(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2017518043
(43)【公表日】20170706
(54)【発明の名称】P97−ポリヌクレオチド複合体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20170609BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20170609BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20170609BHJP
   C07K 7/08 20060101ALI20170609BHJP
   C07K 14/79 20060101ALI20170609BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20170609BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20170609BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20170609BHJP
   A61K 47/50 20170101ALI20170609BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20170609BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20170609BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20170609BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20170609BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20170609BHJP
【FI】
   !C12N15/00 AZNA
   !C12N15/00 G
   !C07K7/06
   !C07K7/08
   !C07K14/79
   !A61K31/711
   !A61K48/00
   !A61K37/02
   !A61K47/48
   !A61P25/00
   !A61P9/10
   !A61P25/28
   !A61P25/18
   !A61P25/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】71
(21)【出願番号】2016564998
(86)(22)【出願日】20150501
(85)【翻訳文提出日】20161027
(86)【国際出願番号】US2015028743
(87)【国際公開番号】WO2015168521
(87)【国際公開日】20151105
(31)【優先権主張番号】61/987,228
(32)【優先日】20140501
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/033,903
(32)【優先日】20140806
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/144,598
(32)【優先日】20150408
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】513325649
【氏名又は名称】バイオアシス テクノロジーズ インコーポレイテッド
【住所又は居所】カナダ国 ブイ6エックス 2ダブリュー8 ブリティッシュ コロンビア, リッチモンド, シェルブリッジ ウェイ 130−10691
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリーズ, ウィルフレッド
【住所又は居所】カナダ国 ブイ4エー 2ブイ5 ブリティッシュ コロンビア, サウス サレー, クレセント ロード 12682
(72)【発明者】
【氏名】ガバシューラー, ラインハード
【住所又は居所】カナダ国 エイチ3イー 1ゼット4 ケベック, モントリオール, シュマン ジュ ゴルフ, 201, スイート 702
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076EE59
4C084AA01
4C084AA13
4C084BA01
4C084BA22
4C084BA35
4C084BA42
4C084MA66
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA081
4C084ZA151
4C084ZA181
4C084ZA361
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA08
4C086ZA15
4C086ZA18
4C086ZA36
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA15
4H045BA16
4H045BA17
4H045BA18
4H045BA54
4H045CA40
4H045EA20
4H045EA21
4H045FA10
4H045FA74
(57)【要約】
p97(メラノトランスフェリン)と低分子干渉RNA(siRNA)分子等のポリヌクレオチドとの複合体、ならびにその使用に関連する組成物及び方法、例えば、血液脳関門(BBB)を越えるsiRNA分子等のポリヌクレオチドの送達を促進し、かつ/あるいはCNS及び/または末梢組織におけるそれらの組織浸透を向上させ、それによって中枢神経系(CNS)構成要素を有するものを含む、様々な疾患を治療及び/または診断する方法が提供される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意選択のリンカー(L)を間にして、約15〜40ヌクレオチド長の第1のポリヌクレオチドと共有結合するp97ポリペプチド(a)と、前記第1のポリヌクレオチドに対して実質的に相補的であり、かつそれにハイブリダイズする、約15〜40ヌクレオチド長の第2のポリヌクレオチド(b)とを含むp97複合体であって、前記第1または第2のポリヌクレオチドが、標的mRNA配列に対して実質的に相補的であるアンチセンス鎖である、p97複合体。
【請求項2】
前記第1及び第2のポリヌクレオチドが、前記アンチセンス鎖の3’末端、前記アンチセンス鎖の5’末端、または両方で、1〜3個のヌクレオチドのオーバーハングを形成する、請求項1に記載のp97複合体。
【請求項3】
前記第1のポリヌクレオチドが前記アンチセンス鎖であり、前記第2のポリヌクレオチドがセンス鎖である、請求項1または2に記載のp97複合体。
【請求項4】
前記第2のポリヌクレオチドが前記アンチセンス鎖であり、前記第1のポリヌクレオチドがセンス鎖である、請求項1または2に記載のp97複合体。
【請求項5】
前記第1及び第2のポリヌクレオチドが、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40ヌクレオチド長である、請求項1〜4のいずれかに記載のp97複合体。
【請求項6】
前記アンチセンス鎖が、表2から選択される遺伝子の標的mRNA配列に対して実質的に相補的である、請求項1〜5のいずれかに記載のp97複合体。
【請求項7】
前記アンチセンス鎖が、表2から選択される遺伝子の標的mRNA配列に対して完全に相補的である、請求項6に記載のp97複合体。
【請求項8】
前記遺伝子がヒトNOX遺伝子である、請求項6または7に記載のp97複合体。
【請求項9】
前記ヒトNOX遺伝子が、NOX4、NOX1、またはNOX2のうちの1つ以上である、請求項8に記載のp97複合体。
【請求項10】
前記ヒトNOX遺伝子がNOX4であり、前記第1及び第2のポリヌクレオチドが、5’−A UGU UCA CAA AGU CAG GUC TT−3’(配列番号31)及び5’−GAC CUG ACU UUG UGA ACA UTT−3’(配列番号32)から選択される、請求項9に記載のp97複合体。
【請求項11】
前記第1及び第2のポリヌクレオチド鎖が、CRISPR(クラスター的な、規則的に間の空いた、短い回文構造の繰り返し配列:clustered regularly interspaced short palindromic repeats)RNAオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の97複合体。
【請求項12】
前記p97ポリペプチドが、配列番号14、29〜30、1〜13、もしくは15〜28、または表1もしくは表Bに示されるアミノ酸配列(a)、(a)の配列と少なくとも90%一致するアミノ酸配列(b)、あるいは約1〜50アミノ酸の付加、置換、挿入、または欠失で(a)の配列とは異なるアミノ酸配列(c)を含む、請求項1〜11のいずれかに記載のp97複合体。
【請求項13】
前記p97ポリペプチドが、約10〜50個のアミノ酸の長さである、請求項1〜12のいずれかに記載のp97複合体。
【請求項14】
前記p97ポリペプチドが、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個のアミノ酸の長さである、請求項13に記載のp97複合体。
【請求項15】
前記p97ポリペプチドが、DSSHAFTLDELR(配列番号14)、またはDSSHAFTLDELRYC(配列番号29)、またはDSSHAFTLDELRC(配列番号30)を含むか、それからなるか、あるいはそれから本質的になる、請求項1〜14のいずれかに記載のp97複合体。
【請求項16】
システイン残基をC末端、N末端、または両方に含む、請求項1〜15のいずれかに記載の97複合体。
【請求項17】
間に前記リンカー(L)を含む、請求項1〜16のいずれかに記載のp97複合体。
【請求項18】
薬学的に許容される担体と、請求項1〜17のいずれかに記載のp97複合体とを含む薬学的組成物であって、無菌かつ非発熱性である、薬学的組成物。
【請求項19】
治療を必要とする対象における疾患を治療するための方法であって、請求項1〜18のいずれかに記載のp97複合体または薬学的組成物を、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項20】
前記標的遺伝子がヒトNOX遺伝子、任意選択でNOX2、NOX4、またはNOX1であり、前記対象がNOX関連疾患または中枢神経系(CNS)の病態を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記NOX関連疾患またはCNSの病態が、卒中、虚血、神経変性疾患、精神疾患、CNS外傷、または神経障害性疼痛である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記p97複合体または薬学的組成物が、静脈内(IV)注入または皮下注射によって投与される、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2014年4月8日に出願された米国出願第62/144,598号、2014年8月6日に出願された米国出願第62/033,903号、及び2014年5月1日に出願された米国出願第61/987,228号の優先権を主張し、これらの仮出願のそれぞれは、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
配列一覧
本出願に関連付けられる配列一覧は、ハードコピーの代わりにテキスト形式で提供され、ここに参照により本明細書に組み込まれる。配列一覧を含むテキストファイルの名称は、BIOA_010_03WO_ST25.txtである。このテキストファイルは、約42KBであり、2015年5月1日に作成され、EFS−Webを介して電子的に提出されている。
背景
【0003】
本発明は、p97(メラノトランスフェリン)と低分子干渉RNA(siRNA)分子等のポリヌクレオチドとの複合体、ならびにその使用に関連する組成物及び方法、例えば、血液脳関門(BBB)を越えるsiRNA薬剤の送達を促進し、かつ/あるいはCNS及び/または末梢組織におけるそれらの組織浸透を向上させ、それによって中枢神経系(CNS)構成要素を有するものを含む、様々な疾患を治療及び/または診断する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
RNA干渉(RNAi)は、RNA分子が、典型的には特定のmRNA分子の破壊を引き起こすことによって遺伝子発現を阻害する、生物学的過程である。療法においてRNA干渉を利用することが可能な場合がある。インターフェロン応答に起因して、哺乳動物細胞に長鎖dsRNAを導入することは困難であるが、短干渉RNA(siRNA)の使用は、より成功を収めている。
【0005】
しかしながら、中枢神経系(CNS)の組織といった所望の組織への送達は、siRNA分子の治療上の使用に対して課題を提示している。1つの問題として、血液脳関門(BBB)が、血液から脳への多くの薬剤の自由な移送を遮断する。この理由のために、有意な神経学的態様を呈する疾患は、IVまたは皮下投与といった投与の通常の経路に対して応答性であることは予期されない。そのような疾患及び他の疾患のために、BBBを越えるsiRNAの送達を改善する方法が、非常に望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、p97(メラノトランスフェリン)と低分子干渉RNA(siRNA)分子等のポリヌクレオチドとの複合体、ならびにその使用に関連する組成物及び方法を含む。したがって、ある特定の実施形態は、任意選択のリンカー(L)を間にして、約15〜40ヌクレオチド長の第1のポリヌクレオチドと共有結合するp97ポリペプチドと、第1のポリヌクレオチドに対して実質的に相補的であり、かつそれにハイブリダイズする、約15〜40ヌクレオチド長の第2のポリヌクレオチドとを含むp97複合体であって、第1または第2のポリヌクレオチドが、標的mRNA配列に対して実質的に相補的であるアンチセンス鎖であるp97複合体を含む。
【0007】
一部の実施形態において、第1及び第2のポリヌクレオチドは、アンチセンス鎖の3’末端、アンチセンス鎖の5’末端、または両方で、1〜3個のヌクレオチドのオーバーハングを形成する。ある特定の実施形態において、第1のポリヌクレオチドがアンチセンス鎖であり、第2のポリヌクレオチドがセンス鎖である。ある特定の実施形態において、第2のポリヌクレオチドがアンチセンス鎖であり、第1のポリヌクレオチドがセンス鎖である。
【0008】
ある特定の実施形態において、第1及び第2のポリヌクレオチドは、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40ヌクレオチド長である。一部の実施形態において、アンチセンス鎖は、表2から選択される遺伝子の標的mRNA配列に対して実質的または完全に相補的である。
【0009】
ある特定の実施形態において、この遺伝子はヒトNOX遺伝子である。一部の実施形態において、ヒトNOX遺伝子は、NOX4、NOX1、またはNOX2のうちの1つ以上である。特定の実施形態において、ヒトNOX遺伝子はNOX4であり、第1及び第2のポリヌクレオチドは、5’−A UGU UCA CAA AGU CAG GUC TT−3’(配列番号31)及び5’−GAC CUG ACU UUG UGA ACA UTT−3’(配列番号32)から選択される。
【0010】
ある特定の実施形態において、p97ポリペプチドは、配列番号1〜30、または表1もしくは表Bに示されるアミノ酸配列(a)、(a)の配列と少なくとも90%一致するアミノ酸配列(b)、あるいは約1〜50アミノ酸の付加、置換、挿入、または欠失で(a)の配列とは異なるアミノ酸配列(c)を含む。一部の実施形態において、p97ポリペプチドは、約10〜50個のアミノ酸の長さである。ある特定の実施形態において、p97ポリペプチドは、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個のアミノ酸の長さである。
【0011】
特定の実施形態において、p97ポリペプチドは、DSSHAFTLDELR(配列番号14)、またはDSSHAFTLDELRYC(配列番号29)、またはDSSHAFTLDELRC(配列番号30)を含むか、それからなるか、あるいはそれから本質的になる。ある特定の実施形態において、p97ポリペプチドは、システイン残基をC末端、N末端、または両方に含む。一部の実施形態において、本複合体は、間にリンカー(L)を含む。
【0012】
また、薬学的に許容される担体と、本明細書に記載されるp97複合体とを含む薬学的組成物も含まれ、この薬学的組成物は、無菌かつ非発熱性である。
【0013】
治療を必要とする対象における疾患を治療するための方法もまた含まれ、この方法は、本明細書に記載されるp97複合体または薬学的組成物を、対象に投与することを含む。ある特定の実施形態において、標的遺伝子はヒトNOX遺伝子、任意選択でNOX1、NOX2、またはNOX4であり、対象はNOX関連疾患または中枢神経系(CNS)の病態を有する。一部の実施形態において、NOX関連疾患またはCNSの病態は、神経変性疾患、精神疾患、虚血、卒中、CNS外傷、または神経障害性疼痛である。
【0014】
ある特定の実施形態において、p97複合体または薬学的組成物は、静脈内(IV)注入または皮下注射によって投与される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A-D】図1A〜1Lは、少なくとも1本のsiRNA分子またはshRNA分子鎖と共有結合するp97(メラノトランスフェリン)ポリペプチドと、任意選択でリンカー(L)とを有する例示的複合体の一般構造を例証する図である。
【図1E-H】図1A〜1Lは、少なくとも1本のsiRNA分子またはshRNA分子鎖と共有結合するp97(メラノトランスフェリン)ポリペプチドと、任意選択でリンカー(L)とを有する例示的複合体の一般構造を例証する図である。
【図1I-L】図1A〜1Lは、少なくとも1本のsiRNA分子またはshRNA分子鎖と共有結合するp97(メラノトランスフェリン)ポリペプチドと、任意選択でリンカー(L)とを有する例示的複合体の一般構造を例証する図である。
【図2】例示的p97−siRNA複合体の構造を例証する図である(実施例1を参照)。
【図3】分析した脳の薄片の4つの観測視野の場所を示す図である(実施例1を参照)。
【図4A-B】図4A〜4Dは、試験薬剤の静脈内投与後の、マウスの脳組織の免疫蛍光画像である。対照試験薬剤である単独のPBS(4A)及び非複合型siRNA(4B)では、脳組織内におけるAF680(赤)による染色は認められない。対照的に、p97−siRNA複合体(4C〜4D)では、脳組織内におけるAF680(赤)による有意な染色が認められ、p97ポリペプチドの複合体化が、脳実質組織といったCNS組織へのsiRNA分子の送達を増進できることを裏付ける。
【図4C-D】図4A〜4Dは、試験薬剤の静脈内投与後の、マウスの脳組織の免疫蛍光画像である。対照試験薬剤である単独のPBS(4A)及び非複合型siRNA(4B)では、脳組織内におけるAF680(赤)による染色は認められない。対照的に、p97−siRNA複合体(4C〜4D)では、脳組織内におけるAF680(赤)による有意な染色が認められ、p97ポリペプチドの複合体化が、脳実質組織といったCNS組織へのsiRNA分子の送達を増進できることを裏付ける。
【図5A】図5A〜5Bは、siRNA分子の糖(5A)及び核酸塩基(5B)の化学的性質に対する例示的改変を示す図である。
【図5B】図5A〜5Bは、siRNA分子の糖(5A)及び核酸塩基(5B)の化学的性質に対する例示的改変を示す図である。
【図6】p97ポリペプチドをsiRNA分子のポリヌクレオチド鎖に複合体化させてp97−siRNA複合体を作製するための反応スキームを例証する図である。
【図7】PBS対照に対する、脳組織内におけるsiRNA及びp97−siRNA複合体の体積分率を示す図である。
【図8】試験した7匹の異なるマウス(示されるように、PBS対照1匹、及び各siRNA試験分子に対して3匹ずつ)についてのRT−PCRの結果を示す図である。NOX4 mRNAのレベルを、GAPDH対照と比較して示す。
【図9A】図9A〜9Cは、ΔΔCT法を用いて分析したRT−PCRデータを示す図である:=(CT(標的、未処置)−CT(基準、未処置))−(CT(標的、処置済)−CT(基準、処置済))。図9Aは、対照(PBS及び非複合型siRNA)と比較して、p97−siRNA複合体で処置されたマウスの脳組織において、NOX4 mRNAが有意に下方制御されていることを示す。図9Bは、非複合型siRNAと比較した、p97−siRNA複合体で処置されたマウスの脳組織における、内因性NOX4発現の減少率を示す。図9Cは、非複合型siRNAと比較した、p97−siRNA複合体で処置されたマウスの脳組織における、NOX4発現の減少倍率(約1.8倍)を示す。
【図9B】図9A〜9Cは、ΔΔCT法を用いて分析したRT−PCRデータを示す図である:=(CT(標的、未処置)−CT(基準、未処置))−(CT(標的、処置済)−CT(基準、処置済))。図9Aは、対照(PBS及び非複合型siRNA)と比較して、p97−siRNA複合体で処置されたマウスの脳組織において、NOX4 mRNAが有意に下方制御されていることを示す。図9Bは、非複合型siRNAと比較した、p97−siRNA複合体で処置されたマウスの脳組織における、内因性NOX4発現の減少率を示す。図9Cは、非複合型siRNAと比較した、p97−siRNA複合体で処置されたマウスの脳組織における、NOX4発現の減少倍率(約1.8倍)を示す。
【図9C】図9A〜9Cは、ΔΔCT法を用いて分析したRT−PCRデータを示す図である:=(CT(標的、未処置)−CT(基準、未処置))−(CT(標的、処置済)−CT(基準、処置済))。図9Aは、対照(PBS及び非複合型siRNA)と比較して、p97−siRNA複合体で処置されたマウスの脳組織において、NOX4 mRNAが有意に下方制御されていることを示す。図9Bは、非複合型siRNAと比較した、p97−siRNA複合体で処置されたマウスの脳組織における、内因性NOX4発現の減少率を示す。図9Cは、非複合型siRNAと比較した、p97−siRNA複合体で処置されたマウスの脳組織における、NOX4発現の減少倍率(約1.8倍)を示す。
【図10】p97−siRNA複合体(MTfp−siRNA)で前処置され、中大脳動脈閉塞(MCAO)により虚血性脳卒中を誘導されたマウスが、PBS及びsiRNA単独の群と比較して、有意に小さい梗塞領域しか有さなかったことを示す図である。
【図11】MTfp−siRNA複合体による前処置が、PBSまたはsiRNA単独による前処置と比較して、卒中誘導後0.5時間の動物における神経障害を改善したことを示す図である。
