(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019521715
(43)【公表日】20190808
(54)【発明の名称】細胞を自動的に独立並列してバッチ処理するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20190712BHJP
【FI】
   !C12M3/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】58
(21)【出願番号】2019524521
(86)(22)【出願日】20170721
(85)【翻訳文提出日】20190312
(86)【国際出願番号】EP2017068535
(87)【国際公開番号】WO2018015561
(87)【国際公開日】20180125
(31)【優先権主張番号】16180486.9
(32)【優先日】20160721
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】16203292.4
(32)【優先日】20161209
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519020845
【氏名又は名称】セリアド
【氏名又は名称原語表記】CELYAD
【住所又は居所】ベルギー国 1435 モン−サン−ギベール リュ エドゥアール ブラン 2
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181847
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 かおり
(72)【発明者】
【氏名】ディエデリック ハウワーツ
【住所又は居所】ベルギー国 1435 モン−サン−ギベール リュ エドゥアール ブラン 2
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ バイラ
【住所又は居所】ベルギー国 1435 モン−サン−ギベール リュ エドゥアール ブラン 2
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー ステーンウィンケル
【住所又は居所】ベルギー国 1435 モン−サン−ギベール リュ エドゥアール ブラン 2
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン デモーリン
【住所又は居所】ベルギー国 1435 モン−サン−ギベール リュ エドゥアール ブラン 2
(72)【発明者】
【氏名】ケネス ガルブレイス
【住所又は居所】オーストラリア国 3199 ヴィクトリア フランクトン アディコット ストリート 34
(72)【発明者】
【氏名】リチャード グラント
【住所又は居所】オーストラリア国 3182 ウェスト ヴィクトリア セント キルダ パーク ストリート 56
(72)【発明者】
【氏名】マーク ロブ
【住所又は居所】オーストラリア国 3165 ヴィクトリア ベントリー イースト ベシー ストリート 7
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA08
4B029AA27
4B029BB11
4B029DA10
4B029DF10
4B029GA08
4B029GB02
(57)【要約】
(I)細胞処理ステーションと;(II)複数の細胞処理モジュールとを含む、複数の細胞調製物の独立並行処理を実行するのに適切な細胞処理装置であって、複数の細胞処理モジュールは、細胞処理ステーションと係合および連通し;複数の細胞処理モジュールのそれぞれは、その内部に定義された別個の処理コンパートメントを含み、処理コンパートメントは:(i)1つまたは複数の試薬容器を含む試薬パックと;(ii)それぞれが1つまたは複数の細胞処理コンパートメントおよび細胞インキュベーションコンパートメントを含む、1つまたは複数の流体カートリッジとを含み、処理コンパートメントのそれぞれは互いに流体連通している、細胞処理装置を提供する。細胞処理装置の使用方法と同様に、流体カートリッジも提供する。
タ装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の細胞調製物の独立並行処理を実行するのに適切な細胞処理装置であって:
(I)細胞処理ステーションと;
(II)複数の細胞処理モジュールとを含み、
前記複数の細胞処理モジュールは、前記細胞処理ステーションと係合および連通し;
前記複数の細胞処理モジュールのそれぞれは、その内部に定義された別個の処理コンパートメントを含み、前記処理コンパートメントは:
i.1つまたは複数の試薬容器を含む試薬パックと;
ii.それぞれが1つまたは複数の細胞処理コンパートメントおよび細胞インキュベーションコンパートメントを含む、1つまたは複数の流体カートリッジとを含み、
前記処理コンパートメントのそれぞれは互いに流体連通している、細胞処理装置。
【請求項2】
前記複数の細胞調製物のそれぞれが、物理的および/または時間的に、処理の全てにわたって分離されているように構成される、請求項1の細胞処理装置。
【請求項3】
前記複数の細胞処理モジュールのそれぞれは、単一の細胞調製物を一度に処理するように適合される、請求項1または請求項2の細胞処理装置。
【請求項4】
前記細胞処理モジュールは、閉鎖された、実質的に無菌性の環境を細胞処理用に含む、請求項1〜3の何れか一項の細胞処理装置。
【請求項5】
前記閉鎖された、実質的に無菌性の環境は、前記試薬パックおよび/または前記流体カートリッジ内で提供される、請求項4の細胞処理装置。
【請求項6】
前記細胞処理モジュールの少なくとも一部が、使い捨てコンポーネントである、請求項1〜5の何れか一項の細胞処理装置。
【請求項7】
前記細胞処理モジュールの実質的に全てが使い捨てコンポーネントである、請求項6の細胞処理装置。
【請求項8】
前記細胞処理モジュールの使い捨てコンポーネントは:前記流体カートリッジ;前記試薬パック;前記流体カートリッジと前記試薬パックの両方からなる群から選択される、請求項7の細胞処理装置。
【請求項9】
前記細胞処理ステーションは、前記複数の細胞処理モジュールの1つまたは複数により使用され得る、集約設備を含む、請求項1〜8の何れか一項の細胞処理装置。
【請求項10】
前記集約設備は:
i.プラットフォームシャーシ;
ii.ユーザーインターフェースディスプレイ;
iii.ソフトウェアおよび操作システムライセンス;
iv.中央処理装置(CPU);
v.組み込みコントローラとプログラムロジックコントローラ(PLC)を含むメインコントロールシステム;
vi.電源装置と配電システム;
vii.前記細胞処理モジュールまたはその一部の温度を制御するのに必要な、熱管理装備;
viii.インキュベータガス混合物供給設備;
ix.in situでの測定および/またはテストに使用される1つまたは複数のシステム;ならびに
x.遠心分離駆動システムからなる群から選択される、請求項9の細胞処理装置。
【請求項11】
前記in situ測定および/テストは:細胞計数;細胞特定;純度;均質性;力価;特徴付け;および品質管理用手段からなる群から選択される、請求項10の細胞処理装置。
【請求項12】
前記細胞処理モジュールは、細胞処理の全てにわたって前記細胞調製物を含むように適合される、請求項1〜11の何れか一項の細胞処理装置。
【請求項13】
前記複数の細胞処理モジュールのそれぞれは、前記細胞処理システム上の集約設備との接続に適切な1つまたは複数のコネクタを含む、請求項9〜12の何れか一項の細胞処理装置。
【請求項14】
前記試薬パックの1つまたは複数の試薬容器は、細胞処理に必要な1つまたは複数の非細胞流体を含むように適合される、請求項1〜13の何れか一項の細胞処理装置。
【請求項15】
前記試薬パックは、前記試薬パックを前記流体カートリッジに接続する、1つまたは複数の着脱可能なコネクタを含む、請求項1〜14の何れか一項の細胞処理装置。
【請求項16】
各流体カートリッジは、細胞処理の全てにわたって単一の細胞調製物を含み、操作するように構成される、請求項1〜15の何れか一項の細胞処理装置。
【請求項17】
各細胞処理モジュールは、単一の流体カートリッジを含む、請求項1〜16の何れか一項の細胞処理装置。
【請求項18】
前記流体カートリッジは、少なくとも1つの入力ポート、分離チャンバ、活性化チャンバ、形質導入チャンバ、細胞培養チャンバ、および少なくとも1つの出力ポートを含む、請求項1〜17の何れか一項の細胞処理装置。
【請求項19】
前記流体カートリッジは、さらに:
i.前記細胞調製物を別個の構成成分に分離するためのフィルタ、遠心機、および他の活性表面;
ii.細胞をインキュベートし、活性試薬を導入するための反応容器、フラスコ、およびビーカー;ならびに、
iii.流体の流れを、前記流体カートリッジの周囲、中、および外に方向づけるためのギャラリー、チャネル、および流体回路
からなる群から選択されるエレメントを含む、請求項1〜18の何れか一項の細胞処理装置。
【請求項20】
前記流体カートリッジは、さらに、流体の流れを少なくとも部分的に制御する少なくとも1つのポンプと少なくとも1つの弁を含み、流体の流れは:前記流体カートリッジの流体回路を通る流れ;前記流体カートリッジに入る流れ;および前記流体カートリッジから出る流れからなる群から選択される、請求項1〜19の何れか一項の細胞処理装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つのポンプは、容積式ポンプ、ダイアフラム、プランジャースタイルポンプ、インペラーポンプ、蠕動ポンプからなる群から選択され;前記弁は、ダイアフラム弁;回転弁;およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項20の細胞処理装置。
【請求項22】
中で細胞処理用の閉鎖無菌環境を提供するのに適切であり、少なくとも1つの入力ポート、分離チャンバ、活性化チャンバ、形質導入チャンバ、細胞培養チャンバ、および少なくとも1つの出力ポートを含む、流体カートリッジ。
【請求項23】
さらに:
i.前記細胞調製物を別個の構成成分に分離するためのフィルタ、遠心機、および他の活性表面;
ii.細胞をインキュベートし、活性試薬を導入するための反応容器、フラスコ、およびビーカー;ならびに、
iii.流体の流れを、前記流体カートリッジの周囲、中、および外に方向づけるためのギャラリー、チャネル、および流体回路
からなる群から選択されるエレメントを含む、請求項22の流体カートリッジ。
【請求項24】
流体の流れを少なくとも部分的に制御する少なくとも1つのポンプと少なくとも1つの弁をさらに含み、流体の流れは、前記流体カートリッジの流体回路を通る流体の流れ、前記流体カートリッジに入る流れ、および前記流体カートリッジから出る流れを含む、請求項22または23の流体カートリッジ。
【請求項25】
前記少なくとも1つのポンプは、容積式ポンプ、ダイアフラム、プランジャースタイルポンプ、インペラーポンプ、蠕動ポンプ、およびその組み合わせからなる群から選択され;前記弁は、ダイアフラム弁;回転弁;およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項24の流体カートリッジ。
【請求項26】
使い捨てコンポーネントである、請求項22〜25の何れか一項の流体カートリッジ。
【請求項27】
1つまたは複数の流体カートリッジと試薬パックとを含む細胞処理ユニットであって、前記流体カートリッジは、少なくとも1つの入力ポート、分離チャンバ、活性化チャンバ、形質導入チャンバ、細胞培養チャンバ、および少なくとも1つの出力ポートを含み、前記試薬パックは、1つまたは複数の試薬容器を含み、前記試薬パック内の1つまたは複数の試薬容器は、細胞処理に必要な1つまたは複数の非細胞流体を含みように適合される、細胞処理ユニット。
【請求項28】
前記流体カートリッジと前記試薬パックは、統合された単一の実体である、請求項27の細胞処理ユニット。
【請求項29】
前記細胞処理ユニットは、使い捨てコンポーネントである、請求項27または請求項28の細胞処理ユニット。
【請求項30】
前記流体カートリッジは、請求項22〜26の何れか一項の流体カートリッジである、請求項27〜29の何れか一項の細胞処理ユニット。
【請求項31】
i.流体カートリッジと試薬パックとを含む細胞処理ユニットであって、前記流体カートリッジは、少なくとも1つの入力ポート、分離チャンバ、活性化チャンバ、形質導入チャンバ、細胞培養チャンバ、および少なくとも1つの出力ポートを含み、前記試薬パックは、1つまたは複数の試薬容器を含み、前記試薬パック内の1つまたは複数の試薬容器は、細胞処理に必要な1つまたは複数の非細胞流体を含みように適合される、細胞処理ユニットと;
ii.前記流体カートリッジと前記試薬パックの流体接続点が結合して、前記流体カートリッジと前記試薬パックの間に流体連通を提供するように、前記流体カートリッジと前記試薬パックを保持および係合する手段とを含む、
細胞処理ステーションとの統合に適した細胞処理モジュール。
【請求項32】
−前記細胞処理モジュールまたはそのコンポーネントを前記細胞処理ステーションに接続するための少なくとも1つのコネクタ;
−少なくとも1つのセンサ;
−前記細胞処理モジュールに温度制御環境を提供するインキュベータ筐体;
−前記細胞処理モジュールに熱エネルギーを与えるヒーターパッドおよびコントローラ;
−前記流体カートリッジ内のエレメントを作動させる、前記細胞処理モジュール内に収容された1つまたは複数の機械式アクチュエータ;
−前記試薬パック内のエレメントを作動させる、前記細胞処理モジュール内に収容された1つまたは複数の機械式アクチュエータ;
−遠心力設備のうち、1つまたは複数をさらに含む、
請求項31の細胞処理モジュール。
【請求項33】
存在する場合、前記少なくとも1つのセンサは、温度を測定するための熱電対/サーミスター;流体圧力を測定するための圧力変換器;流体流速を測定するためのフローメータ;および処理に必要なバイオセンサからなる群から選択される、請求項32の細胞処理モジュール。
【請求項34】
前記細胞処理ユニットは、使い捨てコンポーネントである、請求項31〜33の何れか一項の細胞処理モジュール。
【請求項35】
前記流体カートリッジは、請求項21〜26の何れか一項の流体カートリッジである、請求項31〜34の何れか一項の細胞処理モジュール。
【請求項36】
前記細胞処理ユニットは、請求項27〜30の何れか一項の細胞処理ユニットである、請求項31〜35の何れか一項の細胞処理モジュール。
【請求項37】
1)細胞調製物を提供するステップと;
2)1つまたは複数の細胞処理コンパートメントと細胞インキュベーションコンパートメントとを含む流体カートリッジを提供するステップと;
3)前記流体カートリッジに前記細胞調製物を置くステップと;
4)前記流体カートリッジと試薬パックとを含む細胞処理モジュールを組み立てるステップと;
5)前記細胞処理モジュールを、細胞処理ステーション上の利用可能な受け点に係合させるステップと;
6)前記細胞処理ステーションを操作して、前記細胞調製物の自動細胞処理を実行して、処理細胞調製物を提供するステップと;
7)少なくとも2つの細胞調製物が、前記細胞処理ステーションにおいて、独立かつ並行に処理されるように、さらなる細胞調製物を用いてステップ1〜6を繰り返すステップと;
8)前記細胞処理ステーション上の全ての利用可能な受け点が、細胞処理モジュールで占有されるまで、任意選択的にステップ7を繰り返すステップと;
9)その細胞調製物の自動細胞処理が完了した際に、前記細胞処理ステーションから前記細胞処理モジュールを除去するステップと、
10)前記細胞処理ステーション上の各細胞処理モジュールに対しステップ9を繰り返すステップとを含む、
少なくとも2つの細胞調製物の独立並行処理を実行する方法であって、
前記方法のステップ(3)、(4)、および(5)は、ステップ(2)とステップ(6)の間で任意の順で実行される、方法。
【請求項38】
各細胞調製物の細胞処理は、他の細胞調製物それぞれから空間的および/または時間的に分離される、請求項37の方法。
【請求項39】
閉鎖無菌環境で実行される、請求項37または請求項38の方法。
【請求項40】
前記閉鎖無菌環境は、1つまたは複数の前記流体カートリッジおよび前記試薬パックの内部にある、請求項39の方法。
【請求項41】
前記細胞調製物は、前記細胞処理ステーションから前記細胞処理モジュールが除去される前に、さらに処理される、請求項37〜40の何れか一項の方法。
【請求項42】
前記さらなる処理は、凍結保存用の凍結および前記処理細胞調製物を含む組成物への製剤化からなる群から選択される、請求項41の方法。
【請求項43】
前記自動化細胞処理は:
a.細胞の選択;
b.細胞の富化;
c.ステップ(a)の選択細胞および/またはステップ(b)の富化細胞の活性化;
d.遺伝子修飾細胞を提供するための細胞の遺伝子修飾;
e.増殖細胞を提供するためのステップ(d)の遺伝子修飾細胞の増殖;
f.ステップ(e)の増殖細胞の洗浄;
g.ステップ(e)の増殖細胞の濃縮;
h.保存および/または直接注射用の細胞製剤を提供するための、ステップ(e)の増殖細胞の製剤化からなる群から選択される、1つまたは複数のステップを含む、請求項37〜42の何れか一項の方法。
【請求項44】
前記細胞はT細胞である、請求項37〜43の何れか一項の方法。
【請求項45】
ステップ(d)における遺伝子修飾は、キメラ抗原受容体(CAR)を用いた遺伝子修飾である、請求項44の方法。
【請求項46】
前記CARは:NKG2D CARおよびB7H6 CARからなる群から選択される、請求項45の方法。
【請求項47】
請求項1〜21の何れか一項の細胞処理装置において実行される、請求項37〜46の何れか一項の方法。
【請求項48】
前記流体カートリッジは、請求項22〜26の何れか一項の流体カートリッジである、請求項37〜47の何れか一項の方法。
【請求項49】
前記細胞処理モジュールは、請求項31〜36の何れか一項の細胞処理モジュールである、請求項37〜48の何れか一項の方法。
【請求項50】
プロセッサと、前記プロセッサに結合した1つまたは複数の非ニューラルネットワークプログラムをコードしたメモリーとを含む、コンピュータ装置であって、前記プログラムは、前記プロセッサに、請求項37〜49の何れか一項の方法を実行させる、コンピュータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、細胞サンプルを自動的にバッチ処理するための新規の方法および装置に関する。特に、本出願は、CAR−T細胞療法製剤などの先端医療医薬品(ATMP)の並列バッチ処理に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年、細胞療法分野への関心が高まっている。細胞療法は、再生医療においてだけでなく、がんを含む種々の病気の治療のために、細胞材料、一般的にはインタクトな生細胞を患者に導入することを伴う。
【0003】
細胞療法は、先端医療医薬品(ATMP)としても知られる、治療に使用される細胞の生成を伴う。全身の免疫応答および感染症伝播の潜在的リスクに対処するため、ATMPは、自己細胞療法(ACT)または自己再生療法として知られるプロセスでは、しばしば、患者自身の細胞に由来する。
【0004】
