(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2018536537
(43)【公表日】20181213
(54)【発明の名称】中空繊維膜ろ過装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/02 20060101AFI20181116BHJP
   A61M 1/18 20060101ALI20181116BHJP
【FI】
   !B01D63/02
   !A61M1/18 513
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】2018527895
(86)(22)【出願日】20161116
(85)【翻訳文提出日】20180719
(86)【国際出願番号】DE2016000398
(87)【国際公開番号】WO2017088845
(87)【国際公開日】20170601
(31)【優先権主張番号】102015015149.5
(32)【優先日】20151125
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG
(71)【出願人】
【識別番号】518182472
【氏名又は名称】ゼルムヴェルク・ベルンブルク・アクチェンゲゼルシャフト
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国、06406 ベルンブルク、ハレシェ・ラントストラーセ、105ベー
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】スタニェク・ヤン
【住所又は居所】チェコ国、53701 フルディム、コジェルジュスカー、1057
【テーマコード(参考)】
4C077
4D006
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077LL05
4C077PP14
4C077PP18
4D006GA13
4D006HA02
4D006JA13C
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4D006JA25C
4D006JA25Z
4D006JA30A
4D006JA30Z
4D006JB01
4D006JB06
4D006MA01
4D006PA01
4D006PB09
4D006PC47
(57)【要約】
特に、中空繊維(4)の束(3)および中空繊維(4)の束(3)の長さに延在するハウジング(2)を備える体液のための中空繊維膜ろ過装置(1)を提供する。ハウジング(2)は、中空繊維(4)の束(3)の内部空間(7)を画定し、その両端は、ポッティングコンパウンド(9)中に埋められている。ハウジング(2)は、自由端(16b)を有する少なくとも一つの形状嵌合手段(16)を有し、該形状嵌合手段(16)は、ポッティングコンパウンド(9)で少なくとも部分的に埋められている。形状嵌合手段(16)は、二つまたは三つ以上の、互いから離間して配置され、かつ、一端がハウジング壁(6)に接続された突起部(16a)から形成されている。ハウジング(2)の中心長手軸(10)に対する直交線(20)から出発して、該突起部(16a)は、一端がハウジング内に、他端がろ過装置(1)に向かって傾斜角“α”だけ傾斜している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空繊維(4)の束(3)および中空繊維の束(3)に沿って延びる、ハウジング壁(6)を有するハウジング(2)を備える、体液用の中空繊維膜ろ過装置(1)であって、該ハウジング(2)は、中空繊維(4)の束(3)が配置される内部空間(7)を画定し、中空繊維(4)の束(3)はその両端が、ポッティングコンパウンド(9)中に埋められ、かつ、ハウジング(2)は、自由端(16b)を有する少なくとも一つの形状嵌合手段(16)を内側に有し、該形状嵌合手段(16)は、ポッティングコンパウンド(9)から少なくとも部分的に嵌め込まれる、該装置であって、少なくとも一つの形状嵌合手段(16)が、ハウジング(2)の周方向に見て、互いから離間して配置され、かつ、ハウジング壁(6)に一端が接続された、二つまたは三つ以上の突起部(16a)から形成されており、該突起部は、ハウジング壁(6)に対する関連する突起部(16a)の接続領域を貫通する、ハウジング(2)の中心長手軸(10)に対する仮想の直交線(20)から出発して、それぞれが、ハウジング(2)の内部へ、所定の傾斜角“α”で、ろ過装置(1)の一端または他端に向かって傾斜して形成されていることを特徴とする、上記の中空繊維膜ろ過装置。
【請求項2】
少なくとも一つの形状嵌合手段(16)が、ハウジング(2)と一体的に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の中空繊維膜ろ過装置(1)。
【請求項3】
少なくとも一つの形状嵌合手段(16)が、ハウジング(2)のハウジング壁(6)に固定されている、該ハウジング(2)の周方向に見て互いから離間して配置された二つまたは三つ以上の突起部(16a)を備えている少なくとも一つのアタッチメント(19)によって形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の中空繊維膜ろ過装置(1)。
【請求項4】
少なくとも一つのアタッチメント(19)が、一つ、二つまたは三つ以上の部分で構成されていることを特徴とする、請求項3に記載の中空繊維膜ろ過装置(1)。
【請求項5】
少なくとも一つの形状嵌合手段(16)の突起部(16a)が、少なくともハウジング壁(6)に対する接続領域においてばね弾性を有するように設計されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の中空繊維膜ろ過装置(1)。
【請求項6】
前記直交線(20)と仮想の直線(21)との間に傾斜角“α”が形成され、直線(21)は、一方が、ハウジング壁(6)に対する関連する突起部(16a)の接続領域において直交線(20)と交差し、かつ、他方が、結果として生じる交差点と、突起部(16a)の自由端部(16b)に最も近い点のハウジング壁(6)と接続していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の中空繊維膜ろ過装置(1)。
