(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2018503941
(43)【公表日】20180208
(54)【発明の名称】正極活物質、この製造方法、及びこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20180112BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20180112BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20180112BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20180112BHJP
【FI】
   !H01M4/525
   !H01M4/505
   !H01M4/36 C
   !C01G53/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
(21)【出願番号】2017529380
(86)(22)【出願日】20151204
(85)【翻訳文提出日】20170601
(86)【国際出願番号】KR2015013267
(87)【国際公開番号】WO2016089177
(87)【国際公開日】20160609
(31)【優先権主張番号】10-2014-0174080
(32)【優先日】20141205
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0172360
(32)【優先日】20151204
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
【住所又は居所】大韓民国 07336 ソウル,ヨンドゥンポ−グ,ヨイ−デロ 128
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ドン・クウォン・イ
【住所又は居所】大韓民国・テジョン・34122・ユソン−グ・ムンジ−ロ・188・エルジー・ケム・リサーチ・パーク
(72)【発明者】
【氏名】スン・ボム・チョ
【住所又は居所】大韓民国・テジョン・34122・ユソン−グ・ムンジ−ロ・188・エルジー・ケム・リサーチ・パーク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ソク・ノ
【住所又は居所】大韓民国・テジョン・34122・ユソン−グ・ムンジ−ロ・188・エルジー・ケム・リサーチ・パーク
(72)【発明者】
【氏名】ビョン・ヒョン・ミン
【住所又は居所】大韓民国・テジョン・34122・ユソン−グ・ムンジ−ロ・188・エルジー・ケム・リサーチ・パーク
(72)【発明者】
【氏名】ペ・ジュン・キム
【住所又は居所】大韓民国・テジョン・34122・ユソン−グ・ムンジ−ロ・188・エルジー・ケム・リサーチ・パーク
【テーマコード(参考)】
4G048
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA04
4G048AB04
4G048AC06
4G048AD04
5H050AA07
5H050AA08
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5H050GA02
5H050GA10
5H050GA22
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA14
(57)【要約】
本発明では、リチウム複合金属酸化物粒子をセラミック系イオン伝導体のナノゾルと混合して熱処理し、リチウム複合金属酸化物粒子上にセラミック系イオン伝導体を含むコーティング層を形成する段階を含む製造方法によって製造され、リチウム複合金属酸化物粒子の表面にセラミック系イオン伝導体を含むコーティング層が均一な厚さに形成されることにより、二次電池への適用時に容量の減少を最小化し、寿命特性を向上させることができる正極活物質、この製造方法、及びこれを含むリチウム二次電池が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム複合金属酸化物粒子をセラミック系イオン伝導体のナノゾルと混合して熱処理し、リチウム複合金属酸化物粒子上にセラミック系イオン伝導体を含むコーティング層を形成する段階を含む正極活物質の製造方法。
【請求項2】
前記セラミック系イオン伝導体は、ジルコニア系セラミック、セリア系セラミック、ランタン系セラミック及びこれらのサーメットからなる群より選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むものである請求項1に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項3】
前記セラミック系イオン伝導体は、イットリア安定化ジルコニア、ガドリニアドープされたセリア、サマリウムドープされたセリア、ランタンストロンチウムコバルトフェライト、ランタンストロンチウムガレートマグネサイト、ランタンストロンチウムマンガナイト、カルシア安定化ジルコニア、スカンジア安定化ジルコニア及びニッケル−イットリア安定化ジルコニアサーメットからなる群より選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むものである請求項1に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項4】
前記セラミック系イオン伝導体は、イットリア安定化ジルコニア、カルシア安定化ジルコニア、ガドリニアドープされたセリア、ランタンストロンチウムガレートマグネサイト及びスカンジア安定化ジルコニアからなる群より選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むものである請求項1に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項5】
前記イットリア安定化ジルコニアは、Zr(1−x)2−x/2(0.01≦x≦0.30)のものである請求項4に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項6】
前記カルシア安定化ジルコニアは、カルシア安定化ジルコニアの総重量に対してCaOを1モル%から20モル%で含むものである請求項4に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項7】
前記スカンジア安定化ジルコニアは、(ZrO1−2x(Sc、(ZrO1−2x(Scx−z(Y及び(Zr01−2x−z(Sc(CeO(0.01≦x≦0.2、0.01≦z≦0.1)からなる群より選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むものである請求項4に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項8】
前記セラミック系イオン伝導体は、非晶質のものである請求項1に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項9】
前記セラミック系イオン伝導体は、水酸化物形態を有するものである請求項1に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項10】
前記セラミック系イオン伝導体の平均粒径(D50)が1nmから100nmのものである請求項1に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項11】
前記セラミック系イオン伝導体のナノゾルは、グリコール系溶媒中にセラミック系イオン伝導体形成用金属の前駆体を溶解させて反応させたあと、水を添加して製造されるものである請求項1に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項12】
前記グリコール系溶媒は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むものである請求項11に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項13】
前記セラミック系イオン伝導体形成用金属の前駆体の溶解後、水を添加する前に、120℃からグリコール系溶媒の沸点以下の温度で熱処理する工程がさらに行われるものである請求項11に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項14】
前記セラミック系イオン伝導体のナノゾルは、正極活物質の総重量に対して前記セラミック系イオン伝導体の含量が50ppmから300,000ppmになるようにする量で用いられるものである請求項1に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項15】
