(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2018515611
(43)【公表日】20180614
(54)【発明の名称】TH2型喘息の治療において使用されるGATA−3阻害剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20180518BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20180518BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20180518BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20180518BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20180518BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20180518BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20180518BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20180518BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180518BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20180518BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20180518BHJP
【FI】
   !A61K48/00
   !A61K45/00
   !A61K31/711
   !A61K9/72
   !A61K9/08
   !A61K47/02
   !A61P11/06
   !A61P37/08
   !A61P43/00 121
   !C12N15/00 AZNA
   !C12N15/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】58
(21)【出願番号】2018511332
(86)(22)【出願日】20160512
(85)【翻訳文提出日】20171228
(86)【国際出願番号】EP2016000782
(87)【国際公開番号】WO2016184556
(87)【国際公開日】20161124
(31)【優先権主張番号】15001472.8
(32)【優先日】20150515
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】512210102
【氏名又は名称】ステルナ ビオロジカルス ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
【住所又は居所】ドイツ 35037 マーブルク ビスマルクシュトラーセ 7
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム ビレ
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 35447 ライスキルヒェン ヴァルドシュトラーゼ 16
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス レンツ
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 35037 マールブルク ビスマルクシュトラーゼ 7 ステルナ ビオロジカルス ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー内
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA12
4C076AA24
4C076AA29
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4C076BB15
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4C076BB29
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4C076DD26
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4C084NA14
4C084ZA59
4C084ZC75
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4C086AA02
4C086AA10
4C086EA16
4C086NA14
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4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、Th2型喘息の治療において使用されるGATA−3阻害剤に、特に、(i)3%以上、詳細には4%以上、より詳細には5%以上の血中好酸球数、および/または(ii)350×10/L以上、詳細には450×10/L以上の血中好酸球数、および/または(iii)40ppb以上の呼気一酸化窒素濃度を特徴とする、アレルギー性喘息に罹患した患者の治療に使用される、GATA−3指向性DNAザイムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)3%以上、詳細には4%以上、より詳細には5%以上の血中好酸球数、および/または、
(ii)350×10/L以上、詳細には450×10/L以上の血中好酸球数、および/または、
(iii)40ppb以上の呼気一酸化窒素濃度を有する、Th2型喘息に罹患した患者の治療において使用される、核酸ベースのGATA−3不活化物質。
【請求項2】
前記核酸に基づいた不活化物質が、GATA−3指向性DNAザイムである、請求項1に記載の、治療において使用される、核酸ベースのGATA−3不活化物質。
【請求項3】
前記患者の血中好酸球数が4%以上、より詳細には5%以上である、請求項1または2に記載の、治療において使用される、核酸ベースのGATA−3不活化物質。
【請求項4】
前記患者の血中好酸球数が350×10/L以上、より詳細には450×10/L以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の、治療において使用される、核酸ベースのGATA−3不活化物質。
【請求項5】
前記血中好酸球数が、
(i)自動白血球分画、または、
(ii)従来の血液塗抹を用いた手動の顕微鏡的細胞鑑別によって判定される、請求項3または4に記載の、治療において使用される、核酸ベースのGATA−3不活化物質。
【請求項6】
前記患者の呼気一酸化窒素が40ppb以上である、請求項1から5のいずれか一項に記載の、治療において使用される、核酸ベースのGATA−3不活化物質。
【請求項7】
前記呼気一酸化窒素濃度が、携帯用のNIOX MINO(登録商標)装置を用いて判定される、請求項6に記載の、治療において使用される、核酸ベースのGATA−3不活化物質。
【請求項8】
前記核酸ベースのGATA−3不活化物質がDNAザイムhgd40(配列番号3)である、請求項1から7のいずれか一項に記載の、治療において使用される、核酸ベースのGATA−3不活化物質。
【請求項9】
前記hgd40が吸入用製剤に含まれる、請求項8に記載の、治療に使用される、核酸ベースのGATA−3不活化物質。
【請求項10】
前記hgd40がPBSに溶解される、請求項9に記載の、治療において使用される、核酸ベースのGATA−3不活化物質。
【請求項11】
5から50mgの間のhgd40、特に5から20mgの間のhgd40、特に10mgのhgd40が2mlのPBSに溶解される、請求項10に記載の、治療において使用される、核酸ベースのGATA−3不活化物質。
【請求項12】
前記核酸ベースのGATA−3不活化物質が、1日に1回、1日に2回、または1日に3回、特に1日に1回投与される、請求項1から11のいずれか一項に記載の、治療において使用される、核酸ベースのGATA−3不活化物質。
【請求項13】
前記核酸ベースのGATA−3不活化物質が、1日に1回、持続的療法で、特に維持療法で投与される、請求項12に記載の、治療において使用される、核酸ベースのGATA−3不活化物質。
【請求項14】
前記核酸ベースの不活化物質が、コルチコステロイド、長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)、長時間作用型ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)、抗ロイコトリエン、短時間作用型ベータアゴニスト(SABA)、抗コリン物質、およびモノクローナル抗体から選択される、喘息治療用の1つまたは複数の吸入療法または経口療法に対する追加療法として使用される、請求項1から13のいずれか一項に記載の、治療において使用される、核酸ベースのGATA−3不活化物質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Th2型喘息の治療において使用されるGATA−3阻害剤に、特に、(i)3%以上、詳細には4%以上、より詳細には5%以上の血中好酸球数、および/または(ii)350×10/L以上、詳細には450×10/L以上の血中好酸球数、および/または(iii)40ppb以上の呼気一酸化窒素濃度を特徴とする、アレルギー性喘息に罹患した患者の治療に使用される、GATA−3指向性DNAザイムに関する。
【背景技術】
【0002】
慢性炎症は、社会経済的重要性が高い医療問題領域増大の一因である。慢性炎症には、特に以下の病気群が含まれる:自己免疫疾患、およびリウマチ性疾患(とりわけ皮膚、肺、腎臓、血管系、神経系、結合組織、運動系、内分泌系での兆候)の領域の疾患、即時型アレルギー反応および喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、動脈硬化、乾癬および接触湿疹、ならびに器官および骨髄移植後の慢性拒絶反応。これらの疾患の多くは、工業国だけでなく、時には世界中で、ここ数十年、流行を増してきている。例えば、ヨーロッパ、北アメリカ、日本、およびオーストラリアでは、人口の20%超がアレルギー性疾患および喘息に罹患している。慢性閉塞性肺疾患は現在、世界中で5番目に多い死因であり、WHOの計算によると、慢性閉塞性肺疾患は2020年には3番目に多い死因となる。心筋梗塞、脳卒中、および抹消動脈疾患という二次疾患を伴う動脈硬化は、罹患率および死亡率の統計において世界で一番である。神経皮膚炎と共に、乾癬および接触湿疹は概して、皮膚の慢性炎症性疾患で一番多い。
