【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題を解決するため、まず、本発明は一般式(I)で表されるフィリゲニングルクロン酸誘導体を提供する。
【0008】
【化1】
【0009】
ここで、置換基のnは1に等しい。
【0010】
また、本発明はフィリゲニングルクロン酸誘導体の調製方法を提供する。この調製方法は下記の工程を連続的に備えている。
【0011】
1)連翹の葉と水性抽出溶媒(extraction solvent water)とを混合及び加熱して、2-3回煮出及び抽出し、連翹水抽出物を得るために抽出溶液を収集及び混合する、
【0012】
2)マクロ多孔質樹脂カラムを採用して連翹水抽出物を分離し、連翹樹脂カラム溶離液を得るために溶離液を収集及び混合する、
【0013】
3)連翹樹脂カラム溶離液を乾燥して、シリカゲルクロマトグラフィーし、段階ごとに溶離液を収集し、溶離液をそれぞれ乾燥し、それによって生産物を得る。
【0014】
工程1)における加熱及び抽出回数は2回が好ましい。
具体的には、それぞれの煮出処理及び抽出処理において、連翹の葉と水性抽出溶媒の重量比は1:(6-10)であり、1:(8-10)が好ましい。
【0015】
より具体的には、一次煮出処理における連翹の葉と水性抽出溶媒の重量比は1:(9-10)であり、二次煮出処理における連翹の葉と水性抽出溶媒の重量比は1:8である。
【0016】
具体的には、調製方法はさらに工程を含んでいてもよい。すなわち、工程1)で得られた連翹水抽出物を濃縮して連翹濃縮液を調製し、マクロ多孔質樹脂カラム分離処理を行う。
【0017】
より具体的には、濃縮による連翹濃縮液の体積と連翹の葉の重量との比は(1-5):1であり、(2-2.5):1が好ましい。
【0018】
ここで、工程2)のマクロ多孔質樹脂カラムクロマトグラフィーの操作は、下記の下位工程を連続的に含んでいる。すなわち、連翹水抽出物をマクロ多孔質樹脂カラムに注入したのち、溶離液である水を流して溶離する。体積濃度が3-50%のエタノール溶液を溶離液として溶離する。最後に、無水エタノール溶液を溶離液として溶離して、無水エタノール溶離液を収集し、それによって、連翹マクロ多孔質樹脂溶離液を得る。
【0019】
具体的には、マクロ多孔質樹脂カラムクロマトグラフィー処理において、連翹水抽出物における連翹の葉の重量とマクロ多孔質樹脂の容量との比は、1:(0.8-2.5)であり、1:1が好ましい。
【0020】
より具体的には、マクロ多孔質樹脂カラム分離処理において、マクロ多孔質樹脂カラムのカラム直径と樹脂のカラム高さとの比は1:5-10であり、1:(5-7)が好ましく、1:(5.5-5.9)がより好ましい。
【0021】
ここで、工程2)において、マクロ多孔質樹脂はX-5,AB-8,NK-2,NKA-2,NK-9,D3520,D101及びWLDの内の一つから選ばれ、X-5又はAB-8が好ましい。
【0022】
具体的には、水を溶離液として流す溶離工程において、水の使用量とマクロ多孔質樹脂カラムのカラム体積との比は、(2-4):1であり、4:1が好ましい。体積濃度が3-50%のエタノール溶液を溶離液として流す溶離工程において、体積濃度が3-50%のエタノール溶液の使用量とマクロ多孔質樹脂カラムのカラム体積との比は、(2-8):1であり、(4-8):1が好ましく、8:1がより好ましい。無水エタノールを溶離液として流す溶離工程において、無水エタノールの使用量とマクロ多孔質樹脂カラムのカラム体積との比は、(2-8):1であり、(4-8):1が好ましく、8:1がより好ましい。
【0023】
ここで、工程3)のシリカゲルクロマトグラフィーの操作は、下記の下位工程を連続的に含んでいる。
A)連翹樹脂カラム溶離液を濃縮し、粗連翹産物を得るために乾燥する。
B)粗連翹産物を水に溶解し、粗連翹産物をシリカゲルカラムに注入し、シリカゲルクロマトグラフィーを行って、段階ごとに溶離液を収集し、溶離液をそれぞれ乾燥し、それによって生産物を得る。
【0024】
具体的には、工程B)において、シリカゲルカラムは逆相シリカゲルカラムから選択され、ここで、逆相シリカゲルカラムにおいて、充填剤はC18逆相シリカゲから選択され、シリカゲルの粒径は5-10μmである。
【0025】
具体的には、逆相シリカゲルカラムは、カラムの内径は10-100mm、その長さは100-300mmであり、カラムの内径が22.2mmで長さ250mmが好ましい、ここで、高性能液体クロマトグラフィーがシリカゲルクロマトグラフィーの実施に選ばれる。
【0026】
具体的には、シリカゲルカラムクロマトグラフィー処理の移動相はメタノール(A)と水(B)との混合液から選ばれ、ここで、メタノール(A)と水(B)との体積比は8:2-10:1である。
【0027】
具体的には、シリカゲルカラムクロマトグラフィー処理において、カラム温度は20-35℃であり、流速は4-30ml/分である。
【0028】
