は居所】ドイツ国 52068 アーヘン フィリップスシュトラーセ 8
【住所又は居所原語表記】Philipsstrasse 8 52068 Aachen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ルスケ マンフレッド ステファン
【住所又は居所】オランダ国 5656 アーエー アインドーフェン ハイ テック キャンパス 5
(72)【発明者】
【氏名】シュワブ ホルガー
【住所又は居所】オランダ国 5656 アーエー アインドーフェン ハイ テック キャンパス 5
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107CC05
3K107CC12
3K107CC33
3K107DD02
3K107DD22
3K107DD24
3K107DD28
3K107DD44X
3K107DD47X
3K107EE28
3K107FF06
3K107FF15
3K107GG28
(57)【要約】
本発明は、基板5と、透明アノード層7と、カソード層9と、アノード層とカソード層との間の発光層8と、基板とアノード層との間の中間層4とを含む発光デバイス1に関する。導電性要素が、当該導電性要素がアノード層に接触するように中間層に埋め込まれる。光を散乱させる散乱粒子が、中間層に埋め込まれ、デバイスの光出力効率が増加される。導電性要素が、中間層に埋め込まれ、例えばアノード層の上にはない、即ち、アノード層とカソード層との間にはないため、発光材料に悪影響を及ぼす場合のあるパッシベーション層を必要とすることなく、アノード層のシート抵抗が減少される。更に、埋め込まれた導電性要素は、透明アノード層の厚さを、約50nm以下の厚さに減少させ、これにより、透明アノード層による光吸収の光出力効率への影響が最小限に抑えられる。これは、発光品質を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
透明アノード層と、
カソード層と、
前記透明アノード層と前記カソード層とに電圧が印加されると、光を放射する、前記透明アノード層と前記カソード層との間の発光層と、
前記基板と前記透明アノード層との間の中間層と、
を含み、
前記中間層は、中間層材料を含み、
前記中間層材料は、前記基板の屈折率よりも大きい屈折率を有し、
導電性要素が前記透明アノード層に接触するように、当該導電性要素は、前記中間層に埋め込まれ、
光を散乱させる散乱粒子が、前記中間層に埋め込まれ、
前記透明アノード層は、約50nm以下の厚さを有する、発光デバイス。
【請求項2】
前記中間層材料の屈折率は、前記透明アノード層の屈折率、及び/又は、前記透明アノード層の屈折率と前記発光層の屈折率との平均と同等である、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記中間層材料の屈折率は、1.7以上である、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記中間層材料は、前記導電性要素が埋め込まれた電気絶縁性中間層材料である、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記中間層に面している前記基板の表面が、散乱構造体を含む、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記導電性要素は、前記透明アノード層に面している前記中間層の一部においてのみ配置される、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記中間層は、第1の中間層材料によって作られる第1の部分と、第2の中間層材料によって作られる第2の部分とを含む、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の発光デバイスの製造に使用される層状構造体であって、
基板と、
透明アノード層と、
前記基板と前記透明アノード層との間の中間層と、
を含み、
前記中間層は、前記基板の屈折率よりも大きい屈折率を有する中間層材料を含み、
導電性要素が前記透明アノード層に接触するように、当該導電性要素は、前記中間層に埋め込まれ、
光を散乱させる散乱粒子が、前記中間層に埋め込まれ、
前記透明アノード層は、約50nm以下の厚さを有する、層状構造体。
【請求項9】
請求項8に記載の層状構造体を製造するための方法であって、
基板を提供するステップと、
前記基板上に中間層を提供するステップと、
前記中間層上に透明アノード層を提供するステップと、
を含み、
導電性要素が、前記中間層に埋め込まれ、
前記中間層は、前記基板の屈折率よりも大きい屈折率を有する中間層材料を含み、
光を散乱させる散乱粒子が、前記中間層に埋め込まれ、
前記透明アノード層は、約50nm以下の厚さを有し、
