(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2018508455
(43)【公表日】20180329
(54)【発明の名称】ガラス溶融物中の凝集物を削減するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C03B 1/02 20060101AFI20180302BHJP
【FI】
   !C03B1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】2017549004
(86)(22)【出願日】20160317
(85)【翻訳文提出日】20171115
(86)【国際出願番号】US2016022789
(87)【国際公開番号】WO2016153902
(87)【国際公開日】20160929
(31)【優先権主張番号】62/136,034
(32)【優先日】20150320
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/141,410
(32)【優先日】20150401
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 ニューヨーク州 14831 コーニング リヴァーフロント プラザ 1
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】フリンク,シーン スティーヴン
【住所又は居所】アメリカ合衆国 ケンタッキー州 40422 ダンヴィル グリーンフィールド コート 103
(72)【発明者】
【氏名】ヒル,キンバリー エリン
【住所又は居所】アメリカ合衆国 ニューヨーク州 14858 リンドレー ストウウェル ロード 9023
(72)【発明者】
【氏名】ロッシントン,キャサリン ローズ
【住所又は居所】アメリカ合衆国 ニューヨーク州 14830 コーニング パウダーホーン ドライヴ 10280
(72)【発明者】
【氏名】ヴェヌゴパル,ナヴィン
【住所又は居所】アメリカ合衆国 ニューヨーク州 14845 ホースヘッズ セイント アンドリューズ ドライヴ 134
【テーマコード(参考)】
4G014
【Fターム(参考)】
4G014AA00
(57)【要約】
本明細書において開示されるのは、ガラスを作製するための方法であり、上記方法は:少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーを形成するステップ;上記スラリーのpHを、約3〜約12の値に調整するステップ;上記スラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するステップ;及び上記バッチ組成物を溶融させるステップを含む。ガラス溶融物中の凝集物を削減するための方法も、本明細書において開示される。更に本明細書において開示されるのは、ガラスを作製するためのシステムであり、上記システムは:少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーを調製するための予備混合容器;上記スラリーに超音波エネルギを印加するための超音波容器;上記スラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するための、混合容器;及び上記バッチ組成物を溶融させるための溶融容器を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスを作製するための方法であって、
少なくとも15重量%の少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーを形成するステップ;
前記スラリーのpHを、3〜12の値に調整するステップ;
前記スラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するステップ;及び
前記バッチ組成物を溶融させるステップ
を含む、ガラスを作製するための方法。
【請求項2】
ガラス溶融物中の凝集物を削減するための方法であって、
平均粒径約2マイクロメートル〜約10マイクロメートルの少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーを形成するステップ;
前記スラリーのpHを、約3〜約12の値に調整するステップ;
前記スラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するステップ;及び
前記バッチ組成物を溶融させるステップ
を含む、方法。
【請求項3】
ガラスを作製するための方法であって、
前記方法は:
少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するステップ;及び
前記バッチ組成物を溶融させるステップ
を含み、
前記スラリーは、3〜12のpHを有し;
前記スラリーのゼータ電位は、約+5mV〜約+60mV又は約−5mV〜約−60mVである、方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの清澄剤は、SnO、As、Sb及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記スラリーに対する、機械的エネルギ、超音波エネルギ又はこれらの組み合わせの印加を更に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記スラリーの前記pHは、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、プロピオン酸、水性アンモニア水酸化ナトリウム、有機アミン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのバッファを添加することによって調整される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ガラスを作製するためのシステムであって、
少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーを調製するための、予備混合容器;
前記スラリーに超音波エネルギを印加するための、超音波容器;
前記スラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するための、混合容器;及び
前記バッチ組成物を溶融させるための、溶融容器
を備える、システム。
【請求項8】
少なくとも1つのバッファを前記スラリーに添加するための、pH調整コンポーネント;及び
前記スラリーのpHを測定するための、少なくとも1つのpHセンサ
を更に備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ガラスバッチ材料と組み合わせる前に、前記スラリー中の前記少なくとも1つの清澄剤の量を測定するための、マスフローメータ;及び
任意に、前記スラリーの流量を調整するための少なくとも1つの制御システム
