(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019521644
(43)【公表日】20190808
(54)【発明の名称】安定性が改善されたHER2に特異的に結合する抗体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20190712BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20190712BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20190712BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20190712BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20190712BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20190712BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20190712BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20190712BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190712BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   !C12N15/13ZNA
   !C07K16/28
   !C12N15/63 Z
   !C12N1/15
   !C12N1/19
   !C12N1/21
   !C12N5/10
   !A61P35/00
   !A61K47/18
   !A61K39/395 N
   !A61K39/395 T
   !A61P43/00 121
   !G01N33/574 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】36
(21)【出願番号】2018554349
(86)(22)【出願日】20170412
(85)【翻訳文提出日】20181022
(86)【国際出願番号】KR2017003827
(87)【国際公開番号】WO2017179862
(87)【国際公開日】20171019
(31)【優先権主張番号】10-2016-0044747
(32)【優先日】20160412
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】515286542
【氏名又は名称】アブクロン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ABCLON INC.
【住所又は居所】大韓民国152−779ソウル、クログ、デジタルロ285番、エイス・ツイン・タワー1、スウィート1401、スウィート1304
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】リ・ジョンソ
【住所又は居所】大韓民国 13473 キョンギ−ド ソンナム−シ ブンダン−ク ソパンギョ−ロ 188
(72)【発明者】
【氏名】キム・キュテ
【住所又は居所】大韓民国 10415 キョンギ−ド コヤン−シ イルサンドン−ク カンソク−ロ 110 カンチョン マウル 505−603
(72)【発明者】
【氏名】リ・ヨンハ
【住所又は居所】大韓民国 04753 ソウル ソンドン−ク マジャン−ロ 39−ギル 43 シンソン ミソチウム アパート 102−701
(72)【発明者】
【氏名】ファン・インシク
【住所又は居所】大韓民国 21059 インチョン ケヤン−ク チュブト−ロ 528 サンボ アパート 2−304
(72)【発明者】
【氏名】コ・ボングク
【住所又は居所】大韓民国 08766 ソウル クァナク−ク ジョウォン−ロ 66 #301
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA12
4C076AA16
4C076BB11
4C076CC27
4C076DD51Z
4C076FF61
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、親抗体の特定部位のアミノ酸残基を置換して、抗体の安定性を向上させて、医薬適合性を改善した発明である。本発明の変異体抗体は、親抗体であるhz1E11と比較して、生産性と効能とがほぼ同一でありながら、安定性が大きく向上している。したがって、本発明の変異体抗体は、HER2−特異的抗体の開発において、生産コスト節減、効能減少抑制及び副作用減少などの優れた特性を示す。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)配列表の配列番号1のCDRH1、(ii)配列表の配列番号2のCDRH2、及び(iii)配列表の配列番号3のCDRH3を含む重鎖可変領域;前記配列表の配列番号2で4番目のアミノ酸残基及び5番目のアミノ酸残基のうち少なくとも1つは、他のアミノ酸に置換変異されたものであり;
(b)配列表の配列番号4のCDRL1、配列表の配列番号5のCDRL2、及び配列表の配列番号6のCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む改善された安定性を示すHER2(Human Epidermal Growth Factor Receptor 2)に対する抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
前記配列表の配列番号2で4番目のアミノ酸残基は、Ala、Gly、Cys、Ile、Leu、Met、Phe、TrpまたはValに置換されたことを特徴とする請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
前記配列表の配列番号2で4番目のアミノ酸残基は、Ala、Gly、Ile、LeuまたはValに置換されたことを特徴とする請求項2に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
前記配列表の配列番号2で4番目のアミノ酸残基は、AlaまたはGlyに置換されたことを特徴とする請求項3に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
前記配列表の配列番号2で5番目のアミノ酸残基は、Ala、Cys、Ile、Leu、Met、Phe、TrpまたはValに置換されたことを特徴とする請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
前記配列表の配列番号2で5番目のアミノ酸残基は、Ala、Ile、LeuまたはValに置換されたことを特徴とする請求項5に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
前記配列表の配列番号2で5番目のアミノ酸残基は、AlaまたはValに置換されたことを特徴とする請求項6に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
前記置換変異された配列表の配列番号2のCDRH2は、配列表の配列番号9のアミノ酸配列、配列表の配列番号10のアミノ酸配列または配列表の配列番号11のアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
前記軽鎖可変領域は、配列表の配列番号12、配列表の配列番号13または配列表の配列番号14のアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項10】
(a)(i)配列表の配列番号1のCDRH1、(ii)配列表の配列番号2のCDRH2、及び(iii)配列表の配列番号3のアミノ酸配列のCDRH3を含む重鎖可変領域;及び
(b)配列表の配列番号8を含む軽鎖可変領域を含み、前記配列表の配列番号8の56番目のアミノ酸残基及び57番目のアミノ酸残基のうち少なくとも1つが、他のアミノ酸に置換変異されたことを特徴とする改善された安定性を示すHER2に対する抗体またはその抗原結合断片。
【請求項11】
前記配列表の配列番号8の56番目のアミノ酸残基は、Ala、Gly、Cys、Ile、Leu、Met、Phe、TrpまたはValに置換されたことを特徴とする請求項10に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項12】