【0003】
喘息は、可変性の気道閉塞、粘液分泌過多、気道炎症、および気道過敏症の増大を含む、気道の一般的な慢性炎症性疾患である。自然免疫反応および適応免疫反応の異常調節は、疾患の発症において中心的な役割を有すると考えられている。個体間の高度な不均質性が、異なる患者集団の間で同定されており、いくつかの臨床的フェノタイプおよび病態生理学的エンドタイプの定義をもたらしている。最も研究された病態生理学的喘息症状は2型ヘルパーT細胞(TH)型(アレルギー性)反応であり2、3、これは「TH2分子エンドタイプ」とも呼ばれる4、5
【0004】
およそ半分の喘息患者は、疾患重症度にかかわらず、IL−4、IL−5、およびIL−13などのサイトカインを生産するTH2細胞の優勢な活性化を特徴とする、このTH2エンドタイプを示す。全てのこれらのTH2サイトカインの発現および生産は、ジンクフィンガー転写因子GATA−3によって決定的に調節され、GATA−3はTH2細胞の分化および活性化に必須であり、免疫活性化の2型(TH2)経路のマスター転写因子であると考えられている。GATA−3は、ナイーブCD4T細胞からTH2細胞への分化に主に関与する。このプロセスにおいて、TH2細胞の分化は、2つのシグナル伝達経路、すなわちT細胞受容体(TZR)およびIL−4受容体経路によって主に制御される。TZRから出されたシグナルは、TH2細胞特異的な転写因子cMafおよびGATA−3、ならびにまた転写因子NFATおよびAP−1を活性化する。IL−4受容体の活性化によって、STAT6がIL−4受容体の細胞質ドメインに結合し、ここでSTAT6はJak1およびJak3キナーゼによってリン酸化される。STAT6の一部がリン酸化されることによって、STAT6は二量化し、核に移行し、核で、STAT6はGATA−3および他の遺伝子の転写を活性化する。GATA−3は、成熟TH2細胞において排他的に発現されTH1細胞では発現されないジンクフィンガー転写因子である。GATA−3の過剰発現は、GINAガイドラインに従った最適な治療法にもかかわらず重度の喘息を有する患者の気管支肺胞洗浄試料および肺生検において観察されている。この免疫ネットワークは、したがって、有望な治療標的である。既に承認された抗IgEモノクローナル抗体に加えて、転写因子GATA−3の下流にある個別の成分を標的化するいくつかの新規な治療法が開発中である
【0005】
代替的なアプローチは、戦略的転写因子GATA−3を直接的に標的化して、全ての下流分子/サイトカインに同時に干渉するようにする。GATA−3の発現は、慢性炎症性疾患に罹患した患者の分子フェノタイプを判定するため、また、患者を「TH2高」および「TH2低」亜群に階層化するために分析されており、「TH2高」患者をGATA−3特異的な不活化物質で治療することが示唆された(例えば、特許文献1参照。)。GATA−3は細胞内のみ発現されるため、in vivoでの細胞膜透過能力を有する、GATA−3特異的DNAザイムなどの、核酸に基づくGATA−3不活化物質が開発されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
アレルギー性喘息などの慢性炎症性障害において、適切な治療スキームの同定における問題は、それでもさらに複雑である。アレルギー反応では、ある特定の患者において好酸球数が増大し、その結果、好酸球増加症が生じることが知られている。好酸球は、GATA−3も発現することが知られており(例えば、非特許文献1参照。)、GATA−3の発現がT細胞に制限されず、GATA−3の発現が好塩基球、マスト細胞、および上皮細胞においても確認されるためである。GATA−3は、慢性炎症性疾患、特にアレルギー性喘息の免疫病因において中心的な役割を有する。アレルゲンでの急性の感作およびチャレンジによって、気道における高度の好酸球蓄積が生じ、リンパ球の動員が最少となること(例えば、非特許文献2参照。)、ならびにアレルゲンチャレンジが肺好酸球においてGATA−3およびGATA−3反応性遺伝子の発現を誘発することが示された。要するに、好酸球が炎症性反応に正のフィードバックをもたらすことが仮定された。逆に、アレルギー性喘息などの慢性的アレルギー性気道炎症において、ヒト肺組織におけるGATA−3陽性細胞の60〜90%がCD3陽性T細胞であり、この細胞のわずか15%未満が好酸球として同定されたことが示されている(例えば、非特許文献3参照。)。したがって、ヒト喘息において、GATA−3反応性遺伝子の好酸球発現は気道炎症をもたらす炎症性サイトカインの主な由来源ではないが、慢性炎症性プロセスをサポートするTH2サイトカインの余剰な由来源をもたらす可能性が高いと結論付けられた(例えば、非特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2014/040891号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/033314号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Zonら、Blood 81(1993)3234〜3241
【非特許文献2】Paul Justiceら、Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 282(2002)L302〜L309
【非特許文献3】Nakamuraら、J Allergy Clin Immunol 103(1999)215〜222
【非特許文献4】Sontoro & Joyce、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、94(1997)4262〜4266
【非特許文献5】Dicke Tら、Nucleic Acid Therapeutics 2012;22(2):117〜26
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、TH2細胞内のGATA−3は、アレルギー性喘息などのアレルギー性障害のケースの治療介入のための魅力的な標的であると思われるが、GATA−3を同様に発現する好酸球が同時に存在した場合の、このような治療アプローチの成功に与える影響は完全に未知であった。さらに、このようなアプローチの利益を特に受ける特定の患者集団を同定できるかどうかは全く予測不可能であった。
【0010】
したがって、アレルギー性喘息患者の新規かつ効率的な治療法を開発するための大きなアンメットニーズ(unmet needs)が依然として存在する。特定のGATA−3阻害剤の投与の利益を特に受ける特定の患者集団の同定に基づく、本願に示される解決法はこれまでに知られておらず、また当業者によって予想されてこなかったものであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、Th2型喘息の治療において使用されるGATA−3阻害剤、特に、アレルギー性喘息に罹患した患者の特定の亜集団の治療に使用されるGATA−3指向性DNAザイムに関する。
【0012】
したがって、第1の態様では、本発明は、(i)3%以上、詳細には4%以上、より詳細には5%以上の血中好酸球数、および/または(ii)350×10/L以上、詳細には450×10/L以上の血中好酸球数、および/または(iii)40ppb以上の呼気一酸化窒素濃度を特徴とする、アレルギー性喘息に罹患した患者の治療において使用される、核酸ベースのGATA−3不活化物質、特にGATA−3指向性DNAザイムに関する。
【0013】
第2の態様では、本発明は、(i)3%以上、特にそれぞれ4%以上もしくは5%以上の血中好酸球数、および/または(ii)350×10/L以上、特に450×10/L以上の血中好酸球数、および/または(iii)40ppb以上の呼気一酸化窒素濃度を特徴とする、Th2型喘息、特にアレルギー性喘息に罹患した患者の治療方法であって、核酸ベースのGATA−3不活化物質、特にGATA−3指向性DNAザイムを前記患者に投与するステップを含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の研究設計およびフローチャートを示す図である。パネルAは、研究設計および主な研究手順の概要を示す。パネルBは、分析に登録され組み入れられた患者の数をまとめている。SB010群の21人の患者は全ての研究評価を完了し、1人の患者は、治療前後のアレルゲンチャレンジにおいて異なるアレルゲン用量が投与されたため、評価に適格ではなかった。プラセボ群では、2人の患者が評価に適格ではなかった(1人の患者はアレルゲンチャレンジの間にSABAを要し、1人の患者は治療前後のアレルゲンチャレンジにおいて異なるアレルゲン用量が投与された)。したがって、SB010群の21人の評価可能な患者およびプラセボ群の19人の評価可能な患者が研究を完了した「*」。プラセボ群では、1人の患者のLARデータが存在しなかった。それは、連続肺活量測定がアレルゲン誘発の4時間後に意図せず停止したためである。
【図2】本発明の、治療前および治療の4週間後のアレルゲンチャレンジ後の肺機能の変化を示す図である。図2A:アレルゲンチャレンジ後のベースラインFEVに対するパーセンテージとしてFEVレベルが示されている。アレルゲンチャレンジは、治療期間前()および4週間の治療期間の完了後()に行った。肺機能をアレルゲンチャレンジの7時間後に記録した。治療群当たりの平均値+/−SEMが示されている。SB010での治療(三角)は、プラセボ(四角)と比較して、即時相喘息反応(P=0.04、ウィルコクソンの順位和検定)および遅発相喘息反応(P=0.02、ANCOVA)を有意に弱めた。研究群の結果をまとめてパネルAに示す。事前に特定された亜群は、血中好酸球≧4%(パネルB)およびFeNO≧40ppb(パネルC)であった。血中好酸球およびFeNOレベルを、ランダム化の前に測定した。両亜群は12人のSB010患者/12人のプラセボ患者からなり、SB010群の9人の患者およびプラセボ群の11人の患者が両亜群に存在する。EARおよびLARは共に、血中好酸球≧4%の亜群(それぞれP=0.02およびP=0.05)およびFeNO≧40ppbの亜群(それぞれP=0.02およびP=0.05)で有意に向上した。アレルゲンチャレンジ後最初の1時間で、延びたx軸が拡大されていることに留意されたい。図2B:肺機能が、ベースラインFEV1に対するパーセントとして経時的に表されている。血中好酸球がそれぞれ≧3%、≧4%、および≧5%の3つの亜群でのSB010およびプラセボ治療についての別々の治療前および治療後の曲線が示されている。治療群当たりの平均値+/−SEMが示されている。挿入されているボックスは、即時相反応(左側のボックス)および遅発相反応(右側のボックス)についての、プラセボと比較した、SB010治療群におけるFEV1曲線下面積(AUC)の向上%を示す。ANCOVAによる統計分析。X軸が、アレルゲンチャレンジ後最初の1時間について異なるスケールに延ばされていることに留意されたい。ベースライン血中好酸球数に基づく、肺機能の連続的な向上。図2C:ここでは、ベースライン血中好酸球数について層別化された3つの亜群全てについて組み合わされた、SB010での28日間の治療の後のアレルゲンチャレンジに対する反応が示されている。比較のために、血中好酸球≧3%の亜群に対する治療後プラセボ応答が示され、これは、他の2つの亜群におけるプラセボ応答と有意には異ならない。さらなる詳細については、図2についての説明文を参照されたい。