を更に備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記スラリーは、平均粒径約2マイクロメートル〜約10マイクロメートルの、少なくとも15重量%の、SnO、As、Sb及びこれらの組み合わせから選択される、前記少なくとも1つの清澄剤を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記超音波エネルギは、約5kHz〜約50kHzの周波数を有する、請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下で、2015年4月1日出願の米国仮特許出願第62/141410号の優先権の利益を主張するものであり、上記米国仮特許出願は、2015年3月20日出願の米国仮特許出願第62/136034号の優先権の利益を主張するものであり、各上記仮特許出願の内容は、信頼できるものであり、また参照によりその全体が本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は一般に、ガラスバッチ材料を加工する方法及びシステムに関し、より詳細には、ガラス溶融物中の凝集物を削減するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス基板は、窓から高性能ディスプレイデバイスまで、多様な用途に使用できる。ガラス基板の品質要件は、改善された解像度、透明性及び性能に対する要求が増大するに従って、より切迫したものとなっている。しかしながらガラス品質は、ガラス溶融物の形成からガラス製品の最終的な梱包までの様々な加工ステップによって、マイナスの影響を受け得る。特にガラスシート品質は、欠陥又は気泡の存在によってマイナスの影響を受けることがあり、場合によっては、ガラスシート中の単一の欠陥によってさえ、上記ガラスシートは意図された用途に対して不安定となり得る。
【0004】
溶融プロセス中、溶融容器内で、複数のガラス前駆体バッチ材料を1つに混合して加熱できる。上記バッチ材料は溶融して反応し、反応ガスを放出し、この反応ガスが溶融ガラス中で気泡を生成する場合がある。次に上記溶融ガラスを清澄化ステップに供して、溶融物中に捕捉されたガス泡を除去できる。清澄化は、2つのプロセスによって気泡の除去を促進できる。ストークス清澄化は、ガラス温度の上昇によってガラス溶融物の粘度がより低くなる場合に行われる。ここでは気泡は、低粘度ガラス溶融物を通って、より迅速に上昇できる。化学清澄化は、ガラス温度の上昇が化学清澄剤を化学的に還元する場合に行われ、上記化学清澄剤は酸素をガラス中に放出し、この酸素は次に気泡に取り込まれ得る。気泡が過剰な酸素を取り込むと、気泡はサイズが増大して、ガラス溶融物を通ってより容易に上昇し、場合によっては他の気泡と融合する、及び/又は崩壊する。
【0005】
清澄剤は、いくつかの例を挙げると、スズ、ヒ素及びアンチモンを含むことができる。ヒ素及びアンチモンは、比較的強力な清澄剤であるが、安全性及び環境に関する危険をもたらす場合があるため、あまり頻繁には使用されない。二酸化スズは比較的安全であるが、清澄力が比較的弱い。更に、スズのレベルの上昇は、(容器、パイプ及び/又は形成体での)下流の加工中における二次結晶又は凝集物の形成につながり得るため、清澄剤としてガラスバッチ材料に取り込むことができるスズの量は、多くの場合、制限される。
【0006】
ガラス製品中の酸化スズ凝集物(TOA)による欠陥は、ガラス溶融物中に溶融しないまま残ったSnO原材料の凝集物から発生し得る。SnOの粒径分布は極めて微細(例えば、約1〜10マイクロメートル)であり得、これによりSnOは、塊状化及び静電引力をより受けやすくなり得る。よってTOAは、全体的設備効率(overall equipment efficiency:OEE)に影響を及ぼし得るストリーム欠陥を生成し得、上記欠陥は、OEEに対する低レベルの損失として、又は数時間〜数日の範囲のオフラインとなり得る設備の停電として、表れ得る。
【0007】
TOA形成を防止するための従来の方法は、複数のガラスバッチ材料を混合するための、又はSnO原材料を他の材料(例えば砂)と予備混合するための、異なる複数の機械的方法を含む。他の従来の方法は、SnOをシリカ若しくはアルミナ粉末でコーティングすること、又はスズ酸ナトリウム若しくはスズ酸カリウムの液体注入によるガラス溶融物へのSnOの液体添加を含む。しかしながら、これらの方法も依然として、コスト及び/又は複雑性の上昇を含む1つ又は複数の欠点にさらされる。更に、SnOの液体添加は、液体中のSnOの濃度が低い(例えば12重量%未満のSnO)ため、ガラス溶融物に多量の水を導入する場合がある。ガラス溶融物中の過剰な湿気は、より高い欠陥リスクを生成し得、及び/又はガラスバッチ原材料中の塊の形成を促進し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、凝集物による設備効率へのマイナスの影響を最小化し、かつ溶融物中の気泡又は凝集物によって引き起こされる欠陥といった、ガラス品質に関連する問題を最小化しながら、コスト及び/又は複雑性が低い、ガラス清澄化及び製造プロセスを提供することが、有利である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は様々な実施形態において、ガラスを作製するための方法に関し、上記方法は:少なくとも15重量%の少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーを形成するステップ;上記スラリーのpHを、約3〜約12の値に調整するステップ;上記スラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するステップ;及び上記バッチ組成物を溶融させるステップを含む。本明細書では、ガラス溶融物中の凝集物を削減するための方法も開示され、上記方法は:平均粒径約10マイクロメートル以下の少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーを形成するステップ;上記スラリーのpHを、約3〜約12の値に調整するステップ;上記スラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するステップ;及び上記バッチ組成物を溶融させるステップを含む。本明細書では更に、ガラスを作製するための方法が開示され、上記方法は:少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するステップ;及び上記バッチ組成物を溶融させるステップを含み、上記スラリーは、約3〜約12のpH、及び約+5mV〜約+60mV又は約−5mV〜約−60mVのゼータ電位を有する。本明細書では更に、ガラスを作製するためのシステムが開示され、上記システムは:少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーを調製するための予備混合容器;上記スラリーに超音波エネルギを印加するための超音波容器;上記スラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するための、混合容器;及び上記バッチ組成物を溶融させるための溶融容器を備える。
