(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2017527260
(43)【公表日】20170921
(54)【発明の名称】TLR−4特異的アプタマーおよびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/115 20100101AFI20170825BHJP
   C12Q 1/68 20060101ALI20170825BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170825BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20170825BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20170825BHJP
   A61K 49/06 20060101ALI20170825BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20170825BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20170825BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20170825BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20170825BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20170825BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20170825BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20170825BHJP
   A61P 25/36 20060101ALI20170825BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20170825BHJP
【FI】
   !C12N15/00 HZNA
   !C12Q1/68 A
   !A61P43/00 111
   !A61K31/711
   !A61K51/04 310
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   !A61K49/06
   !A61P9/00
   !A61P9/10
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   !A61P9/10 101
   !A61P25/00
   !A61P19/02
   !A61P29/00 101
   !A61P27/02
   !A61P25/36
   !A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】50
(21)【出願番号】2016575345
(86)(22)【出願日】20150624
(85)【翻訳文提出日】20170116
(86)【国際出願番号】EP2015064277
(87)【国際公開番号】WO2015197706
(87)【国際公開日】20151230
(31)【優先権主張番号】P201430955.
(32)【優先日】20140624
(33)【優先権主張国】ES
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516384346
【氏名又は名称】アプタス バイオテック,エス.エル.
【住所又は居所】スペイン国 イ−28049 マドリッド、7、ファラデイ、キャンパス・デ・カントブランコ
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】リザソアイン ヘルナンデス,イグナシオ
【住所又は居所】スペイン国 イ−28007 マドリッド、5−9オーシー、コンデ・デ・カルタゲナ
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス ムノス,ビクトル マヌエル
【住所又は居所】スペイン国 イ−28490 ベセリル・デ・ラ・シエラ−マドリッド、62、ペナ・マルコス
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス ゴメス−チャコン,ジェロニモ
【住所又は居所】スペイン国 イ−28049 マドリッド、キャンパス・カントブランコ、7、ファラデイ
(72)【発明者】
【氏名】モロ サンチェス,マリア エンジェル
【住所又は居所】スペイン国 イ−28007 マドリッド、5−9オーシー、コンデ・デ・カルタゲナ
(72)【発明者】
【氏名】マーチン パルマ,マ エレナ
【住所又は居所】スペイン国 イ−28770 コルメナル・ビエホ、5−2オーデー、プラザ・デ・ラス・アメリカ
(72)【発明者】
【氏名】モラガ イエベネ,アナ
【住所又は居所】スペイン国 イ−13700 トメロッソ−シウダード・レアル、42−3オーエイチ、フランシスコ・ガルシア・パボン
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4B063QA18
4B063QQ02
4B063QQ79
4B063QR32
4B063QS32
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(57)【要約】
本発明はTLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有する核酸アプタマー、前記アプタマーと官能基を含む複合体、ならびにその医薬組成物に関する。本発明はTLR−4を検出するための利用とそのための方法およびTLR−4を阻害するための利用とそのための方法にも関する。最後に、本発明はTLR4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態の治療用の薬品の製造に使用されるアプタマーにも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマー。
【請求項2】
前記配列が配列番号3および配列番号4からなる群より選択される、請求項1に記載のアプタマー。
【請求項3】
前記核酸がDNAである、請求項1または2に記載のアプタマー。
【請求項4】
前記TLR−4がヒトTLR−4である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアプタマー。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のアプタマーと官能基を含む複合体。
【請求項6】
前記官能基が検出可能試薬、薬品およびナノ粒子からなる群より選択される、請求項5に記載の複合体。
【請求項7】
前記官能基が検出可能試薬である、請求項6に記載の複合体。
【請求項8】
前記官能基が薬品である、請求項6に記載の複合体。
【請求項9】
前記官能基がナノ粒子である、請求項6に記載の複合体。
【請求項10】
前記ナノ粒子が金属ナノ粒子である、請求項9に記載の複合体。
【請求項11】
前記金属ナノ粒子が磁性メソ多孔性シリカナノ粒子である、請求項10に記載の複合体。
【請求項12】
TLR−4を検出するための請求項1〜4のいずれか一項に記載のアプタマーまたは請求項5〜11のいずれか一項に記載の複合体のインビトロ使用。
【請求項13】
ELONA、アプタサイトケミストリー、アプタヒストケミストリーおよびフローサイトメトリーからなる群より選択される方法によってTLR−4の検出が実施される、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
TLR−4を阻害するための請求項1〜4のいずれか一項に記載のアプタマーまたは請求項5〜11のいずれか一項に記載の複合体のインビトロ使用。
【請求項15】
試料中のTLR−4を検出するためのインビトロ方法であって、
(i)前記試料を請求項1〜4のいずれか一項に記載のアプタマーまたは請求項5〜11のいずれか一項に記載の複合体と接触させること、および
(ii)TLR−4に結合していない前記アプタマーまたは複合体を分離すること、
(iii)前記試料中に存在する前記TLR−4に結合している前記アプタマーまたは複合体の存在を検出すること
を含む前記インビトロ方法。
【請求項16】
蛍光によって検出が実施される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
試料中のTLR−4を阻害するためのインビトロ方法であって、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアプタマーまたは請求項5〜11のいずれか一項に記載の複合体とTLR−4を含む試料をTLR−4の阻害に適切な条件で接触させることを含む前記インビトロ方法。
【請求項18】
前記試料が対象に由来する生体試料である、請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象がヒトである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
TLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態の治療に使用される請求項1〜4のいずれか一項に記載のアプタマーまたは請求項5〜11のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項21】
TLR−4の発現上昇および/または活性化亢進を特徴とする前記病的状態が脳卒中、急性心筋梗塞、敗血症、アテローム性硬化症、多発性硬化症、リウマチ性関節炎、網膜変性疾患、および薬物中毒からなる群より選択される、請求項20に記載の用途のためのアプタマーまたは複合体。
【請求項22】
TLR−4の発現上昇および/または活性化亢進を特徴とする前記病的状態が脳卒中である、請求項21に記載の用途のためのアプタマーまたは複合体。
【請求項23】
TLR−4の発現上昇および/または活性化亢進を特徴とする前記病的状態が加齢黄斑変性、シュタルガルト病、網膜色素変性症、コロイデレミア、レーバー先天性黒内障、若年性網膜分離症、アッシャー病、およびバルデー・ビードル症からなる群より選択される網膜変性疾患である、請求項21に記載の用途のためのアプタマーまたは複合体。
【請求項24】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の少なくも1種類のアプタマーまたは請求項5〜11のいずれか一項に記載の少なくも1種類の複合体を含み、所望により1種類以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または溶媒を組み合わせて含んでよい医薬組成物。
【請求項25】
前記複合体中の前記官能基がTLR4を発現する細胞、組織、または器官の生体イメージングのための検出可能部分である、請求項5〜11のいずれか一項に記載の複合体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はTLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有する核酸アプタマーおよびそれらの核酸アプタマーの用途を提供する。
【背景技術】
【0002】
現在では中枢神経系(CNS)は非常によく組織化されている自然免疫応答によって細菌感染症および脳損傷に対応することがわかっている。自然免疫系は非常によく保存された分子パターンを特にトール様受容体(TLR)を介して認識することができる。
【0003】
TLR4は哺乳類動物において特性解析された最初のTLRであった。グラム陰性細菌のリポ多糖(LPS)、グラム陽性細菌のリポタイコ酸(LTA)、または呼吸器合胞体ウイルスのプロテインFなどの外因性リガンドがこのTLRについて説明されている。さらに、最も重要な内在性リガンドはHMBG1、内在性由来またはクラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)由来のHSP−60、HPS−70、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、ヒアルロン酸等であり、それらの全てが組織損傷、細胞損傷および/または宿主の血管に由来する。TLR4は非常に多くの広く蔓延した病的状態、特に脳卒中または脳血管性疾患、急性心筋梗塞、敗血症、アテローム性硬化症、多発性硬化症、リウマチ性関節炎、網膜変性疾患、および薬物中毒等に関係する。
【0004】
複数の病的状態における自然免疫の関与、およびとりわけTLRの関与がこれらの受容体のアゴニストとアンタゴニストの開発への関心の高まりに拍車を掛けている。したがって、癌、アレルギー疾患、感染症の有望な治療のため、およびワクチンコアジュバントとしてアゴニストが開発された。加えて、TLRアンタゴニストが敗血症、アテローム性硬化症、慢性疼痛および大腸炎に関して研究されているところであり、実際に幾つかのアンタゴニスト、すなわちエリトラン(第III相)、イブジラスト(Av411;第II相)およびNI−0101抗体(前臨床相)が存在し、それらはこれらの病的状態に関して研究されているところである。
【0005】
特許文献国際公開第2006/138681号パンフレットはTLR−4阻害剤の投与による肝臓内活性化T細胞消去の阻害方法について記載しており、その中でTLR−4特異的アプタマーが言及されている。
【0006】
Rogerその他(Rogerら著、2009年、Proc Natl Acad Sci USA誌、第106巻:2348〜52頁)はTLR4の細胞外ドメインに特異的な抗体について記載している。これらの抗体はマウスにおいてグラム陰性細菌の致死的敗血症に対する防護を提供する。これらの抗TLR4抗体がエンドトキシンへの曝露から4時間後および大腸菌に起因する感染症の発症から13時間後までに投与されるとその処置が有効であることを考慮するとそれらの抗体の治療上の有用性も示唆される。
【0007】
したがって、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、治療薬として有用である新規の分子の必要性が当技術分野に存在する。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様では本発明は、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーに関する。
【0009】
別の態様では本発明は本発明のアプタマーと官能基を含む複合体に関する。
【0010】
別の態様では本発明はTLR−4を検出するための本発明のアプタマーの使用または本発明の複合体の使用に関する。
【0011】
別の態様では本発明はTLR−4を阻害するための本発明のアプタマーのインビトロ使用または本発明の複合体のインビトロ使用に関する。
【0012】
別の態様では本発明は試料中のTLR−4を検出するためのインビトロ方法であって、
(i)前記試料を本発明によるアプタマー、または本発明による複合体と接触させること、
(ii)TLR−4に結合していない前記アプタマーまたは複合体を分離すること、および
(iii)前記試料中に存在する前記TLR−4に結合している前記アプタマーまたは複合体の存在を検出すること
を含む前記インビトロ方法に関する。
【0013】
別の態様では本発明は、試料中のTLR−4を阻害するためのインビトロ方法であって、本発明によるアプタマーまたは本発明による複合体とTLR−4を含む試料をTLR−4の阻害に適切な条件で接触させることを含む前記インビトロ方法に関する。
【0014】
別の態様では本発明はTLR4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態の治療に使用される本発明のアプタマーに関する。
【0015】
別の態様では本発明は、本発明による少なくとも1種類のアプタマーまたは本発明による少なくとも1種類の複合体を含み、所望により1種類以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または溶媒を組み合わせて含んでよい医薬組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ELONAにより選択されたアプタマーによるTLR−4タンパク質の認識を示す図である。ヒト組換えTLR−4タンパク質(6×HIS−TLR−4)を96ウェルマイクロタイタープレートの中に100ng/ウェルの濃度で培養し、そして4℃で16時間にわたって定温放置した。その後、ジゴキシゲニンで標識されたアプタマーの各々を20pmolずつ各ウェルに添加し、そしてそのプレートを37℃で1時間にわたって定温放置した。最終的にそのプレートをペルオキシダーゼ結合抗ジゴキシゲニン抗体と共に定温放置し、そしてABTSを使用して現像した。抗Li H2A DNAアプタマー(Martinら著、2013年、PLoS ONE誌、第8巻:e78886頁)を陽性対照として使用した。全ての実験を三連で実施した。
【0017】
【図2】mFoldプログラムを使用して予測されたTLRApt#1Rアプタマー(配列番号3)およびTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)の二次構造を示す図である。予測されるG四重鎖構造体の一部である可能性があるグアニンがQGRSマッパープログラムにより囲みの中に示されている。
【0018】
【図3】組換えhTLR−4タンパク質(A)および細胞内で発現したTLR−4タンパク質(B)に対するTLRApt#1Rアプタマー(配列番号3)およびTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)の結合を示す図である。全ての実験を三連で行った。
【0019】
【図4】HEK−Blue hTLR4細胞に対するTLRApt#1Rアプタマー(配列番号3)およびTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)および対照としてのLPS−RS−UPアンタゴニスト(2ng/μl;20ng)のアンタゴニスト効果を示す図である。終濃度が0.2nM、2nM、20nMおよび200nMのアプタマー、またはLPS−RS−UPアンタゴニスト対照(2ng/μl;20ng)を適用した。LPS−EK−UPアゴニスト(0.02ng/μl)(A)またはHEK293細胞溶解物(損傷関連分子パターン;DAMP)(B)をアゴニスト対照として使用し、24時間後にQUANTI−Blue(商標)基質を使用して630nmで分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)活性を測定した。対照細胞と比較したSEAP活性のパーセンテージとしてデータが表されている。全ての実験を三連で行った。7〜9組の異なる実験の平均が図に示されている。統計学的有意性(P<0.05、**P<0.01および***P<0.001)。
【0020】
【図5】500ng/mlのLPSの存在下で刺激されたマクロファージに対するTLRApt#4F−Tアプタマー(配列番号2)およびTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)の効果を示す図である。アプタマー中毒の24時間目にグリース反応によって亜硝酸塩放出を試験した。試料を二連でアッセイした。一元配置ANOVAとそれに続くボンフェローニ検定によって差を分析した。その結果は二連で試験された3回の実験の平均である。統計学的有意性(***P<0.001)。凡例:38x(AG)は配列番号7の配列のオリゴヌクレオチドであり、それはどんな二次構造も採ることができない非特異的配列である;Inh:ヒスパノロン誘導体化合物11(Gironら著、2008年、Toxicol Appl Pharmacol誌、第228巻:179〜89頁)。