前記セラミック系イオン伝導体のナノゾルは、アルミニウム(Al)、ニオビウム(Nb)、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、銅(Cu)、バナジウム(V)及び亜鉛(Zn)からなる群より選択されるいずれか一つまたは二つ以上の金属をさらに含むか、または前記金属を含むナノゾルとともに混合して用いられるものである請求項1に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項16】
前記熱処理は、100℃から600℃の温度範囲で行われるものである請求項1に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の製造方法によって製造され、
リチウム複合金属酸化物の粒子;及び前記リチウム複合金属酸化物粒子上に位置するコーティング層を含み、
前記コーティング層は、セラミック系イオン伝導体を含むものである正極活物質。
【請求項18】
前記リチウム複合金属酸化物は、下記化学式(1)の化合物を含むものである請求項17に記載の正極活物質:
[化学式(1)]
Li1+aNi1−b−cMnCo
(前記化学式(1)で、0≦a≦0.33、0≦b≦0.5及び0≦c≦0.5である)。
【請求項19】
前記化学式(1)において、0≦a≦0.09である請求項18に記載の正極活物質。
【請求項20】
前記セラミック系イオン伝導体は、X線分析時に単一相ピークを有するものである請求項17に記載の正極活物質。
【請求項21】
前記セラミック系イオン伝導体は非晶質のものである請求項17に記載の正極活物質。
【請求項22】
前記コーティング層は、Al、Nb、Ti、W、Mo、Cr、Cu、V及びZnからなる群より選択されるいずれか一つまたはこれらのうち2種以上の金属を含む金属酸化物をさらに含むものである請求項17に記載の正極活物質。
【請求項23】
平均粒径(D50)が3μmから25μmである請求項17に記載の正極活物質。
【請求項24】
請求項17に記載の正極活物質を含む正極。
【請求項25】
請求項24に記載の正極を含むリチウム二次電池。
【請求項26】
請求項25に記載のリチウム二次電池を単位セルとして含む電池モジュール。
【請求項27】
請求項26に記載の電池モジュールを含む電池パック。
【請求項28】
中大型デバイスの電源として用いられるものである請求項27に記載の電池パック。
【請求項29】
前記中大型デバイスが、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車及び電力貯蔵用システムからなる群より選択されるものである請求項28に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2014年12月5日付韓国特許出願第2014−0174080号及び2015年12月4日付韓国特許出願第2015−0172360号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、正極活物質、この製造方法、及びこれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウム二次電池は、小型、軽量、大容量電池として1991年に登場して以来、携帯機器の電源として広く用いられた。最近になって、電子、通信、コンピュータ産業の急速な発展に伴い、カムコーダー、携帯電話、ノートパソコンなどが出現して眩しい発展を繰り返しており、これら携帯用電子情報通信機器を駆動する動力源としてのリチウム二次電池に対する需要が日々に増加している。
【0004】
リチウム二次電池は、充放電の繰返しに伴って寿命が急速に低下するという問題点がある。特に、高温または高電圧の下ではこのような問題がさらに深刻である。このような理由は、電池内部の水分やその他の影響によって電解質が分解されるか活物質が劣化し、さらに、電池の内部抵抗が増加して発生する現象のためである。
【0005】
これに伴い、現在活発に研究開発されて用いられているリチウム二次電池用正極活物質は、層状構造のLiCoOである。LiCoOは、寿命特性及び充放電効率に優れて最も多く用いられているが、構造的安定性が低いため電池の高容量化技術への適用には限界がある。
【0006】
これを代替するための正極活物質として、LiNiO、LiMnO、LiMn、LiFePOまたはLi(NiCoMn)Oなどの多様なリチウム遷移金属酸化物が開発された。このうち、LiNiOの場合、高い放電容量の電池特性を表すという利点があるが、簡単な固相反応では合成が難しく、熱的安定性及びサイクル特性が低いという問題点がある。さらに、LiMnO、またはLiMnなどのリチウムマンガン系酸化物は、熱的安定性に優れ、廉価であるという利点があるが、容量が小さく、高温特性が低いという問題点がある。特に、LiMnの場合、低価格製品に一部商品化されているが、Mn3+による構造変形(Jahn−Teller distortion)のため寿命特性が良好でない。さらに、LiFePOは廉い価格と優れた安定性のため、現在ハイブリッド自動車(hybrid electric vehicle、HEV)用として多くの研究が行われているが、低い伝導度によって他の分野への適用は難しい実情である。
【0007】
このような事情により、LiCoOの代替正極活物質として最近最も脚光を浴びている物質はLi(NiCoMn)O(このとき、前記x、y、zは、それぞれ独立的な酸化物組成元素の原子分率であって、0<x≦1、0<y≦1、0<z≦1、0<x+y+z=1である)である。この材料は、LiCoOより廉価で高容量及び高電圧に用いられ得るという利点があるが、率特性(rate capability)及び高温での寿命特性が良好でないという欠点を有している。
【0008】
これに伴い、正極活物質の内部にAl、Ti、Sn、AgまたはZnなどの物質をドープ(doping)するか、または伝導性が良好な金属を正極活物質の表面に乾式または湿式コーティング(coating)する方法などを介し、正極活物質の熱安定性、容量特性及びサイクル特性などを改善しようとする多くの試みが行われているが、未だその改善の程度は十分でない実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする第1技術的課題は、リチウム複合金属酸化物粒子に対して優れたリチウムイオン伝導性を有するセラミック系イオン伝導体のコーティング層を均一な厚さに形成することにより、不均一なコーティング層の形成によって発生する電池における容量の減少が最少化され、かつ、電池の寿命特性を改善させることができる正極活物質の製造方法を提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとする第2技術的課題は、前記製造方法によって製造され、リチウム複合金属酸化物粒子の表面にリチウムイオンの移動を促進させるとともに、正極の製造時のプレス工程中に衝撃吸収の効果を奏することができるセラミック系イオン伝導体のコーティング層を含むことにより、電池への適用時に容量特性及び寿命特性を向上させることができる正極活物質を提供することである。
【0011】
本発明が解決しようとする第3技術的課題は、前記正極活物質を含む正極を提供することである。
【0012】
本発明が解決しようとする第4技術的課題は、前記正極を含むリチウム二次電池、電池モジュール及び電池パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、本発明の一実施形態によれば、リチウム複合金属酸化物粒子をセラミック系イオン伝導体のナノゾルと混合して熱処理し、リチウム複合金属酸化物粒子上にセラミック系イオン伝導体を含むコーティング層を形成する段階を含む正極活物質の製造方法を提供する。
【0014】
さらに、本発明の他の一実施形態によれば、前記製造方法によって製造され、リチウム複合金属酸化物の粒子;及び前記リチウム複合金属酸化物粒子上に位してセラミック系イオン伝導体を含むコーティング層を含む正極活物質を提供する。
【0015】
併せて、本発明のまた他の一実施形態によれば、前記正極活物質を含む正極を提供する。
【0016】
また、本発明のさらに他の一実施形態によれば、前記正極を含むリチウム二次電池、電池モジュール及び電池パックを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る正極活物質の製造方法は、優れたリチウムイオン伝導性を有するセラミック系イオン伝導体のナノゾルを利用することにより、リチウム複合金属酸化物粒子の表面にリチウムイオンの移動を促進させるとともに、正極の製造時のプレス工程中に衝撃吸収の効果を奏することができるセラミック系イオン伝導体を均一にコーティングすることができる。このことから、前記製造方法によって製造された正極活物質は、電池への適用時に最少化された容量の減少とともに向上された寿命特性を表すことができる。
【0018】
