(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019522047
(43)【公表日】20190808
(54)【発明の名称】オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症治療のためのメッセンジャーRNA療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20190712BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 38/45 20060101ALI20190712BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20190712BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190712BHJP
   C12N 15/52 20060101ALN20190712BHJP
【FI】
   !A61K48/00ZNA
   !A61K9/127
   !A61K47/10
   !A61K47/18
   !A61K47/22
   !A61K47/24
   !A61K47/28
   !A61K38/45
   !A61P3/00
   !A61P43/00 111
   !C12N15/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】53
(21)【出願番号】2019517201
(86)(22)【出願日】20170613
(85)【翻訳文提出日】20181212
(86)【国際出願番号】US2017037237
(87)【国際公開番号】WO2017218524
(87)【国際公開日】20171221
(31)【優先権主張番号】62/509,568
(32)【優先日】20170522
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/349,331
(32)【優先日】20160613
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517316797
【氏名又は名称】トランスレイト バイオ, インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02139, ケンブリッジ, シドニー ストリート 200
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デローサ, フランク
【住所又は居所】アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02139, ケンブリッジ, シドニー ストリート 200, トランスレイト バイオ, インコーポレイテッド 気付
(72)【発明者】
【氏名】ハートレイン, マイケル
【住所又は居所】アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02139, ケンブリッジ, シドニー ストリート 200, トランスレイト バイオ, インコーポレイテッド 気付
(72)【発明者】
【氏名】スミス, リアン
【住所又は居所】アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02139, ケンブリッジ, シドニー ストリート 200, トランスレイト バイオ, インコーポレイテッド 気付
(72)【発明者】
【氏名】カーブ, シュリラング
【住所又は居所】アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02139, ケンブリッジ, シドニー ストリート 200, トランスレイト バイオ, インコーポレイテッド 気付
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076BB13
4C076CC21
4C076CC29
4C076DD23
4C076DD43
4C076DD46
4C076DD48
4C076DD50
4C076DD60
4C076DD63
4C076DD70
4C076EE23
4C084AA13
4C084BA35
4C084DC25
4C084MA24
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA10
4C084NA12
4C084ZC19
4C084ZC21
(57)【要約】
本発明は特に、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症の治療方法を提供するものであり、当該方法は、治療を必要とする対象に対し、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)タンパク質をコードするmRNAを有効量で含む組成物を、OTC欠損症の少なくとも1つの症状または特徴が、強度、重篤度または頻度において低下する、またはその発症が遅延するような投与間隔で投与することを含む。一部の実施形態では、当該mRNAはリポソーム内に封入され、当該リポソームは、1種以上のカチオン性脂質、1種以上の非カチオン性脂質、1種以上のコレステロール系脂質、および1種以上のPEG修飾脂質を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症の治療方法であって、治療を必要とする対象に対し、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)タンパク質をコードするmRNAを有効量で含む組成物を、前記OTC欠損症の少なくとも1つの症状または特徴が、強度、重篤度または頻度において低下する、またはその発症が遅延するような投与間隔で投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記OTCタンパク質をコードするmRNAは、コドン最適化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号3、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、または配列番号10に対し少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または95%同一であるポリヌクレオチド配列を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号3、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、または配列番号10を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号7を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号1ではない、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記mRNAは、配列番号11の5’非翻訳領域(UTR)配列をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記mRNAは、配列番号12または配列番号13の3’非翻訳領域(UTR)配列をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記mRNAは、リポソーム内に封入される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記リポソームは、1種以上のカチオン性脂質、1種以上の非カチオン性脂質、1種以上のコレステロール系脂質、および1種以上のPEG修飾脂質を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1種以上のカチオン性脂質は、C12−200、MC3、DLinDMA、DLinkC2DMA、cKK−E12、ICE(イミダゾール系)、HGT5000、HGT5001、OF−02、DODAC、DDAB、DMRIE、DOSPA、DOGS、DODAP、DODMAおよびDMDMA、DODAC、DLenDMA、DMRIE、CLinDMA、CpLinDMA、DMOBA、DOcarbDAP、DLinDAP、DLincarbDAP、DLinCDAP、KLin−K−DMA、DLin−K−XTC2−DMA、HGT4003、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択されるカチオン性脂質を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記1種以上の非カチオン性脂質は、DSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)、DPPC(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)、DOPE(1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン)、DOPC(1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−ホスホチジルコリン)DPPE(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン)、DMPE(1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン)、DOPG(,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−(1’−rac−グリセロール))、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記1種以上のコレステロール系脂質は、コレステロールおよび/またはPEG化コレステロールである、請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記リポソームが、約100nm未満の大きさを有する、請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記mRNAは、体重1kg当たり、約0.01〜5.0mgの範囲の有効量で投与される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記mRNAは、体重1kg当たり、約0.01〜3.0mgの範囲の有効量で投与される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記mRNAは、体重1kg当たり、約0.01〜1.0mgの範囲の有効量で投与される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記mRNAは、体重1kg当たり、約0.01〜0.5mgの範囲の有効量で投与される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物は、静脈内投与される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物は週に1回投与される、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物は月に2回投与される、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物は14日に1回投与される、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物は月に1回投与される、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物の投与は、対照レベルと比較して、前記対象血清中のOTCタンパク質の発現レベルまたは活性レベルの増加を生じさせる、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記対照レベルは、治療前の前記対象におけるベースライン血清OTCタンパク質の発現レベルまたは活性レベルである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記対照レベルは、治療を行わないOTC患者における血清OTCタンパク質の平均の発現レベルまたは活性レベルを示す参照値である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物の投与は、対照オロチン酸値と比較して、前記対象における尿オロチン酸値の低下を生じさせる、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記対照オロチン酸値は、治療前の前記対象におけるベースライン尿オロチン酸値である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記対照オロチン酸値は、治療を行わないOTC患者における平均尿オロチン酸値を示す参照値である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物の投与は、対照シトルリン値と比較して、前記対象血清中のシトルリン値の増加を生じさせる、請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記対照シトルリン値は、治療前の前記対象におけるベースライン血清シトルリン値である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記対照シトルリン値は、治療を行わないOTC患者における平均血清シトルリン値を示す参照値である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記mRNAは、1個以上の修飾ヌクレオチドを含む、請求項1〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記1個以上の修飾ヌクレオチドは、シュードウリジン、N−1−メチル−シュードウリジン、2−アミノアデノシン、2−チオチミジン、イノシン、ピロロ−ピリミジン、3−メチルアデノシン、5−メチルシチジン、C−5プロピニル−シチジン、C−5プロピニル−ウリジン、2−アミノアデノシン、C5−ブロモウリジン、C5−フルオロウリジン、C5−ヨードウリジン、C5−プロピニル−ウリジン、C5−プロピニル−シチジン、C5−メチルシチジン、2−アミノアデノシン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニン、および/または2−チオシチジンを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記mRNAは修飾されない、請求項1〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症を治療する方法であって、前記方法は、治療の必要のある患者に対し、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)タンパク質をコードするmRNAを含む組成物を投与することを含み、前記mRNAは、配列番号7に対し少なくとも80%同一であるポリヌクレオチド配列を含む、方法。
【請求項37】
オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症を治療するための医薬組成物であって、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)タンパク質をコードするmRNAを含み、前記OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号3、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、または配列番号10に対し少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または95%同一であるポリヌクレオチド配列を含む、医薬組成物。
