(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019521716
(43)【公表日】20190808
(54)【発明の名称】多重増幅二重シグナル増幅によるターゲット核酸配列の検出方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/686 20180101AFI20190712BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20190712BHJP
【FI】
   !C12Q1/686 ZZNA
   !C12N15/09 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】2019525723
(86)(22)【出願日】20161115
(85)【翻訳文提出日】20190201
(86)【国際出願番号】KR2016013136
(87)【国際公開番号】WO2018016683
(87)【国際公開日】20180125
(31)【優先権主張番号】10-2016-0091960
(32)【優先日】20160720
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG
(71)【出願人】
【識別番号】519019665
【氏名又は名称】ダイオジン カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DIOGENE CO.,LTD
【住所又は居所】大韓民国、13486 キョンギ−ド ソンナム−シ プンダン−グ、パンギョ−ロ 225ボン−ギル、9−22、#302(サンピョン−ドン、ウリム ダブリュー−シティ)
【住所又は居所原語表記】(Woolim W−City,Sampyeong−dong)#302,9−22,Pangyo−ro 255beon−gil,Bundang−gu Seongnamsi Gyeonggi−do 13486,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】イム、ソン シク
【住所又は居所】大韓民国、12185 キョンギ−ド ナムヤンジュ−シ ファド−ウプ、スレ−ロ、1234−13、トゥサン 2 チャ アパート、#206−1504
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン ス
【住所又は居所】大韓民国、12185 キョンギ−ド ナムヤンジュ−シ ファド−ウプ、スレ−ロ、1234−13、トゥサン 2 チャ アパート、#206−1504
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
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(57)【要約】
多重増幅二重シグナル増幅(multiple amplification nested signal amplification;MANSA)によるターゲット核酸配列の検出方法、ダンベルオリゴヌクレオチドを用いたターゲット核酸配列の1次増幅反応および2次シグナル増幅反応によりターゲット核酸配列を増幅および検出する方法を開示し、偽陽性なしにきわめて制限された試料内の多数のターゲット核酸配列を検出することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンベル構造オリゴヌクレオチドを用いてターゲット核酸配列を検出する方法であって、
(a)ターゲット核酸配列を下記一般式で表されるダンベル構造オリゴヌクレオチドを用いた1次増幅反応により増幅させる段階:
一般式:5’−A−B−C−3’
前記式で、前記Aは、ハイブリダイゼーションされる前記ターゲット核酸配列の一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する5’−低Tm特異性部位であって、前記Cの一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記Bは、少なくとも3つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、前記Cは、ハイブリダイゼーションされる前記ターゲット核酸配列の一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する3’−高Tm特異性部位であって、前記Aの一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記AのTmは、前記CのTmより低く、前記分割部位は、3つの部位のうち最も低いTmを有し、前記分割部位は、前記AとCが前記ターゲット核酸配列にハイブリダイゼーションされる条件の下で非塩基対の構造を形成し、前記ハイブリダイゼーションは、C単独によるハイブリダイゼーションが発生しない条件の下で実施され、そして
(b)前記1次増幅産物をプライマーおよび蛍光発生レポータ(fluorogenic reporter)を用いた2次増幅反応により増幅させ、蛍光発生レポータからのシグナルを検出する段階であって、前記シグナルの検出は、ターゲット核酸配列の存在を示す段階を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
ダンベル構造オリゴヌクレオチドを用いてターゲット核酸配列を検出する方法であって、
(a)少なくとも一つの下記一般式で表されるダンベル構造オリゴヌクレオチドを含むプライマー対を用いてターゲット核酸配列を1次増幅させる段階であって、前記1次増幅は、プライマーハイブリダイゼーション、プライマー延長および変性過程の少なくとも二つのサイクルを含み:
一般式:5’−A−B−C−3’
前記式で、前記Aは、ハイブリダイゼーションされる前記ターゲット核酸配列の一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する5’−低Tm特異性部位であって、前記Cの一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記Bは、少なくとも3つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、前記Cは、ハイブリダイゼーションされる前記ターゲット核酸配列の一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する3’−高Tm特異性部位であって、前記Aの一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記AのTmは、前記CのTmより低く、前記分割部位は、3つの部位のうち最も低いTmを有し、前記分割部位は、前記AとCが前記ターゲット核酸配列にハイブリダイゼーションされる条件下で非塩基対の構造を形成し、前記ハイブリダイゼーションは、C単独によるハイブリダイゼーションが発生しない条件の下で実施され、そして
(b)前記1次増幅産物をプライマー対および蛍光発生レポータ(fluorogenic reporter)を用いた2次増幅反応により増幅させ、蛍光発生レポータからのシグナルを検出する段階であって、前記シグナルの検出は、ターゲット核酸配列の存在を示す段階を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
ダンベル構造オリゴヌクレオチドを用いて二つ以上のターゲット核酸配列を検出する方法であって、
(a)少なくとも一つの下記一般式で表されるダンベル構造オリゴヌクレオチドを含む二つ以上のプライマー対を用いて二つ以上のターゲット核酸配列を1次増幅させる段階であって、前記1次増幅は、プライマーハイブリダイゼーション、プライマー延長および変性過程の少なくとも二つのサイクルを含み:
一般式:5’−A−B−C−3’
前記式で、前記Aは、ハイブリダイゼーションされる前記ターゲット核酸配列の一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する5’−低Tm特異性部位であって、前記Cの一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記Bは、少なくとも3つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、前記Cは、ハイブリダイゼーションされる前記ターゲット核酸配列の一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する3’−高Tm特異性部位であって、前記Aの一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記AのTmは、前記CのTmより低く、前記分割部位は、3つの部位のうち最も低いTmを有し、前記分割部位は、前記AとCが前記ターゲット核酸配列にハイブリダイゼーションされる条件の下で非塩基対の構造を形成し、前記ハイブリダイゼーションは、C単独によるハイブリダイゼーションが発生しない条件の下で実施され、そして
