(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2018507973
(43)【公表日】20180322
(54)【発明の名称】発電機用のロータ
(51)【国際特許分類】
   F03B 3/04 20060101AFI20180223BHJP
   F03B 3/12 20060101ALI20180223BHJP
【FI】
   !F03B3/04
   !F03B3/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
(21)【出願番号】2016530010
(86)(22)【出願日】20160316
(85)【翻訳文提出日】20160509
(86)【国際出願番号】AU2016000091
(87)【国際公開番号】WO2016145477
(87)【国際公開日】20160922
(31)【優先権主張番号】2015900950
(32)【優先日】20150317
(33)【優先権主張国】AU
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516136044
【氏名又は名称】マコ タービンズ プロプライエタリー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MAKO TURBINES PTY.LTD.
【住所又は居所】オーストラリア,ニューサウスウェールズ 2015,アレクサンドリア,ラルフ ストリート 26A,ユニット 2内
【住所又は居所原語表記】C/− Unit 2,26A Ralph Street,Alexandria,NSW 2015,Australia
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】マードック,ピーター ジョン
【住所又は居所】オーストラリア,ニューサウスウェールズ 2084,ダフィーズ フォレスト,ブーラリー ロード 141
【テーマコード(参考)】
3H072
【Fターム(参考)】
3H072AA09
3H072AA26
3H072BB05
3H072CC42
3H072CC85
(57)【要約】
水力発電機用のロータ10である。ロータ10は、ハブ12と、複数のブレード16とを備える。ハブ12は、円形の断面形状、および、長手方向に延びる回転軸14を有する。複数のブレード16のそれぞれは、近位にある基部16a、および、遠位にある端部16bを有する。ハブ12の最も幅の広い部分D1に、それぞれのブレードの基部16aが取り付けられている。ブレードの端部16bの直径と、ハブ12の最も幅の広い部分D1の直径との比は、約2:1未満である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水力発電機用のロータであって、
円形の断面形状、および、長手方向に延びる回転軸を有するハブと、
近位にある基部、および、遠位にある端部をそれぞれが有する複数のブレードであって、前記ハブの最も幅の広い部分に、それぞれの前記ブレードの前記基部が取り付けられている、複数の前記ブレードと、
を備え、
前記ブレードの前記端部の直径と、前記ハブの最も幅の広い部分の直径との比は、約2:1未満である、
ロータ。
【請求項2】
前記ブレードの前記端部の直径と、前記ハブの最も幅の広い部分の直径との比は、約1.2:1と2:1との間である、
請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記ブレードの前記端部の直径と、前記ハブの最も幅の広い部分の直径との比は、約1.5:1または約1.6:1である、
請求項1に記載のロータ。
【請求項4】
前記ブレードの前記端部の直径は、3.6メートルと4.8メートルとの間であり、前記ハブの最も幅の広い部分の直径は、2.4メートルである、
請求項1に記載のロータ。
【請求項5】
前記ブレードの前記端部の直径は、30メートルと32メートルとの間であり、前記ハブの最も幅の広い部分の直径は、20メートルである、
請求項1に記載のロータ。
【請求項6】
前記ハブの表面の輪郭の半径は、それぞれの前記ブレードの前記基部が前記ハブに取り付けられている領域において、前記ハブの最も幅の広い部分の半径の6分の1と、前記ハブの最も幅の広い部分の半径に等しい値との間である、
請求項1から5のいずれか1項に記載のロータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機用のロータに関する。
【0002】
この発明は、主として、水力発電機用のロータとして使用するために開発された。このような発電機は、水および風等の流動する流体の運動エネルギーを電力に変換するために用いられる。
【背景技術】
【0003】
水および風等の流動する流体の運動エネルギーは、バイオ燃料および化石燃料等の、発電のためのエネルギー源の代替物として知られている。例えば、バイオ燃料および化石燃料は、電力の生成に用いられる場合、有害な燃焼ガスを大気中に放出することが避けられない。バイオ燃料および化石燃料と異なり、流動する流体を用いる発電は、大気に対して悪影響を全く、または、ほとんど及ぼさない。