【図3】本発明の、遅発型喘息反応(LAR)の間の曲線下面積(AUC)における個々の絶対的変化を示す図である。SB010治療群(n=21)およびプラセボ群(n=18)の各患者で、遅発相反応(LAR)の間のAUC値における絶対的変化を計算し、示した。線は平均を表し、黒い点はベースラインで血中好酸球数≧4%の患者を表し、円はベースラインで血中好酸球数<4%の患者を表す。LAR反応は、これらの2つの亜群の間で有意には異ならない。全群で、SB010治療は遅発相喘息反応を有意に弱めた(P=0.02、図2)。個々のデータポイントについては、補足用添付資料の表S4AおよびS4Bを参照されたい。
【図4】本発明の、SB010またはプラセボでの治療前後のアレルゲンチャレンジ後の血漿中IL−5レベルにおける変化を示す図である。治療前のアレルゲンチャレンジに反応して検出可能な血漿中IL−5レベルを示した患者の血漿中IL−5濃度における絶対的変化の平均±SEMが示され、これは、それぞれ、SB010群(13人の患者)では4.21±1.51pg/ml、プラセボ群(12人の患者)では4.03±0.92pg/mlであった。差はP=0.05で統計的に有意である()。
【図5】図5(補足用添付資料の図S1である)は、補足用添付資料において論じられる、アレルギー性喘息の発病におけるTh2細胞およびGATA−3の中心的役割、ならびにSB010の作用様式を示す。
【図6】図6(補足用添付資料の図S2である)は、本発明の、補足用添付資料において論じられる、mRNA切断活性およびGATA−3DNAザイムを示す図である。GATA−3コピー(c)RNAに対するGATA特異的DNAザイムhgd40のin vitroでの切断活性。In vitroで転写された完全オープンリーディングフレームcRNAを、異なる時間間隔(動態−A)と、または増大用量(用量依存性−B)のhgd40とインキュベートし、得られた切断産物を分離し、アガロースゲル上でエチジウムブロマイド染色した。同様に、GATA−3 cRNAを、スクランブルされた結合ドメインを有するが無傷の触媒性配列も有する非特異的DNAザイム(スクランブルされたDNAザイム1〜6)または異なる転写因子配列指向性DNAザイム(Tボックス転写因子Tbet、Tbet DNAザイム1〜3)とインキュベートして、DNAザイムアプローチの配列特異性を実証した(C)。
【図7】図7(補足用添付資料の図S3である)は、本発明の、SB010の活性成分であるhgd40の生物活性、ならびにヒト一次T細胞および鼻組織外植片に対するhgd40治療の効果を示す図である。A−ヒト極性Th2細胞のhgd40トランスフェクションによるGATA−3タンパク質発現の低減。B−ヒト極性Th2細胞のhgd40トランスフェクションによるIL−13分泌の低減。図S2AおよびS2Bのデータは、FAM陽性トランスフェクト細胞の細胞内染色を表し、群当たりn=8〜10の平均+SEMとして表されている。CおよびD−鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎(CRSwNP)に罹患した患者から得られたヒト鼻ポリープ組織外植片内に存在するCD3+T細胞(緑色)による、蛍光標識されたhgd40(赤色)の取り込み。結果は共焦点レーザー走査型顕微鏡によって得、未治療細胞(図C)およびhgd40治療細胞(図D)につぃて両方の色を重ねて表した。E−ex vivoでの組織アッセイにおける、CRSwNPに罹患した患者から得られたヒト鼻ポリープ組織外植片におけるGATA−3 mRNAの発現。データは正規化された相対発現単位として表し、群当たりn=6の平均+SEMとして表した。F−ex vivoでの組織アッセイにおける、ヒト鼻ポリープからのIL−5タンパク質の放出。データは、群当たりn=16の平均+SEMとして表した。有意性を、GraphPad Prism 5を用いるステューデントのt検定によって計算した。()P<0.05、(**)P<0.01。技術的詳細については、補足用添付資料の材料および方法を参照されたい。
【図8】図8(補足用添付資料の図S4である)は、本発明の、ITT集団全体および事前に特定された亜群における平均的な治療差を示す図である。これは、SB010治療とプラセボ群との間の相対的変化のデルタを反映する群間の差の視覚化である。研究集団全体についての値を表S2に示し、血中好酸球≧4%の患者の事前に特定された亜群についての値を表S3aに示し、FeNO>40ppbの患者の事前に特定された亜群についての値は表S3Bで見られる。上部:治療前と治療後との間の肺機能の変化パーセントが曲線下面積(AUC)として示される。下部:肺機能の変化パーセントがFEVの最大低下として表される。EAR:即時相喘息反応、LAR:遅発相喘息反応。
【図9】図9(補足用添付資料の図S5である)は、本発明の、喀痰中好酸球に対するSB010およびプラセボ治療の効果を示す図である(パーセント表示)。測定は、材料および方法において記載されているように、アレルゲン吸入の前後に、誘発喀痰試料において行った。アレルゲン吸入は、SB010(三角)およびプラセボ(四角)での治療の前および28日後に行った。各時点および治療群についての中央値ならびに25および75パーセンタイル範囲が示されている。左側のパネル:全体としての群、中央のパネル:事前に特定された亜群、血中好酸球≧4%、右側のパネル:事前に特定された亜群、FeNO≧40ppb。全体としての群において、チャレンジ後の好酸球パーセントの絶対的変化は、治療群間で非有意な傾向を示し(P=0.06)、好酸球亜群(P=0.009)およびFeNO亜群(P=0.02)では有意となった。喀痰中好酸球パーセントのこの低下は、補足用添付資料の表S8で示すように、好中球流入の増大に起因するものではなかった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、Th2型喘息の治療において使用される、核酸ベースの不活化物質、特にDNAザイム、特に、ある特定の患者亜集団の治療において使用される、GATA−3指向性核酸ベースの不活化物質、特にDNAザイムに関する。
【0016】
したがって、第1の態様では、本発明は、(i)3%以上、詳細には4%以上、より詳細には5%以上の血中好酸球数、および/または(ii)350×10/L以上、詳細には450×10/L以上の血中好酸球数、および/または(iii)40ppb以上の呼気一酸化窒素濃度を特徴とする、アレルギー性喘息に罹患した患者の治療に使用される、核酸ベースのGATA−3不活化物質、特にGATA−3指向性DNAザイムに関する。
【0017】
第2の態様では、本発明は、(i)3%以上、特にそれぞれ4%以上もしくは5%以上の血中好酸球数、および/または(ii)350×10/L以上、特に450×10/L以上の血中好酸球数、および/または(iii)40ppb以上の呼気一酸化窒素濃度を特徴とする、Th2型喘息、特にアレルギー性喘息に罹患した患者を治療する方法であって、核酸ベースのGATA−3不活化物質、特にGATA−3指向性DNAザイムを前記患者に投与するステップを含む方法に関する。
【0018】
本発明の背景において、用語「核酸ベースの不活化物質」は、標的遺伝子配列に少なくとも部分的に相補的であり、かつ標的遺伝子活性を、例えば、二重化、転写、もしくは翻訳を遮断することによって、または標的配列を切断することによって不活化する、核酸ベースの物質を指す。核酸ベースの不活化物質は、リボヌクレオチド、デゾキシリボヌクレオチド、非天然のヌクレオチド、およびその混合物からなり、一本鎖配列、二本鎖配列、またはその混合物である。本発明に係る核酸ベースの不活化物質には、siRNA分子、shRNA分子、およびDNAザイムが含まれる。
【0019】
本発明の背景において、用語「DNAザイム」は天然ではない、触媒的に活性な一本鎖の合成DNA分子を指す。10−23ファミリーのDNAザイムがアンチセンス分子の新たなクラスに相当し、これらのDNAザイムは、1990年代に開発されたが、最近臨床適用が見出されているに過ぎない
【0020】
本発明の背景において、用語「10−23ファミリー」は、一般的なDNAザイムモデルを指す(例えば、非特許文献4参照。)。10−23モデルのDNAザイムは、「10−23DNAザイム」とも呼ばれるが、2つの基質結合ドメインが隣接している、15のデゾキシリボヌクレオチドからなる触媒性ドメインを有する(国際公開第2005/033314号パンフレットを参照されたい)。DNAザイムの潜在的利点には、比較的高い安定性、および細胞内酵素に依存しないことが含まれる。
【0021】
特定の実施形態では、触媒性ドメインは、配列ggctagctacaacga(配列番号1)を有する。基質結合ドメインの長さは可変であり、この長さは等しいか、または異なる長さである。特定の実施形態では、基質結合ドメインは6から14の間のヌクレオチドからなり、さらに具体的には、いずれのケースでも、少なくとも9つのヌクレオチドからなる。このようなDNAザイムは、一般配列nnnnnnnnnggctagctacaacgannnnnnnnn(配列番号2)を含む。本発明のある特定の実施形態では、基質結合ドメインは、タンパク質GATA−3をコードするmRNAを結合する。
【0022】
特定の中央触媒性ドメインggctagctacaacgaは、特定の実施形態にすぎない。当業者であれば、匹敵する生物学的活性を有する「10−23DNAザイム」が、修飾された触媒性ドメインで得られることを認識している。
【0023】
