(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019518827
(43)【公表日】20190704
(54)【発明の名称】高純度のジアミノフェノチアジニウム化合物の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C09B 21/00 20060101AFI20190614BHJP
【FI】
   !C09B21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】2018560224
(86)(22)【出願日】20170516
(85)【翻訳文提出日】20190107
(86)【国際出願番号】IB2017052868
(87)【国際公開番号】WO2017199162
(87)【国際公開日】20171123
(31)【優先権主張番号】102016000050744
(32)【優先日】20160517
(33)【優先権主張国】IT
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518402417
【氏名又は名称】イクロム エッセ.ピ.ア.
【住所又は居所】イタリア共和国,20122 ミラノ,ヴィア ビスコンティ ディ モドローネ 38
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コロンボ,マッテオ
【住所又は居所】イタリア共和国,20122 ミラノ,ヴィア ビスコンティ ディ モドローネ 38,イクロム エッセ.ピ.ア.内
(72)【発明者】
【氏名】ダーベリオ,パオラ
【住所又は居所】イタリア共和国,20122 ミラノ,ヴィア ビスコンティ ディ モドローネ 38,イクロム エッセ.ピ.ア.内
(72)【発明者】
【氏名】ボレリ,ステラ
【住所又は居所】イタリア共和国,20122 ミラノ,ヴィア ビスコンティ ディ モドローネ 38,イクロム エッセ.ピ.ア.内
(57)【要約】
ジアミノフェノチアジニウム化合物の、迅速かつ効果的にその高い純度での調製を可能にする方法が開示される。
【指定図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高い純度でのジアミノフェノチアジニウム化合物の調製方法であって、前記方法が、
1) 粗製の式Aのジアミノフェノチアジニウム化合物を準備するステップと、
【化1】

(式(A)中、
、R、R、Rは、互いに独立に、
− ハロゲン原子、C1−C4アルコキシ基、C1−C4アルキルオキシカルボニル基もしくは−CONHから選択される一つ以上の官能基により任意に置換されてもよい、飽和もしくは不飽和の、直鎖状、分枝状もしくは環状のC1−C6アルキル基、
− C1−C4アルキル基、ハロゲン原子、C1−C4アルコキシ基、C1−C4アルキルオキシカルボニル基もしくは−CONHから選択される一つ以上の官能基により任意に置換されてもよいアリール基、または
− 水素原子であり、
、R、R、R、R、R10は、互いに独立に、
− 水素原子、
− ハロゲン原子、C1−C4アルコキシ基、C1−C4アルキルオキシカルボニル基もしくは−CONHから選択される一つ以上の官能基により任意に置換されてもよい、飽和もしくは不飽和の、直鎖状、分枝状もしくは環状のC1−C6アルキル基、
− C1−C4アルキル基、ハロゲン原子、C1−C4アルコキシ基、C1−C4アルキルオキシカルボニル基もしくは−CONHから選択される一つ以上の官能基により任意に置換されてもよいアリール基、または
− ハロゲン原子であり、
は有機または無機アニオンである)
2) 粗製の式Aのジアミノフェノチアジニウム化合物と、還元剤と、R11基を含む保護剤との反応により、式Bの化合物を合成するステップと、
【化2】

(式(B)中、
〜R10は式(A)と同様であり、
11は、
− 水素原子、
− C1−C4アルキル基、ハロゲン原子、C1−C4アルコキシ基もしくはニトロ基により任意に置換されてもよいフェニル基もしくはベンジル基、
直鎖状、分枝状もしくは環状のC1−C8アルキル基、
C1−C8アルキルアミノ基、
C1−C8アルコキシ基、または、
C1−C4アルキル基、ハロゲン原子、C1−C4アルコキシ基もしくはニトロ基により任意に芳香環が置換されたフェニルオキシ基もしくはベンジルオキシ基、
により官能化された、カルボニル基もしくはチオカルボニル基である)