【請求項38】
前記OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号3、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、または配列番号10を含む、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号7を含む、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号1ではない、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記mRNAは、配列番号11の5’非翻訳領域(UTR)配列をさらに含む、請求項37〜40のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記mRNAは、配列番号12または配列番号13の3’非翻訳領域(UTR)配列をさらに含む、請求項37〜41のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記OTCタンパク質をコードするmRNAは、リポソーム内に封入される、請求項37〜42のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記リポソームは、1種以上のカチオン性脂質、1種以上の非カチオン性脂質、1種以上のコレステロール系脂質、および1種以上のPEG修飾脂質を含む、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記リポソームは、約100nm未満の大きさを有する、請求項43または請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症を治療するための医薬組成物であって、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)タンパク質をコードするmRNAを含み、前記mRNAは、配列番号7に対し少なくとも80%同一であるポリヌクレオチド配列を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年6月13日に出願された米国仮出願第62/349,331号、および2017年5月22日に出願された米国仮特許出願第62/509,568号に対する優先権を主張するものであり、当該開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本明細書は、配列表(「SL_MRT−1243US」という名称のテキスト(.txt)ファイルとして2017年6月13日に電子的に提出されたもの)を参照する。当該テキストファイルは、2017年6月13日に作成されたものであり、サイズは22,141バイトである。配列表の全内容が、参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC:Ornithine transcarbamylase)欠損症は、OTC遺伝子中の突然変異に特徴付けられるX染色体連鎖型遺伝性疾患である。OTC遺伝子中の突然変異は、(肝臓および小腸において)カルバミルリン酸およびオルニチンからのシトルリン合成に触媒作用を及ぼすOTC酵素の能力を消滅または低下させる。結果として、過剰な窒素がアンモニアの形態で血中に蓄積され、これが神経系へと移動し、OTC欠損症に関連した症状が生じる。OTC活性を完全に無効化する突然変異は、重度な新生児発症型を生じさせ、一方でOTC活性の低下をもたらす突然変異は、遅発型の表現型を生じさせる。
【0004】
OTC欠損症は最も普遍的なタイプの尿素サイクル異常症であり、この疾患の発症率は、およそ56,000〜77,000人の生児出生当たり1人である。重度の新生児発症型の男児は誕生時は正常であるが、数日後に哺乳力の低下、低血圧症および無気力状態を発生させ、急速に傾眠および昏睡へと進行する。発作および過呼吸が存在する場合もある。治療しなかった場合、高い死のリスクを伴う重度な脳障害が発生する。中度型の患者は、年齢を問わずに存在し得る。幼児期であれば、母乳から全乳へと切り替えたときに引き起こされ得る。小児および成人であれば、環境ストレッサー(すなわち絶食、高タンパク質食、妊娠および産後期間、併発性疾患、外科手術)が、悪心、嘔吐、頭痛、奇異な行動、せん妄および闘争性を伴う高アンモニア血症性脳障害の症状の発現を誘発させ得る。これらの症状の発現は、抗アンモニア血症性の昏睡も生じさせ得る。高アンモニア血症性昏睡の神経系合併症には、発育遅延および(場合により)重度の認識機能障害が含まれる。女性キャリアの多くは無症状性であるが、疾患アレルのX染色体の不活化の程度が好ましくない場合、男性と同程度にまで影響を受ける可能性がある。凝固障害は、代謝性の代償不全の間に頻出する所見であり、急性肝不全へと発展する場合もある。
【0005】
現在のところOTC欠損症に対する治療法は存在せず、長期的な療法には、一生涯のタンパク質摂取制限と窒素捕捉剤療法(フェニル酢酸ナトリウムもしくはフェニル酪酸ナトリウムおよび/または安息香酸ナトリウムを用いる)が含まれる。重度の新生児発症型OTC欠損症の患者(通常、6か月齢までに行われる)、または頻繁に高アンモニア血症の症状を発現する患者では肝臓移植も検討される場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は特に、mRNA療法に基づいたオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症の治療のための方法および組成物の改善を提供する。本発明は、ヒトOTCタンパク質をコードするmRNAをリポソーム内に封入して投与したところ、in vivoでの高効率で持続的なタンパク質産生が生じ、そしてたとえば臨床的に関連する疾患マーカーである尿中のオロチン酸値の低下に成功したという実験結果を包含する。
【0007】
1つの態様では、本発明は、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症の治療方法を提供するものであり、当該方法は、治療を必要とする対象に対し、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)タンパク質をコードするmRNAを有効量で含む組成物を、OTC欠損症の少なくとも1つの症状または特徴が、強度、重篤度または頻度において低下する、またはその発生が遅延するような投与間隔で投与することを含む。一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、コドン最適化される。一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号3、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、または配列番号10に対し少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または95%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号3を含む。一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号6を含む。一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号7を含む。一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号8を含む。一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号9を含む。一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号10を含む。一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号1ではない。
【0008】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号11の5’非翻訳領域(UTR:untranslated region)配列をさらに含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号12または配列番号13の3’非翻訳領域(UTR)配列をさらに含む。
【0009】
一部の実施形態では、mRNAはリポソーム内に封入される。一部の実施形態では、リポソームは、1種以上のカチオン性脂質、1種以上の非カチオン性脂質、1種以上のコレステロール系脂質、および1種以上のPEG修飾脂質を含む。一部の実施形態では、当該1種以上のカチオン性脂質は、C12−200、MC3、DLinDMA、DLinkC2DMA、cKK−E12、ICE(イミダゾール系)、HGT5000、HGT5001、OF−02、DODAC、DDAB、DMRIE、DOSPA、DOGS、DODAP、DODMAおよびDMDMA、DODAC、DLenDMA、DMRIE、CLinDMA、CpLinDMA、DMOBA、DOcarbDAP、DLinDAP、DLincarbDAP、DLinCDAP、KLin−K−DMA、DLin−K−XTC2−DMA、HGT4003、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択されるカチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、当該1種以上の非カチオン性脂質は、DSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)、DPPC(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)、DOPE(1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン)、DOPC(1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−ホスホチジルコリン)DPPE(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン)、DMPE(1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン)、DOPG(,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−(1’−rac−グリセロール))、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、当該1種以上のコレステロール系脂質は、コレステロールおよび/またはPEG化コレステロールである。
【0010】
一部の実施形態では、リポソームは、約100nm未満の大きさを有する。
【0011】
一部の実施形態では、mRNAは、体重1kg当たり、約0.01〜5.0mgの範囲の有効量で投与される。一部の実施形態では、mRNAは、体重1kg当たり、約0.01〜3.0mgの範囲の有効量で投与される。一部の実施形態では、mRNAは、体重1kg当たり、約0.01〜1.0mgの範囲の有効量で投与される。一部の実施形態では、mRNAは、体重1kg当たり、約0.01〜0.5mgの範囲の有効量で投与される。
【0012】
一部の実施形態では、組成物は、静脈内投与される。一部の実施形態では、組成物は、週に1回投与される。一部の実施形態では、組成物は、月に2回投与される。一部の実施形態では、組成物は、14日に1回投与される。一部の実施形態では、組成物は、月に1回投与される。
【0013】
一部の実施形態では、当該組成物の投与は、対照レベルと比較して、対象血清中のOTCタンパク質の発現レベルまたは活性レベルの増加を生じさせる。一部の実施形態では、対照レベルは、治療前の対象におけるベースライン血清OTCタンパク質の発現レベルまたは活性レベルである。一部の実施形態では、対照レベルは、治療を行わないOTC患者における血清OTCタンパク質の平均の発現レベルまたは活性レベルを示す参照値である。一部の実施形態では、当該組成物の投与は、対照オロチン酸値と比較して、対象における尿オロチン酸値の低下を生じさせる。一部の実施形態では、対照オロチン酸値は、治療前の対象におけるベースライン尿オロチン酸値である。一部の実施形態では、対照オロチン酸値は、治療を行わないOTC患者における平均尿オロチン酸値を示す参照値である。一部の実施形態では、当該組成物の投与は、対照シトルリン値と比較して、当該対象血清中のシトルリン値の増加を生じさせる。一部の実施形態では、対照シトルリン値は、治療前の対象におけるベースライン血清シトルリン値である。一部の実施形態では、対照シトルリン値は、治療を行わないOTC患者における平均血清シトルリン値を示す参照値である。
【0014】
一部の実施形態では、mRNAは、1個以上の修飾ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、当該1個以上の修飾ヌクレオチドは、シュードウリジン、N−1−メチル−シュードウリジン、2−アミノアデノシン、2−チオチミジン、イノシン、ピロロ−ピリミジン、3−メチルアデノシン、5−メチルシチジン、C−5プロピニル−シチジン、C−5プロピニル−ウリジン、2−アミノアデノシン、C5−ブロモウリジン、C5−フルオロウリジン、C5−ヨードウリジン、C5−プロピニル−ウリジン、C5−プロピニル−シチジン、C5−メチルシチジン、2−アミノアデノシン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニン、および/または2−チオシチジンを含む。
【0015】
一部の実施形態では、mRNAは、修飾されない。
【0016】
1つの態様において、本発明は、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症を治療するための医薬組成物を提供するものであり、当該医薬組成物は、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)タンパク質をコードするmRNAを含み、当該OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号3、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、または配列番号10に対し少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または95%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0017】
一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号3を含む。一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号6を含む。一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号7を含む。一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号8を含む。一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号9を含む。一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号10を含む。一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、配列番号1ではない。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号11の5’非翻訳領域(UTR)配列をさらに含む。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号12または配列番号13の3’非翻訳領域(UTR)配列をさらに含む。