【0010】
更なる特徴及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」に記載され、またその一部は、この「発明を実施するための形態」から当業者には容易に明らかになり、また本発明を、以下の「発明を実施するための形態」、特許請求の範囲及び添付の図面を含む本明細書に記載されているように実施することによって、認識されるであろう。
【0011】
上の「発明の概要」及び以下の「発明を実施するための形態」はいずれも様々な実施形態を提示し、特許請求の範囲において記載されるような本発明の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図したものであることを理解されたい。添付の図面は、更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する。これらの図面は様々な実施形態を図示し、本記載と併せて、本発明の原理及び動作を説明する役割を果たす。
【0012】
以下の「発明を実施するための形態」は、以下の図面(同様の構造は同様の参照番号で示されている)と併せて読んだ場合に最もよく理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】pHの関数としての、SnO粒子のゼータ電位のグラフ
【図2】本開示の特定の実施形態によるガラス製造システムの概略図
【図3】本開示の様々な実施形態による予備混合システムの概略図
【図4】本開示の特定の実施形態によるスラリーに関する粒径のグラフ
【図5A】本開示の様々な実施形態による例示的なガラス溶融物の画像
【図5B】本開示の様々な実施形態による例示的なガラス溶融物の画像
【図5C】本開示の様々な実施形態による例示的なガラス溶融物の画像
【図5D】本開示の様々な実施形態による例示的なガラス溶融物の画像
【発明を実施するための形態】
【0014】
方法
本明細書では、ガラスを作製するための方法が開示され、上記方法は:少なくとも15重量%のSnOを含むスラリーを形成するステップ;上記スラリーのpHを、約3〜約12の値に調整するステップ;上記スラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するステップ;及び上記バッチ組成物を溶融させるステップを含む。ガラス溶融物中の凝集物を削減するための方法も本明細書において開示され、上記方法は:平均粒径約10マイクロメートル以下の少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーを形成するステップ;上記スラリーのpHを、約3〜約12の値に調整するステップ;上記スラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するステップ;及び上記バッチ組成物を溶融させるステップを含む。本明細書では更に、ガラスを作製するための方法が開示され、上記方法は:少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するステップ;及び上記バッチ組成物を溶融させるステップを含み、上記スラリーは、約3〜約12のpH、及び約+5mV〜約+60mV又は約−5mV〜約−60mVのゼータ電位を有する。
【0015】
本明細書で開示される方法は、SnO(二酸化スズ)等の少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーを形成するステップを含むことができる。例えば上記スラリーは、約15重量%〜約50重量%、例えば約20重量%〜約45重量%、約25重量%〜約40重量%又は約30重量%〜約35重量%(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の少なくとも1つの清澄剤(例えばSnO)を含むことができる。上記スラリーは更に、少なくとも1つの溶媒、例えば水、イソプロピルアルコール、ブタノール、グリコール、水‐アルコール混合物及びこれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、上記清澄剤を、機械的なかき混ぜ等の撹拌によって上記溶媒に添加して、上記清澄剤を上記溶媒中で懸濁させることができる。様々な実施形態では、上記清澄剤は、約10マイクロメートル以下、例えば約0.1〜約10マイクロメートル、例えば約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8又は9マイクロメートル(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の平均粒径を有することができる。いくつかの実施形態によると、上記清澄剤は、約2マイクロメートル〜約10マイクロメートルの平均粒径を有するSnOとすることができる。更なる実施形態では、上記スラリーは、二酸化スズ等の少なくとも1つの清澄剤及び少なくとも1つの溶媒からなってよく、又はこれらから本質的になってよい。
【0016】
上記スラリーはまた、SnOに加えて又はSnOの代替として、いくつかの例を挙げるとAs又はSb等の、少なくとも1つの清澄剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、上記清澄剤は、約10マイクロメートル以下、例えば約1マイクロメートル〜約10マイクロメートル、例えば約2、3、4、5、6、7、8又は9マイクロメートル(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の平均粒径を有することができる。上記清澄剤は、約50重量%以下、例えば約45重量%未満、約40重量%未満、約35重量%未満、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満又は約5重量%未満(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の量で、上記スラリー中に存在できる。様々な実施形態では、上記清澄剤は、約15重量%〜約35重量%の量で存在できる。更なる実施形態によると、上記スラリーは任意に、例えば界面活性剤及び分散剤から選択される少なくとも1つの添加剤を含むことができる。例えば上記スラリーは、酸化エチレン(EO)及び酸化プロピレン(PO)ポリマー及びコポリマー、脂肪酸、シロキサン、メタリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、カルゴン、スルホン酸ナフタレン等、並びにこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つの添加剤を含むことができる。
【0017】
上記スラリーは、例えば機械的撹拌を用いて、清澄剤(例えばSnO)を溶媒と混合することによって形成できる。特定の実施形態によると、上記清澄剤は、(例えば10マイクロメートル以下の平均粒径を有する)微細酸化物粉末等の粉末の形態とすることができる。混合時間は、濃度、出発物質等といった様々なパラメータによって、必要に応じて変化させることができる。更なる実施形態では、混合時間は、約1分〜約12時間、例えば、約5分〜約8時間、約10分〜約6時間、約20分〜約4時間、約30分〜3時間又は約1時間〜約2時間(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)とすることができる。
