(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019521826
(43)【公表日】20190808
(54)【発明の名称】寛骨臼カップインプラント用のホルダ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/34 20060101AFI20190712BHJP
【FI】
   !A61F2/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】41
(21)【出願番号】2019523193
(86)(22)【出願日】20170712
(85)【翻訳文提出日】20190308
(86)【国際出願番号】GB2017052039
(87)【国際公開番号】WO2018011568
(87)【国際公開日】20180118
(31)【優先権主張番号】1612056.0
(32)【優先日】20160712
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519012275
【氏名又は名称】エンボディ オーソペディック リミティド
【住所又は居所】イギリス国,ロンドン エヌ1 1ジェイティー,ソーンヒル ロード 59ビー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100174942
【弁理士】
【氏名又は名称】平方 伸治
(72)【発明者】
【氏名】ロバート マイケル ウォーゼンクロフト
【住所又は居所】イギリス国,エプソム サリー ケーティー19 8ピーキュー,ホールトン レーン,ウエストビュー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA06
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC04
4C097DD01
4C097DD06
4C097EE02
4C097MM09
4C097SC05
(57)【要約】
本発明は、医療器具(例えば、カップインプラント3)と、医療器具と相互作用して構成要素の結合配合体内に密封可能な空洞を形成する保持装置2と、を備えるシステムに関する。好ましくは空洞から流体を押し出せるようにするがそれ以上の流体が空洞へ進入するのを防止する手段を与える嵌入装置1も、提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)医療器具、及び前記医療器具と相互作用する又は前記医療器具の上/中に位置付けられたインサートと相互作用する保持装置であって、前記医療器具及び/又はインサートと前記保持装置との間の相互作用が、その結果できた前記医療器具及び/又はインサートと前記保持装置との結合体内に空洞を生成し、前記空洞が少なくとも部分的に流体で充填され、前記保持装置が、前記医療器具及び/又はインサートの中へ配置するためのカバー組立体を備え、前記カバー組立体が、
近位面であって、前記近位面が嵌入装置と相互作用する又はこれを受け入れることができる領域を備える、近位面と、
前記カバー組立体の前記近位面から離れて配置されかつ前記医療器具及び/又はインサートの中に嵌るように配列された遠位面であって、前記遠位面が少なくとも1つのシールを備える、遠位面と、
を備える、医療器具及び保持装置と、
(ii)嵌入装置であって、前記嵌入装置が、
近位端部と、
シャフトと、
前記カバー組立体の少なくとも一部品と相互作用する遠位領域と、
を備え、
前記嵌入装置の前記シャフト及び/又は遠位領域が、前記空洞への付加的な流体の進入を防止する機構をさらに備える、嵌入装置と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記保持装置が、前記カバー組立体の近位面からこれを通過してかつ遠位面までこれを通過して延びる孔を備えるカバー組立体を備え、前記孔の少なくともの一部分が前記嵌入装置の一部分を受け入れる寸法を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記嵌入装置の前記遠位領域が通路を含み、前記通路が前記遠位領域の遠位部分に入口ポートと前記遠位部品から離れるシャフトの点に出口ポートとを備え、前記嵌入装置が、前記出口ポートを取外し可能にブロックするための手段をさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記出口ポートを取外し可能にブロックするための手段が逆止め弁である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記逆止め弁がボール弁及び/又はOリング又はこれと同種のものである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記嵌入装置の前記遠位領域がピンを備え、前記ピンが、前記空洞を解除可能に密封するように作動可能である、請求項2〜5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記ピンの一部分が、前記カバー組立体を通過して延びる孔の相補的プロフィルの部分の中へ嵌まるプロフィルを有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記嵌入装置の前記遠位領域が、前記嵌入装置と前記保持装置との間の確実な接続の維持を助けるために、前記保持装置と相互作用するロック機構をさらに備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記嵌入装置の前記遠位領域がピンを備え、前記ピンが前記空洞を解除可能に密封するために作動可能であり、かつ、前記ピンが、前記ロック機構が前記嵌入装置を保持装置にロック又はアンロックするために前記保持装置と相互作用するのをそれぞれ許容又は防止するために前記ロック機構と相互作用する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記医療器具及び/又はインサート、前記保持装置及び前記嵌入装置の形態が、
a)前記空洞内に低圧力又は吸引力を生成するための手段、及び
b)前記低圧力又は吸引力を維持するための手段、
を形成する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記嵌入装置が、前記遠位領域にフランジを備え、前記フランジが、前記保持装置の上又は中での前記嵌入装置の着座を安定化するために前記保持装置と相互作用できる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記嵌入装置が、前記通路と連絡するプランジャを使用するなどによって前記空洞内に低圧力又は吸引力を生成する機構をさらに備え、前記プランジャが前記通路内及び前記空洞の中の流体を引っ張る又は押すために調節可能である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムが、流体をさらに備え、前記流体が、前記流体が前記密封空洞の中に在るように前記システムへ導入され、好ましくは前記流体が液体でありかつ前記密封空洞の中に全く又は実質的に気体がない、請求項1〜12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムが、流体の低圧力又は吸引力を解除するための手段をさらに備える、請求項1〜13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムが、
前記空洞へ流体を導入するための手段、及び/又は
余剰気体及び/又は液体を押し出すための手段、
をさらに備える、請求項1〜14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムが、
c)空洞体積をその初期体積から減少するための手段であって、前記初期体積が、前記保持装置が前記医療器具の中へ設定位置まで挿入されたときの前記空洞の体積である、手段と、
d)前記減少した空洞体積を維持するための手段と、
をさらに備える、請求項1〜15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記カバー組立体が、
応力状態で弾性変形したときその非応力状態に戻るために弾力的でかつ弾性変形可能な領域の自然の付勢があるように、前記カバー組立体と結合された少なくとも1つの弾力的でかつ弾性変形可能な領域、
をさらに備える、
請求項1〜16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域が、前記カバー組立体の前記近位面の一部分であるか又はこれと結合される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域が、前記カバー組立体の前記遠位面の一部分である又はこれと結合される、請求項17又は18に記載のシステム。
【請求項20】
前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域が、前記カバー組立体と一体的に形成される、請求項17〜19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域が、前記カバー組立体から延びる材料の一部分から形成される、請求項17〜20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記カバー組立体から延びる材料の前記部分が、前記カバー組立体のそれぞれの面とは異なる材料を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
材料の前記部分が、前記カバー組立体のそれぞれの面を形成する材料の延長である、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記カバー組立体から延びる材料の前記部分が少なくとも1つのフィンを備える、請求項21〜23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記少なくとも1つのフィンが複数のフィンを含み、前記複数のフィンの1つ又はそれ以上が実質的に同じ寸法を有する、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記少なくとも1つのフィンが複数のフィンを含み、前記複数のフィンの1つ又はそれ以上が異なる寸法を有する、請求項24又は25に記載のシステム。
【請求項27】
前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域が、1つ又は複数のバネ、1つ又は複数のワッシャ(例えば、ベルビルワッシャ)又はバネとワッシャの組合せを備える、請求項17〜26のいずれかに記載のシステム。
【請求項28】
前記カバー組立体が、前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域の少なくとも一部分が力を受けたとき弾性変形を損失する前にストッパに達することができるように構成され、前記ストッパがプラットフォームを形成し、それによって、前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域が、前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域及び前記カバー組立体の本体の全体に効率的に力を伝達できるように、前記カバー組立体の前記本体と一緒に非移動ユニットを効果的に形成する、請求項17〜27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