(b)前記1次増幅産物を二つ以上のプライマー対および蛍光発生レポータ(fluorogenic reporter)を用いた2次増幅反応により増幅させ、蛍光発生レポータからのシグナルを検出する段階であって、前記シグナルの検出は、ターゲット核酸配列の存在を示す段階を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
前記分割部位内のユニバーサル塩基は、デオキシイノシン、イノシン、7−ジアザ−2’−デオキシイノシン、2−アザ−2’−デオキシイノシン、2’−OMeイノシンまたは2’−Fイノシンである
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ユニバーサル塩基は、デオキシイノシンである
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記分割部位は、ユニバーサル塩基を有するヌクレオチドの連続配列を含む
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記5’−低Tm特異性部位の長さは、3’−高Tm特異性部位の長さより長さが短い
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記3’−高Tm特異性部位は、ハイブリダイゼーションされるターゲット核酸配列に対して完全に相補的なヌクレオチド配列を有する
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記5’−低Tm特異性部位は、3〜5個のヌクレオチド長さを有する
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記分割部位は、少なくとも3〜5個のヌクレオチド長さを有する
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記3’−高Tm特異性部位は、18〜30個のヌクレオチド長さを有する
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記5’−低Tm特異性部位は、3〜5個のヌクレオチド長さを有し、前記分割部位は、3〜5個のヌクレオチド長さを有し、前記3’−高Tm特異性部位は、18〜30個のヌクレオチド長さを有する
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記5’−低Tm特異性部位のTmは、10℃〜30℃である
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記3’−高Tm特異性部位のTmは、50℃〜65℃である
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記分割部位のTmは、3℃〜10℃である
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記アニーリングは、50℃〜65℃範囲の温度で実施する
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記段階(a)は、前記ダンベル構造オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション、延長および変性過程を含む鋳型依存的延長反応の過程を繰り返すことによって行われる
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記増幅反応は、重合酵素連鎖反応により実施される
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記段階(a)の1次増幅は、増幅産物間の深刻な競争が起こる前の時点まで増幅させる
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記蛍光発生レポータが、SYBR Green、SYTO 9、EvaGreenまたはLCGreenである
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記段階(b)で使用されたプライマーが、ダンベル構造オリゴヌクレオチドである
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記段階(b)に使用されたプライマーが、前記段階(a)に使用されたオリゴヌクレオチドと同じダンベル構造オリゴヌクレオチドである
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記段階(a)および(b)に使用されたダンベル構造オリゴヌクレオチドが互いに同一であり、前記段階(b)で高い特異度を有するプライマーを好む側にオリゴヌクレオチドプライミング(oligonucleotide priming)が実質的に偏向するようにする
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記段階(a)および(b)で使用されたオリゴヌクレオチドのうち少なくとも一つがUTPヌクレオチドを含むことによって、UNG酵素により分解され得る
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記段階(a)で使用されたオリゴヌクレオチドのうち少なくとも一つがUTPヌクレオチドを含み、前記段階(a)の後にUNG酵素により前記オリゴヌクレオチドを除去して、前記プライマーによる2次増幅での汚染を実質的に防止する
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記段階(a)が1〜25サイクルの範囲で行われる
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記段階(a)が5〜20サイクルの範囲で行われる
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記段階(a)が10〜15サイクルの範囲で行われる
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記段階(a)および(b)で使用されたオリゴヌクレオチドが、5個以上のターゲット核酸配列を増幅させるためのオリゴヌクレオチドである
請求項3に記載の方法。
【請求項30】
前記段階(b)のシグナルの検出が、融解曲線分析(melt curve analysis)により行われる
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記融解曲線が0.05℃〜0.02℃の範囲の解像度で生成される
請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記融解曲線が0.02℃未満の解像度で生成される
請求項30に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重増幅二重シグナル増幅(multiple amplification nested signal amplification;MANSA)によるターゲット核酸配列の検出方法に関し、より詳細には、ダンベルオリゴヌクレオチドを用いたターゲット核酸配列の1次増幅反応および2次シグナル増幅反応によりターゲット核酸配列を増幅および検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、研究者らが遺伝子試料を収得するために最も普遍的に使用する方法は、DNA重合酵素を用いた重合酵素連鎖反応方法である。重合酵素連鎖反応に用いられるオリゴヌクレオチドは、鋳型DNAと反対側の鎖に結合されるようにデザインされる。前記方法は、ターゲットDNAと結合し得るオリゴヌクレオチドの長さと塩基配列を任意に調節して設計することによって、目的とする遺伝子の所望の部位のみを正確に増幅させることができるという長所があるのに対し、一回の反応で一つのターゲット遺伝子のみを増幅させることができるので、増幅しようとするターゲット遺伝子の個数が多い場合、同じ作業を繰り返さなければならないという短所がある。
【0003】
