(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019521769
(43)【公表日】20190808
(54)【発明の名称】生体適合性且つ血液適合性の材料及びフィルタ
(51)【国際特許分類】
   A61L 31/02 20060101AFI20190712BHJP
   A61M 1/16 20060101ALI20190712BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20190712BHJP
   A61L 31/08 20060101ALI20190712BHJP
   A61L 31/12 20060101ALI20190712BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20190712BHJP
   A61L 31/06 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   !A61L31/02
   !A61M1/16 101
   !A61P13/12
   !A61L31/08
   !A61L31/12
   !A61L31/14
   !A61L31/14 400
   !A61L31/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
(21)【出願番号】2018568874
(86)(22)【出願日】20170714
(85)【翻訳文提出日】20190227
(86)【国際出願番号】US2017042173
(87)【国際公開番号】WO2018013947
(87)【国際公開日】20180118
(31)【優先権主張番号】62/362,556
(32)【優先日】20160714
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/362,560
(32)【優先日】20160714
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518193722
【氏名又は名称】キドニ ラボズ,インク.
【氏名又は名称原語表記】QIDNI LABS,INC.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 14203 ニューヨーク州 バッファロー エリコット ストリート 640 43 ノース シー/オー ナンバー108
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】メンドンカ,アンドリュウ
【住所又は居所】アメリカ合衆国 94103 カリフォルニア州,サンフランシスコ,ジェシー ストリート 479
(72)【発明者】
【氏名】スド,ラマン,エム.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 94103 カリフォルニア州,サンフランシスコ,ジェシー ストリート 479
(72)【発明者】
【氏名】アハマディ,モルテザ
【住所又は居所】アメリカ合衆国 94103 カリフォルニア州,サンフランシスコ,ジェシー ストリート 479
(72)【発明者】
【氏名】カーン,タイモール
【住所又は居所】アメリカ合衆国 94103 カリフォルニア州,サンフランシスコ,ジェシー ストリート 479
【テーマコード(参考)】
4C077
4C081
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077BB02
4C077CC06
4C077EE01
4C077FF04
4C077KK01
4C077LL01
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4C077LL17
4C077PP24
4C081AC15
4C081BA01
4C081CA181
4C081CF111
4C081CF121
4C081CF131
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4C081CF151
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4C081CG05
4C081DA02
4C081DB03
4C081DC02
4C081DC06
4C081EA02
4C081EA03
4C081EA04
4C081EA12
(57)【要約】
血液濾過用途に適する、生体適合性且つ血液適合性の材料及びフィルタである。生体適合性及び血液適合性は、既存のセラミック基材を改良することによって達成され、この改良では、熱分解炭素層がフィルタに被覆される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の外側表面を有するセラミック基材であって、前記外側表面から前記基材の中へ細孔が延びている前記セラミック基材と、
前記基材に浸透してよい熱分解炭素の連続層を含む、前記表面層を覆う被覆と、
を含む材料。
【請求項2】
前記被覆は、厚さがおよそ5nmから50μmである、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記セラミック基材はセラミックチューブフィルタである、請求項1又は2に記載の材料。
【請求項4】
前記チューブフィルタは1つ以上のチャネルを含む、請求項3に記載の材料。
【請求項5】
前記セラミック基材はセラミックディスクフィルタである、請求項1又は2に記載の材料。
【請求項6】
前記基材は、アルミニウム、シリコン、ボロン、チタン、ジルコニウム、又はこれらの混合物の窒化物、炭化物、又は酸化物から成る群から選択されるセラミック材料で形成される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の材料。
【請求項7】
分子を濾過する場合のカットオフがおよそ30Daから200,000Daである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の材料。
【請求項8】
前記被覆は、改良されないセラミック基材材料より高い生体適合性及び血液適合性を提供する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の材料。
【請求項9】
埋込型又は外付けの血液濾過システム、又は臨床血液濾過システムの改良された動作の一環としてヒト又は動物の血液を濾過する為の、部品での使用、又はハウジングへの組み込み、又は位置決めの為に適合及び構成された、請求項1〜8のいずれか一項に記載の材料。
【請求項10】
前記材料は、幅がおよそ1mmから10cmであり、長さがおよそ5mmから50cmである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の材料。
【請求項11】
フィルタの製造方法であって、
外側表面を有するセラミック基材であって、前記外側表面から前記基材の中へ細孔が延びている前記セラミック基材を含むチューブフィルタを提供するステップと、
2つのマウンティングディスクの間に前記チューブフィルタをマウントしてマウント済みフィルタアセンブリを形成するステップと、
前記マウント済みフィルタアセンブリを石英リアクタ内に配置するステップと、
前記セラミック基材上の、炭素を含む材料の単層を熱分解するステップと、
を含む方法。
【請求項12】
前記石英リアクタをチューブ炉内に配置するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記マウンティングディスクは、
前記セラミックチューブフィルタの端部を収容するように構成された内側シートと、
ガスの通過を可能にするように構成された複数の穴と、
を含むディスクを含む、
請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記内側シートは、前記ディスクを貫通する穴を含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記熱分解は、およそ700℃から1200℃の温度で行われる、請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記細孔のうちの少なくとも40%の細孔が、前記熱分解の途中及び後に開いたままである、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記熱分解被覆層は、それ自体が多孔質である、請求項11〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
血液濾過装置であって、
外側ハウジングと、
流体を受けるように構成された、前記ハウジングを貫通する入口ポートと、
前記装置からの流出を除去する、前記ハウジングを貫通する出口ポートと、
前記ハウジングの内部にある少なくとも1つの限外濾過セラミック膜と、
患者の動脈と前記入口ポートとに接合するように構成された動脈入口チャンバと、
患者の静脈と前記出口ポートとに接合するように構成された静脈出口チャンバと、
前記ハウジングの各端部にあって、前記装置を封止し、血液の流れを両方の限外濾過セラミック膜に均等に分配するように構成されたキャップと、
を含む装置。
【請求項19】
前記ハウジングは生体適合性材料を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記ハウジングは、チタン、ステンレススチール、及びPEEKのうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記患者の動脈は回腸動脈である、請求項18〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記患者の静脈は回腸静脈である、請求項18〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記限外濾過セラミック膜の少なくとも1つがチューブフィルタを含む、請求項18〜22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記限外濾過セラミック膜の少なくとも1つがチューブフィルタを含む、請求項18〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記限外濾過セラミック膜の少なくとも1つが1つ以上のチャネルを含む、請求項18〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