前記配列表の配列番号8の56番目のアミノ酸残基は、Ala、Gly、Ile、LeuまたはValに置換されたことを特徴とする請求項11に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項13】
前記配列表の配列番号8の56番目のアミノ酸残基は、AlaまたはGlyに置換されたことを特徴とする請求項12に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項14】
前記配列表の配列番号8の57番目のアミノ酸残基は、Ala、Cys、Ile、Leu、Met、Phe、TrpまたはValに置換されたことを特徴とする請求項10に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項15】
前記配列表の配列番号8の57番目のアミノ酸残基は、Ala、Ile、LeuまたはValに置換されたことを特徴とする請求項14に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項16】
前記配列表の配列番号8の57番目のアミノ酸残基は、AlaまたはValに置換されたことを特徴とする請求項15に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項17】
前記軽鎖可変領域は、配列表の配列番号12のアミノ酸配列、配列表の配列番号13のアミノ酸配列または配列表の配列番号14のアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項10に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項18】
請求項1から17のいずれかに記載のHER2に対する抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸分子。
【請求項19】
請求項18に記載の核酸分子を含む組換えベクター。
【請求項20】
請求項19に記載の組換えベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項21】
(a)請求項1から17のいずれかに記載のHER2に対する抗体またはその抗原結合断片の薬剤学的有効量;及び(b)薬剤学的に許容される担体を含む癌の予防または治療用薬剤学的組成物。
【請求項22】
前記薬剤学的組成物は、トラスツズマブ抗体をさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の薬剤学的組成物。
【請求項23】
請求項1から17のいずれかに記載のHER2に対する抗体またはその抗原結合断片を含む癌診断用キット。
【請求項24】
請求項1から17のいずれかに記載のHER2に対する抗体またはその抗原結合断片;及び1〜200mMのヒスチジンを含むヒスチジン緩衝液を含む癌の予防または治療用薬剤学的組成物。
【請求項25】
前記ヒスチジン緩衝液のpHは、5〜7であることを特徴とする請求項24に記載の薬剤学的組成物。
【請求項26】
前記ヒスチジン緩衝液は、50〜300mMの塩化ナトリウムを含むことを特徴とする請求項25に記載の薬剤学的組成物。
【請求項27】
請求項1から17のいずれかに記載のHER2に対する抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含む薬剤学的組成物を対象体に投与する段階を含む癌の予防または治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2016年4月12日付で大韓民国特許庁に提出された大韓民国特許出願第10−2016−0044747号に対して優先権を主張し、前記特許出願の開示事項は、本明細書に参考として組み込まれる。
【0002】
本発明は、HER2(Human Epidermal Growth Factor Receptor 2)関連疾患、特に、癌の予防または治療に用いられる安定性が向上したHER2抗体に関する。
【背景技術】
【0003】
HER2/neu(ErbB2)遺伝子は、185kDa細胞膜通過糖タンパク質をコードし、これは、EGFR(epidermal growth factor receptors)のファミリーの1つである。HER2タンパク質は、620個のアミノ酸残基からなる細胞外ドメイン、23個のアミノ酸残基の細胞膜通過ドメイン及びチロシンキナーゼ活性を有する490アミノ酸残基の細胞内ドメインで構成されている(非特許文献1)。
【0004】
一方、多様な特性を有するHER2抗体が多くの文献に開示されており、これらHER2抗体のうちから商業的に最も成功した抗体は、トラスツズマブ(trastuzumab)抗体(HerceptinTMで商業化される、U.S.Pat.No.5,821,337)である(非特許文献2〜4)。
【0005】
トラスツズマブ抗体が商業的には成功したが、この抗体は、HER2が過発現された一部の患者のみでその効果を示す。したがって、トラスツズマブとの併用投与を通じて、トラスツズマブに反応しないか、微かに反応する癌患者の予後を改善しようとする試みがある。その例として、WO2008/031531は、同じ標的であるHER2と結合するトラスツズマブとペルツズマブ(pertuzumab)とを併用投与して、癌転移を抑制する方法を開示しており、WO2014/185704は、トラスツズマブとHER2の異なるエピトープに結合するhz1E11とを併用投与して、坑癌活性を示す方法を開示している。
【0006】
治療用抗体の安定性の向上は、コスト節減及び効能増大、副作用減少などの総合的な効率性を高める方法になりうる。したがって、治療用抗体の配列に対する変形を通じて安定性が向上した抗体を確保する研究が行われている(特許文献1;非特許文献5〜6)。
【0007】
本明細書の全般に亘って多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体として本明細書に参照して挿入されて、本発明が属する技術分野のレベル及び本発明の内容がより明確に説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2010/047509
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Akiyama T,et al.,Science,232(4758):1644−1646(1986)
【非特許文献2】Sapino,A.,et al.,Annals of Oncology(2007)18:1963−1968
【非特許文献3】Bussolati,G,et al.,British Journal of Cancer(2005)92,1261−1267
【非特許文献4】Glazyrin A,et al.,J Histology & Cytochemistry(2007)55(1):25−33
【非特許文献5】Diepold,K.,et al.,PLos One(2012)7(1):e30295
【非特許文献6】Correia,IR.,MAbs(2010)2(3):221−232
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、本発明者によって既に開発された抗体であるhz1E11(参照:大韓民国特許第1453462号)の構造的安定性を改善するために努力した。抗体の構造的安定性は、医薬の商業的開発過程において重要な考慮要素であって、構造の安定性に優れていなければ、品質管理が不利になり、効能が減少し、副作用が増加するという問題点がある。本発明者らは、hz1E11の多様な位置のアミノ酸残基のうちから、安定性に大きく影響を及ぼしうるアミノ酸残基を4個見い出し、このアミノ酸残基の置換変異体を製造して、安定性が改善され、生産性と効能とを親抗体と類似したhz1E11の変異体を完成させた。
【0011】
したがって、本発明の目的は、改善された安定性を示すHER2に対する抗体またはその抗原結合断片を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、改善された安定性を示すHER2に対する抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸分子を提供することである。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、前記核酸分子を含む組換えベクターを提供することである。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、前記組換えベクターに形質転換された宿主細胞を提供することである。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、癌の予防または治療用薬剤学的組成物を提供することである。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、前記癌の予防または治療用薬剤学的組成物を対象体に投与する段階を含む癌の予防または治療方法を提供することである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、癌診断用キットを提供することである。