【0018】
一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、リポソーム内に封入される。一部の実施形態では、リポソームは、1種以上のカチオン性脂質、1種以上の非カチオン性脂質、1種以上のコレステロール系脂質、および1種以上のPEG修飾脂質を含む。一部の実施形態では、リポソームは、約100nm未満の大きさを有する。
【0019】
本発明の他の特徴、目的、及び利点は、以下の詳細な説明、図面および請求の範囲において明らかである。しかしながら、それら詳細な説明、図面、および請求の範囲は本発明の実施形態を示すが、例示のみを目的として与えられるものであり、限定ではないことを理解すべきである。本発明の範囲内の様々な変更及び修正が、当分野の当業者には明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面は、解説のみを目的とするものであり、限定ではない。
【0021】
【図1】図1は、hOTC mRNA担持脂質ナノ粒子の0.5mg/kg単回投与後、2週間にわたるウェスタンブロットによるヒトOTCタンパク質の免疫組織化学的検出の例を示す。
【0022】
【図2A】図2Aは、hOTC mRNA担持脂質ナノ粒子の単回0.5mg/kg投与後、2週間にわたる、マウスにおけるシトルリン産生の例を示す。
【0023】
【図2B】図2Bは、hOTC mRNA担持脂質ナノ粒子の単回0.5mg/kg投与後、2週間にわたる、マウスにおける、野生型活性の割合としてのhOTCタンパク質活性の例を示す。
【0024】
【図3】図3Aは、hOTC mRNA担持脂質ナノ粒子の単回0.5mg/kg投与後、ウェスタンブロットによるヒトOTCタンパク質の免疫組織化学的検出の例を示す。
【0025】
図3Bは、hOTC mRNA担持脂質ナノ粒子の単回0.5mg/kg投与後、ウェスタンブロットによるヒトOTCタンパク質の免疫組織化学的検出の例を示す。使用された脂質ナノ粒子は、図3Aで使用されたものとは異なった。
【0026】
【図4】図4は、hOTC mRNA担持脂質ナノ粒子の単回0.5mg/kg投与後24時間のマウスにおけるシトルリン産生の例を示す。ナンセンス突然変異型mRNA脂質ナノ粒子(STOP)で治療されたマウスにおいて、hOTC活性は観察されなかった。
【0027】
【図5】図5は、hOTC mRNA担持脂質ナノ粒子の単回0.5mg/kg投与後のマウスの尿中オロチン酸値の例を示す。
【0028】
【図6A】図6Aは、Spfashマウスにおける、アンモニアチャレンジを含む投与および検査のスキームの例を示す。
【0029】
【図6B】図6Bは、hOTC mRNA担持脂質ナノ粒子を用いた治療後のSpfshマウスにおける、NHClを用いたアンモニアチャレンジ後の血漿アンモニア値の例を示す。
【0030】
【図7】図7は、hOTC mRNA担持脂質ナノ粒子を用いた治療後のSpfashマウスの肝臓におけるシトルリン産生の例であり、野生型活性の割合として示される。
【0031】
【図8】図8は、8週間にわたるhOTC mRNA担持脂質ナノ粒子を用いた治療後のSpfashマウスの肝臓におけるシトルリン産生により測定されるhOTC活性の例であり、野生型活性の割合として示される。
【0032】
【図9A】図9Aは、1カ月にわたる毎週のhOTC mRNA担持脂質ナノ粒子を用いた治療後のSpfashマウスにおけるシトルリン産生により測定されるhOTC活性の例である。
【0033】
【図9B】図9Bは、hOTC mRNA担持脂質ナノ粒子の毎週投与(1.0mg/kg)後のウェスタンブロットによるヒトOTCタンパク質の免疫組織化学的検出の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
定義
本発明をより容易に理解するために、いくつかの用語を最初に以下に定義する。以下の用語および他の用語の追加の定義は、明細書全体を通して述べられている。本発明の背景を説明し、その実施に関するさらなる詳細を提供するために本明細書で参照される刊行物及び他の参考資料は、参照によって本明細書に援用される。
【0035】
アルキル:本明細書において使用される場合、「アルキル」とは、1〜15個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の飽和炭化水素基のラジカルを指す(C1−15アルキル)。一部の実施形態では、アルキル基は、1〜3個の炭素原子を有する(C1−3アルキル)。C1−3アルキル基の例としては、メチル(C)、エチル((C))、n−プロピル(C)、およびイソプロピル(C)が挙げられる。一部の実施形態では、アルキル基は、8〜12個の炭素原子を有する(C8−12アルキル)。C8−12アルキル基の例としては、限定されないが、n−オクチル(C)、n−ノニル(C)、n−デシル(C10)、n−ウンデシル(C11)、n−ドデシル(C12)などが挙げられる。接頭辞の”n−”(直鎖状)とは、非分枝状アルキル基を指す。たとえば、n−Cアルキルとは、−(CHCHを指し、n−C10アルキルとは、−(CHCHを指すなどである。
【0036】
アミノ酸:本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、その最も広い意味で、ポリペプチド鎖に組み込まれ得る任意の化合物及び/または物質を指す。一部の実施形態では、アミノ酸は、一般構造HN−C(H)(R)−COOHを有する。一部の実施形態では、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸である。一部の実施形態ではアミノ酸は合成アミノ酸であり、一部の実施形態ではアミノ酸はD−アミノ酸であり、一部の実施形態ではアミノ酸はL−アミノ酸である。「標準アミノ酸」は、天然に存在するペプチドに通常見られる20個の標準L−アミノ酸のいずれかを意味する。「非標準アミノ酸」は、合成して調製されるか天然源から得られるかにかかわらず、標準アミノ酸以外の任意のアミノ酸を意味する。本明細書で使用される場合、「合成アミノ酸」は、塩、アミノ酸誘導体(アミドなど)、及び/または置換を含むがこれらに限定されない、化学修飾されたアミノ酸を包含する。ペプチドにカルボキシ末端アミノ酸及び/またはアミノ末端アミノ酸を含むアミノ酸は、メチル化、アミド化、アセチル化、保護基によって修飾され、及び/またはその活性に悪影響を及ぼすことなくペプチドの循環半減期を変更することができる他の化学基との置換によって修飾され得る。アミノ酸は、ジスルフィド結合に関与する場合がある。アミノ酸は、1つ以上の化学成分(例えば、メチル基、アセテート基、アセチル基、リン酸基、ホルミル部分、イソプレノイド基、硫酸基、ポリエチレングリコール部分、脂質部分、炭水化物部分、ビオチン部分など)との会合といった、一修飾または翻訳後の修飾を含み得る。用語「アミノ酸」は、「アミノ酸残基」と互換的に使用され、遊離アミノ酸及び/またはペプチドのアミノ酸残基を指す場合がある。この用語が遊離アミノ酸かまたはペプチドの残基を指すか否かについては、用語が使用される文脈から明らかになるであろう。
【0037】
動物:本明細書で使用される場合、用語「動物」は、動物界の任意のメンバーを意味する。一部の実施形態では、「動物」は、発達の任意の段階でのヒトを意味する。一部の実施形態では、「動物」は、発達の任意の段階での非ヒト動物を意味する。特定の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳類(例えば、ゲッ齒類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、及び/またはブタ)である。一部の実施形態では、動物には、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫類、及び/または蠕虫類が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子組換え動物、及び/またはクローンであり得る。
【0038】
およそまたは約:本明細書で使用する場合、関心のある1つ以上の値に適用される「約(approximately)」または「約(about)」という用語は、記載された基準値に類似する値を指す。特定の実施形態では、「約(approximately)」または「約(about)」という用語は、特段の記載がない限り、または文脈から明らかでない限り(そのような数が可能な値の100%を超える場合を除く)、いずれかの方向(より大きいまたは小さい)で25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ未満の値の範囲を指す。
【0039】
生物学的に活性である:本明細書で使用される場合、「生物学的に活性である」という句は、生物学的系において、特に生物において活性を有する任意の作用物質の特性を指す。例えば、生物に投与されたときに、その生物に対して生物学的効果を有する薬剤は、生物学的に活性であると考えられる。
【0040】
送達:本明細書で使用される場合、用語「送達」は局所送達及び全身送達の両方を包含する。例えば、mRNAの送達は、mRNAが標的組織に送達され、そのコードされたタンパク質が発現され、そしてその標的組織内で保持される状況(「局所分布」または「局所送達」とも称される)、mRNAが標的組織に送達され、そのコードされたタンパク質が発現され、そして患者の循環系(例えば、血清)内に分泌され、そして全身に分布され、他の組織によって取り込まれる状況(「全身分布」または「全身送達」とも称される)を包含する。
【0041】
発現:本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」は、mRNAをポリペプチドへと翻訳すること、複数のポリペプチドをインタクトなタンパク質(例えば、酵素)へと構築すること、及び/またはポリペプチドもしくは完全に構築されたタンパク質(例えば、酵素)の翻訳後修飾をすることを指す。この用途において、用語「発現」及び「産生」ならびに文法的等価物は互換的に使用される。
【0042】
機能性:本明細書で用いられる場合、「機能性」生体分子は、それが特徴付けられる特性及び/または活性を呈する形態での生体分子である。
【0043】
半減期:本明細書で使用される場合、用語「半減期」は、核酸またはタンパク質の濃度または活性などの量が、ある期間の開始時に測定された値の半分まで下がるのに要する時間である。
【0044】
改善、増加または低減:本明細書で使用される場合、「改善」、「増加」、もしくは「低減」という用語、または文法的等価物は、本明細書に記載される治療の開始前の同一個体での測定値、または本明細書に記載される治療を受けていない対照被験体(または複数の対照被験体)での測定値などのベースライン測定値に対する相対的な値を示唆するものである。「対照被験体」とは、治療を受けている対象と同じ疾患形態を患っており、治療を受けている対象とほぼ同じ年齢の対象のことである。
【0045】
in vitro:本明細書で使用される場合、用語「in vitro」は、多細胞生物体内ではなく、例えば、試験管または反応容器中、細胞培養液中などの人工的な環境で生じる事象を意味する。
【0046】
in vivo:本明細書で使用される場合、用語「in vivo」は、ヒト及び非ヒト動物などの多細胞生物体内で生じる事象を意味する。細胞型系の文脈において、該用語は、生細胞内で生じる事象を意味するのに(例えばin vitro系の対語として)使用され得る。
【0047】
単離された:本明細書で使用される場合、用語「単離された」は、(1)最初に生成された際に(自然界において及び/または実験的な環境においてにかかわらず)会合した成分の少なくとも一部から分離された、ならびに/または(2)人の手によって生成、調製、及び/もしくは製造された、物質及び/または要素を意味する。単離された物質及び/または要素は、それらが最初に会合した他の成分の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超から分離され得る。一部の実施形態では、単離された作用物質は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超純粋である。本明細書で使用される場合、物質は、他の構成成分を実質的に含まない場合に「純粋」である。本明細書で使用される場合、単離された物質及び/または要素のパーセント純度の計算は、賦形剤(例えば、緩衝剤、溶媒、水など)を含むべきではない。
【0048】
局所分布または局所送達:本明細書において使用される場合、「局所分布」、「局所送達」またはその文法的に均等な用語は、組織特異的な送達または分布を指す。典型的には、局所分布または局所送達は、細胞内で翻訳および発現される、または分泌が限定的で、患者の循環系へ入ることを回避する、mRNAにコードされるタンパク質(たとえば酵素)を必要とする。
【0049】
メッセンジャーRNA(mRNA):本明細書で使用される場合、「メッセンジャーRNA(mRNA)」という用語は、少なくとも1つのポリペプチドをコードするポリリボヌクレオチドを指す。本明細書で使用されるmRNAは、修飾及び未修飾の両方のRNAを包含する。mRNAは、1つ以上のコード領域及び非コード領域を含み得る。mRNAは、天然の供給源から精製されてもよく、組換え発現系を使用して作製されてもよく、および任意で精製されてもよく、in vitroで転写されてもよく、化学的に合成されてもよい。必要に応じて、例えば、化学的に合成された分子の場合、mRNAは、化学修飾された塩基または糖類、骨格修飾などを有する類似体といった、ヌクレオシド類似体を含み得る。mRNA配列は、別段に示されない限り、5’から3’の方向に提示される。一部の実施形態では、mRNAは、天然のヌクレオシド(例えば、アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジン);ヌクレオシド類似体(例えば、2−アミノアデノシン、2−チオチミジン、イノシン、ピロロ−ピリミジン、3−メチルアデノシン、5−メチルシチジン、C−5プロピニル−シチジン、C−5プロピニル−ウリジン、2−アミノアデノシン、C5−ブロモウリジン、C5−フルオロウリジン、C5−ヨードウリジン、C5−プロピニル−ウリジン、C5−プロピニル−シチジン、C5−メチルシチジン、2−アミノアデノシン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニン、及び2−チオシチジン);化学修飾された塩基;生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化塩基);介在塩基(intercalated base);修飾された糖類(例えば、2’−フルオロリボース、リボース、2’−デオキシリボース、アラビノース、及びヘキソース);及び/もしくは修飾されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエート及び5’−N−ホスホルアミダイト結合)であるか、またはそれらを含む。
【0050】
核酸:本明細書で用いられる場合、用語「核酸」は、最も広い意味において、ポリヌクレオチド鎖に組み込まれるか、または組み込まれ得る任意の化合物及び/または物質を意味する。一部の実施形態では、核酸は、ホスホジエステル結合を介してポリヌクレオチド鎖に組み込まれるか、または組み込まれ得る化合物及び/または物質である。一部の実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチド及び/またはヌクレオシド)を意味する。一部の実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基を含むポリヌクレオチド鎖を意味する。一部の実施形態では、「核酸」は、RNA、ならびに一本鎖DNA及び/または二本鎖DNA及び/またはcDNAを包含する。
【0051】
患者:本明細書で使用される場合、「患者」または「対象」という用語は、提供される組成物が、例えば、実験、診断、予防、美容、及び/または治療目的のために投与され得る任意の生物体を意味する。典型的な患者には、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及び/またはヒトなどの哺乳類)が含まれる。一部の実施形態では、患者はヒトである。ヒトには、出生前及び出生後の形態が含まれる。
