(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2018504465
(43)【公表日】20180215
(54)【発明の名称】改良された触媒急速熱分解方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 1/00 20060101AFI20180119BHJP
   B01J 29/40 20060101ALI20180119BHJP
   C07C 15/04 20060101ALI20180119BHJP
   C07C 15/06 20060101ALI20180119BHJP
   C07C 15/08 20060101ALI20180119BHJP
   C07C 7/00 20060101ALI20180119BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20180119BHJP
【FI】
   !C10G1/00 C
   !B01J29/40 M
   !C10G1/00 B
   !C07C15/04
   !C07C15/06
   !C07C15/08
   !C07C7/00
   !C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】2017527291
(86)(22)【出願日】20151022
(85)【翻訳文提出日】20170531
(86)【国際出願番号】US2015056946
(87)【国際公開番号】WO2016081148
(87)【国際公開日】20160526
(31)【優先権主張番号】62/082,419
(32)【優先日】20141120
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515198810
【氏名又は名称】アネロテック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ANELLOTECH,INC.
【住所又は居所】アメリカ合衆国10965ニューヨーク州パール・リバー、ビルディング170エイ、エヌ・ミドルタウン・ロード401
【住所又は居所原語表記】401 N.Middletown Road,Bldg.170A,Pearl River,New York 10965 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソレンセン,チャールズ
【住所又は居所】アメリカ合衆国、ニューヨーク州 10927、ハバストロー、ラウンド ポイント ドライブ 2511
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA03
4G169AA10
4G169BA01A
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4H129BC31
4H129BC35
4H129BC37
4H129NA27
4H129NA43
4H129NA45
(57)【要約】
【課題】本発明は、改良された触媒急速熱分解方法を提供する。
【解決手段】該方法は、a)バイオマスと、特定の触媒組成物と、輸送流体を、反応条件に維持された触媒急速熱分解法の流動床反応器に供給して、未処理の流体生成物流を生成する工程と、b)工程a)の未処理の流体生成物流を触媒分離・ストリッピングシステムに供給し、分離した触媒と流体生成物流を生成する工程と、c)工程b)の流体生成物流を気相/液相分離システムに供給し、液相流と、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを含む気相流を生成する工程と、d)工程c)の気相流を生成物回収システムに供給し、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを回収する工程と、e)工程d)で回収されたトルエンの少なくとも一部を、工程a)の流動床反応器に再循環する工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)バイオマスと、触媒組成物と、輸送流体を、反応条件に維持された触媒急速熱分解法の流動床反応器に供給して、未処理の流体生成物流を生成する工程と、
b)前記工程a)の前記未処理の流体生成物流を固形物分離・ストリッピングシステムに供給し、分離した固形物と流体生成物流を生成する工程と、
c)前記工程b)の前記流体生成物流を気相/液相分離システムに供給し、水、炭化物、コークス、灰、触媒微粒子およびそれらの組み合わせからなる群から選択された成分含む液相流と、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを含む気相流とを生成する工程と、
d)前記工程c)の前記気相流を生成物回収システムに供給し、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを回収する工程と、
e)前記工程d)で回収されたトルエンの少なくとも一部を、前記工程a)の前記流動床反応器に再循環する工程と、
を含むことを特徴とする改良された触媒急速熱分解方法。
【請求項2】
前記工程a)の前記触媒組成物は、12超の二酸化ケイ素/アルミナ・モル比および1〜12の拘束係数によって特徴づけられる結晶分子篩を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
