(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2018536198
(43)【公表日】20181206
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20181109BHJP
【FI】
   !G03F7/20 501
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】2018526497
(86)(22)【出願日】20161101
(85)【翻訳文提出日】20180711
(86)【国際出願番号】EP2016076274
(87)【国際公開番号】WO2017084870
(87)【国際公開日】20170526
(31)【優先権主張番号】15195517.6
(32)【優先日】20151120
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
【住所又は居所】オランダ国 ヴェルトホーフェン 5500 エーエイチ, ピー.オー.ボックス 324
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】スミーツ、ベンヤミン、カネゴンダ、ヘンリクス
【住所又は居所】オランダ国 ヴェルトホーフェン 5500 エーエイチ, ピー.オー.ボックス 324
(72)【発明者】
【氏名】バッゲン、マーク、コンスタント、ヨハネス
【住所又は居所】オランダ国 ヴェルトホーフェン 5500 エーエイチ, ピー.オー.ボックス 324
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA06
2H197AA09
2H197AA10
2H197AA12
2H197BA09
2H197BA16
2H197BA17
2H197CA01
2H197CA03
2H197CA05
2H197CA06
2H197CA09
2H197CA10
2H197CC16
2H197CD12
2H197CD13
2H197CD17
2H197CD35
2H197DA02
2H197DB10
2H197DB11
2H197DB23
2H197DB27
2H197DB33
2H197DC04
2H197DC11
2H197DC16
2H197DC18
2H197EA25
2H197EB17
2H197FB01
2H197FB03
2H197GA01
2H197GA17
2H197GA18
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA10
(57)【要約】
【課題】先行技術の1つ又は複数の問題を防止しまたは緩和するリソグラフィ装置を提供する。
【解決手段】リソグラフィ装置は、基板を保持するための基板テーブルと、基板に像を形成するように基板の目標領域に放射ビームを投影するための投影システムとを備える。投影システムは、第1レンズ要素を有するレンズ要素配列を備える。第1圧力センサは、第1レンズ要素に隣接して少なくとも1つの圧力値を測定するように設けられている。コントローラは、圧力センサから受け取る信号に基づいて第1レンズ要素及び/または更なるレンズ要素上での圧力差の第1変化を決定し、決定された第1変化に基づいて基板テーブルと投影システムの少なくとも一方の位置への調整を決定し、基板テーブルまたは投影システムへの調整をアクチュエータに行わせる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するための基板テーブルと、
前記基板に像を形成するように前記基板の目標領域に放射ビームを投影するための投影システムであって、第1レンズ要素を有するレンズ要素配列を備える投影システムと、
前記第1レンズ要素に隣接して少なくとも1つの圧力値を測定するように設けられた第1圧力センサと、
リソグラフィ装置の動作中において、
前記圧力センサから受け取る信号に基づいて前記第1レンズ要素及び/または前記投影システムの更なるレンズ要素上での圧力差の第1変化を決定し、
決定された第1変化に基づいて前記基板テーブルと前記投影システムの少なくとも一方の位置への1つまたは複数の調整を決定し、
前記基板テーブルと前記投影システムの少なくとも一方への前記1つまたは複数の調整を1つまたは複数のアクチュエータに行わせるように動作可能なコントローラと、を備えるリソグラフィ装置。
【請求項2】
前記コントローラはさらに、前記第1レンズ要素及び/または前記投影システムの更なるレンズ要素の変位を決定し、決定された変位に基づいて前記1つまたは複数の調整を決定するように動作可能である請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項3】
前記コントローラはさらに、決定された圧力差の第1変化に基づいて1つまたは複数の像誤差特性を決定し、決定された像誤差特性に基づいて前記1つまたは複数の調整を決定するように動作可能である請求項1または2に記載のリソグラフィ装置。
【請求項4】
前記投影システムの第2レンズ要素に隣接して少なくとも1つの圧力値を測定するように設けられた第2圧力センサをさらに備え、
前記コントローラは、
前記第2圧力センサから受け取る信号に基づいて前記第2レンズ要素及び/または前記投影システムの更なるレンズ要素上での圧力差の第2変化を決定し、
決定された第2変化に応答して前記基板テーブルと前記投影システムの少なくとも一方への前記1つまたは複数の調整を1つまたは複数のアクチュエータに行わせるように動作可能である請求項1から3のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項5】
前記基板テーブルは、圧力波が伝搬しうる媒体を介して前記投影システムの少なくとも一部と連通している請求項1から4のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項6】
