(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2018537682
(43)【公表日】20181220
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/04 20060101AFI20181122BHJP
   G01R 31/36 20060101ALI20181122BHJP
【FI】
   !G01N29/04
   !G01R31/36 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】2018530878
(86)(22)【出願日】20170808
(85)【翻訳文提出日】20180612
(86)【国際出願番号】CN2017096345
(87)【国際公開番号】WO2018090678
(87)【国際公開日】20180524
(31)【優先権主張番号】201611037786.X
(32)【優先日】20161121
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】510268554
【氏名又は名称】▲華▼中科技大学
【氏名又は名称原語表記】HUAZHONG UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所】中華人民共和国 湖北省 武▲漢▼市 洪山区珞喩路1037号
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】沈 越
【住所又は居所】中国湖北省武漢洪山珞喩路1037号
(72)【発明者】
【氏名】▲とう▼ 哲
【住所又は居所】中国湖北省武漢洪山珞喩路1037号
(72)【発明者】
【氏名】黄 雲輝
【住所又は居所】中国湖北省武漢洪山珞喩路1037号
【テーマコード(参考)】
2G047
2G216
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047BA01
2G047BC02
2G047BC03
2G047BC07
2G047BC11
2G047CA01
2G216BA01
2G216BA21
2G216CB03
2G216CB34
2G216CB55
(57)【要約】
本発明は、電池の技術分野に属し、リチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法及び装置を開示している。その方法においては、まず、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態でのリチウムイオン電池に音波を通して、音響パラメータを検測し、音響パラメータとリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態のそれぞれとの対応関係が関連付けられる。次に、リチウムイオン電池の音響パラメータを検測することによって、上記の音響パラメータとリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態のそれぞれとの対応関係により、リチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を判断する。本発明は、上記方法を実現する装置をさらに提供する。本発明に係る方法及び装置は、電気的なパラメータの測定により電池の充電状態及び健康状態を検測することと異なり、新たな手法を採用している。本発明に係る方法は、様々な形状及び種類のリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を効果的に検測することができ、良好な適用性を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法であって、
まず、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態でのリチウムイオン電池に音波を通過して、音響パラメータを検測し、音響パラメータとリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態のそれぞれとの対応関係が関連付けられ、
次に、リチウムイオン電池の音響パラメータを検測することによって、上記の音響パラメータとリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態のそれぞれとの対応関係により、リチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を判断し、
