(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019522016
(43)【公表日】20190808
(54)【発明の名称】2−(2−エトキシ−2−オキソエチル)(メチル)アミノ−2−オキソエチル5−(テトラデシルオキシ)フラン−2−カルボキシレートの皮膚科学的製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/341 20060101AFI20190712BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 31/203 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20190712BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 31/327 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   !A61K31/341
   !A61P17/10
   !A61K31/203
   !A61K45/00
   !A61P43/00 121
   !A61K47/26
   !A61K47/10
   !A61K31/327
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】38
(21)【出願番号】2019503653
(86)(22)【出願日】20170726
(85)【翻訳文提出日】20190308
(86)【国際出願番号】US2017044020
(87)【国際公開番号】WO2018022797
(87)【国際公開日】20180201
(31)【優先権主張番号】62/366,932
(32)【優先日】20160726
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517271072
【氏名又は名称】デルミラ インコーポレーテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 94025 カリフォルニア州,メンロ パーク,スイート 150,ミドルフィールド ロード 275
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショー,アンソニー,エイドリアン
【住所又は居所】アメリカ合衆国 94025 カリフォルニア州,メンロ パーク,スイート 150,ミドルフィールド ロード 275,デルミラ インコーポレーテッド
(72)【発明者】
【氏名】クンタベーポルン,カンジャイ
【住所又は居所】カナダ国 エル4ジー 3エイチ4 オンタリオ,オーロラ,インダストリアル パークウェイ ノース 110,ピラマル ヘルスケア (カナダ) リミテッド
(72)【発明者】
【氏名】クラシク,パベル
【住所又は居所】カナダ国 エル4ジー 3エイチ4 オンタリオ,オーロラ,インダストリアル パークウェイ ノース 110,ピラマル ヘルスケア (カナダ) リミテッド
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA27
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD37
4C076EE23
4C076FF02
4C084AA17
4C084MA52
4C084MA63
4C084NA14
4C084ZA892
4C084ZC751
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA03
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA27
4C086MA28
4C086MA63
4C086NA11
4C086NA15
4C086ZA89
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA12
4C206DA39
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZC75
(57)【要約】
本明細書に開示されているのは、式(Ia)によって表される低不純物TOFAプロドラッグ2-(2-エトキシ-2-オキソエチル)(メチル)アミノ-2-オキソエチル5-(テトラデシルオキシ)フラン-2-カルボキシレートを含む皮膚科学的製剤及びその製薬用途である。
【化1】

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia):
【化1】
の化合物;
皮膚科学的に許容されるビヒクル; 及び
式(IVa):
【化2】
によって表される不純物を含む、皮膚科学的製剤であって、式(IVa)の不純物は、式(Ia)の化合物の1%w/w以下で存在する、皮膚科学的製剤。
【請求項2】
式(IVb):
【化3】
によって表される不純物をさらに含み、式(IVb)の不純物は、式(Ia)の化合物の0.5%w/w以下で存在する、請求項1に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項3】
式(VIa):
【化4】
によって表される不純物をさらに含み、式(VIa)の不純物は、式(Ia)の化合物の0.3%w/w以下で存在する、請求項1又は請求項2に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項4】
式(IIa):
【化5】
によって表される不純物をさらに含み、式(IIa)の不純物は、式(Ia)の化合物の120ppm以下で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項5】
皮膚科学的に許容されるビヒクルが、ジメチルイソソルビド又は1つ以上のアルコールを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項6】
1つ以上のアルコールが、エタノール、イソプロパノール、PEG400、又はそれらの混合物を含む、請求項5に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項7】
式(Ia)の化合物が、皮膚科学的製剤の1%を超えるが、7.5%以下、又は6%以下、又は5%以下、又は4%以下、又は3%(w/w)以下の濃度で存在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項8】
式(Ia)
【化6】
の化合物; 及び
【化7】
によって表される不純物を含む、医薬品組成物であって、式(IVa)の不純物は、医薬品組成物の1%w/w以下で存在する、医薬品組成物。
【請求項9】
式(IVb):
【化8】
によって表される不純物をさらに含み、式(IVb)の不純物は、医薬品組成物の0.5%w/w以下で存在する、請求項8に記載の医薬品組成物。
【請求項10】
式(VIa):
【化9】
によって表される不純物をさらに含み、式(VIa)の不純物は、医薬品組成物の0.3%w/w以下で存在する、請求項8又は請求項9に記載の医薬品組成物。
【請求項11】
式(IIa):
【化10】
によって表される不純物をさらに含み、式(IIa)の不純物は、医薬品組成物の120ppm以下で存在する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項12】
式(I)
【化11】
の化合物; 及び
【化12】
からなる群から選択される1つ以上の不純物を含む、医薬品組成物であって、
式中、
R1は、C10〜20アルキルであり;
R2は、C1〜4アルキルであり;
R3は、C10〜20アルキルであり、但し、R3は、R1と同じではなく;
R4は、水素、-(CH2)C(O)N(CH3)CH2C(O)OR2、又はC1〜4アルキルであり、但し、R4は、R2と同じではなく;
R5は、メチル又はエチルであり; 及び
Xは、ハロであり、
及び1つ以上の不純物は、合わせて、医薬品組成物の3%w/w以下である、医薬品組成物。
【請求項13】
式(I)の化合物が、式(Ia)
【化13】
によって表される、請求項12に記載の医薬品組成物。
【請求項14】
R3が、-C12H25、-C13H27、-C15H31、-C16H33、又は-C18H37である、請求項12〜13のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項15】
R4が、水素又はメチルである、請求項12〜14のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項16】
Xが、ブロモ又はクロロである、請求項12〜15のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項17】
式(IV)によって表される1つ以上の不純物が、医薬品組成物の2%w/w以下である、請求項12〜16のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項18】