【図12A】図12A〜12Bは、前処置及び卒中誘導後のNOX4 mRNAレベルのRT−PCR分析の結果を示す図である。図12Aは、MTfp−siRNAによる前処置によって、PBSまたはsiRNA単独と比較して、脳の卒中誘導部分におけるNox4の誘導がより低くなったことを示す(ΔCt=Ct(nox4、PBS−擬似)−Ct(B−アクチン、PBS−擬似))。同様に、図12Bは、MTfp−siRNAによる前処置によって、PBSまたはsiRNA単独と比較して、卒中が誘導された脳におけるNOX4 mRNAの発現が低減されたことを示す(ΔΔCt=(CT(Nox4、PBS−擬似)−CT(B−アクチン、PBS−擬似))−(CT(Nox4、MTfp−siRNA−卒中)−CT(B−アクチン、MTfp−siRNA−卒中))。
【図12B】図12A〜12Bは、前処置及び卒中誘導後のNOX4 mRNAレベルのRT−PCR分析の結果を示す図である。図12Aは、MTfp−siRNAによる前処置によって、PBSまたはsiRNA単独と比較して、脳の卒中誘導部分におけるNox4の誘導がより低くなったことを示す(ΔCt=Ct(nox4、PBS−擬似)−Ct(B−アクチン、PBS−擬似))。同様に、図12Bは、MTfp−siRNAによる前処置によって、PBSまたはsiRNA単独と比較して、卒中が誘導された脳におけるNOX4 mRNAの発現が低減されたことを示す(ΔΔCt=(CT(Nox4、PBS−擬似)−CT(B−アクチン、PBS−擬似))−(CT(Nox4、MTfp−siRNA−卒中)−CT(B−アクチン、MTfp−siRNA−卒中))。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実践は、具体的に別様に示されない限り、分子生物学の従来の方法、及び当該技術分野内の組換えDNA技法を採用し、これらの多くは例証目的で下に記載される。そのような技法は文献において詳細に説明されている。例えば、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3rd Edition,2000)、DNA Cloning:A Practical Approach,vol.I & II(D.Glover,ed.)、Oligonucleotide Synthesis(N.Gait,ed.,1984)、Oligonucleotide Synthesis:Methods and Applications(P.Herdewijn,ed.,2004)、Nucleic Acid Hybridization(B.Hames & S.Higgins,eds.,1985)、Nucleic Acid Hybridization:Modern Applications(Buzdin and Lukyanov,eds.,2009)、Transcription and Translation(B.Hames & S.Higgins,eds.,1984)、Animal Cell Culture(R.Freshney,ed.,1986)、Freshney,R.I.(2005)Culture of Animal Cells,a Manual of Basic Technique,5th Ed.Hoboken NJ,John Wiley & Sons、B.Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning(3rd Edition 2010)、Farrell,R.,RNA Methodologies:A Laboratory Guide for Isolation and Characterization(3rd Edition 2005)。Poly(ethylene glycol),Chemistry and Biological Applications,ACS,Washington,1997、Veronese,F.,and J.M.Harris,Eds.,Peptide and protein PEGylation,Advanced Drug Delivery Reviews,54(4)453−609(2002)、Zalipsky,S.,et al.,Polyethylene Glycol Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applicationsの“Use of functionalized Poly(Ethylene Glycols)for modification of polypeptides”を参照されたい。
【0017】
本明細書に引用される全ての公開公報、特許、及び特許出願は、ここに参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0018】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって広く理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似または同等の任意の方法及び材料を本発明の実践または試験において使用することができるが、好ましい方法及び材料を記載する。本発明の目的に関して、以下の用語を下に定義する。
【0019】
「1つの(a)」及び「1つの(an)」という冠詞は、1つまたは1つを上回る(すなわち、少なくとも1つの)その冠詞の文法上の目的語を指すように、本明細書において使用される。例として、「1つの要素(an element)」とは、1つの要素または1つを上回る要素を意味する。
【0020】
「約」は、基準の量(quantity)、水準、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量(amount)、重量、または長さに対して30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%の大きさで異なる、量(quantity)、水準、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量(amount)、重量、または長さを意味する。
【0021】
本明細書で使用する場合、用語「アミノ酸」は、天然型及び非天然型のアミノ酸の両方、ならびにアミノ酸類似体及び模倣物を意味するように意図される。天然型アミノ酸としては、タンパク質生合成中に活用される20種類のL−アミノ酸、ならびに例えば4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デスモシン、イソデスモシン、ホモシステイン、シトルリン、及びオルニチン等の他のものが挙げられる。非天然型アミノ酸としては、例えば、D−アミノ酸、ノルロイシン、ノルバリン、p−フルオロフェニルアラニン、エチオニン等が挙げられ、これらは当業者には既知である。アミノ酸類似体としては、天然型アミノ酸及び非天然型アミノ酸の変性形態が挙げられる。そのような変性は、例えば、アミノ酸における化学基及び部分の置換または置き換え、あるいはアミノ酸の誘導体化によるものを含み得る。アミノ酸模倣物としては、例えば、基準アミノ酸の電荷及び電荷間隔特性等の性質と機能的に類似する性質を提示する有機構造物が挙げられる。例えば、アルギニン(ArgまたはR)を模倣する有機構造物は、天然型Argアミノ酸の側鎖のe−アミノ基と類似する分子空間内に位置し、それと同程度の可動性を有する正電荷部分を有することになる。模倣物はまた、アミノ酸またはアミノ酸官能基の最適な間隔及び電荷相互作用を維持するような、拘束された構造物も含む。どのような構造物が機能的に等価なアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣物を構成するかは、当業者ならば既知であるか、決定することができる。
【0022】
本明細書を通じて、文脈が別様に要求しない限り、語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含んでいる(comprising)」は、明言されたステップもしくは要素、またはステップもしくは要素の群の包含を示唆するが、任意の他のステップもしくは要素、またはステップもしくは要素の群の除外は示唆しないように理解される。「からなる」は、語句「からなる」の後に続くものを含み、それに限定されることを意味する。したがって、語句「からなる」は、列挙された要素が必要である、あるいは必須であり、他の要素は存在してはならないことを示す。「から本質的になる」は、その語句の後に列挙される任意の要素を含み、それらの列挙された要素に関する本開示内で特定された活性または作用に干渉しない、あるいは寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、語句「から本質的になる」は、列挙された要素が必要である、あるいは必須であることを示すが、他の要素は任意選択であり、それらが、列挙された要素の活性または作用に実質的に影響を及ぼすか否かに応じて、存在してもよいか、あるいは存在してはならないことを示す。
【0023】
用語「複合体」は、薬剤または他の分子、例えば生物学的に活性な分子の、p97ポリペプチドへの共有結合もしくは非共有結合、またはリンケージの結果として形成される実体を指すことを意図する。
【0024】
本明細書で使用する場合、用語「機能」及び「機能性」等は、生物学的、酵素的、または治療上の機能を指す。
【0025】
「相同性」は、一致するアミノ酸の百分率数、または保存的置換を構築するアミノ酸の百分率数を指す。相同性は、GAP(Deveraux et al.,Nucleic Acids Research.12,387−395,1984)等の配列比較プログラムを用いて決定することができ、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。このようにして、本明細書に引用される配列に対して、類似の長さまたは実質的に異なる長さの配列を、アライメントへのギャップの挿入で比較することができ、そのようなギャップは、例えばGAPで使用される比較アルゴリズムによって決定される。
【0026】
「単離された」は、ある材料がその天然状態において通常付随する構成要素を、実質的または本質的に含まない材料を意味する。例えば、「単離ペプチド」または「単離ポリペプチド」等は、本明細書で使用する場合、その天然の細胞環境から、ならびに細胞の他の構成要素との会合からのペプチドまたはポリペプチドのインビトロ単離及び/または精製を含み、すなわち、それはインビボ物質と有意には会合していない。
【0027】
用語「調整する」及び「改変する」は、典型的には、統計学的に有意な、あるいは生理学的に有意な量または程度で、対照に対して「増加させる」、「増進する」、または「刺激する」、ならびに「減少させる」、「低減する」ことを含む。「増加された」、「刺激された」、または「増進された」量は、典型的には「統計学的に有意な」量であり、組成物無し(例えば、本発明の複合体の不在)、または対照組成物、試料、もしくは試験対象によって生成された量の、1.1、1.2、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30倍以上(例えば500、1000倍)(1を上回る全ての整数及びその中間の小数点を含む、例えば1.5、1.6、1.7、1.8等)の増加を含み得る。「減少された」または「低減された」量は、典型的には「統計学的に有意な」量であり、組成物無しまたは対照組成物によって生成された量の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の減少を含み得、その間の全ての整数が含まれる。非限定的一例として、対照は、siRNA分子単独と比較した、p97−siRNA複合体の、血液脳関門を越える輸送/送達の量もしくは速度、中枢神経系組織への分散の速度及び/もしくは水準、ならびに/または血漿、中枢神経系組織、もしくは任意の他の全身性もしくは末梢非中枢神経系組織でのCmax、または標的遺伝子の発現を減弱する能力等の活性を比較することができる。比較及び「統計学的に有意な」量の他の例が、本明細書に記載される。
【0028】
本明細書で使用する場合、遺伝子またはmRNAに関して「発現を減弱する」という語句は、ある量のsiRNAを投与または発現させて、mRNAの切断または翻訳の直接的阻害のいずれかによって、標的mRNAのタンパク質への翻訳を低減することを意味する。本明細書で使用する場合、用語「阻害する」、「サイレンシング」、及び「減弱」は、本発明の干渉RNAの不在下における標的mRNAまたは対応するタンパク質の発現と比較した際の、標的mRNAまたは対応するタンパク質の発現の測定可能な低減を指す。標的mRNAまたは対応するタンパク質の発現における低減は、非標的対照siRNA及び/または非複合型siRNAの投与または発現後に存在するレベルと比較することで評価できる。ある特定の実施形態において、p97−siRNA複合体は、対応する非複合型siRNAと比較して、CNS組織における標的遺伝子発現の減弱を「増加」させた(例えば、インビボの末梢投与のとき)。
【0029】
別様に特定されない限り、用語「ヌクレオチド」は、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチド、またはそれらの修飾形態、ならびにそれらの類似体を指す。ヌクレオチドは、プリン、例えばアデニン、ヒポキサンチン、グアニン、ならびにそれらの誘導体及び類似体、ならびにピリミジン、例えばシトシン、ウラシル、チミン、ならびにそれらの誘導体及び類似体を含む種を指す。一部の実施形態において、全てのヌクレオチドは、修飾された、あるいは未修飾のA、C、G、またはUの群から選択される。
【0030】
用語ヌクレオチドはまた、修飾塩基及びユニバーサル塩基を含むことを意図する。例として、限定されるものではないが、ユニバーサル塩基は3−ニトロピロール、5−ニトロインドール、またはネブラリンを含む。用語「ヌクレオチド」はまた、リボシル3’酸素をアミン基で置換した結果生じる、N3’−P5’ホスホルアミデートを含むことを意図する。
【0031】
更に、用語ヌクレオチドはまた、例えば放射活性部分もしくは蛍光性部分、またはヌクレオチドに結合した質量標識といった、検出可能な標識を有する種も含む。
【0032】
ある特定の実施形態において、組成物中の任意の所与の薬剤(例えば、p97複合体)の「純度」は、具体的に定義され得る。例えば、ある特定の組成物は、例えば、決して限定するものではないが、化合物を分離、同定、及び定量化するために生化学及び分析化学において頻繁に使用されるカラムクロマトグラフィーの周知の形態である、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定される際、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%(その間の全ての小数を含む)純粋な薬剤を含み得る。
【0033】
用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において交換可能に使用されて、アミノ酸残基のポリマー、ならびにそれらの変異型及び合成類似体を指す。したがって、これらの用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然型アミノ酸の化学類似体等の合成非天然型アミノ酸であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然型アミノ酸ポリマーに適用される。本明細書に記載されるポリペプチドは、特定の長さの生成物に限定されず、したがって、ペプチド、オリゴペプチド、及びタンパク質がポリペプチドの定義内に含まれ、そのような用語は、具体的に別様に示されない限り、本明細書において交換可能に使用され得る。本明細書に記載されるポリペプチドはまた、グリコシル化、アセチル化、リン酸化等の発現後修飾、ならびに天然型及び非天然型の両方の、当分野において既知の他の修飾も含み得る。ポリペプチドは完全なタンパク質であってもよく、あるいはその部分配列、フラグメント、変異型、または誘導体であってもよい。
【0034】
「生理学的に切断可能」または「加水分解性」または「分解可能な」リンカーまたは結合とは、生理学的条件下で水と反応する(すなわち、加水分解される)結合である。結合の水中での加水分解の傾向は、2つの中心原子を接続するリンケージの一般型だけでなく、これらの中心原子に付着する置換基にも依存することになる。適切な、加水分解的に不安定または脆弱なリンケージとしては、限定されるものではないが、カルボン酸エステル、リン酸エステル、酸無水物、アセタール、ケタール、アシルオキシアルキルエーテル、イミン、オルトエステル、チオエステル、チオールエステル、炭酸塩、ならびにヒドラゾン、ペプチド、及びオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0035】
「解放可能なリンカー」としては、限定されるものではないが、生理学的に切断可能なリンカー及び酵素的に分解可能なリンカーが挙げられる。したがって、「解放可能なリンカー」とは、自然発生的な加水分解、または生理学的条件下での、ある他の機序(例えば、酵素触媒、酸触媒、塩基触媒等)による切断のいずれかを受け得るリンカーである。例えば、「解放可能なリンカー」は、駆動力としてプロトン(例えば、イオン化可能な水素原子、Hα)の塩基抽出を有する、脱離反応を伴い得る。本明細書の目的に関して、「解放可能なリンカー」は「分解可能なリンカー」と同義である。「酵素的に分解可能なリンケージ」としては、リンケージ、例えば、1つ以上の酵素、例えばペプチダーゼまたはプロテアーゼによる分解を受けるアミノ酸配列が挙げられる。特定の実施形態において、解放可能または別様に分解可能なリンカーは、pH7.4、25℃、例えば生理学的pH、人体の温度(例えば、インビボ)において、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約12時間、約18時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、または約96時間以下の半減期を有する。
【0036】
用語「基準配列」は、別の配列が比較される核酸コード配列またはアミノ酸配列を一般的には指す。本明細書に記載される全てのポリペプチド及びポリヌクレオチド配列は、名称で記載されるもの及び配列一覧に記載されるものを含んで、基準配列として含まれる。
【0037】
用語「配列同一性」または、例えば、「と50%一致する配列」を含むことは、本明細書で使用する場合、比較の窓において、各ヌクレオチドベースで、あるいは各アミノ酸ベースで配列が一致する程度を指す。したがって、「配列同一性の百分率」は、比較の窓において最適にアライメントされた2つの配列を比較し、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I)または同一のアミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys、及びMet)が両方の配列において発生する位置の数を決定して一致する位置の数を得て、この一致する位置の数を比較の窓内の位置の総数(すなわち、窓のサイズ)で割り、この結果に100を乗じて配列同一性の百分率を得ることにより算出できる。典型的には、ポリペプチド変異型が基準ポリペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を維持する場合、本明細書に記載される基準配列(例えば、配列一覧を参照)のうちのいずれかと少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するヌクレオチド及びポリペプチドが含まれる。
【0038】
2つ以上のポリヌクレオチドまたはポリペプチド間の配列の関係性を説明するために使用される用語としては、「基準配列」、「比較窓」、「配列同一性」、「配列同一性の百分率」、及び「実質的同一性」が挙げられる。「基準配列」とは、ヌクレオチド及びアミノ酸残基を包含する、長さが少なくとも12であるが、多くの場合15〜18であり、しばしば少なくとも25のモノマー単位である。2つのポリヌクレオチドはそれぞれ、(1)2つのポリヌクレオチド間で類似する配列(すなわち、完全なポリヌクレオチド配列のうちの一部分のみ)、及び(2)2つのポリヌクレオチド間で相違する配列を含む場合があるため、2つ(以上)のポリヌクレオチド間での配列比較は、典型的には、2つのポリヌクレオチドの配列を「比較窓」において比較して、局所領域の配列類似性を特定及び比較することで行われる。「比較窓」は、少なくとも6個、通常は約50〜約100個、より通常には約100〜約150個の隣接する位置の概念上のセグメントを指し、ここで、配列は、同じ数の隣接する位置の基準配列と、2つの配列を最適にアライメントした後に比較される。比較窓は、2つの配列の最適なアライメントのために、基準配列(付加または欠失を含まない)と比較して、約20%以下の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでもよい。比較窓をアライメントするための配列の最適なアライメントは、アルゴリズムのコンピュータ処理実行(the Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0,Genetics Computer Group,575 Science Drive Madison,WI,USAのGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)、または検査、及び選択される様々な方法のいずれかによって生成される最適なアライメント(すなわち、比較窓において最も高い相同性%をもたらすアライメント)によって実行され得る。例えば、Altschul et al.,Nucl.Acids Res.25:3389,1997によって開示されるような、プログラムのBLASTファミリーを参照してもよい。配列分析の詳細な考察は、“Current Protocols in Molecular Biology,”John Wiley & Sons Inc,1994−1998,Chapter 15のUnit 19.3において見出すことができる。
【0039】
「統計学的に有意」とは、その結果が偶然に起こった可能性が低いことを意味する。統計的有意性は、当分野において既知の任意の方法で決定することができる。一般的に使用される有意性の尺度としてはp値が挙げられ、これは、帰無仮説が真であった場合は、観察された事象が起こる頻度または可能性である。得られたp値が有意水準よりも小さい場合、帰無仮説は棄却される。単純な場合においては、有意水準は、0.05以下のp値で定義される。
【0040】
