(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019521908
(43)【公表日】20190808
(54)【発明の名称】付加層を容易に除去するための要素を備える空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/13 20060101AFI20190712BHJP
   B60C 5/00 20060101ALI20190712BHJP
   B60C 19/12 20060101ALI20190712BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   !B60C11/13 B
   !B60C5/00 F
   !B60C19/12 Z
   !B60C19/00 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】2019504049
(86)(22)【出願日】20170727
(85)【翻訳文提出日】20190312
(86)【国際出願番号】EP2017069036
(87)【国際公開番号】WO2018019947
(87)【国際公開日】20180201
(31)【優先権主張番号】102016000079491
(32)【優先日】20160728
(33)【優先権主張国】IT
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【住所又は居所】東京都中央区京橋三丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100202636
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 麻菜美
(72)【発明者】
【氏名】ベアトリス メラーラ
【住所又は居所】イタリア国 00128 ローマ ヴィア デル フォッソ デル サルチェト 13/15 ブリヂストン ヨーロッパ エヌブイ/エスエイ イタリアン ブランチ
(72)【発明者】
【氏名】パスクァーレ アゴレッティ
【住所又は居所】イタリア国 00128 ローマ ヴィア デル フォッソ デル サルチェト 13/15 ブリヂストン ヨーロッパ エヌブイ/エスエイ イタリアン ブランチ
(72)【発明者】
【氏名】ジュセッペ ペッツァッロ
【住所又は居所】イタリア国 00128 ローマ ヴィア デル フォッソ デル サルチェト 13/15 ブリヂストン ヨーロッパ エヌブイ/エスエイ イタリアン ブランチ
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ ダルフォンソ
【住所又は居所】イタリア国 00128 ローマ ヴィア デル フォッソ デル サルチェト 13/15 ブリヂストン ヨーロッパ エヌブイ/エスエイ イタリアン ブランチ
(72)【発明者】
【氏名】ジアンピエロ パヴォーニ
【住所又は居所】イタリア国 00128 ローマ ヴィア デル フォッソ デル サルチェト 13/15 ブリヂストン ヨーロッパ エヌブイ/エスエイ イタリアン ブランチ
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA30
3D131AA36
3D131BC09
3D131BC24
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3D131LA28
(57)【要約】
本発明に係る空気入りタイヤ(1)は、カーカスプライ(11)と、2つのビード(12)と、トレッドストリップ(10)と、少なくとも2つのトレッドパイル(16)を含むトレッドベルト(15)と、インナーライナー(2)と、インナーライナー(2)と空気入りタイヤ(1)における内部キャビティ(17)との間に配置された付加機能材料層(4,5)とを備える。インナーライナー(2)と付加機能材料層(4,5)との間には、空気入りタイヤの寿命後の廃棄を容易にするネット層(3)が配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーカスプライ(11)と、2つのビード(12)と、トレッドストリップ(10)と、少なくとも2つのトレッドパイル(16)を含むトレッドベルト(15)と、インナーライナー(2)と、前記インナーライナー(2)と空気入りタイヤ(1)における内部キャビティ(17)との間に配置された付加機能材料層(4,5)とを備える空気入りタイヤ(1)であって、
複数のメッシュ(6,60,600)を有するネット層(3)が、前記インナーライナー(2)と前記付加機能材料層(4,5)との間に配置されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