応力を受けたとき前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域が当接するプラットフォームを形成するストッパが、前記プラットフォームと当接する前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域の前記部分が塑性変形によって非応力状態への付勢を損失する前に前記プラットフォームに当接するように、前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域から適切に離間する、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記嵌入装置に加えられる適切な圧力が、前記弾力的で弾性変形可能な領域の少なくとも一部分が前記カバー組立体の前記遠位面へ向かって弾性変形できるようにする、請求項17〜29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記カバー組立体が、応力を受けたとき前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域の少なくとも一部分がストッパに到達できるように構成され、前記ストッパがプラットフォームを形成し、それによって前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域が、前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域及び前記カバー組立体の本体の全体に効率的に力を伝達できるように前記カバー組立体の前記本体と一緒に非移動ユニットを効果的に形成し、前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域の前記部分の更なる弾性変形が前記ストッパによって防止される、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記カバー組立体が、前記近位面からこれを通過してかつ前記遠位面までこれを通過して延びる孔を備える、請求項1〜31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記カバー組立体が、前記遠位面に前記シールを越えて孔をさらに備え、前記孔が、前記カバー組立体の中まで延びるが、前記近位面を貫通しない、請求項1〜32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記カバー組立体が、嵌め合わせて前記カバー組立体を形成する複数の部品を備え、前記複数の部品が、
少なくとも前記近位面を備え、任意に前記遠位面も備える第1部品と、
任意に前記遠位面を備える第2部品と、
シールと、
前記シールを前記第1及び/又は第2部品に係止するための手段と、
を備える、
請求項1〜33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
流体好ましくは液体を使用して医療用インプラントを保持する方法であって、前記流体が前記医療用インプラントへ又は前記医療インプラントの中/上に位置付けられたインサートへ導入され、前記医療用インプラント及び/又はインサートが、その後、保持装置で蓋をされ、前記保持装置が、その結果できた前記医療器具及び/又はインサートと前記保持装置との結合体内に生成された空洞から過剰な流体を排出するように配列されたカバー組立体を備え、前記保持装置が、前記保持装置と前記医療用インプラント及び/又はインサートとの間にシールを形成し、
嵌入装置が、前記保持装置が前記医療用インプラント及び/又はインサートへ導入される前又は後に、前記カバー組立体へ導入され、
前記保持装置及び/又は嵌入装置が、その後、前記空洞内に吸引力を生成ため及び前記吸引力を維持するために操作され、前記空洞から更なる流体が取り除かれる、
方法。
【請求項36】
前記嵌入装置が、
近位端部と、
シャフトと、
前記カバー組立体の少なくとも一部品と相互作用する遠位領域と、
を備え、
前記嵌入装置の前記シャフト及び/又は遠位領域が、前記空洞への付加的流体の進入を防止する機構をさらに備える、
請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記操作が、さらに、前記空洞体積をその初期体積から減少することであって、前記初期体積が、前記保持装置が前記医療器具の中へ設定位置まで挿入されたときの前記空洞の体積である、減少することと、前記減少された空洞体積を維持することと、を含む、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
前記保持装置が、弾力的でかつ弾性変形可能な領域を備えるカバー組立体を備え、前記カバー組立体の前記操作が、前記空洞の体積を減少するために前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域の少なくとも一部分に作用し、前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域が、その後、弛緩状態へ戻って前記空洞内の流体の圧力の減少を生じるのを防止する、請求項35〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記カバー組立体の前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域の少なくとも一部分を弾性変形するために前記嵌入装置に圧力を加えるステップをさらに備え、前記変形が、前記医療用インプラントの利用可能な空洞空間をさらに減少させ、前記空洞から更なる流体を排出する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
(e)前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域が前記カバー組立体のストッパに当接するように前記嵌入装置に更なる圧力を加えるステップであって、前記ストッパが、前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域が塑性変形して非応力状態への付勢を損失することを防止するプラットフォームを形成し、さらに前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域及び前記カバー組立体の本体の全体に効率よく力を伝達できるようにする、ステップ、
をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記方法が、請求項1〜34のいずれか一項に記載のシステムの使用を含む、請求項35〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記方法が、前記保持装置を前記医療用インプラントから解除するために前記医療用インプラントと前記保持装置との間のシールの破れを生成するステップをさらに含む、請求項35〜41のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
表面再建カップ又は大直径全股関節置換(THR)などの大直径支承面を有する寛骨臼カップインプラントは、特に、埋植時に保持するのが難しい。外科医は、嵌合時に、股関節インプラントの機能にとって重要な正確な向きにカップを埋植するようにしながら、準備処理された僅かに小さいサイズの骨窩の中へカップを強制的に嵌入しなければならない。さらに、この強制的な嵌入プロセスにおいて、支承面を損傷から保護することが不可欠である。最も慣例的なTHRカップは、外側シェルと、金属シェルが埋植された後に挿入される別個の支承ライナーとからなる。したがって、金属シェルの内部は、ネジ山又はバイオネットアタッチメントなどの導入/嵌入シャフトのための保持特徴部を提供するために使用される。但し、このエリアは、内部面が支承面を形成するので、事前嵌合されたライナーを有する表面再建カップには利用できない。さらに、外側面は、通常完全に骨窩に埋め込まれるので、カップのリムしかアクセスできない。以前の表面再建設計は、様々にこの問題を解決しようとしてきたが、支承弧を減少する又は外側固定面を減少することによって、又はカップリムに近接する腰筋腱などの軟組織構造のスナッギング及び悪化を生じる保持特徴部の存在によって、設計上の妥協を生じることとなった。適切なカップ保持策を提供しようとする製造者の試みは、多くの表面再建設計の臨床結果に対して深刻で有害な影響を有することが現在では認識されており、部分的にこれらの問題ゆえに臨床における使用から撤退している。
【0002】
新世代の表面再建インプラント及びジルコニア強化アルミナセラミック(ZTA)及び架橋超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含めた大直径THRが利用する非金属ベアリング材料は、埋植中のカップ保持に関してさらに大きい課題となる。ZTAの場合、製造工程及び材料の硬度の制約があるために、金属で可能な(望ましくないとしても)小型の保持特徴部を付加するのは技術的に困難であり、非常に高価になる。又、UHMWPEの場合も、全壁厚みが維持されることが摩耗特性及び材料の強度にとって重要なので、壁断面を減少する保持特徴部は、望ましくない。さらに、いくつかの新世代装置は、カップ上で非対称的特徴部を固有に回転整列するためのものであり、これがさらにカップ保持を困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの困難を克服するために、本発明は、カップに特殊な保持特徴部を必要とせず、さらに強制的挿入時にインプラント支承面を保護するカップ保持策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本形態は、3つの要素、即ち嵌入装置又は導入器組立体(導入器)と、カバー組立体(カバー)と、カップインプラント(カップ)と、を備える。低圧力下での密封空洞内の流体によって、3つの要素の間に保持把握力が確立される。密封空洞は、2つのシール及び逆止め弁によって確立される。1つのシールは、導入器とカバーとの間に作られ、他方のシールは、カバーとカップとの間に作られる。逆止め弁は、導入器に組み込まれて、3つの要素が一緒に圧迫される(空洞への流体又は空気の再進入を防止しながら)とき空気及び余剰流体が密封空洞から流出するための出口を形成する。
【0005】
密封空洞を満たすために使用される流体は、好ましくは、手術室で自由に利用できる任意の液体(例えば、滅菌水。滅菌水の変形は、リンゲル液、食塩水などを含む。)である。これは、周囲温度でも良いが、典型的には冷却される。流体は、開封したパッケージの中又は滅菌面上で直立に置いたカップに流体を注入し充填することによって導入される。次にカバーがカップの上に挿入され、その後、導入器がカバーの中へ挿入される。表面の空気がまず逆止め弁を介して空洞から押し出され、その後余剰流体が押し出されるように、カップを充填することによって余剰の流体を与える。
【0006】