流動床反応条件は、300〜1000℃の温度及び100〜1500kPaの圧力を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記工程a)の前記触媒組成物は、12超かつ240以下の二酸化ケイ素/アルミナ・モル比および5〜10の拘束係数によって特徴づけられる結晶分子篩を含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記工程a)の前記触媒組成物は、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−38、ZSM−48、ZSM−50またはそれらの組み合わせの構造を有する結晶分子篩を含む、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記工程a)の前記触媒組成物は、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−23またはそれらの組み合わせの構造を有する結晶分子篩を含む、請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記工程a)の前記触媒組成物は、ZSM−5の構造を有する結晶分子篩を含む、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記工程d)の前記回収されたトルエンの5〜99%を、前記工程a)の前記流動床反応器に再循環する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記工程d)の前記回収されたトルエンの30〜50%を、前記工程a)の前記流動床反応器に再循環する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記工程b)の前記固形物分離・ストリッピングシステムは、1つのサイクロンまたは複数の直列のサイクロンを備える、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記工程c)の前記気相/液相分離システムは、ベンチュリシステム、急冷システム、コンデンサ、冷却装置、吸収システム、スクラバ、デミスタ、またはこれらの組合せを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記工程d)の前記生成物回収システムは、コンデンサ、冷却装置、吸収システム、デミスタまたはこれらの組合せを含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
a)バイオマスと、ZSM−5の構造を有する結晶分子篩を含む触媒組成物と、輸送流体を、300〜1000℃の温度、100〜1500kPaの圧力、触媒・バイオマスの質量比0.1〜40を含む反応条件に維持された触媒急速熱分解法の流動床反応器に供給して、未処理の流体生成物流を生成する工程と、
b)前記工程a)の前記未処理の流体生成物流を固形物分離・ストリッピングシステムに供給し、分離した固形物と流体生成物流を生成する工程と、
c)前記工程b)の前記流体生成物流を気相/液相分離システムに供給し、水、炭化物、コークス、灰、触媒微粒子およびそれらの組み合わせからなる群から選択された成分を含む液相流と、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを含む気相流を生成する工程と、
d)前記工程c)の前記気相流を生成物回収システムに供給し、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを回収する工程と、
e)前記工程d)で回収されたトルエンの約5〜約99%を、工程a)の前記流動床反応器に再循環する工程と、を含むことを特徴とする改良された触媒急速熱分解方法。
【請求項14】
前記触媒組成物は、多孔質の無機酸化物、クレイ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された結合剤物質を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記無機酸化物は、アルミナ、ジルコニア、二酸化ケイ素、マグネシア、トリア、チタニア、ボリア又はそれらの組み合わせを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記クレイは、ベントナイト、珪藻土またはそれらの組み合わせを含む、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記工程d)の前記回収されたトルエンの30〜50%を、前記工程a)の前記流動床反応器に再循環する、請求項13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された触媒急速熱分解方法に関する。特に、ベンゼンやキシレンを製造するための改良された触媒急速熱分解方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
旅行や消費財のニーズとともに、主に、地下深部から得られる石炭や石油などの化石燃料の消費がかつてないほど高まっている。多くの場合、採鉱や掘削による化石燃料の採掘に伴い、環境コストや政治的コストがかかる。また、入手しやすい化石燃料源が採掘し尽くされつつあることから、水圧破砕や深海掘削など更に費用のかかる掘削技術の探求が行われている。その上、化石燃料の消費により、大気中炭素は、一般に二酸化炭素の形であるが、高レベルとなっている。
【0003】
これらの問題を軽減するため、バイオマスを燃料やその他の有用な化学物質に変換するために多大な努力が費やされている。化石燃料とは異なり、バイオマスは再生可能なエネルギーであり、カーボンニュートラルである。すなわち、バイオマスは成長過程で大気中の炭素を消費するため、バイオマス由来の燃料及び化学物質は大気中の炭素の増加をもたらさないということである。
【0004】