第2基板を保持し移動させるための第2基板テーブルをさらに備え、
前記第2基板テーブルは、圧力波が伝搬しうる媒体を介して前記投影システムの少なくとも一部と連通している請求項1から5のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項7】
前記リソグラフィ装置は、液浸媒体を保持する液浸槽を備える液浸装置である請求項1から6のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項8】
前記第1レンズ要素は、前記投影システムの最終レンズ要素である請求項1から7のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項9】
前記第1レンズは、前記投影システムのハウジングにシールを介して取り付けられ、前記シールは、前記第1レンズ要素の周囲環境に少なくとも部分的に透過性を有する請求項1から8のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項10】
前記シールは、前記第1レンズの前記周囲環境内の圧力波にローパスフィルタとして働き、前記第1変化は、前記第1レンズ要素に隣接するレンズ要素上の圧力差の変化である請求項9に記載のリソグラフィ装置。
【請求項11】
リソグラフィ装置を動作中に制御する方法であって、前記リソグラフィ装置は、基板を保持するための基板テーブルと、前記基板に像を形成するように前記基板の目標領域に放射ビームを投影するための投影システムであって、第1レンズ要素を有するレンズ要素配列を備える投影システムと、を備え、前記方法は、
前記第1レンズ要素に隣接して少なくとも1つの圧力値を測定するように設けられた第1圧力センサから信号を受け取ることと、
前記圧力センサから受け取る信号に基づいて、前記基板に像誤差をもたらす前記第1レンズ要素上での圧力差を決定することと、
決定された圧力差に基づいて前記基板テーブルと前記投影システムの少なくとも一方の位置への1つまたは複数の調整を決定することと、
前記基板テーブルと前記投影システムの少なくとも一方への前記1つまたは複数の調整を1つまたは複数のアクチュエータに行わせることと、を備える方法。
【請求項12】
前記第1レンズ要素及び/または前記投影システムの前記レンズ要素配列の更なるレンズ要素の変位を決定することと、
決定された変位に基づいて前記1つまたは複数の調整を決定することと、をさらに備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】
決定された圧力差に基づいて1つまたは複数の像誤差特性を決定することと、
決定された像誤差特性に基づいて前記1つまたは複数の調整を決定することと、をさらに備える請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記投影システムの前記レンズ要素配列の第2レンズ要素に隣接して少なくとも1つの圧力値を測定するように設けられた第2圧力センサから受け取る信号に基づいて、前記基板に像誤差をもたらす第2レンズ要素上での圧力差を決定することと、
前記基板テーブルと前記投影システムの少なくとも一方への前記1つまたは複数の調整を1つまたは複数のアクチュエータに行わせることと、をさらに備える請求項11から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記第1レンズは、前記投影システムのハウジングにシールを介して取り付けられ、前記シールは、前記第1レンズ要素の周囲環境に少なくとも部分的に透過性を有し、前記シールは、前記第1レンズの前記周囲環境内の圧力波にローパスフィルタとして働き、
前記第1変化を決定することは、前記第1レンズ要素に隣接するレンズ要素上の圧力差の変化を決定することを備える請求項11から14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年11月20日に出願された欧州出願第15195517.6号の優先権を主張し、その全体が本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、リソグラフィ装置における像誤差の補正のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板の目標部分に与える機械である。リソグラフィ装置は例えば集積回路(IC)の製造に用いられうる。この場合、マスクまたはレチクルとも称されるパターニングデバイスが、ICの個別の層に対応する回路パターンを生成するために使用され、このパターンは、放射感応性材料(レジスト)の層を有する基板(例えばシリコンウェーハ)上の目標部分(例えば1つまたは複数のダイの一部を含む)に結像されることができる。一般に一枚の基板には網目状に隣接する一群の目標部分が含まれ、これらは連続的にパターン形成される。公知のリソグラフィ装置にはいわゆるステッパとスキャナとがある。ステッパにおいては、目標部分にパターン全体が一度に露光されるようにして各目標部分は照射を受ける。スキャナにおいては、所与の方向(「走査」方向)に放射ビームによりパターンを走査するとともに基板をこの方向に平行または逆平行に同期して走査するようにして各目標部分は照射を受ける。
【0004】