このような短所を解決するために、2種類以上のターゲット遺伝子とそれぞれのターゲット遺伝子に該当するプライマーを一つに混合して重合酵素連鎖反応を行う方法が開発されており、また、プライマーのアニーリング特異性を改善するための多くの方法が開発された。例えば、タッチダウンPCR(Don et al.,1991)、ホットスタートPCR(DAquila et al.,1991)、ネステッドPCR(Mullis and Faloona,1987)およびブースターPCR(Ruano et al.,1989)がある。これら以外の他の接近方式としては、多様なエンハンサー化合物を用いてPCRの特異性を改善するものであって、これらのエンハンサー化合物には、効果的な結合反応温度を増加させる化学物質、DNA結合タンパク質、商業的利用可能な反応物質等が含まれる。しかしながら、すべてのPCR方法において成功的な結果物を導き出すことができず、様々な結合温度条件の下でこれらの添加物をテストすることは、多くの時間と努力をかけなければならない作業である。たとえ、上述した接近方式は、プライマーアニーリング特異性を改善するのにある程度寄与をするが、上述した方法は、PCR増幅に用いられるプライマーからもたらされる問題点、例えば、非特異的生成物および高いバックグラウンドに対する根本的な解決策にはならない。また、成功裏に一回に増幅させることができる遺伝子の数が3〜4個に過ぎず、各遺伝子間の競争や干渉効果、非特異的産物の増幅等の短所が改善されていないので、実質的には使用されていないのが現況である。
【0004】
このように、多重重合酵素連鎖反応および対立遺伝子特異PCRを行うためには、目的とするターゲット遺伝子の条件を最適化しなければならないが、このために、多くの時間と努力、そしてサンプル消耗を甘受しなければならず、このように最適化した条件は、他の遺伝子に適用されない。これを克服するために、リンカー重合酵素連鎖反応(Linker PCR)やライゲーションを介した重合酵素連鎖反応(Ligation Mediated PCR)(参照:非特許文献1)等の方法が開発された。しかしながら、リンカー重合酵素連鎖反応の場合、最初のチューブで反応させた生成物の一部を二番目のチューブに移して反応を行う実験の特性上、交差汚染が発生し得、ライゲーション重合酵素連鎖反応の場合には、様々な種類の酵素を用いた複雑な実験方法が研究者の困難を引き起こして、一部だけでこのような実験技法を用いている。
【0005】
これに伴い、安いながらも簡単に遺伝子増幅を具現し得る技術の開発が要求された。このような要求に応じるために開発された技術が、単にプライマーだけを操作してPCR反応適合温度に到達する前までは増幅が起こらないようにする方法である。このような方法の例として、韓国特許登録第649165号に開示された発明が挙げられる。この技術では、最初プライマーに調節子(regulator)部位がさらに挿入されている。この調節子部位は、ポリデオキシイノシンリンカー(polydeoxyinosine linker)であり、この調節子部位を構成するイノシン(inosine)は、通常、プライマーを構成する一般的なヌクレオチドであるG、A、T、Cに比べて低いTm値を有するユニバーサル塩基(universal base)であるので、特定の温度でこのポリデオキシイノシンリンカーは、「バブル類似構造(bubble like structure)」を形成して、プライマーがターゲットに非特異的に結合することを遮断して、PCRの非特異的増幅を抑制する役割をする。この技術は、先立って記述した従来技術に比べてその具現において多少安くなったが、PCRの実行時に一番目の周期での結合段階の温度(PCR反応適合温度)と二番目の周期での結合段階の温度を相異にしなければならないという不都合があった。これは、二番目のPCR周期からプライマーにさらに導入された配列までプライミングに参加できるようにするためである。もちろん、この「異なる温度の適用」が必ず要求されるとは言えないが、効率的なPCRのためには、異なる温度の適用が必要であると言える。また、前記技術では、5’−末端部位の事前選択任意ヌクレオチド配列が追加されなければならず、これがターゲットのいかなる位置とも相補的になってはいけないという制約もあった。これは、更なる不便さを招き、ひいては、ターゲットのすべての遺伝子配列を知らないときには、前記技術の適用に対する成功を確信できないようにさせる。したがって、この従来技術よりもさらに安くてかつ実現することが容易な新しい方法の開発が必要である。
【0006】
リアルタイムPCRは、リアルタイムで増幅産物を測定し、より正確な定量的分析を可能にするという点から広く使用されている。リアルタイムPCRに関する従来の特許文献としては、特許文献1〜3がある。従来のリアルタイムPCR方法は、増幅と検出が同時に行われる同種分析(homogeneous assay)方式の長所を有しているが、蛍光レポーター分子の種類の限界に起因して同時に検出できるターゲット核酸配列の数が制限的である。リアルタイムターゲット核酸配列を検出できる現存の熱循環器(thermocycler)は、最大5−plexまで同時検出が可能なので、同時に検出できるターゲット核酸配列の数が制限的であり、また、大容量の試料を分析するために多くの時間と追加の高価のリアルタイムモニタリング装備が要求される。
【0007】
リアルタイムPCRの代表的なTaqManプローブ方式(特許文献1)とセルフケンチング蛍光プローブ方式(特許文献4)は、二重標識されたプローブの非特異的結合による偽陽性の結果が発生する問題があるので、現実的に5−plexの検出は達成しにくく、このためには、熟練した技術およびノウハウが必須的に要求される。従来のリアルタイムPCR方式は、増幅と検出を同時に行われなければならないので、リアルタイムPCR装備の高速処理(High Throughput)に限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,210,015号
【特許文献2】米国特許第5,538,848号
【特許文献3】米国特許第6,326,145号
【特許文献4】米国特許第5,723,591号
【特許文献5】米国特許第4,683,195号
【特許文献6】米国特許第4,683,202号
【特許文献7】米国特許第4,800,159号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Journal of Clinical Microbiology、43(11):5622−5627,2005
【非特許文献2】M.Egholm et al.,Nature,365:566−568(1993)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、常温での意図しないPCR増幅を抑制することによって、ホットスタートPCRを可能にすることができるターゲット核酸配列の増幅および検出方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、PCR増幅時に最初鋳型からの増幅に比べてPCR産物からの増幅を優勢化させて、結果的にPCRでの非特異的増幅を抑制できるターゲット核酸配列の増幅および検出方法を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、多数のターゲット核酸配列をマルチプレキシング方法で同時に検出することができ、従来のリアルタイム−PCR方式より極めて少ない量のプローブおよび試料を用いて、さらに改善された敏感度で多数のターゲット核酸配列を検出できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明は、次の段階を含む、ダンベル構造オリゴヌクレオチドを用いてターゲット核酸配列を検出する方法を提供する:
(a)ターゲット核酸配列を下記一般式で表されるダンベル構造オリゴヌクレオチドを用いた1次増幅反応により増幅させる段階:
一般式:5’−A−B−C−3’
前記式で、前記Aは、ハイブリダイゼーションされる前記ターゲット核酸配列の一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する5’−低Tm特異性部位であって、前記Cの一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記Bは、少なくとも3つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、前記Cは、ハイブリダイゼーションされる前記ターゲット核酸配列の一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する3’−高Tm特異性部位であって、前記Aの一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記AのTmは、前記CのTmより低く、前記分割部位は、3つの部位のうち最も低いTmを有し、前記分割部位は、前記AとCが前記ターゲット核酸配列にハイブリダイゼーションされる条件の下で非塩基対の構造を形成し、前記ハイブリダイゼーションは、C単独によるハイブリダイゼーションが発生しない条件の下で実施され、そして、
(b)前記1次増幅産物をプライマーおよび蛍光発生レポータ(fluorogenic reporter)を用いた2次増幅反応により増幅させ、蛍光発生レポータからのシグナルを検出する段階であって、前記シグナルの検出は、ターゲット核酸配列の存在を示す。
【発明の効果】
【0014】