【0052】
医薬的に許容される:本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、合理的な利益/リスクの比率に相応で、ヒト及び動物の組織に接触させて使用することに適した物質を指す。
【0053】
薬学的に許容される塩:薬学的に許容される塩は、当該技術分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences(1977)66:1−19において薬学的に許容される塩について詳述している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、好適な無機酸及び有機酸ならびに無機塩基及び有機塩基に由来するものを含む。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸などの無機酸を用いて、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸を用いて、あるいはイオン交換などの当該技術分野において使用される他の方法を用いて形成されたアミノ基の塩がある。他の薬学的に許容される塩として、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基に由来する塩として、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及びN(C1−4アルキル)塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらなる薬学的に許容される塩には、適宜、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成される非毒性アンモニウムカチオン、4級アンモニウムカチオン、及びアミンカチオンが含まれる。さらなる薬学的に許容される塩には、適切な求電子物質(例えば、ハロゲン化アルキル)を使用して4級化アルキル化アミノ塩を形成する、アミンの4級化から形成される塩が含まれる。
【0054】
全身分布または全身送達:本明細書で使用される場合、用語「全身分布」、「全身送達」、または文法的等価物は、全身もしくは生物体全体に影響を及ぼす送達または分布のメカニズムまたはアプローチを意味する。典型的には、全身分布または全身送達は、身体の循環系、例えば、血流を介して成し遂げられる。「局所分布または局所送達」の定義と比較される。
【0055】
対象:本明細書で使用する「対象」という用語は、ヒトまたは任意の非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、または霊長類)を意味する。ヒトには、出生前及び出生後の形態が含まれる。多くの実施形態では、対象はヒトである。対象は患者である場合があり、これは、疾患の診断または治療のために医療機関に来院するヒトを意味する。用語「対象」は、本明細書において「個体」または「患者」と交換可能に使用される。対象は、疾患または障害に罹患している可能性があるか、またはそれに感受性を有するが、疾患または障害の症状を表していてもいなくてもよい。
【0056】
実質的:本明細書で使用される場合、用語「実質的」は、関心対象の特徴または特性の全てもしくはほぼ全ての範囲または程度を示す、定性的な状態を意味する。生物学分野の当業者であれば、生物学的及び化学的な現象が、完了すること及び/もしくは完了の域に到達すること、または絶対的な結果を達成もしくは回避することが、仮にあったとしても稀であることを理解するであろう。したがって、用語「実質的」は、本明細書において、多くの生物学的及び化学的現象に固有の潜在的な完全性の欠如を捉えるのに用いられる。
【0057】
標的組織:本明細書で使用される場合、用語「標的組織」は、治療される疾患の影響を受ける任意の組織を意味する。一部の実施形態では、標的組織には、疾患関連病態、症状、または特徴を現す組織が含まれる。
【0058】
治療有効量:本明細書で使用される場合、治療剤の「治療有効量」という用語は、疾患、障害、及び/もしくは症状に罹患しているか、または感受性を有する対象に投与される場合、その疾患、障害、及び/または症状の徴候を治療する、診断する、予防する、及び/またはその開始を遅延するのに十分な量を意味する。当業者は、治療有効量が少なくとも1つの単位用量を含む投与レジメンによって投与されるのが典型的であることを理解するであろう。
【0059】
治療:本明細書で使用される場合、用語「治療する」、「治療」または「治療している」は、ある特定の疾患、障害、及び/または症状の1つ以上の徴候または特徴を、部分的にまたは完全に軽減する、寛解させる、緩和する、抑制する、予防する、その開始を遅延する、その重篤度を低減する、及び/またはその発症率を低減するために使用する任意の方法を意味する。疾患の症状を提示していない対象、及び/または疾患の初期の症状のみを提示している対象に対して、該疾患に関連する病態を発症させる危険性を減らすために、治療が行われる場合もある。
(発明を実施するための形態)
【0060】
本発明はとりわけ、mRNA療法に基づいたオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症の治療のための方法および組成物を提供する。特に本発明は、治療を必要とする対象に対し、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)をコードするmRNAを有効量で含む組成物を、OTC欠損症の少なくとも1つの症状または特徴が、強度、重篤度または頻度において低下する、またはその発生が遅延するような投与間隔で投与することによりOTC欠損症を治療する方法を提供する。本発明はさらに、治療を必要とする対象に対し、酸OTCをコードするmRNAを含む組成物の治療有効量を投与し、当該対象の高アンモニア血症を治療することを含む、OTC欠損症を治療する方法を提供する。一部の実施形態では、mRNAは1個以上のリポソーム内に封入される。本明細書において使用される場合、「リポソーム」という用語は、任意の層状、多重層状、または固形のナノ粒子小胞を指す。典型的には、本明細書において使用されるリポソームは、1種以上の脂質を混合することにより、または1種以上の脂質とポリマーを混合することにより形成され得る。ゆえに本明細書において使用される「リポソーム」という用語は、脂質系ナノ粒子およびポリマー系ナノ粒子の両方を包含する。一部の実施形態では、本発明に適したリポソームは、カチオン性または非カチオン性の脂質、コレステロール系脂質、およびPEG修飾脂質を含む。
【0061】
オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症
本発明を使用して、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症に罹患する、またはOTC欠損症に罹りやすい対象を治療してもよい。OTC欠損症は、酵素のオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)に対する遺伝子中の突然変異に特徴付けられるX染色体連鎖型遺伝性疾患である。OTC酵素は、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ、ミトコンドリア型としても知られている。OTCはまた、以下としても知られている:MGC129967、MGC129968、OCTD、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ前駆体、オルニチントランスカルバミラーゼ、およびOTC_HUMAN。300個を超えるOTC欠損症を引き起こす突然変異がOTC遺伝子中に特定されている。おそらくOTC遺伝子中の突然変異の多くが、産生されたタンパク質の構造に影響を与え、その活性を低下させる。
【0062】
本明細書に記載される組成物および方法を使用して、OTC欠損症の少なくとも1つの症状または特徴を治療してもよい。特に、本明細書に記載される組成物および方法を使用して、高アンモニア血症を治療してもよい。
【0063】
OTC遺伝子中の突然変異は、(肝臓および小腸において)カルバミルリン酸およびオルニチンからのシトルリン合成に触媒作用を及ぼすOTC酵素の能力を消滅または低下させる。結果として、過剰な窒素がアンモニアの形態で血中に蓄積され、これが神経系へと移動し、OTC欠損症に関連した症状が生じる。アンモニアの蓄積は、脳の損傷および死へと繋がり得る。OTC活性を完全に無効化する突然変異は、重度な新生児発症型を生じさせ、一方でOTC活性の低下をもたらす突然変異は、遅発型の表現型を生じさせる。
【0064】
オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)
一部の実施形態では、本発明は、OTC欠損症の治療を目的とした、OTCをコードするmRNAを対象に送達するための方法および組成物を提供する。適切なOTC mRNAは、天然型OTCタンパク質の活性の代わりに機能することができ、および/またはOTC欠損症と関連した1つ以上の症状の強度、重篤度、および/または頻度を低下させることができるOTCタンパク質のいずれか全長、断片、または一部をコードする。
【0065】
一部の実施形態では、適切なmRNA配列は、ヒトOTCタンパク質をコードするmRNA配列である。天然型ヒトOTCタンパク質のmRNAをコードする配列、およびその対応するアミノ酸配列を表1に示す:
【表1】
【0066】
一部の実施形態では、適切なmRNA配列は、野生型のヒトOTC mRNAの配列である(配列番号1)。一部の実施形態では、適切なmRNAは、コドン最適化されたhOTC配列であってもよい。一部の実施形態では、適切なコドン最適化mRNAは、配列番号5として表1に示されるOTCアミノ酸配列、または配列番号5に対し少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列をコードしてもよい。適切なコドン最適化mRNA配列の例を以下に記載する。
【0067】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号3において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
AUGCUGUUCAACCUUCGGAUCUUGCUGAACAACGCUGCGUUCCGGAAUGGUCACAACUUCAUGGUCCGGAACUUCAGAUGCGGCCAGCCGCUCCAGAACAAGGUGCAGCUCAAGGGGAGGGACCUCCUCACCCUGAAAAACUUCACCGGAGAAGAGAUCAAGUACAUGCUGUGGCUGUCAGCCGACCUCAAAUUCCGGAUCAAGCAGAAGGGCGAAUACCUUCCUUUGCUGCAGGGAAAGUCCCUGGGGAUGAUCUUCGAGAAGCGCAGCACUCGCACUAGACUGUCAACUGAAACCGGCUUCGCGCUGCUGGGAGGACACCCCUGCUUCCUGACCACCCAAGAUAUCCAUCUGGGUGUGAACGAAUCCCUCACCGACACAGCGCGGGUGCUGUCGUCCAUGGCAGACGCGGUCCUCGCCCGCGUGUACAAGCAGUCUGAUCUGGACACUCUGGCCAAGGAAGCCUCCAUUCCUAUCAUUAAUGGAUUGUCCGACCUCUACCAUCCCAUCCAGAUUCUGGCCGAUUAUCUGACUCUGCAAGAACAUUACAGCUCCCUGAAGGGGCUUACCCUUUCGUGGAUCGGCGACGGCAACAACAUUCUGCACAGCAUUAUGAUGAGCGCUGCCAAGUUUGGAAUGCACCUCCAAGCAGCGACCCCGAAGGGAUACGAGCCAGACGCCUCCGUGACGAAGCUGGCUGAGCAGUACGCCAAGGAGAACGGCACUAAGCUGCUGCUCACCAACGACCCUCUCGAAGCCGCCCACGGUGGCAACGUGCUGAUCACCGAUACCUGGAUCUCCAUGGGACAGGAGGAGGAAAAGAAGAAGCGCCUGCAAGCAUUUCAGGGGUACCAGGUGACUAUGAAAACCGCCAAGGUCGCCGCCUCGGACUGGACCUUCUUGCACUGUCUGCCCAGAAAGCCCGAAGAGGUGGACGACGAGGUGUUCUACAGCCCGCGGUCGCUGGUCUUUCCGGAGGCCGAAAACAGGAAGUGGACUAUCAUGGCCGUGAUGGUGUCCCUGCUGACCGAUUACUCCCCGCAGCUGCAGAAACCAAAGUUCUGA(配列番号3)
【0068】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号6において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
AUGCUUUUCAACCUGAGAAUUCUGCUGAACAACGCAGCCUUCCGCAACGGACACAACUUCAUGGUCCGGAACUUCAGAUGCGGACAACCGCUGCAGAACAAGGUCCAGCUCAAGGGUCGGGACCUGUUGACUCUUAAGAAUUUCACCGGAGAAGAAAUCAAGUACAUGCUGUGGCUGUCCGCCGACCUGAAGUUUCGCAUCAAGCAGAAGGGGGAGUACCUCCCCCUGCUGCAAGGAAAGUCCCUGGGAAUGAUUUUCGAGAAGCGCUCCACCCGCACUAGACUUUCCACCGAAACCGGCUUCGCUCUGCUGGGCGGACAUCCUUGCUUUCUGACGACUCAGGACAUCCACCUCGGAGUGAACGAAUCCCUCACCGAUACCGCCAGGGUGCUGAGCAGCAUGGCCGACGCUGUGCUGGCUCGGGUGUACAAGCAGUCCGACCUCGACACCCUGGCCAAGGAAGCCUCGAUCCCUAUCAUCAAUGGCCUGUCAGACCUGUACCACCCAAUCCAGAUUCUGGCCGACUACCUGACUCUCCAAGAGCACUACAGCAGCCUCAAGGGGCUCACAUUGUCCUGGAUCGGCGACGGCAACAACAUCCUUCACUCCAUUAUGAUGUCGGCCGCCAAAUUCGGGAUGCAUCUGCAGGCAGCCACCCCUAAGGGAUACGAGCCCGAUGCCUCCGUGACCAAGCUCGCCGAACAGUAUGCGAAGGAGAACGGCACCAAGCUCCUGCUCACUAACGAUCCGUUGGAAGCUGCCCACGGCGGAAACGUGCUGAUUACCGACACCUGGAUCAGCAUGGGGCAGGAAGAAGAGAAGAAGAAGCGGCUGCAGGCGUUUCAGGGUUACCAAGUCACCAUGAAAACUGCCAAAGUCGCGGCAUCCGACUGGACUUUCCUGCACUGUCUGCCGAGGAAACCAGAGGAAGUGGAUGACGAAGUGUUCUACUCACCCCGGUCGCUGGUGUUCCCGGAAGCGGAGAACCGGAAGUGGACCAUCAUGGCCGUGAUGGUGUCGCUGCUCACCGAUUACUCUCCGCAACUGCAGAAGCCCAAGUUCUGA(配列番号6)
【0069】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号7において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