各チャネルにつながれた生体適合性チューブを更に含む、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記動脈入口チャンバ及び前記静脈出口チャンバのうちの少なくとも一方が血管グラフトを含む、請求項18〜26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記キャップの少なくとも1つが逆棘を含む、請求項18〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記キャップの近くに配置された封止プレートを含む、請求項18〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
経皮ポートとつながるように構成された透析ポートを含む、請求項18〜29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記装置の端部に封止Oリングを更に含む、請求項18〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記膜は被覆を含む、請求項18〜31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記被覆は、熱分解炭素及びダイヤモンド状炭素のうちの少なくとも一方を含む、請求項38に記載の装置。
【請求項34】
前記セラミック膜は、直径が約25mmである、請求項18〜33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記セラミック膜は、長さが約100mmである、請求項18〜34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記セラミック膜は、細孔サイズがおよそ30ダルトンから200,000ダルトンである、請求項18〜35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記フィルタは、濾過面積が少なくとも0.1mである、請求項18〜36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
駆動系を介して本装置につながれた制御装置、弁、及びポンプを前記患者の外側に含む、請求項18〜37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
前記セラミック膜は、体積で約200ミリリットルを保持するように構成されている、請求項18〜38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項40】
1つ以上の透析ポートを介してヒトの腎臓の腎動脈及び腎静脈につながれる、請求項18〜39のいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
1つ以上の透析ポートを介して動物の腎臓の腎動脈及び腎静脈につながれる、請求項18〜40のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
1つ以上の血液ポートを介してヒトの腎臓の腎動脈及び腎静脈につながれる、請求項18〜41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項43】
1つ以上の血液ポートを介して動物の腎臓の腎動脈及び腎静脈につながれる、請求項18〜41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項44】
前記濾液又は血液の更なる処理の為に前記1つ以上の血液ポート又は前記1つ以上の透析ポートのうちの少なくとも一方を介して別の装置につながれる、請求項18〜43のいずれか一項に記載の装置。
【請求項45】
前記1つ以上の血液ポート又は前記1つ以上の透析ポートのうちの少なくとも一方を介して別の装置につながれ、前記別の装置との組み合わせで、透析液の使用を全く必要とせずに血液を浄化することが可能である、請求項18〜44のいずれか一項に記載の装置。
【請求項46】
前記ハウジングの内部に2つの限外濾過セラミック膜を含む、請求項18〜45のいずれか一項に記載の装置。
【請求項47】
前記フィルタは、前記濾液中の尿毒症毒素を濃縮することと、アルブミンなどのタンパク質を血液中に保持することと、を行うように構成されている、請求項18〜46のいずれか一項に記載の装置。
【請求項48】
血液を濾過する方法であって、
ハウジングと、入口と、出口と、前記ハウジングの内部に2つの限外濾過セラミック膜と、を含む濾過装置を患者に埋め込むステップと、
前記装置の入口を前記患者の動脈につなぐステップと、
前記装置の出口を前記患者の静脈につなぐステップと、
を含む方法。
【請求項49】
血液が約1〜2psiで前記装置に入るステップを更に含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
透析液をポンプで前記装置に投入するステップを更に含む、請求項48又は49に記載の方法。
【請求項51】
前記透析液は、ポンプで、約0.5〜15psiの圧力で投入される、請求項50に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年7月14日に出願された米国特許仮出願第62/362,556号、件名「埋込型臨床応用の為の血液濾過システム(BLOOD FILTRATION SYSTEM FOR IMPLANTABLE AND CLINICAL APPLICATION)」(整理番号14172−701.100)、並びに2016年7月14日に出願された米国特許仮出願第62/362,560号、件名「生体適合性且つ血液適合性の材料及びフィルタ(BIOCOMPATIBLE AND HEMOCOMPATIBLE MATERIAL AND FILTER)」(整理番号14172−702.100)の利益を主張するものであり、これらのそれぞれは参照によってその全内容が本明細書に組み込まれている。
文献の引用
【0002】
本明細書中において言及される全ての刊行物及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物又は特許出願が参照により具体的且つ個別に示されて組み込まれる場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれている。
【0003】
本出願は、血液又は体液の濾過及び透析の用途での使用に向けて強化された生体適合性及び血行動態特性を有するように改良された材料に関する。本出願は、末期腎不全などの疾患の治療の為の血液濾過を行う医療機器に関する。本システムは、治療の為の血液濾過及び血液透析を行う。本システムは、血液フィルタ、そのケーシング、経皮ポート及び皮下ポート、外部制御コンポーネント、外部ポンプ、及び流体リザーバを含む。本発明は、腎不全の治療、並びにヒトの腎臓の代替療法に関する。
【背景技術】
【0004】
ヒトの腎臓は、毎日約180リットルの血液を処理し、濾過して、2リットル前後の老廃物及び余剰水分を尿として除去する。腎臓は、血漿中の老廃物及び余剰水分を除去することによって血液の組成を調整する。慢性腎疾患(CKD)は、数か月から数年に及ぶ期間にわたる腎機能の喪失である。腎機能の喪失は、体の他の部分にも影響を及ぼし、心不全などの疾患を引き起こす可能性がある。CKDの治療法はないが、利用可能な処置法はある。処置法は、なんとかして病気の進行を遅らせようとするものであるが、それでも最後には、多くの患者において完全な腎不全(末期腎疾患)が発生しうる。腎代替療法は、腎臓を、提供される腎臓の移植、又は透析で代替しようとするものである。血液透析及び腹膜透析(PD)は、腎機能をサポートする長期体外代替療法を必要とする。
【0005】
末期腎疾患の患者の大多数が、腎代替療法として従来式の血液透析を行う。末期腎疾患に対する従来式の血液透析は、腎臓の濾過機能を模倣する。透析処置は、通常、3〜5時間のセッションが週に3回実施される。透析は、患者の血液から老廃物の溶質と余剰水分とを除去することによって腎臓の機能を模倣しようとするものである。透析を受ける患者は、血液中の老廃物の溶質の濃度が高くなっている。患者らの血液は、溶質が不足している透析液を有する半透膜にさらされる。溶質は、膜を横切る拡散によって除去され、水分は、圧力駆動の限外濾過によって除去される。血液は浄化されるとすぐに患者へ戻される。
【0006】
血液透析では小さい分子が血流から十分に除去されるが、大きい分子を選択的に除去したり保持したりする方法は、現時点では確立されていない。(透析液と呼ばれる)透析溶液は又、血液と接している膜を横切る拡散が確実に発生するような適切な濃度であるように、綿密に管理されなければならない。4時間の透析セッションの1回につき約120リットルの透析液が使用される。
【0007】
臓器移植も難しい選択肢である。これは、ドナーが限られる為であり、又、患者が、必須である免疫抑制剤の投薬を受けなければならないことと、組織拒絶反応のリスクが高いことを覚悟しなければならないこととの為である。
【0008】
腎代替療法用のウェアラブルな機器が、透析マシンと同様の技術で動作して、患者の移動性及び自由を向上させる。透析処置と同様に、欧州特許第2281591(B1)号に記載されているような機器が、半透膜を横切ってポンピングされる透析液を使用して、分子が血液外に拡散していくことを可能にしている。しかしながら、この方法は、患者が大きな機器を腰周りに装着しなければならず、使い心地がよくない。
【0009】
現時点では埋込型の人工腎臓は使用されていないが、米国特許第7540963(B2)号など、他の多くの特許が、シリコンナノフィルタと、ヒトの腎臓の尿細管細胞が微細足場内に埋め込まれたバイオリアクタとを使用している。シリコンナノフィルタは、限外濾過を用いて、毒素、塩、及び何らかの小分子、並びに水分を血液から除去し、バイオリアクタは、再吸収システムを用いて、水分を血液に戻すことによって血液量を制御する。
【0010】
セラミック材料は、金属及び非金属からなる無機非金属固形物として規定されている。一般的なセラミックは、金属又は半金属の酸化物、窒化物、炭化物などのバイナリ組成を有する。セラミックの組成に応じて材料特性は非常に多様でありうるが、一般的には、ほとんどのセラミックは、堅いが脆く、熱的及び電気的非伝導性が高く、化学的に不活性である。
【0011】
セラミック材料は、濾過技術を含む多様な分野において新規な応用を見いだしている。一部のセラミック材料は多孔質マイクロ構造になっており、この場合、各細孔はセラミックの構造を貫通して延びている。これらの構造は非常に多様である場合があり、そのような構造として、発泡体、ハニカム、繊維、中空球、相互接続ロッドなどがある。この多孔質マイクロ構造は、限外濾過(>100kD)からマイクロ濾過(<100kD)までの範囲の分離及び濾過の用途を想定している。
【0012】
セラミック材料の研究によって生体適合性が良好であることも示されており、これによってセラミック材料は、ヒトへの埋め込みに有望な材料とされている。しかしながら、セラミック材料は、血液適合性が十分でないことが示されている。従って、セラミック材料が血液と直接接触する用途では、臨床用セラミック機器が血栓形成のリスクを高める可能性がある。