用語「溶解度」は、タンパク質または複合体が液体溶媒中に溶解し、均質な溶液を形成する特性を指す。溶解度は、典型的には、溶媒の単位体積当たりの溶質の質量(溶質g/溶媒kg、g/dL(100mL)、mg/ml等)、容量モル濃度、重量モル濃度、モル分率、または他の類似する種類の濃度のいずれかによって、濃度として表される。溶媒の体積当たりの溶解可能な溶質の最大平衡量が、温度、圧力、pH、及び溶媒の性質を含む特定の条件下における、その溶質のその溶媒中での溶解度である。ある特定の実施形態において、溶解度は、生理学的pHまたは他のpH、例えばpH5.0、pH6.0、pH7.0、またはpH7.4において測定される。ある特定の実施形態において、溶解度は、水、またはPBSもしくはNaCl(NaPを伴う、あるいは伴わない)等の生理学的緩衝液で測定される。特定の実施形態において、溶解度は、比較的低いpH(例えば、pH6.0)、及び比較的高い塩分(例えば、500mMのNaCl及び10mMのNaP)において測定される。ある特定の実施形態において、溶解度は、血液または漿液等の生物学的流体(溶媒)で測定される。ある特定の実施形態において、温度は、ほぼ室温(例えば、約20、21、22、23、24、25℃)またはほぼ体温(約37℃)であることができる。ある特定の実施形態において、p97複合体は、室温または約37℃において、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、または30mg/mlの溶解度を有する。
【0041】
「対象」は、本明細書で使用する場合、本発明のp97複合体で治療または診断できる症状を呈するか、あるいは症状を呈する危険性がある任意の動物を含む。好適な対象(患者)としては、実験動物(マウス、ラット、ウサギ、またはモルモット等)、家畜動物、及び飼育動物またはペット(ネコまたはイヌ等)が挙げられる。非ヒト霊長類、ならびに好ましくはヒト患者が含まれる。
【0042】
「実質的に」または「本質的に」は、ほぼ全体またはほぼ完全、例えば、ある所与の量の95%、96%、97%、98%、99%以上を意味する。
【0043】
「実質的に含まない」は、所与の量のほぼ完全な不在または完全な不在、例えば、ある所与の量の約10%未満、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%以下を指す。例えば、ある特定の組成物は、細胞タンパク質、膜、核酸、エンドトキシン、または他の汚染物質を「実質的に含まない」場合がある。
【0044】
用語「標的」は、本明細書を通じて様々な異なる形態で使用され、この用語が使用される文脈によって定義される。「標的mRNA」とは、所与のsiRNAが対象とし得る伝令RNAを指す。「標的配列」及び「標的部位」は、siRNAのセンス鎖が様々な程度の同一性を示し、アンチセンス鎖が様々な程度の相補性を示す、mRNA内の配列を指す。語句「siRNA標的」は、siRNAが対象とする遺伝子、mRNA、またはタンパク質を指し得る。同様に、「標的サイレンシング」は、遺伝子、または対応するmRNAもしくはタンパク質の状態を指し得る。
【0045】
「治療」または「治療する」は、本明細書で使用する場合、疾患または病態の症状または病理に対する任意の望ましい効果を含み、治療されている疾患または病態の1つ以上の測定可能なマーカーにおける極小の変化または改善ですら含み得る。「治療」または「治療する」は、疾患もしくは病態、または関連付けられるそれらの症状の、完全な根絶または治癒を必ずしも示さない。この治療を受ける対象は、治療を必要とする任意の対象である。臨床的改善の例示的マーカーは、当業者には明らかであろう。
【0046】
用語「野生型」は、遺伝子または遺伝子産物を指し、これは、天然源から単離されたときにその遺伝子または遺伝子産物の特性を有する。野生型遺伝子または遺伝子産物(例えば、ポリペプチド)は、集団内で最も頻繁に観察されるものであり、したがって遺伝子の任意に設計された「通常」または「野生型」の形態である。
【0047】
p97−ポリヌクレオチド複合体
本発明の実施形態は、概して、少なくとも1つのポリヌクレオチド、例えば二本鎖低分子干渉RNA(siRNA)分子の少なくとも1本の鎖と共有結合または動作可能に結合する、p97(メラノトランスフェリン;MTf)ポリペプチドを含む複合体、ならびにその使用に関連する組成物及び方法に関する。例示的なp97ポリペプチド配列(例えば、表1)、及びsiRNA標的遺伝子(例えば、表2)が本明細書に記載される。ある特定の実施形態において、p97複合体は、p97ポリペプチドと核酸分子との間に1つ以上のリンカー(L)を含み、それらの例が本明細書に提供される。前述のうちのいずれかの変異型及びフラグメントもまた、本明細書に含まれ、記載される。
【0048】
ある特定の実施形態において、p97複合体は、図1A〜1Hまたは2Aに例証される、例示的な非限定的構成のうちの少なくとも1つを含むか、それからなるか、あるいはそれから本質的になる。例えば、ある特定の実施形態において、siRNA分子のポリヌクレオチド鎖が、p97ポリペプチドのN末端と複合体化する。一部の実施形態において、siRNA分子のポリヌクレオチド鎖は、p97ポリペプチドのC末端と複合体化する。特定の実施形態において、siRNA分子のポリヌクレオチド鎖は、p97ポリペプチドの内部アミノ酸、例えば、メチオニンまたはシステインといったS含有アミノ酸と複合体化する。これら及び関連する実施形態の一部において、siRNA分子のポリヌクレオチド鎖は、リンカーを介してp97ポリペプチドと複合体化する。
【0049】
ある特定の実施形態において、p97ポリペプチドは、siRNA分子のポリヌクレオチド鎖の3’末端と複合体化する。ある特定の実施形態において、p97ポリペプチドは、siRNA分子のポリヌクレオチド鎖の5’末端と複合体化する。特定の実施形態において、p97ポリペプチドは、siRNA分子のポリヌクレオチド鎖の内部核酸塩基と複合体化する。これら及び関連する実施形態の一部において、p97ポリペプチドは、リンカーを介してsiRNA分子のポリヌクレオチドと複合体化する。
【0050】
一部の実施形態において、p97ポリペプチドは、本明細書に記載されるように、siRNA分子のセンスポリヌクレオチド鎖と複合体化する。ある特定の実施形態において、p97ポリペプチドは、本明細書に記載されるように、siRNA分子のアンチセンスポリヌクレオチド鎖と複合体化する。
【0051】
ある特定の複合体は、2つ以上のp97ポリペプチドを用いる場合がある。例えば、一部の実施形態において、第1のp97ポリペプチドがセンス鎖と複合体化し、第2のp97ポリペプチド(同じであるか、異なっている)が、アンチセンス鎖と複合体化する。一部の実施形態において、1、2、3、4、または5つのp97ポリペプチドが、siRNA分子のポリヌクレオチド鎖と複合体化する。
【0052】
一部の複合体は、2つ以上のsiRNA分子を用いる場合がある。例えば、ある特定の実施形態において、p97ポリペプチドは、siRNA分子の1、2、3、4、または5つのポリヌクレオチド鎖と複合体化する。一部の態様において、p97ポリペプチドは、siRNA分子の1、2、3、4、または5つのセンス鎖と複合体化する。ある特定の態様において、p97ポリペプチドは、siRNA分子の1、2、3、4、または5つのアンチセンス鎖と複合体化する。特定の態様において、p97ポリペプチドは、siRNA分子の、1、2、3、4、または5つのセンス鎖及び1、2、3、4、または5つのアンチセンス鎖といった、センス鎖及びアンチセンス鎖の混合物と複合体化する。
【0053】
前述のうちのいずれかの組み合わせもまた含まれる。
【0054】
p97ポリペプチドと、siRNA分子のポリヌクレオチド鎖との複合体は、当分野における様々な技法に従って調製できる。例えば、ある特定の実施形態は、チオール含有siRNAを活用する場合があり(Muratovska and Eccles,FEBS Lett.558:63−68,2004を参照)、あるいは他の手法を活用する場合がある(Jeong et al.,Bioconjugate Chem.20:5−14,2009を参照)。一部の実施形態において、siRNA鎖の5’末端、内部核酸塩基、または3’末端は、アミン、チオール、カルボキシレート、ヒドロキシル、アルデヒド、及びケトン、活性水素といった、ポリペプチド及びポリヌクレオチド中に備わる官能基を伴う1つ以上の予め活性化された低分子を用いて、光化学及び環化付加反応を用いて、ならびに安定した、切断可能な、あるいは不安定なリンケージのいずれかを含む、様々な異なる複合化学を通じて互いに架橋することによって、ペプチドのN末端、内部残基、またはC末端と共有結合させることができる。一部の態様において、ポリマー複合体は、例えば、遺伝的にコードされたp−アセチルフェニルアラニン(pAcF)を用いて、アミノオキシ誘導体化カチオン性ブロックコポリマーをp97ポリペプチドと複合体化し(Lu et al.,J AM Chem Soc.135:13885−91,2013を参照)、次いでsiRNA分子のポリヌクレオチド鎖をそのコポリマーと複合体化することによって、調製できる。ポリヌクレオチドをp97ポリペプチドと結合させる等の、複合体分子を結合させるための方法の別の例は、SATA/スルホ−SMCC架橋反応(Pierce(Rockford,IL))である。1つの例示的手法を、図6に例証する。
【0055】
複合体は、本明細書に記載されるp97、L、またはsiRNA分子(それらの機能的または活性の変異型及びフラグメントを含む)のいずれかを用いて構築することができる。
【0056】
ある特定の実施形態において、複合体は、当分野における通例の技法に従って測定した際、少なくとも約90%の純度を有する。ある特定の実施形態において、診断用組成物またはある特定の治療用組成物等の複合体は、少なくとも約95%の純度を有する。特定の実施形態において、治療用組成物または薬学的組成物等の複合体は、少なくとも約97%または98%または99%の純度を有する。他の実施形態において、基準試薬または研究試薬として使用される場合等の複合体は、より低い純度のものであり得、少なくとも約50%、60%、70%、または80%の純度を有してもよい。純度は全体として、あるいは他のタンパク質等の選択された構成要素に対して、例えばタンパク質ベースの純度として測定することができる。
【0057】
ある特定の実施形態において、上述されるように、本明細書に記載される複合体及び/または組成物は、例えば、エンドトキシンを約95%含まない、好ましくはエンドトキシンを約99%含まない、より好ましくはエンドトキシンを約99.99%含まない等、エンドトキシンをほぼ実質的に含まない。エンドトキシンの存在は、本明細書に記載されるように、当分野における通例の技法に従って検出できる。
【0058】
p97ポリペプチド.ある特定の実施形態において、複合体に使用されるp97ポリペプチド配列は、下の表1に提供されるヒトp97基準配列を含むか、それから本質的になるか、あるいはそれからなる。その基準配列の変異型及びフラグメントもまた含まれる。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0059】
一部の実施形態において、p97ポリペプチド配列は、表1のヒトp97配列またはそのフラグメンに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性または相同性をその長さにわたって有する配列を含む。
【0060】
特定の実施形態において、p97ポリペプチド配列は、表1のヒトp97配列のフラグメントを含む。ある特定の実施形態において、p97ポリペプチドのフラグメントは、長さが約、少なくとも約、または最大約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、700、710、720、730個以上のアミノ酸であり、その間の全ての整数及び範囲が含まれ、このフラグメントは、p97基準配列の配列の全てまたは一部(配列番号1によって定義される、基準p97フラグメントの任意の隣接するN末端及び/またはC末端配列を含む)を含み得る。
【0061】
ある特定の実施形態において、p97ポリペプチドのフラグメントは、長さが5〜700、5〜600、5〜500、5〜400、5〜300、5〜200、5〜100、5〜50、5〜40、5〜30、5〜25、5〜20、5〜15、5〜10、10〜700、10〜600、10〜500、10〜400、10〜300、10〜200、10〜100、10〜50、10〜40、10〜30、10〜25、10〜20、10〜15、20〜700、20〜600、20〜500、20〜400、20〜300、20〜200、20〜100、20〜50、20〜40、20〜30、20〜25、30〜700、30〜600、30〜500、30〜400、30〜300、30〜200、30〜100、30〜50、30〜40、40〜700、40〜600、40〜500、40〜400、40〜300、40〜200、40〜100、40〜50、50〜700、50〜600、50〜500、50〜400、50〜300、50〜200、50〜100、60〜700、60〜600、60〜500、60〜400、60〜300、60〜200、60〜100、60〜70、70〜700、70〜600、70〜500、70〜400、70〜300、70〜200、70〜100、70〜80、80〜700、80〜600、80〜500、80〜400、80〜300、80〜200、80〜100、80〜90、90〜700、90〜600、90〜500、90〜400、90〜300、90〜200、90〜100、100〜700、100〜600、100〜500、100〜400、100〜300、100〜250、100〜200、100〜150、200〜700、200〜600、200〜500、200〜400、200〜300、または200〜250アミノ酸であり、p97基準配列の配列の全てまたは一部(配列番号1によって定義される、基準p97フラグメントの任意の隣接するN末端及び/またはC末端配列を含む)を含む。
【0062】
ある特定の実施形態は、式[X]で例証されるように、1つ以上のp97ポリペプチド、例えば2、3、4、または5つのポリペプチドを含み、式中、Xは本明細書に記載されるp97ポリペプチドであり、nは1〜5の整数である。特定の実施形態において、XはDSSHAFTLDELR(配列番号14)である。
【0063】
一部の実施形態において、p97ポリペプチドは、1つ以上の末端(例えば、N末端、C末端)システイン及び/またはチロシンを有し、これらはそれぞれ、複合体化及びヨウ素化のために付加され得る。一部の態様において、システイン残基は遊離スルフヒドリル基を提供して、直接的に、あるいはPEGベースのリンカー等のリンカーを介して、p97ポリペプチドとsiRNA分子のポリヌクレオチド鎖との複合体化を可能にする。
【0064】
ある特定の実施形態において、目的のp97ポリペプチド配列は、p97アミノ酸配列、部分配列、及び/または血液脳関門を越えて、中枢神経系(CNS)内に目的の薬剤を輸送するのに有効なp97の変異型を含む。特定の実施形態において、変異型またはフラグメントは、ヒトp97のNローブ(配列番号1の残基20〜361)を含む。特定の態様において、変異型またはフラグメントは、インタクトかつ機能性のFe3+結合部位を含む。
【0065】
一部の実施形態において、p97ポリペプチド配列は、p97ポリペプチドの可溶性形態(Yang et al.,Prot Exp Purif.34:28−48,2004を参照)、またはそのフラグメントもしくは変異型である。一部の態様において、可溶性p97ポリペプチドには、疎水性ドメイン(配列番号1の残基710〜738)の全てまたは一部の欠失が、単独で、あるいはシグナルペプチド(配列番号1の残基1〜19)の全てまたは一部の欠失と共にある。特定の態様において、可溶性p97ポリペプチドは、配列番号2(配列番号1の残基20〜711)(その変異型及びフラグメントを含む)を含むか、あるいはそれからなる。
【0066】
ある特定の実施形態、例えば、リポソームを用いる実施形態においては、p97ポリペプチド配列は、p97ポリペプチドの脂溶性形態である。例えば、ある特定のこれらの実施形態及び関連する実施形態は、疎水性ドメインの全てまたは一部を、任意選択でシグナルペプチドと共に、あるいはそれを伴わずに含む、p97ポリペプチドを含む。
【0067】
ある特定の他の実施形態において、p97フラグメントまたは変異型は、p97受容体であるLRP1受容体及び/またはLRP1B受容体に対して特異的に結合可能である。
【0068】
一部の実施形態において、p97ポリペプチドは、例えば細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞もしくはヒト細胞等の真核細胞から作製された組換えポリペプチドである。一部の実施形態において、組換えp97ポリペプチドは、血清を実質的または完全に含まない培地において生成される。一部の実施形態において、p97ポリペプチドは、合成ポリペプチドである。
【0069】
基準p97ポリペプチド及び他の基準ポリペプチドの変異型及びフラグメントについては、下においてより詳細に記載される。
【0070】
siRNA分子及び他のポリヌクレオチド.上述されるように、本発明の実施形態は、少なくとも1つのポリヌクレオチドと共有結合または別様に結合するp97ポリペプチドを含む。特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、siRNA分子の少なくとも1つの鎖である。用語「siRNA分子」または「siRNA」は、RNA干渉(RNAi)経路を誘導する低分子阻害RNA二本鎖を指す。本明細書で使用する場合、これらの分子は長さが異なる場合があり(概して、15〜30個の塩基対と、任意選択のオーバーハング)、アンチセンス鎖において、それらの標的mRNAに対する様々な程度の相補性を含み得る。全てではないが一部のsiRNAは、センス鎖及び/またはアンチセンス鎖の5’末端または3’末端において、不対のオーバーハング塩基を有する。
【0071】
用語「siRNA」は2つの別個の鎖の二本鎖を含み、また、別様に特定されない限り、低分子ヘアピン型RNA(「shRNA」)等の、二本鎖領域を含むヘアピン構造を形成し得る、一本鎖も含む。したがって、一部の実施形態において、ポリヌクレオチドはshRNA分子であり、p97ポリペプチドが、二本鎖領域を含む一本鎖ポリヌクレオチドと共有結合または別様に結合する(例えば、図1I〜1Lを参照)。特定の実施形態において、一本鎖ヘアピン型shRNA分子は、約、少なくとも約、または約19〜29個以下の塩基対(すなわち、約19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、もしくは29個のbp)のステムと、約、少なくとも約、または約4、5、6、7、もしくは8個のヌクレオチドのループと、任意選択で3’末端のジヌクレオチドオーバーハングとを含むか、それらからなるか、あるいはそれらから本質的になる。
【0072】
Cas9−crRNA複合体及びその他といった、CRISPR RNA誘導型監視複合体の一部を形成するRNA(例えば、WO2013/142578、ならびに米国出願第2010/0076057号、同第2011/018977号、同第2013/0011828号、及び同第20130330778号を参照。これらは参照により組み込まれる)を含む、CRISPR(クラスター的な、規則的に間の空いた、短い回文構造の繰り返し配列:clustered regularly interspaced short palindromic repeats)RNAオリゴヌクレオチド、及びTALEN(転写アクチベータ様エフェクターヌクレアーゼ)RNAオリゴヌクレオチドもまた、ポリヌクレオチドとして含まれる。
【0073】
用語「センス鎖」は、伝令RNAまたはDNAの配列といった標的核酸配列と全体的または部分的に同じである配列を含む、ポリヌクレオチドを指す。用語「アンチセンス鎖」は、伝令RNAまたはDNAの配列といった標的核酸配列の全体的または部分的な相補体である配列を含む、ポリヌクレオチドを指す。
【0074】
センス鎖及び/またはアンチセンス鎖の長さの例としては、約15〜40塩基、約19〜36塩基、約19〜30塩基、約19〜25塩基、及び約19〜23塩基が挙げられる。特定の実施形態において、siRNA−複合体の第1及び/または第2の一本鎖ポリヌクレオチドは、長さが、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60塩基またはヌクレオチドであり、その間の全ての範囲が含まれる。これらの鎖長は、存在し得るオーバーハング領域を含む。したがって、特定の実施形態において、siRNA分子の第1及び第2のポリヌクレオチドは、アンチセンス鎖の3’末端、アンチセンス鎖の5’末端、または両方で、1、2、または3個のヌクレオチドのオーバーハングを形成する。
【0075】
慣例的に、siRNAの配列が提供される場合、別途指示の無い限り、その配列はセンス鎖のものであり、相補的なアンチセンス鎖は暗示される。二本鎖siRNA(2本の別個の鎖から形成)において、1本の鎖はセンス鎖であり得、他方の鎖がアンチセンス鎖であり得る。オーバーハングが存在する場合、語句「センス領域」は、オーバーハング領域以外の、センス鎖のヌクレオチド配列部分を指し得る。同様に、語句「アンチセンス領域」は、オーバーハング領域以外の、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列部分を指し得る。siRNAがshRNAである場合、2本の別個の鎖は存在せず、「センス領域」は、標的配列と全体的または部分的に同じである配列を有する二本鎖領域の部分であり、「アンチセンス領域」は、標的配列及びセンス領域に対して全体的または部分的に相補的であるヌクレオチドの配列である。
【0076】
典型的には、siRNA、shRNA、またはmiRNA分子は、二本鎖領域を含むか、あるいはそれを形成する。用語「二本鎖領域」は、ワトソン・クリック塩基対形成によって、あるいは相補的または実質的に相補的なポリヌクレオチド鎖の間で安定化された二本鎖をもたらす任意の他の様式によって互いと塩基対を形成する、2つの相補的または実質的に相補的なポリヌクレオチドにおける領域を指す。二本鎖領域のサイズの例としては、限定されるものではないが、約17〜30塩基対、17〜25塩基対、17〜23塩基対、18〜30塩基対、18〜25塩基対、18〜23塩基対、19〜30塩基対、19〜25塩基対、及び19〜23塩基対が挙げられる。二本鎖領域は、塩基対の長さ、ならびにその範囲にわたる相補性の度合いによって画定され得る。
【0077】
