(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019520260
(43)【公表日】20190718
(54)【発明の名称】車両用冷媒循環ループ
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/22 20060101AFI20190627BHJP
   B60H 1/20 20060101ALI20190627BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20190627BHJP
   F01P 3/20 20060101ALI20190627BHJP
【FI】
   !B60H1/22 651A
   !B60H1/20ZHV
   !B60H1/22 671
   !F25B1/00 321C
   !F01P3/20 M
   !F01P3/20 L
   !F01P3/20 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】2018566904
(86)(22)【出願日】20170616
(85)【翻訳文提出日】20190220
(86)【国際出願番号】FR2017051587
(87)【国際公開番号】WO2017220902
(87)【国際公開日】20171228
(31)【優先権主張番号】1655770
(32)【優先日】20160621
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
【住所又は居所】フランス国ル、メニル、サン、ドニ、ラ、ベリエール、リュ、ルイ、ロルマン、8
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】カメル、アズーズ
【住所又は居所】フランス国ル、メニル、サン、ドニ、セデックス、ラ、ベリエール、リュ、ルイ、ロルマン、8、ゼッドア、ラジオ、ケアオブ、ヴァレオ、システム、テルミク
(72)【発明者】
【氏名】バスティアン、ジョブ
【住所又は居所】フランス国ル、メニル、サン、ドニ、セデックス、ラ、ベリエール、リュ、ルイ、ロルマン、8、ゼッドア、ラジオ、ケアオブ、ヴァレオ、システム、テルミク
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211AA10
3L211AA11
3L211BA02
3L211BA22
3L211BA27
3L211CA15
3L211CA20
3L211DA27
3L211DA35
3L211DA45
3L211FA23
3L211GA26
3L211GA36
(57)【要約】
本発明は、エバポレータ(121)と分配要素(155)とを少なくとも含む熱交換装置(120)を含む自動車両用冷媒循環ループ(100)であって、前記分配要素は、前記冷媒が前記エバポレータを通過しない少なくとも第1モードと、前記冷媒がエバポレータを通過する第2モードに応じて前記ループを構成するように制御される。本発明によれば、前記ループは、相変化可能な材料(163)を含む少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵モジュール(160)を更に含み、前記貯蔵モジュールは、前記ループが前記第1モードに応じて構成されていても前記第2モードに応じて構成されていても、流体の通路に配設される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エバポレータ(121、221)と分配要素(155、255)とを少なくとも含む熱交換装置(120、220)を含む自動車両用冷媒循環ループ(100、200)であって、前記分配要素は、前記冷媒が前記エバポレータを通過しない少なくとも第1モードと、前記冷媒がエバポレータを通過する第2モードに応じて前記ループを構成するように制御される冷媒循環ループにおいて、前記冷媒循環ループは、相変化可能な材料(163)を含む熱エネルギー貯蔵モジュール(160、260)を更に含み、前記貯蔵モジュールは、前記ループが前記第1モードに応じて構成されていても前記第2モードに応じて構成されていても、流体の流路に配設される、
ことを特徴とする冷媒循環ループ。
【請求項2】
前記冷媒循環ループは、フロントエンド空気ヒーター(110、210)を更に含み、前記熱エネルギー貯蔵モジュール(160、260)は、前記循環ループにおいて、前記フロントエンド空気ヒーター(110、210)に対して並列に配設される、
請求項1に記載の冷媒循環ループ。
【請求項3】
前記熱エネルギー貯蔵モジュール(160、260)は、前記循環ループにおいて、前記貯蔵モジュール(160、260)を通過する前記冷媒の流速を制御可能である少なくとも1つのバルブ(171、271)を介して、前記フロントエンド空気ヒーター(110、210)に対して並列に配設される、
請求項2に記載の冷媒循環ループ。
【請求項4】
前記冷媒循環ループは制御ユニット(180、280)を更に含み、前記制御ユニットは、前記冷媒の少なくとも一部、好適には全部が熱エネルギーを前記貯蔵モジュール(160、260)と交換するように、前記少なくとも1つのバルブ(171、271)の位置を変更可能である、
請求項3に記載の冷媒循環ループ。
【請求項5】
前記制御ユニット(180、280)は、前記フロントエンド空気ヒーター(110、210)が前記貯蔵モジュール(160、260)から流体的に隔絶されるように、前記少なくとも1つのバルブ(171、271)の位置を変更する、
請求項3又は4に記載の冷媒循環ループ。
【請求項6】
前記制御ユニット(180、280)は、車両の内部の外側の空気の温度を測定することが意図された第1温度プローブ(191、291)に接続される、
請求項4又は5に記載の冷媒循環ループ。
