(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019521753
(43)【公表日】20190808
(54)【発明の名称】大型線形アレイを備える高速合成集束超音波イメージング
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20190712BHJP
【FI】
   !A61B8/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】2018565821
(86)(22)【出願日】20170612
(85)【翻訳文提出日】20181214
(86)【国際出願番号】EP2017064220
(87)【国際公開番号】WO2017220354
(87)【国際公開日】20171228
(31)【優先権主張番号】16181710.1
(32)【優先日】20160728
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】62/353,595
(32)【優先日】20160623
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
【住所又は居所】オランダ国 5656 アーエー アインドーフェン ハイテック キャンパス 5
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 5,NL−5656 AE Eindhoven
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ジャンーリュック フランソワ マリー
【住所又は居所】オランダ国 5656 アーエー アインドーフェン ハイ テック キャンパス 5
(72)【発明者】
【氏名】グエン マン
【住所又は居所】オランダ国 5656 アーエー アインドーフェン ハイ テック キャンパス 5
(72)【発明者】
【氏名】エルカムプ ラモン クイド
【住所又は居所】オランダ国 5656 アーエー アインドーフェン ハイ テック キャンパス 5
(72)【発明者】
【氏名】フアン シェーン ウエン
【住所又は居所】オランダ国 5656 アーエー アインドーフェン ハイ テック キャンパス 5
(72)【発明者】
【氏名】ラドゥレスク エミル ジョージ
【住所又は居所】オランダ国 5656 アーエー アインドーフェン ハイ テック キャンパス 5
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE04
4C601EE08
4C601GB03
4C601HH15
4C601HH22
4C601HH25
4C601HH27
4C601HH28
4C601HH29
4C601HH31
4C601HH38
4C601JC37
(57)【要約】
超音波診断イメージングシステム及び方法は、アレイのサイズよりも小さいアレイトランスデューサにわたってアパーチャを並進させる。 各アパーチャ位置では、送信ビームがアレイ及びアパーチャ位置からスキャンされる関心領域の上又は代わりに下に集束され、関心領域の広範な高周波照射がもたらされる。 アレイの側端部では、アパーチャはもはや並進されないが、送信ビームの焦点は、好ましくはビーム方向の傾斜を伴って同じアパーチャ位置から並進される。 複数の受信ビームが各送信イベントに応答して処理され、重なり合う受信ビームとエコー位置が空間的に組み合わされて、画像フィールドの中央部にわたる合成送信集束及び画像フィールドの側端部の空間合成によるノイズ低減がもたらされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイトランスデューサを備える超音波イメージングのための方法であって、
前記アレイの複数のアパーチャ位置にわたって前記アレイの要素の数より少ないアパーチャを並進させるステップと、
前記複数のアパーチャ位置において、前記アレイ及び画像フィールドにおける関心領域の後ろか、又は前記アレイ及び前記画像フィールドにおける前記関心領域を超えて、集束される送信ビームを送信するステップと、
各送信ビームに応答して、前記アパーチャにおいて、コヒーレントエコー信号の複数の同時マルチラインスキャンラインを生成するように処理される複数のエコー信号を受信するステップと、
前記アレイの端部におけるアパーチャ位置において、前記アレイ及び前記画像フィールドにおける関心領域の後ろか、又は前記アレイ及び前記画像フィールドにおける前記関心領域を超えて、集束される複数の送信ビームを送信し、各送信ビームに応答して、コヒーレントエコー信号の複数の同時マルチラインスキャンラインを生成するように処理される複数のエコー信号を受信するステップと
を有し、