本発明の方法は、常温での意図しないPCR増幅を抑制することによって、ホットスタートPCRを可能にし、また、PCR増幅時に最初鋳型からの増幅に比べてPCR産物からの増幅を優勢化させて、結果的にPCRでの非特異的増幅を抑制することができる。
【0015】
また、本発明の方法は、プライマーとしてダンベル構造オリゴヌクレオチドを用いることによって、一回の重合酵素連鎖反応で互いに異なる多くの遺伝子を迅速かつ正確に同時に増幅させることができる。
【0016】
ひいては、本発明は、多数のターゲット核酸をマルチプレキシング方式で同時に検出し、かつ分析の目的に応じて多数のターゲット核酸配列を分類し区別することができ、従来のリアルタイム−PCR方式より極めて少ない量のプローブおよび試料を用いてさらに改善された敏感度で多数のターゲット核酸配列を検出することができる。
【0017】
また、本発明の方法によれば、従来の付加的な制限酵素の処理や塩基配列の分析過程なしに多重増幅二重シグナル増幅と融解曲線の融解温度の差異による多様な癌遺伝子または抑制遺伝子の変異有無をエラーなしに同時に正確に検出することができる。
【0018】
従来のリアルタイムPCR方法は、標識プローブまたはヘアピン構造のような複雑に変形されたプライマー構造を必要とし、これは、プローブおよびプライマーのデザイン、合成または配列選択を難しくする。しかしながら、本発明のプライマーは、更なる標識プローブまたは複雑に変形されたプライマー構造なしに、ターゲット増幅だけでなく、シグナル増幅に用いられるので、リアルタイムPCRを簡単かつ容易にする。
【0019】
従来のリアルタイムPCR方法は、プライマーまたはプローブのデザインおよび最適化が困難であるので、マルチプレックスアッセイに適切でない。他方で、本発明は、リアルタイムPCRにおいて更なるプローブまたは複雑に変形されたプライマー構造なしにターゲット増幅二重シグナル増幅と融解曲線の融解温度の差異に応じてターゲット核酸配列を正確に検出することができる。
【0020】
したがって、本方法は、リアルタイムPCR分析法の開発において、時間的、費用的効率性が改善されたものと見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の多重増幅二重シグナル増幅を用いて、5個のターゲット核酸配列を増幅および検出する過程を示す概要図
【図2】多様な濃度のターゲット核酸配列それぞれを対象として本発明の方法を用いて増幅した結果(増幅曲線)を示す図
【図3】多様な濃度のターゲット核酸配列それぞれを対象として本発明の方法を用いて増幅した結果(増幅曲線)を示す図
【図4】多様な濃度のターゲット核酸配列それぞれを対象として本発明の方法を用いて増幅した結果(増幅曲線)を示す図
【図5】多様な濃度のターゲット核酸配列それぞれを対象として本発明の方法を用いて増幅した結果(増幅曲線)を示す図
【図6】多様な濃度のターゲット核酸配列それぞれを対象として本発明の方法を用いて増幅した結果(増幅曲線)を示す図
【図7】多様な濃度のターゲット核酸配列それぞれを対象として本発明の方法を用いて増幅した結果(増幅曲線)を示す図
【図8】多様な濃度のターゲット核酸配列を混合した後、本発明の方法を用いて増幅した結果(増幅曲線)を示す図
【図9】多様な濃度のターゲット核酸配列を増幅した後、電気泳動分析を通じて確認した結果を示す図
【図10】多様な濃度のターゲット核酸配列を混合した後、本発明の方法を用いて増幅し、融解曲線分析を行った結果を示す図
【図11】多様な濃度のターゲット核酸配列それぞれを対象として本発明の方法を用いて増幅した後、融解曲線の分析を行った結果を示す図
【図12】多様な濃度のターゲット核酸配列それぞれを対象として本発明の方法を用いて増幅した後、融解曲線の分析を行った結果を示す図
【図13】多様な濃度のターゲット核酸配列それぞれを対象として本発明の方法を用いて増幅した後、融解曲線の分析を行った結果を示す図
【図14】多様な濃度のターゲット核酸配列それぞれを対象として本発明の方法を用いて増幅した後、融解曲線の分析を行った結果を示す図
【図15】多様な濃度のターゲット核酸配列それぞれを対象として本発明の方法を用いて増幅した後、融解曲線の分析を行った結果を示す図
【図16】多様な濃度のターゲット核酸配列それぞれを対象として本発明の方法を用いて増幅した後、融解曲線の分析を行った結果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、常温での意図しないPCR増幅を抑制することによって、ホットスタートPCRを可能にし、また、PCR増幅時に最初鋳型からの増幅に比べてPCR産物からの増幅を優勢化させて、結果的にPCRでの非特異的増幅を抑制できるターゲット核酸配列の検出方法を提供する。
【0023】
本発明者らは、一回の重合酵素連鎖反応だけで多数の遺伝子を増幅させることができる方法を開発するために鋭意研究努力した結果、増幅しようとする遺伝子塩基配列のプライマーの製作時に、ダンベル構造(dumbbel structure)を形成するように、5’−末端に3〜5bpの3’−末端と相補的に結合し得る任意塩基配列と、この二つの部位を連結する3〜5bpのユニバーサル塩基対を追加したダンベル構造オリゴヌクレオチドで構成されたプライマーを用いる場合、一回の重合酵素連鎖反応で互いに異なる多くの遺伝子を迅速かつ正確に同時に増幅させることができることを確認した。本発明者らは、前記ダンベル構造オリゴヌクレオチドを用いてマルチプレックスターゲット増幅を優先的に実施して、増幅産物を確保した後、二重シグナル増幅を通じてターゲット核酸配列を検出する技術を開発した。
【0024】
したがって、本発明は、液相で多重増幅二重シグナル増幅(multiple amplification nested signal amplification)を用いたDNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法を提供し、これは、下記の実施例および請求範囲によりさらに明確になる。
【0025】
本発明の一実施様態において、本発明は、次の段階を含む、ダンベル構造オリゴヌクレオチドを用いてターゲット核酸配列を検出する方法を提供する:
(a)ターゲット核酸配列を下記一般式で表されるダンベル構造オリゴヌクレオチドを用いた1次増幅反応により増幅させる段階:
一般式:5’−A−B−C−3’
前記式で、前記Aは、ハイブリダイゼーションされる前記ターゲット核酸配列の一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する5’−低Tm特異性部位であって、前記Cの一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記Bは、少なくとも3つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、前記Cは、ハイブリダイゼーションされる前記ターゲット核酸配列の一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する3’−高Tm特異性部位であって、前記Aの一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記AのTmは、前記CのTmより低く、前記分割部位は、3つの部位のうち最も低いTmを有し、前記分割部位は、前記AとCが前記ターゲット核酸配列にハイブリダイゼーションされる条件の下で非塩基対の構造を形成し、前記ハイブリダイゼーションは、C単独によるハイブリダイゼーションが発生しない条件の下で実施され、そして、
(b)前記1次増幅産物をプライマーおよび蛍光発生レポータ(fluorogenic reporter)を用いた2次増幅反応により増幅させ、蛍光発生レポータからのシグナルを検出する段階であって、前記シグナルの検出は、ターゲット核酸配列の存在を示す。
【0026】
本発明の方法は、(a)生物学的試料内ターゲット核酸配列の1次増幅反応;および(b)前記1次増幅産物の2次増幅反応(シグナル増幅)およびシグナルの検出反応を含む。
【0027】
本発明によれば、優先的に1次増幅反応を通じてターゲット核酸配列だけを増幅させた後、前記増幅産物を鋳型としてシグナルを増幅する。したがって、従来技術と比較して本発明の最も大きい特徴は、次の通りである:ターゲット核酸配列だけを1次増幅させた後、前記増幅産物を2次増幅(同時にシグナル増幅)させることによって、エキソヌクレアーゼ活性によるシグナル増幅およびリアルタイムモニタリングが可能であるという点である。これに基づいて、本発明は、多重増幅二重シグナル増幅(「Multiple Amplification Nested Signal Amplification」)と命名され、簡単に「MANSA」と命名される。
【0028】