3) 安定なフリーラジカル剤による式Bの化合物の酸化により、式Aのジアミノフェノチアジニウム化合物を得るステップであって、前記安定なフリーラジカル剤が、プロキシル(2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシ)、3−カルボキシル−プロキシル、3−カルバモイル−プロキシル、2,2−ジメチル−4,5−シクロヘキシル−プロキシル、3−オキソ−プロキシル、3−ヒドロキシルイミン−プロキシル、3−アミノメチル−プロキシル、3−メトキシ−プロキシル、3−t−ブチル−プロキシル、3−マレイミド−プロキシル、3,4−ジ−t−ブチル−プロキシル、3−カルボキシル−2,2,5,5テトラメチル−1−ピロリジニルオキシ、TEMPO(すなわち2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)、NHAc−TEMPO、4−C1−6−アルキルオキシ−TEMPO、4−ベンゾキシルオキシ−TEMPO、4−メトキシ−TEMPO、4−カルボキシル−4−アミノ−TEMPO、4−クロロ−TEMPO、4−ヒドロキシルイミン−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO、4−オキソ−TEMPO、4−オキソ−TEMPO−エチレンケタール、4−アミノ−TEMPO、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシ、2,2,6−トリメチル−6−エチル1−ピペリジニルオキシ、ジ−t−ブチルニトロオキシド、ジ−t−ブチルニトロキシル、ジフェニルニトロオキシド、ジフェニルニトロキシル、t−ブチル−t−アミルニトロオキシド、DOXYL(4,4−ジメチル−1−オキサゾリジニルオキシ)、2−ジ−t−ブチル−ドキシル、5−デカン−ドキシル、2−シクロヘキサン−ドキシル、2,5−ジメチル−3,4−ジカルボキシル−ピロール、2,5−ジメチル−3,4−ジエチルエステル−ピロール、2,3,4,5−テトラフェニル−ピロール、3−シアノ−ピロリン−3−カルバモイル−ピロリン、3−カルボキシル−ピロリン、1,1,3,3−テトラメチルイソインドリン−2−イルオキシル、1,1,3,3−テトラエチルイソインドリン−2−イルオキシル、5−シクロヘキシルポルフィレキシドニトロキシル、2,2,4,5,5−ペンタメチル−[DELTA]3−イミダゾリン−3−オキシド−1−オキシル、ガルビノキシル、1,3,3−トリメチル−2−アザビシクロ[2,2,2]オクタン−5−オン−2−オキシド、1−アザビシクロ[3,3,1]ノナン−2−オキシド、2−アザアダマンタン N−オキシル(AZADO)、9−アザビシクロ[3.3.1]ノナンN−オキシル(ABNO)、9−アザノルアダマンタン N−オキシル(ノルAZADO)、またはそれらの混合物であるステップと、
を含む前記方法。
【請求項2】
前記粗製の式Aのジアミノフェノチアジニウム化合物が、粗メチレンブルー、メチレンブルー亜鉛複塩またはそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ3)がワンポットでの合成ステップである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記安定なフリーラジカル剤が、TEMPO、NHAc−TEMPO、4−C1−6−アルキルオキシ−TEMPO、4−ベンゾキシルオキシ−TEMPO、4−メトキシ−TEMPO、4−カルボキシル−4−アミノ−TEMPO、4−クロロ−TEMPO、4−ヒドロキシルイミン−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO、4−オキソ−TEMPO、4−オキソ−TEMPO−エチレンケタール、4−アミノ−TEMPO、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシ、2,2,6−トリメチル−6−エチル1−ピペリジニルオキシ、1,3,3−トリメチル−2−アザビシクロ[2,2,2]オクタン−5−オン−2−オキシド、1−アザビシクロ[3,3,1]ノナン−2−オキシド、2−アザアダマンタン N−オキシル(AZADO)、9−アザビシクロ[3.3.1]ノナンN−オキシル(ABNO)、9−アザノルアダマンタン