本明細書の次の図面等は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、前述した発明の内容とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を担うものなので、本発明はかかる図面に記載されている事柄にのみ限定して解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】製造例1で製造したセラミック系イオン伝導体のナノゾルを、透過電子顕微鏡を介して観察した写真である。
【図2】製造例1で製造したセラミック系イオン伝導体のナノゾルに対するX線回折分析(XRD)の結果を示した図である。
【図3】実施例1−1で製造した正極活物質の表面をフィールド放射走査型電子顕微鏡(Field−Emission Scanning Electron Microscope、FE−SEM)で観察した写真である。
【図4】比較例1−2で製造した正極活物質の表面をFE−SEMで観察した写真である。
【図5】実施例2−1から2−6及び比較例2−1、2−2で製造したリチウム二次電池のサイクル特性を観察した結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に対する理解を助けるため、本発明をさらに詳しく説明する。
【0021】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最良の方法で説明するため、用語の概念を適宜定義することができるという原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0022】
本発明の一実施形態に係る正極活物質の製造方法は、リチウム複合金属酸化物粒子をセラミック系イオン伝導体のナノゾルと混合して熱処理し、リチウム複合金属酸化物粒子上にセラミック系イオン伝導体を含むコーティング層を形成する段階を含む。
【0023】
前記セラミック系イオン伝導体のナノゾルにおいて、前記セラミック系イオン伝導体は、具体的にイオン伝導性のセラミック及びメタルセラミック(metal ceramic)のうち少なくとも一つを含むものであってよい。
【0024】
前記イオン伝導性セラミックは、具体的にイットリア安定化ジルコニア(yttria stabilized zirconia、YSZ)、カルシア安定化ジルコニア(calcia stabilized zirconia、CSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(scandia−stabilized zirconia、SSZ)などの、Y、CaまたはScがドープされたジルコニア(ZrO)系酸化物;ガドリニアドープされたセリア(gadolinia doped ceria、GDC)、サマリウムドープされたセリア(samarium doped ceria、SDC)、イットリアドープされたセリア(yttria−doped ceria、YDC)などの、Gd、YまたはSmがドープされたセリア(CeO)系酸化物;ランタンストロンチウムガレートマグネサイト(lanthanum strontium gallate magnesite、LSGM)、ランタンストロンチウムマンガナイト(lanthanum strontium manganite、LSM)またはランタンストロンチウムコバルトフェライト(lanthanum strontium cobalt ferrite、LSCF)などのランタン系酸化物などであってよく、これらのうち1種単独で、または2種以上の混合物が用いられてよい。
【0025】
さらに、前記イオン伝導性セラミックにおいて、前記YSZは、酸化ジルコニウム(ジルコニア)に酸化イットリウム(イットリア)を添加して常温でも安定化させたセラミック材料である。前記YSZは、ジルコニアにイットリアが添加されることにより、Zr4+イオンのうち一部がY3+に代替されてよい。これに伴い、4個のO2−イオンに代えて3個のO2−イオンで代替され、結果的に酸素欠乏(oxygen vacancy)が生成され得る。このように生成された酸素欠乏のため、YSZはO2−イオン伝導性を有することになり、温度が高いほど伝導度が良好になる。具体的に、前記YSZはZr(1−x)2−x/2であり、このとき、0.01≦x≦0.1で、より具体的には0.08≦x≦0.1であってよい。一方、本発明における常温は、特に定義されない限り、23±5℃での温度範囲を意味する。
【0026】
さらに、前記CSZは、酸化ジルコニウム(ジルコニア)にカルシウム酸化物(カルシア)を添加して常温でも安定化させたセラミック材料であって、カルシアを添加することによりジルコニアの熱的安定性を向上させることができる。前記CSZは、立方晶結晶構造及び正方晶(tetragonal)結晶構造が混在された状態である。正方晶結晶構造は、温度が上昇すれば立方晶結晶構造に変わり、温度が低くなれば正方晶結晶構造に変わるところ、このような結晶構造が変わる過程で体積の膨張及び収縮が繰り返され得る。
【0027】
さらに、前記SSZは、酸化ジルコニウム(ジルコニア)にスカンジウム酸化物(スカンジア)を添加して常温でも安定化させたセラミック材料であって、具体的には(ZrO1−2x(Sc、(ZrO1−2x(ScO)3x−z(Yまたは(ZrO1−2x−z(Sc(CeO(ここで、0.01≦x≦0.2、0.01≦z≦0.1である)などであってよい。
【0028】
さらに、前記GDCは、ガドリニウム酸化物(Gd)がドープされたセリアであって、LSGMと同様に高いイオン伝導度を有する。具体的に、Gd0.1Ce0.91.95を挙げることができる。
【0029】
また、前記LSGMは、Sr及びMgがドープされて高いリチウムイオン伝導度を有するランタン−ストロンチウム−ガリウム−マグネシウム酸化物であって、具体的に(LaSr1−x)(GaMg1−y)O3−δ(0.05≦x<1及び0.05≦y<1であり、δは、理想的化学量論(perfect stoichiometry)からの小さい偏差を意味する値に定義され得る)などであってよい。
【0030】
さらに、前記LSMは、LaMnOにSrがドープされたランタンマンガナイトであって、マンガン系ペロブスカイト(perovskite)構造を有する。具体的には、LaSrMnOまたはLa(1−x)SrMnO(0.01≦x≦0.3)またはLa(1−y)SrMn3−δ(0.05≦y≦1、0.95≦z≦1.15であり、δは、理想的化学量論からの小さい偏差を意味する値に定義され得る)などであってよい。
【0031】
さらに、前記LSCFは、LaFeOにSrとCoがドープされたランタンフェライトであって、高温で安定性に優れ、イオン伝導度が高い。
【0032】
一方、前記メタルセラミックは、セラミックと金属粉末を混合/焼結して製造されるものであって、耐熱性と硬度が高いセラミックの特性と、焼成変形や電気伝導度を有する金属の特性とを全て有する。具体的に、前記メタルセラミックにおいて、セラミックは前記イオン伝導性セラミックであってよく、前記金属は、ニッケル、モリブデンまたはコバルトなどであってよい。より具体的には、前記メタルセラミックは、ニッケル−イットリア安定化ジルコニアサーメット(Ni−YSZ cermet)などのサーメットであってよい。
【0033】
また、本発明の一実施形態に係る正極活物質の製造方法において、前記セラミック系イオン伝導体は、Cu(Kα−線)を利用したX線回折分析の際、単一相のピークを表すものであってよい。
【0034】
さらに、本発明の一実施形態に係る正極活物質の製造方法において、前記セラミック系イオン伝導体は、具体的にYSZ、GDC、LSGM、LSM、CSZ、SSZ及びNi−YSZからなる群より選択されるいずれか一つまたはこれらのうち2種以上の混合物を含むものであってよく、より具体的には、YSZ、GDC、LSGM、SSZ及びCSZからなる群より選択されるいずれか一つまたはこれらのうち2種以上の混合物を含むものであってよい。
【0035】
また、本発明の一実施形態に係る正極活物質の製造方法において、前記セラミック系イオン伝導体はYSZを含むものであってよく、前記YSZは、Zr(1−x)2−x/2(このとき、0.01≦x≦0.30であってよく、より具体的には0.08≦x≦0.10)であってよい。このようにリチウム複合金属酸化物粒子の表面にYSZのコーティング層を形成する場合、YがZrサイトに入ってスーパーストラクチャー(superstructure)を有することにより、構造の内部に酸素欠乏が発生して正極活物質の表面に空の空間が多く生じ得る。このような空の空間は、正極活物質の表面でのリチウムの挿入及び脱離を容易にし、その結果、活物質粒子の表面でのリチウムイオン伝導性を大きく増加させ、これによって電池の容量及び出力の減少を最小化することができる。
【0036】
さらに、本発明の一実施形態に係る正極活物質の製造方法において、前記セラミック系イオン伝導体はSSZを含むものであってよく、(ZrO1−2x(Sc、(ZrO1−2x(ScO)3x−z(Y、(ZrO1−2x−z(Sc(CeO(ここで、0.01≦x≦0.2、0.01≦z≦0.1である)及びこれらの混合物からなる群より選択されるSSZを含むものであってよい。