前記導電性要素を有する前記中間層と前記透明アノード層とは、前記導電性要素が前記透明アノード層に接触するように提供される、方法。
【請求項10】
前記導電性要素が埋め込まれた前記中間層の提供は、前記基板上に前記導電性要素を提供し、次に、前記中間層を形成するために、前記導電性要素を有する前記基板上に前記中間層材料を堆積させることを含み、前記製造方法は更に、前記中間層上に前記透明アノード層を提供する前に、前記導電性要素から前記中間層材料を除去するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記導電性要素が埋め込まれた前記中間層の提供は、前記基板上に、前記導電性要素を含まない準備段階の中間層を提供し、前記準備段階の中間層に溝を形成し、前記導電性要素を形成するために、前記溝を導電性材料で充填することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記導電性要素が埋め込まれた前記中間層の提供は、前記基板に面し、前記導電性要素を含まない前記中間層の第1の部分を形成するために、前記基板上に中間層材料を提供し、前記中間層の前記第1の部分上に、前記導電性要素を有する前記中間層の第2の部分を提供することを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光デバイスと、発光デバイスを製造するために使用される層状構造体と、層状構造体を製造するための製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光デバイス(OLED)は、アノード層、カソード層、及び、アノード層とカソード層との間の有機発光層を有するガラス基板といった基板を含み、有機発光層は、アノード層及びカソード層に電圧が印加されると、発光する。更に、アノード層のシート抵抗を減少させるために、アノード層上に、即ち、有機発光層内に、金属グリッドが提供され、OLED内の電気的短絡を抑制するために、金属グリッド上に、フォトレジスト層といったパッシベーション層が提供される。しかし、有機発光層は、湿度によって、及び、パッシベーション層を形成するパッシベーション材料との反応によって、悪影響を受ける場合があり、これにより、OLEDの発光品質が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、発光品質が向上された発光デバイスを提供することを目的とする。本発明は、発光デバイスの製造に使用可能である層状構造体を提供し、当該層状構造体を製造するための製造方法を提供することを更なる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様では、基板と、透明アノード層と、カソード層と、当該アノード層と当該カソード層との間の発光層とを含む発光デバイスが提示される。発光層は、アノード層とカソード層とに電圧が印加されると、発光する。発光デバイスは更に、基板と透明アノード層との間の中間層を含み、当該中間層は、基板の屈折率よりも大きい屈折率を有する中間層材料を含む。更に、導電性要素が透明アノード層に接触するように、当該導電性要素は、中間層に埋め込まれる。光を散乱させる散乱粒子が、中間層に埋め込まれ、透明アノード層は、20nmの厚さといった約50nm以下の厚さを有する。
【0005】
中間層に埋め込まれた散乱粒子は、デバイスの光出力効率を増加させる。しかし、このような散乱機能がデバイスに追加される場合、デバイスの更なる層の何れかによる光の吸収が、例えば散乱過程や、光路長が長くなることによって、より大きな影響を与える。これは、透明アノード層について特に言えることである。
【0006】
導電性要素は中間層に埋め込まれ、アノード層上にない、即ち、アノード層とカソード層との間にはないので、発光層内の電気的短絡を抑制するための導電性要素上のパッシベーション層が不要である。導電性要素がアノード層に接触しているので、アノード層のシート抵抗は、依然として減少される。更に、発光層に接触するパッシベーション層が不要であるため、発光層は、湿度によって、又は、パッシベーション層のパッシベーション材料との反応によって悪影響を及ぼされることがない。これにより、発光品質が向上される。更に、アノード層のシート抵抗は、主に、埋め込まれた導電性要素によって決定されるので、埋め込まれた導電性要素は、透明アノード層の厚さを、(20nmの厚さといった)約50nm以下の厚さに減少させ、これにより、透明アノード層による光吸収の光出力効率への影響が最小限に抑えられ、したがって、光出力効率は、更に一層増加される。
【0007】
導電性要素は、好ましくは、金属要素であり、基板は、好ましくは、ガラス又はポリマー基板である。中間層は、好ましくは、導電性要素が埋め込まれている電気絶縁性中間層材料から作られる。カソード層は、放射光を反射する。発光層は、好ましくは、発光デバイスが、好ましくは、OLEDであるように、有機発光材料を含む。