請求項1に記載の空気入りタイヤ(1)であって、前記ネット層(3)における単位メッシュ(6,60,600)の面積(М)が、0.25 mm2〜2500 mm2の範囲にある空気入りタイヤ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ(1)であって、前記ネット層(3)の材料が、合成高分子材料又は天然高分子材料で構成されている空気入りタイヤ。
【請求項4】
請求項3に記載の空気入りタイヤ(1)であって、前記ネット層(3)の材料が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアラミド、並びに天然繊維を備える群に含まれる空気入りタイヤ。
【請求項5】
請求項4に記載の空気入りタイヤ(1)であって、前記ネット層(3)の材料が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ケブラー(登録商標)、セルロース、並びにレーヨンを備える群に含まれる空気入りタイヤ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の空気入りタイヤ(1)であって、前記単位メッシュ(6,60,600)の形状が、多角形、好適には、六角形、五角形、菱形、三角形、長方形、又は正方形である空気入りタイヤ。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の空気入りタイヤ(1)であって、前記付加機能材料層(5)が、粘着シーラント材料である空気入りタイヤ。
【請求項8】
請求項1〜6の何れか一項に記載の空気入りタイヤ(1)であって、前記付加機能材料層(4)が、多孔質の吸音材料である空気入りタイヤ。
【請求項9】
請求項7に記載の空気入りタイヤ(1)であって、ネット層(3)における単位メッシュ(6,60,600)の面積(М)が、0.25 mm2〜25 mm2の範囲にある空気入りタイヤ。
【請求項10】
請求項9に記載の空気入りタイヤ(1)であって、前記ネット層(3)における前記単位メッシュ(6,60,600)の面積(М)が、0.56 mm2〜15 mm2の範囲にある空気入りタイヤ。
【請求項11】
請求項8に記載の空気入りタイヤ(1)であって、ネット層(3)における単位メッシュ(6,60,600)の面積(М)が、25 mm2〜2500 mm2の範囲にある空気入りタイヤ。
【請求項12】
請求項11に記載の空気入りタイヤ(1)であって、前記ネット層(3)における前記単位メッシュ(6,60,600)の面積(М)が、50 mm2〜1500 mm2の範囲にある空気入りタイヤ。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか一項に記載の空気入りタイヤ(1)であって、前記ネット層(3)の片面又は両面が接着性を有する空気入りタイヤ。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか一項に記載の空気入りタイヤ(1)であって、前記付加機能材料層(4,5)が、前記ネット層(3)における前記メッシュ(6,60,600)の面積(М)を介して、前記インナーライナー(2)に接着する空気入りタイヤ。
【請求項15】
請求項6〜14の何れか一項に記載の空気入りタイヤ(1)であって、前記ネット層(3)における前記単位メッシュ(6)が、菱形形状を有し、前記メッシュ(6)におけるより長い対角線(d1)が、前記空気入りタイヤの回転周方向に沿って配向されている空気入りタイヤ。
【請求項16】
付加機能材料層(4,5)を、請求項1〜15の何れか一項に記載の空気入りタイヤ(1)における内部キャビティから除去するための方法であって、
ネット層(3)をインナーライナー(2)から除去し、これにより前記ネット層(3)に隣接する前記付加機能材料(4,5)が除去されるステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関し、特に、空気入りタイヤの内部キャビティからシーリング層又は吸音層等の付加機能層又は構成要素を容易に除去するためのネット層を備える空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤにおいて、通常は内部キャビティ内に配置される粘着シーラント層を使用することは以前より知られている。シーラント層は、特に、トレッドバンドに位置する内部キャビティの表面の中央領域に配置されるのが一般的である。シーラント層の目的は、トレッドを貫通した物体を包囲すると共にその物体に接着し、その物体が除去された後にキャビティを充填し、即座のシーリングにより、空気入りタイヤから空気が漏出することを回避することである。
【0003】
空気入りタイヤにおいては更に、多孔質の吸音材料層を内部キャビティ内に使用することも既知である。多孔質の吸音材料層は、トレッドバンドに位置する内部キャビティの表面の中央領域に配置されるのが一般的である。多孔質の吸音材料層の目的は、空気入りタイヤが回転しているときに、車両内への音響放射を低減することである。