【請求項7】
傾斜角“α”が前記直交線(20)から始まる、関係0°<IαI<90°に従って選択されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の中空繊維膜ろ過装置(1)。
【請求項8】
傾斜角“α”が、前記直交線(20)から始まって、好ましくは、±10°〜±80°の範囲から、さらに好ましくは、±40°〜±70°の範囲から、さらにより好ましくは、±50°〜±65°の範囲から選択されていることを特徴とする、請求項7に記載の中空繊維膜ろ過装置(1)。
【請求項9】
各形状嵌合手段(16)の突起部(16a)の接続領域が、ハウジング(2)の前記中心長手軸(10)に直交して整列している共通する第一の平面に配置されている、請求項1〜8のいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
各形状嵌合手段(16)の突起部(16a)の第一の部分の接続領域が、ハウジング(2)の前記中心長手軸(10)に直交して整列している第一の平面に配置され、かつ、突起部(16a)の少なくとも一つの第二の部分の接続領域が、該第一の平面に対して平行な第二の平面に配置されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の中空繊維膜ろ過装置(1)。
【請求項11】
各形状嵌合手段(16)のすべての突起部(16a)が、ろ過装置(1)の一端または他端に向かって傾斜しているか、あるいは、各形状嵌合手段(16)の突起部(16a)が、ろ過装置(1)の一端または他端に向かって規則的または不規則に変化して傾斜していることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の中空繊維膜ろ過装置(1)。
【請求項12】
突起部(16a)の少なくとも一つが、突起部(16a)の自由端部(16b)において、少なくとも一つの貫通口(17)、リセス、隆起状の形状および/または屈曲部を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つに記載の中空繊維膜ろ過装置(1)。
【請求項13】
ハウジング(2)の周方向に見て隣接している突起部(16a)間の間隔が、関連する突起部(16a)を少なくとも部分的に接続する弾性の壁要素(18)によって占められており、該壁要素(18)の弾性は、突起部(16a)の弾性よりも大きいことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つに記載の中空繊維膜ろ過装置(1)。
【請求項14】
ハウジング(2)が、突起部(16a)と共に、またはハウジング(2)が、突起部(16a)を備えた少なくとも一つのアタッチメント(19)と共に、ポッティングコンパウンド(9)と接着結合を形成していない材料から構成されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一つに記載の中空繊維膜ろ過装置(1)。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一つに記載の中空繊維膜ろ過装置(1)を製造する方法であって、
a)ハウジング(2)を提供する工程であって、ハウジングは、両端の内側に、自由端(16b)を有する少なくとも一つの形状嵌合(16)を有し、形状嵌合手段(16)は、二つまたは三つ以上の、ハウジング(2)の周方向に見て、互いから離間して配置され、かつ、一端がハウジング壁(6)において接続された突起部(16a)によって形成されており、該突起部は、ハウジング壁(6)に対する関連する突起部(16a)の接続領域を貫通する、仮想の直交線(20)から出発して、それぞれが、ハウジング(2)の内部へ、所定の傾斜角“α”で、ろ過装置(1)の一端または他端に向かって傾斜して形成されている、工程、
b)割り当てられた少なくとも一つの形状嵌合手段(16)の突起部(16a)で、中空繊維(4)の束(3)の端部が埋められるように、ハウジング(2)の内側に中空繊維(4)の束(3)を配置する工程、
c)一方で、中空繊維(4)の束(3)の端部がポッティングコンパウンド(9)で埋められ、かつ、他方で、ポッティングコンパウンド(9)が、突起部(16a)を少なくとも部分的に囲むように、ハウジング(2)中へポッティングコンパウンド(9)を、ハウジング(2)の両端に導入する工程、および
d)ポッティングコンパウンド(9)の硬化後に、中空繊維(4)の端部を、その長手方向に対して横方向にトリミングすることによって、中空繊維(4)の端部を開放する工程、
を特徴とする、上記の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に基づく、中空繊維の束および中空繊維の束の長さに沿って延在する、ハウジング壁を有するハウジングを備えた体液のための中空繊維膜ろ過装置に関し、ハウジングは、中空繊維の束が配置される内部を画定し、中空繊維の束の両端は、ポッティングコンパウンド中にポッティングされており、ハウジングは、自由端を有する少なくとも一つの形状嵌合手段を内側に有し、形状嵌合手段は、ポッティングコンパウンドで少なくとも部分的に埋められている。本発明の請求項15によれば、中空繊維膜装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第0 305 687B1号明細書(特許文献1)からは、ろ過装置が知られており、その両端は、ディスク状の硬化性ポッティングコンパウンドであって、それぞれポッティングコンパウンドに接着していない中間リングによって取り囲まれている装置が開示されている。この場合、前記リングは、例えばポリプロピレン(PP)から成り、ポッティングコンパウンドは、例えば、ポリウレタン(PUR)からなる。この比較的複雑な手段により、ポッティングコンパウンドの張力のない収縮が保証されるべきであり、それによって、ポッティングコンパウンドの応力亀裂を防止する必要がある。さらに、ディスク状のポッティングコンパウンドは、長手方向の移動が妨げられるように支持されている。