(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019501221
(43)【公表日】20190117
(54)【発明の名称】末梢関節、脊椎関節および/または結合組織の細胞外マトリックス構成要素の処置のための製剤、製造方法および使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20181214BHJP
   A61P 19/04 20060101ALI20181214BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20181214BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20181214BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20181214BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20181214BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20181214BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20181214BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20181214BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20181214BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20181214BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20181214BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20181214BHJP
   A61K 31/7008 20060101ALI20181214BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20181214BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20181214BHJP
   A61K 31/10 20060101ALI20181214BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20181214BHJP
   A61K 31/125 20060101ALI20181214BHJP
   A61P 23/02 20060101ALI20181214BHJP
   A61K 31/045 20060101ALI20181214BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20181214BHJP
【FI】
   !A61K45/00
   !A61P19/04
   !A61P19/02
   !A61K9/10
   !A61K9/127
   !A61K47/10
   !A61K47/34
   !A61K47/14
   !A61K47/18
   !A61K47/38
   !A61K47/04
   !A61K47/46
   !A61P29/00
   !A61K31/7008
   !A61P3/02 107
   !A61K31/375
   !A61K31/10
   !A61K31/165
   !A61K31/125
   !A61P23/02
   !A61K31/045
   !A61P7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】2018554305
(86)(22)【出願日】20151230
(85)【翻訳文提出日】20180824
(86)【国際出願番号】RU2015000964
(87)【国際公開番号】WO2017116273
(87)【国際公開日】20170706
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】518235387
【氏名又は名称】アレクサンドル・ヴィレノヴィチ・アサフォフ
【氏名又は名称原語表記】ASAFOV, Alexander Vilenovich
【住所又は居所】ロシア119261モスクワ、レニンスキー・プロスペクト77−2−287
(71)【出願人】
【識別番号】518235398
【氏名又は名称】グラヴィーナ・リヴィオ・オルシーニ
【氏名又は名称原語表記】Gravina Livio ORSINI
【住所又は居所】シンガポール596744シグネチャー・パーク、トー・タック・ロード52エイ番、ナンバー05−05
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・ヴィレノヴィチ・アサフォフ
【住所又は居所】ロシア119261モスクワ、レニンスキー・プロスペクト77−2−287
(72)【発明者】
【氏名】グラヴィーナ・リヴィオ・オルシーニ
【住所又は居所】シンガポール596744シグネチャー・パーク、トー・タック・ロード52エイ番、ナンバー05−05
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076AA19
4C076BB31
4C076CC04
4C076CC09
4C076DD09
4C076DD29
4C076DD38
4C076DD44
4C076DD44R
4C076DD50Z
4C076DD51
4C076EE23
4C076EE27
4C076EE32G
4C076FF16
4C076FF17
4C076FF34
4C076FF39
4C076FF43
4C076FF61
4C076FF68
4C084AA17
4C084MA21
4C084MA24
4C084MA63
4C084NA03
4C084NA05
4C084NA10
4C084NA11
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA18
4C086EA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA21
4C086MA24
4C086MA63
4C086NA03
4C086NA05
4C086NA10
4C086NA11
4C086ZA08
4C086ZA54
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZC28
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA13
4C206DB24
4C206GA03
4C206GA28
4C206JA22
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA28
4C206MA41
4C206MA44
4C206MA83
4C206NA03
4C206NA05
4C206NA10
4C206NA11
4C206ZA08
4C206ZA21
4C206ZB11
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、薬剤学の分野に属し、末梢関節、脊椎関節および/または結合組織の細胞外マトリックス構成要素の処置のための外用製剤に関する。本発明の製剤は、医薬的活性成分、特に硫酸グルコサミンまたは他のグルコサミン塩、および更なる成分の罹患関節への優れた(既存の類似物と比較して)経皮送達を提供する。また、該製剤の製造方法およびその治療用途を提案する。提案される製剤の有効性を臨床試験結果により確認した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の1つ以上の医薬的活性成分および少なくとも下記成分:
60重量%〜80重量%の水、
1.0重量%〜6.0重量%のグリセロール、
0.7重量%〜4重量%のブチレングリコール、
12.1重量%までのC8脂肪族アルコール、
3.5重量%までのC16脂肪族アルコール、
4.2重量%までのC21脂肪族アルコール、
2.0重量%までのC15-C17脂肪酸エステル、
1.4重量%までのポリシロキサン、
1.4重量%までのC2ポリグリコール、
0.98重量%までのC20ポリグリコール
を含む、製剤。
【請求項2】
該製剤が、末梢関節、脊椎関節および/または結合組織の細胞外マトリックス構成要素の処置のためである、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
該製剤中の成分が、凝集および沈降安定な分散系を形成し、該系がミセルおよび/またはリポソーム構造を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
該構造が、少なくとも1つの群を形成し、構造の少なくとも90%の流体力学的径/サイズが、15〜100 nmであり、サイズによる粒子数の分布の最大値が、25〜50 nmである、請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
該構造が、少なくとも2つの群を形成し、
第1の群において、構造の少なくとも90%の流体力学的径/サイズが、15〜100 nmであり、サイズによる粒子数の分布の最大値が、25〜50 nmであり、
第2の群において、構造の少なくとも90%の流体力学的径/サイズが、500〜7000 nmであり、サイズによる粒子数の分布の最大値が、1500〜5000 nmである、
請求項3に記載の製剤。
【請求項6】
該1つ以上の医薬的活性成分がグルコサミン塩である、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
グルコサミン塩が硫酸グルコサミンである、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
グルコサミン塩が硫酸グルコサミン塩化カリウムである、請求項6に記載の製剤。
【請求項9】
硫酸グルコサミン塩化カリウムが製剤中4〜14重量%の量で存在する、請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
アミノポリカルボン酸を0.05〜0.3重量%の量でさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
ヒドロキシエチルセルロースを0.12〜1.0重量%の量でさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
ジメチルスルフィド(DMS)を0.5〜5重量%の量でさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項13】
アスコルビン酸を0.05〜0.3重量%の量でさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項14】
カプサイシノイド、特にカプサイシンを0.05〜0.5重量%の量でさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項15】
カンフルを0.2〜1.8重量%の量でさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項16】
シリカゲルを0.005〜0.05重量%の量でさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項17】
ショウガ抽出物を0.00005〜0.005重量%の量でさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項18】
該製剤が、メチルパラベンを0.01〜0.3重量%の量でおよび/またはメチルイソチアゾリノンを0.01〜0.05重量%の量でさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項19】
該製剤が、サルビアアルバ樹皮抽出物のプロパンジオールとの混合物(ISCAGUARD(登録商標)SAP)を0.02〜2.5重量%の量でさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項20】
該製剤が、香料、ペパーミント油および/またはメントールを0.02〜1.5重量%の量でさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項21】
シリカゲルを0.005〜0.05重量%の量でさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項22】
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(HOCH2)3CNH2(トリス)を0.1〜0.9重量%の量でさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項23】
水 71.69重量%
グリセロール 3.0重量%
ブチレングリコール 2.0重量%
セチルアルコール 2.3重量%
ステアリン酸グリセリル 3.8重量%
トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 5.0重量%
オクタン酸セチル 1.0重量%
ジメチコン 1.0重量%
ステアレス-2 1.0重量%
ステアレス-20 0.66重量%
硫酸グルコサミン塩化カリウム 8.00重量%
メチルイソチアゾリノン 0.05重量%
メチルパラベン 0.2重量%
ペパーミント油 0.3重量%
を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項24】
末梢関節、脊椎関節および/または結合組織の細胞外マトリックス構成要素の処置のための製剤の製造方法であって:
(i)高純度水を60〜80重量%の量で第1の混合タンクへ加え;グリセロールを1〜6重量%の量で加え;ブチレングリコールを0.7〜4重量%の量で加え;一定に撹拌しながら混合物を65〜70℃に加熱すること;
(ii)第2の混合タンクへ、1つ以上のC16脂肪族アルコールを0.3〜3.5重量%の量で、1つ以上のC21脂肪族アルコールを1〜4.2重量%の量で、1つ以上のC8脂肪族アルコールを1.7〜12.1重量%の量で、1つ以上のC15-C17脂肪酸エステルを0.3〜2.0重量%の量で、1つ以上のポリシロキサンを0.3〜1.4重量%の量で、1つ以上のC2ポリグリコールを0.3〜1.4重量%の量で、および1つ以上のC20ポリグリコールを0.22〜0.98重量%の量で加え;一定に撹拌しながら混合物を65〜70℃に加熱すること;
(iii)(ii)の混合物を第1の混合タンクへ一定に撹拌しながら5分間で加え;混合物を50℃以下に冷却し;一定に撹拌しながら、1つ以上の医薬的活性成分を加え;30℃に冷却し;一定に撹拌しながら、防腐剤および香料加えること、
を含み、これにより末梢関節、脊椎関節および/または結合組織の細胞外マトリックス構成要素の処置のための製剤を製造する、方法。
【請求項25】
該1つ以上の医薬的活性成分がグルコサミン塩である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
グルコサミン塩が硫酸グルコサミンである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
グルコサミン塩が硫酸グルコサミン塩化カリウムである、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