【0037】
また、本発明の一実施形態に係る正極活物質の製造方法において、前記セラミック系イオン伝導体は、CSZの総重量のうちCaOの含量が1モル%から20モル%、より具体的には2モル%から17モル%であるCSZを含むものであってよい。
【0038】
さらに、本発明の一実施形態に係る正極活物質の製造方法において、前記セラミック系イオン伝導体の平均粒径(D50)は1nmから100nmであってよい。前記範囲内の粒子の大きさを有するとき、ゾル内で均一な分散が可能である。より具体的に、前記セラミック系イオン伝導体の平均粒径(D50)は1nmから50nm、さらに具体的には1nmから5nmであってよい。
【0039】
本発明において、前記セラミック系イオン伝導体の平均粒径(D50)は、粒径分布の50%基準における粒径で定義することができる。本発明の一実施形態に係る前記粒子の平均粒径(D50)は、例えば、レーザ回折法(laser diffraction method)を利用して測定することができる。前記レーザ回折法は、一般に、サブミクロン(submicron)領域から数mm程度の粒径の測定が可能であり、高再現性及び高分解性の結果を得ることができる。例えば、前記YSZの平均粒径(D50)の測定方法は、YSZのナノゾルに対して市販されるレーザ回折粒度測定装置(例えば、Microtrac MT 3000)に導入して約28kHzの超音波を出力60Wで照射したあと、測定装置における粒径分布の50%基準における平均粒径(D50)を算出することができる。
【0040】
さらに、本発明の一実施形態に係る正極活物質の製造方法において、前記セラミック系イオン伝導体のナノゾルは、最終的に製造される正極活物質内に含まれるセラミック系イオン伝導体の含量が、正極活物質の総重量に対し50ppmから300,000ppm、より具体的には100ppmから10,000ppmになるようにする量で用いられ得る。
【0041】
本発明の一実施形態に係る正極活物質の製造方法において、前記セラミック系イオン伝導体のナノゾルは、グリコール系溶媒中でセラミック系イオン伝導体形成用金属の前駆体を溶解させたあと、水を添加して水酸化させることにより製造され得る。
【0042】
通常の方法によってナノ粒子状のセラミック系イオン伝導体粉末を溶媒中に分散させて製造した分散液の場合、セラミック系イオン伝導体が結晶質であるため、リチウムイオン伝導性を表さないだけでなくリチウムとの反応性が非常に低い。よって、活物質の表面に対するコーティングの際に均一なコーティング層の形成が困難である。その反面、前記のようにセラミック系イオン伝導体形成用金属の前駆体反応によってセラミック系イオン伝導体のナノゾルを製造する場合、ナノ水準の粒子サイズを有して非晶質であり、表面にヒドロキシ基を有する水酸化物形態のセラミック系イオン伝導体が形成されることになる。このようなセラミック系イオン伝導体は、そのものでリチウムイオン伝導性を表すだけでなく、リチウムとの反応性に優れるので、最終的に製造される活物質におけるリチウム複合金属酸化物に対して均一で、効率の高いコーティング層の形成が可能である。
【0043】
前記ナノゾルの製造時に使用可能なグリコール系溶媒は、分子内で2個のヒドロキシ基を有する2価アルコールであって、具体的にエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールなどであってよく、これらのうちいずれか一つまたは二つ以上の混合物が用いられてよい。
【0044】
さらに、前記セラミック系イオン伝導体形成用金属の前駆体としては、セラミック系イオン伝導体形成用金属含有化合物、具体的には、水酸化物、オキシ水酸化物、アルコキシ化物、炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、硝酸塩、窒化物、硫酸塩、硫化物、ハロゲン化物またはこれらの水和物などを挙げることができ、これらのうちいずれか一つまたは二つ以上の混合物が用いられてよい。また、前記セラミック系イオン伝導体形成用金属は、前記セラミック系イオン伝導体を構成する金属であってよく、具体的には、Y、Sc、Gd、Sm、CeまたはLaなどの希土類元素;及びZrからなる群より選択される1種以上の元素であるか、またはこれら元素とCa、MgまたはSrなどのアルカリ土類金属元素;Mg、CoまたはFeなどの遷移金属;及びGaなどの遷移後金属からなる群より選択される1種以上の元素との混合元素であってよい。一例として、YSZの前駆体には、Zr包含原料物質としてジルコニウムジナイトレートジヒドレート(ZrO(NO・2HO)と、Y包含原料物質としてイットリウムナイトレートヘキサヒドレート(Y(NO・6HO)が用いられてよい。
【0045】
さらに、前記ナノゾルの製造の際、前記セラミック系イオン伝導体形成用金属の前駆体の溶解度を高め、製造されるセラミック系イオン伝導体の分散性を高めるため、キレート剤、pH調整剤または分散剤などの添加剤がさらに添加されてよい。
【0046】
前記pH調整剤は、具体的に、酢酸、クエン酸、乳酸、ギ酸などの有機酸、またはアンモニアなどの塩基性化合物であってよく、前記ナノゾルのpHが6.5から8になるようにする量で含まれてよい。
【0047】
さらに、前記分散剤は、具体的に高分子分散剤または界面活性剤であってよく、前記セラミック系イオン伝導体の100重量部に対し1重量部以下、或いは0.1から0.5重量部で含まれてよい。
【0048】
また、前記ナノゾルの製造の際、前記セラミック系イオン伝導体形成用金属の前駆体をグリコール系溶媒中に溶解させるとき、溶解度を増加させるため、撹拌または熱処理工程が選択的にさらに行われてよい。前記撹拌は、通常の混合工程によって行われてよい。
【0049】
さらに、前記熱処理工程は、120℃以上のグリコール系溶媒の沸点以下の温度で行われてよく、具体的には120℃から300℃、より具体的には120℃から200℃、さらに具体的には120℃から180℃で行われてよい。
【0050】
また、前記熱処理工程の後には必要に応じて冷却工程がさらに行われてよく、このとき、前記冷却工程は、自然冷却または冷風冷却などの通常の方法によって行われてよい。
【0051】
前記のようなセラミック系イオン伝導体形成用金属の前駆体の溶解工程の間に、前駆体間の反応でナノ粒子水準の非晶質セラミック系イオン伝導体が生成される。
【0052】
以後、結果として収得されたセラミック系イオン伝導体包含反応物に対し、水を利用した水酸化工程が行われてよい。このとき、水;または水と水酸基包含溶媒の混合溶媒が用いられてよく、前記水酸基包含溶媒は、具体的にアルコール(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなど)またはポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、グリセリンなど)などであってよく、これらのうちいずれか一つまたは二つ以上の混合物が用いられてよい。
【0053】
前記水酸化工程は、セラミック系イオン伝導体に水分子が結合されることによりリチウムに対して優れた反応性を表すことができ、最終的に製造される活物質におけるリチウム複合金属酸化物に対して均一で、効率の高いコーティング層の形成が可能である。
【0054】
さらに、本発明の一実施形態に係る正極活物質の製造方法において、前記セラミック系イオン伝導体のナノゾルには、アルミニウム(Al)、ニオビウム(Nb)、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、銅(Cu)、バナジウム(V)及び亜鉛(Zn)からなる群より選択されるいずれか一つまたはこれらのうち2種以上の混合金属;または前記金属のナノゾルがさらに含まれてもよい。
【0055】
前記金属等は、最終的に製造される正極活物質のコーティング層内の酸化物の形態で含まれて電池の特性をさらに改善させることができる。このような金属は、最終的に製造される正極活物質内に含まれる前記金属の酸化物の濃度が50ppmから300,000ppm、より具体的には100ppmから10,000ppmになるようにする量で含まれてよい。
【0056】
前記金属のナノゾルは、前述したセラミック系イオン伝導体のナノゾルの製造と同様に、グリコール系溶媒中に金属の前駆体を溶解させ反応させて金属のナノゾルを製造したあと、水を添加して水酸化させることにより製造され得る。
【0057】
前記金属の前駆体は、アルミニウム(Al)、ニオビウム(Nb)、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、銅(Cu)、バナジウム(V)及び亜鉛(Zn)からなる群より選択されるいずれか一つまたはこれらのうち2種以上の混合金属を含む化合物であってよい。具体的には、水酸化物、オキシ水酸化物、アルコキシ化物、炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、硝酸塩、窒化物、硫酸塩、硫化物、ハロゲン化物またはこれらの水和物などを挙げることができ、これらのうちいずれか一つまたは二つ以上の混合物が用いられてよい。