【0018】
上記スラリーは、上記スラリーのpHを所望の通りに修正するために、少なくとも1つのバッファで処理できる。例えば、上記スラリーのpHを調整することによって、その等電点から離し、上記清澄剤の粒子に電荷を付与できる。調製されたpH値における上記粒子の表面の残留電荷は、静電反発を引き起こすことができ、これにより、粒子間のファンデルワールス牽引力に打ち勝つことができる。本明細書で使用される場合、用語「凝集物(agglomerate)」は、このようなファンデルワールス力によって付着した、又は他の様式で結合した、清澄剤粒子のクラスタを指すために使用される。上記凝集物は例えば、約5マイクロメートル〜約250マイクロメートル、例えば約10マイクロメートル〜約200マイクロメートル、約20マイクロメートル〜約150マイクロメートル、約30マイクロメートル〜約100マイクロメートル、約40マイクロメートル〜約90マイクロメートル、約50マイクロメートル〜約80マイクロメートル、又は約60マイクロメートル〜約70マイクロメートル(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の平均直径を有することができる。
【0019】
このpH調整は例えば、バッファとして酸又は塩基を添加して、ゼータ電位をそれぞれ更に正又は負にすることによって実行できる。例えば上記スラリーは:いくつかの例を挙げると塩酸、硫酸及び硝酸を含む無機酸、並びに酢酸及びプロピオン酸といったカルボン酸等の、酸性バッファ;並びに水酸化ナトリウム、水性アンモニア及び有機アミン(例えばエタノールアミン)を含む塩基性バッファで処理できる。上記スラリーのpHは例えば、約3〜約12、例えば約4〜約11、約5〜約10、約6〜約9又は約7〜約8(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の値に調整できる。例えば、上記スラリーのpHは、約3〜約6又は約8〜約12の値に修正できる。
【0020】
SnO粒子のゼータ電位をpHの関数として示す図1を参照すると、ゼータ電位(例えば各粒子の外側層上の電荷)を、更に正(酸の添加)又は更に負(塩基の添加)にすることができることが発見されており、また観察できる。従って、SnOを含む懸濁液、スラリー及び/又は溶液の安定性は、ゼータ電位を修正することによってSnO粒子の凝集を最小化及び/又は防止することにより、増強できる。強い正又は負のゼータ電位は、個々の粒子間に反発力を生成することによって、安定性を増大させる(例えば表面電位の絶対値を増大させる)ことができる。上記粒子の電荷を、上記粒子の等電点(例えば上記粒子が中性電荷を有する点)から離すことによって、上記粒子が凝集又は凝固する傾向を低減できることが発見されている。特定の実施形態では、酸性バッファを用いて、上記スラリーを、約+5mv〜約+60mV、例えば約+10mV〜約+55mV、約+15mV〜約+50mV、約+20mV〜約+45mV、約+25mV〜約+40mV又は約+30mV〜約+35mV(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の正のゼータ電位へと調整してよい。更なる実施形態によると、塩基性バッファを用いて、上記スラリーを、約−5mv〜約−60mV、例えば約−10mV〜約−55mV、約−15mV〜約−50mV、約−20mV〜約−45mV、約−25mV〜約−40mV又は約−30mV〜約−35mV(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の負のゼータ電位へと調整してよい。
【0021】
当該技術分野において公知のいずれの手段を用いて、上記スラリーに超音波エネルギを印加できる。例えば、1つ又は複数の振動生成器を用いて、例えばkHz範囲の超音波周波数の音波エネルギを提供してよい。超音波エネルギは例えば、約1kHz〜約1000kHz、例えば約5kHz〜約500kHz、約10kHz〜約250kHz又は約50kHz〜約100kHz(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の周波数を有することができる。超音波トランスデューサは例えば、約10kHz〜約120kHz、例えば約15kHz〜約100kHz、約20kHz〜約75kHz又は約25kHz〜約50kHzの周波数を提供してよい。
【0022】
特定の実施形態では、上記超音波エネルギ入力は、約25W・s/g〜約100W・s/g、例えば約35W・s/g〜約70W・s/g、約40W・s/g〜約65W・s/g、約45W・s/g〜約60W・s/g又は約50W・s/g〜約55W・s/g(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)であってよい。様々な実施形態によると、上記少なくとも1つのバッファは、上記スラリーを超音波エネルギに曝露する前及び/又は後に添加できる。上記超音波エネルギは上記スラリーに、凝集物を破壊する又は凝集物の量を削減するために十分な期間にわたって、例えば約30秒〜約1時間、例えば約1分〜約30分、約2分〜約20分、約3分〜約10分又は約4分〜約5分(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の期間にわたって、印加できる。ある特定の用途に関して所望の結果を達成するための、超音波周波数及び/又は時間の選択は、当業者の能力の範囲内である。
【0023】
このようにして調製されたスラリーを、当該技術分野において公知のいずれの手段を用いて、上記ガラスバッチ材料と組み合わせ、バッチ組成物を形成できる。いくつかの実施形態では、上記スラリーを、例えば上記ガラスバッチ材料への添加の直前まで、常にかき混ぜるか又は撹拌することにより、上記スラリーの沈降及び/又は上記予備混合容器の閉塞を防止できる。上記スラリーは例えば、予備混合容器から、ガラスバッチ材料を含む混合容器へと、ポンプ送達又はその他の方法で移送できる。上記ガラスバッチ材料への上記スラリーの単なる添加は、予備混合容器から混合容器へと上記スラリーをポンプ送達することによって実施できる。様々な実施形態では、上記スラリーを上記ガラスバッチ材料上に噴霧又はその他の方法で分散できる。非限定的なある実施形態によると、上記スラリーを上記ガラスバッチ材料上に噴霧乾燥できる。
【0024】
様々な実施形態において、上記バッチ組成物は、約0.05重量%〜約1重量%、例えば約0.15重量%〜約0.9重量%、約0.2重量%〜約0.8重量%、約0.25重量%〜約0.7重量%、約0.3重量%〜約0.6重量%又は約0.4重量%〜約0.5重量%(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の清澄剤(例えばSnO)を含むことができる。特定の実施形態では、上記バッチ組成物は、約0.1重量%〜約5重量%の、水等の少なくとも1つの溶媒、例えば約0.3重量%〜約4重量%、約0.5重量%〜約3重量%又は約1重量%〜約2重量%少なくとも1つの溶媒(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)も含むことができる。