ここで、上記音響パラメータは、リチウムイオン電池において音波が伝播した後の振幅減衰度と、飛行時間と、声紋とを含み、
上記飛行時間音波が超音波信号源から超音波受信機まで到達する時間であり、上記超音波信号源と超音波受信機とがリチウムイオン電池に接続され、
上記声紋は、音波がリチウムイオン電池を通した後の波形である、ことを特徴するリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法。
【請求項2】
請求項1に記載のリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法であって、
まず、特定の周波数及び振幅の超音波で、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態でのリチウムイオン電池を通過し、当該特定の周波数及び振幅の超音波の振幅減衰度を取得して、異なる充放電の電流条件における、振幅減衰度と、リチウムイオン電池の充電状態との対応関係を確立し、標定チャートを作成し、
次に、リチウムイオン電池使用中に、異なる充放電の電流条件における、当該特定の周波数及び振幅の超音波がリチウムイオン電池を通過した後の振幅減衰度を取得し、上記標定チャートにより、異なる充放電の電流条件における、当該特定の周波数及び振幅の超音波の振幅減衰度と充電状態との対応関係を取得し、電池の充電状態を判断する、ことを特徴とするリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法。
【請求項3】
請求項1に記載のリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法であって、
まず、超音波で、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態でのリチウムイオン電池を通過し、飛行時間を取得して、異なる充放電の電流条件における、飛行時間とリチウムイオン電池の充電状態との対応関係を確立し、標定チャートを作成し、
次に、リチウムイオン電池使用中に、異なる充放電の電流条件における、超音波がリチウムイオン電池を通過した飛行時間を検測し、上記標定チャートにより、異なる充放電の電流条件における、当該超音波飛行時間と充電状態との対応関係を取得し、電池の充電状態を判断する、ことを特徴とするリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法。
【請求項4】
請求項1に記載のリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法であって
まず、特定の周波数及び振幅の超音波で、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態での健康なリチウムイオン電池を通過し、当該特定の周波数及び振幅の超音波の振幅減衰度を取得して、異なる充放電の電流条件における、リチウムイオン電池健康状態での振幅を取得し、
次に、当該特定の周波数及び振幅の超音波で、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態でのリチウムイオン電池を通過し、リチウムイオン電池を通過した当該特定の周波数及び振幅の超音波の振幅が健康状態のリチウムイオン電池に対して異常に低下する場合、リチウムイオン電池の健康状態が悪いことを検知できる、ことを特徴とするリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法。
【請求項5】
請求項1に記載のリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法であって、
まず、超音波で、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態での健康なリチウムイオン電池を通過し、当該超音波における特定のピークの飛行時間を取得し、当該特定のピークが異なる充放電の電流条件において健康なリチウムイオン電池を通過する飛行時間を取得し、
次に、超音波で、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態でのリチウムイオン電池を通過し、リチウムイオン電池を通過する上記特定のピークの飛行時間が健康状態のリチウムイオン電池に対して異常に低下する場合、リチウムイオン電池の健康状態が悪いことを検知できる、ことを特徴とするリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法。
【請求項6】