【請求項7】
前記制御ユニット(180、280)は、車両の内部の内側の空気の温度、及び/又は前記循環ループの所定ゾーンにおける前記冷媒の温度を測定することが意図された第2熱プローブ(192、292)に接続される、
請求項4乃至6のいずれか一項に記載の冷媒循環ループ。
【請求項8】
前記制御ユニット(180、280)は、前記貯蔵モジュール(160、260)内の前記相変化材料の温度を測定することが意図された第3熱プローブ(193、293)に接続される、
請求項4乃至7のいずれか一項に記載の冷媒循環ループ。
【請求項9】
前記熱エネルギー貯蔵モジュール(160、260)は、熱伝導材料で作製されたケース(165)を含み、前記ケースは、
‐ 前記相変化可能な材料(163)を収容するように、
‐ 入口(161)及び出口(162)を含むように、
構成され、
前記冷媒は、前記入口及び前記入口を介して、前記ケースに導入され且つ前記ケースから脱出し、これにより、前記ケースを流れる前記冷媒の少なくとも一部が、前記相変化材料と熱的に相互作用する、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の冷媒循環ループ。
【請求項10】
ダクト(164)が、前記ケースの前記入口(161)と前記出口(162)とを連結し、前記ダクトと前記ケース(165)は、少なくとも1つの共通の壁を共有し、これにより、当該壁を介して前記冷媒の熱が前記相変化可能な材料(163)に、当該壁を介して前記変化可能な材料(163)の熱が前記冷媒に、それぞれ伝達される、
請求項9に記載の冷媒循環ループ。
【請求項11】
前記相変化可能な材料(163)は、10°乃至40℃の間にある溶融点を有する、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の冷媒循環ループ。
【請求項12】
前記熱交換装置(120)は、内部コンデンサ(122)を更に含む、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の冷媒循環ループ。
【請求項13】
前記熱交換装置(220)は、ラジエータ(225)を更に含み、前記ラジエータ(225)は、追加の回路によって追加の冷媒‐水交換機(257)に結合される、
請求項2乃至11のいずれか一項に記載の冷媒循環ループ。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の冷媒循環ループを含む車両。
【請求項15】
請求項1乃至13の一項に記載のループにおける冷媒の循環を制御する方法であって、
‐ 大気の温度、及び/又は前記ループ内を循環する前記冷媒の温度、及び/又は前記相変化材料の温度を測定するステップと、
‐ 当該測定値を温度閾値と比較するステップと、
‐ 前記比較ステップの結果に応じて、前記冷媒の全部又は一部を前記熱貯蔵モジュールに案内することを目的とする制御ステップと、
を少なくとも含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、自動車両用の加熱、換気、及び/又は空調設備、より具体的には電気自動車又はハイブリッドカー用の加熱、換気、及び/又は空調設備に適用される冷媒循環ループに関する。
【0002】
電気自動車又はハイブリッドカーは、その内部(車内)の内側の温度を変化させるように、特に冬季に車内を加熱してユーザに快適性を提供するように、加熱、換気、空調及び/又はヒートポンプとも称される可逆空調ループを含む。
【0003】
より具体的には、車内の温度は、車両において一般的にはその内部付近に配設された熱交換装置と、車両の前面において外気と接触して配置された空気ヒーターとの間における冷媒の循環によって加減され得る。こうして、循環ループが車両に形成され、熱交換手段の一方及び他方に、冷媒が適切な状態で供給され得る。
【0004】
冷媒は、ヒートポンプの動作の段階に応じて空気ヒーターの熱を奪うか、又はこれに熱を与える。加熱ループにおいて冷媒を圧縮して、異なる熱交換手段をその後に通過するために必要とされる冷媒の熱を変更するように、コンプレッサが使用され得る。
【0005】
他の電気部材と同様に、コンプレッサは車両のバッテリにより給電される。したがって、バッテリの寿命は、コンプレッサの動作速度に直接的に依存する。ここで、車外で温度が降下するほど、車両のユーザに同様の快適性を保証するように、コンプレッサの速度を増加させなければならない。このため、冬季条件においては、加熱ループは、車両の電熱器と同等の更に多くのエネルギーを消費する。
【0006】
更に、車両の前面において通常フードの下方に配置されたフロントエンド空気ヒーターと称される空気ヒーターは、特にこれを通過する外気によって作動する。フロントエンド空気ヒーターに入る前に車両の構造体によって加熱することのできない外気にフロントエンド空気ヒーターが直接露出しているため、外気温が非常に低い、例えば2又は3℃より低い場合、フリーズしやすい。低い温度で且つ高い相対湿度の状態において、大気より冷たい冷媒は、空気ヒーターの壁に結露を発生させ着氷が生じ得る。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、加熱、換気、及び/又は空調タイプの冷媒循環ループを提案することにより、この欠点を克服することを目的とする。本冷媒循環ループは、特に冬季条件の使用における電気消費の点でより経済的である。また、本冷媒循環ループは、フロントエンド空気ヒーターの全負荷運転を回避することを、加熱、換気、及び/又は空調設備の効率性を損なうことなく、すなわち、非常に低い温度において、具体的には−10℃より低い温度において加熱パワーを増加させることにより可能とする。
【0008】