ターゲット核酸の多重増幅は、当業界に公知となった多様なプライマー関与核酸増幅方法により実施され得る。好ましくは、ターゲット核酸の増幅は、PCRにより実施され、PCR方法は、特許文献5〜7に開示されている。マルチプレックス増幅されるターゲット核酸配列は、DNAまたはRNAである。前記核酸分子は、二重鎖または単一鎖であってもよく、好ましくは、二重鎖である。出発物質として核酸が二重鎖である場合、二つの鎖を単一鎖に、または部分的な単一鎖の形態に製造することが好ましい。鎖を分離する方法は、熱、アルカリ、ホルムアミド、ウレアおよびグリオキサール処理、酵素的方法(例えば、ヘリカーゼ作用)および結合タンパク質を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、鎖分離は、80〜105℃の温度で熱処理して達成され得る。mRNAが出発物質として用いられる場合、逆転写段階を増幅前に必要とし、逆転写段階で、mRNAのポリAテールにハイブリダイゼーションされるオリゴヌクレオチドdTプライマー、ランダムヘキサマー、あるいはターゲット核酸配列の相補的なオリゴヌクレオチドが用いられる。オリゴヌクレオチドdTプライマーは、dTMPsからなり、dTプライマーがプライマーとして作用し得る限度内でdTMPsのうち一つまたはそれ以上は、他のdNMPsに代替され得る。逆転写段階は、RNase H活性を有する逆転写酵素により行われ得る。RNase H活性を有する酵素を用いる場合、反応条件を注意して選択すると、個別的なRNase H切断過程を避けることができる。
【0029】
本明細書で使用する用語「オリゴヌクレオチド(oligonucleotide)」は、自然のまたは変形されたモノマーまたは連鎖(linkages)の線形オリゴマーを意味し、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含み、ターゲットヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイゼーションすることができ、自然的に存在したり、または人為的に合成されるものである。オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションにおいて最大効率のために、好ましくは単一鎖である。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。本発明のオリゴヌクレオチドは、自然dNMP(すなわち、dAMP、dGMP、dCMPおよびdTMP)、ヌクレオチド類似体または誘導体を含むことができる。また、オリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチドも含むことができる。例えば、本発明のオリゴヌクレオチドは、骨格変形されたヌクレオチド、例えば、ペプチド核酸(PNA)(非特許文献2)、ホスホロチオエートDNA、ホスホロジチオエートDNA、ホスホロジアミデートDNA、アミド−連結されたDNA、MMI−連結されたDNA、2’−O−メチルRNA、アルファ−DNAおよびメチルホスホナートDNA、糖変形されたヌクレオチド、例えば、2’−O−メチルRNA、2’−フルオロRNA、2’−アミノRNA、2’−O−アルキルDNA、2’−O−アリルDNA、2’−O−アルキニルDNA、ヘキソースDNA、ピラノシルRNAおよびアンヒドロヘキシトールDNA、および塩基変形を有するヌクレオチド、例えば、C−5置換されたピリミジン(置換基は、フルオロ−、ブロモ−、クロロ−、ヨード−、メチル−、エチル−、ビニル−、ホルミル−、エチニル−、プロピニル−、アルキニル−、チアゾリル−、イミダゾリル−、ピリジル−を含む)、C−7置換基を有する7−デアザプリン(置換基は、フルオロ−、ブロモ−、クロロ−、ヨード−、メチル−、エチル−、ビニル−、ホルミル−、アルキニル−、アルケニル−、チアゾリル−、イミダゾリル−、ピリジル−)、イノシンおよびジアミノプリンを含むことができる。
【0030】
本明細書で使用される用語「プライマー」は、オリゴヌクレオチドを意味するものであり、核酸鎖(鋳型)に相補的なプライマー延長産物の合成が誘導される条件、すなわち、ヌクレオチドとDNA重合酵素のような重合剤の存在、そして適切な温度とpHの条件で合成の開始点として作用することができる。増幅の最大効率のために、好ましくはプライマーは、単一鎖である。好ましくは、プライマーは、デオキシリボヌクレオチドである。本発明のプライマーは、自然(naturally occurring)dNMP(すなわち、dAMP、dGMP、dCMPおよびdTMP)、変形ヌクレオチドまたは非自然ヌクレオチドを含むことができる。また、プライマーは、リボヌクレオチドも含むことができる。
【0031】
プライマーは、重合剤の存在下で延長産物の合成をプライミングさせることができるほどに十分に長くなければならない。プライマーの適切な長さは、多数の要素、例えば、温度、応用分野およびプライマーのソース(source)によって決定される。
【0032】
用語「アニーリング」または「プライミング」は、鋳型核酸にオリゴデオキシヌクレオチドまたは核酸が並置(apposition)されることを意味し、前記並置は、重合酵素がヌクレオチドを重合させて、鋳型核酸またはその一部分に相補的な核酸分子を形成させる。本明細書で用語「ハイブリダイゼーション(hybridization)」は、相補的な単一鎖核酸から二重鎖核酸を形成することを意味する。用語「アニーリング」と「ハイブリダイゼーション」は、差異がなく、本明細書で混用される。
【0033】
本明細書で使用される用語「プローブ(probe)」は、ターゲットヌクレオチド配列に実質的に部位を含む単一鎖核酸分子である。
【0034】
本発明に用いられるダンベル構造オリゴヌクレオチドは、ターゲット核酸配列にハイブリダイゼーション(アニーリング)されて、ターゲット核酸配列を増幅させる役割をし、下記一般式で表される構造を有する。
一般式:5’−A−B−C−3’
前記式で、前記Aは、ハイブリダイゼーションされる前記ターゲット核酸配列の一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する5’−低Tm特異性部位であって、前記Cの一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記Bは、少なくとも3つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、前記Cは、ハイブリダイゼーションされる前記ターゲット核酸配列の一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する3’−高Tm特異性部位であって、前記Aの一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記AのTmは、前記CのTmより低く、前記分割部位は、3つの部位のうち最も低いTmを有し、前記分割部位は、前記AとCが前記ターゲット核酸配列にハイブリダイゼーションされる条件の下で非塩基対の構造を形成し、前記ハイブリダイゼーションは、C単独によるハイブリダイゼーションが発生しない条件の下で実施される。
【0035】
本発明に用いられるダンベル構造オリゴヌクレオチドは、分割区域により分離した5’−低Tm特異性区域(5’−low Tm specificity portion)と3’−高Tm特異性区域(3’−high Tm specificity portion)により類型特異的にハイブリダイゼーションが決定されるので、大きく向上したハイブリダイゼーション特異性を示すことができる。
【0036】
より詳細には、ダンベル構造オリゴヌクレオチドは、ターゲット核酸配列にアニーリングされるとき、特異性が従来のプライマーのようにプライマー全長により決定されるものではなく、互いに分割された5’−低Tm特異性部位および3’−高Tm特異性部位により二重的に決定される。したがって、ダンベル構造オリゴヌクレオチドは、ターゲット核酸配列にアニーリングされるとき、従来のプライマーと異なる方式(performance)でアニーリングされ、これは、アニーリング特異性を大きく向上させる結果を招く。
【0037】
本発明に用いられるダンベル構造オリゴヌクレオチドにおいて、前記分割区域に位置するユニバーサル塩基は、デオキシイノシン、イノシン、7−ジアザ−2’−デオキシイノシン、2−アザ−2’−デオキシイノシン、2’−OMeイノシン、2’−Fイノシン、および前記塩基の組合せよりなる群から選ばれ、より好ましくは、デオキシイノシン、イノシン、または5−ニトロインドールであり、最も好ましくは、デオキシイノシンである。本発明の好ましい具現例によれば、前記分割区域は、連続したユニバーサル塩基を含む。
【0038】