請求項1に記載のリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法であって、
まず、超音波で、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態での健康なリチウムイオン電池を通過し、リチウムイオン電池を通過した超音波信号を記録して、参照声紋を取得し、
次に、超音波で、異なる充放電の電流条件における、様々な充電状態でのリチウムイオン電池を通過し、検測声紋を取得して、上記検測声紋が上記参照声紋に比べて変化幅が設定限度を超えると、リチウムイオン電池の健康状態が悪いことを検知できる、ことを特徴とするリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれの一つに記載のリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法を実現する装置であって、
超音波信号源と超音波受信機とを備え、上記超音波信号源と上記超音波受信機とが、それぞれ、被験リチウムイオン電池の両側に位置され、
上記超音波信号源が超音波を発信することに用いられ、上記超音波受信機が受信し且つ超音波の振幅、飛行時間、及び声紋を記録する、ことを特徴とするリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法を実現する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の技術分野に属し、特に電池の充電状態及び健康状態を検測する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
残留電量とも呼ばれる電池の充電状態は、電池が長い間使用された後または長時間使用されなかった後の残存容量と完全に充電された状態での容量との比率を表し、単にSOCとも呼ばれる。電池の充電状態とその電流、電圧など測定可能な特性は、非常に複雑な非線形関係になり、且つ電池の使用環境及び寿命の変化によって、直接測定することは難しいため、どのように電池の充電状態を正確に測定するのは国際的な問題であった。
【0003】
電池の健康状態は、理想状態での電池と比較する品質係数であり、SOHと略記する。通常、電池の健康状態は、使用時間及び回数の増加につれて低下する。私達は電池健康状態に対して閾値を設定し、電池の健康状態がこの閾値を下回ると、電池が継続使用に適していないことを意味する。電池の健康状態には、具体的な対応する物理量がないため、産業界ではどのように電池の健康状態を確立する方法がそれぞれ異なり、一般的に、電池インピーダンス、容量、電圧、自己放電の速さ、充電能力、充放電回数などの電気パラメータの変化を用いて、電池の健康状態を評価する。しかしながら、実際の使用中に、電池は、過充電、過熱、短絡、機械的な破壊などの異常な使用により、電池の膨らみ、液漏れなどの健康状態の問題が発生する可能性があり、早期発見されないと、電池が燃焼し、場合によって爆発する恐れがある。
【0004】
電池の充電状態を直接に測定することができず、通常、オフライン及びオンラインの両方のモードで他の物理量を測定して電池の充電状態を推測する。オフラインモードにおいて、電池は一定の速度で充放電し、電量を積分する。このモードでは、電池の充電状態を非常に正確に推測できるが、測定工数が長く、且つ測定過程において電池の作動が中断されなければならない。したがって、オンラインモードで測定する傾向がある。現在のオンラインモードで測定するには、化学法、電圧法、電流積分法、インピーダンス法、カルマンフイルタ法、ニューラルネットワーク法などの間接的に電池の充電状態を推測する方法がある。
【0005】
化学法は、電解液に接触できる電池にのみ適用可能であり、例えば、非密封式の鉛酸電池は、電解液のpH値及び密度を測定することによって充電状態を決定する。
【0006】
電圧法は、既知の充放電の電圧充電状態曲線を比較することにより、電圧値を電池の充電状態に変換するが、リチウムイオン電池の電圧は比較的安定していることが多く、充電状態が異なることによる変化の大きさは非常に小さく、且つ電池電圧が、電流、温度、寿命の影響を大きく受け、この方法で得られた充電状態が正確でない。電圧法は、電流、温度補正係数を導入することによって精度を向上することができるが、精度は依然として高くない。
【0007】
電流積分法は、アンペア積分法又はクーロンカウントとも呼ばれ、電池電流を時間に対する積分をすることによって、電池の充電状態を算出する。この方法は基準点がなく、電池の自己放電により容量減衰が生じ、且つ誤差は累積し、時間とともに徐々に増加する。したがって、この方法を採用する場合に、例えば、充電完了後に電池の充電状態を100%にリセットするなど、電池の充電状態に対する定期的な標定をする必要がある。