バイオマスに関する多くの研究では、植物油、澱粉、糖類を含む精製したバイオマスの変換が行われているが、この種の精製したバイオマスは食物として消費できるものでもあるため、農業廃棄物(バガス、藁、トウモロコシの茎葉、トウモロコシの皮など)、エネルギー作物(スイッチグラス、ススキなど)、木材チップやおがくずといった木材及び林業廃棄物、製紙工場の廃棄物、プラスチック廃棄物、再生プラスチックや藻類等の、総じてセルロース系バイオマスとも称される、非食用バイオマスの変換の実用性はなお一層高いといえる。バイオマスは、一般に3つの主成分、リグニン、ヘミセルロース及びセルロースを含んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バイオマスから燃料や化学物質を生成するには、原料の性質上、従来の石油系の変換方法とは異なる特殊な変換方法が必要となる。高温、固形原料、高水分濃度、独特の分離及び酸素化副生成物は、石油のアップグレーディングでみられるものとは全く異なるものであり、バイオマス変換の特徴の一部である。このため、多大な努力が行われているものの、バイオマスから化学物質又は燃料を効果的に生成するために克服しなければならない課題は多い。
【0006】
リグニン、セルロース及びヘミセルロースなどの様々なバイオマス由来のポリマ材料は、熱分解して、芳香族、オレフィン、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、水及びその他の生成物の混合物を生成することができる。特に望ましい形態の熱分解としては、触媒急速熱分解(catalytic fast pyrolysis:CFP)が知られており、流動層触媒反応器中でバイオマスを変換し、芳香族、オレフィン及びその他の様々な物質の混合物を生成する。芳香族としては、特に、ベンゼン、トルエン、キシレン(まとめてBTXと呼ばれる)及びナフタレンが挙げられる。オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、及び、少量の高分子量オレフィンが挙げられる。
【0007】
触媒急速熱分解法で生じる流出物は、未処理の状態では、芳香族、オレフィン、酸素化物、パラフィン、H、CH、CO、CO、水、炭、灰、コークス、触媒微粒子及び他の化合物のホスト材料を含む複雑な混合物である。この複雑な混合物中の様々な成分、とりわけ高価値の成分を、製造・分離・回収することが、ますます重要になっている。
【0008】
米国特許公開第2014/0107306号には、バイオマスを熱分解し、少なくとも1種類の熱分解生成物を別の化合物に変換する方法及び装置が開示されている。この方法は、炭化水素系材料を反応器に供給する工程と、1種類以上の熱分解生成物を生成するのに十分な反応条件下で炭化水素系材料の少なくとも一部を反応器内で熱分解する工程と、熱分解生成物の少なくとも一部を触媒反応させる工程と、炭化水素生成物の少なくとも一部を分離する工程と、炭化水素生成物の一部を反応させて化学中間体を生成する工程と、を含む。
【0009】
それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第8,277,643号、米国特許第8,864,984号、米国特許公開第2012/0203042Al、米国特許公開第2013/0060070A1、米国特許公開第2014/0027265A1、米国特許公開第2014/0303414A1に、CFPに適した装置及び処理条件が開示されている。
【0010】
BTXは概して最も高価値の製品であることから、BTXの高収率を提供することが当技術の一般的な目標である。CFPで現在使用されている処理条件では、ベンゼンまたは混合キシレン製品よりも多くのトルエンが生成される。しかしながら、トルエンの価値はベンゼンまたはキシレン未満となる可能性があるので、熱分解またはCFPによるバイオマスの変換から、ベンゼンおよびキシレンの生成量を増加させることが望ましい。
【0011】
従来の芳香族化合物処理においては、高圧力で処理し、添加水素ガスがある場合には、固定床反応器の不均化によって、トルエンをベンゼンとキシレンの平衡混合物に変換することができる。この種の不均化方法は、この種の機構の一群の開示を示す、米国特許第4,052,476号、米国特許第4,851,604号、米国特許第6,958,305号に開示されている。これらの方法では、CFP流動床のバイオマスを変換してベンゼンとキシレンの生成を促進するものではない。更に、米国特許第7,563,358号は、(a)C非芳香族環状炭化水素と、(b)二つ以上の炭素原子を含む少なくとも一つのアルキル基を有するC単環芳香族炭化水素と、(c)少なくとも3つのメチレン基を有するC単環芳香族炭化水素とを含む、炭化水素フィードからベンゼン、トルエン、キシレンの芳香族製品を製造する方法の他の一群の開示を示す。
【0012】
現在の商慣習や公知技術の開示を勘案すると、触媒熱分解法からベンゼンおよびキシレンの生成を促進する単純で経済的な方法が必要とされる。本発明はかかる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の様々な態様は、CFP法における有用かつ所望のベンゼンとトルエンの収率の増加を含む。これらの態様について、本発明は、経済的で改良された方法を提供する。本発明の方法の一実施形態は、a)バイオマスと、例えば12超の二酸化ケイ素/アルミナ・モル比(SAR)および1〜12の拘束係数(Constraint Index:制約指数)によって特徴づけられる結晶分子篩(モレキュラー・シーブ)を含む触媒組成物と、輸送流体を、反応条件に維持されたCFP法流動床反応器に供給して、未処理の流体生成物流を生成する工程と、b)工程a)の未処理の流体生成物流を固形物分離・ストリッピングシステムに供給し、分離した固形物と流体生成物流を生成する工程と、c)工程b)の流体生成物流を気相/液相分離システムに供給し、水、炭化物、コークス、灰、触媒微粒子およびそれらの組み合わせからなる群から選択された成分を含む液相流と、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを含む気相流を生成する工程と、d)工程c)の気相流を生成物回収システムに供給し、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを回収する工程と、e)工程d)で回収されたトルエンの少なくとも一部を、工程a)の流動床反応器に再循環する工程と、を含む。