【0021】
【図6】mFoldプログラムを使用して予測されたTLRApt#1R−Tアプタマー(配列番号1)およびTLRApt#4F−Tアプタマー(配列番号2)の二次構造を示す図である。予測されるG四重鎖構造体の一部である可能性があるグアニンがQGRSマッパープログラムにより囲みの中に示されている。
【0022】
【図7】実験で使用された動物中の梗塞領域の減少における1nmolのTLRApt#1R−Tアプタマー(配列番号1)、TLRApt#4F−Tアプタマー(配列番号2)およびTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)または38x(AG)(配列番号7)またはベヒクル(PBS+1mM Mg2+)の腹膜内注射の効果を示す図である。成体のオスマウスC57BL/10ScSn(WT;正常)およびC57BL/10ScNJ(KO、機能的TLR4を欠く)を、結紮を用いた中大脳動脈の閉塞による局所脳虚血誘導の対象とした。MCAOから24時間後、イソフルランを用いてそれらのマウスを麻酔し、梗塞のサイズをMRIにより評価した。4.7Tで作動するBIOSPEC BMT 47/40(Bruker−Medical社、エットリンゲン、ドイツ;MRIユニット、Instituto Pluridisciplinar、UCM)の中でT2強調画像(T2WI)が取得されており、Image J 1.41(NIH、ベセスダ、ワシントン)によって損傷領域を定量する。統計学的有意性(P<0.05)。凡例:1RT、TLRApt#1R−T;4FT、TLRApt#4F−T;4F、TLRApt#4F。
【0023】
【図8】用量応答曲線。実験で使用された動物中の梗塞領域の減少における様々な量のTLRApt#4F−Tアプタマー(配列番号2)およびTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)、またはベヒクル(PBS+1mM Mg2+)の腹膜内注射の効果を示す図である。成体のオスマウスC57BL/10ScSn(WT;正常)を、結紮を用いた中大脳動脈の閉塞による局所脳虚血誘導の対象とした。MCAOから24時間後、イソフルランを用いてそれらのマウスを麻酔し、梗塞のサイズをMRIにより評価した。4.7Tで作動するBIOSPEC BMT 47/40(Bruker−Medical社、エットリンゲン、ドイツ;MRIユニット、Instituto Pluridisciplinar、UCM)の中でT2強調画像(T2WI)が取得されており、Image J 1.41(NIH、ベセスダ、ワシントン)によって損傷領域を定量する。統計学的有意性(P<0.05)。
【0024】
【図9-1】フローサイトメトリーアッセイを示す図である。(A)ヒトHEK293細胞株(左のパネル)および293−hTLR4A細胞株(右のパネル)を20nMのAlexa fluor488標識アプタマーと共に室温で30分間にわたって定温放置した。それらの細胞を2mlのPBSで洗浄し、分析のために1mLのPBSに再懸濁した。それぞれの図の中で縦座標はイベントの頻度(または細胞数)を表し、一方で横座標は蛍光強度(FL1)を表す。黒色の領域は自家蛍光を表し、黒色の線はTLRApt#1R−Tアプタマー(配列番号31)を表し、灰色の線はTLRApt#4F−Tアプタマー(配列番号42)を表す。(B)LPS−EK−UPを用いてヒト293−hTLR4A細胞株を活性化し、その後で20nMのAlexa Fluor488標識アプタマーと共に室温で30分間にわたって定温放置する。それらの細胞を2mlのPBSで洗浄し、分析のために1mLのPBSに再懸濁する。それぞれの図の中で縦座標はイベントの頻度(または細胞数)を表し、一方で横座標は蛍光強度(FL1)を表す。黒色の領域は自家蛍光を表し、黒色の線はTLRApt#1R−Tアプタマー(配列番号31)を表し、灰色の線はTLRApt#4F−Tアプタマー(配列番号42)を表す。
【図9-2】同上。
【0025】
【図10】インビトロでのアプタマーの半減期の分析を示す図である。300ngのフォールディングされたアプタマーを2単位のλエキソヌクレアーゼまたはDNAse Iと37℃で幾つかの期間にわたって定温放置した。その後、試料を3%アガロースゲル上で分離し、バンドをGelRedによって可視化し、Image Studio Digits V3.1ソフトウェアを使用してそれらを定量した。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の著者らは、配列に起因してある特定のpH、温度および生理食塩水濃度の条件で三次元構造を採ることができ、それによってTLR−4タンパク質を特異的に認識し、その活性を調節する能力が与えられる2種類の分子を選択し、それらの特性を解析した。これらの分子はTLR−4受容体が介在する細胞応答をインビボで抑制することができ、且つ、虚血性脳卒中の動物モデルにおいて脳梗塞のサイズを減少させることができ、これらより潜在的な治療上の役割がそれらの分子に与えられる。
TLR−4特異的アプタマー
【0027】
第1の態様では本発明は、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1(CCGGCACGGGACAAGGCGCGGGACGGCGTAGATCAGGTCGACACC)および配列番号2(GGTGTGCCAATAAACCATATCGCCGCGTTAGCATGTACTCGGTTGGCCCTAAATACGAG)からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える、これ以降「本発明のアプタマー」と呼ばれる核酸アプタマーに関する。
【0028】
「アプタマー」という用語は、本発明の文脈において、従来のワトソン・クリック塩基対合以外の相互作用を介してモノクローナル抗体のものに匹敵する高い特異性および親和性で分子標的に結合することを可能にする特定の三次構造を採る一本鎖核酸鎖を指す。
【0029】
「核酸」という用語は、本発明の文脈において、DNAおよびRNAなどのあらゆる種類の核酸、およびペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)などのその変異体を指し、同様にそれらの組合せ物、修飾ヌクレオチドをはじめとしたそれらの修飾体等を指す。「核酸」および「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」という用語は本明細書の文脈において互換的に使用される。核酸は天然起源から精製される場合、組換え発現系を使用して作製され、そして所望により精製される場合、化学合成される場合等が有り得る。適切である場合、例えば、化学合成分子の場合ではそれらの核酸は、化学修飾型の塩基または糖、骨格改変体等を有する類似体のようなヌクレオシド類似体を含むことがあり得る。核酸配列は別段の指示が無い限り5’から3’への方向で表される。
【0030】
「TLR−4」という用語は、本発明の文脈において、膜受容体トール様受容体4を指す。TLR−4受容体はARMD10、CD284、TLR4またはhTOLLと呼ばれることもあり得る。ヒトではTLR−4受容体は2014年5月27日に受託番号O00206.2でGenBankに登録された。それはTLR4遺伝子によってコードされている。その受容体は839アミノ酸から構成されており、そのうちの残基1〜23がシグナル配列を構成し、残基24〜631が細胞外ドメインを構成し、残基632〜652が経膜ドメインを構成し、そして残基653〜839が細胞質ドメインを構成する。
【0031】
特定の実施形態では本アプタマーはTLR−4の細胞外ドメイン(アミノ酸24〜631)に特異的に結合することができる。
【0032】
本発明は配列番号1(CCGGCACGGGACAAGGCGCGGGACGGCGTAGATCAGGTCGACACC)および配列番号2(GGTGTGCCAATAAACCATATCGCCGCGTTAGCATGTACTCGGTTGGCCCTAAATACGAG)からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備えるアプタマーを企図している。
【0033】
本発明は、DNAおよびRNAなどの核酸、ならびに修飾型核酸骨格、置換結合、修飾ヌクレオチド、およびリボース類似体またはデオキシリボース類似体、修飾ヌクレオチド等を含むがこれらに限定されない核酸変異体および核酸類似体およびそれらの組合せ物、それらの修飾体から構成される本発明のアプタマーであって、配列番号1または配列番号2の配列のアプタマーのTLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%のTLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有する前記本発明のアプタマーも企図している。核酸変異体および核酸類似体の非限定的な例にはPNA、LNAおよびTNAが挙げられるがこれらに限定されない。
【0034】
「核酸変異体」または「核酸類似体」という用語は、本発明の文脈において、修飾型核酸骨格、置換結合、修飾ヌクレオチド、およびリボース類似体またはデオキシリボース類似体を含むがこれらに限定されない核酸変異体および核酸類似体を指す。例えば、本発明による核酸変異体は典型的なホスホジエステル骨格の類似合成骨格を有する構造を含み得る。これらにはホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホロアミデート、アルキルホスホトリエステル、スルファメート、3’−チオアセタール、メチレン(メチルイミノ)、3’−N−カルバメート、モルホリンカルバメートおよびペプチド核酸(PNA)、メチルホスホネート結合、または交互に入れ替わるメチルホスホネートおよびホスホジエステルおよびベンジルホスホネートが含まれるがこれらに限定されない。
【0035】
核酸変異体は当技術分野において一般的に理解されているように1つ以上の「置換」結合を含むこともあり得る。これらの置換結合のうちの幾つかは無極性であり、膜を透過して拡散する能力を本アプタマーに与えることに寄与する。これらの「置換」結合は本明細書においてホスホロチオエートまたはホスホロアミデートなどの従来的な代替結合として規定され、一般的に利用可能な文献に記載されるように合成される。代替的結合基には、R’がH(または塩)であるか、または1〜12個の炭素原子のアルキル基であり、且つ、Rが1〜9個の炭素原子のアルキル基である式P(O)S、(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、P(O)NR’、P(O)R’、P(O)OR、CO、またはCONR’といった部分が−S−または−O−を介して隣接するヌクレオチドに結合する実施形態が非限定的に含まれる。ジチオエート結合は米国特許出願公開第248517号明細書に記載されている。本発明は、米国特許出願公開第690786号明細書および第763130号明細書に記載される3’−チオホルムアセタール、(−S−CH−O−)、ホルムアセタール(−O−CH−O−)および3’−アミンヌクレオチド間結合(−NH−CH−CH−)などのリンに基づかないヌクレオチド間結合を含む置換結合の使用も企図している。TLR−4への結合をさらに容易にする目的のために、またはヌクレアーゼに対する本アプタマーの安定性を向上させるために、ならびに透過能を提供するために本発明のアプタマーの中に1つ以上の置換結合を使用することができる。同じアプタマー内の全ての結合が同一である必要は無く、したがって本発明は全て同一の結合を有するアプタマー、ならびにそれらの結合の組成に変化があるアプタマーを企図している。
【0036】
同様に、本発明による核酸変異体は、2’−O−メチル−リボース、2’−フルオロ−リボースまたは2’−アジド−リボースなどの2’位で置換された糖、糖の炭素環式類似体、αアノマー糖、アラビノース、キシロースまたはリキソースなどのエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖およびセドヘプツロース類を含むがこれらに限定されない当技術分野においてよく知られているリボース類似体またはデオキシリボース類似体を含むこともあり得る。それらの核酸はトレオース核酸(TNA、α−トレオフラノシルオリゴヌクレオチドとも呼ばれる)を含むこともあり得る(例えば、Schongら著、Science誌、2000年11月17日、第290巻(第5495号):1347〜1351頁を参照されたい)。とりわけ、フラノース残基の2’位での置換はヌクレアーゼ安定性の改善に関して特に重要である。
【0037】
「ヌクレオチド」という用語は、本発明の文脈において、核酸を構成する単量体を指す。それらのヌクレオチドはペントース、窒素塩基、およびリン酸基によって形成され、ホスホジエステル結合によって連結される。DNAおよびRNAの一部分であるヌクレオチドはペントースに関して異なっており、このペントースはそれぞれデオキシリボースおよびリボースである。翻って窒素塩基は、アデニン(A)およびグアニン(G)であるプリン窒素塩基、ならびにチミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)であるピリミジン窒素塩基に分けられる。チミンはDNAだけに現れ、一方でウラシルはRNAだけに現れる。本発明は本発明のアプタマーにおける修飾ヌクレオチドの使用を企図している。「修飾ヌクレオチド」という用語は、本発明の文脈において、類似の結合特性または改善された結合特性を有する公知の天然ヌクレオチド類似体を指す。プリンおよびピリミジンの類似体は当技術分野においてよく知られており、それらにはアジリジニルシトシン、4−アセチルシトシン、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、イノシン、N−イソペンテニルアデニン、1−メチルアデニン、1−メチルシュードウラシル、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N−メチルアデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルケオシン、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N−6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、シュードウラシル、ケオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸、および2,6−ジアミノプリンが含まれるがこれらに限定されない。前述の修飾ヌクレオチドに加え、プリンまたはピリミジンを欠いているヌクレオチド残基も本発明に含まれ得る。
【0038】
前述の変異体に加え、本発明の中に含まれる核酸変異体にはPNA、LNAおよび5’−5’鎖または3’−3’鎖も含まれる。「ペプチド核酸」または「PNA」という用語は、本発明の文脈において、ペプチド結合によって連結されているN−(2−アミノエチル)グリシンの反復単位から骨格が構成されており、メチレン結合(−CH−)およびカルボニル基(−(C=O)−)によって様々な窒素塩基が主鎖に結合しているオリゴヌクレオチドを指す。「ロックド核酸」または「LNA」という用語は、本発明の文脈において、2’位の酸素を4’位の炭素と連結する追加の結合によってリボース部分が修飾されており、そのリボースを3’エンド立体配置にロックしている修飾型RNAヌクレオチドを指す。「5’−5’鎖」または「3’−3’鎖」という用語は、本発明の文脈において、それぞれ3’末端または5’末端のヌクレオチドが反転しているオリゴヌクレオチドを指す。
【0039】
本明細書において使用される場合、「機能的に同等の変異体」という用語は、配列番号1または配列番号2と実質的に同等の配列を有し、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を保持しているアプタマーを指す。本発明のアプタマーの機能的に同等の変異体は配列番号1または配列番号2に由来し、1つ以上のヌクレオチドの付加、置換、または修飾を含む核酸配列であり得る。例として、本発明のアプタマーの機能的に同等の変異体には配列番号1または配列番号2の配列の5’末端に1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、10ヌクレオチド、15ヌクレオチド、20ヌクレオチド、25ヌクレオチド、30ヌクレオチド、35ヌクレオチド、40ヌクレオチド、45ヌクレオチド、50ヌクレオチド、60ヌクレオチド、70ヌクレオチド、80ヌクレオチド、90ヌクレオチド、100ヌクレオチド、150ヌクレオチド、200ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも1000ヌクレオチド、またはそれより多くのヌクレオチドの付加を含み、および/または、配列番号1または配列番号2の配列の3’末端に1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、10ヌクレオチド、15ヌクレオチド、20ヌクレオチド、25ヌクレオチド、30ヌクレオチド、35ヌクレオチド、40ヌクレオチド、45ヌクレオチド、50ヌクレオチド、60ヌクレオチド、70ヌクレオチド、80ヌクレオチド、90ヌクレオチド、100ヌクレオチド、150ヌクレオチド、200ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも1000ヌクレオチド、またはそれより多くのヌクレオチドの付加を含み、且つ、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する前記能力の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%のTLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を保持している配列が含まれる。
【0040】
本発明には配列番号1または配列番号2の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有しているヌクレオチド配列を備え、且つ、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する前記能力の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%のTLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を保持しているアプタマーも含まれる。
【0041】