【0008】
インピーダンス法は、ACインピーダンスとDCインピーダンスとに分けられ、いずれも電池の充電状態に連係する。電池のACインピーダンスは、電池電圧と電流との間の伝達関数であり、複数変量であり、電池が交流電流に対する抵抗能力を示し、ACインピーダンスメーターで測定される。電池のACインピーダンスは、温度によって大きく影響され、電池が放置された後に開回路状態にあるのか、電池が放電過程においてACインピーダンス測定が行われるかについては意見の不一致がある。DCインピーダンスは、電池が直流電流に対する抵抗能力を示し、実際の測定中に、電池を開回路状態から定電流で充電又は放電し、同時間内に負荷電圧と開回路の電圧と差を電流値で割ったものはDCインピーダンスである。放電後期の鉛蓄電池では、DCインピーダンスが著しく増大し、電池の充電状態を推定することができる。ニッケル水素電池とリチウムイオン電池とのDCインピーダンスの変化は、鉛蓄電池と異なり、電池の充電状態を推定することへの応用が少ない。
【0009】
カフマンフィルタ法の考え方は、動的システムの状態が最小分散推定するように最適推定されるものである。カフマンフィルタ法では、電池を動的システムとして扱い、電池の充電状態はシステムの一つの内部状態である。電池の充電状態を推定するアルゴリズムは、電池の充電状態の推定値及び反映推定誤差を含む、共分散行列の再帰方程式の集合であり、共分散行列が推定誤差の範囲を与えることに用いられる。当該方法は様々の電池に適用し、特に、電池の電流は比較的激しく変動するハイブリッド自動車用の電池の充電状態を推定することに適用可能である。他の方法と比べ、電池の充電状態の推定値を与えるだけでなく、電池の充電状態の推定誤差も与える。
【0010】
ニューラルネットワーク法によれば、電池は高度非線形なシステムであり、充放電過程において正確な数学モデルを確立することは困難である。ニューラルネットワークは、非線形な基本特性を持ち、並列構造及び学習能力を持ち、外部刺激に対応する出力を与えることができ、電池の動的特性をシミュレートして、電池の充電状態を推定することができる。ニューラルネットワーク法は、様々の電池に適用可能であるが、学習に必要な参照データが膨大になり、推定誤差は学習データや学習法の影響を大きく受けるという欠点がある。
【0011】
現在の電池の充電状態及び健康状態を測定する方法は電流、電圧、抵抗などの電気パラメータを測定することに基づき、電池の電気パラメータに与える影響要因が複雑であるため、十分な信頼性の高い結果を得ることができない。
【0012】
したがって、電気パラメータ以外の電池特性パラメータで充電状態及び健康状態を測定できる場合には、充電状態の測定精度を向上させ、健康状態を早期提示することが非常に重要である。
【発明の概要】
【0013】
既存の技術における上記の欠点及び改善の要求に応じて、本発明は、リチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法を提供し、その目的は、音響パラメータとリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態のそれぞれとの対応関係が関連付けられ、そして、音響パラメータを用いて、リチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測し、これによって、既存の技術において電気的なパラメータに基づいてリチウムイオン電池の電量及び健康状態を検測することに生じた信憑性の良くない問題を解決することである。
【0014】
上述した目的を達成するために、本発明の一つの実施形態によれば、リチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を検測する方法を提供し、
まず、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態でのリチウムイオン電池に音波を通して、音響パラメータを検測し、そして、音響パラメータとリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態のそれぞれとの対応関係が関連付けられ、
次に、リチウムイオン電池の音響パラメータを検測することによって、上記の音響パラメータとリチウムイオン電池の充電状態及び健康状態のそれぞれとの対応関係により、リチウムイオン電池の充電状態及び健康状態を判断し、