【0014】
本発明の方法の別の実施形態は、工程a)の触媒の結晶分子篩は、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−38、ZSM−48、ZSM−50またはそれらの組み合わせの構造を有する。
【0015】
本発明の方法の他の実施形態は、工程a)の触媒の結晶分子篩が、12超かつ240以下のSARおよび5〜10の拘束係数によって特徴づけられる、例えばZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−23またはそれらの組み合わせの構造を有するものから選択された結晶分子篩である。
【0016】
本発明の方法の他の実施形態は、a)バイオマスと、ZSM−5の構造を有する結晶分子篩を含む触媒組成物と、輸送流体を、300〜1000℃の温度及び100〜1500kPaの圧力を含む反応条件に維持されたCFP法流動床反応器に供給して、未処理の流体生成物流を生成する工程と、b)工程a)の未処理の流体生成物流を固形物分離・ストリッピングシステムに供給し、分離した固形物と流体生成物流を生成する工程と、c)工程b)の流体生成物流を気相/液相分離システムに供給し、水、炭化物、コークス、灰、触媒微粒子およびそれらの組み合わせからなる群から選択された成分を含む液相流と、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを含む気相流を生成する工程と、d)工程c)の気相流を生成物回収システムに供給し、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを回収する工程と、e)工程d)で回収されたトルエンの約5〜約99%を、工程a)の流動床反応器に再循環する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明に係る方法の実施例のブロック・フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記を鑑みて鋭意研究した結果、発明者らは、一連の連続する工程で、高価値のベンゼン及びトルエンの生成物の製造を促進するように、CFP法を経済的かつ効果的に実行できることを見出した。
【0019】
本発明の改良された方法は、a)例えば、再生可能な有機材料の供給源等から供給された、バイオマスと、例えば12超のSARおよび1〜12の拘束係数によって特徴づけられる1又は複数の特定のファミリーの結晶分子篩を含む触媒組成物と、輸送流体を、例えば、300〜1000℃の温度及び100〜1500kPaの圧力である反応条件に維持されたCFP法流動床反応器に供給して、未処理の流体生成物流を生成する工程と、b)工程a)の未処理の流体生成物流を、以下においてより詳細に説明される、固形物分離・ストリッピングシステムに供給し、分離した固形物と流体生成物流を生成する工程と、c)工程b)の流体生成物流を気相/液相分離システムに供給し、水、炭化物、コークス、灰、触媒微粒子およびそれらの組み合わせからなる群から選択された成分を含む液相流と、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを含む気相流を生成する工程と、d)工程c)の気相流を、以下においてより詳細に説明される、生成物回収システムに供給し、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを回収する工程と、e)工程d)で回収されたトルエンの少なくとも一部を、工程a)の流動床反応器に再循環する工程と、を含む。
【0020】
本明細書で使用される用語「芳香族」又は「芳香族化合物」は、炭化水素化合物又は1以上の芳香族基を含む化合物を指し、例えば、芳香族単環系(例えば、ベンジル、フェニルなど)や縮合多環芳香族系(例えば、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチルなど)がある。芳香族化合物の例としては、これらに限定されないが、ベンゼン、トルエン、インダン、インデン、2−エチルトルエン、3−エチルトルエン、4−エチルトルエン、トリメチルベンゼン(例えば、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼンなど)、エチルベンゼン、スチレン、クメン、n−プロピルベンゼン、キシレン(例えば、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン)、ナフタレン、メチルナフタレン(例えば、1−メチルナフタレン)、アントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、ピレン、フェナントレン、ジメチルナフタレン(例えば1,5−ジメチルナフタレン、1,6−ジメチルナフタレン、2,5−ジメチルナフタレンなど)、エチルナフタレン、ヒドリンデン、メチルヒドリンデン及びジメチルヒドリンデンが挙げられる。一部の実施形態では、単環及び/又はそれ以上の環を有する芳香族を生成することもできる。また、芳香族類としては、ヘテロ原子置換基を含む単一及び複数の環状化合物、即ち、フェノール、クレゾール、ベンゾフラン、アニリン、インドールなども含まれる。
【0021】