最も広い形態の自己細胞療法は、患者からの適切な細胞材料の取り出し、細胞の選択および増殖、任意選択的に細胞のex−vivo修飾、それに続く適切な品質管理対策、その後の同一患者への処理済み細胞材料の再導入を伴う。斯かるプロセスの適切な例は、がんを治療するための、キメラ抗原受容体T細胞(CAR−T細胞)療法製剤の生成である。
【0005】
療法用のCAR−T細胞を生成する典型的な手順では、細胞材料は、血液などの体液の形態で患者から取り出される。次に、T−細胞は単離され、患者が罹患している特定のがん形態に特異的な細胞表面において、受容体を発現するように修飾される。患者への再導入時には、細胞は、がんを標的し死滅させる能力を持つ。さらに、その細胞は、増殖することにより、免疫応答を増強させる能力を持つ。自己CAR−T細胞療法は、ある場合には、応答速度を劇的に改善する、がん治療における強力で新しい技法である。
【0006】
ATMPの生成コストは、一般的に、複雑さと、採用しなければならない取扱いプロセスの厳しさにより、高止まりしている。必要な修飾細胞材料を生成するためのワークフローは、再導入前に、適切な細胞型の単離、修飾、濃縮、および/または培養による増殖を含む。また、厳格な安全性と規制要件を確実に満たすために、プロセス中の無菌状態と、プロセスの間と終わりの厳しい品質管理手順を必要とする。自己手順では、各患者サンプルはその完全性を維持しなければならず、かつ、他の患者サンプルとの如何なる程度の相互汚染も、患者自身の細胞に完全には由来しない細胞に患者が晒されることを防ぐために、避けるべきであるという追加の要件がある。
【0007】
歴史的に、ATMPは、従来型のオープンラボラトリ環境で生成されてきた。ここで、患者サンプルの無菌性と完全性は、サンプルの相互汚染リスクが、適切な操作条件および装備(例えば、ラミナエアフローキャビネットおよび適切な滅菌技法など)の利用により減少する、いわゆる「クリーンルーム」施設の使用により維持される。これは、しばしば、その施設が、連続の「逐次」プロセスで稼働することを必要とする。これらの条件下にある生成プロセスのスループットを高める努力は、サンプルの相互汚染の可能性を高め得る。また、試薬の取扱い/投薬などの物質の取扱いと、特定のサンプルトラッキングにおいて、克服すべき物流および安全上の困難がある。
【0008】
連続様式でスループットを高めることの代替案は、細胞処理に対し並列アプローチを採用することである。これまでの細胞サンプルを並列処理する方法およびシステムは、多数の別個の機器を利用する。しかしながら、これらのプロセスは、なお、「機器ごとに1サンプル」という一般原則の下で動作する。設備を操作するための余分な装備およびスタッフの追加は、能力を本質的には高めるが、このアプローチも、資本支出と人件費の著しい増加を招く。さらに、個々の患者サンプルの相互汚染のリスクを低減させる一般的な方法は、サンプルを物理的に分離すること、たいていの場合部屋を分けることだが、これも、設備または医療環境を作る際に、たいてい高価格であるクリーンルームスペースの必要性を高める結果となる。さらに、このアプローチでは、品質管理システム、電源装置、および入力ガス入力マニフォールドなどの共有設備である各機器からの共通リソースを集約化させることによる節減は難しい。
【0009】
統合プロセスシステムにおける細胞調製の中央処理も試みられたが、成果は乏しかった。また、手動操作での中央処理も試みられた。今までに開発されたシステムは複雑で、結果として、非常に高いコストおよび十分な数のオペレータを訓練する必要性に起因する困難にぶつかった。斯かる設備の例は、米国特許出願公開第2009/0126285号明細書に記載されている。
【0010】
細胞療法用の細胞材料の並列処理は、国際公開第2016/012459号に記載されている。このアプローチでは、サンプルは、使い捨ての閉鎖処理プレート内の無菌コンパートメントに単離される。各プレート内のサンプルは、処理ステーション内に置かれた処理ユニットにより、1つとして、処理される。処理ステーションは、より時間がかかるユニット処理時のプレートに対し、より高い能力を持つことにより、サンプルが可能な限り効率的に、遅れを最小限にして、完全プロセスを経ることを保証するように構成される。国際公開第2016/012459号に記載される装備は、バルク処理システムにおける能力を拡大するという問題には対処しているが、個々のサンプルを並列に完全に独立して処理する必要性には応えていない。そのため、国際公開第2016/012459号のシステムは、資本支出の減少とクリーンルームスペース要件の減少という点では、同じコスト削減を実現するが、真に独立した並列様式でサンプルを処理する柔軟性を提供することはできない。
【0011】
そのため、既知のシステムの欠点のない、細胞調製物、特に、細胞療法用の細胞調製物の自動的な独立並列処理を提供するシステムに対するニーズが残っている。
【発明の概要】
【0012】
先行技術のシステムの上記短所の少なくとも1つを克服もしくは減少させる、または、関連技術システムの有用な代替物を少なくとも提供することが、本発明の目的である。
【0013】
本発明の第1態様は、複数の細胞調製物の独立並行処理を実行するのに適切な細胞処理装置を提供し、該細胞処理装置は:
(I)細胞処理ステーションと;
(II)複数の細胞処理モジュールとを含み、
前記複数の細胞処理モジュールは、前記細胞処理ステーションと係合および連通し;
前記複数の細胞処理モジュールのそれぞれは、その内部に定義された別個の処理コンパートメントを含み、前記処理コンパートメントは:
i.1つまたは複数の試薬容器を含む試薬パックと;
ii.それぞれが1つまたは複数の細胞処理コンパートメントおよび細胞インキュベーションコンパートメントを含む、1つまたは複数の流体カートリッジとを含み、
前記処理コンパートメントのそれぞれは互いに流体連通している。
【0014】
適切には、装置は、複数の細胞調製物のそれぞれが、物理的および/または時間的に、処理の全てにわたって分離されているように構成される。
【0015】
一実施形態では、複数の細胞処理モジュールのそれぞれは、単一の細胞調製物を一度に処理するように適合される。適切には、細胞処理モジュールは、閉鎖された、実質的に無菌性の環境を細胞処理用に含む。典型的には、その閉鎖された、実質的に無菌性の環境は、試薬パックおよび/または流体カートリッジ内で提供される。
【0016】
一実施形態では、細胞処理モジュールの少なくとも一部が、使い捨てコンポーネントである。適切には、細胞処理モジュールの実質的に全てが使い捨てコンポーネントである。実施形態では、細胞処理モジュールの使い捨てコンポーネントは、流体カートリッジ;試薬パック;流体カートリッジと試薬パックの両方(細胞処理ユニット)からなる群から選択される。
【0017】
一実施形態では、細胞処理ステーションは、複数の細胞処理モジュールの1つまたは複数により使用され得る、集約設備を含む。適切には、集約設備は:
i.プラットフォームシャーシ;
ii.ユーザーインターフェースディスプレイ;
iii.ソフトウェアおよび操作システムライセンス;
iv.中央処理装置(CPU);
v.組み込みコントローラとプログラムロジックコントローラ(PLC)を含むメインコントロールシステム;
vi.電源装置と配電システム;
vii.細胞処理モジュールまたはその一部の温度を制御するのに必要な、熱管理装備;
viii.インキュベータガス混合物供給設備;
ix.in situ測定および/またはテストに使用される1つまたは複数のシステム;ならびに
x.遠心分離駆動システムからなる群から選択される。
【0018】
in situ測定および/テストが細胞処理ステーションの集約設備に存在する、本発明の第1態様に従う装置の実施形態では、それらは、細胞計数;細胞特定;純度;均質性;力価;特徴付け;および品質管理用手段からなる群から選択される。
【0019】
一実施形態では、細胞処理モジュールは、細胞処理の全てにわたって細胞調製物を含むように適合される。
【0020】
さらなる実施形態では、複数の細胞処理モジュールのそれぞれは、細胞処理システム上の集約設備との接続に適切な1つまたは複数のコネクタを含む。
【0021】
実施形態では、試薬パックの1つまたは複数の試薬容器は、細胞処理に必要な1つまたは複数の非細胞流体を含むように適合される。適切には、試薬パックは、試薬パックを流体カートリッジに接続する、1つまたは複数の着脱可能なコネクタを含む。典型的には、各流体カートリッジは、細胞処理の全てにわたって単一の細胞調製物を含み、操作するように構成される。一実施形態では、各細胞処理モジュールは、単一の流体カートリッジを含む。
【0022】
本発明の第1態様の一実施形態では、流体カートリッジは、少なくとも1つの入力ポート、分離チャンバ、活性化チャンバ、形質導入チャンバ、細胞培養チャンバ、および少なくとも1つの出力ポートを含む。適切には、流体カートリッジは、さらに:
i.細胞調製物を別個の構成成分に分離するためのフィルタ、遠心機、および他の活性表面;
ii.細胞をインキュベートし、活性試薬を導入するための反応容器、フラスコ、およびビーカー;ならびに、
iii.流体の流れを、流体カートリッジの周囲、中、および外に方向づけるためのギャラリー、チャネル、および流体回路からなる群から選択されるエレメントを含む。
【0023】
一実施形態では、流体カートリッジは、さらに、流体の流れを少なくとも部分的に制御する少なくとも1つのポンプと少なくとも1つの弁を含み、流体の流れは:流体カートリッジの流体回路を通る流れ;流体カートリッジに入る流れ;および流体カートリッジから出る流れからなる群から選択される。適切には、少なくとも1つのポンプは、容積式ポンプ、ダイアフラム、プランジャースタイルポンプ、インペラーポンプ、蠕動ポンプからなる群から選択され;弁は、ダイアフラム弁;回転弁;およびその組み合わせからなる群から選択される。
【0024】
本発明の第2態様では、中で細胞処理用の閉鎖無菌環境を提供するのに適切な流体カートリッジが提供され、その流体カートリッジは、少なくとも1つの入力ポート、分離チャンバ、活性化チャンバ、形質導入チャンバ、細胞培養チャンバ、および少なくとも1つの出力ポートを含む。
【0025】
実施形態では、流体カートリッジは、さらに:
i.細胞調製物を別個の構成成分に分離するためのフィルタ、遠心機、および他の活性表面;
ii.細胞をインキュベートし、活性試薬を導入するための反応容器、フラスコ、およびビーカー;ならびに、
iii.流体の流れを、流体カートリッジの周囲、中、および外に方向づけるためのギャラリー、チャネル、および流体回路からなる群から選択されるエレメントを含む。
【0026】
一実施形態では、流体カートリッジは、さらに、流体の流れを少なくとも部分的に制御する少なくとも1つのポンプと少なくとも1つの弁を含み、流体の流れは、流体カートリッジの流体回路を通る流体の流れ、流体カートリッジに入る流れ、および流体カートリッジから出る流れを含む。適切には、少なくとも1つのポンプは、容積式ポンプ、ダイアフラム、プランジャースタイルポンプ、インペラーポンプ、蠕動ポンプ、およびその組み合わせからなる群から選択され;弁は、ダイアフラム弁;回転弁;およびその組み合わせからなる群から選択される。
【0027】
本発明の第2態様の実施形態では、流体カートリッジは、使い捨てコンポーネントである。
【0028】
本発明の第3態様は、細胞処理ユニットを提供し、前記細胞処理ユニットは、1つまたは複数の流体カートリッジと試薬パックとを含み、前記流体カートリッジは、少なくとも1つの入力ポート、分離チャンバ、活性化チャンバ、形質導入チャンバ、細胞培養チャンバ、および少なくとも1つの出力ポートを含み、前記試薬パックは、1つまたは複数の試薬容器を含み、前記試薬パック内の1つまたは複数の試薬容器は、細胞処理に必要な1つまたは複数の非細胞流体を含みように適合される。適切には、流体カートリッジと試薬パックは、統合された単一の実体である。典型的には、細胞処理ユニットは、使い捨てコンポーネントである。
【0029】
本発明の第3態様の実施形態において、流体カートリッジは、本発明の第2態様の流体カートリッジである。
【0030】
本発明の第4態様では、細胞処理ステーションとの統合に適した細胞処理モジュールが提供され、前記細胞処理モジュールは:
−流体カートリッジと試薬パックとを含む細胞処理ユニットであって、前記流体カートリッジは、少なくとも1つの入力ポート、分離チャンバ、活性化チャンバ、形質導入チャンバ、細胞培養チャンバ、および少なくとも1つの出力ポートを含み、前記試薬パックは、1つまたは複数の試薬容器を含み、前記試薬パック内の1つまたは複数の試薬容器は、細胞処理に必要な1つまたは複数の非細胞流体を含みように適合される、細胞処理ユニットと;
−前記流体カートリッジと前記試薬パックの流体接続点が結合して、前記流体カートリッジと前記試薬パックの間に流体連通を提供するように、前記流体カートリッジと前記試薬パックを保持および係合する手段とを含む。
【0031】
本発明の第4態様の実施形態では、請求項31の細胞処理モジュールが提供され、前記細胞処理モジュールは、さらに:
−前記細胞処理モジュールまたはそのコンポーネントを前記細胞処理ステーションに接続するための少なくとも1つのコネクタ;
−少なくとも1つのセンサ;
−前記細胞処理モジュールに温度制御環境を提供するインキュベータ筐体;
−前記細胞処理モジュールに熱エネルギーを与えるヒータパッドおよびコントローラ;
−前記流体カートリッジ内のエレメントを作動させる、前記細胞処理モジュール内に収容された1つまたは複数の機械式アクチュエータ;
−前記試薬パック内のエレメントを作動させる、前記細胞処理モジュール内に収容された1つまたは複数の機械式アクチュエータ;
−遠心力設備のうち、1つまたは複数を含む。
【0032】
適切には、前記少なくとも1つのセンサは、温度を測定するための熱電対/サーミスター;流体圧力を測定するための圧力変換器;流体流速を測定するためのフローメータ;および処理に必要なバイオセンサからなる群から選択される。
【0033】
一実施形態では、細胞処理ユニットは、使い捨てコンポーネントである。
【0034】
さらなる実施形態では、流体カートリッジは、本発明の第2態様の流体カートリッジであり;および/または、細胞処理ユニットは、本発明の第3態様の細胞処理ユニットである。
【0035】
本発明の第5態様は:
1)細胞調製物を提供するステップと;
2)1つまたは複数の細胞処理コンパートメントと細胞インキュベーションコンパートメントとを含む流体カートリッジを提供するステップと;
3)前記流体カートリッジに前記細胞調製物を置くステップと;
4)前記流体カートリッジと試薬パックとを含む細胞処理モジュールを組み立てるステップと;
5)前記細胞処理モジュールを、細胞処理ステーション上の利用可能な受け点に係合させるステップと;
6)前記細胞処理ステーションを操作して、前記細胞調製物の自動細胞処理を実行して、処理細胞調製物を提供するステップと;
7)少なくとも2つの細胞調製物が、前記細胞処理ステーションにおいて、独立かつ並行に処理されるように、さらなる細胞調製物を用いてステップ1〜6を繰り返すステップと;
8)前記細胞処理ステーション上の全ての利用可能な受け点が、細胞処理モジュールで占有されるまで、任意選択的にステップ7を繰り返すステップと;
9)その細胞調製物の自動細胞処理が完了した際に、前記細胞処理ステーションから前記細胞処理モジュールを除去するステップと、
10)前記細胞処理ステーション上の各細胞処理モジュールに対しステップ9を繰り返すステップとを含む、少なくとも2つの細胞調製物の独立並行処理を実行する方法であって、
前記方法のステップ(3)、(4)、および(5)は、ステップ(2)とステップ(6)の間で任意の順で実行される、方法を提供する。
【0036】
本発明の第5態様の実施形態では、各細胞調製物の細胞処理は、他の細胞調製物それぞれから空間的および/または時間的に分離される。
【0037】
さらなる実施形態では、本方法は、閉鎖無菌環境で実行される。適切には、閉鎖無菌環境は、1つまたは複数の流体カートリッジおよび試薬パックの内部にある。
【0038】
実施形態では、細胞調製物は、細胞処理ステーションから細胞処理モジュールが除去される前に、さらに処理される。適切には、さらなる処理は、凍結保存用の凍結および処理細胞調製物を含む組成物への製剤化からなる群から選択される。
【0039】
本発明の第5態様の実施形態では、自動化細胞処理は:
a.細胞の選択;
b.細胞の富化;
c.ステップ(a)の選択細胞および/またはステップ(b)の富化細胞の活性化;
d.遺伝子修飾細胞を提供するための細胞の遺伝子修飾;
e.増殖細胞を提供するためのステップ(d)の遺伝子修飾細胞の増殖;
f.ステップ(e)の増殖細胞の洗浄;
g.ステップ(e)の増殖細胞の濃縮;
h.保存および/または直接注射用の細胞製剤を提供するための、ステップ(e)の増殖細胞の製剤化からなる群から選択される、1つまたは複数のステップを含む。
【0040】
一実施形態では、細胞はT細胞である。適切には、ステップ(d)における遺伝子修飾は、キメラ抗原受容体(CAR)を用いた遺伝子修飾である。典型的には、CARは:NKG2D CARおよびB7H6 CARからなる群から選択される。
【0041】
さらなる実施形態では、本方法は、本発明の第1態様の細胞処理装置において実行され;流体カートリッジは、本発明の第2態様の流体カートリッジであり;および/または、細胞処理モジュールは、本発明の第4態様の細胞処理モジュールである。
【0042】
本発明の第6態様は、プロセッサと、該プロセッサに結合した1つまたは複数の非ニューラルネットワークプログラムをコードしたメモリーとを含む、コンピュータ装置を提供し、前記プログラムは、プロセッサに、本発明の第5態様の方法を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】4つの細胞処理モジュールが係合した、本発明の細胞処理装置の略図である。
【図2a】トロリーに乗せた2つの細胞処理モジュールを収容するように適合された、本発明の細胞処理装置の実施形態の、コンピュータ生成図である。一方の細胞処理モジュールを、流体カートリッジと試薬パックが見えるように、細胞処理装置から外して示す。
【図2b】トロリーに乗っていない4つの細胞処理モジュールを収容するように適合された、本発明の細胞処理装置の実施形態の略図である。1つの細胞処理モジュールを、流体カートリッジと試薬パックが見えるように、細胞処理装置から外して示す。
【図2c】トロリーに乗っていない細胞処理モジュールの実施形態の略図である。
【図3】組み立て形態の流体カートリッジと試薬パックを含む、本発明の細胞処理ユニットの実施形態を示す図である。
【図4】分解形態の流体カートリッジと試薬パックを含む、細胞処理ユニットを示す図である。
【図5】流体カートリッジ内での活性化、形質導入、および増殖エリアの実施形態の横断透視図である。
【図6】試薬パックと流体カートリッジをすでに含んだCPMに、患者由来の材料が如何に接続され、含まれるかの実施形態を示す図である。
【図7】本発明の装置内で細胞を処理するための基本的プロセスフロー例を示す図である。
【図8】本発明の装置内で細胞を処理するための、詳細なプロセスフロー例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態のT細胞生成自動化プロセスにおける、品質管理と解析のためのプロセスフローの実施形態を示す図である。
