(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2018507750
(43)【公表日】20180322
(54)【発明の名称】アーチ部材を含む歯科矯正装置
(51)【国際特許分類】
   A61C 7/30 20060101AFI20180223BHJP
   A61C 7/12 20060101ALI20180223BHJP
【FI】
   !A61C7/30
   !A61C7/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】41
(21)【出願番号】2017548134
(86)(22)【出願日】20160309
(85)【翻訳文提出日】20170912
(86)【国際出願番号】US2016021583
(87)【国際公開番号】WO2016149007
(87)【国際公開日】20160922
(31)【優先権主張番号】62/133,142
(32)【優先日】20150313
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
【住所又は居所】アメリカ合衆国,ミネソタ州 55133−3427,セント ポール,ポスト オフィス ボックス 33427,スリーエム センター
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】トッド アイ.オダ
【住所又は居所】アメリカ合衆国,カリフォルニア 90504,トーランス,ウエスト ワンハンドレッドセブンティーエイス ストリート 2603
(72)【発明者】
【氏名】リー シー.イック
【住所又は居所】アメリカ合衆国,カリフォルニア 92870,プラセンシア,ニュートン レーン 918
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ケー.シナダー,ジュニア
【住所又は居所】アメリカ合衆国,ミネソタ 55133−3427,セント ポール,ポスト オフィス ボックス 33427,スリーエム センター
(72)【発明者】
【氏名】リチャード イー.レイビー
【住所又は居所】アメリカ合衆国,ミネソタ 55133−3427,セント ポール,ポスト オフィス ボックス 33427,スリーエム センター
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ エム.ペール
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国,49152 バート エッセン,シュレーデハウザー シュトラーセ 81
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ケー.ドムローズ
【住所又は居所】アメリカ合衆国,ミネソタ 55133−3427,セント ポール,ポスト オフィス ボックス 33427,スリーエム センター
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA20
4C052JJ04
4C052JJ05
(57)【要約】
歯科矯正装置及びそのような装置を形成するための方法のさまざまな実施形態が開示される。装置は、アンカーカップリング及びベースをそれぞれ含む第1のアンカー及び第2のアンカーを含むことができ、ベースは、それぞれのアンカーを第1の歯及び第2の歯の表面にそれぞれ接続させるようになっている。また、装置はアーチ部材を含むことができ、アーチ部材は、アーチ部材本体と、本体と一体の第1及び第2のアーチ部材カップリングとを含み、アーチ部材本体は、本体の長さに沿って変化する断面幾何学形状を含む。第1のアーチ部材カップリングは第1のアンカーのアンカーカップリングに分離可能に接続可能であり得て、第2のアーチ部材カップリングは第2のアンカーのアンカーカップリングに分離可能に接続可能であり得る。アーチ部材本体は、第1のアーチ部材カップリングと第2のアーチ部材カップリングとの間に第1の非線形部分を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカーカップリング及びベースを含む第1のアンカーであって、前記ベースは、前記第1のアンカーを第1の歯の表面に接続させるようになっている、第1のアンカーと、アンカーカップリング及びベースを含む第2のアンカーであって、前記ベースは、前記第2のアンカーを第2の歯の表面に接続させるようになっている、第2のアンカーと、
アーチ部材本体と、前記本体と一体の第1及び第2のアーチ部材カップリングとを含むアーチ部材であって、前記アーチ部材本体は、前記本体の長さに沿って変化する断面幾何学形状を含む、アーチ部材とを含む、歯科矯正装置であって、
前記第1のアーチ部材カップリングは前記第1のアンカーの前記アンカーカップリングに分離可能に接続可能であり、前記第2のアーチ部材カップリングは前記第2のアンカーの前記アンカーカップリングに分離可能に接続可能であり、更に、前記アーチ部材本体は、前記第1のアーチ部材カップリングと前記第2のアーチ部材カップリングとの間に第1の非線形部分を含み、前記第1の非線形部分は、前記第1及び第2のアンカーが前記第1及び第2の歯の前記表面に接続されており、かつ前記第1及び第2のアーチ部材カップリングが前記第1及び第2のアンカーの前記アンカーカップリングに分離可能に接続されているときに、前記第1及び第2の歯の前記表面から間隔をあけるようになっている、歯科矯正装置。
【請求項2】
前記第1のアーチ部材カップリングが前記第1のアンカーの前記アンカーカップリングに接続されているときに、前記アーチ部材本体及び前記第1のアンカーが固定された関係にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のアンカーが前記第1の歯に接続されており、かつ前記第1のアーチ部材カップリングが前記第1のアンカーの前記アンカーカップリングに分離可能に接続されているときに、前記第1のアンカーが前記アーチ部材本体に対して変位するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記アーチ部材はセルフライゲーティングのアーチ部材を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1及び第2のアンカーが前記第1及び第2の歯の前記表面に接続されており、かつ前記第1のアーチ部材カップリング及び前記第2のアーチ部材カップリングがそれぞれ前記第1のアンカーの前記アンカーカップリング及び前記第2のアンカーの前記アンカーカップリングに接続されているときに、前記第1の非線形部分は、歯肉側方向、咬合側方向、唇側方向、及び舌側方向のうちの少なくとも1つに延伸する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記アーチ部材本体は、第3のアーチ部材カップリングと、前記第2のアーチ部材カップリングと前記第3のアーチ部材カップリングとの間の第2の非線形部分とを含み、前記第1のアーチ部材カップリングと前記第2のアーチ部材カップリングとの間の前記第1の非線形部分の形状は、前記第2のアーチ部材カップリングと前記第3のアーチ部材カップリングとの間の前記第2の非線形部分の形状とは異なる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の非線形部分は、V字形状の部分、U字形状の部分、S字形状の部分、及び、正弦曲線形状の部分のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1及び第2のアンカーが前記第1及び第2の歯の前記表面に接続されており、かつ前記第1のアーチ部材カップリング及び前記第2のアーチ部材カップリングがそれぞれ前記第1のアンカーの前記アンカーカップリング及び前記第2のアンカーの前記アンカーカップリングに接続されているときに、前記正弦曲線形状の部分は歯肉側方向及び咬合側方向の両方に延伸する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1及び第2のアンカーが前記第1及び第2の歯の前記表面に接続されており、かつ前記第1のアーチ部材カップリング及び前記第2のアーチ部材カップリングがそれぞれ前記第1のアンカーの前記アンカーカップリング及び前記第2のアンカーの前記アンカーカップリングに接続されているときに、前記正弦曲線の部分は近心方向及び遠心方向の両方に延伸する、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のアンカーの前記アンカーカップリングは、前記第1のアンカーの前記ベースから延伸するポストを含み、前記第1のアーチ部材カップリングは、前記アーチ部材本体のスロット付き部分を含み、前記スロット付き部分は前記第1のアンカーの前記ポストに分離可能に係合するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のアンカーの前記アンカーカップリングはスロットを含み、前記第1のアーチ部材カップリングは、前記第1のアンカーの前記アンカーカップリングの前記スロットに分離可能に係合するようになっている弾性タブを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
アーチ部材本体、及び、前記本体と一体の複数のアーチ部材カップリングを含むアーチ部材と、
複数のアンカーであって、アンカーカップリングと、前記アンカーを歯の表面に接続させるようになっているベースとをそれぞれ含む複数のアンカーとを含む、歯科矯正装置であって、
各アーチ部材カップリングは、前記複数のアンカーのうちのアンカーの前記アンカーカップリングに分離可能に接続可能であり、
前記アーチ部材本体の第1の部分は第1の矯正力を提供するようになっており、前記アーチ部材本体の第2の部分は前記第1の矯正力とは異なる第2の矯正力を提供するようになっており、更に、前記アーチ部材本体は、前記複数のアンカーのうちの前記アンカーが前記歯の前記表面に接続されているときに、前記歯の前記表面に接触しないようになっている、歯科矯正装置。
【請求項13】
前記アーチ部材はセルフライゲーティングのアーチ部材を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記複数のアンカーのうちの少なくとも1つのアンカーが歯に接続されており、かつ前記複数のアーチ部材カップリングのうちのアーチ部材カップリングが、前記少なくとも1つのアンカーの前記アンカーカップリングに分離可能に接続されているときに、前記少なくとも1つのアンカーが前記アーチ部材本体に対して変位するようになっている、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記アーチ部材本体の前記第1の部分は第1の断面幾何学形状を含み、前記アーチ部材本体の前記第2の部分は前記第1の断面幾何学形状とは異なる第2の断面幾何学形状を含む、請求項12〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の断面幾何学形状及び前記第2の断面幾何学形状のうちの少なくとも1つは、捩じられた部分又は段付きの部分を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記アンカーカップリングは、前記アーチ部材カップリングに係合するための少なくとも1つのクリップを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
歯科矯正装置を含む歯科矯正治療システムであって、前記歯科矯正装置は、
アーチ部材のセットであって、各アーチ部材は、アーチ部材本体と、前記本体と一体のアーチ部材カップリングとを含み、前記アーチ部材のセットの少なくとも1つのアーチ部材は、前記本体の長さに沿って変化する断面幾何学形状を含むアーチ部材本体を含む、アーチ部材のセットと、
患者の歯列弓のそれぞれの歯に接続するようになっているアンカーのセットであって、各アンカーは、アンカーカップリングと、前記アンカーを歯の表面に接続させるようになっているベースとを含む、アンカーのセットと、を含み、
前記アーチ部材カップリングは、前記アンカーのセットのうちのアンカーのアンカーカップリングに分離可能に接続可能であり、
前記アーチ部材のセットの第1のアーチ部材は、少なくとも1つの歯を第1の配置から第2の配置へ移動させるようになっている第1の断面幾何学形状を有し、前記アーチ部材のセットの第2のアーチ部材は、少なくとも1つの歯を前記第2の配置から第3の配置へ移動させるようになっている第2の断面幾何学形状を有している、歯科矯正治療システム。
【請求項19】
前記アーチ部材のセットの少なくとも1つのアーチ部材はセルフライゲーティングのアーチ部材を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記アーチ部材本体の第1の部分は第1の矯正力を提供するようになっており、前記アーチ部材本体の第2の部分は前記第1の矯正力とは異なる第2の矯正力を提供するようになっており、更に、前記アーチ部材本体は、前記複数のアンカーのうちの前記アンカーが前記歯の前記表面に接続されているときに、前記歯の前記表面に接触しないようになっている、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
歯科矯正学は、歯列不正の管理、指導、及び適正な位置への矯正に関連する歯科学の領域及び専門分野である。歯科矯正治療は、患者の咬み合わせ(咬合とも呼ぶ)の欠陥を矯正するとともに、より良好な衛生状態を促進し、全般的な歯の美観及び健康を改善する上で有用であり得る。
【0002】
歯科矯正治療は、多くの場合、ブラケットとして知られるスロット付きの装置の使用を伴い、その装置は、一般的に、患者の前歯、犬歯、及び小臼歯に固定される。ブラケットが歯の上に設置された後に、アーチワイヤが各ブラケットのスロットの中へ受け入れられる。アーチワイヤは、対応する歯群を歯科矯正学的に適切な位置に移動するように誘導するための進路として働くことができる。アーチワイヤの末端部は、典型的には、患者の大臼歯に固定されるバッカルチューブとして知られる装置内に捕捉される。ブラケット、アーチワイヤ、及びバッカルチューブは通例、総称して「ブレース」と呼ばれる。
【0003】
しかし、従来のブレースには固有の制限がある。例えば、口内のブラケット及びワイヤは、特にアーチワイヤの裏側のエリアとブラケットのタイウィングの下のエリアにおいて、食物及び歯垢を捕捉する傾向がある。そして、歯垢の蓄積から結果として生じる不十分な口腔衛生は、虫歯、歯肉炎、歯周病などを含む、追加的な問題につながる可能性がある。また、ブラケットに隣接する歯垢蓄積は、とりわけ、歯のエナメル質表面の上に、脱灰、及び、いわゆる「ホワイトスポット」病斑を引き起こす可能性があり、それは治療の終わりにブレースを取り外した後でも残る。
【0004】
取り外し可能な装置は、食事及び/又は歯磨き中には口から取り外すことができるので、これらの問題のいくつかをかなり軽減することができる。取り外し可能な装置は、歯のメンテナンス及び洗浄を容易にするだけでなく、装置の洗浄をも容易にする。人気のある取り外し可能な装置としては、Align Technology(カリフォルニア州サンタクララ)により製造されるポリマーアライナシェルが挙げられ、この装置は、歯を所望の歯配置に徐々にかつ漸進的に再位置決めすることが意図されている。他のタイプの装置には、例えば、Hawleyリテーナ又はCrozat装置に基づくものなど、ワイヤ埋め込み式の装置が挙げられ、これらは、典型的には、歯表面に受動的に接触する金属ワイヤを使用する。これらの装置は歯の矯正移動を提供するために使用され得るが、最も一般的には、矯正が完了した後の歯の保持のために使用される。また、スプリングリテーナとも称されるスプリングアライナは、透明なアライナ及びワイヤ埋め込み式のリテーナの両方の態様を組み合わせており、歯科矯正用にも使用され得る。しかし、これらのアライナは歯に印加できる力の種類に制約があり、ひいては治療し得る歯科不正咬合の幅を制限する可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
一般に、本開示は、歯科矯正装置及びそのような装置を形成する方法のさまざまな実施形態を提供する。1つ以上の実施形態において、装置は、1つ以上のアンカー及びアーチ部材を含むことができる。各アンカーは、アンカーカップリング及びベースを含むことができ、ベースは、アンカーを歯の表面に接続させるようになっている。更に、アーチ部材は、アーチ部材本体と、本体と一体の1つ以上のアーチ部材カップリングとを含むことができる。1つ以上の実施形態において、アーチ部材の本体は、本体の長さに沿って変化する断面幾何学形状を含むことができる。アーチ部材カップリングは、アンカーカップリングに分離可能に接続可能であり得る。