本明細書で使用される用語「バイオマス」は、当技術分野における通常の意味であり、再生可能なエネルギーや化学物質のあらゆる有機資源を指す。その主な材料には、(1)木(木材)及びその他のすべての植物、(2)農産物及び農業廃棄物(トウモロコシ、果実、食品廃棄物、エンシレージなど)、(3)藻類及びその他の海洋植物、(4)代謝廃物(糞肥料、下水)、及び、(5)セルロース系都市廃棄物がある。バイオマス物質の例が、例えば、Huber G.W.らの「Synthesis of Transportation Fuels from Biomass:Chemistry、Catalysts、and Engineering(バイオマスからの輸送燃料の合成:化学、触媒、及び工学)」Chem.Rev.106(2006年)、pp.4044-4098に記載されている。
【0022】
バイオマスは、従来、燃料用又は工業生産用に変換可能な、生体又は死んだばかりの生物材料として定義される。バイオマスとしての基準によれば、材料が炭素循環に関与したばかりであり、燃焼過程で炭素を放出しても、合理的な短期間に平均化され、純増をもたらさない材料でなければならない(このため、泥炭、褐炭、石炭のような化石燃料は、長期間にわたって炭素循環に関与していない炭素を含んでおり、その燃焼が大気中の二酸化炭素に純増をもたらすことから、この定義ではバイオマスとはみなされない)。バイオマスは、最も一般的には、バイオ燃料用に栽培された植物質を指すが、繊維や化学物質の生産あるいは発熱に使用される植物質・動物質も含まれる。また、バイオマスには、燃料として燃焼できる又は化学物質に変換できる生分解性廃棄物や副産物、例えば、一般廃棄物、草木のごみ(芝、切り花、生垣の剪定ごみなどの庭や公園から出るごみからなる生分解性廃棄物)、動物糞肥料を含む農業副産物、食品加工廃棄物、下水汚泥、木材パルプや藻類からの黒液なども含まれる。地質学的方法によって所定の物質に変換された有機物質、例えば、石炭、オイルシェール、又は石油などは、バイオマスから除外される。バイオマスは、一般に、ススキ、トウダイグサ、ヒマワリ、スイッチグラス、麻、コーン(トウモロコシ)、ポプラ、柳、サトウキビ、油やし(パーム油)を含む植物として広く栽培され、その根、茎、葉、種子殻及び果実にいたるまで全てが潜在的に有用である。加工装置に導入するために行う原料の処理は、装置の必要性とバイオマスの形態により異なる。
【0023】
本明細書で使用される用語「オレフィン」又は「オレフィン化合物」(“アルケン”としても知られる)とは、当技術分野においての通常の意味であり、二重結合で繋がった1対以上の炭素原子を含むあらゆる不飽和炭化水素を指す。オレフィンには、環状オレフィンと非環状(脂肪族)オレフィンがあり、それぞれ環状(閉環)又は開鎖基の一部を形成する炭素原子の間に二重結合が位置する。また、オレフィンは、適切な数の二重結合を含んでもよい(例えば、モノオレフィン、ジオレフィン、トリオレフィンなど)。オレフィン化合物の例としては、これらに限定されないが、特に、エテン、プロペン、アレン(プロパジエン)、1‐ブテン、2‐ブテン、イソブテン(2−メチルプロペン)、ブタジエン及びイソプレンが挙げられる。環状オレフィンの例としては、特に、シクロペンテン、シクロヘキセン及びシクロヘプテンが挙げられる。トルエンなどの芳香族化合物はオレフィンとはみなされないが、芳香族部分を含むオレフィン、例えば、ベンジルアクリレートやスチレンは、オレフィンとみなされる。
【0024】
本明細書で使用される用語「酸素化物」は、その構造中に少なくとも1つの酸素原子を有するあらゆる有機化合物を含むものであり、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)、酸(例えば、酢酸、プロピオン酸など)、アルデヒド類(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等)、含酸素置換基を有する芳香族類(例えば、フェノール類、クレゾール、安息香酸など)、環状のエーテル、酸、アルデヒド、及び、エステル(例えば、フラン、フルフラールなど)といったものが挙げられる。
【0025】
本明細書で使用される用語「熱分解」及び「熱分解する」とは、当技術分野においての通常の意味であり、好ましくは酸素を添加することなく、あるいは、無酸素での加熱により、化合物、例えば、固体炭化水素材料を1種類以上の別の物質、例えば、揮発性有機化合物、ガス及びコークスに変換することを指す。熱分解反応器内の酸素の体積分率は、0.5%以下であることが好ましい。触媒を使用してもしなくても、熱分解を行うことができる。「触媒熱分解」とは、触媒の存在下で行われる熱分解のことを指し、以下に詳細に記載するような工程を含むことができる。流動層触媒反応器中でバイオマスを変換し、芳香族、オレフィン及び他の様々な物質の混合物を生成する触媒急速熱分解(Catalytic fast pyrolysis:CFP)は、特に有用な熱分解法である。触媒熱分解法の例が、Huber G.W.らの「Synthesis of Transportation Fuels from Biomass:Chemistry、Catalysts、and Engineering(バイオマスからの輸送燃料の合成:化学、触媒、及び工学)」Chem.Rev.106(2006年)、pp.4044-4098に記載されている。
【0026】
本明細書で使用される成分の「回収率」という用語は、反応器流出物流に存在する当該成分の量に対する、回収された(1種類以上の)生成物流に存在する当該成分の割合(又は%)である。例えば、10グラムの「A」が反応器流出物中に存在し、8.5グラムの「A」が回収された生成物流中に存在する場合、「A」の回収率は8.5/10又は0.85(85%)である。本明細書における百分率は、特に指定のない限り全て質量%である。
【0027】