【図10】本発明の装置の実施形態において生成されたT細胞についての増殖データ(図10a)と生存率データ(図10b)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明を記載する前に、いくつかの定義を、本発明の理解を助けるためにのみ提供する。本明細書で引用する全ての参考文献は、参照によりその全体が組み込まれるものとする。別途定義がない限り、本明細書で使用する全ての専門用語および科学技術用語は本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0045】
本発明は、特定の実施形態について、ある特定の図を参照して記載するが、本発明は、それらに限定されず、請求項によってのみ限定される。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。記載の図面は概略にすぎず、非限定的である。図面では、いくつかのエレメントのサイズは、例示を目的として、誇張され、縮尺どおりではない場合もある。
【0046】
本明細書に使用する場合、用語「含む」は、言及するエレメントのいずれかが必ず含まれ、任意選択的に、他のエレメントが含まれる場合もあることを意味する。「〜から本質的になる」は、言及する何れのエレメントも必ず含まれ、列挙するエレメントの基本的で新規の特徴に実質的な影響を及ぼすことになる要素は排除され、任意選択的に、他の要素が含まれる場合もあることを意味する。「〜からなる」は、列挙するもの以外のすべての要素が除外されることを意味する。これらの用語の各々によって定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0047】
単数名詞(例えば、「1つ(a)」または「1つ(an)」、「その(the)」)に言及する際に不定冠詞または定冠詞を使用する場合、これは他のものが具体的に記載されない限り、その名詞の複数を含む。さらに、明細書および請求項における、第1、第2、第3等の用語は、類似のエレメントを区別するために使用され、逐次順または時系列順で記載される必要はない。このように使用される用語は適切な状況下で互換性があり、本明細書で記載される発明の実施形態は、本明細書に記載または例示する以外の他の順序で操作可能であることを理解されたい。
【0048】
別段の指示がない限り、本発明の実施には、化学反応、分子生物学、微生物学、組換えDNA技術、および化学的手法の従来技術が利用され、これは、当業者の能力の範囲内である。斯かる技法は、文献、例えば、M.R. Green, J. Sambrook, 2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Fourth Edition, Books 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Ausubel, F. M. et al. (1995 and periodic supplements; Current Protocols in Molecular Biology, ch. 9, 13, and 16, John Wiley & Sons, New York, N. Y.); B. Roe, J. Crabtree, and A. Kahn, 1996, DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques, John Wiley & Sons; J. M. Polak and James O'D. McGee, 1990, In Situ Hybridisation: Principles and Practice, Oxford University Press; M. J. Gait (Editor), 1984, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press; and D. M. J. Lilley and J. E. Dahlberg, 1992, Methods of Enzymology: DNA Structure Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology, Academic Pressにも説明されている。これらの一般的文章のそれぞれは参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0049】
本明細書で使用する場合、用語「細胞」は、典型的には真核細胞を、より具体的には哺乳類細胞を、最も具体的にはヒト細胞を指す。
【0050】
用語「独立した」は、細胞サンプルの並行、同時、または並列的な処理に関連して本明細書で使用する場合、各サンプルが、同じ装置において処理されているまたは処理予定である任意の他のサンプルの処理から、空間的(物理的)および時間的(時間)の両方で分離される方法で、処理されることと定義する。疑義を避けるため、用語「独立した」は、特に、一時的な独立に対し適用される場合は、複数のサンプルが共有設備を使用する必要がある際にタイミングが重なる場合に、これに対応するように1つまたは複数のサンプルの処理が遅れてよいか、または別ルートに切り替えられ得る限り、サンプルの相互作用を含む。
【0051】
句「流体連通して」は、コンパートメントの処理に関連して本明細書で使用する場合、直接的な流体連通(つまり、両方のコンパートメントがじかに隣接している)または間接的な連通(流体は、処理コンパートメントに到達する前に、例えば、容器、チューブ、または他のコンパートメントを通る必要があり得る)を指し得る(ただし、流体は、コンパートメント間を流れることを永久的に妨げられるわけではない)。流れは、二方向、一方向、または、2つ以上の方向である。
【0052】
用語「自己の」は、本明細書で使用する場合、同一の個体を指す。用語「同種の」は、本明細書で使用する場合、同じ種だが異なる個体を指す。
【0053】
用語「アフェレーシス」は、本明細書で使用する場合、対象の血液を、ある特定の構成物を分離し、残りを循環に戻す装置に通す、医療技術として定義する。そのため、アフェレーシスの手順は体外プロセスである。
【0054】
本明細書で使用する場合、用語「PBMC」は、末梢血単核細胞である。この細胞型は、円形核を有する任意の末梢血細胞を指す。これらの細胞は、リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)および単球からなる。
【0055】
用語「T細胞」は、本明細書で使用する場合、その細胞表面にT細胞受容体を有するリンパ球細胞を指す。該用語は、全てのタイプのT細胞(エフェクター、ヘルパー、細胞毒性またはキラー、メモリー、制御性またはサプレッサー、ナチュラルキラー、粘膜関連インバリアント、およびγδ)も、T細胞サブセットおよび/またはT細胞前駆体も指す。いくつかの同種異系間の適用では、T細胞は、T細胞受容体を欠損させられている場合があるが、これらのTCR欠損T細胞も、本明細書のT細胞として想定することに注意されたい。
【0056】
細胞生成物、特に先端医療医薬品(ATMP)の生成の柔軟性およびスループットを高めるシステムおよび該システムの使用法を提供することが本発明の目的である。ATMPの例は、CAR−T細胞療法製剤である。
【0057】
本発明のシステムは、血液などの患者より取り出した生体材料またはサンプルにおいて、ある範囲の製造プロセスステップを実行する。全プロセスは、閉鎖無菌環境内で実行される。装置は、サンプル間の相互汚染なしに、多数の患者からの材料またはサンプルを並行して処理することを目的とする。所与のサンプルの処理は、装置で予め処理されたまたは続いて処理される他のサンプルと並列し、該サンプルから完全に独立した方法である。
【0058】
本発明のシステムは、1つの装置で並行して、独立した方法で複数の患者のサンプルを処理する能力を有する。本システムは、オペレータの介入を最小化し、サンプルおよび試薬の取扱いの正確性を向上させ、サンプルトラッキングにおける過失を最小化するために、自動化され得る。
【0059】
並行処理に斯かるシステムを使用することは、待ち時間を著しく減少させる:多数の細胞バッチを処理可能な典型的な装置では、これらの細胞バッチを同時に搭載する必要があり、プロセスが完了するまで、新しいバッチを加えることはできない。これは、細胞製造システムの操作の開始の遅れ(十分な細胞バッチが、装置を操作する前に存在する必要がある。さもなければ該装置は最大限に使用されない)と、新しい細胞バッチの処置の開始の遅れ(典型的な細胞製造装置が使用中である場合、新しいバッチを搭載し得る前に、操作は終了している必要がある)の両方を引き起こす。細胞療法は、特に、緊急治療を必要とする重症の患者を想定しているため、斯かる遅れの減少が非常に有益である。
【0060】
より詳細には、本発明のシステムは、1つまたは複数の細胞処理モジュール(CPM)を収容する、細胞処理ステーション(CPS)を含む。各CPMは、いったん組み立てたら外部環境およびシステム内の他のCPMからの汚染から隔離される、処理用単一細胞サンプル用閉鎖システムである。
【0061】
各CPMは、中に細胞サンプルが搭載される1つまたは複数の流体カートリッジ(FC)を含む。典型的には、各CPMは、単一のFCを含む。FCは、CPMから着脱可能である場合もあるし、CPMに永久的に取り付けられる場合もあり、サンプルはそこに直接搭載される。適切には、FCはCPMから着脱可能である。適切には、FCは、搭載細胞の汚染を防ぐため、細胞サンプルが搭載される前に、実質的に滅菌または無菌の状態で提供される。典型的には、FCは、新しいサンプル各々に対し無菌状態で新たに提供される使い捨てカートリッジである。適切には、FCは、必要な細胞処理が完了した後に処分され、再使用されない。
【0062】
各CPMは、さらに、1つまたは複数の試薬パック(RP)を含む。RPは、対応するCPM内に含まれるサンプルの細胞処理に必要な種々の流体を含む。RPは、CPMから着脱可能である場合もあるし、CPMに永久的に取り付けられる場合もあり、試薬はそこに直接搭載される。適切には、RPはCPMから着脱可能である。適切には、RPは、試薬が搭載される前に、実質的に無菌の状態で提供される。RPは、搭載試薬との汚染を防ぐため、清潔な無菌状態で提供され得る。典型的には、RPは、新しいサンプル各々に対し無菌状態で新たに提供される使い捨てカートリッジである。適切は、RPは、必要な細胞処理が完了した後に処分され、再使用されない。
【0063】
CPS、CPM、FC、およびRPのそれぞれの具体的な実施形態についてのより詳細な説明を以下で提供する:
【0064】
細胞処理ステーション(CPS)
CPSは、中に1つまたは複数のCPMが着脱可能に設置され得る、中央サポートプラットフォームを提供する。CPSは、1つまたは複数のCPMを同時に収容し得る。CPSは、該CPSを操作した設備により望まれる数のCPMを収容するように、適合され得る。典型的には、CPSは、少なくとも2つのCPMを同時に収容する収容力を有する。適切には、CPSは、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれ以上のCPMを同時に収容する収容力を有する。一実施形態では、CPSは、4つのCPMを同時に収容し得る。
【0065】
CPSは、さらに、設置された少なくとも2つのCPMにより使用され得る、1つまたは複数の共通または共有の設備(以後、「プラットフォーム設備」)を含み得る。実施形態では、プラットフォーム設備には、共通の電源装置、制御システム、およびユーザーインターフェース、中央インキュベータおよび冷却設備、ならびにプラットフォームQCシステムが含まれ得る。
【0066】
1つまたは複数のCPMにより共有され得る、CPS内に提供される典型的な装置フィーチャおよび技術には:
−プラットフォームシャーシ;
−ユーザーインターフェースディスプレイ;
−ソフトウェアおよび操作システムライセンス;
−中央処理装置(CPU);
−組み込みコントローラとプログラムロジックコントローラ(PLC)を含むメインコントロールシステム;
−電源装置と配電システム;
−例えば凍結保存のための凍結など、加熱および冷却に必要な熱管理装備;
−細胞計数、細胞特定、力価、細胞純度(または、不純物の特徴付け/測定)、均質性、細胞の特徴付け、エンドトキシン検出、安全性モニタリング(例えば、ウイルスコピー数または複製コンピテントレトロウイルスの検出による)、マイコプラズマ検出を潜在的に含む、in situ測定に使用されるシステム;
−遠心分離駆動システムが含まれる。
【0067】
ある場合では、多数のCPMに共有される設備を使用することにより、各細胞プロセスの一部または部分のみに使用される設備の重複を減らすことができる。この例は、細胞処理内の設定点において、品質管理の目的でのみ使用される分光測光器、または、集約化されたユーザーコントロールパネルであり得る。あるいは、共有設備は、温度管理された混合供給ガスまたは電力などの、より正確なまたはよりばらつきのない供給を提供し得る。
【0068】
本発明のアプローチは、細胞がインキュベーション操作時に製造時間全体のかなりの部分を使用することから、実行可能であり;インキュベーション時には、流体取扱い技術と細胞取扱い技術のほとんどが機能しない。したがって、バッチ開始時間に適切に適度に差を設けることにより、細胞処理モジュール間でこれらの技術を共有することで、高額な技術の利用を改善させることができる。
【0069】
本発明の実施形態では、CPSは、さらに、以下のうち1つまたは複数を含み得る:
【0070】
−プラットフォームに搭載された1つまたは複数のCPM各々に配管されたインキュベータガス混合物供給設備。インキュベータの共通化には、インキュベータ供給設備およびガス混合物制御システムを1つのみ有することによるコスト削減と、1つまたは複数のCPMおよび中に含まれるFCの各々に、温度的および化学量論的により安定したインキュベーション環境を提供するという利点がある。個々のCPMインキュベータ筐体が統合されて、単一CPUインキュベータ筐体設備になることにより、FCに対するCPMの閉鎖支持構造は、共通のインキュベータ筐体にFCを直接受け入れることが可能になる。
【0071】
−CPM各々と、ある共通のプラットフォーム設備用の、制御システム、モニタリング、およびユーザー操作手順のための単一ユーザーインターフェースポイント。このユーザーインターフェースは、また、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)環境およびハードウェアと連動するインタラクティブなタッチスクリーンに表示される、グラフィカルなユーザーインターフェースを含み得る;
【0072】
−種々のプラットフォームおよびCPMの電気部品に対する電力供給インフラおよび配電ネットワーク。
【0073】
−重要な細胞パラメータおよび各CPMとその中に含まれるサンプルの品質をプロセス中にモニタリングするための品質管理システム。QCシステムをプラットフォーム設備として有する利点は、所与のCPM間で、プロセス全体で比較的利用が少ない高額な装備品を共有することによるコスト節減である。
【0074】
実施形態では、QCシステムは、細胞計数、細胞生存率、細胞特徴づけの1つまたは複数によるサンプル状態のモニタリング、またはフローサイトメーター、光学細胞カウンターなどの分析機器の使用による他の細胞/生物モニタリングを含む。非限定的例として、QCシステムは、顕微鏡、蛍光、トリパンブルー、もしくはフローサイトメトリーによる細胞計数および細胞生存率についてのモニタリング;フローサイトメトリーもしくは他の方法による細胞の同一性、純度、もしくは均質性についてのモニタリング;エンドトキシンの検出(例えば、LALテストによる);安全性についてのモニタリング(例えば、ウイルスコピー数(VCN)のPCRおよび/もしくは複製可能レトロウイルスの検出(RCRテスト)による);マイコプラズマ検出(例えば、PCRもしくはGram染色による);力価についてのモニタリング(例えば、細胞株との共培養による)を含み得る。
【0075】
CPM間でのQC設備の共有は、QCシステムを、ロボット的手段もしくは他の機械的手段により各CPMの基準位置に置くことか、または、各PCM QC基準場所からの出力を、光学的、電気的、もしくは他の伝達手段によりプラットフォームQCシステムに伝達することか、または、QC装置がCPM間で共有され得る他の方法により、達成され得る。QCプロセスは、プロセス後に、CPU自体の外側で起き得ることに留意されたい。同様に、各CPMは、それ自体の個別のQCシステムを持ち得ることにも留意されたい。
【0076】
−細胞のエレクトロポレーション、融合、または遺伝子導入それぞれのためのエレクトロポレーション装置、電気融合装置、または遺伝子導入装置。同様に、各CPMは、それ自体の個別のエレクトロポレーションシステム、電気融合システム、または遺伝子導入システムを持ち得ることにも留意されたい。また、本明細書では、核酸を細胞に送達するために、ソノポレーション、マグネットフェクション、または遺伝子銃の使用も想定される。
【0077】
−プロセス中に使用される種々の試薬に必要な温度環境を提供する、個々のCPM冷却筐体に配管された冷却供給設備。個々のCPMインキュベータ筐体が統合されて、単一CPSインキュベータ冷却筐体設備になることにより、RPに対するCPMの閉鎖支持構造は、共通の冷却筐体にRPを直接受け入れることが可能になる。
【0078】
システムは、さらに、得られた細胞の保存のための保存手段を含み得る。具体的な実施形態では、保存手段は凍結保存手段であり得る。特に、細胞は、凍結保存用に製剤化され、適切な容器(例えば、バッグ)で提供され、その容器内の細胞は、所望の温度まで、典型的には凍結するまで、即時に冷却される。典型的には、凍結保存は、−20℃以下、−60℃以下、−80℃以下、または−196℃以下の温度で起きる。斯かる実施形態では、CPSは、適切な凍結供給設備を備えているだろう。保存または凍結保存のプロセスは、ヒトの介入を必要とせずに達成され得、これは、人員を必要としない(これは、プロセスの終了時間と、熟練オペレータの利用可能性を一致させる必要がないことから、細胞処理方法が任意の時間に開始され得ることを含意する)、時間遅延なし(つまり、即時に冷凍保存され、最適な状態での製剤保存につながる)という点で、利点につながる。細胞は、原則としてはこのようにシステム内に保存され得るが、典型的には、バッグがいったん適切に凍結されたら、より長期保存に適した保存スペースに送られ得、システムの保存手段は、細胞の新しいバッチの保存のために解放されると想定する。
【0079】
特定の実施形態では、得られた細胞の保存のための保存手段または保存チャンバが、システム内に含まれる。斯かる保存手段または保存チャンバは、典型的には凍結保存に適しており、そのため、適切に製剤化された細胞を凍結することが可能である。典型的には、保存チャンバは、初期の凍結と場合により短期保存とを目的とする。長期保存は本システムにおいて実行可能であり得るが、これは別の場所で起こり、そのため、システムはより多くのバッチの保存に解放されることを特に想定する。
【0080】
−プロセス中に使用される種々の試薬に必要な温度環境を提供する、個々のCPM加熱筐体に配管された加熱供給設備。個々のCPM加熱筐体が統合されて、単一CPS加熱筐体設備になることにより、RPに対するCPMの閉鎖支持構造は、共通の加熱筐体にRPを直接受け入れることが可能になることに留意されたい。
【0081】