【0013】
そこで、血液と接触する機器での使用、特に、血液の成分を濾過して分離することにセラミック材料を適合させる改良が必要とされている。このような改良は、血液又は他の体液に対する透析機能にも役立つであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記背景技術の課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
幾つかの態様では、材料が提供される。材料は、外側表面を有するセラミック基材であって、外側表面から前記基材の中へ細孔が延びているセラミック基材と、基材に浸透してよい熱分解炭素の連続層を含む、表面層を覆う被覆と、を含む。
【0016】
幾つかの実施形態では、被覆の厚さがおよそ5nmから50μmである。セラミック基材は、セラミックチューブフィルタであってよい。チューブフィルタは、1つ以上のチャネルを含んでよい。セラミック基材は、セラミックディスクフィルタであってよい。幾つかの実施形態では、前記基材は、アルミニウム、シリコン、ボロン、チタン、ジルコニウム、又はこれらの混合物の窒化物、炭化物、又は酸化物から成る群から選択されるセラミック材料で形成される。分子を濾過する場合のカットオフが、およそ30Daから200,000Daであってよい。被覆は、改良されないセラミック基材材料より高い生体適合性及び血液適合性を提供する。幾つかの実施形態では、材料は、埋込型又は外付けの血液濾過システム、又は臨床血液濾過システムの改良された動作の一環としてヒト又は動物の血液を濾過する為の、部品での使用、又はハウジングへの組み込み、又は位置決めの為に適合及び構成される。材料は、幅がおよそ1mmから10cmであり、長さがおよそ5mmから50cmである。
【0017】
幾つかの態様では、製造方法が提供される。方法は、外側表面を有するセラミック基材であって、外側表面から基材の中へ細孔が延びているセラミック基材を含むチューブフィルタを提供するステップと、2つのマウンティングディスクの間にチューブフィルタをマウントしてマウント済みフィルタアセンブリを形成するステップと、マウント済みフィルタアセンブリを石英リアクタ内に配置するステップと、セラミック基材上の、炭素を含む材料の単層を熱分解するステップと、を含む。
【0018】
幾つかの実施形態では、方法は、石英リアクタをチューブ炉内に配置するステップを含む。幾つかの実施形態では、マウンティングディスクは、セラミックチューブフィルタの端部を収容するように構成された内側シートと、ガスの通過を可能にするように構成された複数の穴と、を含むディスクを含む、内側シートは、ディスクを貫通する穴を含んでよい。熱分解は、およそ700℃から1200℃の温度で行われてよい。幾つかの実施形態では、細孔のうちの少なくとも40%が、熱分解の途中及び後に開いたままである。熱分解被覆は、それ自体が多孔質である。
【0019】
幾つかの態様では、血管濾過装置が提供される。装置は、外側ハウジングと、流体を受けるように構成された、ハウジングを貫通する入口ポートと、装置からの流出を除去する、ハウジングを貫通する出口ポートと、ハウジングの内部にある少なくとも1つの限外濾過セラミック膜と、患者の動脈と入口ポートとに接合するように構成された動脈入口チャンバと、患者の静脈と出口ポートとに接合するように構成された静脈出口チャンバと、ハウジングの各端部にあって、装置を封止し、血液の流れを両方の限外濾過セラミック膜に均等に分配するように構成されたキャップと、を含む。
【0020】
ハウジングは生体適合性材料を含んでよい。幾つかの実施形態では、ハウジングは、チタン、ステンレススチール、及びPEEKのうちの少なくとも1つを含む。患者の動脈は、回腸動脈であってよい。患者の静脈は、回腸静脈であってよい。幾つかの実施形態では、限外濾過セラミック膜の少なくとも1つがチューブフィルタを含む。限外濾過セラミック膜の少なくとも1つがチューブフィルタを含んでよい。幾つかの実施形態では、限外濾過セラミック膜の少なくとも1つが1つ以上のチャネルを含む。装置は、各チャネルにつながれた生体適合性チューブを含んでよい。幾つかの実施形態では、動脈入口チャンバ及び静脈出口チャンバのうちの少なくとも一方が血管グラフトを含む。キャップの少なくとも1つが逆棘を含んでよい。装置は、キャップの近くに配置された封止プレートを含んでよい。幾つかの実施形態では、装置は、経皮ポートとつながるように構成された透析ポートを含む。装置は、装置の端部に封止Oリングを含んでよい。膜は被覆を含んでよい。幾つかの実施形態では、被覆は、熱分解炭素及びダイヤモンド状炭素のうちの少なくとも一方を含む。セラミック膜は、直径が約25mmであってよい。セラミック膜は、長さが約100mmであってよい。幾つかの実施形態では、セラミック膜は、細孔サイズがおよそ30ダルトンから200,000ダルトンである。フィルタは、濾過面積が少なくとも0.1mであってよい。装置は、駆動系を介して装置につながれた制御装置、弁、及びポンプを患者の外側に含んでよい。幾つかの実施形態では、セラミック膜は、体積で約200ミリリットルを保持するように構成されている。装置は、1つ以上の透析ポートを介してヒトの腎臓の腎動脈及び腎静脈につながれてよい。幾つかの実施形態では、装置は、1つ以上の透析ポートを介して動物の腎臓の腎動脈及び腎静脈につながれる。幾つかの実施形態では、装置は、1つ以上の血液ポートを介してヒトの腎臓の腎動脈及び腎静脈につながれる。装置は、1つ以上の血液ポートを介して動物の腎臓の腎動脈及び腎静脈につながれてよい。幾つかの実施形態では、装置は、濾液又は血液の更なる処理の為に1つ以上の血液ポート又は1つ以上の透析ポートのうちの少なくとも一方を介して別の装置につながれる。装置は、1つ以上の血液ポート又は1つ以上の透析ポートのうちの少なくとも一方を介して別の装置につながれてよく、別の装置との組み合わせで、透析液の使用を全く必要とせずに血液を浄化することが可能である。幾つかの実施形態では、装置は、ハウジングの内部に2つの限外濾過セラミック膜を含む。装置は、濾液中の尿毒症毒素を濃縮することと、アルブミンなどのタンパク質を血液中に保持することと、を行うように構成されてよい。
【0021】
幾つかの態様では、血液を濾過する方法が提供される。方法は、ハウジングと、入口と、出口と、ハウジングの内部に2つの限外濾過セラミック膜と、を含む濾過装置を患者に埋め込むステップと、装置の入口を患者の動脈につなぐステップと、装置の出口を患者の静脈につなぐステップと、を含む。
【0022】
方法は、血液が約1〜2psiで装置に入るステップを含んでよい。幾つかの実施形態では、方法は、透析液をポンプで装置に投入するステップを含む。透析液は、ポンプで、約0.5−15psiの圧力で投入されてよい。
【0023】
後述の特許請求の範囲において、本発明の新規な特徴を具体的に説明する。例示的実施形態を説明する以下の記述を参照することにより、本発明を実施する為の構成について、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】チューブフィルタ基材用の支持ディスクの実施形態を示す図である。
【図2】石英リアクタの内部の支持ディスク及びチューブフィルタの実施形態を描いた(縮尺は正確ではない)図である。
【図3】セラミックチューブ基材に熱分解炭素を被覆する為のチューブ炉構成の実施形態を示す図である。
【図4】チューブフィルタの外側を被覆する為の代替チューブホルダの実施形態を示す図である。
【図5A】乃至
【図5B】熱分解炭素で被覆されたフィルタの走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図6】患者に埋め込まれた血液濾過装置の実施形態を描いた図である。
【図7】乃至
【図9】血液濾過装置の実施形態の様々な斜視図である。
【図10】血液濾過装置の実施形態を示す図であり、ハウジングの上部が取り除かれた図である。
【図11A】乃至
【図11C】血液濾過装置の端部プレートの実施形態の様々な図である。
【図12A】乃至
【図12D】血液濾過装置の入口又は出口の実施形態の様々な図である。
【図13A】乃至
【図13D】血液濾過装置のOリングホルダの実施形態の様々な図である。
【図14】血液濾過装置の実施形態の分解斜視図である。
【図15】血液濾過装置と透析の尿素除去性能の比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本出願は、セラミックフィルタの、生体適合性及び血液適合性を高める為の改良について記載する。
【0026】
この改良は、フィルタのナノ細孔を開いたままにしてセラミックに熱分解炭素を被覆することである。セラミックは、血液又は他の体液を濾過又は透析する濾過用途又は透析用途に使用可能である。セラミックには、アルミニウム、シリコン、ボロン、チタン、ジルコニウム、又はこれらの混合物のあらゆる窒化物、炭化物、及び酸化物が含まれうる。
【0027】
熱分解炭素は、炭素含有化合物を熱分解することによって作られる。熱分解は、700℃から1200℃の温度で行われ、この温度範囲では気体である任意の炭素含有物質を使用してよい。炭素含有物質とともにキャリアガスが使用されてよいが、これは必須ではない。この用途には、小炭化水素化合物、例えば、メタン、エタン、プロパン、ヘキサン、アセチレン、エチレン、ベンゼン等が最適であるが、これらの物質に限定されるものでは全くない。
【0028】
フィルタは、約10Åから100,000Åのオーダーの細孔を有する多孔性構造の任意の固形材料であると考えられてよい。この固形物は、単一の材料片、又は単一構造を形成するナノ粒子又はマイクロ粒子の集合で構成されてよい。
【0029】
幾つかの実施形態では、セラミックは、多孔壁を有するチューブ形状であってよく、これは、体液がチューブの内側を通り抜け、濾液がチューブの壁から出てくるようにする為である。チューブは、体液が通り抜ける為の1つ又は多数のチャネルを有してよい。別の実施形態では、フィルタはディスク形状であってよく、ディスクの一方の側を血液又は体液が通り、他方の側を濾液又は透析液が通る。
【0030】
物体の生体適合性は、物体の、体液と接触する部分の形状、粗度、及び材質に直接関係する。これらの特性は、血液が存在する場合には、異物に付着する様々な凝固因子及びタンパク質が血中にあることから、より厳しい制限を課される場合がある。従って、100%の生体適合性の達成は、100%の血液適合性を保証するものではない。いずれにせよ、体が拒絶しない材料は非常に少なく、長期使用に必要な機械的特性を有する材料は更に少ない。炭素はこうした材料の1つであって、良好な血液適合性を示し、使用される同素体に基づく適切な機械的特性を有するように作られてよい。熱分解炭素は、血栓形成に対する耐性が高い黒鉛炭素の一形態であり、従って、長期の医療機器被覆での使用に広く採用されている。