本発明のCFP法流動床反応器において必要とされる触媒組成物は、12超のSARおよび1〜12の拘束係数によって特徴づけられる結晶分子篩を含む。これらの結晶分子篩の非限定的な例は、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、ZSM−50またはそれらの組み合わせの構造を有するものである。一実施形態として、触媒組成物は、12超かつ240以下のSARおよび5〜10の拘束係数によって特徴づけられる結晶分子篩、例えば、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−23またはそれらの組み合わせの構造を有する分子篩を含む。
【0028】
本願において有用な分子篩の原子の個数は、例えばノルマルヘキサンを自由吸着するために、概して約5オングストローム〜約8オングストロームの有効細孔径を有する。加えて、分子篩構造は、より大きな分子のアクセスを制限するものでなければならない。例えば、分子篩構造の細孔窓(pore window)のみがシリコンおよびアルミニウム原子の8個の原子を有する環によって形成される場合、ノルマルヘキサンよりも断面積が大きな分子によるアクセスは除外されるが、これは本願における使用に適したタイプの分子篩ではない。10個の原子を有する環の細孔窓が好ましい。但し、若干の例では、環の過剰なパッカリングまたは細孔のブロックによってこれらの分子篩の有効性が無くなる可能性もある。
【0029】
分子篩が、内部構造に対するサイズが多様な分子の制御を行う範囲を判断する際の便利な基準は、結晶の拘束係数である。内部構造へのアクセスおよび内部構造からの放出を高度に制限する結晶の材料は、高い拘束係数値を有し、この種の材料は、一般に小径(例えば5オングストローム未満)の細孔を有する。一方で、内部結晶構造に比較的自由なアクセスを提供する結晶の材料は、低い拘束係数値を有し、一般に大径(例えば8オングストローム超)の細孔を有する。以下の手順により、大気圧で、同量のノルマルヘキサンと3−メチルペンタンの混合物を結晶材料の小さい試料(約1グラム以下)上を連続的に通過させることによって、拘束係数を単純に決定することができる。結晶材料の試料は、ペレットまたは押出成形体で、粗砂程度の粒径に圧壊され、ガラス管に載置される。試験の前に、結晶材料は、少なくとも15分間、537℃の気流で処理される。その後、結晶材料は温度を287℃〜510℃またはそれ以上に調整したヘリウムによって流され、ヘリウム・総炭化水素モル比が4:1になるように希釈したヘリウムによって、炭化水素混合物が結晶材料上を1液空間速度(すなわち、1時間あたり結晶材料体積あたり1液体炭化水素)で通過するときに、10〜60%の全体的変換が可能になる。20分間流した後に、最も好適にはガスクロマトグラフィによって、流出物の試料を分析し、2つの炭化水素の各々の不変の留分を決定する。拘束係数は、残留3−メチルペンタンのログで除した残留n−ヘキサンのログの比である。拘束係数は、2つの炭化水素の熱分解率定数に近似する。拘束係数を決定する方法は、米国特許第4,029,716号により詳細に記載され、方法の詳細は参照により本願の内容に組み込まれる。
【0030】
いくつかの典型的材料の拘束係数(CI)値は、以下の通りである。
【表1】
【0031】
CI値は、概して特定の結晶材料を特徴づけるが、CI値の決定および算出に有用ないくつかの変数の累積的結果である。このようにして、1〜12の範囲内のCI値を呈する所定の結晶について、試験方法で使用される温度に応じて、10〜60%の変換に伴って、CI値は、1〜12の示された範囲内で変動する。同様に、結晶サイズ、又は、場合によっては吸蔵された汚染物質、結晶と密接に結合した結合剤の存在等の他の変数が、CIに影響を及ぼす可能性がある。本願で用いられるCIは、関連する分子篩を特徴づけるための非常に有用な手段を提供するが、近似値であり、CIの決定の方法において、いくつかの例では、変数の極値を合成する可能性があることを考慮に入れるべきものとして、当業者に理解される。しかしながら、すべての例で、上記の特定の範囲内の温度で、本願明細書において有用な所定の分子篩のCI値は、1〜12の近似範囲内である。
【0032】
本願明細書で使用される分子篩または同分子篩を含む触媒組成物は、高温で加熱処理してもよい。この加熱処理は、通常、少なくとも1分かつ通常20時間以下(概して酸素含有雰囲気、好ましくは空気)、少なくとも370℃の温度で、加熱することによって実行される。大気圧より低い圧力を加熱処理に使用することができるが、便宜上の理由で大気圧が望ましい。加熱処理は、925℃以下の温度で実行することができる。加熱処理した生成物は、特に本発明の方法において有益である。
【0033】
本発明に有用な触媒組成物として、適切な分子篩を、担体または結合剤物質(例えば、多孔質の無機酸化物担体またはクレイ結合剤)とともに使用してもよい。この種の結合剤物質の非限定的な例は、乾燥無機酸化物ゲルおよびゼラチン状沈殿物の形で、一般にアルミナ、ジルコニア、二酸化ケイ素、マグネシア、トリア、チタニア、ボリアまたはそれらの組み合わせを含む。適切なクレイ材料は、例えば、ベントナイト、珪藻土またはそれらの組み合わせを含む。全触媒組成物に対する適切な結晶分子篩の相対比は、広く変動することができ、分子篩量は組成物の30〜90重量%またはそれ以上であり、通常は、組成物の40〜70重量%の範囲である。触媒組成物は、押出成形体、ビーズ、または流体化可能な小球体の形状であってもよい。
【0034】
本願明細書において使用する分子篩または同分子篩を含む触媒組成物は、周知技術により、当初の陽イオンの少なくとも一部が、イオン交換によって、水素または水素前駆体陽イオン及び/又は周期表のVIII族の非貴金属イオン(すなわちニッケル、鉄および/またはコバルト)で置換されてもよい。
【0035】