ここで、上記音響パラメータは、リチウムイオン電池において音波が伝播した後の振幅減衰度、飛行時間と、声紋とを含み、上記飛行時間とは、音波が超音波信号源から超音波受信機まで到達する時間をいう。上記超音波信号源及び超音波受信機の両方が、同一のリチウムイオン電池に接続され、上記声紋とは、音波がリチウムイオン電池を通過した後の波形をいう。
【0015】
さらに、特定の周波数及び振幅の超音波で、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態でのリチウムイオン電池を通過し、当該特定の周波数及び振幅の超音波の振幅減衰度を検測し、そして、異なる充放電の電流条件における、振幅減衰度と、リチウムイオン電池の充電状態との対応関係を確立し、標定チャートを作成し、
次に、リチウムイオン電池使用中に、異なる充放電の電流条件で、当該特定の周波数及び振幅の超音波がリチウムイオン電池を通過した後の振幅減衰度を検測し、上記標定チャートにより、異なる充放電の電流条件における、当該特定の周波数及び振幅の超音波の振幅減衰度と充電状態との対応関係を取得し、電池の充電状態を判断する。
【0016】
上述した発明思想の原理は、ある電池について、標定過程において、電流と、充電状態と、超音波が電池を通過した後の振幅とが、すべて測定して得られる既知の量であり、研究より、これらの間にある対応関係が客観的に存在することに基づく。電池使用中に、充電状態を直接取得することができない。以上の方法によれば、電流と超音波が電池を通過した後の振幅とを測定することによって、電池の充電状態を推測することができる。
【0017】
異なる充電状態で、超音波が電池を通過した後の振幅が変化し、これは上記発明の内容が成立する基礎である。その理由は、異なる充電状態で、リチウムイオン電池内部の正負極の材料が異なり、且つ正負極の材料粒子が充放電過程につれて体積の変化が起こり、電極シート内部の材料粒子の最密充填度が変化することにより、電池の全体が音波エネルギーを吸収する吸収率が変化することであり、その結果、超音波が電池を通過した後の振幅が変化する。
【0018】
さらに、超音波で、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態でのリチウムイオン電池を通過し、飛行時間を取得して、異なる充放電の電流条件における、飛行時間とリチウムイオン電池の充電状態との対応関係を確立し、標定チャートを作成し、次に、リチウムイオン電池使用中に、異なる充放電の電流条件で、超音波がリチウムイオン電池に通過する飛行時間を検測し、上記標定チャートにより、異なる充放電の電流条件における、当該超音波飛行時間と充電状態との対応関係を取得し、電池の充電状態を判断する。
【0019】
上述した発明思想の原理は、ある電池について、標定過程において、電流と、充電状態と、超音波が電池に通過する飛行時間とが、すべて測定して得られる既知の量であり、研究より、これらの間に客観的な対応関係が存在することに基づく。電池使用中に、充電状態を直接取得することができない。以上の方法によれば、電流と超音波が電池に通過する時間とを測定することによって、電池の充電状態を推測することができる。
【0020】
異なる充電状態で、超音波が電池を通過する飛行時間は変化し、これは上記発明の内容が成立する基礎である。その理由は、異なる充電状態で、リチウムイオン電池内部の正負極の材料が異なり、且つ正負極の材料粒子が充放電につれて体積が変化することにより、電極シート内部の材料粒子の最密充填度が変化し、電池内部での平均音速が変化することであり、その結果、超音波が電池を通過した後の振幅が変化する。
【0021】
さらに、特定の周波数及び振幅の超音波で、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態での健康なリチウムイオン電池を通過し、当該特定の周波数及び振幅の超音波の振幅減衰度を取得し、異なる充放電の電流条件における、リチウムイオン電池の健康状態での振幅を取得し、次に、当該特定の周波数及び振幅の超音波で、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態でのリチウムイオン電池を通過し、リチウムイオン電池を通過した当該特定の周波数及び振幅の超音波の振幅が健康状態のリチウムイオン電池に対して異常に低下する場合、リチウムイオン電池の健康状態が悪いことを検知できる。
【0022】