本発明に用いられるダンベル構造オリゴヌクレオチドにおいて、前記5’−低Tm特異性部位の長さは、3’−高Tm特異性部位より短い。前記5’−低Tm特異性部位は、好ましくは、3−15ヌクレオチドまたは3−5ヌクレオチド長さを有する。前記3’−高Tm特異性部位は、3−30ヌクレオチド、5−19ヌクレオチド、6−18ヌクレオチド、または18−30ヌクレオチド長さを有する。前記分割区域は、3−5ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、前記5’−低Tm特異性部位は、3〜5ヌクレオチド長さ、前記分割部位は、3〜5ヌクレオチド長さ、および前記3’−高Tm特異性部位は、18〜30ヌクレオチド長さを有する。
【0039】
本発明の一具現例によれば、前記5’−低Tm特異性部位は、10〜30℃のTmを有する。また、前記3’−高Tm特異性部位は、50〜65℃のTmを有する。前記分割区域は、好ましくは3〜10℃のTmを有する。
【0040】
本発明の一具現例によれば、前記3’−高Tm特異性部位は、ハイブリダイゼーションされるターゲット核酸配列に対して完全に相補的なヌクレオチド配列を有し得る。
【0041】
本発明の一具現例によれば、前記ダンベル構造オリゴヌクレオチドのターゲット核酸配列へのアニーリングは、50℃〜65℃範囲の温度で実施され得る。
【0042】
本発明の一具現例によれば、前記ターゲット核酸配列の1次増幅は、前記ダンベル構造オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション、延長および変性過程を含む鋳型依存的延長反応の過程を繰り返すことによって行われ得る。
【0043】
本発明の一具現例によれば、前記増幅反応は、重合酵素連鎖反応により実施され得る。
【0044】
多様なDNA重合酵素が本発明の方法の重合酵素連鎖反応に使用され得、これは、E.coli DNA重合酵素Iの「クレノウ」断片、熱安定性DNA重合酵素およびバクテリオファージT7 DNA重合酵素を含む。好ましくは、重合酵素は、多様なバクテリア種から得ることができる熱安定性DNA重合酵素であり、これは、テルムス・アクウァーティクス(Thermus aquaticus;Taq)、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus;Tth)、サームス・フィリフォルミス(Thermus filiformis)、サーマス・フラブス(Thermus Flavus)、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)、およびピュロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus;Pfu)を含む。重合反応を実施するとき、反応容器に反応に必要な成分を過量で提供することが好ましい。増幅反応に必要な成分の過量は、増幅反応が成分の濃度に実質的に制限されない程度の量を意味する。Mg2+のような助因子、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTPを所望の増幅程度が達成され得るほどに反応混合物に提供することが好適である。
【0045】
本発明の一具現例によれば、前記段階(a)の1次増幅は、増幅産物間の深刻な競争が起こる前の時点まで増幅させることができる。
【0046】
本発明の一具現例によれば、前記段階(b)で使用された蛍光発生レポータがSYBR Green、SYTO 9、EvaGreenまたはLCGreenであってもよい。
【0047】
本発明の一具現例によれば、前記段階(b)で使用されたプライマーは、通常のプライマー(conventional primer)てあるか、異なるダンベル構造オリゴヌクレオチドであってもよい。本発明の一具現例によれば、前記段階(b)に使用されるプライマーは、前記段階(a)で使用されたオリゴヌクレオチドと同じダンベル構造オリゴヌクレオチドであってもよい。
【0048】
本発明の一具現例によれば、前記段階(a)および(b)に使用されたダンベル構造オリゴヌクレオチドが互いに同一であり、前記段階(b)で高い特異度を有するプライマーを好む側にオリゴヌクレオチドプライミング(oligonucleotide priming)が実質的に偏向するようにすることができる。
【0049】
本発明の一具現例によれば、前記段階(a)および(b)で使用されたオリゴヌクレオチドのうち少なくとも一つがUTPヌクレオチドを含むことによって、UNG酵素により分解され得る。
【0050】
本発明の一具現例によれば、前記段階(a)で使用されたオリゴヌクレオチドのうち少なくとも一つがUTPヌクレオチドを含み、前記段階(a)後に、UNG酵素により前記オリゴヌクレオチドを除去して、前記プライマーによる2次増幅での汚染を実質的に防止することができる。
【0051】
本発明の一具現例によれば、前記段階(a)は、1〜25サイクルの範囲で行われ得る。本発明の他の具現例によれば、前記段階(a)は、5〜20サイクルの範囲で行われ得る。本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(a)は、10〜15サイクルの範囲で行われ得る。しかしながら、前記サイクルの範囲は、当業者により自由に変形され得る。
【0052】
本発明の一具現例によれば、前記段階(b)でのシグナル検出は、蛍光レポータから生成された蛍光シグナルを毎サイクルごとに測定して、これを増幅曲線をプロッティング(plotting)することによって行われ得る。例えば、前記増幅曲線に予め定められた閾値(threshold)を適用することによって、ターゲット核酸配列が存在するか、または不在であるかを確認することができる。また、前記増幅曲線は、ターゲット核酸配列を定量分析するのに使用することができる。例えば、前記増幅曲線でCt(Cycle threshold)値を測定することによって、サンプル内に存在するターゲット核酸配列の量を確認することができる。このようなターゲット核酸配列の定性および定量分析は、当業界に知られている。
【0053】
本発明の一具現例によれば、前記段階(b)のシグナル検出は、融解曲線分析(melt curve analysis)により行われ得る。前記融解曲線分析は、当業界において広く知られている。例えば、段階(b)を完了した後、最終産物を一定の温度間隔で温度を増加させながら、蛍光を測定することによって、溶融曲線をプロッティングすることができる。本発明の一具現例によれば、前記融解曲線が0.05℃〜0.02℃の範囲の解像度で生成され得る。本発明の他の具現例によれば、前記融解曲線が0.02℃未満の解像度で生成され得る。
【0054】
従来のリアルタイムPCR方式は、増幅と検出を同時に行わなければならないので、高速処理に限界がある。例えば、従来のリアルタイムPCRは、増幅と検出を同時に行うので、検出に所要する時間が約2時間かかるのに対し、本発明は、増幅と検出を分離して行うことができるので、検出だけを行うのにリアルタイムPCR装備を用いて30分内に結果を得ることができる。
【0055】
また、本発明は、ダンベル構造オリゴヌクレオチドを使用することによって、蛍光二重標識されたプローブの使用量を減少させて、分析費用を大きく低減することができ、また、用いられる試料の量と分析時間も低減することができ、検出敏感度を大きく改善することができる。
【0056】
ひいては、本発明の多重増幅二重シグナル増幅(MANSA)技術は、反応時間が短く、リアルタイムで反応産物をモニタリングすることができるので、検査室での業務量が少なく必要であり、多重重合酵素連鎖反応は、同時に多数の遺伝子変異有無を確認することができ、これを試料に用いる場合、従来のリアルタイム重合酵素連鎖反応を行うにあたって、微量試料の場合、偽陰性に起因して発生し得るエラーを排除することができる。
【0057】
本発明は、ヌクレオチド配列内の多様なヌクレオチド変異またはSNP(single nucleotide polymorphism)を同時に検出する方法を提供する。特に、本発明は、ヌクレオチド配列内の同じ塩基または同じコドンでの変異を同時に検出できる方法を提供する。
【0058】
現在まで、簡単な増幅反応(例えば、PCR)だけで、2種以上のヌクレオチド変異、特に、同じ塩基または同じコドンでの2種以上の変異を同時に検出できる方法は、実際に開発されなかった。本発明は、このような同時変異検出を簡単な増幅反応だけで確認できる実際的な方法を提供する。
【0059】
本発明に用いられるダンベル構造オリゴヌクレオチドは、分割部位により分離した5’−低Tm特異性部位(5’−low Tm specificity portion)と3’−高Tm特異性部位(3’−high Tm specificity portion)により類型特異的にハイブリダイゼーションが決定されるので、大きく向上したハイブリダイゼーション特異性を示すことができる。
【0060】
本発明のダンベル構造オリゴヌクレオチドの3’−高Tm特異性部位は、ヌクレオチド変異に該当するか(corresponding)または相補的な(complementary)ヌクレオチドを含む。本発明のオリゴヌクレオチドがターゲットヌクレオチド配列のセンス鎖とハイブリダイゼーションされる場合には、3’−高Tm特異性部位は、ヌクレオチド変異に相補的なヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖とハイブリダイゼーションされる場合には、ヌクレオチド変異に該当するヌクレオチドを含む。