【0058】
一方、本発明の一実施形態に係る正極活物質の製造方法において、前記リチウム複合金属酸化物は、ニッケル、マンガン及びコバルトからなる群より選択される1種以上の金属とリチウムとの複合金属酸化物であってよい。具体的に、前記リチウム複合金属酸化物は、下記化学式(1)の化合物を含むものであってよい:
[化学式(1)]
Li1+aNi1−b−cMnCo
前記化学式(1)で、0≦a≦0.33、0≦b≦0.5及び0≦c≦0.5であり、より具体的には0≦a≦0.09で、さらに具体的にはa=0であってよい。前記化学式(1)でaが0.33超過の場合、リチウム複合金属粒子にセラミック系イオン伝導体をコーティングする効果は、通常の金属酸化物をコーティングする場合に比べて寿命特性効果の差異が約10%以内で著しくないことがあり得る。一方、前記化学式(1)でaが0.09以下、特に0の場合、リチウム複合金属粒子に前記セラミック系イオン伝導体をコーティングする効果は、別の金属酸化物をコーティングした場合に比べて寿命特性効果の差異が30から70%までと著しいことがある。
【0059】
本発明の一実施形態に係る正極活物質の製造方法において、前記リチウム複合金属酸化物は、電池の容量特性及び安定性を高めることができるという点で、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO及びリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(例えば、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O、LiNi0.5Mn0.3Co0.2またはLiNi0.8Mn0.1Co0.1など)からなる群より選択されるいずれか一つまたはこれらのうち二つ以上の混合物を含むものであってよく、より具体的にはリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物であってよい。
【0060】
さらに、本発明の一実施形態に係る前記正極活物質の平均粒径(D50)は3μmから25μmであってよく、より具体的には5から25μmであってよい。本発明において、前記リチウム複合金属酸化物粒子の平均粒径(D50)は、前記セラミック系イオン伝導体の平均粒径(D50)で説明したところと同一の方法で測定した。
【0061】
本発明の一実施形態に係る前記正極活物質は、リチウム複合金属酸化物の1次粒子であってもよく、または前記1次粒子が組み立てられてなる2次粒子であってもよい。前記正極活物質がリチウム複合金属酸化物の1次粒子の場合、空気中の水分またはCOなどとの反応によるLiCO、LiOHなどの表面不純物の生成が減少し、電池容量の低下及びガス発生の恐れが低く、かつ、優れた高温安定性を表すことができる。また、前記正極活物質が、1次粒子が組み立てられた2次粒子の場合、出力特性が一層優れるといえる。さらに、2次粒子の場合、前記1次粒子の平均粒径が10nmから200nmであり得る。このような活物質粒子の形態は、活物質を構成するリチウム複合金属酸化物の組成に従って適宜決定され得る。
【0062】
さらに、本発明の一実施形態に係る正極活物質の製造方法において、前記リチウム複合金属酸化物の粒子とセラミック系イオン伝導体ナノゾルの混合は、例えば、セラミック系イオン伝導体またはその前駆体に溶媒及び分散剤を添加して撹拌させ、コロイド状のセラミック系イオン伝導体ナノゾルを形成したあと、前記ナノゾルをリチウム複合金属酸化物の粒子と混合、塗布、噴霧または浸漬などの多様な方法で表面処理することにより行われ得る。
【0063】
また、本発明の一実施形態に係る正極活物質の製造方法において、前記熱処理は100℃から600℃の温度範囲で4時間から10時間の間行われ得る。前記温度条件で行われるとき、熱処理によってリチウム複合金属酸化物粒子の表面にセラミック系イオン伝導体及び選択的に金属酸化物を含むコーティング層が形成され得る。
【0064】
また、本発明の一実施形態に係る正極活物質の製造方法には、前記熱処理後に焼成する段階がさらに含まれ得る。
【0065】
前記焼成工程は、500℃から1000℃の温度範囲で4時間から10時間の間行われ得る。前記のような温度条件での焼成工程が更に行われる場合、金属の酸化が促進され、また、リチウム複合金属酸化物粒子の内部に、前記セラミック系イオン伝導体及び前記コーティング層の形成時に選択的に用いられた金属酸化物の金属元素が、リチウム複合金属酸化物粒子の表面から内部に行くほど減少する濃度勾配を有しながら含まれ得る。
【0066】
この場合、前記金属元素は、リチウム複合金属酸化物粒子の表面から内部に、約500nm程度まで存在することができる。このようにリチウム複合金属酸化物粒子と複合体を形成する場合、正極活物質の構造的結晶の崩壊を防止して構造的安定性及び電気化学的特性を改善させることができる。
【0067】
前記金属元素でドープされたリチウム複合金属酸化物は、具体的に下記化学式(2)の化合物を含むものであってよい:
[化学式(2)]
ALi1+aNi1−b−cMnCo・(1−A)M’M’’
前記化学式(2)で、M’は、セラミック系イオン伝導体から由来された金属元素であって、具体的には、Y、Zr、La、Sr、Ga、Mg、Sc、Gd、Sm、Ca、Ce、Co、Mn及びFeからなる群より選択されるいずれか一つまたはこれらのうち二つ以上の混合元素であってよく、より具体的には、Y、Zr、La、Sr、Ga、Sc、Gd、Sm及びCeからなる群より選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合元素であってよく、さらに具体的には、Y及びZrからなる群より選択される少なくともいずれか一つの元素であってよい。
【0068】
さらに、前記化学式(2)で、M’’は、前記ナノゾルに選択的に含まれ得る金属ナノゾルから由来されたものであって、具体的に、Al、Nb、Ti、W、Mo、Cr、Cu、V及びZnからなる群より選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合元素であり、より具体的には、Al、Nb及びTiからなる群より選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合元素であってよい。
【0069】
さらに、前記化学式(2)で、0<A<1、0≦a≦0.33、0≦b≦0.5、0≦c≦0.5、0<s≦0.2、0≦v≦0.2であり、より具体的には0≦a≦0.09で、さらに具体的には0.9<A<1、a=0であってよい。
【0070】
さらに、前記化学式(2)で、M’及びM’’は、それぞれ独立的に、リチウム複合金属酸化物の粒子内で粒子の表面から中心に行くほど漸進的に減少する濃度勾配で分布することができる。このように正極活物質粒子内の位置に従ってドープされる金属の濃度が漸進的に変化する濃度勾配で分布することにより、活物質内に急激な相境界領域が存在しないため、結晶構造が安定化され、熱安定性が増加することになる。また、活物質粒子の表面側でドープ元素が高濃度で分布し、粒子の中心に行くほど濃度が減少する濃度勾配を含む場合、熱安定性を表しながらも容量の減少を防止することができる。
【0071】
具体的に、本発明の一実施形態に係る正極活物質において、ドープ元素M’及びM’’の濃度が濃度勾配を表す場合、正極活物質内に含まれるドープ元素M’及びM’’それぞれの総原子量を基準に、粒子の中心から10体積%以内の領域(以下、簡単に「Rc10領域」と記す)と、粒子の表面から10体積%以内の領域(以下、簡単に「Rs10領域」と記す)とにおけるM’の濃度差は10から90原子%であってよく、M’’の濃度差は10から90原子%であってよい。
【0072】
本発明において、正極活物質粒子内でのドープ元素の濃度勾配構造及び濃度は、電子線マイクロアナライザー(Electron Probe Micro Analyzer、EPMA)、誘導結合プラズマ原子放出分光法(Inductively Coupled Plasma − Atomic Emission Spectrometer、ICP−AES)または飛行時間型二次イオン質量分析器(Time of Flight Secondary Ion Mass Spectrometry、ToF−SIMS)などの方法を利用して確認することができ、具体的には、EPMAを利用して正極活物質の中心から表面に移動しながら各金属の元素比(atomic ratio)を測定することができる。
【0073】
本発明の一実施形態に係る正極活物質の製造方法は、セラミック系イオン伝導体のナノゾルを利用してリチウム複合金属酸化物の粒子の表面にセラミック系イオン伝導体を含むコーティング層を形成することにより、従来の湿式混合法を用いる場合に比べて、リチウム複合金属酸化物粒子の表面に形成されるコーティング層をより均一に形成することができ、また、溶媒の使用量を減少させることにより、溶媒によるリチウム複合金属酸化物粒子のダメージ(damage)の発生を最小化することができる。