【0008】
中間層材料の屈折率は、透明アノード層の屈折率と同じ、特に等しいことが好適である。中間層材料の屈折率は更に、アノード層の屈折率と発光層の屈折率との平均と同等、特に等しいことも好適である。好適な実施形態では、中間層材料の屈折率は、1.7以上である。更に、中間層に面している基板の表面は、散乱構造体を含んでもよい。具体的には、中間層に面している基板の表面は、当該表面上に散乱構造体を提供するために粗面化される。中間層の比較的高い屈折率と、中間層に埋め込まれた散乱粒子及び/又は基板の表面上の散乱構造体とは、発光層によって放射され、透明アノード層、中間層及び基板を通る光が、発光デバイスから出力される効率を向上させる。
【0009】
一実施形態では、導電性要素は、アノード層に面している中間層の一部においてのみ配置される。更に、導電性要素は、好ましくは、導電性グリッドである。導電性要素が導電性グリッドである場合、アノード層のシート抵抗は、比較的均一に減少され、これにより、発光デバイスの輝度均一性が増加される。
【0010】
一実施形態では、中間層は、第1の中間層材料によって作られる第1の部分と、第2の中間層材料によって作られる第2の部分とを含む。具体的には、第2の部分は、アノード層に面し、導電性要素を含む中間層の一部であり、第1の部分は、基板に面し、導電性要素を含まない中間層の一部である。更に、第1の部分は、光を散乱させる散乱粒子を含んでもよい。即ち、散乱粒子は、第1の部分にのみ存在してよい。第1及び第2の部分に様々な中間層材料を使用することは、発光デバイスを製造する際に、有利である。例えば第2の部分を製造するために、導電性要素を埋め込むのに特に適している第2の中間層材料が使用されてよい。第1の部分を製造するために、散乱粒子を埋め込むのに特に適している第1の中間層材料が使用されてよい。
【0011】
本発明の第2の態様では、本発明の第1の態様による発光デバイスを製造するために使用可能である層状構造体が提示される。当該層状構造体は、基板と、発光デバイス内の透明アノード層を形成する電極層と、基板と透明アノード層との間の中間層とを含み、中間層は、基板の屈折率よりも大きい屈折率を有する中間層材料を含み、導電性要素は、当該導電性要素が透明アノード層に接触するように中間層に埋め込まれ、光を散乱させる散乱粒子が、中間層に埋め込まれる。発光デバイスを製造するためには、発光層及びカソード層といった更なる層が、層状構造体上に提供される。
【0012】
本発明の第3の態様では、第2の態様による層状構造体を製造するための方法が提示される。当該方法は、基板を提供するステップと、基板上に中間層を提供するステップと、中間層上に透明アノード層を形成する電極層を提供するステップとを含み、導電性要素が、中間層に埋め込まれ、中間層は、基板の屈折率よりも大きい屈折率を有する中間層材料を含み、光を散乱させる散乱粒子が、中間層に埋め込まれ、透明アノード層は、約50nm以下の厚さを有し、導電性要素を有する中間層と透明アノード層とは、導電性要素が透明アノード層に接触するように提供される。
【0013】
本発明の第1の態様による発光デバイスを製造するためには、当該方法は更に、透明アノード層上に発光層を提供するステップと、発光層がアノード層とカソード層との間に配置されるように、当該発光層上にカソード層を提供するステップとを含み、発光層は、アノード層及びカソード層に電圧が印加されると、発光する。
【0014】
一実施形態では、導電性要素が埋め込まれた中間層の提供は、基板上に導電性要素を提供し、次に、中間層を形成するために、導電性要素を有する基板上に中間層材料を堆積させることを含み、製造方法は更に、中間層上に透明アノード層を提供する前に、導電性要素から中間層材料を除去するステップを含む。更なる実施形態では、導電性要素が埋め込まれた中間層の提供は、基板上に、導電性要素を含まない準備段階の中間層を提供し、準備段階の中間層に溝を形成し、導電性要素を形成するために、溝を導電性材料で充填することを含む。更に、導電性要素が埋め込まれた中間層の提供は、基板に面し、導電性要素を含まない中間層の第1の部分を形成するために、基板上に中間層材料を提供し、中間層の第1の部分上に、導電性要素を有する中間層の第2の部分を提供することを含む。
【0015】
当然ながら、第1の態様による発光デバイス、第2の態様による層状構造体、第3の態様による方法は、同様及び/又は同一の好適な実施形態、具体的には、従属請求項に規定される実施形態を有する。
【0016】
当然ながら、本発明の好適な実施形態は、従属請求項又は上記実施形態の各独立請求項との任意の組み合わせであってもよい。