【0061】
本発明の好ましい具現例によれば、前記ヌクレオチド変異に該当するまたは相補的なヌクレオチドは、3’−高Tm特異性部位の3’−末端または3’−末端から1〜2塩基離隔したサイトに位置し、より好ましくは、3’−高Tm特異性部位の3’−末端から1〜2塩基離隔したサイトに位置する。最も好ましくは、ヌクレオチド変異に該当するまたは相補的なヌクレオチドは、3’−高Tm特異性部位の中間(center)またはその近く(around the center)に位置する。例えば、3’−高Tm特異性部位が3’−末端から1〜2塩基離隔した場合、ヌクレオチド変異に該当するかまたは相補的なヌクレオチドは、3’−高Tm特異性部位の5’−末端も1〜2塩基離隔した部位に位置する。
【0062】
前記オリゴヌクレオチドの3’−高Tm特異性部位で、ヌクレオチド変異に該当するヌクレオチドが3’−高Tm特異性部位の3’−末端から1〜2塩基離隔したサイトに位置すると共に、相補的なヌクレオチドが3’−高Tm特異性部位の5’−末端も1〜2塩基離隔した部位に位置すると、次のような有利な効果が発生する。
【0063】
例えば、一般的なプライマーを用いて、SNPを検出するときには、変異発生部位を3’−末端に位置することになるが、この場合、3’−末端の塩基がターゲット配列にアニーリングされるときと、アニーリングされないとき(すなわちミスマッチングされるとき)において、Tm値が大きく差が生じない。したがって、ミスマッチングされるときにも、アニーリングされて、増幅反応が起こるので、偽陽性の結果が出る傾向が大きい。反対に、変異発生部位を中間に偏って位置させると、変異発生部位がターゲット配列にアニーリングされるときとアニーリングされないとき(すなわちミスマッチングされるとき)において、Tm値がある程度大きく差が生じるが、大部分の熱安定性重合酵素は、ミスマッチングされる部分においても重合反応を触媒して、偽陽性の結果を招く。
【0064】
本発明による場合には、上述した従来技術の問題点を完全に克服することができる。例えば、ヌクレオチド変異に該当するかまたは相補的なヌクレオチドが3’−高Tm特異性部位の中間に偏って位置する場合、もし、この位置でミスマッチングが発生すると、3’−高Tm特異性部位だけで見るときには、構造の中央でミスマッチングが発生したので、3’−高Tm特異性部位のTm値がマッチングされるときと比較して大きく減少することになり、プライマー全体構造から見るときには、5’−末端と3’−末端で同時にミスマッチングされるので、熱安定性重合酵素は、重合反応を触媒しない。したがって、ミスマッチングされる場合、偽陽性の結果が発生しない。
【0065】
本発明の他の実施様態によれば、本発明は、ダンベル構造オリゴヌクレオチドを含むプライマー対を用いてターゲット核酸配列を検出する方法を提供する。前記方法は、下記段階を含む。
【0066】
(a)少なくとも一つの下記一般式で表されるダンベル構造オリゴヌクレオチドを含むプライマー対を用いてターゲット核酸配列を1次増幅させる段階であって、前記1次増幅は、プライマーハイブリダイゼーション、プライマー延長および変性過程の少なくとも二つのサイクルを含み:
一般式:5’−A−B−C−3’
前記式で、前記Aは、ハイブリダイゼーションされる前記ターゲット核酸配列の一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する5’−低Tm特異性部位であって、前記Cの一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記Bは、少なくとも3つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、前記Cは、ハイブリダイゼーションされる前記ターゲット核酸配列の一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する3’−高Tm特異性部位であって、前記Aの一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記AのTmは、前記CのTmより低く、前記分割部位は、3つの部位のうち最も低いTmを有し、前記分割部位は、前記AとCが前記ターゲット核酸配列にハイブリダイゼーションされる条件の下で非塩基対の構造を形成し、前記ハイブリダイゼーションは、C単独によるハイブリダイゼーションが発生しない条件の下で実施され、そして、
(b)前記1次増幅産物をプライマー対および蛍光発生レポータ(fluorogenic reporter)を用いた2次増幅反応により増幅させ、蛍光発生レポータからのシグナルを検出する段階であって、前記シグナルの検出は、ターゲット核酸配列の存在を示す。
【0067】
本発明の方法は、多重ターゲット核酸配列の検出に適用され得る。
【0068】
本発明のさらに他の実施様態によれば、本発明は、ダンベル構造オリゴヌクレオチドを含む二つ以上のプライマー対を用いてターゲット核酸配列を検出する方法を提供する。前記方法は、下記段階を含む。
【0069】
(a)少なくとも一つの下記一般式で表されるダンベル構造オリゴヌクレオチドを含む二つ以上のプライマー対を用いて二つ以上のターゲット核酸配列を1次増幅させる段階であって、前記1次増幅は、プライマーハイブリダイゼーション、プライマー延長および変性過程の少なくとも二つのサイクルを含み:
一般式:5’−A−B−C−3’
前記式で、前記Aは、ハイブリダイゼーションされる前記ターゲット核酸配列の一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する5’−低Tm特異性部位であって、前記Cの一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記Bは、少なくとも3つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、前記Cは、ハイブリダイゼーションされる前記ターゲット核酸配列の一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する3’−高Tm特異性部位であって、前記Aの一つの位置に対して実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記AのTmは、前記CのTmより低く、前記分割部位は、3つの部位のうち最も低いTmを有し、前記分割部位は、前記AとCが前記ターゲット核酸配列にハイブリダイゼーションされる条件の下で非塩基対の構造を形成し、前記ハイブリダイゼーションは、C単独によるハイブリダイゼーションが発生しない条件の下で実施され、そして、
(b)前記1次増幅産物を二つ以上のプライマー対および蛍光発生レポータ(fluorogenic reporter)を用いた2次増幅反応により増幅させ、蛍光発生レポータからのシグナルを検出する段階であって、前記シグナルの検出は、ターゲット核酸配列の存在を示す。
【0070】
本発明の一具現例によれば、前記段階(a)および(b)で使用されたオリゴヌクレオチドは、5個以上のターゲット核酸配列を増幅させるためのオリゴヌクレオチド、例えば5個のプライマー対(正方向および逆方向)および/またはプローブであってもよい。
【0071】
前述した二つの実施様態は、使用されたオリゴヌクレオチドおよびターゲット核酸配列の個数が異なるだけであり、その全体的な構成は、前記で説明した一実施様態と類似しているので、具体的な説明は省略する。
【0072】
本発明の特徴を要約すると、次の通りである:
第一に、本発明は、従来のリアルタイムPCR方式とは異なって、増幅産物を用いてターゲット核酸のシグナルを検出する方法であって、従来の方式よりも数十あるいは数百倍以下のTaqを使用しても、効果的なターゲット核酸の検出が可能である。したがって、従来のリアルタイムPCR製品に比べて安い製品を供給することができる。
【0073】
第二に、従来の検査方法では、ウイルスあるいはバクテリアのような病原体感染有無を検査するためには、それぞれの検査による試料が別に要求される。すなわち、ウイルス感染検査のための試料、バクテリア感染有無を検査するための試料およびかび感染検査のための試料がそれぞれ必要である。これとは反対に、本発明では、一つの反応チューブで10種余り以上のウイルス、バクテリアおよびかびのような病原体のターゲット核酸配列を同時に増幅した後,この増幅産物を用いてウイルス、バクテリア、かびそれぞれ検査あるいはウイルス/バクテリア、ウイルス/バクテリア/かび等の多様な組合せによりターゲット核酸配列の検出が可能である。すなわち、一回の試料採取および少量の試料を用いて様々な検査が可能である。
【0074】