AUGCUGUUUAACCUGAGAAUUCUGCUGAACAACGCCGCGUUCAGGAACGGCCACAAUUUCAUGGUCCGCAACUUUAGAUGCGGACAGCCUCUCCAAAACAAGGUCCAGCUCAAGGGGCGGGACUUGCUGACCCUUAAGAACUUUACCGGCGAAGAGAUCAAGUACAUGCUGUGGUUGUCAGCGGACCUGAAGUUCCGCAUCAAGCAGAAAGGGGAGUAUCUGCCGCUGCUCCAAGGAAAGUCGCUCGGCAUGAUCUUCGAGAAGCGCUCGACCAGAACCCGGCUGUCCACUGAAACUGGUUUCGCCCUUCUGGGUGGACACCCUUGUUUCCUGACAACCCAGGACAUCCAUCUGGGCGUGAACGAAAGCCUCACUGACACCGCCAGGGUGCUGAGCUCCAUGGCCGACGCUGUCCUUGCCCGGGUGUACAAGCAGUCCGAUCUGGACACUCUGGCCAAGGAAGCGUCCAUCCCGAUCAUUAACGGACUGUCCGACCUGUACCACCCGAUCCAGAUUCUGGCCGACUACCUGACCUUGCAAGAGCACUACAGCUCACUGAAGGGCUUGACCCUGAGCUGGAUCGGCGACGGAAACAACAUUCUGCAUUCGAUCAUGAUGUCCGCGGCCAAGUUCGGAAUGCAUCUGCAGGCCGCAACUCCCAAGGGAUACGAACCUGAUGCGUCCGUGACUAAGCUGGCCGAGCAGUACGCAAAGGAAAACGGCACCAAGCUGCUGCUGACCAACGACCCGCUCGAAGCUGCCCACGGAGGGAACGUGCUCAUUACCGACACUUGGAUCUCCAUGGGGCAGGAAGAAGAGAAGAAGAAGCGGCUCCAGGCAUUCCAGGGUUACCAGGUCACCAUGAAAACGGCCAAAGUGGCCGCUUCGGAUUGGACUUUCCUCCACUGCCUUCCCCGCAAACCUGAGGAAGUGGAUGAUGAAGUGUUCUACUCCCCACGCUCCCUCGUGUUCCCCGAGGCCGAGAAUCGGAAGUGGACCAUUAUGGCCGUGAUGGUGUCACUGCUGACCGACUACAGCCCCCAACUGCAAAAGCCGAAGUUCUGA(配列番号7)
【0070】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号8において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
AUGCUGUUCAACCUCCGGAUCCUCCUCAACAACGCCGCGUUCCGCAACGGCCACAACUUCAUGGUCCGGAAUUUCCGAUGCGGACAGCCACUGCAGAACAAGGUCCAGCUGAAGGGCCGGGACUUGCUGACUCUCAAGAACUUUACCGGGGAAGAAAUCAAGUACAUGCUGUGGCUUUCCGCCGACCUGAAGUUCAGAAUCAAGCAGAAGGGCGAAUAUCUCCCCCUGCUGCAAGGAAAGAGCCUGGGCAUGAUUUUCGAGAAGAGAUCGACACGCACCCGGCUGUCCACCGAGACUGGGUUUGCCCUGCUGGGAGGACACCCGUGUUUCCUGACCACCCAAGAUAUCCAUCUCGGAGUGAACGAAUCCCUUACUGACACUGCCCGCGUGUUGUCCUCCAUGGCUGAUGCAGUGCUCGCUCGGGUGUACAAGCAGAGCGACCUGGACACUCUGGCGAAGGAAGCCUCAAUUCCUAUCAUUAACGGGCUGUCGGACCUGUACCACCCGAUCCAGAUUCUGGCCGACUACCUGACCCUGCAAGAACACUACUCAAGCCUGAAGGGUCUUACCCUGUCCUGGAUCGGCGACGGCAACAACAUCCUGCACUCCAUCAUGAUGUCGGCCGCGAAGUUCGGAAUGCACCUCCAAGCAGCGACUCCGAAGGGUUACGAGCCAGAUGCCUCCGUGACCAAGCUGGCGGAGCAGUACGCUAAGGAAAACGGAACCAAGCUGCUGCUCACUAACGACCCGUUGGAAGCCGCCCAUGGUGGAAAUGUGCUGAUCACGGAUACCUGGAUCAGCAUGGGCCAGGAGGAAGAGAAGAAGAAAAGGCUCCAGGCCUUCCAAGGGUACCAGGUCACCAUGAAAACCGCCAAAGUCGCCGCAUCCGAUUGGACCUUCCUCCACUGCCUGCCUCGGAAGCCUGAAGAGGUCGACGACGAAGUGUUCUACUCUCCCCGCUCCCUUGUGUUCCCCGAGGCCGAGAACAGGAAGUGGACCAUUAUGGCCGUGAUGGUGUCGCUCCUGACCGACUACAGCCCGCAGCUGCAGAAGCCCAAGUUCUGA(配列番号8)
【0071】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号9において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
AUGCUGUUCAAUCUUCGGAUCCUGCUGAACAACGCCGCCUUUCGGAACGGGCACAACUUCAUGGUCCGCAACUUCCGCUGUGGACAGCCGCUGCAGAACAAGGUCCAGCUUAAGGGCCGGGAUCUCCUGACCCUGAAGAACUUUACCGGAGAAGAAAUCAAGUACAUGCUCUGGCUGAGCGCCGACCUCAAGUUCCGGAUUAAGCAGAAGGGGGAGUACCUCCCGCUGCUUCAAGGAAAGUCCCUGGGGAUGAUCUUCGAGAAGCGGAGCACUAGGACCAGGCUGUCGACCGAAACGGGCUUUGCACUGCUGGGUGGACACCCAUGCUUCCUGACCACCCAAGAUAUUCAUCUCGGCGUGAACGAAUCCUUGACUGACACUGCGCGCGUCCUCUCAUCGAUGGCUGAUGCCGUGUUGGCUAGAGUGUACAAGCAGUCAGACCUGGACACUCUGGCUAAGGAAGCCUCCAUUCCGAUCAUCAACGGCCUGUCCGACCUGUACCACCCGAUUCAGAUUCUGGCCGACUACCUGACCCUGCAAGAGCACUAUUCGAGCCUUAAAGGGUUGACCCUGUCCUGGAUCGGCGACGGAAACAAUAUCUUGCACUCCAUUAUGAUGUCCGCCGCCAAGUUCGGCAUGCAUCUCCAAGCCGCGACUCCUAAGGGUUACGAGCCCGACGCAUCCGUGACAAAACUGGCCGAGCAGUACGCGAAGGAAAACGGUACCAAGCUCCUGCUGACCAAUGAUCCUCUCGAGGCUGCGCACGGAGGAAACGUGCUCAUCACCGACACCUGGAUCAGCAUGGGACAGGAAGAGGAAAAGAAAAAGCGCCUGCAGGCAUUCCAGGGCUACCAAGUCACUAUGAAAACCGCCAAAGUGGCCGCCUCGGAUUGGACCUUCCUUCACUGCCUGCCAAGAAAGCCUGAGGAAGUGGACGACGAAGUGUUCUACUCCCCCCGCUCUCUCGUGUUCCCCGAGGCCGAGAACCGGAAGUGGACCAUCAUGGCCGUGAUGGUGUCACUGCUCACUGACUACAGCCCGCAGCUGCAGAAGCCCAAGUUCUAA(配列番号9)
【0072】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、配列番号10において示されるようなコドン最適化された配列であってもよい。
AUGCUGUUCAACCUCCGGAUUCUGCUGAACAACGCCGCUUUCCGCAACGGCCACAAUUUCAUGGUCCGGAACUUCAGAUGCGGCCAGCCGUUGCAGAACAAGGUCCAGCUUAAGGGACGCGAUCUGCUGACCCUGAAGAACUUCACCGGAGAGGAAAUCAAGUAUAUGCUGUGGCUCUCGGCCGACCUGAAGUUCAGGAUCAAGCAGAAGGGGGAGUACCUCCCGCUGUUGCAAGGAAAGUCCCUGGGCAUGAUUUUCGAGAAGCGCUCAACUCGCACCAGGCUCUCCACCGAAACUGGUUUUGCCCUUCUGGGCGGUCAUCCUUGCUUUCUGACGACCCAGGACAUUCACCUCGGAGUGAAUGAGAGCCUGACCGACACUGCCAGAGUGCUGUCCUCCAUGGCGGAUGCAGUGUUGGCGCGGGUGUACAAGCAGUCAGACCUGGACACCCUGGCGAAGGAAGCGUCAAUCCCCAUCAUUAACGGACUGAGCGACCUGUACCACCCGAUCCAGAUCCUCGCCGACUACCUGACUCUCCAAGAACACUACUCGUCCCUGAAAGGGCUGACCUUGAGCUGGAUCGGCGACGGCAACAACAUCCUGCAUUCCAUCAUGAUGAGCGCCGCCAAGUUCGGAAUGCACCUUCAAGCCGCAACACCGAAGGGCUACGAGCCGGAUGCCUCGGUGACCAAGCUGGCCGAGCAGUACGCCAAGGAAAACGGGACCAAGCUGCUGCUCACUAACGACCCUCUGGAAGCUGCUCACGGGGGAAACGUGCUGAUCACCGACACCUGGAUUUCCAUGGGACAGGAAGAAGAGAAAAAGAAGCGGCUUCAGGCGUUCCAGGGUUACCAAGUCACCAUGAAAACCGCCAAAGUGGCAGCCAGCGACUGGACUUUCCUGCAUUGUCUCCCUCGGAAGCCUGAGGAAGUGGAUGACGAAGUGUUUUACUCUCCCCGCUCCCUGGUGUUCCCCGAGGCCGAGAACCGGAAGUGGACUAUCAUGGCCGUGAUGGUGUCCCUCCUGACCGAUUACUCCCCACAACUGCAGAAGCCCAAGUUCUGA(配列番号10)
【0073】
追加のmRNA配列の例を、たとえば配列番号4、配列番号14、および配列番号15など、以下の実施例の項に記載する。それらすべて、コドン最適化OTCをコードするmRNAのフレームを構成する5’および3’の非翻訳領域を含む。
【0074】
一部の実施形態では、適切なmRNA配列は、ヒトOTCタンパク質のホモログまたは類似体のmRNA配列であってもよい。たとえばヒトOTCタンパク質のホモログまたは類似体は、実質的にOTCタンパク質の活性を保持しながら、野生型または天然型のヒトOTCタンパク質と比較して1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、および/または挿入を含む修飾ヒトOTCタンパク質であってもよい。一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、配列番号5に対し少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上相同であるアミノ酸配列をコードする。一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、ヒトOTCタンパク質と実質的に同一であるタンパク質をコードする。一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、配列番号5に対し少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列をコードする。一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、ヒトOTCタンパク質の断片または一部をコードする。一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、ヒトOTCタンパク質の断片または一部をコードし、この場合において当該タンパク質の断片または一部は、野生型タンパク質と類似したOTC活性をいまだ維持している。一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号14または配列番号15に対し少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるヌクレオチド配列を有する。
【0075】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、別のタンパク質に融合した(たとえばN末端またはC末端融合)OTCタンパク質の全長、断片、または一部を含む融合タンパク質をコードする。一部の実施形態では、OTCタンパク質の全長、断片、または一部をコードするmRNAに融合したタンパク質は、シグナル配列または細胞標的化配列をコードする。
【0076】
送達ビヒクル
本発明によると、本明細書に記載されるOTCタンパク質(たとえば、OTCタンパク質の全長、断片、または一部)をコードするmRNAは、裸のRNA(パッケージされていない)として送達されてもよく、または送達ビヒクルを介して送達されてもよい。本明細書で使用される場合、「送達ビヒクル」、「移入ビヒクル」、「ナノ粒子」という用語、または文法的均等物は、互換的に使用される。
【0077】
一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、単一の送達ビヒクルを介して送達されてもよい。一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAは、各々異なる組成の1つ以上の送達ビヒクルを介して送達されてもよい。様々な実施形態によると、好適な送達ビヒクルとして、以下に限定されないが、ポリエチレンイミン(PEI)、脂質ナノ粒子、及びリポソームなどのポリマー系担体、ナノリポソーム、セラミド含有ナノリポソーム、プロテオリポソーム、天然及び合成由来のエキソソーム、天然層状体、合成層状体、及び半合成層状体、ナノ粒子、カルシウムリン−ケイ酸塩ナノ粒子、リン酸カルシウムナノ粒子、二酸化ケイ素ナノ粒子、微結晶微粒子、半導体ナノ粒子、ポリ(D−アルギニン)、ゾルゲル、ナノデンドリマー、デンプンベース送達系、ミセル、エマルジョン、ニオソーム、多ドメインブロックポリマー(ビニルポリマー、ポリプロピルアクリル酸ポリマー、動的多抱合体)、乾燥粉末製剤、プラスミド、ウイルス、リン酸カルシウムヌクレオチド、アプタマー、ペプチド、ならびに他の指向性タグが挙げられる。
【0078】
リポソーム送達ビヒクル
一部の実施形態では、好適な送達ビヒクルは、リポソーム送達ビヒクルであり、例えば、脂質ナノ粒子である。本明細書で使用される場合、リポソーム送達ビヒクル、例えば、脂質ナノ粒子は、通常、1つ以上の二分子層の膜によって外部媒体から隔離された内部水空間を有する微細小胞として特徴付けられる。リポソームの二分子膜は、典型的には、空間的に離れた親水性ドメインと疎水性ドメインとを含む合成起源または天然起源の脂質などの両親媒性分子によって形成されている(Lasic,Trends Biotechnol.,16:307−321,1998)。リポソームの二分子膜は、両親媒性ポリマー及び界面活性剤(例えば、ポリメロソーム(polymerosome)、ニオソームなど)によっても形成され得る。本発明の背景において、リポソーム送達ビヒクルは多くの場合、所望のmRNAを標的の細胞または組織に輸送する役割を果たす。
【0079】
カチオン性脂質