1つの形態において、流体の低圧力は、導入器アタッチメント上のフランジに隣接するカバー上の弾力的特徴部によって得られる。弾力的特徴部は、下へ屈曲して、密封空洞の体積を減少する。弾力的特徴部は、その弾性限界内で屈曲して、その非屈曲状態へ強制的に戻って、流体を低圧力に保持しようとするので、低圧力が保持される。流体の低圧力状態は、3つの要素全てを一緒に引っ張って、3つの要素の間に締り嵌めを形成し、組立体全体を剛性に感じさせる。導入器とカップとの間に加えられる力は、導入器アタッチメントに隣接するカバー上での位置付けによって弾力的特徴部を通過するように自動的に方向付けされる。弾力的特徴部は、機械的力を流体吸引力へ変換する1つの方法であり、カバーにおける一体的特徴部又はベルビルワッシャなどの付加的部品によって多様な代替様式で得ることができる。
【0007】
カバー上の弾力的特徴部は、少なくとも1つのフィン又はフィンガを備えることが好ましい。好ましくは、1つ又は複数の軽屈曲フィンガ(light flexing fingers)及び難屈曲フィンガ(stiffer flexing fingers)を備える。軽屈曲フィンガは、より高く持上げられるので、最初に導入器フランジと係合して、難屈曲フィンガのレベルまで押し下げるために軽い力しか必要としない。その後、全ての屈曲フィンガは、一緒に作用し、底に達してカバーの中実部分に接する位置まで押し下げるためにより大きい力を必要とする。
【0008】
使用時に、弾力的特徴部は、軽屈曲段階(第1段階)及び難屈曲段階(第2段階)は、両方とも密封空洞の体積を減少する。第2段階は、弾力的特徴部を完全に底に着かせる。まず第1段階において、3つの要素を一緒に軽い手の力で押すことによって、3つの要素の間の保持力が得られる。この保持力は、患者の股関節窩において所定の位置へカップを配置するのに充分である。但し、外科医が股関節窩の中へカップを押し嵌める(jam fit)ために必要なハンマー打撃で導入器に衝撃を与えると、弾力的特徴部は、第2段階(難屈曲段階)へ入る。これによって、さらに、密封空洞の体積が減少して、弾力的特徴部の剛性が増すので(弾力的特徴部はまだ弾性限界内にあり、相当の力で非屈曲状態へ戻ろうとする)、3つの要素の間の保持の強さが増大する。弾力的特徴部がその行程の終点に達すると(底に着いたとき)、低圧力流体シールの下でその位置を保持する。キャップは、完全に底に着いたとき、中実部品の剛性を有するので、ハンマー打撃の力は、より効率的に伝達されてカップを押し嵌める。
【0009】
押し嵌めが増大するときカップは整列から外れる場合があるので又はカップが完全着座へ向かって前進するとき外科医が整列を調節したい場合があるので、カップが嵌入されるときより強い保持力を有することが望ましい。さらに、ハンマー打撃の力が必要とされるところへ効率よく伝達されて、カップが完全に着座したとき外科医がそれを感じて検知できるように、カバーが中実部分の剛性を取り戻す(第2段階)ことが望ましい。
【0010】
カップが完全に股関節窩の中へ挿入されると、手で逆止め弁を開放することによって低圧力流体シールが解除される。
【0011】
導入器、カバー及びカップの間の保持力を得る機構を説明する別の手法は、流体が、密封空洞の中で吸引力(低圧力ではなく)を受け続けることである。したがって、流体吸引力は、3つの要素全てを一緒に引っ張って、3つの要素の間に締り嵌めを形成して、組立体全体を剛性に感じさせる。吸引力は、弾力的特徴部が第1段階から第2段階へ屈曲するとき増大して、逆止め弁を手で開放することによって吸引力が解除される。
【0012】
液体が付着力(液体が載っている面に液体が粘着する傾向)及び凝集力(液体内で分離に抵抗する傾向)の両方を示す場合、前に説明した図1〜図4、図10〜図14、図17〜図24及び図27に示すように空洞体積を減少するため及び液体における圧力を低下するために弾力的特徴部を組み込むことは、不可欠ではない。このような弾力的特徴部無しに、液体のための密封空洞が維持されれば、液体の中の付着力/凝集力によって及び液体の空洞への空気の進入を防止するシール及び弁によって、装置の様々な要素の間の保持力が確立される。このような保持力は、保持要素の間の最大表面積及びその間に均等の小さいギャップを有する最大面合同を有することによって利用できる。これは、特に、カバー組立体及びカップインプラントに応用される。
【0013】
このようにして、弾力的特徴部を備えるカバーに累加できる形態において、又は弾力的特徴部を備えるカバーの代わりに(即ち、弾力的特徴部がない)、嵌入装置と相互作用するカバー組立体を有する。嵌入装置は、近位端部と、シャフトと、前記カバー組立体の少なくとも一部品と相互作用する遠位領域と、を備え、前記嵌入装置の前記シャフト及び/又は遠位領域は、カップ、カバー組立体及び嵌入装置の結合体内に生成される空洞の中への付加的流体の進入を防止する機構をさらに備える。
【0014】
空洞への付加的流体の進入を防止する機構は、好ましくは解除可能な逆止め弁である。この種の弁は、一緒に押圧する段階において空気及び過剰な液体が流出できるようにし、かつカップインプラントが体内で正確に位置付けられた後カップを解除できるように(弁が開放されたとき)空洞へ空気が進入して保持力を減少できるようにする。さらに、付着/凝集力を利用するために使用可能な表面積が小さくなるので導入器とカバーとの間の付着/凝集保持力を利用するのは時には困難なので、3つの要素全ての間の最大保持量を利用するために、機械的ロック特徴部も採用できる。
【0015】
当業者は、液体は気体に比べて相対的に圧縮不能なので、空気ではなく液体でこの種のシステムを作動するのが望ましいことが分かるはずである。これが、高い力が必要な場合機械的力又は制御の源として液圧が使用され、低い力が必要な場合には機械的力又は制御の源として空気圧が使用される基本的理由である。また、流体は高圧力下において気体に比べて相対的に圧縮不能なので、低圧力(吸引又は引張り)下においては逆も真であり、液体は気体に比べて相対的に非膨張性である。したがって、本発明によって、(滅菌)水が使用されるとき、ずっと高い保持力が可能であり、全ての空気(又は可能な限り多くの空気)が密封空洞から排除されることが望ましい。空洞の中に残留する空気は、保持力を減少し、自動車において油圧ブレーキシステムの中へ空気が漏れる場合とよく似た「スポンジ状」の感じを引き起こす。3つの要素全ての特徴及びその組立方法は、全ての空気を押し出して密封空洞の中に滅菌水のみを残すように設計される。
【0016】
但し、保持力が典型的にはそれほど大きくないが、液体(例えば、水)の代わりに空気でも機能することが、本発明の特徴である。したがって、滅菌水を導入することは強制ではなく、外科医の選択の問題である。但し、最大保持力の利点は多重的なものなので、これはあまり望ましくないが、空気の部分的真空又は空気の低圧力又は空気の吸引力(水の低圧力又は吸引力ではなく)を有することによって保持力が得られることを除いて、上述のものと概ね同じものとして機能を説明できる。
【0017】
好ましくは、カバーは、使い捨てであり、ナイロンなどのプラスチック材料で製造された3つの部品と、シリコンなどのより軟質の材料から作られたシールと、から成る。但し、別の実施形態において、カバーは、単一のプラスチック部品とOリングシールとから成る。カバーは、インプラントと一緒に供給するか、又は器具セット内で別個に供給できる。好ましくは、導入器は使い捨てであり、アルミニウム合金などの金属で製造された長いシャフトと、シールを形成する周囲部品と、逆止め弁と、これらを一緒に固定する手段とから成る。金属シャフトは、患者の股関節窩の中へ強制的にカップを挿入するために、手術部位外部のハンマー打撃からの力を伝達するためのものである。
【0018】
下記の図面に示すカップは、輪郭形成された表面再建カップであるが、本発明は、1つの部品又は支承ライナーと一緒に事前嵌合された2つの部品から作られた任意のタイプの寛骨臼カップに使用できる。当業者は、表面再建及び全股関節置換(THR)のために、多様なタイプの股関節カップインプラントがあることが分かるはずである。表面再建カップインプラントは、円形(平面状)リム又は輪郭形成リムを有するセラミック、金属及びプラスチック材料から製造されたモノブロックカップを含む。THRカップインプラントは、上述の選択肢の他に、円形(平面状)リム又は輪郭成形リムを有するセラミック、プラスチック又は金属ベアリングインサートを有する金属外側シェルを含む。本発明の機能は、上記の選択肢の全てに共通するシールを作るために円滑な支承面にのみ依存する。なぜなら、全てのカップベアリングは、非常に円滑で、高度に仕上げられなければならず、したがって、その応用は、全ての股関節カップインプラントにまで及ぶ。
【0019】
本発明の1つの実施形態において、下記の物を備えるシステムを提供する。即ち、
(i)医療器具、及び前記医療器具と相互作用する又は前記医療器具の中又はその上に位置付けられたインサートと相互作用する保持装置であって、医療器具及び/又はインサートと保持装置との間の相互作用が、前記医療器具及び/又はインサートと前記保持装置の結合体内に空洞を生成し、前記空洞が、少なくとも部分的に流体で充填され、前記保持装置が、前記医療器具及び/又はインサートの中に配置するためのカバー組立体を備え、前記カバー組立体が、
近位面であって、前記近位面が嵌入装置と相互作用できる又はこれを受け入れることができる領域を備える、近位面と、
カバー組立体の近位面から離れて配置されかつ前記医療器具及び/又はインサートに嵌合するように配列された遠位面であって、前記遠位面が少なくともシールを備える、遠位面と、
を備える、医療器具及び保持装置と、
(ii)嵌入装置であって、前記嵌入装置が、
近位端部と、
シャフトと、
前記カバー組立体の少なくとも一部品と相互作用する遠位領域と、
を備え、
前記嵌入装置の前記シャフト及び/又は遠位領域が、空洞への付加的流体の進入を防止する機構をさらに備える、嵌入装置と、
を備える。
【0020】
1つの形態において、空洞への付加的流体の進入を防止する機構は、一方向弁とすることができる。一方向弁は、嵌入装置の適切な任意の点、例えば、嵌入装置のシャフトに沿って、及び/又は遠位領域/先端/端部に、配置できる。一方向弁は、典型的に、医療用インプラント/保持装置の空洞及び外部環境と流体連絡する。弁がシャフトに配置される場合、空洞を弁と連結するために、弁ポート(出口ポート)からシャフトの遠位端部まで及びこれを通過して延びる通路がある。弁がシャフトの遠位領域に配置される(例えば、シャフトの先端内に及び/又はカバー組立体の孔又は空洞と相互作用するようにシャフトの先端から突出して)場合、シャフトの中に通路があって、流体を押し出せるようにすることが好ましい。但し、このような形態における通路の存在は、不可欠の要件ではない。このような場合の過剰な流体は、カバー組立体がインプラント/インサートの面との間に作るシールを強制的に通過させて押し出せる。
【0021】
1つの形態において、前記嵌入装置の遠位領域は、ピンを備え、前記ピンは、前記空洞を解除可能に密封するために作動可能である。空洞の密封は、様々な形態で得ることができる。好ましくは、ピンの一部分は、カバー組立体を通過して延びる孔の相補的プロフィルを有する部分の中へ嵌まるプロフィルを有する。当業者は、所望の効果を得ることができるプロフィルのタイプは多くあることが分かるはずである。例えば、ピンは、少なくとも部分的に円錐形プロフィルを有する尖った端部を有することができる。カバー組立体の孔は、密封嵌合を与えるようにピンを受け入れる相補的形状を有する領域を有することができる。他の形態は、凹面又は弓形孔プロフィルの中へ嵌まる凸面又は球形端部プロフィルを有するピンを含むことができる。又は、ピンの端部は、任意に付加的シール(Oリング又はこれと同種のものなど)を任意に備える円筒形プロフィルを有することができる。
【0022】
ピンと相互作用するカバー組立体の孔の部分は、遠位面から近位面へ向かってその長さ全体を通じて変動するプロフィルを有することができる。例えば、孔の主要部分は、円筒形プロフィルを有し、近位端部のみが密封ピンを受け入れる形状を有することができる。