【0017】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施形態を参照して、明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、OLEDの一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図2】図2は、OLEDの一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図3】図3は、OLEDの一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図4】図4は、OLEDの一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図5】図5は、OLEDを製造するための製造方法の一実施形態を例示的に説明するフローチャートを示す。
【図6】図6は、OLEDを製造する製造装置の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、発光デバイスの一実施形態を概略的かつ例示的に示す。発光デバイス1は、透明アノード層7である第1の電極層と反射カソード層9である第2の電極層との間に有機発光層8を含むOLEDである。電圧源10が、アノード層7及びカソード層9に、電線といった電気的接続11を介して接続される。有機発光層8は、アノード層7及びカソード層9に電圧が印加されると、光40を放射する。
【0020】
有機発光層8は、1つ又は幾つかの有機発光副層と、任意選択的に、1つ又は幾つかの正孔注入副層、1つ又は幾つかの正孔輸送副層、1つ又は幾つかの電子輸送副層、1つ又は幾つかの電荷発生副層等といった更なる副層とを含む副層のスタックを含む。
【0021】
OLED1は更に、ガラス基板又はポリマー基板であってよい基板5と、基板5上の中間層4とを含む。アノード層7は、中間層4上に配置される。したがって、中間層4は、基板5とアノード層7との間に配置される。中間層4は、導電性要素6がアノード層7と接触するように、中間層4に埋め込まれた当該導電性要素6を含む。本実施形態では、導電性要素6は、金属グリッドである。
【0022】
中間層4、即ち、導電性要素6が埋め込まれた中間層材料は、1.7以上の屈折率を有する。この屈折率は、発光層8によって放射される光の波長に関連している。更に、この屈折率は、アノード層7の屈折率、及び/又は、アノード層7の屈折率と発光層8の屈折率との平均の屈折率と同等であってよい。本実施形態では、基板5からアノード層7まで到達する導電性要素6が埋め込まれ、上記屈折率を有する中間層材料は、好ましくは、電気絶縁性である。
【0023】
基板5は、中間層4に面している粗面化された表面3を含む。即ち、散乱構造体が、基板5の表面上に提供される。本体2、即ち、基板5の残りの部分は、散乱構造体を有さず、発光層8によって放射された光40がOLED1を離れることを単に可能にする。
【0024】
中間層4及びアノード層7を有する基板5は、層状構造体を形成する。この層状構造体は、最初は、他の層が提供されることなく、製造される。後に、この層構造体は、発光層の製造に使用される。例えば層状構造体は、第1の製造場所において製造され、その後、第2の製造場所において、残りの層が、層状構造体上に提供されて発光デバイスが形成される。
【0025】
図2は、OLEDの更なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。本実施形態でも、OLED1は、アノード層7及びカソード層9を、当該アノード層7とカソード層9との間の中間有機発光層8と共に含む。更に、本実施形態でも、電圧源10は、アノード層7及びカソード層9に電圧を印加するために、当該アノード層7及びカソード層9に接続される。有機発光層8は、アノード層7及びカソード層9に電圧が印加されると、発光する。しかし、本実施形態では、基板105は、中間層104に面している滑面を含む。中間層104は、図1を参照して上記された中間層4と同様であるが、中間層104を横断する際に光40を散乱させる散乱粒子112を追加的に含む。
【0026】
図3は、OLEDの更なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。本実施形態でも、OLED201は、アノード層7、カソード層9及び中間発光層8を含み、当該アノード層7とカソード層9とは、電圧源10に電気的に接続されている。しかし、本実施形態では、OLED201は、図1を参照して上記されたように、粗面化された表面4を有する基板5を含む。更に、本実施形態では、導電性要素206は、基板5に面している中間層204の第1の部分231には配置されないが、アノード層7に面している第2の部分230においてのみ配置される。したがって、中間層204は、アノード層7のシート抵抗を所望の値にまで減少させるのに必要な厚さよりもかなり大きい厚さを有する。例えば中間層204は、約10μmの厚さを有するが、金属グリッド206は、約1μmの厚さを有する。