式(II)によって表される1つ以上の不純物が、医薬品組成物の120ppm以下である、請求項12〜17のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項19】
式(VI)(式中、R4は、水素である)によって表される副生成物が、医薬品組成物の0.5%w/w以下である、請求項12〜18のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項20】
式(V)によって表される1つ以上の不純物が、医薬品組成物の0.2%w/w以下である、請求項12〜19のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項21】
式(I)
【化14】
の化合物;
皮膚科学的に許容されるビヒクル; 及び
【化15】
からなる群から選択される1つ以上の不純物を含む、皮膚科学的製剤であって、
式中、
R1は、C10〜20アルキルであり;
R2は、C1〜4アルキルであり;
R3は、C10〜20アルキルであり、但し、R3は、R1と同じではなく;
R4は、水素、-(CH2)C(O)N(CH3)CH2C(O)OR2、又はC1〜4アルキルであり、但し、R4は、R2と同じではなく;
R5は、メチル又はエチルであり; 及び
Xは、ハロであり、及び1つ以上の不純物は、合わせて、式(I)の化合物の3%w/w以下である、皮膚科学的製剤。
【請求項22】
1つ以上の不純物が、合わせて、式(I)の化合物の2%w/w以下である、請求項21に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項23】
式(I)の化合物が、
【化16】
である、請求項21又は請求項22に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項24】
R3が、-C12H25、-C13H27、-C15H31、-C16H33、又は-C18H37である、請求項21〜23のいずれか一項に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項25】
R4が、水素又はメチルである、請求項21〜24のいずれか一項に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項26】
Xが、ブロモ又はクロロである、請求項21〜25のいずれか一項に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項27】
式(IV)によって表される1つ以上の不純物が、式(I)の化合物の2%w/w以下である、請求項21〜26のいずれか一項に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項28】
式(II)によって表される1つ以上の不純物が、式(I)の化合物の120ppm以下である、請求項22〜27のいずれか一項に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項29】
式(VI)(式中、R4は、水素である)によって表される副生成物が、式(I)の化合物の0.5%w/w以下である、請求項21〜28のいずれか一項に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項30】
式(V)によって表される1つ以上の不純物が、式(I)の化合物の0.2%w/w以下である、請求項21〜29のいずれか一項に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項31】
尋常性ざ瘡の治療を必要とする対象において尋常性ざ瘡を治療するための、請求項1〜6及び21〜29のいずれか一項に記載の皮膚科学的製剤の使用。
【請求項32】
式(Ia)の化合物が、皮膚科学的製剤の1%を超えるが、7.5%以下、又は6%以下、又は5%以下、又は4%以下、又は3%(w/w)以下の濃度で存在する、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
皮膚科学的製剤が、1日1回又は2回、皮膚のざ瘡罹患領域で対象に適用される、請求項31〜32のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
式(I)の化合物及び皮膚科学的に許容される賦形剤を含む、皮膚科学的製剤であって、式(I)の化合物が、皮膚科学的製剤の1%を超えるが、7.5%以下、又は6%以下、又は5%以下、又は4%以下、又は3%(w/w)以下の濃度で存在する、皮膚科学的製剤。
【請求項35】
式(I)の化合物が、式(Ia)によって表される構造を有する、請求項34に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項36】
ざ瘡を治療する方法であって、それを必要とする対象に、(1)式(Ia)の化合物を有する皮膚科学的製剤; 及び(2)レチノイド、抗生物質、及び過酸化ベンゾイルから選択される追加の局所用薬剤を投与することを含む、方法。
【請求項37】
ざ瘡を治療する方法であって、それを必要とする対象に、(1)式(Ia)の化合物を有する皮膚科学的製剤; 及び(2)経口用抗生物質、経口用イソトレチノイン、及び経口ホルモン療法剤から選択される追加の経口用薬剤を投与することを含む、方法。
【請求項38】
尋常性ざ瘡を治療する方法で使用するための、式(Ia)の化合物を含む皮膚科学的製剤であって、皮膚科学的組成物は、対象に、尋常性ざ瘡に罹患した領域において、少なくとも1日1回、局所的に投与されることを特徴とし、さらに、式(Ia)の化合物は、5%(w/w)以下の濃度で皮膚科学的製剤中に存在し、式(IVa)
【化17】
によって表される不純物は、式(Ia)の化合物の1%w/w以下で存在すること特徴とする、皮膚科学的製剤。
【請求項39】
式(IVa)によって表される不純物が、式(Ia)の化合物の0.1%w/w以下で存在する、請求項38に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項40】
尋常性ざ瘡に罹患した領域に1日2回適用されることを特徴とする、請求項38又は請求項39に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項41】
レチノイド、抗生物質、及び過酸化ベンゾイルから選択される追加の局所用薬剤と同時投与されることを特徴とする、請求項38〜40のいずれか一項に記載の皮膚科学的製剤。
【請求項42】
経口用抗生物質、経口用イソトレチノイン、及び経口ホルモン療法剤から選択される追加の経口用薬剤と同時投与されることを特徴とする、請求項38〜40のいずれか一項に記載の皮膚科学的製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C.§119(e)の下で、2016年7月26日に出願された米国仮出願第62/366,932号に対する利益を主張し、該出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、全般に、5-(テトラデシルオキシ)-2-フロ酸(TOFA)のプロドラッグの皮膚科学的製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
脂肪酸合成は、アセチルCoAをマロニルCoAにカルボキシル化することで開始する。この不可逆反応は、脂肪酸合成における関与段階である。マロニルCoAの合成は、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)によって触媒される(非特許文献1(Brownsey, R.W.ら、「Regulation of acetyl-CoA carboxylase」、Biochem Soc. Trans. (2006) 34: 223〜227)を参照)。
【0004】
ACCを阻害すると、脂肪酸合成を有効に減少させることができる。長鎖(16〜20個の炭素)脂肪酸アシル-CoAチオエステルは、哺乳動物ACCの強力な生理学的最終産物阻害剤であることが判明している。
【0005】
TOFA(5-(テトラデシルオキシ)-2-フロ酸)は、細胞内でそのアシル-CoAチオエステルに変換され、したがって、長鎖脂肪酸アシル-CoAチオエステルと同様の機構でACC活性を阻害することができる公知の脂肪酸模倣物である。非特許文献2(McCune, S.A.ら、J. Biol. Chem. (1979)、第254巻、第20号、10095〜10101頁)を参照のこと。
【0006】
TOFAは、以下の構造:
【0007】
【化1】
を有する。
【0008】