【0006】
1つの態様では、本開示は、アンカーカップリング及びベースを含む第1のアンカーであって、ベースは、第1のアンカーを第1の歯の表面に接続させるようになっている、第1のアンカーと、アンカーカップリング及びベースを含む第2のアンカーであって、ベースは、第2のアンカーを第2の歯の表面に接続させるようになっている、第2のアンカーとを含む、歯科矯正装置を提供する。装置はまた、アーチ部材本体と、本体と一体の第1及び第2のアーチ部材カップリングとを含むアーチ部材であって、アーチ部材本体は、本体の長さに沿って変化する断面幾何学形状を含む、アーチ部材を含む。第1のアーチ部材カップリングは第1のアンカーのアンカーカップリングに分離可能に接続可能であり、第2のアーチ部材カップリングは第2のアンカーのアンカーカップリングに分離可能に接続可能である。アーチ部材本体は、第1のアーチ部材カップリングと第2のアーチ部材カップリングとの間に第1の非線形部分を含み、第1の非線形部分は、第1及び第2のアンカーが第1及び第2の歯の表面に接続されており、かつ第1及び第2のアーチ部材カップリングが第1及び第2のアンカーのアンカーカップリングに分離可能に接続されているときに、第1及び第2の歯の表面から間隔をあけるようになっている。
【0007】
別の態様では、本開示は、アーチ部材本体、及び、本体と一体の複数のアーチ部材カップリングを含むアーチ部材と、複数のアンカーであって、アンカーカップリングと、アンカーを歯の表面に接続させるようになっているベースとをそれぞれ含む複数のアンカーとを含む、歯科矯正装置を提供する。各アーチ部材カップリングは、複数のアンカーのうちのアンカーのアンカーカップリングに分離可能に接続可能である。更に、アーチ部材本体の第1の部分は第1の矯正力を提供するようになっており、アーチ部材本体の第2の部分は第1の矯正力とは異なる第2の矯正力を提供するようになっている。アーチ部材本体は、複数のアンカーのうちのアンカーが歯の表面に接続されているときに、歯の表面に接触しないようになっている。
【0008】
別の態様では、本開示は、アーチ部材本体と、本体と一体のアーチ部材カップリングとを含む、アーチ部材を形成する方法を提供する。方法は、弾性材料を含む基材を提供することと、アーチ部材を形成するために基材の一部分を取り除くこととを含む。
【0009】
別の態様では、本開示は、歯科矯正装置の仕様を指定する方法を提供する。方法は、歯科矯正装置の提案される仕様を提供することを含み、歯科矯正装置は、アーチ部材を含み、アーチ部材は、アーチ部材本体、及び、本体と一体のアーチ部材カップリングを含む。装置はまた、アンカーのセットを含み、各アンカーはアンカーカップリング及びベースを含み、ベースはアンカーを歯の表面に接続させるようになっている。各アーチ部材カップリングは、アンカーカップリングに分離可能に接続可能である。更に、アーチ部材本体は、本体の長さに沿って変化する断面幾何学形状を含む。方法は、歯科矯正装置に関連する第1の歯列を表す第1のデジタル画像を提供することと、目標歯列を表す目標デジタル画像を導出することと、目標デジタル画像に部分的に基づいて歯科矯正装置の提案仕様を修正することと、修正後の提案仕様に基づいて歯科矯正装置を形成することとを更に含む。
【0010】
別の態様では、本開示は、歯科矯正装置を含む歯科矯正治療システムを提供する。歯科矯正装置はアーチ部材のセットを含み、各アーチ部材は、アーチ部材本体と、本体と一体のアーチ部材カップリングとを含む。アーチ部材のセットの少なくとも1つのアーチ部材は、本体の長さに沿って変化する断面幾何学形状を含むアーチ部材本体を含む。装置はまた、患者の歯列弓のそれぞれの歯に接続するようになっているアンカーのセットを含み、各アンカーは、アンカーカップリングと、アンカーを歯の表面に接続させるようになっているベースとを含む。アーチ部材カップリングは、アンカーのセットのうちのアンカーのアンカーカップリングに分離可能に接続可能である。更に、アーチ部材のセットの第1のアーチ部材は、少なくとも1つの歯を第1の配置から第2の配置へ移動させるようになっている第1の断面幾何学形状を有し、アーチ部材のセットの第2のアーチ部材は、少なくとも1つの歯を第2の配置から第3の配置へ移動させるようになっている第2の断面幾何学形状を有する。
【0011】
本明細書に記載されるすべての見出しは読者の利便性のためのものであって、特に断りのない限り、見出しの後に続く文面の意味を限定するために使用されるものではない。
【0012】
「含む」という用語及びこの変化形は、明細書及び特許請求の範囲においてこれらの用語が用いられる箇所で限定的な意味を持たない。そのような用語は、記述されるステップ若しくは要素、又はステップの群若しくは要素の群を包含することを示唆するが、いかなる他のステップ若しくは要素、又は他のステップの群若しくは要素の群をも排除しないことを示唆するものであると理解されよう。
【0013】
「好ましい」及び「好ましくは」という言葉は、一定の状況下で一定の利益を提供できる、本開示の実施形態を指す。しかし、同じ又は他の状況において他の実施形態もまた、好ましい場合もある。そのうえ、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用ではないことを示唆するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0014】
本出願において、用語「a」、「an」、及び「the」は、1つの実体のみを指すことを意図したものではなく、その説明のために具体的な例が用いられ得る一般的な部類を含む。用語「a」、「an」、及び「the」は、「少なくとも1つの」なる語と互換可能に使用される。その後に列挙が続く「〜のうちの少なくとも1つ」及び「〜のうちの少なくとも1つを含む」という表現は、その列挙内の項目のうちの任意の1つ、及び、その列挙内の項目のうちの2つ以上の任意の組み合わせを指す。
【0015】
その後に列挙が続く「〜のうちの少なくとも1つ」及び「〜のうちの少なくとも1つを含む」という表現は、その列挙内の項目のうちの任意の1つ、及び、その列挙内の項目のうちの2つ以上の任意の組み合わせを指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「又は」は、内容が明確に他を指示しない限り、概ね「及び/又は」を含む通常の意味で利用される。本開示の特定の部分における用語「及び/又は」の使用は、他の部分における「又は」の使用が「及び/又は」を意味することができないことを意味することは意図していない。
【0017】
「及び/又は」という用語は、列挙される要素のうちの1つ若しくはすべて、又は列挙される要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0018】
本明細書において測定された量に関連して使用するとき、用語「約」は、測定を行い、測定の対象物及び使用された測定機器の精度と同等の水準の注意を行使する当業者によって期待される測定量の変動を指す。本明細書においては、ある数字「まで」(例えば「50まで」)という場合には、その数(例えば「50」)を含む。
【0019】
また、本明細書では、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包摂される全ての数、並びにその端点を含むものである(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0020】
用語解説
本明細書に記載する用語は、次に定義する意味を有する。
【0021】
「変位するようになっている」とは、歯科矯正装置のアンカーが、アンカーに接続されているアーチ部材本体に対して移動することができるように設計されることを意味する。アーチ部材本体に対するアンカーの移動は、平行移動、回転移動、及び、平行移動と回転移動の組み合わせであることが可能である。更に、アーチ部材本体に対するアンカーの移動は、任意の平面内において、任意の所望の経路に沿うことができる。
【0022】
「角度形成(angulation)」は、近心方向又は遠心方向の歯の長軸の傾きを意味する。
【0023】
「断面幾何学形状」は、アーチ部材本体の長さに対して直交する平面においてとられたアーチ部材本体の断面形状を意味する。
【0024】
「矯正力」は、歯科矯正装置によって患者の歯の1つ以上に印加される1つ以上の力を意味する。
【0025】
「遠心」とは、患者の湾曲した歯列弓の中心から離れる方向を意味する。
【0026】
「顔側」は、患者の唇又は頬に向かう方向を意味する。
【0027】
「歯肉側」とは、患者の歯茎又は歯肉に向かう方向を意味する。
【0028】
「傾斜」は、頬舌側方向又は顔舌側方向への歯の長軸の傾きを意味する。
【0029】
「舌側」とは、患者の舌に向かう方向を意味する。
【0030】
「近心」とは、患者の湾曲した歯列弓の中心に向かう方向を意味する。
【0031】
「咬合側」とは、患者の歯の外側先端部に向かう方向を意味する。
【0032】
「分離可能に接続可能」は、アーチ部材カップリングに接続されているアーチ部材がアンカーに取り付けられたままになるように、アーチ部材カップリングをアンカーのアンカーカップリングに接続できること、及び、アンカーカップリングを破壊又は変更することなく、適当な量の力を使用してアーチ部材カップリングをアンカーカップリングから切り離せることを意味する。
【0033】
「回転」は、歯の長軸周りにて動くことによる歯の旋回を意味する。
【0034】
「セルフライゲーティング」は、追加的なタイ、ワイヤ、クランプ、又は、アーチ部材を適切な場所に固定する他のデバイスを使用する必要なく、アーチ部材を、1つ以上の歯の表面に接続された1つ以上のアンカーに接続できることを意味する。
【0035】
「トルク」は、歯の傾斜を変化させる矯正力を意味する。
【0036】
本開示のこれらの態様及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかとなるであろう。しかし、上記の概要は、特許請求される発明の主題を限定するものとして決して解釈するべきではなく、発明の主題は付属の「特許請求の範囲」によってのみ定義されるものである。なお、特許請求の範囲は手続きにおいて補正される場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本明細書の全体を通じて添付の図面を参照するが、図中、同様の参照番号は、同様の要素を示す。
【図1】患者の1つ以上の歯の表面に接続されている歯科矯正装置の1つの実施形態の概略斜視図である。
【図2】図1の歯科矯正装置の一部分の概略斜視図である。
【図3】図1の歯科矯正装置の一部分の概略平面図である。
【図4】図1の装置のアーチ部材の一部分の概略斜視図である。
【図5】アーチ部材の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。
【図6】患者の1つ以上の歯の表面に接続されている歯科矯正装置の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。
【図7】図6の歯科矯正装置のアンカーの概略斜視図である。
【図8】歯科矯正装置の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。
【図9】歯科矯正装置の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。
【図10】歯科矯正装置の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。
【図11】歯科矯正装置の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。
【図12】歯科矯正装置の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。
【図13】図12の歯科矯正装置のアンカーの概略斜視図である。
【図14】歯科矯正装置の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。
【図15】歯科矯正装置の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
一般に、本開示は、歯科矯正装置及びそのような装置を形成する方法のさまざまな実施形態を提供する。1つ以上の実施形態において、装置は、1つ以上のアンカー及びアーチ部材を含むことができる。各アンカーは、アンカーカップリング及びベースを含むことができ、ベースは、アンカーを歯の表面に接続させるようになっている。更に、アーチ部材は、アーチ部材本体と、本体と一体の1つ以上のアーチ部材カップリングとを含むことができる。1つ以上の実施形態において、アーチ部材の本体は、本体の長さに沿って変化する断面幾何学形状を含むことができる。アーチ部材カップリングは、アンカーカップリングに分離可能に接続可能であり得る。
【0039】
歯科矯正システムは、典型的には、応力を受けているアーチワイヤを歯科矯正ブラケットに取り付けることによって、歯を真っ直ぐにすることに依存している。歯は移動して、アーチワイヤの最終的な形状又は弛緩した形状に戻る。典型的な歯科矯正装置は、歯が真っ直ぐになるにつれて歯科矯正ブラケットの管腔又はスロットの中にスライドする歯科矯正アーチワイヤを含む。歯科矯正ブラケットに対するアーチワイヤの移動は、装置のスライディングメカニクスと称され得る。受動ブラケットは、アーチワイヤサイズにかかわらず、アーチワイヤがスロットの中を自由に移動することを可能にする。これは、アーチワイヤとブラケットとの間の低減された摩擦に起因して治療の初期段階でのより速い歯移動を可能にすることができるが、治療の仕上げ段階では困難を引き起こす可能性がある。能動ブラケットは、ブラケット制御を増加させるために、アーチワイヤをアーチワイヤスロットの底部に押し込もうとする。このブラケット制御の増加により、治療の仕上げ段階にて、医師がより容易に歯を整列させることが可能となる。しかし、能動ブラケットは、アーチワイヤとブラケットとの間の摩擦の量を増加させる可能性があり、それによって歯科矯正システムのスライディングメカニクスが損なわれる。
【0040】
本明細書で説明されている歯科矯正装置の1つ以上の実施形態は、1つ以上のアーチ部材カップリングを有するアーチ部材を含むことができ、アーチ部材カップリングは、1つ以上のアンカーのアンカーカップリングに分離可能に連結し、アーチ部材がアンカーに対して移動しないようにする。アーチ部材は、従来の歯科矯正システムのスライディングメカニクスを実行し得る1つ以上の幾何学形状に形成されたアーチ部材本体を含むことができる。1つ以上の実施形態において、さまざまな幾何学形状は、スライディングメカニクスに従わない経路を指定することができる。アーチ部材本体がアンカーに対して移動しないので、アンカーは、1つ以上の実施形態において、大幅に、より簡単にかつより小さく作製され得る。これは、歯科矯正装置が1つ以上の歯の舌側表面に接続されるときに、特に有利であり得る。その理由は、歯科矯正装置を設置するためのこの舌側配向におけるスペースがいくらか限られるからである。更に、アーチ部材本体がアンカーに対して移動しないので、アーチ部材本体とアンカーとの間に摩擦が存在しない。このアーチ部材とアンカーとの間に摩擦がないことにより、1つ以上の実施形態において、より短い期間内に歯が解きほぐされて真っ直ぐになることを可能とし得る。
【0041】
現在の取り外し可能な装置は、所定の衛生的利益を提供する一方で、治療の有効性に関する欠点も有し得る。例えば、ポリマーシェルは、特定の歯科不正咬合を矯正する能力に限界がある傾向がある。更に、押し出し、隙間閉鎖、及び大臼歯の移動は、これらのシェルがシェルと歯との間の比較的に弱い機械的保持力に依存するため、達成が困難であるか又は不可能であり得る。更に、ポリマーシェルは、透明な場合であっても、完全には審美的でない可能性がある。その理由は、それらが依然として顔側の歯の表面をカバーし、コーヒーなどの暗色の液体で染色され、又は、その液体を捕捉し得るからである。一方、歯に係合するスプリング又はクラスプを使用するリテーナ状の装置は、ポリマーシェルと同じ欠点の多くに悩まされる。全体として、これらの装置は、正確なトルク、角度形成、回転、及び並進の制御を可能にする様式で、歯に積極的に係合しない可能性がある。更に、これらの装置の多くは、歯の顔側表面の上に存在する顔側ワイヤを使用して歯の前突を防止するため、一般的に審美的ではない。