【0031】
本出願では、熱分解炭素は、生体適合性及び血液適合性を高める為にセラミックフィルタに被覆される。熱分解炭素の層は5nmから50μmであり、これは、必要とされる最終的なフィルタ細孔サイズに応じて変わる。この層は、2つの目的で機能する。第1に、熱分解炭素は血栓耐性が非常に高いため、凝固が起こりにくい。第2に、層が薄いことが、表面を滑らかにして表面粗度を減らし、生体適合性を更に高めることに役立つ。
【0032】
セラミックフィルタは、様々な形状、サイズ、及び細孔サイズで利用可能である。ほとんどの濾過用途では、ディスクとチューブが最もよく用いられる形状である。サイズは用途に応じて決まるが、ほとんどの生体用途では、サイズの範囲は、ディスクであれば直径が10〜90mm、チューブであれば直径が10〜50mm、長さが100〜250mmである。セラミックディスクフィルタは、スターリテック(Sterlitech)、スペリオールテクニカルセラミックス(Superior Technical Ceramics)、アウトテック(Outotec)等のようなメーカーから市販されている。シングルチャネル及びマルチチャネルのセラミックチューブフィルタ膜は、エーテックイノベーションズ(Atech Innovations)、タミインダストリーズ(Tami Industries)、ポール(Pall)、イノポール(Inopor)等のメーカーから市販されている。これらの市販グレードの材料は、それらの現行の産業用の形態では、本明細書に記載のフィルタ用途には適さない。しかしながら、本明細書に記載の技術の様々な実施形態が、必要に応じて、本明細書に記載のように、1つ以上の追加加工工程によりセラミック材料の材料特性を改良する為に有利に利用されてよい。
【0033】
幾つかの実施形態では、得られるセラミックチューブフィルタが、これを中で被覆する石英リアクタより小径である。セラミック膜フィルタは、シングルチャネルチューブ又はマルチチャネルチューブのいずれかとして、多孔質マイクロ構造セラミック壁で受けられる。チューブ及び内側チャネルの直径は、内側チャネルの数に応じて様々であってよい。フィルタは、熱分解炭素被覆に備えて、石英リアクタとほぼ同径の2つのスチール製ディスクホルダ(図1を参照)の上にマウントされる。これらのディスクは、熱分解が発生しているときの温度に耐えうる任意の材料で作られてよい。スチールが推奨されるのは、融点が高いことと、比較的低コストであることとによる。各ディスク100には、チューブフィルタとほぼ同径の穴102が中心から開けられている。図2に示されるように、チューブフィルタ204と支持ディスク206とを含む、全部で3つの部品からなる構成が石英リアクタ内に配置される。次に、セラミックチューブ基材に熱分解炭素を被覆する為に、石英リアクタが高温チューブ炉内に配置される(図3を参照)。別の代替では、リアクタの形状、サイズ、及び構成が、加工されるセラミック膜のサイズ、形状、特性、及びタイプに適合するように、上述の各部品が修正される。
【0034】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び技術は、チューブの生体適合性/血液適合性の品質又は特性を高める為にチューブの外側に発明の被覆を施すように適合されてよい。そのような場合、ホルダ400は、チューブが内側に位置する為の内側シート402があり、ディスクホルダの残り部分にある大穴404がガスの通過を可能にするように、修正されてよい(図4を参照)。チューブの内側と外側の両方が被覆されることが意図される場合、中央穴402は貫通穴として開けられてよい。
【0035】
別の実施形態では、ディスクフィルタを生体適合性/血液適合性にする必要がある場合がある。この場合は、石英リアクタよりわずかに小径のディスクが、そのまま、又はスチール製プレート/ディスクに載せられて、リアクタの内部に配置されてよい。
【0036】
リアクタは、ガスが石英リアクタの一方の端部から導入されて反対側の暗部から出ていくことが可能なように構成される。これは、熱分解炭素の均一な被覆がチューブの長さ方向全体にわたって堆積することが可能なように、入れ替えが可能である。
【0037】
フィルタは、不活性雰囲気下の炉内で、毎分5〜10℃の割合で、被覆温度に達するまで加熱される。これは、リアクタ内の温度がより均一になるように、15〜20分にわたって保持される。次に炭素含有ガスが導入される。キャリアガスはあってもなくてもよい。リアクタの最も熱い部分にガスが達すると熱分解が発生し、噴霧された炭素がフィルタの表面に堆積する。この温度及びガス流入は、1〜6時間にわたって保持される。
【0038】
一特定態様では、計画された熱分解時間の途中で、ガス流入の方向がリアクタの他方の側に切り換えられる。別の実施形態では、リアクタは、被覆工程の間に流れを複数回反転させるように動作する。別の実施形態では、コンピュータ制御装置を使用して、炉の動作環境(温度、ガス流量、加熱/冷却サイクル等)を制御する。
【0039】
被覆サイクルが完了したら、熱分解を防ぐ為に、炉は毎分5℃以下の割合で500℃まで徐々に冷却される。他の態様では、又は任意選択で、幾つかの異なる割合で更なる冷却が行われてよい。
【0040】
フィルタは、炉から取り出される前に、炉内で、窒素ガス雰囲気下で、大気圧において処理される。
【0041】
熱分解には少なくとも2種類のガスが必要であり、それらは、不活性ガスと炭素含有化合物である。不活性ガスは、加熱中に、又は炭素含有ガスが導入される前に、リアクタをパージする為に使用される。リアクタ内に酸素が残っていると、炭素が酸化し、炭化が起こらない。高温の空気中で基材が安定していれば、不活性ガスによるパージは、炭素含有ガスの導入の直前に行われてよい。パージは、温度の上昇中に行われてもよい。パージを行う際には、システム全体で酸素が含まれないように、ガス流の反転も行うべきである。
【0042】
パージが完了したら、炭素含有ガスが導入される。このガスは、純原料ガスでも混合ガスでもよいが、システムを何時間も動作させたままにせずに十分な熱分解を起こさせる為には、混合ガスは、炭素含有化合物のうちの(体積で)10%以上を有していなければならない。混合ガスが使用される場合には、副反応が最小限に抑えられるように、キャリアガスは不活性でなければならない。
【0043】
理想的なガス流量は毎分100〜1000ミリリットルであってよく、表面積が大きいほど、且つリアクタ体積が大きいほど、使用される流量が大きくなってよい。圧力が増えない場合、或いはリアクタ体積が小さくない場合には、より少ない流量が用いられてよいが、被覆継続時間が長くなる。
【0044】
炭素被覆の均一性を確認する為に、電気インピーダンス法が用いられてよい。電気抵抗率の測定は、被覆面の複数の部分においてフィルタのわずかな長さの両端で行われる。炭素被覆は導電性である為、被覆が厚くなるほど、電気抵抗が小さくなる。従って、フィルタの様々な部分で抵抗にばらつきがあることは、被覆の均一性にむらがあることを示す。
【0045】
被覆の付着度も電気インピーダンス法で測定することが可能である。蒸留水をチューブフィルタ内に流すと(又はディスクフィルタにまたがって流すと)、結果として、付着していない炭素が剥がれ落ちる。これによって抵抗率が変化する。抵抗率は、フィルタを水流にさらす前後に測定されてよい。炭素被覆の付着が十分であることは、抵抗率が変化しないことによって示され、付着が不十分であることは、電気抵抗率が増加することによって示される。
【0046】
フィルタの動作及び血液適合性を確認する為に、各チューブフィルタ内に(又はディスクフィルタにまたがって)蒸留水が流されてよく、その流束が測定される。屠畜場から得られる豚の血液を、被覆されたフィルタと被覆されていないフィルタとにポンプで流し込んでもよい。血液の濾過前と濾過後での血小板数の差によって、血小板の付着度を測定することが可能である。これは、血液適合性のマーカとして使用され、差が小さいほど適合性が良好であることを示す。
【0047】
図5A〜5Bは、熱分解炭素で被覆されたナノフィルタの走査型電子顕微鏡写真を示す。図5Bに示されるように、このフィルタは3つの層を有する。血液濾過用途で使用される場合、血液は熱分解炭素層と接触する。熱分解炭素被覆は、複数の熱分解炭素球が一緒に形成され、高温下で溶融されたものを含む。この層は、2つの役割があってよい。熱分解炭素は、血液適合性に優れており、心臓弁や左心補助循環装置(LVAD)などの機器の血液接触面において使用される。球と球の間の空間は、白血球、赤血球、及び血小板の通過を阻止し、血漿を通過させる多孔質構造(メッシュ)として動作する。尿毒症毒素は全て、分子量が60,000Da未満である。従って、濾液はあらゆる尿毒症毒素を同様に含む。
【0048】
中間層はナノ濾過層であり、これは、ジルコニウム酸化物及び/又はチタン酸化物の少なくとも一方の組み合わせを含む多孔質セラミック構造であり、細孔サイズが10nm未満である。この層は、熱分解炭素層を通り抜けた血漿を濾過して、アルブミン(MW:66,500ダルトン)などのタンパク質を除去する。この層を通り抜けた濾液は、アルブミンの含有量が最小限又はゼロになる。この層も又、血液適合性であり、60,000Daより大きい血液成分の少なくとも90%の通過を阻止する。
【0049】
第3の層は、少なくともジルコニウム酸化物及び/又はチタン酸化物の組み合わせを含むマイクロ多孔質セラミック支持構造である。この層は、血液適合性であり、ナノフィルタの他の層の支持物として動作し、ナノフィルタの完全性を維持する。この層は多孔質であり、細孔サイズは100nm超である。
【0050】
これまで試行されてきた被覆工程の例が、リ、ユアン−ヤオ(Li, Yuan−Yao)、ツヨシ・ノムラ(Tsuyoshi Nomura)、アキヨシ・サコダ(Akiyoshi Sakoda)、モトユキ・スズキ(Motoyuki Suzuki)等、「改良された化学気相堆積装置を使用する、メタンの熱分解による炭素被覆セラミック膜の製造(Fabrication of Carbon Coated Ceramic Membranes by Pyrolysis of Methane Using a Modified Chemical Vapor Deposition Apparatus)」、ジャーナル・オブ・メンブレン・サイエンス(Journal of Membrane Science)、197.1−2(2002年):23−35、米国特許第3471314(A)号、「熱分解炭素被覆工程(Pyrolytic Carbon Coating Process)」に記載されており、これらのそれぞれの全内容が、あらゆる目的のために参照により本明細書に含まれている。