本書またはその他において特定されているか否かにかかわらず先行技術の1つ又は複数の問題を防止しまたは緩和するリソグラフィ装置を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様によると、リソグラフィ装置が提供される。リソグラフィ装置は、基板を保持するための基板テーブルと、前記基板に像を形成するように前記基板の目標領域に放射ビームを投影するための投影システムであって、第1レンズ要素を有するレンズ要素配列を備える投影システムと、を備える。リソグラフィ装置はさらに、前記第1レンズ要素に隣接して少なくとも1つの圧力値を測定するように設けられた第1圧力センサと、コントローラとを備える。前記コントローラは、リソグラフィ装置の動作中において、前記圧力センサから受け取る信号に基づいて前記第1レンズ要素上での圧力差を決定するように動作可能である。決定された圧力差は、基板に像誤差をもたらしうる前記第1レンズ要素上での圧力差の変化を表してもよい。前記コントローラは、決定された圧力差に基づいて前記基板テーブルと前記投影システムの少なくとも一方の位置への1つまたは複数の調整を決定し、前記基板テーブルと前記投影システムの少なくとも一方への前記1つまたは複数の調整を1つまたは複数のアクチュエータに行わせる。
【0006】
このようにすれば、第1レンズ要素上での圧力差及び/または当該圧力差の変化による結果が決定され緩和されるので、基板での像の品質が改良される。また、こうした決定および緩和は、圧力操作デバイスのような投影システムにとって複雑で高価な構成要素を付加する必要無く実行されうる。さらに、この緩和は、既存の構成要素、すなわち基板テーブルおよび投影システムに既に設けられているアクチュエータを使用して実行されうる。
【0007】
前記コントローラはさらに、前記第1レンズ要素及び/または前記投影システムの更なるレンズ要素の変位を決定し、決定された変位に基づいて前記1つまたは複数の調整を決定するように動作可能であってもよい。
【0008】
前記コントローラはさらに、決定された圧力差に基づいて1つまたは複数の像誤差特性を決定し、決定された像誤差特性に基づいて前記1つまたは複数の調整を決定するように動作可能であってもよい。
【0009】
前記装置は、前記投影システムの第2レンズ要素に隣接して少なくとも1つの圧力値を測定するように設けられた第2圧力センサをさらに備えてもよい。前記コントローラは、前記第2圧力センサから受け取る信号に基づいて前記第2レンズ要素上での圧力差の変化を決定するように動作可能であってもよい。前記コントローラは、前記基板テーブルと前記投影システムの少なくとも一方への前記1つまたは複数の調整を1つまたは複数のアクチュエータに行わせてもよい。
【0010】
前記基板テーブルは、圧力波が伝搬しうる媒体を介して前記投影システムの少なくとも一部と連通していてもよい。
【0011】
前記リソグラフィ装置は、第2基板を保持し移動させるための第2基板テーブルをさらに備えてもよい。前記第2基板テーブルは、圧力波が伝搬しうる媒体を介して前記投影システムの少なくとも一部と連通していてもよい。よって、第2基板テーブルの移動は圧力波を伝搬させ第1及び/または第2レンズ要素上で圧力差に変化を生じさせうる。
【0012】
前記第1レンズ要素は、前記投影システムの最終レンズ要素であってもよい。前記第1レンズは、前記投影システムのハウジングにシールを介して取り付けられ、前記シールは、前記第1レンズ要素の周囲環境に少なくとも部分的に透過性を有してもよい。
【0013】
前記シールは、前記第1レンズの前記周囲環境内の圧力波にローパスフィルタとして働くものでもよい。この場合、前記第1変化は、前記第1レンズ要素に隣接するレンズ要素上の圧力差の変化であってもよい。
【0014】
本書に説明される第2の態様によると、リソグラフィ装置を動作中に制御する方法が提供され、前記リソグラフィ装置は、基板を保持するための基板テーブルと、前記基板に像を形成するように前記基板の目標領域に放射ビームを投影するための投影システムであって、第1レンズ要素を有するレンズ要素配列を備える投影システムと、を備える。前記方法は、前記第1レンズ要素に隣接して少なくとも1つの圧力値を測定するように設けられた第1圧力センサから信号を受け取ることと、前記圧力センサから受け取る信号に基づいて前記第1レンズ要素上での圧力差を決定することと、を備える。決定された圧力差は、前記第1レンズ要素上での圧力差の変化を表してもよい。前記方法はさらに、決定された圧力差に基づいて前記基板テーブルと前記投影システムの少なくとも一方の位置への1つまたは複数の調整を決定することと、前記基板テーブルと前記投影システムの少なくとも一方への前記1つまたは複数の調整を1つまたは複数のアクチュエータに行わせることと、を備える。
【0015】
前記方法は、前記第1レンズ要素及び/または前記投影システムの前記レンズ要素配列の更なるレンズ要素の変位を決定することと、決定された変位に基づいて前記1つまたは複数の調整を決定することと、をさらに備えてもよい。
【0016】
前記方法は、決定された圧力差に基づいて1つまたは複数の像誤差特性を決定することと、決定された像誤差特性に基づいて前記1つまたは複数の調整を決定することと、をさらに備えてもよい。
【0017】
前記方法は、前記投影システムの前記レンズ要素配列の第2レンズ要素に隣接して少なくとも1つの圧力値を測定するように設けられた第2圧力センサから受け取る信号に基づいて、第2レンズ要素上での圧力差を決定することをさらに備えてもよい。決定された前記第2レンズ要素上での圧力差は、前記第2レンズ要素上での圧力差の変化を表してもよい。圧力差及び/または圧力差の変化は、基板に像誤差をもたらしうる。前記方法は、前記基板テーブルと前記投影システムの少なくとも一方への前記1つまたは複数の調整を1つまたは複数のアクチュエータに行わせることをさらに備えてもよい。
【0018】
前記第1レンズ要素は、前記投影システムの最終レンズ要素であってもよい。前記第1レンズは、前記投影システムのハウジングにシールを介して取り付けられ、前記シールは、前記第1レンズ要素の周囲環境に少なくとも部分的に透過性を有してもよい。
【0019】
前記シールは、前記第1レンズの前記周囲環境内の圧力波にローパスフィルタとして働くものでもよい。この場合、前記第1変化は、前記第1レンズ要素に隣接するレンズ要素上の圧力差の変化であってもよい。
【0020】
上述または後述の本発明の様々な態様および特徴は、本発明の他の様々な態様および特徴と組み合わされてもよいことは、当業者にとって明白であろう。