N−オキシル(ノルAZADO)、またはそれらの混合物である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記安定なフリーラジカル剤が、TEMPO、NHAc−TEMPO、4−メトキシ−TEMPO、4−カルボキシル−4−アミノ−TEMPO、4−クロロ−TEMPO、4−ヒドロキシルイミン−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO、4−オキソ−TEMPO、4−アミノ−TEMPO、2−アザアダマンタン N−オキシル(AZADO)、9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン N−オキシル(ABNO)、9−アザノルアダマンタン N−オキシル(ノルAZADO)またはそれらの混合物である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記安定なフリーラジカル剤が、TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO、2−アザアダマンタン N−オキシル(AZADO)またはそれらの混合物である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記安定なフリーラジカル剤が、4−ヒドロキシ−TEMPOである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記安定なフリーラジカル剤が、ステップ3)において用いられる酸化剤のみである、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ3)の終了時、得られた生成物が沈殿および洗浄により反応混合液から回収される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ3)において、前記安定なフリーラジカル剤が、最高60重量%の安定なフリーラジカル剤を含む、好ましくは10〜50重量%の安定なフリーラジカル剤を含む水溶液として添加される、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアミノフェノチアジニウム化合物の、迅速かつ効果的にその高い純度での調製を可能にする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジアミノフェノチアジニウム構造を有する着色剤が既知である。その中で、最も周知のものは塩化メチルチオニニウム(塩化3,7−ビス(ジメチルアミノ)−5−フェノチアジンイウム)であり、一般にメチレンブルーとして公知であり、その伝統的な使用に加え、数多くの医療用途に使用されている。その採りうる共鳴構造の1つを、式Iに示す:
【0003】
【化1】
【0004】
医学分野において、メチレンブルーは、シアン化物、メトヘモグロビン血症誘導剤(例えばフェナセチン、亜硝酸塩、アニリン、スルホンアミド)および一酸化炭素による中毒の解毒剤として用いられる。それはまた、クロモ診断またはクロモ内視鏡検査薬剤としても用いられる。それは近年では、神経変性疾患、ウイルス感染、双極性障害の治療への、またリンパ系のトレーサーとしての使用が提案されている。
【0005】
メチレンブルーの合成プロセスは、最初に1877年に開発された(特許文献1、Badische Anilin−und Soda Fabrik)。長年にわたり、該プロセスは改訂および改善されたが、それは未だ、鉄、クロミウム、亜鉛、アルミニウム、銅、マンガンおよび亜鉛を主成分とする多数の試薬および金属触媒の使用に基づくものである。したがって、金属種のメチレンブルーへの混入が一つの課題であり、また医学分野へのこの物質の使用に対する制約となっている。
【0006】
工業的に生産されたメチレンブルーにはまた、フェノサイアジン構造の3および5位に存在するジメチルアミン基の脱メチルから生じるいくつかの有機不純物の存在という課題が残る。かかる不純物は、一般に「アズール」と呼ばれる、式IIに記載のものである:
【0007】
【化2】
【0008】
最新の薬局方(例えばヨーロッパ薬局方および米国薬局方)に記載のように、医学分野へのメチレンブルーの使用は、金属不純物および有機不純物の両方に対する規制が必要となる。
【0009】
ジアミノフェノチアジニウム構造が埋没していること、および有機混入物質との化学的類似性の影響から、金属不純物からの、およびアズール誘導体からのメチレンブルーの精製のための簡便な解決手段が存在しない。
【0010】
診断法の色素として用いられるアズール誘導体の精製も同様である。
【0011】