TOFAは、ラット及びサルの両方で血漿トリグリセリドレベルを低減させることが示されている。例えば、非特許文献3(Parker, R.A.ら、J. Med. Chem. (1977)、第20巻、781〜791頁)を参照のこと。TOFAは、肝脂肪酸合成を阻害することも知られている。例えば、非特許文献4(Ribereau-Gayon, G.、FEBS Lett. (1976)、第62巻、309〜312頁)、非特許文献5(Panek, E.ら、Lipids (1977)、第12巻、814〜818頁)、非特許文献6(Kariya, T.ら、Biochem. Biophys. Res. Commun. (1978)、第80巻、1022〜1024頁)、及び非特許文献7(Harris, R.A.ら、Hormones and Energy Metabolism (Klachko, D.M.ら編)、第III巻、17〜42頁)を参照のこと。TOFAは、さらに、皮脂生成を低下させることによって皮脂腺障害を阻害することが知られている。例えば、特許文献1(米国特許出願公開第2010/0204317号)、及び特許文献2(独国特許第40 33 563号)を参照のこと。
【0009】
TOFAは、皮膚を介したバイオアベイラビリティーに乏しい。一方、TOFAのある特定のプロドラッグは、様々な皮膚科学的障害、例えば、尋常性ざ瘡、集簇性ざ瘡、塩素ざ瘡、酒さ、酒さ鼻、脂漏、脂漏性皮膚炎、皮脂腺過形成、マイボーム腺機能不全の顔面酒さ、細胞分裂促進性脱毛、及び脂性肌に対して特に有効であることが判明している。Dermira (Canada) Inc.名義の特許文献3(米国特許第8,884,034号)を参照のこと。
【0010】
特に、特定のTOFAプロドラッグは、皮膚に浸透し、皮脂腺などの皮下の疎水性環境に蓄積することができる。次いで、プロドラッグは、代謝して活性型TOFAになる。これらのTOFAプロドラッグは、以下の一般式:
【0011】
【化2】
によって表される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0204317号
【特許文献2】独国特許第40 33 563号
【特許文献3】米国特許第8,884,034号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Brownsey, R.W.ら、「Regulation of acetyl-CoA carboxylase」、Biochem Soc. Trans. (2006) 34: 223〜227
【非特許文献2】McCune, S.A.ら、J. Biol. Chem. (1979)、第254巻、第20号、10095〜10101頁
【非特許文献3】Parker, R.A.ら、J. Med. Chem. (1977)、第20巻、781〜791頁
【非特許文献4】Ribereau-Gayon, G.、FEBS Lett. (1976)、第62巻、309〜312頁
【非特許文献5】Panek, E.ら、Lipids (1977)、第12巻、814〜818頁
【非特許文献6】Kariya, T.ら、Biochem. Biophys. Res. Commun. (1978)、第80巻、1022〜1024頁
【非特許文献7】Harris, R.A.ら、Hormones and Energy Metabolism (Klachko, D.M.ら編)、第III巻、17〜42頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
当技術分野には、局所適用のためのTOFAプロドラッグの皮膚科学的製剤を提供する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
簡単な概要
本明細書で提供されるのは、式(I)又はより具体的には式(Ia)のTOFAプロドラッグの低不純物の医薬品組成物及び皮膚科学的製剤である。
【0016】
一実施形態は、式(I)
【0017】
【化3】

の化合物; 及び
【0018】
【化4】
からなる群から選択される1つ以上の不純物を含む、医薬品組成物であって、
式中、
R1は、C10〜20アルキルであり;
R2は、C1〜4アルキルであり;
R3は、C10〜20アルキルであり、但し、R3は、R1と同じではなく;
R4は、水素、-(CH2)C(O)N(CH3)CH2C(O)OR2、又はC1〜4アルキルであり、但し、R4は、R2と同じではなく;
R5は、メチル又はエチルであり; 及び
Xは、ハロであり、
及び1つ以上の不純物は、合わせて、医薬品組成物の3%w/w以下である、医薬品組成物を提供する。
【0019】
より具体的な実施形態は、式(Ia)
【0020】
【化5】
の化合物; 及び
【0021】
【化6】
によって表される不純物を含む、医薬品組成物であって、式(IVa)の不純物は、医薬品組成物の1%w/w以下で存在する、医薬品組成物を提供する。
【0022】
別の実施形態は、式(I)
【0023】
【化7】
の化合物;
皮膚科学的に許容されるビヒクル; 及び
【0024】
【化8】
からなる群から選択される1つ以上の不純物を含む、皮膚科学的製剤であって、
式中、
R1は、C10〜20アルキルであり;
R2は、C1〜4アルキルであり;
R3は、C10〜20アルキルであり、但し、R3は、R1と同じではなく;
R4は、水素、-(CH2)C(O)N(CH3)CH2C(O)OR2、又はC1〜4アルキルであり、但し、R4は、R2と同じではなく;
R5は、メチル又はエチルであり; 及び
Xは、ハロであり、
及び1つ以上の不純物は、合わせて、式(I)の化合物の3%w/w以下である、皮膚科学的製剤を提供する。
【0025】
より具体的な実施形態は、式(Ia):
【0026】
【化9】

の化合物;
皮膚科学的に許容されるビヒクル; 及び
式(IVa):
【0027】
【化10】
によって表される不純物を含む、皮膚科学的製剤であって、式(IVa)の不純物は、式(Ia)の化合物の1%w/w以下で存在する、皮膚科学的製剤を提供する。
【0028】
より具体的な実施形態は、尋常性ざ瘡を治療する方法で使用するための、式(Ia)の化合物を含む皮膚科学的製剤であって、皮膚科学的組成物は、対象に、尋常性ざ瘡に罹患した領域において、少なくとも1日1回、局所的に投与されることを特徴とし、さらに、式(Ia)の化合物は、5%(w/w)以下の濃度で皮膚科学的製剤中に存在し、式(IVa)
【0029】
【化11】
によって表される不純物は、式(Ia)の化合物の1%w/w以下で存在すること特徴とする、皮膚科学的製剤を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
本明細書に記載されているのは、式(I):
【0031】
【化12】
[式中、R1は、C10〜20アルキルであり、及びR2は、C1〜4アルキルである]
のTOFAプロドラッグを含む組成物を含む。
【0032】
より具体的な実施形態は、2-((2-エトキシ-2-オキソエチル)(メチル)アミノ)-2-オキソエチル5-(テトラデシルオキシ)フラン-2-カルボキシレートとも命名される、式(Ia):
【0033】
【化13】
の化合物を含む組成物を提供する。
【0034】
組成物は、医薬品組成物(例えば、製薬バッチ製造及び製造後精製のプロセスから得られる)、又は局所適用のための(特に、ざ瘡の治療、又は血清産生の低減若しくは阻害に有効な量における)皮膚科学的製剤であり得る。特に、本明細書に開示される組成物は、式(I)のプロドラッグ、例えば式(Ia)の化合物の安全性及び安定性を確実にするために、低レベルの不純物(特定の濃度を超えない)を特徴とする。
【0035】
不純物
不純物は、活性成分(すなわち、式(I)又は(Ia)の化合物)を生じる合成プロセス中に導入される可能性が最も高い。反応物、中間体、及び粗生成物の精製は、最終生成物中の不純物を除去するか、又はその量を著しく低減することができる。しかし、いくらかの微量の不純物が、式(I)の活性成分を含む医薬品組成物又は皮膚科学的製剤中に存在し得る限りにおいて、それらは、対象に何らかの有害作用を引き起こすか、又は保存中の活性成分の不安定性を引き起こす可能性が低い量におけるものである。
【0036】
式(I)のプロドラッグ化合物は、典型的には、式(II)の化合物を式(III)の化合物とカップリングさせることによって合成される:
【0037】
【化14】
[式中、R1は、C10〜20アルキルであり; R2は、C1〜4アルキルであり; 及び、Xは、本明細書に定義される脱離基である]。
【0038】
第1の反応物である式(II)の化合物は、当技術分野において公知の方法によって合成してもよく、例えば、サルコシンエチルエステル及びハロアセチルクロリド(例えば、クロロアセチルクロリド)を含むショッテン-バウマン(Schotten-Baumann)反応が挙げられる:
【0039】
【化15】
【0040】
第2の反応物である式(III)の化合物、例えば、TOFAは、商業的供給源から入手してもよく、又はPCT/US2016/016619に開示されるように、アルコールR1-OHを含むプロセスに従って合成してもよい。PCT/US2016/016619は、本出願の譲受人であるDermira Inc.の名義である。
【0041】
PCT/US2016/016616(やはりDermira Inc.の名義における)は、粗生成物中の不純物のレベルを最小限に抑えながら、スケールアップバッチ製造において式(I)の化合物の収率を効果的に増加させる合成プロセスを記載する。実施例1及び2は、式(Ia)の合成製造をより詳細に記載する。