典型的には、加熱供給設備は、適切な温度、特に37℃以上、35℃以上、32℃以上、30℃以上、25℃以上で細胞を保存することを目的としている。しかしながら、例えば、加熱供給を使用して、QCをベースとした方法に正しい温度を提供することもでき、一部の実施形態では、より高温が必要とされる場合もある(例えば、PCRをベースとした方法は、使用される酵素に応じて、94−98℃、48−72℃、68−72℃の温度サイクルを必要とする)。
【0082】
細胞処理モジュール(CPM)
CPMは、CPSに着脱可能に取り付けられ得る、ドッキングされ得る、統合され得る、またはCPSに設置され得る、別個のモジュールである。CPMは特定の患者および細胞プロセス用のFCおよびRPを受け入れる。1つまたは複数のCPMがCPSプラットフォームに設置されると、すぐに、多数の患者サンプルを同時に処理することが可能になる。第2のまたはさらなるCPMを、CPSに設置するまたは取り出すタイミングが、1つまたは複数の先行のCPMが設置された時間に応じて、限定されることはない。適切には、任意の新しいCPMは、オペレータの必要によって指示される時間に設置され、CPSは、プロセスの開始および後続の操作を、全プロセスにとって最も時間効率のよい方法で順序づけ、並行して実行する。
【0083】
CPMは、該CPMが想定される細胞処理に適切な任意のサイズであり得る。一実施形態では、CPMは、CPSへの設置の前に、プロセスに必要なコンポーネント、例えば、試薬パックおよび処理用の細胞サンプルを含む流体カートリッジを構成するコンポーネントを集めた製造設備の周りを上手く移動できるように、トロリーに置かれる。斯かる実施形態の図解は、図2aで提供する。
【0084】
大量投与細胞療法は、試薬パックに組み込まれた際に、高重量過ぎて安全に運べない場合がある、使い捨て全重量を生じさせ得る大量の培地および支持試薬を必要とする。CPMをトロリーに乗せるように適合させることは、試薬保存設備をCPSの近くに置く必要をなくし、設置コストおよび潜在的なオペレータの被害を低減させる。
【0085】
CPMを、車輪または他の移動手段(例えば、トロリーなど)に乗せることにより、他の利点も可能になり:CPMのCPSへのドッキングが誘導され(例えば、レールによって)、自動化または半自動化され得る(例えば、CPMのCPSへのぞんざいな結合を避けるブレーキシステムを用いて)。正しいドッキングのための水平器または留め具が組み込まれ得、その結果、CPSは、相応の肯定的メッセージまたは過失メッセージを表示し得る。
【0086】
一実施形態では、トロリーは、ベッドサイドで患者から細胞サンプルを直接収集するために使用され得る。実施形態では、トロリーは、CPSにドッキングまたは設置され、適切に所定位置に運ばれ得るように適合される。
【0087】
CPMを容易に移動可能な形態で有する(例えば、ホイールを加えることにより)という利点はあるものの、これは必要条件ではなく、他の設計も考えられ得る(例えば、スペースの節約のため)。図2bは、手動で搭載し得る4つのCPMを有するCPS例を示す。図2cは、より詳細にこの実施形態のCPMを示す。
【0088】
実施形態において、CPMは以下のうち1つまたは複数を含む:
【0089】
−FCおよび/またはRPがいったんそれぞれの筺体内に封入されたら、FCおよび/またはRPの接合流体連通点が結合するように、FCおよび/またはRPを係合させる手段。斯かる係合手段は、適切には、それぞれの筺体の熱完全性を損なわない。FCおよびRPを係合させる、可能性のある一つの方法は、FCおよびRPの支持構造の一方または両方を変形させて、2つの実体が一つになるようにすることである。これは、ユーザーに操作されるか、または、自動的に動作が開始される、何れかの筺体に取り付けられた持ち上げ機構を含み得る。あるいは、FCとRPの係合は機械の外側で生じ、さらに、オペレータによりプロセスが実行される可能性があることに留意されたい。FCおよびRPが統合実体である場合、係合手段は必要でない場合もあることにも留意されたい。
【0090】
−電力供給装置、制御システム、およびユーザーインターフェースへの電気的接続およびデータ接続、インキュベータおよび冷却設備への配管、プラットフォームQCシステムへの物理的接続を含む、必要なCPSプラットフォーム設備へのある範囲の接続。別の実施形態では、各個別のCPMがそれ自身の専用設備を有することが確認されることに留意されたい。
【0091】
−種々の異なるパラメータをモニタリングするプロセスに必要な、FCおよび試薬パックに提供されるある範囲のセンサ。これらのセンサには、温度を測定するための熱電対またはサーミスター、流体圧力を測定するための圧力変換器、流体流速を測定するためのフローメータ、グルコースモニタ、酸素センサ、およびプロセスに必要な他のセンサなどのバイオセンサが含まれ得る。さらに、センサは、プロセスの種々の段階で変数を最適化する、クローズドフィードバック制御ループを提供し得る。
【0092】
実施形態では、CPMは、プロセス中に温度制御環境をRPに提供する、インキュベータ筐体を含む。適切には、筺体は、冷却(つまり、環境温度を下回る)環境を提供する。典型的には、冷却筐体内で維持される温度は、約15℃未満である。適切には、温度は、約10℃、8℃、6℃、4℃、2℃、0℃未満である。実施形態では、筺体は冷却されて、約4℃の環境を提供する。冷却筐体の利点は、温度感受性試薬に、全プロセスを通して残存するための適した環境を提供し、それにより、プロセス中に時間および温度感受性試薬を搭載する追加のオペレータの労力と、プロセスを停滞または妨げる可能性をなくすことである。一実施形態では、冷却筐体は、RPが挿入、維持、および封止される閉鎖支持構造を有するCPM内で、封止および隔離されたコンパートメントである。代替の実施形態では、冷却筐体は、RPの一部のみに冷却設備を提供する、より小さいコンパートメントである。
【0093】
一実施形態では、CPMは、さらに、FCおよび/または試薬パックに追加の熱エネルギーを与えるためのヒーターパッドおよびコントローラを含み得る。適切には、ヒーターパッドは、FCのみに熱を与える。インキュベータ筐体に加えてヒーターパッドを有する利点は、試薬流体がFCに入る前または入る際に素早く加熱する手段であることであり、これは、周囲の熱により試薬流体の温度を上昇させる際の遅れを減少させる。同様に、ヒーターパッドは、インキュベータ内の試薬流体の温度により優れた制御をもたらす。実施形態では、ヒーターパッドは、必要な加熱特徴を提供するのに適した任意の形態であり得る。適切には、ヒーターパッドは、ペルチェ熱コンポーネント、シリコンベースの熱ウェハ、電気的に加熱された金属ブロック、または熱エネルギーを与えるための他の手段である。実施形態では、ヒーターパッドは、プロセス用の初期熱供給源として、インキュベータ筐体に取って代わる。典型的には、加熱パッドは、細胞処理時に適切な温度、特に、37℃以上、35℃以上、32℃以上、30℃以上、25℃以上を維持するために構成される。しかしながら、同じまたは異なる加熱パッドを使用して、QCをベースとした方法に正しい温度を提供することもでき、一部の実施形態では、より高温が必要とされる場合がある(例えば、PCRをベースとした方法は、使用される酵素に応じて、94−98℃、48−72℃、68−72℃の温度サイクルを必要とする)。
【0094】
実施形態では、CPMは、さらに、CPM内に収容された機械式アクチュエータと、ポンプ、弁、または他の動的コンポーネントなどのFC内の作動エレメントを含む。例えば、ダイアフラムポンプが使用され得る。このポンプ技術は、空気圧によりまたは機械的に駆動されて、シリンダー内のピストンによく似た各振動で流体チャンバ(ダイアフラム下にある)の体積を変化させる、振動ダイアフラムを利用する。このポンプアプローチは、心臓の動きを真似ており、そのため、最も自然で細胞に優しいと考えられる。この技術の使用により、製造コストが低く、組み立てが容易なチューブなし溶液が提供される。吸い込みおよび排出ストロークにおいてダイアフラムを作動させるため、CPM内のポンプモータを、クランク式配置で使用する場合がある。同様に、ポンプは、圧力および吸引源からの空気圧で駆動され得る。あるいは、または、さらに、弁ダイアフラムを使用し、内側に力を加えたエラストマーダイアフラムを利用して、活性化時に流体を止める堰に対する流体シールを作成する。想定される別の動的コンポーネントは、非常に正確で少量の流体の反復分注を制御し得る、高精度の流体投与ユニットである。CPM内に収容されている機械式アクチュエータの利点は、特に、FCが使い捨ての単回使用コンポーネントである場合、機械式アクチュエータによりFCのコストおよび複雑度が低減することである。これは、より低コストのポンプと弁ヘッドのみが処理後に処分され、作動手段は残され再度使用されるからである。
【0095】
実施形態において、CPMは、FCが、分離、活性化、形質導入、増殖、またはプロセスの他の段階の一部として利用し得る、遠心分離設備を含む。
【0096】
流体カートリッジ(FC)
FCは、細胞処理の全てにわたり、細胞を含み操作する個々のCPMのコンポーネント部分である。各CPMは、実行する細胞プロセスに適切な任意の数の流体カートリッジを含み得る。典型的には、各CPMは、1つまたは複数のFCを含む。一実施形態では、各CPMは、1つのFCを含む。1つまたは複数のFCは、CPMに装着された際に、他のサンプルおよび環境からの相互汚染より封止された閉鎖構造を提供する。
【0097】
滅菌、無菌状態を保つため、FCを無菌状態で新たに使用され、単回使用後(つまり、単一細胞の処理手順後)に処分され得る。あるいは、FCは、使用後に適切に処理されて、反復使用の前に滅菌、無菌状態に戻される場合もある。
【0098】
FCは、細胞材料を収容し、異なるプロセスステップに使用され得るエレメントを提供する。本発明の実施形態では、これらのエレメントとしては以下のものが挙げられる:
−親材料を分離するためのフィルタ、遠心機、または他の活性表面(分離)
−細胞をインキュベートし、活性試薬を導入するための反応容器、フラスコ、またはビーカー(活性化、形質導入、増殖);
−1つまたは複数の廃棄物処理用容器;
−FCのある領域から別の領域へ流体を方向づけるためのギャラリー、チャネル、および流体回路。
【0099】
実施形態において、FCは、また、流体および細胞を、プロセスの種々のステップに割り当てられたFC内で別の位置に移動させるのに必要なポンプおよび弁を含む。使用ポンプの種類は、任意の適切な種類のポンプが使用可能であると考えられるものの、適切には、ダイアフラムまたはプランジャー式ポンプなどの容積式ポンプである。同様に、弁は、任意の適切な種類の弁が使用可能であるものの、適切には、ダイアフラム弁または回転弁であり得る。
【0100】
ポンプおよび弁は、また、プロセス時の必要に応じてRPからFPへの流体の移動を可能にする。これらの流体には、親入力材料、試薬培地、活性化試薬、および/または他の必要な流体が含まれ得る。
【0101】
実施形態において、FCは、また、FCとRPの間の流体連通を可能にして、その2つが、別々のアイテムとして製造され、供給され、搭載されながら、CPMにいったん設置されたら閉鎖システムを提供することを可能にする、流体接続点を含む。接続は、プロセスを通してFCの無菌完全性を維持する必要があり、これは、例えば、その2つのアイテムを流体接続する、はぎ取り式で密閉封止されたコネクタ、または他の滅菌もしくは無菌性のコネクタを使用することにより達成され得る。
【0102】
流体カートリッジにおける少なくともいくつかの流体回路は、細胞を含む、しばらくの間培養されていた細胞を含む可能性もある、流体を運ぶ。これらの細胞は凝集しやすいことから、特定の実施形態では、試薬パック内の流体の流れを方向づける流体回路は、細胞生成物が流れる際に細胞凝集を破壊するように設計される。これは、管の直径の変化させることと、急旋回(90°旋回を含む)と組み込むことにより達成され得る。このように、細胞流体の流れは線形ではなく、ヒトの介入を必要とせず、例えば、ピペッティングの上下などにより達成される効果を模倣する。
【0103】
本システムの実施形態において、RPは、FCに統合されて、単一ユニット式コンポーネントとしてRPとFCを提供し得る。斯かるアプローチは、オペレータの労力、廃棄物排出量を減少させ得るか、または、他の利点が統合組み合わせにより提供される。
【0104】
実施形態において、FC構造は、成型されたおよび/または溶接された、ポンプまたは弁フィーチャを有する外側被覆されたエラストマー領域を備える、実質的に剛性のポリマーアセンブリである。成型パーツ間にカプセル化された別個のフィルタエレメントがあってよい。ある実施形態では、FCの設計およびレイアウトは、埋め込まれた流体ギャラリーを使用して、適切な流体を移動させる原動力を提供する一体型のダイアフラムポンプを用いて流体をプロセスのステップに導き得る。あるいは、FC構造は、インペラーポンプ、蠕動ポンプ、フィルタ、または合成フレームに保持された遠心機などの別個の流体コンポーネントを有する、可動性のチューブネットワークを含む。さらなる代替として、FC構造は、別個の流体エレメントを有する可動性チューブ部分を備える一体型成型アセンブリの組み合わせであり得る。
【0105】
試薬パック(RP)
RPは、プロセスに必要な種々の非細胞流体を含む、患者特異的な消耗品である。流体は、液体、水溶液、ガス混合物、ゲル、凍結乾燥物の懸濁液、または他の流体組成物であり得る。適切には、流体は、患者投入材料、バルク培地、有効成分、および必要な他の試薬であり得る。適切には、試薬としては:患者の全血、アフェレーシス、単離した患者の細胞材料、細胞増殖培地、例えば、X Vivoなど、細胞分離培地、例えばFicollなど、成熟化薬、細胞活性化因子または阻害剤、サイトカイン、酵素、抗体または類似のタンパク質、タンパク質、ペプチド、ウイルスまたはウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、もしくはそれに基づくベクター)トランスポゾン(例えば、sleeping beauty)、他の核酸(例えば、mRNA、shRNA、siRNA、miRNA、ネイキッドDNA、プラスミド、lncRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド)、合成分子(例えば、PNA、LNA、ステープルペプチド)緩衝液、再構成培地が挙げられる。
【0106】
典型的には、実用的な理由から、患者由来の材料と他の材料は区別されよう。例えば、適切な保存条件下で、非患者由来の材料は、RPに予め集められ得る。患者由来の材料は、細胞処理を行う必要がある際に、RPに含まれるまたは接続されるだけであろう。したがって、ある実施形態では、非患者由来の材料のみを含むRPがすでにFCに接続している、および/または、CPM内に組み込まれており、患者由来の材料は後で含まれるだけである。患者由来の材料はRPに組み込まれてもよいし、接続されてもよい。
【0107】
如何に患者由来の材料が、すでにRPおよびFCを含んだCPMに接続され、含まれるかについての非限定的例については、以下のステップを描く図5a−eを参照されたい:
−ステップ1:チューブ溶接機を細胞処理モジュールに位置付け、割り当てられた容器にアフェレーシスを搭載する(図6a);
−ステップ2:細胞処理モジュールからの入力チューブと、アフェレーシスバッグからの出力チューブをチューブ溶接機に装着し、溶接する(図6b);
−ステップ3:チューブ溶接機から溶接したチューブを外し、チューブの末端を始末する(図6c);
−ステップ4:チューブ溶接機を細胞処理モジュールの上部から取り除き、溶接チューブ接続を、アフェレーシスバッグの上部に置く(図6d);
−ステップ5:ここで、CPMおよび患者の細胞生成物を、処理のためにCPSに搭載することが可能になる(図6e)。
【0108】
RPは、また、FCとRPの間の接続を可能にして、その2つが、別々のアイテムとして製造され、供給され、搭載されることを可能にする、流体接続点を含む(接続法に関するより細部については、FCを参照されたい)。
【0109】
RPが、中にチャンバを有するFCに統合され、チャンバの構造は、前記流体で予め充填されていることにも留意されたい。
【0110】
RPの構造およびレイアウトは、1つまたは複数の試薬容器とFCに接続した流体接続点を収容する、剛性構造を含む。剛性構造は、挿入される別個の試薬容器に対し特異的な領域を有する、成型され溶接されたポリマーアセンブリからなり得る。個別の試薬容器は、成型された無菌コネクタが中に溶接された、可撓制で柔軟なポリマーフィルム構造であり得る。
【0111】
RPは、また、成型されたコネクタハードウェア挿入物を有する外側被覆されたエラストマー領域を備える剛性ポリマーアセンブリを含み得、それにより、剛性物中に成型された間隙が、流体材料が中に含まれる容器を形成する。
【0112】
試薬パックは、あるいは、個別に搭載される、統合流体接続点を有する一連の別個の試薬容器を含み得る。いくつかの特異的な実施形態では、廃棄物処理用の空の容器が試薬パック内に予測される。
【0113】
1つまたは複数の個別にパッケージ化された試薬流体パックを収容する剛性試薬構造の利点は:他の利点に加え、多数の試薬製造供給者および製造所を可能にすること;治療プロトコルに従って試薬パックが設定可能であること;多数の充填ステップでの汚染を防ぐことである。
【0114】
非限定的例として:特定の実施形態では、設定可能な試薬パックが、該試薬パックの一部のみが細胞プロセスの開始時に組み込まれる一方、試薬パックの別の部分は、プロセスの進行中に細胞処理モジュールに接続または組み込まれることを必要とし得る。当然、接続は、装置またはプロセスの閉鎖的な性質を損なうことなく、無菌で行われる必要がある。これが使用され得る例は、例えば、ウイルスベクターの提供であり、これは、形質導入ステップの直前に行われ得る。
【0115】
実施形態において、RP構造は、プロセス中に、RPをCPMから完全に取り外すことも、FCへの流体接続を切り離すこともなく、RPにさらなる試薬の付加を提供する。実施形態において、斯かる構造は、RP構造内のコンパートメントを晒すために開く、適切な滅菌バリアを有するラッチ可能なハッチからなり、これにより、追加の試薬が挿入され、FCに流体接続することが可能である。
【0116】
方法
本発明の装置および方法を使用して、治療に使用する、特に細胞療法に使用するための多種多様の細胞を生成することができる。細胞療法は、疾患の治療のために、全生細胞を投与すること、または、患者の特異的な細胞集団を成熟化させることと定義される。これには、限定するわけではないが、輸血、骨髄移植、幹細胞療法(造血幹細胞(HSC)療法または人工多能性幹細胞(iPSC)療法を含む)、および臍帯血療法が含まれる。最近は、免疫系に含まれる細胞を修飾して患者に投与し、例えば、がんまたは感染症に対する免疫反応を改善する、細胞をベースとした免疫療法が多くの注目を集めている。斯かる細胞をベースとした免疫療法としては、例えば、樹状細胞をベースとした免疫療法、NK細胞免疫療法、B細胞免疫療法、T細胞免疫療法―限定するわけではないが、TIL(腫瘍浸潤リンパ球)をベースとした療法、TCR療法(T細胞が修飾TCRを備えている)、または、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法が含まれる―が挙げられる。本明細書に記載の細胞処理装置は、これらの方法のうち何れかで使用される細胞の処理に使用され得るが、特に、細胞の修飾(細胞の培養または増殖の冒頭での)を伴う方法に適している。これは、斯かる方法が、複数の異なる行為をサンプルに対し行う必要があるためである。言い換えると、装置および方法は、特に、細胞をベースとした免疫療法に適している。