これは、前記リングの半径方向に向けられたフランジによって行われる。ポッティングコンパウンド中に中空繊維束の端部をポッティングして硬化した後、中空繊維を切断して開放するとき、このような長手方向の力は、特に顕著である。欧州特許第0 844 015B1号明細書(特許文献2)からは、ハウジングを有するろ過装置が知られており、このハウジングは軸方向の弾性の歯または弾性のある突起を有し、それら側ではそれらの間と、そしてハウジングに配置された環状空間を画定する。歯のようなまたは峰のような突出部間のノッチまたは切込みは、部分的にポッティングコンパウンドに組み込まれ、これにより、ポッティングコンパウンドの応力のない収縮を確実にしながら、突起とポッティングコンパウンドとの間に所定の形状嵌合が達成される。歯状または峰状の突起は、その端部に半径方向外側に向けられた突起を有することができる。ハウジングは、例えばポリウレタン(PUR)製のポッティングコンパウンドと密接な接着結合を形成しない材料、例えば、ポリプロピレン(PP)からなる。欧州特許第1 926 546 B1号明細書(特許文献3)からは、上述の欧州特許第0 844 015B1号明細書(特許文献2)のフィルタ装置に類似した、自由に走行する、軸方向のノッチまたは刻み目によって形成された、ろ過装置のハウジングの歯状または峰状の突起を有する装置が知られており、ハウジングは、歯状または峰状の突起の間にこれらから延びる突起部を有し、それらは、隣接する歯状または峰状の突起まで延びている。米国特許第5,472,601A号明細書(特許文献4)からは、ハウジングが、いわゆるストップリングの形態の結合要素を有するろ過装置が知られており、該リングは、ポッティングコンパウンドにポッティングされ、その厚さは、ハウジング壁から始まり、半径方向外側から半径方向内側に増加する。米国特許出願公開第2005/0115885号明細書(特許文献5)からは、ハウジングを有するろ過装置が知られており、これは半径方向内側に向けられ、かつ、ポッティングコンパウンド中に埋め込まれた環状アンカー要素を備えたリングを有する。
【0003】
一般的なタイプのさらなるろ過装置は、米国特許出願第2015/0165106A1号明細書(特許文献6)、米国特許第6,830,685B2号明細書(特許文献7)、欧州特許出願公開第1616617A1号明細書(特許文献8)および日本国特許出願公開第20005161305A号明細書(特許文献9)からも公知である。米国特許出願公開第2015/0165106A1号明細書(特許文献6)には、ろ過装置あるいはキャピラリー透析装置が記載されており、ろ過装置のハウジング両端のそれぞれに取り付けられ、かつ、ポッティングコンパウンド中にポッティングされた支持リングを有する。支持リング上には、その周囲にわたり均等に分布して配置された複数のリブが形成されている。米国特許第6,830,685B2号明細書(特許文献7)には、ハウジングの両端に、ハウジングにしっかりと取り付けられた、環状のアンカーを有するリングを有するろ過装置が記載されている。前記のアンカーは、ポッティングコンパウンド中にポッティングされる。アンカーを備えたリングはポリプロピレン(PP)からなり、ポッティングコンパウンドはポリウレタン(PUR)からなる。欧州特許出願公開第1616617A1号明細書(特許文献8)には、フィルタリング装置が記載されており、その両端は、半径方向内側に向いた環状突出部を有する環状体を有する。ハウジング壁と環状体との間に流体通路またはチャネルを実現するために、環状体は、それぞれが仲介物下で環状体の周囲にわたって分布して配置され、かつ、半径方向外側を向いている多数の突起によって、いわば、間隔をもってろ過装置のハウジングに支持されている。
【0004】
少なくとも半径方向内向きの環状突起は、詳細には記載されていないシール要素によって受容されている。日本国特許出願公開第20005161305A号明細書(特許文献9)は、円筒状のハウジングを備えたろ過装置を記載しており、これは、キャップ側に、それぞれ、環状のケージに応じて形成され、同じように、該ケージは、その周囲にわたって軸方向に分布し配置されたロッド要素を備え、その二つの端部は相互に接続されている。ケージとハウジングとを密閉するキャップとの間には、常に、環状空間が形成されている。ロッド要素の間に形成されるケージの切開部は、ポッティング樹脂中に部分的に埋め込まれる。
【0005】
先行技術から知られているこれらの解決策のすべては、例えば、中空繊維の端部をトリミングすることによってこれを開放したときに生じる応力が確実に制限されな、および/または実施するのが比較的高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0 305 687B1号明細書
【特許文献2】欧州特許第0 844 015B1号明細書
【特許文献3】欧州特許第1 926 546 B1号明細書
【特許文献4】米国特許第5,472,601A号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0115885号明細書
【特許文献6】米国特許出願第2015/0165106A1号明細書
【特許文献7】米国特許第6,830,685B2号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第1616617A1号明細書
【特許文献9】日本国特許出願公開第20005161305A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、従来技術の点で改善された中空繊維膜ろ過装置を提供することであり、従来技術の利点を特に簡単に維持し、かつ、ろ過装置のハウジングとポッティングコンパウンドとの間の堅牢な結合を確実にすることである。さらに、本発明の課題は、そのような中空繊維膜ろ過装置の、特に簡単かつ安価に実施可能な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載の特徴による汎用的な装置によって達成される。本発明のさらなる実施形態は、従属請求項2〜14の主題である。
【0009】