改良ライト−ギムザ染色は通常、末梢血液塗抹標本の染色に用いられる。ライト・ギムザ迅速染色では、リン酸緩衝液の存在下では、アズールBおよびエオシンを用いる。アズールB(青/紫色)は、正に荷電していることから、例えば核酸および核タンパク、好塩基性顆粒および酸性タンパク質、好中性顆粒(わずかに酸性)などの酸性の細胞構造に対して特異的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許発明第1886号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の課題は、ジアミノフェノチアジニウム化合物の、迅速かつ効果的にその高い純度での調製を可能にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題は、請求項1に記載のジアミノフェノチアジニウム化合物の調製方法により解決される。
【0015】
本発明の特性および有利な効果は、以下の詳細な説明、説明の便宜上提供される実施例、および添付の図面から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の調製スキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
したがって、本発明は、高い純度でのジアミノフェノチアジニウム化合物の調製方法に関し、前記方法は以下のステップを含む:
1) 粗製の式Aのジアミノフェノチアジニウム化合物を準備するステップと、
【0018】
【化3】
【0019】
(式A中、
、R、R、Rは、互いに独立に、
− ハロゲン原子、C1−C4アルコキシ基、C1−C4アルキルオキシカルボニル基もしくは−CONHから選択される一つ以上の官能基により任意に置換されてもよい、飽和もしくは不飽和の、直鎖状、分枝状もしくは環状のC1−C6アルキル基、
− C1−C4アルキル基、ハロゲン原子、C1−C4アルコキシ基、C1−C4アルキルオキシカルボニル基もしくは−CONHから選択される一つ以上の官能基により任意に置換されてもよいアリール基、または
−水素原子であり、
、R、R、R、R、R10は、互いに独立に、
−水素原子、
− ハロゲン原子、C1−C4アルコキシ基、C1−C4アルキルオキシカルボニル基もしくは−CONHから選択される一つ以上の官能基により任意に置換されてもよい、飽和もしくは不飽和の、直鎖状、分枝状もしくは環状のC1−C6アルキル基、
− C1−C4アルキル基、ハロゲン原子、C1−C4アルコキシ基、C1−C4アルキルオキシカルボニル基もしくは−CONHから選択される一つ以上の官能基により任意に置換されてもよいアリール基、または
− ハロゲン原子であり、
は有機または無機アニオンである)
2) 粗製の式Aのジアミノフェノチアジニウム化合物と、還元剤と、R11基を含む保護剤との反応により、式Bの化合物を合成するステップと、
【0020】
【化4】
【0021】
(式B中、
〜R10は式Aと同様であり、
11は、
− 水素原子、または、
− C1−C4アルキル基、ハロゲン原子、C1−C4アルコキシ基もしくはニトロ基により任意に置換されてもよいフェニル基もしくはベンジル基、
直鎖状、分枝状もしくは環状のC1−C8アルキル基、
C1−C8アルキルアミノ基、
C1−C8アルコキシ基、または、
C1−C4アルキル基、ハロゲン原子、C1−C4アルコキシ基もしくはニトロ基により任意に芳香環が置換されたフェニルオキシ基もしくはベンジルオキシ基、
により官能化された、カルボニル基もしくはチオカルボニル基である)
3) 安定なフリーラジカル剤による式Bの化合物の酸化により、式Aのジアミノフェノチアジニウム化合物を得るステップであって、前記安定なフリーラジカル剤は、プロキシル(2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシ)、3−カルボキシル−プロキシル、3−カルバモイル−プロキシル、2,2−ジメチル−4,5−シクロヘキシル−プロキシル、3−オキソ−プロキシル、3−ヒドロキシルイミン−プロキシル、3−アミノメチル−プロキシル、3−メトキシ−プロキシル、3−t−ブチル−プロキシル、3−マレイミド−プロキシル、3,4−ジ−t−ブチル−プロキシル、3−カルボキシル−2,2,5,5テトラメチル−1−ピロリジニルオキシ、TEMPO(すなわち2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)、NHAc−TEMPO、4−C1−6−アルキルオキシ−TEMPO、4−ベンゾキシルオキシ−TEMPO、4−メトキシ−TEMPO、4−カルボキシル−4−アミノ−TEMPO、4−クロロ−TEMPO、4−ヒドロキシルイミン−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO、4−オキソ−TEMPO、4−オキソ−TEMPO−エチレンケタール、4−アミノ−TEMPO、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシ、2,2,6−トリメチル−6−エチル1−ピペリジニルオキシ、ジ−t−ブチルニトロオキシド、ジ−t−ブチルニトロキシル、ジフェニルニトロオキシド、ジフェニルニトロキシル、t−ブチル−t−アミルニトロオキシド、DOXYL(4,4−ジメチル−1−オキサゾリジニルオキシ)、2−ジ−t−ブチル−ドキシル、5−デカン−ドキシル、2−シクロヘキサン−ドキシル、2,5−ジメチル−3,4−ジカルボキシル−ピロール、2,5−ジメチル−3,4−ジエチルエステル−ピロール、2,3,4,5−テトラフェニル−ピロール、3−シアノ−ピロリン−3−カルバモイル−ピロリン、3−カルボキシル−ピロリン、1,1,3,3−テトラメチルイソインドリン−2−イルオキシル、1,1,3,3−テトラエチルイソインドリン−2−イルオキシル、5−シクロヘキシルポルフィレキシドニトロキシル、2,2,4,5,5−ペンタメチル−[DELTA]3−イミダゾリン−3−オキシド−1−オキシル、ガルビノキシル、1,3,3−トリメチル−2−アザビシクロ[2,2,2]オクタン−5−オン−2−オキシド、1−アザビシクロ[3,3,1]ノナン−2−オキシド、2−アザアダマンタン N−オキシル(AZADO)、9−アザビシクロ[3.3.1]ノナンN−オキシル(ABNO)、9−アザノルアダマンタン N−オキシル(ノルAZADO)、またはそれらの混合物であるステップ。
【0022】
好ましい実施形態では、前記粗製の式Aのジアミノフェノチアジニウム化合物は、粗メチレンブルー、メチレンブルー亜鉛複塩およびそれらの混合物から選択される。
【0023】
好ましくは、前記安定なフリーラジカル剤は、TEMPO(すなわち2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)、NHAc−TEMPO、4−C1−6−アルキルオキシ−TEMPO、4−ベンゾキシルオキシ−TEMPO、4−メトキシ−TEMPO、4−カルボキシル−4−アミノ−TEMPO、4−クロロ−TEMPO、4−ヒドロキシルイミン−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO、4−オキソ−TEMPO、4−オキソ−TEMPO−エチレンケタール、4−アミノ−TEMPO、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシ、2,2,6−トリメチル−6−エチル1−ピペリジニルオキシ、1,3,3−トリメチル−2−アザビシクロ[2,2,2]オクタン−5−オン−2−オキシド、1−アザビシクロ[3,3,1]ノナン−2−オキシド、2−アザアダマンタン N−オキシル(AZADO)、9−アザビシクロ[3.3.1]ノナンN−オキシル(ABNO)、9−アザノルアダマンタン N−オキシル(ノルAZADO)、またはそれらの混合物である。
【0024】
好ましい実施形態では、前記安定なフリーラジカル剤は、TEMPO(すなわち2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)、NHAc−TEMPO、4−メトキシ−TEMPO、4−カルボキシル−4−アミノ−TEMPO、4−クロロ−TEMPO、4−ヒドロキシルイミン−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO、4−オキソ−TEMPO、4−アミノ−TEMPO、2−アザアダマンタン N−オキシル(AZADO)、9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン N−オキシル(ABNO)、9−アザノルアダマンタン N−オキシル(ノルAZADO)またはそれらの混合物である。
【0025】
特に好ましい実施形態では、前記安定なフリーラジカル剤は、TEMPO(すなわち2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)、4−ヒドロキシ−TEMPO、2−アザアダマンタン N−オキシル(AZADO)またはそれらの混合物である。