上述の文献では、細孔サイズが100nm及び2.3μmである2つのフィルタが熱分解炭素で被覆されている。又、熱分解炭素被覆層が追加されたことで細孔が狭くなったことも述べられている。しかしながら、本技術では、格段に小さい細孔サイズを利用する。本明細書に記載のように、幾つかの実施形態は、(i)10nm未満の細孔を有するセラミックフィルタの熱分解炭素被覆と、(ii)10nm未満の細孔を有する基材の、熱分解炭素被覆の途中及び完了後の濾過特性を維持することと、を含む。特に、一般的には、熱分解炭素被覆に必要な高温工程では、10nm未満の細孔の形状及びサイズが変化する可能性がある。しかしながら、本技術によれば、被覆後のフィルタの細孔サイズは、被覆前のサイズと同じ範囲に保たれる。
【0051】
本明細書に記載の工程によって得られるフィルタ材料は、フィルタが使用されるシステムに応じて様々な実施形態で使用されてよい。幾つかの実施形態について述べるが、これらは、これらのフィルタの使用法を包括的に列挙するものではなく、任意の多様な代替実施形態において用いられるあらゆるジオメトリにわたって成形される様々なサイズを包括的に列挙するものでもない。任意の特定の実施形態におけるフィルタのフォームファクタは、フィルタが使用される場所、並びにフィルタシステムの全体特性に関する幾つかの設計検討に依存し、且つ対応する。
【0052】
更に別の態様及び代替形態では、国際公開第2010088579(A2)号、米国特許第7540963(B2)号、米国特許出願公開第20090131858(A1)号、国際公開第2008086477(A1)号、米国特許出願公開第20060213836(A1)号、米国特許第7048856(B2)号、米国特許出願公開第20040124147(A1)号、米国特許出願公開第20120310136(A1)号、国際公開第2010088579(A2)号、米国特許第7540963(B2)号、米国特許出願公開第20090131858(A1)号、米国特許第7332330(B2)号、米国特許出願公開第20060213836(A1)号、米国特許第7048856(B2)号、米国特許出願公開第20040124147(A1)号、国際公開第2004024300(A1)号、国際公開第2003022125(A2)号、米国特許出願公開第20030050622(A1)号、国際公開第2010057015(A1)号、米国特許出願公開第20100112062(A1)号、米国特許出願公開第20040167634(A1)号、国際公開第1998009582(A1)号、米国特許第9301925(B2)号、米国特許出願公開第20160002603(A1)号、米国特許出願公開第20130344599(A1)号、米国特許出願公開第20090202977(A1)号、国際公開第2007025233(A1)号、米国特許出願公開第20120289881号、米国特許出願公開第20130109088(A1)号、米国特許第8470520(B2)号、国際公開第2013158283(A1)号、米国特許第7083653号、ニッセンソン A.R.a(Nissenson A.R.a)、ロンコ C.b(Ronco C.b)、ペルガミット G.c(Pergamit G.c)、エーデルシュタイン M.c(Edelstein M.c)、ワッツ R.c(Watts R.c)等、「ヒトネフロンフィルタ:連続的に機能する埋込型人工ネフロンシステム用(The Human Nephron Filter: Toward a Continuously Functioning, Implantable Artificial Nephron System)」、ブラッド・ピュリフィケーション(Blood Purif)、2005年23:269−274、(DOI:10.1159/000085882)、ジェレミー J ソング(Jeremy J Song)、ジャック P ギュイエット(Jacques P Guyette)、サラ E ギルピン(Sarah E Gilpin)、ガブリエル ゴンザレス(Gabriel Gonzalez)、ヨーゼフ P ヴァカンティ(Joseph P Vacanti)、ハラルド C オット(Harald C Ott)等、「生体工学で作製された腎臓の再生及び実験的正所性移植(Regeneration and experimental orthotopic transplantation of a bioengineered kidney)」、ネイチャー・メディシン(Nature Medicine)、19、646−651(2013年)、doi:10.1038/nm.3154、マダリアーガ ML(Madariaga ML)、オット HC.(Ott HC.)等、「移植用腎臓の生体工学的作製(Bioengineering kidneys for transplantation)」、セミン・ネフロール(Semin Nephrol)、2014年7月、34(4):384−93. doi: 10.1016/j.semnephrol.2014.06.005. Epub 2014年6月13日、ソング JJ(Song JJ)、ギュイエット JP(Guyette JP)、ギルピン SE(Gilpin SE)、ゴンザレス G(Gonzalez G)、ヴァカンティ JP(Vacanti JP)、オット HC.(Ott HC.)等、「生体工学で作製された腎臓の再生及び実験的正所性移植(Regeneration and experimental orthotopic transplantation of a bioengineered kidney)」、ネイチャー・メディシン(Nat Med.)、2013年5月、19(5):646−51. doi: 10.1038/nm.3154. Epub 2013年4月14日のいずれかに記載のシステム又は方法で使用されるフォームファクタを有するように、既存のシステム、又は適合及び構成されるフィルタ材料のケーシング又は設計に対応すべく、処置される材料の修正、サイズ指定、成形、フォームファクタ又は1つ以上の部品への組み込みが行われてよく、これらの文献のそれぞれは、参照によってその全内容が本明細書に組み込まれている。更に別の態様では、それらの文献に記載されている上述のシステム又は部品はいずれも、ヒト又は動物の体内で血流と接触する埋込システム又は臨床システムで使用されるように、本明細書に記載の技術の1つ以上を用いて改良されるか、本明細書に記載の最適化された特性を有する、適合的に成形及びサイズ指定された部品で置き換えられる。
【0053】
更に別の任意選択又は代替の実施形態では、処置された部品又はフィルタ又は材料を所望の形状に切削又は成形し、追加又は代替として、フィルタ材料を適切なフレーム内に、又は特定の濾過システムのハウジング内に位置決めする後加工工程を実施する方法がある。
【0054】
別の態様では、本明細書に記載の工程によって得られるフィルタ材料は、フィルタが使用されるシステムに応じて、様々な実施形態で使用されてよい。フィルタ部品のフォームファクタは、フィルタがどのように使用されるか、並びにフィルタシステムの全体特性に関する幾つかの設計検討に依存する。一態様では、フィルタ材料は、フレームがないフィルタハウジングで使用される最終形状であってよい。別の態様では、フィルタ材料は、ハウジングと係合するように、又はハウジングで受けられるように適合及び構成されたケーシング内で、又はそのケーシングに沿って、エッジフレーム又はフレームホルダ内で使用されるように切削、成形、サイズ指定されてよい。更に別の態様では、フィルタ材料は、フィルタ材料をフレーム内に固定する形状、ウェビング、開口、アパーチャ、ギザギザ、又は他の特徴を含む支持フレーム内に配置されてよい。そして、このフレームは、フィルタ材料が濾過システムの流路内に位置決めされるように、フィルタシステムのフィルタ部品又は別のハウジングの一部と係合する様々な特徴又は特性を含む。
【0055】
本発明の実施形態の更なる態様を、以下の非限定的な実施例によって更に示す
【0056】
実施例
実施例1
サンプルのセラミック基材が、シングルチャネルチューブ形アルミナフィルタの形でエーテックイノベーションズ(Atech Innovations)から調達されており、これは、全外径が10mm、チャネル内径が6mmであった。未変更のフィルタのエレメント当たりのフィルタ面は、0.019/0.023mである。このチューブフィルタは、細孔サイズが10ミクロン超であるマクロ多孔質構造と、実効細孔サイズが0.8ミクロンである内側マイクロ多孔質構造層とを有していた。
【0057】
厚さが1/4インチであり、直径が約75mmであり、10mm径の貫通穴が中心に開けられている(図1を参照)2つのスチール製支持ディスクが、チューブ基材の各端部に配置されており、これによってチューブの各端部は穴に嵌め込まれていた。このアセンブリは、長さが5フィートで内径が75mmである石英チューブリアクタに入れられて(図2を参照)、高温チューブ炉内に配置された。リアクタは、各端部が黒いゴム製ストッパで封止され、その後、一方の端部から流された窒素により酸素がパージされた。このシステムは、幾つかの三方弁の方向を切り換えることにより、いずれの端部からもリアクタにガスを導入できるようにセットアップされている。
【0058】
基材は、窒素雰囲気下で1000℃に達するまで、毎分10℃の割合で加熱された。窒素が10分にわたってリアクタ内に流され、その後、流れの方向が切り換えられて、次の10分にわたってパージされた。窒素80%メタン20%の混合ガスが2時間にわたってリアクタに導入され、半ばを過ぎたところでガス流の方向が切り換えられた。リアクタは、その後、窒素ガス流下で、毎分5℃の割合で500℃まで冷却され、その後、ガス流がない状態で室温まで空冷された。
【0059】
電気抵抗率法により、被覆の付着度がチェックされた。チューブの内側被覆の両端で電気抵抗率の測定が行われた。1〜4時間にわたって、内側チャネルに水がポンプで、3psi未満で投入された。乾いた時点で抵抗率の測定が再度行われ、変化が最小限であったことで付着が良好であることが示された。
【0060】
被覆された基材と被覆されていない基材とを、別々の、豚の新鮮な血液の槽に浸漬することにより、血液適合性のチェックが行われた。豚の血液は、屠畜後に屠畜業者から調達されたものであり、抗凝血剤として10%のEDTA(血液1ミリリットルにつき1.5mgの標準用量)が混合された。浸漬前及び浸漬後の豚の血液の試料が、完全血球算定の為にアンテック・ダイアグノスティックス(Antech Diagnostics)に送られた。血小板算定によれば、被覆された基材から失われる血小板の数の減少分は、被覆されていない基材の場合の3倍を超えた。
【0061】
臨床用途向け血液濾過システム
米国内の末期腎疾患の患者数は650,000を超えているが、毎年移植に利用できる腎臓の数は20,000に過ぎない。腎臓の需要は非常に高く、提供者数は非常に少ない為、患者は、腎臓移植を5〜7年待たなければならない場合がある。患者らが生き延びる為にそれらの年月に用いるべき唯一の選択肢が透析である。
【0062】