【0027】
更に、中間層204の第1の部分231及び第2の部分230は、同じ中間層材料によって形成されても、好ましくは同じ屈折率を有する異なる中間層材料によって形成されてもよい。例えば第1の部分231は、第1の部分231の屈折率を所望通りに調節するために、SiO及びTiOの混合物を含有するソルゲル部であってよい。第2の部分230も、SiO及びTiOの混合物を含有するソルゲル部であってもよい。又は、第2の部分は、所望の屈折率を有する透明ポリマーといった別の材料によって形成されてもよい。
【0028】
図4は、OLEDの更なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。本実施形態でも、OLED301は、アノード層7、カソード層9、及び、当該アノード層7と当該カソード層9との間に配置される発光層8を含む。更に、本実施形態でも、アノード層7及びカソード層9は、電気的コネクタ11を介して、電圧源10に電気的に接続されている。しかし、本実施形態では、基板105は、中間層304に面している滑面を含み、中間層304は、導電性要素206を、基板105に面している第1の部分331においてではなく、アノード層7に面している第2の部分330においてのみ含む。更に、中間層304は、散乱粒子112を含む。なお、図4は、また、図1乃至図3も、正確な縮尺ではない。
【0029】
更に、本実施形態では、中間層304は、アノード層7のシート抵抗を所望値にまで減少させるために必要な厚さよりもかなり大きい厚さを有する。例えば中間層304は、約10μmの厚さを有するが、金属グリッド306は、約1μmの厚さを有する。更に、本実施形態でも、中間層304の第1の部分331及び第2の部分330は、同じ中間層材料によって形成されても、好ましくは同じ屈折率を有する異なる中間層材料によって形成されてもよい。一実施形態では、散乱粒子112は、中間層304全体になくてもよく、第1の部分331においてのみにある。第1の部分331は、第1の部分331の屈折率を所望通りに調節するために、SiO及びTiOの混合体を含有するソルゲル部であってもよい。本実施形態では、ソルゲル部が更に、散乱粒子を含む。第2の部分330も、散乱粒子を有する又は有さない、SiO及びTiOの混合体を含有するソルゲル部であってもよい。又は、第2の部分330は、所望の屈折率を有する透明ポリマーといった別の材料によって形成されてもよい。第1の部分331は更に、散乱機能を有するガラスによって形成されてもよい。例えばガラス粉末が、基板上に提供され、続いて、第1の部分を形成するコーティングを作成するために焼成される。これは、米国特許出願公開第2009/0153972A1号に説明されるように行われてよい。本出願公開は、参照することにより、本願に組み込まれる。
【0030】
散乱粒子112は、好ましくは、中間層304の屈折率とは著しく異なる屈折率を有する。好ましくは、散乱粒子112の屈折率と中間層304の屈折率との差は、0.3以上である。散乱粒子のサイズは、好ましくは、200nm乃至5000nmの範囲内であり、体積分率は、好ましくは、0.5と15パーセントとの間である。
【0031】
以下において、図5に示されるフローチャートを参照して、発光デバイスを製造するための製造方法の一実施形態が例示的に説明される。
【0032】
ステップ501において、基板が提供される。例えば滑らかな透明ガラス若しくはポリマー板105、又は、粗面化された表面5を有するガラス若しくはポリマー板が提供される。表面は、サンドブラスティングを使用することによって、又は、別の粗面化技術を使用することによって、粗面化される。ステップ502において、基板上に中間層が提供される。金属グリッドといった導電性要素が、中間層に埋め込まれる。中間層は、基板の屈折率よりも大きい屈折率を有する。例えば導電性要素は、基板上に提供され、次に、中間層材料が、導電性要素を有する基板上に堆積させられて、中間層が形成される。この場合、製造方法は更に、中間層上に、第1の電極層を提供する前に、導電性要素から中間層材料を取り除くことを含んでもよい。金属グリッドであってよい導電性要素は、例えばスクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ又はタンポ印刷、スパッタリング/フォトリソグラフィ、めっき等によって、基板上に提供されてよい。スパッタリング/フォトリソグラフィが使用される場合、導電性要素が提供されるべき基板全体、又は、基板上の少なくともある領域全体が、スパッタリングによって、導電性材料で被覆される。その後、導電性要素が、フォトリソグラフィによってパターニングされる。或いは、マスクが基板上に印刷され、その後、導電性材料がマスク上にスパッタリングされる。次に、マスクが取り除かれて、パターニングされた導電性要素、特に金属グリッドが基板上に残される。
【0033】