特定の一実施形態では、基質結合ドメインは、切断部位に隣接する領域に完全に相補的である。しかし、標的RNAを結合するため、およびそれを切断するために、DNAザイムが完全に相補的である必要は必ずしもない。10−23型のDNAザイムは、標的mRNAをプリン−ピリミジン配列で切断する。本発明の範囲内では、DNAザイムは、国際公開第2005/033314号パンフレットに従った、GATA−3に対するin vivoで活性なDNAザイムを好ましくは含み、前記パンフレットの内容は、あらゆる適用可能な特許法の下で可能な限りにおいて参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
本発明の特定の実施形態では、患者は血中好酸球数が4%以上である。
【0025】
特定の実施形態では、患者は血中好酸球数が5%以上である。
【0026】
本発明の特定の実施形態では、患者は血中好酸球数が350×10/L以上である。
【0027】
特定の実施形態では、患者は血中好酸球数が450×10/L以上である。
【0028】
本発明の特定の実施形態では、血中好酸球数は、(i)従来の自動白血球分画化(例えば、Coulter TechnologyまたはSysmex Technologyまたは他の技術を用いて)、または(ii)従来の血液塗抹を用いる手動の顕微鏡的細胞鑑別によって判定される。
【0029】
本発明の特定の実施形態では、患者は、呼気一酸化窒素濃度が40ppb以上である。
【0030】
本発明の特定の実施形態では、呼気一酸化窒素濃度は、携帯用のNIOX MINO(登録商標)装置を用いて判定される。
【0031】
本発明の特定の実施形態では、GATA−3指向性DNAザイムは、国際公開第2005/033314号パンフレットの配列hgd1からhgd70から選択され(国際公開第2005/033314号パンフレットの図3を参照されたい)、詳細には、配列hgd11、hgd13、hgd17、およびhgd40、より詳細には配列hgd40(5’−GTGGATGGAggctagctacaacgaGTCTTGGAG、配列番号3)から選択される。
【0032】
本発明の背景において、用語「hgd40」は、配列5’−GTGGATGGAggctagctacaacgaGTCTTGGAGを有する34の塩基からなる、GATA−3指向性DNAザイムを指す。3’領域および5’領域の両方にある9つの塩基は、GATA−3の標的mRNAに非常に特異的に結合する2つの結合ドメインを形成する。分子の中心核は、hgd40がGATA−3 mRNAに結合した後の標的の切断の原因となる触媒性ドメインに相当する10(図5および6を参照されたい)。原薬hgd40は、吸入による薬剤送達の部位での高い生物活性および生物学的利用能を特徴とする12
【0033】
本発明の特定の実施形態では、hgd40は、経口的に、直腸に、非経口的に、静脈内に、筋肉内に、皮下に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、髄腔内に、血管内に、局所的に(粉末、軟膏剤、またはドロップ)、またはスプレーもしくは吸入剤の形態で患者に投与される製剤に含まれる。活性成分は、必要に応じて、無菌条件下で、生理学的に許容可能な賦形剤および可能な防腐剤、緩衝液、または推進剤と混合される。
【0034】
本発明の特定の実施形態では、hgd40は、吸入用製剤に含まれる。
【0035】
本発明の特定の実施形態では、前記hgd40はPBSに溶解される。
【0036】
投薬のタイプおよび投薬スキームは、臨床的因子に従って担当医によって決定される。当業者であれば、投薬のタイプおよび投薬スキームが、例えば、患者の体のサイズ、体重、体表面、年齢、性別、または全体的健康などの様々な因子に依存するが、投与される作用物質、期間、および投与タイプ、ならびに同時に投与される他の薬剤にも依存することを認識している。このプロセスにおいて、特に有利な実施形態に従うと、薬剤の活性成分の量は、測定される発現レベルに適合される。したがって、亜群「Th2高」を置き、確立された非常に高いGATA−3遺伝子発現のケースでは、増大用量の活性成分、特に、GATA−3に特異的なDNAザイムが投与される。それに応じて、亜群「Th1高」を置き、確立された非常に高いTbet遺伝子発現のケースでは、増大用量の活性成分、特に、Tbetに特異的なDNAザイムが投与される。
【0037】
本発明の特定の実施形態では、投薬は、5から50mgの間のhgd40、特に5から20mgの間のhgd40、特に10mgのhgd40からなる。特定の実施形態では、投薬量は、2mlのPBSに溶解される。特定の実施形態では、これらの投薬量は1日投薬量である。
【0038】
本発明の特定の実施形態では、前記核酸ベースのGATA−3不活化物質が、1日に1回、1日に2回、または1日に3回、特に1日に1回投与される。
【0039】
本発明の特定の実施形態では、前記GATA−3指向性DNAザイムは、1日に1回、28日連続して、持続的療法で、特に維持療法で投与される。
【0040】
本発明の特定の実施形態では、前記核酸ベースのGATA−3不活化物質は、コルチコステロイド、長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)、長時間作用型ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)、抗ロイコトリエン、短時間作用型ベータアゴニスト(SABA)、抗コリン物質、およびモノクローナル抗体から選択される、喘息治療用の1つまたは複数の吸入療法または経口療法に対する追加療法として使用される。
【0041】
本発明のさらなる特徴、詳細、および利点は、特許請求の範囲の記載、および図面を参考にしての典型的な実施形態の以下の説明に基づく。
【0042】
実施例
実施例1:臨床研究「吸入されたGATA−3特異的DNAザイムによるアレルゲン誘発型喘息反応の弱まり」
要約
背景
最も普及している喘息フェノタイプは、TH2型好酸球支配型の炎症を特徴とする。TH2経路のマスター転写因子であるGATA−3の治療標的化が有利である。本発明者らは、GATA−3 mRNA(SB010)に特異的に向けられた新規なDNAザイムの安全性および有効性を評価した。
【0043】
方法
このランダム化された、二重盲式の、プラセボ対照の、多施設臨床試験において、アレルゲン誘発後に二相性の即時相および遅発相喘息反応(EARおよびLAR)を示す、喀痰中好酸球増加を伴うアレルギー性喘息患者を、1日に1回数日間、吸入によって10mgのSB010(21人の評価可能な患者)またはプラセボ(19人の評価可能な患者)を投与するように割り当てた。アレルゲンチャレンジを治療の前後に行った。LARでのFEV曲線下面積(AUC)の変化がプライマリエンドポイントであった。
【0044】
結果
28日間の治療の後、SB010は、平均LAR AUCを治療前と比較して34%弱め、一方、LAR AUCの1%の増大がプラセボ群で観察された(P=0.02)。EAR AUCはSB010によって11%弱められ、これに対し、プラセボ後では10%増大した(P=0.03)。これらの効果は、血中好酸球増加が≧4%(LARで41.7%の向上、P=0.05;EARで28.3%の向上、P=0.02)の、またはFeNO≧40ppbの事前に特定された患者亜群において、より明白であった。SB010によるLARの阻害は、アレルゲン誘発型の喀痰中好酸球増加の弱まり(群全体でP=0.06、好酸球亜群でP=0.009、FeNO亜群でP=0.02)、喀痰中トリプターゼの低下(P=0.05)、および血漿中IL−5レベルの低下(P=0.05)と関連した。アレルゲン誘発型のFeNOレベルおよびメタコリンに対する気道過敏症は、治療による影響を受けなかった。
【0045】
結論
SB010治療は、アレルゲン誘発後のアレルギー性喘息においてLARおよびEARの両方を有意に弱めた。バイオマーカー分析によって、TH2調節型の炎症性反応に対する明白な効果が確認された(Clinical Trials−govナンバー、NCT 01743768)。
【0046】
導入
SB010の活性製剤の中心核は、GATA−3 mRNAへのhgd40の結合後の標的の切断の原因となる触媒性ドメインに相当する10(補足用添付資料の図S1およびS2を参照されたい)。Selら11は、DNAザイムの開発がGATA−3 mRNAの切断を可能にすることを報告し、アレルギー性気道炎症の前臨床モデルにおけるこれらの有効性を実証した。原薬hgd40は、吸入による薬剤送達の部位での高い生物活性および生物学的利用能を特徴とし12、したがって、さらなる臨床開発に選ばれた。hgd40は、GATA−3 mRNAおよびタンパク質を、ならびにその後、ヒトT細胞および組織外植片におけるTH2サイトカインの生産を有意に低減させた(図S3、補足用添付資料)。望ましくないオフターゲット効果は排除され13、大きな安全性懸念は、広範囲の毒物学プログラムで同定されなかった14。対応する製剤であるSB010を、3つの最近完了した、ランダム化された、プラセボ対照の、用量漸増第I相試験(改稿)で調べた。有望な結果によって、SB010の有効性を評価するための第IIa相試験が正当であることが分かった。この研究は、現在までの吸入型DNAザイムの最初の第IIa相試験に相当する。
【0047】
方法
研究設計および見落とし
このランダム化された、二重盲式の、プラセボ対照の研究は、2013年の1月(最初の患者の登録)から10月(最後の患者の最後の訪問)の間に、呼吸器研究に特化したドイツの7つの研究箇所で行った。スクリーニングおよびベースライン評価の後、参加者を、活性治療またはプラセボでの4週間の治療期間に層別化せずに、中央で作成されたランダム化リスト(Inamed GmbH、Munich、Germany)を用いてランダム化した。3回の吸入型アレルゲンチャレンジを、スクリーニング時(適格性)、ランダム化の前(治療前)、および28日目(治療後)に行った。試験は、ドイツ規制当局「Bundesinstitut fur Arzneimittel und Medizinprodukte(BfArM)」によって、ならびに、中央の倫理委員会および参加している各中央の地方の倫理委員会によって、開始前に承認された。研究は、医薬品臨床試験の実施基準の原則およびヘルシンキ宣言に従って行った。全ての参加者は、あらゆる研究特異的な手順を行う前に、文書でインフォームドコンセントを提出した。データは各研究箇所で回収し、INAMED GmbH(Gauting、Germany)のデータベースに入れた。統計分析は、FGK Clinical Research GmbH(Munich、Germany)によって独立して行われた。原稿の最初の下書きは最初および最後の著者が作成し、これらの著者が、その原稿を公開するための決定も行った。スポンサーから資金提供されているプロのメディカルライターが執筆および編集をサポートした。最初および最後の著者、ならびにスポンサーの従業員である著者らが、データの正確性および完全性、統計分析、ならびに最終プロトコルまでの試験の忠実性を保証する。