本発明のいくつかの実施の形態が付属の概略的な図面を参照して以下に説明されるがこれらは例示に過ぎない。各図面において対応する参照符号は対応する部分を指し示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の少なくとも一つの実施の形態とともに使用するのに適するリソグラフィ装置を概略的に示す。
【図2】図1のリソグラフィ装置の投影システムおよび基板テーブルの詳細を概略的に示す。
【図3】本発明のある実施の形態に係る誤差補正システムを概略的に示す。
【図4】図3の誤差補正システムのコントローラによって実行されうる処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の更なる実施の形態に係る更なる誤差補正システムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本書に説明されたリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁区メモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造など他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。当業者であればこれらの他の適用に際して、本書における「ウェーハ」あるいは「ダイ」という用語がそれぞれ「基板」あるいは「目標部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされると理解することができるであろう。本書に言及される基板は、露光前または露光後において例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジツール、及び/またはインスペクションツールにより処理されてもよい。適用可能であれば、本書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本書における基板という用語は処理済みの多数の層を既に含む基板をも意味する。
【0023】
本書に使用される「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外(UV)放射(例えば約365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長を有する)及び極紫外(EUV)放射(例えば5から20nmの範囲の波長を有する)含むあらゆる種類の電磁放射、さらにはイオンビームまたは電子ビーム等の粒子ビームを包含する。
【0024】
本書で使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板の目標部分にパターンを形成すべく放射ビームの断面にパターンを付与するために使用されうるいかなるデバイスをも指し示すよう広く解釈されるべきである。放射ビームに付与されるパターンが基板の目標部分に所望されるパターンと厳密に一致していなくてもよいことに留意すべきである。一般には、放射ビームに付与されるパターンは、目標部分に形成される集積回路などのデバイスにおける特定の機能層に対応する。
【0025】
パターニングデバイスは透過型であっても反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスクやプログラマブルミラーアレイ、プログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィの分野で周知であり、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、更に各種のハイブリッド型マスクが含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例としては、小型のミラーがマトリックス状に配列され、各ミラーが入射してくる放射ビームを種々の方向に反射するように個別に傾斜可能であり、それにより反射されたビームにパターンが付与されるというものがある。
【0026】
支持構造は、パターニングデバイスを保持し、とくに、パターニングデバイスの向きやリソグラフィ装置の設計、あるいは、例えばパターニングデバイスが真空環境下で保持されるか否か等その他の条件に応じた方式でパターニングデバイスを保持する。支持部は、機械的固定、真空固定、または、真空条件下での静電固定など他の固定技術を用いうる。支持構造は例えばフレームまたはテーブルであってよく、固定されていてもよいし必要に応じて移動可能であってもよく、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して所望の位置にあることを保証してもよい。本書では「レチクル」または「マスク」という用語を用いた場合には、より一般的な用語である「パターニングデバイス」に同義であるとみなされうる。
【0027】
本書で使用される「投影システム」という用語は、使用される露光放射に応じて、あるいは液浸液の使用または真空の使用等のその他の要因に応じて適切とされる、屈折光学系、反射光学系、および反射屈折光学系を含むいかなる形式の投影システムをも包含するよう広く解釈されるべきである。本書では「投影レンズ」という用語を用いた場合には、より一般的な用語である「投影システム」に同義であるとみなされうる。
【0028】
照明システムは、放射の方向や形状の調整、または放射の制御のために、屈折光学素子、反射光学素子、および反射屈折光学素子を含む各種の光学素子を包含しうるものであり、こうした構成要素は以下で、総称または単独で「レンズ」と称されうる。
【0029】
リソグラフィ装置は、基板が例えば水などの比較的高い屈折率を有する液体で投影システムの最終素子と基板との間の空間を満たすように浸される形式のものであってもよい。液浸技術は投影システムの開口数を増大させるために関連技術において周知である。
【0030】