したがって、二本鎖領域が2本の別個のヌクレオチドの鎖、アンチセンス鎖及びセンス鎖から形成されるとき、各鎖は、二本鎖の部分であるヌクレオチドと、5’末端または3’末端のいずれかにおける二本鎖の部分ではないヌクレオチドとを含み得る。siRNAは、アンチセンス鎖においては、標的に対して相補的である全てのヌクレオチドが二本鎖領域の部分であり、したがってセンス鎖に相補的なヌクレオチドを有するように設計され得る。しかしながら、siRNAはまた、アンチセンス鎖がその3’末端及び/またはその5’末端において、センス鎖には相補的ヌクレオチドを有さないものの、標的には相補的ヌクレオチドを有する、アンチセンス鎖内の一続きのヌクレオチドの一部分であるヌクレオチドもまた含むように設計してもよい。
【0078】
例として、センス鎖は19個のヌクレオチドを含み得、アンチセンス鎖は21個のヌクレオチドを含み得る。アンチセンス鎖の最も3’末端側の2個のヌクレオチドを除いた全てのヌクレオチドが、センス鎖の19個のヌクレオチドに対して相補的であり得、一方で、アンチセンス鎖の21個のヌクレオチドの全区間が、標的の21個のヌクレオチドの区間に対して相補的であり得る。あるいは、アンチセンス鎖の最も3’末端側の2個のヌクレオチドは、標的の一部に対して相補的ではないように選択されてもよく、無作為に選択されてもよく、一方または両方が、アンチセンス鎖の他の19個のヌクレオチドが相補的であるヌクレオチドに隣接する、標的の2個のヌクレオチドに対して相補的であっても相補的でなくてもよいように、処理を容易にするように選択されてもよい。一部の実施形態においては、二本鎖領域内に、例えば、ミスマッチが存在しなくてもよく、1つのミスマッチ、2つのミスマッチ、3つのミスマッチ、4つのミスマッチ、または5つのミスマッチが存在してもよい。
【0079】
用語「ミスマッチ」は、センス鎖のヌクレオチドとアンチセンス鎖のヌクレオチドとの間で、ワトソン・クリック塩基対形成が起こらない状況を含む。ミスマッチの例としては、限定されるものではないが、Gの向かいのA、Aの向かいのC、Cの向かいのU、Gの向かいのU、Aの向かいのA、Gの向かいのG、Cの向かいのC、Uの向かいのUが挙げられる。
【0080】
典型的には、siRNA分子の第1及び第2のポリヌクレオチド鎖は、互いに対して完全または実質的に相補的である。用語「相補的」は、ポリヌクレオチドが互いと塩基対を形成する能力を指す。塩基対は、逆平行のポリヌクレオチド鎖における、ヌクレオチド単位間の水素結合によって典型的には形成される。相補的ポリヌクレオチド鎖は、ワトソン・クリックの様式で(例えば、AとT、AとU、CとG)、あるいは二本鎖の形成を可能にする任意の他の様式で塩基対を形成し得る。当業者であれば承知しているように、RNAをDNAに対して使用する場合、チミンではなくウラシルが、アデノシンに対して相補的であるとみなされる塩基である。しかしながら、本発明の文脈でUが示されるとき、別途明言しない限り、Tと置換できることが示唆される。完全相補性または100%相補性は、一方のポリヌクレオチド鎖の各ヌクレオチド単位が、第2のポリヌクレオチド鎖のヌクレオチド単位と水素結合できる状況を指す。不完全相補性は、2本の鎖の、全てではないが一部のヌクレオチド単位が、互いと水素結合できる状況を指す。例えば、2本の20塩基長の場合、各鎖の2つの塩基対のみが互いと水素結合し得るのであれば、それらのポリヌクレオチド鎖は10%の相補性を提示したことになる。同じ例において、各鎖の18個の塩基対が互いと水素結合し得るのであれば、それらのポリヌクレオチド鎖は90%の相補性を提示したことになる。一部の実施形態において、二本鎖領域内では、少なくとも75%の相補性、少なくとも80%の相補性、少なくとも90%の相補性、少なくとも95%の相補性、または100%の相補性が存在する。
【0081】
ある特定の実施形態において、siRNA分子のアンチセンス鎖は、標的遺伝子の標的mRNA配列に対して完全または実質的に相補的である。一部の実施形態において、標的mRNA配列は、イントロン及びエクソンを含むプレ伝令RNA(処理前またはプレ−mRNA)配列、または典型的にはエクソンの配列のみを含む処理済みmRNA配列である。一部の実施形態において、アンチセンス鎖は、標的遺伝子の標的mRNA配列に対して、少なくとも75%相補的、少なくとも80%相補的、少なくとも90%相補的、少なくとも95%相補的、または100%相補的である。特定の実施形態において、アンチセンス鎖は、下の表2から選択される標的遺伝子の標的mRNA配列に対して完全または実質的に相補的である。同様に、一部の実施形態において、siRNA分子のセンス鎖は、標的遺伝子の標的mRNA配列と完全または実質的に一致する。一部の実施形態において、センス鎖は、標的遺伝子の標的mRNA配列と、少なくとも75%一致、少なくとも80%一致、少なくとも90%一致、少なくとも95%一致、または100%一致する。特定の実施形態において、アンチセンス鎖は、下の表2から選択される標的遺伝子の標的mRNA配列と完全または実質的に一致する。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0082】
表2の標的遺伝子等の標的遺伝子を提供された場合、当業者であれば、当分野の様々な技法に従って、siRNA分子の具体的なポリヌクレオチド配列を選択または設計することができる。一例として、当業者は、AAジヌクレオチド配列をスキャンし、各AA及び3’末端に隣接する19個のヌクレオチドを潜在的なsiRNA標的部位として選択し得る。siRNA標的部位を選択するためのこの方策は、3’末端にオーバーハングするUUジヌクレオチドが非常に有効であるというElbashirらによる観察(EMBO J 20:6877−6888,2001)に基づいている。その後、siRNAを30〜50%のGC含有量で特定することによって、かつ/あるいは潜在的な標的部位を適切なゲノムデータベース(ヒト、マウス、ラット等)と比較して、他のコード配列と相同する、16〜17個超の隣接する塩基対を有する任意の標的配列を検討から外すことによって、特定の標的配列を選択することができる。様々なソフトウェアツールもまた、任意の所与の遺伝子の、具体的なsiRNA標的部位を生成するために利用可能である。Birmingham et al.,Nat Protoc.2:2068−78,2007、ならびに米国特許第7,056,704号、同第7,078,196号、同第8,101,348号、同第8,394,628号、同第8,420,391、同第8,445,237号、及び同第8,552,171号もまた参照されたい。これらは、その全体が参照により組み込まれる。
【0083】
特定の実施形態において、標的遺伝子は、NOX1(NADPHオキシダーゼ1)、NOX2(NADPHオキシダーゼ2、シトクロムb−245重鎖)、及び/またはNOX4(NADPHオキシダーゼ4)等の、NOX(NADPHオキシダーゼ)である。NOX酵素は、膜貫通タンパク質を生成する超酸化物である。NOX酵素は、多くの細胞型及び組織において発現される。しかしながら、NOX酵素の過剰活性化が、CNS関連疾患及び他の疾患に寄与している可能性があるという証拠が次々と出ている。それ故に、ある特定の複合体は、アンチセンス鎖がNOX1配列(例えば、登録番号:AJ438989.1、登録番号:NM_007052.4、登録番号:NM_013955.2、登録番号:NM_001271815.1を参照)、NOX2配列(例えば、登録番号:NM_000397.3を参照)、及び/またはNOX4標的配列(例えば、登録番号:NM_001143837.1、登録番号:NM_001143836.1、登録番号:NM_016931.3、登録番号:AY288918.1を参照)に対して完全または実質的に相補的である、siRNA分子を含む。特定の実施形態において、siRNA分子は、5’−A UGU UCA CAA AGU CAG GUC TT−3’(配列番号31)及び/または5’−GAC CUG ACU UUG UGA ACA UTT−3’(配列番号32)を含むか、それらからなる(実施例1を参照)。
【0084】
特定の実施形態において、標的は、マイクロRNA(miRNA)である。miRNA標的の非限定的例としては、miRNA−132及びmiRNA−21が挙げられ、前者の阻害は卵巣癌種及び乳癌の同所性マウスモデルにおける血管新生を予防し、後者の阻害は悪性の前Bリンパ球腫瘍の退縮につながった。一部の実施形態において、アンチセンス鎖は、標的miRNA配列に対して、少なくとも75%相補的、少なくとも80%相補的、少なくとも90%相補的、少なくとも95%相補的、または100%相補的である。特定の実施形態において、アンチセンス鎖は、標的miRNA配列に対して完全または実質的に相補的である。同様に、一部の実施形態において、siRNA分子のセンス鎖は、標的miRNA配列と完全または実質的に一致する。一部の実施形態において、センス鎖は、標的miRNA配列と、少なくとも75%一致、少なくとも80%一致、少なくとも90%一致、少なくとも95%一致、または100%一致する。
【0085】
ある特定の実施形態において、siRNA分子、またはsiRNAのポリヌクレオチド鎖のうちの一方もしくは両方が、合成オリゴヌクレオチドである。
【0086】
ある特定の実施形態は、修飾siRNA分子を用いる。例としては、塩基、糖、及び/またはリン酸の化学構造に修飾を有するヌクレオチド類似体の組み込みが挙げられ(例えば、図5を参照)、限定されるものではないが、5位ピリミジン修飾、8位プリン修飾、シトシン環外アミンでの修飾、5−ブロモ−ウラシルの置換、及び2’位糖修飾(限定されるものではないが、2’−OHがH、OR、R、ハロ、SH、SR、NH、NHR、NR、またはCN等の基により置き換えられた糖修飾リボヌクレオチドであり、式中、Rがアルキル部分であるものを含む)を含む。ヌクレオチド類似体はまた、イノシン、キューオシン、キサンチン等の塩基、2’−メチルリボース等の糖、メチルホスホネート、ホスホロチオエート等の非天然型ホスホジエステル結合、及びペプチドを伴うヌクレオチドも含むことが意図される。
【0087】
2’−フルオロ、2’−アミノ、及び/または2’−チオ修飾もまた含まれる。具体的な例としては、2’−フルオロ−シチジン、2’−フルオロ−ウリジン、2’−フルオロ−アデノシン、2’−フルオロ−グアノシン、2’−アミノ−シチジン、2’−アミノ−ウリジン、2’−アミノ−アデノシン、2’−アミノ−グアノシン、2,6−ジアミノプリン、4−チオ−ウリジン、及び/または5−アミノ−アリル−ウリジンが挙げられる。更なる例示的修飾としては、5−ブロモ−ウリジン、5−ヨード−ウリジン、5−メチル−シチジン、リボ−チミジン、2−アミノプリン、2’−アミノ−ブチリル−ピレン−ウリジン、5−フルオロ−シチジン、及び5−フルオロ−ウリジンが挙げられる。2’−デオキシ−ヌクレオチドは、本発明の修飾siRNA内で使用してもよいが、siRNA二重鎖のセンス鎖内に含まれるのが好ましい。更なる修飾残基が当分野において説明され、市販されており、デオキシ脱塩基、イノシン、N3−メチル−ウリジン、N6,N6−ジメチル−アデノシン、プソイドウリジン、プリンリボヌクレオシド、及びリバビリンが挙げられる。
【0088】
修飾塩基は、1つ以上の原子または基の置き換えまたは付加によって修飾されている、例えば、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル、キサンチン、イノシン、及びキューオシン等のヌクレオチド塩基を指す。塩基部分に関して修飾されているヌクレオチドを含み得る修飾の種類のいくつかの例としては、限定されるものではないが、個別あるいは組み合わせて、アルキル化、ハロゲン化、チオール化、アミノ化、アミド化、またはアセチル化された塩基が挙げられる。より具体的な例としては、例えば、5−プロピニルウリジン、5−プロピニルシチジン、6−メチルアデニン、6−メチルグアニン、N,N,−ジメチルアデニン、2−プロピルアデニン、2−プロピルグアニン、2−アミノアデニン、1−メチルイノシン、3−メチルウリジン、5−メチルシチジン、5−メチルウリジン、及び5位に修飾を有する他のヌクレオチド、5−(2−アミノ)プロピルウリジン、5−ハロシチジン、5−ハロウリジン、4−アセチルシチジン、1−メチルアデノシン、2−メチルアデノシン、3−メチルシチジン、6−メチルウリジン、2−メチルグアノシン、7−メチルグアノシン、2,2−ジメチルグアノシン、5−メチルアミノエチルウリジン、5−メチルオキシウリジン、7−デアザ−アデノシン等のデアザヌクレオチド、6−アゾウリジン、6−アゾシチジン、6−アゾチミジン、5−メチル−2−チオウリジン、2−チオウリジン及び4−チオウリジン及び2−チオシチジン等の他のチオ塩基、ジヒドロウリジン、プソイドウリジン、キューオシン、アルカエオシン、ナフチル及び置換ナフチル基、N6−メチルアデノシン等の任意のO−及びN−アルキル化プリン及びピリミジン、5−メチルカルボニルメチルウリジン、ウリジン5−オキシ酢酸、ピリジン−4−オン、ピリジン−2−オン、フェニル及びアミノフェノールまたは2,4,6−トリメトキシベンゼン等の修飾フェニル基、G−クランプヌクレオチドとして振る舞う修飾シトシン、8−置換アデニン及びグアニン、5−置換ウラシル及びチミン、アザピリミジン、カルボキシヒドロキシアルキルヌクレオチド、カルボキシルアルキルアミノアルキルヌクレオチド、ならびにアルキルカルボニルアルキル化ヌクレオチドが挙げられる。修飾ヌクレオチドはまた、糖部分に関して修飾されているヌクレオチド、ならびにリボシルではない、糖またはその類似体を有するヌクレオチドが挙げられる。例えば、糖部分は、マンノース、アラビノース、グルコピラノース、ガラクトピラノース、4’−チオリボース、及び他の糖、複素環式化合物、または炭素環式化合物であってもよく、あるいはこれらに基づいてもよい。
【0089】
修飾は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、デアザ基、ハロ基、ヒドロキシル基、チオール基またはそれらの組み合わせによる置換が含まれる。ヌクレオチドは、例えば、リボヌクレオチドをデオキシリボヌクレオチドで置き換えた類似体等のより安定性に優れた類似体、または、例えば、2’OH基が2’アミノ基、2’O−メチル基、2’メトキシエチル基、もしくは2’−O,4’−Cメチレン架橋によって置き換えられた類似体等の、糖修飾を有する類似体で置換してもよい。ヌクレオチドのプリンまたはピリミジン類似体の例としては、キサンチン、ヒポキサンチン、アザプリン、メチルチオアデニン、7−デアザ−アデノシン、ならびにO−及びN−修飾ヌクレオチドが含まれる。
【0090】
ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体の間の結合の修飾、例えば、ホスホロチオエート結合によるホスホジエステル結合の置換もまた好ましい。ヌクレオチドのリン酸基は、リン酸基の酸素のうちの1つ以上を窒素または硫黄で置換することによって修飾することができる(ホスホロチオエート)。修飾は、例えば、機能を強化するため、安定性または振盪性を向上させるため、あるいは局在化または標的化を導くために有用である。
【0091】
リンカー.上述されるように、ある特定の複合体は、1つ以上のリンカー基を用いてもよい。用語「リンケージ」、「リンカー」、「リンカー部分」、または「L」は、本明細書において、p97ポリペプチドを薬剤(例えば、siRNA分子の鎖)から分離するため、または例えば2つ以上の薬剤が結合してp97複合体を形成している場合に、第1の薬剤を別の薬剤から分離するため、または標識するため(蛍光標識)に使用することができるリンカーを指すように使用される。リンカーは、生理学的に安定であってもよく、不安定なリンカーまたは酵素的に分解可能なリンカー等の解放可能なリンカー(例えば、タンパク質切断可能なリンカー)を含んでもよい。ある特定の態様において、リンカーはペプチドリンカーであってもよい。一部の態様において、リンカーは、非ペプチドリンカーまたは非タンパク質性リンカーであってもよい。一部の態様において、リンカーは、ナノ粒子等の粒子であってもよい。
【0092】
リンカーは電気的に中性であってもよく、正または負の電荷を帯びてもよい。可逆リンカーまたは不安定なリンカーは、可逆結合または不安定な結合を含む。リンカーは、任意選択で、2つの結合する原子間の距離を増加させるスペーサを含んでもよい。スペーサは更に、リンカーに柔軟性及び/または長さを付加し得る。スペーサとしては、限定されるものではないが、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アラルケニル基、アラルキニル基を挙げることができ、これらのそれぞれが、1つ以上のヘテロ原子、複素環式化合物、アミノ酸、ヌクレオチド、及び糖類を含有してもよい。
【0093】
不安定結合とは、水素原子との共有結合以外の共有結合であり、同じ分子内の他の共有結合を破壊または切断することのない条件下で、選択的に破壊または切断可能である。より具体的には、不安定結合とは、同じ分子内の非不安定共有結合よりも、(熱力学的に)安定性が低く、適切な条件下でより迅速に(動力学的に)破壊される共有結合である。分子内での不安定結合の切断は、2つの分子の形成を結果としてもたらす場合がある。当業者の場合、結合の切断または不安定性は、概して、結合切断の半減期(t1/2)(結合のうちの半分が切断されるのに必要な時間)に関して考察する。したがって、不安定結合は、分子の他の結合よりも迅速に選択的に切断可能な結合を包括する。
【0094】
適切な条件は、不安定結合の種類によって決定され、有機化学においては周知である。不安定結合は、pH、酸化条件もしくは還元条件、または酸化剤もしくは還元剤、温度、塩濃度、酵素の存在(ヌクレアーゼ及びプロテアーゼを含む、エステルアーゼ等)、あるいは添加した薬剤の存在に対して感受性が高くあり得る。例えば、上昇または低下させたpHが、pH−不安定結合にとって適切な条件である。
【0095】
一部の実施形態において、リンカーは、アルキル、アリール、及び/またはアミノ酸主鎖を含むように構築された有機部分であり、アミド、エーテル、エステル、ヒドラゾン、ジスルフィドリンケージ、またはそれらの組み合わせを含む。アミノ酸、エーテル、及びアミドが結合した構成要素を含むリンケージは、生理学的pH条件、通常は血清中で7.4という条件の下で安定である。上記の通り、エステルまたはヒドラゾンを含み、血清pHにおいて安定であるリンケージもまた含まれるが、これらはリソソームpHに曝露された場合、加水分解してsiRNA分子を放出する。ジスルフィドリンケージもまた含まれるが、これは、少なくとも部分的には、それらが還元分解反応に対して感受性が高いためである。加えて、アミノ酸リンカーを、所望の標的器官、または例えばリソソーム中の特定の酵素による切断に対して感受性が高くあるように設計することもできる。例示的なリンカーは、Blattler et al.(19S5)Biochem.24:1517−1524、King et al(1986)Biochem.25:5774−5779、Srinivasachar and Nevill(1989)Biochem.28:2501−2509、及び他に記載されている(図2も参照)。
【0096】
一部の実施形態において、リンカーは、長さが、約1〜約30個の原子であるか、あるいは長さが、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個の原子であり、その間の全ての範囲が含まれる。ある特定の実施形態において、リンカーは、炭素鎖原子の長さが約1〜30個であり、これらの炭素原子は、独立してO、N、またはSからなる群から選択されるヘテロ原子によって置換されてもよい。一部の実施形態において、C原子のうちの1〜4個または5〜15個が、独立してO、N、Sから選択されるヘテロ原子で置換される。
【0097】
ある特定の実施形態において、リンカーは、以下から選択される構造を備えるか、あるいはそれからなる:−O−、−NH−、−S−、−C(O)−、C(O)−NH、NH−C(O)−NH、O−C(O)−NH、−C(S)−、−CH−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−O−CH−、−CH−CH−O−、−O−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−CH−O−、−O−CH−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−CH−CH−O−、−C(O)−NH−CH−、−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−NH−CH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−NH−CH−CH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−C(O)−NH−、−NH−C(O)−CH−、−CH−NH−C(O)−CH−、−CH−CH−NH−C(O)−CH−、−NH−C(O)−CH−CH−、−CH−NH−C(O)−CH−CH、−CH−CH−NH−C(O)−CH−CH、−C(O)−NH−CH−、−C(O)−NH−CH−CH−、−O−C(O)−NH−CH−、−O−C(O)−NH−CH−CH−、−NH−CH−、−NH−CH−CH−、−CH−NH−CH−、−CH−CH−NH−CH−、−C(O)−CH−、−C(O)−CH−CH−、−CH−C(O)−CH−、−CH−CH−C(O)−CH−、−CH−CH−C(O)−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CsH−NH−C(O)−CH−、二価シクロアルキル基、−N(R)−、RはHであるか、あるいはアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、及び置換アリールからなる群から選択される有機ラジカルである。
【0098】
一部の実施形態において、リンカーは、解放可能なリンカーを含む。一部の実施形態において、解放可能なリンカーは、カルボン酸エステル、リン酸エステル、酸無水物、アセタール、ケタール、アシルオキシアルキルエーテル、イミン、オルトエステル、チオエステル、チオールエステル、炭酸塩、及びヒドラゾンからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、リンカーは、リソソーム環境への送達に際して加水分解を受ける(例えば、リソソームpHにおいて、あるいはリソソーム酵素との接触に際して、加水分解を受けやすい)部分を含む
【0099】
一部の実施形態において、リンカーは、安定したリンカーを含む。一部の実施形態において、安定したリンカーは、スクシンイミド、プロピオン酸、カルボキシメチレートリンケージ、エーテル、カルバメート、アミド、アミン、カルバミド、イミド、脂肪族C−C結合、及びチオエーテルからなる群から選択される。
【0100】