【0117】
細胞をベースにした免疫療法は、自家性(細胞処理に患者自身の細胞を使用し、その後、その細胞を再点滴または再注射する)である場合も、同種(細胞処理にドナー細胞を使用し、これを次に患者に投与する)である場合もある。本装置および方法は両方の種類の療法に使用することが可能であるが、得られる時間的な利点が、自家免疫療法にとって最も重要であり、自家免疫療法を特に想定する。これは、この療法が患者材料より始まるため−ドナー材料から開始する場合は、細胞調製物は予め調製可能であるためである。
【0118】
想定される方法は、典型的には、本明細書に記載する流体カートリッジにおいて実行されよう。このカートリッジは、操作中である場合、試薬パックと流体連通し、細胞処理に対し閉鎖システムを提供することから、本方法は、適切な試薬パックに接続したカートリッジ内で(つまり、本明細書で記載する細胞処理ユニットにおいて)実行されるということも可能である。さらに、カートリッジおよび試薬パックは、典型的には、細胞処理モジュールの一部を形成することから、本方法は、典型的には、本明細書で記載する細胞処理モジュールにおいて実行される。これらの細胞モジュールは、細胞処理ステーションでの使用のために提供され、したがって、本方法は、本明細書で記載する細胞処理装置での実行に特に適している。
【0119】
本装置が、細胞サンプルに対し、自動化処理を伴う完全に閉鎖された環境を提供するという事実の利点は、本方法が、通常の細胞製造方法とは対照的に、機密扱いされない領域で実行され得るということである。
【0120】
本明細書で記載する方法は、典型的には、細胞サンプルの提供を第1ステップとして含む。サンプルは、健康な対象か、または、治療の必要な患者から採取され得る(典型的には、自家方法での場合)。開始材料は、適切な細胞を含むだろう。細胞をベースとする免疫療法では、細胞サンプルは、典型的には、免疫系の細胞を含むだろう。特に、細胞サンプルは、末梢血単核細胞(PBMC)を含むだろう。さらにより具体的には、細胞サンプルは、リンパ球を含むだろう。最も具体的には、細胞サンプルはT細胞を含むだろう。
【0121】
細胞サンプルの非限定的例としては、血液、アフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス生成物、骨髄、またはリンパが挙げられる。血液およびアフェレーシスは、収集するのに最も浸潤が少なく、十分な数の適切な細胞を容易に含むことから、血液およびアフェレーシスが特に想定される。
【0122】
細胞サンプルは、次に、本明細書で記載する細胞処理モジュールに置かれ得る。これは、細胞サンプルを試薬パックに組み込むことか(つまり、試薬パックは、いくつかの容器、つまり、患者由来の材料を有する容器と、非患者由来の材料を有する少なくとも1つの容器を含む)、または、細胞サンプルを流体カートリッジに滅菌的な方法で接続するか、または、細胞サンプルを流体カートリッジに置くことにより、なされ得る。また、細胞処理モジュールがすでに組み立てられており、試薬パックと接続した流体カートリッジ(つまり、細胞処理ユニット)を含むこと、および、細胞サンプルが細胞処理モジュールに搭載されること(例えば、細胞サンプルを滅菌的な方法で流体カートリッジまたは試薬パックに接続することにより)も可能である。したがって、細胞サンプル、流体カートリッジ、および試薬パックが提供され、互いに接続される順は、典型的には、交換可能であり、装置のレイアウトまたは実行されるプロセスの性質に左右され得る。細胞処理モジュールがいったん組み立てられ、細胞サンプルを含んだら、細胞処理モジュールは、次に、細胞処理ステーション上の利用可能な受け点に係合させられ得、細胞処理ステーションは、細胞サンプルの自動細胞処理を実行するように操作され得る。一部の実施形態では、患者材料は、細胞処理ステーションとすでに係合している細胞処理モジュールに搭載され得る。しかしながら、細胞処理方法は、細胞サンプルが細胞処理モジュール内にあって(または、接続されて)初めて、開始されよう。一部の特定の実施形態では、細胞処理方法は、試薬パックの一部のみが提供された場合に開始することが可能であり、試薬パックの残りは後の時点で提供されることに留意されたい。これは、例えば、材料が特別な方法で最適に保存された場合、または、材料が慣行に従い機密扱いの環境で取り扱われる場合であり得る。
【0123】
本明細書で記載する装置で実行される方法の特別な利点は、2つ以上の細胞処理方法が、同じ装置の異なるサンプルに対し、互いに独立して、ただし本質的には並行して(つまり、少なくとも部分的に時間的に重複して)、行われ得るということである。したがって、新しい細胞サンプルに対する方法は、先行するサンプルの処理方法が終わる前に、同じ装置上で(異なる細胞処理モジュールにおいて)開始されて得る。言い換えると、細胞サンプルを提供するステップ、流体カートリッジと試薬パックを提供するステップ、細胞サンプルを流体カートリッジに接続する(または、細胞サンプルを細胞処理モジュールに搭載する)ステップ、および細胞処理モジュールを係合させるステップが、連続的ではない、ただし並行した(または、部分的に並列した)方法で、繰り返され得る。並行プロセス数は、典型的には、細胞処理ステーションにおいて同時に係合され得る細胞処理モジュールの数によって決定される。
【0124】
本方法は、同じ装置上で、互いに独立して、実行され得る。これは、異なる細胞処理が、同じ装置の異なる細胞サンプルに対し並行して実行されることを含意するが、典型的には、並行して実行されるのは、同じ細胞プロセスである。
【0125】
特定の実施形態では、装置は、同じ患者の異なる細胞サンプルに対し、並行かつ独立して、同じ細胞プロセスを実行する。こうして、同じ患者の複数回分の投与量が、同じ装置で作成され得る。
【0126】
特に想定される一態様は、自動化細胞処理方法が、細胞をベースとした免疫療法薬の製造に使用されることである。これは、典型的には、幹細胞、PBMC、リンパ球、NK細胞、B細胞、またはT細胞の修飾を必要とする。いくつかの実施形態では、修飾は、遺伝子修飾である。さらなる実施形態では、修飾は、例えば、TCR修飾T細胞またはCAR修飾T細胞を作成することなどによる、T細胞の遺伝子修飾である。
【0127】
本発明の装置で適切に実行され得るプロセスの例として、CAR−T細胞の調製での典型的な手順を、実施例3で提供する。
【0128】
本明細書で記載する自動化細胞処理方法は、典型的には、以下から選択される1つまたは複数のステップを含む:
・関心の細胞の選択および/または富化
・細胞の活性化
・例えば、形質導入による、細胞の遺伝子修飾
・細胞の増殖
・細胞の濃縮
・保存(凍結保存を含む)および/または直接注入のための、細胞の製剤化。
【0129】
これらのステップの間では、細胞は、典型的には、過剰な試薬を取り除くため、または、培地を変えるために、適切な緩衝液で洗浄される。これらの異なるステップについては、以下でより詳細に記載する。
【0130】
細胞の選択および/または富化
典型的には、細胞サンプル出発物質は、処理される細胞の純粋集団ではないだろう。むしろ、全血などの患者材料またはアフェレーシス生成物などの部分的に処理された患者材料が、出発物質として使用される。これらの材料は、多数の細胞型を含み、処理すべき特定の細胞型を選択しおよび/または富化させるために、異なる方法が使用され得る(細胞型にも左右される)。細胞をベースとした免疫療法で使用される細胞型の多くが何らかのPBMCであることから、細胞の富化は、また、PBMCを富化または選択する(それにより、複数の細胞型を富化する)ことによりなされ得、この後に、特定の細胞型(例えば、T細胞、NK細胞、B細胞、単球、リンパ球)の富化または選択が続く場合も続かない場合もある。
【0131】
サンプルにおけるPBMCの選択は、最も典型的には、Boeyumにより元々開発された、当技術分野で周知の方法に基づいた単純で迅速な遠心分離手順を使用する、Ficoll手順を使用して、実行される(Isolation of mononuclear cells and granulocytes from human blood(Paper IV). Boeyum, A., Scand. J., Clin. Lab. Invest. 21 Suppl, 97, 77-89 (1968); Isolation of leucocytes from human blood - further observations.(Paper II). Boeyum, A., Scand. J. Clin. Lab. Invest. 21 Suppl, 97, 31-50 (1968); Isolation of lymphocytes, granulocytes and macrophages. Boeyum, A., Scand. J., Immunol. 5 Suppl, 5, 9-15 (1976))。
【0132】
本明細書で提供する方法では、細胞処理装置または流体カートリッジの設計に応じて、PBMCの富化または選択(または、すなわち、非PBMCからのPBMCの選択)は、以下によっても達成可能である:
−細胞を凍結し、赤血球(RBC)および顆粒球を死滅させ、T細胞と単球を生存させる;
−マイクロ流体チャネルを使用して、RBCを血液サンプルから除去することが可能である(典型的には、その異なる表現型に基づいて:異なるサイズ、重さ、体積、光散乱、またはマーカーを使用して、異なる細胞をマイクロ流体回路に導くことが可能である);
−ハイドロサイクロンまたはハイドロサイクロンのいくつかのステージの使用により、RBCを、その流体抵抗に対する向心力が異なる比率であることにより、血液サンプルから取り除くことが可能である;
−フィルタサイズの多数の層を使用して、T細胞を、サンプルより積極的に選択し、RBCおよび顆粒球を取り除くことが可能である。追加のフィルタを使用して、他の洗浄ステップを実行することが可能である;
−磁性ビーズ/クラウドを使用し、RBC/顆粒球を取り除く負の選択と(溶解およびmagビーズ)、T細胞および単球の正の選択を使用して、PMBCを単離することが可能である;
−異なる濃度のRBCおよびPBMCを使用し、遠心分離を使用して、全血からPBMCのみを収集することが可能である;
−対向流遠心法(CFC)を使用することにより、RBCと顆粒球をT細胞から選び出し、いくつかの洗浄ステップを実行することが可能である;
−繊維濾過を使用し、培地交換を行って、洗浄ステップ時に細胞を濃縮することが可能である。タンジェンシャルフロー中空線維フィルタが、これに有用である;
−赤血球細胞を、塩化アンモニウム(NHCl)溶液などのRBC溶解緩衝液を使用して、溶解することが可能である;
−ヘタスターチを、RBC用の沈殿薬として使用することが可能である;
−ビオチン共役CD3抗体と組み合わせて使用される、ストレプトアビジンでコーティングされたMagcloudz(商標)ゲルを、T細胞の正の選択に使用することが可能である;
−音響技術を使用して、多次元定常波を生成して、RBC細胞を分離する。
【0133】
また、特異的な細胞に対する正または負の選択ステップ(典型的には、マーカーを使用する)が、細胞の選択または富化を達成するために、本方法で使用され得る。例えば、CD3、CD4、およびCD8マーカーを使用して、T細胞を富化することが可能であり、ヒトB細胞に対してはCD19およびCD20が、樹状細胞に対してはCD11c、CD123、BDCA−2、BDCA−4が、ヒトNK細胞に対してはCD56が、造血幹細胞に対してはCD34が、ヒト単球またはマクロファージに対してはCD14およびCD33が、ヒト顆粒球に対してはCD66bが、ヒト血小板に対してはCD41、CD61、CD62が、赤血球に対してはCD235aが使用される。後者の3つの細胞型は、典型的には、負の選択をされる(つまり、サンプルから取り除かれる)だろう。これらのマーカーに対する抗体は周知であり、商業的に入手可能であり、これらの細胞型の選択または富化に決まって使用される。抗体は、これらの抗体でコーティングされた表面(例えば、流体カートリッジにおける)を使用する方法において、斯かる抗体を有するカラムを使用して、これらの抗体を有する(常)磁性ビーズを使用して(操作を楽にするために)、これらの抗体に結合し得る(常)磁性ビーズを使用する(例えば、MagCloudz(商標)キット;Quad technologies(登録商標)を使用する)などして、使用され得る。
【0134】
細胞の活性化
いったん適切な細胞集団が達成されたら(細胞サンプルとして直接的に、または、適切な細胞の選択および/もしくは富化ステップの後で)、本方法は、さらに、細胞を活性化するステップを含み得る。このステップは、ほとんどの場合任意選択的であるが、本方法が、(γ−)レトロウイルスまたは(γ−)レトロウイルスベクターを使用する、細胞の修飾を必要する場合は、特に有用である。これは、レトロウイルスが(株に応じて)優先的にまたは排他的に分裂細胞に形質導入を生じさせるためである。レンチウイルスおよびアデノウイルス(およびそれらに基づくベクター)は、典型的には、分裂細胞および非分裂細胞の両方に影響を及ぼし、そのため、細胞の活性化は、必要条件ではない。同じことが非ウイルス方法(例えば、エレクトロポレーション、ソノポレーション、遺伝子導入、マグネットフェクション、遺伝子銃)にも当てはまる。
【0135】
細胞の活性化は、当技術分野で記載されている通りに行う。典型的には、CD3抗体(OKT3)が、活性化シグナルとして使用される。第2活性化シグナル、例えば、抗CD28抗体も、使用され得る。抗CD3に基づいた活性化が、当技術分野で最も一般的であるが、斯かる活性化の第2シグナルは、唯一の活性化シグナルとしても使用され得る。他の活性化シグナルは、例えば、抗CD2抗体、抗4−1BB抗体である。細胞を活性化させるために使用可能なサイトカインとしては、限定するわけではないが、IL−2、IL−7、IL−12、IL−15、およびIL−21の何れか単独または組み合わせが挙げられる。
【0136】
細胞の遺伝子修飾
本明細書に記載する方法は、しばしば、細胞の遺伝子修飾のステップを含む。遺伝子修飾は、限定するわけではないが、遺伝子導入、エレクトロポレーション、電気融合、ソノポレーション、マグネットフェクション、または遺伝子銃を含む、当技術分野で標準的な手順を使用してなされ得る。特定の実施形態では、遺伝子修飾は、ウイルスベクターを用いた形質導入によりなされる。ウイルスベクターとしては、限定するわけではないが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、およびアデノウイルスベクターが挙げられる。
【0137】
遺伝子修飾プロトコルは、当技術分野で周知であり、本明細書に記載する方法と互換性があり、本明細書に記載する細胞処理装置内に適応され得る(ただし、適切なハードウェアが、装置、細胞処理モジュール、または流体カートリッジに統合されることを条件とする)。いくつかのウイルス形質導入プロトコル(特に、レトロウイルス、ただし、レンチウイルスも含まれる)の効率は、例えば、RetroNectin(登録商標)(フィブロネクチン断片)ポリブレン(臭化ヘキサジメトリン)、またはvectofusin−1(登録商標)などの、カチオン剤を使用する場合に高まる。したがって、遺伝子修飾方法は、例えば、RetroNectin(登録商標)でコーティングされたプレートまたはバッグを使用するなどの、これらの試薬の使用を必要とし得る。遺伝子修飾ステップが本方法で実施され得る他の例示的な方法は、以下を使用することによる:
−RetroNectin(登録商標)(または類似の製品)でコーティングされ、CFCコーンに懸濁されたMagcloudz(商標);
−形質導入は、RetroNectin(登録商標)(または類似の製品)でコーティングされたCFCコーンを用いて達成され得る;
−形質導入は、細胞およびウイルスベクターが相互作用する流動層を作るCFCコーンを用いて達成され得る;
−形質導入は、RetroNectin(登録商標)などの適切なプライマーで予備刺激された、または予備刺激ステップなしのフィルタに細胞およびウイルスベクターを導入することにより達成され得る;
−形質導入は、音響技術を使用し、ウイルスベクターを用いて細胞を濃縮することにより達成され得る。
【0138】
遺伝子修飾(つまり、その構造が導入される、または、そのタンパク質の発現が変えられる)の種類は、本発明を限定するものではなく:任意の遺伝子修飾がなされ得る。しかしながら、細胞免疫療法で特に想定されるのは、TCR修飾T細胞(遺伝子修飾により修飾TCRを導入することによる)またはCAR修飾T細胞、NK細胞等の作成である。
【0139】
遺伝子修飾プロトコルで導入され得るCAR構造の例としては、限定するわけではないが、以下の標的に対して作られたCARが挙げられる:CD19、BCMA、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD70、CD123、CEA、c−Met、CS1、EGFRvIII、EpCAM、ERRB2、HER−2/neu、folate receptor alpha、GD2、IL−13Ra2、L1−CAM、メソテリン、MUC1、MUC16、PSCA、PSMA、TAG−72、NKG2D、NKp30、およびB7H6。CARは、第1世代構造物(一刺激ドメイン、典型的にはCD3ζまたはFcεRIを有する)、第2世代構造物(追加の刺激ドメイン、典型的にはCD28または4−1BBを有する)、または第3世代構造物(追加の2つの刺激ドメイン、典型的には、すでに上記した群と、OX40、ICOS、DAP10、DAP12、CD2、CD27、CD30、CD40、または類似の鎖から選択されるもの)であり得る。それらは、また、さらに修飾され得る(阻害性CAR、ゲートCAR、サイドCAR、TRUCK、armored CAR等)。また、特に想定されるのは、2つの異なる標的に対し特異性を有する二重特異性CARである。
【0140】
特に想定されるのは、NKG2D CAR(国際公開第2006036445号に記載されている)、B7H6 CAR(国際公開第2013169691号に記載されている)、またはNKp30 CAR(国際公開第2013033626号に記載されている)の使用である。
【0141】
修飾TCRは、細胞内タンパク質も標的し得るという、CARを上回る利点を有する。CARにより想定される標的に加え、修飾TCRにより想定される標的の例としては、限定するわけではないが:NY−ESO−1、MAGE−A3、ROR−1、WT−1が挙げられる。
【0142】
増殖
プロセスの異なるステージにおいて、細胞は、処理方法の終わりに得られる処理細胞の数を増加させるように、培養または増殖され得る。例えば、細胞は、活性化前後、または修飾後、または濃縮もしくは製剤化の前に増殖され得る。典型的には、細胞の増殖は、G−REX(商標)システム(Wilson Wolf(登録商標))などのガス透過性迅速増殖装置においてなされ得る。
【0143】
しかしながら、本方法は、G−REX(商標)の使用に限定されず、以下の代替物も想定され、当業者は、細胞を増殖する類似の方法を見つけることが可能である。
−中空線維:細胞は、活性化および/または増殖用フィルタチューブの中空線維の中心に搭載される。増殖培地およびサイトカインが繊維の外側を囲み、そのため、繊維を通して細胞に供給/接触し得る;