前記アレイの端部における前記アパーチャ位置から送信される各送信ビームは、異なる焦点位置を有する、
方法。
【請求項2】
前記アレイの端部において前記アパーチャ位置から送信される各送信ビームは、前記トランスデューサアレイに対して異なる角度にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アレイの端部におけるアパーチャ位置から複数の送信ビームを送信するステップは、前記アレイ及び前記画像フィールドにおける前記関心領域の後ろの焦点において各送信ビームを集束させるステップと、前記トランスデューサアレイに対するその角度を増加させるために前記アレイの中心に向けて焦点を並進させるステップと
を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アレイの端部におけるアパーチャ位置から複数の送信ビームを送信するステップは、前記アレイ及び前記画像フィールドにおける前記関心領域を超えて、焦点に各送信ビームを集束させるステップと、前記トランスデューサアレイに対するその角度を増加させるために前記アレイの前記中心から離れるように焦点を並進させるステップとを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
関心領域の後ろに、又は前記関心領域を超えて、集束される送信ビームを送信するステップは、前記画像領域における関心領域上に集中される送信ビームを送信するステップをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数の異なるアパーチャ位置において、他方のアパーチャ位置で受信される複数のマルチラインスキャンラインと各々軸方向に位置合わせされる、一方のアパーチャ位置における複数のマルチラインスキャンラインを受信するステップを更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
軸方向に位置合わせされるマルチラインスキャンラインを組み合わせるステップをさらに有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
共通の空間位置から受信される前記アレイの端部における前記アパーチャ位置で受信されるマルチラインスキャンラインのエコー信号を組み合わせるステップをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
空間補間によって前記アレイの端部における前記アパーチャ位置で受信されるマルチラインスキャンラインのエコー信号を組み合わせるステップをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
超音波診断イメージングシステムであって、
-前記アレイのトランスデューサ素子の数よりも少ないアパーチャを有するアレイトランスデューサと、
-前記アレイに結合される送信ビームフォーマと、
-複数のマルチラインプロセッサと
を有し、
前記システムは、
a)前記アレイの複数のアパーチャ位置にわたって前記アパーチャを並進させ、前記複数のアパーチャ位置の各々において、前記送信ビームフォーマは、前記アレイ及び前記画像フィールドにおける関心領域の後ろか、又は前記アレイ及び前記画像フィールドにおける前記関心領域を超えて、集束される送信ビームを送信するように構成され、
b)各送信ビームに応答して、前記アパーチャから、コヒーレントエコー信号の複数の同時マルチラインスキャンラインを生成するように前記マルチラインプロセッサによって処理される複数のエコー信号を受信する
ことによって、前記アレイトランスデューサを用いて超音波画像を取得するように構成され、
前記送信ビームフォーマは、前記アレイの端部におけるアパーチャ位置で、前記アレイ及び前記画像フィールドにおける前記関心領域の後ろか、又は前記アレイ及び前記画像フィールドにおける前記関心領域を超えて、集束される複数の送信ビームを送信し、各送信ビームに応答して、コヒーレントエコー信号の複数の同時マルチラインスキャンラインを生成するように前記マルチラインプロセッサによって処理される複数のエコー信号を受信するように更に構成され、
前記アレイの端部における前記アパーチャ位置から送信される各送信ビームは、異なる焦点位置を有する、
超音波診断イメージングシステム。
【請求項11】
前記マルチラインプロセッサは、単一の送信ビームに応答してコヒーレントエコー信号の複数のマルチラインスキャンラインを生成するように、前記関心領域から受信されるエコー信号を処理し、前記エコー信号を遅延させ、組み合わせる、請求項10に記載の超音波診断イメージングシステム。
【請求項12】
前記送信ビームフォーマは、送信ビームの前記焦点と、前記トランスデューサ素子の前記アレイに対するその角度を決定する、請求項10に記載の超音波診断イメージングシステム。