したがって、本発明の課題は、請求1の上位概念における特徴と組み合わせて、該ハウジングが、中空繊維の束が配置される内部空間を画定し、中空繊維の束はその両端が、ポッティングコンパウンド中に埋められ、かつ、ハウジングは、自由端を有する少なくとも一つの形状嵌合手段を内側に有し、該形状嵌合手段は、ポッティングコンパウンドから少なくとも部分的に嵌め込まれる、該装置であって、少なくとも一つの形状嵌合手段が、ハウジングの周方向に見て、互いから離間して配置され、かつ、ハウジング壁に一端が接続された、二つまたは三つ以上の突起部から形成されており、該突起部は、ハウジング壁に対する関連する突起部の接続領域を貫通する、仮想の直交線から出発して、それぞれが、ハウジングの内部へ、所定の傾斜角“α”で、ろ過装置の一端または他端に向かって傾斜して形成されていることを特徴とする、上記の中空繊維膜ろ過装置によって解決される。
【0010】
上記の、それぞれの突起部の足領域と呼ばれる接続領域下は、それぞれの突起部の自由端に対向する突起部の端部であると理解され、これは、ハウジング壁に支持され、言い換えると、突起部からハウジング壁への橋渡し(Uebergang)を表す。
【0011】
この方策によって、簡単な製造により、ろ過装置のハウジングとポッティングコンパウンドとの間の堅牢な結合と共に、その端部に嵌め込まれた中空繊維の束が保証されたろ過装置が作製される。意図的に傾斜した突起部の配置によって、硬化したポッティングコンパウンドに対して適用される軸方向の引き抜きに対する耐性が高められ、これは、中空繊維束の端部を前記ポッティングコンパウンドにポッティングして硬化させた後、中空繊維の端部を長手方向に横断するようにトリミングすることによって中空繊維を開放する時に、特に有利に作用する。さらに、中空繊維の損傷の危険性は、中空繊維に作用する上記のトリミングによる牽引力が効果的に回避される。
【0012】
本発明の第一の好ましい実施形態によれば、少なくとも一つの形状嵌合手段がハウジングと一体に形成され、それにより、特定の材料、製造および組立コストを節約することができる。
【0013】
しかしながら、本発明は、本発明の第一の好ましい実施形態による突起部を有するハウジングの一体構造に限定されず、本発明の第二の実施形態によれば、少なくとも一つの別個に製造され、例えば、ワンピースの環状アタッチメントを形成し、そしてハウジングまたはハウジング壁の内側輪郭に固定、好ましくは、固着、特に、それ自体で溶接または接着される、複数の突起部もまた包含される。しかしながら、少なくとも一つのアタッチメント自体は、二つまたは三つ以上の部分で形成することもでき、例えば、リングセグメントによって形成することができ、これはそれ故、本発明に同様に包含される。
【0014】
本発明の開発において、少なくとも一つの形状嵌合手段の突起部を、少なくともハウジング壁との接続領域においてばね弾力的に形成することが可能である。上記の突起部並びに該突起部をばね弾性的に形成すること、並びに、該突起部を傾斜させて方向付けることによって、ろ過装置のハウジングの簡単な製造と共に、例えば、一つのプロセス段階でのプラスチック射出成形後の簡単に設計された脱型により、それ自体で形成された突起部を有するワンピースが可能となる。脱型の間、突起部は確かにたわむが、それらは、所望の傾斜配置を再び自動的に取ることができる。しかし、本発明は、上記のプラスチック射出成形法に限定されず、3D印刷による製造のような、ハウジングの製造のための任意の適切なプラスチック加工方法を包含する。
【0015】
上述の本発明の第二の実施形態に関しては、この場合、前記突起部の少なくとも接続領域をばね弾性的に設計することは確かに可能ではあるが、必須ではない。
【0016】
本発明の実際的な実施形態によれば、傾斜角“α”は、好ましくは、上記の直交線と仮想線との間に形成され、この線は、一方が、ハウジング壁に対する関連する突起部の接続領域において直交線と交差し、かつ、他方が、結果として生じる交差点と、突起部の自由端部に最も近い点のハウジング壁と接続している。
【0017】
本発明の開発において、さらに、直交線から出発して、傾斜角“α”は、0°<IαI<90°の関係に従って選択される。本出願の主題への試みにおいて、特に、傾斜角“α”が実証されており、好ましくは±10°〜±80°の範囲、より好ましくは±40°〜±70°の範囲、より好ましくは±50°〜±65°の範囲から選択される。
【0018】
本発明の簡単で信頼できる機能性を有する実施形態は、突起部または各形状嵌合手段のすべての突起部の接続領域が、好ましくは、ハウジングの上記の中心長手軸に共通する、該軸に直交して整列している第一の平面に配置されていることよってさらに達成される。それに対して、それぞれの形状嵌合手段の突起部の第一の部分の接続領域が、ハウジングの上記の中心長手方向軸に直交するように配向された第一の平面内に配置され、かつ、前記突起部の少なくとも第二の部分の接続領域が、前記第一の平面に平行な第二の平面内に配置されることもまた示すことができ、したがって、これは本発明に包含される。これによって、ハウジングの長手方向におけるハウジング壁のより大きな領域が、力の導入において一体化され、それにより、ハウジング壁の局部的な負荷が低減され、その結果、場合によっては、従来の壁よりも薄い壁として設計することができる。さらに、結果として、一つ、二つまたは三つ以上の平面における、突起部の配向および配置の最も多様な変形を実現することができる。
【0019】
本発明がさらに提供するように、それぞれの形状嵌合手段のすべての突起部は、ハウジングの一方または他方の端部に対して傾斜して配置され得る。あるいはまた、それぞれの形状嵌合手段の突起部も、ハウジングの一端または他端に向かって規則的または不規則に変化して傾斜していることもできる。具体的にどの変種が考慮されるかは、特に、ポッティングコンパウンドおよび突起部に使用される材料、並びに、実際に作用する縦方向または軸方向の力に依存する。当業者にとって、それは言うまでもなく、前記中空繊維の長手方向範囲において中空繊維の束を横方向に切断する間に、上記の方向付けられた突起部の長手方向の力に対抗して、硬化したポッティングコンパウンドを軸方向に引き出すことに対抗する最も大きな抵抗力を加えることである。
【0020】