【0023】
カバー組立体を通過して延びる孔の直径は、変動することもできる。例えば、カバー組立体の遠位領域において、孔は相対的に小さい直径を有することができる。例えば、嵌入装置の遠位端を受け入れるのに充分な広さになるように、小さい直径は、徐々に(例えばテーパー状プロフィルで)又は急激に変化してより広い直径の孔になることができる。
【0024】
嵌入装置を受け入れるために通路が広くなる位置において、付加的なシールがカバー組立体の通路を取り囲むことができる。嵌入装置の遠位端部は、カバー組立体の中へ挿入されるときこのシールに着座できる。ピンは、遠位端部から通路の弁座の中まで延びることができる。
【0025】
いくつかの形態において、嵌入装置の遠位領域は、嵌入装置と保持装置との間の確実な接続の維持を助けるために、保持装置と相互作用するロック機構をさらに備える。
【0026】
いくつかの形態において、嵌入装置の遠位領域はピンを備え、ピンは、空洞を解除可能に密封するように作動可能であり、かつ、ピンは、保持装置への嵌入装置のロック及びアンロックを実施するためにロック機構が前記保持装置と相互作用するのをそれぞれ許容又は防止するために、ロック機構と相互作用する。
【0027】
1つの形態において、医療器具と、前記医療器具と相互作用する保持装置と、を備えるシステムが提供される。医療器具と保持装置との間の相互作用は、前記医療器具と前記保持装置との間に空洞を生成し、前記保持装置は、空洞を密封できるようにする手段を備える。前記システムは、
a)空洞内に低圧力又は吸引力を生成するための手段と、
b)前記低圧力又は吸引力を維持するための手段と、
を備える。
【0028】
医療器具は、カップインプラントであると好ましい。特定の好ましい形態において、インプラントは、股関節インプラントである。この種のインプラントは、典型的に、円滑な凹面を有し、使用時に、凹面はボールインプラントと相互作用して、球窩関節を生成する。円滑な凹面は、保持装置とシールを形成できる点で有用である。シールは、医療器具(例えば、カップインプラント)と保持装置との間の空洞内において低圧力環境又は吸引力の生成を可能にするので重要である。
【0029】
下でさらに詳細に論じるように、空洞内に低圧力又は吸引力を生成するための手段は多数ある。この種の手段の1つは、保持装置自体の構成の中に在る。これは、弾力的でかつ弾性変形可能な部分を有するカバー組立体を備えることができ、この部分は、例えばインプラントから離れる方向にカバー組立体を付勢し(例えば弾力的部分がインプラントの凹面と当接するカバー組立体の遠位側にある場合)かつ/又は嵌入装置がカバー組立体に接続された後にカバー組立体から離れる方向に導入器装置(嵌入装置)を付勢する(例えば、弾力的部分が、インプラントの凹面から離れてカバー組立体の近位側に在り嵌入装置と当接する場合)ことによって、空洞の中に低圧力又は吸引力を生成するように作用する。
【0030】
それに加えて又はその代わりに、保持装置は、プランジャ機構を備えることができる。プランジャ機構は、典型的には、嵌入装置と結合された通路と流体連絡しかつカバー組立体と医療器具(例えば、インプラント)との間に形成された空洞と流体連絡するように、嵌入装置と結合される。このようにして、プランジャを引き戻すことによって、流体が空洞からプランジャ機構へ向かって「吸引」され、カバー組立体とインプラントとの間にはシールが形成されるので空洞内に低圧力又は吸引力が生成される。当業者は、多くの異なる形態を予測できる。例えば、プランジャは、嵌入装置と結合されたスクリュー付属品を備えることができ、これによって、プランジャのスクリューを緩めると、液体はプランジャへ吸い寄せられ、逆も同様である。又は、嵌入装置と結合されたレバーを使用して、プランジャを引っ張るプランジャ形態が可能である。又は、嵌入装置と結合されるシリンジ状構造体も可能であり、この場合もシリンジ状構造体は、流体を空洞から吸引するように作用する。
【0031】
別の形態において、
c)空洞体積をその初期体積から減少するための手段であって、前記初期体積が、保持装置が前記医療器具の中へ設定位置まで挿入されたときの前記空洞の体積である、手段と、
d)前記減少された空洞体積を維持するための手段と、
をさらに備えるシステムが提供される。
【0032】
初期体積が、保持装置が前記医療器具の中へ設置位置まで挿入されたときの前記空洞の体積であることによって、保持装置のカバー組立体は、システムの初期セットアップにおいて医療器具(カップインプラント)の中へ配置されることになる。これは、通常、液体がインプラントに付加された後となる。したがって、初期挿入において、以前は流体によって占領されていた空間の中へカバー組立体が移動するときカップインプラントの中の流体の変位がある。カバー組立体が初期セットアップにおいて設定位置に達すると、これは、空洞の「初期体積」を設定したと見なされる。設定位置は、例えば、カバー組立体の本体がそれ以上インプラントの中へ押し込まれないようにカバー組立体が医療装置のリムと相互作用するときの位置である。又は、カバー組立体上のシールがインプラントの壁と完全に当接する位置とすることができる。これは、典型的には、カバー組立体がインプラントの中へ完全に挿入される前に生じる。その後、空洞体積は、本明細書において説明するように様々に操作し減少できる。
【0033】
空洞体積を初期体積から減少するための手段は、保持装置のカバー組立体上の弾力的でかつ弾性変形可能な部分によって得られる。例えばカバー組立体の遠位側に位置付けられる場合、この部分は、初期挿入後に空洞体積をさらに減少するためにカバー組立体をさらにインプラントの中へ押し込めるようにする。同様に、弾力的部分がカバー組立体の近位面にある場合、嵌入装置を挿入するとき、弾力的部分は、遠位端へ向かって弾性変形することによって、嵌入装置をさらに空洞の中へ挿入できるようにする(遠位側から近位側へカバー組立体を通過して延びる孔を含む)。カバー組立体の貫通孔の中に位置する嵌入装置の部分は、したがって、孔内でカバー組立体の遠位端部へ向かって異動して、孔の中のあらゆる流体を排出し、効果的に空洞体積を減少する。
【0034】
前記減少した空洞体積を維持するための手段は、例えば、シール及びその結果生じる吸引効果によって得られ、これによって、配列体がその初期の弛緩位置へ戻れないようにする。
【0035】
本システムの好ましい実施形態において、システムは、流体をさらに含み、流体は、前記流体が前記密封空洞の中に在るように前記システムに導入される。好ましくは、この流体は液体であり、カバー組立体がインプラントの中へ挿入され過剰な液体及び気体が取り除かれた後には、前記密封空洞の中に全く又は実質的に気体は存在しない。気体に対する液体の利点は、液体の相対的非圧縮性に起因する。好ましくは、流体は、カバー組立体がインプラントの中へ設置される前に導入される。これによって、気体が空洞の中に捕捉される危険を減少できる。
【0036】
いくつかの形態において、インプラントと、カバー組立体と、嵌入装置と、液体容器とを備えるキットが提供される。
【0037】
好ましくは、システムは、流体の低圧力又は吸引力を解除するための手段も備える。
【0038】
これは、嵌入装置と結合された弁の形式を取ることができ、それによって、弁が起動されたとき、弁は、空洞と外部環境との間のシールを効果的に破壊して、空洞の中の圧力を均衡化する。このような弁は、典型的には、ボール弁又はOリングなど、流体が空洞から流出できるようにするが空洞への気体又は液体の進入を防止できる一方向弁である。それに代わって又はそれに加えて、カバー組立体は、カバー組立体と結合されたプラグ又は弁を有することができ、それによって、シールはカバー組立体を介して破壊される。いくつかの実施例において、カバー組立体は、遠位領域から近位面へ向かって延びる事前穿孔孔を有することができ、孔に達するように近位面を穿孔することによって、シールが破壊される。
【0039】
いくつかの形態において、システムは、
前記空洞へ流体を導入するための手段、及び/又は
余剰気体及び/又は液体を押し出すための手段
をさらに備えることができる。
【0040】
好ましくは、流体を導入するための手段は、事前に凹面カップインプラントの中へ流体を注入することによる。流体は、ボトル、ビーカー、薬ビン又はシリンジから凹面カップ空洞の中へ流入できる。カップに完全に充填することは、余剰量の流体を与えることであり、これは、密封空洞の中に流体のみが残留するように、カバーと導入器の組立時にすべての空気が空洞から押し出されるようにするために役立つ。余剰液体は、カップインプラントのリムを越えてかつ/又はカバーの孔を通過してあふれ出ることによって、カップインプラントの中にカバーを組み立てるときに押し出される。付加的な余剰気体及び/又は液体が、導入器がカバーの中へ組み立てられるときに、逆止め弁を介して押し出される。
【0041】
いくつかの好ましい形態において、システムは、医療器具の中へ配置するためのカバー組立体を備える保持装置を備え、前記カバー組立体は、
近位面であって、前記近位面が嵌入装置と相互作用できる領域を備える、近位面と、
カバー組立体の近位面から離れて配置されかつ前記医療器具の中に嵌るように配列された遠位面であって、前記遠位面が少なくとも1つのシールを備える、遠位面と、
を備える。
【0042】
特定の形態において、低圧力/吸引力を生成するため又は空洞体積を減少するための手段として作用するために、カバー組立体と結合される弾力的部分を有する必要はない。例えば、本明細書において論じるように、低圧力又は空洞体積の減少は、プランジャ機構など代替手段によって生成できる。
【0043】
別の形態において、カバー組立体は、
応力状態で弾性変形したとき弾力的でかつ弾性変形可能な領域の自然の付勢があって、その非応力状態に戻るように、カバー組立体と結合された少なくとも1つの弾力的でかつ弾性変形可能な領域、
をさらに備える。
【0044】
上述のように、これは、空洞内に低圧力又は吸引力を生成するための手段を実行できる1つの形態である。同様に、これは、空洞体積を初期体積から減少するための手段も実行できる1つの形態である。
【0045】
弾力的でかつ弾性変形可能な領域は、カバー組立体の近位面の一部分とするか又はこの部分と結合できる。この形態は、カバー組立体とインプラントとの間の空洞と流体連絡する嵌入装置が使用される場合に好ましい可能性がある。
【0046】
その代わりに又はそれに代わって、弾力的でかつ弾性変形可能な領域は、カバー組立体の遠位面の一部分とするか又はこの部分と結合できる。このような形態は、嵌入装置が空洞と流体連絡しない場合に好ましい。
【0047】
いくつかの形態において、弾力的でかつ弾性変形可能な領域は、カバー組立体と一体的に形成される。
【0048】
いくつかの形態において、弾力的でかつ弾性変形可能な領域は、カバー組立体から延びる材料の部分から形成される。材料は、カバー組立体の材料と同じ材料とするか、又はカバー組立体のそれぞれの面とは異なる材料とすることができる。いくつかの形態において、カバー組立体の材料と同じ材料と異なる材料の混合とすることができる。
【0049】
いくつかの形態において、カバー組立体から延びる材料の部分は、少なくとも1つのフィンガ又はフィンを備える。これは典型的には、フィンの間の材料の1つ又は複数のカットによって作られ、それによって、カットの間の材料のフィンを生成する。
【0050】
好ましくは、少なくとも1つのフィンは、複数のフィンを含み、前記複数のフィンの1つ又はそれ以上は、実質的に同じ寸法を有する。その代わりに又はそれに加えて、少なくとも1つのフィンは複数のフィンを含み、前記複数のフィンの1つ又はそれ以上は異なる寸法を有する。