【0004】
強化された標準的な空気入りタイヤとの関連において、上述した2つの層は、両方とも「付加層」と見なすことができるのみならず、「インナーライナー」とも称される内部不透過性層に直接接触した状態で空気入りタイヤのキャビティ内にて適用される。そのような層は、空気入りタイヤの標準的な特徴に付加される機能、即ちパンクが生じた場合のシーリングと、騒音放射の更なる低減化とを実現し、従って付加機能層と称される。
【0005】
インナーライナーへのそのような付加層の接着は、例えば、両面接着ストリップ又は両面接着材料が一般的に使用される吸音層の場合であれば、接着材料の使用によって保証される。この場合、両面接着ストリップ又は両面接着材料が吸音材料のストリップの片面に予め取り付けられる。又は粘着シーラント層の場合であれば、その接着特性によりシーラント層がインナーライナーに直接接着する。
【0006】
空気入りタイヤが正しく機能するためには、これら付加層が空気入りタイヤの寿命に亘ってインナーライナーにしっかりと接着すること、特に空気入りタイヤの作動時にしっかりと接着することが重要である。
【0007】
この点は逆に、摩耗した空気入りタイヤをその寿命後に廃棄する工程、又は空気入りタイヤを修理する工程、又は付加構成要素の部分的或いは完全な交換をする工程で問題になり得る。
【0008】
インナーライナーに対する上述した付加層の強力な接着力を考慮すれば、様々な材料を分けて廃棄するために付加層を完全に除去すること、又は付加層の修理或いは交換をするために部分的に除去することは困難であり、空気入りタイヤの廃棄のみならず、各層又は構成要素自体の交換及びメンテナンスを困難にする可能性がある。
【0009】
特許文献1(欧州特許第1777081号明細書)には、騒音ダンパーを備える空気入りタイヤと、騒音ダンパーを空気入りタイヤに固定するための方法が開示されている。この場合、加硫された空気入りタイヤのトレッド部の内面はバフ研磨され、両面接着テープにより、騒音ダンパーがバフ研磨された内面に固定される。
【0010】
特許文献2(国際公開第2015111314号パンフレット)には、トレッド部に対応する領域の内面に接着された帯状の吸音材料を備える空気入りタイヤが開示されている。
【0011】
特許文献3(欧州特許第1433830号明細書)には、海綿状の粘着シーラント層を形成するシーラントゴム組成物、並びに空気入りタイヤ本体内にゴム組成物を加熱することで得られた粘着シーラント層を備える空気入りタイヤが開示されている。
【0012】
特許文献4(欧州特許第2335911号明細書)には、外周ゴムトレッドを含む硫黄加硫アセンブリと、支持カーカスと、支持カーカスの内側に配置されたインナーライナーゴム層と、ゴムインナーライナー層の内側に配置された、高分子硫黄で加硫可能な熱可塑性のジエン系ポリウレタン(TPU)接着層と、空気入りタイヤにセルフシーリング特性を付与する内蔵接着層に接着されたポリウレタンシーラント層とを備える空気入りタイヤが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許第1777081号明細書
【特許文献2】国際公開第2015111314号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第1433830号明細書
【特許文献4】欧州特許第2335911号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した背景事情に鑑み、本発明の課題は、空気入りタイヤをその寿命後に除去する工程又は空気入りタイヤを修理する工程において、空気入りタイヤの内部キャビティ内に適用された付加的な機能層又は構成要素、例えば、シーラント層又は吸音材料層の部分的又は完全な除去を最適化する空気入りタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題は、請求項1に係る空気入りタイヤにより解決される。
【0016】
本発明の好適な特性は、従属請求項に記載した通りである。
【0017】
本発明に係る空気入りタイヤは、その内部キャビティ内にて、インナーライナーと付加機能材料層、例えば、シーラント材料層又は多孔質の吸音材料層との間に配置される少なくとも1つのネット層を備える。少なくとも1つのネット層は、複数のメッシュを有する。
【0018】
用語「インナーライナー」は、空気入りタイヤ構造において、キャビティ内の半径方向最内側層を指すのは言うまでもない。インナーライナーは、単一かつ特定の構成要素として構成されるか、又はその層が配置されていない場合には、カーカスプライを覆う(一般的に「スキム」と称される)ゴム層として構成されるかに関わらず、空気入りタイヤにおける空気の不透過性と、その不透過性によって維持されるタイヤ空気圧を保証するものである。後者の場合、空気入りタイヤにおける内部キャビティの不透過性は、少なくとも1つのカーカスプライ、好適には、空気入りタイヤの内部キャビティに対して露出した半径方向内側プライの「スキム」により保証される。