好ましくは、突起部は周方向において一様に、つまり、互いに同じ間隔で、中空繊維の束の周囲に分布して配置される。その結果、ポッティングコンパウンドに作用する力は、突起部の仲介下で、ハウジング内に最適に導入することができる。
【0021】
突起部とポッティングコンパウンドとの間の相対的な結合さらに高めるために、突起部の少なくとも一つが、突起部の自由端に、少なくとも一つの貫通口、リセス、隆起状の形状および/または屈曲部を有することが好ましい。突起部の少なくとも接続領域の上述したばね弾性の設計により、上記の貫通孔、リセス、隆起状の形状および/または屈曲部などを形成するために、例えば、プラスチック射出成形後のハウジングの製造の際に費用のかかるスライダーをもはや不要にすることができる。
【0022】
ポッティングコンパウンドと突起部との間の形状嵌合い結合をさらに改善するために、ハウジングの周方向に見て、隣接する突起部の間の間隔を、関連する突起部を少なくとも部分的に接続する弾性の壁要素で占有させることを企図することができ、ここで、壁要素の弾性は、突起部の弾性よりも大きい。このようにして、閉じたリングは、小さくて、より大きな弾性に比例する部分で形成され、それによって、場合によっては、中空繊維と一緒にポッティングコンパウンドをトリミングする間に発生する可能性のある、中空繊維と一緒にポッティングコンパウンドに対してかかる引っ張り力は、中空繊維と一緒にポッティングコンパウンド全体の断面に良好に伝達され、そして、損傷を回避しながらおよび/またはハウジング壁内に導入しながら、その力は効果的に吸収されることができる。さらに、この手段によって、ろ過装置のハウジング内の中空繊維の束の中心出しが最適化される。
【0023】
好ましくは、ハウジングは、突起部と一緒に、または、ハウジングは、突起部を有する少なくとも一つのアタッチメントと一緒に、ポッティングコンパウンドと粘着結合しない材料から構成される。さらに好ましくは、この場合、ハウジングは突起部と共に、または、ハウジングは突起部を有する少なくとも一つのアタッチメントと共に、少なくとも一つのポリオレフィン、特にポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)を有し、かつ、ポッティングコンパウンドはポリウレタン(PUR)を有し、そのことから、ポッティングコンパウンドとのより良好な粘着を保証するポリカーボネート(PC)のような頻繁に使用される材料と比較して特に材料コストの節約が実現される。好ましくは、ハウジングは突起部と共に、または、ハウジングは突起部を有する少なくとも一つのアタッチメントと共に、同じ材料で形成される。しかしながら、本発明はこの好ましい実施形態に限定されず、例えば、多成分プラスチック射出成形によって処理される異なる材料の組合せも包含する。
【0024】
本発明の請求項15によれば、上述のタイプの中空繊維膜ろ過装置の製造方法にも関する。この方法は、
a)ハウジング(2)を提供する工程であって、ハウジングは、両端の内側に、自由端(16b)を有する少なくとも一つの形状嵌合手段(16)を有し、形状嵌合手段(16)は、二つまたは三つ以上の、ハウジング(2)の周方向に見て、互いから離間して配置され、かつ、一端がハウジング壁(6)において接続された突起部(16a)によって形成されており、該突起部は、ハウジング壁(6)に対する関連する突起部(16a)の接続領域を貫通する、ハウジング(2)の中心長手軸(10)に対する仮想の直交線(20)から出発して、それぞれが、ハウジング(2)の内部へ、所定の傾斜角“α”で、ろ過装置(1)の一端または他端に向かって傾斜して形成されている、工程、
b)割り当てられた少なくとも一つの形状嵌合手段(16)の突起部(16a)で、中空繊維(4)の束(3)の端部が埋められるように、ハウジング(2)の内側に中空繊維(4)の束(3)を配置する工程、
c)一方で、中空繊維(4)の束(3)の端部がポッティングコンパウンド(9)で埋められ、かつ、他方で、ポッティングコンパウンド(9)が、突起部(16a)を少なくとも部分的に囲むように、ハウジング(2)中へポッティングコンパウンド(9)を、ハウジング(2)の両端に導入する工程、および
d)ポッティングコンパウンド(9)の硬化後に、中空繊維(4)の端部を、その長手方向に対して横方向にトリミングすることによって、中空繊維(4)の端部を開放する工程、
を特徴とする。
【0025】
この方法には、使用する材料を変更するとき、特に本発明によるろ過装置の製造のための非粘着性材料使用時に、ごくわずかな手間暇だけが生じ、かつ、既存の製造プロセスと製造設備とはそれらの大部分を維持できるという利点を有する。
【0026】
本発明を、図面に概略的に示される実施形態を参照してより詳細に説明する。しかしながら、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されたすべての実施形態を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の中空繊維膜ろ過装置の側面図である。
【図2】図2は、本発明の第一の実施形態によるいくつかの突起部の形態の、本発明に必須の形状嵌合手段を備えた図1のろ過装置のハウジングの断面図である。
【図3】図3は、ハウジングの両端がポッティングコンパウンド中にポッティングされて、中空繊維の束について完成している、図2によるろ過装置のハウジングを示す図である。
【図4】図4は、図2(第1実施形態)の「Z」の細部を示す図である。
【図5】図5は、図3の「Y」の細部を示す図である。
【図6】図6は、本発明の第二の実施形態による図2の「Z」の細部を示す図である。
【図7】図7は、本発明の第三の実施形態による図2の「Z」の細部を示す図である。
【図8】図8は、本発明の第四の実施形態による図2の「Z」の細部を示す図である。
【図9】図9は、本発明の第五の実施形態による図2の「Z」の細部を示す図である。
【図10】図10は、図9の本発明に必須の形状嵌合要素の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施形態1(図1〜図5)