工程(i)において、加熱する前に、アミノポリカルボン酸を0.05〜0.3重量%の量で第1の混合タンクへ加えることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
工程(i)において、加熱する前に、ヒドロキシエチルセルロースを0.12〜1.0重量%の量で第1の混合タンクへ加えることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
工程(iii)において、1つ以上の医薬的活性成分を加えた後に、DMSを0.5〜5重量%の量で加えることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
工程(iii)において、1つ以上の医薬的活性成分を加えた後に、アスコルビン酸を0.05〜0.3重量%の量で加えることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
工程(ii)において、65℃の温度に達した後、カプサイシンを0.05〜0.5重量%の量で第2の混合タンクへ加える、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
工程(i)において、加熱する前に、シリカゲルを0.005〜0.05重量%の量で第1の混合タンクへ加える、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
工程(ii)において、50℃まで冷却した後に、ショウガ抽出物を0.00005〜0.005重量%の量で第2の混合タンクへ加える、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
工程(iii)において、メチルパラベンを0.01〜0.3重量%の量でおよび/またはメチルイソチアゾリノンを0.01〜0.05重量%の量で加える、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
工程(iii)において、サルビアアルバ樹皮抽出物のプロパンジオールとの混合物(ISCAGUARD(登録商標)SAP)を0.02〜2.5重量%の量で加える、請求項24に記載の方法。
【請求項37】
工程(iii)において、ペパーミント油および/またはメントールを0.02〜1.5重量%の量で加える、請求項24に記載の方法。
【請求項38】
工程(i)において、水を加えた後に、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを0.1〜0.9重量%の量で第1の混合タンクへ加える、請求項24に記載の方法。
【請求項39】
請求項24に記載の方法により製造される製剤。
【請求項40】
請求項1または39に記載の製剤を、罹患関節または背骨側の皮膚上に、少なくとも2〜3 cmの長さで少なくとも0.5 cmの幅のストリップで適用し、完全に吸収されるまで皮膚に少なくとも1日2回、最大で1日5〜6回擦り込む、処置方法であって、該製剤が、少なくとも3週間毎日用いられ、処置が達成されるまで繰り返す、方法。
【請求項41】
該処置方法が、末梢関節、脊椎関節および/または結合組織の細胞外マトリックス構成要素の処置方法である、請求項40に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤学の分野に属する。より具体的には、それは末梢関節、脊椎関節および/または結合組織の細胞外マトリックス構成要素の疾患の処置のための局所製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
グルコサミン(2-アミノ-2-デオキシ-D-グルコース)、特に硫酸グルコサミン塩化カリウムは、内因性グリコサミノグリカンの合成の特異的基質および刺激物質である。それはアミノサッカライドのクラスに属し、グリコサミノグリカン、さらにプロテオグリカンの普遍的な前駆体および構成要素であり、これらは今度は生物体の結合組織(筋膜、靭帯、腱、軟骨、関節、関節包、および椎間板)の細胞外マトリックスの構成要素である。
【0003】
グルコサミンは、末梢関節および脊椎関節(椎間板を含む)の軟骨表面の修復を促進し、そのびらんを防止する。それはまた、関節疾患の後期に軟骨下から侵食される骨組織を修復させ、軟骨組織の弾性および弾力性ならびに機械的ストレスに対する抵抗性を増加させ、関節での運動の幅を増加させ、滑液の質を改善し、微小循環を改善し、関節組織の屈性を改善し、そして浮腫を減少させる。
【0004】
また、グルコサミンは、抗炎症および鎮痛特性を有する。それは非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の必要性を減少させ、NSAIDの用量を減少させるかまたはNSAID処置すべてを排除することを可能にする。それはスーパーオキシドラジカルの形成および軟骨組織に損傷を与える酵素(コラゲナーゼおよびホスホリパーゼ)の産生を抑制する。
【0005】
グルコサミンは、炎症性および変性変化を引き起こす、特にコラーゲンおよび軟骨マトリックスにおける、骨および結合組織代謝障害の予防および処置に有効な軟骨保護剤(chondroprotector)であることが証明されている[1]。滑液中のグリコサミノグリカンおよびプロテオグリカンの特異的基質および構造単位である内因性グルコサミンの濃度は、変性疾患の発症および経過に大きな影響を及ぼす。内因性グルコサミンが不足する場合、グルコサミン製剤は、血漿および滑液中のグルコサミンを補充し、これにより軟骨びらんを減速し、逆転さえする。
【0006】
グルコサミン製剤は、100〜1500 mgの範囲の単回投与としての投与が意図される、グルコサミン塩酸塩または硫酸グルコサミンを含有する経口、注射および外用剤形に広く代表される。
【0007】
グルコサミンベースの製剤は、しばしば更なる成分ジメチルスルフィド(DMS;その別名はメチルスルホニルメタン(MSM)である)およびアスコルビン酸を含み、これらは生物体に対する陽性の治療効果を有する。より具体的には、DMSは、鎮痛および抗炎症作用を有する。また、それは、炎症部位におけるヒドロキシルラジカルの不活性化、代謝プロセスの改善を促進し、末梢ニューロンにおける侵害受容インパルスを遅らせる。DMSは、ヒスタミン、ブラジキニンおよびプロスタグランジンE1の血管に対する作用に拮抗する。
【0008】
アスコルビン酸は、著しい抗酸化および抗血小板特性を有し、プロスタグランジンならびに炎症およびアレルギー反応の他のメディエーターの産生を抑制し、酸化還元プロセス、炭水化物代謝、血液凝固および組織再生の調節に関与する。
【0009】
先行文献は、グルコサミン塩、DMS、軟膏基剤および非ステロイド性抗炎症薬を含む、関節疾患の処置のための薬剤を開示している(特許RU 2259204 C1、2005年8月27日発行;特許EA 007597 B1、2006年12月29日発行)。
【0010】
先行文献は、許容される軟膏基剤に含まれるグルコサミン塩、コンドロイチン硫酸塩およびDMSを含む関節疾患の処置のための薬剤を開示している(特許RU 2271812 C1、2006年3月20日発行)。
【0011】
先行文献は、コンドロイチン硫酸、硫酸グルコサミン、アセチルグルコサミンおよびいくつかの変種の軟膏基剤の混合物を含む、末梢関節および脊椎の治療のための薬剤を開示している(特許RU 2376011、2009年12月20日発行)。
【0012】
先行文献は、コンドロイチン硫酸、グルコサミン塩、MSM、トロキセルチン、N-メチル-2-ピロリドンおよび軟膏基剤を含む、関節疾患の処置のための医薬組成物を開示している(特許RU 2408380、2011年1月10日発行)。
【0013】
先行文献は、カプサイシノイド、グルコサミンまたはその塩および軟膏基剤からなる、関節および筋肉痛の処置のための組成物を開示している(特許US 6,689,399、2004年2月10日発行)。