一部の実施形態において、リンカーは、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール等のポリマーを含むか、あるいはそれからなる。本明細書で使用する場合、用語「PEG」、「ポリエチレングリコール」、及び「ポリ(エチレングリコール)」は交換可能であり、任意の水溶性ポリ(エチレンオキシド)誘導体を包括することが意図される。PEGは、多くの水性溶媒及び有機溶媒における良好な溶解性を有する周知のポリマーであり、低い毒性、免疫原性の欠如を呈し、透明、無色、無臭、かつ安定である。本明細書に記載されるように、類似の生成物は他の水溶性ポリマーで得ることもでき、これらのポリマーとしては、限定されるものではないが、ポリビニルアルコール、ポリ(プロピレングリコール)等の他のポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(オキシエチル化グリセロール)等のポリ(オキシエチル化ポリオール)、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルプロリドン(polyvinyl purrolidone)、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸、ポリアミノ酸が挙げられる。当業者であれば、所望の投与量、循環時間、タンパク質分解に対する耐性、及び他の考慮事項に基づいて、所望のポリマーを選択することができるであろう。
【0101】
典型的には、本明細書に記載される複合体に則った使用のためのPEGは、以下の構造、「−(OCH2CH2)n−」を備え、ここで(n)は、約1〜4000、約20〜1400、または約20〜800である。特定の実施形態において、PEGはまた、末端の酸素が変位されているかいないかに応じて、「−O−(CH2CH2O)n−CH2CH2−」及び「−(OCH2CH2)n−O−」も含む。用語「PEG]は、様々な末端基または「エンドキャッピング」基を有する構造を含む。用語「PEG」はまた、大部分、すなわち50%超の−OCH2CH2−反復サブユニットを含むポリマーも含む。具体的な形態に関しては、PEGは任意の数の様々な分子量、ならびに「分岐」、「直鎖」、「フォーク状」、「多官能性」PEG分子等の構造または幾何学形状を取り得る。
【0102】
代表的高分子試薬及びそのようなポリマーを活性部分に複合体化するための方法は、Harris,J.M.and Zalipsky,S.,Eds,Poly(ethylene glycol),Chemistry and Biological Applications,ACS,Washington,1997、Veronese,F.,and J.M.Harris,Eds.,Peptide and Protein PEGylation,Advanced Drug Delivery Reviews,54(4);453−609(2002)、Zalipsky,S.,et al.,Polyethylene Glycol Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applicationsの“Use of Functionalized Poly Ethylene Glycols)for Modification of Polypeptides”,J.M.Harris,ed.,Plenus Press,New York(1992)、Zalipsky(1995)Advanced Drug Reviews 16:157−182、及びRoberts et al.,Adv.Drug Delivery Reviews,54,459−476(2002)に記載されている。
【0103】
多様なPEG誘導体が、市販されており、かつ本発明のPEG−複合体の調製における使用にとって好適である。例えば、NOF CorpのSUNBRIGHT(登録商標)シリーズは、多数のPEG誘導体を提供しており、様々な方法によってポリペプチド及びポリヌクレオチドに連結するための、メトキシポリエチレングリコール、ならびにスクシンイミジルエステル、メトキシ−PEGアミン、マレイミド、及びカルボン酸等の活性PEG誘導体が挙げられる。また、Nektar TherapeuticsのAdvanced PEGylationもまた、治療薬の安全性及び効力を向上させるための、多様なPEG連結技法を提供している。p97−siRNA複合体を形成する際に使用するための追加的なPEGとしては、Polypure(ノルウェー)、QuantaBioDesign LTD(オハイオ州)、JenKem Technology、Nanocs Corporation、及びSunbio,Inc(大韓民国)から入手可能なものが挙げられる。複合体を形成する際の使用にとって好適な更なるPEG試薬、及び複合体化方法については、例えば、Pasut et al.,Expert Opin.Ther.Patents.14(6)859−893,2004に記載されている。
【0104】
直鎖または分岐PEGポリマー、及びそれらの誘導体または複合体の調製については、例えば、米国特許第4,904,584号、同第5,428,128号、同第5,621,039号、同第5,622,986号、同第5,643,575号、同第5,728,560号、同第5,730,990号、同第5,738,846号、同第5,811,076号、同第5,824,701号、同第5,840,900号、同第5,880,131号、同第5,900,402号、同第5,902,588号、同第5,919,455号、同第5,951,974号、同第5,965,119号、同第5,965,566号、同第5,969,040号、同第5,981,709号、同第6,011,042号、同第6,042,822号、同第6,113,906号、同第6,127,355号、同第6,132,713号、同第6,177,087号、同第6,180,095号、同第6,448,369号、同第6,495,659号、同第6.602,498号、同第6,858,736号、同第6,828,401号、同第7,026,440号、同第7,608,678号、同第7,655,747号、同第7,786,221号、同第7,872,072号、及び同第7,910,661号に記載されており、これらの特許のそれぞれについて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0105】
一部の実施形態において、リンカー基は、例えば、体液中における複合体の溶解度を増進するために、親水性である。一部の実施形態において、p97ポリペプチド及びsiRNA分子は、アミノ酸もしくはペプチド、脂質、または糖残基を含むリンカーで結合される。一部の実施形態において、p97ポリペプチド及びsiRNA分子は、合成で導入されたか、あるいは翻訳語修飾によって導入された基において結合される。
【0106】
変異型配列.ある特定の実施形態は、名称で記載されるか、あるいは配列識別子への参照で記載されるかに関わらず、p97配列、IDS配列、リンカー配列、シグナルペプチド配列、精製タグ、及びプロテアーゼ部位(例えば、表1〜6及び配列一覧を参照)を含む、本明細書に記載される基準ポリペプチド及びポリヌクレオチド配列の変異型を含む。これらのポリペプチドの野生型配列または最も普及している配列は当分野において既知であり、本明細書に記載される変異型及びフラグメントに対する比較として使用することができる。
【0107】
「変異型」配列は、本明細書において使用される用語としては、本明細書に開示される基準配列とは1つ以上の置換、欠失(例えば、トランケーション)、付加、及び/または挿入によって異なるポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列を指す。したがって、ある特定の変異型は、本明細書に記載される基準配列のフラグメントを含む。変異型ポリペプチドは生物学的に活性であり、すなわち、それらは、基準ポリペプチドの酵素活性または結合活性を保有し続けている。そのような変異型は、例えば、遺伝的多型性及び/または人間による操作の結果としてもたらされ得る。
【0108】
多くの事例において、生物学的に活性な変異型は、1つ以上の保存的置換を含むことになる。「保存的置換」は、ペプチド化学の分野の当業者が、ポリペプチドの二次構造及び疎水性親水性の性質が実質的に変化しないと予期するような、あるアミノ酸による類似の特性を有する別のアミノ酸との置換である。上に記載されるように、修飾は、本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの構造内において行ってもよく、望ましい特性をもつ変異型または誘導体ポリペプチドをコードする機能分子を得ることができる。本発明のポリペプチドの等価物、または更に改善された変異型もしくは部分を作製するためにポリペプチドのアミノ酸配列を改変することが所望されるとき、当業者ならば、典型的には、下の表Aに従ってコード化DNA配列のコドンのうちの1つ以上を変更することになる。
【表A】
【0109】
例えば、ある特定のアミノ酸は、例えば、抗体の抗原結合領域または基材分子上の結合部位等の構造との相互作用的結合能の明らかな損失を伴わずに、タンパク質構造内で他のアミノ酸と置換することができる。タンパク質の生物学的機能活性を画定するのはそのタンパク質の相互作用的能力及び性質であるため、ある特定のアミノ酸配列の置換を、タンパク質構造、及び当然その基礎をなすDNAコード配列において行うことができ、それでも、同様の特性を持つタンパク質を得ることができる。したがって、開示される組成物のペプチド配列、または該ペプチドをそれらの有用性の明らかな損失を伴わずにコードする、対応するDNA配列において、様々な変更を行い得ることが企図される。
【0110】
そのような変更を行う際、アミノ酸の疎水性親水性指標を考慮してもよい。相互作用の生物学的機能をタンパク質に与える際の、アミノ酸の疎水性親水性指標の重要性は、当分野において一般的に理解されている(Kyte & Doolittle,1982、参照により本明細書に組み込まれる)。アミノ酸の相対的な疎水性親水性特性が、結果として得られるタンパク質の二次構造に寄与し、ひいてはそのタンパク質の他の分子、例えば、酵素、基材、受容体、DNA、抗体、抗原等との相互作用を画定することが認められている。各アミノ酸は、その疎水性及び電荷特性に基づく疎水性親水性指標を割り当てられている(Kyte & Doolittle,1982)。それらの値は、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、トレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン(−0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタメート(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパルテート(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リジン(−3.9)、及びアルギニン(−4.5)である。ある特定のアミノ酸は、類似の疎水性親水性指標またはスコアを有する他のアミノ酸で置換してもよく、それでも類似の生物学的活性をもつタンパク質を結果としてもたらす、すなわちそれでも生物学的に機能性が等価であるタンパク質を得られることが、当分野において既知である。そのような変更を行う際、その疎水性親水性指標が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のものが特に好ましく、±0.5以内のものが更に一層、特に好ましい。
【0111】
類似するアミノ酸の置換は、親水性ベースでも有効に行えることがまた、当分野において理解されている。米国特許第4,554,101号(その全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる)は、タンパク質の最大の局所平均親水性は、その隣接するアミノ酸の親水性によって決定されるが、そのタンパク質の生物学的特性と相関関係にあると述べている。米国特許第4,554,101号に詳述されているように、以下の親水性値、アルギニン(+3.0)、リジン(+3.0)、アスパルテート(+3.0±1)、グルタメート(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、スレオニン(−0.4)、プロリン(−0.5±1)、アラニン(−0.5)、ヒスチジン(−0.5)、システイン(−1.0)、メチオニン(−1.3)、バリン(−1.5)、ロイシン(−1.8)、イソロイシン(−1.8)、チロシン(−2.3)、フェニルアラニン(−2.5)、及びトリプトファン(−3.4)がアミノ酸残基に割り当てられている。アミノ酸は、類似する親水性値を有する別のアミノ酸と置換することができ、それでも、生物学的に等価であり、具体的には、免疫学的に等価であるタンパク質を得られることが理解されている。そのような変更の際、その親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のものが特に好ましく、±0.5以内のものが更に一層、特に好ましい。
【0112】
それ故に、上に概説されるように、アミノ酸置換は概して、アミノ酸側鎖置換基の相対的な類似性、例えばそれらの疎水性、親水性、電荷、サイズ等に基づく。前述の特性のうちの1つ以上を考慮した例示的な置換が当業者には周知であり、アルギニン及びリジン、グルタメート及びアスパルテート、セリン及びトレオニン、グルタミン及びアスパラギン、ならびにバリン、ロイシン、及びイソロイシンが挙げられる。
【0113】
アミノ酸置換は更に、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及び/または両親媒性における類似性に基づいて行われてもよい。例えば、負に荷電したアミノ酸としてはアスパラギン酸及びグルタミン酸が挙げられ、正に荷電したアミノ酸としてはリジン及びアルギニンが挙げられ、類似の親水性値を有する、無電荷の極性頭基をもつアミノ酸としてはロイシン、イソロイシン、及びバリン、グリシン及びアラニン、アスパラギン及びグルタミン、ならびにセリン、トレオニン、フェニルアラニン、及びチロシンが挙げられる。保存的変更を表し得るアミノ酸の他の群としては、(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、asn、ser、thr、(2)cys、ser、tyr、thr、(3)val、ile、leu、met、ala、phe、(4)lys、arg、his、及び(5)phe、tyr、trp、hisが挙げられる。
【0114】
変異型はまた、あるいは代替的に、非保存的変更を含み得る。好ましい実施形態において、変異型ポリペプチドは、天然配列または基準並列とは、約10、9、8、7、6、5、4、3、2個より少ないアミノ酸、またはたった1個のアミノ酸の置換、欠失、または付加によって異なる。変異型はまた(あるいは代替的に)、例えば、ポリペプチドの免疫原性、二次構造、酵素活性、及び/または疎水性親水性の性質に最小限の影響しか与えないアミノ酸の欠失または付加によって修飾され得る。
【0115】
ある特定の実施形態において、DSSHAFTLDELR(配列番号14)p97ポリペプチドの変異型は、下の表Bに示されるように、他の有機体に由来するp97配列の配列に基づいてもよい。ヒト配列と比較して異なるアミノ酸に下線が引かれている。
【表B-1】
【表B-2】
【表B-3】
【表B-4】
【表B-5】
【表B-6】
【表B-7】
【0116】
したがって、ある特定の実施形態において、p97ペプチドは、表Bの配列を含むか、それからなるか、あるいはそれから本質的になる。特定の態様において、p97ペプチドは、DSSHAFTLDELR(配列番号14)ペプチドのC末端に、短いαヘリックス(LDEL)を保持する。
【0117】
ある特定の実施形態において、ポリペプチド配列は、長さが約、少なくとも約、または最大約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700。700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000個以上の隣接するアミノ酸であり、その間の全ての整数が含まれ、このポリペプチド配列は、基準配列(例えば、配列一覧を参照)の全てまたは一部を含み得る。
【0118】
ある特定の実施形態において、ポリペプチド配列は、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800。800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000個以上の隣接するアミノ酸、またはそれ以下のアミノ酸からなり、その間の全ての整数が含まれ、このポリペプチド配列は、基準配列(例えば、配列一覧を参照)の全てまたは一部を含み得る。
【0119】
一部の実施形態において、ポリペプチド配列は、約10〜1000、10〜900、10〜800、10〜700、10〜600、10〜500、10〜400、10〜300、10〜200、10〜100、10〜50、10〜40、10〜30、10〜20、20〜1000、20〜900、20〜800、20〜700、20〜600、20〜500、20〜400、20〜300、20〜200、20〜100、20〜50、20〜40、20〜30、50〜1000、50〜900、50〜800、50〜700、50〜600、50〜500、50〜400、50〜300、50〜200、50〜100、100〜1000、100〜900、100〜800、100〜700、100〜600、100〜500、100〜400、100〜300、100〜200、200〜1000、200〜900、200〜800、200〜700、200〜600、200〜500、200〜400、または200〜300個の隣接するアミノ酸であり、その間の全ての範囲が含まれ、基準配列の配列の全てまたは一部を含む。ある特定の実施形態において、任意の基準ポリペプチドのC末端またはN末端領域は、切断型ポリペプチドが、基準ポリペプチドの結合特性及び/または活性を保持する限り、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、または800個以上のアミノ酸で切断されるか、あるいは約10〜50、20〜50、50〜100、100〜150、150〜200、200〜250、250〜300、300〜350、350〜400、400〜450、450〜500、500〜550、550〜600、600〜650、650〜700、700〜750、750〜800個以上のアミノ酸で切断されてもよく、その間の全ての整数及び範囲(例えば、101、102、103、104、105)が含まれる。典型的には、生物学的に活性であるフラグメントは、それが由来する生物学的に活性である基準ポリペプチドの活性の約1%、約5%、約10%、約25%、または約50%以上を有する。
【0120】
一般的に、変異型は、基準ポリペプチド配列に対して、少なくとも約30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性または配列同一性もしくは配列相同性を示すことになる。また、天然または親配列とは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100個のアミノ酸(その間の全ての整数及び範囲を含む)の付加(例えば、C末端付加、N末端付加、両方)、欠失、トランケーション、挿入、または置換(例えば、保存的置換)によって異なるが、親配列または基準ポリペプチド配列の特性または活性を保持する配列が、企図される。
【0121】
一部の実施形態において、変異型ポリペプチドは、少なくとも1個であるが、50、40、30、20、15、10、8、6、5、4、3、または2個未満のアミノ酸残基で基準配列とは異なる。他の実施形態において、変異型ポリペプチドは、残基の少なくとも1%であるが、20%、15%、10%、または5%未満で基準配列とは異なる。(この比較がアライメントを必要とする場合は、配列は最大の類似性を有するようにアライメントされなければならない。欠失もしくは挿入に由来する「ループ」アウトされた配列またはミスマッチは、差異とみなされる。)
【0122】
配列間での配列類似性または配列同一性(これらの用語は、本明細書において交換可能に使用される)の計算は、以下のように行われる。2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するためには、これらの配列は最適な比較目的のためにアライメントされる(例えば、最適なアライメントのために、第1及び第2のアミノ酸配列または核酸配列のうちの一方または両方にギャップを導入することができ、非相同配列は、比較目的のために無視することができる)。ある特定の実施形態において、比較目的のためにアライメントされる基準配列の長さは、基準配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、60%、更により好ましくは少なくとも70%、80%、90%、100%である。その後、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列中のある位置が、第2の配列中の対応する位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドと同一のもので占められている場合、その位置において分子は同一である。
【0123】
2つの配列間での同一性パーセントは、2つの配列の最適なアライメントのために導入されるべきギャップの数及び各ギャップの長さを考慮に入れた、それらの配列によって共有される同一の位置の数の関数である。
【0124】
配列の比較、及び2つの配列間での同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて実現することができる。好ましい実施形態において、2つのアミノ酸配列間での同一性パーセントは、Blossum 62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならびに16、14、12、10、8、6、または4のギャップ重量及び1、2、3、4、5、または6の長さ重量を用いる、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムに組み込まれているNeedleman−Wunsch(J.Mol.Biol.48:444−453,1970)アルゴリズムを用いて決定される。更に別の好ましい実施形態においては、2つのヌクレオチド配列間での同一性パーセントは、NWSgapdna.CMPマトリックス、ならびに40、50、60、70、または80のギャップ重量及び1、2、3、4、5、または6の長さ重量を用いる、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを用いて決定される。パラメータの特に好ましいセット(及び別様に特定されない限り、使用されるべきもの)は、12のギャップペナルティ、4のギャップ伸長ペナルティ、及び5のフレームシフトギャップペナルティを伴う、Blossum 62スコアリングマトリックスである。