【0018】
本発明の他の目的及び利点は、下記の発明の詳細な説明、特許請求の範囲及び図面によってより明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様によれば、本発明は、(a)(i)配列表の配列番号1のCDR(complementarity determining region)H1、(ii)配列表の配列番号2のCDRH2、及び(iii)配列表の配列番号3のCDRH3を含む重鎖可変領域;前記配列表の配列番号2で4番目のアミノ酸残基及び5番目のアミノ酸残基のうち少なくとも1つは、他のアミノ酸に置換変異されたものであり;(b)配列表の配列番号4のCDRL1、配列表の配列番号5のCDRL2及び配列表の配列番号6のCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む改善された安定性を示すHER2に対する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0020】
本発明者らは、本発明者によって既に開発された抗体であるhz1E11(参照:大韓民国特許第1453462号)の構造的安定性を改善するために努力した。抗体の構造的安定性は、医薬の商業的開発過程において重要な考慮要素であって、構造の安定性に優れていなければ、品質管理が不利になり、効能が減少し、副作用が増加するという問題点がある。本発明者らは、hz1E11の多様な位置のアミノ酸残基のうちから、安定性に大きく影響を及ぼしうるアミノ酸残基を4個見い出し、このアミノ酸残基の置換変異体を製造して、安定性が改善され、生産性と効能とを親抗体と類似したhz1E11の変異体を完成させた。
【0021】
本発明者らが究明した4個のアミノ酸のうちから、2個のアミノ酸残基は、重鎖可変領域のCDRH2に位置する。具体的に、配列表の配列番号2のCDRH2の4番目のアミノ酸残基及び5番目のアミノ酸残基が構造的安定性に影響を及ぼす残基である。前記2つのアミノ酸のうち少なくとも1つを他のアミノ酸に置換する場合、親抗体の生産性及び効能は保持しながら、安定性は改善される。
【0022】
本発明によれば、CDRH2の4番目のアミノ酸残基であるAsnは、他の如何なるアミノ酸にも置換可能である。
【0023】
本発明の一具現例によれば、CDRH2の配列表の配列番号2で4番目のアミノ酸残基は、Ala、Gly、Cys、Ile、Leu、Met、Phe、TrpまたはValに置換され、より具体的に、Ala、Gly、Ile、LeuまたはValに置換され、さらに具体的に、AlaまたはGlyに置換され、最も具体的に、Alaに置換される。
【0024】
本発明によれば、CDRH2の5番目のアミノ酸残基であるGlyは、他の如何なるアミノ酸にも置換可能である。
【0025】
本発明の一具現例によれば、CDRH2の配列表の配列番号2で5番目のアミノ酸残基は、Ala、Cys、Ile、Leu、Met、Phe、TrpまたはValに置換され、より具体的に、Ala、Ile、LeuまたはValに置換され、さらに具体的に、AlaまたはValに置換され、最も具体的に、Alaに置換される。
【0026】
本発明で採択されたアミノ酸置換戦略は、元のアミノ酸を他のアミノ酸に置換するが、置換するアミノ酸は、可能な限り反応性が低いR基を有し、構造的に小さく、安定したものを選択する。
【0027】
本発明の一具現例によれば、前記置換変異された配列表の配列番号2のCDRH2は、配列表の配列番号9のアミノ酸配列、配列表の配列番号10のアミノ酸配列または配列表の配列番号11のアミノ酸配列を含む。
【0028】
本発明の一具現例によれば、本発明の変異体抗体は、重鎖可変領域の以外に、軽鎖可変領域に変異を加えて安定性を向上させることができる。具体的に、本発明の抗体の可変領域は、配列表の配列番号12、配列表の配列番号13または配列表の配列番号14のアミノ酸配列を含む。
【0029】
本発明の一態様によれば、本発明は、(a)(i)配列表の配列番号1のCDRH1、(ii)配列表の配列番号2のCDRH2、及び(iii)配列表の配列番号3のアミノ酸配列のCDRH3を含む重鎖可変領域;及び(b)配列表の配列番号8を含む軽鎖可変領域を含み、前記配列表の配列番号8の56番目のアミノ酸残基及び57番目のアミノ酸残基のうち少なくとも1つが、他のアミノ酸に置換変異されたことを特徴とする改善された安定性を示すHER2に対する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0030】
本発明者らが究明した4個のアミノ酸のうちから、2個のアミノ酸残基は、軽鎖可変領域のCDRではないフレームワーク部位に位置している。具体的に、配列表の配列番号8の56番目のアミノ酸残基及び57番目のアミノ酸残基が構造的安定性に影響を及ぼす残基である。前記2つのアミノ酸のうち少なくとも1つを他のアミノ酸に置換する場合、親抗体の生産性及び効能は保持しながら、安定性は改善される。
【0031】
本発明によれば、配列表の配列番号8の56番目のアミノ酸残基であるAspは、他の如何なるアミノ酸にも置換可能である。
【0032】
本発明の一具現例によれば、配列表の配列番号8の56番目のアミノ酸残基は、Ala、Gly、Cys、Ile、Leu、Met、Phe、TrpまたはValに置換され、より具体的に、Ala、Gly、Ile、LeuまたはValに置換され、さらに具体的に、AlaまたはGlyに置換され、最も具体的に、Alaに置換される。
【0033】
本発明によれば、配列表の配列番号8の57番目のアミノ酸残基であるGlyは、他の如何なるアミノ酸にも置換可能である。
【0034】
本発明の一具現例によれば、配列表の配列番号8の57番目のアミノ酸残基は、Ala、Cys、Ile、Leu、Met、Phe、TrpまたはValに置換され、より具体的に、Ala、Ile、LeuまたはValに置換され、さらに具体的に、AlaまたはValに置換され、最も具体的に、Alaに置換される。
【0035】
本発明の一具現例によれば、前記置換変異された配列表の配列番号8のアミノ酸配列は、配列表の配列番号12のアミノ酸配列、配列表の配列番号13のアミノ酸配列または配列表の配列番号14のアミノ酸配列を含む。
【発明の効果】
【0036】
本発明の特徴及び利点を要約すれば、次の通りである:
(a)本発明は、親抗体の特定部位のアミノ酸残基を置換して、抗体の安定性を向上させて、医薬適合性(druggability)を改善した発明である。
(b)本発明の変異体抗体は、親抗体であるhz1E11と比較して、生産性と効能とがほぼ同一でありながら、安定性が大きく向上している。
(c)したがって、本発明の変異体抗体は、HER2−特異的抗体の開発において、生産コスト節減、効能減少抑制及び副作用減少などの優れた特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】安定性が向上した抗体が、HER2が属したErbBファミリータンパク質(HER1、HER2、HER3及びHER4)のうち、HER2に特異的に結合するか否かを分析したELISA結果である。hz15E3、トラスツズマブ、AMG−888(参照:Li C.et al.,Discov Med.2013 Sep;16(87):79−92)が、対照群抗体として用いられた。グラフで、Anti−HER2 Abは、トラスツズマブ、Anti−EGFR Abは、hz15E3、Anti−HER3 Abは、AMG−888を示す。一方、2nd onlyは、陰性対照群を示す。
【図2】開発された抗体とトラスツズマブとをNCI−N87細胞に単独処理時に、細胞死滅が起こった癌細胞の比率を分析した結果である。グラフで、hIgGは、ヒトIgGであって、陰性対照群を示し、TRAは、トラスツズマブを示す。
【図3】開発された抗体とトラスツズマブとをNCI−N87細胞に併用処理時に、細胞死滅が起こった癌細胞の比率を分析した結果である。グラフで、hIgGは、ヒトIgGであって、陰性対照群を示し、TRAは、トラスツズマブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の抗体は、多様なHER2発現の癌細胞に対して優れた殺傷能または増殖抑制能を有する。本明細書において、癌細胞を言及しながら使われる用語「殺傷」または「増殖抑制」は、同じ意味として混用される。