【0004】
風力を捕捉するための従来の設備は、一般的に維持費が低いが、設置費用が高く発電容量が比較的低い傾向がある。一方、潮力等の水力を捕捉するための従来の設備は、発電容量が比較的高い。
【0005】
従来の水力発電機は、通常、外側に向かって延びている2枚以上のブレードが取り付けられた中央のハブを備えるロータを有する。ロータは、駆動軸を介して、電力変換装置(すなわち発電機)への回転機構に接続されている。ロータのブレードの間を通過して流れる流体によってロータが回転すると、変換装置において回転が生じて、電力が生成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のロータは、直径が比較的短いハブと、比較的細長いブレードとを備える。また、ブレードは、アスペクト比(ブレードの長さとブレードの幅との比)が比較的大きい。このようなブレードは、流体の乱流下において、高い運転負荷がかかりやすく、極度に大きい曲げモーメントを受けやすい。この場合、通常は、ブレードが破損してしまう。
【0007】
本発明の目的は、上記の不具合を実質的に解決するか、少なくとも小さくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
最初の観点では、本発明は、水力発電機用のロータを提供する。ロータは、
円形の断面形状、および、長手方向に延びる回転軸を有するハブと、
近位にある基部、および、遠位にある端部をそれぞれが有する複数のブレードであって、ハブの最も幅の広い部分に、それぞれのブレードの基部が取り付けられている、複数のブレードと、
を備え、
ブレードの端部の直径と、ハブの最も幅の広い部分の直径との比は、約2:1未満である。
【0009】
好ましくは、ブレードの端部の直径と、ハブの最も幅の広い部分の直径との比は、約1.2:1と2:1との間である。
【0010】
好ましくは、ブレードの端部の直径と、ハブの最も幅の広い部分の直径との比は、約1.5:1または約1.6:1である。
【0011】
一の形態では、ブレードの端部の直径は、3.6メートルと4.8メートルとの間であり、ハブの最も幅の広い部分の直径は、2.4メートルである。
【0012】
他の形態では、ブレードの端部の直径は、30メートルと32メートルとの間であり、ハブの最も幅の広い部分の直径は、20メートルである。
【0013】
ハブの表面の輪郭の半径は、好ましくは、それぞれのブレードの基部がハブに取り付けられている領域において、ハブの最も幅の広い部分の半径の6分の1と、ハブの最も幅の広い部分の半径に等しい値との間である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下に記載される、発明の好ましい形態は、例示にすぎず、次の付属の図面に準拠している。
【図1】第1形態のロータの正面図である。
【図2】流線が付された、図1に示されるロータの斜視図である。
【図3】第2形態のロータを備える水力発電機の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1および図2は、潮流環境での設置に適した水力発電機用のロータ10を示す。ロータ10は、円形の断面形状、および、長手方向に延びる回転軸14を有するハブ12を含む。また、ロータ10は、等角度に間隔を空けて配置された7枚のブレード16を含む。ハブ10は、ガラス強化プラスチック(GRP)または金属膜(metal skins)から形成され、ブレード16は、炭素繊維金属複合材から形成される。
【0016】
それぞれのブレード16は、近位にある基部16a、および、遠位にある端部16bを有する。それぞれのブレード16は、その基部16aにおいて、ハブ14の最も幅の広い部分において、ハブ14に取り付けられている。ハブ14の最も幅の広い部分の直径は、直径D1として示される。ブレード16の端部16bの直径は、直径D2として示される。図示される形態では、直径の比D2:D1は、約1.4:1である。
【0017】
図2は、流体がハブ12の周囲を流れる過程で流体の速度が増加することを示す流体流線18に対するロータ10を示す。流体が加速して局所的な速度が増加するにつれて、局所的な圧力は減少する。この圧力低下によって、流体は、ハブ12の周囲に集中して留まろうとする。その結果、流体の自由流のエネルギーは、ブレード16の領域に集中する。
【0018】
上記の比D2:D1は、ハブ12の直径が、ブレード16の長さと比較して相対的に長いということも意味する。ハブの直径D1が相対的に長いということは、次の2つの機能の観点から有利に働く。第一に、通過する水流のエネルギーが集中することであり、第二に、それぞれのアスペクト比がより小さく、寸法がより小さく、強度がより高いブレード16を比較的多数支持することである。
【0019】