【0025】
上記スラリーの添加は、上記ガラスバッチ材料の混合を同時に行いながら、又は行わずに、実施できる。いくつかの実施形態では、上記スラリーを上記ガラスバッチ材料に、これらを混合している間に、混合を中断することなく添加できる。更なる実施形態では、上記スラリーを上記ガラスバッチ材料に添加した後、上記バッチ組成物をある期間にわたって混合でき、この期間は例えば、バッチ材料、濃度、タンクのサイズ等に応じて変化させることができる。混合は例えば、上記バッチ組成物中の上記清澄剤の均一な分散が達成されるまで、ただし上記スラリーからの水分の有意な蒸発(これは清澄剤(例えばSnO)粒子の再凝集のリスクを上昇させ得る)が発生する前まで実施できる。いくつかの実施形態によると、混合時間は例えば約1分〜約1時間、例えば約2分〜約45分、約3分〜約30分、約4分〜約15分又は約5分〜約10分(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)とすることができる。
【0026】
本明細書では、用語「ガラスバッチ材料(glass batch material)」及びその変化形は、溶融時に反応して及び/又は組み合わせられてガラスを形成する、ガラス前駆体粒子の混合物を指すために使用される。上記ガラスバッチ材料は、ガラス前駆体粒子を組み合わせるためのいずれの公知の方法によって調製及び/又は混合してよい。例えば、特定の非限定的な実施形態では、上記ガラスバッチ材料は、例えばいずれの溶媒又は液体を含まない、ガラス前駆体粒子の乾燥した又は略乾燥した混合物を含んでよい。他の実施形態では、上記ガラスバッチ材料もまた、スラリー、例えば液体又は溶媒の存在下でのガラス前駆体粒子の混合物の形態であってよい。
【0027】
様々な実施形態によると、上記ガラスバッチ材料は、シリカ、アルミナ、及び酸化バリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化ストロンチウム又は酸化チタン等の様々な更なる酸化物といった、ガラス前駆体材料を含んでよい。例えば上記ガラスバッチ材料は、シリカ及び/又はアルミナと1つ又は複数の更なる酸化物との混合物であってよい。様々な実施形態では、上記ガラスバッチ材料は、合計約30〜約95重量%のアルミナ及び/又はシリカと、合計約5〜約70重量%の、バリウム、ホウ素、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、ストロンチウム、スズ及び/又はチタンのうちの少なくとも1つの酸化物とを含むことができる。上記シリカ及び/又はアルミナは、上記ガラスバッチ材料の少なくとも約30重量%、例えば少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%又は少なくとも約95重量%の合計量で存在してよい。特定の実施形態によると、上記ガラスバッチ材料は、約10〜約50重量%のシリカを含んでよい。他の実施形態では、上記ガラスバッチ材料は、約10〜約50重量%のアルミナを含んでよい。上に示した量のシリカ及びアルミナの混合物も使用してよいことを理解されたい。
【0028】
上記ガラスバッチ材料は、ガラスバッチ材料を混合及び/又は加工するための、当該技術分野において公知のいずれの方法で調製してよい。例えば上記バッチ材料に、混合、粉砕、摩砕及び/又はその他の加工を施して、所望のサイズ及び/又は形状を有する所望の混合物を生成してよい。例えば上記ガラスバッチ材料は、約1,000マイクロメートル未満、例えば約900、800、700、600、500、400、300、200又は100マイクロメートル未満、並びにこれらの間の全ての範囲及び部分範囲の、平均粒径を有してよい。様々な実施形態では、上記ガラスバッチ材料は、約5マイクロメートル〜約1,000マイクロメートル、例えば約50マイクロメートル〜約900マイクロメートル、約100マイクロメートル〜約800マイクロメートル、約150マイクロメートル〜約700マイクロメートル、約200マイクロメートル〜約600マイクロメートル又は約250マイクロメートル〜500マイクロメートル、並びにこれらの間の全ての範囲及び部分範囲の、平均粒径を有することができる。更なる実施形態では、上記ガラスバッチ材料の平均粒径は、約100マイクロメートル未満、例えば約50マイクロメートル未満、約25マイクロメートル未満又は約10マイクロメートル未満であってよい。
【0029】
混合後、上記バッチ組成物を、いずれの公知の方法に従って、当該技術分野において公知のいずれの設備を用いて溶融させることができる。例えば、上記バッチ組成物を溶融容器に追加して、約1100℃〜約1700℃、例えば約1200℃〜約1650℃、約1250℃〜約1600℃、約1300℃〜約1550℃、約1350℃〜約1500℃又は約1400℃〜約1450℃(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の温度まで加熱できる。特定の実施形態では、上記バッチ組成物は、動作温度及びバッチサイズといった様々な変数に応じて、上記溶融容器内において数分〜数時間の停留時間を有してよい。例えば上記停留時間は、約30分〜約8時間、約1時間〜約6時間、約2時間〜約5時間又は約3時間〜約4時間(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)であってよい。
【0030】
続いて上記溶融ガラスを、いくつかの例を挙げると気泡の除去のための清澄化、及び上記ガラス溶融物の均質化のためのかき混ぜを含む、様々な追加の加工ステップに供することができる。次に上記溶融ガラスを、フュージョンドロー、スロットドロー又はフロートプロセスで加工して、ガラスリボン又は他のいずれのガラス形状を製造できる。様々な実施形態によると、本明細書に記載の方法及びシステムは、後にガラス構造物の形成に使用できるガラスバッチ材料を溶融及び清澄化するための手段を提供する。本明細書において使用される場合、用語「ガラス構造物(glass structure)」及びその変化形は、溶融ガラスを加工することによって作製されるガラス物品、例えば溶融及び/又は清澄化プロセスの後に製造されるいずれの物品を指すことを意図したものである。上記ガラス構造物は、その形状、寸法、組成又は微小構造が限定されておらず、いずれの従来の物品又は従来のものでない物品とすることができる。上記ガラス構造物は例えば、室温に冷却された物品とすることができ、又は溶融若しくは半溶融状態で存在する物品とすることができる。いくつかの実施形態では、上記ガラス構造物は、フュージョンドロー、スロットドロー又はフロートプロセスで製造されたもの等の、ガラスシートであってよい。様々な組成特性及び物理的特性を有する多様な他のガラス形状が考えられ、これらは本開示の範囲に含まれることが意図されている。
【0031】