【請求項13】
同時集束エコー信号を生成するために、エコー信号を遅延させて合計する、共に位置合わせされるマルチラインスキャンラインに応答して、複数の遅延部及び加算器をさらに有する、請求項10に記載の超音波診断イメージングシステム。
【請求項14】
前記システムは、
c)前記アレイの端部に位置されるとき、前記アパーチャによって共通の空間位置から受信されるエコー信号を組み合わせる
ことによって更に撮像する、請求項10に記載の超音波診断イメージングシステム。
【請求項15】
a)は、前記端部位置の間の複数のアパーチャ位置の各々において、前記送信ビームフォーマが、異なるビーム角度で複数の送信ビームを送信するように構成され、
アパーチャ位置において異なるビーム角度で送信される前記複数のビームに応答して、共通の点から戻されるエコー信号は、空間合成においてコヒーレントに結合される、
請求項10に記載の超音波診断イメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療診断超音波システムに関し、特に、大型線形アレイを有する合成集束超音波イメージングに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像が画像フィールドの全ての点に集束される合成集束の原理は、かなりの調査の対象となっている。例えば、米国特許第4,604,697号(Luthraら)は、超音波パルスが超音波トランスデューサアレイの各要素からシーケンシャルに送信される合成集束技術を記載している。各送信から受信されたエコー信号は、アレイのすべての素子によって受信され、記憶される。全ての信号が受信された後、集束エコー信号は、画像内の各点に対する各トランスデューサ素子の位置並びに各点への超音波信号のタイムオブフライト及び各点からの超音波信号のタイムオブフライトの知識から画像フィールドにおける各点において形成され得る。適切な受信信号は、画像内の各点についてコヒーレントエコー信号を形成するように結合される。各点を形成するために使用される記憶されたデータ値の選択は、画像内の各点に対するビーム形成を提供する。この方法は、画像フィールド内のすべての点で集束信号を生成するが、いくつかの欠点がある。 1つは、画像フィールド全体からのRF信号が処理のために記憶されなければならないことである。これには大量の情報保存が必要である。第2の欠点は、画像の各点についてデータを選択して重み付けし、それから画像データ点を計算するように適切に重み付けされたデータを結合するためにかなりの量の処理が必要となることである。第3の欠点は、単一のトランスデューサ素子によって伝達されるエネルギーは制限されるので、このアプローチは浅い侵入深さに対してのみ有効であるということである。
【0003】
合成集束の基本原理を使用する特定の用途は、従来の遅延 - 和受信ビームフォーマであり、各受信要素からの信号に適用される遅延は、合成集束技術におけるデータ選択と同等である。従来のビームフォーマは、特定の焦点領域に集束された送信ビームを送信し、この単一の送信ビームに沿ってのみエコーを動的に集束させるので、これらの原理の限定された用途である。したがって、画像フィールド全体をスキャンするためには複数の送信が必要である。結果として得られる効率は、データが、画像内のすべての点へのすべての送信に対して記憶される必要がないことであり、送信器から受信されるデータは、ビーム方向に沿ってコヒーレントエコー信号を形成するように直ちに処理される。制限は、各受信ビームが、選択される焦点領域のみでの送信に集束することにある。しかしながら、複数のトランスデューサ素子がビームを送信するように作動されるため、より深い深度での信号対雑音比は改善され、合理的な侵入が得られる。
【0004】
したがって、大量のRFデータを保存する必要はなく、画像の少なくとも重要な部分にわたって集束する送信をもたらすことが望ましい。
【0005】
米国特許第8,137,272号(Cooleyら)は、RF信号データを記憶する必要なしに、かなりのフィールド深度にわたって集束する送信をもたらす診断超音波システム及び方法を記載している。複数のスキャンライン位置の少なくとも一部を高周波で照射する超音波ビームが送信され、受信ビームが複数のスキャンラインに沿って、例えば並列で、又は時間多重化によって同時に処理される。このような連続送信は、共通のスキャンライン位置に関連する複数のスキャンラインを生成する。好ましくは、関連するスキャンラインは同心円状に位置合わせされる。関連するスキャンラインデータは、かなりのフィールド深度にわたって集束されて効果的に送信されるエコーデータを生成するためにビーム形成される。典型的な実施態様では、超音波システムは、複数のビームフォーマを用いて同時のビームを受信する。このような超音波システムは、いくつかの臨床応用においてマルチゾーンフォーカシングに頼る必要性を低減することによって、超音波イメージングのフレームレートを改善することができる。