触媒急速熱分解法に適した装置及び方法条件の例が、それぞれ参照することにより本明細書に組み込まれる米国特許第8,277,643号、米国特許第8,864,984号及び米国特許公開第2012/0203042Al、米国特許公開第2014/0027265A1、米国特許公開第2014/0303414A1、米国特許公開第2013/0060070A1号に記載されている。バイオマスのCFPの条件としては、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、プラチナ、パラジウム、銀、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、タングステン、ジルコニウム、セリウム、ランタン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される金属を含む触媒組成物;流動床、循環床又はライザー反応器;300〜1000℃の範囲の処理温度;及び、触媒・バイオマスの質量比0.1〜40といった特徴(本発明の広範囲の態様を限定することを意図するものではない)の、1つ又は組み合せを含んでもよい。
【0036】
特に、本発明の方法の実施形態のブロック・フロー図を示す図1を参照する。バイオマス準備システム100において、バイオマス供給材料は、チップ化、乾燥、粉砕、又はその他の方法で、あるいはこれらのうちいくつかの組み合わせにより準備され、ライン1を介して、CFP流動床反応器110に供給される。12超のSARおよび1〜12の拘束係数によって特徴づけられる(例えばZSM−5の構造を有する)結晶分子篩を含む触媒組成物と、輸送流体(例えば再循環ガス)は、ライン7およびライン2を介して、CFP反応器110に導入される。CFP反応器は、再循環ガスまたは他の流体によって流体化される。CFP反応器110からの未処理の流体生成物流は、ライン4を介して固形物分離・ストリッピングシステム130に供給される。使用済みの固形物材料はライン6を介して触媒再生システム120に送られ、コークスおよび炭化物を除去して、気相を生成することによって再生され、再生された触媒はライン7を介して反応器110に戻される。触媒再生システム120から出た過剰な気相は、ライン8を介して他の方法または使用のために送出してもよい。固形物分離・ストリッピングシステム130で分離された固形物の一部はライン5を介して反応器110へ送ってもよく、システム130からの流体生成物はライン9を介して急冷気相/液相分離システム140に送られる。気相/液相分離システム140において、水、炭化物、コークス、灰、触媒微粒子およびそれらの組み合わせからなる群から選択された成分を含む液相流と、ベンゼン、トルエン、キシレン及び他の芳香族を含む気相流を生成する。水はライン15を介して気相/液相分離システム140から除去され、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを含む気相流はライン10を介して除去され、残りの成分はライン16を介して除去される。ライン16の成分の一部は、再循環圧縮機160に送られ、その後、流動化目的のための再循環ガスとしてライン2を介してCFP反応器110に送られてもよい。ライン2の圧搾リサイクル・ガスの一部(例えば5〜25%)は、バイオマス準備システム100にライン18を介して送ってもよい。ライン16から、システムに不活性材料が蓄積するのを防止するために、ライン17を介して一部(例えば5〜50%)の流れをパージしてもよい。ライン10の流れは、ベンゼン、トルエン、キシレンおよび他の芳香族化合物を回収するための生成物回収システム150に送られる。生成物回収システム150から、ライン11を介してベンゼンを、ライン12を介してキシレンを、ライン14を介してトルエンを、ライン13を介して他の芳香族化合物を採取する。ライン14の内容の少なくとも一部(例えば5〜99%、例えば10〜95%、例えば30〜50%)を、ライン3を介してCFP反応器110に再循環させる。再循環流3は、別々の流れとして反応器110に供給することができ、または、流動化流体流2(図示せず)と結合することができ、または、バイオマス流1(図示せず)と結合することができ、または、流れ7(図示せず)と結合することができ、または、新たな触媒流(図示せず)またはこれらのいかなる組合せとも結合することができる。
【0037】
CFP反応器110は300〜1000℃の温度で運転してもよく、反応器110からの未処理の流体生成物流は、通常、温度が300〜620℃、例えば、400〜575℃あるいは500〜550℃などであり、圧力(絶対圧として表される圧力)が100kPa〜1500kPa、例えば、200kPa〜1000kPaあるいは300kPa〜700kPaなどである。反応器110からの未処理の流体生成物流は、芳香族、オレフィン、酸素化物、パラフィン、H、CH、CO、CO、水、炭、灰、コークス、触媒微粒子及び他の成分のホスト材料を含む。未処理の流体生成物流には、20〜60%、例えば、25〜55%あるいは30〜50%のCOと、10〜50%、例えば、15〜40%あるいは20〜35%のCOと、0.1〜10%、例えば、0.2〜5%あるいは0.3〜1.0%のHと、2〜15%、例えば、3〜10%あるいは4〜8%のCHと、2〜40%、例えば、3〜35%あるいは4〜30%のBTXと、0.1〜10%、例えば、0.2〜5%あるいは0.3〜3%の酸素化物と、1〜15%、例えば、2〜10%あるいは3〜6%のC〜Cオレフィンが含まれる。無水かつ固形物を含まない状態で、未処理の流体生成物流は、COとCOの合計が30〜90%、例えば、40〜85%あるいは50〜80%である蒸気混合物を含むことができる。
【0038】
気相/液相分離システム140における、例えば水を使った急冷は、温度が−5〜200℃、例えば、10〜100℃あるいは40〜80℃、圧力が150〜1500kPa、例えば、300〜700kPaの条件で行ってもよい。急冷工程で生じた生成物を、100〜8000kPa、例えば、600〜2000kPaの条件で圧縮し、−30〜60℃、例えば、5〜30℃の条件で冷却してもよい。