本明細書で開示される方法は、従来技術のガラス製造方法に対して様々な利点を有し得る。例えば、最終的なガラス製品中に固体欠陥を発生させ得る、上記バッチ組成物中の凝集物の削減又は排除により、システムあたり1〜2%のOEEの改善といった有意なコスト削減を生成できる。更に、固体欠陥への凝集とは対照的に、清澄剤のうちのより大部分をガラス溶融物全体に分散させると、清澄剤の効力を増大させることができる。清澄剤の効力の改善により、固体包有物の数を増大させることなく、並びに/又は製品の品質及び/若しくはOEEにマイナスの影響を与えることなく、ガス包有物を更に削減できる。
【0032】
スズ酸ナトリウム又はスズ酸カリウムの液体での添加に比べて、乾燥した又は粉末化した清澄剤の材料コストは比較的低く、これにより、潜在的なコスト削減が得られる。更に、スラリーの添加により、バッチ組成物への固体の装入をより多く、かつ液体の添加をより少なくすることができ、これにより、製造システムの摩耗、及び/又は潜在的なガラス製品の欠陥を低減できる。最後に、スズ酸ナトリウム又はスズ酸カリウムの使用により、必然的にナトリウム又はカリウムを含むガラス製品がもたらされ、これは、例えばナトリウムフリー又はカリウムフリーガラスといった特定のガラスの製造には適さない場合がある。
【0033】
システム
本開示の実施形態について、ガラスリボン104を製造するための例示的なガラス製造システム100を示す図2を参照して議論する。ガラス製造システム100は、溶融容器110、溶融‐清澄化間チューブ115、清澄化容器(例えば清澄化器チューブ)120、清澄化‐かき混ぜチャンバ間接続チューブ125(そこから延在する水位プローブスタンドパイプ127を伴う)、かき混ぜチャンバ(例えば混合容器)130、かき混ぜチャンバ‐ボウル間接続チューブ135、ボウル(例えば送達容器)140、下降管145、及びフュージョンドロー機(FDM)150を含むことができ、FDM150は、流入口155、形成体(例えばアイソパイプ)160及び引張圧延組立体165を含むことができる。
【0034】
溶融ガラス114を形成するために、矢印112で示すように、ガラスバッチ材料を含むバッチ組成物を溶融容器110に導入できる。清澄化容器120は、溶融‐清澄化間チューブ115によって溶融容器110に接続できる。清澄化容器120は、溶融容器110から上記溶融ガラスを受承し、上記溶融ガラスから気泡を除去できる、高温処理領域を有することができる。清澄化容器120は、清澄化‐かき混ぜチャンバ間接続チューブ125によってかき混ぜチャンバ130に接続される。かき混ぜチャンバ130は、かき混ぜチャンバ‐ボウル間接続チューブ135によって、ボウル140に接続される。ボウル140は、上記溶融ガラスを、下降管145を通してFDM150へと送達できる。
【0035】
FDM150は、流入口155、形成体160及び引張圧延組立体165を含むことができる。流入口155は、下降管145から上記溶融ガラスを受承でき、そこから上記溶融ガラスは形成体装置160へと流れることができ、上記溶融ガラスは形成体装置160においてガラスリボン104へと形成される。引張圧延組立体165は、ドロー加工されたガラスリボン104を、更なる任意の装置による更なる加工のために送達できる。例えば上記ガラスリボンを、上記ガラスリボンをスコーリングするための機械式スコーリングデバイスを含むことができる移動式鉄床機(traveling anvil machine(TAM))によって、更に加工できる。次に、スコーリングされたガラスをガラスシートの複数のピースに分離し、機械加工し、研磨し、化学強化し、並びに/又は当該技術分野において公知の様々な方法及びデバイスを用いてその他の方法で表面処理(例えばエッチング)できる。当然のことながら、図2に示されているガラス製造システムは単なる例であり、議論の目的のためにのみ提供されている。他のシステム、例えばスロットドロー又はフロート加工を採用したシステム等のフュージョンドロー機を含まないシステムを使用でき、またこれらは本開示の範囲内に含まれるものとして想定できる。
【0036】
本明細書において開示されるシステムは:少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーを調製するための予備混合容器;上記スラリーに超音波エネルギを印加するための超音波容器;上記スラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するための、混合容器;及び上記バッチ組成物を溶融させるための溶融容器を備える。図3は、ガラスバッチ材料に添加してバッチ組成物を形成するための、本明細書において開示されるスラリーを提供するために使用できる、例示的な予備混合システム200の概略図を示す。システム200は予備混合容器210を含むことができ、この予備混合容器210内では、清澄剤(図示せず)及び少なくとも1つの溶媒214を組み合わせてスラリーを形成できる。特定の実施形態では、少なくとも1つのバッファ216を、予備混合容器210に添加できる。例えば、上記予備混合容器は、pHセンサ(図示せず)と、上記少なくとも1つのバッファを予備混合容器210に添加するためのpH調整コンポーネント(図示せず)とを備えることができる。機械的撹拌は、例えばミキサー218を用いて提供できる。上記スラリーは、チューブ又はパイプ、例えばプロセス配管(図示せず)を介して、上記予備混合容器に移送できる。材料の蓄積又は配管の閉塞を防止又は低減するための対抗手段、例えば流量調整、再循環ループ及び/又はシステム水洗サイクルを採用できる。
【0037】
超音波エネルギは、超音波処理器220を用いて、上記スラリーに印加できる。特定の実施形態では、超音波処理器220は、供給ポンプ222に連結された連続流セルを備えることができる。しかしながら超音波処理器220はまた、バッチ又はセミバッチ加工用にも構成できる。更なる実施形態によると、任意のマスフローメータ224を用いて、所定量のSnOを上記混合容器に送達できる。マスフローメータ224は、プロセス制御システム(図示せず)にリアルタイムフィードバックを供給でき、これにより上記システムは、スラリー濃度の変動を補償できる。任意の再循環バルブ226を用いて、再循環ループ228において、上記スラリーの一部分を上記予備混合容器へと再循環させることができる。上記スラリーの残部230を、混合容器232へと送達してガラスバッチ材料234と組み合わせ、バッチ組成物を形成できる。このようにして形成されたバッチ組成物212は、続いて図2に示すように、上記溶融容器へと進むことができる。
【0038】
本開示の様々な実施形態は、該特定の実施形態に関連して説明されている特定の特徴、要素又はステップを伴ってよいことが理解されるだろう。更に、ある特定の特徴、要素又はステップは、それが1つの特定の実施形態に関連して説明されていても、相互交換可能であり、又は様々な例示されていない組み合わせ若しくは順列で、代替的な実施形態と組み合わせてよいことが理解されるだろう。
【0039】
本明細書において使用される場合、名詞は「少なくとも1つ」の対象を指し、そうでないことが明示されていない限り、「ただ1つ」の対象に限定されないことを理解されたい。従って例えば「添加剤」に対する言及は、そうでないことが文脈によって明確に示されていない限り、2つ以上のこのような添加剤を有する例を含む。