【0006】
平面波として知られている集束されない波面を送信することにより、さらに高速な撮像が行われている。平面波は、画像フィールドの大部分を高周波照射することができ、したがって、関心領域をスキャンするためにわずかな送信間隔、例えば15の送信波しか必要とされない。解像度を改善するために、平面波は、異なる方向にステアリングされ、受信エコー信号はコヒーレントに合成される。画像内の同じ点が異なるビーム方向から複数回高周波照射されるため、画像信号の信号対雑音比が改善されるだけでなく、空間合成することによってアーチファクトが低減される。しかしながら、受信ビームのどれもが共に位置合わせされないので、合成送信集束を容易に生成する能力は失われる。さらに、異なるステアリング平面波は、使用されるステアリング角に応じて変化する受信信号のオーバラップをもたらす。この問題は、大型アレイが使用される場合に悪化する。その1つは、画像フィールドが、各セグメントにわたって送信される複数のステアリング平面波でセグメント化されることを必要とする。オーバラップの不均一性は、画像フィールドにわたってセグメントごとに変化し、セグメント間に遷移アーチファクトをもたらす。
【0007】
国際公開第2007/133882号は、トランスデューサアパーチャの平面に垂直な複数の集束ビームを送信し、各送信ビームに応答して複数の受信ラインを受信するように適合される超音波診断イメージングシステムを開示する。トランスデューサアパーチャのサブアパーチャは、アポダイゼーションによって規定され、サブアパーチャの信号は、サブアパーチャに対して異なる角度で送信ステアリングの効果を示す信号を生成するようにアラインされ、結合される。ステアリング信号が検出され、画像フィールド内の共通ポイントに関する検出信号は結合される。結合される検出信号は、スペックルが低減される超音波画像を生成するために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、合成送信集束を生成しながら、従来技術のオーバラップ不均一性及び遷移アーチファクトなしに、高速スキャンを行うことができることにある。
【0009】
この目的は、独立請求項によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項によって定義される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の原理によれば、アレイトランスデューサのための超音波イメージングシステム及び方法が、画像フィールドをスキャンするためにアレイの間に並進される送信及び受信アクティブアパーチャを使用する。各アパーチャ位置での送信ビームは、アレイの後ろに集束され、関心領域はアパーチャ位置からスキャンされ、又は代わりにアレイを超えてスキャンされ、関心領域はアパーチャ位置からスキャンされ、関心領域の広い高周波照射がもたらされる。アレイの横方向端部では、アパーチャはもはや並進されないが、送信ビームの焦点は、好ましくはビーム方向の回転(傾斜)により同じアパーチャ位置から並進される。複数の受信ビームは、各送信イベントに応答して超音波システムによって処理され、共通の空間位置からのオーバラップ受信ビーム及びエコーが空間的に組み合わされて、画像フィールドの中心にわたる合成送信集束及び画像フィールドの横方向端部における空間合成によるノイズ低減をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】アレイトランスデューサ及び関心領域を超えて集束される送信ビームを用いて、2つの要素の増分で画像フィールドの中心を横切るアクティブアパーチャの並進による超音波スキャンを示す。
【図2】アレイトランスデューサ及び関心領域の上に(すなわち後ろに)集束される送信ビームを用いて、2つの要素の増分で画像フィールドの中心を横切るアクティブアパーチャの並進による超音波スキャンを示す。
【図3】アレイトランスデューサ及び関心領域を超えて集束される送信ビームを用いて、4つの要素の増分で画像フィールドの中心を横切るアクティブアパーチャの並進による超音波スキャンを示す。
【図4】アレイトランスデューサ及び関心領域の上に集束される送信ビームを用いて、4つの要素の増分で画像フィールドの中心を横切るアクティブアパーチャの並進による超音波スキャンを示す。
【図5a】送信ビームの焦点の連続的な並進及びビーム角度の傾斜を伴う固定アパーチャからの大型アレイの端部における超音波スキャンを示す。
【図5b】送信ビームの焦点の連続的な並進及びビーム角度の傾斜を伴う固定アパーチャからの大型アレイの端部における他の超音波スキャンを示す。