【0042】
式(I)の化合物の合成後粗生成物に典型的に付随する不純物は、分解物、残留反応物、又は第1の反応物中の不純物と第2の反応物とによって形成される(又は逆もまた同様)下流副生成物であり得ることが発見された。したがって、本明細書で使用される場合、不純物は、式(II)の化合物又は式(III)の化合物のいずれかの1つ以上の化学的モチーフを含有する化合物であってよい。特に、不純物は、5-アルコキシフラン-2-カルボキシレートエステルなどの構造モチーフを共有する、式(I)の化合物の構造類似体であってもよい。不純物はまた、未反応の反応物、すなわち、式(II)又は(III)の化合物であってもよい。
【0043】
より具体的には、これらの不純物は、以下:
【0044】
【化16】
[式中、
R1は、C10〜20アルキルであり;
R2は、C1〜4アルキルであり;
R3は、C10〜20アルキルであり、但し、R3は、R1と同じではなく;
R4は、水素、-(CH2)C(O)N(CH3)CH2C(O)OR2、又はC1〜4アルキルであり、但し、R4は、R2と同じではなく;
R5は、メチル又はエチルであり; 及び
Xは、ハロである]
のうちの1つ以上を含む。
【0045】
式(I)の化合物が式(Ia)によって表されるより具体的な実施形態では、不純物は、以下:
【0046】
【化17】
のうちの1つ以上であってもよい。
【0047】
本明細書に開示されるように、合成プロセスは、より純粋な反応物を使用することによって改良してもよく、粗生成物は、さらに精製して、残留反応物などのある特定の具体的な不純物を除去することができる。PCT/US2016/016616及びPCT/US2016/016619に開示されているもののような、改良された合成及び製造後精製工程の結果として、1つ以上の不純物(例えば、限定されるものではないが、式(II)〜(VI)のいずれか1つ又はそれらの下位構造によって表される化合物)の総量は、所与の組成物(例えば、医薬品組成物)の3%w/wを超えない。より好ましい実施形態では、1つ以上の不純物の総量は、組成物の2%w/wを超えないか、又は医薬品組成物の1%w/wを超えない。特定の実施形態では、式(II)〜(VI)によって表される不純物(例えば、式(IIa)、(IVa〜IVd)、及び(VIa〜VIb)によって表される下位構造)のいずれも医薬品組成物中に存在しない。
【0048】
医薬品組成物
本明細書で使用される場合、薬物生成物又は医薬品組成物は、活性成分(「薬物」)として、式(I)、又は具体的には式(Ia)のプロドラッグを含む組成物を指す。医薬品組成物は、GMP施設を含む商業的製造施設からのバッチ生成物であってもよい。特定の実施形態では、薬物生成物は、不純物を含有しなくてもよい(すなわち、100%活性成分)。他の実施形態では、薬物生成物は、式(II)〜(VI)の1つ以上の不純物を含有し、その総量は、医薬品組成物の総重量の3%w/wを超えない。
【0049】
他の実施形態では、式(II)〜(VI)の1つ以上の不純物の総量は、医薬品組成物の総重量の2%w/wを超えない。好ましい実施形態では、式(II)〜(VI)の1つ以上の不純物の総量は、医薬品組成物の総重量の1%w/wを超えない。
【0050】
特定の実施形態では、薬物生成物中の式(I)の活性成分は、薬物生成物の総重量の少なくとも97%w/wである。好ましい実施形態では、薬物生成物中の式(I)の活性成分は、薬物生成物の総重量の少なくとも98%又は少なくとも99%w/wである。
【0051】
一実施形態では、医薬品組成物は、少なくとも3kgの式(I)の化合物を有するGMPバッチ生成物である。別の実施形態では、医薬品組成物は、少なくとも40kgの式(I)の化合物を有するGMPバッチ生成物である。さらなる実施形態では、医薬品組成物は、少なくとも100kgの式(I)の化合物(例えば、式(Ia)の化合物)を有するGMPバッチ生成物である。
【0052】
特定の実施形態では、式(IV)によって表される不純物は、組成物の2%w/w以下である。式(IV)の不純物は、反応物R1-OH中のアルコール不純物、例えば、微量のR3-OH(R3は、R1とは異なる)に由来する下流副生成物である可能性が高い。様々な実施形態において、R1が-C14H29である場合、R3は、-C12H25、-C13H27、-C15H31、-C16H33、又は-C18H37アルキルであり得る。特定の実施形態では、式(II)によって表される不純物は、組成物の0.5%以下; より好ましくは、組成物の120ppm以下である。式(II)は、式(I)の化合物を生成するためのカップリング反応の反応物である。式(II)の化合物は、有毒であり得るα-ハロカルボニル構造モチーフを有する。特定の実施形態では、X(ハロカルボニルのハロ基)は、ブロモ又はクロロである。したがって、微量の未反応の式(II)が医薬品組成物中に残留し得る限りにおいて、その量は、組成物の0.5%を超えず、又は好ましくは120ppmを超えない。
【0053】
特定の実施形態では、式(VI)によって表される不純物は、組成物の0.5%w/w以下である。これらの不純物は、活性成分、すなわち、式(I)のプロドラッグ化合物の分解物を含む。ある特定の具体的な実施形態では、R4は、水素又はメチルである。
【0054】
他の実施形態では、式(V)によって表される不純物は、組成物の0.2%w/w以下である。
【0055】
具体的な実施形態では、医薬品組成物の活性成分、すなわち、式(I)の化合物は、式(Ia):
【0056】
【化18】
によって表される。
【0057】
式(Ia)の化合物の製造に典型的に付随する不純物は、以下の化合物:
【0058】
【化19】
のうちの1つ以上を含む。
【0059】
したがって、具体的な実施形態は、式(Ia)
【0060】
【化20】
の化合物; 及び
式(IVa):
【0061】
【化21】
によって表される不純物を含む、医薬品組成物であって、式(Ia)の化合物は、医薬品組成物の少なくとも97%w/wであり、式(IVa)の不純物は、医薬品組成物の1%w/w以下で存在する、医薬品組成物を提供する。
【0062】
さらにより具体的な実施形態では、医薬品組成物は、式(IVb):
【0063】
【化22】
によって表される不純物を含み、式(IVb)の不純物は、医薬品組成物の0.5%w/w以下で存在する。
【0064】
さらにより具体的な実施形態では、医薬品組成物は、式(VIa):
【0065】
【化23】
によって表される不純物をさらに含み、式(VIa)の不純物は、医薬品組成物の0.3%w/w以下で存在する。
【0066】
さらにより具体的な実施形態では、医薬品組成物は、式(VIb):
【0067】
【化24】
によって表される不純物をさらに含み、式(VIb)の不純物は、医薬品組成物の0.5%w/w以下、又は医薬品組成物の0.3%w/w以下で存在する。
【0068】
なおさらにより具体的な実施形態では、医薬品組成物は、式(IIa):
【0069】
【化25】
によって表される不純物をさらに含み、式(IIa)の不純物は、医薬品組成物の120ppm w/w以下で存在する。
【0070】
他の実施形態では、式(IVa)、(IVb)、(Va)、(Vb)、(VIa)、(VIb)及び(IIa)の1つ以上の不純物の総量は、医薬品組成物の総重量の2%w/wを超えない。好ましい実施形態では、式(IVa)、(IVb)、(Va)、(Vb)、(VIa)、(VIb)及び(IIa)の1つ以上の不純物は、医薬品組成物の総重量の1%w/wを超えない。
【0071】
特定の実施形態では、薬物生成物中の式(Ia)の活性成分は、薬物生成物の総重量の少なくとも97%w/wである。好ましい実施形態では、薬物生成物中の式(Ia)の活性成分は、薬物生成物の総重量の少なくとも98%又は少なくとも99%w/wである。
【0072】
皮膚科学的製剤
本明細書に開示される薬物生成物は、局所使用のための皮膚科学的製剤にさらに製剤化してもよい。強度に応じて、活性成分、すなわち、式(I)又は具体的には式(Ia)の濃度は変わり得る。様々な実施形態において、活性成分は、皮膚科学的製剤の総重量の1〜10%w/w(1%を除く)の濃度を有する。特定の実施形態では、式(Ia)の化合物は、1%を超えるが、7.5%以下、又は7%以下、又は6%以下、又は5%以下、又は4%以下、又は3%以下の濃度(w/w)で皮膚科学的製剤中に存在する。好ましい実施形態では、式(Ia)の化合物は、皮膚科学的製剤の総重量の2%、4%、5%、6%、7%及び7.5%w/wの濃度を有する。
【0073】
本明細書に開示される皮膚科学的製剤の主成分は、皮膚科学的に許容されるビヒクルであり、その中に活性成分が溶解又は懸濁される。皮膚科学的に許容されるビヒクルは、1つ以上の薬剤、例えば、アジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、希釈剤、保存剤、香料、染料/着色剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、皮膚浸透促進剤、安定剤、等張剤、溶剤、又は乳化剤(米国食品医薬品局によってヒト若しくは家畜への皮膚科学的使用に許容されるものとして承認されているもの、又は皮膚科学的製剤における使用が知られているもの、若しくは皮膚科学的製剤に使用するのに適しているものを含む)を含有し得る。