【0014】
先行文献は、治療上有効量のコンドロイチン硫酸、N-アセチルD-グルコサミンおよびヒアルロナンを鎮痛剤の不存在下含む、リウマチ性関節炎を処置するための組成物を開示している(特許出願US20080003258、2008年1月3日公開)。
【0015】
先行文献は、0.1〜15%硫酸グルコサミン塩化ナトリウムを含む、経皮の関節痛治療組成物であって、該経皮組成物が、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリル、イソプロピルミリステート、レシチン、ブチル化ヒドロキシルトルエン、シメチコン、尿素、ソルビン酸カリウム、水酸化ナトリウム、ステアリン酸ポリオキシル40、EDTA二ナトリウムおよび水の群より選択される1つ以上の物質からなる、経皮組成物を開示している(特許出願US20080102107、2008年5月1日公開)。
【0016】
しかしながら、すべての既存のグルコサミンベースの製剤は、実際面ではそれらを使用する利益を減少させる欠点がある。実際面で経口グルコサミン製剤の使用を制限する理由は、必要なバイオアベイラビリティを提供するために高グルコサミン濃度および長期経口投与を用いることが必要とされることであり、これは、消化管の相当な炎症およびそれに関連する副作用を引き起こし得る。
【0017】
コンドロイチンおよびグルコサミンを含む、既存の外用剤形(クリーム剤、軟膏剤、乳剤、ゲル剤)は、皮膚および組織を通って、罹患領域周囲の滑膜へ活性成分および添加剤を送達する効果的な機構を有しない。したがって、コンドロイチンおよびグルコサミンの潜在的な高い有効性にもかかわらず、古典的な局所剤の治療効果は、経口形態より極めて少ない。
【0018】
注射用のグルコサミン製剤は、最大のバイオアベイラビリティを提供するが、すべての患者に許容されるわけではない投与方法そのものおよび訓練された医療従事者が投与する必要性によって限定される。
【0019】
経皮送達のためのすべての上記製剤は、医薬的活性成分、特にグルコサミンおよびその塩のために物理的に構造化された経皮担体を欠く。上記成分(179.2(グルコサミン)から456.4(硫酸グルコサミン)の分子量を有する)が皮膚を通過することにより、活性成分の極めてわずかな量の送達となる。例えばDMSなどの皮膚の透過性を向上させる添加剤を製剤に導入することで、上記医薬的活性成分のバイオアベイラビリティがわずかしか増大しない。皮膚の透過性の増加を促進する成分として最も頻繁に明らかにされている、DMSは、多くの禁忌をもたらす副作用を有し得ることも留意すべきである。例えば、重度心血管機能障害、アテローム性動脈硬化症、腎臓または肝臓障害、卒中、妊娠、昏睡、狭心症、授乳中、緑内障および白内障の場合、DMSは禁忌である。DMSは、他の医薬の副作用を増大させ得る。DMSは、制限に従って、9歳未満の子供および高齢者には注意して用いられる。
【0020】
特許出願US20050232980(2005年10月20日公開)は、グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸の経皮送達のための懸濁液形態の組成物であって、0.01%〜20%のグルコサミン;0.01%〜20%のコンドロイチン硫酸;0.01%〜10%のカンフル;0.01%のメントール;0.01%〜20%の抗炎症剤;ならびにレシチンオルガノゲル、MSM、ベンジルアルコール、安息香酸、またはそれらの組合せ(単独または他の上記化学成分と混合した使用準備済のレシチンオルガノゲルを、上記の医薬的活性成分および補助成分と混合する)の形態の経皮担体を含む、組成物を開示する。該レシチンオルガノゲルのミセルは、皮膚を容易に透過する能力が証明されており、理論的には、問題の医薬的活性成分のバイオアベイラビリティに良い影響を及ぼし得る。しかしながら、レシチンオルガノゲルは、レシチン、非極性有機溶媒、および数十分の1および数百分の1重量%に相当する極めて狭い範囲の濃度の水を含む、三成分系に存在する[3]。したがって、医薬的に有意な量の水可溶性成分、例えばグルコサミンおよびその塩を運ぶレシチンオルガノゲルの能力は、極めて限られる。
【0021】
したがって、医薬的活性成分および補助成分の罹患関節領域へのより効率的な経皮送達を提供する局所剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0022】
本発明にしたがって提案される末梢関節、脊椎関節および/または結合組織の細胞外マトリックス構成要素の処置のための製剤において、医薬的活性成分および補助成分の組織への経皮送達の本質的に新規な方法が用いられ、すなわち、ミセルおよび/またはリポソーム構造に基づく経皮送達システムであって、該システムが、少なくとも下記成分:
60重量%〜80重量%の水、
1.0重量%〜6.0重量%のグリセロール、
0.7重量%〜4重量%のブチレングリコール、
12.1重量%までのC8脂肪族アルコール、
3.5重量%までのC16脂肪族アルコール、
4.2重量%までのC21脂肪族アルコール、
2.0重量%までのC15-C17脂肪酸エステル、
1.4重量%までのポリシロキサン、
1.4重量%までのC2ポリグリコール、
0.98重量%までのC20ポリグリコール
を含む凝集および沈降安定な分散系を含む、システムが用いられる。
【0023】
流体力学的径/サイズが異なる構造の少なくとも1または2つの群からなる分散系であって、第1の群は、脂質層で囲まれた/脂質層と結合した活性成分および補助成分を含む、0.1〜100 nmのサイズのミセルナノカプセルからなり、第2の群は、200〜8000 nmのサイズのミセルおよび/またはリポソーム構造を含む、分散系により、優れた経皮送達が提供される。
【0024】
提案される送達システムは、筋肉内注射により提供される効率に匹敵し、錠剤または従来の軟膏剤により提供される効率より数倍高い効率で、標的細胞へのグルコサミン送達を提供する。また、麻酔効率の点で、本発明による製剤は、市販の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と同じ、またはそれより良好なレベルで作用する。罹患関節の麻酔効率および運動回復ならびにNSAIDの必要とされる用量の減少または排除の点で、本発明による経皮製剤は、公知な注射用のグルコサミンベース剤に相当するか、またはそれより優れている。
【0025】
本発明による活性成分の局所適用は、消化管酵素による活性成分の分解を防止し、顕著により大きな治療効果を提供する。
【0026】
提案される製剤は、骨関節症に対抗するための2つの原則:迅速な抗炎症および麻酔作用;長期の処置後効果により特徴付けられる罹患組織の安定した修復および軟骨の強化を組み合わせる。また、末梢関節、脊椎関節および/または結合組織の細胞外マトリックス構成要素の処置のための提案される製剤は、長期使用の間安全であり、副作用があってもほとんどない。
【0027】
本発明の技術的成果は、血漿および罹患部位周囲の滑液中の医薬的活性成分および補助成分のバイオアベイラビリティを顕著に増加させることにより、末梢関節、脊椎関節および/または結合組織の細胞外マトリックス構成要素の処置のための局所剤の薬理学的有効性を増加させることである。
【0028】
提案される薬物製剤は、医薬的活性剤および添加剤の罹患関節への経皮送達、特に硫酸グルコサミンおよび他のグルコサミン塩の経皮送達がより効率的であることから、既存の製剤と比較して実質的により著しい治療および麻酔効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、製剤Aの試料におけるサイズによるミセル/リポソーム数(相対体積)の分布を示す。
【図2】図2は、動物の剃毛した皮膚に製剤Aを適用した後のラット血漿におけるグルコサミン濃度(μg/mL)対時間(時間)プロファイルを示す。
【図3】図3は、2群における処置中の経時的総WOMACスコア(VAS)を示す。