図1Aは、本発明のある特定の実施の形態に係るリソグラフィ装置を概略的に示す。本装置は、
− 放射ビームPB(例えば、UV放射、またはDUV放射)を調整するよう構成されている照明システム(イルミネータ)ILと、
− フレームMFと、
− パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持する支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
− 各々が基板(例えば、レジストで被覆されたウェーハ)W1、W2をそれぞれ保持するための2つの基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WT1、WT2と、
− パターニングデバイスMAにより放射ビームPBに付与されたパターンを2つの基板テーブルWT1、WT2の一方により保持された基板Wの(例えば1つ以上のダイを含む)目標部分Cに投影するよう構成されている投影システム(例えば、屈折投影レンズ系)PSと、を備える。
【0031】
フレームMFは、振動などの外部影響から実質的に絶縁された振動絶縁フレームである。例えば、フレームMFは、地面上のベースフレーム(図示せず)によって音響減衰マウント(図示せず)を介して支持されてもよく、それにより、ベースフレームの振動からフレームMFが絶縁される。こうした音響減衰マウントは、ベースフレーム及び/または絶縁フレームMFそれ自体によって導入される振動を絶縁するように能動的に制御されてもよい。
【0032】
図1Aに示されるデュアルステージリソグラフィ装置の例においては、アライメントシステムASおよびトポグラフィ測定システムTMSが左側に設けられ、投影システムPL
右側に設けられている。投影システムPL、アライメントシステムASおよびトポグラフィ測定システムTMSは、絶縁フレームMFに接続されている。
【0033】
支持構造MTは、第1位置決め装置PMを介してフレームMFに移動可能に搭載されている。第1位置決め装置PMは、パターニングデバイスMAを移動させ、これをフレームMF(およびフレームMFに接続されている投影システムPL)に対して正確に位置決めするために使用されてもよい。
【0034】
基板テーブルWT1、WT2はそれぞれ、第1および第2基板位置決め装置PW1、PW2を介してフレームMFに移動可能に搭載されている。第1および第2基板位置決め装置PW1、PW2はそれぞれ、基板テーブルWT1、WT2により保持された基板W1、W2を移動させ、基板W1、W2をフレームMF(およびフレームMFに接続されている投影システムPL、アライメントシステムASおよびトポグラフィ測定システムTMS)に対して正確に位置決めするために使用されてもよい。支持構造MTおよび基板テーブルWT1、WT2は物体テーブルと総称されてもよい。第1および第2基板位置決め装置PW1、PW2はそれぞれ、放射ビームが基板Wの目標部分Cを走査するように走査経路に沿って基板テーブルWT2を放射ビームに対して移動させるように動作可能な走査機構とみなされうる。
【0035】
よって、図1Aに示されるリソグラフィ装置は、2つの基板テーブルWT1、WT2を有する形式であり、デュアルステージ装置とも称されうる。こうした多重ステージ型の装置においては、2つの基板テーブルWT1、WT2は並行して使用され、一方のテーブルが露光のために使用されている間に他方のテーブルで準備工程が実行される。
【0036】
図1Aにおいては、基板テーブルWT1は左側に配置され、基板テーブルWT2は右側に配置されている。この構成においては、基板テーブルWT1は、そこに保持される基板W1の露光に先行してアライメントシステムASおよびトポグラフィ測定システムTMSを使用して基板W1に関して各種の準備工程を実行するために使用されることができる。同時に、基板テーブルWT2は、基板テーブルWT2により保持された他の基板W2の露光のために使用されることができる。基板テーブルWT2により保持された基板W2が露光され、基板テーブルWT1により保持された基板W1に関して準備工程が実行されると、2つの基板テーブルWT1、WT2の交換が行われる。続いて、基板テーブルWT1により保持された基板W1が放射で露光され、基板テーブルWT2により保持され先に放射で露光された基板W2が新たな基板と交換され、その新たな基板に関して各種の準備工程が実行される。
【0037】
したがって、2つの基板テーブルWT1、WT2の各々は図1Aの左側または右側のいずれかに配置されることができる。そうではないと述べない限り、以下では、基板テーブルWT1とは概してその時点で左側に配置された基板テーブルを指し、基板テーブルWT2とは概してその時点で右側に配置された基板テーブルを指す。
【0038】
図1Bは、図1Aの2つの基板W1、W2のいずれかを表しうる基板Wの平面図を示す。そうではないと述べない限り、以下では、リソグラフィ装置の左側および右側にある両方の基板を、基板Wという。図1Cは、パターニングデバイスアライメントマーク(箱M1、M2として概略的に示す)が設けられたパターニングデバイスMAの平面図を示す。
【0039】
図示されるように、本装置は、(例えば透過型マスクを用いる)透過型である。これに代えて、本装置は、(例えば、上述の形式のプログラマブルミラーアレイを用いる)反射型であってもよい。
【0040】
イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。例えば放射源SOがエキシマレーザである場合には、放射源SOとリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、放射源SOはリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは、例えば適当な方向変更用のミラー及び/またはビームエキスパンダを含むビーム搬送系BDを介して放射源SOからイルミネータILへと受け渡される。あるいは放射源が例えば水銀ランプである場合には、放射源は本装置に一体の部分であってもよい。イルミネータILは放射システムと称されてもよい。あるいは、放射源SOとイルミネータILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射システムと総称されてもよい。