【0039】
本明細書において、用語「抗体(antibody)」は、HER2に対する特異抗体であって、完全な抗体の形態だけではなく、抗体分子の抗原結合断片を含む。
【0040】
完全な抗体は、2個の全長の軽鎖及び2個の全長の重鎖を有する構造であり、それぞれの軽鎖は、重鎖とジスルフィド結合で連結されている。重鎖不変領域は、ガンマ(γ)、ミュー(μ)、アルファ(α)、デルタ(δ)及びイプシロン(ε)タイプを有し、サブクラスとして、ガンマ1(γ1)、ガンマ2(γ2)、ガンマ3(γ3)、ガンマ4(γ4)、アルファ1(α1)及びアルファ2(α2)を有する。軽鎖の不変領域は、カッパ(κ)及びラムダ(λ)タイプを有する(Cellular and Molecular Immunology,Wonsiewicz,M.J.,Ed.,Chapter 45,pp.41−50,W.B.Saunders Co.Philadelphia,PA(1991);Nisonoff,A.,Introduction to Molecular Immunology,2nd Ed.,Chapter 4,pp.45−65,sinauer Associates,Inc.,Sunderland,MA(1984))。
【0041】
本明細書において、用語「抗原結合断片」は、抗原結合機能を保有している断片を意味し、Fab、F(ab’)、F(ab’)及びFvなどを含む。抗体断片のうち、Fabは、軽鎖及び重鎖の可変領域と軽鎖の不変領域及び重鎖の最初の不変領域(CH1)とを有する構造であって、1個の抗原結合部位を有する。Fab’は、重鎖CH1ドメインのC末端に1つ以上のシステイン残基を含むヒンジ領域(hinge region)を有するという点でFabと差がある。F(ab’)抗体は、Fab’のヒンジ領域のシステイン残基がジスルフィド結合を成しながら生成される。Fvは、重鎖可変部位及び軽鎖可変部位のみを有している最小の抗体切片であって、Fv断片を生成する組換え技術は、PCT国際公開特許出願WO88/10649、WO88/106630、WO88/07085、WO88/07086、及びWO88/09344に開示されている。二本鎖Fv(two−chain Fv)は、非共有結合で重鎖可変部位と軽鎖可変部位とが連結されており、一本鎖Fv(single−chain Fv)は、一般的にペプチドリンカーを通じて重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域とが共有結合で連結されるか、またはC末端で直ちに連結されており、二本鎖Fvのように、ダイマーのような構造をなしうる。このような抗体断片は、タンパク質加水分解酵素を用いて得られ(例えば、全体抗体をパパインで制限切断すれば、Fabが得られ、ペプシンで切断すれば、F(ab’)断片が得られる)、または遺伝子組換え技術を通じて製作することができる。
【0042】
本発明において、抗体は、望ましくは、Fabの形態であるか、完全な抗体の形態である。また、重鎖不変領域は、ガンマ(γ)、ミュー(μ)、アルファ(α)、デルタ(δ)またはイプシロン(ε)のうちの何れか1つのイソタイプから選択されうる。望ましくは、不変領域は、ガンマ1(IgG1)、ガンマ3(IgG3)及びガンマ4(IgG4)であり、最も望ましくは、ガンマ1(IgG1)イソタイプである。軽鎖不変領域は、カッパまたはラムダ型であり、望ましくは、カッパ型である。したがって、本発明の望ましい抗体は、カッパ(κ)軽鎖とガンマ1(γ1)重鎖とを有するFabの形態またはIgG1の形態である。
【0043】
本明細書において、用語「重鎖」は、抗原に特異性を付与するための十分な可変領域配列を有するアミノ酸配列を含む可変領域ドメインV及び3個の不変領域ドメインCH1、CH2及びCH3を含む全長の重鎖及びその断片をいずれも意味する。また、本明細書において、用語「軽鎖」は、抗原に特異性を付与するための十分な可変領域配列を有するアミノ酸配列を含む可変領域ドメインV及び不変領域ドメインCを含む全長の軽鎖及びその断片をいずれも意味する。
【0044】
本明細書において、用語「CDR」は、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の高可変領域(hypervariable region)のアミノ酸配列を意味する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,4th Ed.,U.S.Department of Health and Human Services,National Institutes of Health(1987))。重鎖(CDRH1、CDRH2及びCDRH3)及び軽鎖(CDRL1、CDRL2及びCDRL3)には、それぞれ3個のCDRsが含まれている。CDRは、抗体が抗原またはエピトープに結合するに当たって、主な接触残基を提供する。
【0045】
本発明の抗体は、単一クローン抗体、多特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖Fvs(scFV)、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合Fvs(sdFV)及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体、そして、前記抗体のエピトープ結合断片などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0046】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、前述した本発明のHER2に対する抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸分子を提供する。
【0047】
本明細書において、用語「核酸分子」は、DNA(gDNA及びcDNA)、そして、RNA分子を包括的に含む意味を有し、核酸分子で基本構成単位であるヌクレオチドは、自然のヌクレオチドだけではなく、糖または塩基部位が変形された類似体(analogue)も含む(Scheit,Nucleotide Analogs,John Wiley,New York(1980);Uhlman及びPeyman,Chemical Reviews,90:543−584(1990))。
【0048】
本発明の他の態様によれば、本発明は、前述した本発明の核酸分子を含む組換えベクターを提供する。
【0049】
本明細書において、用語「ベクター」は、宿主細胞で目的遺伝子を発現させるための手段であって、プラスミドベクター;コズミドベクター;そして、バクテリオファージベクター、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター及びアデノ随伴ウイルスベクターのようなウイルスベクターなどが含まれる。
【0050】
本発明の望ましい具現例によれば、本発明のベクターで軽鎖可変領域をコードする核酸分子及び重鎖可変領域をコードする核酸分子は、プロモーターと作動的に結合(operatively linked)されている。
【0051】
本明細書において、用語「作動的に結合された」は、核酸発現調節配列(例:プロモーター、シグナル配列、または転写調節因子結合位置のアレイ)と他の核酸配列との間の機能的な結合を意味し、これにより、前記調節配列は、前記他の核酸配列の転写及び/または翻訳を調節する。
【0052】
本発明の組換えベクターシステムは、当業者に公知の多様な方法を通じて構築され、これについての具体的な方法は、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)に開示されており、この文献は、本明細書に参考として組み込まれる。
【0053】
本発明のベクターは、典型的にクローニングのためのベクターまたは発現のためのベクターとして構築されうる。また、本発明のベクターは、原核細胞または真核細胞を宿主として構築されうる。
【0054】
例えば、本発明のベクターが発現ベクターであり、真核細胞を宿主とする場合には、哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例:メタロチオネインプロモーター、βアクチンプロモーター、ヒトヘモグロビンプロモーター及びヒト筋肉クレアチンプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例:アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーターエプスタイン−バーウイルス(EBV)のプロモーター及びラウス肉腫ウイルス(RSV)のプロモーター)が用いられ、転写終結配列としてポリアデニル化配列を一般的に有する。