【0019】
ネット層の特性は、インナーライナーと付加機能層又は付加構成要素との間に除去可能に配置されるため、空気入りタイヤの寿命後に付加層の除去を可能にする。
【0020】
ネット層は更に、そのメッシュ構造のおかげで、空気入りタイヤの通常の作動時に、インナーライナーへの付加層の接着性、又は付加層の機能性を損なうことがなく、又はパンクが生じた場合にシーラント材料の機能性を損なうこともない。
【0021】
本発明は、上述したネット層がその両面の何れにも接着性を有さない実施形態と、ネット層の片面又は両面に接着性を有する実施形態の両方を含む。
【0022】
本発明の各実施形態において、付加機能層、例えばシーラント層又は吸音材料層は、ネット層のメッシュを介してインナーライナーに接着するか、又はネット層の織り合わせ部分に接着することが可能であり(即ち、メッシュの外周部分は質量を有する)、そのネット層の織り合わせ部分も、適切な接着層を使用してインナーライナーに接着することが可能である。又は、上述した実施形態を組み合わせてもよい。この場合、付加機能層は、メッシュを介してインナーライナーに接着するのみならず、ネット層の交点の両方に接着することが可能であり(即ち、メッシュの外周部分は質量を有する)、ネット層の交点もインナーライナーに接着することが可能である。
【0023】
本発明の他の実施形態において、ネット層表面の物理的特性は、付加機能材料が如何なる手段でもネット層に接着しないものとすることができる。
【0024】
以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】空気入りタイヤの例示的な正面図である。
【図2】図1における空気入りタイヤにおいて、平面A-Aに沿うと共に、本発明の好適な第1実施形態に係る断面図を示す。
【図3】図1における空気入りタイヤにおいて、平面A-Aに沿うと共に、本発明の好適な第2実施形態に係る断面図を示す。
【図4】本発明の好適な実施形態に係るネット層を示す略図である。
【図5】図4におけるネット層のメッシュを示す拡大概略図である。
【図6】本発明の他の好適な実施形態に係るネット層を示す略図である。
【図7】図6におけるネット層のメッシュを示す拡大概略図である。
【図8】本発明の更なる好適な実施形態に係るネット層を示す略図である。
【図9】図8におけるネット層のメッシュを示す拡大概略図である。
【図10】図1における空気入りタイヤにおいて、平面B-Bに沿うと共に、空気入りタイヤが通常の作動をしているときの付加層及びネット層の位置を示す概略断面図である。
【図11】図1における空気入りタイヤにおいて、平面B-Bに沿うと共に、インナーライナーから除去されている状態の付加層及びネット層を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、トレッド10を備える例示的な空気入りタイヤ1を示す。
【0027】
本発明が属する分野における統一的な専門用語に合わせて、本明細書における空気入りタイヤの「赤道面」は、空気入りタイヤの回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤの軸心を通過する平面として定義される。
【0028】
図2は、インナーライナー2と、少なくとも1つのカーカスプライ11と、2つの環状ビード12と、トレッドストリップ10とを備える空気入りタイヤ1の断面図を示す。図1に明示されていなくても、インナーライナー2は、特定のゴム層構成要素が配置されていない場合には、カーカスプライ11における半径方向内側の「スキム」でもあり得ると理解される。トレッドストリップ10とカーカスプライ11との間には、少なくとも2つのトレッドプライ16を含むトレッドベルト15が配置されている。インナーライナー2は、カーカスプライ11と空気入りタイヤにおけるキャビティ17の内部との間に配置されることにより、空気入りタイヤの不透過性を保証している。図2は更に、インナーライナー2と付加機能層4、例えばキャビティ17内に設けられた多孔質の吸音材料層との間に配置されたネット層3も示す。
【0029】
図3は、図2と同じ断面図を示すが、この場合にネット層3は、インナーライナー2と付加機能層5、例えば粘着シーラント材料層との間に配置されている。
【0030】
ネット層3及び付加機能層4,5は、トレッドストリップ10に対応するよう配置され、好適には、2つのトレッドパイル16に対応するよう配置されている。
【0031】
好適な実施形態系におけるネット層3は、空気入りタイヤ1の加硫後に、その空気入りタイヤ1におけるキャビティ17の内側に適用される。他の実施形態におけるネット層3は、空気入りタイヤの組み立て工程時における加硫前に適用し、その空気入りタイヤと共に加硫することができる。
【0032】