【0041】
イルミネータILは、ビームの強度分布を変更しうる。イルミネータは、イルミネータILの瞳面における環状領域内で強度分布が非ゼロとなるように放射ビームの径方向範囲を制限するように構成されていてもよい。それに加えてまたはそれに代えて、イルミネータILは、瞳面において複数の等間隔に配置された扇形において強度分布が非ゼロとなるようにビームの分布を制限するように動作可能であってもよい。イルミネータILの瞳面における放射ビームの強度分布は、照明モードとも称されうる。
【0042】
イルミネータILは、ビームの強度分布を調整する調整手段AMを備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ-outer)」、「シグマ−インナ(σ-inner)」と呼ばれる)を調整することができる。イルミネータILは、イルミネータの瞳面におけるビームの角度分布を変化させるように動作可能であってもよい。例えば、イルミネータILは、強度分布が非ゼロである瞳面における扇形の数および角度範囲を変更するように動作可能であってもよい。イルミネータの瞳面におけるビームの強度分布を調整することによって、様々な照明モードが実現されうる。例えば、イルミネータILの瞳面における強度分布の径方向範囲および角度範囲を制限することによって、強度分布は、例えば双極、四極または六極分布など公知の多極分布を有しうる。所望の照明モードは、その照明モードをイルミネータILに提供する光学系を挿入することによって得られてもよい。
【0043】
イルミネータILは、ビームの偏光を変更するように動作可能であってもよく、調整手段AMを使用して偏光を調整するように動作可能であってもよい。イルミネータILの瞳面を横切る放射ビームの偏光状態は、偏光モードとも称されうる。様々な偏光モードを使用することによって、より大きいコントラストを基板Wに形成される像に実現することが許容されうる。放射ビームは、非偏光であってもよい。あるいは、イルミネータILは、放射ビームを直線偏光とするように構成されていてもよい。放射ビームの偏光方向は、イルミネータILの瞳面にわたって変化していてもよく、すなわち、イルミネータILの瞳面において領域が異なれば放射の偏光方向が異なっていてもよい。放射の偏光状態は、照明モードに依存して選択されてもよい。
【0044】
加えてイルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCO等その他の各種構成要素を備える。イルミネータILは、ビーム断面における所望の均一性及び強度分布を有するように調整された放射ビームPBを提供する。
【0045】
イルミネータILを出射した放射ビームPBは、支持構造MTに保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射する。パターニングデバイス(例えばマスク)MAを横切って、ビームPBは、基板Wの目標部分Cにビームを合焦する投影システムPSを通過する。第2位置決め装置PW2と位置センサIF(例えば、干渉計装置)により、例えばビームPBの経路に異なる目標部分Cを位置決めするように、基板テーブルWT2をフレームMFに対して正確に移動させることができる。同様に、第1位置決め装置PMと別の位置センサ(図1Aには明示されていない)は、例えばマスクライブラリからの機械的な検索後または走査中に、パターニングデバイスMAをフレームMFに対して正確に位置決めするために使用することができる。一般に物体テーブルMT、WT1、WT2の移動は、位置決め装置PM、PW1、PW2の一部を構成するロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現されうる。パターニングデバイスMAと基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2と基板アライメントマークA1、A2を用いて位置合わせされてもよい。
【0046】
投影システムPLは、ある縮小率を放射ビームPBに適用して、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャをもつ像を形成しうる。例えば、4の縮小率が適用されてもよい。
【0047】
スキャンモードにおいては、第1位置決め装置PMは、イルミネータILによって調整された放射ビームPBに対して走査経路に沿って支持構造MTを移動させるように動作可能である。イルミネータILはパターニングデバイスMAの露光領域を放射ビームPBで照明し、投影システムPLは当該放射を基板Wの平面において露光領域に合焦させる。
【0048】
基板テーブルWT1、WT2が配置された領域を本書では基板コンパートメント15と称する。露光および測定動作の間の基板テーブルWT1、WT2の動きによって、基板コンパートメント15内を伝搬する圧力波が生成されうる。こうした圧力波は、例えば10Pa程度でありうるが、リソグラフィ装置内の各種の構成要素に影響を及ぼしうる。とくに、圧力波は、投影システムPL内のレンズ要素に働く力をもたらしうる。すなわち、投影システムPLは、圧力波が伝搬しうる媒体を介して基板テーブルWT1、WT2と連通している。
【0049】
基板コンパートメント15内で圧力波からもたらされる力は、投影システムPLのレンズ要素に働き、それらの意図される(またはセットポイント)位置からのレンズ要素の傾斜及び/または鉛直(即ちz方向)変位などの移動をもたらしうる。このような鉛直変位は、基板Wに投影される像(「空間像)とも称される)に誤差をもたらしうる。投影システムPL内のレンズ要素の変位から生じる基板に投影される像における具体的な誤差は、変位を受けるレンズ要素の光学的感度に依存すると理解される。こうした光学的感度は、投影システムに実行される実証試験を通じて決定され、または、それらレンズ要素の物理特性に基づいてレンズ要素の供給業者によって提供されうる。