【0026】
最も好ましい実施形態では、前記安定なフリーラジカル剤は、4−ヒドロキシ−TEMPOである。
【0027】
好ましくは、ステップ2)は10〜60℃の温度で、より好ましくは室温で実施される。
【0028】
好ましくは、ステップ2)はワンポットでの合成ステップである。これは、粗製の式Aのジアミノフェノチアジニウムを、還元剤およびR11基を有する保護剤と反応させて式Bの化合物を得るステップが、単一の反応環境において、または単一容器もしくは反応器において起こることを意味する。
【0029】
このようにして、得られた中間体生成物の長い分離および精製プロセスを用いることを回避でき、それにより、時間のみならず資源(装置、化学品、溶媒など)の節約にもなる。さらに、その結果、中間物質のロスを減少させることで、化学収率を増加させることができる。
【0030】
好ましくは、ステップ3)は、−10〜20℃、より好ましくは0〜5℃の温度で実施される。
【0031】
好ましい実施形態では、ステップ3)の前に、式Bの化合物を、キレート化剤(例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩)の添加により精製し、次に再結晶化する。キレート化剤の添加により、反応環境中に存在するいかなる金属も、抽出により除去できる。
【0032】
好ましくは、前記安定なフリーラジカル剤は、本発明の方法のステップ3において用いられる酸化剤のみである。
【0033】
好ましくは、ステップ3)において、前記安定なフリーラジカル剤は、固体の状態で、または水溶液の状態で反応系中に添加される。
【0034】
好ましい実施形態では、前記水溶液は、最大60重量%の安定なフリーラジカル剤を含む。より好ましくは、前記水溶液は、10〜50重量%の安定なフリーラジカル剤を含む。
【0035】
特に好ましい実施形態では、前記水溶液は、20〜40重量%の安定なフリーラジカル剤を含む。
【0036】
より好ましくは、TEMPO(すなわち2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)、4−ヒドロキシ−TEMPO、2−アザアダマンタン N−オキシル(AZADO)およびそれらの混合物から選択される安定なフリーラジカル剤を20〜40重量%含む水溶液である。
【0037】
好ましくは、粗製の式Aのジアミノフェノチアジニウム化合物において、Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、塩化亜鉛複塩、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、シュウ酸イオン、酒石酸イオン、スクシナートイオン、リンゴ酸イオン、フマル酸イオン、グルコン酸イオン、クエン酸イオン、マレイン酸イオン、アスコルビン酸イオン、安息香酸イオン、OHおよびそれらの組合せから選択される有機または無機アニオンである。
【0038】
上記の方法によって得られる粗製の式Aのジアミノフェノチアジニウム化合物において、Xは出発物質の粗ジアミノフェノチアジニウム化合物と同じアニオンであるか、または異なってもよいが、それは上記したものから選択される。
【0039】
好ましくは、前記還元剤は、亜ジチオン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、メチルヒドラジン、ヒドラジン、水和ヒドラジン、アスコルビン酸、蟻酸、水素、シュウ酸、ジチオスレイトール、亜リン酸塩、ホスフィン酸塩およびそれらの混合物から選択される。
【0040】
好ましい実施形態では、前記還元剤は亜ジチオン酸ナトリウムである。
【0041】
好ましくは、前記R11基を含む保護剤は、ベンゾイルクロリド、安息香酸無水物、塩化メチルベンゾイル、臭化ベンゾイル、臭化メチルベンゾイル、塩化ジメチルベンゾイル、塩化クロロベンゾイル、塩化ジクロロベンゾイル、塩化メトキシベンゾイル、塩化ニトロベンゾイル、塩化アセチル、無水酢酸、プロピオン酸クロライド、無水プロピオン酸、ジ−tert−ブチルジカーボネート、クロロギ酸ベンジル、クロロギ酸エチルおよびそれらの混合物から選択される。
【0042】
ステップ3)の終了時、メチルイソブチルケトン、トルエン、アセトン、ジクロロメタン、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテルまたはそれらの混合物などの適切な溶媒で洗浄することにより、R11基を含む保護剤が除去される。
【0043】