さらに、超音波で、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態での健康なリチウムイオン電池を通過し、当該超音波における特定のピークの飛行時間を取得し、当該特定のピークが異なる充放電の電流条件で健康なリチウムイオン電池を通過した飛行時間を取得し、次に、超音波で、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態でのリチウムイオン電池を通過し、リチウムイオン電池を通過した上記特定のピークの飛行時間が健康状態のリチウムイオン電池に対して異常に低下する場合、リチウムイオン電池の健康状態が悪いことを検知することができる。
【0023】
さらに、超音波で、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態での健康なリチウムイオン電池を通過し、リチウムイオン電池を通過した後の超音波信号を記録し、参照声紋を取得し、次に、超音波が、異なる充放電の電流条件における、様々の充電状態でのリチウムイオン電池を通過し、検測声紋を取得し、上記検測声紋が上記参照声紋に比べて変化幅が設定限度を超えると、リチウムイオン電池の健康状態が悪いことを検知することができる。
【0024】
上述した発明思想の原理は、ある電池について、標定過程において、超音波が電池を通過した後の振幅、波形、及び飛行時間とが、すべて測定して得られる既知の量であり、電池の健康状態が悪化すると、超音波が電池を通過した後の振幅、波形、及び飛行時間は大きく変化することに基づく。電池の健康状態は直接に物理量に対応しないが、間接的な物理量で反映される。以上の方法によれば、超音波が電池を通過した後の振幅、波形、及び飛行時間を取得して、電池の健康状態の変化を間接的に反映し、超音波が電池を通過した後の振幅、波形、及び飛行時間が大幅変化する場合に、健康状態の悪い電池であることを早期警告することができる。
【0025】
本発明のもう一つの実施形態によれば、上記した方法を実現する装置を提供し、超音波信号源と超音波受信機とを備え、上記超音波信号源と上記超音波受信機とが、それぞれ、被験リチウムイオン電池の両側に位置され、上記超音波信号源が超音波を発信することに用いられ、上記超音波受信機が受信し且つ超音波の振幅、飛行時間、及び声紋を記録する。
【0026】
本発明による以上の技術は、従来技術と比べ、以下の有利な効果を奏することができる。
【0027】
本発明は、超音波の手法を採用し、音響の点から異なる充放電の電流及び異なる充電状態での音波が電池において伝達した後の振幅減衰度、飛行時間(音波が超音波信号源から超音波受信機まで到達する時間)、及び声紋(音波が電池を通過した後の波形)で電池の充電状態の測定を行い、電池の健康状態を監視する。
【0028】
本発明によれば、超音波により電池の充放電過程において内部電極の変化をより直接的に得ることができ、電気パラメータの測定とは異なる手法で電池の充電状態及び健康状態のデータを検測することができる。実験より、本発明の方法を用いて、電池の充電状態を有効に検測し、且つ電池の健康状態への監視を行うことができ、様々の形状及び様々の種類のリチウム電池に適用することができ、適用性の良いことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例における電池の充電状態及び健康状態を検測する装置の概念図である。
【図2】本発明の実施例1における50%充電状態での超音波パルスが電池を通過した後の波形(声紋)を示す図である。
【図3】本発明実施例1における放電過程中の超音波信号のピーク値と電池の充電状態との対応関係を示す図である。
【図4】本発明実施例1における充電過程中の超音波信号のピーク値と電池の充電状態との対応関係を示す図である。
【図5】本発明実施例1における放電過程中の超音波信号の飛行時間と電池の充電状態との対応関係を示す図である。
【図6】本発明実施例1における充電過程中の超音波信号の飛行時間と電池の充電状態との対応関係を示す図である。
【図7】本発明の実施例における健康状態が良くない電池の声紋と正常健康状態の電池の声紋との対比図である。
【符号の説明】
【0030】
上記の図面において、同様な符号は同様な構成または構造を示している。
1 超音波信号源
2 電池
3 超音波受信機
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の目的、技術的な解決法、及び利点をより理解しやすくするために、添付の図面及び実施例を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。なお、本明細書に記載される具体的な実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明に限定されるものではないことを理解されたい。また、以下に説明する本発明の各実施例に係る技術的特徴は、互いに矛盾しない限り、組み合わせることが可能である。