2つ以上の核酸の文脈における「同一性」、「同一である」または「パーセント同一性」という用語は、配列同一性の一部としてどんな保存的アミノ酸置換も考慮せずに最大の一致度が得られるように(必要であればギャップを導入して)比較し、整列させたときに同一である2つ以上の配列または部分配列、または特定のパーセンテージの同一であるヌクレオチドまたはアミノ酸残基を有する2つ以上の配列または部分配列に当てはまる。パーセント同一性は、配列比較ソフトウェアまたは配列比較アルゴリズムを使用して、または目視検査により測定され得る。アミノ酸配列またはヌクレオチド配列のアラインメントを得るために使用され得る様々なアルゴリズムおよびソフトウェアが当技術分野において知られている。配列整列アルゴリズムの1つのそのような非限定的な例は、Karlinら著、1993年、Proc. Natl. Acad. Sci.誌、第90巻:5873〜7頁において改変され、且つ、NBLASTプログラムとXBLASTプログラム(Altschulら著、1991年、Nucleic Acids Res.誌、第25巻:3389〜402頁)に組み込まれているKarlinら著、1990年、Proc. Natl. Acad. Sci.誌、第87巻:2264〜8頁に記載されるアルゴリズムである。ある特定の実施形態ではAltschulら著、1997年、Nucleic Acids Res.誌、第25巻:3389〜402頁に記載されるようにGapped BLASTを使用することができる。BLAST−2、WU−BLAST−2(Altschulら著、1996年、Methods in Enzymology誌、第266巻:460〜80頁)、ALIGN、ALIGN−2(Genentech社、サウス・サンフランシスコ、カリフォルニア州)またはMegalign(DNASTAR)は、配列を整列させるために使用され得る追加の公開ソフトウェアプログラムである。ある特定の実施形態では2つのヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェア内のGAPプログラムを使用して(例えば、NWSgapdna.CMPマトリックスおよび40、50、60、70、または90のギャップウェイトおよび1、2、3、4、5、または6のレングスウェイトを使用して)決定される。ある特定の代替的実施形態では2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性を(例えば、Blossum 62マトリックスまたはPAM250マトリックスのどちらか、および16、14、12、10、8、6、または4のギャップウェイトおよび1、2、3、4、5のレングスウェイトを使用して)決定するためにNeedlemanとWunschのアルゴリズム(J. Mol. Biol.誌、第48巻:444〜53頁(1970頁))を組み込んでいるGCGソフトウェアパッケージ内のGAPプログラムが使用され得る。あるいは、ある特定の実施形態ではヌクレオチド配列またはアミノ酸配列間のパーセント同一性は、MyersとMillerのアルゴリズム(CABIOS誌、第4巻:11〜7頁(1989年))を使用して決定される。例えば、そのパーセント同一性は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)を使用し、且つ、残基表を含むPAM120、12のギャップレングスペナルティおよび4のギャップペナルティを使用して決定され得る。当業者は特定のアラインメントソフトウェアによる最高度のアラインメント向けの適切なパラメーターを決定することができる。ある特定の実施形態ではアラインメントソフトウェアの初期パラメーターが使用される。ある特定の実施形態では第1アミノ酸配列の第2配列アミノ酸に対するパーセンテージ同一性「X」は100×(Y/Z)として算出され、その式ではYは(目視検査または特定の配列整列プログラムによって整列させたときの)第1配列と第2配列のアラインメントの中で完全な一致として採点されたアミノ酸残基の数であり、Zは第2配列内の残基の総数である。第2配列が第1配列よりも長い場合、パーセント同一性は前記第1配列と第2配列の間の重複領域でのみ決定されてよい。この場合、上の同じ式を使用することができるが、Zの値としてその第1配列と第2配列が重なっている領域の長さを使用し、前記領域はその第1配列の長さと実質的に同じである長さを有する。
【0042】
非限定的な例として、いずれかの特定のポリヌクレオチドが基準配列に対してある特定のパーセンテージ配列同一性を有しているか(例えば、少なくとも80%同一であるか、少なくとも85%同一であるか、少なくとも90%同一であるか、および幾つかの実施形態では少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるか)は、ある特定の実施形態ではベストフィット・Bestfitプログラム(ウィスコンシン配列分析パッケージ、Unix用バージョン8、ジェネティクスコンピューターグループ、ユニバーシティーリサーチパーク、575サイエンス・ドライブ、マジソン、ウィスコンシン州53711)を使用して決定され得る。Bestfitは2つの配列の間で相同である最適な区域を発見するためにSmithおよびWaterman著、Advances in Applied Mathematics誌、第2巻:482〜9頁(1981年)の局所的相同性アルゴリズムを使用する。特定の配列が本発明による基準配列に対して例えば95%同一であるか決定するためにBestfitまたは他のいずれかの配列整列プログラムを使用するとき、その基準ヌクレオチド配列の全長にわたって同一性のパーセンテージが計算され、且つ、相同性のギャップがその基準配列中のヌクレオチドの総数の最大で5%までになるようにパラメーターが設定される。
【0043】
幾つかの実施形態では本発明の2つの核酸が実質的に同一であり、それは配列比較アルゴリズムを使用して、または目視検査により測定されるときに最大の一致度が得られるように比較し、整列させたときにそれらの核酸が少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、および幾つかの実施形態では少なくとも95%、96%、97%、98%、99%のヌクレオチド配列同一性またはアミノ酸残基同一性を有することを意味する。同一性は少なくとも約10残基長、約20残基長、約40〜60残基長、またはそれらの間のあらゆる整数値である配列の領域にわたって存在することがあり得、60〜80残基よりも長い領域、例えば、少なくとも約90〜100残基の領域にわたって存在することがあり得、幾つかの実施形態ではそれらの配列は比較される配列、例えばヌクレオチド配列のコード領域等の全長にわたって実質的に同一である。
【0044】
「特異的結合」または「TLR−4への特異的結合」という用語は、本発明の文脈において、2つの分子、すなわち、本発明のアプタマーとTLR−4受容体との間の非共有結合性物理的結合を指す。本発明のアプタマーとTLR−4受容体との間の結合は、その両者の間の結合強度が本発明のアプタマーと不適切な分子との間の結合強度よりも少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、少なくとも75倍、または少なくとも100倍大きい場合に特異的であると言える。本発明のアプタマーとTLR−4受容体との間の結合は、使用される条件下で、例えば、生理的条件、細胞培養条件、または細胞生存を可能にする条件で平衡解離定数Kdが10−3M以下、10−4M以下、10−5M以下、10−6M以下、10−7M以下、10−8M以下、10−9M以下、10−10M以下、10−11M以下、または10−12M以下である場合にも特異的であると言える。
【0045】
本発明のアプタマーのTLR−4への特異的結合能は当技術分野において利用可能である一連のアッセイによって決定され得る。TLR−4への特異的結合についての本発明のアプタマーの能力は酵素結合オリゴヌクレオチドアッセイ(ELONA)、酵素結合アプタマー吸着アッセイ(ELASA)、沈降および定量的PCR(qPCR)などのインビトロ結合アッセイによって、またはアプタヒストケミストリー、アプタサイトケミストリー、蛍光顕微鏡法またはフローサイトメトリーなどの蛍光技法によって決定されることが好ましい。同様に、TLR−4に特異的に結合する能力とTLR−4に対する本アプタマーの親和性の両方がゲル移動度シフトアッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)、キネティックキャピラリー電気泳動および蛍光結合アッセイなどの当業者によく知られている技法によって決定され得る。簡単に説明すると、蛍光結合アッセイはTLR−4で被覆された磁性球体を(例えば、カルボキシフルオレセイン、FAMで)標識済みの様々な濃度(例えば、0〜100nMまで)の本発明のアプタマーと定温放置すること、およびその後で結合したアプタマーを溶出および検出することからなり、解離定数(Kd)は非線形フィット分析により算出される。
【0046】
「TLR−4の阻害」という用語は、本発明の文脈において、TLR−4の活性、すなわち、TLR−4受容体介在性シグナル伝達の遮断または減少を指す。TLR−4の活性は、その活性がその天然アゴニストLPSの存在下でのTLR−4活性の少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、少なくとも15%、少なくとも10%、少なくとも5%、少なくとも1%、またはそれより低い活性であるときに阻害剤またはアンタゴニストによって阻害されていると言える。
【0047】
本発明のアプタマーのTLR−4阻害能は当技術分野において利用可能である一連のアッセイによって決定され得る。本発明のアプタマーのTLR−4阻害能は、組換えTLR−4とレポーター遺伝子を発現する細胞を用い、そのレポーター遺伝子の発現が組換えTLR−4の活性化と関連づけられているインビトロアッセイによって決定されることが好ましい。当業者は使用する細胞と組換え遺伝子に応じてこの方法の複数の変法が存在することを理解する。このアッセイの例は本発明の例(「材料と方法」の節および実施例2)の中に含まれる。他の利用可能な技法にはTLR−4を発現する細胞によって放出されたIL−1、IL−8、TNFαおよびIL−12などの炎症性サイトカインのレベルの決定が含まれる。
【0048】
特定の実施形態では本発明のアプタマーは30ヌクレオチドと200ヌクレオチドとの間からなり、好ましくは35ヌクレオチドと150ヌクレオチドとの間からなり、より好ましくは40ヌクレオチドと100ヌクレオチドとの間からなり、さらにより好ましくは45ヌクレオチドと80ヌクレオチドとの間からなる。
【0049】
別の特定の実施形態では本発明のアプタマーは配列番号3(GTTGCTCGTATTTAGGGCCACCGGCACGGGACAAGGCGCGGGACGGCGTAGATCAGGTCGACACCAGTCTTCATCCGC)および配列番号4(GCGGATGAAGACTGGTGTGCCAATAAACCATATCGCCGCGTTAGCATGTACTCGGTTGGCCCTAAATACGAGCAAC)からなる群より選択される配列を備える。配列番号3の配列は配列番号1の機能的に同等の変異体であり、および配列番号4の配列は配列番号2の機能的に同等の変異体である。
【0050】
特定の実施形態では前記核酸はDNAである。別の特定の実施形態では前記核酸はRNAである。別の特定の実施形態では前記核酸はPNAである。別の特定の実施形態では前記核酸はLNAである。別の特定の実施形態では前記核酸はTNAである。
【0051】
別の特定の実施形態では前記TLR−4は、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ネコ、イヌ、ウマ、霊長類動物、およびヒトのTLR−4からなる群より選択されるTLR−4である。好ましい実施形態では前記TLR−4はヒトTLR−4である。
【0052】
本発明のアプタマーの作製は当技術分野における従来法に従って実施され得る。アプタマー作製のための技法の非限定的な例には全て商業的に利用可能である転写、組換え発現系などの酵素的技法、および標準的固相(または溶液相)化学合成が挙げられる。適切な場合、例えば、本発明のアプタマーが上に記載された変異体、すなわち、化学修飾型の塩基または糖、骨格改変体等を有する類似体のようなヌクレオチド類似体などの核酸変異体を含む場合に本発明のアプタマーは化学合成によって作製されることになる。あるいは、前記アプタマーが200ヌクレオチドまたはそれより大きい長さを有するときに発現がアプタマー作製にとって好ましい技法になる。前述の技法によって、または前述の技法のいずれかによって作製されるアプタマーは所望により当技術分野においてよく知られている方法によって精製されてもよい。
本発明の複合体
【0053】
当業者によって理解されるように、本発明のアプタマーの小さなサイズ、安定性、および作製の容易さという特徴のため、前記アプタマーを第2の分子に結合して提供することが可能になる。そのことはその第2分子が官能基であるときに特に有利である。本発明のアプタマーと官能基の結合の結果が両方の機能の組合せを提供する複合体、すなわち、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力と前記官能基に付随する活性を有する複合体である。
【0054】
したがって、別の態様では本発明は、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有する核酸アプタマーであって、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える前記核酸アプタマーと官能基を含む、これ以降「本発明の複合体」と呼ばれる複合体に関連する。
【0055】
「アプタマー」という用語は(上掲の)定義およびTLR−4特異的アプタマーとの関連で詳細に説明されており、その定義と特徴が同様に本発明の複合体の文脈でも適用される。
【0056】
「官能基」という用語は、本発明の文脈において、少なくとも1つの機能の実施に適切な化合物を指す。前記機能にはTLR−4または他のTLR受容体に特異的に結合する能力、TLR−4または他のTLR受容体を阻害する能力、直接的にも間接的にも検出可能である能力、細胞死を誘導する能力、治療的積載物を担持する能力等が含まれるがこれらに限定されない。当業者によって理解されるように、官能基には1つまたは複数の機能が付随するはずである。官能基の非限定的な例には検出可能試薬および薬品が挙げられる。これらの官能基はイメージング剤、イメージング薬等のように作用する。
【0057】
したがって、特定の実施形態では前記官能基は検出可能試薬、薬品およびナノ粒子から選択される。
【0058】
別の特定の実施形態では前記官能基は検出可能試薬である。「検出可能試薬」、「イメージング剤」および「造影剤」という用語は本明細書において互換的に使用され、それらの用語はその使用によってその画像の異なる領域の間の「コントラスト」を増強してその画像の異なる部分の区別を容易にする生体適合性化合物のことを指す。したがって、「造影剤」という用語は、(例えば、MRIの場合のように)そのような薬剤が存在しないときでもなお生成され得る画像の品質を高めるために使用される薬剤、ならびに(例えば、核イメージングの場合のように)画像の生成にとって必須条件である薬剤を包含する。適切な造影剤には放射性核種イメージング用の造影剤、コンピューター断層撮影(CT)用の造影剤、ラマン分光法用の造影剤、磁気共鳴イメージング(MRI)用の造影剤、および光学的イメージング用の造影剤が含まれるがこれらに限定されない。
【0059】
放射性核種イメージング用の検出可能試薬には11C、13N、15O、18F、82Rb、62Cu、64Cu、および68Ga86Y、124I、213Biおよび211Atなどの陽電子放射体で標識されていることが一般的である放射性医薬品が含まれる。SPECT放射性医薬品は94mTc、201Tlおよび67Gaなどの陽電子放射体で標識されていることが一般的である。放射性核種イメージングモダリティ(陽電子放射断層撮影法(PET)、単一光子放射コンピューター断層撮影(SPECT))は放射性核種標識放射性トレーサーの位置と濃度をマップする診断的断面撮影技法である。PETおよびSPECTは、代謝活性を測定することにより放射性核種の位置を突き止め、且つ、その放射性核種の特性を解析するために使用され得る。PETおよびSPECTは細胞生存度などの細胞レベルでの情報に関連する情報を提供する。PETでは陽電子放射体が患者に投与され、その物質が体の中を移動するときにそれをモニターすることができる。本発明のある特定の実施形態では本発明による複合体がインビボのPETイメージングまたはSPECTイメージングに使用される。単一光子放射コンピューター断層撮影、すなわちSPECTはPETと密接な関係がある。それらの二者の間の大きな違いはSPECTが陽電子放射物質の代わりに低エネルギー光子を放射する放射活性トレーサーを使用することである。放射性核種の他の非限定的な例にはガンマカメラを使用する放射性シンチグラフィーまたは単一光子放射コンピューター断層撮影に使用され得る99mTc、123Iおよび111Inなどのガンマ放射同位体、ならびに131I、90Y、99mTc、177Luおよび67Cu”などのβ放射体が挙げられる。当業者はそれらの放射性核種が治療目的のためにも使用され得ることを理解する。
【0060】
CTイメージング用の検出可能試薬には、例えば、ヨウ素付加または臭素付加造影剤が含まれる。これらの薬剤の例にはイオタラメート、イオヘキシル、ジアトリゾエート、イオパミドール、エチオドールおよびイオパノエートが挙げられる。ガドリニウム剤もCT造影剤として有用であることが報告されている。例えば、ガドペンテート剤がCT造影剤として使用されている。コンピューター断層撮影(CT)が本発明の文脈におけるイメージングモダリティとして検討されている。様々な角度から時には1000を超える一連のX線像を撮影し、その後でコンピューターを用いてそれらを組み合わせることでCTは体のあらゆる部分の三次元像の構築を可能にする。コンピューターは、あらゆる角度からのあらゆる深度での二次元スライスを表示するようにプログラムされている。CTでは、最初のCTスキャンが診断に役立たないとき、本明細書に記載される造影剤のような放射線不透過性造影剤の静脈内注射が軟部組織塊の特定と描写に役立つ場合があり得る。
【0061】
光学的イメージング用の検出可能試薬には、例えば、フルオレセイン、フルオレセイン誘導体、インドシアニングリーン、オレゴングリーン、オレゴングリーン誘導体の誘導体、ローダミングリーン、ローダミングリーンの誘導体、エオシン、エリスロシン、テキサスレッド、テキサスレッドの誘導体、マラカイトグリーン、ナノゴールドスフホスクシンイミジルエステル、カスケードブルー、クマリン誘導体、ナフタレン、ピリジルオキサゾール誘導体、カスケードイエロー染料、ダポキシル染料、および様々な他の蛍光化合物、例えばCy3、Cy2、Cy5、Alexa Fluor(登録商標)蛍光標識ファミリー(Molecular Probes社)、カルボキシフルオレセイン(FAM)およびフルオレセインイソチオシアネート(FITC)が含まれる。
【0062】
別の好ましい実施形態では前記検出可能試薬はタンパク質である。「タンパク質」という用語は、本発明の文脈において、1本以上のアミノ酸鎖からなるマクロ分子を指す。それらのタンパク質は、他の分子に特異的に結合するそれらの能力に基づいた多様な一群の細胞機能の実行を担う。それらのタンパク質は他のタンパク質ならびに小基質分子に結合することができる。本発明の目的に適切なタンパク質の非限定的な例には酵素、蛍光タンパク質、発光タンパク質および抗原が挙げられるがこれらに限定されない。
【0063】
さらにより好ましい実施形態では前記タンパク質は酵素である。「酵素」という用語は、本発明の文脈において、その酵素に特異的な代謝反応の速度と特異度の両方を促進する非常に選択的な触媒として作用するタンパク質を指す。本発明に適切な酵素の非限定的な例にはホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)およびアルカリホスファターゼが挙げられるがこれらに限定されない。当業者によって理解されるように、本発明における使用に適切なそれらの酵素は、比色分析、化学発光法、または蛍光定量法によって検出可能な化合物に基質を改変することを触媒するそれらの酵素の能力の結果として間接的に検出可能である。適切な基質の例にはp−ニトロフェニルホスフェート(PNPP)、2,2’−アジノビス[3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸](ABTS)、o−フェニレンジアミン(OPD)、および3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0064】