−カスタムフラスコ:フラスコの底は、ガス透過のためG−Rexフラスコに類似した物質で構築されていよう;
−振動しない細胞培養バッグ;
−例えば、使い捨てWAVE bioreactor(商標)(GE Healthcare(登録商標)などにおける、振動付き細胞培養バッグ;
−抗体が付着したヒドロゲル:これは、活性および増殖される細胞用の、効果的で大きい表面積を形成する。必要であれば、追加のゲルが加えられ得る。ヒドロゲルは、フラスコ、バッグ、またはCFC容器に入れられ得る。
−足場依存性細胞が培養される任意の用途では、マイクロキャリアビーズが使用され得る。
【0144】
細胞増殖に使用される表面は、また、他のプロセスステップ用の容器でも使用され得る(例えば、活性化ステップも、中空線維またはマイクロキャリアビーズを使用して起こり得る)ことに留意されたい。
【0145】
洗浄、濃縮、製剤化
本方法は、細胞を洗浄する、および/または、細胞を濃縮する、1つまたは複数のステップを含み得る。これらは、既知の手順に従って想定され得る。非限定的に、実施例3はこれらのステップのいくつかを特定する。
【0146】
細胞の洗浄に想定される典型的な緩衝液としては、限定するわけではないが、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)またはハンクス平衡塩類溶液(HBSS)が挙げられる。
【0147】
濃縮ステップは、典型的には、体積を減らすために実行され、細胞をサンプル中に保持しながら、流体の選択的移動を必要する。濃縮ステップは、プロセスの全てにわたって実行され得るが、最も典型的には、濃縮ステップは、プロセスの終わり、製剤化の前に想定される。細胞を濃縮する(または、サンプル体積を減らす)ために使用され得る適切な技術としては、限定するわけではないが、向流遠心分離(CFC)、中空線維フィルタ(HFF)、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)、音響技術が挙げられる。
【0148】
本方法の最終結果は、典型的には、適切に製剤化される細胞数の増殖であろう。製剤化が、患者への直接投与(典型的には、直接注射または直接点滴)のためである場合、新規の生成物は、典型的には、食塩緩衝液および血清を含む適切な培地において、当技術分野で詳述されるように、製剤化されよう。「直接投与」は、本明細書で使用する場合、生成物が、典型的には、24時間以内に投与され(つまり、長期保存も安定化剤の付加も必要ではない)、生成物が投与前に凍結されることはないことを指す。生成物が、細胞処理装置から即時に患者に取り込まれることを必ずしも含意しない。
【0149】
細胞の製剤化が、保存のためである場合、特に低温保存のために、典型的には、保存溶液が使用されるか、または製剤に加えられる。製剤化が、凍結保存のためになされる場合、典型的には、DMSOまたはグリセロールなどの凍結防止剤が細胞に加えられる。凍結保存のための製剤化は当技術分野で周知であり、トレハロース、デキストラン、エチレングリコール、プロピレングリコール等も含んでよい。
【0150】
QCテスト
処理細胞を製造する全ての方法ステップ(細胞サンプルの提供から細胞修飾を経て保存または直接投与ために細胞を製剤化するまで)に加え、本方法は、さらに、プロセスの異なるステージで品質管理のためのステップを含み得る。他のステップと同様に、QCサンプリングおよびQCテストは、完全に閉鎖システムにおいて自動的になされる。例示的な細胞処理方法(ここでは、T細胞レトロウイルス形質導入法)での異なるQCサンプリングステップについての図式的概略を図9で提供する。
【0151】
本明細書に記載する細胞処理方法に組み込むことが可能なQC法ステップは、例えば、顕微鏡、蛍光、トリパンブルー、もしくはフローサイトメトリーによる細胞計数および生存率のモニタリング;フローサイトメトリーもしくは他の方法による細胞の同一性、純度、もしくは均質性のモニタリング;エンドトキシンの検出(例えば、LALテストによる);安全性のモニタリング(例えば、ウイルスコピー数(VCN)のPCRおよび/もしくは複製可能レトロウイルスの検出(RCRテスト)による);マイコプラズマ検出(例えば、PCRもしくはGram染色による);力価のモニタリング(例えば、細胞株との共生培養による)を含み得る。
【0152】
本発明はいくつかの問題に対処する。まず、本明細書に記載するシステムでは、細胞療法薬を製造する機械の高い資本コストが、CPMを統合して、CPS内の高価なコンポーネントの共有および再使用を可能にするという利点でシステムコストを削減することにより対処される。
【0153】
CPSにおける多数のCPMが共通設備を共有することには、また、多数の患者サンプルを処理するのに必要な機械の占有面積を減らすことにおいても利点がある。クリーンルームの床面積は、斯かる面積を取得し、使用開始し、操作する際の費用により限定されやすく、そのため、この環境における床面積の必要性の低減は、設備コストの節減につながる。
【0154】
さらに、閉鎖滅菌システムを提供することにより、細胞製造を、指定のクリーンルームではなく機密扱いではない環境で実行することが可能になる。したがって、本装置は、異なる細胞処理ステップを1つの装置に組み込むことにより、よりコンパクトである(そのため、必要な空間が少ない)だけではなく、空間の性格に依存することが少ない。本発明の装置では、ラミナーフローカップボードおよび個人用防護具などの、制御無菌状態の必要がないまたは最小限である。これは、これらの高価な資源の必要性およびメンテナンスを無くす。これは、また、無菌状態での作動に必要な技法および装備に精通している必要があったオペレータの訓練の強化の必要性を低減させるか、または無くす。
【0155】
装備のサイズおよびコストの低減、ならびに、クリーンルーム空間の必要性の低減または排除は、本発明のシステムを、例えば、病院において、患者の近くに置くことを容易にする。この患者と製造場所が近接していることは、製造場所までの患者材料のトレーサビリティに起因する過失の可能性を低減させる。トレーサビリティの管理は、単一の場所ではより容易に達成され得る(例えば、サンプルの収集から、療法薬が患者に戻される後までのトレーサビリティが維持されるように、患者のリストバンドのIDと合致する使い捨てカートリッジのIDを使用して)。これは、従来のシステムにおける、ロジスティクスの失敗に典型的に関連する、情報の授受に関連するリスクを低減させるか、または無くす。
【0156】
患者とサンプル処理の場所が近接していることのさらなる利点は、以下に要約され得る:
−製造場所への輸送時の、温度管理を含む、患者材料の面倒なロジスティクスの減少;
−患者材料を製造場所へ輸送するコストの節減。患者材料の輸送は、患者材料収集標準操作手順(SOP)で実行され得る。これは、輸送を手配する第3者のコストがなくなることを意味する。また、これにより、追加の潜在的な過失/不正表示の要因が回避される。
【0157】
本発明のシステムにより対処されるさらなる問題は、手動プロセスにおけるオペレータの過失に起因する、不注意な患者材料の破壊または紛失の減少または回避である。装置内の製造プロセスは、自動化されて、オペレータの介入と、複雑で巧みな手動操作の必要をなくす。オペレータの干渉が、プロセスの全自動化により最小限まで減らされることにより、オペレータの過失例を減少させる。
【0158】
同様に、システムのプロセスの最適化は、自動化システムにより実行される、in situでのリアルタイム測定(例えば、細胞計数など)およびテスト(例えば、力価など)により達成され得る。斯かる解析の結果は、そのサンプルについて懸案中の製造決定事項に直接送られ得る(つまり、より長い間増殖される)。これには、オペレータの干渉が、プロセスの全自動化により最小限まで減らされることにより、オペレータの過失例を減少させるという利点がある。
【0159】
従来の実験状況におけるオープン処理により引き起こされる汚染に起因した患者材料の紛失は、自動化システムによりテストされる、完全体であり得るFC内の「機能的に閉鎖された」滅菌または無菌処理環境を提供することにより、本発明により対処される。こうして、汚染リスクは本質的になくなる。
【0160】
さらに、自動化品質管理と生成物解析の統合は、実験室ベースの解析を使用する高いコスト、および、サンプルを手動で取り扱うことにより生じるオペレータの過失の可能性という短所に対処する。
【0161】
給与コスト、訓練コスト、資質訓練を実証するコストを含む、専門のオペレータが複雑な手動作業を行う必要に起因するコストも、最適化された自動化システムが、プロセスの複雑な作業を担うことにより、対処される。この自動化アプローチは、熟練のオペレータおよびそれに関連する訓練コストの必要を否定する。理想的には、CPSは、最大にユーザーフレンドリーであるように設計され、ユーザーインターフェースディスプレイに表示されるメッセージは、理解するために専門のオペレータを必要としない。装置の場所における専門オペレータの必要性は、さらに、装置の製造業者または供給者が補助する(例えば、病院が技術者を雇用するのではなく)ことができるように、潜在的過失のメッセージを製造業者または供給者に送ることによりさらに減少させることが可能である。
【0162】
最終的に、本発明のシステムは、患者サンプルの独立並列処理を提供するという柔軟性において、非常な利点をもたらす。各CPMは、必要に応じて、個別に調製され、CPSに搭載され得る。これは、システムの操作状態または同じ機械の近くのCPMにおいて、先行して処理され始めていた任意のサンプルの状態を考慮することなく、行うことができる。システムは、資源を、CPMがそれを必要とする際に、各CPMにそのまま配分する。細胞処理全てではなくとも、大部分が各CPM内の個々のFC内で実行されることが想定されることから、共有資源を待つことに起因する遅延リスクは低減され、機械のランタイム効率は高レベルで維持される。これは、細胞処理のスループットが不規則である環境、例えば、患者サンプルが患者の必要のタイミングに応じて移動され、さらに、効率的で迅速な細胞処理の所要時間が、患者のケアの最適化に必要である臨床環境において、著しい利点となる。効率的なサンプル処理、最小限の必要空間、および、上記で概略した他のコスト利点は、療法用品の低コスト化に全体的な利益をもたらす。
【実施例】
【0163】
実施形態1:本発明による細胞処理システム
図1に最良に示されるように、本発明の細胞処理装置100の実施形態は、1つまたは複数の細胞処理モジュール102と統合した、細胞処理ステーション101を含む。図2aには、製造設備の周りを旋回して、試薬およびプロセスに必要な他の品目を集めるか、または、患者からサンプルを収集することができるようにトロリーに乗せられた細胞処理モジュール102を有する、細胞処理装置100の一実施形態を示す。この実施形態では、流体カートリッジ103の重さは15kgであると想定し、試薬パックの重さは40kgであると想定する。
【0164】
細胞処理モジュールをトロリーに乗せることにより、収集に必要な手作業と、手で安全にまたは楽に運ぶには大きすぎるまたは重すぎる使い捨てコンポーネントの搭載に対する解決策を提供する。トロリーは、細胞処理モジュール102の種々のコンポーネントに正確かつ特異的に接続するように設計し、コンポーネントを予め互いに接続してから、細胞処理ステーション101に搭載することを可能にする。このようにして、オペレータは、プロセスに必要な種々のコンポーネントをそれぞれの保管設備から集め、一方で、それらをトロリーに搭載し、同時にそれらを互いに接続することが可能である。いったん全てのコンポーネントをトロリーに搭載したら、オペレータは、トロリーを、細胞処理ステーションをトロリーおよび細胞処理モジュールと接続する場所であるトロリードックに誘導する。
【0165】
トロリーは、トロリーと細胞処理ステーション101をドッキングさせた際に、細胞処理モジュール102と細胞処理ステーションインターフェースの位置揃えが正しいように、細胞処理モジュール102を正確な場所で保持する設置フィーチャを備えた、金属構造により作られた剛性構造を有する。トロリーと細胞処理ステーション101のドッキングは、バンパーを使用した適切な誘導により、まず達成される(図示せず)。いったんトロリーが係合したら、細胞処理モジュール102と係合する線形ガイド(図示せず)があり;これらのガイドは、最終的に、細胞処理モジュール102の細胞処理ステーション101に対する正確な位置合わせを担う。この位置合わせは、使い捨て物質を関節天秤で支え、細胞処理モジュール102を上下させて、ドッキング中にオペレータに抵抗を与えることなく最終的な位置合わせを達成可能にすることにより、可能になる。関節と物質の平衡は、細胞処理モジュール102が安全な方法で確実に輸送されるようにするために、トロリーのドッキング前は静止している。いったんトロリーの最前部が細胞処理ステーション101と係合したら、物質平衡ロックが解かれ、細胞処理モジュール102は位置合わせレールにより最終的に位置付けられ得る。
【0166】
集約されたユーザーインターフェース105を有する細胞処理ステーション101を示す。
【0167】
細胞処理モジュール102は、流体カートリッジ103と試薬パック104を含む。組み立て形態の典型的な細胞処理モジュールを図3に示す。試薬パック104は、流体カートリッジ103の上部に置かれる。試薬を設置した際に、滅菌流体接続が、試薬パック104と流体カートリッジ103の間に設けられる。
【0168】
図4は、分解形態の細胞処理モジュール102を示す。バルク試薬は、試薬パック104を共に形成するいくつかのボックス202内のバッグ200に貯蔵される。ボックス202は、外殻として機能し、空のまたは予め充填されたバッグが搭載されており、ボックスは次に、システムアプリケーションのオペレータが並はずれた力またはツールを使用しなければ容易には開けられないいくつかの機械的手段により、製造プロセスの一部として閉鎖される。ボックス202は、また、バッグ200に対する流体の入口およびまたは出口用の接続点を配置および支持する手段を提供する。ボックス202の別の機能は、配置手段を提供すること(これは、FCに対するRPの接続プロセスのためである)、または、単に、RPを大量貯蔵と輸送のために積み重ねを可能にすることである。ボックスの構造は、折りたたみ式プラスチック構造でもよいし、第2のまたは蝶番付きの蓋と共に完全に成型されていてもよい。ボックスは、気密シールを提供してはならない。これは、気密シールが、流体がバッグの外に出ることを妨げるためである。別個のユニットに分割された試薬パック104は、試薬の貯蔵に対応し、手作業のしやすさを高める。
【0169】
中空線維フィルタ204は、流体回路層206に入れられている。流体回路層206は、底部のシリコン膜210およびポリカーボネート(PC)キャッピングフィルム212で封止された、2つの成型品208、208’を含む。出力(cryo)バッグ213は、流体回路層206の一部であり、プロセスの終わりに取り外される。QCおよびIPCサンプル214は、プロセス中は保管され、オフラインテストが必要な場合に外部からアクセス可能である。
【0170】
3つのシリコン膜をベースとする容器を含む増殖チャンバ216を、形質導入容器218、活性化容器220、ならびに、撹拌インペラ224および多数のサイフォンチューブ226を含む混合容器222と共に、示す。サイフォンチューブ226は、材料を加え、取り出すために、また、より良好な細胞回収のためにチャンバをすすぐためにも使用される。
【0171】
下部桶228は、流体カートリッジ103の外殻を形成する。
【0172】
図5は、増殖チャンバ216、形質導入容器218、および活性化容器220を含む、流体カートリッジ103の培養容器のレイアウトを示す。活性容器220と形質導入容器218の構造は、上部と底部にFEPフィルムを接着したフレームを使用する。容器220、218は積み重ねられて、プロセスに応じた必要領域を達成し、これを増やすまたは減らす必要がある場合は、設計の自由度をもたらす。増殖チャンバ216の構造は、シリコンフィルムが接着された上部と底部を使用する。設計は、膜をまたいだ良好な交換を可能にする、気体Gの階層間の通過を可能にする。
【0173】
実施例2:本発明の装置におけるプロセスワークフローの詳細な説明
本発明の特定の実施形態では、図7および8に示すプロセスフローに従って作動する、細胞処理装置100が提供される。
【0174】
ヒトまたは動物対象から得た細胞材料を含むサンプル20を、入手する。サンプルは、当技術分野で既知であるアフェレーシス技法により得ることができる。サンプル20を、サンプル20に含まれる特定の細胞型の選択および単離を可能にする一連のプロセスステップと、所望の出力細胞生成物90を生成するためにその材料の適切な処理とを含む、ワークフロー10に導入する。
【0175】
一実施形態では、アフェレーシス細胞サンプル材料20を、ワークフロー10に導入する。材料は、細胞材料が、所望の細胞サブタイプ―例えば、T細胞を特定するために分別または処理される、選択ステップ30を進む。単離された細胞材料のサブタイプは、所望の細胞サブタイプが、該細胞タイプに適切である場合に活性化され得る、任意選択的な活性化ステップ40に進む。細胞材料は、1つもしくは複数の増殖因子への暴露、および/または、1つまたは複数の組換えベクターを用いた細胞材料の形質導入が起こり得る、形質導入ステップ50にかけられる。結果として生じる細胞材料は、細胞の継代培養および所望の処理細胞材料の増殖の促進を可能にする増殖ステップ60に進められる。所望の増殖に対する所定の閾値ベンチマークに達すると同時に、細胞は、該細胞が処理されて最終細胞生成物90をもたらす、製剤化ステップ70に移される。製剤化79は、細胞材料の濃縮、保存溶液との組み合わせ、および必要な場合は凍結保存を含み得る。プロセス10の全てにわたって、フィードバック制御と統合され、前記プロセスステップそれぞれにおいてフィードバック制御を実行することが可能な解析ステップ80により、品質管理およびプロセスパラメータのモニタリングが行われる。
【0176】
本発明の一実施形態において、プロセス10は、細胞処理装置100内で実行される。装置100は、プロセス10の実行に適切なシステムの形成に共に寄与する、多数の試薬を含み、それらを組み込む試薬パック104と、液体の取扱い装置および処理装置を組み込んだ流体カートリッジ103とを含む、細胞処理モジュール101を含む。つまり、細胞処理モジュール101は、いったん組み立てられたら、入力ポートと出力ポートを除いて外部環境に対し閉鎖され、手順の全てにわたって細胞材料の汚染リスクを最小限に、細胞材料の同一性の完全性のレベルを高くして細胞処理が実行されることを可能にする、携帯型システムを定義する。
【0177】
細胞処理モジュール101内で、対象、適切には患者に由来する細胞材料は、入力容器125を介して流体カートリッジ103に導入される。典型的には、入力容器125は、アフェレーシス手順の生成物を保持するように構成され、適切な生体適合性ポリマー材料を含むバッグまたはパウチを含む。入力容器125の体積は異なり得るが、少なくとも50mL〜最大3000mLの範囲である可能性があり、ただし、ほとんどのアフェレーシス手順では、体積は、典型的には100〜300mLの間で変化し、容器125は、従って、この範囲の体積の、液体またはゲル状のアフェレーシス細胞材料を収容する。入力容器125は、滅菌チューブ溶接機を使用して作られた流体接続により流体カートリッジ103に係合し、ここで、容器125からのチューブが、流体カートリッジ103から突き出た入力チューブに接合し得る。代わりの接続手段が、機械式滅菌流体コネクタを使用して作製され得、容器125は、サードパーティのチューブセットから入手され得るため、かみ合うコネクタが、それが流体カートリッジ103に接続される前に装着される必要がある。細胞材料は、弁126の作動により流体カートリッジ103に導入され、弁は、次に、細胞材料の流れを、流体カートリッジ103に位置する投薬チャンバ127に誘導する。システムの全てにわたって、流体の流れは、外圧、機械式ポンプ(蠕動ポンプを含む)、または、毛管流を適切に適用することにより作動させることができる。