【0074】
皮膚科学的に許容されるビヒクルの性質及び組成は、皮膚科学的製剤の形態(例えば、クリーム、ゲル、溶液、ローション、フォーム、軟膏など)を決定する。具体的な実施形態では、皮膚科学的製剤は、アルコール系ゲルである。式(I)の化合物は、水中での溶解度が低い傾向があるので、ある特定の具体的な実施形態では、アルコール系ゲルは、非水性である。
【0075】
様々な実施形態において、皮膚科学的に許容されるビヒクルは、ジメチルイソソルビド及び1つ以上のアルコールを含む。ジメチルイソソルビド(DMI)は、式(I)、具体的には式(Ia)の化合物が高い溶解度(約125mg/g)を有する溶媒である。DMIは、アルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール(IPA)、ポリオール、例えば、ポリエチレングリコール(PEG200又はPEG400)、又はそれらの混合物と自由に混和できる。DMI及びアルコール(複数可)の関連量を調整することによって、皮膚科学的製剤中の活性成分の溶解度及び飽和度を調整して、ゲル中の活性成分の熱力学的活性を最大にすることができる。具体的な実施形態では、皮膚科学的に許容されるビヒクルは、重量比で、50部のエタノール、20部のIPA、15.5部のPEG400、及び12.5部のDMIを含む。ビヒクルは、典型的には、透明なゲルであり、活性成分の有無にかかわらず同じ外観を有する。
【0076】
低アルコール含有量の製剤は、刺激又は乾燥の傾向がある肌タイプには望ましいかもしれない。低アルコール含有量製剤では、皮膚を通した活性成分の送達を確実にするために、皮膚浸透促進剤を任意選択で添加してもよい。皮膚浸透促進剤の例は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(トランスクトール(Transcutol)(登録商標)P)である。表1は、4つの例示的製剤を示す:
【0077】
【表1】
【0078】
皮膚科学的製剤中に存在する任意の不純物(例えば、式(II)〜(VI)の化合物及びそれらの下位構造)の量は、活性成分の量に対して%w/wで測定される。したがって、特定の実施形態は、式(I)
【0079】
【化26】
の化合物;
皮膚科学的に許容されるビヒクル; 及び
【0080】
【化27】
からなる群から選択される1つ以上の不純物を含む、皮膚科学的製剤であって、
式中、
R1は、C10〜20アルキルであり;
R2は、C1〜4アルキルであり;
R3は、C10〜20アルキルであり、但し、R3は、R1と同じではなく;
R4は、水素、-(CH2)C(O)N(CH3)CH2C(O)OR2、又はC1〜4アルキルであり、但し、R4は、R2と同じではなく;
R5は、メチル又はエチルであり; 及び
Xは、ハロであり、及び1つ以上の不純物は、合わせて、式(I)の化合物の3%w/w以下である、皮膚科学的製剤を提供する。
【0081】
他の実施形態では、式(IV)によって表される1つ以上の不純物は、式(I)の化合物の2%w/w以下、又は1.5%以下、又は1%以下、又は0.5%w/w以下である。
【0082】
さらなる実施形態では、式(II)によって表される1つ以上の不純物は、式(I)の化合物の120ppm以下である。
【0083】
なおさらなる実施形態では、式(VI)(式中、R4は、水素である)によって表される副生成物は、式(I)の化合物の0.5%w/w以下である。
【0084】
なおさらなる実施形態では、式(VI)(式中、R4は、-(CH2)C(O)N(CH3)CH2C(O)OR2である)によって表される副生成物は、式(I)の化合物の0.5%w/w以下、又は式(I)の化合物の0.3%w/w以下である。
【0085】
さらなる実施形態では、式(V)によって表される1つ以上の不純物は、式(I)の化合物の0.2%w/w以下である。
【0086】
より具体的な実施形態は、式(Ia):
【0087】
【化28】
の化合物;
皮膚科学的に許容されるビヒクル; 及び
式(IVa):
【0088】
【化29】
によって表される不純物を含む、皮膚科学的製剤であって、式(IVa)の不純物は、式(Ia)の化合物の1%w/w以下で存在する、皮膚科学的製剤を提供する。さらにより具体的な実施形態では、式(Iva)の不純物は、式(Ia)の化合物の0.5%以下又は0.1%w/w以下で存在する。
【0089】
別の実施形態では、皮膚科学的製剤は、式(IVb):
【0090】
【化30】
によって表される不純物をさらに含み、式(IVb)の不純物は、式(Ia)の化合物の0.5%w/w以下で存在する。さらにより具体的な実施形態では、式(IVb)の不純物は、式(Ia)の化合物の0.1%以下、又は0.05%w/w以下で存在する。
【0091】
様々な実施形態において、皮膚科学的製剤は、式(VIa):
【0092】
【化31】
によって表される不純物をさらに含み、式(VIa)の不純物は、式(Ia)の化合物の0.3%w/w以下で存在する。さらにより具体的な実施形態では、式(IVa)の不純物は、式(Ia)の化合物の0.1%以下、又は0.05%w/w以下で存在する。
【0093】
なおさらなる実施形態では、副生成物は、式(VIb):
【0094】
【化32】
によって表され、式(VIb)の不純物は、式(Ia)の化合物の0.5%w/w以下、又は式(Ia)の化合物の0.3%w/w以下、又は式(Ia)の化合物の0.1%w/w以下である。
【0095】
他の様々な実施形態において、皮膚科学的製剤は、式(IIa):
【0096】
【化33】
によって表される不純物をさらに含み、式(IIa)の不純物は、式(Ia)の化合物の0.5%以下又は120ppm以下で存在する。
【0097】
式(Ia)の化合物の精製及び安定性
式(Ia)の化合物は、結晶性生成物形態に製造及び精製してもよい。より具体的には、生成物は、アルコール溶媒、例えばイソプロパノール中での再結晶によって精製してもよい。
【0098】
特定の実施形態では、結晶性生成物形態(crystalline product form)は、エタノール/IPA/PEG400/DMIを50/20/15.5/12.5(w/w)で含む溶媒系中で約90mg/g(±5mg/g)の溶解度を有する、低融点(64〜66℃)を有する白色結晶性固体である。
【0099】
非GMP及びGMP材料に対して行われた安定性研究は、5℃及び25℃/60%相対湿度(RH)で24ヶ月間; 及び40℃/75%RHで6ヶ月間、式(Ia)の化合物の化学的安定性を示している。結晶形の安定性はまた、5℃及び25℃/60%RH条件で36ヶ月まで、及び30℃/65%RHで27ヶ月まで実証されている。
【0100】
いくつかの実施形態では、式(Ia)の化合物は、その濃度以下では製剤が分解又は沈殿することなく長期間(例えば、24ヶ月以上)安定なままである濃度で製剤中に存在する。様々な具体的な実施形態において、式(Ia)の化合物は、皮膚科学的製剤中、7.5%以下、又は7%以下、又は6%以下、又は5%以下、又は4%以下、又は3%以下、又は2%(w/w)以下の濃度である。好ましくは、式(Ia)の化合物は、皮膚科学的製剤中5%以下の濃度(又は強度)を有する。
【0101】
治療方法及び製薬用途
ざ瘡又は尋常性ざ瘡は、通常、顔、胸又は背中に現れる毛穴の閉塞及び付随する局所的な皮膚病変を特徴とする一般的な皮膚疾患である。ざ瘡病変は、(1)皮脂腺による皮脂の過剰産生又は皮脂腺機能亢進; (2)皮脂が通常皮膚表面に放出される毛穴の閉塞に寄与する皮膚細胞の変化; (3)皮脂により栄養を与えられる細菌による皮脂腺のコロニー形成; 及び(4)細菌によるコロニー形成、及び皮脂の、炎症を引き起こすことが知られている分解生成物への、それらの消化にしばしば関連する炎症を含む、4つの主要な病原性因子の相互作用から生じると考えられている。閉塞した毛穴は、皮脂及びその分解生成物が蓄積するにつれて拡大し、炎症を起こす可能性があり、その結果、見苦しく、また、永久的な瘢痕化を引き起こす可能性がある目に見える病変を生じる。
【0102】
式(I)の化合物、特に、式(Ia)の化合物を含む皮膚科学的製剤は、上記の因子のうちの1つ以上を標的とすることによってざ瘡を治療するための有効な局所療法である。有利には、皮膚科学的製剤は、皮膚を通して有効量のTOFAプロドラッグを送達することができる。プロドラッグは、その後、脂質合成の強力な阻害剤であるTOFAに変換する。したがって、式(I)又は(Ia)のプロドラッグ化合物は、TOFAを皮脂腺に送達することによって、皮脂血清産生を効果的に低減又は阻害することを可能にする。TOFA(プロドラッグの活性型)は、皮脂腺に蓄積し、治療レベルに達する。
【0103】
一実施形態は、尋常性ざ瘡、又は皮脂腺機能亢進に関連する他の皮膚科学的障害を治療する方法であって、それを必要とする対象に、式(I)、例えば、式(Ia)の化合物を含む皮膚科学的製剤を投与することを含み、式(I)又は(Ia)の化合物は、7.5%(w/w)以下の濃度で存在する、方法を提供する。
【0104】