【0074】
さらに、前記製造方法によって製造された正極活物質は、単一相を有する特定の複合粒子、即ち、非晶質のセラミック系イオン伝導体を含むことにより、二次電池の容量及び出力の減少を最小化することができる。それだけでなく、前記セラミック系イオン伝導体の構造的特徴により、正極工程、特にプレス工程の際に衝撃吸収の効果を有して正極活物質の割れ現象を最小化することができ、これによって二次電池への適用時に寿命特性をさらに向上させることができる。
【0075】
これに伴い、本発明のさらに他の一実施形態によれば、前記製造方法によって製造された正極活物質が提供される。
【0076】
具体的に、前記正極活物質は、リチウム複合金属酸化物の粒子、及び前記リチウム複合金属酸化物の粒子上に位置し、セラミック系イオン伝導体を含むコーティング層を含むことができる。このとき、前記リチウム複合金属酸化物の粒子及びセラミック系イオン伝導体は、前記で説明したところと同一である。
【0077】
本発明の一実施形態に係る正極活物質において、前記コーティング層は、単一相のセラミック系イオン伝導体を含むものであってよい。前記単一相のセラミック系イオン伝導体は、XRD測定の際に単一相ピークを表す。
【0078】
さらに、本発明の一実施形態に係る正極活物質において、前記コーティング層は、前記セラミック系イオン伝導体としてYSZ、CSZ、SSZ、GDC、LSGM、LSM及びNi−YSZからなる群より選択されるいずれか一つまたは二つ以上のものを含むものであってよい。
【0079】
また、本発明の一実施形態に係る正極活物質において、前記コーティング層は、ジルコニア系セラミックイオン伝導体としてYSZ、CSZ、SSZ、GDC及びLSGMからなる群より選択されるいずれか一つまたはこれらのうち2種以上の混合物を含むものであってよい。
【0080】
さらに、前記YSZは、Zr(1−x)2−x/2、0.01≦x≦0.08であってよく、より具体的には0.03≦x≦0.08であってよい。前記YSZが含まれる場合、YがZrサイトに入って単一相を先に形成することができ、正極活物質の構造がスーパーストラクチャー(superstructure)を有することにより、構造の内部に酸素欠乏が発生して空の空間が多く生じ得る。前記YSZにおいて、リチウムの移動通路は、前記YSZ構造内部の酸素欠乏による空の空間により、正極活物質の表面にLiが抜け出すことができる空間が多く生じる。また、YSZにおいてリチウムイオンが通過することができる経路を捜してリチウムイオンのイオン伝導度を分析してみれば、酸素欠乏のある区間で約1.0eVのエネルギー差が表れる。これを介し、酸素欠乏のある経路が連結されればリチウムイオン伝導度が非常に高くなることがあり、このような酸素欠乏により、YSZを含む正極活物質を二次電池へ適用する場合、容量または出力の減少の最小化が可能である。また、前記構造的に空の空間の形成により、正極工程の際、特にプレス(press)工程の際に、衝撃吸収の効果を有して正極活物質の割れ現象が最小化され得る。
【0081】
さらに、前記SSZは、具体的に(ZrO1−2x(Sc、(ZrO1−2x(ScO)3x−z(Yまたは(ZrO1−2x−z(Sc(CeO(ここで、0.01≦x≦0.2、0.01≦z≦0.1である)であり得る。
【0082】
また、前記CSZは、CSZの総重量中のCaO含量が2重量%から17重量%のものであってよい。
【0083】
また、本発明の一実施形態に係る正極活物質において、前記セラミック系イオン伝導体は、正極活物質の総重量に対して50ppmから300000ppmの含量、より具体的には100ppmから10,000ppmになるようにする量でコーティング層内に含まれ得る。
【0084】
さらに、本発明の一実施形態に係る正極活物質において、前記コーティング層にはAl、Nb、Ti、Ca、W、Mo、Fe、Cr、Cu、V及びZnのうち一つ以上の元素を含む酸化物がさらに含まれてよく、前記元素を含む酸化物は、正極活物質の総重量に対して50ppmから300000ppmの含量、より具体的には100ppmから10,000ppmになるようにする量でコーティング層内に含まれてよい。
【0085】
また、本発明の一実施形態に係る正極活物質において、前記コーティング層は、リチウム複合金属酸化物粒子の外部表面より1から5000nmの厚さ範囲に形成され得る。
【0086】
また、本発明の一実施形態に係る正極活物質において、前記コーティング層は、製造時にナノゾルを利用することによって優れた厚さ均一度を有する。具体的には、前記コーティング層は20nm以下の厚さ均一度を有するものであり得る。このとき、前記厚さ均一度は、最大の厚さ値と最小の厚さ値の厚さ偏差を意味する。
【0087】
さらに、本発明の一実施形態に係る前記正極活物質の平均粒径(D50)は3μmから30μmであってよく、また、比表面積及び正極合剤密度の最適化に伴う電池の率特性及び初期容量特性の改善効果を考慮する場合、前記正極活物質の平均粒径(D50)はより具体的に5μmから10μmであってよい。
【0088】
本発明の一実施形態に係る前記正極活物質は、リチウム複合金属酸化物の1次粒子であってもよく、または前記1次粒子が組み立てられてなる2次粒子であってもよい。前記正極活物質がリチウム複合金属酸化物の1次粒子の場合、空気中の水分またはCOなどとの反応に伴うLiCO、LiOHなどの表面不純物の生成が減少し、電池容量の低下及びガス発生の恐れが低く、かつ、優れた高温安定性を表すことができる。さらに、前記正極活物質が1次粒子の組み立てられた2次粒子の場合、出力特性が一層優れることができる。また、2次粒子の場合、前記1次粒子の平均粒径は10nmから200nmであってよい。このような活物質粒子の形態は、活物質を構成するリチウム複合金属酸化物の組成に従って適宜決定され得る。
【0089】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、前記製造方法によって製造された正極活物質を含む正極を提供する。
【0090】
前記正極は、前記正極活物質を用いることを除き、当該技術分野に知られている通常の正極の製造方法で製造することができる。例えば、正極活物質に溶媒、必要に応じてバインダ、導電材または分散剤を混合及び撹拌してスラリーを製造したあと、これを正極集電体に塗布(コーティング)し乾燥して正極活物質層を形成することにより正極を製造することができる。
【0091】
前記正極集電体は伝導性が高い金属であって、前記正極活物質のスラリーが容易に接着することができる金属として、電池の電圧範囲で反応性がないものであればいずれも用いることができる。正極集電体の非制限的な例には、アルミニウム、ニッケルまたはこれらの組み合わせによって製造されるホイルなどがある。
【0092】
さらに、前記正極を形成するための溶媒には、NMP(N−メチルピロリドン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、アセトン、ジメチルアセトアミドなどの有機溶媒または水などがあり、これら溶媒は単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。溶媒の使用量は、スラリーの塗布の厚さ、製造収率を考慮して前記正極活物質、バインダ及び導電材を溶解及び分散させることができる程度であれば十分である。
【0093】
前記バインダとしては、ビニリデンフルオリド−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF−co−HFP)、ポリビニリデンフルオリド(polyvinylidenefluoride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ポリアクリル酸(poly acrylic acid)、及びこれらの水素がLi、NaまたはCaなどで置換された高分子、または多様な共重合体などの多様な種類のバインダ高分子が用いられてよい。前記バインダは、正極活物質層の総重量に対して1から30重量%で含まれてよい。
【0094】
前記導電材は、当該電池に化学的変化を誘発することなく、導電性を有するものであれば特に制限されるのではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素ナノチューブまたは炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;フルオロカーボン、酸化亜鉛またはチタン酸カリウムなどの導電性ウィスカ;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体などの伝導性高分子などを挙げることができ、これらのうちいずれか一つまたは二つ以上の混合物が用いられてよい。前記導電材は、正極活物質層の総重量に対して1から30重量%で含まれてよい。
【0095】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、前記製造方法によって製造された正極活物質を含むリチウム二次電池を提供する。