【0051】
好ましい形態において、相互に薄い複数のフィンガ/フィン及び厚い複数のフィンガを備える。1つ又は複数のフィンガ(好ましくは、1つ又は複数の薄いフィンガ)は、より厚いフィンガが当接する前に嵌入装置(近位面の場合)又はカップインプラント(遠位面の場合)と相互作用するように、任意により厚い1つ又は複数のフィンガの平面上方に延びることができる。
【0052】
それに加えて又はそれに代わって、弾力的でかつ弾性変形可能な領域は、1つ又は複数のバネ、1つ又は複数のワッシャ(例えば、ベルビルワッシャ)又はバネとワッシャの組合せを備えることができる。
【0053】
好ましい実施形態において、カバー組立体は、弾力的でかつ弾性変形可能な領域の少なくとも一部分が、応力を受けたとき弾性的変形を損失する前にストッパに達することができるように構成される。ストッパはプラットフォームを形成し、それによって、弾力的でかつ弾性変形可能な領域は、弾力的でかつ弾性変形可能な領域及びカバー組立体の本体の全体に効率よく力を伝達できるように、カバー組立体の本体と一緒に非可動ユニットを効果的に形成する。
【0054】
応力を受けたとき弾力的でかつ弾性変形可能な領域が当接するプラットフォームを形成するストッパは、プラットフォームと当接する弾性的かつ弾性変形可能な領域の部分が、塑性変形によって非応力状態への付勢が損失される前に当接するように、弾力的でかつ弾性変形可能な領域から適切に離間できる。
【0055】
上述のように、いくつかの好ましい形態において、特に空洞と流体連絡する通路を備える嵌入装置が使用される場合、カバー組立体は、近位面からこれを通過してかつ遠位面までこれを通過して延びる孔を備える。
【0056】
上述のように、カバー組立体は、遠位面においてシールを越えて孔をさらに備え、前記孔は、カバー組立体の中まで延びるが、近位面を貫通しない。この孔は空洞と外部環境との間のシールを破壊するために、カバー組立体の近位側からアクセスできるように設計される(例えば、穿孔によって又は事前形成された取外し可能なプラグによって)。
【0057】
特定の形態において、カバー組立体は、一緒に嵌め合ってカバー組立体を形成する複数の部品を備えることができ、前記複数の部品は、
少なくとも前記近位面を備え、任意に前記遠位面を備える第1部品を備え、
任意に、前記遠位面を備える第2部品と、
シールと、
前記シールを第1部品及び/又は第2部品に係止するための手段と、
を備える。
【0058】
システムの別の形態において、システムは、嵌入装置をさらに備え、前記嵌入装置は、前記カバー組立体の少なくとも一部品と相互作用する部品を備える。
【0059】
いくつかの形態において、嵌入装置は、空洞と流体連絡する通路を有する必要はない。これは、特に、カバー組立体が中実嵌入装置に使用できるように構成される形態において、当てはまる。
【0060】
但し、好ましくは、嵌入装置は、
近位端部と、
シャフトと、
通路を含む遠位領域であって、前記通路が遠位領域の遠位端部/先端に入口ポートを、遠位端部/先端から離れたシャフトの点に出口ポートを備え、前記嵌入装置は、取外し可能に出口ポートをブロックするための手段をさらに備える。
【0061】
この形態によって、空洞内に低圧力又は吸引力を生成するため及び前記低圧力又は吸引力を維持するための手段の1例が与えられる。
【0062】
好ましくは、出口ポートを取外し可能にブロックするための手段は逆止め弁である。これは、任意に、例えば、ボール弁及び/又はOリング又はこれと同種のものとすることができる。
【0063】
上述のように、嵌入装置がカバー組立体とインプラントとの間の空洞と流体連絡するように設計された通路を備える形態において、保持装置のカバー組立体は、カバー組立体の近位面からこれを通過してかつ遠位面までこれを通過して延びる孔を備え、前記孔の少なくとも一部分は、前記嵌入装置の一部分を受け入れる寸法を有する。
【0064】
嵌入装置は、遠位領域にフランジを備えることができる。前記フランジは、保持装置と相互作用して、保持装置上又はその中における嵌入装置の位置取り(siting)を安定できる。
【0065】
この場合にも、本明細書において論じるように、いくつかの形態において、嵌入装置は、空洞と連絡するプランジャを使用するなどによって空洞内に低圧力又は吸引力を生成するための機構をさらに備える。前記プランジャは、通路内、したがって前記空洞において流体を引っ張り又は押すために調節可能である。
【0066】
使用時に、適切な圧力が嵌入装置に加えられたとき、前記圧力が弾力的でかつ弾性変形可能な領域の少なくとも一部分のカバー組立体の遠位面へ向かう弾性的変形を許容するのが、好ましい形態である。
【0067】
好ましくは、カバー組立体は、圧力を受けたとき弾力的でかつ弾性変形可能な領域の少なくとも一部分がストッパに達することができ、ストッパは、プラットフォームを形成し、それによって、弾力的でかつ弾性変形可能な領域は、弾力的でかつ弾性変形可能な領域及びカバー組立体の本体の全体に力を効率的に伝達できるように、カバー組立体の本体と一緒に非移動ユニットを効果的に形成し、弾力的でかつ弾性変形可能な領域の更なる弾性的変形がストッパによって防止される。
【0068】
本明細書において、インプラントと保持装置と嵌入装置とを備えるシステムについて説明したが、保持装置及び嵌入装置は、システムから独立して提供できる別個の実体と見なすことができ、システムが本発明の革新的形態を得ることができるようにする程度まで保持装置及び嵌入装置を修正できることが分かるはずである。
【0069】
また、本明細書において、流体好ましくは液体を用いて医療器具(インプラント)を保持する方法を提示する。流体は、医療用ピンプラントへ導入され、医療用インプラントは、その後保持装置で蓋をされ、保持装置は、医療用インプラントとカバー組立体との間に形成された空洞から過剰な流体を排出するように及びシールを形成するように配列されたカバー組立体を備え、保持装置は、その後、空洞内に吸引力を生成するため及び前記吸引力を維持するために操作される。
【0070】
このような操作は、空洞体積をその初期体積から減少することをさらに含むことができ、前記初期体積は、保持装置が前記医療器具の中へ設定位置まで挿入されたときの空洞の体積であり、さらに前記減少された空洞体積を維持することを含むことができる。
【0071】
保持装置は、弾力的でかつ弾性変形可能な領域を備えるカバー組立体を備えることができる。前記カバー組立体の前記操作は、空洞の体積を減少するために前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域の少なくとも一部分に作用し、弾力的でかつ弾性変形可能な領域は、その後弛緩状態に戻って空洞内の流体の圧力が減少するのが防止される。
【0072】
方法は、
(a)前記医療用インプラントの空洞へ流体好ましくは液体を導入するステップと、
(b)前記保持装置の前記カバー組立体を前記医療用インプラントの前記空洞の中へ導入するステップであって、前記カバー組立体が、前記空洞の中に在る過剰な流体を排出しかつ前記カバー組立体と前記医療用インプラントとの間の第1シールを形成する、ステップと、
から成ることができる。
【0073】
方法は、
(c)嵌入装置を前記カバー組立体へ導入するステップと、
(d)前記空洞から更なる流体を取り除くステップと、
をさらに含むことができる。
【0074】
方法は、前記カバー組立体の弾力的でかつ弾性変形可能な領域の少なくとも一部分を弾性変形するために前記嵌入装置に圧力を加えるステップをさらに含むことができ、変形は、医療用インプラントの利用可能な空洞空間の更なる減少及び前記空洞からの更なる流体の排出を生じる。
【0075】
方法は、
(e)前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域がカバー組立体のストッパに当接するように前記嵌入装置に更なる圧力を加えるステップであって、前記ストッパが、弾力的でかつ弾性変形可能な領域が塑性変形して非応力状態への付勢を損失するのを防止するプラットフォームを形成し、さらに弾力的でかつ弾性変形可能な領域及びカバー組立体の本体の全体に効率的に力を伝達できるようにする、ステップ、
をさらに含む。
【0076】
好ましくは、方法は、本明細書において説明するシステムの使用を含む。
【0077】
方法は、保持装置を医療用インプラントから解除するために医療用インプラントと保持装置との間のシールの破れを生成するステップをさらに含むことができる。
【0078】
次に、本発明の実施例について、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】3つの全ての要素即ち導入器組立体(導入器)、カバー組立体(カバー)及びカップインプラント(カップ)を示す分解図である。
【図2】上から見たカバーの図である。
【図3】図2の断面図である。
【図4】ホルダの分解図である。
【図5】導入器全体を示す。
【図6】逆止め弁が開放位置にある状態の導入器の部分図である。
【図7】逆止め弁が閉鎖位置にある状態の、部分的導入器の断面図である。
【図8】部分的導入器の分解図である。
【図9】平坦な面に置かれたカップにボトルから滅菌水が充填されるところを示す。
【図10】水が充填されたカップ及び挿入される直前のカバーを示す分解図である。
【図11】逆止め弁が手で閉鎖されるときの導入器の部分図である。
【図12】導入器が挿入される直前の、カップに組み立てられたカバーの断面図である。
【図13】導入器が部分的に挿入された状態の、カップに組み立てられたカバーの断面図である。
【図14】カバーの弾力的特徴部が初期位置にあって押し下げられていない状態の、組立て済み装置の断面図である。
【図15】水が通過して流れることによって開放された逆止め弁の拡大断面図である。
【図16】内部空洞への水又は空気の戻りを防止するために閉鎖した逆止め弁の拡大断面図である。
【図17】カバーの弾力的特徴部が手の力で部分的に押し下げられた状態(第1段階)の、組立て済み装置の断面図である。
【図18】(差込み)図17及び18において水が通過して流れることによって逆止め弁が開放されたことを示すために図15を繰り返して示す。
【図19】嵌入ハンマー力によってカバーの弾力的特徴部が完全に押下げられた状態(第2段階)の、組立て済み装置の断面図である。
【図20】内部空洞の中の低圧力の水によってカバーの弾力的特徴部が完全押下げ位置に保持された状態(最大保持力)の、組立て済み装置の断面図である。
【図21】逆止め弁の手動開放後に解放されたカップを示す。 図21〜図24は、カバーの別の実施形態を示す。
【図22】別のカバーの分解図である。
【図23】組立て済みの別のカバーを示す。
【図24】組立て済みの別のカバーの断面図である。
【図25】導入器及びカバーと組み立てられた別のカバーの断面図である(上の好ましいカバーの図14と同様) 図25〜図28は、導入器(1)の別の実施形態を示す。
【図26】別の導入器の全体を示す。
【図27】逆止め弁が閉鎖位置にある状態の導入器の部分図である。
【図28】逆止め弁が開放位置にある状態の導入器の断面図である。
【図29】図27の拡大図である。
【図30】カップインプラントが患者の股関節窩の中へ挿入されるときの組立て済み装置を示す(ハンマーは図示せず)。 図30〜図32は、導入器の3つのさらに別の実施形態を示す。
【図31】別の導入器(2)の断面図である。
【図32】別の導入器(3)の断面図である。
【図33】別の導入器(4)の断面図である。 図33〜図35は、カバー及び導入器のさらに別の実施形態を示す。
【図34】3つの装置要素(カップインプラント、カバー及び導入器)の分解図である。