【0125】
2つのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列間での同一性パーセントは、PAM120重量残基表、12のギャップ長ペナルティ、及び4のギャップペナルティを用いる、ALIGNプログラム(version 2.0)に組み込まれているE.Meyers及びW.Miller(Cabios.4:11−17,1989)のアルゴリズムを用いて決定することができる。
【0126】
本明細書に記載される核酸及びタンパク質配列は、公衆データベースに対して検索を行って、例えば他のファミリーメンバーまたは関連する配列を特定するための、「問い合わせ配列」として使用することができる。そのような検索は、AltschulらのNBLAST及びXBLASTプログラム(version 2.0)(1990,J.Mol.Biol,215:403−10)を用いて行うことができる。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で行って、本発明の核酸分子と相同なヌクレオチド配列を獲得することができる。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で行って、本発明のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を獲得することができる。比較目的のためのギャップ付きアライメントを得るためには、Altschul et al.,(Nucleic Acids Res.25:3389−3402,1997)に記載されているように、Gapped BLASTを活用することができる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを活用する際は、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。
【0127】
一実施形態において、上述されるように、ポリヌクレオチド及び/またはポリペプチドは、BLASTアライメントツールを用いて評価することができる。局所アライメントは、単純に、1対の配列セグメントからなり、配列の各々からの1つが比較される。Smith−WatermanまたはSellersアルゴリズムの修正形は、高スコアリングセグメント対(HSP)と呼ばれる、伸長またはトリミングによって改善することができないスコアをもつ全てのセグメント対を見付ける。BLASTアライメントの結果は、BLASTスコアが偶然のみから予期され得る可能性を示す統計的尺度を含む。
【0128】
生スコア、Sは、各アライメントした配列に関連付けられるギャップ及び置換の数から計算され、より高い類似性スコアは、より有意なアライメントを示す。置換スコアは、ルックアップテーブルで得られる(PAM,BLOSUMを参照)。
【0129】
ギャップスコアは、典型的には、ギャップ開始ペナルティG及びギャップ伸長ペナルティLの合計として計算される。長さnのギャップに関しては、ギャップコストはG+Lnである。ギャップコスト、G、及びLの選択は経験的なものであるが、Gについては高い値(10〜15)、例えば11、及びLについては低い値(1〜2)、例えば1を選択することが慣習的である。
【0130】
ビットスコアS’は、生アライメントスコアSから誘導され、ここでは、使用されるスコアリングシステムの統計学的性質が考慮されている。ビットスコアはスコアリングシステムに関して正規化されるため、異なる検索によるアライメントスコアを比較するのに使用することができる。用語「ビットスコア」及び「類似性スコア」は、交換可能に使用される。ビットスコアは、アライメントがいかに良好であるかの指標を提供し、スコアが高ければ高いほど、アライメントは良好である。
【0131】
E値、または期待値は、類似のスコアをもつある配列がデータベース内で偶然発生する可能性について説明する。E値は、データベース検索において偶然発生することが予期されるSと同等またはそれより良好なスコアをもつ異なるアライメントの数の予測である。E値が小さければ小さいほど、そのアライメントはより有意である。例えば、e−117のE値を有するアライメントは、類似のスコアをもつ配列が単に偶然によって発生する可能性が非常に低いことを意味する。加えて、ランダムな一対のアミノ酸をアライメントする場合の期待されるスコアは負である必要があり、さもなければ、長いアライメントは、アライメントされたそれらのセグメントが関連しているか否かとは独立して高いスコアを有しやすくなる。加えて、BLASTアルゴリズムは、適切な置換マトリックス、ヌクレオチド、またはアミノ酸を使用し、ギャップ付きアライメントについては、ギャップ挿入及び伸長ペナルティを使用する。例えば、BLASTアライメント及びポリペプチド配列の比較は、典型的には、BLOSUM62マトリックス、11のギャップ存在ペナルティ、及び1のギャップ伸長ペナルティを用いて行われる。
【0132】
一実施形態において、配列類似性スコアは、BLOSUM62マトリックス、11のギャップ存在ペナルティ、及び1のギャップ伸長ペナルティを用いて行われるBLAST分析から報告される。
【0133】
特定の実施形態において、本明細書に提供される配列同一性/類似性スコアは、GAP Version 10(GCG,Accelrys,San Diego,Calif.)を用いて得られる値を指し、これは以下のパラメータを用いる:ヌクレオチド配列の同一性%及び類似性%に関しては、50のギャップ重量及び3の長さ重量、ならびにnwsgapdna.cmpスコアリングマトリックスを用いる;アミノ酸配列の同一性%及び類似性%に関しては、8のギャップ重量及び2の長さ重量、ならびにBLOSUM62スコアリングマトリックスを用いる(Henikoff and Henikoff,PNAS USA.89:10915−10919,1992)。GAPは、Needleman−Wunschのアルゴリズム(J.Mol.Biol.48:443−453,1970)を使用して、マッチの数を最大化しギャップの数を最小化する、2つの完全な配列のアライメントを見付ける。
【0134】
特定の一実施形態において、変異型ポリペプチドは、少なくとも約50、60、70、80、90、100、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000以上のBLASTビットスコアまたは配列類似性スコアを生み出すように、基準ポリペプチド配列(例えば、配列一覧を参照)と最適に整合され得るアミノ酸配列を含み、その間の全ての整数及び範囲が含まれ、BLASTアライメントは、BLOSUM62マトリックス、11のギャップ存在ペナルティ、及び1のギャップ伸長ペナルティを使用した。
【0135】
上述されるように、基準ポリペプチドは、アミノ酸置換、欠失、トランケーション、付加、及び挿入を含む様々な方法で改変され得る。そのような操作の方法は、当分野において一般的に既知である。例えば、基準ポリペプチドのアミノ酸配列変異型は、DNAの変異によって調製することができる。変異誘発及びヌクレオチド配列改変のための方法は、当分野において周知である。例えば、Kunkel(PNAS USA.82:488−492,1985)、Kunkel et al.,(Methods in Enzymol.154:367−382,1987)、米国特許第4,873,192号、Watson,J.D.et al.,(“Molecular Biology of the Gene,”Fourth Edition,Benjamin/Cummings,Menlo Park,Calif.,1987)、及びこれらに引用されている参考文献を参照されたい。目的のタンパク質の生物学的活性に影響を及ぼさない適切なアミノ酸置換に関する指導については、Dayhoff et al.,(1978)Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,D.C.)のモデルにおいて見出すことができる。
【0136】
そのような修正によって作製されるコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするための方法、及び選択された特性を有する遺伝子産物のcDNAライブラリーをスクリーニングするための方法については、当分野において既知である。そのような方法は、基準ポリペプチドのコンビナトリアル変異誘発によって生成される遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングのために適合可能である。一例として、ライブラリー内の機能的変異体の頻度を増進する技法、再帰的アンサンブル変異誘発(recursive ensemble mutagenesis:REM)を、スクリーニングアッセイと組み合わせて、ポリペプチド変異型を特定するために使用することができる(Arkin and Yourvan,PNAS USA 89:7811−7815,1992;Delgrave et al.,Protein Engineering.6:327−331,1993)。
【0137】
検出可能な実体.一部の実施形態において、p97複合体は、「検出可能な実体」と動作可能に結合する。例示的な検出可能な実体としては、限定されるものではないが、ヨウ素系標識、放射性同位体、フルオロフォア/蛍光色素、及びナノ粒子が挙げられる。
【0138】
例示的なヨウ素系標識としては、ジアトリゾ酸(Hypaque(登録商標)、GE Healthcare)及びそのアニオン性形態であるジアトリゾエートが挙げられる。ジアトリゾ酸は、CTスキャン等の高度なX線技術において使用される、造影剤である。下に記載される、ヨウ素の放射性同位体もまた含まれる。
【0139】
検出可能な実体として使用できる例示的な放射性同位体としては、32P、33P、35S、H、18F、11C、13N、15O、111In、169Yb、99mTC、55Fe、ならびに123I、124I、125I、及び131I等の要素の同位体が挙げられる。これらの放射性同位体は、異なる半減期、崩壊の仕方、及びエネルギー準位を有し、特定のプロトコルの必要性と合致するように調整することができる。これらの放射性同位体のうちのいくつかは、p97複合体への複合体化によって、CNS組織の医用画像を改善するように、そのような組織に対して選択的に、あるいはより良好に標的化することができる。
【0140】
直接的に検出可能な実体として使用できるフルオロフォアまたは蛍光色素の例としては、フルオロセイン、テトラメチルローダミン、Texas Red、Oregon Green(登録商標)、及びいくつかの他のものが挙げられる(例えば、Haugland,Handbook of Fluorescent Probes−9th Ed.,2002,Molec.Probes,Inc.,Eugene OR、Haugland,The Handbook:A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies−10th Ed.,2005,Invitrogen,Carlsbad,CA)。発光色素または別様に検出可能な色素もまた含まれる。これらの色素によって放出される光は、可視光であっても、紫外光または赤外光等の非可視光であってもよい。例示的実施形態において、色素は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)色素;フルオロセイン及びローダミン等のキサンテン色素;α位またはβ位にアミノ基を有する色素(ナフチルアミン色素、1−ジメチルアミノナフチル−5−スルホネート、1−アニリノ−8−ナフタレンデ(naphthalende)スルホネート、及び2−p−トウイジニル(touidinyl)−6−ナフタレンスルホネート等);3−フェニル−7−イソシアナトクマリンを有する色素;9−イソチオシアナトアクリジン及びアクリジンオレンジ等のアクリジン;ピレン、ベンゾオキサジアゾール、及びスチルベン;3−(ε−カルボキシペンチル)−3’−エチル−5,5’−ジメチルオキサカルボシアニン(CYA)を有する色素;6−カルボキシフルオレセイン(FAM);5及び6−カルボキシローダミン−110(R110);6−カルボキシローダミン−6G(R6G);N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA);6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX);6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン(JOE);ALEXA FLUOR(商標);Cy2;Texas Red及びRhodamine Red;6−カルボキシ−2’,4,7,7’−テトラクロロフルオレセイン(TET);6−カルボキシ−2’,4,4’,5’,7,7’−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX);5−カルボキシ−2’,4’,5’,7’−テトラクロロフルオレセイン(ZOE);NAN;NED;Cy3;Cy3.5;Cy5;Cy5.5;Cy7;及びCy7.5;IR800CW、ICG、Alexa Fluor 350;Alexa Fluor 488;Alexa Fluor 532;Alexa Fluor 546;Alexa Fluor 568;Alexa Fluor 594;Alexa Fluor 647;Alexa Fluor 680、またはAlexa Fluor 750であり得る。ある特定の実施形態は、フルオロフォア(例えば、Oregon Green(登録商標)、Alexa Fluor 488)等の検出可能な実体で標識した化学療法剤(例えば、パクリタキセル、アドリアマイシン)への複合体化を含む。
【0141】
ナノ粒子は通常、サイズが約1〜1000nmの範囲であり、金粒子、銀粒子、及び量子ドット等の多様な化学構造が含まれる。白色光をある入射角で照射した場合、約40〜120nmの範囲の銀または金のナノ粒子は、高強度で単色光を散乱することになる。散乱光の波長は粒径に依存する。極めて近位の4〜5種の異なる粒子は各々単色光を散乱し、これらが重ね合わされた場合、特異的で独特な色が得られることになる。銀粒子または金粒子等の誘導体化ナノ粒子を、タンパク質、抗体、低分子、受容体リガンド、及び核酸を含む、広範囲の分子に付着させ得る。ナノ粒子の具体例としては、金粒子、銀粒子、銅粒子、白金粒子、カドミウム粒子、複合粒子、金中空球、金コーティングしたシリカナノシェル、及びシリカコーティングした金シェル等の、金属ナノ粒子及び金属ナノシェルが挙げられる。シリカ、ラテックス、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、PVDFナノ粒子、及びこれらの材料のうちのいずれかの着色粒子もまた含まれる。
【0142】
量子ドットは、広範な波長にわたる光によって励起可能な、直径が約1〜5nmの蛍光結晶である。適切な波長を有する光による励起に際して、これらの結晶は単色光等を発光し、その波長はそれら結晶の化学組成及びサイズに依存する。CdSe、ZnSe、InP、またはInAs等の量子ドットは固有の光学的性質を有し、これら及び類似の量子ドットは、いくつかの商業的供給元(例えば、NN−Labs,Fayetteville,AR、Ocean Nanotech,Fayetteville,AR、Nanoco Technologies,Manchester,UK、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)から入手可能である。
【0143】
使用方法及び薬学的組成物
本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載されるp97複合体を使用する方法に関する。そのような方法の例としては、治療方法及び診断方法が挙げられ、例えば、神経系の医用画像診断等、ある特定の器官/組織の医用画像診断のためのp97複合体の使用が挙げられる。一部の実施形態は、中枢神経系(CNS)の障害もしくは病態、またはCNS構成要素を有する障害もしくは病態の診断及び/または治療の方法を含む。特定の態様は、CNS構成要素を有するものを含む、リソソーム蓄積症(LSD)を治療する方法を含む。
【0144】
したがって、ある特定の実施形態は、本明細書に記載されるp97複合体を投与することを含む、治療を必要とする対象を治療する方法を含む。本明細書に記載されるp97複合体を含む組成物を投与することを含む、対象の神経系(例えば、中枢神経系組織)にIDS酵素を送達する方法もまた含まれる。これら及び関連する実施形態のうちのある特定のものにおいて、これらの方法は、例えば非複合型siRNA分子を含む組成物による送達と比較して、中枢神経系組織への薬剤の送達の速度を増加させる。
【0145】
ある特定の実施形態において、対象は、表2の疾患または病態を有する。特定の実施形態において、siRNA分子は、NOX1、NOX2、及び/またはNOX4等のNOX遺伝子に対して標的化され、対象は、細胞死、慢性腎疾患、糖尿病もしくは糖尿病性腎障害等の糖尿病合併症(例えば、Jha et al.,J Am Soc Nephrol.2014を参照)、心筋梗塞誘発性心機能不全等の神経心血管疾患、またはCNSの疾患(例えば、Nayernia et al.,Antioxidants & Redox Signaling,doi:10.1089/ars.2013.5703,2014、Sorce and Krause,Antioxidants & Redox Signaling.11:2481−2504,2009を参照)と関連する疾患等の、疾患または病態を有する。具体的な例としては、例えば、ミクログリアにおけるNOX酵素の活性化が細胞損傷の病理学的サイクルを生み出し、ミクログリアの活性化の増加につながり、これが更なる細胞損傷等につながるような神経変性疾患が挙げられる。また、例えば、ドーパミン作動性ニューロンにおけるNOX(例えば、NOX1)の発現が神経変性に寄与し得るような、パーキンソン病もまた含まれる。
【0146】
NOX関連精神疾患の治療もまた含まれる。例えば、NOX2は、精神病性疾患、特にケタミン誘発精神病の動物モデルにおいて、ますます関連性が指摘されている。ここでは、疾患に関係するNOX2の活性が、ミクログリアに排他的に限定されるのではなく、ニューロンにも存在し得るという証拠がある。具体的な例としては、急性ストレス障害、特定不能適応障害、不安を伴う適応障害、抑うつ気分を伴う適応障害、行為の障害を伴う適応障害、不安と抑うつ気分の混合を伴う適応障害、情動と素行の障害の混合を伴う適応障害、パニック障害の既往歴のない広場恐怖症、神経性無食欲症、反社会性人格障害、医学的疾患による不安障害、不安障害(特定不能)、回避性人格障害、双極性障害(特定不能)、双極I型障害(直近のエピソードが抑うつ、完全寛解)、双極I型障害(直近のエピソードが抑うつ、部分寛解)、双極I型障害(直近のエピソードが抑うつ、軽度)、双極I型障害(直近のエピソードが抑うつ、中等度)、双極I型障害(直近のエピソードが抑うつ、重度、精神病性の特徴を伴う)、双極I型障害(直近のエピソードが抑うつ、重度、精神病性の特徴を伴わない)、双極I型障害(直近のエピソードが抑うつ、特定不能)、双極I型障害(直近のエピソードが躁病、完全寛解)、双極I型障害(直近のエピソードが躁病、部分寛解)、双極I型障害(直近のエピソードが躁病、軽度)、双極I型障害(直近のエピソードが躁病、中等度)、双極I型障害(直近のエピソードが躁病、重度、精神病性の特徴を伴う)、双極I型障害(直近のエピソードが躁病、重度、精神病性の特徴を伴わない)、双極I型障害(直近のエピソードが躁病、特定不能)、双極I型障害(直近のエピソードが混合性、完全寛解)、双極I型障害(直近のエピソードが混合性、部分寛解)、双極I型障害(直近のエピソードが混合性、軽度)、双極I型障害(直近のエピソードが混合性、中等度)、双極I型障害(直近のエピソードが混合性、重度、精神病性の特徴を伴う)、双極I型障害(直近のエピソードが混合性、重度、精神病性の特徴を伴わない)、双極I型障害(直近のエピソードが混合性、特定不能)、双極I型障害(直近のエピソードが特定不能)、双極I型障害(直近のエピソードが軽躁病)、双極I型障害(躁病の単一エピソード、完全寛解)、双極I型障害(躁病の単一エピソード、部分寛解)、双極I型障害(躁病の単一エピソード、軽度)、双極I型障害(躁病の単一エピソード、中等度)、双極I型障害(躁病の単一エピソード、重度、精神病性の特徴を伴う)、双極I型障害(躁病の単一エピソード、重度、精神病性の特徴を伴わない)、双極I型障害(躁病の単一エピソード、特定不能)、双極II型障害、身体醜形障害、境界型人格障害、呼吸関連睡眠障害、短期精神病、神経性過食症、概日リズム睡眠障害、転換性障害、気分循環性障害、妄想性障害、依存性人格障害、離人症性障害、うつ病性障害(特定不能)、解離性健忘、解離性障害、解離性遁走、解離性同一性障害、性交疼痛症、睡眠異常(特定不能)、(他の障害)に関連する睡眠異常、気分変調性障害、摂食障害(特定不能)、露出症、医学的疾患による女性の性交疼痛症、医学的疾患による女性の性欲低下障害、女性オルガズム障害、女性の性的興奮障害、フェティシズム、窃触症、青年及び成人の性同一性障害、小児の性同一性障害、性同一性障害(特定不能)、全般性不安障害、演技性人格障害、性欲低下障害、心気症、衝動制御障害(特定不能)、(他の障害)に関連する不眠症、間欠性爆発性障害、窃盗癖、大うつ病性障害(反復、完全寛解)、大うつ病性障害(反復、部分寛解)、大うつ病性障害(反復、軽度)、大うつ病性障害(反復、中等度)、大うつ病性障害(反復、重度、精神病性の特徴を伴う)、大うつ病性障害(反復、重度、精神病性の特徴を伴わない)、大うつ病性障害(反復、特定不能)、大うつ病性障害(単一エピソード、完全寛解)、大うつ病性障害(単一エピソード、部分寛解)、大うつ病性障害(単一エピソード、軽度)、大うつ病性障害(単一エピソード、中等度)、大うつ病性障害(単一エピソード、重度、精神病性の特徴を伴う)、大うつ病性障害(単一エピソード、重度、精神病性の特徴を伴わない)、大うつ病性障害(単一エピソード、特定不能)、医学的疾患による男性の性交疼痛症、男性の勃起障害、医学的疾患による男性の勃起障害、医学的疾患による男性の性欲低下障害、男性オルガズム障害、医学的疾患による気分障害、自己愛性人格障害、睡眠発作、悪夢障害、強迫性障害、強迫性人格障害、医学的疾患による他の女性の性機能不全、医学的疾患による他の男性の性機能不全、心理的要因と医学的疾患に関連する疼痛性障害、心理的特徴に関連する疼痛性障害、広場恐怖症を伴うパニック障害、広場恐怖症を伴わないパニック障害、妄想性人格障害、性的倒錯(特定不能)、睡眠時随伴症、ギャンブル依存症、小児性愛、人格障害(特定不能)、心的外傷後ストレス障害、早漏症、原発性過眠症、原発性不眠症、妄想を伴う、医学的疾患による精神病性障害、幻覚を伴う、医学的疾患による精神病性障害、精神病性障害(特定不能)、放火癖、統合失調感情障害、統合失調質人格障害、緊張病型統合失調症、解体型統合失調症、妄想型統合失調症、残存型統合失調症、未分化型統合失調症、統合失調症様障害、統合失調症型人格障害、性嫌悪障害、性障害(特定不能)、性機能不全(特定不能)、性的マゾヒズム、性的サディズム、共有精神病性障害、医学的疾患による睡眠障害(過眠症型)、医学的疾患による睡眠障害(不眠症型)、医学的疾患による睡眠障害(混合型)、医学的疾患による睡眠障害(睡眠時随伴症型)、睡眠時驚愕障害、夢遊病、社会恐怖症、身体化障害、身体表現性障害(特定不能)、特定の恐怖症が挙げられる。