【0055】
本発明のベクターは、それから発現される抗体の精製を容易にするために、他の配列と融合されることもある。融合される配列は、例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(Pharmacia,USA)、マルトス結合タンパク質(NEB,USA)、FLAG(IBI,USA)及び6xHis(hexahistidine;Quiagen,USA)などがある。
【0056】
また、本発明のベクターによって発現されるタンパク質が抗体であるために、精製のための追加的な配列なしにも、発現された抗体は、タンパク質Aカラムなどを通じて容易に精製することができる。
【0057】
一方、本発明の発現ベクターは、選択標識であって、当業者に通用される抗生剤耐性遺伝子を含み、例えば、アンピシリン、ゲンタマイシン、カルベニシリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、カナマイシン、ジェネティシン、ネオマイシン及びテトラサイクリンに対する耐性遺伝子がある。
【0058】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、前記組換えベクターに形質転換された宿主細胞を提供する。
【0059】
本発明のベクターを安定しながら連続してクローニング及び発現させることができる宿主細胞は、当業者に公知されて、如何なる宿主細胞も利用することができ、例えば、前記ベクターの適した真核細胞宿主細胞は、猿の腎臓細胞7(COS7:monkey kidney cells)、NSO細胞、SP2/0、チャイニーズハムスター卵巣(CHO:Chinese hamster ovary)細胞、W138、ベビーハムスター腎臓(BHK:baby hamster kidney)細胞、MDCK、骨髓種細胞株、HuT78細胞及びHEK−293細胞を含むが、これらに限定されるものではない。
【0060】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、前述した(a)本発明のHER2抗体またはその抗原結合断片の薬剤学的有効量;及び(b)薬剤学的に許容される担体を含む癌の予防または治療用薬剤学的組成物を提供する。
【0061】
また、本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、前述した本発明のHER2に対する抗体またはその抗原結合断片;及び1〜200mMのヒスチジンを含むヒスチジン緩衝液を含む癌の予防または治療用薬剤学的組成物を提供する。
【0062】
本発明の一具現例によれば、前記ヒスチジン緩衝液に含まれたヒスチジンの濃度は、1〜200mMであり、より具体的には、1〜150mM、1〜100mM、1〜50mM、1〜40mM、1〜30mM、1〜20mMであり、最も具体的には、10mMであり得る。
【0063】
また、本発明の他の具現例によれば、前記ヒスチジン緩衝液のpHは、5〜7であり、より具体的には、5〜6.5、5.5〜6.5であり、最も具体的には、6であり得る。
【0064】
また、本発明のさらに他の具現例によれば、前記ヒスチジン緩衝液は、50〜300mMの塩化ナトリウム(sodium chloride)を含み、より具体的には、10〜200mM、50〜200mM、100〜200mMであり、最も具体的には、150mMであり得る。
【0065】
本発明の一実施例によれば、本発明のHER2抗体またはその抗原結合断片は、前記ヒスチジン緩衝液で保管される場合に、PBS緩衝液で保管される場合と比較して、過酷な条件でも格段に優れた安定性を示す。したがって、本発明のヒスチジン緩衝液を含む癌の予防または治療用薬剤学的組成物は、本発明のHER2抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含む薬剤学的組成物の安定性の向上に卓越した効果がある。
【0066】
本発明の薬剤学的組成物は、前述した本発明のHER2抗体またはその抗原結合断片を有効成分として利用するために、両者間の共通内容は、繰り返し記載によって、本明細書の過度な複雑性を避けるために、その記載を省略する。
【0067】
下記の実施例から立証したように、本発明のHER2抗体は、トラスツズマブと併用投与する場合、癌細胞(特に、乳房癌細胞、より具体的に、HER2発現乳房癌細胞)を大きく改善された細胞殺傷能で殺傷させて、癌(特に、乳房癌、より具体的に、HER2発現乳房癌)の治療に非常に有効である。本発明の一具現例によれば、薬剤学的組成物は、トラスツズマブ抗体をさらに含む。
【0068】
本発明の組成物によって予防または治療される癌は、当業者に公知の多様な癌を含み、例えば、乳房癌、卵巣癌、胃癌、肺癌、肝癌、気管支癌、鼻咽頭癌、喉頭癌、膵膓癌、膀胱癌、大腸癌、結腸癌、子宮頸部癌、脳癌、前立腺癌、骨癌、頭頸部癌、皮膚癌、甲状腺癌、副甲状線癌または尿管癌を含む。
【0069】
具体的に、本発明の組成物によって予防または治療される癌は、HER2発現癌であり、より具体的に、HER2発現乳房癌である。
【0070】
本発明の薬剤学的組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通用されるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微小結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、滑石、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の薬剤学的組成物は、前記成分の以外に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含みうる。適した薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed.,1995)に詳しく記載されている。
【0071】
本発明の薬剤学的組成物は、非経口投与し、例えば、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、局所投与、鼻内投与、肺内投与及び直腸内投与などに投与することができる。
【0072】
本発明の薬剤学的組成物の適した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性、病的状態、食べ物、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応感応性のような要因によって多様であり、通常熟練された医師は、希望する治療または予防に効果的な投与量を容易に決定及び処方することができる。本発明の望ましい具現例によれば、本発明の薬剤学的組成物の1日投与量は、0.0001〜100mg/kgである。本明細書において、用語「薬剤学的有効量」は、癌の予防または治療するのに十分な量を意味する。
【0073】
本発明の薬剤学的組成物は、当業者が容易に実施することができる方法によって、薬剤学的に許容される担体及び/または賦形剤を用いて製剤化することにより、単位容量の形態で製造されるか、または多容量容器内に内入させて製造可能である。この際、剤形は、オイルまたは水性媒質中の溶液、懸濁液または乳液の形態であるか、エクストラクト剤、散剤、座剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、またはカプセル剤の形態でもあり、分散剤または安定化剤をさらに含みうる。
【0074】
本発明の一具現例によれば、本発明の薬剤学的組成物は、トラスツズマブ抗体をさらに含む。本明細書において、用語「トラスツズマブ」は、米国特許第5,821,337号に開示された抗体を意味する。
【0075】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、前述した本発明のHER2に対する抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含む薬剤学的組成物を対象体(subject)に投与する段階を含む癌の予防または治療方法を提供する。
【0076】
本明細書で使われた用語、「投与」または「投与する」は、本発明の組成物の治療的有効量を前記組成物を必要とする対象体(個体)に直接に投与することにより、対象体の体内で同量を形成させることを言う。
【0077】