生物発光タンパク質またはフォトタンパク質はそれらのタンパク質の特異的なプロステーシス基の化学反応を実施し、事前励起を必要とせずに発光を生じることができる特殊例の酸化酵素である。生物発光タンパク質の非限定的な例にはホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼおよびイクオリンが挙げられる。
【0065】
別のさらにより好ましい実施形態では前記タンパク質は蛍光タンパク質である。「蛍光タンパク質」という用語は、本発明の文脈において、励起に適切な波長で励起されると発光する能力を有するタンパク質を指す。本発明の複合体に使用することができる蛍光タンパク質の非限定的な例にはGFP、GFPuv、BFP、CFP、YFP、EBFP2、mCerulean、mCerulean3、mVenus、mTurquoise、T−Sapphire、シトリン、amFP486、zFP506、zFP538、drFP、DsRed、mCherry、dTomate、mTFP1、TagRFP−T、mKO2、mRuby、mKate、mAmetrine、REACh、R−フィコエリトリン(R−PE)およびアロフィコシアニン(APC)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0066】
別のさらにより好ましい実施形態では前記タンパク質は発光タンパク質である。「発光タンパク質」という用語は、本発明の文脈において、励起に適切な波長で励起されると発光することができるタンパク質を指す。本発明の複合体に使用することができる蛍光タンパク質の非限定的な例には対応する励起波長および発光波長と共に表1の中に含まれるタンパク質が挙げられるがこれらに限定されない。
【0067】
別のさらにより好ましい実施形態では前記タンパク質は抗原である。「抗原」という用語は、本発明の文脈において、体の中で免疫応答を誘導する分子を指す。したがって、抗原は、それを認識し、且つ、それに特異的に結合する抗体を生成するために使用され得る。抗原の非限定的な例には癌胎児性抗原(CEA)、HER2、前立腺特異的抗原(PSA)および組織プラスミノーゲン活性化因子とその組換え変異体、例えばActivase(登録商標)などの腫瘍抗原、ならびに細菌性抗原、アレルゲン等が特に挙げられる。当業者によって理解されるように、本発明における使用に適切な抗原は抗体によって特異的に認識されるそれらの抗原の能力の結果として間接的に検出可能である。
【0068】
別の好ましい実施形態では前記検出可能試薬はハプテンである。「ハプテン」という用語は、本発明の文脈において、抗原性であるが、それらだけでは特異的な免疫応答を誘導することができない小分子サイズ(10,000Da未満)を有する一群の化学化合物を指す。担体と呼ばれる大きい免疫原性タンパク質へのハプテンの化学的結合により、特異的な免疫応答を誘導することができるハプテン免疫原性担体間複合体が生成される。ビタミン類の非限定的な例にはビオチン(ビタミンB7)、ジゴキシゲニン、ジニトロフェノール(DNP)およびニトロヨードフェノール(NIP)が挙げられる。より好ましい実施形態では前記ビタミンはビオチンである。「ビオチン」という用語は、本発明の文脈において、ビタミンHおよびビタミンB7とも呼ばれ、Kd=10−15Mという現在まで記載された最高の親和性でアビジンに特異的に結合することを特徴とする水溶性およびアルコール溶性の熱安定性ビタミンを指す。当業者によって理解されるように、ビオチンはアビジンまたはその変異体、例えばストレプトアビジンおよびニュートラアビジンによって特異的に認識されるその能力の結果として間接的に検出可能である。
【0069】
別の特定の実施形態では前記官能基は薬品である。「薬品」という用語は、本発明の文脈において、疾患または体調、例えば、TLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態の処置、治療、または予防において使用される化学物質を指す。「TLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態」という用語が本発明の医療上の使用の文脈で詳細に説明され、その定義と特徴が参照により本明細書に含まれる。
【0070】
当業者はどの薬剤がある疾患の治療に特に適応されるかすぐに知ることになる。前記TLR−4アンタゴニスト薬剤および抗炎症性薬剤が特に好ましいが、TLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態の治療に適応されるほとんど全ての薬剤を本発明の複合体の中に含めることができる。数多くの種類の薬品が本発明との関連で使用され得るが、好ましい実施形態では本発明は、限定されないが、ナロキソン、ナルトレキソン、LPS、イブジラスト、プロペントフィリン、アミトリプチリン、ケトチフェン、シクロベンザプリン、ミアンセリンおよびイミプラミンなどのTLR−4アンタゴニスト;アスピリンおよびクロピドグレルなどの抗血小板薬;ヘパリン、アセノクマロール、ワルファリン、ダビガトランおよびリバーロキサバンなどの抗凝血薬;およびエダラボンなどの抗酸化剤を含む群より前記薬品を選択することを企図している。検出可能試薬の文脈の中で既に言及されているが、組織プラスミノーゲン活性化因子およびその組換え変異体をそれらの血栓溶解作用に起因して同様に薬品として見なすことができる。
【0071】
本発明は前記薬品が核酸であることを企図している。したがって、好ましい実施形態では前記薬品は核酸である。本発明の複合体との関連で薬品として適切な核酸にはアンチセンスRNA、アンチセンスDNAおよび低分子干渉RNAが含まれ、それらは、限定されないが、NFKB1遺伝子、RIPK3遺伝子、IFNB1遺伝子、LY96(MD−2)遺伝子、IRF3遺伝子、TLR3遺伝子、TIRAP(Mal)遺伝子、TICAM1(TRIF)遺伝子、RIPK1遺伝子、TRAF6遺伝子、CD14遺伝子、TRAM遺伝子、IKBKG(IKKγ)遺伝子、IFNA1遺伝子およびTLR4遺伝子をはじとするTLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態に関係する遺伝子の発現を停止させる能力を有する。「アンチセンスRNA」という用語は、本発明の文脈において、そのヌクレオチド配列が標的メッセンジャーRNAに対して相補的であり、それによってその各々の遺伝子の発現に干渉する一本鎖RNAを指す。「アンチセンスDNA」という用語は、本発明の文脈において、そのヌクレオチド配列が標的メッセンジャーRNAに対して相補的であり、それによってその各々の遺伝子の発現に干渉するか、またはその発現を停止させる一本鎖DNAを指す。「低分子干渉RNA」または「siRNA」という用語は、本発明の文脈において、20〜25ヌクレオチドの長さを有し、その標的メッセンジャーRNAのヌクレオチド配列に対して非常に特異的であり、それによってその各々の遺伝子の発現に干渉する二本鎖RNAを指す。
【0072】
本発明は前記薬品がペプチドであることを企図している。したがって、好ましい実施形態では前記薬品はペプチドである。「ペプチド」という用語は、本発明の文脈において、ペプチド結合によって結合したアミノ酸の短鎖を指す。そのペプチドは少なくとも2アミノ酸、少なくとも3アミノ酸、少なくとも4アミノ酸、少なくとも5アミノ酸、少なくとも10アミノ酸、少なくとも15アミノ酸、少なくとも20アミノ酸、少なくとも30アミノ酸、少なくとも40アミノ酸、少なくとも50アミノ酸、少なくとも60アミノ酸、または少なくとも70アミノ酸を含むことになる。特に、標的に結合して細胞シグナル伝達を誘導または抑制する能力を有するペプチドが本発明の目的にとって適切である。「標的結合ペプチド」という用語は、本発明の文脈において、標的結合領域を含むペプチドを指す。「シグナル伝達ペプチド」という用語は、本発明の文脈において、細胞受容体アゴニストペプチドなど、細胞シグナル伝達を引き起こす能力を有するペプチドを指す。標的分子結合に適切なアミノ酸配列には当技術分野においてよく知られている分子認識コンセンサス配列が含まれる。
【0073】
別の特定の実施形態では前記官能基はナノ粒子である。「ナノ粒子」という用語は、本発明の文脈において、1マイクロメートル(μm)未満のサイズを有する球状、棒状、多面体状等、または類似の形状のコロイド系であって、流体(水溶液)に分散されて個別に見出されるか、または組織構造体(二量体、三量体、四面体等)を形成して見出される前記コロイド系を指す。特定の実施形態では本発明の実施に適切なそれらのナノ粒子は1μm未満のサイズ、一般的には1ナノメートルと999ナノメートル(nm)の間から構成されるサイズ、典型的には5nmと500nmとの間のサイズ、好ましくは約10nmと150nmとの間のサイズを有する。特定の実施形態では本発明のナノ粒子は典型的には2〜50nmまでの範囲の平均粒径、好ましくは5〜20nmまでの範囲の平均粒径、より好ましくは13nmの平均粒径を有する。それらの粒子は必ずしも球状ではないことを理解すると、その平均粒径は最大の平均粒子寸法である。前記ナノ粒子の形状は多種多様であり得、有利なことに前記ナノ粒子は球、棒、星形、立方体、多面体、または他のいずれかの変形体ならびに幾つかの粒子が結合した複合体などの光学的に効率が良いあらゆる形状を採ることになり、特定の実施形態では本発明を実施するためのそれらのナノ粒子の形状は球状または実質的に球状である。その形状は従来の光学顕微鏡法により、または電子顕微鏡法により適切に評価され得る。
【0074】
本発明における使用に適切なナノ粒子には重合体ナノ粒子、脂質ナノ粒子および金属ナノ粒子が含まれる。
【0075】
重合体ナノ粒子は本アプタマーに結合される重合体マトリックスによって形成される。本発明による重合体ナノ粒子において有用であり得る生体適合性重合体の非限定的な例にはポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフメレート(polypropylfumerates)、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリウレア、ポリスチレン、またはポリアミン、ポリグルタメート、デキストラン、ポリ無水物、 、ポリウレタン、ポリメタクリレート、ポリアクリレートまたはポリシアノアクリレート.ポリジオキサノン(PDO)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(グリセロールセバケート)、ポリグリコリド、ポリラクチド、PLGA、ポリカプロラクトンまたはそれらの組合せが挙げられる。
【0076】
あるいは、本発明のナノ粒子はリポソームまたはミセルなどの脂質ナノ粒子であり得る。例えば小胞形成性脂質からのミセルおよびリポソームの形成が当技術分野において知られている。小胞形成性脂質は、それらのゲル相から液晶相への相転移温度範囲よりも上で脂質二重層を自然に形成する脂質を指す。そのような脂質は、ラメラ相への充填を可能にするそれらの脂質の疎水性部分と親水性部分の断面積が同一に近いことなど、自然に二重層を形成させるある特定の特徴を有していることが典型的である。脂質二重層への安定的な組込みが可能なコレステロールおよびその様々な類似体のような脂質は二重層形成時にその脂質二重層内に組み込まれ得る。それらの小胞形成性脂質は2本の炭化水素鎖、典型的にはアシル鎖と極性または非極性のどちらかのヘッド基を有する脂質であることが好ましい。様々な合成小胞形成性脂質および天然小胞形成性脂質が存在し、それらには、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、およびスフィンゴミエリンなど、2本の炭化水素鎖が典型的には約14〜22炭素原子の間の長さであり、且つ、飽和しているか、または様々な程度の不飽和度を有しているかのどちらかであるリン脂質が含まれる。様々な程度の飽和度を有するアシル鎖を含む上記の脂質およびリン脂質は商業的に入手可能であり、または公開された方法に従って調製可能である。他の適切な脂質にはリン脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質、およびステロール、例えばコレステロールが含まれる。
【0077】
「リポソーム」という用語は、1つ以上の同心円的に配置された脂質二重層から構成され、水相を封入している小胞を指す。その水相は標的部位に送達される化合物を含んでいることが典型的である。標的部位に到達するとそのリポソームは標的細胞、すなわちTLR−4発現細胞の原形質膜と融合し、それによって前記化合物を細胞質中に放出する。あるいは、そのリポソームは飲食運動によって取り込まれるか、そうでなければ輸送小胞(例えば、エンドソームまたはファゴソーム)の内容物として標的細胞によって取り込まれる。一旦、輸送小胞の中に入るとそのリポソームは分解するか、またはその小胞の膜と融合し、そしてその内容物を放出する。例えば、超音波処理、射出、高圧/ホモジナイゼーション、マイクロフルイダイゼーション、界面活性剤透析、小リポソームベヒクルのカルシウム誘導性融合、およびエーテル融合法などの当業者に知られている様々な方法がリポソームの調製に利用可能であり、それらの方法の全てが当技術分野においてよく知られている。
【0078】
重合体ナノ粒子および脂質ナノ粒子は、その粒子の殻を形成する重合体材料またはそれらの粒子が免疫系の要素による認識を逃れて粒子循環半減期を増加させることを可能にし得るステルス材料を取り囲む両親媒性化合物の被覆をさらに含み得る。
【0079】
あるいは、本発明のナノ粒子は金属ナノ粒子であり得る。「金属ナノ粒子」という用語は、金属を含み、且つ、表面プラズモン現象として知られる光学特性を示すナノ粒子、すなわちプラズモン金属を指す。この現象はその金属表面の電子の集団振動から構成され、前記電子において共鳴条件が達成される波長で(その金属およびそのサイズのナノ粒子に典型的な)紫外可視スペクトルに位置する吸収帯を生成する。ある金属の表面プラズモンは、当技術水準において知られているあらゆる分光学的技法、例えば、それらの金属原子が電磁ビームに当てられる表面プラズモン共鳴(SPR)分光法、またはそれらの金属原子を光子ビームに当てたときのそれらの金属原子の屈折率の変化の検出に基づく表面プラズモン共鳴蛍光分光法(SPFS)によって決定され得る。本明細書において定義されるように、「プラズモン金属」は表面プラズモン現象として知られる光学特性を示すことを特徴とする金属である。数個のナノ粒子が相互に対して近くに位置することによってそれらのそれぞれの近接場の結合が引き起こされ、新しい表面プラズモンの生成が起こることを考えると、このときのプラズモン応答の変化は特に明白である。好ましい実施形態では前記金属は金、銀、銅、アルミニウム、プラチナ、鉄、コバルト、パラジウム、およびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0080】
金属ナノ粒子の好ましい実施形態は金属コアと多孔性シェルを含有するコアシェル型ナノ粒子である。コアシェル型金属ナノ粒子の例には当技術分野においてよく知られている磁性メソ多孔性シリカナノ粒子が挙げられる。したがって、特に好ましい実施形態では前記ナノ粒子は磁性メソ多孔性シリカナノ粒子である。
【0081】
前記ナノ粒子の表面上に被覆材を付加することによって前記ナノ粒子に機能を持たせてもよい。生物学的用途のためには高い水溶性を与え、ナノ粒子凝集を防止するために表面被覆材は極性を持つ必要がある。血清中または細胞表面上で高電荷被覆材によって非特異的結合が促進され、一方で末端ヒドロキシル基またはメトキシ基に結合しているポリエチレングリコールによって非特異的相互作用が阻止される。
【0082】
アプタマーを理想的には共有結合によって好ましくはナノ粒子表面上でナノ粒子に結合することができる。好ましくは、アプタマーは制御されたナノ粒子当たりの数で存在するべきである。
【0083】
本発明のアプタマーと本発明の複合体を生成するための官能基との間の結合は当業者がよく知る連結技法によって実施され得る。その結果が本発明のアプタマーとその官能基との間の共有結合である。その連結は、本アプタマーの化学合成時のその官能基への本発明のアプタマーの3’末端または5’末端の一級アミンの結合を伴い得る。あるいは、従来の架橋反応によって連結を行うことができ、それはヌクレオチド自体のアリールアミンに対して一級アルキルアミン標識の化学反応性の方がずっと高いという利点を有する。連結方法は当技術分野においてよく知られており、それらの方法は架橋試薬の使用に基づいている。それらの架橋試薬は、連結される分子の中の一級アミン、スルフヒドリル、アルデヒド、カルボキシル、ヒドロキシル、アジド等その他もろもろのような基を標的とする少なくとも2種類の反応基を含有する。それらの架橋剤はそれらの化学的特異性、スペーサーアーム長、スペーサーアーム組成、切断スペーサーアーム、および構造に関して様々である。例えば、本アプタマー中の1つ以上の無官能基および/または官能基、例えばアミン基、カルボキシル基、フェニル基、チオール基、またはヒドロキシル基を介して直接的に、または連結部分を介して本発明による複合体の連結を実施することができる。より選択的な結合はヘテロ二官能性リンカーの使用によって達成され得る。ジイソシアネート、ジイソチオシアネート、ビス(ヒドロキシスクシンイミド)エステル、カルボジイミド、マレイミド−ヒドロキシスクシンイミドエステル、グルタルアルデヒド等、またはヒドラジンおよび4−(4−N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MPBH)などのヒドラジドのような従来のリンカーを使用することが可能である。
【0084】
別のアプローチは、例えばフルオロフォアで標識されたプライマーを使用するPCRによって合成時に本アプタマーを標識することから構成される。この目的のために当業者が利用可能な様々な商業的設立物が存在する。
【0085】
さらに、前記官能基が放射性核種である特定の実施形態では、本発明によるアプタマーとその放射性核種との間の結合はその結合に関与する本アプタマーの原子がその放射性核種に電子を供与する化学的配位によって実施され得る。配位反応は当技術分野においてよく知られており、それらの反応は本アプタマーに関わる放射性核種と反応基に依存する。
本発明のインビトロ使用
A. TLR−4を検出するためのインビトロ使用
【0086】
本発明は、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマー、およびTLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーと官能基を含む複合体のTLR−4を検出するためのインビトロ使用も企図している。
【0087】
したがって、別の態様では本発明は、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーのTLR−4を検出するためのインビトロ使用に関連する。
【0088】
したがって、本発明によるアプタマーのTLR−4への特異的結合能が本発明によるアプタマーを介したTLR−4の間接的検出に活用され得る。この目的のため、当業者は前記アプタマーのその後の検出が必要であることを理解する。アプタマー検出技法は当技術分野においてよく知られており、それらには、例えば、本アプタマーに特異的な抗体またはプローブの使用が含まれる。したがって、一旦、本発明によるアプタマーがTLR−4に結合すると、今度は検出可能試薬で標識することができるか、または二次抗体またはプローブによって間接的に検出することができる本アプタマーに特異的な抗体またはプローブが適用されることになる。そこで、TLR−4を検出するために用いられるその技法は検出可能試薬の種類に依存することになり、それらは例えば蛍光定量法、比色分析または放射活性に基づく技法であり得る。
【0089】