【図5c】送信ビームの焦点の連続的な並進及びビーム角度の傾斜を伴う固定アパーチャからの大型アレイの端部における他の超音波スキャンを示す。
【図6a】空間合成を行うための大型アレイの中心の同じアパーチャ位置からの送信焦点及びビーム角傾斜の連続的な並進を示す。
【図6b】空間合成を行うための大型アレイの中心の同じアパーチャ位置からの送信焦点及びビーム角傾斜の他の連続的な並進を示す。
【図6c】空間合成を行うための大型アレイの中心の同じアパーチャ位置からの送信焦点及びビーム角傾斜の他の連続的な並進を示す。
【図7】本発明の原理に従って構成される超音波システムをブロック図形態で示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
最初に図1を参照すると、トランスデューサ素子12の大型アレイ10が示されている。この例では、アレイの前の画像フィールド(図の下側)は、10個のトランスデューサ素子12のアクティブアパーチャAからスキャンされ、アレイを横切って異なる位置に並進される。 1つのアパーチャ位置A1はブラケットによって示され、第2のアパーチャ位置A2は第2のブラケットによって示される。この例では、A1とA2のアパーチャ位置が重なり、A2アパーチャは8つのA1アパーチャ要素と、A1アパーチャの右側の追加の2つの要素とを有する。送信ビームは、アパーチャの中心と軸方向に位置合わせされる各アパーチャ位置で送信される。この例における送信ビームは、アレイ及び関心領域ROIを超える(下の)焦点を有する。すなわち、図の上から下に向かって、アレイ10が上に配置され、それから、関心領域ROIがアレイ10の下に配置され、最後に焦点が両方の下にある。 A1アパーチャから送信される送信ビームは、収束ライン30によって示されるように、焦点F1で収束するように見える。広い送信ビームは、ROI1内の10本のスキャンライン位置、スキャンライン22,24、... 26を高周波照射する。広い送信ビームに応答してROI1から戻されるエコー信号は、マルチラインプロセッサによって処理され、10本のスキャンライン22,24、... 26からコヒーレントなエコー信号を同時に生成する。したがって、1本の送信ビームは10本の受信スキャンラインを生成し、画像フィールドの高速スキャンを可能にする。これらの10本のスキャンラインが受信された後、アパーチャは、矢印34によって示されるようにA2アパーチャ位置に並進され、このとき、(破線で示されるように)アレイ及びROI2を超えてF2に集束される他の広い送信ビームを送信することによって、及び他の10本のスキャンラインの同時形成のためのエコー信号を返すことによって、送受信サイクルが繰り返される。この新しいスキャンライングループのうちの8つは、前に取得されるスキャンラインの右端の8つと軸方向に位置合わせされ、ROI2の非重複部分に2つの追加のスキャンラインが生成される。アパーチャの前後の並進は、これらの2つのグループとの軸方向位置合わせで他のスキャンラインを生成することが理解される。軸方向に位置合わせされるスキャンラインはそれから、コヒーレントに結合され、相対的な遅延は、その送信ビーム中心からのスキャンラインのオフセットを反映する。結合スキャンラインは、集束されて別々に送信される特性、エコー情報のための所望の合成集束特性を有するコヒーレントエコー信号のスキャンラインを生成する。各アパーチャ位置での送受信サイクルによる大型アレイ10にわたるアパーチャの並進は、受信及び合成送信集束の両方を用いてアレイの前の画像フィールド全体をスキャンする。
【0013】
図2は、図1のような他のスキャン技術を示しており、広い送信ビームの焦点特性に違いがある。この例では、各送信ビームは、トランスデューサアレイ10及びROIの後ろ(図面の上)に集束され、図1の場合のように収束するのではなく、ROIを通過する際に発散する。すなわち、図面の底から上に、関心領域ROIが底部に配置され、それから関心領域ROIの上に配置されるアレイ10が存在し、最後に焦点はそれらの両方の上にある。図2のスキャンの他のすべての動作は同じであり、1つのアパーチャ位置から隣接するアパーチャ位置までの2つの要素の増分でアレイを横切るアパーチャの並進が含まれる。結果は、図1の技術と同じである。並進されるアパーチャ位置からのスキャンと、複数の共に位置合わせされる複数のスキャンラインの組み合わせは、受信及び合成送信集束の両方の特性を持つ画像を生成する。
【0014】
図3及び図4は、アパーチャ位置が2つではなく4つのトランスデューサ要素の増分で並進されることを除いて、図1及び図2のような大規模なアレイスキャン技術を示す。これは、アレイ全体にわたるアクティブアパーチャの並進が、図1及び図2の場合よりも高速であり、したがって、より高いフレームレートの表示で画像が生成されることを意味する。しかしながら、並進の増分が大きくなると、各スキャンライン位置で、オーバラップする複数の共に位置合わせされるマルチライン受信スキャンラインが少なくなり、合成送信集束効果が図1及び図2の2要素並進増分と比較して減少することを意味する。より高いフレームレートの表示のための合成集束精度のトレードオフがある。