【0042】
本明細書で説明されている歯科矯正装置の1つ以上の実施形態は、医師によって容易に設置され、取り外され得る。その理由は、装置がセルフライゲーティングである、すなわち、装置のアーチ部材を1つ以上のアンカーに接続することができ、そのアンカーは、追加的なタイ、ワイヤ、クランプ、又は、アーチ部材を適切な場所に固定する他のデバイスを使用する必要なく、1つ以上の歯の表面に接続されているからである。装置が患者の1つ以上の歯の舌側表面に接続されるようになっている1つ以上の実施形態においては、装置が患者の歯によって視界から少なくとも部分的に隠されるので、装置は、透明なアライナよりも見た目がよい可能性がある。
【0043】
図1〜図4は、歯科矯正装置10の1つの実施形態のさまざまな概略図である。装置10は、図1では、患者の1つ以上の歯12に接続されて示されている。装置10は、1つ以上のアンカー30を含むことができ、1つ以上のアンカーは、アンカーカップリング34と、アンカーを歯12の表面13に接続させるようになっているベース32とを含む。装置10はまた、アーチ部材20を含むことができ、アーチ部材20は、アーチ部材本体22と、アーチ部材本体に接続される1つ以上のアーチ部材カップリング24とを含む。更に本明細書で説明するように、アーチ部材カップリング24は、アンカーカップリング34に分離可能に接続可能であり得る。
【0044】
歯科矯正装置10はまた、1つ以上のアンカー30を含むことができる。少なくとも1つのアンカー30は、アンカーカップリング34と、アンカーを歯12の表面13に接続させるようになっているベース32とを含むことができる。例えば、装置10は、第1のアンカー40、第2のアンカー42、及び、第3のアンカー44を含むことができる。第1のアンカー40は、アンカーカップリング34と、対応するアンカーを第1の歯14の表面15に接続させるようになっているベース32とを含むことができる。第2のアンカー42は、アンカーカップリング34と、第2のアンカーを第2の歯16の表面17に接続させるようになっているベース32とを含むことができる。そして、第3のアンカー44は、アンカーカップリング34と、第3のアンカーを第3の歯18の表面19に接続させるようになっているベース32とを含むことができる。更に、アーチ部材20は、第1のアーチ部材カップリング23、第2のアーチ部材カップリング28、及び、第3のアーチ部材カップリング29を含むことができる。第1のアーチ部材カップリング23は第1のアンカー40のアンカーカップリング34に分離可能に接続可能であり得て、第2のアーチ部材カップリング28は第2のアンカー42のアンカーカップリング34に分離可能に接続可能であり得て、第3のアーチ部材カップリング29は第3のアンカー44のアンカーカップリング34に分離可能に接続可能であり得る。
【0045】
アンカーカップリング34は、任意の適切な形状、又は形状の組み合わせをとることができる。例えば、アンカーカップリング34はスロット36を含むことができ、スロット36はアーチ部材カップリング24の1つ以上のタブ26を受け入れるようになっている。スロット36は1つ以上の開口部39を含むことができ、開口部39はタブ26のバーブ21を受け入れるようになっており、タブがスロット36に分離可能に接続されるようになっている。アンカーカップリング34からアーチ部材カップリング24を取り外すために、医師はタブ26を引き合わせて、バーブ21がスロット36の開口部39にもはや係合されないようにすることができる。
【0046】
アンカー30は、任意の適切な材料又は材料の組み合わせを含むことができる。例えば、アンカー30は、金属材料、ポリマー材料、ガラス材料、及び、それらの組み合わせを含むことができる。1つ以上の実施形態において、アンカー30は、アーチ部材本体22に関して説明するものと同じ材料を含むことができる。また、アンカー30は任意の適切な形状又は形状の組み合わせをとることができ、ベースが、アンカーを歯の表面に接続し、かつアンカーをアーチ部材カップリング24に分離可能に接続させるようになっている。
【0047】
アンカー30のベース32は、歯12の任意の適切な表面にフィットするようにカスタマイズされた、歯に面する表面輪郭を有することができる。例えば、1つ以上の実施形態において、ベース32は、歯12の舌側表面13にフィットするようにカスタマイズされている、歯に面する表面輪郭を有する。カスタマイズされたベース32を有することで、患者の心地よさのためにアンカー30をより薄型に構成することができる。1つ以上の実施形態において、アンカー30のベース32は、自動的に位置決めする「ロック・アンド・キー」メカニズムを提供するようにカスタマイズされ得て、ベースは、明確に定義された固有の場所及び配向でアンカー30を歯12に装着することのみを可能とする輪郭を有する。例えば、米国特許第6,776,614号(Wiechmannら)、同第7,811,087号(Wiechmannら)、及び、同第7,850,451号(Wiechmannら)、並びに米国特許出願公開第2005/0277084号(Cinaderら)に記載の技法など、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを、カスタマイズされた結合可能なアンカーを形成するために利用することができる。1つ以上の実施形態において、1つ以上のアンカー30のベース32は、必ずしも歯の特定の表面にフィットするようにカスタマイズされていない任意の適切に形状決めされた表面を含むことができ、すなわち、「汎用的な」ベースである。
【0048】
アンカー30は、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して歯12の表面13に取り付けられ得る。例えば、アンカー30は、適切な接着剤又はセメントを使用して歯12の表面13に結合され得る。アンカー30は接着剤で結合される必要はない。例えば、1つ以上のアンカー30を歯科矯正バンドに溶接し、その後に、適切なバンドセメントを使用してバンドをそれぞれの歯12に固定してもよい。1つ以上の実施形態において、アンカー30は、結合可能な舌側ボタン又は他の市販の既製の結合可能な装置である。更に、アンカー30は、TRANSBONDブランドの光硬化型接着剤(ミネソタ州セントポールの3M Companyから入手可能)などの硬化性複合歯科材料から全体が形成され得て、米国特許出願公開第2007/0031774号(Cinaderら)に説明されるものなどの技法を使用して、インビボにて患者の歯の上で硬化され得る。
【0049】
アーチ部材20が、1つ以上のアンカーに接続されている。1つ以上の実施形態において、アーチ部材は、セルフライゲーティングのアーチ部材であり得る。アーチ部材は、アーチ部材本体22と、本体に接続されている1つ以上のアーチ部材カップリング24とを含む。1つ以上の実施形態において、アーチ部材カップリング24は本体22と一体になっていることができる。アーチ部材20は、任意の適切な数のアーチ部材カップリング24、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上のカップリングを含むことができる。アーチ部材カップリング24は、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して、アーチ部材本体22に接続され得る。1つ以上の実施形態において、アーチ部材カップリング24は、例えば、溶接、接着剤を使用した接着など、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して、アーチ部材本体22に取り付けられ得る。1つ以上の実施形態において、アーチ部材カップリング24は、アーチ部材本体22と一体的に形成され得て、アーチ部材カップリングがアーチ部材本体22と一体になるようになっている。
【0050】
アーチ部材カップリング24は、任意の適切な材料又は材料の組み合わせを含むことができる。1つ以上の実施形態において、アーチ部材カップリング24は、アーチ部材本体22に関して説明されるものと同じ材料又は材料の組み合わせを含むことができる。アーチ部材カップリング24のそれぞれは、同じ材料又は材料の組み合わせを含むことができる。1つ以上の実施形態において、1つ以上のアーチ部材カップリング24は、1つ以上の追加的なアーチ部材カップリング24とは異なる材料を含むことができる。
【0051】
アーチ部材カップリング24は、アーチ部材カップリングが1つ以上のアンカーカップリング34に分離可能に接続可能であるように、任意の適切な形状又は形状の組み合わせをとることができる。分離可能なカップリングの例は、例えば、発行済みの米国特許第6,302,688号(Jordanら)、同第6,582,226号(Jordanら)、同第7,014,460号(Laiら)、同第7,252,505号(Lai)、及び同第8,827,697号(Cinaderら)、並びに、係属中の米国特許出願公開第2005/0277084号(Cinaderら)に説明されている。1つ以上の実施形態において、アーチ部材カップリング24及びアンカーカップリング34は、装置10が1つ以上の歯の角度形成を矯正するための力を提供できるように、2つ以上の側部を有する断面形状をそれぞれ含むことができる。アーチ部材カップリング24及びアンカーカップリングを介して歯に接続されるように図示しているが、1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体22の一部分は、例えば、歯の表面に直接結合するなど、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して、歯12の表面13に直接取り付けられるようにすることができる。
【0052】
アーチ部材カップリング24及びアンカーカップリング34は、アーチ部材カップリングがアンカーのアンカーカップリングに接続しているときにアーチ部材本体22及び1つ以上のアンカー30が固定された関係になるようにすることができる。換言すれば、アンカーカップリング34及びアーチ部材カップリング24が接続されているとき、アーチ部材カップリング24に隣接するアーチ部材本体22は固定され、取り付けられている歯12の表面13に平行な方向でアンカーに対して移動することができない、すなわち、アーチ部材本体はアンカーに対してスライドすることができない。1つ以上の実施形態において、アンカー30は、アンカーが歯12に接続されているときにアーチ部材本体22に対して変位するようになっていることができ、アーチ部材カップリング24はアンカーのアンカーカップリング24に分離可能に接続されている。本明細書で使用される場合、「変位するようになっている」という表現は、アンカー30が、アンカーに接続されているアーチ部材本体22に対して、取り付けられている歯12の表面13に平行な方向に移動することができるように設計されることを意味する。1つ以上の実施形態において、アンカー30は、アーチ部材本体22に対して移動することができる。1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体は、アンカー30に対して移動することができる。1つ以上の実施形態において、アンカー30及びアーチ部材本体22の両方が、互いに対して移動することができる。
【0053】
図1〜図4に図示する実施形態において、アーチ部材カップリング24は1つ以上のタブ26を含み、タブ26は、アンカーカップリング34のスロット36に係合するようになっている。各タブ26は、任意の適切な形状又は形状の組み合わせを取ることができる。1つ以上の実施形態において、タブ26は弾性タブであり得る。更に、1つ以上の実施形態において、1つ以上のタブ26はバーブ21を含むことができ、バーブ21は、アンカーカップリング34のスロット36の中にタブを保持するようになっている。換言すれば、アーチ部材カップリング24はオス型のカップリングを含むことができ、アンカーカップリング34はメス型のカップリングを含むことができ、又は、アーチ部材カップリングはメス型のカップリングを含むことができ、アンカーカップリングはオス型のカップリングを含むことができる。1つ以上の実施形態において、1つ以上のアーチ部材カップリング24は、メス型のカップリングを含む1つ以上のアンカーカップリング34に連結するオス型のカップリングを含むことができ、1つ以上の追加的なアーチ部材カップリングは、オス型のカップリングを含む1つ以上の追加的なアンカーカップリングに連結するメス型のカップリングを含むことができる。
【0054】
カップリング24、34を互いに接続及び接続解除させるのに必要な力は、患者がアーチ部材20を簡単に挿入及び取り外しできるように十分に小さくされ得る。1つ以上の実施形態において、これらの力は、アーチ部材20が患者の歯科構造体に接続し、治療中にアンカー30のいずれからも非意図的に切り離されないように、十分に高くすることができる。すなわち、カップリング24、34は、通常の矯正力及び治療中に遭遇する他の力を受けた場合でも、接続した状態を維持することができる。1つ以上の実施形態において、カップリング24、34は、可能な限り小さい係合力を生み出すようになっている。1つ以上の実施形態において、離脱力は、離脱が患者の不快感を引き起こすほど大き過ぎることはなく、また、治療の間に自発的な離脱が起こるほど小さ過ぎることもない。係合力及び離脱力の最適な値は歯によってかなり異なり、アーチ部材本体22の構成に部分的に依存し得る。1つ以上の実施形態において、カップリング24、34を接続解除させるために必要とされる力を、医師のみがアーチ部材20を取り外すことができるような力にすることができる。
【0055】
アーチ部材20は、アンカー30を通して1つ以上の矯正力を患者の1つ以上の歯に提供して、患者の歯に対する歯科矯正治療又は一連の治療を提供することができる。アーチ部材20のアーチ部材本体22は、剛性及び弾力性などのような、さまざまな材料特性を提供する任意の適切な材料又は材料の組み合わせを含むことができる。例えば、アーチ部材本体22は、金属材料、ポリマー材料、ガラス材料、及び、それらの組み合わせを含むことができる。1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体22は、ニチノール、ステンレス鋼、ニッケルチタン、及びベータチタンのうちの少なくとも1つを含むことができる。アーチ部材本体22は単体であってもよく、又は、材料の1つ以上の層を含んでもよい。更に、アーチ部材本体22は、その長さに沿って単体であることができる。1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体22は、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して共に接続されるいくつかの部分を含むことができる。
【0056】
アーチ部材本体22はまた、医師の必要性に基づいて個別に構成され得る。例えば、所与のアーチ部材本体22は、高いレベルの矯正力が所望されるときにはステンレス鋼から作製され得て、より低いレベルの力が所望されるときにはニッケルチタンから作製され得て、中間レベルの力が所望されるときにはベータチタンから作製され得る。1つ以上の実施形態において、本体22は、ポリマー又は充填複合材などのような非金属材料を含む、他の材料を含むことができる。そのうえ、本体22の断面幾何学形状は、1つ以上の所望の矯正力を提供するように調整され得る。例えば、本体22の形状及び/又は断面寸法(例えば、厚さ)は、1つ以上の所望の矯正力を提供するように調整され得る。1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体22は、本体の長さに沿って変化する断面幾何学形状を有することが可能である。
【0057】
アーチ部材本体22は、例えば、形状、面積、配向など、任意の適切な断面幾何学形状を含むことができる。断面幾何学形状はアーチ部材本体22の長さに沿って一定であるか、又は、変化することができる。例えば、アーチ部材本体22は、任意の適切な形状又は形状の組み合わせを取ることができる。アーチ部材本体22はまた、例えば、多角形(例えば、三角形、矩形など)、楕円形など、任意の適切な断面形状を含むことができる。アーチ部材本体22の断面形状は、本体の長さに沿って均一であることができる。1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体22の第1の部分は第1の断面形状を有することができ、アーチ部材本体の第2の部分は第1の断面形状とは異なる第2の断面形状を有することができる。アーチ部材本体22は、均一な断面積、又は、本体の長さに沿って変化する断面積を含むことができる。
