(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019521812
(43)【公表日】20190808
(54)【発明の名称】インプラント及び関節インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20190712BHJP
【FI】
   !A61F2/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】2019504716
(86)(22)【出願日】20170731
(85)【翻訳文提出日】20190320
(86)【国際出願番号】EP2017069258
(87)【国際公開番号】WO2018020048
(87)【国際公開日】20180201
(31)【優先権主張番号】102016114059.7
(32)【優先日】20160729
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所】ドイツ 78532 トゥットリンゲン アム アエスキュラップ−プラッツ
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap−Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ハーゲン
【住所又は居所】ドイツ、78532 トゥットリンゲン、オーベレル バン 59
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シュルツ
【住所又は居所】ドイツ、01877 シュメルン‐プッカウ、ガルテンヴェーク 3
(72)【発明者】
【氏名】サッシャ テー ヴェー マン
【住所又は居所】ドイツ、35463 フェルンヴァルト、アイゼナッハー‐シュトラーセ 3
(72)【発明者】
【氏名】トーマス グルップ
【住所又は居所】ドイツ、78588 デンキンゲン、アホルンシュトラーセ 15
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB01
4C097CC03
4C097CC06
4C097DD02
4C097EE02
4C097MM04
4C097MM05
4C097SC09
(57)【要約】
骨腔内に挿入可能なシャンクを備えたインプラントを、骨セメント固定を少なくとも部分的に省くことができるように改良するために、骨接触面が、第1生体適合性骨接触層を設けられる、第1生体適合性骨接触層で被覆される、又は生体適合性骨接触層を支承することが提案される。ここでシャンクはプラスチック製、特に生体不適合性プラスチック製であり、少なくとも1つの骨接触面を規定する。
更に、第1関節コンポーネントと、第1関節コンポーネントと連携する少なくとも1つの第2関節コンポーネントとを備えた改良関節インプラントが提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨腔(28)内に挿入可能なシャンク(30)を備えたインプラント(26)であって、
前記シャンク(30)が、プラスチック製、特に生体不適合性プラスチック製であると共に、少なくとも1つの骨接触面(40)を規定するインプラント(26)のおいて、
前記骨接触面(40)が、第1生体適合性骨接触層(42)を設けられる、又は第1生体適合性骨接触層(42)で被覆される、又は生体適合性骨接触層(42)を支承すること、を特徴とするインプラント。
【請求項2】
請求項1に記載のインプラントであって、前記インプラント(26)の前記シャンク(30)が、骨セメントを用いることなく骨腔(28)内に固定されるよう意図されること、を特徴とするインプラント。
【請求項3】
請求項1から2のいずれか1項に記載のインプラントであって
前記インプラント(26)が、基体(32)を含むこと、及び
前記シャンク(30)が、前記基体(32)の下側(34)から離れるように延びること、
を特徴とするインプラント。
【請求項4】
請求項3に記載のインプラントであって、前記基体(32)が、準備された骨面(46)に当接する基体骨接触面(44)を有すること、を特徴とするインプラント。
【請求項5】
請求項4に記載のインプラントであって、前記基体骨接触面(44)が、第2生体適合性骨接触層(52)を設けられる、又は第2生体適合性骨接触層(52)を支承すること、を特徴とするインプラント。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか1項に記載のインプラントであって、前記基体(32)が、骨セメントを用いることなく骨に固定されるよう意図されること、を特徴とするインプラント。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のインプラントであって、前記インプラント(26)が、骨セメントを用いることなく骨に固定されるよう意図されること、を特徴とするインプラント。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のインプラントであって、前記第1骨接触層(42)及び前記第2骨接触層(52)が、同一構成であること、を特徴とするインプラント。