この文脈において、本発明は、エバポレータと分配要素とを少なくとも含む熱交換装置を含む自動車両用冷媒循環ループであって、前記分配要素は、前記冷媒が前記エバポレータを通過しない少なくとも第1モードと、前記冷媒がエバポレータを通過する第2モードに応じて前記ループを構成するように制御される冷媒循環ループを提供する。
【0009】
したがって、前記分配要素は、車両の内部が加熱される第1のヒートポンプモードから、前記内部が冷却される第2の空調モードに切り替えることが可能である。
【0010】
本発明によれば、前記循環ループは、相変化可能な材料を含む少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵モジュールを更に含み、前記貯蔵モジュールは、前記分配要素によって付与される構成がいずれであっても、すなわち、前記ループが前記第1モードに応じて構成されていても前記第2モードに応じて構成されていても、前記ループに配設される。
【0011】
貯蔵モジュールはヒートポンプのループに配設される、すなわち、ヒートポンプ又は空調構成モードのいずれでも作動可能であることが重要である。なぜならば、貯蔵モジュールは必要なエネルギーを冷媒に供給できるからである。
【0012】
貯蔵モジュールは、熱エネルギーを冷媒と交換することができる。有利には、貯蔵モジュールに配設された相変化材料がエネルギーを冷媒に伝達するのに適した状態である限り、冷媒は循環ループ内で循環する流体の温度を上昇させることができる。このようにして、循環ループにおいて、特に熱交換装置の流路において冷媒は高い温度を有するが、コンプレッサが流体を所望の値まで圧縮させる動作、つまり過度にエネルギーを消費するような動作をすることはない。これにより、加熱、換気、及び/又は空調設備の電気消費量が顕著に削減され得る。本発明は、車両が電気バッテリを使用しながら動作する際に特に有利であり、これにより車両のレンジ(電熱器)やバッテリの寿命が向上することを理解されたい。
【0013】
本発明の好適な実施形態によれば、前記ループは、フロントエンド空気ヒーターを更に含み、前記熱エネルギー貯蔵モジュールは、前記循環ループにおいて、前記フロントエンド空気ヒーターに対して並列に配設される。流体の温度上昇は、貯蔵手段に予め貯蔵されていたエネルギーが利用されて冷媒を加熱し、熱交換機を通過して車内に吹き込まれるのに必要な空気を加熱するのに適した状態にこの冷媒を維持する車両の事前条件調整の段階が実現されるように、流体が空気ヒーターを通過することにより得たであろう温度上昇と異なる。
【0014】
フロントエンド空気ヒーターは、車両の内部の外側に、好適には、車両の前面において車両の外側の空気に直接接触するように存在することが意図された空気ヒーターである。
【0015】
更に、車両の始動時、特に非常に寒い状態で貯蔵モジュールを充電するとき、冷媒は、フロントエンド空気ヒーターではなく貯蔵モジュールを通過する必要がある。こうして、着氷が生じ得るフロントエンド空気ヒーターの壁が結露することが回避される。
【0016】
熱貯蔵モジュールは、特に熱伝導材料、好適には金属で作製されたケースを含み得る。ケースは、相変化材料を収容する内部チャンバと、入口及び出口とを含む。冷媒は、前記入口及び前記入口を介して前記ケースに導入され且つ前記ケースから脱出し、これにより、前記ケースを流れる前記冷媒の少なくとも一部が、前記相変化材料と熱的に相互作用する。このようにして、冷媒と相変化材料との熱交換が、ケースにより形成される中空のチャンバの内部で実施される。
【0017】
中空のチャンバに配置された相変化材料は、例えば、複数のチューブ、ミクロビーズ、又は顆粒の形状を取り得る。このような相変化材料に沿って、冷媒はケースをその入口から出口まで通過することで流れることができる。このように流れている間に、冷媒の少なくとも一部が、相変化材料と熱を交換するように誘導される。相変化材料とケースを流れる冷媒との間の熱的相互作用を許容する他の構成が想定され得ることが明らかである。
【0018】
典型的には、可能な一実施形態によれば、ダクトがケースの入口を出口に連結し、ケースの中空の内部チャンバは、好適にはこのダクトと少なくとも1つの共通の壁を共用する。これにより、この壁を介して流体の熱が相変化材料に、この壁を介して相変化材料の熱が流体に、それぞれ伝達される。特に、相変化材料を受容するケースを形成する熱伝導材料はアルミニウムであり得る。
【0019】
特に、相変化材料を受容するケースは、環状、矩形状、又は冷媒を案内するとともに相変化材料を収容するのに適した断面を有する筒状形状を有し得る。相変化材料は、例えば、ケースの中央において冷媒循環ダクトの全周に配設される。また、断熱装置を熱エネルギー貯蔵手段の周囲に設けることも可能である。
【0020】
循環ループにおいて有利に使用される相変化材料に特有の単独でも組み合わせてもよい一連の特徴によれば、以下の態様が可能である。
‐ 相変化材料は、有機塩と水との合金等の無機化合物からなる材料からなる。
‐ 相変化材料は、パラフィンや脂肪酸等の有機化合物からなる材料からなる。
‐ 相変化材料は、共結晶化合物からなる材料からなる。
‐ 相変化材料は、植物起源組成物からなる材料からなる
‐ 相変化材料は、液体形態において貯蔵モジュールに組み込まれる。
‐ 相変化材料は、重合複合材料の形態、具体的にはシート形態において貯蔵モジュールに組み込まれる。
‐ 相変化材料の相変化温度は、10℃乃至40℃の間にある。
‐ 相変化材料の臨界相変化温度は、15℃である。
【0021】
好適には、少なくとも車両の運行開始時に(典型的にはおよそ20分間)、電気自動車のバッテリの電気消費を最適に維持するように十分に長く貯蔵モジュールが熱流体を加熱し、且つ外気温がどのようなものであってもこれを可能とするように、少なくとも200Wh、好適には少なくとも400Whを貯蔵可能である。
【0022】