具体的には、試料は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー処理において、移動相によって定組成溶離法(isocratic elution manner)又は勾配溶離法(gradient elute manner)によって溶離され、ここで、勾配溶離は[0分(30% A)→25分(50% A)→50分(50% A)]に従い、流速は4.0mL/分であり、カラム温度は20℃であり、検出波長は273nmである。
【0029】
具体的には、シリカゲルクロマトグラフィーのクロマトグラフィック的状態は、以下のとおりである。C18逆相シリカゲルが充填剤(直径22.2×250mm,10μm)として使用される。メタノール(A)-水(B)が移動相として使用される。勾配溶離は、0-25分はメタノール濃度が30%-50%、25-50分はメタノール濃度が50%-50%で行われる。流速は4.0ml/分である。カラム温度は20℃である。そして、紫外線検出波長は273nmである。
【0030】
本発明により調製されたフィリゲニングルクロン酸誘導体は化合物I、II及びIIIであると考えられる。その構造は下記のように確認され分析される。
【0031】
化合物I:33-ヒドロキシ フィリゲニン-8-O-β-D-グルクロニド、ESI-MS: m/z 533.1658 [M-H]
-,分子量: 534;分子式: C
26H
30O
12。
【0032】
水素原子核の核磁気共鳴(400 MHz, d
6-DMSO): δ(ppm):12.0(1H, s, COOH), 7.119- 7.099(1H, d, J=8.0Hz, Ar-H), 6.530-6.943(2H, d, J=4.0Hz, Ar-H), 6.872(3H, s, Ar-H), 5.39(2H, s, J=4.8Hz), 5.23(1H, d, J=4.8Hz), 5.1(1H, d, J=4.8Hz), 4.800(1H, d, J=4.8Hz), 4.374-4.388(1H, d, J=9.6Hz), 4.105-4.085(1H, d, J=8.0Hz), 4.005-3.982(1H, d, J=9.2Hz), 3.75(8H, d, J=8.4Hz), 3.422(1H, t, J=8.7Hz), 3.08(1H, t, J=8.1Hz), 2.85(1H, d, J=7.2Hz)。
【0033】
炭素原子核の核磁気共鳴(100MHz, d
6-DMSO): δ(ppm):172.75(C-17), 149.51(C-9), 148.95(C-34), 148.09(C-33), 145.74(C-8), 136.26(C-11), 131.67(C-30), 118.55(C-12), 118.05(C-31), 115.72(C-13), 112.03(C-32), 111.07(C-10), 109.92(C-35), 100.21(C-2), 87.11(C-26), 81.74(C-22), 76.26(C-6), 75.70(C-3), 73.41(C-5), 71.91(C-4), 70.81(C-28), 69.46(C-24), 56.15(C-21), 55.99(C-38), 54.47(C-29), 49.79(C-25)。
【0034】
【化2】
【0035】
化合物II:9-ヒドロキシ フィリゲニン-8-O-β-D-グルクロニド、ESI-MS m/z 533.1641 [M-H]
-、分子量: 534;分子式: C
26H
30O
12。
【0036】
水素原子核の核磁気共鳴(400 MHz, d
6-DMSO): δ(ppm):12.0(1H, s, COOH), 7.119-7.099(1H, d, J=8.0Hz, Ar-H), 6.530-6.943(2H, d, J=4.0Hz, Ar-H), 6.872(3H, s, Ar-H), 5.39(2H, s, J=4.8Hz), 5.23(1H, d, J=4.8Hz), 5.1(1H, d, J=4.8Hz), 4.800(1H, d, J=4.8Hz), 4.374-4.388(1H, d, J=9.6Hz), 4.105-4.085(1H, d, J=8.0Hz), 4.005-3.982(1H, d, J=9.2Hz), 3.75(8H, d, J=8.4Hz), 3.422(1H, t, J=8.7Hz), 3.08(1H, t, J=8.1Hz), 2.85(1H, d, J=7.2Hz)。
【0037】
炭素原子核の核磁気共鳴(100MHz, d
6-DMSO): δ(ppm):173.72(C-17), 149.51(C-33), 148.95(C-34), 148.09(C-9), 144.74(C-8), 136.26(C-11), 131.67(C-30), 121.45(C-12), 119.72(C-31), 118.05(C-13), 115.07(C-10), 113.03(C-32), 109.92(C-35), 100.21(C-2), 87.11(C-26), 81.74(C-22), 76.26(C-6), 75.70(C-3), 73.41(C-5), 71.91(C-4), 70.81(C-28), 69.46(C-24), 56.15(C-21), 55.99(C-38), 54.47(C-29), 50.16(C-25)。