【0048】
患者
本発明者らは、スクリーニングの少なくとも6カ月前にGINAガイドラインに従って15軽症喘息と診断され、かつ吸入型の短時間作用型気管支拡張薬以外のいかなる喘息薬でも治療されていない、18から64歳の白人男性患者を募集した。スクリーニングでは、FEVは、短時間作用型気管支拡張薬のあらゆる摂取の少なくとも6時間後に、予測される正常の≧70%でなくてはならなかった。彼らの喘息のアレルギー性は、一般的な空中アレルゲンに対する正の皮膚プリックテストならびに正のアレルゲン誘発型の即時相および遅発相反応(FEVがそれぞれ≧20%および≧15%低下する)を介して実証されなくてはならなかった。喀痰中好酸球の存在は、スクリーニング時アレルゲンチャレンジの前または後に実証されなくてはならなかった。組み入れ基準および排除基準の完全な詳細は、補足用添付資料で確認することができる。
【0049】
研究治療
製剤SB010は、2mLのリン酸緩衝生理食塩水(または適合するプラセボ)内の10mgのヒトGATA−3特異的DNAザイムhgd40(BioSpring GmbH、Frankfurt、Germanyによって製造された)であった。最終製剤は、盲検化を確実にするために個別包装で、中央で(BAG Health Care GmbH、Lich、Germany)調製された。製剤またはプラセボを、AKITA APIXNEBネブライザー(Activaero GmbH、Gemunden、Germany)を用いて1日に1回、朝、およそ3〜8分続く流量および容積制御型の吸入によって、28日連続して投与して、薬剤沈着の最適化が確実となるようにした16。登録の前に、患者には装置の使用について必須の練習を課した。治療期間の間の各訪問で、活性治療またはプラセボを、研究スタッフの監督下で、研究箇所で投与した。残りの用量は自己投与し、装置のスマートカードを用いてコンプライアンスをチェックした。
【0050】
研究手順
主な研究手順および介入の概要を図1Aに示す(研究手順の完全な概要は、補足用添付資料で確認することができる)。
【0051】
・アレルゲンチャレンジおよび肺機能試験
アレルゲンチャレンジのための適切なアレルゲンを、最初のスクリーニング訪問での皮膚プリックテストによって同定した(詳細については、補足用添付資料の表S1を参照されたい)。2度目のスクリーニング訪問(最初のスクリーニング訪問の少なくとも1週間後)での、気道反応性(メタコリン誘発による)と組み合わせた、その後の皮膚プリック希釈試験を用いて、スクリーニング時アレルゲンチャレンジのための安全開始濃度を規定した17。増大濃度の吸入型空中アレルゲンを、FEVが≧20%低下するまで投与した18。FEVを20%低下させた吸入型空中アレルゲンの最後の3つの濃縮ステップを、ランダム化の前(治療前)および28日間の治療期間の後(治療後)に同一の様式で投与した19。連続的な肺活量測定を、最近のガイドラインに従って、アレルゲンチャレンジ後10から180分の間(即時相喘息反応、EAR)、および から7時間の間(遅発相喘息反応、LAR)、2回行った20。チャレンジ間の適切なウォッシュアウト時間を行って、さらなるチャレンジの前に全患者においてFEVおよびFeNOレベルがベースライン値に確実に戻るようにした。
【0052】
・メタコリンチャレンジ試験
気道反応性を、ATSガイドラインに従って、図1Aで示す時間に、FEV(PC20濃度)を≧20%低下させたメタコリン(Provocholine,Metapharm Inc.、Brantford、ON、Canada)濃度として評価した21
【0053】
・吐出された一酸化窒素測定
呼気一酸化窒素(FeNO)濃度レベルを、製造者の指示に従って、ATS/ERS推奨に即して22携帯用のNIOX MINO(登録商標)装置(Aerocrine、Solna、Sweden)を用いて、図1Aで示す時間に測定した。
【0054】
・喀痰誘発
誘発喀痰試料を、スクリーニング時、治療前チャレンジの前(2週間まで)および24時間後、ならびに治療の前(24〜48時間)および24時間後の、5つの時点で採取した(図1A)。細胞分布および上清内のメディエーター分析を中央の実験室で評価した。
【0055】
免疫学的パラメータの測定
血漿および/または喀痰上清内のサイトカインおよびケモカインTNF−α、IL−1β、IL−8 MCP−1、MCP−4、MIP−1β、MDC、IP10およびIL−4、IL−5およびIL−13、およびIFN−γを、製造者の指示に従って、TH1/TH2およびケモカインマルチプレックスアッセイで測定した(Meso Scale Discovery、Rockville、USA)。喀痰上清内の好酸球陽イオン性タンパク質(ECP)およびトリプターゼを、製造者の指示に従って、市販されているELISA(ECPおよびトリプターゼ:Cloud−Clone、Houston、USA)を用いて測定した。
【0056】
安全性の評価
有害事象および併用薬を全ての訪問で評価した。安全性の実験室分析(血液学、臨床化学、および尿検査を含む)を、最初の投与の前、および治療の間の2週間間隔で行った(詳細については、補足用添付資料を参照されたい)。さらに、DNAザイムに基づく薬剤での治療に起因する(自己)抗体の発生を排除するために、抗核抗体(免疫蛍光スクリーニング試験)およびリウマチ性血清学(IgM)を治療の前後に測定した。
【0057】
研究評価基準
第1の評価基準は、FEV曲線下面積(AUC)に対する吸入型SB010の複数回投与の影響であり、これは、LAR(アレルゲンチャレンジの4時間後)の間の、ベースラインFEVに対するパーセンテージとして表される。AUCは、台形公式を用いて計算した。探索的エンドポイントには、EAR(0〜3時間)の間のFEV曲線下面積に対するSB010の影響、気道反応性におけるアレルゲン誘発型の変化(PC20メタコリン)、FeNOレベル、ならびに血漿および喀痰中のバイオマーカーが含まれる。
【0058】
試料サイズおよび統計分析
第I種過誤の可能性が10%、治療群間の影響サイズの差が8%、および検出力が少なくとも80%であると仮定すると、少なくとも38の評価可能な対象が必要であった。15%の予想される脱落率に基づいて、43の対象をランダム化し、試験薬剤またはプラセボに曝露した。有効性および薬力学的結果を、図1に示すように、全ての評価可能な患者(治療の意思がある集団)において分析した。
【0059】
主要有効性評価項目(LARにおけるAUC)を、LARにおけるベースラインAUCを共変量として有するANCOVAモデルを用いて、治療群間で比較した。SB010群の4人の患者およびプラセボ群の3人の患者は、最初の治療前アレルゲンチャレンジでLARのみを示した。これらの患者では、このアレルゲンチャレンジから得た肺機能データを治療前の値として用いた。統計分析プランにおいて規定されているように、同一モデルで、または変化パーセントの群間の比較についてのウィルコクソンの順位和検定を用いて、他のエンドポイントも分析した。安全性評価基準を患者ごとにリストし、記述統計を計算した。統計方法のさらなる詳細は、補足用添付資料で確認することができる。
【0060】
結果
患者
SB010群では21人の患者が全ての研究評価を完了し、プラセボ群ではそれぞれ18人および19人の患者がLARおよびEAR評価を完了した(図1B)。これらの患者についてのデモグラフィックデータおよびベースラインデータを表1Aおよび表1Bに示す。
【0061】
即時相および遅発相喘息反応
図2Aで示すように(補足用添付資料の表S2)、LARはSB010治療後に弱まり、平均曲線下面積(AUC)が33.7%(P=0.02)有意に向上し、FEVの最大低下が31.6%(P=0.09)向上した。EARも有意に弱まり、平均AUCが11.3%(P=0.04)向上し、FEVの最大低下が21.5%(P=0.04)向上した。
【0062】
事前に特定された亜群における即時相および遅発相喘息反応
事前に特定された亜群において、ベースラインの相対的血中好酸球数が≧4%の患者は、LARにおけるAUCで大きな向上を示し、またSB010治療後のEARに対する明白な効果を示した(図2Bおよび補足用添付資料のS3A)。LARにおけるAUCの低下は、SB010群において41.7%弱まった((P=0.05)表S3A)。これに伴って、EARが28.3%弱まった(P=0.02)。SB010およびプラセボ治療後のAUCにおける個々の変化を図3(および補足用添付資料の表S4AおよびS4B)に示す。類似の観察が、ベースラインでFeNO≧40ppbの亜群で報告された(図2C、補足用添付資料の表S3B)。亜群の層間の不均質性についての試験は有意ではなかった。
【0063】
TH2型炎症のマーカーでの干渉
28日間の治療の後、SB010はアレルゲン誘発型の喀痰中好酸球増加をプラセボよりも弱めたが、この差は研究群全体では統計的有意性を有しておらず(P=0.06)、しかし、血中好酸球が≧4%(P=0.009)およびFeNO≧40ppb(P=0.02)の事前に特定された亜群では有意となった。喀痰中好酸球増加の変化に伴って、血中IL−5レベルに有意差があった(P=0.05)(図4)。プラセボ群において観察された、IL−5レベルの治療後の増大は、SB010治療後では見られなかった。28日間の治療期間の最後に、SB010治療群(中央値6.39 IQR 2.03〜13.88ng/mL)の喀痰中トリプターゼレベルは、プラセボ(中央値13.10 IQR 6.05〜22.77ng/mL)と比較して有意に(P=0.05)低かった。チャレンジの24時間後のアレルゲン誘発型FeNOレベルおよびメタコリンに対する気道過敏症は、研究治療によって影響されないままであった(補足用添付資料の表S5)。
【0064】
安全性および忍容性
治療中に発生した有害事象(TEAE)における注目すべき差は、SB010またはプラセボを投与された患者の間で見られなかった。プラセボ群において、8人の患者がTEAEを有し、それと比較して、SB010群では6人の患者であった(表3)。重篤なTEAEはなく、いかなる考えらえるまたは確かなSB010関連TEAEもなかった。2人の患者における2つのTEAE(吐き気およびそう痒症)が、SB010に関連する可能性があった。重篤なTEAEはなかった。他の安全性変数は、補足用添付資料にリストされた全ての安全性エンドポイントを含むいかなる安全性の懸念も明らかにしなかった。TNF−α、IL−1β、IL−8、MCP−1、MCP−4、MIP−1β、MDC、およびIP−10の治療前後の測定は、研究群間での有意差を明らかにせず(補足用添付資料の表S7)、リウマチ性血清学および検出された抗核抗体における有意な増大も明らかにせず、これらは合わせて、自然免疫活性化の不存在およびオフターゲット効果の不存在を示す。