【0050】
図2は、第1から第5のレンズ要素21〜25が示された例示的な投影システムPLを概略的に示す。5個のレンズ要素の図示は単なる例示にすぎず、投影システムPLはいくつのレンズ要素を備えてもよいものと理解されたい。図2においては、レンズ要素25が「最後」のレンズ要素であり、すなわち、基板W2(図2には図示せず)に最も近いレンズ要素である。レンズ要素25の面26は、基板W2と直接向かい合っている。第1圧力P1が面26に隣接する第1領域に広がっている。第1領域は、基板コンパートメント15によって範囲を定められ、または、他の構成要素(リソグラフィ装置が液浸システムである場合には液浸槽など)によって範囲を定められてもよい。レンズ要素24は、レンズ要素25の上流で隣接している。レンズ要素25の面29は、レンズ要素24の面30と向かい合っている。面29、30は投影システムPLのハウジング27とともに第2圧力P2が広がる第2空間の範囲を定めている。
【0051】
第1圧力P1と第2圧力P2の差を本書ではDP12と表記する。DP12のセットポイント(すなわち、意図される、またはベースレベルの)値は、リソグラフィ装置の要件及び/または構成に基づいて選択され及び/または決定されうる。ある実施の形態においては、投影システムPLは、開口数を増加してリソグラフィ装置の解像度を高めるべく液浸媒体(例えば超純水)を収容する液浸槽がレンズ要素25と基板W2との間に設けられうる液浸リソグラフィシステムの一部である。こうしたシステムにおいては、レンズ要素25は、レンズ要素25上での圧力勾配を低減するために透過可能(または漏れのある)シール28によって投影システムのハウジング27に接続されてもよい。とくに、レンズ要素25は、例えば、レンズ要素24よりも高い光学的感度を有し、より低い剛性でハウジング27に取り付けられていてもよい。この場合、DP12のセットポイント値はゼロに等しくてもよい。
【0052】
しかし、シール28は、第1領域内を進む圧力波が第1レンズ要素25上での圧力差DP12に変化を生じさせることを許容しうる。シール28の特性は、基板コンパートメント15における圧力波がレンズ要素25上での圧力差DP12をどのように変更するかを決定する。例えば、シール28が実質的に「開放」されている場合、P1とP2は実質的に同じになり、P1の変化は等しくP2の変化に反映される。このように、十分に「開放」された構成では、基板コンパートメント15内の圧力波はDP12の変化をほぼ生じさせない。しかし、シール28が十分に「閉鎖」されている場合、シール28は、圧力波にローパスフィルタとして働き、基板テーブルWTの移動の結果生成される高周波数の圧力波がレンズ要素25の下側に働いてレンズ要素25上での圧力DP12の変化の原因となりうる。
【0053】
上述のように、DP12の変化はレンズ要素25の変位をもたらし、その結果基板での像誤差となる。図3を参照すると、投影システムPLのある実施の形態が示され、ここでは圧力センサ31が第1領域に配置され、第2圧力センサ32が第2領域に配置されている。圧力センサ31、32はそれぞれ、P1およびP2の測定及び/またはDP12の測定に適するいかなる圧力センサであってもよい。圧力センサ31、32は、P1およびP2、及び/またはDP12を表す信号を圧力センサ31、32から受け取るように構成されたコントローラ33に接続されている。コントローラ33がP1およびP2を表す信号を受け取る場合には、コントローラ33は、DP12を決定するように構成されていてもよい。コントローラ33は、圧力センサ31、32から受け取る信号に基づいて、1つ又は複数の像誤差特性を決定するように構成されている。例えば、コントローラ33は、オーバレイおよびフォーカスの像誤差特性を決定するように構成されていてもよい。
【0054】
図4は、コントローラ33によって実行されうる処理を示すフローチャートである。ステップS1では、コントローラ33は、センサ31、32から信号を受け取る。上述のように、コントローラ33は、ステップS2で、センサ31、32から受け取る信号を使用して、レンズ要素25上での圧力差DP12の変化を決定する。上述のように、圧力センサ31、32は、圧力差DP12を直接表す信号を提供してもよく、その場合、ステップS2での決定は、受け取る信号の適切な処理のみを必要としてもよい。ステップS3では、コントローラは、決定された圧力差に基づいてレンズ要素25の変位を決定する。ステップS3での変位の決定は、レンズ25についての保存された圧力挙動モデルに基づいてもよい。レンズの圧力挙動モデルは、レンズ要素25とハウジング27との間のシール28の剛性などいかなる適切な性質に基づいてもよい。
【0055】
ステップS3から処理はステップS4に進む。ステップS4では、コントローラ33は、ステップS3で決定されたレンズ配置に基づいて1つ又は複数の像誤差特性を決定する。例えば、既知のレンズ特性に基づいて、コントローラは、ある大きさの変位が、とくに、フォーカス及び/またはオーバレイ誤差をもたらすことを決定してもよい。具体的な変位に起因する像誤差は投影システムPLのレンズ要素の構成に依存すると理解される。レンズ要素25の変位と決定される像誤差特性との関係は、予め決定され、コントローラ33によりアクセス可能なメモリに保存されていてもよい。
【0056】