【0032】
多くの研究より、リチウムイオン電池を通過する超音波の減衰振幅が、電池の充電状態が増加するにつれて減少し、超音波の飛行時間が、電池の荷電状態の増加により増加し、同時に、同一電池について、異なる充電状態でのピーク位置及び波形は類似する(声紋を抽出できる)ことが見出されている。これは、超音波を用いて電池の充電状態及び健康状態を推定できることを意味している。したがって、上述した原理に基づき、本発明は、電池の充電状態及び健康状態を測定する新たな方法を提供し、且つそれに対応する装置を提供している。
【0033】
本発明の方法においては、音波がリチウム電池を通過した後の振幅減衰度により電池の充電状態を検測する方法は、まず、電池が異なる充放電電流及び異なる充電状態で、特定の周波数及び振幅の超音波が当該電池を通過した後の振幅を測定し、超音波が当該電池を通過した後の振幅と、電流と電池の充電状態との対応関係を標定する。そして、使用中において、特定の周波数及び振幅の超音波が電池を通過した後の振幅を検測し、標定過程で得られた当該電流での振幅と充電状態との対応関係と比較して、電池の充電状態を推定する。
【0034】
本発明の方法においては、上記の音波の飛行時間により電池の充電状態を検測する方法は、まず、異なる充放電の電流及び異なる充電状態で、特定の周波数及び振幅の超音波が当該電池を通過する飛行時間を取得し、超音波が当該電池を通過する飛行時間と、電流と電池の充電状態との対応関係を確立する(標定過程)。そして、使用中に、特定の周波数及び振幅の超音波が電池を通過する飛行時間を検測し、標定過程に得られた当該電流下での音波の飛行時間と充電状態との対応関係と比較し、電池の充電状態を推測する。
【0035】
本発明の方法においては、上記した飛行時間、振幅、及び声紋により電池の健康状態を検測する方法は、まず、異なる充放電の電流及び異なる充電状態で、特定の周波数及び振幅の超音波が当該電池を通過した後の振幅、波形、及び飛行時間を検測し、超音波が当該電池を通過した後の振幅、波形、及び飛行時間の、対応する電流と電池の充電状態の相対的な不変量を抽出する。そして、使用中に、特定の周波数及び振幅の超音波が電池を通過した後の振幅、波形、及び飛行時間を検測し、標定過程に得られた当該電流下での振幅、波形、又は飛行時間の相対的な不変量に比較し、振幅、波形、及び飛行時間と前に抽出する相対的な不変量との差異を電池の健康状態を示すパラメータとし、差異が所定の値に達すると、電池の健康状態が不良であると認定し、交換する必要がある。以上の設計の原理は、ある電池について、標定過程において、超音波が電池を通過した後の振幅と、波形と、飛行時間とが、すべて測定して得られる既知の量であり、電池の健康状態の悪化により、超音波が電池を通過した後の振幅、波形、及び飛行時間は大きく変化することに基づく。電池の健康状態は直接に物理量に対応しないが、間接的な物理量で反映される。我々の方法によれば、超音波が電池を通過した後の振幅、波形、及び飛行時間を取得することによって、電池の健康状態の変化を間接的に反映し、超音波が電池を通過した後の振幅、波形、及び飛行時間が大幅変化する場合、健康状態の不良な電池であることを早期警告することができる。
【0036】
本発明の原理は、リチウムイオン電池の充放電する過程は本質的にリチウムイオンが正極および負極における嵌入及び脱出することである。異なる電池の充電状態で、正極および負極がそれぞれ異なるリチウム含有量を有し、電極の密度、ヤング率、及び結晶構造などの物理量が異なる。しかし、電池の音響パラメータ(例えば、音波振幅減衰度、音波飛行時間、電池を通過した後の波形)の変化は、電池内部にある電極の物理量の変化を直接に反映することできる。したがって、これらの音響パラメータの変化を検測することによって電池の充電状態及び健康状態を検測することができる。
【0037】
図1は、本発明の実施例における電池の充電状態及び健康状態を検測する装置の概念図である。図に示すように、超音波信号源1と、電池2と、超音波受信機3とを備え、電池2は、被験リチウムイオン電池であり、上記超音波信号源1と上記超音波受信機3とが、それぞれ、被験リチウムイオン電池2の両側に位置され、上記超音波信号源が超音波を発信することに用いられ、上記超音波受信機が受信し且つ超音波の振幅、飛行時間、及び声紋を記録することに用いられる。
【0038】
本発明の方法及び装置をより詳しく説明するために、以下の実施例を参照しながら、さらに詳しく説明する。
【0039】
実施例1