【0065】
考察
吸入型気管支アレルゲンチャレンジは、アレルギー性炎症および気管支収縮のin vivoモデルにおいて広く認められており18、早期臨床試験におけるLARの治療的阻害は、薬剤開発プログラムの後期段階における臨床的有効性についての合理的に良好な予測因子である24。例には、IL−425、26、27、IL−528、29、30、IL−1331、32、およびTSLP33などのTH2サイトカインの経路の標的化が含まれる。この研究において、SB010での治療は、アレルゲン吸入後のEARおよびLARの両方の間で肺機能を有意に向上させた。SB010は転写因子GATA−3を特異的かつ選択的に標的化するため、これらのデータは、GATA−3依存性の重要性、およびTH2型喘息フェノタイプを有する患者におけるアレルゲン吸入後の喘息反応における調節された経路を強くサポートし、SB010がアレルギー性喘息の有望な治療であることを示唆する。
【0066】
本発明の患者は、増加した血中および喀痰中好酸球ならびに増加したFeNOレベルによって示される典型的なTH2型エンドタイプを有する、軽症のアレルギー性喘息を有していた34、35。この2型エンドタイプは、プロトタイプのアトピー性およびアレルギー性喘息に存在するだけでなく、好酸球増加性の遅発型喘息、持続性かつ重度の喘息、およびアスピリン感受性喘息を含む、他の臨床的喘息フェノタイプにおいても最近見られている5、36、37。組み入れ基準は、このエンドタイプ(例えば「喀痰中好酸球の存在」のみ)を有する広範囲の患者を網羅するように規定され、肺機能データは、SB010がこの研究群に対する有意な効果を全体として有していたことを示す。しかし、事前に特定された亜群の分析において、さらに明白なTH2型フェノタイプ(少なくとも4%の血中好酸球レベルまたは少なくとも40ppbのFeNOレベル)を有する患者が、SB010治療の利益を特異的に受けることが分かった。LARに対するさらに明白な治療効果に加えて、EARもまた、有意な弱まりを示した。喘息反応の両方の相にわたるこの二重作用様式は、抗IgE以来のいかなる生物学的薬剤候補38、最近では抗TSLP33でも報告されていない。SB010治療が重篤な憎悪の傾向がある患者に特に有利であるかどうかは、近々行われる臨床試験で調べる必要がある36。TH2反応の調節におけるGATA−3の中心的役割は、良く確立されている。TH2エフェクター機能の発生および維持の両方は、GATA−3に大きく依存している39。さらに最近では、GATA−3の必須の機能が2型自然リンパ球において同定された40。しかし、この転写因子はまた、TH2−細胞サブセットを大きく上回る重要な機能も発揮する。GATA−3はまた、マスト細胞39、好酸球41、および気道上皮細胞においても発現され、ここで、GATA−3は、アレルゲン誘発型アレルギー性反応に関連する重要な機能およびエフェクターメカニズムを制御する42、43。アレルゲンチャレンジ後、EARは、マスト細胞の脱顆粒に依存し、一方、LARは、選択的にT細胞依存性であり、気道および気道内腔への好酸球の顕著な流入を伴うと考えられる。マスト細胞トリプターゼは、マスト細胞の活性化およびマスト細胞の脱顆粒を反映する、信頼性がありロバストなマーカーである。この結果は、SB010治療が喘息反応のこれらのエフェクター細胞に直接的または間接的に影響することを示す。SB010がこの阻害機能および調節機能を二重様式で行う可能性が高く、これら両方は、TH2細胞を調節し、ひいてはエフェクター細胞から生存因子および活性化因子を奪うことによるもの、ならびに局所の炎症組織内の好酸球およびマスト細胞におけるGATA−3 mRNAへの直接的な干渉を介するものであるが、さらなる機械論研究が、GATA−3 DNAザイム治療の全ての生物学的効果を完全に明らかにするために必要である。
【0067】
この研究において曝露された患者は、第I相プログラムの間に曝露された個体と組み合わされて、そのうちの39人が喘息を有していた120人を超える個体における1200超の適用の安全性データベースを構成する。安全性シグナルは臨床開発の間にこれまで検出されておらず、広範囲の非臨床的プログラムの結果と一致する。結論として、この概念実証試験は、アレルゲン誘発後の即時相喘息反応および遅発相喘息反応の両方を有意に弱めた、吸入型DNAザイムSB010治療の有効性を証明する。さらなる臨床研究によって、これらの効果が、主要なTH2フェノタイプを有する症候性で持続性の喘息患者における臨床的利益となるかどうかが調べられる。
【0068】
【表1】
【0069】
全てのデータは、喀痰中好酸球(中央値、第1および第3四分位数)を除いて、平均(SD)で表す。呼気一酸化窒素濃度(FeNO)、気道過敏症(PC20)、血中好酸球、および誘発喀痰中好酸球を、ランダム化の前に測定した。喀痰中好酸球値は、SB010ではn=20、プラセボ群ではn=17にそれぞれ基づく。P値はウィルコクソンの順位和検定に従った(材料および方法を参照されたい)。
【0070】
【表2】
【0071】
全てのデータは平均(SD)で表す。呼気一酸化窒素濃度(FeNO)、気道過敏症(PC20)、血中好酸球、および誘発喀痰中の好酸球を、ランダム化の前に測定した。P値はウィルコクソンの順位和検定に従った(材料および方法を参照されたい)。
【0072】
【表3】
【0073】
遅発型喘息反応(LAR)および即時型喘息反応(EAR)についての曲線下面積(AUC)の平均値を示す。治療前から治療後のAUC値の低下は、肺機能の向上を反映する。AUCの治療前および治療後の値と、その後の、SB010群およびプラセボ群それぞれについての肺機能の変化とを示す。これらの変化は、AUCの前後値として、および治療前と治療後との間の変化のパーセントとして表される。正の値は肺機能の向上を反映し、負の値は、治療前と比較して大きな、治療後チャレンジでの曲線下面積に対応する。完全なデータセットについては、補足用添付資料の表S2を参照されたい。
【0074】
【表4】
【0075】
補足用添付資料:吸入型GATA−3特異的DNAザイムによるアレルゲン誘発型喘息反応の弱まり
材料および方法
組み入れおよび排除の基準
組み入れ基準
1.成人男性の白人患者、年齢≧18および≦60歳。
2.スクリーニングの少なくとも6カ月前の、軽症喘息(GINAガイドライン2008に従った)の臨床診断。吸入型short75作用性気管支拡張薬を除いて喘息治療を伴わない。
3.吸入型短時間作用型気管支拡張薬を少なくとも6時間洗い流した後の予測正常値(ECSC)の、FEV≧70%のスクリーニングFEV
4.患者は十分な誘発喀痰生産を示さなくてはならない。
5.一般的な空中アレルゲン(例えば、動物上皮、チリダニ)に対する正の皮膚プリックテスト(皮膚反応性)。
6.患者は、正のアレルゲン誘発型の即時相および遅発相気道気管支収縮を示さなくてはならない。
7.ACおよびMChの前の全ての時点で、患者は予想される65%を下回らないFEVを示さなくてはならない。
8.スクリーニング時アレルゲンチャレンジの前または後(第1のまたは第2の誘発喀痰)の喀痰中好酸球の存在。
9.患者は、臨床試験の目的、方法、予想される利益および潜在的リスク、ならびに晒される不快について口頭および書面で説明されており、試験開始前、および試験に関連するあらゆる手順の前に、試験への参加についての同意を文書で提出している。
10.患者は、理解、および文書のインフォームドコンセントの提出が可能であり、研究者の研究倫理委員会によって承認された文書のインフォームドコンセントフォームにサインしている。
11.非喫煙者、または臨床研究が開始する少なくとも1年前に禁煙した<10パックイヤーの禁煙者。
12.適切な様式で吸入する能力(患者は、スクリーニング訪問で、プラセボ薬剤を有するAKITA2 APIXNEB(登録商標)装置から吸入する練習をする)。
13.SB010の最後の投与後6カ月間にわたり子供を世話することを望まない男性のみがこの研究に組み入れられる。
【0076】
排除基準
1.研究者の意見では試験への参加によって患者にリスクが与えられ得る、喘息以外の臨床的に重大な疾患(心血管疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、胃腸疾患、血液疾患、神経疾患、泌尿生殖器疾患、自己免疫疾患、内分泌疾患、代謝疾患など)、または研究結果もしくは患者が研究に参加する能力に影響する疾患の存在。
2.
・既知の活動性結核、
・間質性肺疾患または肺血栓塞栓性疾患の病歴、
・過去12カ月間の肺の切除、
・喘息重積状態の病歴、
・呼吸器疾患に続く気管支拡張症(例えば、嚢胞性線維症、カルタゲナー症候群など)の病歴、
・最初の朝のIMP投与前4週間以内の、慢性気管支炎、気腫、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、または呼吸器感染の病歴、
などの、関連する肺疾患または胸部外科学的病歴の存在。
3.研究者によって判断される、吸入型短時間作用型の気管支拡張薬を除く併用療法中の患者。
4.研究訪問2、3、4、5、11、および12の前6時間の短時間作用型β2−アゴニストの使用。
5.スクリーニング前6カ月、スクリーニングと治療期間開始との間の、急性喘息での入院または緊急治療室での治療。
6.スクリーニング訪問前6カ月以内の喘息憎悪の管理のための、挿管(過去に)または24時間を超える入院。
7.臨床的に関連するアレルギーまたは薬剤特異性の病歴または現在のエビデンス。
8.ネブライザー溶液のあらゆる活性成分または不活性成分に対するアレルギー反応の病歴。
9.臨床的関連のECG異常。
10.安静時心拍数が<45bpm、収縮期血圧が<100mmHg、拡張期血圧が<60mmHgの対象。
11.起立性異常調節、失神、または一次的意識喪失の傾向。
12.切除された基底細胞癌を除く、過去5年以内の悪性腫瘍の病歴。
13.研究者によって判断される、臨床化学的、血液学的、またはあらゆる他の実験室変数における臨床的に関連する異常。
14.AC前4週間での臨床的に関連する急性感染。
15.臨床的に関連する慢性感染。
16.急性または慢性感染性ヒト免疫不全ウイルス(HIV)およびB/C型肝炎ウイルス感染のウイルス学試験のいずれかにおける陽性の結果。
17.正の薬剤スクリーン。
18.アルコールまたは薬剤の乱用。
19.正のコチニン試験。
20.試験薬剤の最初の投与前30日間以内または試験の治療期間の間の、あらゆる既知の酵素誘発剤または阻害剤(セイヨウオトギリ(セントジョーンズワート)、バルビツレート、フェノチアジン、シメチジン、ケトコナゾールなど)での治療。