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のインプラントであって、前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層(42、52)が、約1μm〜約1000μmの範囲、特に約5μm〜約700μmの範囲の厚さを有すること、を特徴とするインプラント。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のインプラントであって、前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層(42、52)が、約0.5μm〜約10μmの範囲の粗さを有すること、を特徴とするインプラント。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のインプラントであって、前記骨接触面(40)及び/又は前記基体骨接触面(44)が、約0.5μm〜約10μmの範囲の粗さを有すること、を特徴とするインプラントで。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載のインプラントであって、前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層(42、52)が、少なくとも1つの金属製、及び/又は生体適合性プラスチック製、及び/又はセラミック製、及び/又は少なくとも1つの骨鉱物製であること、を特徴とするインプラント。
【請求項13】
請求項12に記載のインプラントであって、前記少なくとも1つの金属が、チタンである、又はチタンを含むこと、を特徴とするインプラント。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のインプラントであって、前記生体適合性プラスチックが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含むこと、を特徴とするインプラント。
【請求項15】
請求項12から14のいずれか1項に記載のインプラントであって、前記骨鉱物が、ヒドロキシアパタイトであること、を特徴とするインプラント。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載のインプラントであって、前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層(42)が、冷間ガス溶射、及び/又は物理的気相蒸着、及び/又は化学的気相蒸着により形成されること、を特徴とするインプラント。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載のインプラントであって、前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層(42)が、完全に密閉形成されること、を特徴とするインプラント。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載のインプラントであって、前記インプラント(26)が、前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層を除いて、完全に前記生体不適合性プラスチック製であること、を特徴とするインプラント。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載のインプラントであって、前記生体不適合性プラスチックが、ポリエチレン又は超高分子量ポリエチレンであること、を特徴とするインプラント。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載のインプラントであって、前記インプラント(26)が、一体的に、特にモノリシックに形成されること、を特徴とするインプラント。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項に記載のインプラントであって、前記インプラント(26)が、人工関節インプラント(10)の第1関節コンポーネント(14、18)の形態で構成され、少なくとも1つの接合面(22、24)を有すること、を特徴とするインプラント。
【請求項22】
請求項21に記載のインプラントであって、前記少なくとも1つの接合面(22、24)が、前記生体不適合性プラスチックにより形成されること、を特徴とするインプラント。
【請求項23】
請求項21又は22に記載のインプラントであって、前記第1関節コンポーネント(14)が、膝関節内補綴物(12)の脛骨コンポーネント(16)の形態で構成されること、を特徴とするインプラント。
【請求項24】
第1関節コンポーネント(14)と、前記第1関節コンポーネント(14)と連携する少なくとも1つの第2関節コンポーネント(18)とを備えた関節インプラント(10)において、
前記第1関節コンポーネント及び/又は前記少なくとも1つの第2関節コンポーネント(14、18)が、請求項1から23のいずれか1項に記載のインプラント(26)の形態で構成されること、を特徴とする関節インプラント(10)。
【請求項25】
請求項24に記載のインプラントであって、
前記関節インプラント(10)が、膝関節内補綴物(12)の形態で構成されること、
前記第1関節コンポーネント(14)が、脛骨コンポーネント(16)の形態で構成されること、及び