組成物の「治療的有効量」は、組成物を投与しようとする対象体に治療的または予防的効果を提供するのに十分な組成物の含量を意味し、これにより、「予防的有効量」を含む意味である。まは、本明細書で使われた用語、「対象体」は、制限なしにヒト、マウス、ラット、ギニーピッグ、犬、猫、馬、牛、豚、猿、チンパンジー、ヒヒまたは赤毛猿を含む。具体的には、本発明の対象体は、ヒトである。
【0078】
本発明の前記癌の予防または治療方法は、本発明の一態様である癌の予防または治療用薬剤学的組成物を投与する段階を含む方法なので、重複される内容については、本明細書の記載の過度な複雑性を避けるために省略する。
【0079】
本発明の前述したHER2に対する抗体またはその抗原結合断片は、診断、例えば、癌の診断に用いられうる。
【0080】
したがって、本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、前述した本発明のHER2に対する抗体またはその抗原結合断片を含む癌診断用キットを提供する。
【0081】
本発明の診断キットは、前述した本発明のHER2抗体またはその抗原結合断片を含み、本発明の薬剤学的組成物と同じ疾患を診断するので、両者間の共通内容は、繰り返し記載による本明細書の過度な複雑性を避けるために、その記載を省略する。
【0082】
前述したキットは、抗体を含むために、基本的に多様な免疫分析(immunoassay)または免疫染色(immunostaining)に適するように製作することができる。前記免疫分析または免疫染色は、放射能免疫分析、放射能免疫沈澱、免疫沈澱、ELISA(enzyme−linked immunosorbent assay)、キャプチャーELISA、抑制または競争分析、サンドイッチ分析、フローサイトメトリー(flow cytometry)、免疫蛍光染色及び免疫親和性精製(immunoaffinity purification)を含むが、これらに限定されるものではない。前記免疫分析または免疫染色の方法は、Enzyme Immunoassay,E.T.Maggio,ed.,CRC Press,Boca Raton,Florida,1980;Gaastra,W.,Enzyme−linked immunosorbent assay(ELISA),in Methods in Molecular Biology,Vol.1,Walker,J.M.ed.,Humana Press,NJ,1984;及びEd Harlow and David Lane,Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999に記載されており、前記文献は、本明細書に参考として組み込まれる。
【0083】
例えば、本発明の方法が、放射能免疫分析方法によって実施される場合、放射性同位元素(例えば、C14、I125、P32及びS35)でラベリングされた抗体が、HER2タンパク質の検出に用いられうる。本発明が、ELISA方式で実施される場合、本発明の特定の実施例は、(i)分析しようとする試料を固体基質の表面にコーティングする段階;(ii)一次抗体としてのHER2抗体と前記試料とを反応させる段階;(iii)前記段階(ii)の結果物を酵素が結合された二次抗体と反応させる段階;及び(iv)前記酵素の活性を測定する段階を含む。
【0084】
前記固体基質として適したものは、炭化水素ポリマー(例えば、ポリスチレン及びポリプロピレン)、ガラス、金属またはゲルであり、最も具体的には、マイクロタイタープレートである。
【0085】
前記二次抗体に結合された酵素は、発色反応、蛍光反応、発光反応または赤外線反応を触媒する酵素を含むが、これに限定されず、例えば、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ及びシトクロムP450を含む。前記二次抗体に結合する酵素としてアルカリホスファターゼが用いられる場合には、基質としてブロモクロロインドルイルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、ナフトール−AS−B1−ホスフェート(naphthol−AS−B1−phosphate)及びECF(enhanced chemifluorescence)のような発色反応基質が用いられ、西洋ワサビペルオキシダーゼが用いられる場合には、クロロナフトール、アミノエチルカルバゾール、ジアミノベンジジン、Dルシフェリン、ルシゲニン(ビス−N−メチルアクリジニウムニトラート)、レゾルフィンベンジルエーテル、ルミノール、アームフレックスレッド試薬(10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジン)、HYR(p−phenylenediamine−HCl and pyrocatechol)、TMB(tetramethylbenzidine)、ABTS(2,2−Azine−di[3−ethylbenzthiazoline sulfonate])、o−フェニレンジアミン(OPD)及びナフトール/ピロニン、グルコースオキシダーゼとt−NBT(nitroblue tetrazolium)及びm−PMS(phenzaine methosulfate)のような基質が用いられうる。
【0086】
本発明が、キャプチャーELISA方式で実施される場合、本発明の特定の実施例は、(i)捕獲抗体(capturing antibody)としてHERR2抗体を固体基質の表面にコーティングする段階;(ii)捕獲抗体と試料とを反応させる段階;(iii)前記段階(ii)の結果物をシグナルを発生させるラベルが結合されているHER2検出抗体(detecting antibody)と反応させる段階;及び(iv)前記ラベルから発生するシグナルを測定する段階を含む。
【0087】
前記検出抗体は、検出可能なシグナルを発生させるラベルを有している。前記ラベルは、化学物質(例えば、ビオチン)、酵素(アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ及びシトクロムP450)、放射能物質(例えば、C14、I125、P32及びS35)、蛍光物質(例えば、フルオレセイン)、発光物質、化学発光物質(chemiluminescent)及びFRET(fluorescence resonance energy transfer)を含むが、これらに限定されるものではない。多様なラベル及びラベリング方法は、Ed Harlow and David Lane,Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999に記載されている。
【0088】
前記ELISA方法及びキャプチャーELISA方法で、最終的な酵素の活性測定またはシグナルの測定は、当業者に公知の多様な方法によって実施される。もし、ラベルとしてビオチンが用いられた場合には、ストレプトアビジンに、ルシフェラーゼが用いられた場合には、ルシフェリンにシグナルを容易に検出することができる。
【0089】
本発明のキットに適用可能な試料は、細胞、組織または組織由来の抽出物、破砕物(lysate)または精製物、血液、血しょう、血清、リンパまたは腹水を含むが、これらに限定されるものではない。
【0090】
本発明の抗体は、インビボまたはインビトロイメージングに用いられうる。本発明の他の態様によれば、本発明は、前述した本発明の抗体及び前記抗体に結合された検出可能な信号を発生させるラベルが結合された結合体を含むイメージ用組成物を提供する。
【0091】
前記検出可能な信号を発生させるラベルは、T1造影物質(例えば、Gdキレート化合物)、T2造影物質(例えば、超常磁性物質(例:マグネタイト、Fe、γ−Fe、マンガンフェライト、コバルトフェライト及びニッケルフェライト)、放射性同位元素(例えば、11C、15O、13N、P32、S3544Sc、45Ti、118I、136La、198Tl、200Tl、205Bi及び206Bi)、蛍光物質(フルオレセイン(fluorescein)、フィコエリトリン(phycoerythrin)、ローダミン、リサミン(lissamine)、そして、Cy3とCy5)、化学発光団、磁気粒子、マス標識または電磁密集粒子を含むが、これらに制限されるものではない。
【0092】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。これら実施例は、単に本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨によって、本発明の範囲が、これら実施例によって制限されないということは、当業者にとって自明である。
【実施例】
【0093】
実施例1:安定性の向上のための抗体の変形