【0015】
アレイ12の側端部では、図5a、図5b、及び図5cに示すように、10個のアパーチャAnはもはや並進することができない。これらの横方向アパーチャ位置での受信スキャンラインオーバラップの不均一性を防止するために、アパーチャはもはや並進されないが、図5a、図5b、及び図5cに示されるように、送信ビームの焦点は、アレイの面の平面に対して送信ビーム及び受信ビームの角度の傾きと共に並進される。図5aにおいて、ビームは、前のようにROIの後ろでROIに中心を置く焦点からROIを横切って送信される。図5aは、さらに、F1でアレイの後ろにあり、図2及び図4の場合のように、ROIn1を通過する際にライン30で示されるように発散するビーム集束送信を示す。スキャンライン22,24、... 26は、この第1の送信ビームに応答して受信される。次の送受信サイクルが図5bに示されており、矢印34で示されるようにF2焦点が左に(アレイの中心に向かって)並進され、送信ビームがライン32によって示されるように発散し、傾斜ROIn2上に集中され、送信ビームは右に傾斜し、受信スキャンライン22 '、24'、...、26 'はROIn2において右に傾斜している。図5cに示される次の送受信サイクルでは、送信ビームのための焦点F3は、矢印34によって示されるように、さらに左に並進される。前の例と比較して、F2の横方向の位置と比較してアレイの中心に近いF3の横方向の位置のシフトにより、増大した角度でステアリングされた送信ビームが依然としてアクティブアパーチャサイズAnから発散される。送信ビームはライン36によって示されるようにROIn3を横切って発散し、ROIn3の傾斜は図5a又は5bよりも大きく、マルチラインスキャンラインはスキャンライン位置22 '、24 "、... 26"で同時に受信される。送信ビーム及びROIn1から受信されるスキャンライン22,24、... 26は、アレイの面に対してゼロの角度(直交)にあるのに対して、送信ビーム及びスキャンラインセット22 '、24'、... 26 '及び22 "、24"、... 26 "についての受信マルチラインはアレイの面に対して非ゼロの角度(90°ではない)にある。組み合わされる各エコーは異なる位置に配置され、角度付けられる送信ビームから生成されるので、受信されるスキャンラインの3セットは、軸方向に共に位置合わせされず、互いに空間的に交差し、各共通の交点から受信されるエコーは、空間的に合成されるコヒーレントなエコー信号を生成するために結合される。したがって、アレイの端部の画質は、空間合成によって更に強調される。図5a乃至図5cは、アレイ10及びROInの後ろの焦点を有する送信ビームについてのこの動作を示しているが、図1及び図3の例の場合のように、アレイ10及びROInを超えて(図5a乃至5cの下で)集束される送信ビームを用いて実施することもできる。この動作は、アレイの左端及び右端の両方で実行され、それにより、大型アレイ10の画像フィールド全体にわたる合成送信集束又は空間合成によって強調された画像が生成される。
【0016】
必要に応じて、図6a、6b、及び6cに示すように、各アパーチャ位置について異なる焦点から2つ以上のビームを送信することによって、空間合成による画像フィールド全体の強調を行うことができる。この3つの送信ビーム角度の例では、送信ビームは、図1-4の場合のように(アレイに垂直な)0のステアリング角で、アレイ10及びROIの後ろ、又は代わりに超えて、焦点位置F1から送信される(ROI及びアレイの後ろの場合がこれらの図に示されている)。前のように、0のステアリング角を備える10個のマルチラインスキャンライン22, ... 26は、図6aに示すようにROIaから受信される。図6bにおいて、送信ビームのF2焦点は、矢印34によって示されるようにF1の位置に対して右に並進され、ライン32によって示される発散する送信ビームは、左に傾けられたROIbにわたって送信される。したがって、送信ビームは、非ゼロ角度で送信され、したがって、受信されるマルチラインスキャンライン22 '... 26'は、図6bに示されるように、非ゼロ角度で受信される。図6cにおいて、送信ビーム焦点は、F1の位置に対して左に並進され、異なる非ゼロ角度を有する広い発散送信ビームはROIcを横切って送信される。スキャンライン22 "... 26"は、送信ビームと同じ非ゼロ角度で受信される。 3セットのスキャンラインの共通点から受信されるエコーは、コヒーレントに合成されて空間合成を行う。この同じプロシージャは、アレイにわたる異なるアパーチャ位置に対して繰り返される。画像フィールド全体にわたる空間合成のために画質が改善されるが、表示のフレームレートは、各アクティブアパーチャ位置で実行される複数の送受信サイクルにより、及びそれに比例して減少する。