高n層材料であると見なされる中間層材料は、スリットコーティング、スロットダイコーティング、スピンコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディップコーティング、スプレーコーティング、特にプラズマスプレーコーティング、化学的蒸着(CVD)、スパッタリング又は任意の他の既知の堆積技術によって、導電性要素を有する基板上に堆積させられる。導電性要素からの中間層材料の除去は、導電性要素、具体的には、金属グリッドが中間層材料によって覆われなくなるまで、研磨、又は、導電性要素から中間層材料を除去する任意の他の技術によって行われる。中間層材料は、所望の屈折率を有する有機材料又は無機材料である。一実施形態では、中間層材料はSiNである。
【0034】
最初に、導電性要素を基板上に提供し、次に、中間層材料を、導電性要素を有する基板上に堆積させ、最後に、導電性要素から中間層材料を除去することに代えて、ステップ502において、導電性要素を含まない準備段階の中間層を基板上に提供し、当該準備段階の中間層に溝を形成し、当該溝に導電性材料を充填して中間層内の導電性要素を形成することによって、導電性要素が埋め込まれた中間層が提供されてもよい。溝が導電性材料によって充填された後、任意選択的に、結果として生じる表面は、当該表面上に更なる層を提供する前に、例えば研磨、又は、任意の他の平滑化技術によって平滑化される。溝は、例えばレーザーアブレーション、ソーイング、エッチング等によって、中間層内に切り込まれる。
【0035】
更に、ステップ502において、導電性要素を含まない、基板に面する中間層の第1の部分を形成するために、最初に、導電性要素を埋め込むことなく、中間層材料が、基板上に提供されてもよい。次に、導電性要素を含む中間層の第2の部分が中間層の第1の部分上に提供される。導電性要素を有する中間層の第2の部分は、上記された通りに製造される。即ち、例えば、最初に、導電性要素を基板上に提供し、次に、中間層材料を、導電性要素を有する基板上に堆積させ、次に、第1の電極層を中間層上に提供する前に、導電性要素から中間層材料が除去されることによって、又は、最初に、導電性要素を含まない準備段階の中間層を基板上に提供し、準備段階の中間層に溝を形成し、溝に導電性材料を充填して導電性要素を形成することによって、製造される。
【0036】
ステップ503において、第1の電極層が、中間層上に提供される。導電性要素を有する中間層と第1の電極層とは、導電性要素が第1の電極層に接触しているように、提供される。本実施形態では、第1の電極層は、例えばITO(インジウムスズ酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム亜鉛酸化物)、PEDOT:PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート))、又は、別の透明の無機若しくは有機伝導性材料で作られている無機又は有機透明アノード層である。アノード層を堆積させるために、スパッタリング、イオンめっき、CVD、特に低圧CVD、大気圧CVD若しくはプラズマエンハンスドCVD、ソルゲル法等が使用される。第1の電極層が、有機伝導性材料を含む場合、当該有機伝導性材料は、好ましくは、スピンコーティング、スリットコーティング、スロットダイコーティング等によって、堆積させられる。
【0037】
ステップ504において、発光層が、中間層上に提供される。本実施形態では、有機発光層が、中間層上に提供される。ステップ505において、発光層が第1の電極層と第2の電極層との間に配置されるように、当該第2の電極層が、発光層上に提供される。発光層は、第1及び第2の電極層に電圧が印加されると、発光する。第2の電極層は、好ましくは、発光層によって放射された光に対して反射性であるカソード層である。
【0038】
ステップ506において、第1及び第2の電極層に電圧が印加されると、発光デバイスが発光できるように、第1及び第2の電極層が、電気的導体を介して、電圧源に電気的に接続される。
【0039】
製造方法は、例えばカプセル化といった発光デバイスに更なるコンポーネントを追加する更なるステップ、及び/又は、発光デバイスのコンポーネントを処理する更なるステップを含んでもよい。ステップ501乃至503は、基板、導電性要素が埋め込まれた中間層、及び、第1の電極層を含む層状構造体を製造するための製造方法のステップと見なすことができる。
【0040】
製造方法のステップは、手動で行われても、半自動的に行われても、又は、完全に自動的に行われてもよい。図6に概略的にかつ例示的に示されるように、製造装置を使用して発光デバイスが製造される。
【0041】