上述のように、熱エネルギー貯蔵モジュールは、フロントエンド空気ヒーターに対して並列に連結され得る。特に、熱貯蔵モジュールのこの並列接続を、貯蔵モジュールを通過する冷媒の流速を制御するように駆動される少なくとも1つのバルブを介して構成することが可能である。
【0023】
制御ユニットが循環ループに関連付けられる。制御ユニットは、特にコンプレッサの始動時に、冷媒の少なくとも一部、好適には全部が熱エネルギーを貯蔵モジュールと交換するように、少なくとも1つのバルブの位置を変更可能である。したがって、冷媒がフロントエンド空気ヒーターではなく貯蔵モジュールを通流するように、制御ユニットはフロントエンド空気ヒーターを循環ループから隔絶することができる。このことは、大気の温度が貯蔵モジュールの温度より低い場合に特に有利である。これは、例えば、循環ループが冬季に使用される場合である。
【0024】
本発明の特徴によれば、車両の内部の外側の空気の温度を測定することが意図された第1温度プローブが設けられる。この第1プローブは、特に、上述の制御モジュールに連結され得る。この目的は、制御モジュールが、空気ヒーターに対して並列の熱貯蔵モジュールに熱流体を通過させるか通過させないかの妥当性を評価する、すなわち、換言すれば、当該フロントエンド空気ヒーターでの熱流体のヒートロス現象を制限することである。
【0025】
所定の時間を測定するための手段を設けることも可能である。特にこの目的は、この所定時間に応じて少なくとも1つのバルブの位置を制御することである。これにより、特に、熱エネルギーを貯蔵モジュールから完全に奪わないように、且つ必要な場合のみこれを使用するように、熱貯蔵モジュールを通過する冷媒の流れを決められた時間で制御することが可能となる。
【0026】
更に、上述の制御ユニットは、循環ループ制御プログラムを記憶するための手段と、少なくとも1つの温度閾値と、及び/又は少なくとも1つの時間基準値とを含み得る。制御プログラムの一例を以下に説明する。温度閾値は、冷媒をフロントエンド空気ヒーターではなく貯蔵モジュールに通過させることがより有利である温度に対応する。ここで、「より有利である」という用語は、コンプレッサの電気消費を減少させることができる、及び/又はフロントエンド空気ヒーターに着氷が生じるリスクを制限することができるという事実を意味するものとして理解されたい。有利な実施形態によれば、温度閾値は、車両の外側の温度、及び/又は相変化材料の温度、及び/又は冷媒の温度の少なくとも1つの測定値に応じて決定される。典型的には、温度閾値は、(第1プローブによって測定された)車両の外側の温度に等しい、又は外気温に対して+/−1℃乃至+/−10℃に等しいように設定され得る。したがって、温度閾値が第3プローブに(すなわち相変化材料に)に達しない場合には、熱交換装置からの冷媒を貯蔵モジュールに案内することができる一方、測定値が閾値に等しいかこれを上回っている場合には、熱交換装置からの冷媒の流速をフロントエンド空気ヒーターに案内することができる。単なる説明的例示として、温度閾値は、−20℃乃至5℃の間、好適にはおよそ−10℃であり得る。当然ながら、これらの値は、例えば循環ループやその部品要素の構成に適合させ得る。同様に、時間基準値は、上述と同一の基準に依存し得る。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、熱交換装置は、エバポレータと内部コンデンサとノズルとを含む。エバポレータと内部コンデンサとは別個のものであり、混合フラップの位置によらずにそれぞれ空気が供給される。ノズルは、エバポレータを通過した、又はコンデンサを通過した空気を車両の内部に分配する。熱交換装置は、HVAC(「Heating, Ventilation and Air−Conditioning」の頭文字)ユニットの形状を取り得る。
【0028】
代替的な実施形態において、循環ループをHVACユニットに適合させることが想定され得る。本例では、コンデンサに代えてラジエータが使用される。特に、熱交換装置と、循環ループにおいてコンプレッサの下流に配置された空気‐水冷却交換機との間に配設された追加の回路に第2流体が組み込まれる。したがって、第2ステージは、追加の回路に付加された水コンデンサ及びポンプにより形成され、特にラジエータを含む既存の車両構造に適合する。したがって、電気又はハイブリッド車両に対して、内燃機関車両で使用されている熱交換装置を使用することが可能となる。
【0029】
各例において、車両の内部の内側の空気の温度、及び/又は空気分配要素の出口における冷媒の温度を測定することが意図された第2熱プローブを存在させることが可能である。この目的は、特に、具体的には電気車両を充電する場合、及び熱貯蔵モジュールにおいて既に使用された熱エネルギーを補充する可能性のある場合に、冷媒が熱貯蔵要素を通過することが必要であるかどうかを決定することである。変形例として、又はこれに加えて、制御ユニットは、貯蔵モジュール内の相変化材料の温度を測定することが意図された第3熱プローブに接続され得る。貯蔵モジュールに収容された材料の相変化温度より高い温度になった冷媒が貯蔵モジュールを通流する場合、材料は相を変化させ、これによりエネルギーを貯蓄する可能性が高いことを理解されたい。
【0030】
また、本発明は、上述の循環ループを含む車両に関する。
【0031】
また、本発明は、上述の熱ループにおける冷媒の循環を制御する方法であって、大気の温度、及び/又は前記ループ内を循環する前記冷媒の温度、及び/又は前記相変化材料の温度を測定するステップと、当該測定値を温度閾値と比較するステップと、前記比較ステップの結果に応じて、前記冷媒の全部又は一部を前記熱貯蔵モジュールに案内することを目的とする制御ステップと、を少なくとも含む方法に関する。
【0032】