透析は、1943年にコルフ博士(Dr.Kolff)によって発明され、それ以来、多くの生命を救い続けている。しかしながら、技術は、何十年もの間、あまり変わっていない。現状では、一般的に、透析患者は、週に3回、1回につき4時間、プラスチックチューブ内を循環する血液を監視する大きな透析機につながれており、近い将来に何らかの変化があることはあまり望めない。そのような患者は、感情的にも肉体的にも苦しみがあり、痛みにさらされている。事実として、透析患者の死亡率は5年で65%であり、処置は非常にコストがかかる。透析の年間コストは患者当たり約82000ドルであり、その結果、透析は巨大市場になっている。透析市場は、2015年には700億ドルと評価されており、2020年までに1000億ドルに成長すると予測されている。
【0063】
本出願は、腎臓の濾過特性を模倣し、血液に対して非常に親和的である、ユニークな埋込型ナノ濾過技術を開示する。本明細書に開示のナノフィルタは、通常の血圧に基づいて機能するほど効率がよいことが可能である。この技術は、常に連続的且つ自動的に腎代替療法を提供することが可能であり、これは、透析患者に自由とより普通の生活とを提供する。
【0064】
透析患者は、血液中に高レベルの尿毒症毒素及び余剰水分を有する。実際には、血液中の尿毒症毒素及び水分のレベルは、週に3回、透析セッションの直前にピークになる。最大のピークは、通常、週末又は休日の後である。本明細書に記載のフィルタ及び装置は、患者の体内の尿毒症毒素及び余剰水分のレベルを、図15に示されるように、常に正常且つ安全なレベルに保つように機能することが可能である。臨床試験により、本装置は、豚の動物モデルの動物血から水分及び溶質を除去することが可能であることが示された。
【0065】
本出願は、血液入口及び血液出口を有する装置を開示する。血液入口と血液出口は、それぞれ、動脈と静脈につながれる。入口は血液をチャンバに引き込み、チャンバは、血液を少なくとも1つのチューブフィルタに分配する。本装置では、2つのチューブフィルタ(例えば、図1〜5に関して上述されたフィルタ)が使用される。これらのフィルタは、限外濾過により、血液から老廃物及び余剰水分を除去する。1つの血管グラフトが血液入口を動脈につなぎ、別の血管グラフトが血液出口を静脈につなぐ。
【0066】
限外濾過は、膜ベースの濾過処理である。本発明の為のフィルタは、限外濾過を用いることを採用し、血液を濾過して余剰水分、尿毒症毒素、及び余剰ミネラルを除去することに使用される。幾つかの実施形態では、セラミックチューブフィルタ009(図10)が、限外濾過用の膜として使用される。
【0067】
血液はシステムから分離されて腎静脈に送られ、一方、老廃物は膀胱に送られる。
【0068】
内部チャンバは、各側にある2つの端部プレートを使用してフィルタを保持及び封止する。内部チャンバは又、透析液がポンプでハウジング内に投入されることを可能にする2つの小さい外部ポートで構成される。Oリング及びガスケットが装置の封止を可能にしている。
【0069】
透析液は、外部ポンプにより経皮的に内部チャンバに投入されてよい。これにより、透析液がチューブフィルタの外側と接触することが可能になる。弁及び制御装置が透析液の流量及び圧力を調整する。これにより、透析液がフィルタに浸透すること、並びにイオン交換が行われることが可能になる。
【0070】
装置のケーシングは、チタン、ステンレススチール、又はPEEKなどの生体適合性グレードの材料を使用して組み立てられる。フィルタは、ジルコニウム酸化物、熱分解炭素、又はダイヤモンド状炭素(DLC)などの生体適合性被覆により被覆される。取り付け金具及びねじも、医療グレードのステンレススチール又はチタンなどの生体適合性材料で作られている。チューブ及びゴムは、PTFE、シリコン、タイゴンなどの医療グレードの材料で作られている。
【0071】
幾つかの実施形態では、本装置は、各膜チャネルに入っていく生体適合性チューブを含む。このチューブは、各膜において、フィルタに出入りするループを形成している。これらのループは、各膜が適正な限外濾過を確実に行う為に最大量の血液を受け取るようにすることに役立ちうる。チューブは又、血液がいかなる衝撃力又は不必要な乱流にもさらされないようにする。
【0072】
本発明は、限外濾過及び血液透析を利用して、ヒトの腎臓の機能を複製する。本装置は、2つのマルチチャネルチューブフィルタを利用して血液から濾液を除去する。濾液は、水分、電解質、尿毒症毒素、タンパク質などの血液成分を含む。又、本装置は、透析液を使用して、より多くの溶質を血液から除去することが可能である。本装置は外側ハウジング013を含み、これは、限外濾液を集める領域として、且つ、透析が行われうる領域として、且つ、フィルタのホルダとして動作する。図6は、回腸動脈0150及び回腸静脈016のそばの、本装置全体の埋込場所と接続を示す。外側ハウジング013は、各端部において、本装置を保持及び封止するプレート004、005のペア(図7、8)によって接続されている。本装置は、シリコーン及びタイゴンから作られて位置012(図13)に配置された、血液適合性のOリング及びガスケットにより封止される。これらのプレートにより、ハウジングの両側で、各フィルタの面が血液にさらされる。これらのプレートは、フィルタ上の複数のチャネルに血液を均等に分配するように成形されている。幾つかの実施形態では、血液入口001は、血液分配部を介してセラミックフィルタの各チャネルにつながれてよい。血液分配部では、血液は、血液入口001から入って、複数の小さいチューブに分配され、各チューブは1つのフィルタチャネルにつながっている。血液は、入口キャップ003においてシステムに入り、出口キャップ003においてシステムから出る。これらのキャップ003は、ハウジング013の各端部の封止プレートの上に位置する。入口及び出口は両方とも血管グラフトにつながっており、血管グラフトは血液がシステムに出入りすることを可能にしている。グラフト001は入口につながっており、グラフト002は出口につながっている。キャップの端部は、グラフトがつかんで固定されることを可能にするために逆棘をつけられてよい。血液は、1〜2psiの圧力でシステムに入ってよい。
【0073】
ケーシング013は、医療グレード5のチタンを含んでよい。チタンは、強度が高く、軽量であり、耐腐食性が高い。チタンは、代替関節、脊柱ねじ、埋込型装置などの埋込用途に一般的に使用されている。他の材料(例えば、ステンレススチール)も可能である。幾つかの実施形態では、チタンは、その強度重量比が高いことから、ステンレススチールより好まれる。
【0074】
図7〜9は、本装置の上面斜視図、側面斜視図、及び前面斜視図をそれぞれ示す。図7〜9は、外部ハウジング013と、ハウジングの端部に位置するプレート004、005とを示している。キャップ003は、本装置の端部に示されている。キャップ003は穴008を含み、これは、キャップ003をボディ013にねじ留めして封止する為に使用されてよい。入口グラフト001の一部が、本装置の入口端部に示されている。図7〜9では、透析ポート007も見えている。
【0075】
図10は、本装置の前面を示しており、ハウジング013の上半分が取り除かれてフィルタが見えるようになっている。血液は、膜面009の1つからチューブ膜に入る。これらの膜は、異なる形状、サイズ、及び細孔サイズで利用可能である。例えば、細孔サイズは、30Daから900kDaのカットオフ値を有してよい。膜は、ジルコニウム酸化物、TiO、又はAlOを含む材料で作られてよい。他の材料も可能である。体がフィルタを受け入れるようにする為に、フィルタは、熱分解炭素又はダイヤモンド状炭素のような生体適合性材料で被覆されてよい。幾つかの実施形態では、フィルタは、マルチチャネルチューブフィルタを含む。このフィルタ構成は、有利なことに、有効濾過面積を最大化することが可能である。これらのフィルタは、直径が約20〜30mmであってよい。これらのフィルタは、長さが約5〜500mmであってよい。細孔サイズは、およそ30ダルトンから200,000ダルトンであってよい。有効濾過面積は、約0.075〜2.5mであってよい。幾つかの実施形態では、フィルタは、直径が25mmであり、長さが100mmであり、細孔サイズが50,000ダルトンであり、有効濾過面積が0.1mである。幾つかの実施形態では、チャネル数は、フィルタの濾過面積が0.1mであって細孔サイズが50,000ダルトンである限り、チャネル数は様々であってよい。この細孔サイズにより、ほとんどのアルブミンを血中に保ちながら、水分、50,000ダルトンより小さい溶質、尿素、及びクレアチニンを除去することが可能になる。
【0076】
図11A〜11Cは、端部プレート004の実施形態の正面図、背面図、及び背面斜視図をそれぞれ示す。端部プレート004は、血液をフィルタに分配するように構成された表面010を含む。アパーチャ008が示されており、これは、端部プレート004がキャップ003及びハウジング013に封止されることを可能にする。
【0077】
図12A〜12Dは、入口001の周辺の領域の正面図、背面斜視図、側面図、及び前面斜視図を示す。出口は、図12A〜12Dに示されたものと同様の構成であってよい。図12A及び12Bは、入口020を示す。図12Bに示されるように、テーパ面006が、キャップ003内で、入口001から受けられた血液、又は出口から出るために待機している血液を保持する漏斗として機能することが可能である。図12C及び12Dは、キャップ003が丸みのある形状であることを示しており、これによって、埋込時に組織を傷つけない表面が与えられ、血栓のリスクが低減される。本明細書に記載のように、ねじアパーチャ008がキャップ003を貫通して延びてよい。血管グラフト001は、入口020又は出口につながってよい。
【0078】
図13A〜13Dは、端部プレート005の実施形態の背面図、正面図、背面斜視図、及び側面図を示す。端部プレート005の凹部012が、本装置の端部を封止するOリング(図示せず)を収容するように構成される。
【0079】
図14に示されるように、端部プレート004、005、及びキャップ003は、本装置のハウジング013の端部においてサンドイッチ構造であってよい。図14は更に、ハウジング013内にあるフィルタ022を示す。キャップ003は、本装置の端部に位置する。端部プレート005は、キャップの内側に位置する。端部プレート004は、端部プレート005の内側に位置する。これらの部品の並びは、実施形態によっては変更されてよい。更に、幾つかの実施形態では、各部品(例えば、漏斗、Oリング座部等)の機能は、部品間で様々に分散されてよい。
【0080】
患者の体の外側には、透析液の吸入を調整する為の制御装置、ポンプ、及び弁が置かれる。流量を毎分100〜800ミリリットルとし、圧力を可変にすることで、本装置は、透析機で行われる透析処置を模擬することが可能になる。
【0081】