【0040】
本明細書において、範囲は「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表現することができる。範囲がこのように表される場合、例は、上記1つの特定の値から、及び/又は上記別の特定の値までを含む。同様に、先行語句「約」の使用によって、値が近似値として表現されている場合、上記特定の値は別の態様を形成することが理解されるだろう。更に、各範囲の端点は、他方の端点との関係においても、他方の端点とは独立しても、重要であることが理解されるだろう。
【0041】
本明細書において、様々な範囲が、「約」1つ若しくは複数の特定の値「超」、又は「約」1つ若しくは複数の特定の値「未満」、及び「これらの間の全ての範囲及び部分範囲」として表現される。範囲がこのように表現される場合、例は、いずれの1つの特定の値からいずれの他の特定の値まで、及び開示された各値間の他の可能な全ての範囲を含む。
【0042】
本明細書に記載の全ての数値は、そうでないことが明示されていない限り、そのように言及されているかどうかにかかわらず「約」を含むものとして解釈されるものとする。しかしながら、挙げられている各数値は、それが「約」当該数値として表現されているかどうかにかかわらず、正確に考察されることが、更に理解される。従って、「1000℃超の温度」及び「約1000℃超の温度」はいずれも、「約1000℃超の温度」の実施形態及び「1000℃超の温度」の実施形態を含む。
【0043】
そうでないことが明言されていない限り、本明細書に記載のいずれの方法が、その複数のステップをある具体的な順序で実施することを必要とするものとして解釈されることは、全く意図されていない。従って、ある方法クレームが、その複数のステップが従うべき順序を実際に示していない場合、又は上記複数のステップがある具体的な順序に限定されることが請求項又は本説明において具体的に言明されていない場合、いずれの特定の順序を暗示することは一切意図されていない。
【0044】
特定の実施形態の様々な特徴、要素又はステップが、移行句「…を含む」を用いて開示されている場合、移行句「…からなる」又は「…から本質的になる」を用いて記載され得るものを含む代替的な実施形態も暗に含まれていることを理解されたい。従って例えば、A+B+Cを含む方法に対する、暗に含まれている代替的な実施形態は、上記方法がA+B+Cからなる実施形態、及び上記方法がA+B+Cから本質的になる実施形態を含む。
【0045】
本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な修正及び変形を実施できることは、当業者には理解されるであろう。当業者には、本発明の精神及び実質を具体化する本開示の実施形態の修正の組み合わせ、部分的組み合わせ及び変形が想起され得るため、本発明は、添付の請求項及びその均等物の範囲内の全てを含むものとして解釈されるものとする。
【0046】
以下の実施例は、非限定的かつ単に例示的なものであることを意図したものであり、本発明の範囲は特許請求の範囲によって定義される。
【実施例】
【0047】
25重量%のSnOの濃度で、二酸化スズ(Endeka社傘下のOximet社製、OTO Extra‐E、イタリア、モデナ、サッスオーロ)を脱イオン(DI)水と混合することによって、スラリーを調製した。スラリーAは、硝酸を用いてpHを調整された(pH=3)。スラリーBはpHを調整されなかった(pH=6)。スズ酸ナトリウム(11.9重量%のSnO)を含む組成物C(比較例)を、基準として使用した。各スラリー/組成物を乾燥ガラスバッチ材料上に噴霧して、0.15重量%のSnOを含むバッチ組成物を得た。固体欠陥の静止溶融物評価を実施した。バッチ組成物を混合しない場合、全ての組成物に関して二酸化スズ凝集物が形成され、硬化した。上記バッチ組成物を混合した後溶融させると、スラリーA及びBに関して、組成物Cと比較した場合に同様の結果が得られた。スラリーA(pH調整あり)とスラリーB(pH調整なし)との間の顕著な差異は観察されなかった。
【0048】
スラリーA及びBを超音波処理(20kHz、5時間)に供した後、Microtrac S3500レーザ回折粒径分析器を用いて、粒径分布に関して分析した。図4は、超音波処理を行った場合又は行わなかった場合(それぞれt=5、0)の、スラリーA及びB(それぞれpH=3、6)に関する粒径分布(d10、d50、d90)のグラフである。精度を改善するために、試料を混合容器の異なる位置(底部、上部、中央部)から引き出した。箱ひげ図で確認できるように、pH調整なしの場合、試料採取位置及び測定時間と粒径との間に依存関係が存在する。しかしながら、pHを修正した試料に関しては、これらの因子と粒径との間に依存性は現れず、従ってより高い全体の均一性及び懸濁液の安定性が示唆される。
【0049】
図5A〜Dは、0.15重量%のSnOという標的濃度に十分な乾燥二酸化スズ粉末の添加(図5A)、スラリーA(図5B)、スラリーB(図5C)、及び組成物C(図5D)を用いて調製されたガラス溶融物の画像である。これらの画像から理解できるように、乾燥二酸化スズの添加を用いて調製されたガラス溶融物は7個のTOA(200〜1500nm)を呈した。対照的に、スラリーA及びBを用いて作製したガラス溶融物はTOAを呈さず、比較用組成物Cを用いて作製したガラス溶融物も同様であった。全ての組成物は、微量のシリカ及び種(seed)を呈した。
【0050】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0051】
実施形態1
ガラスを作製するための方法であって、
少なくとも15重量%の少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーを形成するステップ;
上記スラリーのpHを、3〜12の値に調整するステップ;
上記スラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するステップ;及び
上記バッチ組成物を溶融させるステップ
を含む、ガラスを作製するための方法。
【0052】
実施形態2
上記スラリーを形成する上記ステップは、平均粒径約2〜約10マイクロメートルの上記少なくとも1つの清澄剤を、少なくとも1つの溶媒と組み合わせるステップを含む、実施形態1に記載の方法。
【0053】
実施形態3
上記少なくとも1つの清澄剤は、SnO、As、Sb及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態1又は2に記載の方法。
【0054】
実施形態4
上記溶媒は水である、実施形態2に記載の方法。
【0055】
実施形態5
機械的エネルギ、超音波エネルギ又はこれらの組み合わせを、上記スラリーに印加するステップを更に含む、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
実施形態6
上記超音波エネルギは、約5kHz〜約50kHzの周波数を有する、実施形態5に記載の方法。
【0057】