「プローブ」または「ハイブリダイゼーションプローブ」という用語は、本発明の文脈において、一般的に10塩基長と1000塩基長の間の様々な長さのDNA断片またはRNA断片であって、そのプローブ中の配列に対して相補的である一本鎖核酸(DNAまたはRNA)の存在を検出するために使用される前記断片を指す。プローブは標的一本鎖核酸にハイブリダイズし、その標的一本鎖核酸の塩基配列によってそのプローブと標的核酸との間の相補性に起因する塩基対合が可能になる。プローブのその標的配列へのハイブリダイゼーションの検出のためにそのプローブは特に放射性核種、フルオロフォアまたはジゴキシゲニンなどの検出可能試薬で標識される。
【0090】
本発明のアプタマーを用いるTLR−4の検出は、酵素結合オリゴヌクレオチドアッセイ(ELONA)、酵素結合アプタマー吸着アッセイ(ELASA)、沈降および定量的PCR(qPCR)、ゲル移動度シフトアッセイ、ウエスタンブロッティング、表面プラズモン共鳴(SPR)、キネティックキャピラリー電気泳動、蛍光結合アッセイ、アプタヒストケミストリー、アプタサイトケミストリー、蛍光顕微鏡法またはフローサイトメトリーなどのインビトロ結合アッセイによって実施され得る。
【0091】
本発明のインビトロ使用の別の特定の実施形態ではELONA、アプタサイトケミストリー、アプタヒストケミストリーおよびフローサイトメトリーからなる群より選択される方法によってTLR−4の検出が実施される。
【0092】
「ELONA」または「酵素結合オリゴヌクレオチドアッセイ」という用語は、本発明の文脈において、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)に類似している技法であって、目的の分子、この事例ではTLR−4の検出に用いられる抗体が前記分子に特異的な検出アプタマーと交換されている前記技法を指す。ELISAアッセイは、例えば標的抗原と標識抗体との間で形成された複合体が酵素活性型複合体であるように酵素で標識された抗原または抗体の使用に基づいている。それらの要素のうちの一方、この事例では抗原が担体に固定化されているので抗原抗体間複合体がその担体に固定化され、したがってその酵素に特異的な基質の添加によってそれらの抗原抗体間複合体を検出することができる。ELONAの場合、検出アプタマーを酵素に共有結合することができ、または酵素に連結されているそのアプタマーに特異的な二次抗体によってそのアプタマーを単独で検出することができる。前記酵素は特異的基質の変換を触媒して可視的シグナルを生成する。前記酵素をフルオロフォアなどの別の検出可能試薬と交換するためにこの技法を改変することができる。ELONAおよびELASA、または酵素結合アプタマー吸着アッセイという用語は本明細書において互換的に使用される。好ましい実施形態ではTLR−4の検出はELONAによって実施される。
【0093】
同様に、「アプタサイトケミストリー」および「アプタヒストケミストリー」という用語は、本発明の文脈において、それぞれ細胞および組織学切片上でのTLR−4の検出のための免疫細胞化学および免疫組織化学に類似している技法であって、目的の分子、この事例ではTLR−4の検出に用いられる抗体が前記分子に特異的なアプタマーと交換されている前記技法を指す。その検出アプタマーを酵素に共有結合することができ、または酵素に連結されているそのアプタマーに特異的な二次抗体によってそのアプタマーを単独で検出することができる。前記酵素は特異的基質の変換を触媒して可視的シグナルを生成する。前記酵素をフルオロフォアなどの別の検出可能試薬と交換するためにこの技法を改変することができる。好ましい実施形態ではTLR−4の検出はアプタサイトケミストリーによって実施される。別の好ましい実施形態ではTLR−4の検出はアプタヒストケミストリーによって実施される。
【0094】
あるいは、当業者は検出抗体を本アプタマーに特異的なプローブと交換するようにこれらの技法(ELONA、アプタサイトケミストリー、アプタヒストケミストリー)を改変することができることを理解する。
【0095】
「フローサイトメトリー」という用語は、本発明の文脈において、細胞が一筋の光を通過するときにそれらの細胞が有する蛍光特性および光分散特性を測定することを伴う細胞分析技法を指す。光分散に加え、分析前にそれらの細胞が蛍光分子で標識されたアプタマーの存在下に置かれた場合、どの細胞が使用されたアプタマーに対して相補的である抗原を有するか評価することが可能である。蛍光の検出はフローサイトフルオリメーター(「サイトメーター」または「FACS」(蛍光活性化細胞選別機)として知られる)によって実施される。この技法は、前述の技法のように、最初に蛍光標識抗体と用いるために開発されたが、本発明のアプタマーと用いるためにこの技法を容易に改変することができる。
【0096】
当業者によって理解されるように、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーと検出可能試薬を含む複合体は、その複合体がTLR−4に結合するとその複合体の中に含まれる前記アプタマーの検出が前記検出可能試薬によって可能になるので、TLR−4を検出するために特に有利である。TLR−4を検出するために用いられるその技法は検出可能試薬の種類に依存することになり、それらは例えば蛍光定量法、比色分析または放射活性に基づく技法であり得る。
【0097】
したがって、別の態様では本発明は、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーと官能基を含む複合体であって、TLR−4を検出するための前記複合体に関する。
【0098】
特定の実施形態では前記官能基は検出可能試薬である。
【0099】
本発明のインビトロ使用の別の特定の実施形態ではELONA、アプタサイトケミストリー、アプタヒストケミストリーおよびフローサイトメトリーからなる群より選択される方法によってTLR−4の検出が実施される。
【0100】
「アプタマー」、「TLR−4」、「機能的に同等の変異体」、「複合体」、「官能基」、「検出可能試薬」、「ELONA」、「アプタサイトケミストリー」、「アプタヒストケミストリー」および「フローサイトメトリー」という用語が上で詳細に説明されており、それらの定義と特徴が参照により本明細書に含まれる。
【0101】
ELISA、免疫細胞化学的技法、免疫組織化学的技法およびフローサイトメトリー技法が当技術分野においてよく知られていることを考慮すると、当業者は過度の実験の実施を必要とせずに抗体を本発明によるアプタマーまたは複合体と交換するために必要な改変を行うことが可能である。
B. TLR−4を阻害するためのインビトロ使用
【0102】
上に記載したように、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーはTLR−4の活性を阻害し、その活性化の結果として放出される炎症誘発性サイトカインのレベルを低下させることができる。本発明はTLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマー、およびTLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーと官能基を含む複合体のTLR−4を阻害するためのインビトロ使用も企図している。
【0103】
したがって、別の態様では本発明は、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーのTLR−4を阻害するためのインビトロ使用に関する。
【0104】
別の態様では本発明は、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーと官能基を含む複合体のTLR−4を阻害するためのインビトロ使用に関する。
本発明のインビトロ方法
A. TLR−4の検出のためのインビトロ方法
【0105】
別の態様では本発明は、これ以降「本発明の第1インビトロTLR−4検出方法」と呼ばれる試料中のTLR−4を検出するためのインビトロ方法であって、
(i)TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーと前記試料を接触させること、
(ii)TLR−4に結合していない前記アプタマーを分離すること、および
(iii)前記試料中に存在する前記TLR−4に結合している前記アプタマーの存在を検出すること
を含む前記インビトロ方法に関する。
【0106】
第1ステップにおいて本発明の第1インビトロ検出方法は、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーと前記試料を接触させることを含む。
【0107】
「アプタマー」、「TLR−4」および「機能的に同等の変異体」という用語が上で詳細に説明されており、それらの定義と特徴が参照により本明細書に含まれる。
【0108】
「試料」または「生体試料」という用語は、本発明の文脈において、細胞培養物または対象に由来する単離生体物質を指す。その生体試料は所望のバイオマーカーの検出に適切なあらゆる生体物質を含有することができ、且つ、その対象に由来する細胞および/または非細胞物質を含むことができる。その試料は、例えば、血液、血漿、血清、尿、脳脊髄液(CSF)、心臓、脳などのあらゆる適切な組織または体液から単離され得る。TLR−4の検出に使用される試料は体液であることが好ましい。
【0109】
あるいは、それらの試料は生体液試料である。「体液」および「生体液」という用語は本明細書において互換的に使用され、それらの用語は生物起源の水性の液体を指す。生体液をあらゆる部分から得ることができ(血液、血漿、血清、尿、胆汁、脳脊髄液、硝子体液もしくは眼房水、またはあらゆる身体分泌物等)、滲出液(膿瘍または他のあらゆる感染部位もしくは炎症部位から得られる液体等)を得ることができ、または関節(正常な関節またはリウマチ性関節炎のような疾患に冒されている関節等)から得られる液体を得ることができる。TLR−4の検出に使用される生体液は血液試料、血漿試料、血清試料、または脳脊髄液試料であることが好ましい。
【0110】
本発明によるアプタマーは、前記試料中に存在し得るTLR−4分子に本アプタマーを結合させるために適切な緩衝液の中でその試料に対して添加される。本発明のアプタマーとTLR−4を結合させるために適切な緩衝液の非限定的な例にはPBS、TBS、リン酸緩衝液およびクエン酸緩衝液が挙げられる。これらの緩衝液は1mMのMgClを含有していることが好ましい。その試料中に存在するTLR−4分子の検出に必要なアプタマーの量はその試料の大きさとその試料の中に存在するTLR−4の量の両方に左右され、その量は当技術分野において一般的に用いられる最適化方法によって容易に決定される可能性がある。例として、アプタマー濃度は少なくとも1fM、少なくとも10fM、少なくとも100fM、少なくとも1pM、少なくとも10pM、少なくとも100pM、少なくとも1nM、少なくとも10nM、少なくとも100nM、少なくとも1μM、少なくとも10μM、少なくとも100μM、またはそれより高い濃度である。アプタマー濃度は好ましくは100fMと1μMとの間、より好ましくは1pMと100nMとの間、さらにより好ましくは100pMと1nMとの間である。
【0111】
本アプタマーは、前記試料中に存在し得るTLR−4分子に本アプタマーを結合させるために適切な温度および充分な時間でその試料と定温放置される。その温度は20℃と37℃の間であることが好ましい。例として、本アプタマーはその試料と少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも60分間、少なくとも120分間、またはそれより長い時間にわたって定温放置される。
【0112】
一旦、前記試料中に存在し得るTLR−4分子に本アプタマーが結合すると、第2ステップにおいてその試料を洗浄してTLR−4に結合しなかった本アプタマー分子が除去される。
【0113】
第3ステップにおいて前記試料中に存在するTLR−4に結合している本アプタマーの存在が検出される。本発明のアプタマーは単独では検出可能な分子ではないのでその検出ステップは本アプタマーに特異的に結合する第2検出可能分子を介した間接的検出ステップである。TLR−4に結合している本アプタマーの検出は、高い親和性で本発明のアプタマーに結合する事実上あらゆる公知の抗体または試薬を用いて実施され得る。それでもなお、本アプタマーに特異的な抗体、例えば、ポリクローナル血清、ハイブリドーマ上清、モノクローナル抗体またはヒト化抗体およびそれらの断片の使用が好ましい。本アプタマーに特異的な前記抗体は検出可能試薬で適切に標識される。「検出可能試薬」という用語が上で詳細に説明されており、その定義と特徴が参照により本明細書に含まれる。前記試薬は、試薬の種類および試料の種類に適切な当業者に知られている装置を使用する蛍光定量法または比色分析によって検出され得る。例として、存在するTLR−4分子に結合している本アプタマーを含む前記試料を酵素と結合している本アプタマーに特異的な抗体と、本アプタマーとの定温放置の条件と類似の条件で定温放置し、そしてその酵素によって検出可能産物に変換される基質を添加して例えば蛍光顕微鏡での蛍光定量または分光光度計での比色分析によってTLR−4アプタマー抗体間複合体を検出する。あるいは、検出可能試薬で適切に標識された本アプタマーに特異的なプローブの使用によって同様に検出を行うことができる。
【0114】
当業者は本発明の第1インビトロ方法がELONA、ELASA、沈降およびqPCR、ゲル移動度シフトアッセイ、ウエスタンブロッティング、表面プラズモン共鳴、キネティックキャピラリー電気泳動、蛍光結合アッセイ、アプタヒストケミストリー、アプタサイトケミストリー、蛍光顕微鏡法またはフローサイトメトリーなどの検出技法の一部として実施され得ることを理解する。
【0115】
あるいは、本発明によるアプタマーを本発明による複合体の一部である官能基に結合させることができる。したがって、別の態様では本発明は、これ以降「本発明の第2インビトロTLR−4検出方法」と呼ばれる試料中のTLR−4を検出するためのインビトロ方法であって、
(i)TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーと官能基を含む複合体と前記試料を接触させること、
(ii)TLR−4に結合していない前記アプタマーまたは複合体を分離すること、および
(iii)前記試料中に存在する前記TLR−4に結合している前記複合体の存在を検出すること
を含む前記インビトロ方法に関する。
【0116】
「アプタマー」、「TLR−4」、「機能的に同等の変異体」、および「試料」という用語が上で詳細に説明されており、それらの定義と特徴が参照により本明細書に含まれる。同様に、本発明の第1インビトロ検出方法の第1ステップと第2ステップの特徴が本発明の第2インビトロ検出方法にも当てはまり、それらの特徴が参照により同様に含まれる。
【0117】
本発明の第2インビトロ検出方法の第3ステップは前記試料中に存在するTLR−4に結合している本発明の複合体の存在を検出することを含む。本発明による複合体の検出は、高い親和性で本発明のアプタマーまたは前記官能基に結合する事実上あらゆる公知の抗体または試薬を用いて実施され得る。本発明のアプタマーの検出が本発明の第1インビトロ検出方法の文脈において詳細に説明されている。同様に、前記官能基に関しても検出が、高い親和性で前記官能基に結合する事実上あらゆる公知の抗体または試薬を用いて実施され得る。この理由のため、前記官能基が検出可能試薬であることが本発明の第2インビトロ検出方法にとって特に適切である。
【0118】
特定の実施形態では前記官能基は放射性核種、フルオロフォア、タンパク質およびハプテンからなる群より選択される検出可能試薬である。
【0119】
「放射性核種」、「フルオロフォア」、「検出可能タンパク質」および「ハプテン」という用語が上で詳細に説明されており、それらの定義と特徴が参照により本明細書に含まれる。
【0120】
当業者によって理解されるように、本発明によって検討されている検出可能試薬は、放射性核種またはフルオロフォアなどのそれら自体が直接的に検出可能である試薬とタンパク質またはハプテンなどの間接的に検出可能である試薬との間に分けられ得る。
【0121】
好ましい実施形態では前記検出可能試薬は放射性核種であり、その検出はその放射性核種により放射される放射線の検出によって実施される。前記放射線は放射性核種の種類に依存することになり、それはα粒子放射、β粒子放射、またはγタイプの放射であり得る。この目的のため、異なる放射性核種について適切な検出技法がよく知られている。例として、123Iにより放射される放射物はガンマカメラによって検出され得る。
【0122】
別の好ましい実施形態では前記検出可能試薬はフルオロフォアであり、その検出はそのフルオロフォアにより放射される蛍光の検出によって実施される。フルオロフォアの使用はその励起スペクトラム内の波長によるそのフルオロフォアの事前励起を必要とし、それによって異なる波長での発光が生じる。本発明において検討されているフルオロフォアの励起波長と発光波長は当技術水準の一部である。放射される蛍光は、例えば、蛍光分光光度計または蛍光顕微鏡を使用することにより蛍光定量法を介して検出され得る。
【0123】
別の好ましい実施形態では前記検出可能試薬はタンパク質である。前記タンパク質は使用されるタンパク質の種類に応じて検出される可能性がある。例えば、
− 酵素は比色分析、化学発光法、または蛍光定量法によって検出可能になるその特異的基質の添加を必要とし、
− 蛍光タンパク質はフルオロフォアのように蛍光定量法によって検出可能であるために適切な波長(例えば、表1に含まれている波長)での励起を必要とし、
− 抗原またはハプテンはそれを特異的に認識する抗体または別の分子を必要とする。検出されるためにはその抗原/ハプテンに特異的な前記抗体または分子は例えば酵素で標識されていなければならず、その検出は標識の種類に依存することになる。
【0124】
当業者は本発明の第2インビトロ方法がELONA、ELASA、沈降およびqPCR、ゲル移動度シフトアッセイ、ウエスタンブロッティング、表面プラズモン共鳴、キネティックキャピラリー電気泳動、蛍光結合アッセイ、アプタヒストケミストリー、アプタサイトケミストリー、蛍光顕微鏡法またはフローサイトメトリーなどの検出技法の一部として実施され得ることを理解する。
【0125】
特定の実施形態ではTLR−4の検出は蛍光によって実施される。
B. TLR−4の阻害のためのインビトロ方法
【0126】
別の態様では本発明は、これ以降「本発明の第1インビトロTLR−4阻害方法」と呼ばれる試料中のTLR−4を阻害するためのインビトロ方法であって、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーとTLR−4を含む試料をTLR−4の阻害に適切な条件で接触させることを含む前記インビトロ方法に関する。
【0127】
「アプタマー」、「TLR−4」、「機能的に同等の変異体」、「TLR−4の阻害」および「試料」という用語が上で詳細に説明されており、それらの定義と特徴が参照により本明細書に含まれる。
【0128】
特定の実施形態では前記試料のTLR−4は生細胞に含まれている。
【0129】
本発明の第1インビトロTLR−4阻害方法は本発明によるアプタマーとTLR−4を含む試料をTLR−4の阻害に適切な条件で接触させることを含む。この目的のために本発明のアプタマーが前記試料に添加され、そのアプタマーがTLR−4に結合する必要がある。
【0130】