特に、大気の測定温度値が閾値よりも低い場合、熱交換装置からの冷媒の流速の少なくとも一部、好適には全部を貯蔵モジュールに通過させる一方、測定値が閾値に等しい又はこれを上回っている場合には、熱交換装置からの冷媒の流速の少なくとも一部、好適には全部をフロントエンド空気ヒーターに通過させることが可能である。
【0033】
本発明による制御方法は、貯蔵モジュールの熱を、車両の内部の外側にある空気の温度に応じて使用する、又は保持することができる。大気が例えば−10℃より低い場合、冷気をエバポレータ‐コンデンサに通過させるとエバポレータ‐コンデンサに着氷して壁が結露するリスクが推定される一方、他方で冷媒を適切な圧力にして熱貯蔵モジュールを通過させるというコンプレッサの働きが過剰とならないようにする。こうして、冷媒を熱貯蔵モジュールに通過させ、相変化材料が、ループの経済的な作動に最も適する程度まで流体のエネルギーの増加に資するようになる。
【0034】
本制御方法では、熱交換装置からの冷媒の流速の少なくとも一部、好適には全部の通過が時間的概念について導入され得る。したがって、コンプレッサの始動時、フロントエンド空気ヒーターを通過する前に、冷媒は熱を貯蔵モジュールと所定時間に亘って交換することが可能となる。このような解決法は、温度が0℃より低いことが多い冬季条件における空調ループの日常的な使用に特に適している。
【0035】
本制御方法では、冷媒の温度を考慮することも可能である。これにより、測定値が閾値を上回っている場合、熱交換装置からの冷媒の流速の少なくとも一部、好適には全部が貯蔵モジュールを通過する。また、測定値が閾値に等しい、又はこれを下回っている場合、熱交換装置からの冷媒の流速の少なくとも一部、好適には全部がフロントエンド空気ヒーターを通過する。この代替例によれば、車内の加熱が停止した状態での車両の走行中であっても、電気ターミナルで車両を充電中であっても、冷媒の熱の一部を使用して熱エネルギー貯蔵モジュールを加熱する、及び貯蔵モジュールを充電することが可能である。
【0036】
本発明の特徴、変形例及び異なる実施形態が、それらが相互に両立しない、又は排他的でない限り、種々の組合せに従って互いに対応付けられ得ることが明瞭である。
【0037】
上述の及び他の本発明の特徴が、以下の添付図面を参照して下記になされる非制限的な例の詳細な説明を読むことでより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】ヒートポンプ・モードにある第1実施形態による冷媒循環ループの概略図であって、冷媒がフロントエンド空気ヒーターを通過するように向けられている図。
【図2】空調モードにある別の実施形態による冷媒循環ループの概略図であって、冷媒がフロントエンド空気ヒーターを通過するように向けられてる図。
【図3】図1と同様にヒートポンプ・モードにある冷媒循環ループの概略図であって、冷媒が熱貯蔵モジュールを通過するように向けられている図。
【図4】図2と同様に空調モードにある冷媒循環ループの概略図であって、冷媒が熱貯蔵モジュールを通過するように向けられている図。
【図5】ヒートポンプ・モードにある第2実施形態による冷媒循環ループの概略図であって、冷媒が熱貯蔵モジュールを通過するように向けられている図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明による循環ループ100の第1実施形態を示す。本例において、循環ループ100は、車両の内部の外側に存在することが意図された、具体的には、車両の前面においてその前方フードの下方に存在することが意図されたフロントエンド空気ヒーター110と、車内(内部)の近傍に配設され得る熱交換機120であって、少なくとも1つのエバポレータ121を含む熱交換装置120と、を含む。フロントエンド空気ヒーター110は、特にエンジン室の上流に配設され得るとともに、具体的にはエバポレータ‐コンデンサであり得る。
【0040】
図示例において、熱交換装置120は、エバポレータ121の他に、少なくとも内部コンデンサ122を含むHVACユニットの形態をなしている。熱交換装置は、調節された温度の空気流を生成する装置であり、空気を取り込んで、これを加熱又は冷却し、この空気を車室内に送り込む。より具体的には、取り込まれた空気は、車室内に送り込まれる前にエバポレータ又は内部コンデンサを通って流れる。取り込まれた空気は、全てが外部からの空気であるか、又は車室からの空気の少なくとも一部を利用した循環空気である。
【0041】
熱交換手段は、好適には、空気/流体タイプである。交換器の形状は、本発明の範囲を逸脱せずに変更可能であることを理解されたい。
【0042】
第1ダクト141が、フロントエンド空気ヒーターの出口111を熱交換装置の入口123に接続する。第2ダクト142が、熱交換装置の出口124を空気ヒーターの入口112に連結し、これにより、冷媒が内部で循環するループが形成される。ダクトとは、車両用加熱ループにおいて一般に使用されるあらゆるタイプのラインを意味してよい。例えば、ダクトとは、ポリマー、金属又は合金から製造される、冷媒を収容可能なラインを意味してよい。
【0043】
冷媒は、これを供給すべき熱交換手段に応じてループを循環する際に、いくつかの別個の相‐液体又は蒸気‐を呈し、また、いくつかの別個の圧力を受けることが想定されるものである。特に、ループは、
‐ 蒸気の形態の冷媒が低圧で進入し、高圧で送り出される(再出現する)コンプレッサ151と、
‐ 冷媒の相を分離するとともに、冷媒が蒸気の形態でのみ出ていくことを許容するよう構成されたアキュムレータ152であって、特にコンプレッサ151の上流に配設されるアキュムレータ152と、
‐ 第1膨張弁153及び第2膨張弁154であって、低圧の冷媒が液体及び蒸気の形態で排出される第1膨張弁153及び第2膨張弁154と、
を含み得る。
【0044】