【図4】図4は、2群における処置中の経時的総WOMAC機能不全スコア(VAS)を示す。
【図5】図5は、2群における処置中の1週当たりのNSAID(イブプロフェン)平均必要量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
成分の量を示すために本明細書の全体にわたって用いられる「重量%」なる表現は、提案される製剤中における、該製剤の総重量に対する該成分の重量の百分率比を意味する。
【0031】
本発明によれば、末梢関節、脊椎関節および/または結合組織の細胞外マトリックス構成要素の処置のための製剤は、極性医薬的活性成分、特にグルコサミンと、添加剤、例えばDMSおよび/またはアスコルビン酸を、罹患器官周囲の真皮および組織の微小毛細血管循環へ経皮送達する本質的に新規な方法を利用する。より具体的には、1つ以上の医薬的活性成分に加えて、開示の製剤は、ミセルおよびリポソーム構造に基づく経皮送達のためのシステムを含み、少なくとも下記成分:
60重量%〜80重量%の水、
1.0重量%〜6.0重量%のグリセロール、
0.7重量%〜4重量%のブチレングリコール、
12.1重量%までのC8脂肪族アルコール、
3.5重量%までのC16脂肪族アルコール、
4.2重量%までのC21脂肪族アルコール、
2.0重量%までのC15-C17脂肪酸エステル、
1.4重量%までのポリシロキサン、
1.4重量%までのC2ポリグリコール、
0.98重量%までのC20ポリグリコール
を含む、凝集および沈降安定な分散系を含む。
【0032】
製剤内に分散するミセルおよびリポソーム構造は、流体力学的径/サイズが異なる少なくとも2つの群を形成し得て、ここで、当該構造数(相対体積)対特徴的なサイズの分布は、最大を有するガウス曲線に似ている。
【0033】
より具体的には、該構造の第1群は、0.1〜100 nm、特に15〜80 nmのサイズのミセルナノカプセルであって、構造の少なくとも90%の流体力学的径/サイズは、15〜100 nmであり、粒子数(相対体積)の分布の最大値は、25〜50 nmであり;各ミセルは、ケラチノサイト膜と同様の人工脂質コーティングにより囲まれ、活性剤および添加剤を含む/それらと結合する、ミセルナノカプセルからなる。
【0034】
第2の群は、200〜8000 nm、特に500〜7000 nmのサイズのミセルおよび/またはリポソーム構造であって、構造の少なくとも90%の流体力学的径/サイズは500〜7000 nmであり得て、粒子数(相対体積)の分布の最大値は1500〜5000 nmであり得て;当該群の構造はまた活性剤および添加剤を含む/それらと結合する、ミセルおよび/またはリポソーム構造からなる。
【0035】
それらの特定の組成およびサイズのおかげで、構造の第1の群のナノカプセルは、組織細胞を変形または損傷させることなく、細胞間隙を容易に移動することができる。製剤が皮膚に擦り込まれとき、ミセルは、効率的かつ非破壊的に、皮膚細胞の孔および細胞間隙ならびに微小毛細血管を通って血流に入る。ミセルの人工生体膜は、血漿に接触すると分解し、グルコサミンおよび添加剤を放出し、これらは、血流から、罹患関節の滑液へまたは最初に罹患関節周囲の組織へ、その後罹患関節自体へ拡散する。
【0036】
製剤が皮膚へ擦り込まれるにつれて、第2の群に属するより大きい構造は、効率的かつ非破壊的に、一部細胞間隙を通るが、主に孔または真皮チャネルを通り、グルコサミンおよび補助成分を微小毛細血管へ放出し、これらは、血流へ、その後罹患関節の滑液へまたは最初に罹患関節周囲の組織へ、その後罹患関節自体へ拡散する。
【0037】
開示の製剤の最適な構成を決定することを目的とする研究が示しているとおり、高い透過能力ならびに凝集および沈降安定性を提供し、そしてこれにより、医薬的活性成分の優れたバイオアベイラビリティおよび少なくとも3年の期間薬物の保存安定性を提供する、ミセルおよびリポソーム構造を形成するのは、上記リストの示される相対量の構成要素である。
【0038】
また、本明細書に記載の本発明の製剤の製造方法の実施により、この構造、特にミセルおよび/またはリポソームを提供するのは、分散系の示される構成である。さらに、製剤の説明および製造方法に示される分散系に含有される成分の量のみが、本明細書に記載の製造技術に従うことを条件として、高い浸透能力と組み合わせて提案される製剤の凝集および沈降安定性を提供する。
【0039】
本発明によれば、上記研究は、上記経皮送達システムが、例えば任意のグルコサミン塩、例えばグルコサミン塩酸塩、硫酸グルコサミン、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムで安定化された硫酸グルコサミンを送達するのに用いられ得ることを示している。しかしながら、血漿および滑液においてグルコサミンのバイオアベイラビリティの最大値を提供することが見出されたのは硫酸グルコサミン塩化カリウムの使用である。
【0040】
本発明の一実施態様において、提案される製剤は、末梢関節、脊椎関節および/または結合組織の細胞外マトリックス構成要素の処置のために用いられる。
【0041】
一実施態様において、該「1つ以上の医薬的活性成分」は、グルコサミン塩、例えば硫酸グルコサミン塩化カリウムであり、グルコサミン塩、特に硫酸グルコサミン塩化カリウムは、製剤中4重量%〜14重量%の量で存在する。一実施態様において、該量は、7.0重量%〜9.5重量%の範囲である。別の一実施態様において、該量は、8.00重量%である。
【0042】
別の一実施態様において、1つ以上の医薬的活性成分は、提案される製剤中有効量で存在する。本発明のいくつかの実施態様において、開示の製剤は、他の医薬的活性成分、例えばヘパリン、ケトプロフェン、リドカインおよび他の化合物をさらに含み得る。
【0043】
1つ以上の医薬的活性成分に加えて、提案される製剤は、少なくとも下記の更なる成分:
60重量%〜80重量%の水、
1.0重量%〜6.0重量%のグリセロール、
0.7重量%〜4重量%のブチレングリコール、
12.1重量%までのC8脂肪族アルコール、
3.5重量%までのC16脂肪族アルコール、
4.2重量%までのC21脂肪族アルコール、
2.0重量%までのC15-C17脂肪酸エステル、
1.4重量%までのポリシロキサン、
1.4重量%までのC2ポリグリコール、
0.98重量%までのC20ポリグリコール
を含む。一実施態様において、水は、提案される製剤中67〜75重量%の量で存在し;一実施態様において、水は、71.69重量%の量で存在する。
【0044】
別の一実施態様において、グリセロールは、製剤中、2.0〜4.0重量%の量で存在し;一実施態様において、グリセロールは、3.0重量%の量で存在する。
【0045】
別の一実施態様において、ブチレングリコールは、製剤中、1.0〜3.0重量%の量で存在し;一実施態様において、ブチレングリコールは、2.0重量%の量で存在する。
【0046】
一実施態様において、成分C8脂肪族アルコールは、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリルである。別の一実施態様において、C8脂肪族アルコール、例えばトリ(カプリル/カプリン酸)グリセリルは、製剤中、1.7〜12.1重量%の量で、別の一実施態様において、3.0〜7.0重量%の量で、また別の一実施態様において、5.0重量%の量で存在する。
【0047】
一実施態様において、C16脂肪族アルコールは、セチルアルコールにより代表される。別の一実施態様において、C16脂肪族アルコール、例えばセチルアルコールは、製剤中、0.3〜3.5重量%の量で;別の一実施態様において、1.5〜3.0重量%の量で、また別の一実施態様において、2.3重量%の量で存在する。
【0048】
本発明の一実施態様において、C21脂肪族アルコールは、ステアリン酸グリセリルにより代表される。別の一実施態様において、C21脂肪族アルコール、例えばステアリン酸グリセリルは、製剤中、1.0〜4.2重量%の量で;別の一実施態様において、3.0〜4.0重量%の量で、また別の一実施態様において、3.8重量%の量で存在する。