第三に、従来のリアルタイムPCRの場合には、少量のターゲット核酸配列を用いて増幅と同時に検出する方法であって、初期ターゲット核酸配列の濃度に依存的である。これに対し、本発明は、1次増幅された産物を用いて、第2次検出過程でターゲット核酸に対するシグナルを増幅する過程が追加されることによって、従来の方法より優れた敏感度を有する。すなわち、本発明によれば、ネステッドPCRと類似した敏感度改善効果を達成することができる。
【0075】
第四に、本発明では、一つの反応チューブで多種のウイルス、バクテリアおよびかびのような病原体のターゲット核酸配列を同時に増幅した後、この増幅された産物を用いて一次的にスクリーニング(分類)検査を行い、同じ増幅された産物を用いて感染陽性と確認された病原体を2次的に同定鑑別(個別区別)検査を行うことができる。すなわち、第1次検査でウイルス、バクテリアあるいはかびの感染有無を検査するスクリーニング検査を行い、もしウイルスに感染陽性の判定が出ると、どのようなウイルスが感染したか、更なる増幅反応なしに簡単かつ迅速に同定することができる。これに対し、従来の方法では、スクリーニングしてウイルス陽性の結果を得たとしても、別にウイルス核酸配列を増幅する過程を繰り返さなければならない。これにより、一回の増幅過程を通じて、この増幅された産物を用いて多様な検査が可能であるので、別途の増幅に必要な検査時間および費用が不要である。
【0076】
第五に、本発明では、ターゲット核酸配列の増幅反応は、一般的な増幅装備を用いて行われ、検出過程は、リアルタイム検出装備を通じて30分内に行われる。したがって、一般的な増幅装備を用いて増幅された産物が準備されると、30分ごとに96個(リアルタイム検出装備が96ウェルである場合)の試料を検査することができる。これに対し、従来のリアルタイムPCR方法は、96個の試料検出ごとに最小2時間30分が必要である。
【0077】
このような利点を有する本発明の多重増幅二重シグナル増幅(multiple amplification nested signal amplification;MANSA)技術を実施例を通じて詳細に説明する。
【0078】
実施例1:本発明の方法によるターゲット核酸配列の検出
ターゲット核酸配列としてジカウイルスのゲノムDNAを使用した。前記ジカウイルス ゲノムDNAを基礎として、ダンベル構造を有する前方向(forward)および逆方向(reverse)プライマーをデザインした。
【0079】
前記本発明で用いられるダンベル構造を有するプライマーは、基本的に一般式Iの構造を有するようにして、非常に高い特異性でターゲット核酸配列とハイブリダイゼーションされるようにした。このような一般式Iの構造を有するプライマーにおいて5’−低Tm特異性部位および3’−高Tm特異性部位は、分割部位により物理的にそして機能的に分割され、プライマー全体構造のハイブリダイゼーション特異性は、5’−低Tm特異性部位および3’−高Tm特異性部位により二重的に調節される。また、ヌクレオチド変異に該当したり、または変異にハイブリダイゼーションされる塩基は、3’−高Tm特異性区域の中央部分に位置するようにして、ミスマッチによるTm値の差を大きくしながらも、ミスマッチ時にTaq重合酵素によるDNA合成にならないようにした。使用されたターゲット核酸配列およびプライマー配列は、下記表1に示した。
【0080】
【表1】
【0081】
多様な濃度のターゲットDNA(最終濃度1ng、10pg、1pg、100fg、10fg、1fg、100agおよび10ag)をプライマー5pmoleおよびType IT HRMマスターミックス10μlを含有する20μlの最終体積で熱循環器(ABI 9700,PerKinelmer)に位置させた。前記反応混合物を95℃で10分間変性させ、95℃で30秒、65℃で60秒、72℃で60秒の過程を15回繰り返し、最終72℃で5分間反応後に終了した。
【0082】
その後、前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイム熱循環器(Rotogene Q、Qiagen)に位置させた;前記反応混合物を95℃で10分間変性させ、95℃で10秒、65℃で15秒、72℃で25秒の過程を30回繰り返し、最終蛍光シグナルの増加を検出した。所定の時間間隔(predetermined time interval)による各サイクルで発生したシグナルを検出した。
【0083】
前記結果を図2に示した。
【0084】
図2に示されたように、極微量の鋳型でターゲット核酸配列の蛍光シグナル増幅が現れなかった。このような結果は、ターゲット鋳型と本発明のプライマーのハイブリダイゼーションまたは一本鎖化した本発明のプライマー自らの切断によっては、シグナルの増幅が起こらないことを示す。一方、ターゲット核酸配列の濃度別の実験では、1fgまでのターゲット核酸配列の蛍光シグナルを確認した。したがって、ターゲット核酸配列の増幅なしに、本発明のプライマーを用いた変性、ハイブリダイゼーション、切断および延長の反復がターゲット蛍光シグナルを発生させるのに十分であり、これにより、リアルタイムシグナル増幅によるターゲット核酸配列の検出が可能になる。
【0085】
実施例2:本発明の方法のPCR敏感度
ジカウイルス遺伝子のターゲット核酸配列を検出することによって、本発明のプライマーを用いたリアルタイムPCR敏感度を確認した。図8に示されたように、1ngから始めて一連に希釈されたジカウイルスゲノムDNAを用いてリアルタイムPCRを実施する場合、10fgまで希釈させた場合にも、ターゲット核酸配列が検出された。
【0086】
また、前記増幅産物を電気泳動分析を用いて分析した結果を図9に示した。図9から分かるように、初期ターゲット核酸配列の濃度に比例する量で増幅産物が生成されたことを確認することができた。
【0087】
実施例3:本発明のプライマーを用いた融解温度曲線の分析
本発明者らは、リアルタイムPCR反応条件の下で、変性、ハイブリダイゼーション、切断および延長の繰り返しをDNA濃度別に適用させた場合、本発明のプライマーがターゲット核酸配列を検出するのに十分なシグナルを発生することができるか否かをさらに確認した。
【0088】
この評価を実験するために、本実施例1で用いられた同じ鋳型およびプライマーをリアルタイムターゲットシグナル増幅に用いた。多様な濃度のDNA(最終濃度1ng、10pg、1pg、100fg、10fg、1fg、100agおよび10ag)をプライマー5pmole、Type IT HRMマスターミックス10μlを含有する20μlの最終体積でリアルタイムターゲットシグナル増幅を実施した;前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイム熱循環器(Rotogene Q、Qiagen)に位置させた;これから得たそれぞれのPCR産物1μlを試料としてType−it HRM PCRキット(Qiagen Inc.,Germantown,MD,USA)を使用してリアルタイム−重合酵素連鎖反応を実施した。約10ulの2X Type−it HRM PCRマスターミックス、0.1ulのAPCプライマー混合液、9ulの蒸留水を添加した後、リアルタイム重合酵素連鎖反応を実施した。前記Type−it HRM PCRマスターミックスは、蛍光色素としてEvaGreenが入っている。
【0089】
リアルタイム重合酵素連鎖反応は、Rotor−gene Q(Qiagen Inc.,Germantown,MD,USA)を使用して95度で10分間反応後、95度で10秒、65度で15秒、72度で20秒の反応を30回繰り返した。最後の重合酵素連鎖反応が終わった後、約77度から89度まで秒当たり約0.2度の速度で温度を増加させながら、510nmの蛍光波長を測定して、融解曲線の分析を通じて増幅産物の蛍光強度変化を観察することができた。
【0090】
図10に示されたように、極微量の鋳型でターゲット核酸配列の蛍光シグナルが増幅されないため、融解温度曲線が現れなかった。このような結果は、ターゲット鋳型と本発明のプライマーのハイブリダイゼーションまたは一本鎖化した本発明のプライマー自らの切断によっては、シグナルの増幅が起こらないことを示す。一方、鋳型濃度別においては、1fgまでのターゲット核酸配列の蛍光シグナルを確認し、これに基づいて融解温度曲線を確認することができた。また、図6に示されたように、鋳型濃度別の融解温度曲線の分析においても1fgまでのターゲット核酸配列で融解温度曲線の分析が可能であった。
【0091】
以上、本発明の特定の部分を詳細に記述したところ、当業界における通常の知識を有する者にとってこのような具体的な記述は、単に好ましい具現例に過ぎないものであり、これにより本発明の範囲が制限されるものではない点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の請求の範囲とその等価物により定義される。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【配列表】
2019521716000001.app
【国際調査報告】