21.最初の試験薬剤投与前2週間以内、またはそれぞれの薬剤の半減期の<10倍以内、または薬力学的効果の期間のいずれか長い方での、あらゆる禁止併用薬の使用(生物製剤では、6カ月またはそれぞれの薬剤の半減期の10倍)、あるいは治療期間の間の予想される併用薬。
22.最初の試験薬剤投与前14日以内および試験の治療期間の間の、酵素を誘発または阻害するあらゆる食物および飲料(例えば、ブロッコリー、芽キャベツ、グレープフルーツ、グレープフルーツジュース、スターフルーツなど)の消費。
23.各研究訪問での最初の手順の6時間前の、あらゆるカフェイン含有製品の消費。
24.飲み込まれた画分の薬剤吸収に干渉する消化管の外科手術(注:これは虫垂切除術またはヘルニア切開術などのマイナーな腹部手術には適用されない)。
25.スクリーニング前最後の30日以内の献血。
26.試験期間中またはその後6カ月以内の、生殖細胞、血液、器官、または骨髄の計画的提供。
27.最後の1カ月以内、またはそれぞれの薬剤の半減期の10倍以内の、研究薬剤または装置を用いる別の臨床試験への参加。生物製剤では、この試験に組み入れられる前の最短期間は、少なくとも6カ月、または薬力学的効果の期間、またはそれぞれの薬剤の半減期の10倍である。
28.インフォームドコンセントを提出する能力もしくは意志の欠如、または適切に協力できないこと。
29.試験訪問/手順が不可能であることが予想される。
30.弱い対象(例えば、拘留されている人)。
31.研究箇所の従業員、研究者の親戚または配偶者。
【0077】
In−vitro実験
In−vitro実験を、GATA−3 DNAザイムの切断活性および特異性を実証するために行った。生物活性および作用様式を、末梢血T細胞および副鼻腔組織断片を粘膜気道組織のモデルとして用いて、細胞培養実験において評価した。
【0078】
・切断アッセイ(補足用添付資料の図S2)
DNAザイムのRNA切断触媒活性の分析を、以前に記載されているようなin−vitro切断アッセイを用いて行った(Selら、JACI 2008)。簡潔に述べると、2μlのin−vitroで転写されたGATA−3コピー(c)RNA(250ng/μl)を、4μlのRNAseを含有しない水、1μlの1M NaCl、1μlの10mM MgCl、および1μlの500mM Tris pH7.4の混合物に添加した。1μlのそれぞれのDNAザイム(hgd40、スクランブルされた結合領域を有するが無傷の触媒性配列も有する、スクランブルされたDNAザイム1〜6、転写因子Tbet特異的DNAザイム1〜3)、または水(陰性対照)を添加し、混合物を37℃でインキュベートした。別段の指示がない限り、DNAザイムは10μMの濃度でアプライされ、標準的なインキュベーション時間は60分であった。その後、反応混合物をアガロースゲルを用いて電気泳動によって分離し、標準的な手順を用いてエチジウムブロマイド染色によって視覚化した。
【0079】
・患者および試料の収集(補足用添付資料の図S3、C〜F)
研究対象を、鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎(CRSwNP)についての文書化された病歴、病理学的鼻内視鏡検査、および洞のCTスキャンに基づいて選択した。篩骨洞の試料を、Ghent University Hospital、BelgiumにあるDepartment of Otorhinolaryngologyで、現在の欧州および米国ガイドラインに従って、この研究と関係なく示される機能的内視鏡洞外科手術(FESS)手順の間に、n=16の患者(16〜72歳、中央値は44歳、11人の男性、5人の女性、8人のアトピー患者、および10人の喘息患者)から回収した。全ての患者は参加前にインフォームドコンセントを提出し、研究は地方の倫理委員会によって承認された。メディエーターの測定に対する影響が考えられるいかなる経口または局所的薬剤の使用も、外科手術の少なくとも4週間前に全ての対象において止められた。
【0080】
・副鼻腔組織断片の調製および治療(補足用添付資料の図S3、C、およびD)
患者から鼻ポリープを外科的に切除した直後に、それぞれ約0.9mm3の組織断片を、副鼻腔外植片を切断することによって調製した。組織断片をRPMI−1640培地内に懸濁し、組織培養培地(TCM)のみまたは4mg/mlのDNAザイムhgd40と、6時間(RNA)および24時間(タンパク質)インキュベートした。次いで、組織断片および上清を液体窒素瞬間冷凍し、タンパク質およびmRNA分析まで−20℃/−80℃で保存した。DNAザイムhgd40の取り込みを調べるために、組織断片を、TCMのみまたは4mg/mlのローダミン6Gで標識されたhgd40と、リポフェクタミントランスフェクション試薬の存在下で、24時間インキュベートした。次いで、組織断片を包埋し、すぐに液体窒素瞬間冷凍し、5μmの切片に切断した。切片を、製造者の推奨に従って、CD3マーカーについて染色した。その後、共焦点レーザー走査型顕微鏡を用いてスライドを評価した。
【0081】
・極性Th2細胞の生成およびトランスフェクション(補足用添付資料の図S3、A、およびB)
ナイーブヒトCD4+細胞を全血またはバフィーコートから、フィコール勾配遠心分離、およびナイーブCD4 T細胞単離キット(Miltenyi)を製造者の指示に従って用いた濃縮によって単離した。単離された細胞を、以前に記載されているように、IL−2(20ng/ml)、IL−4(20ng/ml)、および抗IFNγ(1μg/ml)の存在下で、抗CD3および抗CD28で10日間刺激することによって、Th2細胞に極性化した。極性化の後、Th2細胞を、FAM標識されたヒトGATA−3特異的DNAザイムhgd40またはFAM標識されたスクランブルされた対照DNAザイムODNg3を用いて、Amaxa系を用いるエレクトロポレーションによってトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を再播種し、22時間インキュベートした。
【0082】
・極性Th2細胞におけるGATA−3発現分析(補足用添付資料の図S3A)
インキュベーション期間の後、トランスフェクトされた細胞を採取し、GATA−3タンパク質発現について蛍光フローサイトメトリー(FACS)分析によって分析した。つまり、細胞を、GATA−3タンパク質について、Alexa Fluor 647標識されたマウス抗GATA抗体(Clone L50−823、BD Pharmingen)で、「Transcription Factor Staining Buffer Set」(eBioscience)を製造者の指示に従って用いて、細胞内染色した。分析のために、ゲートを正にトランスフェクトされた細胞にセットし、GATA−3の発現レベルをこれらの細胞における幾何平均レベルとして判定した。FAMの正値性によって制御される、トランスフェクトされた細胞におけるGATA−3タンパク質発現の幾何平均レベルを、hgd40でトランスフェクトされた細胞と対照でトランスフェクトされた細胞との間で比較した。
【0083】
・副鼻腔組織断片におけるGATA−3遺伝子発現(補足用添付資料の図S3E)
6時間のインキュベーション時間の後、総RNAをAurum Total RNA Mini Kit(Bio−Rad Laboratories)を用いて抽出し、cDNAをiScript cDNA合成キット(Bio−Rad Laboratories)で合成した。リアルタイムPCR増幅を以下の条件で行った:95℃で10分間、その後、95℃で30秒、60℃で30秒、および72℃で10秒を45サイクル、そして60℃から95℃での解離曲線分析。β−アクチン(ACTB)、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ1、および伸長因子1を、正規化のための内部参照として使用した。
【0084】
・IL−5タンパク質測定(補足用添付資料の図S3F)
24時間のインキュベーション期間の後、上清を回収し、IL−5の濃度を、市販されているFluorokine MAP Kits(R&D Systems Europe Ltd)を製造者のガイドラインに従って用いてLuminex xMAP Technologyで測定し、Bio−Plex 200 Platform(Bio−Rad Laboratories)で測定した。検出限界は1.5pg/mlであった。
【0085】
・IL−13分泌アッセイ(補足用添付資料の図S3B)
IL−13放出の分析のために、トランスフェクトされた細胞を、1μg/mlの黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)エンテロトキシンB(SEB)で22時間刺激した。IL−13の分泌を、IL−13分泌アッセイ検出キット(Miltenyi)を製造者の指示に従って用いて、FACS分析によって検出した。分析のために、ゲートは正にトランスフェクトされた細胞にセットし、IL−13の発現レベルを、これらの細胞における幾何学的平均レベルとして判定した(GeoMean)。FAMの正値性によって制御される、トランスフェクトされた細胞におけるIL13タンパク質の発現の幾何学的平均レベルを、hgd40でトランスフェクトされた細胞と対照でトランスフェクトされた細胞との間で比較した。
【0086】
安全性エンドポイント
以下の臨床化学的パラメータを評価した:クレアチニン、アルカリホスファターゼ、総ビリルビン、アラニンアミノ基転移酵素、アスパルテートアミノ基転移酵素、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ、総タンパク質、尿酸、尿素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物、グルコース(空腹時)、乳酸デヒドロゲナーゼ、およびクレアチンホスホキナーゼ。血液学的パラメータは、ヘモグロビン、ヘマトクリット、平均赤血球容積、平均赤血球ヘモグロビン量、平均赤血球ヘモグロビン濃度、赤血球数、白血球分画を伴う白血球数(好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球)、および血小板数、活性化部分トロンボプラスチン時間、プロトロンビン時間、INR、フィブリノーゲンであった。以下の尿検査パラメータを評価した:白血球、亜硝酸塩、pH、タンパク質、グルコース、ケトン、ウロビリノーゲン、ビリルビン、血液(ヘモグロビンおよび赤血球)。以下のECGパラメータを記録した:12誘導ECGを、背臥位で5分休んだ後に、EinthovenおよびGoldbergerに従った導出、ならびにWilsonに従った6胸部導出を用いて記録した。
【0087】
統計分析
統計分析を、FGK Clinical Research GmbH(Munich、Germany)によるSAS(バージョン9.3)ソフトウェアを用いて行った。図S2を、GraphPad Prism(バージョン5.0)ソフトウェアを用いて作製した。