【図35】3つの要素の断面図である(カップインプランの中に液体を含む)。
【図36】導入器構成部品の分解図である。 図36〜図44は、カバー及び導入器のさらに別の実施形態を示す。
【図37】カバー構成部品の分解図である。
【図38】組立て済みカバーの断面図である。
【図39】別の導入器の分解図である。
【図40】3つの装置要素(カップインプラント、カバー及び導入器)の分解図である。
【図41】一緒に位置付けられたカップインプラント及びカバーの断面図である。
【図42】完全に一緒に位置付けられたカップインプラント及びカバーの断面図である。
【図43】弁が閉鎖された状態の、一緒に組み立てられた3つの要素の断面図である。
【図44】弁が開放された状態の、一緒に組み立てられた3つの要素の断面図である。
【図45】部分的に分解された導入器及びカバーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図1は、3つ全ての要素、即ち導入器組立体(導入器)1、カバー組立体(カバー)2及びカップインプラント(カップ)3を示す。カップの輪郭形成リム5は、ホルダの輪郭形成フランジ4と合致することが、図から分かる。但し、いくつかの実施形態において、リム及びフランジは、輪郭形成されたものの代わりに平坦であり、カップインプラントは、2つ以上の部品から構成できる。さらに、導入器1の栓17は、3つ全ての要素が使用時に一緒に嵌り合うように、ホルダ2の開口9に嵌合する。
【0081】
図2〜図4は、ホルダを示す。好ましくは、ホルダは使い捨てである。ホルダは、インプラントと一緒に組み立てて又はインプラントと別個に供給できる。図3〜図4から分かるように、ホルダのこの実施形態は、4つの部品、即ち、本体10、シール12、ワッシャ13及びナット14から成る。本体10のネジ部11にナットを当てて一緒に締めると、シールは、図3に示すように本体とワッシャの隣り合う面の間にぴったりと挟まれる。本体、ワッシャ及びナットは、硬質インプラント支承面を損傷しないプラスチック(ナイロンなど)で製造されることが好ましい。好ましくは、ホルダは、付加製造プロセスによって製造される。当業者には、多様な付加的製造プロセス、例えば選択的レーザー焼結(SLS)又はステレオリトグラフィ(SLA)が分かるだろう。又は、これらの部品は、例えば樹脂を射出成形又は自然乾燥鋳造することによって、プラスチックで製造できる。又は、部品は、機械加工を含めて他の任意の手段によってプラスチックで製造できる。シール12は、中心穴を有する平坦なディスクであり、水密/気密シールを作るためにカップ支承面の形に合わせて屈曲するシリコンなどの軟質材料から製造できる。又は、シールは、ニトリルゴム、熱可塑性エラストマ(TPE)又はポリウレタンで製造できる。好ましくは、シールはシート材料からダイカットされる。
【0082】
図2及び3に示すカバー本体上の一体的弾力的特徴部は、2つの軽屈曲フィンガ6及び4つの難屈曲フィンガ7から成る。軽屈曲フィンガは、より高く持ち上がるので、導入器フランジ19と最初に係合する。又、図3に示すように、使用時に、屈曲フィンガ6及び7はカバー本体の中実部分8に到達する。
【0083】
図5〜図8は、一体的逆止め弁16を有する導入器を示す。図7及び8から分かるように、導入器のこの実施形態は、7つの部品、即ち、シャフト15、2つのOリングシール20、弁本体21、弁ボール23、頭付きスクリュー22及びセットスクリュー25から成る。2つの同一のOリングシール20及び弁本体21は、シリコンなどの軟質材料から製造され、噛み合う面の形に合わせてシールを作る。又は、ニトリルゴム、熱可塑性エラストマ(TPE)又はポリウレタンなど他の軟質材料で製造できる。弁本体21は、付加製造プロセスによってプラスチック(ナイロンなど)で製造されることが好ましい。2つのスクリュー22及び25は、金属又はプラスチックで製造された標準部品である。
【0084】
逆止め弁16は、弁本体がシャフト軸線と同列である(図7に示すように)閉鎖位置から弁本体が中央頭付きスクリューの周りで回転した開放位置(図5及び図6)まで弁を回転することによって手動で開閉できる。閉鎖位置において、ボール弁は、孔24及びシャフトの端部に開口部を有する孔26に接続される孔18を閉鎖する。二次開口部は、セットスクリュー25によって永久的に閉鎖され、相互接続する孔の製造を助けるためにのみ存在する。プラスチック弁本体21は、孔を流れる与圧空気又は水によってボール23を孔18から押し離せるようにするのに充分な可撓性を有する。但し、空気又は水が圧力を受けないとき、又は低圧力下にあるとき、ボール弁23は、閉鎖へ付勢されて、孔18を密封する。流体制御及び/又は空気圧に精通する者は、多様な逆止め弁設計及び標準製品があることが分かるはずである。本明細書において示す実施形態とは別に要求される逆止め弁の機能を確立するために、標準(既製の)逆止め弁の使用を含めて、多様な形態を使用できる。弁本体の反対端の突出特徴部28は、シャフト15の凹部27に嵌って、弁を閉鎖位置に保持して、手で開放されることを要求される場合を除いて偶発的開放を防止する。プラスチック弁本体の可撓性特性は、手で開放位置へ回されるとき、突出部28が凹部27から登って出られるようにする。
【0085】
使用時機能については、図9〜図20を参照して説明する。
【0086】
カップインプラント3が滅菌梱包から取り出されて、平坦面30に置かれる。その後、図9に示すように滅菌水29が充填される。
【0087】
溢れを避けるためにカップを平坦面に置いたまま、図10に示すように輪郭4及び5(存在する場合には)をほぼ整列した状態で、カバー2がカップ3の中へ挿入される。
【0088】
導入器は、図11に示すように矢印方向に逆止め弁を手で閉鎖することによって準備される。弁本体21は、導入器シャフト15と同列でなければならない。
【0089】
次に、図12及び図13に示すように、溢れを避けるためにカップ及びカバーを平坦面に置いたまま、導入器がカバーの中へ挿入される(導入器の栓17がカバーの開口9の中へ挿入される)。図13は、シール(カップとの間のカバーシール12及びカバーとの間の導入器シール20)が係合すると、密閉された空洞から過剰な水が逆止め弁16を介して押し出されることを示す。但し、水及び空気は、図14に示すように弁が自動的に閉鎖するので空洞への戻りが防止される。この点を強調するために、図15は、流出する水によってボール弁23が開放されている状態の図13の拡大図であり、図16は、ボール弁が閉鎖されて空洞を密封している状態の拡大図である。
【0090】
明確化のために、図14において、導入器を挿入するために充分な力しか使われていないので、導入器のフランジ19は、カバーの軽屈曲フィンガ6を曲げることなくその上に載っている。図14から図17へ、軽屈曲フィンガ6が下向きに曲がる過程(段階1)を示すが、現実には、これは、導入器が挿入されるときに同時に生じるだろう。軽屈曲フィンガがこれ以上下向きに曲がると、囲繞された空洞の体積を僅かに減少し、図17の差込拡大図に示すように、さらに多少の水が逆止め弁から押し出される。軽屈曲フィンガ6は弾性限界内のままであり、その非屈曲状態へ戻ろうとし、それによって流体を低圧力に保持してフィンガを下向きに曲がった位置に維持するので、低圧力は維持される。流体の低圧力状態は、3つの要素の間の保持力により3つの全ての要素を一緒に引っ張る。この保持力は、カップを患者の股関節窩の所定の位置へ収めるのに充分である。
【0091】
図18は、カップインプラントを股関節窩へ押し嵌めるために外科医が完全組立て装置を嵌入した後の軽屈曲段階(第1段階)から難屈曲段階(第2段階)への経過を示す。この嵌入力は、ずっと大きく、難屈曲フィンガ7及び軽屈曲フィンガ6をその最低到達位置まで下向きに曲げるのに充分である。すべてのフィンガが完全に下向きに曲がると、囲繞された空洞の体積が再び僅かに減少して、図17の差込み拡大図に示すように、さらに多少の水が逆止め弁16から押し出される。屈曲フィンガ6及び7はまだ弾力限界内にあるので、かなりの力で非屈曲状態へ戻ろうとし、それによって、流体をさらに低圧力に保持し、図19に示すように全てのフィンガを完全に下向きに曲がった位置に維持するので、さらに低い圧力が維持される。流体の低圧力状態は、3つの要素の間のより強い保持力で3つの全ての要素を一緒に引っ張る。押し嵌めが進むときカップが整列から外れるか又はカップが完全に着座するまでに外科医が整列を調節したい場合があるので、カップが嵌入されるときにはより大きい保持力を有することが望ましい。さらに、ハンマーの力が必要とされるところへ効率的に力が伝達されて、カップが完全に着座するとき外科医がそれを「感じて」検知できるように、カバーが中実部分の剛性を取り戻すこと(第2段階)が望ましい。
【0092】
図29は、患者の股関節窩の中へカップインプラントが挿入されるときの組立て済み装置39を示すが、シャフトに打撃を与えてカップインプラントを押し嵌めるために外科医が使用するハンマーは図示しない。
【0093】
図20は、逆止め弁16を手で開放し、シャフトの小さい孔18の覆いを取り除いて、空気が入って低圧力を常態にして、シールを破壊することによって、把握力が解除されるところを示す。カバーは、シャフトの栓20のOリングとカバーの開口9との間の摩擦嵌めによって導入器と一緒に離れる。
【0094】
カバー31の別の実施形態を図21〜図24を示す。この形態において、カバー31とカップインプラントとの間のシールは、カバー31の溝32の中に収納される大型Oリング32によって作られる。好ましくは、Oリング溝は、輪郭に従うが、代わりに波形を持たない円形とすることもできる。この実施形態において、カバーは、2つの部品即ちカバー本体31及びOリング32から成る。この実施形態は、軽屈曲フィンガ33及び難屈曲フィンガ34の多少異なる形態を有する。機能は、上述のものと同じである。好ましくは、本体は、インプラント支承面を損傷しないプラスチック(ナイロンなど)で製造される。Oリングは、形に合わせてカップ支承面との間にシールを作るシリコンなどの軟質材料から製造される。又は、ニトリルゴム、熱可塑性エラストマ(TPE)又はポリウレタンなど他の軟質材料で製造できる。
【0095】
導入器の別の実施形態を図25〜図28に示す。この形態において、逆止め弁36は小さい孔を被覆するOリング38によって形成される。Oリングは、孔40を通過して流れる与圧空気又は水によって押し離されるときを除いて、孔を密封するように僅かな張力を受ける。但し、空気又は水が圧力を受けないとき又は低圧力下にあるとき、Oリング38は孔40を密封する。この型の逆止め弁は、Oリング38によって捕捉されるレバー37を押すことによって手で開放できる。押されると、レバーは、支点上で揺動して、図27及び図28に示すように梃子の作用でOリングを孔40から離す。
【0096】
導入器の別の実施形態を図30に示す。前の実施形態に見られるように手で解除できる同じ逆止め弁16を含む。但し、スクリュープランジャ43を含み、その役割は、さらに密封空洞の流体圧力を減少することである。スクリュープランジャは、Oリングシール41を有するスクリュー42から成る。スクリューは、導入器本体40の雌ネジ山と噛み合う雄ネジ山を有する。カップインプラント及びカバーと組み立てられたとき、スクリューが矢印44方向に回されるとき、プランジャは、後へ引っ張られ、プランジャと孔との間にシールが作られるので、この行為は、さらに流体圧力を減少して、カップインプラント、カバー及び導入器の間の把握力を強化する。この付加的スクリュープランジャは、カバーの弾力的特徴部と並列的に作用するか、又は弾力的特徴部に代わることができる。
【0097】