一部の実施形態では、リポソームは、1つ以上のカチオン性脂質を含み得る。本明細書で使用される場合、語句「カチオン性脂質」は、生理学的pHなどの選択されたpHで正味の正電荷を有する多数の脂質種のいずれかを指す。いくつかのカチオン性脂質は文献に記載されており、その多くは市販されている。本発明の組成物及び方法に使用するのに特に好適なカチオン性脂質は、国際特許公開第WO2010/053572号(具体的には、段落[00225]に記載されているCI 2−200)及び同第WO2012/170930号に記載されているものを含み、その両方の文献は、参照により本明細書に援用される。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、例えば、(15Z,18Z)−N,N−ジメチル−6−(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−l−イル)テトラコサ−15,18−ジエン−1−アミン(HGT5000)、(15Z,18Z)−N,N−ジメチル−6−((9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イル)テトラコサ−4,15,18−トリエン−l−アミン(HGT5001)、及び(15Z,18Z)−N,N−ジメチル−6−((9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イル)テトラコサ−5,15,18−トリエン−1−アミン(HGT5002)など、2012年3月29日に出願された米国仮特許出願第61/617,468号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたイオン化可能なカチオン性脂質を含む脂質ナノ粒子を用いている。
【0080】
一部の実施形態では、提供されるリポソームは、2012年10月26日に出願されたWO2013/063468において、および2014年3月14日に出願された米国仮特許出願第61/953,516号において記載されるカチオン性脂質を含む。それら両方とも本明細書に参照により組み込まれる。
【0081】
一部の実施形態では、カチオン性脂質は、以下の式I−c1−aの化合物:
【化1】

またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、
各Rは独立して水素またはC1−3アルキルであり;
各qは独立して2〜6であり;
各R’は独立して水素またはC1−3アルキルであり;
各Rは独立してC8−12アルキルである。
【0082】
一部の実施形態では、各Rは独立して水素、メチル、またはエチルである。一部の実施形態では、各Rは独立して水素またはメチルである。一部の実施形態では、各Rは水素である。
【0083】
一部の実施形態では、各qは独立して3〜6である。一部の実施形態では、各qは独立して3〜5である。一部の実施形態では、各qは4である。
【0084】
一部の実施形態では、各R’は独立して水素、メチル、またはエチルである。一部の実施形態では、各R’は独立して水素またはメチルである。一部の実施形態では、各R’は独立して水素である。
【0085】
一部の実施形態では、各Rは独立してC8−12アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してn−C8−12アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してC9−11アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してn−C9−11アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してC10アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してn−C10アルキルである。
【0086】
一部の実施形態では、各Rは独立して水素またはメチルであり、各qは独立して3〜5であり、各R’は独立して水素またはメチルであり、各Rは独立してC8−12アルキルである。
【0087】
一部の実施形態では、各Rは水素であり、各qは独立して3〜5であり、各R’は水素であり、各Rは独立してC8−12アルキルである。
【0088】
一部の実施形態では、各Rは水素であり、各qは4であり、各R’は水素であり、各Rは独立してC8−12アルキルである。
【0089】
一部の実施形態では、カチオン性脂質は、以下の式I−gの化合物:
【化2】

またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、各Rは独立してC8−12アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してn−C8−12アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してC9−11アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してn−C9−11アルキルである。一部の実施形態では、各Rは独立してC10アルキルである。一部の実施形態では、各Rはn−C10アルキルである。
【0090】
特定の実施形態では、提供されるリポソームは、カチオン性脂質cKK−E12または(3,6−ビス(4−(ビス(2−ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)ピペラジン−2,5−ジオン)を含む。cKK−E12の構造を以下に示す:
【化3】
【0091】
カチオン性脂質のさらなる例として、式Iのカチオン性脂質と、
【化4】

その薬学的に許容される塩とが挙げられ、
式中、
Rは
【化5】

(「OF−00」)であるか、
Rは
【化6】

(「OF−01」)であるか、
Rは
【化7】

(「OF−02」)であるか、または
Rは
【化8】

(「OF−03」)である
(例えば、Fenton,Owen S.,et al.”Bioinspired Alkenyl Amino Alcohol Ionizable Lipid Materials for Highly Potent In Vivo mRNA Delivery.” Advanced materials(2016)を参照のこと)。
【0092】
一部の実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質はN−[l−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、すなわち「DOTMA」であってもよい(Feigner et al.(Proc.Nat’l Acad.Sci.84,7413(1987);米国特許第4,897,355号)。DOTMAは、単独で製剤化され得るか、あるいは中性脂肪、ジオレオイルホスファチジル−エタノールアミンすなわち「DOPE」、または他のカチオン性脂質もしくは非カチオン性脂質と混合して、リポソーム移入ビヒクルまたは脂質ナノ粒子にすることができ、こうしたポソームは、核酸の標的細胞内への送達を強化するために使用することができる。他の好適なカチオン性脂質として、例えば、5−カルボキシスペルミルグリジンジオクタデシルアミド(carboxyspermylglycinedioctadecylamide)すなわち「DOGS」、2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミン−カルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−l−プロパンアミニウムすなわち「DOSPA」(Behr et al.Proc.Nat.’l Acad.Sci.86,6982(1989);米国特許第5,171,678号、米国特許第5,334,761号)、l,2−ジオレオイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパンすなわち「DODAP」、l,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパンすなわち「DOTAP」が挙げられる。
【0093】
さらなる例示的なカチオン性脂質として、l,2−ジステアリルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパンすなわち「DSDMA」、1,2−ジオレイルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパンすなわち「DODMA」、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパンすなわち「DLinDMA」、l,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパンすなわち「DLenDMA」、N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリドすなわち「DODAC」、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミドすなわち「DDAB」、N−(l,2−ジミリスチルオキシプロプ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミドすなわち「DMRIE」、3−ジメチルアミノ−2−(コレスト−5−エン−3−ベータ−オキシブタン−4−オキシ)−l−(シス,シス−9,12−オクタデカジエノキシ)プロパンすなわち「CLinDMA」、2−(5’−(コレスト−5−エン−3−ベータ−オキシ)−3’−オキサペントキシ)−3−ジメチル−l−(シス,シス−9’,l−2’−オクタデカジエノキシ)プロパンすなわち「CpLinDMA」、N,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミンすなわち「DMOBA」、1,2−N,N’−ジオレイルカルミバル−3−ジメチルアミノプロパンすなわち「DOcarbDAP」、2,3−ジリノレオイルオキシ−N,N−ジメチルプロピルアミンすなわち「DLinDAP」、l,2−N,N’−ジリノレイルカルミバル−3−ジメチルアミノプロパンすなわち「DLincarbDAP」、l,2−ジリノレオイルカルミバル−3−ジメチルアミノプロパンすなわち「DLinCDAP」、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[l,3]−ジオキソランすなわち「DLin− −DMA」、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[l,3]−ジオキソランすなわち「DLin−K−XTC2−DMA」、及び2−(2,2−ジ((9Z,12Z)−オクタデカ−9,l 2−ジエン−1−イル)−l,3−ジオキソラン−4−イル)−N,N−ジメチルエタンアミン(DLin−KC2−DMA))(国際公開第WO2010/042877号;Semple et al.,Nature Biotech.28:172−176(2010)を参照のこと)、またはこれらの混合物が挙げられる。(Heyes,J.,et al.,J Controlled Release 107:276−287(2005);Morrissey,DV.,et al.,Nat.Biotechnol.23(8):1003−1007(2005);PCT公開第WO2005/121348A1号)。一部の実施形態では、カチオン性脂質のうちの1つ以上は、イミダゾール部分、ジアルキルアミノ部分、またはグアニジウム部分のうちの少なくとも1つを含む。
【0094】
一部の実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、XTC(2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン)、MC3(((6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル 4−(ジメチルアミノ)ブタノエート)、ALNY−100((3aR,5s,6aS)−N,N−ジメチル−2,2−ジ((9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエニル)テトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−5−アミン))、NC98−5(4,7,13−トリス(3−オキソ−3−(ウンデシルアミノ)プロピル)−N1,N16−ジウンデシル−4,7,10,13−テトラアザへキサデカン−1,16−ジアミド)、DODAP(1,2−ジオレイル−3−ジメチルアンモニウムプロパン)、HGT4003(国際公開第WO2012/170889号、その教示は、その全体が参照により本明細書に援用される)、ICE(国際公開第WO2011/068810号、その教示は、その全体が参照により本明細書に援用される)、HGT5000(米国仮特許出願第61/617,468号、その教示は、その全体が参照により本明細書に援用される)またはHGT5001(シスまたはトランス)(仮特許出願第61/617,468号)、国際公開第WO2010/053572号に開示されるリピドイド(lipidoid)などのアミノアルコールリピドイド、DOTAP(1,2−ジオレイル−3−トリメチルアンモニウムプロパン)、DOTMA(1,2−ジ−O−オクタデセニル−3−トリメチルアンモニウムプロパン)、DLinDMA(Heyes,J.;Palmer,L.;Bremner,K.;MacLachlan,I.“Cationic lipid saturation influences intracellular delivery of encapsulated nucleic acids”J.Contr.Rel.2005,107,276−287)、DLin−KC2−DMA(Semple,S.C.et al.“Rational Design of Cationic Lipids for siRNA Delivery”Nature Biotech.2010,28,172−176)、C12−200(Love,K.T.et al.“Lipid−like materials for low−dose in vivo gene silencing”PNAS 2010,107,1864−1869)から選択され得る。
【0095】
一部の実施形態では、リポソーム中のカチオン性脂質の割合は、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、または70%超であり得る。一部の実施形態では、カチオン性脂質は、リポソームの約30〜50重量%(例えば、約30〜45重量%、約30〜40重量%、約35〜50重量%、約35〜45重量%、または約35〜40重量%)を構成する。一部の実施形態では、カチオン性脂質(例えば、cKK−E12)は、モル比でリポソームの約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%を構成する。
【0096】
非カチオン性/ヘルパー脂質
一部の実施形態では、提供されたリポソームは、1つ以上の非カチオン性(「ヘルパー」)脂質を含む。本明細書で使用される場合、語句「非カチオン性脂質」は、任意の中性脂質、双性イオン脂質、またはアニオン性脂質を意味する。本明細書で使用される場合、語句「アニオン性脂質」は、生理学的pHなどの選択されたHで正味の負電荷を保有する多数の脂質種のいずれかを指す。非カチオン性脂質として、以下に限定されないが、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−l−カルボキシレート(DOPE−mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル−ホスファチジル−エタノールアミン(DSPE)、16−O−モノメチルPE、16−O−ジメチルPE、18−1−トランスPE、l−ステアロイル−2−オレオイル−ホスファチジエタノールアミン(SOPE)、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0097】
一部の実施形態では、こうした非カチオン性脂質は、単独で使用され得るが、好ましくは他の賦形剤、例えば、カチオン性脂質と組み合わせて使用される。一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、リポソームに存在する総脂質の約5%〜約90%、または約10%〜約70%のモル割合を含み得る。一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、中性脂質、すなわち、組成物が製剤化及び/または投与される条件下で正味の電荷を保有しない脂質である。一部の実施形態では、リポソーム中の非カチオン性脂質の割合は、5%超、10%超、20%超、30%超、または40%超であり得る。