前記第2関節コンポーネント(18)が、大腿コンポーネント(20)の形態で構成されること、
を特徴とするインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は骨腔内に挿入可能なシャンクを備えたインプラントに関し、前記シャンクは生体不適合性プラスチック製であると共に、少なくとも1つの骨接触面を規定する。
【0002】
本発明は更に第1関節コンポーネントと、前記第1関節コンポーネントと連携する少なくとも1つの第2関節コンポーネントを備えた関節インプラントに関する。
【背景技術】
【0003】
冒頭で述べた種類の関節インプラントは、人の退化又は変形した膝関節を取り替えるために、例えば膝関節内補綴物の形態で用いられる。このような膝関節内補綴物は少なくとも2つの関節コンポーネント、つまり人工膝関節を形成するために互いに連携する脛骨コンポーネントと大腿コンポーネントとを含む。前記2つの関節コンポーネントはここでは特に文頭で述べた種類のインプラントの形態で構成される。
【0004】
例えばUHMWPE等の高密度ポリマーなどの総プラスチック製の脛骨コンポーネントを備えた膝関節内補綴物が、US 4,209,861から周知である。
【0005】
この数十年でプラスチック製のインプラント、特にUHMWPE製インプラントは骨と直接接触すべきでないことが証明された。UHMWPEは疎水性材料であるため、骨組織がインプラントの表面に成長するという大変不利な状態をもたらす。微小移動がこのように骨組織とインプラントの表面の境界面で持続的に発生するため、結合組織の変形やインプラントのプラスチックの退化に至る場合がある。この問題を回避するために、総プラスチック製の膝関節内補綴物の脛骨コンポーネントが骨セメントで固定される。ここでセメントマントル又はセメント層がそれぞれインプラントの骨接触面と骨組織との間で形成される。骨セメントはこのように一方では骨内及び骨上にインプラントを固定すると同時に、プラスチックと骨組織とを分離する層として役立つ。
【0006】
総プラスチック製の脛骨コンポーネントのシャンクをセメント接合する際の問題は、シャンクの端部で応力ピークに至ることがあり得ることである。シャンク領域でセメント接合されない脛骨コンポーネントの埋込みでは応力ピークは発生しない。最悪の場合、上記応力ピークにより脛骨、すなわちシャンクを取り囲む骨の損傷に至る場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US 4,209,861
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって本発明の目的は、文頭で述べた種類のインプラント又は関節インプラントを、骨セメント固定を少なくとも部分的に省くことができるように改良することである。
【0009】
本目的は冒頭で述べた種類のインプラントの発明により達成され、前記骨接触面が、第1生体適合性骨接触層を設けられる、又は生体適合性骨接触層で被覆される、又は生体適合性骨接触層を支承する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
周知のインプラントを更に開発する提案では、特に骨セメントを使用せずに骨上又は骨内に関節プラントを固定することが可能になる。特に前記シャンク、前記第1生体適合性骨接触層を設けられる、又は前記第1生体適合性骨接触層で被覆される、又は前記第1生体適合性骨接触層を支承する前記少なくとも1つの骨接触面が直接骨又は骨組織と接触するが、上記の望ましくない結果が発生することはない。このように特に前記シャンクのセメント接合を省略できるため、上記の応力ピークも発生せず、脛骨損傷の虞も大幅に軽減される。もちろんインプラントは骨と接触する面を有してよい。生体適合性骨接触層を設けない面の場合、例えば骨セメント層により面を骨組織と分離することができる。特に、適宜準備した脛骨の骨面上に脛骨プレートを骨セメント手段により大腿骨方向に向けて固定することができる。
【0011】
前記インプラントの前記シャンクが、骨セメントを用いることなく骨腔内に固定されるように意図されることが好ましい。本願での「意図する」及び「意図する用途」はそれぞれ、骨組織と直接接触を可能とする材料であって、プラスチックが骨組織と直接接触するプラスチックインプラントから周知の上記の望ましくない副作用が発生しない材料で前記シャンクが作成される又は被覆されることを意味する。生体適合性骨接触層の結果として、このような方法で形成されたシャンクは骨セメントを用いることなく前記骨腔内に固定することができ、つまり結合組織の変形又はプラスチック製の前記シャンクの一部損傷といった虞がない。
【0012】
前記インプラントが基体を含み、前記シャンクが前記基体の下側から離れるように延びる場合、有利である。前記基体は、例えば大腿コンポーネントの対応摺動面と当接する摺動面を備えた脛骨プレートの形態で構成することができる。前記基体から離れるように延びる前記シャンクが前記インプラントを骨上に最適に固定する役目をする。
【0013】
前記インプラントの骨上への固定を更に改良するために、特に前記基体が準備された骨面に当接する基体骨接触面を有するように規定することができる。つまり、前記シャンクだけではなく前記基体又は前記インプラントの別の箇所が骨組織に接触してもよい。前記基体骨接触面に生体適合性骨接触層を設けられない場合、骨セメント手段により前記インプラントを前記骨に固定することでプラスチックと骨組織の接触という欠点を回避することができる。