図1〜図3によれば、体液用、特に、血液透析用の中空繊維膜ろ過装置1は、本例の場合、円形の横断面を有する管状ハウジング2からなる。ハウジング2は、プラスチック、好ましくはポリプロピレン(PP)からなる。ハウジング2は、中央ハウジング部2aを有し、そのそれぞれの端部は、中央ハウジング部2aに比べて、それぞれがより大きな直径を有する終端部2b、2cに向かっている。
【0029】
ハウジング2の内側には、中空繊維4の細長い束3が配置され、これは、ハウジング2の一方の端部から他方の端部まで延在しており、ハウジング2の中央ハウジング部2aによってそれは中央に位置付けられている(図3)。中空繊維4は、それぞれが、半透膜によって形成されており、そして、それらの図示されていない管または毛細管の通路を通って、上記の体液、特に血液のためのろ過装置1の第一のストリーム空間5を形成している。ハウジング壁6を有するハウジング2は、中空繊維4の束3に沿って延びており、内部空間7、従ってろ過装置1の第二のストリーム空間8を画定し、この第二のストリーム空間8中を、液体、この場合は、透析液が案内される。中空繊維4の束3の端部はそれぞれ、好ましくはポリウレタン(PUR)製のポッティングコンパウンド9中にポッティング(注入)または埋設されている。ポッティングコンパウンド9を硬化させた後、これは主にディスク形状である。
【0030】
ハウジング2の両端部に配置されたポッティングコンパウンド9のこのディスク状の形態は、ポッティングコンパウンド9のハウジング2への導入中に、好ましくは、ハウジング2の中央縦軸10に垂直に向けられた軸の周りに遠心分離されることによって実現される。ポッティングコンパウンド9の硬化は、一時的に設けられ、かつ、ハウジング2のそれぞれの端面を覆うキャップ(図示せず)中で行われ、それによって、ポッティングコンパウンド9は、ハウジング壁6および前側キャップにおいて周全体にくっつく。それぞれのポッティングコンパウンド9を硬化させた後、その前側のキャップを除去する。その後、ポッティングまたは埋設された中空繊維と一緒に、それぞれのポッティングコンパウンド9が、その前側で、中空繊維4の長手方向に対して横方向に切断され、それによって、プロセスに起因した、ポッティングコンパウンド9によって密閉されている中空繊維4の管状通路またはキャピラリーの管状通路が、再び開放される。当然ながら、キャップを取り除き、ポッティングコンパウンド9を中空繊維4と一緒にトリミングする工程は、前記トリミング(図示せず)によって一段階で行うことができる。
【0031】
上述のキャップを取り外した後、それぞれのキャップ11a、11bに第一のアタッチメント12a、12bを設け、これらは、今や、ハウジング2の前側で、中空繊維4または形成された第一のストリーム空間5を通る体液(例えば、血液)の流れを確実にする。これにより、アタッチメント12aを備えたキャップ11aが体液の流入を形成し、これに対して、アタッチメント12bを備えた他方のキャップ11bはドレインを形成する。流入および流出は、この実施形態によれば、それ自体公知の、それ故、図示されていない透析装置のストリーム回路に接続されている。キャップ11a、11bは、アタッチメント12a、12bと共に、この場合、力嵌め/形状嵌合によりねじ込むことによってハウジング2に接続される。もちろん、溶接または接着による凝集性のプラグインジョイントも企図可能である。
【0032】
透析空間(Dialysatraum)とも呼ばれるハウジング2の内部7は、その端部の領域またはそれぞれの終端部2b、2cの領域には、ハウジング2の中心長手方向軸線10にそれぞれ直交して方向付けられた第二のアタッチメント13a、13bを有する。第2のアタッチメント13a、13bは、内部空間7または第二のストリーム空間8を通って流れ、そして、それにより、中空繊維4の周囲を流れる透析液の流入および流出に役立つ。これらのアタッチメント13a、13bは、図示しない透析装置の流路に組み込まれている。
【0033】
ポリウレタン(PUR)製のポッティングコンパウンド9は粘着結合性がなく、したがってポリプロピレン(PP)製のハウジング2との緊密な組み立て接続がなく、かつ、また、本実施形態のねじ込みによる結合は液体シールを生じさせないため、それぞれのキャップ11a、11bの領域に、それら二つの互いに同心円状に配置されたリングシール14、15(図5参照)が設けられている。第一のストリーム空間5、この場合、半径方向内側にある環状シール14、は、を第二のストリーム空間8を密封し、かつ、該シールは、ポッティングコンパウンド9に、かつ、それぞれ隣接するキャップ11a、11bに、この場合、特に軸方向に支持されている。第二の、径方向外側にあるリングシール15は、第二のストリーム空間8を外部雰囲気に対して密封し、かつ、該シールは、この場合、ハウジング2の端縁部に、かつ、それぞれ隣接するキャップ11a、11bに、この場合、特に、軸方向に支持されている。この場合、リングシール14、15はハウジング2のリセスの内側にあり、ポッティングコンパウンド9および各キャップ11a、11bは、半径方向に固定されるようにして支持されている。リングシール14,15は、一体的に形成されてもよく、それにより、第一のストリーム空間5を第二のストリーム空間8および外部雰囲気に対して密封する(図示せず)。ストリーム空間5、8の互いの、かつ、外部雰囲気に対して密閉の、他の適切な、それ自体公知の形態も、当然ながら本発明に包含される。
【0034】
図2および図4から非常によく分かるように、ハウジング2は、その二つの終端部2b、2cの領域それぞれに、自由端16bを有する形状嵌合手段16を有する。それぞれの形状嵌合手段16は、いくつかの突起部16aによって、この実施形態によれば、12個の突起部16aによって形成されている。関連する終端部2b、2c中のそれぞれの形状嵌合手段16のすべての突起部16aは、一端がハウジング2のハウジング壁6に接続され、そして、共通してハウジング2の中心長手軸10に直交する、整列した第一のレベルに配置される。
【0035】
さらに、突起部16aは、好ましくは、中空繊維4の束3と共にハウジング2を組み立てる際に、中空繊維4の束3の周囲方向に見て、好ましくは均等に分布されており、かつ、互いから離間して配置されている。該突起部16aは、本実施形態によればプラスチック射出成形法によって製造され、ハウジング2またはハウジング壁6と一体的に形成される。これは、例えば、ハウジングの軸方向においてのみで移動可能な、それぞれが二つの同心円状に配置された牽引コア(図示せず)を有する、それ自体公知のプラスチック射出成形ツールによって行われる。