透析液は、回腸動脈の圧力よりわずかに高い圧力で、ポンプによりシリコーンチューブを介してシステムに投入される。この圧力は、約0.5〜15psiの範囲であってよい。これらのパラメータは、イオン交換を確実に起こす為に、透析液が辛うじて膜に浸透するようにすることに役立ちうる。その後、圧力が下げられて、透析液がシステムから除去される。このシステムは、血液から溶質を除去する。透析液は、患者の体から出ている経皮ポート014を介して本装置に入ることが可能である。外部ポンプは、フィルタのクリーニングにも使用されてよい。幾つかの実施形態では、透析液が本装置に入ってから本装置から出るまでの時間は数秒(例えば、2〜3秒、1〜5秒、1〜10秒、10秒超など)でありうる。
【0082】
本装置は、本装置上にあってケーシング013のボディ上に配置されている4つのアタッチメントを使用して患者の後部体壁に縫い付けられる。
【0083】
本装置全体の長さは、約85〜135mmであってよい。本装置の幅は、約50〜90mmであってよい。本装置の高さは、約25〜55mmであってよい。幾つかの実施形態では、本装置の寸法は、およそ107×70×38.5mmである。本装置の両端部に配置される血管グラフトは、約5〜7mmであってよい。幾つかの実施形態では、これらのグラフトは約6mmであり、クランプを使用して本装置の各端部に接合される。グラフトは、キャップ上に配置された逆棘の上に位置してよく、クランプは、グラフト上に位置してグラフトを逆棘に保持してよい。本装置は、透析液をポンプでシステムに投入する為の透析ポート及び生体適合性シリコーンチューブのところにチタン製取り付け金具を含んでよい。本装置内のフィルタは、体積で約200ミリリットルの血液で一杯になる。
【0084】
動物血の試験のデータを、以下の表1に示す。本出願によるフィルタが、動物血の体外濾過に使用された。

【表1】
【0085】
この結果によれば、本明細書に記載のフィルタは、濾液中の尿毒症毒素を濃縮することと、アルブミンなどのタンパク質を血液中に保持することが可能である。
【0086】
以下の表2は、腎臓機能がない豚の動物モデルで試験された、本出願による熱分解炭素フィルタの追加試験を示す。豚モデルに対して腎摘出術が行われてから、本装置が接合された。

【表2】
【0087】
収集された試料には、最小限のアルブミンが含まれる。更に、濾液試料中に尿毒症毒素(尿素及びクレアチニン)が存在することが確認されている。
【0088】
一代替実施形態では、図6〜13において図示及び説明されたシステムの実施形態で使用されたフィルタが、図1〜5に関して説明された実施形態のうちの1つに従って構成されたフィルタであってよい。更に別の態様では、図6〜13の場合と同様のシステムのフィルタ及び/又は他の部品の幾つかの異なるフォームファクタが、特定のフィルタ設計に基づく特定用途に向けて、又は任意選択で、本明細書に記載の他のフィルタシステムのいずれかで使用されるフィルタに向けて構成又は適合された変形形態に従って与えられてよく、特に、それらの変形形態が、フィルタの設計及び材料が使用されうる様式に関連する場合に与えられてよい。
【0089】
本明細書に記載のフィルタシステムは、幾つかの異なる臨床構成及び埋込構成に適合されてよい。例えば、フィルタシステムが埋込型の場合には、完全埋込型又は一部埋込型の実施形態があってよい。幾つかの実施形態では、システムの構成要素又は機能の一部が、任意の適切な経皮的通信モダリティを使用して、埋め込まれた装置と通信しながら、患者の体の外側に残ってよい。更に別の態様では、埋め込まれた部分にあるバッテリが経皮的に充電されてよい。更に別の態様では、連係して動作する複数の制御モジュールがあり、これらは、それぞれによって実施される機能性に関して、又は、システムの外部構成要素と内部構成要素との間で使用される制御ソフトウェア又はデータストリームの制御、レポート、更新、又は修正に関して、又は、システムと外部ソース(例えば、クラウドコンピューティングシステムなどのリモートコンピュータシステム)との間の通信において、連係して動作する。結果として、システムの動作の為に使用されるオペレーティングシステム又は制御装置スキームが、幾つかの適切な様式で実施されてよい。
【0090】
図6では一例示的外科的埋込部位が示されているが、患者の解剖学的構造、病状、及び他の臨床的又は外科的な要因に基づく別の可能な埋込部位もありうる。一態様では、腎臓機能に障害又は欠陥がある患者への埋め込みに適合されたシステムの機能、又は外科的埋め込み方法の態様、又は特徴が、患者の将来の計画(例えば、腎移植を受ける為、おそらくは長期にわたって人工腎臓が必要な患者に使用される為)を十分考慮して適合されてよい。この態様では、本装置の実施形態の埋込部位又は設計要因は、その腎不全患者の場合の解剖学的部位及び臨床用途、並びに患者が提供者を待つ期間に関連するそれらの活動の具体的詳細に基づいて修正されてよい。別の態様では、埋込型構成要素又は外科的計画の1つ以上の態様に対して、生来の腎臓、病気又は障害のある腎臓、及び他の、患者の解剖学的又は肉体的な障害に関連付けられる人工腎臓の位置決めに合わせた修正又は適応の為の変更が行われてよく、そのような位置決めには、患者の血管系につながれる人工腎臓などの入口、出口、入力、及び出力の位置、場所、及び配置方法、患者への埋め込み処置についての患者の生理機能などの検討事項、そして、埋め込み後の埋込型ユニットの患者にとっての使いやすさも含まれる。
【0091】
更に埋込処置に加えて、他の様々な実施形態において可能な別のフォームファクタもあり、これによって、埋込型腎臓の全体フォームファクタが幾つかの異なる検討事項を考慮に入れ、そのような検討事項として、例えば、生来の腎臓又は移植された腎臓との関係における人工腎臓の移植部位、向き、及び接合箇所、並びに部分的又は完全に除去された腎臓の外科的部位がある。これらの様々な臨床事例のそれぞれにおいて、入口、出口、制御手段、無線通信用受信器、並びに電源その他の機能的態様の位置などの検討事項に対応する様々な代替形態が与えられてよく、更には、他の、埋め込まれた腎臓に対して選択された埋め込みの位置及び向きに応じた、動作特性の修正が与えられてよい。
【0092】
更に別の実施形態では、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された、2016年7月14日に出願された米国特許仮出願第62/xxx,xxx号、件名「生体適合性且つ血液適合性の材料及びフィルタ(BIOCOMPATIBLE AND HEMOCOMPATIBLE MATERIAL AND FILTER)」(整理番号14172−702.100)に記載された実施形態のうちのいずれかの実施形態の設計特徴を含み、これに限定されない、本明細書に記載の設計特徴のうちの1つ以上の設計特徴が、国際公開第2010088579(A2)号、米国特許第7540963(B2)号、米国特許出願公開第20090131858(A1)号、国際公開第2008086477(A1)号、米国特許出願公開第20060213836(A1)号、米国特許第7048856(B2)号、米国特許出願公開第20040124147(A1)号、米国特許出願公開第20120310136(A1)号、国際公開第2010088579(A2)号、米国特許第7540963(B2)号、米国特許出願公開第20090131858(A1)号、米国特許第7332330(B2)号、米国特許出願公開第20060213836(A1)号、米国特許第7048856(B2)号、米国特許出願公開第20040124147(A1)号、国際公開第2004024300(A1)号、国際公開第2003022125(A2)号、米国特許出願公開第20030050622(A1)号、国際公開第2010057015(A1)号、米国特許出願公開第20100112062(A1)号、米国特許出願公開第20040167634(A1)号、国際公開第1998009582(A1)号、米国特許第9301925(B2)号、米国特許出願公開第20160002603(A1)号、米国特許出願公開第20130344599(A1)号、米国特許出願公開第20090202977(A1)号、国際公開第2007025233(A1)号、米国特許出願公開第20120289881号、米国特許出願公開第20130109088(A1)号、米国特許第8470520(B2)号、国際公開第2013158283(A1)号、米国特許第7083653号、ニッセンソン A.R.a(Nissenson A.R.a)、ロンコ C.b(Ronco C.b)、ペルガミット G.c(Pergamit G.c)、エーデルシュタイン M.c(Edelstein M.c)、ワッツ R.c(Watts R.c)等、「ヒトネフロンフィルタ:連続的に機能する埋込型人工ネフロンシステム用(The Human Nephron Filter: Toward a Continuously Functioning, Implantable Artificial Nephron System)」、ブラッド・ピュリフィケーション(Blood Purif)、2005年23:269−274、(DOI:10.1159/000085882)、ジェレミー J ソング(Jeremy J Song)、ジャック P ギュイエット(Jacques P Guyette)、サラ E ギルピン(Sarah E Gilpin)、ガブリエル ゴンザレス(Gabriel Gonzalez)、ヨーゼフ P ヴァカンティ(Joseph P Vacanti)、ハラルド C オット(Harald C Ott)等、「生体工学で作製された腎臓の再生及び実験的正所性移植(Regeneration and experimental orthotopic transplantation of a bioengineered kidney)」、ネイチャー・メディシン(Nature Medicine)、19、646−651(2013年)、doi:10.1038/nm.3154、マダリアーガ ML(Madariaga ML)、オット HC.(Ott HC.)等、「移植用腎臓の生体工学的作製(Bioengineering kidneys for transplantation)」、セミン・ネフロール(Semin Nephrol)、2014年7月、34(4):384−93. doi: 10.1016/j.semnephrol.2014.06.005. Epub 2014年6月13日、ソング JJ(Song JJ)、ギュイエット JP(Guyette JP)、ギルピン SE(Gilpin SE)、ゴンザレス G(Gonzalez G)、ヴァカンティ JP(Vacanti JP)、オット HC.(Ott HC.)等、「生体工学で作製された腎臓の再生及び実験的正所性移植(Regeneration and experimental orthotopic transplantation of a bioengineered kidney)」、ネイチャー・メディシン(Nat Med.)、2013年5月、19(5):646−51. doi: 10.1038/nm.3154. Epub 2013年4月14日、ウィリアム H.フィッセルIV世(William H. Fissell, IV)、H.デイヴィッド ヒュームス(H. David Humes)、シューヴォ ロイ(Shuvo Roy)、アーロン フライシュマン(Aaron Fleischman)等、「限外濾過膜、装置、バイオ人工器官、及び方法(Ultrafiltration membrane, device, bioartificial organ, and methods)」、米国特許第7540963(B2)号、ドメニコ チアンチアヴィッチア(Domenico Cianciavicchia)、クラウディオ ロンコ(Claudio Ronco)等、「再生システムを有するウェアラブル人工腎臓(Wearble artificial kidney with regeneration system)」、欧州特許第EP2281591(B1)号のいずれかに記載の部品、システム、技術、及び方法のいずれかに本明細書に記載の利点を提供するように使用されるべく修正されてよく、或いは、それらの利点を提供するように構成されてよく、これらの文献のそれぞれは、あらゆる目的の為に参照によってその全内容が本明細書に組み込まれている。