好適な実施形態において、ネット層3は、片面又は両面に接着性を有する。このような特性により、空気入りタイヤの加硫後に、インナーライナー2へのネット層3の適用及び接着が容易になる。
【0033】
ネット層3における第2面(第1面の反対側にてインナーライナー2と接触する面)の接着性により、付加機能層4,5、例えば吸音材料ストリップ4又は粘着シーラント層5を適用することが容易になる。
【0034】
他の実施形態において、ネット層3は、両面の何れにも接着性を有さない。この場合、インナーライナー2へのネット層3の接着を容易にするため、接着剤層、例えば噴霧法により適用される液体接着剤をインナーライナーに予め適用することができる。
【0035】
更なる実施形態において、ネット層3は、付加機能層4,5に予め組み付けられ、その後にインナーライナーに適用される。
【0036】
空気入りタイヤ1に適用される前のネット層3は、ネット層3が適用される(空気入りタイヤにおける)インナーライナー2近傍の内周以上の長さを有するネット材料のストリップとして形成されている。このネット材料のストリップは、付加材料層4,5とインナーライナー2との間に配置されると共に、付加材料層4,5以上の軸線方向幅を有することができる。
【0037】
付加層4,5とインナーライナー2との間に配置されるネット材料3のストリップが付加層4,5よりも大きな軸線方向幅を有する場合、付加材料4,5の軸線方向端部を越えて延びる1つ以上のネット層3のフラップが得られる。これらフラップは、空気入りタイヤの軸線方向と、周方向における限定的な領域において、付加材料4,5の除去を可能にするため、(部分的な除去を含め)付加材料層の除去を容易にすることができる。
【0038】
ネット層3は、好適には、六角形、五角形、菱形、長方形、正方形、又は三角形等の多角形のメッシュ6を有する。
【0039】
代替的に、ネット層3は、円形又は楕円形のメッシュ6を有する。
【0040】
単位メッシュ6内の面積は、形状に関わらずMで表されている。
【0041】
好適な実施形態において、単位メッシュ6の面積Mは、0.25 mm2〜2500 mm2の範囲にある。単位メッシュ6におけるこのような面積範囲により、例えば上述した付加機能材料に限定されることなく、様々な付加機能材料に適用することが可能である。
【0042】
図4は、好適には、菱形のメッシュ6を有するネット層3のストリップを示す。
【0043】
図5は、図4のネットストリップ3におけるメッシュ6の詳細を示す。
【0044】
メッシュ6を構成する菱形の各辺は、第1辺7及び第2辺8を含む。菱形の形状により、2つの第1辺7及び2つの第2辺8が配置されている。メッシュ6内においては、第1辺7及び第2辺8が交差する端部により、ノードa,b,c,dが形成されている。仮想対角線d1により、点b及び点dが接続され、仮想対角線d2により、点a及び点cが接続されている。
【0045】
他の好適な実施形態において、単位メッシュ6の面積Мは、0.25 mm2〜25 mm2とし、好適には0.56 mm2〜15 mm2とし、更に好適には約10 mm2か又は10 mm2に等しくする。
【0046】
このような寸法のメッシュを有するネット層は、インナーライナー2とシーラント材料層5との間に配置されるのに好適である。メッシュの面積は、貫通物体により生じる孔内にてシーラント材料の流れを保証するために、ネット層が除去されずに十分な抵抗力を発揮できる大きさとする。これにより、シーラント層がメッシュを通過することなく分離可能であり、従ってインナーライナー2に付着した状態が維持される。
【0047】
他の好適な実施形態において、単位メッシュ6の面積Мは、25 mm2〜2500 mm2とし、好適には50 mm2〜1500 mm2とし、更に好適には約100 mm2か又は100 mm2に等しくする。
【0048】
このような寸法のメッシュを有するネット層は、インナーライナー2と多孔質の吸音材料4との間に配置されるのに好適である。メッシュの面積は、ネット層が除去されずに十分な抵抗力を発揮できる大きさとする。これにより、インナーライナー2に付着した状態が維持されずに多孔質の吸音材料4が分離可能である。
【0049】
好適な実施形態において、単位メッシュ6の第1辺7及び第2辺8は、0.5 mm〜10 mmの全長、好適には約5 mmか又は5 mmに等しい長さを有する。
【0050】
他の好適な実施形態において、単位メッシュ6の第1辺7及び第2辺8は、5 mm〜20 mmの全長、好適には約10 mmか又は10 mmに等しい長さを有する。
【0051】
一実施形態において、対角線d1,d2の端部で交差する第1辺7及び第2辺8は、それぞれ、第1対角線に沿うノードにて異なる長さを有し、第2対角線に沿うノードにて等しい長さを有する。
【0052】
他の実施形態において、対角線d1,d2の端部で交差する第1辺7及び第2辺8は、第1対角線に沿うノード及び第2対角線に沿うノードの両方にて異なる長さを有する。
【0053】