製造装置401は、提供済みの基板424上に中間層を提供する中間層提供ユニット420を含む。導電性要素が、中間層に埋め込まれている。中間層は、基板の屈折率よりも大きい屈折率を有する。中間層提供ユニット420は、ステップ502を参照して上記された製造方法の一部を行う。製造装置401は更に、中間層425を有する基板上に第1の電極層を提供する第1の電極層提供ユニット421を含む。導電性要素を有する中間層と、第1の電極層とは、導電性要素が第1の電極層に接触しているように提供される。これは、中間生成物426をもたらす。第1の電極層提供ユニット421は、図5を参照して上記された製造ステップ503を行う。発光層提供ユニット422が、具体的には、上記された製造ステップ504に従って、第1の電極層上に発光層を提供する。これにより、更なる中間生成物427が形成される。第2の電極層提供ユニット423は、発光層が第1の電極層と第2の電極層との間に配置されるように、発光層上に当該第2の電極層を提供する。発光層は、第1及び第2の電極層に電圧が印加されると、発光する。第2の電極層提供ユニット423は、上記された製造ステップ505に従って、第2の電極層を提供してもよい。製造装置401は、更なる製造ステップを行うための更なるユニットを含んでもよい。例えば製造装置は、第1及び第2の電極層を電圧源に電気的に接続させる更なるユニット、又は、カプセル化を提供する更なるユニットを含んでもよい。
【0042】
中間層提供ユニット420及び第1の電極層提供ユニット421は、基板、導電性要素が埋め込まれた中間層、及び、第1の電極層を含む層状構造体を製造する製造装置を形成すると見なされる。
【0043】
製造されたOLEDデバイスは、アノード層上に置かれた金属グリッドを使用するのではなく、好ましくは、高n層内、即ち、中間層に埋め込まれた金属グリッドを含む。金属グリッドは、光出力(light outcoupling)に使用される。高n層に埋め込まれた金属グリッドは、パッシベーションを必要とせず、平面を提供することを可能にする。当該平面上に、OLEDの他の層を堆積させることができる。これは、OLEDの信頼性のために有利である。グリッドの厚さが比較的薄い場合(即ち、高n層の厚さに対して)、金属グリッドが最終的に基板に接触せず、その代わりに、高n層の上部領域内にのみ埋め込まれるように、高n層の製造の始まりにおいて、追加の高n層コーティングステップを追加することが可能である。
【0044】
開示された実施形態に対する他の変形態様は、図面、開示内容及び添付の請求項を検討することにより、請求項に係る発明を実施する当業者には理解されかつ実施可能である。
【0045】
請求項において、「含む」との用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、「a」又は「an」との不定冠詞も、複数形を排除するものではない。
【0046】
単一のユニット又はデバイスが、請求項に記載される幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されることだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。
【0047】
基板上に中間層が提供され、導電性要素が中間層に埋め込まれ、第1の電極層が提供され、発光層が提供され、第2の電極層が提供される等といった手順は、1つ若しくは幾つかのユニット若しくはデバイスによって行われるか、又は、任意の他の数のユニット若しくはデバイスによって行われてよい。例えばステップ502乃至505は、単一のユニットによって、又は、任意の他の数の様々なユニットによって行われる。製造方法によるこれらの手順及び製造装置の制御は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として、また、専用ハードウェアとして実現される。
【0048】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体といった適切な媒体上に記憶される及び/又は分散配置されるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介した形態といった他の形態で分配されてもよい。
【0049】
請求項における任意の参照符号は、範囲を限定しているものと解釈されるべきではない。
【0050】
本発明は、基板と、第1及び第2の電極層と、第1の電極層と第2の電極層との間の発光層と、基板と第1の電極層との間の中間層とを含む発光デバイスに関する。導電性要素が、第1の電極層に接触するように、中間層に埋め込まれる。導電性要素は、例えば第1の電極層上ではなく(即ち、第1の電極層と第2の電極層との間ではなく)、中間層に埋め込まれるので、発光材料に悪影響を及ぼす場合があるパッシベーション層を必要とすることなく、第1の電極層のシート抵抗を減少させることができる。これは、発光品質を向上させる。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【国際調査報告】