【0039】
本発明の方法の工程b)の固形物分離・ストリッピングシステム(例えば図1の130)は、CFP法の未処理の流体生成物流から混入した触媒及び特定の他の成分を効果的に分離する公知のユニット処理を含んでもよい。未処理の流体生成物流には、混入した触媒、触媒微粒子、炭化物、コークス、灰、水、C芳香族、酸素化物、ベンゼン、トルエン、キシレン、CO、CO、CH、N、H、C〜Cオレフィン、パラフィン及びその他の化合物を含んでもよい。この種のユニット処理の実施形態は、1つ又は複数のサイクロン(例えば、直列配置されたもの)、スクリーン、フィルタまたはこれらの若干の組合せを含む。
【0040】
本発明の方法の工程c)の気相/液相分離システム(例えば図1の140)は、工程b)の流体生成物流を、水、炭化物、コークス、灰、触媒微粒子およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む液相流と、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを含む気相流に、効果的に分離するための公知のユニット処理を含んでもよい。この種のユニット処理の実施形態は、ベンチュリ、急冷システム、コンデンサ、冷却装置、吸収システム、スクラバ、デミスタ、またはこれらの組合せを含む。
【0041】
本発明の方法の工程d)の生成物回収システム(例えば図1の150)は、工程c)の気相からベンゼン、トルエン、キシレンおよび他の芳香族化合物を効果的に分離および回収するための公知のユニット処理を含んでもよい。この種のユニット処理の実施形態は、コンデンサ、冷却装置、吸収システム、デミスタまたはこれらの組合せを含む。
【0042】
以下の実施例は、本発明及びその使用における可能性を実証するものである。本発明は、他にも異なる実施形態が可能であり、その詳細の一部は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な明白な点において変更可能である。よって、実施例は事実上例示的なものであり、限定的と見なされるべきではない。百分率は、特に指定のない限り全て質量%である。
【実施例】
【0043】
CFP法によるBTX生成物は平衡でない可能性があるという点を理解した上で、CFP法流動床におけるトルエン変換を謙抑的に評価するために算出アプローチを用いた。CFP法の代表的なBTX組成物は、525℃で、標準平衡算出方法を用いた化学平衡組成に数学的に変換された。次に、この組成物に、追加したトルエンを加えて、新規のシステムの化学平衡が算出された。新たに平衡化したシステムにおいて、増分のトルエンは、追加したベンゼンおよび混合したキシレンに変換された。これらの算出は、ベースライン・トルエン量の30%再循環および50%再循環を表す2つのトルエン追加に基づきなされた。30%再循環で、対応するトルエン変換は、追加したトルエンの14%であり、50%再循環で、変換は、追加したトルエンの22%であった。モル選択性は、いずれの場合においてもベンゼン/キシレン50/50であった。
【0044】
以下の表1(30%再循環の質量平衡)および表2(50%再循環の質量平衡)は結果を示す。この結果は、高価値のベンゼンおよびキシレン生成物の収率を上昇させるための本発明の方法には、化学平衡的制約がないことを実証する。表に示される値は、kg/時間である。表において、A=組成物、B=トルエン再循環のない反応生成物、C=トルエン再循環のない平衡生成物、D=トルエン再循環、E=結合供給物、F=トルエン再循環のある反応生成物、G増分生成物、H=トルエン変換百分率である。
【表2】
【表3】
【0045】
本発明の方法によって、ベンゼンおよびキシレン生成を高めるようにCFP法を実行できることを、本実施例の結果は示している。流動床における既存のCFP反応器および触媒システムをこのように用いることができることが、本発明の方法の利点である。これにより、ベンゼンおよびキシレンの生産を増加させるために、固定床不均化反応器システムが別途必要になることを回避することができる。本発明の他の利点は、生成物の需要の変化に対応して、CFP法に製造柔軟性を持たせることができる点である。例えば、キシレン需要が高い場合、より多くのキシレンを製造するために、CFP反応器で、より多くのトルエンを再利用することができる。トルエン需要が高い場合には、再循環の量を低減する、または、再循環を完全に止めることができる。
【0046】
本明細書に引用された特許、特許出願、試験方法、優先権書類、論文、刊行物、説明書及びその他の文書は全て、その開示が本発明と矛盾しない範囲で、且つ、その援用が認められるすべての管轄権において、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0047】
本明細書において数値の下限値及び上限値が記載される場合、任意の下限値から任意の上限値までの範囲が考慮される。
【0048】
本発明の例示的な実施形態を詳細に説明してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更が明白であり、実施できることが当業者に理解されるであろう。したがって、特許請求の範囲を本明細書に記載された実施例及び説明に限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲が本発明に備わる特許可能な新規性のある特徴であって、本発明が属する技術分野の当業者であれば、その均等物として扱うことができる特徴の全てを包含するものとして解釈されることが意図されている。
【符号の説明】
【0049】
100 バイオマス準備システム
110 CFP流動床反応器
120 触媒再生システム
130 固形物分離・ストリッピングシステム
140 急冷気相/液相分離システム
150 生成物回収システム
160 再循環圧縮機
【図1】
【国際調査報告】