2つの対角線d1,d2は、好適には、異なる長さを有する。
【0054】
より長い対角線d1は、好適には、空気入りタイヤの回転周方向に沿って配向されるのに対して、より短い対角線d2は、空気入りタイヤの軸線方向に沿って配向される。
【0055】
本発明の第2実施形態において、ネット層3のメッシュ60は、正方形の形状を有する。従って、第1辺7及び第2辺8の各対は、全てがほぼ同じか又は等しい長さを有する。
【0056】
本発明の第3実施形態において、ネット層3のメッシュ600は、三角形の形状を有する。この形状は、等しい長さの2つの第1辺7と、より長いか又はより短い第2辺8を有する。
【0057】
本発明の他の実施形態において、ネット層3のメッシュ6は、五角形又は六角形の形状を有する。
【0058】
上述した各実施形態の形状において、ネット層3の材料は、合成又は天然由来の高分子材料で構成され、好適には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等、ポリオレフィンを備える群に含まれる高分子材料で構成され、ポリエチレンテレフタレート(PET)等、ポリエステルを備える群に含まれる高分子材料で構成され、ナイロン等のポリアミドで構成され、ケブラー(登録商標)等、ポリアラミドを備える群に含まれる高分子材料で構成され、並びにセルロース及びレーヨン等の天然繊維で構成される。
【0059】
上述した各実施形態において、ネット層3におけるメッシュ6,60,600の開口部の面積Мにより、障害又は障壁になることなく、多孔質の吸音材料4又は粘着シーラント材料5等の付加材料をインナーライナーに直接接着することが可能である。ネット自体における高分子材料の面積は、「空」面積として見なされるメッシュの総面積Мよりも小さい。
【0060】
従って、ネット層3は、空気入りタイヤの作動に関して不活性層であると見なすことができる。
【0061】
本出願人は、ネット層3を有する多孔質の吸音材料を備える空気入りタイヤと、ネット層3を有さない多孔質の吸音材料を備える空気入りタイヤにおける吸音率を評価するためのISO10534-2規格による比較試験を実施した。比較結果は、以下の表1に示す通りである。
【0062】
【表1】
【0063】
表1の結果から分かるように、ネット層材料は、多孔質の吸音材料の音響特性に影響を及ぼすことはない。
【0064】
本出願人は更に、ネット層3を有する粘着シーラント材料を備える空気入りタイヤと、ネット層3を有さない粘着シーラント材料を備える空気入りタイヤにおける耐圧性の程度を評価するために比較試験を実施した。比較結果は、以下の表2に示す通りである。
【0065】
【表2】
【0066】
表2に各結果が列記されている試験では、ネット層3を有するシーラント材料層を備える空気入りタイヤと、ネット層3を有さないシーラント材料層を備える空気入りタイヤにおいて、24時間経過後における空気圧が測定された。この場合、パンクをシミュレートするために予め釘が差し込まれた。
【0067】
「24時間経過後における空気圧の割合」が「100」に等しければ、空気入りタイヤにおける内部空洞の不透過性が完全であることに等しい。
【0068】
上述した各実施形態において、ネット層3は、多孔質の吸音材料4又は粘着シーラント材料5に関わらず、キャビティの内側に適用された付加層の除去を容易にする。
【0069】
図11は、ネット層3により、空気入りタイヤの周方向に沿って付加機能材料を除去している状態を概略的に示す。
【0070】
ネット層3は、インナーライナー2に接着しないか又は付加機能層4,5よりも小さな力でインナーライナー2に接着しているため、矢印Fで示すように、インナーライナーから引き剥がすことでより容易に除去される。
【0071】
ネット層3は更に、インナーライナー2と付加機能材料4,5との間に配置されるため、ネット層3を除去する際に付加材料4,5自体の除去も容易になる。
【0072】
空気入りタイヤの廃棄段階においては、例えば、付加材料4,5に切り込みを加え、これによりネット層3を露出させてネット層3を引き剥がし可能にすれば十分である。
【0073】
代替案においては、空気入りタイヤの円周よりも長いネット層3のストリップを適用し、付加機能層4,5から露出する引き剥がしフラップとして機能させてもよい。
【0074】
他の代替案においては、ネット層を付加機能層4,5よりも軸線方向に広く形成してもよい。この場合、ネット層3は、軸線方向端部におけるフラップとして機能し、ネット材料3が把持可能であるが故に引き剥がすことができる。
【0075】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて記載した。本発明と同じ発明概念に関連すると共に、添付の特許請求の範囲内から逸脱しない他の実施形態が想定可能であることは言うまでもない。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【国際調査報告】