【0178】
試薬パック104内では、複数の試薬容器110により、プロセス10を実行するのに必要なある範囲の試薬を提供する。試薬容器110は、適切には、細胞培養、活性化、および増殖の種々の段階用の適切な増殖培地;溶解薬(例えば、塩化アンモニウム);成長因子;栄養分;ウイルスベクターを含む遺伝子導入試薬;ならびに保存液を含む。試薬容器110は、流体カートリッジ103内に位置する処理チャンバ140との流体連通において維持される。試薬は、試薬容器110の何れか1つより、個別に作動する供給ライン111を介して処理チャンバ140に導入され得る。各試薬に対して適切に、供給ライン111は、さらに、介入混合チャンバ112と投薬容器113とを含み得る。こうして、試薬容器110内で濃縮形態、凍結乾燥形態、または別の保存形態で保たれている試薬は、適切に、予め定義された標準濃度に再構成されるか、または、許容可能な剤形に組み合わされてから、処理チャンバ140に導入され得る。処理チャンバ140は、任意選択的に、平坦なステージまたはゾーン内に物理的に含まれる。平坦ステージは、互いに、かつ、重要なことに処理チャンバ140とも流体連通している、種々の補足細胞処理システムを含み得る。
【0179】
処理チャンバ140は、細胞材料と試薬を含む溶液の十分な混合を保証するため、十分な体積を定義する。さらに、処理チャンバ140は、磁性インペラまたは他の回転機械式ミキサーを含み得る、混合装置を含む。
【0180】
投薬チャンバ127に含まれる細胞材料は、処理チャンバ140に導入され得、そこで、細胞材料は、プロセス10の最初の選択ステップ30のために保持される。細胞材料(アフェレーシス手順に由来する)内に含まれる不所望の赤血球を溶解させるために、塩化アンモニウムが試薬容器110から処理チャンバ140に導入されて、約0.8%の濃度を達成する。混合およびインキュベーションに続き、処理された細胞材料は、処理チャンバ140から、流体カートリッジ103内に位置する一連のタンジェンシャルフロー濾過回路170の1つ目にポンプでくみ上げられる。適切には、タンジェンシャルフロー濾過回路は、細胞濃縮水を、廃棄物容器197に行く不所望の余分な溶液体積、試薬、および溶解細胞材料から分離することを可能にする、中空線維フィルタを含む。プロセス10の任意の箇所で、廃棄物容器197に集められた廃棄物は、封止された廃棄物貯蔵チャンバ198に放出され得る。濃縮水流内に含まれる細胞材料は、定義された体積の培地が試薬容器110に導入されている処理チャンバ140に戻される。処理チャンバ140内に含まれる濃縮水−培地混合物は、濾過回路170に1回以上再循環され得、続いて、追加の培地で洗浄して、不所望の試薬または選択ステップ30による廃棄材料が確実に除去されるようにする。選択ステップ30の生成物は、処理チャンバ140に戻される。
【0181】
プロセス10の任意の箇所で、ただし、典型的には定義した処理ステップの終わりまたは始まりに、制御体積、つまり一定分量の処理細胞材料は吸引され、処理チャンバ140と解析モジュール190の間の流体連通を維持する解析供給ライン191を介して解析モジュール190に移動し得る。制御体積の処理細胞材料は、供給ライン191を通って解析モジュール190に行き、そこで、投薬容器192内に保持され得る。プロセスにおいて、細胞計数が、細胞カウンター193によって、投薬容器192に含まれる体積に対して行われ得る。細胞カウンター193は、装置100(図示せず)内に含まれるCPUと電子的に通信している。解析ステップ80の結果は、全体として、プロセス10内の決定事項を通知する。つまり、インプロセス細胞計数の結果は、細胞濃度を制御するために、追加の培地が試薬容器110から処理チャンバに140に導入されるか否かを決定し得る。あるいは、この段階またはプロセス10の任意の段階で失敗がある場合、プロセスは中止される場合もあるし、装置100のオペレータが注意喚起される場合もある。
【0182】
本発明の実施形態のT細胞生成の自動化プロセスにおける、品質管理と解析のためのプロセスフローの非限定的例を図9に提供する。
【0183】
活性化ステップ40を開始するため、細胞培地は、試薬混合チャンバ112において、試薬容器110内に含まれる凍結乾燥サイトカインと組み合わせられ得る。再構成サイトカイン溶液の制御投与量が、供給ライン111を介して、処理チャンバ140に移され、そこで、選択ステップ30の細胞生成物と組み合わされ、混ぜられて、活性化細胞製剤を生成する。活性化細胞製剤の一連の制御投与量は、供給ライン141を介して、複数の活性化表面141に順次移される。活性化表面は、細胞吸着とガス透過を容易にする水平表面を含む、軟性または剛性の製造容器である。活性化表面151は、個別に充填され、流体回路により空にされ得る、1つまたは複数の個別コンパートメントである。活性化表面151は、処理チャンバ140を含む平坦処理ゾーンから分離した、流体カートリッジ103内の別個のコンパートメント150内に含まれる。活性化表面151の分離により、活性化ステップ40が完了するために必要であり得る、増殖期間、つまり、インキュベーションの環境条件を独立して制御することが可能になる。任意の過剰な活性化細胞製剤は、廃棄物容器197に排出され、上記のように処分され得る。処理チャンバ140から活性化細胞製剤が排出された後、チャンバは、試薬容器110からの追加の培地でパージされ、結果として生じる廃棄物も廃棄物容器197に送られる。
【0184】
活性化ステップ40が完了するとすぐ、活性化細胞は、活性化細胞生成物が活性化表面151各々から供給ライン141を通って処理チャンバ140に戻されることにより、収集される。組み合わされた活性化細胞生成物は、均質性を確保するために、処理チャンバ140内で混ぜられる。次に、活性化細胞生成物は、処理チャンバ140から第2タンジェンシャルフロー濾過回路170’にポンプでくみ上げられ、それにより細胞濃縮水の濃縮および不所望の使用済み培地の廃棄物容器197への除去を容易にする。濃縮された活性化細胞生成物は、処理チャンバ140に戻される。制御体積の濃縮活性化細胞生成物が吸引され、上記のように、解析モジュール190内のインプロセス細胞計数にかけられる。インプロセス細胞計数の結果は、細胞濃度を制御するために、追加の培地が試薬容器110から処理チャンバに140に導入されるか否かを決定し得る。
【0185】
形質導入ステップ50の開始は、制御投与量のウイルスベクターが、試薬パック104内の試薬容器110から、供給ライン111を介して処理チャンバ140に移された際に起こり、そこで、ウイルスベクターは、活性化ステップ40の細胞生成物と組み合わされ、混ぜられて、形質導入細胞製剤を生成する。形質導入細胞製剤の一連の制御投与量が、供給ライン141を介して、複数の形質導入表面152に順次移される。形質導入表面152は、ガス透過をもたらす水平表面を含む、軟性または剛性の製造容器である。形質導入は下方の表面で起こり、ここでは、細胞吸着に最適化された表面が必要というわけではないが、本発明の記載から除外されるわけでもない。形質導入表面152は、個別に充填され、流体回路により空にされ得る、1つまたは複数の積み重ね可能な個別コンパートメントである。形質導入表面152も、平坦処理ゾーンから分離した、流体カートリッジ103内のコンパートメント150内に含まれる。任意の過剰な形質導入細胞製剤は、廃棄物容器197に排出され、上記のように処分され得る。処理チャンバ140から形質導入細胞製剤が排出された後、チャンバは、試薬容器110からの追加の培地でパージされ、結果として生じる廃棄物も廃棄物容器197に送られる。
【0186】
形質導入ステップ50が完了するとすぐ、形質導入細胞は、形質導入細胞生成物が形質導入表面152各々から供給ライン141を通って処理チャンバ140に戻されることにより、収集される。組み合わされた形質導入細胞生成物は、均質性を確保するために、処理チャンバ140内で混ぜられる。次に、形質導入細胞生成物が、処理チャンバ140から第3タンジェンシャルフロー濾過回路170’’にポンプでくみ上げられ、それにより、細胞濃縮水の濃縮および不所望の使用済み培地の廃棄物容器197への除去を容易にする。濃縮された形質導入細胞生成物は、処理チャンバ140に戻される。制御体積の濃縮形質導入細胞生成物が吸引され、上記のように、解析モジュール190内のインプロセス細胞計数にかけられる。インプロセス細胞計数の結果は、濃縮形質導入細胞生成物内の細胞濃度を制御するために、追加の培地が試薬容器110から処理チャンバに140に導入されるか否かを決定し得る。
【0187】
増殖ステップ60の開始は、細胞培地が、試薬混合チャンバ112の試薬容器110内に含まれる凍結乾燥成長因子と適切なシグナル伝達/増殖促進分子と組み合わされて、増殖細胞培地が生成された際に起きる。制御投与量の増殖細胞培地が、供給ライン111を介して、プロセスチャンバ140に移され、そこで、増殖細胞培地は、形質導入ステップ50の細胞生成物と組み合わされ、混ぜられて、細胞増殖製剤を生成する。細胞増殖製剤の一連の制御投与量は、供給ライン141を介して、複数の増殖表面153に順次移される。増殖表面153も、平坦処理ゾーンから分離した、流体カートリッジ103内の別個のコンパートメント150内に含まれる。過剰な増殖細胞製剤は、破棄物容器197に排出され、上記のように処分され得る。処理チャンバ140から増殖細胞製剤が排出された後、チャンバは、試薬容器110からの追加の培地でパージされ、結果として生じる廃棄物も廃棄物容器197に送られる。
【0188】
増殖ステップ60が完了するとすぐ、増殖細胞は、細胞生成物が増殖表面153各々から製剤供給ライン142を通って製剤化チャンバ195に移されることにより、収集される。組み合わされた細胞生成物は、均質性を確保するために、製剤化チャンバ140内で混ぜられる。次に、活性化細胞生成物が、処理チャンバ140からタンジェンシャルフロー濾過回路170にポンプでくみ上げられることにより、濃縮水内の細胞生成物製剤の濃縮および不所望の使用済み培地の廃棄物容器197への除去を容易にする。濃縮された細胞生成物製剤は、製剤化チャンバ195に戻される。制御体積の濃縮細胞生成物が吸引され、上記のように、解析モジュール190内のインプロセス細胞計数にかけられる。インプロセス細胞計数の結果は、品質管理と、保存または対象への投与のための細胞生成物90の最終製剤の調整に必要なパラメータを決定し得る。適切な製剤溶液と、限定するわけではないが、ヒト血清アルブミン、CryoStor(商標)溶液、および抗体などの試薬が、所望の最終細胞生成物90を生成するために、試薬容器110から製剤化チャンバ195に導入される。細胞生成物90は、製剤化チャンバ195から、生成物出力ライン143を介して、1つまたは複数の滅菌細胞生成物出力容器196に移される。
【0189】
本発明の一実施形態では、プロセス10は、増殖ステップ60の後で、細胞の周期的収集ステップを含み得る。例えば、細胞増殖をモニタリングするか、または、装置100内で実行される細胞培養プロセスの性質に応じて異なる時点で収集することが必要であり得る。こうした場合、細胞を、同時ではなく、バッチの1つまたは複数の増殖表面153から周期的に収集することが可能である。
【0190】
本発明のさらなる実施形態では、プロセス10は、増殖ステップ60の後で、細胞の周期的収集ステップを含み得るが、その場合、細胞が1つまたは複数の増殖表面153から細胞処理チャンバ140に戻され、その結果、解析80および増殖60の追加プロセスステップが起き得る。例えば、培養下の細胞型に応じて、増殖ステップ60の間での細胞増殖が予想より遅い場合、使用済みの増殖培地を取り換えるまたは補充する必要がある場合がある。つまり、典型的には、カートリッジ101は、プロセス10に組み込まれている濾過および濃縮ステップの反復を可能にするように、処理チャンバ140と流体連通した追加の濾過回路170を含む。これらの追加ステップは、オペレータにより、または、解析ステップ80の何れか1つの間で集められたデータに応じて自動的に所望され得る、つまり、装置100内で不必要な余剰を作成するのではなく、追加の処理、試薬、および解析機能を含めることにより、可変の量および質の種々の開始材料を取り扱うことが可能であるように、装置100の柔軟性を高めることが可能である。
【0191】
実施例3:細胞療法で使用するためのCAR−T細胞を生成するための自動化プロセスと手動プロセスの比較
概要
自動化細胞処理の可能性を評価するため、明細書に従う細胞処理装置の試作機を組み立て、Celyadでテストした。CAR−T細胞を生成するために装置を最適化し、プログラミングした。細胞処理装置の性能を評価するため、手動プロセスを並列し実行し、生成細胞の異なる基準を比較した。以下で詳述するように、自動化製造プロセスは、CAR−T細胞の生成について首尾よくテストされ、キメラ抗原の増殖および力価を含め、手動プロセスとほぼ同等の品質パラメータを達成した。自動化プロセスは、より高い細胞回収率(0日目−2日目)およびより高い細胞増殖(2日目−8日目)をもたらすようである。想定されるさらなる改善は、細胞洗浄および濃縮ステップを最適化して、タンジェンシャルフロー処理後のより高い細胞回収率を保証することである。
【0192】
序論
一般的なキメラ抗原受容体T細胞(CAR−T)製造プロセスは、以下のステップからなる:
−単核細胞の富化
−T細胞の活性化
−T細胞の形質導入
−T細胞の増殖
−T細胞の製剤化
【0193】
典型的には、これらのステップは、特定の試薬または容器を使用して行われる。臨床プロトコルのある例(例えば、NKR−2を用いた治療用遺伝子療法(THINK)治験で使用される)は、単核細胞の富化用のFicoll、T細胞活性化ステップ用のフラスコ、T細胞形質導入ステップ用のバッグ、T細胞増殖用のガス透過性迅速細胞増殖装置(GREX(商標)、Wilson Wolf(登録商標)、ミネソタ州セントポール)を使用し、T細胞製剤化は、通常の遠心機を使用して、緩衝液交換によりなされる。
【0194】
斯かる製造プロセスを自動化するため、細胞処理装置試作機は、類似の単回使用使い捨て品に依拠した。
【0195】
プロセス概要
即時細胞処理装置試作機(CDP)は、操作制御用のタッチスクリーンインターフェースを有する、自動化流体取扱いシステムである。CDPは、蠕動ポンプ、弁、および処理バッグ用のバッグミキサーからなる。CDPは、また、圧力および流体センサも含む。流体の動きは、CPSのコンピュータ制御システムにより管理され、CPSは、ポンプと弁を同期させて、指定の作業を達成する。参照しやすいように、細胞処理ステーション(CPS)は、コンピュータ制御システムと、タッチスクリーンインターフェースを含む一方、細胞処理モジュール(CPM)は、ポンプ、弁、およびバッグミキサーを含む。処理バッグは、流体カートリッジの一部である。1つのCPMだけを、この比較テストのために使用した。CPMにさらに含まれるのは、試薬パックであり、異なるプロセスステップ用の使い捨て品を含む。ここで、4つの異なる単回使用使い捨てセットを作って、必要な製造ステップ全てを実行した:1つは単核細胞富化とT細胞活性化用、1つはT細胞形質導入用、1つはT細胞増殖用、1つはT細胞製剤化用とした。
【0196】
各使い捨てセットは、以下の接続を可能とする、入口/出口ラインを含む:
−試薬および/または細胞を含んだバッグ(試薬パックの一部)
−細胞培養容器(バッグまたはGREX(商標))(流体カートリッジの一部)
【0197】
全ての接続を、滅菌溶接技術を使用して実行することにより、システムの機能的閉鎖性を維持する。
【0198】
全ての緩衝液交換プロセス(細胞洗浄、細胞濃縮、および試薬交換)を、中空線維フィルタを使用するタンジェンシャルフロー濾過手順に依拠して行った。総体積交換は、プロセス中は細胞体積の3倍、収集中の最終洗浄時は6倍に固定した。
【0199】
各製造ステップにおいて、細胞(プロセスの開始時にアフェレーシス生成物として提供されるか、または、プロセス中にインプロセス培養細胞として提供される)は、細胞容器(入口)から細胞処理バッグに自動的に移される。培養細胞に対し、細胞容器から細胞処理バッグへの接続は、一連の90°チューブエルボーを含み、連続チューブ径が変化する。この特定の設計は、細胞処理バッグの前に細胞凝集塊を破壊し(斯かるチューブを通る細胞の流れは、ヒトの介入なしに、そっと上下にピペッティングして細胞凝集塊を破壊するのと同じ効果を達成する)、単一細胞からなるサンプルを得ることを補助する。
【0200】
細胞処理バッグは、システムの機能的閉鎖性を損なうことなく、計数、生存率、および他の特徴をテストするための細胞収集を可能にする、3つのサンプリングバルブを備える。バッグミキサーは、処理バッグにおける細胞濃度均一化を保証する。処理バッグは、プロセス中の体積モニタリングを可能にする目盛りに接続されている。参照しやすいように、サンプリングバルブおよび目盛りは、in situ測定およびテストに使用されるシステムの例である。
【0201】
細胞計数、下流の容器の数およびサイズに基づき(CPSへの入力)、装置は、正しい緩衝液中で、正しい濃度で細胞を自動的に製剤化し、適切な細胞播種を行うことが可能である。試作機では、処理バッグに加え、CPMで使用される流体カートリッジは、予め必要な時間の間に細胞の培養を可能にする、異なる性質のいくつかの容器を含んだ。以下の表は、各ステップで使用した容器を表す。これらの容器は、適切な使い捨てセットに滅菌接続されている。
【0202】
【表1】

テーブル3.1 細胞処理装置試作機により各ステップで使用される流体カートリッジ容器
【0203】
播種された培養容器は、37℃で、5%COで維持した。
【0204】
実験プロトコルおよび結果
開始材料および活性化(0日目−2日目)
健康なドナーから収集した白血球アフェレーシス生成物を室温で保存し、収集から48時間以内に処理した。製造プロセスは、以下のように、白血球アフェレーシス生成物をNHCl(RBC溶解緩衝液)で処理することによる、活性化用細胞の生成で始まる:
【0205】
0日目
アーム1−CDP
−40mLの白血球アフェレーシス生成物を、細胞処理バッグに移した;
−選択した体積の白血球アフェレーシスを、NHCl(赤血球溶解緩衝液)3体積に混ぜた;
−室温で9分後、RTの320mLのHBSSを加えることにより溶解反応を停止させた。タンジェンシャルフローをベースにした、中空線維フィルタ(HFF)を使用する戦略を用いて、緩衝液交換を行い、細胞を計数のためにX−Vivo(商標)に再懸濁した;
−次に、細胞を、活性化緩衝液中で製剤化し、4つのAC197 VueLife(商標)バッグ(Saint Gobain(登録商標))に、全部で197mL/バッグに対し、1M細胞/mLで播種した。
【0206】
アーム2−手動
−35mLの白血球アフェレーシス生成物を、細胞処理バッグに移した;
−選択体積の白血球アフェレーシスを、NHCl(赤血球溶解緩衝液)3体積に混ぜた;