【0098】
コレステロール系脂質
一部の実施形態では、提供されるリポソームは、1つ以上のコレステロール系脂質を含む。例として、好適なコレステロール系カチオン性脂質として、例えば、DC−Choi(N,N−ジメチル−N−エチルカルボキサミドコレステロール)、l,4−ビス(3−N−オレイルアミノ−プロピル)ピペラジン(Gao,et al.Biochem.Biophys.Res.Comm.179,280(1991);Wolf et al.BioTechniques 23,139(1997);米国特許第5,744,335号)、またはICEが挙げられる。一部の実施形態では、コレステロール系脂質は、リポソームに存在する総脂質の約2%〜約30%、または約5%〜約20%のモル割合を含み得る。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子中のコレステロール系脂質の割合は、5%超、10%超、20%超、30%超、または40%超であり得る。
【0099】
PEG化脂質
一部の実施形態では、提供されるリポソームは1つ以上のPEG化脂質を含む。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)修飾リン脂質と、N−オクタノイル−スフィンゴシン−l−[スクシニル(メトキシポリエチレングリコール)−2000](C8 PEG−2000セラミド)を含めた誘導体化されたセラミド(PEG−CER)などの誘導体化脂質とを、カチオン性脂質のうちの1つ以上と共に、一部の実施形態ではリポソームを含む他の脂質と共に、組み合わせて使用することも、本発明により企図される。企図されるPEG修飾脂質は、長さがC−C20のアルキル鎖を有する脂質に共有結合された長さ最大5kDaのポリエチレングリコール鎖を含むが、これに限定されない。一部の実施形態では、PEG修飾またはPEG化脂質は、PEG化コレステロールまたはPEG−2Kである。こうした成分の付加は、複合体の凝集を阻止することができ、また循環寿命を増加させ、脂質−核酸組成物の標的細胞への送達を増加させるための手段を提供することができる(Klibanov et al.(1990)FEBS Letters,268(1):235−237)。あるいは、これらの成分はin vivoで製剤の外へと速やかに交換されるように選択され得る(米国特許第5,885,613号を参照のこと)。
【0100】
一部の実施形態では、特定の有用な交換可能な脂質は、より短いアシル鎖(例えば、C14またはC18)を有するPEGセラミドである。本発明のPEG修飾リン脂質及び誘導体化された脂質は、リポソームに存在する総脂質の約0%〜約15%、約0.5%〜約15%、約1%〜約15%、約4%〜約10%、または約2%のモル割合を含み得る。
【0101】
様々な実施形態によると、脂質ナノ粒子を含む、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、及び/またはPEG修飾脂質の選択、ならびにこれらの脂質の相互の相対モル割合の選択は、選択される脂質の特徴、目的の標的細胞の性質、送達されるmRNAの特徴に基づいて行われる。さらなる考慮すべき事項には、例えば、選択される脂質のアルキル鎖の飽和度、ならびに大きさ、電荷、pH、pKa、融合性、及び毒性が含まれる。したがって、モル割合はそれらに応じて調節され得る。
【0102】
ポリマー
一部の実施形態では、好適な送達ビヒクルは、担体としてポリマーを使用して、単独でまたは本明細書に記載される様々な脂質を含む他の担体と組み合わせて製剤化される。したがって、一部の実施形態では、本明細書で使用されるリポソーム送達ビヒクルは、ナノ粒子を含むポリマーも包含する。好適なポリマーとして、例えば、ポリアクリレート類、ポリアルキシアノアクリレート類、ポリラクチド、ポリラクチド−ポリグリコリドコポリマー類、ポリカプロラクトン類、デキストラン、アルブミン、ゼラチン、アルギネート、コラーゲン、キトサン、シクロデキストリン類、プロタミン、PEG化プロタミン、PLL、PEG化PLL、及びポリエチレンイミン(PEI)が挙げられ得る。PEIを含む場合、PEIは10〜40kDaの範囲の分子量を持つ分枝状PEI、例えば、25kDaの分枝状PEI(Sigma #408727)であり得る。
【0103】
本発明に好適なリポソームは、本明細書に記載のカチオン性脂質、非カチオン性脂質、コレステロール脂質、PEG化脂質、及び/またはポリマーのいずれかのうちの1つ以上を様々な割合で含み得る。非限定的な例として、好適なリポソーム製剤は、cKK−E12、DOPE、コレステロール、及びDMG−PEG2K;C12−200、DOPE、コレステロール、及びDMG−PEG2K;HGT4003、DOPE、コレステロール、及びDMG−PEG2K;またはICE、DOPE、コレステロール、及びDMG−PEG2Kから選択されるある組み合わせを含み得る。
【0104】
種々の実施形態では、カチオン性脂質(例えば、cKK−E12、C12−200、ICE、及び/またはHGT4003)は、モル割合でリポソームの約30〜60%(例えば、約30〜55%、約30〜50%、約30〜45%、約30〜40%、約35〜50%、約35〜45%、または約35〜40%)を構成する。一部の実施形態では、カチオン性脂質(例えば、cKK−E12、C12−200、ICE、及び/またはHGT4003)の割合は、モル割合でリポソームの約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、または約60%以上である。
【0105】
一部の実施形態では、カチオン性脂質:非カチオン性脂質:コレステロール系脂質:PEG化脂質の比は、それぞれ約30〜60:25〜35:20〜30:1〜15であり得る。一部の実施形態では、カチオン性脂質:非カチオン性脂質:コレステロール系脂質:PEG化脂質の比は、それぞれおよそ40:30:20:10である。一部の実施形態では、カチオン性脂質:非カチオン性脂質:コレステロール系脂質:PEG化脂質の比は、それぞれおよそ40:30:25:5である。一部の実施形態では、カチオン性脂質:非カチオン性脂質:コレステロール系脂質:PEG化脂質の比は、それぞれおよそ40:32:25:3である。一部の実施形態では、カチオン性脂質:非カチオン性脂質:コレステロール系脂質:PEG化脂質の比は、およそ50:25:20:5である。
【0106】
mRNAの合成
本発明に従うmRNAは、公知の様々な方法のいずれかに従い合成することができる。たとえば本発明に従うmRNAは、in vitro転写(IVT)を介して合成することができる。簡潔に述べると、IVTは多くの場合、プロモーターを含む直線状または環状のDNA鋳型、一群のリボヌクレオチド三リン酸、DTTおよびマグネシウムイオンを含み得る緩衝系、ならびに適切なRNAポリメラーゼ(たとえば、T3、T7、またはSP6RNAポリメラーゼ)、DNAseI、ピロホスファターゼ、ならびに/またはRNAse阻害剤を用いて行われる。厳密な条件は具体的なアプリケーションに従い変化するであろう。
【0107】
一部の実施形態では、本発明に従うmRNAの調製のために、in vitroでDNA鋳型が転写される。適切なDNA鋳型は多くの場合、in vitro転写用のたとえばT3、T7、またはSP6プロモーターなどのプロモーターを有し、その後ろに所望のmRNAに対する所望のヌクレオチド配列と終結シグナルを有する。
【0108】
修飾mRNA
一部の実施形態では、本発明に従うmRNAは、未修飾mRNAまたは修飾mRNAとして合成することができる。多くの場合、mRNAは、安定性を強化するために修飾される。mRNAの修飾は、たとえばRNAのヌクレオチドの修飾を含み得る。したがって、本発明に従う修飾mRNAは、たとえば骨格修飾、糖修飾、または塩基修飾を含み得る。一部の実施形態では、mRNAは、限定されないが、プリン類(アデニン(A)、グアニン(G))またはピリミジン類(チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U))をはじめとする天然ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類似体(修飾ヌクレオチド)から合成されてもよく、ならびにたとえば1−メチルアデニン、2−メチルアデニン、2−メチルチオ−N−6−イソペンテニル−アデニン、N6−メチル−アデニン、N6−イソペンテニル−アデニン、2−チオ−シトシン、3−メチル−シトシン、4−アセチル−シトシン、5−メチル−シトシン、2,6−ジアミノプリン、1−メチル−グアニン、2−メチル−グアニン、2,2−ジメチル−グアニン、7−メチル−グアニン、イノシン、1−メチル−イノシン、シュードウラシル(pseudouracil)(5−ウラシル)、ジヒドロ−ウラシル、2−チオ−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオ−ウラシル、5−(カルボキシヒドロキシメチル)−ウラシル、5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−ウラシル、5−メチル−2−チオ−ウラシル、5−メチル−ウラシル、N−ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、5−メチルアミノメチル−ウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオ−ウラシル、5’−メトキシカルボニルメチル−ウラシル、5−メトキシ−ウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、1−メチルシュードウラシル、キューオシン、ベータ−D−マンノシル−キューオシン、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、ならびにホスホロアミデート、ホスホロチオエート、ペプチドヌクレオチド、メチルホスホネート、7−デアザグアノシン、5−メチルシトシンおよびイノシンなどのプリン類ならびにピリミジン類の修飾ヌクレオチド類似体または誘導体として合成されてもよい。こうした類似体の調製は、米国特許第4,373,071号、同第4,401,796号、同第4,415,732号、同第4,458,066号、同第4,500,707号、同第4,668,777号、同第4,973,679号、同第5,047,524号、同第5,132,418号、同第5,153,319号、同第5,262,530号、及び同第5,700,642号から当業者に既知であり、これらの文献の開示はその全体が参照によって援用される。
【0109】
一部の実施形態では、mRNA(たとえばOTCをコードするmRNA)は、RNA骨格修飾を含んでもよい。典型的には、骨格修飾は、RNAに含まれるヌクレオチドの骨格のリン酸塩が化学的に修飾される修飾である。例示的な骨格修飾として、典型的には、以下に限定されないが、メチルホスホネート、メチルホスホルアミデート、ホスホルアミデート、ホスホロチオエート(例えば、シチジン5’−O−(1−チオフォスフェート))、ボラノリン酸塩、正荷電グアニジウム基などからなる群由来の修飾が挙げられ、これは、ホスホジエステル結合を他のアニオン基、カチオン基、または中性基で置き換えることに基づくことを意味する。
【0110】
一部の実施形態では、mRNA(たとえばOTCをコードするmRNA)は、糖修飾を含んでもよい。典型的な糖修飾は、mRNAが有するヌクレオチドの糖の化学修飾であり、糖修飾として、以下に限定されないが、2’−デオキシ−2’−フルオロ−オリゴリボヌクレオチド(2’−フルオロ−2’−デオキシシチジン5’−三リン酸、2’−フルオロ−2’−デオキシウリジン5’−三リン酸)、2’−デオキシ−2’−デアミン−オリゴリボヌクレオチド(2’−アミノ−2’−デオキシシチジン5’−三リン酸、2’−アミノ−2’−デオキシウリジン5’−三リン酸)、2’−O−アルキルオリゴリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−C−アルキルオリゴリボヌクレオチド(2’−O−メチルシチジン5’−三リン酸、2’−メチルウリジン5’−三リン酸)、2’−C−アルキルオリゴリボヌクレオチド、及びこれらの異性体(2’−アラシチジン5’−三リン酸、2’−アラウリジン5’−三リン酸)、またはアジド三リン酸(2’−アジド−2’−デオキシシチジン5’−三リン酸、2’−アジド−2’−デオキシウリジン5’−三リン酸)からなる群から選択される糖修飾が挙げられる。
【0111】
一部の実施形態では、mRNA(たとえば、OTCをコードするmRNA)は、ヌクレオチドの塩基の修飾(塩基修飾)を含んでもよい。塩基修飾を含む修飾されたヌクレオチドは、塩基修飾ヌクレオチドとも称される。こうした塩基修飾ヌクレオチドの例として、以下に限定されないが、2−アミノ−6−クロロプリンリボシド5’−三リン酸、2−アミノアデノシン5’−三リン酸、2−チオシチジン5’−三リン酸、2−チオウリジン5’−三リン酸、4−チオウリジン5’−三リン酸、5−アミノアリルシチジン5’−三リン酸、5−アミノアリルウリジン5’−三リン酸、5−ブロモシチジン5’−三リン酸、5−ブロモウリジン5’−三リン酸、5−ヨードシチジン5’−三リン酸、5−ヨードウリジン5’−三リン酸、5−メチルシチジン5’−三リン酸、5−メチルウリジン5’−三リン酸、6−アザシチジン5’−三リン酸、6−アザウリジン5’−三リン酸、6−クロロプリンリボシド5’−三リン酸、7−デアザアデノシン5’−三リン酸、7−デアザグアノシン5’−三リン酸、8−アザアデノシン5’−三リン酸、8−アジドアデノシン5’−三リン酸、ベンゾイミダゾールリボシド5’−三リン酸、N1−メチルアデノシン5’−三リン酸、N1−メチルグアノシン5’−三リン酸、N6−メチルアデノシン5’−三リン酸、O6−メチルグアノシン5’−三リン酸、プソイドウリジン5’−三リン酸、ピューロマイシン5’−三リン酸、またはキサントシン5’−三リン酸が挙げられる。
【0112】
mRNA合成には、N末端(5’)末端上への「キャップ」の付加、およびC末端(3’)上への「テール」の付加が含まれるのが典型的である。キャップの存在は、大半の真核生物細胞に見られるヌクレアーゼへの耐性を付与するのに重要である。「テール」の存在は、エキソヌクレアーゼ分解からmRNAを保護するのに役立つものである。
【0113】
したがって一部の実施形態では、mRNA(たとえば、OTCをコードするmRNA)は、5’キャップ構造を含む。5’キャップは、典型的には次のように付加される:最初に、RNA末端ホスファターゼが5’ヌクレオチドから末端リン酸基のうちの1つを除去して2つの末端リン酸を残し、次に、グアノシン三リン酸(GTP)がグアニリルトランスフェラーゼを介して末端リン酸に付加されて5’5’5三リン酸結合を生成し、次いで、グアニンの7−窒素がメチルトランスフェラーゼによりメチル化される。キャップ構造の例としては、m7G(5’)ppp(5’)A、G(5’)ppp(5’)A、及びG(5’)ppp(5’)Gが挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
一部の実施形態では、mRNA(たとえば、OTCをコードするmRNA)は、3’ポリ(A)テール構造を含む。mRNAの3’末端のポリAテールは多くの場合、約10〜300個のアデノシンヌクレオチド(例えば、約10〜200個のアデノシンヌクレオチド、約10〜150個のアデノシンヌクレオチド、約10〜100個のアデノシンヌクレオチド、約20〜70個のアデノシンヌクレオチド、または約20〜60個のアデノシンヌクレオチド)を含む。一部の実施形態では、mRNAは3’ポリ(C)テール構造を含む。mRNAの3’末端の好適なポリCテールは多くの場合、約10〜200個のシトシンヌクレオチド(例えば、約10〜150個のシトシンヌクレオチド、約10〜100個のシトシンヌクレオチド、約20〜70個のシトシンヌクレオチド、約20〜60個のシトシンヌクレオチド、または約10〜40個のシトシンヌクレオチド)を含む。ポリCテールは、ポリAテールに付加され得るか、またはポリAテールを置換し得る。
【0115】