【0058】
1つ以上の実施形態において、本体が形成された後にアーチ部材本体22の縁部を滑らかにして、向上した心地よさを患者に提供することができる。更に、1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体22の1つ以上の部分を任意の適切な材料又は材料の組み合わせによってコーティングして、本体の縁部をカバーするコーティングを提供し、心地よさを改善することができる。また、アーチ部材本体22は本体のアーチ部材カップリング24の間の部分に適用される1つ以上の保護カバーによってカバーされ得て、本体が鋭い角部を有さないようにすることができる。カバーは、任意の適切な材料又は材料の組み合わせを含むことができる。1つ以上の実施形態において、カバーは任意の所望の審美的外観を提供することができる。更に、カバーは、1つ以上の汚れにくい材料を含み、カバーの審美性を維持することができる。
【0059】
アーチ部材本体22は、2つ以上のアーチ部材カップリング24の間に任意の適切な矯正力を提供するようになり得る。これらの矯正力を提供するために、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを利用し得る。例えば、図4に示すように、アーチ部材本体22の断面幾何学形状(例えば、面積)は、本体の長さに沿って変化することができる。例えば、アーチ部材カップリング23とアーチ部材カップリング28との間に配設されているアーチ部材本体22の第1の部分50は、第1の断面幾何学形状を有する。アーチ部材本体22は第2の部分52をも含み、第2の部分52は、アーチ部材カップリング28とアーチ部材カップリング29との間に配設されており、第2の断面幾何学形状を有する。1つ以上の実施形態において、第1の部分50における第1の断面幾何学形状は、第2の部分52における第2の断面幾何学形状とは異なる。
【0060】
アーチ部材本体22の断面幾何学形状は、本体の長さに沿って、任意の適切な1つ以上の平面内で変化することができる。1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体22の厚さを変化させて、任意の2つのアンカーカップリング24の間で(本体のそのセクションの一部分において、又は、その間で連続的に)本体の断面幾何学形状を変化させることができる。例えば、1つ以上の実施形態において、図1に示すように、アーチ部材20が患者の1つ以上の歯12に1つ以上のアンカー30を介して接続されているときに、アーチ部材本体22の厚さは、近遠心方向に対して平行な平面内で、及び、歯の表面に対して直交する平面内で、変化することができる。1つ以上の実施形態において、アーチ部材20が患者の1つ以上の歯12に1つ以上のアンカー30を介して接続されているときに、アーチ部材本体22の厚さは、アーチ部材の近心−遠心長さに沿って、顔側−舌側方向又は咬合側−歯肉側方向に対して直交する平面内で、及び、歯の表面に対して平行な平面内で、変化することができる。
【0061】
アーチ部材本体22の断面幾何学形状は、アーチ部材本体の1つ以上の部分において所望の曲げ剛性を提供するように選択され得る。アーチ部材本体22の曲げ剛性を調整することで、アーチ部材本体の長さに沿って変化させられ得る選択された矯正力を提供することができる。例えば、1つ以上の実施形態において、第2の部分が第1の部分50の断面積よりも小さい断面積を有するので、アーチ部材本体22の第2の部分52は第1の部分50よりも小さい矯正力を提供することができる。アーチ部材本体22の2つの部分50、52は本体の長さに沿って変化する断面幾何学形状を有するものとして示されているが、アーチ部材本体の任意の適切な1つ以上の部分が変化する断面幾何学形状を有し、アーチ部材20のアーチ部材カップリング24間に1つ以上の矯正力を提供することができる。
【0062】
更に、アーチ部材本体22の形状は、任意の適切な平面内で変化させられ、アーチ部材のアーチ部材カップリング同士の間に1つ以上の矯正力を提供することができる。アーチ部材本体22は、任意の適切な形状又は形状の組み合わせをとることができる。例えば、図5は、アーチ部材120の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。図1〜図4のアーチ部材20に関する設計考慮事項及び可能性のすべては、図5のアーチ部材120に等しく適用される。アーチ部材120は、アーチ部材本体122と、アーチ部材本体に接続されるアーチ部材カップリング124とを含む。アーチ部材本体122は、アーチ部材カップリング123と128との間に第1の非線形部分150を含む。更に、アーチ部材本体122は、アーチ部材カップリング128と129との間に第2の非線形部分152を含む。第1の非線形部分150は、第2の非線形部分152の第2の形状と同じ第1の形状をとることができる。1つ以上の実施形態において、第1の形状は第2の形状とは異なっていてもよい。任意の適切な形状又は形状の組み合わせがアーチ部材本体122の中に形成され得る。1つ以上の実施形態において、第1及び第2の非線形部分150、152のうちの少なくとも1つは、例えば、U字形状、V字形状、S字形状、正弦曲線の形状などであってもよい。例えば、アーチ部材120がアンカー(例えば、図1〜図4のアンカー30)を介して1つ以上の歯に接続されているとき、第1の非線形部分150は、歯肉側方向、咬合側方向、近心方向、及び遠心方向のうちの少なくとも1つに延伸する正弦曲線の形状をとることができる。
【0063】
第1の非線形部分150及び第2の非線形部分152は、任意の方向又は方向の組み合わせに延伸することができる。例えば、1つ以上の実施形態において、第1及び第2のアンカー(例えば、図1のアンカー40、42)が第1及び第2の歯(例えば、第1及び第2の歯14、16)の表面(例えば、表面15、17)に接続しており、かつ第1のアーチ部材カップリング123及び第2のアーチ部材カップリング128がそれぞれ第1のアンカーのアンカーカップリング及び第2のアンカーのアンカーカップリングに接続されているときに、第1の非線形部分150及び第2の非線形部分152のうちの少なくとも1つは、歯肉側方向、咬合側方向、唇側方向、及び舌側方向のうちの少なくとも1つに延伸することができる。
【0064】
1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体122の形状は、アーチ部材120が1本以上の歯に接続されている1つ以上のアンカーのアンカーカップリング(図示せず)に接続されているときに、近遠心方向に平行、かつ歯の表面に対して直交する平面内で、変化することができる。1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体122の形状は、近遠心方向に対して直交し、かつ歯の表面に対して平行な平面内で、変化することができる。1つ以上の実施形態において、第2の非線形部分152はアーチ形の部分を含むことができ、例えば、スプリング121などのような正弦曲線の部分を含むことができる。任意の適切なスプリング又はスプリングの組み合わせを利用することができる。スプリング121は、スプリング121が引っ張り又は圧縮のいずれかの状態にあることにより所望の矯正力を提供するように、患者の口の中に設置され得る。
【0065】
1つ以上の実施形態において、第1の非線形部分150は第1の形状を有することができ、第1の形状は、アーチ部材カップリング123及び128に接続される一方の歯又は両方の歯に第1の矯正力を提供するようになっている。更に、第2の非線形部分152は第2の形状を有することができ、第2の形状は、アーチ部材カップリング128及び129に取り付けられる一方の歯又は両方の歯に第2の矯正力を提供するようになっている。第1の矯正力は第2の矯正力と同じであってもよい。1つ以上の実施形態において、第1の矯正力は第2の矯正力とは異なる。
【0066】
アーチ部材本体122の1つ以上の部分は、変化する断面幾何学形状及び1つ以上の非線形形状の両方を含むことができる。例えば、第2の非線形部分152は、その部分の長さに沿って変化する断面幾何学形状を含むことも可能であり、例えば、その部分の厚さが、変化するスプリング121に沿って変化することができる。
【0067】
図1〜図4に戻ると、非線形部分の1つ以上、例えば、非線形部分50、52は、アンカー30によって装置10に接続されている歯の表面15、17から間隔をあけるようになっていることができる。例えば、図1に示すように、第1及び第2のアンカー40、42が第1及び第2の歯の表面に接続されており、かつ第1及び第2のアーチ部材カップリング23、28が第1及び第2のアンカー40、42のアンカーカップリングに分離可能に接続されているときに、第1のアーチ部材カップリング23と第2のアーチ部材カップリング28との間にあるアーチ部材本体22の第1の非線形部分50は、第1の歯14及び第2の歯16の表面15、17から間隔をあけるようになっていることができる。第1の非線形部分50は、第1及び第2の歯14、16の表面15、17から、任意の適切な距離2だけ間隔をあけることができる。第1の非線形部分50は、第1及び第2の歯14、16の表面15、17のそれぞれから、同じ距離だけ間隔をあけることができる。1つ以上の実施形態において、第1の非線形部分50は、第1の非線形部分と第2の歯16の表面17との間の距離とは異なる距離で、第1の歯14の表面15から間隔をあけることができる。アーチ部材本体22の任意の適切な数の部分が、装置10が接続されている歯の表面から間隔をあけることができる。1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体22の全体が、接続されている歯12の表面から間隔をあけている。1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体22の1つ以上の部分は、1つ以上の歯に接触していることができるが、アーチ部材本体の1つ以上の部分は、追加的な歯から間隔をあけることができる。
【0068】
アーチ部材20及びアンカー30のうちの一方又は両方は、患者に選択された治療を提供するために利用され得る他のデバイス又はエレメントを含むことができる。例えば、1つ以上の実施形態において、2つのアーチ部材カップリング24の間の非線形部分の選択された形状は、フック、ツイスト、段、ループ、及び、スプリングのうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、アーチ部材本体22は、長手方向(すなわち、概ねアーチ部材本体の長さに沿った方向)の移動を可能にする1つ以上の可撓性スプリング(例えば、図5のスプリング121)を含むことができる。スプリングは、アーチ部材本体22と一体形成されていてもよく、又は本体とは別に作製され、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して本体に接続されてもよい。また、スプリングは、アーチ部材本体22の可撓性を増加させることができる。1つ以上の実施形態において、スプリングは弾性であってもよく、引張力又は圧縮力を長手方向に送達することができる。Z字形のスプリング、コイルスプリング、オメガループ、プッシュロッド、又は、それらの任意の組み合わせを含む、さまざまなタイプのスプリングが使用され得る。アーチ部材本体22の可撓性を増加させ、長手方向の撓みを可能とすることによって、スプリングは、歯が不正咬合しているときに、アーチ部材カップリング24とアンカーカップリング34との接続を容易にすることができる。患者の治療計画に基づいて、スプリングは、アーチ部材本体22の任意の適切な1つ以上の部分に沿って提供され得る。アーチ部材24は、1つ以上のタブを含むことができ、タブは、アンカー30のうちの少なくとも1つに係合し、アーチ部材カップリング24とアンカーカップリング34との間の接続を維持することができる。
【0069】
アーチ部材本体22は、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して製造され得る。1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体22は、基材の1つ以上の部分を取り除くことによって、基材から、例えば材料のシートから形成され得る。例えば、ニチノール基材を切断又はエッチング加工してアーチ部材本体22を形成することができる。基材を切断又はエッチング加工するためには、例えば、レーザー切断、ウォータージェット切断、エッチング(例えば、イオンビームエッチング)、ダイカッティングなど、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを利用することができる。
【0070】
アーチ部材本体22は、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して、任意の適切な形状又は形状の組み合わせに形成され得る。例えば、アーチ部材が材料のシートから切断又はエッチング加工されるときにアーチ部材本体22の形状を形成し得る。1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体22を、例えば、曲げ加工、機械加工など、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して形成し、次いで、1つ以上の形状に形状決めし得る。アーチ部材本体22の1つ以上の形状は、例えば、加熱硬化など、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して硬化し得る。
【0071】
本明細書で述べられるように、アーチ部材本体22は、本体の長さに沿って、任意の適切な断面幾何学形状を有することができる。1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体22は咬合側方向に厚さを有することができ、その厚さは、アーチ部材本体が装置10の1つ以上のアンカー30に接続されているときに、アーチ部材本体22の長さに沿って変化する。アーチ部材本体22の厚さを変化させることで、1つ以上の歯に印加される矯正力の制御を提供することができる。この厚さは、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して変化させられ得る。1つ以上の実施形態において、厚さは、アブレーティング、エッチング、研磨、切断などによって、アーチ部材本体22の一部分を取り除くことによって変化させられ得る。アーチ部材本体22はまた、1つ以上の部分において細長くして、そのような部分における厚さを低減させることができる。
【0072】
1つ以上の実施形態において、アンカー30は、患者の歯表面(例えば、舌側表面)上の精密に予め選択された位置に、正確に設置及び結合され得る。この目的のために、米国特許第7,020,963号(Clearyら)及び同第7,404,714号(Clearyら)、並びに米国特許出願公開第2006/0177791号(Cinaderら)に説明されるものなどのインダイレクト技法を使用することが有利であり得る。
【0073】
装置10は、さまざまなタイプの歯移動を作り出すことが可能であり得る。アーチ部材本体22及びアンカー30のアンカーカップリング34の構成、並びにアンカーに対するアーチ部材本体の変位(例えば、アーチ部材本体の変形による)は、従来のアライナ及びワイヤ埋め込み式の装置を使用して実現するのは困難であろう方式にて、装置10に歯を移動させることを可能にすることができる。アーチ部材本体22の1つ以上の部分がさまざまな構成に形成され得るので、装置10は、内側−外側及び近心−遠心の歯の移動、並びに、歯の傾斜移動及び回転移動の任意の組み合わせを作り出すポテンシャルがある。アーチ部材本体22の長手方向軸線に対して平行である平行移動的な歯の移動は、1つ以上の可撓性スプリングをアーチ部材本体の中に組み込むことによって、又は、1つ以上のスプリングをアーチ部材本体の中に形成することによって、実施され得る。
【0074】