【0014】
前記基体骨接触面が、第2生体適合性骨接触層を設けられる、又は第2生体適合性骨接触層を支承する場合、更に有利とすることができる。このような更なる開発により、特に骨セメントを用いることなく完全に前記インプラントを骨に固定することが可能になる。プラスチックと骨組織の接触という上記記載の望ましくない欠点が、このように単純な仕方で回避することができる。
【0015】
更に、骨セメントを用いることなく前記基体を前記骨に固定するよう意図されることが好ましい。「意図する」及び「意図する用途」は、それぞれここでは骨組織と直接接触を可能とする材料であって、プラスチックが骨組織と直接接触するプラスチックインプラントから周知の上記の望ましくない副作用が発生しない材料で前記基体が作成される又は被覆されることを意味する。
【0016】
第1骨接触層及び第2骨接触が同一構成の場合、前記インプラントが特に単純に形成することができる。特に、例えば前記インプラントが一体的、特にモノリシックに形成される場合、第1骨接触層及び第2骨接触層が1つの製造工程で適用することができる。
【0017】
前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層が、約1μm〜約1000μmの範囲の厚さを有する場合、有利である。特に約5μm〜約700μmの範囲の厚さを有してよい。指定範囲の厚さで骨接触層を形成すると、前記インプラントの有利な特性に関わらず、つまり骨セメントを用いることなく埋込み可能に関わらず、特に容易に及び/又は軽量に前記インプラントを形成することができるという利点がある。前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層が、少なくとも、前記インプラントの材料であるプラスチックと前記骨組織との直接骨接触を確実に回避することができる程度の厚さであることが好ましい。
【0018】
骨組織の内殖を改善し、それぞれ骨組織の前記インプラントでの成長を改善するために、前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層を粗く形成される場合、好ましい。前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層が、約0.5μm〜約10μmの範囲の粗さを有することが好ましい。
【0019】
前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層を望ましい粗さで形成し、同時に前記インプラントを単純に製造可能にするために、前記骨接触面及び/又は前記基体骨接触面が約0.5μm〜約10μmの範囲の粗さを有する場合、有利である。前記インプラントの各表面には、骨組織と接触するという用途があり、前記インプラントの各表面を単純な仕方で薄型骨接触層で被覆することができ、前記骨接触面及び/又は前記基体骨接触面の粗さは維持又は概ね維持することができる。これは例えば、冷間ガス溶射手段、及び/又は物理的気相蒸着、及び/又は化学的気相蒸着により前記骨接触層に適用することで実行してよい。
【0020】
前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層が、少なくとも1つの金属製、及び/又は生体適合性プラスチック製、及び/又はセラミック製、及び/又は少なくとも1つの骨鉱物製である場合、好ましい。前記インプラントの材料となるプラスチックに応じて、適切な材料を、前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層を形成するために作ることができる。
【0021】
前記少なくとも1つの金属は、チタンである、又はチタンを含むことが好ましい。このように前記少なくとも1つの金属は、特にこのようにチタン及びその他生体適合性金属を含む合金とすることができる。
【0022】
前記生体適合性プラスチックが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含むことが有利である。PEEKは軽量ではあるが生体適合性であるインプラントの形成、特に非生体適合性プラスチックの被覆にも最適である。
【0023】
前記骨鉱物がヒドロキシアパタイトである場合、更に好ましい。ヒドロキシアパタイトは生物で発生し、特にバイオミネラリゼーションを介して人体で生じる。ヒドロキシアパタイトは、約40%の割合で骨に含まれる。骨と前記インプラントとの間で特に骨適合性接触をこのように形成することができる。
【0024】
前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層が、冷間ガス溶射、及び/又は物理的気相蒸着、及び/又は化学的気相蒸着により形成される場合、単純な仕方で前記プラスチック製関節インプラントの塗布を達成することができる。特に薄型骨接触層を、このように例えば上記規定範囲の厚さで形成することができる。
【0025】
前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層が、完全に密閉形成されることが好ましい。このようにすることで、特に前記インプラントの材料となるプラスチックと骨組織とが接触しないことを確実にすることができる。