超音波信号源と超音波受信機とが、図1に示すように、それぞれ、ソフトパックの三元材料−グラファイトリチウムイオン電池(soft pack NCM−graphite lithium−ion battery、公称容量5000mAh、正常充放電電圧2.8−4.2V)の上下表面に貼り付けられる。超音波信号源から超音波パルス信号を発信し、相手側にある超音波受信機により電池を通過した超音波信号を検測する。
【0040】
図2に示すように、電池試験器により5Aの電流で電池の充放電を行い、異なる充電状態で超音波パルスが当該電池を通過した後の波形(すなわち、声紋)をリアルタイムで記録する。図2は、本発明の実施例における50%充電状態での超音波パルスが電池を通過した後の波形(声紋)、声紋から抽出した最も強いピーク振幅、最も強いピーク超音波の飛行時間などの情報を示している。
【0041】
放電過程において、超音波が電池を通過した後の最も強いピーク振幅(振幅減衰度)と充電状態との対応関係は、図3に示される。図3には、本発明の実施例における放電過程での超音波信号ピーク値と電池の充電状態との対応関係を示している。
【0042】
充電過程において、超音波が当該電池を通過した後の最も強いピーク振幅(振幅減衰度)と充電状態との対応関係は、図4に示されている。図4には、本発明の実施例における充電過程での超音波信号ピーク値と電池の充電状態との対応関係を示している。
【0043】
そして、リチウムイオン電池が、2.8V〜4.2Vの間で、正常に50回充放電され、超音波が当該電池を通過した後の最も強いピーク振幅(振幅減衰度)と充電状態との対応関係は大きく変化しない。
【0044】
図3及び図4より、一定の充放電電流下で、通過した超音波の振幅は充電状態につれて単調変化し、その後の電池使用中に、5Aの電流で充放電するとともに、通過した超音波の最も強いピーク振幅を検測して、図3及び図4のそれぞれに対応する点を検索して、電池の充電状態を取得する。
【0045】
また、同様の方法によって得られた超音波の飛行時間と充電状態との対応関係は、図5、6に示されている。図5は、本発明の実施例における放電過程での超音波信号の飛行時間と電池の充電状態との対応関係を示し、図6は、本発明の実施例における充電過程での超音波信号の飛行時間と電池の充電状態との対応関係を示している。図5及び図6より、一定の充放電の電流下で、超音波の飛行時間と充電状態との間にも一定な対応関係があり、その後の電池使用中に、5Aの電流で充放電するとともに、リチウムイオン電池を通過した超音波の飛行時間を検測して、図5、図6のそれぞれに対応する点を検索して、電池の充電状態を取得することもできる。
【0046】
実施例2
実施例1の電池を4.25Vに過充電し、充電と放電を5回繰り返して、電池の健康状態をある程度破壊させ、電池の満充電容量が公称容量の60%まで低下した後、図1に示す装置で健康状態が破壊された電池を検測する。
【0047】
試験結果は、通過した超音波の最も強いピークの振幅が健康状態の電池の5分の1に減少したことを示した。したがって、電池使用中に、通過した超音波の最も強いピークの振幅の異常低下が、電池が健康状態でないことを示すことが分かる。
【0048】
実施例3
実施例1の電池が、5Aの電流下で、正常に充電と放電を500回繰り返して、電池を劣化させ、健康状態がある程度に破壊され、電池の満充電容量が公称容量の80%まで低下した後、図1に示す装置で劣化した電池を検測する。
【0049】
試験結果は、図7に示すように、通過した超音波の波形(声紋)が大きく変化することが分かる。図7は、本発明の実施例における健康状態でない電池の声紋と正常な健康状態での電池の声紋との対比図である。実線は電池が正常な健康状態での声紋であり、破線は電池が劣化した後の声紋であり、電池が劣化した後、健康状態出ない場合、第4及び第6のピークが分裂され且つ全体が異常に左シフトする。したがって、被験電池を通過した超音波波形と健康状態の電池を通過した超音波波形とを比較することによって、被験電池の劣化による健康状態の悪化を判定することができる。
【0050】
要するに、本発明の方法は、電気的なパラメータに依存する電池の充電状態を測定する従来の方法と異なり、本発明のように、超音波を用いて、電池を通過した音響パラメータの変化によって、電池の充電状態と健康状態とを検測することは初めてであり、検測過程においては、電気的なパラメータのような多くの要因による影響を受けず、検測結果は比較的に正確である。
【0051】
当業者であれば、上記の説明は本発明の好ましい実施例であり、本発明を限定することを意図したものではなく、本発明の精神および原理の範囲内でなされた変更、均等な置換および改良、全てが本発明の保護の範囲に含まれるべきである。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【国際調査報告】