他の実施形態では、活性成分の濃度又は強度は、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、又は3%(w/w)以下である。上記の特定の実施形態では、活性成分の濃度は、1%(w/w)を超える。
【0105】
様々な実施形態において、皮膚科学的製剤は、式(II)〜(VI)及びその下位構造のいずれかによって表される不純物が少ないか、又は全くない。
【0106】
より具体的な実施形態では、皮膚科学的製剤を投与することは、それを対象の罹患した皮膚に直接及び局所的に適用することを含む。本明細書で使用される場合、罹患した皮膚は、少なくとも1つの炎症性又は非炎症性病変を呈する皮膚を指す。罹患した皮膚は、顔の皮膚、又は胸部若しくは背部の皮膚であってもよい。
【0107】
様々な実施形態において、皮膚科学的製剤は、1日1回(QD)、又は1日2回(BID)投与される。
【0108】
具体的な実施形態は、尋常性ざ瘡を治療する方法であって、それを必要とする対象に、式(Ia)の化合物を含む皮膚科学的製剤を1日2回投与することを含み、式(Ia)の化合物は、5%(w/w)の濃度で存在する、方法を提供する。より具体的な実施形態では、皮膚科学的製剤は、式(IVa)によって表される不純物を、式(Ia)の化合物の1%w/w以下の量で含む。
【0109】
さらに具体的な実施形態は、尋常性ざ瘡を治療する方法であって、それを必要とする対象に、式(Ia)の化合物を含む皮膚科学的製剤を1日1回投与することを含み、式(Ia)の化合物は、5%(w/w)の濃度で存在する、方法を提供する。
【0110】
具体的な実施形態は、尋常性ざ瘡を治療する方法であって、それを必要とする対象に、式(Ia)の化合物を含む皮膚科学的製剤を1日2回投与することを含み、式(Ia)の化合物は、7.5%(w/w)の濃度で存在する、方法を提供する。
【0111】
具体的な実施形態は、尋常性ざ瘡を治療する方法であって、それを必要とする対象に、式(Ia)の化合物を含む皮膚科学的製剤を1日1回投与することを含み、式(Ia)の化合物は、7.5%(w/w)の濃度で存在する、方法を提供する。
【0112】
式(I)、特に式(Ia)の化合物の皮膚科学的使用の有効性は、病変数(炎症性及び非炎症性)、研究者包括的評価(IGA)、皮脂排泄率(SER)、及び皮脂排泄に関連するバイオマーカーを通して、当技術分野で公知の方法によって評価してもよい。実施例3は、疾患重症度評価及び有効性エンドポイントのより詳細な説明を提供する。
【0113】
安全性評価は、紅斑、乾燥、剥離、灼熱感/刺痛、及びかゆみの存在及び重症度によって決定される局所皮膚反応を観察することによって実施してもよい。有利には、7.5%強度で1日2回、12週間局所適用した後、式(Ia)又はTOFAの全身吸収はほとんどないか、又は全くない。
【0114】
治療期間は、ざ瘡の重症度、及び治療下の局所皮膚反応に応じて変化してもよい。様々な実施形態において、方法は、本明細書に記載の皮膚科学的製剤を、1日1回又は1日2回のいずれかで、最大2週間、4週間、8週間、又は12週間投与することを含む。局所皮膚反応が忍容を示す場合、より長い期間が可能である。
【0115】
併用療法
本明細書に記載の皮膚科学的製剤又は治療計画は、中等度から重度のざ瘡を有する患者のための他の局所用又は経口用製品と組み合わせてもよい。併用療法は、複数のざ瘡病理学因子を有利に標的とし得る。
【0116】
様々な実施形態において、追加の薬剤は、局所用レチノイド、局所用過酸化ベンゾイル(BPO)、局所用及び経口用抗微生物剤、局所用組合せ製品、例えば、レチノイド/抗生物質(例えば、ジアナ(Ziana)、ベルチン(Veltin))及びレチノイド/BPO(エピデュオ(Epiduo)/エピデュオフォルテ(Epiduo Forte))、経口用イソトレチノイン及び経口ホルモン療法、例えば、アンドロゲンなどの性ホルモンを含み得る。
【0117】
局所用薬剤は、本明細書に記載の皮膚科学的製剤と組み合わせて同時投与してもよく、又は別々に投与してもよい(例えば、それぞれを1日1回、1日の異なるときに投与する)。
【0118】
したがって、具体的な実施形態は、(1)本明細書に記載の皮膚科学的製剤; 及び(2)レチノイド、抗生物質、及び過酸化ベンゾイルから選択される追加の局所用薬剤を投与することを提供する。局所使用のための具体的なレチノイドとしては、例えば、トレチノイン(全トランス型レチノイン酸)、多環芳香族アダパレン、タザロテン、イソトレチノイン(13-シスレチノイン酸)、及びアダパレンなどが挙げられる。
【0119】
したがって、具体的な実施形態は、(1)本明細書に記載の皮膚科学的製剤; 及び(2)経口用抗生物質、経口用イソトレチノイン、及び経口ホルモン療法剤から選択される追加の経口用薬剤を投与することを提供する。
【0120】
追加の定義
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、炭素原子及び水素原子のみからなり、不飽和を含有せず、1から24個の炭素原子を有する(C1〜24アルキル)、直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖基を指す。長鎖アルキルは、例えば、10から20個の炭素原子(C10〜20アルキル)、又は10から15個の炭素原子(C10〜15アルキル)を含む。アルキルは、-CmH2m+1(mは、炭素数を表す)によって表すことができる。短鎖アルキルは、例えば、1から8個の炭素原子(C1〜8アルキル)、又は1から6個の炭素原子(C1〜6アルキル)、又は1から4個の炭素原子(C1〜4アルキル)を含む。アルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシルなどは、単結合によって分子の残りの部分に結合している。本明細書で特に他に述べられていなければ、アルキル基は、無置換であるか又はハロ(F、Cl、Br、若しくはI)、ハロアルキル(例えば、CF3)、アルコキシ(すなわち、-O-アルキル)、ヒドロキシ(-OH)、アシル基(-OC(O)アルキル)若しくはカルボキシル基で置換されていてよい。
【0121】
「脱離基」は、求核試薬によって置換可能な(例えば、SN2反応で)分子断片を指す。例えば、脱離基は、ハロゲン(すなわち、Br、Cl若しくはI)、又はトシル基(例えば、-OTs)であってよい。
【0122】
「ハロ」は、フルオロ、ブロモ、クロロ、又はヨードを指す。
【実施例】
【0123】
実施例1
式(IA)の製造
式(Ia)の化合物である2-(2-エトキシ-2-オキソエチル)(メチル)アミノ-2-オキソエチル5-(テトラデシルオキシ)フラン-2-カルボキシレート(4として示される)を、以下の一般的反応スキーム1によって製造した:
【0124】
【化34】
【0125】
工程1: 側鎖反応物(2)の製造
式(Ia)の化合物におけるTOFAのエステル側鎖を形成する化合物(2)を、ショッテン-バウマンの条件下で化合物(1)をアシル化することによって、製造した。より具体的には、炭酸カリウム及びクロロアセチルクロリド(3)の水溶液を、ジアルキルエーテル(例えば、メチルt-ブチルエーテル、又は「MTBE」)中のサルコシンエチルエステル塩酸塩(1)の激しく撹拌した懸濁液に添加した。反応は、周囲温度で約30分以内に定量的に進んだ。粗製の反応混合物は、任意選択でジアルキルエーテル溶媒(MTBE)で希釈することができ、また、相分離を受けた。水性相を除去した後、有機層(すなわち、MTBE)中に存在する表題化合物(2)をカップリング工程(工程3)に直接使用することができた。
【0126】
ショッテン-バウマンの条件はまた、以下のように、化合物(2)を生成するために若干の修正を加えることができた。EtOAc(3mL)中の0.307g(2.0mmol)のサルコシンエチルエステル塩酸塩(1)及び3mLの飽和NaHCO3溶液の混合物に、クロロアセチルクロリド(3)(0.160mL、2mmol)を添加した。泡立ちが観察された。気体の生成が終わると、反応混合物を、酢酸エチル(10mL)で希釈した。相を分離し、有機相をブライン(5mL)で洗浄し、乾燥させて濃縮し、約0.250gの表題化合物(2)を油状物として得た。粗製物質を、さらに精製することなく次の工程で使用した。
【0127】
上記プロセスに若干の変更を加えて、大規模で実現可能であることを示した。60〜80%の変動する収率で13kg(純度に対する修正値)の生産規模を一貫して得ることができた。
【0128】
工程2-TOFAのスケールアップ合成
【0129】
【化35】
【0130】
TOFAを、上記の合成経路に従って製造した。より具体的には、5-ブロモ-2-フロ酸のメチルエステル(5)に対し、最初に、還流しているトルエン中でチタンテトライソプロポキシドの存在下で1-テトラデカノール(6)(約1当量)とのエステル交換を行い、形成されたメタノールを除去し、5-ブロモフロ酸のテトラデシルエステル(7)を得た。その後、THFを添加し、エステル交換生成物(7)をテトラデコキシド(すなわち、テトラデカノール6のカリウム塩)で処理し、テトラデコキシドは、カリウムt-ブトキシド又はカリウムt-ペントキシドをテトラデカノールと組み合わせることによって製造した。