後者の問題に関して、基部における曲げモーメントは、ブレードのアスペクト比の関数である。例えば、アスペクト比が8:1のブレードは、アスペクト比が4:1の同じブレードと比べて、基部における応力値が16倍高い。比較的直径が短いハブを備える従来の3枚ブレード式ロータでは、ブレードの基部における弦長は、ハブの直径による制約を受けて、必然的に制限される。この弦長の制限により、十分な強度を与えるため、理想的な翼断面に求められる場合と比べて、ブレードの基部の厚みを大きくする必要がある。
【0020】
また、比較的小さいハブに取り付けられる比較的長いブレードは、あるRPM(1分間当たり回転数)における見掛け速度を小さくし、かつ、トルク半径を短くする。
【0021】
特にブレードの下部3分の1において基部がより厚く、同時に、見掛け速度がより小さく、かつ、トルク半径がより短いほど、そのような(従来の)3枚ブレード式ロータの全出力への寄与がより小さくなる。これは、ハブがより小さく3枚ブレードがより大きい構成における、ブレードの外側3分の1は、仕事の63%を行うという事実による。これは、全表面積の56%を構成する、ブレードの外側30%の押し出し領域と、出力が無視できる程度の、ブレードの内側30%の押し出し領域との組み合わせである。
【0022】
一方、ロータ10の構成(すなわち、比較的大きいハブ14と、比較的短いブレード16と、比較的数が多いブレード16)は、内側3分の2の領域に流体の流れを導いて集中させ、外側3分の1の領域を通過させて流体の流れを加速させ、外側3分の1の領域において100%の出力を抽出する。これにより、ブレード16は、応力負荷をより低くしつつ、運転容量を最大にできる利点が生じる。
【0023】
言い換えると、ロータ10の比D2:D1によって、ハブ12の周囲の加速領域にブレード16が設けられ、その領域で運転するブレード16の長さが理想的になる。仮に、ブレードがハブの直径に比べて長すぎる場合、ブレードの先端は、代わりに、流体の加速がない領域で運転し、その結果、正のトルクに寄与しない。
【0024】
図3は、第2形態のロータ32を備える水力発電機30を示す。ロータ32は、ハブ34と、10枚のブレード36とを有する。図3は、また、ブレード基部取り付けビーム38、ブレード取り付けハブ40、固定主軸42、駆動軸44、ギアボックス46、支持ビーム48、水シール50、軸受52、および、回転式発電装置54を示す。ビーム48は、発電機30を、浮上式配置リグ(図示せず)に接続するために用いられる。
【0025】
また、図3には、ハブ34とブレード36とが接続される領域におけるハブ34の輪郭の半径である半径Rが示されている。図示される好ましい構成では、半径Rは、ハブ34の半径の6分の1である。この比は、乱流の発生を防止しつつ流れの加速度を最大にする固有値である。
【0026】
発電機30の一の好ましい形態の仕様は、以下の通りである。
【0027】
ハブの直径D1:2.4メートル
ブレードの先端の直径D2:4.8メートルから3.6メートル
発電量の範囲:50kWsから300kWs
流速の範囲:1.2メートル/秒から4.2メートル/秒
ブレードの先端の直径とハブの直径との比:2:1から1.5:1
発電機30の他の好ましい形態の仕様は、以下の通りである。
【0028】
ハブの直径D1:20メートル
ブレードの先端の直径D2:32メートルから30メートル
発電量の範囲:0.5MWsから5MWs
流速の範囲:1.2メートル/秒から4.0メートル/秒
ブレードの先端の直径とハブの直径との比:1.6:1から1.5:1
ハブの(比較的長い)直径とブレードの(比較的短い)直径との上記の比によって、水力発電機には、いくつかの利点がある。
【0029】
第一に、小さいブレードの集合を横切ることで流体の流れのエネルギーが集中および加速されるので、ロータの効率が向上する。
【0030】
第二に、複数(例えば7枚)のより小さいブレードの体積の合計は、少数(例えば3枚)の大きいブレードの体積より小さいので、製造費用が小さくなる。
【0031】
第三に、ブレードが小さいほど、アスペクト比がより低く、すなわち、ブレードの基部における曲げモーメントがより小さいので、ブレードが破損する確率がより小さくなる。
【0032】
第四に、ブレードが小さいほど、ブレードに対する流れの入射速度および入射角は、ブレードの広がり全域に亘って均一の値により近くなる。すなわち、ブレードの広がり全域に亘ってブレードの歪みがほぼゼロになり、ブレードの歪みに起因する性能低下を起こすことなく、ピッチを制御してブレードを統合することができる。さらに、運転中にピッチを調整することができるので、流れの速度に独立して、一定のRPMでロータを駆動させることができる。これにより、電気グリッドに直接接続された発電機を一定のRPMで駆動させることができるので、電気周波数インバータ駆動システムの費用が不要になる。
【0033】
第五に、高速の潮流下で運転しているロータは、流れの中で高レベルの乱流を受けやすい。より大きいハブの周囲において水の流れを加速させることで、ブレードの領域における乱流のレベルが低下する。これにより、激しい乱流環境におけるブレードの耐久性が向上する。
【0034】
好ましい形態に関して本発明を説明したが、当業者によって、本発明は他の形態で実施されてもよい。
【図1】
【図2】
【図3】
【国際調査報告】