【0036】
さらに、本発明の好適な第一の実施形態の変形例による、関連する終端部2b、2cのそれぞれにおける形状嵌合手段16のすべての突起部16aは、ハウジング2の中心長手方向軸線10に対する直交線20と、ハウジング壁6において交わる、それぞれの突起部16aの接続領域から仮想的に出発して、ハウジング2の内側において、ろ過装置1のそれぞれの隣接する端部、または、それぞれの隣接するキャップ11a、11bに向かって、定義された傾斜角“α”だけ傾斜している(図4参照)。さらに、突起部16aは、少なくともハウジング壁6との接続領域においてばね弾性に形成されている。ハウジング2と一体的に形成された突起部16aの該ばね弾性は、例えば、該接続領域中の材料を薄くすることによって達成できる。対照的に、ばね弾性は、多成分プラスチック射出成形法によって射出成形されたエラストマーによって達成することもできる。
【0037】
突起部16aの足領域と呼ぶこともできる該接続領域は、突起部16aの対向するそれぞれの突起部16aの自由端16bと解され、それらはハウジング壁6において支持され、かつ、それによって固定的に接続され、言い換えれば、突起部16aからハウジング壁6への橋渡しを表し、この場合、突起部16aがハウジング2またはハウジング壁6と一体的に形成された結果として生ずる。
【0038】
少なくともハウジング壁6に対する該接続領域において、突起部16aをばね弾性に構成することよって、突起部16aの所望の傾斜配向に悪影響を与えることなく、ハウジング2の変形は簡単であり、かつ、経済的に実現可能となる。傾斜角度“α”は、直交線20から出発して、0°<IαI<90°の関係に従って選択される。本願の対象に関する実験では、直交線20から出発して、好ましくは±10°〜±80°の範囲から選択され、より好ましくは±40°〜±70°の範囲から選択される傾斜角度“α”が立証された。しかしながら、±50°〜±65°の範囲から選択される傾斜角“α”で特に良好な結果が得られた。図4に関連して、本実施形態の傾斜角“α2は約58°である。本願の対象に関する実験では、約58°のこの傾斜角度“α”での直線が、選択された製造プロセスにかかわらず、特に簡単に突起部16aを製造することができ、かつ、ポッティングコンパウンド9との所望の堅牢な結合を提供し、かつ、そのポッティングコンパウンド9を介して中空繊維4と間接的に接続することが見出された。
【0039】
特に図2、4および5にさらに見ることができるように、本実施形態の突起部16aは、その自由端16bに向かってテーパーしている直方体状に形成されており、かつ、それぞれが半径方向の開口部17を有する。ポッティングコンパウンド9のハウジング2への導入中に、突起部16aがポッティングコンパウンド9内に埋設されるため、ポッティングコンパウンド9と突起部16aとの間に形状嵌合が生ずる。この場合、ポッティングコンパウンド9は、前記開口部17を通って突起部16aに交わり、それによって、形状嵌合がさらに改善される。しかしながら、本発明は、上記の開口部17に限定されず、例えば、突起部16aのリセス、ハウジング2の内側またはハウジング2の外側に方向付けることのできる隆起状の形状物、および/または、同様に、ハウジング2の内側またはハウジング2の外側に方向付けることができる、それぞれの突起部16aの自由端16bにおける一つ、二つ、または三つ以上の湾曲部であることもできる(図示せず)。さらに、本発明は、立方体の突起部16aに限定されず、例えば、台形、三角形、またはリングセグメントを基本とする形状(図示せず)を有する突起部16aも包含される。
【0040】
実施形態2(図6)
図6は、本発明の第2の実施形態を示し、この場合、機能的に同一の部分は、先の図の場合と同じ参照符号で示され、そのため、それらの説明および理解のための上記の説明も参照される。
【0041】
上述の本発明の好ましい第一の実施形態は、ハウジング2に基づいて、ハウジング2と一体的に形成された、それぞれの形状嵌合手段16の突起部16aは、関連する終端部2b、2cにおいて、ろ過装置1のそれぞれの隣接する端部またはそれぞれの隣接するキャップ11a、11bに向かって、選択された傾斜角“α”だけ傾斜している。しかしながら、本発明は、図6による、ハウジング2と一体的に形成された、それぞれの形状嵌合手段16の突起部16aが、関連する終端部2b、2cにおいて、ろ過装置1のそれぞれの隣接する端部またはそれぞれの隣接するキャップ11a、11bに向かって、選択された傾斜角“α”だけ傾斜しているのではなく、ろ過装置1の対向する端部または対向して配置されたそれぞれのキャップ11a、11bに向かって傾斜している、本発明の実施形態も包含する。同様に、関連する端部2b、2cにおけるそれぞれの形状嵌合手段16の突起部16aの配置は、突起部16aが規則的に、つまり、交互に、または、不規則に変化して、ろ過装置1の一端または他端に向かって傾斜している場合を包含する(図示せず)。この場合、規則的に、または、交互に変化して、という語は、同じ数の突起部16aが、一方または他方の方向に交互に方向付けられているかまたは傾斜していることを意味すると理解される。これとは対照的に、不規則に変化しているという語は、不規則な数の突起部16aが一方向または他の方向に交互に方向付けられているかまたは傾斜していることを意味すると理解される。
【0042】
実施形態3(図7)
図7は、本発明の第三の実施形態を示しており、この場合、この場合、機能的に同一の部分は、先の図の場合と同じ参照符号で示され、そのため、それらの説明および理解のための上記の説明も参照される。
【0043】
本発明は、終端部2b、2cにおけるそれぞれの形状嵌合手段16のすべての突起部16aと、ハウジング2の終端部2b、2cそれぞれの第一のレベルに整列したハウジング2の中心長手方向軸10に対して直交する単一のものだけに限定されず、突起部16aを有する終端2b、2cのそれぞれの二つまたは三つ以上のレベルも包含する。したがって、図7は、ハウジング2の終端部2b、2cの少なくとも一つにおいて、ハウジング2の中心長手軸10に対して直交して方向付けられた、いくつかの突起部16aのそれぞれと整列した、互いに平行な第一および第二のレベルが企図された本発明の実施形態を示す。この場合、ハウジング2の製造における突起部16aの取り外しを容易にするために、互いに平行に配置された二つのレベルの突起部16aは、ハウジング2の長手方向に見たレベルの突起部16aが、他方のレベルの突起部16a間の間隔の領域に配置されるように互いにずらして配置されている。