「TLR−4の阻害に適切な条件」という用語は、本発明の文脈において、本発明のアプタマーをTLR−4に結合させて、その後でそれを阻害させる定温放置条件を指す。これらの条件には本発明のアプタマーがその試料に添加されるときの緩衝液の組成、アプタマーの量、定温放置時間および定温放置温度が含まれる。本発明のアプタマーをTLR−4に結合させてそれを阻害させるために適切な緩衝液の非限定的な例にはPBS、TBS、リン酸緩衝液およびクエン酸緩衝液が挙げられる。これらの緩衝液は1mMのMgClを含有していることが好ましい。その試料中に存在するTLR−4分子の検出に必要なアプタマーの量はその試料の大きさとその試料の中に存在するTLR−4の量の両方に左右され、その量は当技術分野において一般的に用いられる最適化方法によって容易に決定される可能性がある。例として、アプタマー濃度は少なくとも1fM、少なくとも10fM、少なくとも100fM、少なくとも1pM、少なくとも10pM、少なくとも100pM、少なくとも1nM、少なくとも10nM、少なくとも100nM、少なくとも1μM、少なくとも10μM、少なくとも100μM、またはそれより高い濃度である。アプタマー濃度は好ましくは100fMと1μMとの間、より好ましくは1pMと100nMとの間、さらにより好ましくは100pMと1nMとの間である。
【0131】
本アプタマーは、前記試料中に存在し得るTLR−4分子に本アプタマーを結合させるために適切な温度および充分な時間でその試料と定温放置される。その温度は20℃と37℃の間であることが好ましく、37℃であることがより好ましい。例として、本アプタマーはその試料と少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも60分間、少なくとも120分間、またはそれより長い時間にわたって定温放置される。
【0132】
別の態様では本発明は、これ以降「本発明の第2インビトロTLR−4阻害方法」と呼ばれる試料中のTLR−4を阻害するためのインビトロ方法であって、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーと官能基を含む複合体とTLR−4を含む試料をTLR−4の阻害に適切な条件で接触させることを含む前記インビトロ方法に関する。
【0133】
「アプタマー」、「TLR−4」、「機能的に同等の変異体」、「TLR−4の阻害」、「試料」および「TLR−4の阻害に適切な条件」という用語が上で詳細に説明されており、それらの定義と特徴が参照により本明細書に含まれる。
本発明の医療上の使用
【0134】
本発明の著者らは、実施例4に記載されるように実験で使用された動物において誘導された脳卒中モデルにおいて生じた梗塞の体積を本発明のアプタマーによって妨害または阻止することができることを示した。したがって、本発明のアプタマーのTLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力が本発明のアプタマーを治療上の観点から有用なものにする。本発明のアプタマーによって得られる治療効果が、本発明の複合体の文脈で説明されたように治療活性を有する官能基によって補完され得ることは明らかである。したがって、本発明は本発明のアプタマーおよび本発明の複合体の医療上の使用を企図している。
A. 本発明のアプタマーの医療上の使用
【0135】
別の態様では本発明は、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーであって、医療に使用される前記核酸アプタマーに関する。
【0136】
別の態様では本発明は、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーであって、TLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態の治療用の薬品の製造に使用される前記核酸アプタマーに関する。
【0137】
あるいは、それは、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーであって、TLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態の治療に使用される前記核酸アプタマーの使用として表現され得る。
【0138】
あるいは、それは、対象におけるTLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態の治療のためのインビボ方法であって、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーの前記対象にとっての治療有効量の前記対象への投与を含む前記インビボ方法として表現され得る。
【0139】
本発明によると、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーは標的細胞の表面上のTLR−4に特異的に結合する。本発明のアプタマーがTLR−4と接触するとそのアプタマーはその活性を阻害し、IL−1、IL−8、TNFαおよびIL−12などの炎症誘発性サイトカインの放出を減少または中断させることになる。
【0140】
「アプタマー」という用語は(上掲の)定義およびTLR−4特異的アプタマーとの関連で詳細に説明されており、その定義と特徴が同様に本発明の複合体の文脈でも適用される。
【0141】
「処置」または「治療」という用語は、本発明の文脈において、TLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする前記病的状態の1つ以上の症状を予防する試み、治療する試み、遅延化する試み、それらの症状の重篤度を軽減する試み、またはそれらの症状を改善させる試みにおける臨床介入、またはそのような処置が存在しない場合の予想を超える患者の生存時間の延長を目的とした臨床介入を指す。
【0142】
「標的細胞」という用語は、本発明の文脈において、特に単球、マクロファージ、ミクログリア細胞、顆粒球および未成熟樹状細胞などの骨髄細胞系列の細胞、ならびに神経細胞などの他の系列の細胞等をはじめとするTLR−4を発現する特定の細胞を指す。特定の実施形態ではその標的細胞は単球またはマクロファージである。別の特定の実施形態ではその標的細胞はミクログリア細胞である。別の特定の実施形態ではその標的細胞は顆粒球である。別の特定の実施形態ではその標的細胞は未成熟樹状細胞である。別の特定の実施形態ではその標的細胞は神経細胞である。
【0143】
特定の実施形態ではその標的細胞は哺乳類細胞である。別の好ましい実施形態ではその哺乳類細胞はヒト細胞である。
【0144】
「対象」または「個体」という用語は哺乳類種のメンバーを指し、その用語には家畜およびヒトを含む霊長類が含まれるがこれらに限定されず、その対象はあらゆる年齢または人種の男性または女性のヒトであることが好ましい。
【0145】
「治療有効量」という用語は、本発明の文脈において、TLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする前記病的状態の1つ以上の目に見える症状の予防、治療、遅延化、それらの症状の重篤度の軽減、またはそれらの症状の改善に必要な本発明のアプタマーの量を指す。
【0146】
「TLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態」という用語は、本発明の文脈において、正常または基準生理的条件または基準値に対して、TLR−4発現細胞がTLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を示している病的状態、および/またはTLR−4発現細胞の量の増加が存在する病的状態であって、TLR−4がその疾患の原因であるかどうかに関係なく前記細胞が直接的または間接的に関係する前記病的状態を指す。TLR−4の活性化によって、IL−1、IL−8、TNFαおよびIL−12などの炎症性サイトカインの放出を引き起こし、炎症および細胞損傷の原因となるシグナル伝達カスケードが生じることを考慮すると、TLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする前記病的状態は炎症性成分を有することをさらに特徴とし得る。
【0147】
特定の実施形態ではTLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする前記病的状態は特に脳卒中、急性心筋梗塞、敗血症、アテローム性硬化症、多発性硬化症、リウマチ性関節炎、網膜変性疾患、および薬物中毒からなる群より選択される。
【0148】
好ましい実施形態ではTLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする前記病的状態は脳卒中である。「脳卒中」または「脳血管性疾患」または「脳梗塞」または「卒中」という用語は、本発明の文脈において、異常な突然の脳血流量の重大な減少によって引き起こされる神経学的欠損を特徴とする病的状態(虚血性脳卒中)、または脳血管の破裂によって引き起こされる出血を原因とする病的状態(出血性卒中)を指す。虚血性脳卒中では脳塊に血液を供給する動脈のいずれかの閉塞を原因とする血流の突発瞬時の遮断に起因して血液供給が失われ、それによって梗塞領域が出現することになる。動脈の閉塞は一般的にアテローム性硬化症または別の場所、基本的には心臓または他の動脈に由来する塞栓(脳塞栓)を原因とする。出血性卒中では脳内の血管の破裂が起こり、その動脈に応じた脳の領域から血液が奪われる。加えて、流出する血液が他の血管を含む脳構造を圧迫し、そのことがその脳内出血に続いて起こる虚血による患部を増加させる。
【0149】
好ましい実施形態ではTLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする前記病的状態は急性心筋梗塞である。「急性心筋梗塞」または「梗塞」または「心臓発作」という用語は、本発明の文脈において、冠動脈うちの1つの閉塞によって引き起こされる心臓のある領域の組織損傷を伴う不充分な血液供給を特徴とする病的状態を指す。その閉塞から生じる虚血または不充分な酸素供給が狭心症を引き起こし、すぐに再カニューレ処置されればそれによって心臓組織の死が引き起こされることはないが、この酸素欠乏が維持されると心筋が損傷を受け、壊死を起こす、すなわち、最終的に梗塞が生じる。
【0150】
好ましい実施形態ではTLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする前記病的状態は敗血症である。「敗血症」または「毒血症」という用語は、本発明の文脈において、一般的には重篤な感染症によって引き起こされる全身性炎症反応症候群(SIRS)を指す。生物のこの反応は生物のあらゆる組織または体液中の病原微生物の存在に対する反応の中で生じ、且つ、SIRSを作動させる炎症誘発性物質を放出する免疫系自体の作用によって引き起こされる。それは次の特徴、すなわち発熱、異常高熱、頻呼吸、頻脈、および白血球増加のうちの少なくとも2つの存在を特徴とする。
【0151】
好ましい実施形態ではTLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする前記病的状態はアテローム性硬化症である。「アテローム性硬化症」という用語は、本発明の文脈において、中型および大型の動脈の壁における脂質物質の沈着および浸潤を特徴とする症候群または病的状態を指す。動脈壁の細胞がこの沈着を侵入として捉え、そして免疫系の循環単球を活性化し、それらの単球がその動脈壁に浸潤し、マクロファージに転換され、そしてLDL粒子の貪食を開始し、炎症過程を引き起こす。今度は炎症がその壁の平滑筋細胞の増殖と移動を引き起こし、そのことが動脈径の狭窄を徐々に引き起こす。その特異的肥厚はアテローム性プラークと呼ばれる。これが動脈硬化症の最も一般的な形態である。アテローム性硬化症候群を構成し、且つ、アテローム性プラークを介した動脈の関与と、したがって、血流の閉塞または虚血を特徴とする疾患は、その関与する器官の動脈に応じて、
− 心臓における疾患であり、その最も代表的なものが急性心筋梗塞である虚血性心臓疾患、
− 中枢神経系における疾患である、脳卒中または脳血栓症または脳出血の形態の脳血管性疾患、
− 最も重篤なものが急性下肢動脈虚血である間欠性跛行症、
− 40歳を超える人々における性交不能の主要な原因である勃起不全、
− 腸の動脈における疾患であり、結腸(大腸)への血流の妨害によって引き起こされる炎症(痛みと膨潤)のある領域である虚血性大腸炎、
− 最も重篤であるものが大動脈解離である大動脈瘤
である。
【0152】
好ましい実施形態ではTLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする前記病的状態は多発性硬化症である。「多発性硬化症」という用語は、本発明の文脈において、中枢神経系の脱髄鞘性の神経変性慢性病変の発生を特徴とする病的状態を指す。様々な自己免疫機構の関与が示されているが、その原因は現在では不明である。多発性硬化症の患者ではリンパ球が血液脳関門を通過してミエリンを冒し、一方でマクロファージおよび神経膠細胞によって促進される炎症過程が生じる。
【0153】
好ましい実施形態ではTLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする前記病的状態はリウマチ性関節炎である。「リウマチ性関節炎」という用語は、本発明の文脈において、関節の持続性滑膜炎を引き起こすこと、関節の進行性破壊を引き起こすこと、様々な程度の変形と機能障害を引き起こすことを特徴とする全身自己免疫性炎症病態を指す。その過程は液性因子と細胞因子、特にCD4 T細胞の介入によって始まり、それらの因子は炎症介在性分子を生成し、末梢血液細胞を誘引し、且つ、活性化し、滑膜細胞の増殖と活性化を引き起こし、関節軟骨、軟骨下骨、腱および靭帯に浸潤してそれらを破壊する。
【0154】
好ましい実施形態ではTLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする前記病的状態は網膜変性疾患である。「網膜変性疾患」という用語は、本発明の文脈において、網膜炎症の結果であり得る網膜の変性を特徴とする疾患または障害を指す。TLR−4介在性ミクログリア活性化が網膜炎症過程に寄与することが示されている。主要な網膜変性疾患には
− 網膜に対する損傷のために視野の中央の視力喪失(黄斑)を引き起こす加齢黄斑変性(AMD)。加齢黄斑変性には「乾燥」型と「湿潤」型がある。乾燥(非滲出)型ではドルーゼンと呼ばれる細胞残屑が網膜と脈絡膜との間に蓄積し、網膜に対して萎縮と瘢痕形成を引き起こす。より重篤である湿潤(滲出)型では血管が網膜の裏の脈絡膜で成長し、それらの血管が滲出液と体液を漏出することがあり、出血を引き起こすこともある。
− 通常は法的盲目までの進行性の視力喪失を引き起こす遺伝性の若年性黄斑変性であるシュタルガルト病、すなわち黄色斑眼底。症状の発現は通常は6歳と13歳の間(平均で約16〜18歳)にあるようである。20歳までに症状が発生することが典型的であり、それらの症状には歪視、盲点、ぼやけ、色覚異常、および薄暗い照明への順応障害が含まれる。
− 網膜中の桿体光受容細胞の進行性変性に起因して重篤な視力障害を引き起こす遺伝性の変性眼疾患である網膜色素変性症(RP)。初期のRPの患者は最初に桿体光受容器の減退に起因する周辺視覚および薄明視覚の低下に気付く。その進行性桿体変性の後に続いて隣接する網膜色素上皮の異常と錐体光受容細胞の劣化が起こる。周辺視野が次第に低下するので、患者は進行性の「視野狭窄」と最終的な盲目を経験する。
− コロイデレミア、レーバー先天性黒内障、若年性網膜分離症、アッシャー病、およびバルデー・ビードル症などの他の遺伝疾患
が含まれる。
【0155】
特に好ましい実施形態ではその網膜変性疾患はAMD、シュタルガルト病、RP、コロイデレミア、レーバー先天性黒内障、若年性網膜分離症、アッシャー病、およびバルデー・ビードル症からなる群より選択される。より好ましい実施形態ではその網膜変性疾患はAMDである。別のより好ましい実施形態ではその網膜変性疾患はシュタルガルト病である。別のより好ましい実施形態ではその網膜変性疾患はRPである。別のより好ましい実施形態ではその網膜変性疾患はコロイデレミアである。別のより好ましい実施形態ではその網膜変性疾患はレーバー先天性黒内障である。別のより好ましい実施形態ではその網膜変性疾患はアッシャー病である。別のより好ましい実施形態ではその網膜変性疾患はバルデー・ビードル症である。
【0156】
好ましい実施形態ではTLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする前記病的状態は薬物中毒である。「薬物中毒」または「薬物依存」という用語は、本発明の文脈において、薬物と呼ばれる中毒性物質の頻用によって引き起こされる障害または病的状態を指す。ICD−10(世界保健機構、2005年)によると、そのように診断されるためには薬品依存は、物理的依存に関連する態様と精神的依存に関連する態様の両方に当てはまる次の特徴、すなわち
− その物質を摂取したいという強い欲望、
− 前記摂取を抑制することの困難さ、
− 摂取が中断または減少したときの離脱症候群、
− 耐性、
− 物質摂取以外の関心の漸進的な放棄、
− その物質の獲得、またはその物質の効果からの回復に関する活動に使われる時間の長期化、
− その物質の有害な効果を明確に認識したうえでのその物質の使用への固執
のうちの3つ以上を12か月の期間内に提示する必要がある。
【0157】
TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーの対象への投与のため、前記アプタマーは適切な医薬組成物に製剤される。前記医薬組成物の詳細が下に記載されている。
B. 本発明の複合体の医療上の使用
【0158】
TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーと本発明による官能基を含む本発明による前記複合体は、TLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態の治療に適切な薬品を官能基として含み得る。したがって、(i)TLR−4の活性の阻害と(ii)その薬品の作用部位へのその薬品の特異的な仕向けという二重の目標が達成される。
【0159】
したがって、別の態様では本発明は、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーと官能基を含む複合体であって、医療に使用される前記複合体に関連する。
【0160】
別の態様では本発明は、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーと官能基を含む複合体であって、TLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態の治療用の薬品の製造に使用される前記複合体に関する。
【0161】
あるいは、それは、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーと官能基を含む複合体であって、TLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態の治療に使用される前記複合体の使用として表現され得る。
【0162】
あるいは、それは、対象におけるTLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態の治療の方法であって、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーと官能基を含む複合体の前記対象にとっての治療有効量の前記対象への投与を含む前記方法として表現され得る。
【0163】
本発明によると、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーおよび薬品を含む複合体は、標的細胞の表面にあるTLR−4に特異的に結合する。本発明のアプタマーがTLR−4と接触するとそのアプタマーはその活性を阻害し、IL−1、IL−8、TNFαおよびIL−12などの炎症誘発性サイトカインの放出を減少または中断させることになり、そしてその薬品がその細胞または前記細胞が位置する環境に対してその機能を発揮する。
【0164】