【0017】
図7は、本発明の原理に従って構成される超音波撮像システムのブロック図の形態を示す。超音波プローブ102は、トランスデューサ素子の大型線形アレイ104を含む。異なるアパーチャ位置にあるトランスデューサ素子の選択されるグループは、送信ビームフォーマ106によってそれぞれ遅延時間で作動されて、アレイ及び関心領域の前(すなわち、それを超えて)又はその代わりにその後ろ、及び所望の方向で、選択される焦点領域に集束されるビームを送信し、関心領域に集中される。送信ビームフォーマは、印加される高電圧送信パルスから受信器入力を保護するクロスポイントスイッチを含む送受信スイッチ108によってトランスデューサ素子に結合される。各送信ビームに応答してアレイ104のアクティブアパーチャの各トランスデューサ素子によって受信されるエコーは、マルチラインプロセッサ110a-110nの入力に印加される。各マルチラインプロセッサは、アレイ要素からの受信エコーを重み付けするために、それ自身の遅延のセット、及び必要に応じてアポダイゼーション重み付けを適用し、それから単一の送信イベントから複数の異なるステアリング受信ビームの1つを形成するように結合される。マルチラインプロセッサ110a-110nのための適切なマルチラインビームフォーマは、例えば、米国特許第6,695,783号(Hendersonら)及び米国特許第5,318,033号(Savord)に記載される。マルチラインプロセッサ110a乃至110nの出力は、少なくとも1つの表示データ線を形成するのに必要なマルチラインの全てが取得されるまで、受信マルチラインを記憶するラインストア112に結合される。表示データの特定のラインを形成するために使用されるマルチラインのグループは、対応するライン位置の表示データを生成するために、乗算器116a乃至116nのそれぞれの一つに印加される。各ラインからのエコーデータは、必要に応じて、アポダイゼーションウェイト114a-114nによって重み付けされてもよい。一般に、これらの重み付けは、往復インパルス応答の関数として各ラインを重み付けする。適切な重み付けアルゴリズムは、送信波面による画像フィールド内の位置(x、z)の点の高周波照射振幅をamplitude(x、z)とすることによって導出されることができ、方位角位置x = 0は送信ビームの中心軸に対応する。 Xを送信ビーム軸に対する受信マルチラインの方位角とする。深さZで画像の点を形成するためにこの受信マルチラインに適用される重み付けは、
【0018】
Weight(X、Z)=amplitude(X、Z)
になる。
【0019】
適切な遅延特性を決定するために、位置(x、z)の点に到達するのに送信波面によって必要な伝搬時間をpropagation_time(x、z)とし、方位角x = 0は送信ビームの中心軸にここでも対応する。 Xを送信ビーム軸に対する受信ラインの方位角とする。深さZにおける画像の点で受信マルチラインによって経験される遅延は、
【0020】
Delay(X、Z)= propagation_time(X、Z)-propagation_time(0、Z)
となる。
【0021】
ここで、propagation_time(0、Z)は同じ深さであるが軸上にある点に到達する時間である。この遅延は、遅延ライン118によって適用される遅延によって正又は負で適切に補償されなければならない。
【0022】
関数amplitude(X、Z)及びpropagation_time(X、Z)は、例えば、送信フィールドのシミュレーションから得ることができる。伝播時間を計算する適切な方法は、いくつかの周波数で単色シミュレーションからのフィールドの位相遅延を使用することである。振幅は、いくつかの周波数におけるフィールドの振幅を平均化することによって計算することができる。さらに、深度依存正規化は重み付けに適用されることができる。これは、与えられた深さにおけるすべての重み付けを共通の係数で乗算する。例えば、スペックル領域が深度と共に均一な輝度を有するように正規化を選択することができる。重み付けを深度の関数として変化させることによって、深度を用いてアパーチャのサイズ及び形状(アポダイゼーション)を動的に変化させることが可能である。
【0023】
振幅及び伝搬時間は、システムで使用される正確な送信特性のシミュレーションから導出される必要はない。設計者は、例えば、異なるアパーチャサイズ又は異なるアポダイゼーションを使用するように選択することができる。
【0024】