【0049】
一実施態様において、C15-C17脂肪酸エステルは、オクタン酸セチルにより代表される。別の一実施態様において、C15-C17脂肪酸エステル、例えばオクタン酸セチルは、製剤中、0.3〜2.0重量%の量で、別の一実施態様において、0.7〜1.3重量%の量で、また別の一実施態様において、1.0重量%の量で存在する。
【0050】
別の一実施態様において、ポリシロキサンは、製剤中、0.3〜1.4重量%の量で;別の一実施態様において、0.3〜1.0重量%の量で存在する。他の実施態様において、ポリシロキサンは、製剤中存在しない。
【0051】
別の一実施態様において、C2ポリグリコールは、ステアレス-2である。別の一実施態様において、C2ポリグリコール、例えばステアレス-2は、製剤中、0.3〜1.4重量%の量で;別の一実施態様において、0.7〜1.3重量%の量で、また別の一実施態様において、1.0重量%の量で存在する。
【0052】
本発明の一実施態様において、C20ポリグリコールは、ステアレス-20である。別の一実施態様において、C20ポリグリコール、例えばステアレス-20は、製剤中、0.22〜0.98重量%の量で;別の一実施態様において、0.50〜0.80重量%の量で、また別の一実施態様において、0.66重量%の量で存在する。
【0053】
一実施態様において、1つ以上の更なる成分は、アミノポリカルボン酸を0.05〜0.3重量%の量で(この酸は、リガンドファミリーに属し、製剤の安定性を制御する金属イオン封鎖剤として作用する)、ヒドロキシエチルセルロースを0.12〜1.0重量%の量でおよび/またはシリカゲルを0.005〜0.05重量%の量で(これらは、製剤の粘度を制御することを可能にするレオロジー調整剤として作用する)含む。
【0054】
別の一実施態様において、1つ以上の更なる成分は、DMSを0.5〜5重量%の量で含む。
【0055】
別の一実施態様において、1つ以上の更なる成分は、アスコルビン酸を0.05〜0.3重量%の量で含む。
【0056】
別の一実施態様において、1つ以上の更なる成分は、防腐剤および/または香料含む。
【0057】
別の一実施態様において、1つ以上の更なる成分は、カプサイシノイド、特にカプサイシンを0.05〜0.5重量%の量で、カンフルを0.2〜1.8重量%の量で、ショウガ抽出物を0.00005〜0.005重量%の量で、ペパーミント油および/またはメントールを0.02〜1.5重量%の量で含み、これらは、皮膚に適用されたとき、「温める」または部分的に麻酔効果を有し、これにより患者に快適さを与える。特に、該0.02〜1.5重量%の量のペパーミント油および/またはメントールは、製剤中香料として用いられ得る。
【0058】
別の一実施態様において、1つ以上の更なる成分は、標準的な防腐剤、特にメチルパラベンを0.01〜0.3%の量で、一実施態様において、0.2重量%の量でおよび/またはメチルイソチアゾリノンを0.01〜0.07%の量で、一実施態様において、0.05重量%の量で含む。「防腐剤非含有」製剤を製造するために、0.02〜2.5重量%の量のサルビアアルバ樹皮抽出物のプロパンジオールとの混合物(ISCAGUARD(登録商標)SAP)を用いて、従来の防腐剤を置き換え得る。
【0059】
別の一実施態様において、1つ以上の更なる成分は、緩衝溶液、特にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(HOCH2)3CNH2(以下、「トリス」)を0.1〜0.9重量%の量で含む。
【0060】
別の一実施態様において、1つの更なる成分は、シリカゲルを0.005〜0.05重量%の量で含み、これは、分散系中に形成されるミセルおよびリポソーム構造の成分として機能し得る。
【0061】
一実施態様において、提案される製剤は、下記構成:
水 71.69重量%
グリセロール 3.0重量%
ブチレングリコール 2.0重量%
セチルアルコール 2.3重量%
ステアリン酸グリセリル 3.8重量%
トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 5.0重量%
オクタン酸セチル 1.0重量%
ジメチコン 1.0重量%
ステアレス-2 1.0重量%
ステアレス-20 0.66重量%
硫酸グルコサミン塩化カリウム 8.00重量%
メチルイソチアゾリノン 0.05重量%
メチルパラベン 0.2重量%
ペパーミント油 0.3重量%
を有する。
【0062】
末梢関節、脊椎関節および/または結合組織の細胞外マトリックス構成要素の処置のための提案される製剤を製造するために、製造方法は、下記工程:
(i)高純度水を60〜80重量%の量で第1の混合タンクへ加え、続いてグリセロールを1〜6重量%の量で、ブチレングリコールを0.7〜4重量%の量で加え;一定に撹拌しながら混合物を65〜70℃に加熱すること;
(ii)1つ以上のC16脂肪族アルコールを0.3〜3.5重量%の量で、1つ以上のC21脂肪族アルコールを1〜4.2重量%の量で、1つ以上のC8脂肪族アルコールを1.7〜12.1重量%の量で、1つ以上のC15-C17脂肪酸エステルを0.3〜2.0重量%の量で、1つ以上のポリシロキサンを0.3〜1.4重量%の量で、1つ以上のC2ポリグリコールを0.3〜1.4重量%の量で、および1つ以上のC20ポリグリコールを0.22〜0.98重量%の量で、第2の混合タンクへ加え;一定に撹拌しながら混合物を65〜70℃に加熱すること;
(iii)(ii)の混合物を第1の混合タンクへ一定に撹拌しながら5分間で加え、続いて混合物を50℃以下に冷却し、一定に撹拌しながら、1つ以上の医薬的活性成分を加え、続いて混合物を30℃に冷却し、一定に撹拌しながら、防腐剤および香料を加えること、
を含み、これにより末梢関節、脊椎関節および/または結合組織の細胞外マトリックス構成要素の処置のための製剤を製造する方法が用いられる。
【0063】
該方法において、1つ以上の医薬的活性成分は、グルコサミン塩、特に硫酸グルコサミンまたは硫酸グルコサミン塩化カリウム含む。
【0064】
また該方法において、アミノポリカルボン酸を0.05〜0.3%の量でおよび/またはヒドロキシエチルセルロースを0.12〜1.0重量%の量でおよび/またはシリカゲルを0.005〜0.05重量%の量で、工程(i)において、加熱する前に、第1の混合タンクへさらに加えて、該成分の説明において上述した効果を生じさせ得る。
【0065】
また一実施態様において、該方法の工程(iii)において、1つ以上の医薬的活性成分を加えた後に、DMSを0.5〜5重量%の量でおよび/またはアスコルビン酸を0.05〜0.3重量%の量でさらに加えて、該成分の説明において上述した効果を生じさせる。
【0066】
また別の一実施態様において、該方法の工程(ii)において、第2の混合タンク中の混合物を65〜70℃に加熱した後に、カプサイシノイド、特にカプサイシンを0.05〜0.5重量%の量でさらに加えて、該成分の説明において上述した効果を生じさせる。
【0067】
別の一実施態様において、該方法の工程(iii)において、1つ以上の医薬的活性成分を加えた後に、カンフルを0.2〜1.8重量%の量でおよび/またはショウガ抽出物を0.00005〜0.005重量%の量で加えて、該成分の説明において上述した効果を生じさせる。
【0068】
別の一実施態様において、該方法の工程(iii)において、メチルパラベンを0.01〜0.3重量%の量でおよび/またはメチルイソチアゾリノンを0.01〜0.05重量%の量で、防腐剤として加えるか、またはサルビアアルバ樹皮抽出物のプロパンジオールとの混合物(ISCAGUARD(登録商標)SAP)を0.02〜2.5重量%の量で、標準的な防腐剤の代わりとして加える。
【0069】