「アプタマー」、「TLR−4」、「機能的に同等の変異体」、「複合体」、「官能基」、「薬品」、「治療」、「治療有効量」、「対象」、「標的細胞」および「TLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態」という用語が上で詳細に説明されており、それらの定義と特徴が参照により本明細書に含まれる。
【0165】
TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有する核酸アプタマーと共に形成される前記複合体内の官能基として使用され得る適切な薬品にはナロキソン、ナルトレキソン、LPS、イブジラスト、プロペントフィリン、アミトリプチリン、ケトチフェン、シクロベンザプリン、ミアンセリンおよびイミプラミンなどのTLR−4アンタゴニスト;アスピリンおよびクロピドグレルなどの抗血小板薬;ヘパリン、アセノクマロール、ワルファリン、ダビガトランおよびリバーロキサバンなどの抗凝血薬;およびエダラボンなどの抗酸化剤;組織プラスミノーゲン活性化因子およびその組換え変異体;TLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態に関係する遺伝子の発現を停止させる能力を有するアンチセンスRNA、アンチセンスDNAおよび低分子干渉RNAなどの核酸;シグナル伝達ペプチドおよび標的結合ペプチドなどのペプチドが含まれるがこれらに限定されない。
医薬組成物
【0166】
TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマー、またはTLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーと官能基を含む複合体を必要とする対象への投与のため、前記アプタマーおよび複合体は適切な医薬組成物に製剤され得る。
【0167】
別の態様では本発明は、これ以降「本発明の第1医薬組成物」と呼ばれる、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を含む少なくとも1種類の核酸アプタマーを含む医薬組成物に関する。
【0168】
特定の実施形態では本発明の第1医薬組成物は1種類以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または溶媒をさらに含む。
【0169】
別の態様では本発明は、これ以降「本発明の第2医薬組成物」と呼ばれる、TLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を備える核酸アプタマーと官能基を含む少なくとも1種類の複合体を含む医薬組成物に関する。
【0170】
特定の実施形態では本発明の第2医薬組成物は1種類以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または溶媒をさらに含む。
【0171】
本発明によって提供されるそれらの医薬組成物はTLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態の治療のために対象に投与され得る。
【0172】
「アプタマー」、「TLR−4」、「機能的に同等の変異体」、「複合体」、「官能基」、「薬品」、「治療」、「対象」および「TLR−4の発現上昇および/またはTLR−4の活性化亢進を特徴とする病的状態」という用語が上で詳細に説明されており、それらの定義と特徴が参照により本明細書に含まれる。
【0173】
「薬学的に許容可能な担体」または「薬学的に許容可能な賦形剤」または「薬学的に許容可能な溶媒」という用語は、本発明の文脈において、医薬投与に適合した溶媒、分散媒、被覆材、抗菌剤および抗真菌剤、吸収遅延化剤および等張剤等のうちのありとあらゆるものを含むことを求めている。医薬活性物質中でのそのような担体およびベヒクルの使用が当技術分野においてよく知られている。どんな従来の担体もその活性化合物と不適合ではない限り、本発明の組成物中でのその使用が企図されている。許容可能なベヒクル、賦形剤、または許容可能な安定化剤は使用される用量および濃度で対象に対して無毒であり、それらにはリン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンをはじめとする抗酸化剤;保存剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノールアルコール、ブチルアルコールまたはベンジルアルコール;メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール、およびm−クレゾール等);低分子量ポリペプチド(約10アミノ酸未満);血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性重合体;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリシンなどのアミノ酸;単糖類、グルコース、マンノース、またはデキストリンをはじめとする二糖類、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;ショ糖、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;金属錯体(例えば、Znタンパク質錯体);および/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0174】
追加の活性化合物を本発明によって提供される前記医薬組成物の中に組み入れることもできる。したがって、特定の実施形態では本発明によって提供される前記医薬組成物は、問題の特定の適応症の求めに応じて1種類より多くの活性化合物を、好ましくは相互に悪影響を与えない相補的な活性を有する活性化合物を含有することもできる。例えば、化学療法剤、サイトカイン、鎮痛薬、抗炎症薬、または免疫抑制剤をさらに提供することが望ましくあり得る。前記他の活性薬剤の有効量は何よりも前記医薬組成物内に存在する本アプタマーまたは本複合体の治療量、治療される病的状態の性質と重症度、対象等に左右される。
【0175】
1つの実施形態ではTLR−4に特異的に結合してそれを阻害する能力を有し、且つ、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される配列またはその機能的に同等の変異体を含む前記核酸アプタマー、または本発明の複合体は、移植物およびマイクロカプセル化送達系をはじめとする制御放出製剤のように、体からの急速な排出から前記製品を守るベヒクルと共に製剤される。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生物分解性重合体および生体適合性重合体を使用することができる。そのような製剤の調製のための方法は当業者にとって明白である。これらの製剤は当業者によって知られている方法、例えば、米国特許第4522811号明細書に記載される方法に従って調製され得る。
【0176】
本発明によって提供される前記医薬組成物はあらゆる適切な投与経路、例えば非経口経路等によって対象に投与され得る。
【0177】
「非経口」という用語は、本発明の文脈において、静脈内投与、腹膜内投与、筋肉内投与、または皮下投与を含む。静脈内型の非経口投与が一般的に好まれる。
【0178】
さらに、本発明によって提供される前記医薬組成物は、例えば、本アプタマーまたは本発明の複合体の用量を減少させていくパルス注入によって適切に投与され得る。その投与量は、その投与が一時的なものであるのか、または長期のものであるのかに部分的に応じて好ましくは注射によって提供され、より好ましくは静脈内注射または皮下注射によって提供される。
【0179】
別の特定の実施形態では本発明によって提供される前記医薬組成物に無菌の溶液、懸濁液、または適切な剤形の凍結乾燥製品を添加してそれらの医薬組成物を非経口投与用に改変することができる。注射使用に適切な医薬組成物には無菌の水性溶液または水性分散体、または無菌の注射溶液もしくは注射分散体の調製用の無菌粉剤が含まれる。静脈内投与のため、適切なベヒクルには生理食塩液、静菌水クレモホールEM(BASF社、パーシッパニー、ニュージャージー州)、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。全ての事例において、前記組成物は注射適性を促進するために無菌であり、且つ、流動性である必要がある。前記組成物は製造条件および貯蔵条件において安定的である必要があり、且つ、細菌および真菌などの微生物の汚染混入活動に備えて保存される必要がある。前記ベヒクルは、例えば、水、エタノール;グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなどの薬学的に許容可能なポリオール;およびそれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒であり得る。例えば、レシチンなどの被覆材の使用によって、分散体の場合は必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって適切な流動性を維持することができる。微生物の活動の防止は様々な抗菌薬および抗真菌薬、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等によって達成され得る。多くの事例において、組成物等張剤、例えば、糖;マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール;および塩化ナトリウムを前記組成物の中に含めることが好ましくなる。注射可能組成物の吸収の長期化は、吸収遅延化剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよび/またはゼラチンを前記組成物の中に含んで引き起こされ得る。
【0180】
前記注射可能無菌溶液は、必要に応じてこれまでに挙げた成分のうちの1つ、またはそれらの成分の組合せと共に必要な量の前記活性化合物(例えば、本発明のアプタマーまたは複合体)を適切な溶媒の中に組み入れ、続いて濾過滅菌することにより調製され得る。概して、前記分散体は基礎分散媒およびこれまでに挙げた成分のうちの他の必要な成分を含む無菌ベヒクルの中に前記活性化合物を組み入れることにより調製される。注射可能無菌溶液の調製用の無菌粉剤の場合では、好ましい調製方法は真空乾燥および凍結乾燥であり、それは前記有効成分とあらゆる追加の所望の成分の粉末をそれまでに濾過されたそれらの無菌溶液から作製する。
【0181】
特定の実施形態では前記医薬組成物は静脈内経路を介して投与される。増量剤、緩衝剤または界面活性剤などの適切な賦形剤を使用することができる。言及された製剤は、スペイン薬局方および米国薬局方および類似の参考書の中で記載または考慮されている方法のような標準的方法を使用して調製される。
【0182】
投与量の投与を容易にし、且つ、投与量の均一性を促進するために投薬単位剤形で前記医薬組成物、すなわち、前記非経口組成物を製剤することが特に有利である。本明細書において使用される場合、投薬単位剤形は、治療される対象にとって単位投与量として適切であり、各々が所望の治療効果をもたらすように算出された所定の量の活性化合物(本発明のアプタマーまたは複合体)を必要な医薬用媒体と共同して含む物理的に分かれた単位を指す。本発明の単位剤形の仕様は前記活性化合物のユニークな特徴、および達成されるべき特定の治療効果、および対象の治療のためのそのような活性化合物の合成技術に固有の制約によって条件づけられており、且つ、直接的にそれらに左右される。
【0183】
前記活性化合物(本発明のアプタマーまたは複合体)は一日当たり体重に対して0.0001〜1.000mg/kgの区間内の、好ましくは一日当たり体重に対して約0.001〜約100mg/kgまでの、より好ましくは一日当たり体重に対して約0.01〜10mg/kgまでの典型的な総一日用量で一日に1回以上、例えば、一日に1回、2回、3回、または4回投与されることが典型的である。前記医薬組成物は所望の量の本発明のアプタマーまたは複合体、例えば、治療有効量の本発明のアプタマーまたは複合体を含むことを目的として製剤され得る。
【0184】
本発明によって提供される前記医薬組成物は投与指示書と共に容器、包装箱、または分注器の中に含められ得る。
本発明のイメージング方法
【0185】
別の態様では本発明は、本発明による1種類以上のアプタマーと官能基を含み、前記官能基が検出可能部分である本発明による複合体であって、TLR4を発現する細胞、組織、または器官の生体イメージングのための前記複合体の使用に関する。
【0186】
本発明によるインビボイメージング方法に使用される適切な検出可能部分は本発明の複合体の文脈において上で説明されており、それらの検出可能部分には放射性核種、フルオロフォア、造影剤、タンパク質およびハプテンが含まれるがこれらに限定されない。
***
【0187】
次の実施例によって本発明を以下で説明するが、それらの実施例は単なる例示であり、本発明の範囲を決して限定しない。
【実施例】
【0188】
材料と方法
アプタマーライブラリー
【0189】
本発明者らはTLR−4に特異的なアプタマーのスクリーニングを実施するためにIBA GmbH社(ゲッティンゲン、ドイツ)によって供給されるRND40アプタマーライブラリーを使用した。初期RND40ライブラリーは、18ヌクレオチドからなる末端固定配列と無作為配列を有する40塩基からなる中央領域を有する理論的に1024種類の一本鎖DNA(ssDNA)オリゴヌクレオチドであって、それらのオリゴヌクレオチドのPCR増幅のためにそれぞれがその末端固定配列で各プライマーにハイブリダイズする前記オリゴヌクレオチドから構成される。それらのスクリーニングの実施においてこのライブラリーに由来する1013種類のオリゴヌクレオチドが使用された。
6HIS組換えhTLR−4
【0190】
ヒトTLR−4タンパク質の細胞外ドメインであるアミノ酸24〜631に対応するタンパク質をC末端で6−ヒスチジンタグに融合してバキュロウイルスにおける発現によって組換え生成した。
細胞
【0191】
Invivogen社(サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)からHEK293T細胞とHEK293T/TLR−4細胞を得た。
HEK−293T−TLR4/HEK−293T細胞を用いるスクリーニング
【0192】
各スクリーニングラウンドのため、8〜10×10個のHEK−293T細胞をP6プレートウェル中に播種したものをスクリーニングアッセイの24時間前に三組作成し、そして37℃、5%COで培養した。その後、前もって95℃で10分間にわたって変性し、続いて4℃で10分間にわたって定温放置した100μlのPBS中に1nmolのRND40ライブラリー(または先行スクリーニングラウンドにおいて単離された集団)のアプタマーを添加し、10%ウシ胎児血清、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび25μg/mlのアムホテリシンを補充した300μlのDMEM培地(ダルベッコ改変イーグル培地)をそれらの細胞に添加および適用した。37℃、5%COで1時間の定温放置の後に結合していないアプタマーを含むその培養培地を取り除き、それらの細胞をPBSで二回洗浄し、そして1500rpmでの遠心分離により500μlのPBS中に回収した。上清を除去するためにそれらの細胞を遠心分離し、そしてそれらの細胞に接着しているアプタマーをPCRによって増幅して次のスクリーニングラウンドにとって充分な量を準備した。
【0193】
先行スクリーニングラウンドから単離された集団についてHEK−293T細胞に対するRND40アプタマーライブラリーのカウンタースクリーニングを初期RND40集団の事前調製時と3回全てのスクリーニングラウンド時に行った。この目的のために8〜10×10個のHEK−293T細胞をP6プレートウェル中に播種したものをスクリーニングアッセイの24時間前に三組作成し、そして37℃、5%COで培養した。その後、前もって95℃で10分間にわたって変性し、続いて4℃で10分間にわたって定温放置した100μlのPBS中に1nmolのRND40ライブラリー(または先行スクリーニングラウンドにおいて単離された集団)のアプタマーを添加し、10%ウシ胎児血清、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび25μg/mlのアムホテリシンを補充した300μlのDMEM培地(ダルベッコ改変イーグル培地)をそれらの細胞に添加および適用した。37℃、5%COで1時間の定温放置の後、TLR−4のスクリーニングラウンドにおいて使用するために結合していないアプタマーを含むその培養培地を取り除いた。
可溶性hTLR−4タンパク質を用いるスクリーニング
【0194】
各スクリーニングラウンドのため、先行スクリーニングラウンドにおいて濃縮されたRND40ライブラリーを使用する。アプタマー緩衝液(20mMのトリス塩酸、pH7.4、1mMのMgCl、150mMのNaCl、5mMのKCl)中で1nmolのアプタマーを7μgの6×HIS−hTLR−4と(1hTLR−4分子に対して10アプタマー分子の比率で)37℃で1時間にわたって撹拌しながら定温放置した。その後、NTA−Ni樹脂(QIAGEN社、ドイツ)を添加し、4℃で1時間にわたって定温放置して前記タンパク質を捕捉した。アプタマー緩衝液を用いる3回の洗浄の後に結合配列をPCRによって増幅して次のスクリーニングラウンドにとって充分な量を準備した。
【0195】
スクリーニングと同じ条件だが前記樹脂に結合したTLR−4タンパク質が存在しない状態でカウンタースクリーニングを実施する。
選択されたアプタマーの増幅
【0196】
選択されたアプタマーを20μlの蒸留水中に再懸濁し、200μlの最終体積中に0.8μMの配列番号5のプライマー、0.8μMの配列番号6のプライマー、200mMのdNTP、2mMのMgCl、10UのTaqポリメラーゼ(Biotools社、スペイン)の条件で配列番号5(GCGGATGAAGACTGGTGT)の配列および配列番号6(GTTGCTCGTATTTAGGGC)の配列と対応するプライマーを使用する、次の増幅プログラム、すなわち95℃で2分;95℃で30秒、56℃で30秒および72℃で30秒を15サイクル;および最後に72℃で5分に従うPCRによってそれらのアプタマーを増幅した。
ELONA
【0197】
選択されたアプタマーが前記TLR−4タンパク質を認識するか決定した。この目的のために100ng/ウェルの6×HIS−組換えTLR−4を96ウェルマイクロタイタープレートに添加し、4℃で16時間にわたって定温放置した。その後、5’末端をジゴキシゲニンで標識された個々のアプタマーを5μg/mLの濃度に希釈し、その後に95℃で10分間にわたって変性し、そして氷上で10分間にわたって冷却した。その後、100μlのアプタマー緩衝液中のそれらのアプタマーの各々(200nM)を20pmolずつ各ウェルに添加し、そしてそのプレートを37℃で1時間にわたって定温放置した。最終的にそのプレートをペルオキシダーゼ結合抗ジゴキシゲニン抗体と共に定温放置し、そしてABTSを使用して現像した。抗Li H2A DNAアプタマー(Martinら著、2013年、PLoS ONE誌、第8巻:e78886頁)を陽性対照として使用した。
前記アプタマーの組換えhTLR−4への結合についての結合アッセイ
【0198】
特定されたアプタマーの各々のhTLR−4への結合能力を分析する目的のため、前もって平衡化したNi−NTA樹脂にヒスチジンタグを介してhTLR−4を結合させる実験を実施した。その後、95℃で10分間にわたる熱変性とその後の4℃で10分間にわたる再生によって前もって構造化した1pmolのTLRApt#1Rアプタマー(配列番号3)、TLRApt#2Fアプタマー、TLRApt#3RアプタマーおよびTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)と1pmolのTLR4を含むそれらの樹脂タンパク質間複合体を定温放置した。37℃で10分間にわたって定温放置した後、それらの複合体を洗浄し、1mMのMgClを含むPBS中に溶解した150mMのイミダゾールを用いてそれらのアプタマーを回収した。IQ5サーマルサイクラー(BioRad社)において配列番号5の配列と配列番号6の配列を有するプライマーを使用する定量的PCR(qPCR)によってhTLR−4に結合したアプタマーの値を決定した。