【0131】
反応を45℃の低温で急速に行い、主にTOFAのテトラデシルエステル(8)及び約5〜10%のTOFAのt-ブチルエステル(構造は示さず)を含む、TOFAの混合エステルを生成した。TOFAのメチルエステルなどの他の副生成物もまた少量存在し得る。
【0132】
その後、混合エステルを、30〜35℃の低温で3〜4時間メタノール性KOHで処理することによって鹸化して、約75〜85%の全収率でTOFAを生成した。
【0133】
工程3-(2)及びTOFAのカップリング
カップリング反応を、トリエチルアミン(TEA)などの適切な塩基の存在下で、還流下(約60℃)にて、MTBE中で7〜8時間かけて行った。リン酸緩衝液を使用する水性ワークアップの後、有機相に対し2-プロパノールへの溶媒交換を行った。カップリング生成物(4)の結晶化を、水を添加することによって誘導した。結晶性生成物を、TOFAから約83%の収率で単離した。有利には、同じ溶媒(MTBE)を工程1及び3の両方で使用することができるため、特許請求した方法の最大体積は、従来の方法の最大体積の半分未満であり、それにより処理量をかなり改善することができた。
【0134】
より高純度のテトラデカノール(6)を使用することによって、式(IVa)及び(IVb)などの下流の不純物が効果的に低減された。さらに、粗プロドラッグ(4)、すなわち式(Ia)のイソプロパノールトリチュレーションを使用して、側鎖中間体及び残留テトラデカノールをさらに除去した。プロドラッグの純度レベルは、医薬品組成物の少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%に達することができた。
【0135】
実施例2
式(IA)のバッチ製造
大規模な製薬バッチ製造では、反応の完了をモニターすることによって副生成物の生成を最小限に抑えるように、又は合成プロセスの様々な段階で反応中間体を精製するように注意が払われた。この実施例に開示されるように、反応中間体からの副生成物の同定及び除去は、最終医薬製品中の不純物の顕著に低減した、及び制御可能な量をもたらした。
【0136】
5-(テトラデシルオキシ)-2-フロ酸(TOFA)の製造
一般反応スキーム2に従って、メチル-5-ブロモ-2-フロエート(5)(110kg; 0.536kmol)、1-テトラデカノール(6)(253kg; 1.18kmol)、及びトルエン(900L)、チタンテトライソプロポキシド(3.85kg; 0.0135kmol)を4000Lの反応器に入れ、反応器は、予めトルエン(200L)ですすいであった。反応混合物を、少なくとも4時間、撹拌しながら還流(約115〜135℃)まで加熱した。総体積を、常圧蒸留を用いて元の体積の約3分の1に減らした。反応混合物を、約30℃に冷却し、分析用にサンプリングした。混合物をUPLCによって分析して、反応中間体(7)に対する残留メチル-5-ブロモ-2-フロエート(5)のレベルが2%以下であることを確認した。さらに、メタノール含有量は、GC分析により、トルエンに対して≦0.1%w/wであった。受け入れ基準が満たされるまで、追加の蒸留サイクルを行ってもよい。
【0137】
受け入れ基準が満たされたら、THF(1120L)を添加し、次いで、反応混合物を約40〜45℃に加熱した。温度を55℃未満に維持しながら、THF中の20%カリウムtert-ブトキシドの溶液(354.5kg; 0.64kmol)を約1時間かけて添加した。得られた混合物を、約50〜55℃で、約2〜3時間撹拌し、その時点で混合物をサンプリングし、反応の完了についてUPLCによって分析した。反応中間体である、TOFAのテトラデシルエステル(8)は、少量のTOFAのメチルエステル(9)及びTOFAのt-ブチルエステル(10)を伴った。反応は、(5)及び(7)の合計と、TOFAエステル(8、9及び10を含む)の合計との比、すなわち、Σ(5+7):Σ(8+9+10)が≦1%a/aである場合に、完了したと見なされる。TOFAエステル(8、9及び10)の混合物は、次の鹸化工程を受ける前に単離しなかった。代わりに、混合物を、メタノール中の水酸化カリウムの溶液(297L中60.5kg)で直接処理した。得られた混合物を、約40〜45℃で約4時間撹拌し、その後、サンプリングし、反応完了についてUPLCによって分析した。反応は、TOFAエステルの合計と、TOFAとの比、すなわち、Σ(8+9+10):TOFAが≦0.5%a/aである場合に、完了したと見なされる。
【0138】
TOFAのワークアップ及び精製
上記反応混合物を最初に中和し、pHを20%リン酸水溶液(732kg)で約3.5〜4.0にさらに調整した。下側の水層を排水し、有機相を約40〜45℃に維持した。温度を約40〜45℃に維持しながら、キシレン(759kg)、続いて水(550L)を添加した。混合物を約30分間撹拌し、下側の水層を排水した。有機層の体積を、真空下で約半分に減らした。次いで、混合物をサンプリングし、GCによって分析して、Σ(MeOH+THF+トルエン):キシレンが≦5%であることを確認した。溶媒比が達成されていない場合は、受け入れ基準が満たされるまで、キシレン(704kg)を添加し、蒸留サイクルを継続するべきである。
【0139】
溶液を約23℃に冷却して、生成物を結晶化させた。混合物を最低2時間撹拌し、生成物をろ過によって回収した。ろ過後に形成されたケーキを、キシレン(187kg)、次いでn-ヘプタン(220L)で洗浄し、最後に、乾燥減量が≦2%になるまで、フィルター上で真空下で窒素流下で40℃で乾燥させた。テトラデカノールレベルが>2%である場合、生成物を、約5容量のキシレン中で5時間スラリー化し、ろ過し、n-ヘプタンで洗浄し、乾燥減量が≦2%になるまで窒素流下で乾燥させてもよい。TOFAの収量は、典型的には132.4kg(76%)であった。
【0140】
側鎖反応物(2)の製造
一般反応スキーム1に従って、サルコシンエチルエステル塩酸塩(1)(103.4kg; 0.673kmol)及びMTBE(671L)、続いて炭酸カリウム水溶液(190.3kg; 539Lの水中1.38kmol)を、10℃未満の温度を維持しながら反応器に入れた。混合物を、約0〜5℃に冷却し、クロロアセチルクロリド(3)(91.9kg; 0.81kmol)を、温度を15℃未満に維持するような速度で添加した。反応混合物を約20〜25℃に温め、下側の水層を除去し、側鎖反応物(2)を含有する有機層を、一塩基性リン酸カリウム溶液(30.8kg; pH3.0〜4.0)で洗浄した。(2)の溶液へMTBE(550L)を添加し、次いで、75℃のジャケット温度を使用して、大気圧蒸留により元の体積の約半分まで濃縮した。溶液の含水量は、カールフィッシャー滴定によって決定した。追加のMTBEを添加し、溶液の含水量が≦0.3%になるまで蒸留を繰り返す。(2)の溶液を、カップリング反応においてそれ自体で使用される含有量についてアッセイした。(2)のアッセイを、(2)の量が、使用されるべきTOFAの量に対して≧1.3当量であることを確実にするために得た。そうでなければ、カップリング反応に使用されるTOFAの量を、(2):TOFAのモル比が≧1.3となるように調整する。
【0141】
式(Ia)の化合物の製造
一般反応スキーム1に従って、生成物(4)、すなわち、式(Ia)の化合物を大規模に製造した。反応器に、TOFA(110kg; 0.34kmol)、続いて側鎖反応物(2)の溶液(1.4当量)、続いてトリエチルアミン(68.2kg; 0.68kmol)を入れた。反応混合物を、最低5時間、還流にて加熱した。反応混合物を、約40〜50℃に冷却し、HPLCによって分析して、反応の完了をモニターした(残っているTOFAと生成物4との比は≦0.2%である)。インプロセス制御基準が達成されるまで、反応物を還流にて加熱した。反応混合物を、20〜25℃に冷却し、MTBE(220L)で希釈し、約1.3当量の1M KH2PO4緩衝液(pH3.0〜4.0)(773.4kg)で酸性化した。下側の水層を除去し、有機層を1%一塩基性リン酸緩衝液(550L)で3回洗浄し、きれいな反応器中にポリッシュろ過した。反応器をMTBE(550L)ですすぎ、生成物(4)のMTBE溶液を約6容量の溶媒に濃縮した。混合物を約40℃に冷却し、ヘプタン(682L)を添加し、約30℃に冷却し、予め精製及び再結晶されていた式(Ia)の結晶性化合物220gを種晶添加した。30℃で1時間撹拌した後、混合物を約2時間かけて10℃に冷却し、その温度で10時間熟成させた。粗生成物をろ過し、1:1のMTBE/ヘプタン(220L)で洗浄した。
【0142】
粗湿潤生成物(318kg)を、約45℃に加熱することによってMTBE(770L)に溶解し、次いで、きれいな反応器中へポリッシュろ過し、MTBE(110L)で前方にすすいだ。約45℃のMTBE溶液を、ヘプタン(770L)で処理し、約30℃に冷却し、式(Ia)の化合物の結晶形220gを種晶添加した。溶液を、約1時間30℃に維持し、次いで、約1時間かけて18℃に冷却し、その温度で3〜4時間維持した。スラリーを、約1時間かけて30℃に加熱し、その温度で約20時間維持した。スラリーを、1時間かけて18℃に冷却し、さらに1時間18℃に維持した。生成物を遠心分離によって単離し、1:1のMTBE/ヘプタン(330L)で洗浄し、40℃以下の真空オーブン下で乾燥した。TOFAに基づく精製した生成物(4)の全収量は、132kg(81%)であった。