各ラインからのエコーは、乗算器116a-116nによって重み付けされ、遅延ライン118a-118nによって遅延される。一般に、これらの遅延は、上に示したように、受信ライン位置に対する送信ビーム中心の位置に関連する。これらの遅延は、異なる送受信ビーム位置の組み合わせを有するマルチラインのためにラインごとに存在する位相シフト分散を等化するために使用され、その結果、信号のキャンセルは結合される信号の位相差によって引き起こされない。
【0025】
デジタルシステムでは、遅延ラインは、重み付けされるマルチラインエコーデータをメモリに記憶し、必要な遅延をもたらす後の時間にデータを読み出すことによってもたらされ得ることが理解されるであろう。異なる長さ及びクロック信号のシフトレジスタは、デジタル遅延をもたらすようにも使用され、又は米国特許第6,695,783号に示される補間ビームフォーマが使用されることができる。遅延信号は、加算器120(すなわち加算ブロック又は加算器)によって組み合わされ、結果としての信号は画像プロセッサ122に結合される。画像プロセッサは、表示画像を改善するためにスキャン変換又は他の処理を実行することができる。得られた画像は画像ディスプレイ124に表示される。
【0026】
図7のシステムでは、遅延線118と加算器120は、所与の方向に共に位置合わせされる複数の受信マルチラインから受信される信号のリフォーカスを行う。リフォーカスは、各マルチラインに対して異なる送信ビーム位置の使用からもたらされる位相差を調整し、結合信号における望ましくない位相キャンセルを防止する。重み付け114は、マルチライン位置への送信ビームの近接性に関するマルチラインの寄与を重み付けし、より高い信号対雑音比を有するビームを受信するためにより大きな重み付けを与える。これにより、各受信ラインに沿ってフィールドの延在する深度がもたらされ、各受信ライン方向に複数のサンプリングの組み合わせによる、強調される侵入(改善される信号対雑音比)がもたらされる。
【0027】
図7に示すシステムは、共に位置合わせされるスキャンラインから合成集束画像データを生成するのに有効である。図5a乃至5cのアレイの横方向端部について、また所望される場合、図6a乃至6cに示されているような画像フィールドにわたって示されているような空間合成の場合、空間合成は、米国特許第6,210,328号(Robinsonら)の図1に図示されているように実行されることができる。示されるように、図7のラインストア112に記憶される、異なる方向の送信ビームからの受信スキャンラインデータは、この場合、フィルタリングされ、検出され、それから、前処理(例えば、重み付け)、空間リサンプリング、画像フィールド内の共通点から受信されるスキャンラインデータを結合することによって処理される。これにより、結合されるスキャンラインデータは空間的に合成されて画質を改善する。
【0028】
本発明の実施例では、合成送信再集束又は空間合成のために結合されるマルチラインが全て、正確に軸方向に共に位置合わせされるか、又は正確に空間的に交差する必要はない。結合されるべきマルチラインは互いにオフセットされ、マルチラインの信号が結合される前に補間が実行される。本発明の原理は、仰角及び方位角の両方の寸法での処理を実行することによる3次元イメージング、及び湾曲した線形アレイの使用にも適用可能である。
【0029】
本発明は、アレイトランスデューサを有する超音波イメージングのための方法であって、
【0030】
アレイの複数のアパーチャ位置にわたってアレイの要素の数より少ないアパーチャを並進させるステップと、
【0031】
複数のアパーチャ位置において、前記アレイ及び前記画像フィールド内の関心領域の後ろか、又は前記アレイ及び前記画像フィールド内の前記関心領域を超えて、集束される送信ビームを送信するステップと、
【0032】
各送信ビームに応答して、アパーチャにおいて、コヒーレントエコー信号の複数の同時マルチラインスキャンラインを生成するように処理される複数のエコー信号を受信するステップと、
【0033】
前記アレイの端部のアパーチャ位置において、前記アレイ及び前記画像フィールド内の関心領域の後ろか、又は前記アレイ及び前記画像フィールド内の前記関心領域を超えて、集束される複数の送信ビームを送信し、各送信ビームに応答して、コヒーレントエコー信号の複数の同時マルチラインスキャンラインを生成するように処理される複数のエコー信号を受信するステップと
を有し、
【0034】
アレイの端部のアパーチャ位置から送信される各送信ビームは、異なる焦点位置を有する、
方法に関する。
【0035】
この方法では、アパーチャを並進させるステップは、リニアアレイの複数のアパーチャ位置にわたってリニアアレイの要素の数より少ないアパーチャを並進させるステップをさらに有することができる。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【国際調査報告】