【0044】
実施形態4(図8)
図8は、本発明の第四の実施形態を示しており、この場合、この場合、機能的に同一の部分は、先の図の場合と同じ参照符号で示され、そのため、それらの説明および理解のための上記の説明も参照される。
【0045】
ポッティングコンパウンド9と突起部16aとの間の結合をさらに改善するために、図8によれば、ハウジング2の周方向に見て隣接する突起部16aの間の間隔は、関連する突起部16aを少なくとも部分的に接続する弾性の壁要素18によって占められている。壁要素18の弾性は、突起部16aの弾性よりも大きく設定されている。これにより、より大きな弾性に比例して小さい部分で交互に閉じたリングが形成される。ポッティングコンパウンド9を中空繊維4と一緒に、中空繊維4の長手方向に対して横方向にトリミングする間に中空繊維4と共にポッティングコンパウンド9に作用する引っ張り力は、ポッティングコンパウンド9と中空繊維4の全横断面中に良好に移行され、そして、それらの損傷を回避しながら、ハウジング壁6中に効果的に吸収および/または導入されることができる。換言すれば、知られているような繊細な中空繊維4の応力低下が達成される。というのも、作用力はハウジング2内により良好に導入されるからである。さらに、この方策によって、ろ過装置1のハウジング2内の中空繊維4の束3の中心出しが最適化される。中空繊維4の束3をハウジング2内に軸方向に挿入することによりハウジング2を中空繊維4の束3と共に形状嵌合手段16と共に組み立てる間に、個々の中空繊維4が形状嵌合手段16の突起部16aの間の空隙に入り、そして、例えば、スナップすることによる損傷を受けることが有利である。突起部16aに接続された壁要素18は、好ましくは突起部16aの間の全間隔を占め、突起部16aと組み合わせて付加的な中心出し手段としても機能し、これは、中空繊維4の束3の端部の拡張を効果的に防止し、そして、一般に、中空繊維4の束3のハウジング2内への固定を改善する。突起部16aに対する壁要素18の比較的大きな弾性によって、突起部16aによるハウジング2の取り外しに続く、所望の傾斜配置への突起部16aのばね弾性による戻りが妨げられない。
【0046】
実施形態5(図9および図10)
図9および図10は、本発明の第五の実施形態を示しており、この場合、この場合、機能的に同一の部分は、先の図の場合と同じ参照符号で示され、そのため、それらの説明および理解のための上記の説明も参照される。
【0047】
図9および図10による実施形態は、終端部2b、2cにおけるそれぞれの形状嵌合手段16の突起部16aが、別個に製造され、かつ、ハウジング2に固定された少なくとも一つのアタッチメント19とまとめられて形成されているという点でのみ異なる。図9によれば、該アタッチメント19は、例えば、一体的に、かつ、リング形状に形成され、かつ、ハウジング2、または、ハウジング壁6の内側輪郭に固定されるか、または固定可能である。すべての突起部16aは、この場合、共通レベル内に配置されている。この場合、リング状に形成されたアタッチメント19は、リング状の基体19aを有し、これに、突起部16aの一端が接続されている。この場合、基体19aは、形状嵌合手段16またはその突起部16aのハウジング壁6に対するいわば取り付け領域を形成し、かつ、ハウジング壁6に好ましくは溶接または接着により、接続されているかまたは接続可能である。
【0048】
しかしながら、少なくとも一つのアタッチメント19は、いくつかの部分、例えば、二つまたは三つ以上のリングセグメントによって形成されてもよく、従ってそれらも本発明にも包含される。同様に、突起部16aは、上述した本発明の実施形態3に基づいて二つまたは三つ以上のレベルに配置されていてもよい(図示せず)。関連する終端部2b、2c内のそれぞれの形状嵌合手段16のすべての突起部16aが単一の共通するレベルに配置される場合、上記の実施形態に好ましい、該突起部16aの少なくとも接続領域のばね弾性の設計は必須ではない。そうでなければ、前記アタッチメント19が二つまたは三つ以上のレベルにわたって分布された延長部16aを有する場合には、それは好ましいプラスチック射出成形法によって状況は異なる場合がある。その場合、ハウジング壁6に対する少なくとも突起部16aの接続領域、中間部を介して間接的に実現され、かつ、取り付け領域として機能し、かつ、ハウジング壁6に固定された基体19aは、ばね弾力に形成されている場合が有利であり得る。
【0049】
この場合、基体19aは、壁の厚さを有し、それ故、強度および/または剛性を有し、形状嵌合手段16の機能が達成される。実験では、ハウジング壁6に直接接続された基体19aの壁の厚さが、突起部16aの材料の厚さにほぼ一致する場合、形状嵌合手段16の最適な機能が得られた(図10)。
【0050】
ここでもまた、上述の利点を備えた突起部16aの間の間隔内の壁要素18が提供される場合を示すことができ、従って、本発明に包含される(図示せず)。
【符号の説明】
【0051】
1 ろ過装置
2 ハウジング
2a 中央ハウジング部
2b 終端部
2c 終端部
3 束
4 中空繊維
5 第一のストリーム空間
6 ハウジング壁
7 内部空間
8 第二のストリーム空間
9 ポッティングコンパウンド
10 中心長手軸(ハウジング2)
11a カップ
11b カップ
12a 接続スタブ
12b 接続スタブ
13a 接続スタブ
13b 接続スタブ
14 リングシール
15 リングシール
16 形状嵌合手段
16a 突起部
16b 自由端(形状嵌合手段16/突起部16a)
17 貫通口
18 壁要素
19 アタッチメント
19a 基体
20 直交線
21 直線
“α” 傾斜角(突起部16a)
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【国際調査報告】