歯科矯正装置10は、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して製造され得る。例えば、1つ以上の実施形態において、アーチ部材20及びアンカー30のうちの一方又は両方は、ラピッドマニュファクチャリング技法を使用して製造され得る。1つ以上の実施形態において、アンカーカップリング34及びアーチ部材カップリング24は、製造業者又は医師のいずれかによって、標準ライブラリから選ばれ得る。同様に、アーチ部材本体22は、標準ライブラリから選択され、医師の治療目標を満たすように修正され得る。治療の各段階に関する歯位置目標はソフトウェア又は技工士によって提案され、必要に応じて医師によって修正され得る。治療中、歯位置目標のうちの1つ以上は、例えば、本願の権利者により共有される米国特許出願公開第2010/0260405号(Cinaderら)に説明されているように、歯の中間スキャンに含まれている情報から生成され得る。後続の装置は、治療の開始時に一連の装置全体を作り出すのではなく、必要に応じて作り出され得る。1つ以上の実施形態において、医師は、完全に医師の診察室内で装置を製作することができる。これによって、治療の進行にしたがって装置を調節するためのより高い柔軟性を医師に与えることができる。
【0075】
1つ以上の実施形態において、アーチ部材20及びアンカー30のうちの一方又は両方は、3Dプリンティング技術を使用して製造され得る。例えば、1つ以上のデータファイルが医師によって選択され、次いで、医師は、3Dプリンティング技術を使用して歯科矯正装置10を作り出すことができる。
【0076】
アーチ部材カップリング24及びアンカーカップリング34は、アーチ部材カップリングがアンカーカップリングに分離可能に接続可能であるように、任意の適切な様式で設計され得る。例えば、図6〜図7は、歯科矯正装置200の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。図1〜図4の歯科矯正装置10に関する設計考慮事項及び可能性のすべては、図6〜図7の装置200に等しく適用される。装置200はアーチ部材220を含み、アーチ部材220は、アーチ部材本体222と、本体に接続されている1つ以上のアーチ部材カップリング224とを含む。1つ以上の実施形態において、アーチ部材カップリング224は、アーチ部材本体222と一体になり得る。1つ以上のアーチ部材カップリング224は、アーチ部材本体222のスロット付き部分226を含むことができる。スロット付き部分226は、任意の適切な形状又は形状の組み合わせを取ることができ、任意の適切な寸法であり得る。1つ以上の実施形態において、スロット付き部分226は、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して形成され得る。例えば、1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体222が任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して形成されるときにスロット付き部分226が形成され得る。1つ以上の実施形態において、スロット付き部分226は、アーチ部材本体222が形成された後に形成され得て、例えば、アーチ部材本体は、スロット付き部分を形成するために切断又はエッチング加工され得る。1つ以上の実施形態において、スロット付き部分226は弾性である。
【0077】
装置200はまた、1つ以上のアンカー230を含み、アンカー230は、アンカーカップリング234及びベース232をそれぞれ含むことができ、ベース232はアンカーを歯212の表面214に接続させるようになっている。1つ以上のアンカーカップリング234は、ポスト236を含むことができ、ポスト236は、ベース232から延伸し、アーチ部材本体222のスロット付き部分226を受け入れるようになっている。1つ以上の実施形態において、アーチ部材カップリング224は、アンカーカップリング234に分離可能に接続可能である。
【0078】
アンカー230はアンカーカップリング234を含むことができ、アンカーカップリング234は任意の適切な形状又は形状の組み合わせを取ることができ、任意の適切な寸法を有することができる。図6〜図7に図示されている実施形態では、アンカーカップリング234は、アンカー230のベース232から延伸するポスト236を含む。ポスト236は、任意の適切な形状又は形状の組み合わせを取ることができる。図示されている実施形態では、ポスト236は、アーチ部材カップリング224のスロット付き部分226に係合するようになっている円筒形状を含む。1つ以上の実施形態において、アンカーカップリング234は、任意の適切な断面形状及び寸法を有することができる。例えば、1つ以上の実施形態において、アンカーカップリング234は、多角形の断面形状、楕円形の断面形状、又は、切頭円錐形状の断面形状を有することができる。アンカーカップリング234は、アンカー230のベース232から延伸するアンカーカップリングの長さに沿って、一定の断面形状及びサイズを有することができる。1つ以上の実施形態において、アンカーカップリング234は、アンカーカップリングの長さに沿って変化する断面形状を有することができる。
【0079】
1つ以上の実施形態において、アンカーカップリング234のポスト236は、アーチ部材本体222のスロット付き部分226を保持し、ポスト236に係合されたままになる1つ以上のアンダーカット部分237を含むことができる。ポスト236は任意の適切な寸法を含むことができ、任意の適切な形状又は形状の組み合わせをとることができる。1つ以上の実施形態において、ポスト236は、歯212の表面214に対して直交する方向に、アーチ部材本体222のスロット付き部分226の幅よりも大きい断面積を有することができ、ポストがスロット付き部分の中へ挿入されるとスロット付き部分が拡張するようになっている。アーチ部材220は、アーチ部材を歯肉側方向に押すことによってアンカー230に接続され得て、ポスト236がスロット付き部分226の中へ挿入されるようになっている。
【0080】
1つ以上の実施形態において、ポスト236は、ベースに対して垂直の軸線に沿ってベース232から延伸することができ、アーチ部材をポストの上に遠心方向に押すことによって、アーチ部材220がアンカー230に接続され得るようになっている。更に、ポスト236は、アンカー230の中に形成され得て、又は別に製造されて、アンカーのベース232に取り付けられ得る。ポスト236は、ベース232に直接取り付けられ得る。1つ以上の実施形態において、ポスト236は、アンカー230の凹部239に挿入され得る。1つ以上の実施形態において、凹部239は、1つ以上の選択された矯正力を接続されている歯212に与えるために、ポスト236の調節を可能とするようになり得る。1つ以上の実施形態において、1つ以上のアンカー230のポスト236の配向は、治療の1つ以上の段階で調節され得る。1つ以上の実施形態において、1つ以上のアンカーのポスト236の配向は、治療のさまざまな段階の全体を通して調節され得る。
【0081】
アンカー230は、取り付けられている歯に任意の適切な1つ以上の矯正力が印加され得るように形作られてもよい。例えば、1つ以上の実施形態において、ポスト236は、ベース232の上に形成又は配設され得て、歯表面214に対する法線ベクトルに対して任意の適切な角度を形成する軸線に沿って、咬合平面に対して直交する平面内に延伸するようになっている。適当な角度を選択することによって、アーチ部材220によって矯正力が歯に印加され得て、それによって、取り付けられている歯のトルクを矯正することができる。1つ以上の実施形態において、ポスト236がそれに沿って延伸する軸線は、近遠心方向に平行な平面内において、歯表面に対する法線ベクトルに対して所定の角度を形成するように、形成又は配設され得る。適当な角度を選択することによって、アーチ部材220によって矯正力を歯に印加することができ、それによって歯212の回転を矯正することができる。1つ以上の実施形態において、ポスト236は、これらの平面の両方に対して角度を形成するように形成又は配設することができ、歯212の角度形成及び回転の両方を矯正することができる矯正力を提供することができる。1つ以上の実施形態において、アンカーカップリング234は、アーチ部材カップリング224がアンカー230のアンカーカップリングに接続されており、かつアンカーが歯212に接続されているときに、選択されたトルク、回転、及び角度形成のうちの少なくとも1つを歯に提供するようになっていてもよい。
【0082】
例えば、図7は、図6の装置200のアンカー230の概略斜視図である。アンカー230のポスト236は、アンカー230の凹部239の中に配設されており、ポストの幅に沿って延伸する軸線231が、近遠心方向202に対して角度208を形成する。任意の適切な角度が、軸線231と近遠心方向202との間に形成され得る。アーチ部材220に接続されているとき、ポスト236の回転は、歯212の角度形成を矯正することができる矯正力を提供することができる。
【0083】
図8は、歯科矯正装置300の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。図1〜図4の歯科矯正装置10に関する設計考慮事項及び可能性のすべては、図8の歯科矯正装置300に等しく適用される。歯科矯正装置300はアーチ部材320を含み、アーチ部材320は、アーチ部材本体322と、本体に接続されている1つ以上のアーチ部材カップリング324とを含む。また、装置300は1つ以上のアンカー330を含み、アンカー330は、アンカーカップリング334及びベース332をそれぞれ含み、ベース332は、歯の表面に、例えば、舌側表面に、アンカーを接続させるようになっている。1つ以上の実施形態において、アーチ部材カップリング324は、アンカーカップリング334に分離可能に接続可能である。
【0084】
アンカーカップリング334はスロット336を含み、スロット336は、アーチ部材320のアーチ部材カップリング324を受け入れるようになっている。スロット336は任意の適切な形状又は形状の組み合わせを取ることができる。アーチ部材カップリング324はスロット付き部分326を含むことができ、スロット付き部分326は、アンカーカップリング334のスロット336に挿入されるようになっている。1つ以上の実施形態において、スロット付き部分326は弾性であり、アンカー330のスロット336の中で圧縮され、その中に保持され得る。また、アーチ部材カップリング324は、1つ以上のタブ328を含むことができ、タブ328は、アンカーカップリング334のスロット336によって受け入れられるようになっている。タブ328は、アンカーカップリング334のスロット336に係合することができ、アーチ部材320が、例えば、アンカー330に取り付けられている歯に角度形成を提供することができる。
【0085】
アーチ部材320と図1〜図4のアーチ部材20との間の1つの相違は、本体322が1つ以上の非線形(例えば、アーチ形)部分を含むことであり、これは、図示する実施形態ではV字形状の部分323であり、V字形状の部分323は、スプリングのような効果をアーチ部材320に与え、アンカーから歯肉側方向に実質的にオフセットとなる。任意の適切な数のV字形状の部分が、アーチ部材カップリング324の間に形成され得る。1つ以上の実施形態において、V字形状の部分323は、アーチ部材320に接続されている歯の表面に実質的に平行な平面に存在することができる。本明細書で使用される場合、「実質的に平行な」という用語は、V字形状の部分323(又は、下記のU字形状の部分523)が、装置に接続されている1つ以上の歯の表面に対して約10度以下の角度を形成する平面の中に存在することを意味する。V字形状の部分323は、アーチ部材320に取り付けられている1つ以上の歯に任意の適切な矯正力を提供することができる。アーチ部材320は1つ以上のアンカー330に接続され得て、例えば、図5のアーチ部材120のスプリング121に関して本明細書で説明されるように、アーチ部材は引張又は圧縮のいずれかになっている。
【0086】
示されてはいないが、アーチ部材320の1つ以上の部分はアーチ部材カップリング324間で異なる幾何学形状を含み、V字形状の部分323によって提供される矯正力とは異なる1つ以上の矯正力を提供することができる。更に、アーチ部材本体322の断面幾何学形状は、任意の適切な1つ以上の部分において、例えば、V字形状の部分323を含む本体の一部分において、アーチ部材本体の長さに沿って変化することができる。1つ以上の実施形態において、1つ以上のアーチ部材カップリング324の間の近心側−遠心側距離は、V字形状の部分323が選択された頂角を有するように選択され得る。
【0087】
アーチ部材320は、アーチ部材カップリング324をアンカーカップリング334のスロット付き部分336の中に押し込み、それによってアーチ部材カップリングの弾性スロット付き部分326を凹部分の側部に押し当てて圧縮することによって、アンカー330に接続され得る。したがって、アーチ部材カップリング324は、アンカーカップリング334の凹部分336の中に摩擦嵌めされる。また、アンカーカップリング334はオーバーハング部分を含むことができ、オーバーハング部分は、アーチ部材カップリング324が凹部分336の上に配設されているときに、アーチ部材カップリング324に係合することができる。
【0088】
アーチ部材カップリングがアンカーカップリングに分離可能に接続可能となるように、任意の適切なカップリング324、334をアーチ部材320とともに利用され得る。例えば、図9は、装置400の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。図1〜図4の装置10及び図8の装置300に関する設計考慮事項及び可能性のすべては、図9の装置400に等しく適用される。装置400はアーチ部材420を含み、アーチ部材420は、アーチ部材本体422と、本体に接続されている1つ以上のアーチ部材カップリング424とを含む。1つ以上の実施形態において、1つ以上のアーチ部材カップリング424がアーチ部材本体422と一体になることができる。更に、1つ以上の実施形態において、本体422の断面幾何学形状は、本体の長さに沿って変化することができる。装置400はまた、1つ以上のアンカー430を含むことができ、アンカー430は、アンカーカップリング434及びベース432をそれぞれ含み、ベース432は、アンカーを歯の表面(図示せず)に接続させるようになっている。1つ以上の実施形態において、アーチ部材カップリング424はアンカーカップリング434に分離可能に接続可能である。また、アンカーカップリング434はオーバーハング部分を含むことも可能であり、オーバーハング部分は、アーチ部材カップリング424がアンカーカップリングに接続されているときに、アーチ部材カップリング424に係合することができる。
【0089】
装置400と装置300との間の1つの相違は、アンカー430が、1つ以上の凹部分437を有するポスト436を含むことであり、凹部分437は、アーチ部材カップリング424のスロット付き部分426を受け入れるためにポストの中に形成されている。スロット付き部分426は、アンカー430のポスト436に係合するようになっている。また、1つ以上の実施形態において、アーチ部材カップリング424はタブ428を含むことができ、タブ428は任意の適切な形状又は形状の組み合わせを含むことができる。タブ428は、医師が1つ以上のアンカー430にアーチ部材420を接続及び接続解除するのを支援することができる。
【0090】
アーチ部材420をアンカー430に接続させるには、アンカーカップリング424をアンカーカップリング434のポスト436に押し付けて、スロット付き部分426がポストの上に拡張するようにする。スロット付き部分426がアンカー430の凹んだ部分437に係合すると、スロット付き部分は、凹んだ部分の1つ以上の表面に対して収縮する。したがって、アーチ部材カップリング424はアンカーカップリング434に対して摩擦嵌めされる。
【0091】
図10は、装置500の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。図1〜図4の装置10及び図8の装置300に関する設計考慮事項及び可能性のすべては、図10の装置500に等しく適用される。装置500はアーチ部材520を含み、アーチ部材520は、アーチ部材本体522と、本体に接続されている1つ以上のアーチ部材カップリング524とを含む。1つ以上の実施形態において、1つ以上のアーチ部材カップリング524がアーチ部材本体522と一体になることができる。更に、1つ以上の実施形態において、本体522の断面幾何学形状は、本体の長さに沿って変化することができる。装置500はまた、1つ以上のアンカー530を含むことができ、アンカー530は、アンカーカップリング534及びベース532を含み、ベース532は、アンカーを歯の表面(図示せず)に接続させるようになっている。1つ以上の実施形態において、アーチ部材カップリング524は、アンカーカップリング534に分離可能に接続可能である。