【0026】
前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層を除く前記インプラントを完全に生体不適合性プラスチック製とすることが、更に好ましい。これにより特に前記インプラントの形成に必要な所望の機械特性を有するプラスチックからなる前記インプラント及び前記インプラントを規定するインプラント基体の製造がそれぞれ可能となる。特に、前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層の結果、前記生体不適合性プラスチックと患者の骨組織の直接接触を回避することができるため、前記プラスチックが生体適合性であるか否かを考慮する必要はない。
【0027】
特に関節インプラントの摺動面を形成するために、前記非生体適合性プラスチックがポリエチレン又超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)である場合、有利である。特に摺動面をこのように前記インプラントと一体的又はモノリシックに形成することができる。補綴物に必要な部品の数を、単純な仕方でこのように最小限にすることができる。
【0028】
前記インプラントを一体的に形成されることが好ましい。特にモノリシックに形成することができる。ここでインプラントは、特に前記第1骨接触層及び/又は前記第2骨接触層を有するインプラント基体として理解されるものとする。
【0029】
前記インプラントが、人工関節又は関節インプラントの第1関節コンポーネントの形態で構成され、少なくとも1つの接合面を有する場合、好ましい。第2の対応するように形成された関節コンポーネントと共に、人工関節を単純な仕方でこのように形成することができる。特に前記少なくとも1つの接合面は2つ、3つ、又はそれ以上であってもよく、前記インプラント及び前記インプラント基体それぞれと一体的又はモノリシックに形成される。
【0030】
前記少なくとも1つの接合面が、前記生体不適合性プラスチックにより形成されることが好ましい。特に前記プラスチックは、その特性が摩擦と摩耗ができるだけ小さい接合面を形成するために有利な方法で使用可能となるように、選択することができる。ここでは、特にUHMWPEを使用することができる。
【0031】
膝関節内補綴物を形成するために、前記第1関節コンポーネントが脛骨コンポーネントの形態で構成される場合、特に有利である。あるいは大腿コンポーネントの形態で構成することができる。その他関節、例えば人工肩関節、人工足首関節、又は人工股関節をこのように人工的に製造することができる。
【0032】
前記第1関節コンポーネント及び/又は前記少なくとも1つの第2関節コンポーネントは、上記記載の有利なインプラントの1つの形態で構成される点で、冒頭で述べた目的が冒頭で述べた種類の関節インプラントの発明により更に達成される。前記関節インプラント全体の少なくとも一部も、インプラントの好ましい実施形態と組み合わせて説明した上記利点を有する。
【0033】
前記関節インプランが膝関節内補綴物の形態で構成される場合、前記第1関節コンポーネントが脛骨コンポーネントの形態で構成される場合、及び前記第2関節コンポーネントが大腿コンポーネントの形態で構成される場合、好ましい。膝関節内補綴物をこのように単純な仕方で形成することができ、膝関節内補綴物は、上記の有利なインプラントの形態で構成される関節コンポーネントを少なくとも1つ、具体的には2つ含む。この種の膝関節内補綴物は長期持続的に安定であり、最適な生体適合性がある。更に最小重量であるため、患者が人工関節に慣れることが改善される。
【0034】
本発明の好ましい実施形態の以下の記載は、図面と合わせると更に説明するように働く。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】膝関節内補綴物形態の関節インプラントの側面図。
【図2】図1に示す膝関節内補綴物の脛骨コンポーネントの斜視図。
【図3】図2に示す脛骨コンポーネントの別の斜視図。
【図4】膝関節内補綴物の脛骨コンポーネントの別の実施形態。
【発明を実施するための形態】
【0036】
膝関節内補綴物12の形態で参照番号10と共に図1に模式的に示されるのは、関節インプラントの一例である。
【0037】
関節インプラント10は、脛骨コンポーネント16形態の第1関節コンポーネント14と大腿コンポーネント20形態の第2関節コンポーネント18とを含む。
【0038】
第1関節コンポーネント14の2つの接合面22は、第2関節コンポーネント18の2つの接合面24に対応して形成される。接合面22、24を互いに当接させるよう意図しており、任意で互いに摺動及び/又は互いに回転して人工関節を形成してもよい。
【0039】
以下2つの関節コンポーネント14、18を略して、インプラント26と称する。
【0040】
インプラント26に接合面22、24をそれぞれ設けることは必須ではなく、関節インプラント10を形成するために2つの協働インプラント26を設けられれば十分である。人間又は動物の体の骨の一部置き換えとして、1つの個別インプラント26をこのように埋込むことも考えられる。
【0041】