実施形態7
上記スラリーの上記pHは、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、プロピオン酸、水性アンモニア水酸化ナトリウム、有機アミン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのバッファを添加することによって調整される、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
実施形態8
上記スラリーのゼータ電位は、約+5mV〜約+60mV又は約−5mV〜約−60mVである、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
実施形態9
上記スラリーは、約15重量%〜約35重量%のSnOを含む、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
実施形態10
ガラス溶融物中の凝集物を削減するための方法であって、
平均粒径約2マイクロメートル〜約10マイクロメートルの少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーを形成するステップ;
上記スラリーのpHを、約3〜約12の値に調整するステップ;
上記スラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するステップ;及び
上記バッチ組成物を溶融させるステップ
を含む、方法。
【0061】
実施形態11
上記スラリーは、少なくとも15重量%の上記少なくとも1つの清澄剤を含む、実施形態10に記載の方法。
【0062】
実施形態12
上記少なくとも1つの清澄剤は、SnO、As、Sb又はこれらの組み合わせを含む、実施形態10又は11に記載の方法。
【0063】
実施形態13
上記スラリーの上記pHは、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、プロピオン酸、水性アンモニア水酸化ナトリウム、有機アミン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのバッファを添加することによって調整される、実施形態10〜12のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
実施形態14
上記スラリーのゼータ電位は、約+5mV〜約+60mV又は約−5mV〜約−60mVである、実施形態10〜13のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
実施形態15
上記少なくとも1つの清澄剤を少なくとも1つの溶媒と組み合わせて上記スラリーを形成するステップを更に含む、実施形態10〜14のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
実施形態16
機械的エネルギ、超音波エネルギ又はこれらの組み合わせの、上記スラリーへの印加を更に含む、実施形態10〜15のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
実施形態17
ガラスを作製するためのシステムであって、
少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーを調製するための、予備混合容器;
上記スラリーに超音波エネルギを印加するための、超音波容器;
上記スラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するための、混合容器;及び
上記バッチ組成物を溶融させるための、溶融容器
を備える、システム。
【0068】
実施形態18
少なくとも1つのバッファを上記スラリーに添加するための、pH調整コンポーネント;及び
上記スラリーのpHを測定するための、少なくとも1つのpHセンサ
を更に備える、実施形態17に記載のシステム。
【0069】
実施形態19
上記ガラスバッチ材料と組み合わせる前に、上記スラリー中の上記少なくとも1つの清澄剤の量を測定するための、マスフローメータ;及び
任意に、上記スラリーの流量を調整するための少なくとも1つの制御システム
を更に備える、実施形態17又は18に記載のシステム。
【0070】
実施形態20
上記スラリーは、平均粒径約2マイクロメートル〜約10マイクロメートルの、少なくとも15重量%の、SnO、As、Sb及びこれらの組み合わせから選択される上記少なくとも1つの清澄剤を含む、実施形態17〜19のいずれか1つに記載のシステム。
【0071】
実施形態21
上記超音波エネルギは、約5kHz〜約50kHzの周波数を有する、実施形態17〜20のいずれか1つに記載のシステム。
【0072】
実施形態22
ガラスを作製するための方法であって、
上記方法は:
少なくとも1つの清澄剤を含むスラリーをガラスバッチ材料と組み合わせて、バッチ組成物を形成するステップ;及び
上記バッチ組成物を溶融させるステップ
を含み、
上記スラリーは、3〜12のpHを有し;
上記スラリーのゼータ電位は、約+5mV〜約+60mV又は約−5mV〜約−60mVである、方法。
【0073】
実施形態23
上記スラリーは、少なくとも15重量%の上記少なくとも1つの清澄剤を含む、実施形態22に記載の方法。
【0074】
実施形態24
上記少なくとも1つの清澄剤は、約2マイクロメートル〜約10マイクロメートルの粒径を有する、実施形態22又は23に記載の方法。
【0075】
実施形態25
上記少なくとも1つの清澄剤を少なくとも1つの溶媒と組み合わせることによって上記スラリーを形成するステップ;並びに
機械的エネルギ、超音波エネルギ又はこれらの組み合わせを上記スラリーに印加するステップ
を更に含む、実施形態22〜24のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
実施形態26
上記少なくとも1つの清澄剤は、SnO、As、Sb及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態22〜25のいずれか1つに記載の方法。
【符号の説明】
【0077】
100 ガラス製造システム
104 ガラスリボン
110 溶融容器
112 矢印
114 溶融ガラス
115 溶融‐清澄化間チューブ
120 清澄化容器
125 清澄化‐かき混ぜチャンバ間接続チューブ
127 水位プローブスタンドパイプ
130 かき混ぜチャンバ
135 かき混ぜチャンバ‐ボウル間接続チューブ
140 ボウル
145 下降管
150 フュージョンドロー機、FDM
155 流入口
160 形成体、形成体装置
165 引張圧延組立体
200 予備混合システム
210 予備混合容器
212 バッチ組成物
214 溶媒
216 バッファ
218 ミキサー
220 超音波処理器
222 供給ポンプ
224 マスフローメータ
226 再循環バルブ
228 再循環ループ
230 スラリーの残部
232 混合容器
234 ガラスバッチ材料
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【国際調査報告】