【0092】
装置500と装置300との間の1つの相違は、アーチ部材520の本体522が1つ以上のU字形状の部分523を含むことである。U字形状の部分523は、任意の適切な形状又は形状の組み合わせを取ることができる。更に、U字形状の部分523は任意の1つ以上の平面又は平面の中に延伸又は存在することができる。1つ以上の実施形態において、U字形状の部分523は、装置が1つ以上の歯に接続されているときに、患者の1つ以上の歯の表面に対して実質的に平行な平面の中に存在している。本体522は、各アーチ部材カップリング524の間に任意の適切な数のU字形状の部分523を含むことができる。
【0093】
装置500と300との間の別の相違は、1つ以上のアーチ部材カップリング524が、1つ以上のアンカー530に連結するようになっている1つ以上のタブ526を含むことである。例えば、1つ以上の実施形態において、アンカーカップリング534はスロット536を含むことができる。スロット536は、任意の適切な形状又は形状の組み合わせをとることができる。1つ以上の実施形態において、スロット536は、アーチ部材カップリング524の1つ以上のタブ526を受け入れるようになっている。
【0094】
アーチ部材520は、アーチ部材カップリング524をアンカーカップリング534のスロット536の中へ押し込んでタブ526をスロットに係合させることにより、1つ以上のアンカー530に取り付け又は接続され得る。また、アーチ部材カップリング524の1つ以上のタブ526は、任意の適切な形状のバーブ527を含むことができ、バーブ527は、アンカーカップリング534のスロット536に係合し、アンカー530に接続された関係でアーチ部材520を保持する。更に、1つ以上の実施形態において、少なくとも1つのタブ526は、スロット536の一部分の周りで曲げられ得て、アーチ部材520がアンカー530に接続されたままになる。
【0095】
1つ以上の実施形態において、アーチ部材カップリング524は開口部529をも含むことができ、開口部529は医師が1つ以上の実施形態にてアーチ部材カップリング524をアンカーカップリングに接続及び/又は接続解除させるために使用することができるツールに係合するようになっており、アンカー530はまた、カップリングが接続されているときに、アーチ部材カップリング524の開口部529と位置が合わせられ得る凹部(図示せず)を含むことができる。医師は、アーチ部材カップリング524の開口部529及びアンカー530の凹部の中へツールを挿入し、ツールをレバーとして使用して、アンカーカップリング534から離すようにアーチ部材カップリングを持ち上げることができる。
【0096】
示されてはいないが、アーチ部材520の1つ以上の部分は、アーチ部材カップリング524間で異なる幾何学形状を含み、U字形状の部分523によって提供される矯正力とは異なる1つ以上の矯正力を提供することができる。更に、アーチ部材本体522の断面積は、本体の任意の適切な1つ以上の部分において、例えば、U字形状の部分523を含む本体の一部分において、アーチ部材本体の長さに沿って変化することができる。
【0097】
図11は、歯科矯正装置600の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。図1〜図4の歯科矯正装置10及び図8の歯科矯正装置300に関する設計考慮事項及び可能性のすべては、図11の歯科矯正装置600に等しく適用される。装置600はアーチ部材620を含み、アーチ部材620は、アーチ部材本体622と、本体に接続されている1つ以上のアーチ部材カップリング624とを含む。1つ以上の実施形態において、1つ以上のアーチ部材カップリング624はアーチ部材本体622と一体になっていることができる。更に、1つ以上の実施形態において、本体622の断面幾何学形状は、本体の長さに沿って変化することができる。また、装置600は1つ以上のアンカー630を含むことができ、アンカー630は、アンカーカップリング634及びベース632をそれぞれ含み、ベース632は、アンカーを歯の表面(図示せず)に接続させるようになっている。1つ以上の実施形態において、アーチ部材カップリング624はアンカーカップリング634に分離可能に接続可能である。
【0098】
図11の装置600と図8の装置300との間の1つの相違は、アーチ部材カップリング624は1つ以上の弾性フィンガ626を含むことである。任意の適切な数の弾性フィンガ626がアーチ部材本体622の中に形成され得て、又は、アーチ部材本体622に取り付けられ得る。弾性フィンガ626は、アーチ部材カップリング624をアンカー630のアンカーカップリング634に分離可能に接続させるようになっている。図示の実施形態では、アンカーカップリング634は、アンカー630のベース632から延伸するポスト636を含む。ポスト636は、任意の適切な形状又は形状の組み合わせをとることができる。1つ以上の実施形態において、ポスト636は、1つ以上の凹部637を含むことが可能であり、凹部637はアーチ部材カップリング624の可撓性フィンガ626を受け入れるようになっている。
【0099】
装置600と装置300との間の別の相違は、アーチ部材620が1つ以上のS字形状の部分623を含むことであり、S字形状の部分623は、アーチ部材に接続されている1つ以上の歯に任意の適切な1つ以上の矯正力を提供することができる。また、アーチ部材420及び520とは異なり、非線形のS字形状の部分623は、アーチ部材カップリング624の咬合側縁部領域及び歯肉側縁部領域を越えては実質的に延伸していない。しかし、アーチ部材620は、アーチ部材カップリング624の間に任意の適切な数のS字形状の部分を含むことができる。1つ以上の実施形態において、アーチ部材620は、1つ以上のアンカー630に接続され得て、S字形状の部分が、例えば、図5のスプリング121に関して説明されるように、引張又は圧縮のいずれかになるようになっている。示されてはいないが、アーチ部材620の1つ以上の部分はアーチ部材カップリング624間で異なる幾何学形状を含み、S字形状の部分623によって提供される矯正力とは異なる1つ以上の矯正力を提供することができる。更に、アーチ部材本体622の断面幾何学形状は、本体の任意の適切な1つ以上の部分において、例えば、S字形状の部分623を含む部分において、アーチ部材本体の長さに沿って変化することができる。
【0100】
アーチ部材620をアンカー630に連結するには、弾性フィンガ626がポスト636の周りで変位するようにアーチ部材カップリング624をアンカーカップリング634に押し付けることができる。フィンガ626は、ポスト636の凹部637に係合し、アーチ部材620をアンカー630に接続された状態に維持することができる。更に、1つ以上の実施形態において、フィンガ626は、取り付けられている歯に、矯正力、例えば、回転力を与えることもできる。
【0101】
図12〜図13は、歯科矯正装置700の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。図1〜図4の歯科矯正装置10及び図8の歯科矯正装置300に関する設計考慮事項及び可能性のすべては、図12〜図13の装置700に等しく適用される。装置700はアーチ部材720を含み、アーチ部材720は、アーチ部材本体722と、本体に接続されている1つ以上のアーチ部材カップリング724とを含む。1つ以上の実施形態において、1つ以上のアーチ部材カップリング724はアーチ部材本体722と一体になっていることができる。更に、1つ以上の実施形態において、本体722の断面幾何学形状は本体の長さに沿って変化することができる。装置700はまた、1つ以上のアンカー730を含むことが可能であり、アンカー730は、アンカーカップリング734及びベース732を含み、ベース732は、アンカーを歯の表面(図示せず)に接続させるようになっている。1つ以上の実施形態において、アーチ部材カップリング724は、アンカーカップリング734に分離可能に接続可能である。
【0102】
図12〜図13の装置700と図1〜図4の装置10との間の1つの相違は、アーチ部材カップリング724が1つ以上の弾性タブ726を含むことであり、弾性タブ726は、アンカーのベース732から延伸するアンカー730のポスト736に係合するようになっている。また、ポスト736は、1つ以上の凹部737を含むことができ、凹部737はアーチ部材カップリング724のタブ726に係合するようになっている。
【0103】
アーチ部材720をアンカー730に接続させるには、アーチ部材カップリング724をアンカーカップリング734のポスト736に押し付けて、アーチ部材カップリングの弾性タブ726が撓み、タブが凹部737に到達するまでポストの表面に係合するようにする。タブ726が凹んだ部分737に係合すると、アーチ部材カップリング724は、アンカーカップリング734に分離可能に接続される。
【0104】
図14〜図15は、歯科矯正装置800の別の実施形態の一部分の概略斜視図である。図1〜図4の歯科矯正装置10及び図8の歯科矯正装置300に関する設計考慮事項及び可能性のすべては、図14〜図15の装置800に等しく適用される。装置800はアーチ部材820を含み、アーチ部材820は、アーチ部材本体822と、本体に接続されている1つ以上のアーチ部材カップリング824とを含む。1つ以上の実施形態において、1つ以上のアーチ部材カップリング824はアーチ部材本体822と一体になることができる。更に、1つ以上の実施形態において、本体822の断面幾何学形状は、本体の長さに沿って変化することができる。また、装置800は、1つ以上のアンカー830を含むことができ、アンカー830はアンカーカップリング834及びベース832を含み、ベース832は、アンカーを歯の表面(図示せず)に接続させるようになっている。1つ以上の実施形態において、アーチ部材カップリング824は、アンカーカップリング834に分離可能に接続可能である。
【0105】
図14〜図15の装置800と図1〜図4の装置10との間の1つの相違は、アンカーカップリング834が、アンカーのベース832から延伸するポスト836に隣接して少なくとも1つのクリップ840を含むことであり、クリップ840は、アーチ部材カップリング824のスロット826に係合するようになっている。アンカー830は、図14及び図15に示す実施形態において、1対のクリップ840を含む。各クリップ840は1対のアーム部分842、844を含み、1対のアーム部分842、844は、概ね唇側−舌側方向(図14)又は咬合側−歯肉側(図15)方向に延伸し、次いで互いから離れるように外向きに曲がることができる。ポスト836の近心面及び遠心面それぞれの上の突出部838がクリップ840を通して延伸し、それによってアンカー830の上にクリップ840を保持する。
【0106】
デュアルクリップ構成を使用することは、アーチ部材カップリング824の両側においてクリップごとに2つの係合点を利用することで、単一のクリップを使用するときよりも改善した安定性を提供することができる。複数の係合点を有することで、アーチ部材820がポスト836周りに回転することを防止するのを助け、それによって、結果としてより安全なカップリングを生じさせる。
【0107】
クリップ840は、図14及び図15では、通常の弛緩した配向で示されている。しかし、各クリップ840のアーム部分842は互いに向けて移動可能であり、所望の場合に、スロット826の中に係合して受け入れられるようになっている。アーム部分842、844の滑らかな外側縁部は、アーチ部材カップリングスロット826をアーム部分842、844の外側の湾曲した縁部に対して押し付けることによって、各クリップ840がアーチ部材に係合することを可能にする。アーチ部材カップリング824によって湾曲した縁部の上に圧力が働くので、アーム部分842、844が互いに向けて撓み、クリップ840をスロット826の中へ入れるようにする。
【0108】
アーム部分842、844がスロット826を通って延伸すると、それらは互いから離れるように撓み、クリップ840をその弛緩した構成に戻すこととなる。クリップ840のアーム部分がスロット826の壁部に係合すると、アーチ部材カップリング824はアンカーカップリング834に分離可能に接続される。1つ以上の実施形態において、アーム部分842、844と突出部受け入れ領域846との間のエリアのクリップ840の幅は、スロット826の幅以上である。そのような実施形態では、クリップ840は、十分な拡張力をアーチ部材カップリング824に印加することができ、アーチ部材822の長手方向軸線に沿った方向へのアーチ部材本体820の移動を防止する。任意選択的に、クリップ840の内側表面は、粗面化されても、刻み付けされても、又は、セレーション、溝部、若しくは他の構造体を設けられてもよく、クリップ840とアーチ部材820との間の固定された非スライド式の接続を容易化する。
【0109】
アンカー830からアーチ部材820を取り外すために、医師は、適切な手動器具を使用してアーム部分842、844を共に圧縮することができ、圧縮されたクリップ840に沿って、アーチ部材カップリング824をスライドさせることができる。
【0110】
任意選択的に、クリップ840のそれぞれは、金属ストック材料の平坦セクションから切断される。適切な金属材料は、ニチノール及びベータチタンの合金などのような形状記憶合金を含む。クリップ840は、スタンピング、ダイカッティング、化学的エッチング、EDM(放電加工)、レーザー切断、又はウォータージェット切断プロセスを使用して、ストック材料から切断され得る。別の選択肢として、各クリップ840を形成し、次いで、その形状を固定させるように熱処理し得る。他の適切なクリップ特徴は、発行済みの米国特許第7,252,505号(Lai)及び同第7,367,800号(Laiら)に与えられている。
【0111】
一般に、アーチ部材及びアンカーのさまざまな実施形態を互換可能に使用して、選択された治療を提供することができる。例えば、1つの例示的な実施形態において、患者の1つ以上の歯は図6〜図7に図示する装置200のアンカー230に接続され得て、アンカーはカップリング224を含むアーチ部材に連結され、1つ以上の追加的な歯は図1〜図4に図示する装置10のアンカー30に接続され得て、アンカーは1つ以上のカップリング24に連結され、又は、同じアーチ部材に接続される。1つ以上の実施形態において、装置の異なる実施形態が、治療の異なる局面に使用され得る。例えば、図8の装置300は早期の治療局面において利用され得て、図1〜図4の装置10は、同じ患者のその後の治療局面において利用され得る。
【0112】
本開示の歯科矯正装置のさまざまな実施形態が、任意の適切な歯科矯正治療システムとともに利用され得る。例えば、1つ以上の実施形態において、歯科矯正治療システムは、例えば、歯科矯正装置10など、歯科矯正装置を含むことができる。歯科矯正装置は、アーチ部材のセット(例えば、図1〜図4のアーチ部材20)を含むことができる。各アーチ部材20は、アーチ部材本体22と、本体に接続されているアーチ部材カップリング24とを含むことができる。また、装置は、アンカーのセット(例えば、図1〜図3のアンカー30)を含むことができ、アンカーのセットは、患者の歯列弓のそれぞれの歯に接続するようになっている。各アンカー30は、アンカーカップリング34及びベース32を含むことができ、ベース32は、アンカーを歯の表面に接続させるようになっている。各アーチ部材カップリングは、アンカーのセットのうちのアンカーのアンカーカップリングに分離可能に接続可能であり得る。
【0113】
1つ以上の実施形態において、アーチ部材のセットの第1のアーチ部材は、少なくとも1つの歯を第1の配置から第2の配置へ移動させるように選択された幾何学形状(例えば、形状、断面積など)を有することができる。更に、1つ以上の実施形態において、アーチ部材のセットの第2のアーチ部材は、少なくとも1つの歯を第2の配置から第3の配置へ移動させるように選択された幾何学形状(例えば、形状、断面積など)を有することができる。
【0114】
本明細書で説明されている歯科矯正装置のさまざまな実施形態は、任意の適切な追加的な装置とともに利用され得る。例えば1つ以上の実施形態において、図1〜図4の歯科矯正装置10は、1つ以上のブラケット、バッカルチューブ、バンド、クリート、ボタン、取り外し可能装置(アライナトレイを含む)、口蓋拡張器、及び、それらの組み合わせとともに利用され得る。1つ以上の追加的な装置が、歯科矯正装置(例えば、図1〜図4の装置10)に接続されるようになっていることができる。例えば、任意の技法又は技法の組み合わせを使用して、口蓋拡張器を歯科矯正装置に接続されるようになっていてもよい。1つ以上の実施形態において、1つ以上の追加的な装置が1つ以上の装置とともに同時に使用され得るが、そのような装置に接続されなくてもよい。