処理はステップS5に進む。ステップS5では、コントローラは、決定された像誤差を補正するように1つ又は複数の調整を決定する。例えば、コントローラは、(例えば、基板位置決め装置PW2を制御することによって)基板テーブルWTの位置に対して行われる調整、及び/または投影システムPLのレンズ要素の位置に対して行われる調整を決定してもよい。決定された像誤差に応答して行われる調整はリソグラフィ装置の構成に依存するものと理解される。しかし、一例として、具体的な変位が像の不所望の拡大をもたらす場合、コントローラ33は、その不所望の拡大を低減または除去するように投影システムPLのレンズ要素に対して行われる1つ又は複数の調整を決定してもよい。同様に、具体的な変位がフォーカス誤差をもたらすと決定された場合には、コントローラ33は、そのフォーカス誤差を低減または除去するために、投影システムPLが再び焦点合わせされるべきか、及び/または、基板テーブルが(図1の)z方向に移動されるべきかを決定してもよい。
【0057】
ステップS5で補正の調整が決定されると、処理はステップS6に進む。ステップS6では、コントローラ33は、決定された調整を行わせる。例えば、コントローラ33は、図3に示される接続34、35を介して関連するアクチュエータに直接信号を送ってもよい。あるいは、コントローラ33は、決定された調整を行わせるように他のコントローラまたはシステムと通信してもよい。図4の処理は、基板の露光中にリソグラフィ装置の動作によって引き起こされる圧力波に応じてリアルタイムに像誤差が補正されることを許容するように、リアルタイムに実行されてもよい。すなわち、図4の処理は、リソグラフィ装置の動作の結果として生成される圧力波に起因する像誤差のリアルタイム補正を提供するように露光及び/または測定動作中に実行する制御ループを提供してもよい。
【0058】
図4の処理は例示にすぎず、他の処理も実行されうるものと理解されるべきである。例えば、図4の例示的な実施の形態においては、コントローラ33は、レンズ要素25上での圧力についての決定された変化に基づいて変位を決定しているが、他の実施の形態においては、コントローラ33は単に、レンズ要素25上での圧力差についての決定された変化から直接に像誤差特性を決定してもよい。例えば、コントローラ33は、圧力についての具体的な変化と1つ又は複数の像誤差特性との対応関係を提供するメモリ内のデータにアクセスしてもよい。こうしたデータはいかなる形式であってもよいが、例えば、ルックアップテーブルの形式で提供されてもよい。同様に、いくつかの実施の形態においては、コントローラ33は単に、レンズ要素25上での圧力差についての決定された変化から直接に、補正のための1つ又は複数の調整を決定してもよい。
【0059】
投影システムPLは、投影システムPL内のレンズ要素への調整を容易にするアクチュエータを備えるものと理解される。また、基板位置決め装置PW2は、基板テーブルWT2の位置を調整するためのアクチュエータを備えるものと理解される。例えば、基板テーブルWT2は、六自由度で移動可能とされていてもよい。このようにすれば、いま説明している実施の形態においては、レンズ要素25上の圧力の変化に起因する像誤差を補正するために追加のアクチュエータを設ける必要がない。したがって、本書に説明される方法およびシステムは、既存のリソグラフィ装置においてほとんど変更無く容易に実装されうる。
【0060】
いくつかの実施の形態においては、圧力センサは、投影システムPLの内部及び/または周囲において、追加の位置または代替の位置に設けられていてもよい。一つの例示的な実施の形態が図5に概略的に示される。ここでは、追加の圧力センサ53が、ハウジング27とともにレンズ要素23および24によって範囲を定められた第3空間に設けられている。第3圧力P3は第3空間内に広がっている。したがって、図5の構成においては、コントローラ33は、レンズ要素24上での圧力差DP23の変化も決定し(例えば、図4のS2にて)、さらに、レンズ要素24のセットポイント位置からの変位を決定するように適応されていてもよい。このようにすれば、像誤差特性および対応する補正のための調整の決定にはレンズ要素24の変位も考慮されることができる。
【0061】
センサは投影システムPL内の任意の他の位置に設けられてもよいものと理解される。圧力波は露光中の基板テーブルWT1、WT2の移動の結果として発生すると上述したが、リソグラフィ装置の他の動作も同様に投影システム内のレンズ要素の不所望の変位につながる高周波数の圧力波を発生させうる。例えば、マスクテーブルMTの移動は、マスク(レチクル)に近いレンズ要素に働く圧力波を発生させうる。例えば、図2、図3、図5を再び参照すると、圧力センサは、レンズ要素21の上方に、及び/または、レンズ要素21とレンズ要素22との間に、追加的にまたは代替的に配置されてもよい。
【0062】
同様に、図3の実施の形態は2つの圧力センサ31、32を示すが、これより少ない圧力センサを使用しうることは上述の開示から当業者に直ちに明らかであろう。例えば、単一の圧力センサが、第1要素25と基板コンパートメント15の壁とによって定められる第1空間に、または、第1および第2要素24、25とハウジング27によって定められる第2空間に設けられていてもよい。単一の圧力センサからのデータは、レンズ要素25上での圧力差DP12の変化を決定しまたは推測するために使用されてもよい。例えば、圧力差DP12の変化は、リソグラフィ装置内での先行する測定結果及び/または構成要素の既知の特性から生成された、予め保存された圧力モデルに基づいて推測されてもよい。
【0063】
以上では本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明の実施形態を実施しうることが理解される。上述の説明は例示であり、限定を意図しない。とくに、上述の説明はデュアルステージ液浸リソグラフィシステムを使用する例示的な実施の形態に言及しているが、本発明はより後半に適用可能であるものと容易に理解される。実際、上記によれば、投影システムが圧力波を生成するリソグラフィ装置の他の構成要素と連通しているいかなるリソグラフィ装置にも本発明が適用可能であることは明らかである。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【国際調査報告】