【0093】
本明細書において、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素の「上に(on)」あると言及された場合、その特徴又は要素は、直接その別の特徴又は要素に接していてよく、或いは、介在する特徴及び/又は要素が存在してもよい。これに対し、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素の「直接上に(directly on)」あると言及された場合、介在する特徴及び/又は要素は存在しない。 又、当然のことながら、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素に「接続されている(connected)」、「取り付けられている(attached)」、又は「結合されている(coupled)」と言及された場合、その特徴又は要素は、直接その別の特徴又は要素に接続されているか、取り付けられているか、結合されていてよく、或いは、介在する特徴又は要素が存在してもよい。これに対し、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素に、「直接接続されている(directly connected)」、「直接取り付けられている(directly attached)」、又は「直接結合されている(directly coupled)」と言及された場合、介在する特徴又は要素は存在しない。そのように記載又は図示された特徴及び要素は、1つの実施形態に関して記載又は図示されているが、他の実施形態にも当てはまってよい。又、当業者であれば理解されるように、ある構造又は特徴が別の特徴に「隣接して(adjacent)」配置されていて、その構造又は特徴が言及された場合、その言及は、隣接する特徴と部分的に重なり合うか、隣接する特徴の下層となる部分を有してよい。
【0094】
本明細書において使用された術語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本開示の限定を意図したものではない。例えば、本明細書において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに矛盾する場合を除き、複数形も同様に包含するものとする。更に、当然のことながら、「comprises(含む)」及び/又は「comprising(含む)」という語は、本明細書で使用された際には、述べられた特徴、手順、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を明記するものであり、1つ以上の他の特徴、手順、操作、要素、構成要素、及び/又はこれらの集まりの存在又は追加を排除するものではない。本明細書では、「及び/又は(and/or)」という用語は、関連付けられて列挙されたアイテムのうちの1つ以上のアイテムのあらゆる組み合わせを包含するものであり、「/」と略記されてよい。
【0095】
「下に(under)」、「下方に(below)」、「下方の(lower)」、「上方の(over)」、「上方の(upper)」などのような空間的に相対的な語句は、本明細書では、図面に示されるような、1つの要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係を説明する場合に説明を簡単にする為に使用されてよい。当然のことながら、この空間的に相対的な語句は、使用時又は操作時の器具の、図面で描かれる向きに加えて、それ以外の向きも包含するものとする。例えば、図面内の器具が反転された場合、別の要素又は特徴の「下に(under)」又は「真下に(beneath)」あると記載された要素は、その別の要素又は特徴の「上に(over)」方向づけられることになる。従って、例えば、「下に(under)」という語句は、「上に(over)」及び「下に(under)」の両方の向きを包含しうる。本装置は、他の方向づけ(90度回転又は他の方向づけ)が行われてよく、それに応じて、本明細書で使用された空間的に相対的な記述子が解釈されてよい。同様に、「上方に(upwardly)」、「下方に(downwardly)」、「垂直方向の(vertical)」、「水平方向の(horizontal)」などの用語は、本明細書では、特に断らない限り、説明のみを目的として使用される。
【0096】
「第1の」及び「第2の」という語句は、本明細書では様々な特徴/要素(ステップを含む)を説明する為に使用されてよいが、これらの特徴/要素は、文脈上矛盾する場合を除き、これらの語句によって限定されるべきではない。これらの語句は、ある特徴/要素を別の特徴/要素と区別する為に使用されてよい。従って、本発明の教示から逸脱しない限り、第1の特徴/要素が後述時に第2の特徴/要素と称されてもよく、同様に、第2の特徴/要素が後述時に第1の特徴/要素と称されてもよい。
【0097】
本明細書及び後続の特許請求の範囲の全体を通して、別段に記述しない限りは、「含む(comprise)」という後、及びその変形である「含む(comprises)」、「含む(comprising)」などは、方法及び物品(例えば、装置(device)及び方法を含む構成及び装置(apparatus))において様々な構成要素が相互連帯して使用されてよいことを意味する。例えば、「含む(comprising)」という語は、述べられた全ての要素又はステップの包含を意味するものであって、他のあらゆる要素又はステップの排除を意味するものではないことを理解されたい。
【0098】
実施例において使用される場合も含め、本明細書及び特許請求の範囲において使用されているように、且つ、特に断らない限り、あらゆる数値は、「約(about)」又は「およそ(approximately)」という語句が前置されているものとして読まれてよく、たとえ、その語句が明示的に現れていなくても、そのように読まれてよい。「約(about)」又は「およそ(approximately)」という語句は、大きさ及び/又は位置を示す場合に、記載された値及び/又は位置が、妥当な予想範囲の値及び/又は位置に収まっていることを示す為に使用されてよい。例えば、数値は、述べられた値(又は値の範囲)の±0.1%の値であってよく、述べられた値(又は値の範囲)の±1%の値であってよく、述べられた値(又は値の範囲)の±2%の値であってよく、述べられた値(又は値の範囲)の±5%の値であってよく、述べられた値(又は値の範囲)の±10%の値であってよく、他のそのような値であってよい。本明細書で与えられるいかなる数値も、文脈上矛盾する場合を除き、その値の前後のおおよその値も包含するものと理解されたい。ed." 例えば、値「10」が開示されている場合は、「約10」も開示されている。本明細書に記載のいかなる数値範囲も、そこに包含される全ての副範囲を包含するものとする。又、当然のことながら、当業者であれば適正に理解されるように、ある値が開示されていれば、その値「以下の」値、その値「以上の」値、及びそれらの値の間の可能な範囲も開示されている。例えば、値「X」が開示されていれば、「X以下の」値、及び「X以上の」値(例えば、Xが数値の場合)も開示されている。又、本出願全体を通して、データが幾つかの異なるフォーマットで与えられていること、並びにこのデータが終点及び始点を表していて、これらのデータ点の任意の組み合わせにわたる範囲を有することも理解されたい。例えば、特定のデータ点「10」及び特定のデータ点「15」が開示されていれば、10と15の間の値だけでなく、10及び15より大きい値、10及び15以上の値、10及び15より小さい値、10及び15以下の値、及び10及び15に等しい値も開示されていると見なされる。2つの特定の単数の間の各単数も開示されていることも理解されたい。例えば、10及び15が開示されていれば、11、12、13、及び14も開示されている。
【0099】
ここまで様々な例示的実施形態を説明してきたが、特許請求の範囲によって示される本発明の範囲から逸脱しない限り、様々な実施形態に対して、幾つかある変更のいずれが行われてもよい。例えば、記載された各種方法ステップが実施される順序は、代替実施形態では変更されてよい場合が多く、代替実施形態によっては、1つ以上の方法ステップがまとめてスキップされてもよい。装置及びシステムの様々な実施形態の任意選択の特徴が、実施形態によっては含まれてよく、実施形態によっては含まれなくてよい。従って、上述の説明は、主に例示を目的としたものであり、特許請求の範囲に明記されている本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0100】
本明細書に含まれる実施例及び具体例は、本発明対象が実施されうる具体的な実施形態を、限定ではなく例示として示す。言及されたように、他の実施形態が利用されたり派生したりしてよく、本開示の範囲から逸脱しない限り、構造的な、或いは論理的な置換又は変更が行われてよい。本発明対象のそのような実施形態は、本明細書においては、個別に参照されてよく、或いは、「本発明」という言い方でまとめて参照されてよく、「本発明」という言い方で参照することは、あくまで便宜上であって、本出願の範囲を、実際には2つ以上が開示されていても、いずれか1つの発明又は発明概念に自発的に限定することを意図するものではない。従って、本明細書では特定の実施形態を図示及び説明してきたが、この、示された特定の実施形態を、同じ目的を達成するように作られた任意の構成で置き換えてよい。本開示は、様々な実施形態のあらゆる翻案又は変形を包含するものである。当業者であれば、上述の説明を精査することにより、上述の複数の実施形態の組み合わせ、及び本明細書に具体的な記載がない他の実施形態が明らかになるであろう。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14】
【図15】
【国際調査報告】