前記アプタマーの細胞中で発現したTLR−4への結合についての結合アッセイ
【0199】
特定されたアプタマーのHEK−293細胞内発現TLR−4タンパク質への結合能力を分析する目的のため、アッセイ開始の2日前に2×10細胞/ウェルの密度で96ウェルマイクロタイタープレート中にウェル当たり20,000細胞で播種されたHEK−293−TLR4細胞培養物にTLRApt#1Rアプタマー(配列番号3)、TLRApt#2Fアプタマー、TLRApt#3RアプタマーおよびTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)の各々を20pmolずつ添加した。37℃、5%COで30分間にわたって定温放置した後にそれらの細胞を洗浄し、1mMのMgClを含むPBS中に溶解した150mMのイミダゾールを用いてそれらのアプタマーを回収し、そしてqPCRを実施してCt値を決定した。
hTLR−4受容体活性アッセイ
【0200】
これらのアッセイを実施するため、大腸菌K12由来のリポ多糖(LPS−EK)であるアゴニストの結合によって活性化されるMD2タンパク質およびCD14タンパク質と共にヒトTLR−4受容体を発現するHEK−Blue hTLR4細胞(Invivogen社、照会番号hkb−htlr4)を使用した。TLR−4の活性化を検出するためにこの細胞株はNF−kBプロモーターによって制御されるSEAP(分泌型胚性アルカリホスファターゼ)レポーター遺伝子を含み、それによってTLR−4により誘導されるこのNF−kBシグナル伝達経路に応答してそのレポーター遺伝子が発現する。そのSEAP酵素は培養培地中に分泌され、その市販の基質QUANTI−Blue(商標)(Invivogen社、サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)の添加と代謝によりその酵素が赤色から青色への培地の色の変化を引き起こす。加えて、LPS−EK UP(大腸菌K12由来リポ多糖、超高純度)対照アゴニスト分子およびLPS−RS UP(R. sphaeroides由来リポ多糖、超高純度)対照アンタゴニストを無菌PBS中の1mMのMgClの中にそれぞれ0.02ng/μLおよび2ng/μLの濃度に溶解する。それらのアプタマーを無菌PBS中の1mMのClMgの中に0.1、1、10および100ng/μLの濃度で調製し、95℃で10分間にわたって変性し、そして4℃で10分間にわたって構造化した。
【0201】
前記アッセイのため、(1×)HEK−Blue(商標)Selectionを補充した200μLの完全DMEM培地中に2×10細胞/ウェルの割合でHEK Blue−hTLR4細胞を96ウェル培養プレートに播種した。それらの細胞が70〜80%の集密になる24時間または48時間の定温放置後にその培地を回収し、そして170μLの新しい培地を添加する。対照ウェルには30μLのSELEX緩衝液を添加する。他のウェルには20μLの20ng/mLの濃度(0.1ng/mLの終濃度)のLPS−EKウルトラピュア(Invivogen社、米国)または20μLのmL当たり1.5〜2.5×107個のHEK293細胞の溶解液(損傷関連分子パターン;DAMP)をアゴニスト分子として添加した。1時間の定温放置後に適切な濃度までSELEX緩衝液中に希釈した10μLのアプタマーを図面中に表示されている終濃度に到達するようにそれらのウェルに添加した。200ng/mLの濃度のLPS−RSウルトラピュア(Invivogen社、米国)をアンタゴニスト対照として使用した。24時間後にQUANTI−Blue(商標)基質(Invivogen社)を使用して630nmで分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)活性を測定した。
マクロファージに対するアプタマーの効果
【0202】
腹膜マクロファージを1×10細胞/mlの密度で12ウェルプレートに播種した。マクロファージを500ng/mlのLPSの存在下で刺激し、1時間後に本アプタマーを20nMおよび200nMの終濃度まで添加した。24時間後にグリース反応によって亜硝酸塩放出を測定した。試料を二連でアッセイした。
脳卒中の動物モデル
【0203】
28〜30gの体重の成体のオスC57BLマウスを使用した。C57BL/10ScNJ(以前にC57BL/10ScCrと呼ばれた)マウスとC57BL/10ScSnマウスをジャクソン・ラボラトリー(バーハーバー、メーン州、米国)から取得した。C57BL/10ScNJマウス株はTLR4遺伝子の欠失によって機能的TLR4を発現せず、C57BL/10ScSn株はTLR4遺伝子中のいかなる突然変異も発現せず、対照群として使用される。群当たり4匹のTLR4欠損マウス(C57BL/10ScNJ)を使用し、群当たり4匹の対照マウス(C57BL/10ScSn)を使用した。全ての実験プロトコルが(欧州指令86/609/EECおよび32/2007/ECに従う)コンプルテンセ大学の「動物福祉委員会」の指針に準拠した。それらの動物を正常な温度条件、湿度条件および自由飲食を含む12時間毎の明暗サイクル条件で飼育した。
【0204】
Casoら著、2007年の教示(Casoら著、2007年、Circulation誌、第115巻:1599〜608頁)に従って中大脳動脈閉塞(MCAO)により局所脳虚血の誘導を実施した。簡単に説明すると、総頚動脈(CCA)の結紮および中大脳動脈(MCA)の遠位同側性閉塞によって恒久的な局所脳虚血を誘導する。CCAの結紮のために腹部から頚部への切開を行って前記動脈を取り出し、結紮を用いてそれを恒久的に閉塞する。MCAの閉塞のために左眼の外眼角および外耳道を結ぶ垂線から1cmの所で切開を行い、側頭筋を取り除いた。結紮によって閉塞されるMCAを露出させるためにドリル穴を形成する。外科手術、それらの切開の閉鎖、および消毒の後に水と食料への自由なアクセスがあるケージにそれらの動物を戻す。外科手術中に動物の生体信号を制御する。
【0205】
脳損傷を磁気共鳴イメージングによって評価した。簡単に説明すると、MCAOから24時間後にイソフルランを用いて前記マウスを麻酔し、梗塞のサイズをMRIにより評価した。4.7Tで作動するBIOSPEC BMT 47/40(Bruker−Medical社、エットリンゲン、ドイツ;MRIユニット、Instituto Pluridisciplinar、UCM)の中でT2強調画像(T2WI)を取得した。
フローサイトメトリー分析
【0206】
FACScanモデルフローサイトメーター(ベクトン・ディッキンソン・イムノサイトメトリーシステムズ社)上で全てのフローサイトメトリー分析を実施した。HEK−Blue(商標)Selection緩衝液を補充した200μLの完全DMEM培地中に2×10細胞/ウェルの割合でHEK293細胞またはHEK Blue−hTLR4細胞を24ウェル培養プレート上に播種することによって細胞表面TLR4へのアプタマーの結合を分析した。その後、前記TLR−4活性化因子LPS−EK−UP(0.4ng/ウェル)を用いて、または用いずに30分間にわたって細胞を処理し、その後で1mMのMgClおよび1mg/mlのBSAを含む50μLの体積のPBS緩衝液中のAlexa Fluor488標識アプタマー(20nM)を用いて暗所において室温で30分間にわたって処理する。その後、細胞を2mLの同じ緩衝液で洗浄し、0.5mLのその緩衝液の中に懸濁し、そしてフローサイトメトリー分析に掛けた。
ヌクレアーゼ消化
【0207】
300ngのアプタマーを95℃まで加熱し、そして氷上で冷却することによりSELEX緩衝液中でフォールディングさせた。再フォールディングされたアプタマーを10μLの反応において2UのλエキソヌクレアーゼまたはDNAse I(Fermentas社)と37℃で10分間、30分間、1時間、2時間、および4時間にわたって定温放置した。その後、試料を3%アガロースゲル上で分離した。バンドをGelRed(Biotium社)によって可視化し、Image Studio Digits V3.1ソフトウェアを使用してそれらを定量した。
実施例1:TLR−4に特異的なアプタマーのスクリーニング
【0208】
本発明者らはTLR−4に特異的なアプタマーのスクリーニングを実施するためにIBA GmbH社(ゲッティンゲン、ドイツ)によって供給されるRND40アプタマーライブラリーを使用した。初期RND40ライブラリーは、それぞれ18ヌクレオチドからなる末端固定配列と無作為配列を有する40塩基からなる中央領域を有するオリゴヌクレオチド(ssDNA)であって、それらのオリゴヌクレオチドのPCR増幅のためにそれらのオリゴヌクレオチドがその末端固定配列で各プライマーにハイブリダイズする前記オリゴヌクレオチドから構成される。
【0209】
1013種類のアプタマーからなる初期RND40ライブラリーをhTLR−4に特異的なアプタマーに関して濃縮した。TLR−4を用いるスクリーニングの先行ステップとして、標的分子を提示する表面またはマトリックス(磁性樹脂、標的タンパク質を発現する株と同じ株の細胞、等)のライブラリーに対して「カウンタースクリーニング」処理を実施した。
実施例2:選択されたアプタマーの特性解析
【0210】
次の戦略、すなわち
a)個々のアプタマーを得ることを目的としたアプタマー集団のプラスミドへのクローニングとその後のサンガーシーケンシングによる戦略、
b)最も反復して特定されたアプタマーである獲得アプタマー集団の大量シーケンシングによる戦略
に従う6回のスクリーニングラウンドの後に選択アプタマーを特定した。
【0211】
非常に代表的である配列がIBA GmbH社(ゲッティンゲン、ドイツ)によって化学合成され、それらのアプタマーの各々の親和性および活性を組換えhTLR−4タンパク質またはHEK−293細胞−TLR−4への結合についてのELONAによる結合アッセイにおいて、組換えTLR−4タンパク質および細胞内発現TLR−4へのそれらのアプタマーの結合についての結合アッセイにおいて、hTLR−4受容体活性アッセイにおいて試験した。
【0212】
ELONAアッセイの結果(図1)は組換えhTLR−4タンパク質により効率的に結合するアプタマーがTLRApt#1Rアプタマー(配列番号3)およびTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)であることを明確に示している。同じ種類のアッセイによってTLRApt#2FアプタマーとTLRApt#3Rアプタマーが特定された。図2は選択されたTLRApt#1Rアプタマー(配列番号3)およびTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)のmFoldソフトウェア(Zuker M.著、2003年、Nucleic Acids Res誌、第31巻:3406〜15頁)を使用して得られた最も可能性がある配列と二次構造を示している。
【0213】
結合したhTLR−4を含むNi−NTA樹脂とそれらのアプタマーの定温放置、結合したアプタマーの回収とその後のqPCR増幅によってそれらのアプタマーのhTLR−4への結合能力を決定した。得られた結果から、全ての選択されたアプタマーが組換えhTLR−4タンパク質に結合可能であることが示されている(図3A)。これらの実験では低いCt値になるほどより大量のアプタマーがhTLR−4に結合していることを示している。
【0214】
特定されたアプタマーのHEK−293細胞内発現TLR−4タンパク質への結合能力を分析する目的のため、20pmol(500ng)のTLRApt#1Rアプタマー(配列番号3)およびTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)をHEK−293−TLR4細胞培養物に添加する。37℃、5%COで30分間にわたって定温放置した後にそれらの細胞を洗浄し、回収し、そしてCt値の算出を目的にqPCRを実施する。これらの実験では低いCt値になるほどより大量のアプタマーがそれらの細胞に結合していることを示している。得られた結果から、選択されたTLRApt#1Rアプタマー(配列番号3)およびTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)(図3B)はより高い親和性で結合するアプタマーであることが示されている。
【0215】
最大のアンタゴニスト効果が得られる各アプタマーの濃度を決定することを目的としてLPS−EK−UP(図4A)またはHEK293細胞溶解物(損傷関連分子パターン;DAMP)(図4B)をアゴニストとして使用して用量応答曲線を作成した。得られた結果に基づくと、最も好適な効果が観察される濃度はLPS−EK−UPアゴニストについては20nMであり、DAMPについては200nMであると結論することができる。
【0216】
マクロファージに対するそれらのアプタマーの効果が図5に示されている。TLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)およびTLRApt#4F−Tアプタマー(配列番号2)はLPSを用いるマクロファージの刺激後の亜硝酸塩放出を抑制した。これらの実験ではTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)は同じ濃度のTLRApt#4F−T(配列番号2)よりも活性が高いようである。
実施例3:TLR−4のアプタマーアンタゴニストの活性と安定性の動物モデルにおける向上のための最適化
【0217】
TLR−4受容体阻害能力を示すアプタマーが、安定性および/またはヌクレアーゼに対する耐性の向上を目的としてそれらの配列から特定の領域を除去することによって改変されている。この目的のためにmFoldプログラム(Zuker M.著、2003年、上掲)を使用して様々なアプタマーの二次構造の研究を実施し、それらのアプタマーのG四重鎖構造形成能力をQGRSマッパープログラム(Kikinら著、2006、Nucleic Acids Res誌、第34巻:W676〜W682頁)によって分析した。したがって、第1スクリーニングにおいて特定されたもの(図6)に対応するTLRApt#1R−Tアプタマー(配列番号1)およびTLRApt#4F−Tアプタマー(配列番号2)をデザインおよび合成した。
実施例4:脳卒中の動物モデルにおけるTLR−4のアプタマーアンタゴニストの効果
【0218】
TLR−4に特異的なアプタマーの脳損傷軽減化能力を評価する、脳卒中の動物モデルにおける脳卒中エピソード後に生じる炎症反応の阻止について最適化されたそれらの新しいアプタマーの能力。
【0219】
この目的のために成体のオスTLR−4欠損マウス(C57BL/10ScNJ)およびTLR−4発現性対照マウス(C57BL/10ScSn)を使用し、それらのマウスにおいて中大脳動脈閉塞(MCAO)を用いて局所脳虚血を誘導した。TLR4を正常に発現するマウス(対照マウス)において得られた結果は、それらのアプタマーによって梗塞領域のサイズ減少が引き起こされ、TLRApt#4F−Tアプタマー(配列番号2)の場合ではそれは統計学的に有意であることを示している。加えて、TLR−4欠損マウスにおいて得られた結果は、それらのマウスがベヒクルで処理されたときに得られる梗塞領域のサイズ減少の効果に対してTLRApt#4F−Tアプタマー(配列番号2)の効果が無いことを示している(図7)。このデータはTLRApt#4F−Tアプタマー(配列番号2)の効果がTLR−4を介して生じることを明確に示している。
【0220】
別のセットの実験では成体のオスマウスC57BL/10ScSn(WT;正常)を局所脳虚血誘導の対象とし、その後で様々な量のTLRApt#4F−Tアプタマー(配列番号2)およびTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)、またはベヒクル(PBS+1mM Mg2+)の腹膜内注射で処理した。得られた結果はそれらのアプタマーによって1nmolアプタマー/動物の割合で梗塞領域サイズのより大きな減少が引き起こされること、およびこの減少は統計学的に有意であること(図8)を示している。
実施例5:フローサイトメトリー
【0221】
ヒトTLR4を形質移入したHEK293細胞株である293−hTLR4Aを使用してフローサイトメトリーアッセイを実施した。ヒトTLR4を欠如している親ヒトHEK293細胞株を対照として使用した。この実験ではAlexa Fluor488を用いてアプタマーを標識した。図9AはAlexa Fluor488標識アプタマーが293−hTLR4A細胞(右のパネル)に対して強固に結合するが、ヒトTLR4を欠如しているHK293細胞(左のパネル)には結合しないことを示している。加えて、ApTLR#4F−T(配列番号2)がApTLR#1R−T(配列番号1)よりも高い親和性で標的に結合することが観察されている。次にhTLR4−Blue−HEK細胞の活性化後に(または活性化されずに)選択されたアプタマーを使用した細胞染色の結果を比較した。予期されたように、アプタマーは非活性化細胞と比べて類似のレベルで活性化後のTLR4に結合した(図9B)。
実施例6:ヌクレアーゼ消化による半減期の算出
【0222】
前記アプタマーの半減期をλエキソヌクレアーゼまたはDNAse Iの存在においてインビトロ測定した(図10)。前記4種類のアプタマーはλエキソヌクレアーゼに対して耐性である一方でDNAse Iはそれらの4種類のアプタマーの時間依存的な分解をもたらすことが結果から示されている。したがって、ApTLR#1R−Tアプタマー(配列番号1)が最も実用的であり、そのアプタマーはDNAse Iが存在する中で5分の定温放置の後に完全に分解される。反対に、ApTLR#4Fアプタマー(配列番号4)およびApTLR#4F−Tアプタマー(配列番号2)はDNAse Iとの2時間の定温放置の後でも耐性である。
結論
【0223】
− TLRApt#1Rアプタマー(配列番号3)およびTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)がTLR−4受容体の細胞外ドメインに関して選択され、それらのアプタマーはヒトTLR−4受容体をその可溶性組換え型(インビトロ)でもHEK293細胞の膜内に組み込まれた状態(インビボ)でも認識する。
− TLRApt#1Rアプタマー(配列番号3)およびTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)はTLR−4受容体のアンタゴニスト効果を示す。
− TLRApt#1R−Tアプタマー(配列番号1)およびTLRApt#4F−Tアプタマー(配列番号2)が、それぞれ元のTLRApt#1Rアプタマー(配列番号3)およびTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)のアンタゴニスト活性を保持する短縮型として獲得されている。
− TLRApt#4F−Tアプタマー(配列番号2)は脳卒中の動物モデルにおいて梗塞領域を減少させることができる。
− TLR4受容体の細胞外ドメインに対して選択されたTLRApt#1Rアプタマー(配列番号3)とTLRApt#4Fアプタマー(配列番号4)はヒトTLR−4受容体をその組換え可溶性型(インビトロ)でもHEK293細胞の膜内の組込み型(インビボ)としても認識する。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9-1】
【図9-2】
【図10】
【配列表】
2017527260000001.app
【国際調査報告】