図1〜図3に関連して、脛骨コンポーネント16形態のインプラント26の構造をより詳しく説明する。
【0042】
インプラント26が、骨腔28に挿入可能なプラスチック製のシャンク30を含む。更に、インプラント26が基体32を含み、シャンク30が基体32の下側34から離れるように延びる。
【0043】
接合面22が、基体32の上側36に形成される。
【0044】
シャンク30の外面38が、骨接触面40を規定する。後者は第1生体適合性骨接触層42を設けられ、第1生体適合性骨接触層42で被覆される、又はこのような骨接触層42を支承する。
【0045】
基体32が更に、準備された骨面46と当接する基体骨接触面44を有する。例えば、図1に略示された骨面46が平坦表面に関係し、平坦表面を脛骨48の部分切除術後に形成してもよい。
【0046】
基体骨接触面44が、シャンク30を取り囲む下側34の残りの領域を形成する。
【0047】
インプラント26が全体的に一体形成され、例えば射出成形によりモノリシックに形成されるプラスチックの関節インプラント基体50を含む。
【0048】
プラスチックは特に生体不適合性プラスチックに関係し、骨と接触する場合、文頭で述べた望ましくない結果に至る。非生体適合性プラスチックは、特にポリエチレン又は超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)に関係してよい。
【0049】
モノリシック関節インプラント基体50は、記載のとおりシャンク30領域にのみ生体適合性骨接触層42が設けられる。前記層は約1μm〜約1000μmの範囲の厚さを有する。特に約5μm〜約700μmの範囲の厚さを有してよい。
【0050】
更に、第1骨接触層42は粗く、その範囲を約0.5μm〜約10μmとしてもよい。
【0051】
骨接触面40、つまり関節インプラント基体50の外面の一部を粗くすることができ、約0.5μm〜約10μmの範囲の粗さとしてもよい。
【0052】
第1骨接触層42は、例えば金属製、特にチタン製、チタン含有合金製、又はポリエーテルエーテルケトン等の生体適合性プラスチック製であることができる。あるいは骨接触層42は、セラミック製又は骨鉱物製であることができる。骨鉱物が、具体的にはヒドロキシアパタイトであってもよい。
【0053】
第1骨接触層42を具体的には冷間ガス溶射、及び/又は物理的、及び/又は化学的気相蒸着により形成することができる。
【0054】
関節インプラント基体50とその骨接触面40とが骨組織と接触するのを回避するために、第1骨接触層42は完全に密閉形成される。
【0055】
基体骨接触面44は被覆されない。骨組織との接触を回避するために、インプラント26を固定する用の骨セメントを使用することができる。その後、骨セメントが基体骨接触面44と骨組織との間に分離層を形成し、インプラント26を骨に固定する際にも役立つ。
【0056】
関節インプラント基体50のモノリシック構成は、接合面22が、特にインプラント基体50の材料となる生体不適合性プラスチック製とすることができるという利点がある。
【0057】
図1〜図3に示すインプラント26の実施形態の構成では、骨セメントを用いることなくシャンク30を骨腔28に固定するよう意図している。これは、骨組織に影響を及ぼさない骨接触層42により可能となる。
【0058】
第1関節コンポーネント14の形態のインプラント26の別の実施形態が、概略的に図4に示され、脛骨コンポーネント16として構成されている。本実施形態は、基体骨接触面44も第2骨接触層52で被覆される点で、図1〜図3に示すインプラント26の実施形態とは異なる。
【0059】
第2骨接触層52は、具体的には第1骨接触層42と同一構成とすることができる。繰り返しを避けるため、上記で特定した第1骨接触層42の粗さや製造方法等の特性を参照する。
【0060】
第2骨接触層52が上記記載の材料でも作成することができ、上記記載の材料は骨接触層42の説明と併せて特定される。
【0061】
第2骨接触層52を設けることで、特に意図したように骨セメントを用いることなく骨に、特に骨面46に基体32固定することが可能となる。
【0062】
インプラント26の記載の2つの実施形態では、必要に応じて代替的又は追加的に骨セメントで固定可能とするように、シャンク30を任意に構成することができる。
【0063】
脛骨コンポーネント16と同様に大腿コンポーネント20は、大腿骨の骨腔内に固定するためのシャンクを有してもよい。ここでもシャンク及び場合次第で、大腿コンポーネント20の基体が1つ又は複数の骨接触層を設けることができ、骨セメントを使用せずに大腿コンポーネントを大腿骨に埋込む際に、大腿コンポーネントの関節インプラント基体の製造材料と周囲の骨組織とが直接接触するのを回避することができる。
【符号の説明】
【0064】
10 関節インプラント
12 膝関節内補綴物
14 第1関節コンポーネント
16 脛骨コンポーネント
18 第2関節コンポーネント
20 大腿コンポーネント
22 接合面
24 接合面
26 インプラント
28 骨腔
30 シャンク
32 基体
34 下側
36 上側
38 表面
40 骨接触面
42 第1骨接触層
44 基体骨接触面
46 骨面
48 脛骨
50 インプラント基体
52 第2骨接触層
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【国際調査報告】