開発された抗体であるhz1E11(参照:大韓民国特許第1453462号)の安定性を向上させるために、多様な位置のアミノ酸残基が、抗体の安定性に如何なる影響を及ぼすか否かを分析した。分析結果を通じて安定性に影響を及ぼしうる部位に重鎖及び軽鎖の可変部位の4箇所のアミノ酸が確認された。親抗体であるhz1E11の重鎖及び軽鎖の可変部位のアミノ酸配列は、表1のようであり、重鎖の部位のうち、Kabatナンバリングによって、52a、53に該当するAsn(N)及びGly(G)と軽鎖の部位のうち、56、57に該当するAsp(D)及びGly(G)をオーバーラッピングPCRを用いてAla(A)に変形させた。
【0094】
重鎖及び軽鎖の可変部位と不変領域部分とを増幅した後に、それを連結してクローニングした。増幅に使われたプライマーは、表2のようであり、前述したプライマー及びGoTaq DNA重合酵素(Promega,Cat.No.M3005)を用いて95℃で30秒、57℃で30秒、72℃で60秒のPCR反応を30回繰り返した。増幅された可変領域と不変領域との各PCR産物を1%アガロースゲルで電気泳動後、Qiaquick gel抽出キット(QIAGEN,Cat.No.28706)を用いて精製した。可変領域と不変領域とを連結するために、可変領域のPCR産物と不変領域のPCR産物とを同量混合した後、可変領域の順方向プライマー及び不変領域の逆方向プライマーを用いて重畳延長PCR(overlap extension PCR)を行って、遺伝子産物を製造し、前記と同じ方法で精製した。前記重畳延長PCRは、GoTaq DNA重合酵素(Promega,Cat.No.M3005)を用いて94℃で30秒、57℃で30秒、72℃で120秒の反応を30回繰り返して実施した。
【0095】
それぞれの部位が安定性に及ぼす影響を確認するために、単独で変形された抗体と2箇所のアミノ酸配列を変形させた抗体まで総8種の抗体を確保した(表3)。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
実施例2:変形された抗体の生産性の確認
安定性を向上させるための変形が、親抗体であるhz1E11の生産性に影響を及ぼすか否かを確認するために、生産性分析を行った。実施例1の変異された抗体のクローニングベクターを大韓民国特許第1453462号に開示された方法によって製作した。FreeStyleTM 293F(Invitrogen,Cat.No.R790−07)動物細胞にポリエチレンイミン(Polyscience Inc.,Cat.No.23966)を用いて、前記クローニングされたベクターを日時形質転換(transient transfection)させ、細胞培養液からProtein−A Ceramic HyperD Fレジン(PALL,Cat No.20078−028)を用いて変形された抗体を精製した。精製された抗体は、UV分析を用いて定量し、SDS−PAGE後、クマシーブルー染色を通じて濃度及び純度を確認した。生産性分析によれば、重鎖のみ単独で変形させたhz1E11.10とhz1E11.20は、親抗体であるhz1E11よりも生産性がさらに良くなったことを確認することができた。しかし、軽鎖のみを単独で変形させたhz1E11.01とhz1E11.02は、むしろ生産性が悪くなることを確認した。軽鎖と重鎖とを同時に変形させた抗体は、親抗体であるhz1E11の生産性よりも少し低いレベルの生産性を示すという事実が表4に示されている。
【0100】
【表4】
【0101】
実施例3:HER2に対する抗体の開発
安定性が向上したHER2に対する抗体が、標的であるHER2に結合するか否かを確認するための方法としては、ELISA方法を利用した。ELISAを進行するために、ERBBファミリータンパク質の細胞外ドメイン(extraCellular domain、ECD)部位を動物細胞を用いて生産した後、抗原として使用した。ECDのC末端にヒトIgG1のヒンジ及びFc部位(CH−CH)が結合された形態のDNAをpCEP4ベクター(Invitrogen,Cat.No.V044−50)にHindIIIとBamHI制限酵素を用いてクローニングした。引き続き、FreeStyleTM 293F(Invitrogen,Cat.No.R790−07)細胞にポリエチレンイミン(Polyscience Inc.,Cat.No.23966)を用いて、前記クローニングされたベクターを日時形質転換させ、細胞培養液からEGFR−ECF Fc、HER2−ECD Fc、HER3−ECD Fc融合タンパク質をProtein−A Ceramic HyperD Fレジン(PALL,Cat No.20078−028)を用いて精製した。精製されたタンパク質をProtein assay dye(Bio−Rad,Cat.No.500−0006)を用いて定量し、SDS−PAGE後、クマシーブルー染色を通じて濃度及び純度を確認した。
【0102】
EGFR−ECF−Fc、HER2−ECD−Fc、HER3−ECD−FcあるいはChromPure human IgG(hIgG,Jackson Immunoresearch Lab.Inc.,Cat.No.009−000−003)を1μg/mLの濃度でCostar 96ウェルプレート(Corning,Cat.No.3590)に常温で1時間固着させた。TBS−T(0.05% Triton X−100)で3回洗浄後、300μlのTBS−T/SM(2% skim milk)で常温で30分間ブロッキングした。ブロッキングされたプレートを3回洗浄後、安定性が向上したHER2抗体を入れ、37℃で1時間抗体を結合させた。3回洗浄後、2次抗体で抗マウスIgG−HRP(Pierce,Cat.No.31439)をTBS−T/SMに1:5,000に希釈して入れ、37℃で1時間抗体を結合させた。3回洗浄後、TMB(SurModics,Cat.No.TMBC−1000−01)を入れ、常温で5分間発色し、1N硫酸(sulfuric acid、DukSan,Cat.No.254)を追加して発色を停止させた。450nmで吸光度をVictor X3(PerkinElmer,Cat.No.2030−0030)を用いて測定し、HER2−ECD−Fcに特異的に結合するか否かを確認した。ELISAが正常に行われたか否かを確認するための対照群としてEGFRに結合するanti−EGFR Ab(hz15E3)、Anti−HER2 Ab(トラスツズマブ)、anti−HER3 Ab(AMG−888)を使用した。安定性の向上のために変形された8種の抗体は、HER2のみに特異的に結合することを確認した(図1)。
【0103】
実施例4:開発された抗体の細胞成長抑制効能の比較
安定性の向上のために変形された抗体の細胞増殖抑制効能を確認するための細胞生存率分析(cell viability assay)を行った。
【0104】
細胞生存率分析は、HER2が過発現される代表的な胃癌細胞株であるNCI−N87細胞を対象にして単独あるいはトラスツズマブと併用処理して進められた。併用処理の場合、開発された抗体とトラスツズマブとを1:1比率(重量比)で混合して使用した。96ウェルプレートにNCI−N87(ATCC,Cat No.CRL−5822,10,000cells/well)を80μlの体積で96ウェルプレートに分注して、24時間培養しながら固着させた。翌日、抗体40μlを前記培養中である細胞に添加した。処理した抗体の最終濃度は、それぞれの抗体当たり最大20μg/mLであり、1:4に順次に希釈して、9個の濃度で進行した。トラスツズマブと併用処理の場合には、開発された抗体とトラスツズマブとを1:1比率にした(例えば、図3で、投与量が1μg/mLである場合、TRA 1μg/mL及び開発された抗体1μg/mLを投与したものである)。抗体処理後、NCI−N87細胞を4日間追加培養した後、CCK−8を最終10%になるように添加し、37℃で3時間処理した。以後、Victor X−3を用いて450nmで吸光度を測定した。抗体を処理していない細胞の吸光度を100%に設定し、相対的な生存率を計算した(図2及び図3)。
【0105】
安定性が向上した8種のHER2抗体は、トラスツズマブに反応するNCI−N87細胞株に対して増殖抑制効能を示した。さらに、開発された抗体は、親抗体であるhz1E11と同様にトラスツズマブとの併用処理時に、トラスツズマブ単独に比べて、NCI−N87細胞株に対して癌細胞増殖抑制効能に優れた(図2及び図3)。
【0106】
実施例5:親抗体及び開発された抗体の保管緩衝液による安定性の比較
本発明者らは、開発された変異抗体の安定性を確認するために、CHO細胞から収得した親抗体hz1E11と変異抗体であるhz1E11.10、hz1E11.11とに対して加速/苛酷テスト(accelerated test、Stress test)を行った。