【0143】
実施例3
疾患重症度及び有効性エンドポイントの包括的評価
ざ瘡について5ポイントの研究者包括的評価(IGA)を用いて、疾患重症度を採点した(表2参照)。
【0144】
【表2】
【0145】
実施例4
式(IA)による局所治療の有効性
尋常性ざ瘡を有する約100人の対象を、活性製剤(局所用ゲル製剤としての式(Ia)の化合物7.5%)又はビヒクル製剤(同様に局所用ゲルとして)に対して1:1の比率で無作為化した。対象は、1日2回、12週間、顔に製剤を適用するように指示された。1、2、3、4、8、12、及び16週目(研究終了)に、対象は臨床医によって連絡を受けるか、又は評価された。
【0146】
主な有効性エンドポイントは、1)炎症性及び非炎症性ざ瘡病変数における、12週目での、ベースラインからの絶対変化、及び2)12週目において、ベースラインと比較したIGAスコアにおける少なくとも2ポイントの低下を達成する対象の割合に基づいた。表2の採点基準を参照のこと。
【0147】
活性製剤で12週間処置された対象は、ビヒクルゲルで処置された対象よりも、炎症性病変数及び非炎症性病変数の両方において、ベースラインからの有意により大きな減少を示した。炎症性病変数のLS平均±SE変化は、活性製剤群の対象では-19.9±1.1、及びビヒクル製剤群の対象では-14.3±1.1であった(p=0.0003)。非炎症性病変数のLS平均±SE変化は、活性製剤群の対象では-20.1±1.9、及びビヒクル製剤群の対象では-12.4±1.9であった(p=0.0032)。
【0148】
ITT集団では、活性製剤群の有意により多くの対象が、ビヒクル対照群の対象と比較して、ベースラインから12週目までにIGAスコアの成功した改善を示した(24.5%対7.3%; p=0.0070)。これらの変化は、ビヒクルゲル群の対象について、それぞれ、-44.5%、-67.0%、及び-65.0%、並びにビヒクルゲル群の対象について、それぞれ、-34.2%、-48.7%、及び-53.1%のベースラインからのLS平均パーセント変化に対応した。炎症性病変数の変化についての処置群間の統計的に有意な差は、12週目でのみ観察された(絶対変化についてp=0.0003、及びパーセント変化についてp=0.0006)。
【0149】
皮脂排泄の測定値は、両処置群において小さい平均減少を示しており、一般に、ビヒクル製剤よりも、活性製剤で処置された対象についてより大きな減少を示した。しかし、意味のある解釈をするには、応答の変動性が両処置群において比較的大きかった。バイオマーカー分析は、ビヒクルに対して、又は処置された対象において経時的にのいずれかで、活性製剤群において脂質代謝の変化を示さなかった。
【0150】
実施例5
用量範囲研究
用量範囲を、顔に尋常性ざ瘡を有する成人対象において決定した。研究は、それぞれ、7.5%BID、7.5%QD、及び4.0%QDの濃度で、式(Ia)の化合物を含む活性製剤の有効性及び安全性を評価するように設計された無作為化、ビヒクル対照、並行群研究であった。結果を、中等度から重度の顔面ざ瘡を有する対象に対するビヒクル製剤(BID又はQD)の結果と比較した。
【0151】
合計420人の成人対象を、活性製剤(7.5%BID、7.5%QD、及び4.0%QD)及びビヒクル(BID及びQD)に2:2:2:1:1の様式で無作為化した。研究処置は12週間続いた。対象は、1、2(電話のみ)、4、8、及び12週目(研究終了)に研究クリニックに戻った。
【0152】
安全性は、有害事象(AE)、局所皮膚反応(LSR(紅斑、乾燥、剥離、灼熱感/刺痛、及びかゆみの存在及び重症度によって決定される))、臨床検査(血清化学、及び血液学)、バイタルサイン、及び身体検査を通して評価した。
【0153】
この研究の主な有効性エンドポイントは、1)炎症性及び非炎症性病変数における、ベースラインから12週目までの平均絶対変化、及び2)ベースラインから12週目までのIGAおける少なくとも2グレードの改善を達成した対象の割合であった。炎症性及び非炎症性病変数におけるベースラインから12週目までの絶対変化を、処置の係数、及び共変量としてのそれぞれのベースライン病変数を用いた共分散分析(ANCOVA)モデルを用いて分析した。12週目に成功(IGAスコアにおけるベースラインからの最小2グレードの改善)に二分された対象の割合を、コクラン-マンテル-ヘンツェル(Cochran-Mantel-Haenszel、CMH)検定を用いて分析した。IGAの成功に二分された対象の割合に対する用量反応の直線性について、探索分析を行った。
【0154】
研究センターのサブセットは、PKの評価のために対象を登録した。処置群あたり約10人の対象から血液を採取することになっていた。1日目及び8週目の来診時に、投与前の血液サンプルを、その日の最初の研究薬物の適用前に採取した; 次いで、研究薬物の適用後1、2、3、及び4時間にサンプルを採取した。
【0155】
安全性の結果
研究中に報告された最も一般的なAEは、鼻咽頭炎、上気道感染症、及び適用部位のかゆみであった。ほとんどのAEは、軽度又は中等度の重症度であった。紅斑は、最も一般的なLSRであった。研究終了時に測定された検査値、バイタルサイン、及びECGは、全般に、ベースライン値と一致し、臨床的に意義のある傾向はなかった。
【0156】
有効性の結果
3つの全ての活性処置群が、組み合わせたビヒクル群よりも、ベースラインから12週目までの炎症性病変数の絶対変化において統計的に有意により大きい減少を示したことが、研究の結果によって示された。炎症性病変数のLS平均変化は、組み合わせたビヒクルQD群の-10.7と比較して、4.0%QD、7.5%QD、及び7.5%BID群について、それぞれ、-14.6及び-14.5及び-15.0であった(それぞれ、P=0.011、P=0.014、及びP=0.011)。3つの全ての活性処置群は、組み合わせたビヒクル群よりも、ベースラインから12週目までの非炎症性病変数の絶対変化において統計的に有意により大きい減少を示した。12週目における非炎症性病変数のLS平均変化は、組み合わせたビヒクル群の-9.3と比較して、4.0%QD、7.5%QD、及び7.5%BID群について、それぞれ、-15.3、-13.4、及び-17.5であった(それぞれ、P=0.004、P=0.050、及びP<0.011)。
【0157】
4.0%QD群及び7.5%BID群はそれぞれ、組み合わせたビヒクル群と比較して、12週目におけるベースラインからのIGAスコアにおける最小2グレードの改善(減少)を達成した、統計的に有意により大きい割合の対象を有した。このエンドポイントを達成した対象のパーセンテージは、4.0%QDで21.6%、及び7.5%BID群で対象の25.9%であった(組み合わせたビヒクルQD群における9.8%と比較して)(それぞれ、P=0.024及びP=0.004)。
【0158】
対象のサブセットにおいて評価した薬物動態(PK)の結果は、1日目の式(Ia)の化合物の血漿濃度が、ある時点(投与後2時間)で血漿濃度が0.304ng/mLであった1名の対象を除く全員について検出不可能であったことを示した。8週目の血漿濃度は、全ての試験対象について検出不可能であった。1日目のTOFAの血漿濃度は、ほとんどの対象において検出不可能であったが、各用量群の少数の対象において検出可能であり、値は0.101〜1.02ng/mLの範囲であった。8週目のTOFAの血漿濃度は、QD用量群のほとんどの対象について検出不可能であったが、少数の対象において検出可能であり、値は0.100〜0.299ng/mLの範囲であった。7.5%BID群では、試験対象の約半数が各時点で検出可能なTOFAレベルを有し、平均値は0.156〜0.340ng/mLの範囲であった。
【0159】
したがって、4.0%QD、7.5%QD、及び7.5%BIDという3つの投与群のそれぞれにおける式(Ia)の皮膚科学的製剤は、12週間の処置期間にわたって忍容性良好であることが実証された。3つの全ての活性処置群において処置された対象は、組み合わせたビヒクル群よりも、ベースラインから12週目までの炎症性病変数及び非炎症性病変数の絶対変化において統計的に有意により大きい減少を示した。4.0%QD群及び7.5%BID群はそれぞれ、組み合わせたビヒクル群と比較して、12週目におけるベースラインからのIGAスコアにおける最小2グレードの改善(減少)を達成した、統計的に有意により大きい割合の対象を有した。
【0160】
この明細書で言及され、及び/又は出願データシートに列挙された米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許文献の全ては、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。実施形態の態様を修正して、必要であれば、種々の特許、出願及び文献の概念を用いて、さらなる実施形態を提供することができる。
【国際調査報告】