【0115】
本明細書で説明されている歯科矯正装置のさまざまな実施形態は、例えば、米国特許出願公開第2010/0260405号(Cinader、Jr.)及び米国仮特許出願第62/097,733号(代理人整理番号75174US002)に説明されている技法など、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して製造され得る。図1〜図4の歯科矯正装置10を参照すると、1つの例示的な技法は、装置10を形成するために使用され得る、患者の歯の物理的な歯科模型を提供することを含む。歯科模型の構成は、治療専門家によって認識される目標歯列を表すことができる。本明細書で定義されるように、「目標歯列」は、治療専門家によって企図される用途に応じて、患者の現在の歯列、所望の最終的な歯列、又は、予測される中間的な歯列であってもよい。また、1つ以上の実施形態において、目標歯列は、1つ以上のアンカーカップリングの所望の配置を含むことができる。
【0116】
目標歯列が患者の現在の歯列として定義される場合には、歯科模型は、例えば患者の歯列のアルギネート、ポリビニルシロキサン、又はポリエーテル印象から準備されたエポキシ樹脂又は石膏キャスティングから提供され得る。目標歯列が中間的な歯列又は最終的な歯列として定義される場合には、このキャスティングは、個々の模型歯エレメントにセクション化され得て、歯エレメントは、所望の歯列を形成するように再配置され得る。更に、歯エレメントは、再度共にろう付けされ(waxed)て、しかも形を提供し得る。また、1つ以上の実施形態において、歯科模型は再構成可能な歯科模型であることができ、それによって、個々の歯がセクション化することなしに再配置されることを可能にする。再構成可能な歯科模型の例は、例えば、米国特許第6,227,851号(Chishtiら)及び同第6,394,801号(Chishtiら)に説明されている。
【0117】
歯科模型は、歯科矯正装置10を作製及び構成するためのテンプレートとして使用され得る。アンカー30は、歯科模型のそれぞれの舌側表面及び/又は唇歯表面に接続され得る。アーチ部材20は、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して所望の構成に形成され得て、アーチ部材カップリング24がアンカー30のアンカーカップリング34に分離可能に接続可能である。1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体22は押し出し加工によって形成され、次いで、公知の技法を使用して形作られ得る。1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体22は、基材を切断、スタンピング、又はエッチング加工することによって形成され得る。1つ以上の実施形態において、ポリマー材料を熱成形又は鋳造してアーチ部材本体22を提供することができ、1つ以上のアーチ部材カップリング24はアーチ部材本体に接続され得る。1つ以上の実施形態において、アーチ部材本体22は、3Dプリンティング技法を使用して形成され得る。
【0118】
アーチ部材本体22が形成されると、アーチ部材カップリング24がアーチ部材本体に沿って配設され得て、アーチ部材カップリングがアーチ部材本体に接続される。アーチ部材カップリング24がアーチ部材本体22(例えば、図7〜図8のアーチ部材本体320)に沿って形成されている1つ以上の実施形態において、アーチ部材カップリングは、アーチ部材本体の中に1つ以上のスロットを切り込む又はエッチング加工することによって形成され得る。1つ以上の実施形態において、スロットは、アーチ部材20の熱成形又は鋳造中に、アーチ部材本体22の中に配設され得る。
【0119】
装置10を使用するために、アンカー30を、歯科模型から患者の歯へ移す。それぞれの歯に対するアンカー30の正確な場所を保存するために、インダイレクトボンディングトレイ又は他の移送装置を利用することができる。アンカー30が患者の歯の舌側表面に合わせてカスタマイズされ、それによって自動的に位置決めする場合には、ダイレクトボンディングが実行可能な代替法となり得る。アーチ部材20は患者の口の中に設置され、アーチ部材カップリング24を介してアンカー30に分離可能に接続され得る。
【0120】
仮想世界において操作を行うことによって、これらのステップのうちの1つ以上が集約される、更には排除されることも可能である。さまざまなデジタル技法が、装置設計の精度を改善し、伝統的に人の手によって行われていた製作プロセスの態様を促進させることができる。
【0121】
1つの例示的な技法がデジタルスキャニングである。患者の歯科構造体を表す仮想歯科模型を、デジタル口腔内スキャンを使用することによって、又は、印象又は歯科模型をデジタルでスキャンすることによって、キャプチャーすることができる。デジタルイメージは、Brontes Technologies,Inc.(マサチューセッツ州レキシントン)によって開発され、例えば、国際公開第WO2007/084727号(Boerjesら)に説明されているアクティブ・ウェイブフロント・サンプリングを使用した口腔内スキャナーなどのようなハンドヘルド式の口腔内スキャナーを使用して提供され得る。1つ以上の実施形態において、他の口腔内スキャナー又は口腔内接触プローブを使用し得る。別の選択肢として、デジタル構造データは、患者の歯のネガティブ印象をスキャンすることによって提供され得る。更なる別の選択肢として、デジタル構造データは、患者の歯のポジティブ物理的模型をイメージングすることによって、又は患者の歯の模型の上で接触プローブを使用することによって、提供され得る。スキャニングのために使用される模型は、例えば、アルギネート又はポリビニルシロキサン(PVS)などのような適切な印象材から患者の歯列の印象をキャスティングし、キャスティング材料(例えば、歯科矯正石膏又はエポキシ樹脂など)を印象の中へ注ぎ、キャスティング材料を硬化させることによって作製され得る。X線写真、レーザースキャニング、コンピューター断層撮影(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、及び超音波イメージングを含む、任意の適切なスキャニング技法が、模型をスキャンするために使用され得る。他の可能なスキャニング方法は、例えば、米国特許出願公開第2007/0031791号(Cinaderら)に説明されている。
【0122】
そこから、治療専門家がコンピューター上で仮想歯科模型を操作し、例えば、目標歯列に到達することができる。目標歯列を導出するために使用され得るソフトウェア及びプロセスについての更なる詳細が、例えば、米国特許第6,739,870号(Laiら)、同第8,194,067号(Rabyら)、同第7,291,011号(Starkら)、同第7,354,268号(Rabyら)、同第7,869,983号(Rabyら)、及び同第7,726,968号(Rabyら)に開示されている。
【0123】
歯科模型の準備を容易化することができる別のデジタル技法は、ラピッドプロトタイピングである。上記の技法のいずれかを使用して仮想歯科模型が生成された後に、ラピッドプロトタイピング技法は、歯科模型がこの仮想歯科模型から直接製作されることを可能にすることができる。有利な点として、アルギネート印象を取る必要がなく、また石膏模型をキャストする必要もない。ラピッドプロトタイピング技法の例としては、3次元(3D)プリンティング、選択的エリアレーザー堆積又は選択的レーザー焼結(SLS)、電気泳動積層法、ロボキャスティング法、熱溶解積層法(FDM)、薄膜積層法(LOM)、ステレオリソグラフィー(SLA)、及びフォトステレオリソグラフィーが挙げられるが、それらに限定されない。スキャンされたデジタルデータからポジティブ歯科模型を形成するこれらの方法及び他の方法が、例えば、米国特許第8,535,580号(Cinader)に開示されている。
【0124】
1つ以上の実施形態において、アンカー30は、印象又は口腔内スキャンを取る前に患者の歯に接続され得る。アンカー30は患者の歯に直接結合され得るので、これは、物理的な歯科模型に結合させる必要性をなくすことによって、及び、アンカーを患者の歯に移送する必要性をなくすことによって、プロセスを簡略化することができる。前記のように、不正咬合している歯列から目標歯列への歯科模型の操作はコンピューター上で実行され得る。他の潜在的な利益が存在する。例えば、アンカー30及び患者の歯が口腔内スキャンにおいて共にキャプチャーされる場合には、アンカー及び患者の歯の相対的な場所に基づいて、ワイヤ曲げ装置又はロボットを使用してアーチ部材20をデジタル的に構成することができる。
【0125】
ラピッドプロトタイピングは、装置10を製作するための物理的な歯科模型を提供する必要性さえもなくすことができ得る。ラピッドプロトタイピングが歯科模型を製作するために使用され得ることが示されているが、装置10の少なくとも一部分を直接製作するためにラピッドプロトタイピングが使用され得るということも考えられる。アーチ部材本体22、アンカー30、及び、カップリング24、34の構成は、ラピッドプロトタイピング技法の支援によって実施され得る。ダイレクト製作は、装置10の製作における中間ステップを排除することによって、コスト及び時間の節約をできる可能性がある。
【0126】
装置10が仮想歯科模型から直接製作される場合でも、物理的な歯科模型は、依然として品質制御目的のために装置を検証するのに有用であり得る。これは、物理的な歯科模型に対してアーチ部材20を着座させ、各アーチ部材カップリング24がそれぞれのアンカー30に分離可能に接続していることを観察することによって実施され得る。装置10が適正に構成され、歯科模型が目標歯列を表すことを仮定すれば、アーチ部材20はアンカー30に分離可能に接続されているときに弛緩するはずである。この手順は、不正咬合している(又は、望ましくない)歯列を表す歯科模型の上の装置10を検証し、アーチ部材20のアーチ部材カップリング24が対応するアンカーカップリング34にアンカー30を適正に接続させることを確実にするためにも使用することができる。この場合では、装置10は能動的であり、したがって、アーチ部材本体22の1つ以上の部分は、アーチ部材20をアンカー30に分離可能に接続させる際に、力を伝達する係合で作用するはずである。
【0127】
1つ以上の実施形態において、装置10のアーチ部材20は治療の過程の間に再構成され得る。アーチ部材20と、1つ以上の実施形態では1つ以上のアンカー30とを再構成することは、一連のアーチ部材を製作することに代わる、効率的でコスト効率の良い代替法となり得る。例えば、アーチ部材20は、アーチ部材本体22の1つ以上の部分に手動で調節(例えば、屈曲)を行うことによって、治療の過程の間に2つ以上の歯列を通して歯をガイドするように再構成され得る。これはまた、有利に、装置10を再活性させるために使用され得る。例えば、患者の歯が、現在の装置10がもはや歯移動を実現するのに十分な矯正力を及ぼさない程度まで移動した場合には、治療専門家は、アーチ部材本体22に適当な調節を行うことによって、装置によって印加される矯正力を自由に回復させることができる。また、1つ以上の実施形態において、そのような調節が、1つ以上の歯の予期される再発を過剰矯正又は補償するために行われてもよい。任意選択的に、アンカー30の場所は、口腔内スキャン又は他のスキャニング技法を使用して前もってキャプチャーされ、この情報は、ワイヤ曲げ装置又はロボットを使用して自動的にアーチ部材本体22を構成させるために使用され得る。
【0128】
1つ以上の実施形態において、一連の2つ以上のアーチ部材20は漸進的な治療を提供するように形成され得て、そのような治療は、選択された矯正力を1つ以上の歯に印加して、少なくとも1つ以上の歯に関して、歯が初期の不正咬合位置から、1つ以上の中間位置を通って、最終的な目標位置へ再位置決めされるようにする。
【0129】
本明細書で説明されている歯科矯正装置のさまざまな実施形態は、任意の適切な用途において利用され得る。1つの応用例において、装置(例えば、図1〜図4の歯科矯正装置10)は、患者の歯をそれらの現在の位置に維持するリテーナとして機能する。この応用例に関して、装置10を製作するために使用される歯科模型は、患者の現在の歯科構造体のレプリカである。歯科模型が患者の歯科構造体と同じ構成を有するので、装置10は、口の中に設置されているときに、実質的にゼロの矯正力を歯に印加することとなる。歯のうちの1つ以上が逆戻りし、又は、場所若しくは配向が変化した場合には、装置10は、その従順でない歯をそれらの元の位置に強制的に戻すことができる。
【0130】
第2の応用例では、装置10は、現在の不正咬合位置から最終的な所望の位置へ歯を能動的に移動させるようになっている。より具体的には、アーチ部材本体22の1つ以上の部分は、アーチ部材カップリング24がアンカーカップリング34に分離可能に接続されているときに、1つ以上の矯正力を提供するように形作られている。弾性アーチ部材本体22の固有の記憶は、形作られた部分が弛緩してそれらの通常の構成になるときに、矯正力を1つ以上の歯に提供することができる。したがって、この応用例では、装置10を製作するために使用される歯科模型は、治療専門家によって構想される最終的な歯列を表している。
【0131】
第3の応用例では、装置10は、中間の非最終的な歯列に歯を移動させるように構成され得る。この状況が遭遇され得るのは、不正咬合の重症度又は複雑度が、歯を初期の位置から最終的な位置へ再位置決めするのに単一の装置では不十分であるようなものであるときである。これらのケースでは、治療は複数の段階で行われ得て、一連の2つ以上のアーチ部材20が、単一のセットのアンカー30とともに連続的に使用され、歯を初期の不正咬合している歯列から最終的な矯正された歯列へ徐々にかつ漸進的に移動させる。ここで、装置10を製作するために使用される歯科模型は、治療の過程の間に観察され得る中間歯列を表すことができる。
【0132】
第3の応用例の例示的な実施形態では、第1のアーチ部材20がアンカー30に接続されて、患者の不正咬合している歯を中間歯列に再位置決めする。次いで、第1のアーチ部材20が口腔から取り外される。次に、弛緩時の第1のアーチ部材の構成とは異なる弛緩時の構成を有する第2のアーチ部材を同様の方式で使用し、患者の歯を中間歯列から最終的な歯列へ再位置決めすることができる。所望の場合には、上記のプロセスは、2つ以上の中間歯列に拡張され得る。1つ以上の実施形態において、第1のアーチ部材及び第2のアーチ部材は同じ構成を含むことができるが、第2のアーチ部材は第1のアーチ部材とは異なる材料特性を有することができる。例えば、第2のアーチ部材の1つ以上の部分は、第1のアーチ部材によって提供される1つ以上の矯正力とは異なる1つ以上の矯正力を提供する剛性を含むことができる。
【0133】
中間歯列又は最終的な歯列を表す歯科模型は、物理的な歯科鋳物を手動で形成し、セクション化し、再組み立てすることによって製作され得る。デジタル技法スキャンを使用してもよい。例えば、最終的な歯列を、コンピューターアルゴリズム、又は治療専門家からの入力を使用して決定することができ、治療を一連の個別のステップに細分化することによって導出される1つ以上の中間歯列を導出することができる。1つ以上の実施形態において、中間歯列のうちの1つ以上は、例えば、米国特許出願公開第2010/0260405号(Cinader)に説明されているように、縮小画像を含むことができる。そのような方式で各中間歯列又は最終的な歯列が導出されると、それぞれの歯科模型は、ラピッドプロトタイピング方法を使用して直接製作され得る。各中間又は最終的なアーチ部材20は、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して、歯科模型から製作され得る。
【0134】
患者の歯の漸進的な治療を利用する1つ以上の実施形態において、第2、第3、又はそれ以上の歯の中間スキャンは、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して実施され得る。次いで、医師又は製造業者はこれらの中間スキャンを利用して1つ以上の追加的なアーチ部材20を提供することができ、1つ以上の追加的なアーチ部材20は、1つ以上の歯が後続の中間配置又は最終的な目標配置のいずれかに再位置決めされるように、1つ以上の矯正力を歯に提供するようになっている。例えば、米国特許出願公開第2010/0260405号(Cinader Jr.)及び米国仮特許出願第62/097,733号(代理人整理番号75174US002)に説明されている技法など、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを利用して、これらの中間スキャン、模型、及びアーチ部材を提供することができる。