更に、循環ループは分配要素155を含む。分配要素155は、ヒートポンプ・モード又は空調モードのいずれが対象とされているかに応じて、冷媒を熱交換装置120に向かわせる、又はコンプレッサ151に直接的に向かわせるように構成されている。また、循環ループは、第1膨張弁153に対して並列に配設されたバイパス156を含む。これは、特に膨張弁153での膨張を回避するよう、冷媒がフロントエンド空気ヒーター110に送られる状態を選択可能とするためである。
【0045】
本発明による循環ループは、冷媒と熱エネルギーを交換することができるようにする熱エネルギー貯蔵モジュール160を含む。このために、貯蔵モジュールは、三方弁タイプのバルブ171を介して第2ダクト142に連結された入口161を含む。貯蔵モジュールの出口162は、コンプレッサ151の上流、特に分配要素155の上流において、第1ダクト141に接続される。好適には、貯蔵モジュールの出口162は、コンプレッサ151のできる限り近くに連結される。これは、流体が貯蔵モジュール160とコンプレッサ151との間を流れる際の熱損失の現象を制限するためである。貯蔵モジュール160は、好適には、15℃程度の温度で200乃至1000Whを貯蔵するように構成される。
【0046】
熱エネルギー貯蔵モジュール160は、冷媒を所定量の相変化可能な材料163と直接的に熱接触させるように構成される、この「相変化材料」又は「PCM」は、特に、相変化する際にエネルギーを熱量の形態で貯蔵可能であるという性質を有している。
【0047】
熱エネルギー貯蔵モジュール160は、冷媒が入口161を経由してケースに導入され得るとともに、このケースから出口162を経由して脱出することが可能であるように形成される。冷媒の少なくとも一部が、ケース165内を流れ、相変化材料163と熱的に相互作用することが可能である。所定位置に配置された相変化材料は、例えば、チューブ、マイクロビーズ、又は顆粒の形態を取り得る。このような相変化材料に沿って、冷媒は流入してケースを通過することができる。もちろん、相変化材料とケースを流れる冷媒との間の熱的相互作用を許容する他の構成が想定され得る。
【0048】
図示の第1実施形態では、電気エネルギー貯蔵モジュール160は、冷媒を循環させるためにフロントエンド空気ヒーター110のバイパスとして設けられたダクト164に沿って形成される。電気エネルギー貯蔵モジュール160は、相変化材料163を受容するチャンバを画成するケース165を含む。ケース165は、流体循環ダクト164を、内壁がこのダクトと共通であるような態様で取り囲む。このようにすると、冷媒と相変化材料との間の熱交換が、特に効果的且つ時間的に迅速になる。しかしながら、別の想定される実施形態によれば、ケース165は、ダクトの壁とは別個の壁を有するように製造され得る。この場合、ケースの壁の一部が、ダクト164の外壁の形状に合わせて形成され、ケースの壁とダクトの壁との接触によって冷媒と相変化材料との間の熱交換が可能とされるが、共通の壁を有する実施形態より性能水準は劣る。更に、ケースの形状は、円筒形状以外にも、冷媒を導くとともに相変化材料を収容可能とするいかなる形状によっても構成され得る。本発明によれば、相変化材料163は、空気ヒーターの内部で得られる温度範囲において、固体‐液体転移を呈するように選択される。相変化材料が、その当初温度に応じて加熱又は冷却された後に相変化温度(転移温度)に到達すると、相変化材料はその付近の環境に関連してエネルギーを貯蔵する、又は再貯蔵する。車両が充電中で且つ冷媒が循環ダクト164を抜けて貯蔵モジュール160を通過するとき、冷媒は閉鎖ループモードにおいて循環しているため各ループで再加熱された貯蔵モジュールを通過する冷媒の連続的な移動は、記載例において、冷媒が固体状態から液体状態に切り替わる相変化温度に達するまで温度上昇に寄与し、相変化材料は、相変化材料の質量及び各材料に特有の潜熱特性に応じた所定量の熱を吸収する。
【0049】
逆に、特に車室内に吹き込まれる熱気(温風)の生成を最適化するように冷媒の温度を上昇させることが目的とされる始動段階において、相変化材料の温度は、液体状態から固体状態に切り替わる相変化温度に達するまで下降する。こうして、相変化材料は、予め貯蔵したエネルギーを回復することによって変化する。
【0050】
1つの選択例によれば、相変化材料は、以下の材料のうちの1つから選択され得る、又は、少なくとも以下の材料のうちの1つを含み得る:
‐ 有機塩の合金や水等の無機化合物;
‐ パラフィンや脂肪酸等の有機化合物;
‐ 共結晶化合物;
‐ 植物由来組成物。
【0051】
相変化材料を貯蔵モジュールに、液体の形態においても固体の形態においても組み込むことが可能である。特に後者の場合、相変化材料は、重合された複合材料の形態、例えばシートの形態にある。
【0052】
相変化材料の相変化温度範囲は、具体的には10℃〜40℃程度であり得る。本明細書に記載の適用モードにおいて、PCMの臨界相変化温度を15℃に等しいとすることが有利である。
【0053】
この臨界相変化温度は、本発明の文脈から逸脱せずに、適用例によって変わり得ること、及びここで挙げた15℃という値は例示としてのみのものであることを理解されたい。特に冷媒の温度変化に対する卓越した反応性を提供することが可能な材料であって、車両の温度管理の必要性に応じて頻繁に変化させ得る材料を選択するように、相変化材料はエネルギーの吸収及び回復率によって特徴付けられ得ることに留意されたい。
【0054】
本発明による熱貯蔵モジュール、すなわち循環ループにおいてフロントエンド空気ヒーターに対して並列に配設される熱貯蔵モジュールの有用な適用例について、以下に説明する。
【0055】