またいくつかの実施態様において、該方法の工程(iii)において、1つ以上の医薬的活性成分を加え、30℃に冷却した後に、ペパーミント油および/またはメントールを0.02〜1.5重量%の量で加え、これらの両方は香料であり、患者に快適さを与える。
【0070】
該方法のいくつかの実施態様の工程(i)において、長期保存中の製剤のpHを維持するために、水を加えた後に、緩衝溶液としてトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを0.1〜0.9重量%の量で第1の混合タンクへ加える。
【0071】
一実施態様において、活性成分を含有する製剤を、罹患関節または背骨側の皮膚上に、少なくとも2〜3 cmの長さで少なくとも0.5 cmの直径のストリップで適用し、完全に吸収されるまで皮膚に少なくとも1日2回、最大で1日5〜6回擦り込む、処置方法であって、該製剤が、必要に応じて過程を繰り返す可能性を有して、少なくとも3週間用いられ、これにより処置が達成される、方法が開示される。好ましい実施態様において、該方法は、末梢関節、脊椎関節および/または結合組織の細胞外マトリックス構成要素の処置方法である。
【0072】
末梢関節、脊椎関節および/または結合組織の細胞外マトリックス構成要素の処置のための提案される製剤は、多くの有益な医薬特性を有する。これらのうち主な2つは次のとおりである:1)グルコサミンの注射により提供される修復に匹敵する、関節軟骨および他の結合組織の細胞外マトリックス構成要素の効率的な修復、および2)市販のNSAIDに匹敵する、時には優れた著しい麻酔効果。
【0073】
本発明の製剤の有益な医薬特性はまた、外傷またはNSAID使用後の関連疾患に続く関節および靭帯の骨関節症および炎症性疾患の効率的な予防、関節内液産生の刺激およびその構成の改善、ならびに関節内液の最適な粘度の維持を含む。
【0074】
示される有益な医薬特性は、提案される製剤の使用のための次の適応症を生じる:
末梢関節および脊椎関節の骨関節症、骨軟骨症;
リウマチ様多発性関節炎を含む、関節炎等の関節の炎症性疾患;
運動系構成要素、末梢関節および脊椎関節の外傷(挫傷、破裂、捻挫);
外傷後の関節および靭帯の骨関節症および炎症性疾患の予防;
軟骨組織に対するNSAIDおよびホルモン製剤の副作用からの関節の保護(インドメタシン、オルソフェン、ジクロフェナク、プレドニゾロン);
筋肉痛(筋肉痛(mialgia)、筋炎)。
【実施例】
【0075】
以下の実施例2〜6に記載される実験的研究のために、本発明に包含される例示的製剤(以下、製剤Aと称する)を製造した(実施例1参照)。
【0076】
実施例1 製剤Aの製造
製剤Aの構成は以下のとおりである:
水 71.69重量%
グリセロール 3.0重量%
ブチレングリコール 2.0重量%
セチルアルコール 2.3重量%
ステアリン酸グリセリル 3.8重量%
トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 5.0重量%
オクタン酸セチル 1.0重量%
ジメチコン 1.0重量%
ステアレス-2 1.0重量%
ステアレス-20 0.66重量%
硫酸グルコサミン塩化カリウム 8.00重量%
メチルイソチアゾリノン 0.05重量%
メチルパラベン 0.2重量%
ペパーミント油 0.3重量%
【0077】
100 kgの製剤Aを製造するために、下記工程をとった。
(i)高純度水を71.69 kgの量で第1の混合タンクへ加え、続いてグリセロールを3.0 kgの量でおよびブチレングリコールを2 kgの量で加え;混合物を60〜70 rpmにて一定に撹拌しながら70℃に加熱する。
(ii)その後、セチルアルコールを2.3 kgの量で、ステアリン酸グリセリルを3.8 kgの量で、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリルを5.0 kgの量で、オクタン酸セチルを1.0 kgの量で、ジメチコンを1.0 kgの量で、ステアレス-2を1.0 kgの量で、およびステアレス-20を0.66 kgの量で第2の混合タンクへ加え;混合物を60〜70 rpmにて一定に撹拌しながら70℃に加熱する。
(iii)(ii)の混合物を第1の混合タンクへ60〜70 rpmにて一定に撹拌しながら5分間で加え、続いて混合物を50℃以下に冷却し、60〜70 rpmにて一定に撹拌しながら、硫酸グルコサミン塩化カリウムを8.0 kgの量で加え、続いて混合物を30℃にさらに冷却し、60〜70 rpmにて一定に撹拌しながら、メチルイソチアゾリノンを0.05 kgの量で、メチルパラベンを0.2 kgの量で、およびペパーミント油を0.3 kgの量で加える。
【0078】
実施例2 製剤Aの構造研究
分散系中形成される構造の上記特性(構造の流体力学的径/サイズおよび流体力学的径/サイズによるそれらの数)を、波長532 nmのレーザー光線源を有するZetasizer Nano ZS装置(Malvern、イギリス)を用いて、動的光散乱(光子相関分光法)により決定した(図1)。
【0079】
図1において、自動的に作成されたレポートは、粒子サイズにおける試験試料中の粒子により占められる相対体積の依存性を示す。例えば、粒子により占められる試験試料の総体積の17.9%は、15〜80 nmの流体力学的径を有する粒子に相当し、平均流体力学的径は、43.62 nmであり、一方、試験試料の総体積の82.1%は、0.5〜5μm流体力学的径を有する粒子に相当する粒子により占められ、このサブセットの平均流体力学的径は、2005 nmである。
【0080】
実施例3 製剤Aの使用におけるグルコサミンバイオアベイラビリティ研究
皮膚適用後のグルコサミンバイオアベイラビリティに関する客観的情報を得る目的で、ラットにおける研究を実施した。
【0081】
硫酸グルコサミン水溶液の経口および筋肉内投与ならびに製剤Aクリーム剤の局所適用の場合における、グルコサミンの相対バイオアベイラビリティおよび浸透率を比較する研究を、Sprague-Dawleyラットにおいて行った。
【0082】
以下に示す結果は、ラットにおける血漿グルコサミン濃度を決定することにより得られた。5群のラット(各群ラット9匹)の研究を、主研究プロトコルに従って実施した。1つの群に製剤Aクリーム剤を局所投与し、別の1つの群にグルコサミン溶液を経口投与し、他の3つの群にグルコサミン濃度を変化させて注射により投与した。
【0083】
ラットの血漿中のグルコサミンの薬物動態プロファイルの分析に基づいて、400 mg/kg動物体重の用量を提供する製剤Aクリーム剤を1日3回1週間用いることによって、400 mg/kgの用量を含有する4%硫酸グルコサミン溶液の1日3回1週間筋肉内注射に対して、61.6%のグルコサミンのバイオアベイラビリティがもたらされることを確立した。クリーム剤の適用後4時間にわたる血漿への動物の皮膚を通ったグルコサミン送達の平均速度は、26.9μg/cm2・hであった。単回投与後4時間の間に血漿への皮膚を通って送達されたグルコサミンの相対量は、用量の4.12%であった。
【0084】
得られた実験データおよび文献で見付けられるデータの比較分析ならびにそれらに基づく計算は、実験で投与されるように製剤A処置の間の炎症関節の滑液中のグルコサミンの推定平均濃度が、ヒト関節の滑液中の内因性グルコサミン濃度(典型的には0.02〜0.07μg/ml)より10〜75倍高い0.7〜1.5μg/mlであることを示唆する。該値は、注射によりグルコサミンを投与することにより得られる値に匹敵し、グルコサミンの経口形態の場合に得られる値より最大2倍高い。
【0085】
実施例4 製剤Aの安定性研究
製剤Aの安定性を3つの異なる条件で経時的に試験した:
(i)25±2℃、相対湿度60±5%でのインキュベーション;
(ii)-15℃でのインキュベーション後融解;
(iii)40±2℃、相対湿度75±5%でのインキュベーション。
50 gの薬物を各々含有させて製剤Aを容器に密閉した。3つの異なる容器を3つの条件の各々に用いた。一連の物理的および化学的パラメーターを3年間にわたり以下の時点で測定した:
1年目:3ヵ月ごと;
2年目:6ヵ月ごと;
3年目:1回。
結果を以下に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
【表5】
【0091】
【表6】
【0092】
【表7】
【0093】
【表8】
【0094】
【表9】
【0095】
pHおよび粘度の低下にもかかわらず、製剤が均一なクリームのままであり、少なくとも3年間効果のあることを結果は示す。
【0096】
実施例5 製剤AとVoltaren(登録商標)Emulgel(登録商標)の比較
本発明の製剤の有効性を確認するために、比較無作為化臨床試験を実施して、製剤Aの効率、安全性および忍容性をVoltaren(登録商標)Emulgel(登録商標)(外用ゲル剤、NOVARTIS Consumer Health GmbH、スイス)に対して、膝関節のステージI-III骨関節症と診断された80名のボランティアで試験した。
【0097】
80名の患者のうち、68名が女性で、12名が男性であり、44歳から88歳の間であった。スクリーニングおよび無作為化の結果、すべての患者が組入れ基準に適合した。
【0098】
患者を2群に無作為化した:実験群(製剤A)および対照群(Voltaren(登録商標)Emulgel(登録商標))。すべての患者がプロトコルに従って試験を完了した。2群は、年齢および性別、身長および体重、収縮期および拡張期血圧、関節症候群臨床スコア(歩行中の標的関節における痛みの評価および視覚的評価スケール(VAS)を用いる触診に用いられる、Western Ontario and McMaster Universities Arthritis Inde、または「WOMAC」)に関して統計的に相違しなかった。2群間の変形性膝関節症の放射線段階に関して統計学的に有意な差異は確立されなかった。ほとんどの検査指標における2群間の確実な差異も明らかにされなかった。上記に基づいて、2群は、同等と考えられ得る。
【0099】
試験の間、血圧、脈、心電図または検査指標に臨床的に有意な偏差は観察されなかった。試験を通して、11例の軽度の有害事象が認められた。医薬の投与に関連した2例の有害事象(各群で1例)が認められた。両方とも軽度であり、処置を必要とせず、回復に帰結した。「WOMAC疼痛」における「20%超低下」に相当する主要評価項目は、実験群および対照群それぞれにおいて34名および30名の患者により達成された。また、効果は処置の中止後持続し:来院4(治療開始から56日)において、それぞれ32名および24名の患者が依然として評価項目を満たした。2群間に結果の比較は、実験群と対照群との間で有意な差異を示さなかった。したがって、上記基準に関して、製剤Aによる処置効率は、Voltaren(登録商標)Emulgel(登録商標)による処置効率と統計的に相違しなかった(試験を行う医師により結論付けられたように)。
【0100】
処置終了4週間後、陽性結果の数は、患者および臨床医両方によると、実験群において統計学的に有意であった。言い換えれば、グルコサミンの経皮送達システムが、痛みの軽減に関してVoltaren(登録商標)Emulgel(登録商標)と同等であり、治療効果の持続に関してVoltaren(登録商標)Emulgel(登録商標)より優れることが見出された。
【0101】
実施例6 製剤Aと硫酸グルコサミン注射剤「Dona」の比較
本発明のグルコサミンの経皮送達システムの有効性をさらに確認するために、本発明の発明者らは、膝関節の骨関節症を処置で変形性膝関節症と診断された患者において、製剤A(外用クリーム剤)および筋肉内投与のための硫酸グルコサミンの注射剤「Dona」(注射用アンプル各2 ml、1 ml中200 mgの硫酸グルコサミン塩化カリウムを含有する)の治療効率の比較試験を行った。
【0102】
試験の前に、膝関節の骨関節症(変形性膝関節症)が(R. Altman criteria, 1995に従って)確認され、著しい疼痛症候群を有する40名の患者を評価した。患者は48〜75歳(平均年齢56.7±8.2歳)であり;38名(95%)が女性で、2名(5%)が男性であった。疾患の期間は、2年から15年までさまざまであった(平均期間6.7±2.9年)。Kellegren & Lawrence分類に従って、30名(75%)の患者において、変形性膝関節症のX線検査グレードをIIと決定し、10名(25%)の患者において、IIIと決定した。評価の時点で、40名(100%)の患者すべてが、NSAID処置を受けていた。
【0103】
患者を、主パラメーターに関して比較可能な2群(各20名)に分けた。クリーム剤の長さ2〜3 cmで直径約0.5 cmのストリップを罹患関節領域に1ヵ月間、1日3回適用する、製剤Aを第1の群に局所投与した。処置の標的とされる関節は、試験の開始時に最も疼痛を与えている関節であった。第2の群の患者に「Dona」を1ヵ月間、1週間に3回、1日1回筋肉内投与した。治療効率を標的膝関節における関節症候群指数のダイナミクスに従って評価した。次の要素を評価した:VSAを用いる安静時および運動時の関節における疼痛強度、全指数および個々の指数のダイナミクス;WOMACスコアによる関節の疼痛、制約および機能不全、NSAID(イブプロフェン)の必要量。上記臨床パラメーターを最初の評価時および1ヵ月間、1週間に1回評価した。
【0104】
上記治療の結果、比較WOMAC指標におけるほとんどのダイナミクスは、疼痛症候群の重症度の低下を特徴付ける指標の場合に観察された。処置を通して、平坦面の歩行、階段の上り、関節の触診に関連した疼痛の有意な(p<0.05)低下が、観察された(表1、図1、2参照)。2群間で指標の統計学的に有意な差異は観察されなかった。しかしながら、触診により引き起こされる痛い感覚のより顕著な(p=0.06)低下が、製剤Aの処置の場合、観察され、これは、直接痛みを伴う部位への局所適用によりおそらく説明され得る。
【0105】
患者が15メートルの距離を歩くのに必要とされる時間の、第1および第2の群においてそれぞれ29.6±12.18秒から18.0±6.1秒へおよび30.7±12.21秒から18.25±5.23秒への減少で示される(表1参照)、身体活動の確実に有意な(p<0.05)向上が両群において観察された。
【0106】
一般に、試験の終了に向けて製剤Aの患者において観察された総WOMAC指標の低下(57%)は、対照の「Dona」群で観察された低下(56%超)と統計学的に相違しなかった(図3、4参照)。
【0107】
処置を通して、各群は、NSAIDの平均必要量の15倍超の明らかな減少を示した(表1、図5参照)。より詳細には、製剤Aを投与された患者15名(75%)がイブプロフェンの投与を中止し、5名(25%)が用量を7〜10倍減少した。「Dona」を投与された群において、処置の1ヵ月後、16名(80%)の患者は、もはやイブプロフェンを必要とせず、4名の患者は、元の用量から3〜5倍減少した。
【表10】
【0108】
本明細書に記載の研究からの主な結論は、罹患関節の麻酔効果および運動回復、ならびに処置の間のNSAIDの1週間の平均必要量の減少の両方に関して、提案される製剤が、市販の硫酸グルコサミンベースの注射用製剤と同様である、時には優れることである。
【0109】
(参考文献)
1. Altman, R.D. Clinical Pharmacology 2(4), 359-371 (2009) [in Russian].
2. Handbook on Drugs, Vidal: http://www.vidal.ru/drugs/molecule/322.
3. Scartazzini R., Luisi P.L., Organogels from Lecithins // J. Phys. Chem. 92, 829-833 (1988).
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【国際調査報告】