【0135】
一般に、歯科矯正装置(例えば、図1〜図4の装置10)は、歯科矯正装置の提案される仕様を提供することによって形成され得て、歯科矯正装置はアーチ部材20を含み、アーチ部材20は、アーチ部材本体22と、アーチ部材本体に接続されているアーチ部材カップリング24とを含む。装置はまた、アンカー30のセットを含み、各アンカーはアンカーカップリング34及びベース32を含み、ベース32は、アンカーを歯の表面に接続させるようになっている。各アーチ部材カップリング24は、アンカーカップリング34に分離可能に接続可能である。
【0136】
歯科矯正装置10に関連する第1の歯列を表す第1のデジタル画像は、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して提供され得る。目標歯列を表す目標デジタル画像は、例えば、第1の歯列にある歯を1つ以上の所望の位置に物理的に又は事実上移動させることによって導出され得る。歯科矯正装置10の提案される仕様は、目標デジタル画像の少なくとも一部に基づいて修正され得る。そして、歯科矯正装置10は、目標デジタル画像に基づいて形成され得る。
【0137】
1つ以上の実施形態において、第2の歯列を表す第2のデジタル画像が、任意の適切な技法又は技法の組み合わせを使用して提供され得る。第2の歯列にある少なくとも1つの歯は、第1の歯列にある対応する歯とは異なる位置にあってもよい。第2の歯列を表す修正後の目標デジタル画像は、例えば、第1の歯列にある歯を所望の位置に物理的に又は事実上移動させることによって導出され得る。歯科矯正装置10の提案仕様は、修正後の目標デジタル画像の一部に基づいて修正され得る。そして、歯科矯正装置10は、修正後の提案仕様に基づいて修正され得る。
【0138】
実施形態
1.アンカーカップリング及びベースを含む第1のアンカーであって、ベースは、第1のアンカーを第1の歯の表面に接続させるようになっている、第1のアンカーと、アンカーカップリング及びベースを含む第2のアンカーであって、ベースは、第2のアンカーを第2の歯の表面に接続させるようになっている、第2のアンカーと、アーチ部材本体と、本体と一体の第1及び第2のアーチ部材カップリングとを含むアーチ部材であって、アーチ部材本体は、本体の長さに沿って変化する断面幾何学形状を含む、アーチ部材とを含む、歯科矯正装置であって、第1のアーチ部材カップリングは第1のアンカーのアンカーカップリングに分離可能に接続可能であり、第2のアーチ部材カップリングは第2のアンカーのアンカーカップリングに分離可能に接続可能であり、更に、アーチ部材本体は、第1のアーチ部材カップリングと第2のアーチ部材カップリングとの間に第1の非線形部分を含み、第1の非線形部分は、第1及び第2のアンカーが第1及び第2の歯の表面に接続されており、かつ第1及び第2のアーチ部材カップリングが第1及び第2のアンカーのアンカーカップリングに分離可能に接続されているときに、第1及び第2の歯の表面から間隔をあけるようになっている、歯科矯正装置。
【0139】
2.第1のアーチ部材カップリングが第1のアンカーのアンカーカップリングに接続されているときに、アーチ部材本体及び第1のアンカーが固定された関係にある、実施形態1に記載の装置。
【0140】
3.第1のアンカーが第1の歯に接続されており、かつ第1のアーチ部材カップリングが第1のアンカーのアンカーカップリングに分離可能に接続されているときに、第1のアンカーがアーチ部材本体に対して変位するようになっている、実施形態1に記載の装置。
【0141】
4.アーチ部材は、セルフライゲーティングのアーチ部材を含む、実施形態1〜3のいずれか一つに記載の装置。
【0142】
5.第1及び第2のアンカーが第1及び第2の歯の表面に接続されており、かつ第1のアーチ部材カップリング及び第2のアーチ部材カップリングがそれぞれ第1のアンカーのアンカーカップリング及び第2のアンカーのアンカーカップリングに接続されているときに、第1の非線形部分は、歯肉側方向、咬合側方向、唇側方向、及び舌側方向のうちの少なくとも1つに延伸する、実施形態1〜4のいずれか一つに記載の装置。
【0143】
6.第1及び第2のアンカーが第1及び第2の歯の表面に接続されており、かつ第1のアーチ部材カップリング及び第2のアーチ部材カップリングがそれぞれ第1のアンカーのアンカーカップリング及び第2のアンカーのアンカーカップリングに接続されているときに、第1の非線形部分は、唇側方向及び舌側方向のうちの少なくとも1つの方向に延伸する、実施形態1〜4のいずれか一つに記載の装置。
【0144】
7.第1及び第2のアンカーが第1及び第2の歯の表面に接続されており、かつ第1のアーチ部材カップリング及び第2のアーチ部材カップリングがそれぞれ第1のアンカーのアンカーカップリング及び第2のアンカーのアンカーカップリングに接続されているときに、第1の非線形部分は、歯肉側方向及び咬合側方向のうちの少なくとも1つの方向に延伸する、実施形態1〜4のいずれか一つに記載の装置。
【0145】
8.アーチ部材本体は、第3のアーチ部材カップリングと、第2のアーチ部材カップリングと第3のアーチ部材カップリングとの間の第2の非線形部分とを含み、第1のアーチ部材カップリングと第2のアーチ部材カップリングとの間の第1の非線形部分の形状は、第2のアーチ部材カップリングと第3のアーチ部材カップリングとの間の第2の非線形部分の形状とは異なる、実施形態1〜7のいずれか一つに記載の装置。
【0146】
9.第1の非線形部分はV字形状の部分を含む、実施形態1〜8のいずれか一つに記載の装置。
【0147】
10.第1の非線形部分はU字形状の部分を含む、実施形態1〜9のいずれか一つに記載の装置。
【0148】
11.第1の非線形部分はS字形状の部分を含む、実施形態1〜10のいずれか一つに記載の装置。
【0149】
12.第1の非線形部分は正弦曲線形状の部分を含む、実施形態1〜11のいずれか一つに記載の装置。
【0150】
13.第1及び第2のアンカーが第1及び第2の歯の表面に接続されており、かつ第1のアーチ部材カップリング及び第2のアーチ部材カップリングがそれぞれ第1のアンカーのアンカーカップリング及び第2のアンカーのアンカーカップリングに接続されているときに、正弦曲線形状の部分は、歯肉側方向及び咬合側方向の両方に延伸する、実施形態12に記載の装置。
【0151】
14.第1及び第2のアンカーが第1及び第2の歯の表面に接続されており、かつ第1のアーチ部材カップリング及び第2のアーチ部材カップリングがそれぞれ第1のアンカーのアンカーカップリング及び第2のアンカーのアンカーカップリングに接続されているときに、正弦曲線の部分は近心方向及び遠心方向の両方に延伸する、実施形態12に記載の装置。
【0152】
15.第1のアンカーのアンカーカップリングは、第1のアンカーのベースから延伸するポストを含み、第1のアーチ部材カップリングは、アーチ部材本体のスロット付き部分を含み、スロット付き部分は第1のアンカーのポストに分離可能に係合するようになっている、実施形態1〜14のいずれか一つに記載の装置。
【0153】
16.第1のアンカーのアンカーカップリングはスロットを含み、第1のアーチ部材カップリングは、第1のアンカーのアンカーカップリングのスロットに分離可能に係合するようになっている弾性タブを含む、実施形態1〜14のいずれか一つに記載の装置。
【0154】
17.第1のアーチ部材カップリングが第1のアンカーのアンカーカップリングに接続されており、かつ第1のアンカーが第1の歯に接続されているときに、第1のアンカーのアンカーカップリングは、選択されたトルク、回転、及び角度形成のうちの少なくとも1つを第1の歯に提供するようになっている、実施形態1〜16のいずれか一つに記載の装置。
【0155】
18.アーチ部材は、第1及び第2のアンカーのうちの少なくとも1つに係合するようになっているタブを含む、実施形態1〜17のいずれか一つに記載の装置。
【0156】
19.アーチ部材本体の少なくとも一部分は、歯の表面に直接取り付けられるようになっている、実施形態1〜18のいずれか一つに記載の装置。
【0157】
20.アーチ部材は、アーチ部材本体の少なくとも一部分の上に配設されているコーティングを更に含む、実施形態1〜19のいずれか一つに記載の装置。
【0158】
21.第1及び第2のアンカーのうちの少なくとも1つは第2のアンカーカップリングを含む、実施形態1〜20のいずれか一つに記載の装置。
【0159】
22.アーチ部材本体の一部分はフックを含む、実施形態1〜21のいずれか一つに記載の装置。
【0160】
23.アーチ部材本体の一部分はループを含む、実施形態1〜22のいずれか一つに記載の装置。
【0161】
24.歯科矯正装置であって、
アーチ部材本体、及び、本体と一体の複数のアーチ部材カップリングを含むアーチ部材と、複数のアンカーであって、アンカーカップリングと、アンカーを歯の表面に接続させるようになっているベースとをそれぞれ含む複数のアンカーとを含む、歯科矯正装置であって、各アーチ部材カップリングは、複数のアンカーのうちのアンカーのアンカーカップリングに分離可能に接続可能であり、アーチ部材本体の第1の部分は第1の矯正力を提供するようになっており、アーチ部材本体の第2の部分は第1の矯正力とは異なる第2の矯正力を提供するようになっており、更に、アーチ部材本体は、複数のアンカーのうちのアンカーが歯の表面に接続されているときに、歯の表面に接触しないようになっている、歯科矯正装置。
【0162】
25.アーチ部材は、セルフライゲーティングのアーチ部材を含む、実施形態24に記載の装置。
【0163】
26.複数のアンカーのうちの少なくとも1つのアンカーが歯に接続されており、かつ複数のアーチ部材カップリングのうちのアーチ部材カップリングが、少なくとも1つのアンカーのアンカーカップリングに分離可能に接続されているときに、少なくとも1つのアンカーがアーチ部材本体に対して変位するようになっている、実施形態24〜25のいずれか一つに記載の装置。
【0164】
27.アーチ部材は、アーチ部材本体の少なくとも一部分の上に配設されているコーティングを更に含む、実施形態24〜26のいずれか一項に記載の装置。
【0165】
28.アーチ部材本体の第1の部分は第1の断面幾何学形状を含み、アーチ部材本体の第2の部分は第1の断面幾何学形状とは異なる第2の断面幾何学形状を含む、実施形態24〜27のいずれか一つに記載の装置。
【0166】
29.第1の断面幾何学形状及び第2の断面幾何学形状のうちの少なくとも1つは、捩じられた部分を含む、実施形態28に記載の装置。
【0167】
30.第1の断面幾何学形状及び第2の断面幾何学形状のうちの少なくとも1つは、段付きの部分を含む、実施形態28に記載の装置。
【0168】
31.アーチ部材本体の少なくとも一部分は、歯の表面に直接取り付けられるようになっている、実施形態24〜30のいずれか一つに記載の装置。
【0169】
32.アーチ部材本体と、本体と一体のアーチ部材カップリングとを含む、アーチ部材を形成する方法であって、
弾性材料を含む基材を提供することと、
アーチ部材を形成するために基材の一部分を取り除くことと、を含む、方法。
【0170】
33.基材の一部分を取り除くことは、アーチ部材を形成するために基材をレーザー切断することを含む、実施形態32に記載の方法。
【0171】
34.基材の一部分を取り除くことは、アーチ部材を形成するために基材をエッチング加工することを含む、実施形態32に記載の方法。
【0172】
35.アーチ部材本体の一部分を取り除いて、本体の長さに沿って変化する本体の厚さを提供することを更に含む、実施形態32〜34のいずれか一つに記載の方法。
【0173】
36.アーチ部材本体の一部分を選択された形状に形成することを更に含む、実施形態32〜35のいずれか一つに記載の方法。
【0174】
37.アーチ部材本体の一部分を選択された形状に形成することは、アーチ部材本体の一部分を選択された形状に曲げることを含む、実施形態36に記載の方法。
【0175】
38.アーチ部材本体の一部分を選択された形状に形成することは、アーチ部材本体の一部分を選択された形状に機械加工することを含む、実施形態36に記載の方法。
【0176】
39.選択された形状はフックを含む、実施形態36に記載の方法。
【0177】
40.選択された形状はツイストを含む、実施形態36に記載の方法。
【0178】
41.選択された形状は段を含む、実施形態36に記載の方法。
【0179】
42.アーチ部材本体を加熱硬化することを更に含む、実施形態32〜41のいずれか一つに記載の方法。
【0180】
43.歯科矯正装置の仕様を指定する方法であって、
歯科矯正装置の提案仕様を提供することであって、歯科矯正装置は、アーチ部材本体、及び、本体と一体のアーチ部材カップリングを含むアーチ部材と、アンカーのセットとを含み、各アンカーはアンカーカップリング及びベースを含み、ベースはアンカーを歯の表面に接続させるようになっており、各アーチ部材カップリングは、アンカーカップリングに分離可能に接続可能であり、アーチ部材本体は、本体の長さに沿って変化する断面幾何学形状を含む、歯科矯正装置の提案仕様を提供することと、
歯科矯正装置に関連する第1の歯列を表す第1のデジタル画像を提供することと、
目標歯列を表す目標デジタル画像を導出することと、
目標デジタル画像に部分的に基づいて歯科矯正装置の提案仕様を修正することと、
修正後の提案仕様に基づいて歯科矯正装置を形成することと、を含む、方法。
【0181】
44.アーチ部材は、セルフライゲーティングのアーチ部材を含む、実施形態43に記載の方法。
【0182】
45.歯科矯正装置を含む歯科矯正治療システムであって、歯科矯正装置は、アーチ部材のセットであって、各アーチ部材は、アーチ部材本体と、本体と一体のアーチ部材カップリングとを含み、アーチ部材のセットの少なくとも1つのアーチ部材は、本体の長さに沿って変化する断面幾何学形状を含むアーチ部材本体を含む、アーチ部材のセットと、患者の歯列弓のそれぞれの歯に接続するようになっているアンカーのセットであって、各アンカーは、アンカーカップリングと、アンカーを歯の表面に接続させるようになっているベースとを含む、アンカーのセットと、を含み、アーチ部材カップリングは、アンカーのセットのうちのアンカーのアンカーカップリングに分離可能に接続可能であり、アーチ部材のセットの第1のアーチ部材は、少なくとも1つの歯を第1の配置から第2の配置へ移動させるようになっている第1の断面幾何学形状を有し、アーチ部材のセットの第2のアーチ部材は、少なくとも1つの歯を第2の配置から第3の配置へ移動させるようになっている第2の断面幾何学形状を有している、歯科矯正治療システム。
【0183】
46.アーチ部材のセットの少なくとも1つのアーチ部材は、セルフライゲーティングのアーチ部材を含む、実施形態45に記載のシステム。
【0184】
47.アンカーのセットのうちの少なくとも1つのアンカーは、アーチ部材のセットの少なくとも1つのアーチ部材に対して変位するようになっている、実施形態45〜46のいずれか一つに記載のシステム。
【0185】
48.アーチ部材のセットの少なくとも1つのアーチ部材は、歯の表面に直接取り付けられるようになっている部分を含む、実施形態45〜47のいずれか一つに記載のシステム。
【0186】
49.アーチ部材のセットの少なくとも1つのアーチ部材は、アーチ部材本体の少なくとも一部分の上に配設されているコーティングを含む、実施形態45〜48のいずれか一項に記載のシステム。
【0187】
50.アーチ部材のセットのアーチ部材に接続されるようになっている口蓋拡張器を更に含む、実施形態45〜49のいずれか一つに記載のシステム。
【0188】
本明細書に引用されるすべての参考文献及び刊行物は、それらが本開示と直接矛盾し得る場合を除き、それらの全容を参照によって本開示に明確に援用するものである。本開示の例示目的の実施形態は議論され、本開示の範囲内にて可能な変形例を参照している。本開示のこれらの及び他の変形例及び修正例は本開示の範囲から逸脱することなく当業者には明らかであることとなり、本開示は本明細書に記載された例示目的の実施形態に限定されないということが理解されるべきである。したがって、本開示は、下記に提供されている特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【国際調査報告】