本ループを含む加熱、換気、及び/又は空調設備は、特に以下のモードにおいて動作可能である。すなわち、本ループを含む加熱、換気、及び/又は空調設備は、フロントエンド空気ヒーターにおける冷媒の通過(図1)を伴う、または熱貯蔵モジュールにおける冷媒の他の通過(図2)を伴うヒートポンプ・モードにおいて、空調モード(図2)において、更に又は熱貯蔵モジュール充電モード(図4)において動作可能である。各図面において、選択されたモードに従って冷媒が循環するループのダクトが、実線で描かれている。
【0056】
各ポンプモードにおいて、車室内に吹き込まれる空気の再加熱が必要とされる。この目的のために、分配モジュール155が、特にユーザからのコマンドに従って制御されて、熱交換装置120のエバポレータへの流体の通過を阻止しつつ、流体を直接アキュムレータ152及びコンプレッサ151に向かわせる位置になる。冷媒は、高圧とされて、熱交換装置の内部コンデンサ122に向けられる。この結果、コンデンサを流れる空気に対して熱が移動し、混合フラップが好適な位置に変位される。再加熱された脈動空気は車内に進入し、冷却された冷媒は、第1膨張弁153を通過することによってループ内を循環し続ける。低圧となった冷媒は、バルブ171に達するまで第2ダクト142に沿って流れる。バルブは、流体をフロントエンド空気ヒーター110(図1)に、又は貯蔵モジュール160(図2)に向かわせるように制御される。図示された例において、バルブは三方弁である。本発明の文脈を逸脱せずに、例えば2つの二方弁によって同一の制御がなされ得ることを理解されたい。バルブを制御する条件は、外気の温度、及び/又は第2ダクト142内の冷媒の温度、及び/又は相変化材料163の温度、及び/又は車両の始動後の所定の時間に応じて変わり得る。具体的に、これらの制御条件を以下に詳細に説明する。
【0057】
一般に、バルブ171は、始動時に、図3に示す位置、すなわち冷媒を熱貯蔵モジュールに向かわせる位置となるようにシステマチックに制御されることが想定され得る。車両の始動時に、熱貯蔵モジュールは正常に充填されているべきである、すなわち、冷却されてそのエネルギーを冷媒に伝達するように調整された相変化材料を含んでいるべきであることを理解されたい。熱貯蔵モジュールの下流に配置された適当なセンサによって、熱貯蔵モジュールを通過する流体が変化すること、これにより熱貯蔵モジュールが適切に充填されることが確保され得ることを理解されたい。その他の場合には、バルブ171は、フロントエンド空気ヒーターを通過する標準的な動作モードに戻るように制御され得る。
【0058】
図3に示すように、流体が相変化材料163で充填された内部チャンバを通ってダクト164を通過するとき、流体は加熱されて、再び分配モジュール155を経由してアキュムレータ及びコンプレッサに向けられる。バルブ171が流体を貯蔵モジュール160に向けた状態で、流体へのエネルギーの伝達によって相変化材料が流体の温度より低くなる又はこれに等しくなるまでループは現状のままであり続け、次いで貯蔵モジュールから排出される。本動作モードにおいて、流体を加熱するために使用されるのは、外気ではなく相変化材料のエネルギーである。通常の動作モードにおいて、貯蔵モジュールの排出時間は、例えば外気温に応じて推定可能であること、及び、この推定排出時間に達したら、直ちにバルブ171は流体をフロントエンド空気ヒーターに向かわせる所定位置に自動的に制御され得ることを理解されたい。また、バルブ171により、貯蔵モジュール160を循環ループから所定の動作段階について隔離することが可能とされる。典型的には、貯蔵モジュールから完全に排出されたとき(すなわち、相変化材料の温度が外気温より低くなる、更には外気温より、例えば−5℃に設定され得る所定の温度差だけ低くなったとき)、又は、貯蔵モジュールが完全に充填されたとき(すなわち、相変化材料の温度が、相変化材料の融点より高くなる、更には、融点に具体的には例えば+5℃に設定され得る所定の温度差をプラスしたものより高くなったとき)、貯蔵モジュール160を循環ループから隔離させることができる。
【0059】
このような操作により、相変化材料のエネルギーの貯蔵量が徐々に減ることによって、ヒートポンプの消費を減少させること、及び/又は加熱パワーを増大させることができる。例えば、コンプレッサのエネルギー消費量が小さくなる。なぜならば、冷媒は熱貯蔵手段によってより熱くなっているためである。フロントエンド空気ヒーターの始動を遅らせた後にこれが作動されたとき、前面において吸収されて冷媒のエネルギーを増大させるパワーが減少し、これにより、フロントエンド空気ヒーターの壁における結露が減少することで着氷のリスクが制限される/遅らせられる。
【0060】
貯蔵モジュールから排出される、或いは排出されたと推定されると、バルブ171の位置が変更され、流体はフロントエンド空気ヒーターに向けられ、こうして図1に示すように通常操作モードに戻る。こうして、流体は、コンプレッサに向けられる前に、フロントエンド空気ヒーターを通過する大気と熱交換する。
【0061】
循環ループは、特にユーザからの要請に従って、空調モードに切り替え可能であるように構成され得る。本例において、分配要素155は、流体を第2膨張弁154を通過するように案内する。これにより、熱交換装置120のエバポレータ121を通過する前に流体の圧力及び温度が低下する。エバポレータにおいて、流体は、車内に流れ込む空気の冷却に寄与する。冷媒は、熱交換することなく単にアキュムレータ152、コンプレッサ151、内部コンデンサを通過するように案内される。なぜならば、熱交換装置120の空気混合フラップは空気の当該コンデンサへの取り込みをブロックしているからである。次いで、流体は、その膨張を回避するようにバイパス156を通過し、フロントエンド空気ヒーター110を通過するまで高圧であり続ける。フロントエンド空気ヒーター110において、空気は外気によって冷却される。この結果、冷却された後エバポレータ121の上流の第2膨張弁154によって再度膨張した冷媒は、空気ループでの次の通過においてエバポレータを通過する空気の冷却を容易にする。