−室温で5分後、RTのHBSS8X体積を加えることにより、溶解ステップを停止させた;
−200gで10分間遠心分離(このステップは、血小板の除去を助ける);
−上清を取り除き、細胞計数のために細胞をX−Vivo(商標)に再懸濁した。
−次に、細胞を、活性化緩衝液中で製剤化し、6つのT175フラスコに、全部で92mL/フラスコに対し、1M細胞/mLで播種した。
【0207】
活性化緩衝液は、5%ヒトAb血清プラス2mMのL−グルタミンを補充したX−Vivo(商標)−15培地(完全X−Vivo(商標)培地)中に、40ng/mLの可溶性抗ヒトCD3 mAbs(OKT3クローン)と、100U/MLのIL−2とを含む。活性化ステップは2日間続く。
【0208】
テーブル3.2は、NHClを用いた細胞操作を要約する。アーム1(CDP)でのNHCl後の細胞回収率は、手動プロセスよりも10%高かった(77%対68%)。
【0209】
テーブル3.3は、活性化/容器タイプ(および使用した容器の数)で播種した総細胞と、活性化プロセスの終わりの収集細胞、および活性化ステップ後の細胞回収率について要約する。収集率は、CDPにおいて13%高かった(57%対44%)。
【0210】
【表2】

テーブル3.2 異なるアームでのNH4Clを用いた細胞操作についての要約
【0211】
【表3】

テーブル3.3 異なるアームでの細胞活性化についての要約
【0212】
形質導入(2日目−4日目)
2日目
形質導入では、活性化細胞を、両アームにおいて、PL240バッグ内で、レトロウイルスベクターを用いて形質導入した。レトロウイルス構築物として、B7−H6対して作られたCAR−Tを使用した(国際公開第2013169691号に記載されている)。
【0213】
第2手動対照アームを、CDPにおいて活性化した細胞から始めて2日目に生成した:これは、CDPに駆動される活性化の影響を評価するためである。これを、アーム3という。
【0214】
プロトコルは以下に記載する通りである:
【0215】
形質導入を、RetroNectin(登録商標)で予めコーティングしたバッグを用いて行った。
【0216】
8μg/mLの濃度のPBS中で、RetroNectin(登録商標)で一晩コーティングすることにより、RetroNectin(登録商標)で予めコーティングしたバッグを用意した。その翌日に、少なくとも30分の遮断ステップを、RTでPBS+HSA1%を用いて行った。
【0217】
上記の全てのステップを手動で行った。CDPで使用したバッグは、遮断溶液を取り除いた後、滅菌接続する。
【0218】
形質導入に使用した容器は、Origen(商標)によるPL30またはPL240の何れかであり、PL30/29mLおよびPL240/142MLでの播種を有する細胞培養バッグだった。播種時の濃度は、手動プロセスでは1M/ML、CDP駆動プロセスでは0.7M/MLとした。
【0219】
概要:
アーム1−CDP
−活性化バッグ(AC197)を、形質導入セットに滅菌接続した。
−細胞を処理バッグに移した;
−細胞計数の後、細胞を形質導入培地において製剤化し、タンジェンシャルフローをベースにした、HFFを使用する戦略を用いて、緩衝液交換を行った;
−次に、細胞を、形質導入緩衝液中で製剤化し、2つのPL240バッグに、全部で142ml/バッグに対し0.7M細胞/mLで播種した。
【0220】
アーム2−手動
−活性化細胞をT175から収集した;
−回転後、細胞をX−Vivo(商標)に再懸濁し、計数し、最終濃度が1×10細胞/mLの完全形質導入緩衝液中で製剤化した;
−細胞を、1つのPL240バッグに1M/mLで播種した。
【0221】
アーム3−手動、CDP活性化細胞より開始
CDPをベースにした活性化をさらに評価および検証することを目的に、細胞をアーム1形質導入細胞の残りから収集し、手動で製剤化して(遠心機を用いて)、PL30バッグに、濃度1M/mLで播種した。
【0222】
形質導入緩衝液:細胞を、5%ヒトAB血清、2mMのL−グルタミンを補充したX−Vivo(商標)−15培地に再懸濁し、細胞をレトロウイルス上清(ベクター)と共培養することにより形質導入し、キメラ抗原B7H6および切断型CD19(tCD19)の発現を可能にした。ベクターは、最終体積の50%である。tCD19を使用して、形質導入効率をモニタリングする。使用したベクターは、Celyadの研究開発チームにより製造されたmTZ47.2.1(インハウス名)で、物理的粒子力価は1.9.1010だった。
【0223】
培養培地中の追加試薬は、−最終濃度で−100U/mLのIL−2、40ng/mLの抗CD3だった。
【0224】
テーブル3.4は、各アームでの、形質導入に使用した容器タイプ、使用したベクターおよび力価、4日目の細胞回収、生存率、増殖倍率を要約する。
【0225】
4日目の、CDPで操作した細胞の増殖倍率が最も高かった。2.6アーム1対1.5アーム2または1.8アーム3
【0226】
【表4】

テーブル3.4 形質導入ステップについての要約
【0227】
増殖(4日目−8日目)
4日目に、全てのアームにおいて、形質導入細胞をガス透過性細胞培養装置で培養することにより、形質導入細胞の増殖を開始した。
【0228】
アーム1
形質導入後のPL240バッグを、増殖のために試薬バッグに滅菌接続し、IL−2およびX−Vivo(商標)において製剤化した。タンジェンシャルフローをベースにした、HFFを使用する戦略を用いて、緩衝液交換と体積濃縮を行った。
【0229】
プロセスの終わりに、G−REX(商標)100M−CS(予め、滅菌コネクタを介して流体カートリッジに接続されている)に、100U/mLのIL−2を補充した、完全X−Vivo(商標)−15培地600mLを、装置により自動的に播種した。
【0230】
G−REX(商標)100M−CSは、GREX(商標)100Mと同等のG−REX(商標)容器である。頭字語CSは、閉鎖システムを表し、それは、容器の閉鎖性を維持しながら流体交換を可能にする、ピグテールの存在を含意する。
【0231】
アーム2および3
形質導入後、T細胞をHBSSで一度洗浄し、次に、増殖ステップのために播種した。
【0232】
次に、形質導入細胞を、G−REA(商標)の表面に対し1×10細胞/cmで、以下のものに播種した:
−アーム2−G−REX 100M−CSの、100U/mLのIL−2を補充した完全X−Vivo(商標)−15培地600mL
−アーム3−G−REX(商標)10Mの、100U/mLのIL−2を補充した完全X−Vivo(商標)−15培地60mL
【0233】
約48時間後、さらに50%の新しい完全X−Vivo(商標)−15プラス100U/mLのIL−2を、各G−REX(商標)フラスコに加えた。さらに2日の培養の後、細胞を8日目に収集した。
【0234】
アーム1
−細胞を、冷却HBSSで洗浄し、中空線維を使用したタンジェンシャルフロー戦略により濃縮した;
−計数後、細胞を、冷却HBSSにおいて、2.7M/mLで装置により製剤化し、次に、300Mの細胞を、収集バッグに回収した;
−品質評価用の細胞を、手順の終わりに採取した。
【0235】
同じ方法で生成物を比較することができるように、オペレータにより、収集バッグから、遠心分離および定義された凍結保存緩衝液中での製剤化により、凍結保存細胞サンプルが生成されたことに留意されたい。したがって、試作機では、収集はせいぜい半自動的である一方、他のステップは全て装置により管理された。これは、試作機の設計に起因するもので、装置固有の限界には起因せず、細胞の再懸濁/収集は、完全に自動的に行われ得る。
【0236】
アーム2および3
実験室の遠心機を使用して、冷却HBSSで細胞を一度洗浄した。細胞を計数した後、細胞を手順の終わりのサンプル収集のために製剤化した。
【0237】
テーブル3.5は、細胞収集率G−REX(商標)10M/G−REX(商標)100M/G−REX(商標)100M−CSにおける、収集時の細胞収率および生存率を要約する。増殖倍率は、アーム1とアーム2の両方で27倍、アーム3で21倍だった。
【0238】
【表5】

テーブル3.5 GREX(商標)10MまたはGRE(商標)100Mにおける、収集時の細胞収率および生存率
【0239】
同等性テストの結果
プロセス中およびプロセス後に、手順の同等性を評価するためにサンプルを採取した。同等性を、以下に基づいて評価した:
−プロセスパラメータ
・各ステップでの細胞計数および生存率(回収率または増殖の評価)
・2日目−フローによる細胞活性化
・4日目−ベクターコピー数
・4日目−キメラ抗原受容体の発現レベル
−最終生成物の特徴
・細胞計数および生存率
・キメラ抗原受容体の発現レベル
・VCN
・がん細胞株と共に培養した場合の、インターフェロン−γ分泌およびキリングアッセイ
・T細胞成熟プロファイル
・T細胞の増殖
【0240】
注:CDPにおける細胞計数および生存率は、常に、洗浄と濃色ステップの前に実行した一方、手動ステップでは、必ず細胞を回転させ、一度再懸濁した。
【0241】
テスト:細胞活性化(2日目)
方法:CD69およびCD25マーカーについてのフローモニタリング
結果:
【0242】
【表6】
【0243】
結論:CD69は、初期の活性化マーカーである一方、CD25は24時間後に上昇する。結果は、CD69+細胞の欠如、および、CD25マーカーの対照に対する活性化アームの約50%(44%−52%)のシフトにより示されるように、全てのアームが適切に活性化され、同等だった。
【0244】
テスト:形質導入(4日目)
方法:tCD19のフローモニタリングおよび平均ベクターコピー数(VCN)/細胞を評価するqPCR
結果:
【0245】
【表7】
【0246】
結論:3つのアーム全てのセルの形質導入が成功し、VCNは、テストした3つのアームで同等だった。また、形質導入段階の終わりにtCD19の発現を検出することもできた。陽性tCD19の細胞が、完全手動条件で4日目に10%多く検出された(50%対40%)
【0247】
テスト:製造プロセスの終わりでの形質導入(8日目)
方法:tCD19でのフローおよびベクターコピー数(VCN)/細胞を評価するqPCRによる検証
結果
【0248】
【表8】
【0249】
結論:3つのアーム全てのセルの形質導入が成功し、3つのアームでのVCNの同等性が確認された。tCD19発現は、3つのアーム全てで、アーム1の51%(CDPアーム)およびアーム2の57%(手動アーム)の範囲で検出可能である。
【0250】
テスト:製造プロセスの終わりでのT細胞成熟プロファイル
方法:CD45RAおよびCD62Lのフローモニタリング
結果
【0251】
【表9】
【0252】
結論:製造プロセスの終わりには、大部分の細胞がセントラルメモリーまたはエフェクターメモリー表現型を提示し、手動プロセスは、プロセスの終わりのT細胞プロファイルに影響を与えなかった。
【0253】
テスト:製造プロセスに終わりでのT細胞消耗
方法:PD1およびLag3のフローモニタリング
結果
【0254】
【表10】
【0255】
結論:製造プロセスの終わりで、大部分の細胞(≧80%)が、消耗マーカーPD1とLAG3の両方について陰性であり、細胞の8−14%のみが、PD1マーカーについて陽性だった。興味深いことに、自動化プロセスは、PD1の発現が最も低いものだった。
【0256】
対照アームは、CDP装置または手動プロセスの何れかにより、0日目に生成したPBMC細胞であり、PBMC細胞は、RBC溶解ステップの後すぐに凍結保存した。
【0257】
テスト:製造プロセスの終わりでのT細胞力価
方法:標的細胞株(HeLa細胞)におけるCAR−T細胞溶解活性(キリングアッセイ)および標的細胞(K562)におけるIFN−γ分泌
結果:
【0258】
【表11】

LOD:検出の限界;LOQ:定量化の限界
【0259】
【表12】

LOD検出の限界;LOQ:定量化の限界
【0260】
結論:関連のがん細胞株モデルにさらした際、3つのアーム条件で製造したCAR−T細胞は、キリングアッセイおよびIFNγ分泌の両方において、等しく強力であることが分かった。結論は定性的で、PBMC対照との比較に基づく。
【0261】
対照アームは、CDP装置または手動プロセスの何れかにより、0日目に生成したPBMC細胞であり、PBMC細胞は、RBC溶解ステップの後すぐに凍結保存した。
【0262】
結論
CDPは、キメラ抗原受容体T細胞を製造するのに必要な全ての製造ステップを維持するのに適切な装置であることが分かった。
【0263】
細胞回収率77%で、(Ficoll手順ではなく)白血球アフェレーシス生成物のRBC溶解が、PBMC様集団を得るのに効率的な方法であることが分かった。活性化後の回収率は57%だった。これらのデータは、他のCAR−Tプロトコルでの製造についての検証データの範囲内にある。
【0264】
興味深いことに、単核細胞の計数を見ると、CDPを使用した細胞の自動化処理は、手動方法に対しより高い回収率をもたらし:RBC溶解後の回収率では77%対68%、活性化後の回収率では57%対44%だった。
【0265】
2日目での生存率は、88%(自動化アーム)および76%(手動アーム)だった。これらの結果は、ficoll選択で始まるプロセスで通常観察されるもの(典型的には、約90%)よりも低かった。RBC溶解処理で生じる生成物は、ficollプロセスで得られる生成物ほどクリーンではないことから、観察されるより高い細胞死は、ficollで通常観察されるよりも非T細胞の数が多く、これらの細胞が、最初の2日で自然に死ぬことに起因すると考える。
【0266】
2日目の活性化プロファイルを見て、細胞が、全てのアームで適切に活性化されていることが観察された。
【0267】
これは、ACバッグが、Tフラスコよりも活性化を同様に維持し得ることを示す、以前の内部研究と一致する。CDP評価における活性化の文脈では、活性化ステップ時に異なる播種密度を使用することにした。1M/mLを全ての条件において使用したが、結果として生じる播種密度/cmは異なり:Tフラスコ活性化では0.5M細胞/cmであるのに対し、ACバッグでは0.7M細胞/cmだった。
【0268】
生細胞計数に基づいて、形質導入(2日目−4日目)と増殖(4日目−8日目)の両ステップ時の細胞増殖をモニタリングする。
【0269】
以下のテーブル3.6に要約するように、生存率は、完全自動化プロセス(アーム1)と完全手動プロセス(アーム2)を比較した際に、常に非常に似ている。
【0270】
G−REX(商標)における増殖倍率は、これらの2つのアームを比較した際、同じだった。より高い増殖倍率が、アーム1の形質導入時に得られ(2.6対1.5)、組み合わせ増殖は、完全手動(アーム2)よりも自動化プロセス(アーム1)が有利であり:それぞれ、70.5対41.2だった。組み合わせた2日目と8日目の増殖は図10aに、収集時の生存率は図10bに示す。
【0271】
追加の対照(アーム3)では、プロセスの実行は成功した;しかしながら、形質導入時に中間体の増殖を観察し、アーム1との観察の違いは、おそらく、生存率の低さに起因する(86%対90%)。増殖段階時に、アーム3の細胞は、他の2つのアームと比較して、実行した集団倍加も少なかった。違いは、異なる種類のGREX(商標):GREX(商標)10M対GREX(商標)100M−CSの使用に起因する可能性がある。
【0272】
【表13】

テーブル3.6 異なるアームにわたるCAR−T細胞の増殖率および生存率についての要約
【0273】
形質導入に使用したベクターは、3つのアーム全ての形質導入時に使用した最終培養体積の50%だった。次世代の使い捨て品では、処理バッグサイズとHFF容量の両方を再考し、形質導入体積の最大90%のベクターの使用を可能にする。
【0274】
記載したように、細胞洗浄、濃縮化、緩衝液交換、および培養培地調製の各ステップは、中空線維(HFF)を使用したタンジェンシャルフローにより行った。プロセスの実行は成功し、標的の全緩衝液交換はプロセス中では3体積、最終の製剤化では6体積とした。HFF前/後の細胞回収率を評価することにより(テーブル3.7)、回収率範囲が39%〜86%であることから(以下の表参照)、別の可能性のある改善領域を特定する。過去に、当社は、細胞凝集が細胞回収率に負の影響を与えることを観察した。CDPと共に使用した使い捨てセットは、細胞を含む流体を培養容器から処理バッグに移動させる一方で、全ての細胞塊を分解し、単一細胞懸濁液を生じさせるように設計した。サンプルを収集し、手動計数を実行するのに必要な時間により、細胞は再凝集し始め、処理時間内に目に見える塊を生成した。当社は、細胞塊がHFF前にも分解されるように使い捨て設計を再考することにより、回収率を上げることは可能であると考える。
【0275】
【表14】

テーブル3.7 異なる段階でのCDPにおける細胞回収率
【0276】
手動プロセスの終わりには、全ての細胞を、成熟プロファイル、消耗、および力価についてテストした。全てのテストにより、使用したプロセスが同質の細胞をもたらし:細胞は消耗されておらず、細胞を死滅させることが可能であり、同様にインターフェロンγを生成することが確認された。細胞の約90%が、ほぼ等しく分裂した、セントラルメモリーまたはエフェクターメモリーT細胞のようである。
【0277】
結論として、自動化プロセスと手動プロセスの両方が、似たようなVCN/細胞(範囲2.43−2.80)と抗原発現(範囲51%−57%)のCAR−T生成を可能にした。自動化プロセスは、回収時の細胞生存率が似ていると同時に、より高い細胞回収率(0日目−2日目)およびより高い細胞増殖(2日目−8日目)をもたらすようである。細胞洗浄と濃縮化ステップのさらなる最適化により、タンジェンシャルフロー処理後のより高い細胞回収率が保証されると予想される。
【0278】
実施例4:同じ装置において、細胞療法ランで使用するためのCAR−T細胞を生成する、独立並行自動化プロセス
実施例3において、細胞の自動化処理と手動処理を比較した。これにより、細胞処理装置試作機を使用した自動化処理は、類似の細胞生成物を産生することが確認された。試作機の細胞処理モジュールを1つのみ、比較のために使用した。この実施例では、実施例3に記載した自動化プロセスが、2つの処理モジュールを使用して繰り返される。処理モジュールは、同じ装置において、ただし、開始時間は異ならせて操作される(ただし。連続的な方法ではなく:第2バッチの処理は、第1バッチが完了する前に開始される)。こうして、CAR−T細胞の2つのバッチが、並行かつ独立的な方法で作成される:両方の処理が同じ装置上で同時に(または、少なくとも、プロセスにかなりの重複時間を設けて)実行されることから、並行であり、第2バッチの処理が、細胞の第1バッチの処理とは無関係に開始され得ることから、独立である。細胞の両方のバッチの製造には、同じコンピュータ制御システムとタッチスクリーンインターフェースが利用されるが、両バッチは、個別の試薬パックおよび流体カートリッジに依拠する(つまり、各バッチは、それ自身の細胞処理モジュールにおいて作成される)ことを理解されたい。
【0279】
特定の実施形態、特定の構成、ならびに材料および/または分子について、本発明の細胞および方法のために本明細書で論じてきたが、形態および詳細における種々の変更または修正が、本発明の範囲および趣旨から外れることなくなされ得ることを理解されたい。例は、特定の実施形態をより良好に例示するために提供するものであり、適用を限定するもの考えるべきではない。適用は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【国際調査報告】