導入器の別の実施形態を図31に示す。これは、前の実施形態に見られるように手で開場できる同じ逆止め弁16を含む。但し、図30の実施形態と同様、プランジャ49を含み、その役割は、密封空洞の流体圧力をさらに減少することである。この実施形態において、プランジャはレバー46によって引っ張り出される。レバーは、ピボットピンの周りで回し(toggle)、導入部の本体の対応するラッチ45と係合するカバーのラッチ特徴部47によって引出し位置に保持される。レバー46は、曲がってラッチ式に掛かって、引っ掛かったとき更なる引出し位置にプランジャを付勢し続けるように、弾性板バネの性質を有する。この付加的レバー式プランジャは、カバーの弾力的特徴部と並列的に作用するか、又は弾力的特徴部に代わることができる。
【0098】
導入器の別の実施形態を図32に示す。この実施形態において、自給式のプランジャ組立体が、導入器シャフトの遠位に取り付けられ、カップインプラント、カバー及び導入器の間の密封空洞に剛性チューブ63によって接続される。剛性チューブは、チューブをそれぞれプランジャ組立体及び導入器本体に接続するスクリューコネクタ62及び64を含む。プランジャ組立体は、本体58、プランジャ55、Oリングシール61、ボール弁60、軽バネ59、スクリューカラー56及び強バネ57から成る。プランジャの役割は、密閉空洞の中の流体圧力をさらに減少することである。プランジャ組立体は、スクリューカラー56を締めることによって作動されて、強バネ57を圧縮してプランジャ55を引出し位置へ付勢する。この付加的プランジャ組立体は、カバーの弾性的特徴部と並列的に作用するか、又はこれに代わることができる。
【0099】
別の形態を図33〜図35に示す。この形態において、図33及び図32に示す別のカバー65は、3つの部品即ち本体66、カラー67及びシール68を備える。好ましくは、カバーは使い捨てである。一緒に組み立てられたとき、シールは、締まり嵌めを介して一緒に押圧されるか又はネジ山によって一緒にネジ止めされる本体66とカラー67との間にぴったりと挟まれる。本体及びカラーは好ましくは選択的レーザー焼結(SLS)によって又は射出成形によって、プラスチック(ナイロンなど)で製造されることが好ましい。この形態において、上述のようなカバーの弾性変形可能な特徴部は存在しない。シール68は、中央孔を有する平坦な円形ディスクとすることができ、屈曲してカップインプラント支承面に形を合わせて水密/気密シールを作るシリコンなどの軟質材料から製造できる。又は、シールは、ニトリルゴム、熱可塑性エラストマ(TPE)又はポリウレタンで製造できる。好ましくは、シールは、シート材料からダイカットされる。
【0100】
図33、34及び35において、逆止め弁組立体69の構成部品、即ち弁本体70、弁ボール71、圧縮バネ72及び好ましい任意の固定手段(例えば頭付きスクリュー)73を示す。圧縮バネの圧力を受けると、弁ボールは、導入器の孔74を閉鎖し、他の2つのシール68及びOリング75と結合して、上に説明した液体の密封空洞を囲繞する。圧縮バネについて説明するが、技術上既知の別の付勢手段を使用することができることが分かるはずである。この形態において、弁は、ボタン77を押すことによって弁本体70の滑動部分76を作動することによって開放される。この滑動部分は、弁ボール71を押して、ボールをずらして、一時的に導入器の孔74を開放する。ボタンが解除されると、弁は自動的に再び閉鎖する。この別の実施形態の機能は、3つの要素の間の保持力が、液体の付着/凝集力及び空洞への空気の進入を防止するシールに依存することを除いて、前に説明した通りである。この事例においては、図1〜図4、図10〜図14、図17〜図24及び図27に示すカバーの弾性変形可能な特徴部によってもたらされる圧力減少を備えない。
【0101】
別の形態を図36〜図44に示す。この形態において、図36及び図37に示す別のカバー78は、3つの部品即ち本体79、カラー80及びシール81を備える。好ましくは、カバーは、使い捨てである。一緒に組み立てられたとき、シールは、任意に数個のスナップ嵌めペグ82、好ましくは4つのスナップ嵌めペグによって一緒に押圧される本体79とカラー80との間にぴったりと挟まれる。カラー80は、好ましくは、カバー本体79のより大きい中央孔85に隣接して円錐形84を終点とする小さい貫通孔83を有する。本体及びカラーは、好ましくは選択的レーザー焼結(SLS)によって又は射出成形によって、プラスチック(ナイロンアド)で製造されることが好ましい。この形態において、図33〜図35の形態と同様、カバーの弾性変形可能な特徴部は存在しない。シール81は、スナップ嵌めペグ82に対応する孔の配列を有する平坦な円形ディスクとすることができ、カップインプラントの支承面に形を合わせて屈曲して水密/気密シールを作るシリコンなどの軟質材料から製造できる。又は、シールは、ニトリルゴム、熱可塑性エラストマ(TPE)又はポリウレタンで製造できる。好ましくは、シールはシート材料からダイカットされる。
【0102】
図38及び図39は、導入器本体86を示し、逆止め弁組立体87の構成部品即ち、弁ピン88、圧縮バネ89、ロックボタン90、解除スライダ91及び好ましい任意の固定手段(例えば頭付きスクリュー)92を明示する。弁ピンは、任意の適切な材料で作ることができるが、ステンレス鋼で、任意に非常に良質の機械仕上げ又は研磨仕上げで、製造されることが好ましい。仕上げは、通路のピンが適切な密封を行えるようにする円滑な面を与える仕上げが望ましい。解除スライダ91及びロックボタン90は、好ましくは選択レーザー焼結(SLS)によって又は射出成形によって、プラスチック(ナイロンなど)で製造されることが好ましい。解除スライダは、任意に、スライダを前方位置(弁を閉鎖する)へ付勢するために一体的板バネ93を組み込む。
【0103】
図42から、弁ピン88の尖った端部95が、バネ89からの圧力を受けてカラー80の孔83へ通じる円錐形開口部84をブロックすることが分かる。バネについて説明するが、技術上既知の別の付勢手段を使用できることが分かるはずである。これは、逆止め弁の機能をあたえる。さらに、解除スライダ91のヨーク部分97が、弁ピン88の溝96と係合して、バネ9の圧力に対抗して弁ピンを移動する(逆止め弁を解除する)ように作用することが分かる。
【0104】
弁ピンの端部を「尖った」と説明し、開口84を「円錐形」と説明したが、ピン及び開口部の背後にある概念は、ピンが開口部をブロックして、流体の進入を実質的に防止するようにピンと開口部との間に適切な密封力を与えることができると言うものである。したがって、この件に関して、ピン及び開口部のプロフィルの正確な形状は重要ではない。重要なことは、適切な密封のためにプロフィルが相補的であることである。したがって、この点に関して、プロフィルは、例えば、(それぞれ)凸面/凹面又は他の相補的形態とすることができる。
【0105】
使用時機能について、図40〜図44を参照して説明する。
【0106】
カップインプラント3は、滅菌パッケージから取り出されて、平坦面に置かれる。その後、上述のように、滅菌水がカップインプラントに充填される。カバー78は、図41に示すようにカップインプラント3の中へ挿入される。その後、図42に示すように、導入器94がカバーの中へ挿入される。空気及び過剰な気体は、逆止め弁87を介して押し出されるが、弁は圧縮バネ89からの圧力を受けて自動的に閉鎖するので、空洞への水及び空気の戻りは防止される。カップインプラントとカバーとの間の保持力は、液体の付着力/凝集力によってかつ流体の空洞への空気の進入を防止するシール及び弁によって、確立される。さらに、いくつかの好ましい形態において、機械的ロックが、ロック手段例えばロックボタン90によって導入器とカバーとの間に確立される。3つの要素全てが一緒に保持された状態で、カップインプラントを位置付けて、事前に準備処理された股関節窩の中へ強制的に嵌合できる(図29に示すように)。
【0107】
図43から、解除スライダの第1の小規模移動が弁ピン88を押し上げて、カバーの弁座84から尖った端部95を引っ張って、弁を開放することが分かる。弁が開放されると、空気は図43の小さい矢印で示すように、空気は空洞へ進入でき、それが、カップインプラントとカバーとの間の保持を解除するように作用する。この段階で、導入器がロック機構を備える場合、カバーは、ロックボタン90によって導入器にロックされたままである。但し、図44に示すように、解除スライダ91をさらに上向きに移動すると、弁ピン88の溝はロックボタン90と一緒に移動して、脇に移動させてカバー78を導入器から解除できるようにするので、カバーを導入器から解除する。
【0108】
カバー組立体は、遠位端部から近位端部まで延びる通路においてアンダーカット領域をさらに備えることができ、アンダーカット領域は、カバー組立体の近位端部へ向かって配置される。ロック機構とアンダーカット領域は、相補的プロフィルを含むことが好ましい。アンダーカット領域は、ロック機構のスナッギングを防止しロックボタンが円滑に係合及び係合解除できるようにするために円滑な側面を有することが好ましい。
【0109】
さらに、本明細書において説明するシステムの使用を含む方法も提供される。
【0110】
さらに、具体的な形態に関するシステムの各種構成要素(又はシステム自体)の論証のいずれも、本明細書において論じる別の形態に使用される構成要素に等しく適用可能であるとする。したがって、特定の構成要素の詳細な論証が、システムの形態のより概略的な論証に続くとき、特定の構成要素の詳細な論証が、別の形態に関して詳細に論じられなくても、この形態にも適用可能であるものとする。
【0111】
カップインプラントの分野において、例えばインプラントへの把握を改良するため(インサートは、典型的にインプラントの内面の相補的特徴部に固定されるように配列される)又はインプラントの1つ又は複数の面への損傷の可能性を減少するための保護を与えるために、カップインプラントと一緒にインサートを使用するのが慣例であることが分かるはずである。従って、当業者は、本明細書において論じるインプラントへの言及は、任意に、インプラントに取り付けられるインサートへの言及を含むことが分かるはずである。
【0112】
本発明のいくつかの好ましい実施形態について、E1〜E40において説明する。
【0113】
E1. 医療器具と、前記医療器具と相互作用する保持装置とを備えるシステムであって、医療器具と保持装置との間の相互作用が、前記医療器具と前記保持装置との間に空洞を生成し、前記保持装置が、前記空洞を密封できるようにする手段を備え、前記システムが、
a)空隙内に低圧力又は吸引力を生成するための手段と、
b)前記低圧力又は吸引力を維持するための手段と、
を備える、システム。
【0114】
E2. E1に記載のシステムであって、前記システムが、
c)空洞体積をその初期体積から減少するための手段であって、前記初期体積が、保持装置が前記医療器具の中へ設定位置まで挿入されたときの前記空洞の体積である、手段と、
d)前記減少した空洞体積を維持するための手段と、
をさらに備える、システム。
【0115】
E3. E1又はE2に記載のシステムであって、前記システムが、流体をさらに備え、前記流体が、前記流体が前記密封空洞の中に在るように前記システムへ導入され、好ましくは前記流体が液体でありかつ前記密封空洞の中に全く又は実質的に気体が存在しない、システム。
【0116】
E4. E1〜E3のいずれかに記載のシステムであって、前記システムが、流体の低圧力又は吸引力を解除するための手段をさらに備える、システム。
【0117】
E5. E1〜E4のいずれかに記載のシステムであって、前記システムが、
前記空洞へ流体を導入するための手段、及び/又は