【0062】
図4は、特にバッテリに給電するように電源プラグに電気又はハイブリッド車両が接続されているときに実行される熱貯蔵モジュール充電モードを示す。冷媒を熱貯蔵モジュールに向かわせるようにバルブ171が制御される。この充電モードは、ループが空調モードに設定された状態において、すなわち、冷媒を分配要素155によって熱交換装置120のエバポレータ121に向かわせた状態で実施される。空気がエバポレータ内を循環し得るようにする、又は空気が「高温気体(ホットガス)」モードにブロックされ得るようにすることも想定可能である。ループ内を循環する流体はコンプレッサ151によって高圧に設定され、次いで、第1膨張弁153を回避するようにバイパス156に進路を変え、これにより流体は熱貯蔵モジュール160を高温で通過して相変化材料を加熱する。この循環モードは、熱貯蔵モジュールが所定量のエネルギー(例えば、相変化材料が外気温に比較して+5℃に等しい温度に達したとき)、又は貯蔵モジュールが貯蔵可能である最大量のエネルギーを貯蔵するまで行われる。
【0063】
フロントエンド空気ヒーターに対して並列に配設された熱貯蔵モジュールは、特に車両の始動時に車内の空気を加熱することに資する図3に示すヒートポンプモード、及び充電のための図4に示す空調モードの両方において有用であることに留意されたい。分配要素155の位置がいずれであっても、熱貯蔵モジュール160にアクセス可能である。
【0064】
更に、図示例において、バルブ171の作動は、制御ユニット180によって制御可能である。制御ユニット180は、所定の時間を測定することができるコンピュータ181と、メモリ手段182とを含む。メモリ手段182は、下記の循環ループ用制御プログラム、少なくとも1つの温度閾値、及び/又は上述の少なくとも1つの時間基準値を記憶可能である。
【0065】
制御ユニット180は、車両の内部の外側の空気の温度を測定することが意図された第1温度プローブ101に接続され得る。また、制御ユニット180は、特に空気分配要素155の出口においてループ内を循環する冷媒の温度を測定することが意図された第2温度プローブ192に接続され得る。この第2温度プローブ192、すなわち追加の温度プローブは、車内の内側の空気を測定するために使用され得ることを理解されたい。また、制御ユニット180は、貯蔵モジュール内の相変化材料の温度を測定することが意図された第3温度プローブ93にも接続され得る。
【0066】
本発明による循環ループ200の第2の例示的実施形態を、図5を参照しつつ以下に説明する。この新しい実施形態において第1実施形態における要素と同じ機能を有する要素には、一及び十の位が同一の数字と同一の単位数字が付される。
【0067】
この第2例は、熱交換装置220が前記の内部コンデンサの代わりにエバポレータ221及びラジエータ225を含む点で、前述のものと異なる。また、加熱、換気、及び/又は空調設備は、空気‐水コンデンサタイプの追加の冷媒‐水交換機257を含む。冷媒‐水交換機257はラジエータ225とともに追加ループを形成し、この内部でグリコール水がポンプ258の作用で循環する。本例において、冷媒をコンデンサ内を通流させてその熱をグリコール水と交換し、次いでグリコール水は熱を熱交換装置220のラジエータ225を流れる空気に伝達する。熱貯蔵モジュール260は、前述のように、冷媒の全部又は一部を迂回させるようにフロントエンド空気ヒーター210に対して並列に配設される。また、熱貯蔵モジュール260は、相変化材料を受容するチャンバを有する同一形状のケースを含む。
【0068】
図5は、エネルギー貯蔵モードを示す。本モードでは、冷媒をエバポレータ‐コンデンサ210を通過させずに、貯蔵モジュール260を通流させる。貯蔵モジュール260は、エバポレータ‐コンデンサ210に対して並列に延在している。他の実施形態は、上述のものと同様の態様において動作することを理解されたい。
【0069】
循環ループの各実施形態において、大気及び/又はループ内を循環する冷媒の温度を測定するステップを少なくとも設けることが可能である。この後に、この測定値を温度閾値と比較するステップが続き、更に、この比較ステップの結果に応じて冷媒の全部又は一部を案内することを目的とする制御ステップが続く。
【0070】
特に、本方法は、車両をオンにしたとき、又は循環ループに対応するコンプレッサを始動した直後に実行可能である。
【0071】
温度測定は、車両の内部の外側に存在する第1温度プローブ191、291であって、外気の温度の値を計測するための第1温度プローブ191、291を介して、又は冷媒の温度を計測するための第2温度プローブ192、292によって、又は相変化材料の温度を計測するための第3プローブ193、293によってなされる。
【0072】
当該値が制御ユニット180、280に記憶された温度閾値を下回っているか上回っているかに応じて、熱交換装置120又は220から生じる冷媒の流速の少なくとも一部、好適には全部が貯蔵モジュール160又は260を通過するように、バルブ171、271を制御することが可能である。
【0073】
上述の説明を読むことで以下が理解されるであろう。本発明により、特に電気又はハイブリッド車両が充電モードにあるときに、車両用冷媒循環の加熱、換気、及び/又は空調設備においてヒートポンプに連結された貯蔵モジュールに熱エネルギーを貯蔵することが可能である。この目的は、この貯蔵したエネルギーを、特に車両の始動時、及び温度が非常に低いとき、例えば−10℃より低いとき、このような状態においてフロントエンド空気ヒーターへの着氷を回避する一方、他方でコンプレッサによるパワーを削減し、且つ車両の電熱器を延長するように再利用可能とすることである。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【国際調査報告】