【0088】
図S1の考察:
アレルゲン曝露の後、気道樹状細胞は、TSLP、IL25、およびIL−33、および最初のIL−4(例えば、2型自然リンパ球[ILC2]によって生産された)などの上皮由来サイトカインの影響下でTh2細胞に分化するTh0細胞に対するアレルゲンを表す。GATA−3は、Th2の分化および活性化のマスター転写因子であり、Th2サイトカイン、例えば、IL−4、IL−5、IL−13の生産に不可欠である。これらのサイトカインの放出によって、Th2細胞は、B細胞によるIgEの生産とその後のマスト細胞への結合、好酸球の動員および活性化、ならびに杯細胞過形成の発症などの、いくつかのエフェクターメカニズムを伴う。これらのエフェクター細胞によって放出されるメディエーターは、炎症をさらに促進し、平滑筋収縮および粘液生産ならびにその後の気道狭窄および血管漏出をもたらす。SB010は、Th2細胞内のGATA−3のメッセンジャーRNAを特異的に切断することによって、このプロセスの非常に上流に干渉する。その結果、GATA−3タンパク質はあまり生成されず、このタンパク質は次いで、転写Th2サイトカインを十分にトランス活性化しない可能性があり、その後、全ての下流プロセスが阻害される。Th2細胞におけるSB010の作用と同様に、SB010はまた、ILC2、マスト細胞、および好酸球などの他のGATA−3発現細胞におけるGATA−3の生産を抑制でき、これに伴い、マスト細胞および好酸球における2型サイトカインの放出ならびにエフェクター分子の生産が下流で阻害される。図S1はさらに、SB010の活性化合物であるhgd40の生物活性を示す。SB010における活性なGATA−3 DNAザイムであるhgd40の、GATA−3発現に対する直接的かつ特異的な効果および下流の生物学的効果についての明らかな証拠がある。一連のin vitroおよびin situ実験は、SB010の作用態様を明らかに実証し、その結果は図S2およびS3として含められる(技術的詳細については、補足用添付資料を参照されたい)。初めに、SB010における活性なGATA−3 DNAザイムであるhgd40の特異的な活性を、10−23DNAザイムの触媒活性を判定するための高度に特異的なin vitro方法である切断アッセイ(追加の図S2)を用いて示した。このために、本ケースではヒトGATA−3 cRNAである、in vitroで転写されたコピーRNA(cRNA)を、DNAザイムとインキュベートした。このインキュベーションの間、活性DNAザイムは標的cRNAを2つの切断産物に触媒的に切断し、これはアガロースゲル電気泳動によって実証される。一連の切断アッセイ分析に基づいて、SB010における活性成分であるhgd40が、GATA−3 cRNA切断活性に関して最も活性なDNAザイムであることが明らかになった。hgd40は、用量および時間依存的にGATA−3 cRNAを切断することが示された(図S2AおよびS2B)。切断は、GATA−3 cRNAに対するGATA−3非特異的DNAザイムの有効性の分析によって実証されるように、高度に配列特異的である(図S2C)。hgd40が低濃度でも(0.5μM hgd40)一本鎖RNAを特異的に切断すること、および高濃度でも(20μM hgd40)二本鎖DNAを切断しないことも実証された。さらに、自然免疫細胞の活性化などの望ましくないオフターゲット効果または細胞が関与するアレルギー性エフェクターメカニズムは事前に排除された(例えば、非特許文献5参照。)。その後、本発明者らは、ヒトの細胞および組織材料におけるこの分子の生物活性を実証した(追加の図S3)。hgd40でのヒト極性化CD4+TH2細胞のトランスフェクションは、GATA−3タンパク質の発現およびその後のIL−13生産を、スクランブルされた対照DNAザイムODNg3でトランスフェクトされた細胞と比較して有意に抑制した(図S3A、S3B)。次に、アトピー性喘息患者から得た鼻組織移植片を、hgd40 DNAザイムとインキュベートした。図3Cおよび3Dに示すように、hgd40をCD3+およびCD3−細胞によって移植片内に取り込み、6時間以内のGATA−3 mRNAレベルを有意に低減させ(図S3E)、同時に、24時間目のIL−5の生産を有意に低減させた(図S3F)。
【0089】
補足用添付資料の表S1.アレルゲン誘発に使用したアレルゲン
【0090】
【表5】
【0091】
補足用添付資料の表S2.治療前後のアレルゲンチャレンジ後の遅発相および即時相反応における変化−肺機能データの完全なセット
【0092】
【表6】
【0093】
表S2の説明文:治療前後のアレルゲンチャレンジ後の遅発相および即時相反応における変化−肺機能データの完全なセット
アレルゲン誘発を、治療の前(前)および28日後(後)にSB010またはプラセボで行った。遅発型喘息反応(LAR)および即時型喘息反応(EAR)についての曲線下面積(AUC)の平均値を示す。治療前から治療後のAUC値の低下は、肺機能の向上を反映する。治療前後の値のAUCと、その後の、SB010群およびプラセボ群それぞれについての肺機能の変化とを示す。これらの変化は、AUCの前後値として、および治療前と治療後との間の変化パーセントとして表される。正の値は肺機能の向上を反映し、負の値は、治療前と比較して大きな、治療チャレンジ後の曲線下面積に対応する。群の差は、SB010群とプラセボ群との間の相対的変化のデルタを示す。LAR AUCのP値ならびにLARおよびEARにおける最大FEVの低下はANCOVAモデルによって計算し、EAR AUCのP値はウィルコクソンの順位和検定によって計算した。
【0094】
補足用添付資料の表S3A.治療前後のアレルゲンチャレンジ後の遅発相および即時相反応における変化−血中好酸球が≧4%の患者の事前に特定された亜群の分析
【0095】
【表7】
【0096】
表S3Aの説明文:治療前後のアレルゲンチャレンジ後の遅発相および即時相反応における変化−血中好酸球が≧4%の患者の事前に特定された亜群の分析
アレルゲン誘発を、治療の前(前)および28日後(後)にSB010またはプラセボで行った。遅発型喘息反応(LAR)および即時型喘息反応(EAR)についての曲線下面積(AUC)の平均値を示す。治療前から治療後のAUC値の低下は、肺機能の向上を反映する。治療前後の値のAUCと、その後の、SB010群およびプラセボ群それぞれについての肺機能の変化とを示す。これらの変化は、AUCの前後値として、および治療前と治療後との間の変化パーセントとして表される。正の値は肺機能の向上を反映し、負の値は、治療前と比較して大きな、治療チャレンジ後の曲線下面積に対応する。群の差は、SB010群とプラセボ群との間の相対的変化のデルタを示す。LAR AUCのP値はANCOVAモデルによって計算し、EAR AUCのP値ならびにLARおよびEARにおける最大FEVの低下はウィルコクソンの順位和検定によって計算した。
【0097】
補足用添付資料の表S3B。治療前後のアレルゲンチャレンジ後の遅発相および即時相反応における変化−FeNO≧40ppbの患者の事前に特定された亜群の分析
【0098】
【表8】
【0099】
表S3Bの説明文:治療前後のアレルゲンチャレンジ後の遅発相および即時相反応における変化−FeNO≧40ppbの患者の事前に特定された亜群の分析
アレルゲン誘発を、治療の前(前)および28日後(後)にSB010またはプラセボで行った。遅発型喘息反応(LAR)および即時型喘息反応(EAR)についての曲線下面積(AUC)の平均値を示す。治療前から治療後へのAUC値の低下は、肺機能の向上を反映する。治療前後の値のAUCと、その後の、SB010群およびプラセボ群それぞれについての肺機能の変化とを示す。これらの変化は、AUCの前後値として、および治療前と治療後との間の変化パーセントとして表される。正の値は肺機能の向上を反映し、負の値は、治療前と比較して大きな、治療チャレンジ後の曲線下面積に対応する。群の差は、SB010群とプラセボ群との間の相対的変化のデルタを示す。LAR AUCのP値ならびにLARおよびEARにおける最大FEVの低下はANCOVAモデルによって計算し、EAR AUCのP値はウィルコクソンの順位和検定によって計算した。
【0100】
補足用添付資料の表S4A:アレルゲンチャレンジに対する個体反応、遅発相喘息反応(LAR、3〜7時間)
【0101】
【表9】
【0102】
補足用添付資料の表S4B:アレルゲンチャレンジに対する個々の即時相喘息反応(EAR、0〜3時間)
【0103】
【表10】
【0104】
補足用添付資料の表S5.チャレンジ後のFeNOおよびPC20レベルに対する28日間のSB010またはプラセボ治療の効果
【0105】
【表11】
【0106】
表S5の説明文:チャレンジ後のFeNOおよびPC20レベルに対する28日間のSB010またはプラセボ治療の効果
FeNOおよびPC20レベルに対する28日間のSB010またはプラセボ治療の効果。FeNOレベルの測定および気道過敏症(PC20)の評価は、28日間のSB010またはプラセボ治療の前後のアレルゲンチャレンジの後に行った。FeNOレベルはppbで表され、PC20はメタコリンmg/dlで表される。P値は、ウィルコクソンの順位和検定によって計算した。
【0107】
補足用添付資料の表S6.チャレンジされていないFeNOレベルに対する28日間のSB010またはプラセボ治療の効果
【0108】
【表12】
【0109】
表S6の説明文:チャレンジされていないFeNOレベルに対する28日間のSB010またはプラセボ治療の効果
FeNOはベースラインのアレルゲンチャレンジ前および治療前に測定し、その後、60日の追跡期間の最後の88日目に測定した。インテンション・トゥ・トリート研究集団について、および血中Eos≧4%かつベースラインFeNO≧40ppbの事前に特定された亜群についての中央値および四分位範囲(IQR)が示される。P値はウィルコクソンの順位和検定によって計算した。
【0110】
補足用添付資料の表S7:安全性バイオマーカー
【0111】
【表13】
【0112】
補足用添付資料の表S8:喀痰における白血球分画 − 喀痰1g中の細胞×10で表される
【0113】
【表14】
【0114】
表は、平均値+標準偏差/治療前後それぞれのアレルゲン変化後を示す。
【0115】
補足用添付資料の表S9:研究エンドポイントのリスト
【0116】
【表15】
【0117】
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【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【国際調査報告】