好ましい実施形態では、メチレンブルー亜鉛複塩(MB zds)を用いてもよく、それを亜ジチオン酸ナトリウムを含む水溶液において還元し、次に相間移動触媒として臭化テトラブチルアンモニウムを用いた二相系のベンゾイル化により保護する。このようにして、N−ベンゾイル−ロイコメチレンブルー(略してN−Bz−LMB)が得られる。
【0044】
好ましくは、N−Bz−LMBをEDTA処理して金属を除去し、次に2−プロパノールと熱処理することにより精製する。
【0045】
N−Bz−LMBを次に加水分解し、HCl水溶液中の4−ヒドロキシ−TEMPOを用いて低温で酸化させる。
【0046】
得られる生成物を沈殿させて反応混合物から回収し、好ましくはメチルイソブチルケトンおよび酸性水により洗浄する。メチレンブルーは、好ましくは水から、より好ましくは酸性水から再結晶化させ、乾燥させる。
【0047】
好ましくは、ステップ3)はワンポットでの合成ステップである。これは、式Aのジアミノフェノチアジニウム化合物を得るための、加水分解、および安定なフリーラジカル剤による式Bの化合物の酸化が、単一の反応環境において、または単一容器もしくは反応器において生じることを意味する。
【0048】
驚くべきことに、本発明のプロセスにより、数少ないステップで、反応中間体の分離をほとんど行うことなく、高い純度でのジアミノフェノチアジニウム化合物の取得が可能となり、工程全体のスピード、ならびに、環境およびヒトに対する安全性に関する顕著な効果を奏することが解った。
【0049】
下記の実施例に示すように、達成される純度は、95%超、好ましくは97%超であった。
【0050】
特に、酸性水溶液における安定なフリーラジカル剤は、有効な酸化剤として作用することにより不均化を起こす傾向があり、同時に水溶液中に残留し、それにより、沈殿する代わりに、自然とジアミノフェノチアジニウム生成物から分離される。
【0051】
他の公知の酸化剤(例えば水溶液中で非常に有毒なHCNを放出する傾向があるDDQ)とは異なり、これは最終的な化合物の純度を増加させるだけでなく、プロセスの安全性にも役立つ。前記のように、医学分野ではメチレンブルーがシアン化物中毒の場合の解毒剤として用いられることを考えれば、DDQの使用はさらに不適切である。
【0052】
ステップ1)の粗製の式Aのジアミノフェノチアジニウム化合物は、市販の製品である。
【0053】
あるいは、該化合物は以下の合成経路を用いて調製されてもよい。
【0054】
出発原料としてN、N−ジメチルアニリンを用いるMB zdsおよび粗MBによる合成反応により、MBの三環構造が得られるが、最初に低温でHCl水溶液中のNaNOによる処理によりN,N−ジメチル−4−ニトロソアニリンに変化する。
【0055】
N,N−ジメチル−4−ニトロソアニリンの窒素含有基は、低温で亜鉛粉による処理によりアミノ基に還元される。過剰な亜鉛を濾過して除去し、N,N−ジメチル−パラフェニレンジアミン塩酸塩を含む母液を次のステップで直接用いる。
【0056】
塩化亜鉛、硫酸アルミニウム、チオ硫酸ナトリウムおよびクロム酸をそれぞれ含む4つの溶液を、前のステップの水溶液に順次添加する。
【0057】
反応混合物は、中間体1を含む:
【0058】
【化5】
【0059】
中間体1は、更なる処理をせずに次のステップで直接用いられる。
【0060】
N、N−ジメチルアニリンおよびクロム酸をそれぞれ含む2つの溶液を、中間体1を含む混合液に順次添加する。
【0061】
反応混合物は、中間体2を含む:
【0062】
【化6】
【0063】
中間体2は、更なる処理をせずに次のステップで直接用いられる。
【0064】
中間体2を含む混合液に二酸化マンガンを添加し、加熱し最終的に環化させる。沈殿物を濾過して回収し、熱水に溶解させる。塩化亜鉛および塩化ナトリウムを添加してMB zdsを溶液から沈殿させ、次にそれを水により結晶化させる。
【0065】
上記の化合物および調製プロセスの全ての好適な態様の組合せは、本願明細書において記載されていると考えられる。
【0066】
説明の便宜上、以下に本発明の実施例を示す。
【実施例】
【0067】
[実施例1]メチレンブルーの調製
1)N−ベンゾイル−ロイコ−メチレンブルー(略してN−Bz−LMB)の合成:
【0068】
【化7】
【0069】
2.5Lの水および250gのメチレンブルー亜鉛複塩を、10Lのフラスコに添加する。窒素雰囲気下で、176gの亜ジチオン酸ナトリウムを添加する。それを1時間室温で撹拌する。
【0070】