【0147】
虚血または卒中の治療もまた含まれる。NOX欠損マウスは卒中から保護されているという証拠が豊富に存在する。神経細胞の、ならびにミクログリアのNOXの両方が、役割を果たし得る。NOX2及びNOX4のための実験的証拠が実証されている(Radermacher et al.,Antioxid Redox Signal.18:1418−27,2013、Suzuki et al.,Sci Rep.2:896,2012を参照)。CNS外傷の治療もまた含まれる。CNS外傷が、長期的に持続するミクログリアの活性化及びNOX2発現につながり得るという証拠が存在する。この機序は、CNS外傷後の神経変性に寄与すると考えられている。NOX4の分子標的もまた、脊髄の外傷性損傷等の、末梢神経損傷後の神経障害性疼痛を改善することが示されている(Im et al.,Cell Death Dis.3:e426,2012を参照)。
【0148】
ある特定の実施形態は、神経炎症、ある特定の種類の癌、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、アルツハイマー病、フリードライヒ失調症、脊髄性筋萎縮症、ハンチントン病、レビー小体型認知症、脊髄性筋萎縮症、視神経脊髄炎、大うつ病性障害、統合失調症、緑内障または末梢神経障害(糖尿病性またはAIDS神経障害)等の神経変性障害の治療を含む。
【0149】
中枢及び末梢神経系の疾患の治療もまた含まれる。具体的な例としては、透明中隔の欠如、酸性リパーゼ疾患、酸性マルターゼ欠乏、後天性てんかん様失語症、急性散在性脳脊髄炎、アディー瞳孔、アディー症候群、副腎白質ジストロフィー、脳梁欠損症、認知不能症、アイカルディ症候群、アイカルディ・ゴーシェ症候群障害、AIDS神経性合併症、アレキサンダー病、アルパース病、交代性片麻痺、無脳症、動脈瘤、無脳症、動脈瘤、アンジェルマン症候群、血管腫症、無酸素症、失語症、失語症、失行症、クモ膜嚢胞、クモ膜炎、アーノルド・キアリ奇形、動静脈奇形、アスペルガー症候群、運動失調、血管拡張性失調症、運動失調及び小脳変性症または脊髄小脳変性症、心房細動及び発作、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自律神経障害、自律神経障害、背部痛、バース症候群、ベル麻痺、ベッカー筋緊張症、ベーチェット病、ベル麻痺、良性特発性眼瞼痙攣、良性限局性筋萎縮症、良性頭蓋内圧亢進症、ベルンハルト・ロート症候群、ビンスワンガー病、眼瞼痙攣、ブロッホ・ズルツベルガー症候群、腕神経叢出産時損傷、腕神経叢損傷、ブラッドバリー・エグルストン症候群、脳脊髄腫瘍、脳動脈瘤、脳梗塞、脳虚血、脳損傷、ブラウン・セカール症候群、球脊髄性筋萎縮症、皮質下梗塞及び白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症、カナバン病、手根管症候群、灼熱痛、海綿腫、海綿状血管腫、海綿状奇形、頚髄中心症候群、脊髄中心症候群、中枢痛症候群、橋中心髄鞘崩壊症、頭部の障害(Cephalic Disorders)、セラミダーゼ欠乏、小脳変性症、小脳低形成、脳動脈瘤、脳動脈硬化症、大脳萎縮症、脳性脚気、中枢神経系海綿状血管腫、脳性巨人症、低酸素脳症、脳性麻痺、脳目顔骨格症候群、シャルコー・マリー・トゥース病、キアリ奇形、コレステロールエステル蓄積症、舞踏病、有棘赤血球舞踏病、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)、慢性起立性調節障害、慢性疼痛、コケイン症候群II型、コフィン・ローリー症候群、COFS、脳梁欠損症、昏睡状態、複合性局所疼痛症候群、先天性眼筋麻痺、先天性筋無力症、先天性ミオパチー、先天性血管海綿状奇形、大脳皮質基底核変性症、頭部動脈炎、頭蓋縫合早期癒合症、クロイツフェルト・ヤコブ病、累積外傷性障害、クッシング症候群、巨細胞性封入体病、サイトメガロウイルス感染症、傍腫瘍性眼球クローヌス・ミオクローヌス運動失調、ダンディ・ウォーカー症候群、ドーソン病(Dawson Disease)、ド・モルシア症候群、パーキンソン病の深部脳刺激、デジェリン・クルムプケ麻痺、認知症、多発脳梗塞性認知症、意味性認知症、皮質下認知症、レビー小体型認知症、ミオクローヌス性小脳性協働収縮異常症、歯状核赤核萎縮症、皮膚筋炎、発達性統合運動障害、デビック病、糖尿病性神経障害、びまん性硬化症、ドラベ症候群、自立神経失調症、書字障害、失読症、嚥下障害、統合運動障害、ミオクローヌス性小脳性共同運動障害、進行性小脳性共同運動障害、ジストニア、早期幼児てんかん性脳症、トルコ鞍空洞症候群、脳炎、嗜眠性脳炎、脳ヘルニア、脳症、頭蓋内石灰沈着及び慢性的な脳脊髄液のリンパ球増加を伴う家族性乳児脳症、クレー脳炎、偽トーチ症候群、偽トキソプラズマ症候群、脳三叉神経領域血管腫症、癲癇、てんかん性半身麻痺、エルブ・デュシェンヌ及びデジェリン・クルムプケ麻痺、エルブ麻痺、本態性振戦、橋中心髄鞘崩壊、ファブリー病、ファール症候群、失神、家族性自律神経失調症、家族性血管腫、家族性突発性基底核石灰化症、家族性周期性四肢麻痺、家族性痙性麻痺、ファーバー病、熱性痙攣、線維筋性異形成症、フィッシャー症候群、筋緊張低下児症候群、下垂足、フリードライヒ運動失調症、前頭側頭型認知症、ガングリオシド蓄積症、ゴーシェ病、ゲルストマン症候群、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、巨大軸索神経病、巨細胞動脈炎、巨細胞性封入体病、グロボイド細胞白質ジストロフィー、舌咽神経痛、グリコーゲン蓄積症、ギラン・バレー症候群、ハラーホルデン・スパッツ病、頭部損傷、頭痛、連続性片頭痛(Hemicrania Continua)、片側顔面痙攣、交代性片麻痺(Hemiplegia Alterans)、遺伝性ニューロパチー、遺伝性痙性対麻痺、多発神経炎型遺伝性運動失調症、帯状疱疹、耳帯状疱疹、ヒラヤマ症候群、ホルムズ・アーディー症候群、全前脳症、HTLV−1関連脊髄症、ヒューズ症候群、ハンチントン病、水無脳症、水頭症、正常圧水頭症、水脊髄症、副腎皮質ホルモン過剰症、過眠症、筋緊張亢進、筋緊張低下、低酸素症、免疫介在性脳脊髄炎、封入体筋炎、色素失調症、新生児筋緊張低下、乳児神経軸索ジストロフィー、乳児フィタン酸蓄積症、乳児レフスム病、点頭てんかん、炎症性筋疾患、後頭孔脳脱出症、腸性脂肪異栄養症、頭蓋内嚢胞、頭蓋内圧亢進症、アイザック症候群、ジュベール症候群、カーンズ・セイヤー症候群、ケネディー病、キンスブルン症候群、クライネ・レヴィン症候群、クリッペル・ファイル症候群、クリッペル・トレノーネイ症候群(KTS)、クリューヴァー・ビューシー症候群、コルサコフ健忘症候群、クラッベ病、クーゲルベルク・ヴェランダー病、クールー病、ランバート・イートン筋無力症症候群、ランドウ・クレフナー症候群、感覚異常性大腿神経痛、延髄外側症候群、学習障害、リー病、レノックス・ガストー症候群、レッシュ・ナイハン症候群、白質ジストロフィー、レヴァイン・クリッチュリー症候群、レビー小体型認知症、脂質蓄積症、類脂質蛋白症、脳回欠損、閉じ込め症候群、ルー・ゲーリック病、ループス神経学的後遺症、ライム病−神経性合併症、マシャド・ジョセフ病、巨大脳髄症、巨脳症、メルカーソン・ローゼンタール症候群、髄膜炎、髄膜炎及び脳炎、メンケス病、異常感覚性大腿痛、異染性白質ジストロフィー、小頭症、偏頭痛、ミラー・フィッシャー症候群、軽度認知障害、小発作、ミトコンドリア筋症、メビウス症候群、若年性一側上肢筋萎縮症、運動ニューロン疾患、もやもや病、ムコ脂質症、ムコ多糖症、多巣性運動ニューロパチー、多発脳梗塞性認知症、多発性硬化症、多系統萎縮症、起立性低血圧を伴う多系統萎縮症、筋ジストロフィー、先天性筋無力症、重症筋無力症、びまん性硬化症、傍腫瘍性眼球クローヌス・ミオクローヌス運動失調、間代性筋痙攣、筋障害、先天性筋障害、甲状腺中毒性筋障害、筋緊張症、先天性筋強直症、ナルコレプシー、神経有棘赤血球症、脳の鉄蓄積を伴う神経変性、神経線維腫症、神経遮断薬悪性症候群、AIDSの神経性合併症、ライム病の神経性合併症、サイトメガロウイルス感染症の神経学的結果、ポンペ病の神経症状、ループスの神経学的後遺症、視神経脊髄炎、神経性筋強直症、神経セロイドリポフスチン沈着症、神経細胞移動障害、遺伝性神経障害、神経サルコイドーシス、神経毒性、海綿状母斑、ニーマン・ピック病、正常圧水頭症、後頭神経痛、大田原症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、眼球クローヌス・ミオクローヌス運動失調、起立性低血圧症、オサリヴァン−マクラウド症候群、濫用症候群、慢性疼痛、パントテン酸キナーゼ関連神経変性症、腫瘍随伴症候群、感覚異常、パーキンソン病、発作性舞踏病、発作性片側頭痛、ペイリー・ロンベルグ病、ペリツェウス・メルツバッヘル病、ペナ・ショッカー症候群II型、神経根嚢胞、周期性四肢麻痺、末梢神経障害、脳室周囲白質軟化症、遷延性植物状態、広汎性発達障害、フィタン酸蓄積症、ピック病、圧迫神経、梨状筋症候群、下垂体腫瘍、多発性筋炎、ポンペ病の神経症状、孔脳症、ヘルペス後神経痛、麻疹後脳脊髄炎、ポリオ後症候群、体位性低血圧、体位性起立性頻拍症候群、体位性頻拍症候群、原発性歯状核萎縮、原発性側索硬化症、原発性進行性失語、プリオン病、進行性顔面片側萎縮症、進行性歩行運動失調、進行性多巣性白質脳症、進行性硬化性ポリオジストロフィ―、進行性核上性麻痺、顔貌失認、偽性脳腫瘍、ラムゼイ・ハント症候群I型(以前はそのように知られた)、ラムゼイ・ハント症候群II型(以前はそのように知られた)、ラスムッセン脳炎、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、レフサム病、乳児レフサム病、累積外傷性障害、反復性緊張外傷、下肢静止不能症候群、レトロウイルス関連脊髄症、レット症候群、ライエ症候群、リウマチ性脳炎、ライリー・デイ症候群、仙骨神経根の嚢胞、舞踏病、唾液腺疾患、サンドホフ病、シルダー病、裂脳症、ザイテルバーガー病、発作性障害、意味性認知症、中隔視神経異形成症、乳児重症ミオクロニーてんかん(SMEI)、揺さぶられっ子症候群、帯状疱疹、シャイ・ドレーガー症候群、シェーグレン症候群、睡眠時無呼吸、睡眠病、ソトス症候群、痙直、二分脊椎症、脊髄梗塞、脊髄損傷、脊髄腫瘍、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳萎縮症、脊髄小脳変性症、スティール・リチャードソン・オルゼウスキー症候群、全身硬直症候群、線条体黒質変性症、卒中、スタージ・ウェーバー症候群、亜急性硬化性全脳炎、皮質下動脈硬化性脳症、SUNCT頭痛、嚥下障害、シデナム舞踏病、失神、梅毒性脊髄硬化症、脊髄水空洞症、脊髄空洞症、全身性エリテマトーデス、脊髄癆、遅発性ジスキネジア、ターロブ嚢胞、テイ・サックス病、側頭動脈炎、脊髄係留症候群、トムゼン筋強直症、胸郭出口症候群、甲状腺中毒性筋障害、三叉神経痛、トッド麻痺、トゥレット症候群、一過性脳虚血発作、伝達性海綿状脳症、横断性脊髄炎、外傷性脳損傷、振戦、三叉神経痛、熱帯性痙性不全対麻痺症、トロイヤー症候群、結節性硬化症、血管勃起腫瘍(Vascular Erectile Tumor)、中枢及び末梢神経系の血管炎症候群、フォン・エコーノモ病、フォンヒッペル・リンダウ病(VHL)、フォンレックリングハウゼン病、ワレンベルク症状群、ウェルドニッヒ・ホフマン病、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、ウエスト症候群、むち打ち症、ウィップル病、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、ウォルマン病、X連鎖球脊髄性筋萎縮症、ツェルウェガー症候群、視神経縁、慢性疲労症候群、線維筋痛症、気分障害、大うつ病、双極性症候群、精神病、統合失調症、強迫症状群等の精神疾患、アルコール依存症及び薬物乱用等の中毒または薬物乱用疾患、ならびに肝性脳症等の脳症が挙げられる。
【0150】
したがって、NOX遺伝子(例えば、NOX1、NOX2、NOX4)を対象とし、かつCNS組織への浸透が改善されたp97−siRNA複合体は、これら及び他のNOX関連疾患またはCNSの病態を治療する際に、治療上の有用性を提供し得る。
【0151】
インビボでの使用、例えばヒトの疾患の治療、医用画像診断、または試験のために、本明細書に記載されるp97複合体は概して、投与前に、薬学的組成物に組み込まれる。薬学的組成物は、本明細書に記載されるp97複合体のうちの1つ以上を、生理学的に許容される担体または賦形剤と共に含む。
【0152】
薬学的組成物を調製するために、有効量または所望量の1つ以上の複合体を、投与の特定の形態にとって好適であるように、当業者に既知の任意の薬学的担体または賦形剤と共に混合する。薬学的担体は、液体、半液体、または固体であってもよい。非経口、皮内、皮下、または局所適用のために使用される溶液または懸濁液は、例えば、無菌希釈剤(水等)、食塩水(例えばリン酸緩衝生理食塩水、PBS)、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒;抗菌剤(ベンジルアルコール及びメチルパラベン等);酸化防止剤(アスコルビン酸及び亜硫酸水素ナトリウム)及びキレート剤(エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA));緩衝剤(酢酸塩、クエン酸塩、及びリン酸塩等)を含んでもよい。静脈内に投与される(例えば、静脈内注入によって)場合、好適な担体としては、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ならびにグルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びそれらの混合物等の増粘剤及び可溶化剤を含有する溶液が挙げられる。
【0153】
本明細書に記載される複合体の、純粋な形態での投与または適切な薬学的組成物中での投与は、類似の有用性を提供する薬剤の投与の許容される形態のうちのいずれかを介して実行することができる。薬学的組成物は、複合体含有組成物を、適切な生理学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせることによって調製することができ、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏、溶剤、坐薬、注射、吸入剤、ゲル、ミクロスフェア、及びエアロゾル等の、固体、半固体、液体、またはガス状形態の調製物へと配合され得る。加えて、他の薬学的活性成分(本明細書の他の場所に記載されるような他の小分子を含む)及び/または塩、緩衝剤、及び安定化剤等の好適な賦形剤が組成物内に存在してもよいが、存在しなくともよい。
【0154】
投与は、経口、非経口、経鼻、静脈内、皮内、皮下、または局所投与を含む、様々な異なる経路で達成され得る。投与の好ましい形態は、治療または予防する病態の性質に依存する。特定の実施形態は、静脈内注入による投与を含む。
【0155】
担体としては、例えば、用いられる投与量及び濃度においてそれに曝露される細胞または哺乳動物に対して無毒性である、薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定化剤が挙げられる。多くの場合、生理学的に許容される担体は、pH緩衝水溶液である。生理学的に許容される担体の例としては、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸等の緩衝剤;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;マンニトールもしくはソルビトール等の糖アルコール;ナトリウム等の塩形成対イオン;ならびに/またはポリソルベート20(TWEEN(商標))ポリエチレングリコール(PEG)、及びポロキサマー(PLURONICS(商標))等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0156】
ある特定の態様において、p97ポリペプチド配列及びsiRNA分子は、それぞれ個別に、あるいは既存の複合体として、粒子、例えばナノ粒子、ビーズ、脂質製剤、脂質粒子、またはリポソーム、例えば免疫リポソームと結合するか、その内部に封入される。例えば、特定の実施形態において、p97ポリペプチド配列は粒子の表面に結合し、目的のsiRNA分子はその粒子の表面に結合し、かつ/あるいはその粒子の内部に封入される。これら及び関連する実施形態の一部において、p97ポリペプチド及びsiRNA分子は、粒子そのもの(例えば、ナノ粒子、リポソーム)のみを介して互いに共有結合または動作可能に結合しており、いかなる他の方法でも互いに共有結合してはいない。すなわち、それらは同じ粒子に対して個別に結合している。他の実施形態において、p97ポリペプチド及びsiRNA分子は、まず、本明細書に記載されるように(例えば、リンカー分子を介して)共有結合的あるいは非共有結合的に互いに複合体化し、次いで粒子(例えば、リポソーム、ナノ粒子)と結合するか、その内部に封入される。特定の実施形態において、粒子はリポソームであり、組成物は1つ以上のp97ポリペプチドと、1つ以上の目的のsiRNA分子と、脂質の混合物とを含んでリポソームを形成する(例えば、リン脂質、界面活性剤特性を伴う混合脂質鎖)。一部の態様において、リポソーム構造の形成が、共有結合的な複合体化の必要性を伴わずにp97ポリペプチドとsiRNA分子とを動作可能に結合させるように、p97ポリペプチド及びsiRNA分子は脂質/リポソーム混合物と個別に混合される。他の態様において、p97ポリペプチド及びsiRNA分子は、まず、本明細書に記載されるように、共有結合的あるいは非共有結合的に互いに複合体化し、次いで脂質と混合されてリポソームを形成する。p97ポリペプチド、siRNA分子、またはp97複合体は、例えばコアセルベーション技法または界面重合によって調製されるマイクロカプセル(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセル、及びポリ−(メチルメタシレート(methylmethacylate))マイクロカプセル)内に、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、微乳濁液、ナノ粒子、及びナノカプセル)内に、あるいはマクロエマルション内に封入され得る。そのような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition,Oslo,A.,Ed.,(1980)に開示されている。粒子またはリポソームは更に、細胞傷害性薬物等の他の治療剤または診断剤を含み得る。
【0157】
正確な投与量及び治療期間は、治療される疾患の関数であり、既知の試験プロトコルを用いることで経験的に決定されるか、あるいは当分野において既知のモデル系内で組成物を試験して、そこから補外することによって決定され得る。対照臨床試験もまた行われてもよい。投与量もまた、緩和されるべき病態の重症度によって異なり得る。薬学的組成物は概して、望ましくない副作用を最小化する一方で、治療上有用な効果を及ぼすように配合及び投与される。組成物は1回で投与されてもよく、あるいは時間の間隔を空けて投与されるように、いくつかのより小さい用量へと分割されてもよい。任意の特定の対象に対して、具体的な投与レジメンは、個々の必要性に応じて経時的に調整されてもよい。
【0158】
したがって、これら及び関連する薬学的組成物を投与する典型的な経路は、限定されるものではないが、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、口腔、直腸、経膣、及び鼻腔内を含む。用語、非経口は、本明細書で使用する場合、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射、または注入技法を含む。本発明のある特定の実施形態による薬学的組成物は、その中に含有される活性成分が、患者への組成物の投与の際に生物学的に利用可能であることを可能にするように配合される。対象または患者に投与される組成物は、例えば、錠剤が単回投与単位であり得る場合、及び本明細書に記載されるエアロゾル形態の複合体の容器が複数の投与単位を保持し得る場合、1つ以上の投与単位の形態をとってもよい。そのような剤形を調製する実際の方法は、当業者にとっては既知であるか、あるいは明白であり、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition(Philadelphia College of Pharmacy and Science,2000)を参照されたい。投与される組成物は典型的には、目的の疾患または病態の治療のために、治療有効量の本明細書に記載される複合体を含有することになる。
【0159】
薬学的組成物は、固体または液体の形態であり得る。一実施形態において、組成物が例えば錠剤形態または散剤形態であるように、担体は粒子性である。担体は、組成物が例えば吸入投与において有用な、例えば経口油、注射可能な液体、またはエアロゾルである場合、液体であり得る。経口投与が意図される場合、薬学的組成物は、固体または液体形態のいずれかであることが好ましいが、ここで、半固体、半液体、懸濁液、及びゲル形態は、本明細書において固体または液体のいずれかとしてみなされる形態の中に含まれる。
【0160】
経口投与のための固体組成物として、薬学的組成物は、散剤、顆粒剤、圧縮錠剤、丸薬、カプセル剤、チューインガム、ウエハ等へと製剤化され得る。そのような固体組成物は典型的には、1つ以上の不活性希釈剤または食用担体を含有することになる。加えて、以下のうちの1つ以上が存在してもよい:カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロース、トラガントガム、またはゼラチン等の結合剤;デンプン、ラクトース、またはデキストリン等の賦形剤、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、コーンスターチ等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotex等の滑沢剤、コロイド状二酸化シリコン等の流動促進剤;スクロースまたはサッカリン等の甘味剤;ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香味料等の香味剤;及び着色剤。薬学的組成物がカプセル、例えばゼラチンカプセルの形態である場合、薬学的組成物は上記の種類の材料に加えて、ポリエチレングリコールまたは油等の液体担体を含有し得る。