余剰気体及び/又は液体を押し出すための手段、
をさらに備える、システム。
【0118】
E6. 保持装置が、前記医療器具の中へ配置するためのカバー組立体を備え、前記カバー組立体が、
近位面であって、前記近位面が嵌入装置と相互作用できる領域を備える、近位面と、
カバー組立体の近位面から離れて配置されかつ前記医療器具の中に嵌るように配列された遠位面であって、前記遠位面が少なくとも1つのシールを備える、遠位面と、
を備える、E1〜E5のいずれかに記載のシステム。
【0119】
E7. 前記カバー組立体が、
応力状態において弾性変形したとき非応力状態へ戻るために弾力的でかつ弾性変形可能な領域の自然の付勢があるように、カバー組立体と結合した少なくとも1つの弾力的でかつ弾性変形可能な領域、
をさらに備える、E6に記載のシステム。
【0120】
E8. 弾力的でかつ弾性変形可能な領域が、カバー組立体の近位面の一部分である又はこれに結合される、E7に記載のシステム。
【0121】
E9. 弾力的かつ弾性変形可能な領域が、カバー組立体の遠位面の一部分である又はこれに結合される、E7又はE8に記載のシステム。
【0122】
E10. 弾力的でかつ弾性変形可能な領域がカバー組立体と一体的に形成される、E7〜E9のいずれかに記載のシステム。
【0123】
E11. 弾力的かつ弾性変形可能な領域が、カバー組立体から延びる材料の一部分から形成される、E7〜E10のいずれかに記載のシステム。
【0124】
E12. カバー組立体から延びる材料の前記一部分が、カバー組立体のそれぞれの面とは異なる材料を含む、E11に記載のシステム。
【0125】
E13. 材料の部分がカバー組立体のそれぞれの面を形成する材料の延長である、E11に記載のシステム。
【0126】
E14. カバー組立体から延びる材料の部分が少なくとも1つのフィンを備える、E11〜E13のいずれかに記載のシステム。
【0127】
E15. 少なくとも1つのフィンが複数のフィンを備え、前記複数のフィンの1つ又はそれ以上が実質的に同じ寸法を有する、E14に記載のシステム。
【0128】
E16. 少なくとも1つのフィンが複数のフィンを備え、前記複数のフィンの1つ又はそれ以上が異なる寸法を有する、E14又はE15に記載のシステム。
【0129】
E17. 弾力的でかつ弾性変形可能な領域が1つ又は複数のバネ、1つ又は複数のワッシャ(例えば、ベルビルワッシャ)又はバネとワッシャの組合せを備える、E7〜E16のいずれかに記載のシステム。
【0130】
E18. カバー組立体が、弾力的でかつ弾性変形可能な領域の少なくとも一部分が、応力を受けたとき弾性変形を失う前にストッパに到達できるように構成され、ストッパがプラットフォームを形成し、それによって、弾力的でかつ弾性変形可能な領域及びカバー組立体の本体の全体に力が効率よく伝達されるように、弾力的でかつ弾性変形可能な領域がカバー組立体の本体と一緒に非移動ユニットを効果的に形成する、E7〜E17のいずれかに記載のシステム。
【0131】
E19. 応力を受けたとき弾力的でかつ弾性変形可能な部分が当接するプラットフォームを形成するストッパが、プラットフォームと当接する弾力的でかつ弾性変形可能な領域の部分が塑性変形して非応力状態への付勢の損失を生じる前に、プラットフォームと当接するように、弾力的でかつ弾性変形可能な領域から適切に離間する、E18に記載のシステム。
【0132】
E20. 前記カバー組立体が、近位面からこれを通過してかつ遠位面までこれを通過して延びる孔を備える、E6〜E19のいずれかに記載のシステム。
【0133】
E21. 前記カバー組立体が、遠位面においてシールを越えて孔をさらに備え、前記孔がカバー組立体の中まで延びるが、近位面を貫通しない、E6〜E20のいずれかに記載のシステム。
【0134】
E22. 前記カバー組立体が一緒に嵌め合ってカバー組立体を形成する複数の部品を備え、前記複数の部品が、
少なくとも前記近位面を含む第1部品であって、任意に前記遠位面も含む、第1部品と、
任意に、前記遠位面を含む第2部品と、
シールと、
前記シールを前記第1及び/又は第2部品に係止するための手段と、
を備える、E6〜E21のいずれかに記載のシステム。
【0135】
E23. 嵌入装置をさらに備え、前記嵌入装置が、前記カバー組立体の少なくとも一部品と相互作用する部品を備える、E1〜E22のいずれかに記載のシステム。
【0136】
E24. 前記嵌入装置が、
近位端部と、
シャフトと、
通路を含む遠位領域であって、前記通路が前記遠位領域の遠位端部/先端に入口ポートと、前記遠位端部/先端から離れたシャフトの点に出口ポートと、を備える、遠位領域と、
を備え、
前記嵌入装置が、出口ポートを取外し可能にブロックするための手段をさらに備える、E23に記載のシステム。
【0137】
E25. 前記出口ポートを取外し可能にブロックするための手段が逆止め弁である、E24に記載のシステム。
【0138】
E26. 前記逆止め弁がホール弁及び/又はOリング又はこれと同種のものである、E25に記載のシステム。
【0139】
E27. 前記保持装置が、カバー組立体の近位面からこれを通過してかつ遠位面までこれを通過して延びる孔を備えるカバー組立体を備え、前記孔の少なくとも一部分が前記嵌入装置の一部分を受け入れる寸法を有する、E23〜E26のいずれかに記載のシステム。
【0140】
E28. 前記嵌入装置が、遠位領域においてフランジを備え、前記フランジが保持装置と相互作用して、保持装置の上又は中での嵌入装置の着座を安定化できる、E23〜E27のいずれかに記載のシステム。
【0141】
E29. 嵌入装置が、前記通路と連絡するプランジャを使用するなどによって空洞内に低圧力又は吸引力を生成するための機構をさらに備え、前記プランジャが通路内の従って前記空洞の中の流体を引っ張る又は押すために調節可能である、E24〜E28のいずれかに記載のシステム。
【0142】
E30. 嵌入装置に加えられた適切な圧力が、カバー組立体の遠位面へ向かう弾力的かつ弾性変形可能な領域の少なくとも一部分の弾性変形を可能にする、E7〜E19のいずれかに従属するE23〜E29のいずれかに記載のシステム。
【0143】
E31. カバー組立体が、弾力的でかつ弾性変形可能な領域の少なくとも一部分が、応力を受けたときストッパに到達できるように構成され、ストッパがプラットフォームを形成し、それによって、弾力的でかつ弾性変形可能な領域及びカバー組立体の本体の全体に力が効率的に伝達されるように弾力的でかつ弾性変形可能な領域がカバー組立体の本体と一緒に非移動ユニットを効果的に形成し、弾力的でかつ弾性変形可能な領域の前記部分の更なる弾性変形がストッパによって防止される、E30に記載のシステム。
【0144】
E32. 流体好ましくは液体を使用する医療器具を保持する方法であって、流体が、医療用インプラントに導入され、医療用インプラントがその後保持装置で蓋をされ、保持装置が、医療用インプラントとカバー組立体との間に形成された空洞から過剰な流体を排出しかつシールを形成するように形成されたカバー組立体を備え、保持装置が、その後、空洞内に吸引力を生成しかつ前記吸引力を維持するために操作される、方法。
【0145】
E33. 前記操作が、空洞体積をその初期体積から減少することであって、前記初期体積が、保持装置が前記医療器具の中へ設定位置まで挿入されたときの前記空洞の体積である、減少することと、前記減少した空洞体積を維持することと、をさらに含む、E32に記載の方法。
【0146】
E34. 保持装置が弾力的でかつ弾性変形可能な領域を備え、前記カバー組立体の前記操作が、空洞体積を減少するために前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域の少なくとも一部分に作用し、弾力的でかつ弾性変形可能な領域が、その後、弛緩状態へ戻って空洞内の流体の圧力の減少を生じるのを防止する、E32又はE33に記載の方法。
【0147】
E35. 前記方法が、
(a)流体好ましくは液体を前記医療用インプラントの空洞へ導入するステップと、
(b)前記医療用インプラントの前記空洞の中へ前記保持装置の前記カバー組立体を導入するステップであり、前記カバー組立体が前記空洞の中に在る過剰な流体を排出して、前記カバー組立体と前記医療用インプラントとの間に第1シールを形成する、ステップと、
を含む、E32〜E34のいずれかに記載の方法。
【0148】
E36.
(c)嵌入装置を前記カバー組立体へ導入するステップと、
(d)前記空洞からさらに流体を取り除くステップと、
をさらに含む、E35に記載の方法。
【0149】
E37. 前記カバー組立体の弾力的でかつ弾性変形可能な領域の少なくとも一部分を弾性変形するために前記嵌入装置に圧力を加えるステップをさらに含み、前記変形が、医療用インプラントの利用可能な空洞空間をさらに減少させ、前記空洞から更なる流体を排出する、E34に記載の方法。
【0150】
E38.
(c)前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域がカバー組立体のストッパに当接するように前記嵌入装置に更なる圧力を加えるステップであって、前記ストッパが前記弾力的でかつ弾性変形可能な領域が塑性変形して非応力状態への付勢の損失を生じるのを防止するプラットフォームを形成し、さらに弾力的でかつ弾性変形可能な領域及びカバー組立体の本体の全体に効率よく力を伝達できるようにする、ステップ、
をさらに含む、E37に記載の方法。
【0151】
E39. 方法が、E1〜E31のいずれかのシステムの使用を含む、E32〜E38のいずれかに記載の方法。
【0152】
E40. 前記方法が、医療用インプラントから保持装置を解除するために、医療用インプラントと保持装置との間のシールの破れを生成するステップをさらに含む、E32〜E39のいずれかに記載の方法。
【0153】
E41. (i)医療器具、及び前記医療器具と相互作用する又は前記医療器具の上/中に位置付けられたインサートと相互作用する保持装置であって、医療器具及び/又はインサートと保持装置との間の相互作用が、前記医療器具及び/又はインサートと前記保持装置との間に空洞を生成し、前記保持装置が、空洞を密封できるようにするための手段を備え、保持装置が、前記医療器具及び/又はインサートの中へ配置するためのカバー組立体を備え、前記カバー組立体が、
近位面であって、前記近位面が嵌入装置と相互作用する又はこれを受け入れることができる領域を備える、近位面と、
カバー組立体の近位面から離れて配置されかつ前記医療器具及び/又はインサートの中に嵌るように配列された遠位面であって、前記遠位面が少なくとも1つのシールを備える、遠位面と、
を備える、医療器具及び保持装置と、
(ii)嵌入装置であって、前記嵌入装置が、
近位端部と、
シャフトと、
前記カバー組立体の少なくとも一部品と相互作用する遠位領域であって、前記遠位領域が通路を含み、前記通路が、前記遠位領域の遠位部分に入口ポートと、前記遠位部分から離れたシャフト上の点に出口ポートと、を備え、前記嵌入装置が、出口ポートを取外し可能にブロックするための手段を備える、遠位領域と、
をさらに備える、嵌入装置と、
を備え、
前記医療器具及び/又はインサート、前記保持装置及び前記嵌入装置の形態が、
a)空洞内に低圧力又は吸引力を生成するための手段、及び/又は
b)前記低圧力又は吸引力を維持するための手段、
を形成する、
システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17-18】
【図19-20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【国際調査報告】