同じフラスコに、2.5Lのジクロロメタンおよび25gの臭化テトラブチルアンモニウムを添加する。215gの32% NaOHおよび165gのベンゾイルクロリドを滴下して添加する。それを2時間撹拌する。32gの二ナトリウムEDTAを添加し、32%のNaOHによりpH10に調整する。それを1時間撹拌する。相分離が生じる。有機相を水で洗浄する。溶媒を真空下で揮発させ除去する。2−プロパノールを添加し、還流しながら加温する。それを冷却し、濾過し、真空下で乾燥させ、245gのN−Bz−LMBを得る。
【0071】
2)メチレンブルー(略してMB)の酸化:
【0072】
【化8】
【0073】
90mLの水および310gの37%のHClを3Lのフラスコに添加する。それを約−5°Cに冷却する。70gのN−Bz−LMBを添加する。40重量%の4−ヒドロキシTEMPOの水溶液173gを、−5°の温度に維持しながら2時間にわたり滴下して添加する。それを1時間撹拌する。1.12Lの水および400mLのメチルイソブチルケトンを添加し、それを2時間室温で撹拌する。固形物を濾過し、0.1N HClにより洗浄する。ウェットな生成物および1.6Lの水を適切なフラスコに添加する。それを65°Cに加熱し、次に室温で再水和させる。37%のHClによりpHを1に調整し、それを16時間撹拌する。固形物を濾過し、0.1N HClにより洗浄する。それを真空乾燥させ、50gのMBを得る。
【0074】
このように得られたMB生成物は、以下の性質を有する:純度:97.8%、アズールB:2.2%、金属含量はヨーロッパ薬局方8.0に規定の限度の範囲内、乾燥減量:14%。
【0075】
得られたデータは、最新の薬局方により定義される規格に適合する。
【0076】
[実施例2]メチレンブルーの調製
1)N−ベンゾイル−ロイコ−メチレンブルーの合成:
MB zdsの代わりに出発原料として粗メチレンブルーを用い、実施例1の方法に従い行った。
【0077】
2)メチレンブルーの酸化:
実施例1の方法に従い行った。
得られたMB生成物は、97.9%の純度を有する。
【0078】
[実施例3]メチレンブルーの調製
1)N−ベンゾイル−ロイコ−メチレンブルーの合成:
MB zdsの代わりに出発原料として粗メチレンブルーを用い、実施例1の方法に従い行った。
【0079】
2)メチレンブルーの酸化:
4−ヒドロキシTEMPOの代わりにTEMPOを、20重量%の水溶液において用い、実施例1の方法に従い行った。
得られたMB生成物は、97.7%の純度を有する。
【0080】
[実施例4]メチレンブルーの調製
1)N−ベンゾイル−ロイコ−メチレンブルーの合成:
MB zdsの代わりに出発原料として粗メチレンブルーを用い、実施例1の方法に従い行った。
【0081】
2)メチレンブルーの酸化:
4−ヒドロキシTEMPOの代わりにAZADOを、25重量%の酸性水溶液において用い、実施例1の方法に従い行った。
得られたMB生成物は、97.6%の純度を有する。
【0082】
[実施例5]メチレンブルーの調製
1)N−ベンゾイル−ロイコ−メチレンブルーの合成:
MB zdsの代わりに出発原料として粗メチレンブルーを用い、実施例1の方法に従い行った。
【0083】
2)メチレンブルーの酸化:
20重量%の4−ヒドロキシTEMPOの水溶液を用いて、実施例1の方法に従い行った。
得られたMB生成物は、97.5%の純度を有する。
【0084】
[実施例6]メチレンブルーの調製
1)N−ベンゾイル−ロイコ−メチレンブルーの合成:
実施例1の方法に従い行った。
【0085】
2)メチレンブルーの酸化:
30重量%の4−ヒドロキシTEMPOの水溶液を用いて、実施例1の方法に従い行った。
得られたMB生成物は、97.8%の純度を有する。
【0086】
[実施例7]メチレンブルーの調製
1)N−ベンゾイル−ロイコ−メチレンブルーの合成:
実施例1の方法に従い行った。
【0087】
2)メチレンブルーの酸化:
4−ヒドロキシTEMPOの代わりにNHAc−TEMPOを、20重量%の水溶液において用い、実施例1の方法に従い行った。
得られたMB生成物は、97.8%の純度を有する。
【0088】
[実施例8]メチレンブルーの調製
1)N−ベンゾイル−ロイコ−メチレンブルーの合成:
実施例1の方法に従い行った。
【0089】
2)メチレンブルーの酸化:
4−ヒドロキシTEMPOの代わりに3−カルバモイル−プロキシルを、20重量%の水溶液において用い、実施例1の方法に従い行った。
得られたMB生成物は、97.1%の純度を有する。
【図1】
【国際調査報告】