【0096】
前記リチウム二次電池は、具体的に前記正極、負極、前記正極と負極の間に介在されているセパレーターを含む。
【0097】
前記負極に用いられる負極活物質としては、通常、リチウムイオンが吸蔵及び放出可能な炭素材、リチウム金属、ケイ素または錫などを用いることができる。好ましくは炭素材を用いることができ、炭素材には低結晶炭素及び高結晶性炭素などが全て用いられ得る。低結晶性炭素には軟化炭素(soft carbon)及び硬化炭素(hard carbon)が代表的であり、高結晶性炭素には天然黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、液晶ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、炭素微小球体(meso−carbon microbeads)、液晶ピッチ(Mesophase pitches)、及び石油と石炭系コークス(petroleum or coal tar pitch derived cokes)などの高温焼成炭素が代表的である。さらに、前記負極集電体は、一般に3μmから500μmの厚さに作られる。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発することなく、導電性を有するものであれば特に制限されるのではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム−カドミウム合金などが用いられ得る。さらに、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態に用いられ得る。
【0098】
前記負極に用いられるバインダ及び導電材は、正極と同様に、当分野に通常用いられ得るものを用いることができる。負極は、負極活物質及び前記添加剤等を混合及び撹拌して負極活物質スラリーを製造したあと、これを集電体に塗布し圧縮して負極を製造することができる。
【0099】
さらに、セパレーターには、従来にセパレーターとして用いられていた通常の多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体などのポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムを単独でまたはこれらを積層して用いることができ、または通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0100】
本発明で用いられる電解質として含まれ得るリチウム塩は、リチウム二次電池用電解質に通常用いられるものらが制限なく用いられてよく、例えば、前記リチウム塩の陰イオンは、F、Cl、Br、I、NO、N(CN)、BF、ClO、PF、(CFPF、(CFPF、(CFPF、(CFPF、(CF、CFSO、CFCFSO、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO、CFCO、CHCO、SCN及び(CFCFSOからなる群より選択されるいずれか一つであってよい。
【0101】
本発明で用いられる電解質には、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などを挙げることができ、これらに限定されるものではない。
【0102】
前記のような構成を有するリチウム二次電池は、正極と負極の間に分離膜を介在して電極組立体を製造し、前記電極組立体をケース内部に位置させたあと、ケース内部へ電解液を注入することにより製造され得る。
【0103】
前記したところのように、本発明に係る正極活物質を含むリチウム二次電池は、優れた放電容量、出力特性及び容量維持率を安定的に表すため、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラなどの携帯用機器、及びハイブリッド電気自動車などの電気自動車の分野などに有用である。
【0104】
これに伴い、本発明の他の一具現例によれば、前記リチウム二次電池を単位セルとして含む電池モジュール、及びこれを含む電池パックを提供する。
【0105】
前記電池モジュールまたは電池パックは、パワーツール(Power Tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、及びプラグインハイブリッド電気自動車(Plug−in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)を含む電気車;または電力貯蔵用システムのうちいずれか一つ以上の中大型デバイスの電源として利用され得る。
【0106】
以下、本発明を具体的に説明するため、実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明に係る実施例は幾多の他の形態に変形されてよく、本発明の範囲が下記で記述する実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明を一層完全に説明するために提供されるものである。
【0107】
<ナノゾルの製造>
製造例1
400gのエチレングリコール(C)中に20gのジルコニウムジナイトレートジヒドレート(ZrO(NO・2HO)と2.7gのイットリウムナイトレートヘキサヒドレート(Y(NO・6HO)を溶解させたあと、撹拌して混合溶液を準備した。前記混合溶液を撹拌しながら160℃の温度で5時間の間加熱したあと、90℃の温度に冷却し、水を投入して平均粒径(D50)10nmのYSZナノゾル(Zr(1−x)2−x/2、x値=0.094、YSZ内のY:Zrの重量比=9:91)を製造した。
【0108】
製造例2
前記製造例1でイットリウムナイトレートヘキサヒドレートに代えてカルシウムナイトレートテトラヒドレート(Ca(NO・4HO)を0.85gの量で用いることを除き、前記製造例1と同様の方法で実施してCSZナノゾル(CSZ内のCaOの含量=5モル%、Ca:Zrの重量比=2:98)を製造した。
【0109】
製造例3
前記製造例1でイットリウムナイトレートヘキサヒドレートに代えてスカンジウムナイトレートヒドレート(Sc(NO・HO)を2.55gの量で用いることを除き、前記製造例1と同様の方法で実施してSSZナノゾル((ZrO1−2x(Sc、x値=0.12、SSZ内のSc:Zrの重量比=6:94)を製造した。
【0110】
製造例4
前記製造例1でジルコニウムジナイトレートジヒドレート及びイットリウムナイトレートヘキサヒドレートに代えて、40gのセリウムナイトレートヘキサヒドレート(Ce(NO・6HO)と6gのガドリニウムナイトレートヘキサヒドレート(Gd(NO・6HO))を用いることを除き、前記製造例1と同様の方法で実施してGDCナノゾル(Gd0.1Ce0.91.95、GDC内のGd:Ceの重量比=14:86)を製造した。
【0111】
製造例5
前記製造例1でジルコニウムジナイトレートジヒドレート及びイットリウムナイトレートヘキサヒドレートに代えて、10gのランタンナイトレートヘキサヒドレート(La(NO・6HO)、1.55gのストロンチウムナイトレート(Sr(NO)、6gのガリウムナイトレートヒドレート(Ga(NO・HO)及び1.55gのマグネシウムナイトレートヘキサヒドレート(Mg(NO・6HO)を混合して用いることを除き、前記製造例1と同様の方法で実施してLSGMナノゾル((LaSr1−x)(GaMg1−y)O、x=0.75、y=0.78、LSGM内のLa:Sr:Ga:Mgの重量比=58:12:28:2)を製造した。
【0112】
製造例6
400gのエチレングリコール(C)溶液内に20gのニッケルクロリド(NiCl)を分散させたあと、撹拌して混合溶液を製造した。前記混合溶液を撹拌しながら160℃の温度で5時間の間加熱したあと、90℃の温度に冷却し、水を投入して平均粒径(D50)10nmのNiナノゾルを製造した。
【0113】
<リチウム複合金属酸化物の製造>
製造例7
LiOH(HO)89.46g、平均粒径が5μmであるNi0.6Mn0.2Co0.2(OH) 200gを入れ、実験用ミキサの中心部rpmが18000rpmの速度で、1分間混合して前駆体を製造した。
【0114】
前記で製造した前駆体をアルミナるつぼに入れ、約860℃で6時間の間大気(Air)雰囲気で焼成を行った。焼成後得たケーキ(cake)を粉砕したあと、400メッシュの篩(sieve)[米国のタイラー(Tyler)標準スクリーンスケール]を利用して分級を行い、LiNi0.6Mn0.2Co0.2(平均粒径(D50):5μm)を得た。
【0115】
<正極活物質の製造>
実施例1−1
前記製造例1で製造した平均粒径(D50)10nmのYSZナノゾルを、最終的に製造される正極活物質の総重量に対して0.2重量%の含量で含まれるよう、前記製造例7で製造したLiNi0.6Mn0.2Co0.2(平均粒径(D50):5μm)50gに入れて混合した。結果の混合物を400℃で6時間の間熱処理したあと、乳鉢及び篩にかけてLiNi0.6Mn0.2Co0.2粒子の表面にYSZを含む正極活物質を製造した。