【0161】
薬学的組成物は、液体の形態、例えばエリキシル剤、シロップ剤、溶剤、乳剤、または懸濁剤の形態であり得る。液体は、2つの例としては、経口投与のため、または注射による送達のためであり得る。経口投与が意図される場合、好ましい組成物は、存在する化合物に加えて、甘味剤、保存剤、染料/着色剤、及び風味増強剤のうちの1つ以上を含有する。注射によって投与されることが意図される組成物においては、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定化剤、及び等張化剤のうちの1つ以上が含まれ得る。
【0162】
液体薬学的組成物は、それらが溶剤、懸濁剤、または他の類似の形態であるかに関わらず、以下の補助剤のうちの1つ以上を含み得る:注射用蒸留水、食塩水、好ましくは生理食塩水、リンガー液、等張食塩水、溶媒もしくは懸濁媒体として機能し得る合成モノグリセリドもしくはジグリセリド等の不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベン等の抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤;エチレンジアミンテトラ酢酸等のキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩等の緩衝剤、及び塩化ナトリウムまたはデキストロース等の張性の調整のための薬剤。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチックで作製されたアンプル、使い捨てシリンジ、または多人数用バイアル内に密閉することができる。生理食塩水が好ましい補助剤である。注射可能な薬学的組成物は、無菌であることが好ましい。
【0163】
非経口または経口投与のいずれかが意図される液体薬学的組成物は、好適な投与量が得られるような、ある量の複合体を含有すべきである。典型的には、この量は、組成物中少なくとも0.01%の目的の薬剤である。経口投与が意図される場合、この量は、組成物の0.1〜約70重量%になるように変動し得る。ある特定の経口薬学的組成物は、約4%〜約75%の目的の薬剤を含有する。ある特定の実施形態において、本発明による薬学的組成物及び調製物は、非経口投与単位が、希釈前に、0.01〜10重量%の目的の薬剤を含有するように調製される。
【0164】
薬学的組成物は局所投与が意図されてもよく、この場合、担体は、溶剤、乳剤、軟膏、またはゲル基剤を好適に含み得る。この基剤は、例えば、以下のうちの1つ以上を含み得る:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、鉱物油、水及びアルコール等の希釈剤、ならびに乳化剤及び安定化剤。増粘剤が、局所投与用の薬学的組成物中に存在してもよい。経皮投与が意図される場合、組成物は、経皮パッチまたはイオン導入器を含み得る。
【0165】
薬学的組成物は例えば坐薬の形態で直腸投与が意図されてもよく、これは直腸内で溶解し薬物を放出することになる。直腸投与用の組成物は、好適な非刺激性賦形剤として、油性基剤を含有してもよい。そのような基剤としては、限定されるものではないが、ラノリン、カカオバター、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0166】
薬学的組成物は、固体または液体投与単位の物理的形態を修正する、様々な材料を含み得る。例えば、組成物は、活性成分の周囲にコーティングシェルを形成する材料を含み得る。コーティングシェルを形成する材料は典型的には不活性であり、例えば、砂糖、シェラック、及び他の腸溶コーティング剤から選択され得る。あるいは、活性成分は、ゼラチンカプセル内に包み込まれてもよい。固体または液体形態の薬学的組成物は、複合体または薬剤に結合する薬剤を含み、それによって化合物の送達を促進し得る。この能力で作動し得る好適な薬剤としては、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、1つ以上のタンパク質、またはリポソームが挙げられる。
【0167】
薬学的組成物は、エアロゾルとして投与することができる投与単位から本質的になってもよい。用語、エアロゾルは、コロイド状性質のシステムから圧力パッケージからなるシステムまで多岐に亘る、様々なシステムを意味する。送達は、液化ガスまたは圧縮ガスによって、あるいは活性成分を送出する好適なポンプシステムによって行われ得る。エアロゾルは、活性成分を送達するために、単相、二相性、または三相性システムで送達され得る。エアロゾルの送達は、必要な容器、アクチベータ、弁、サブ容器等を含み、これらが一緒になってキットを形成し得る。当業者ならば、余計な実験無しに、好ましいエアロゾルを決定できる。
【0168】
本明細書に記載される組成物は、複合体が体から迅速に排除されないように保護する、徐放性製剤またはコーティング等の担体と共に調製されてもよい。そのような担体としては、限定されるものではないが、移植及びマイクロカプセル封入送達システム、ならびにエチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、及び当業者に既知の他のもの等の生分解性の生体適合性ポリマーといった、放出制御製剤が挙げられる。
【0169】
薬学的組成物は、製薬分野において周知の手法で調製することができる。例えば、注射による投与が意図される薬学的組成物は、塩、緩衝剤、及び/または安定化剤のうちの1つ以上を、溶液を形成するように無菌蒸留水と共に含み得る。界面活性剤が、均質な溶液または懸濁液の形成を促進するために添加されてもよい。界面活性剤は、水性送達系における複合体の溶解または均質な懸濁を促進するように、複合体と非共有結合的に相互作用する化合物である。
【0170】
組成物は、治療有効量で投与され得るが、この治療有効量は、採用される特定の化合物の活性;化合物の代謝安定性及び反応の長さ;患者の年齢、体重、一般の健康状態、性別、食事;投与の形態及び時間;排泄の速度;薬物の組み合わせ;特定の障害または病態の重症度;ならびに療法を受ける対象を含む、様々な因子に依存して変動することになる。一般的に、治療的に有効な1日用量は(70kgの哺乳動物に関して)、約0.001mg/kg(すなわち、約0.07mg)〜約100mg/kg(すなわち、約7.0g)、好ましくは、治療有効量は(70kgの哺乳動物に関して)、約0.01mg/kg(すなわち、約0.7mg)〜約50mg/kg(すなわち、約3.5g)、より好ましくは、治療有効量は(70kgの哺乳動物に関して)、約1mg/kg(すなわち、約70mg)〜約25mg/kg(すなわち、1.75g)である。
【0171】
本明細書に記載される組成物は、本明細書に記載されるように、1つ以上の他の治療剤の投与と同時に、その前に、あるいはその後に投与されてもよい。例えば、一実施形態において、複合体は抗炎症剤と共に投与される。抗炎症剤または抗炎症薬としては、限定されるものではないが、ステロイド及びグルココルチコイド(ベタメタゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンを含む)、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、抗TNF薬品、シクロホスファミド、及びミコフェノール酸を含む非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)が挙げられる。
【0172】
そのような併用療法としては、本発明の化合物(すなわち、複合体)及び1つ以上の追加的な活性剤を含有する単一の薬学的投与製剤の投与、ならびに本発明の複合体を含む組成物と、それぞれ別個の薬学的投与製剤である活性剤との投与が挙げられ得る。例えば、本明細書に記載される複合体、及び他の活性剤は、錠剤またはカプセル等の単一の経口投与組成物として患者に対して一緒に投与することができ、あるいは各薬剤は、別個の経口投与製剤として投与することができる。同様に、本明細書に記載される複合体、及び他の活性剤は、食塩水中または他の生理学的に許容される溶液中等の単一の非経口投与組成物として患者に対して一緒に投与することができ、あるいは各薬剤は、別個の非経口投与製剤として投与することができる。別個の投与製剤が使用される場合、複合体を含む組成物と、1つ以上の追加的な活性剤とは、本質的に同じ時間に、すなわち同時に投与することができ、あるいは別個に交互のタイミングで、すなわち順次かつ任意の順番で投与することができ、併用療法は、全てのこれらのレジメンを含むものと理解される。
【0173】
本明細書に記載される様々な実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を生み出すことができる。本明細書において言及され、かつ/または出願データシートに列挙される米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、海外の特許、海外の特許出願、及び非特許刊行物の全ては、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。実施形態の態様は、尚も更なる実施形態を生み出すために様々な特許、出願、及び刊行物の概念を採用することが必要な場合、修正することができる。
【実施例】
【0174】
実施例1
p97−siRNA複合体の調製及び試験
p97の、血液脳関門(BBB)を越えるsiRNA薬剤の送達を増進する能力を試験するために、p97ポリペプチドのC末端DSSHAFTLDERYC(配列番号29)を、リンカー部分を介して、NOX4遺伝子に対して標的化されたsiRNA分子のアンチセンス鎖(5’−A UGU UCA CAA AGU CAG GUC TT−3’)(配列番号31)の3’末端に複合体化した。検出のために、siRNA分子のセンス鎖(5’−GAC CUG ACU UUG UGA ACA UTT−3’)(配列番号32)を、リンカーを介してAlexa Fluor(登録商標)680(AF680)に複合体化した。正の対照として、p97が複合体化したアンチセンス鎖とAF680で標識されたセンス鎖をアニーリングして、p97−siRNA複合体を形成した(図2Aを参照)。負の対照として、非複合型のアンチセンス鎖とAF680で標識されたセンス鎖をアニーリングした(図2Bを参照)。
【0175】
下の表E1に示される研究デザインに概説されるように、試験分子をマウスに注射した。
【表E1】
【0176】
試験分子を、Balb/cマウスに(尾静脈を介して)静脈内注射し、1時間後にこの動物たちを以下のように屠殺した。安楽死させる前に、マウスには、脳の血管系を染色するために、10分間、トマトレクチン−Texas Red(80mg)を注射した(静脈内)。血液は、10mlのヘパリン添加した食塩水を心臓内灌流させる(1ml/分)ことで取り除いた。脳を切除し、ドライアイスで凍結させ、−80℃で保管した。Tissue Tekに脳を載置し、−20℃のクリオスタットで薄片に切り分けた(25mm、3枚の薄片/脳)。薄片(n=3/脳)をSuperfrost Plus顕微鏡スライド上に載置し、室温で10分間、低温のアセトン/MeOH(1:1)中で固定し、その後PBSで洗浄した。Prolong Gold褪色防止用封入剤を、DAPI(分子プローブ、P36931)と共に使用して、カバーガラスを薄片上に載置した。3D共焦点顕微鏡検査を行った(1枚の薄片当たり4つの無作為の範囲を捉えた)。図3が、脳の薄片の4つの観測視野の場所を示す。
【0177】
全ての薄片についてのシグナルを、それらの薄片における最小限の(しかし、完全にゼロではない)AF680蛍光シグナルのみを観察するために、PBS対照群に関して較正した(図4Aを参照)。siRNAAF680の場合、核周囲のAF680シグナルはいずれのマウスの脳実質組織においても検出されず(図4Bを参照)、AF680シグナルは血管系において観察されなかった。p97−siRNAAF680の場合、核周囲のAF680シグナルが全てのマウスの脳実質組織において検出され(図4Dを参照)、AF680シグナルは血管系において観察されなかった。図7は、PBS対照に対する、脳組織内におけるsiRNAAF680及びp97−siRNAAF680複合体の算定体積分率を示す。これらの結果は、p97ポリペプチドの複合体化が、脳実質組織といったCNS組織へのsiRNA分子の送達を有意に増進できることを示す。
【0178】
NOX4のmRNAレベルを測定するために、低用量の試験分子(10mg/kg)を(上述のように)マウスに注射し、注射の1時間後に組織試料を分析のために収集した。全RNAを凍結させた脳組織から抽出し(TRIzol(登録商標)試薬及び方法を参照)、下の表E2のプライマーを用いて、リアルタイムPCRをこれらのRNA試料に対して実行した。
【表E2】
【0179】
リアルタイムPCRについては、1μgの各RNA試料を、ランダムヘキサマー及びオリゴdTを用いて、qScript cDMA SuperMix試薬(QuantaBio)で、cDNAへと逆転写した。次いで、リアルタイムRT−PCRを、SYBR Green I技法を用いて、ABI 7500 FAST REAL TIME PCR System(Applied Biosystems,Foster city,USA)で実行した。各PCRランのマスターミックスを、1×SYBR Green PCR緩衝液、3mMのMgCl2、1mMのdNTP、0.625UのTaqポリメラーゼ、及び0.25UのAmperase UNGを含有する、SYBR Green PCRコア試薬(Applied Biosystems,Foster City,USA)で調製した。10ngのcDNAを添加し、特定のセンスプライマー及びアンチセンスプライマーについて、それぞれ300nMを使用した。
【0180】
リアルタイムPCRの増幅プログラムは以下の通りであった:50℃で2分間、95℃で10分間、95℃で15秒間の後60℃で1分間を40サイクル。全ての試料は同一のRNA調製物から3連で増幅し、平均値を考察した。リアルタイムPCRの効率性は、各遺伝子及び線形回帰モデルの傾きによるそれぞれの歪に関して判定した。この場合、各cDNA試料はバルク化され、その後50、25、10、5、及び2ngの範囲で、PCR鋳型として使用した。各遺伝子について、PCR効率性は、バルク化したcDNAの段階希釈についての特定の閾値(Walker,2002)までのCTを測定することで判定した。全てのPCR反応は、84%〜96%の効率性を示した。
【0181】
データを図8及び9A〜9Cに示す。図8は、試験した7匹の異なるマウス(PBS対照1匹、及び各siRNA試験分子に対して3匹ずつ)についてのRT−PCRの結果を示す。NOX4 mRNAのレベルを、GAPDH対照と比較して示す。
【0182】
図9A〜9Cは、ΔΔCT法を用いて分析したデータを示す:=(CT(標的、未処置)−CT(基準、未処置))−(CT(標的、処置済)−CT(基準、処置済))。図9Aは、対照(PBS及び非複合型siRNA)と比較して、p97−siRNA複合体で処置されたマウスの脳組織において、NOX4 mRNAが有意に下方制御されていることを示す。図9Bは、非複合型siRNAと比較した、p97−siRNA複合体で処置されたマウスの脳組織における、内因性NOX4発現の減少率を示す。図9Cは、非複合型siRNAと比較した、p97−siRNA複合体で処置されたマウスの脳組織における、NOX4発現の減少倍率(約1.8倍)を示す。
【0183】
これらのデータは、siRNA(NOX4遺伝子に対する)のp97ペプチドへの複合体化が、脳実質組織へのBBBを越える輸送をより促進できたことを示す。また、RT−PCRによる、NOX4遺伝子に対して特異的なmRNAの定量化によって、非複合型siRNAと比較して、p97−siRNA複合体による治療後にはNOX4の発現がより低下することが実証された。
【0184】
実施例2
虚血誘導卒中マウスモデルへのp97−siRNA複合体の効果
実施例1のNOX4遺伝子標的化p97−siRNA複合体を、中大脳動脈閉塞のマウスモデルにおいて、神経保護を提供するそれらの能力について試験した(例えば、Chang et al.,J Vis Exp.2761:2011、Althenhoefer et al.,Cell.Mol.Life Sci.69:2327−2343,2012、及びKleinschnitz et al.,PLoS Biol.8(9):e1000479,2010を参照)。
【0185】
C57/Bl6マウスを、PBS、または30mg/kgの、siRNA単独もしくはp97−siRNAのいずれかで、静脈内(IV)注射を介して3回前処置した(各注射間で1時間の間隔)。最後の注射の約1時間後に、以下のようにして、動物を、MCAOを介して卒中に供した。外頸動脈及び内頚動脈(それぞれ、ECA及びICA)を切り分け、分離して、総頚動脈(CCA)を結紮した。歯科用シリコーンでコーティングされた11cmの8−0ナイロン糸を、CCAの分岐点に向けて、ECAの小孔に挿入した。この糸をICA内に徐々に導入し、ECAの小孔から突出しているのが1mmだけになるまで送り込んだ。この糸は、ウィリス動脈輪内に入り、中大脳動脈の開口部を閉塞し、いかなる血液の通過も許さない。この糸をそのまま定位置で1時間放置し、その後取り除き、CCAの結紮を取り除き、冒された脳領域を再灌流させた。再灌流の24時間後にマウスを屠殺し、試料分析のために脳を切り分け、取り除いた。
【0186】
梗塞容積分析.1時間のMCA閉塞の24時間後の虚血性損傷を測定するために、安楽死させた動物から脳を取り除き、大脳を厚さ2mmの冠状スライス5枚に切り分け、これらを2%の2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)で染色した。これらの脳のスライスを、虚血性の半球と反対側の半球とに分離するように、半分に切断した。虚血性及び反対側の脳のスライスを、2%のTTC溶液を含む別々のバイアルに写し、37℃で60分間染色を継続した。10〜15分間の室温での染色後に、HPスキャナを用いて、脳スライスの画像を得た。
【0187】
TTC染色が完了したら、梗塞サイズを比染色法で測定した。簡潔に述べれば、組織を食塩水ですすぎ、続いてエタノール/ジメチルスルホキシドの混合物(1:1)に曝露して、ホルマザン生成物を可溶化した。暗中24時間のインキュベーション後、赤色の溶媒抽出物を、3本のガラス管中で、新しいエタノール/ジメチルスルホキシド(1:1)溶媒を用いて1:20に希釈し、その後キュベットに移した。
【0188】
分光光度計で、485nmの吸光度を測定し、値を平均した。脳の虚血性側における脳TTC染色の損失割合を、以下の等式を用いて、同じ動物の脳の反対側と比較した。
損失%=100×(1−虚血性半球の吸光度/反対側の半球の吸光度)
【0189】
擬似群(MCAO無し)の脳では梗塞組織は観察されず、PBS及びsiRNAで処置された、卒中を起こした動物(MCAO)は、擬似群と比較して、広い梗塞領域を呈した。しかしながら、図10に示されるように、p97−siRNA複合体(MTfp−siRNA)で処置された動物は、PBS及びsiRNA単独の群と比較して、有意に小さい梗塞領域しか有さなかった。したがって、NOX4に対して標的化されたp97−siRNA複合体による前処置は、脳内の梗塞領域を有意に低減することによって、MCAO誘導卒中のこのマウスモデルにおいて神経保護を提供した。
【0190】
神経学的評価.マウスの処置について知らされていない人物によって、再灌流の0時間後及び24時間後に、行動評価が実行された。
神経障害は、以下のようにスコア化した。
・正常
・尾を持ち上げられた際、一貫しないひねりを伴うあるいは伴わない軽度の旋回行動、反対側へひねろうとする試みが50%未満
・軽度の、一貫したひねり、反対側へひねろうとする試みが50%超
・強く即時的な一貫したひねり、マウスはひねった姿勢を1〜2秒より長く保持し、マウスの鼻がほぼ尾についている
・突進まで進行した重度のひねり、歩行または正向反射の喪失、及び
・昏睡または瀕死。
【0191】
図11に示されるように、MTfp−siRNA複合体による前処置は、PBSまたはsiRNA単独による前処置と比較して、卒中誘導後0.5時間の動物における神経障害を改善した。
【0192】
NOX4 mRNA発現.リアルタイムPCRを、前処置及びMCAOによる卒中誘導後のNOX4のmRNAレベルを分析するために実行した。図12Aは、MTfp−siRNAによる前処置によって、PBSまたはsiRNA単独と比較して、脳の卒中誘導部分におけるNox4の誘導がより低くなったことを示す。Ct(サイクル閾値;ΔCt=Ct(nox4、PBS−擬似)−Ct(B−アクチン、PBS−擬似)は、蛍光シグナルが閾値を越える/バックグラウンドレベルを上回るために必要なサイクルの数を表し、試料中の標的核酸の量に対して反比例する(すなわち、Ctレベルが低ければ低いほど、試料中の標的核酸の量は多い)。
【0193】
図12Bは、MTfp−siRNAによる前処置によって、PBSまたはsiRNA単独と比較して、卒中が誘導された脳におけるNox4 mRNAの発現が低減されたことを示す。これらの結果を、ΔΔCT法(ΔΔCt=(CT(Nox4、PBS−擬似)−CT(B−アクチン、PBS−擬似))−(CT(Nox4、MTfp−siRNA−卒中)−CT(B−アクチン、MTfp−siRNA−卒中))を用いて分析した。
【0194】
要約すれば、p97(MTfp)は、siRNA(NOX4遺伝子を標的とする)の、脳へのBBBを越える輸送を促進した。また、MTfp−siRNAによる前処置は、MCAOを介した虚血誘導の24時間後の梗塞容積を有意に低減した。より小さい梗塞領域は、卒中の誘導前にMTfp−siRNAを注射されたマウスの、より良好な神経学的スコアと相関関係にあった。具体的には、MTfp−siRNAによる前処置は、PBSまたはsiRNA単独による前処置と比較して、卒中誘導後0.5時間及び24時間のマウスにおける神経障害を改善した。MTfp−siRNAの前処置はまた、卒中が誘導された脳(左脳)において、PBSまたはsiRNA単独の対照と比較して、mRNAレベルでNox4の発現を低減させた。
【0195】
したがって、これらのデータは、そのsiRNAを、MTfp等のp97ポリペプチドへの複合体化後に、治療用量で脳へと送達できることを示す。
【図1A-D】
【図1E-H】
【図1I-L】
【図2】
【図3】
【図4A-B】
【図4C-D】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【配列表】
2017518043000001.app
【国際調査報告】