【0107】
前記それぞれの抗体は、PBS緩衝液(137mM Sodium chloride、2.7mM potassium chloride、4.3mM sodium phosphate、1.4mM potassium、pH7.4)、またはヒスチジン緩衝液(10mM Histidine、150mM Sodium chloride、pH6.0)に緩衝液別に保管した。前記各緩衝液に保管されているそれぞれの抗体をHPLC用バイアル(Agilent,Cat No.5188−6591)に200μLずつ分注して、ブルースクリューキャップ(Agilent,Cat No.5182−0717)で蓋を閉じてサンプルを準備した。
【0108】
サイズ排除クロマトグラフィー(Size exclusion chromatography、SEC)サンプルは、1mg/mLの濃度で準備し、陽イオン交換クロマトグラフィー(cation−exchange chromatography、CEX)サンプルは、10mg/mLの濃度で準備した。
【0109】
前記準備したサンプルをそれぞれ恒温恒湿槽(Jeio Tech,Cat No.TH−DG−150)と冷蔵庫(Jeio Tech,Cat No.CLG−150S)とを用いて、4±3℃、25±3℃(湿度60±5%)、40±3℃(湿度75±5%)の温度/湿度条件で保管し、保管時点から0週、4週に、各サンプルの安定性を分析した。サンプルに対する分析は、Agilent 1260 infinity HPLC装備を使用し、サイズ排除クロマトグラフィーとしては、単量体の比率を確認して、条件による安定性を確認し、陽イオン交換クロマトグラフィーとしては、主成分(main peak)の比率を確認して、安定性を確認した。
【0110】
具体的に、単量体の比率分析のために、各抗体タンパク質50μLを100mM sodium phosphate(pH6.8)(Monobasic,Fluka,Cat No.17844;Dibasic,Fluka,Cat No71633)溶液移動相条件下でTSK−gel G3000SWXL(7.8X300mM)HPLCカラム(TOSOH,Part No.8541)に注入した後、0.8mL/minの速度で20分間流しながら、UV280nmでタンパク質ピークを検出した。タンパク質の凝集体は、カラムから主ピークよりも先立って溶出され、凝集体のピーク面積と主ピークの面積とを比較して、単量体の純度を計算した。
【0111】
主成分(Main peak)の比率の分析のために、タンパク質を10mM sodium phosphate(pH7.0)(Monobasic,Fluka,Cat No.17844;Dibasic,Fluka,Cat No71633)バッファで1mg/mLに希釈して、20μLをBio Mab(NP10,PK,4.6x250mM)HPLCカラム(Agilent,Cat No.5190−2415)に注入した後、1mL/minの速度で10mM sodium phosphate(pH7.0)(Monobasic,Fluka,Cat No.17844;Dibasic,Fluka,Cat No.71633)、1M Sodium chloride(GENERAY,Cat No.0241)バッファを0〜10%の濃度勾配(gradient)で40分間流しながら、UV280nmでタンパク質ピークを検出した。
【0112】
PBS組成の緩衝液でのサイズ排除クロマトグラフィーと陽イオン交換クロマトグラフィーとを通じる抗体の安定性の分析結果は、表5及び表6に示した。
【0113】
また、ヒスチジン組成の緩衝液でのサイズ排除クロマトグラフィーと陽イオン交換クロマトグラフィーとを通じる抗体の安定性の分析結果は、表7及び表8に示した。
【0114】
【表5】
【0115】
【表6】
【0116】
【表7】
【0117】
【表8】
【0118】
SEC分析結果、3種のあらゆる抗体が、95%以上の単量体を有すると確認され、CEX分析結果、親抗体であるhz1E11よりも本発明の変異抗体であるhz1E11.10とhz1E11.11との主成分含量が高いと確認された。特に、ヒスチジン組成の緩衝液の場合、PBS組成の緩衝液と比較して、これで変異抗体が親抗体よりも向上した安定を示すと確認された。
【0119】
以上、本発明の特定の部分を詳しく記述したところ、当業者にとって、このような具体的な記述は、単に望ましい具現例であり、これにより、本発明の範囲が制限されるものではないという点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物とによって定義される。
【図1】
【図2】
【図3】
【配列表】
2019521644000001.app
【手続補正書】
【提出日】20190313
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)配列表の配列番号1のCDRH1、(ii)配列表の配列番号2のCDRH2、及び(iii)配列表の配列番号3のCDRH3を含む重鎖可変領域;前記配列表の配列番号24番目のアミノ酸残基及び5番目のアミノ酸残基のうち少なくとも1つは、Alaに置換変異されたものであり;
(b)配列表の配列番号4のCDRL1、配列表の配列番号5のCDRL2、及び配列表の配列番号6のCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む改善された安定性を示すHER2(Human Epidermal Growth Factor Receptor 2)に対する抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
前記置換変異された配列表の配列番号2のCDRH2は、配列表の配列番号9のアミノ酸配列、配列表の配列番号10のアミノ酸配列または配列表の配列番号11のアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
前記軽鎖可変領域は、配列表の配列番号12、配列表の配列番号13または配列表の配列番号14のアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
(a)(i)配列表の配列番号1のCDRH1、(ii)配列表の配列番号2のCDRH2、及び(iii)配列表の配列番号3のアミノ酸配列のCDRH3を含む重鎖可変領域;及び
(b)(i)配列表の配列番号8の24番目〜34番目のアミノ酸を含むCDRL1、(ii)配列表の配列番号8の51番目〜57番目のアミノ酸を含むCDRL2、及び(iii)配列表の配列番号8の89番目〜97番目のアミノ酸を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含み、前記配列表の配列番号8の56番目のアミノ酸残基及び57番目のアミノ酸残基のうち少なくとも1つが、Alaに置換変異されたことを特徴とする改善された安定性を示すHER2に対する抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
前記軽鎖可変領域は、配列表の配列番号12のアミノ酸配列、配列表の配列番号13のアミノ酸配列または配列表の配列番号14のアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項4に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のHER2に対する抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸分子。
【請求項7】
請求項6に記載の核酸分子を含む組換えベクター。
【請求項8】
請求項7に記載の組換えベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項9】
(a)請求項1から5のいずれかに記載のHER2に対する抗体またはその抗原結合断片の薬剤学的有効量;及び(b)薬剤学的に許容される担体を含む癌の予防または治療用薬剤学的組成物。
【請求項10】
前記薬剤学的組成物は、トラスツズマブ抗体をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の薬剤学的組成物。
【請求項11】
請求項1から5のいずれかに記載のHER2に対する抗体またはその抗原結合断片;及び1〜200mMのヒスチジンを含むヒスチジン緩衝液を含む癌の予防または治療用薬剤学的組成物。
【請求項12】
前記ヒスチジン緩衝液のpHは、5〜7であることを特徴とする請求項11に記載の薬剤学的組成物。
【請求項13】
前記ヒスチジン緩衝液は、50〜300mMの塩化ナトリウムを含むことを特徴とする請求項12に記載の薬剤学的組成物。
【国際調査報告】