【0116】
実施例1−2
前記実施例1−1において、製造例1で製造したYSZナノゾルに代えて製造例2で製造したCSZナノゾルを用いることを除き、前記実施例1−1と同様の方法で実施して正極活物質を製造した。
【0117】
実施例1−3
前記実施例1−1において、製造例1で製造したYSZナノゾルに代えて製造例3で製造したSSZナノゾルを用いることを除き、前記実施例1−1と同様の方法で実施して正極活物質を製造した。
【0118】
実施例1−4
前記実施例1−1において、製造例1で製造したYSZナノゾルに代えて製造例4で製造したGDCナノゾルを用いることを除き、前記実施例1−1と同様の方法で実施して正極活物質を製造した。
【0119】
実施例1−5
前記実施例1−1において、製造例1で製造したYSZナノゾルに代えて製造例5で製造したLSGMナノゾルを用いることを除き、前記実施例1−1と同様の方法で実施して正極活物質を製造した。
【0120】
実施例1−6
前記実施例1−1で、YSZナノゾルとともに、リチウム複合金属酸化物の総重量に対してNi含量が0.2重量%になるよう、前記製造例6で製造したNiナノゾルを更に混合して用いることを除き、前記実施例1−1と同様の方法で行ってLiNi0.6Mn0.2Co0.2粒子の表面側に、YSZセラミック系イオン伝導体及びNiOを含む表面処理層が形成された正極活物質(平均粒径(D50):5μm)を製造した。
【0121】
比較例1−1
前記実施例1−1でYSZナノゾルを投入しないことを除き、前記実施例1と同様の方法で行って正極活物質(平均粒径(D50):5μm)を製造した。
【0122】
比較例1−2
前記実施例1−1で、YSZナノゾルに代えて平均粒径(D50)50nmのYSZパウダー含有水分散液を用いることを除き、前記実施例1−1と同様の方法で行って正極活物質を製造した。
【0123】
<リチウム二次電池の製造>
実施例2−1
正極の製造
前記実施例1−1で製造した正極活物質94重量%、導電材としてカーボンブラック(carbon black)3重量%、そして、バインダとしてポリビニリデンフルオリド(PVdF)3重量%を溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に添加して正極スラリーを製造した。前記正極スラリーを厚さ約20μmの正極集電体であるアルミニウム(Al)薄膜に塗布し、乾燥して正極を製造したあと、ロールプレス(roll press)を実施して正極を製造した。
【0124】
負極の製造
負極活物質として黒鉛粉末96.3重量%、導電材としてsuper−p 1.0重量%、及び、バインダとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)を1.5重量%と1.2重量%で混合し、溶媒であるNMPに添加して負極スラリーを製造した。前記負極スラリーを厚さ約10μmの負極集電体である銅(Cu)薄膜に塗布し、乾燥して負極を製造したあと、ロールプレス(roll press)を実施して負極を製造した。
【0125】
非水性電解液の製造
電解質としてエチレンカーボネート及びジエチルカーボネートを30:70の体積比で混合して製造された非水電解液溶媒にLiPFを添加し、1MのLiPF非水性電解液を製造した。
【0126】
リチウム二次電池の製造
前記で製造した正極と負極の間に多孔性ポリエチレンの分離膜を介在し、リチウム塩含有電解液を注入してセルを製造した。
【0127】
実施例2−2から2−6
前記実施例1−2から1−6で製造した正極活物質をそれぞれ用いることを除き、実施例2−1と同様の方法で実施してリチウム二次電池を製造した。
【0128】
比較例2−1及び2−2
前記比較例1−1及び1−2で製造された正極活物質をそれぞれ用いたことを除き、実施例2と同様の方法で行ってリチウム二次電池を製造した。
【0129】
実験例:ナノゾルの分析
前記製造例1で製造したセラミック系イオン伝導体のナノゾルを、透過電子顕微鏡(TEM)を利用して観察し、また、X線回折分析(XRD)を行った。
【0130】
その結果を図1及び2に示した。
【0131】
観察の結果、ナノゾル内の平均粒径(D50)が5nm以下で、結晶パターンのない非晶質状のYSZが水酸化物の状態に製造されていることを確認することができる。
【0132】
実験例:正極活物質の分析
前記実施例1−1で製造した正極活物質の表面を、FE−SEM(Field−Emission Scanning Electron Microscope)を利用して観察し、その結果を図3に示した。
【0133】
図3から、YSZナノ粒子がLiNi0.6Mn0.2Co0.2酸化物の表面に均一にコーティングされていることを確認することができる。
【0134】
また、前記実施例1−6で製造した正極活物質に対しても、前記と同様の方法で表面を観察した。
【0135】
その結果、実施例1−6の活物質の場合、LiNi0.6Mn0.2Co0.2酸化物の表面にYSZナノ粒子とともにNiO粒子を含むコーティング層が形成されていることを確認することができる。
【0136】
また、前記比較例1−2で製造した正極活物質の表面を、FE−SEMを利用して観察し、その結果を図4に示した。
【0137】
図4に示す通り、YSZパウダー含有水分散液を利用してコーティングする場合、前記実施例1−1で製造した正極活物質におけるコーティング表面とは異なり、YSZパウダーがLiNi0.6Mn0.2Co0.2酸化物の表面に不均一にコーティングされていることを確認することができる。
【0138】
実験例:正極活物質の分析
前記実施例1−1で製造した正極活物質に対してXRD分析を実施し、コーティング層内に含まれているYSZの結晶構造を確認した。このとき、比較のため、ZrOに対してもXRD分析を行った。
【0139】
XRD分析は、Cu(Kα−線)を利用し、下記のような条件に従って実施した。
【0140】
ターゲット:Cu(Kα−線)黒鉛単色化装置
スリット:発散スリット=0.5度、受信スリット=9.55mm、散乱スリット=5.89度
測定区域及びステップ角度/測定時間:−10.0度<2θ<90度、0.5秒、0.024度、このとき、2θは回折角度を表す。
【0141】
測定の結果、YSZは、立方晶系結晶構造を表し、主ピーク(main peak)の2θが29〜31度に存在する単一相ピークを表した。一方、ZrOは、YSZとは全く異なって単斜晶系結晶構造を表し、27.5〜28.5度の間で主ピークが、そして31.1〜31.8度の間で2次ピークが存在した。
【0142】
実験例:電気化学実験
<電池サイクル特性の評価>
前記実施例1−1から1−6及び比較例1−1、1−2で製造した正極活物質をそれぞれ含むリチウム二次電池(実施例2−1から2−6及び比較例2−1、2−2)に対してサイクル数に応じた容量減少率を調べるため、下記のような方法で電気化学評価実験を行った。
【0143】
具体的に、サイクル特性の評価は、前記実施例2−1から2−6及び比較例2−1、2−2で製造したリチウム二次電池を、25℃で0.5Cの定電流(CC)4.25Vになるまで充電し、以後、4.25Vの定電圧(CV)で充電して充電電流が0.05mAhになるまで1回目の充電を行った。以後、20分間放置したあと、1Cの定電流で3.0Vになるまで放電した(カットオフは0.05Cで進めた)。これを介し、1から50回のサイクルで繰り返して行った。その結果を図5に示した。
【0144】
図5に示す通り、ナノゾルを利用してコーティング層を形成した実施例1−1から1−6の正極活物質を含むリチウム二次電池(実施例2−1から2−6)は、表面コーティング層を形成していない比較例1−1、及び通常の乾式混合法によってコーティング層を形成した比較例1−2の活物質をそれぞれ含むリチウム二次電池(比較例2−1及び2−2)に比べ、著しく改善されたサイクル特性を示した。
【0145】
詳しくは、LiNi0.6Mn0.2Co0.2酸化物の表面にYSZコーティング層を形成していない比較例1−1の正極活物質を含む比較例2−1の電池は、電池サイクルの回数の増加に伴って容量の減少が大きく発生することを確認することができる。また、LiNi0.6Mn0.2Co0.2酸化物の表面にYSZコーティング層を形成した場合、YSZナノ粒子が均一にコーティングされた実施例1−1の正極活物質を含む実施例2−1の電池は、YSZが不均一にコーティングされた比較例1−2の正極活物質を含む比較例2−2の電池に比べて容量の減少がさらに少なかった。
【0146】
このことから、本発明に係る製造方法によってLiNi0.6Mn0.2Co0.2酸化物の表面にセラミック系イオン伝導体のコーティング層が均一に形成された正極活物質を含むリチウム二次電池は、容量の減少が最小化され、その結果でより優れたサイクル特性を示すことを確認した。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【国際調査報告】