【0038】
【化3】
【0039】
化合物III:33,34-メチレンジオキシ フィリゲニン-8-O-β-D-グルクロニド、ESI-MS m/z 531.4933 [M-H]
-、分子量: 532;分子式: C
26H
28O
12。
【0040】
水素原子核の核磁気共鳴(400 MHz, d
6-DMSO): δ(ppm):12.0(1H, s, COOH), 7.119-7.099(1H, d, J=8.0Hz, Ar-H), 6.530-6.943(2H, d, J=4.0Hz, Ar-H), 6.872(3H, s, Ar-H), 6.12(2H, s), 5.39(2H, s, J=4.8Hz), 5.23(1H, d, J=4.8Hz), 5.1(1H, d, J=4.8Hz), 4.800(1H, d, J=4.8Hz), 4.374-4.388(1H, d, J=9.6Hz), 4.105-4.085(1H, d, J=8.0Hz), 4.005-3.982(1H, d, J=9.2Hz), 3.75(8H, d, J=8.4Hz), 3.422(1H, t, J=8.7Hz), 3.08(1H, t, J=8.1Hz), 2.85(1H, d, J=7.2Hz)。
【0041】
炭素原子核の核磁気共鳴(100MHz, d
6-DMSO): δ(ppm):169.75(C-17), 149.51(C-9), 148.95(C-34), 148.09(C-33), 145.74(C-8), 136.26(C-11), 131.67(C-30), 118.55(C-12), 118.05(C-13), 115.72(C-31), 112.03(C-32), 111.07(C-10), 109.92(C-35), 101.21(C-2), 100.29(C-38), 87.11(C-26), 81.74(C-22), 76.26(C-6), 75.70(C-3), 73.41(C-16), 71.91(C-4), 70.81(C-28), 69.46(C-24), 56.15(C-21), 54.47(C-29), 49.79(C-25)。
【0042】
【化4】
【0043】
本発明の方法によれば、生産物の価格を低減して、次の工程で半セミ分取クロマトグラフィックカラムの耐用年数が延長されるように、ほとんどの不純物はマクロ多孔質樹脂カラムによる精製によって除去でき、マクロ多孔質樹脂はリイクルできる。処理は便利で操作し易く、抽出効率は高く、汚染は低減して、調製された生産物は純度が高くて工業化し易い。
【0044】
さらに、本発明は、フィリゲニングルクロン酸誘導体の抗ウイルスへの応用を提供する。
【0045】
加えて、本発明は、インフルエンザウイルスの予防及び/又は治療のための医薬品の調製におけるフィリゲニングルクロン酸誘導体の応用を提供する。
【0046】
本発明は、抗ウイルス効果を備え、フィリゲニングルクロン酸誘導体を含む医薬品又はヘルスケア組成物を提供する。
【0047】
具体的には、医薬組成物は本発明のフィリゲニングルクロン酸誘導体と、薬学的に許容可能な添加物とを含む。
【0048】
フィリゲニングルクロニド誘導体の調製方及びインフルエンザウイルスの予防及び治療のための医薬品への応用は、同時に前記化合物に限定されない。フィリゲニングルクロニド誘導体は、前記化合物を母核とする合成、発酵及び他の方法によって調製された誘導体をさらに含んでいてもよい。
【0049】
本発明において、薬理学的に許容される賦形剤としては、非毒性の固体状、半固体状又は液状の充填剤、希釈剤、担体、pH調節剤、イオン強度調節剤、徐放又は制御放出剤、封入物質又は他の調製賦形剤が挙げられる。使用される担体は、投与方法に適合するものであればよい。当技術分野で公知の賦形剤によって、注射液、注射液用凍結乾燥粉末、スプレー、経口液剤、経口懸濁剤、錠剤、カプセル剤、腸溶剤、丸剤、粉剤、顆粒剤、徐放性又は遅延放出性の形態等に調製できる。本発明の第一の形態である4-脱メチル化(demethylation)フィリゲニングルクロニドは、好ましくは、注射又は消化管を経由して投与される。したがって、本発明の医薬組成物は、好ましくは注射剤又は消化管を経由して投与される剤形、すなわち、好ましくは、注射剤又は消化管を経由して投与される剤形のための賦形剤が適しており、ここで、本発明において「消化管を経由して投与」とは、経口投与、胃内投与及び注腸投与等を含む、患者の消化管を経由する薬剤の投与形態を意味し、経口投与が好ましい。例えば、当技術分野で公知の賦形剤が、経口液剤、経口懸濁剤、錠剤、カプセル剤、腸溶剤、丸剤、粉剤、顆粒剤、徐放性又は遅延放出性製剤等に調製され、注射製剤は主に注射及び粉体注射に調製される。