一部の実施形態では、mRNAは、5’および/または3’の非翻訳領域を含む。一部の実施形態では、5’非翻訳領域には、mRNAの安定性または翻訳に影響を及ぼす1つ以上の要素、例えば、鉄応答要素が含まれる。一部の実施形態では、5’非翻訳領域は、長さ約50〜500のヌクレオチドであり得る。
【0116】
一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、ポリアデニル化シグナル、細胞中のmRNAの位置の安定性に影響を及ぼすタンパク質の結合部位、またはmiRNAの1つ以上の結合部位のうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、長さ約50〜500ヌクレオチドであるか、またはそれ以上の長さであり得る。
【0117】
キャップ構造
一部の実施形態では、mRNAは、5’キャップ構造を含む。5’キャップは、典型的には次のように付加される:最初に、RNA末端ホスファターゼが5’ヌクレオチドから末端リン酸基のうちの1つを除去して2つの末端リン酸を残し、次に、グアノシン三リン酸(GTP)がグアニリルトランスフェラーゼを介して末端リン酸に付加されて5’5’5三リン酸結合を生成し、次いで、グアニンの7−窒素がメチルトランスフェラーゼによりメチル化される。キャップ構造の例としては、m7G(5’)ppp(5’)A、G(5’)ppp(5’)A、及びG(5’)ppp(5’)Gが挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
天然に存在するキャップ構造は7−メチルグアノシンを含み、これは、三リン酸架橋を介して第一の転写ヌクレオチドの5’末端に連結され、その結果、mG(5’)ppp(5’)N(Nは任意のヌクレオシドである)のジヌクレオチドキャップをもたらす。in vivoにおいて、キャップは酵素を用いて付加される。キャップは、核に付加され、酵素グアニリルトランスフェラーゼによる触媒作用を受ける。RNAの5’末端へのキャップの付加は、転写の開始直後に生じる。末端ヌクレオシドは、グアノシンであるのが典型的であり、全ての他のヌクレオチドとは逆の方向になっており、すなわち、G(5’)ppp(5’)GpNpNpである。
【0119】
in vitro転写により生成されたmRNAに対する普遍的なキャップは、mG(5’)ppp(5’)Gであり、これをin vitroでのT7 RNAポリメラーゼまたはSP6 RNAポリメラーゼを用いた転写においてジヌクレオチドキャップとして使用し、その5’末端にキャップ構造を有するRNAが取得される。キャップ化されたmRNAの一般的なin vitro合成方法では、転写の開始因子として、形態がmG(5’)ppp(5’)G(「mGpppG」)である予め形成されたジヌクレオチドが用いられている。
【0120】
従来より、in vitro翻訳実験に使用される合成ジヌクレオチドキャップの通常の形態は、アンチリバースキャップ類似体(「ARCA」)または修飾されたARCAであり、これは、2’OH基または3’OH基が−OCHで置換される、修飾されたキャップ類似体であるのが一般的である。
【0121】
さらなるキャップ類似体として、mGpppG、mGpppA、mGpppC;非メチル化キャップ類似体(例えば、GpppG);ジメチル化キャップ類似体(例えば、m2,7GpppG)、トリメチル化キャップ類似体(例えば、m2,2,7GpppG)、ジメチル化対称キャップ類似体(例えば、mGpppmG)、またはアンチリバースキャップ類似体(例えば、ARCA;m2’OmeGpppG、m72’dGpppG、m7,3’OmeGpppG、m7,3’dGpppG、及びそれらの四リン酸誘導体)からなる群から選択される化学構造が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Jemielity,J.et al.,“Novel ‘anti−reverse’ cap analogs with superior translational properties”,RNA,9:1108−1122(2003)を参照のこと)。
【0122】
一部の実施形態では、好適なキャップは7−メチルグアニル酸(「mG」)であり、これは、三リン酸架橋を介して第一の転写ヌクレオチドの5’末端に連結され、その結果、mG(5’)ppp(5’)N(Nは任意のヌクレオシドである)をもたらすものである。本発明の実施形態に利用されるmGキャップの好適な実施形態は、mG(5’)ppp(5’)Gである。
【0123】
一部の実施形態では、キャップはキャップ0構造である。キャップ0構造は、塩基1及び塩基2に結合したリボースの2’−O−メチル残基を欠く。一部の実施形態では、キャップはキャップ1構造である。キャップ1構造は、塩基2に2’−O−メチル残基を有する。一部の実施形態では、キャップはキャップ2構造である。キャップ2構造は、塩基2及び塩基3の両方に結合した2’−O−メチル残基を有する。
【0124】
様々なmGキャップ類似体が当該技術分野において既知であり、その多くは市販されている。これらには、上述のmGpppG、ならびにARCA 3’−OCH及び2’−OCHキャップ類似体が含まれる(Jemielity,J.et al.,RNA,9:1108−1122(2003))。本発明の実施形態において使用するためのさらなるキャップ類似体として、N7−ベンジル化ジヌクレオシド四リン酸類似体(Grudzien,E.et al.,RNA,10:1479−1487(2004)に記載)、ホスホロチオエートキャップ類似体(Grudzien−Nogalska,E.,et al.,RNA,13:1745−1755(2007)に記載)、ならびに米国特許第8,093,367号及び同第8,304,529号(参照により本明細書に援用される)に記載されるキャップ類似体(ビオチン化キャップ類似体を含む)が挙げられる。
【0125】
テール構造
多くの場合、「テール」の存在はエキソヌクレアーゼ分解からmRNAを保護するという役割を果たす。ポリAテールは、天然のメッセンジャーセンスRNAおよび合成センスRNAを安定させると考えられている。したがって、ある実施形態では、長いポリAテールをmRNA分子に付加することにより、そのRNAをさらに安定化することができる。ポリAテールは、当該技術分野において認識されている様々な技術を使用して付加することができる。例えば、長いポリAテールは、ポリAポリメラーゼを使用して合成RNAまたはin vitro転写RNAに付加することができる(Yokoe,et al.Nature Biotechnology.1996;14:1252−1256)。転写ベクターが、長いポリAテールをコードすることもできる。加えて、ポリAテールは、PCR産物から直接転写することによって付加することができる。ポリAは、RNAリガーゼを用いてセンスRNAの3’末端にライゲーションすることもできる(例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual,2nd Ed.,ed.by Sambrook,Fritsch and Maniatis(Cold Spring Harbor Laboratory Press:1991 edition)を参照のこと)。
【0126】
一部の実施形態では、mRNAは、3’ポリ(A)テール構造を含む。典型的には、ポリAテールの長さは少なくとも約10、50、100、200、300、400、少なくとも500ヌクレオチドであってもよい。一部の実施形態では、mRNAの3’末端のポリAテールは多くの場合、約10〜300個のアデノシンヌクレオチド(例えば、約10〜200個のアデノシンヌクレオチド、約10〜150個のアデノシンヌクレオチド、約10〜100個のアデノシンヌクレオチド、約20〜70個のアデノシンヌクレオチド、または約20〜60個のアデノシンヌクレオチド)を含む。一部の実施形態では、mRNAは3’ポリ(C)テール構造を含む。mRNAの3’末端の好適なポリCテールは多くの場合、約10〜200個のシトシンヌクレオチド(例えば、約10〜150個のシトシンヌクレオチド、約10〜100個のシトシンヌクレオチド、約20〜70個のシトシンヌクレオチド、約20〜60個のシトシンヌクレオチド、または約10〜40個のシトシンヌクレオチド)を含む。ポリCテールは、ポリAテールに付加され得るか、またはポリAテールを置換し得る。
【0127】
一部の実施形態では、ポリAテールまたはポリCテールの長さを調節して、本発明の修飾センスmRNA分子の安定性を制御し、それにともなってタンパク質の転写を制御する。例えば、ポリAテールの長さはセンスmRNA分子の半減期に影響を及ぼし得るため、ポリAテールの長さを調節して、ヌクレアーゼに対するmRNAの耐性のレベルを改変し、それによって、標的細胞におけるポリヌクレオチドの発現及び/またはポリペプチドの産生の時間経過を制御してもよい。
【0128】
5’および3’の非翻訳領域
一部の実施形態では、mRNAは、5’および/または3’の非翻訳領域を含む。一部の実施形態では、5’非翻訳領域には、mRNAの安定性または翻訳に影響を及ぼす1つ以上の要素、例えば、鉄応答要素が含まれる。一部の実施形態では、5’非翻訳領域は、長さ約50〜500のヌクレオチドであり得る。
【0129】
一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、ポリアデニル化シグナル、細胞中のmRNAの位置の安定性に影響を及ぼすタンパク質の結合部位、またはmiRNAの1つ以上の結合部位のうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、長さ約50〜500ヌクレオチドであるか、またはそれ以上の長さであり得る。
【0130】
例示的な3’および/または5’のUTR配列は、センスmRNA分子の安定性を強化するために、安定なmRNA分子(例えば、グロビン、アクチン、GAPDH、チューブリン、ヒストン、またはクエン酸回路酵素)から誘導されてもよい。例えば、5’UTR配列は、ヌクレアーゼ耐性を改善するため、及び/またはポリヌクレオチドの半減期を改善するために、CMV最初期1(IE1)遺伝子またはその断片の部分配列を含み得る。ポリヌクレオチドをさらに安定化させるために、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の3’末端または非翻訳領域にヒト成長ホルモン(hGH)またはその断片をコードする配列を含めることも想定される。一般に、これらの修飾は、ポリヌクレオチドの安定性及び/または薬物動態特性(例えば、半減期)を、それらの未修飾の対応物に比べて改善するものであり、例えば、in vivoヌクレアーゼ消化に対するポリヌクレオチド耐性を改善するように行われる修飾を含む。
【0131】
リポソームの形成
本発明の組成物で使用するためのリポソーム移入ビヒクルは、当該技術分野において現在既知である様々な技術により調製することができる。提供される組成物で使用するためのリポソームは、当該技術分野において現在既知である様々な技術により調製することができる。例えば、多重層ベシクル(MLV)は、適切な溶媒に脂質を溶解することにより、選択された脂質を好適な容器または器の内壁に堆積させ、次いで、溶媒を蒸発させて器の内側に薄膜を残すか、または噴霧乾燥させることなどによる、従来技術に従って調製され得る。続いて、水相を渦動運動させながら器に添加し、その結果として、MLVを形成することができる。次に、単層ベシクル(ULV)を、多重層ベシクルのホモジナイゼーション、超音波処理、または押出により形成することができる。加えて、単層ベシクルを、界面活性剤除去技術により形成することができる。
【0132】
ある実施形態では、提供される組成物はリポソームを含み、この場合においてmRNAはリポソームの両表面上で会合し、および同リポソーム内に封入される。例えば、本発明の組成物の調製中に、カチオン性リポソームは、静電相互作用によりmRNAと会合し得る。例えば、本発明の組成物の調製中に、カチオン性リポソームは、静電相互作用によりmRNAと会合し得る。
【0133】
一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、リポソームに封入されたmRNAを含む。一部の実施形態では、1種以上のmRNA種が、同一のリポソームに封入され得る。一部の実施形態では、1種以上のmRNA種が、異なるリポソームに封入され得る。一部の実施形態では、mRNAは1つ以上のリポソームに封入される。当該リポソームは、その脂質組成、脂質成分のモル比、大きさ、電荷(ゼータ電位)、標的化リガンド、及び/またはそれらの組み合わせにおいて異なる。一部の実施形態では、1つ以上のリポソームは、カチオン性脂質、中性脂質、PEG修飾脂質、及び/またはこれらの組み合わせの異なる組成物を有し得る。一部の実施形態では、1つ以上のリポソームは、リポソームを作製するために使用されるカチオン性脂質、中性脂質、コレステロール、及びPEG修飾脂質の異なるモル割合を有し得る。
【0134】
所望のmRNAをリポソーム内に組み込むプロセスは、「装填」と称されることが多い。例示的な方法が、Lasic,et al.,FEBS Lett.,312:255−258,1992に記載されており、この文献は参照によって本明細書に援用される。リポソーム組み込み核酸は、リポソームの内部空間、つまりリポソームの二分子膜内に完全にまたは部分的に位置するか、またはリポソーム膜の外表面と会合し得る。核酸のリポソーム内への組み込みは本明細書において「封入」とも称され、そこで、核酸がリポソームの内部空間内に完全に包含される。mRNAを、たとえばリポソームなどの移入ビヒクル内に組み込む目的はしばしば、核酸を分解する酵素もしくは化学物質、および/または核酸の急速排出をもたらす系もしくは受容体を含み得る環境から核酸を保護することである。したがって、一部の実施形態では、好適な送達ビヒクルは、その中に含まれるmRNAの安定性を強化することができ、および/または標的細胞もしくは標的組織へのmRNAの送達を促進する。
【0135】
リポソームの大きさ
本発明による好適なリポソームは、様々な大きさに作製することができる。一部の実施形態では、提供されるリポソームは、従来から知られているmRNA封入リポソームよりも小さく作製され得る。一部の実施形態では、リポソームの大きさが減少すると、mRNAの送達効率が高くなる。適切なリポソームの大きさは、標的細胞または標的組織の部位を考慮し、また作製されるリポソームの用途をある程度考慮して選択することができる。
【0136】
一部の実施形態では、適切な大きさのリポソームを選択して、mRNAによりコードされる抗体の全身分布を促進する。一部の実施形態では、特定の細胞または組織へのmRNAのトランスフェクションを限定することが望ましい場合がある。例えば、肝細胞を標的とするには、リポソームは、その寸法が肝臓の肝類洞を覆う内皮層の開窓よりも小さくなるように寸法決定されてもよく、こうした場合、リポソームは、その内皮開窓を容易に貫通して、標的肝細胞に達することができようになる。
【0137】
あるいはまたは加えて、リポソームは、リポソームの寸法が特定の細胞もしくは組織内への分布を制限するか、または意図的に分布しないようにするのに十分な直径であるように寸法決定されてもよい。例えば、リポソームは、その寸法が肝類洞を覆う内皮層の開窓より大きくなるように寸法決定されてもよく、それによって、リポソームの肝細胞への分布を制限する。
【0138】
一部の実施形態では、リポソームの大きさは、リポソーム粒子の最大直径の長さによって決定される。一部の実施形態では、好適なリポソームは、約250nm以下(例えば、約225nm、200nm、175nm、150nm、125nm、100nm、75nm、または50nm以下)の大きさを有する。一部の実施形態では、好適なリポソームは、約10〜250nmの範囲(例えば、約10〜225nm、10〜200nm、10〜175nm、10〜150nm、10〜125nm、10〜100nm、10〜75nm、または10〜50nmの範囲)の大きさを有する。一部の実施形態では、好適なリポソームは、約100〜250nmの範囲(例えば、約100〜225nm、100〜200nm、100〜175nm、100〜150nmの範囲)の大きさを有する。一部の実施形態では、好適なリポソームは、約10〜100nmの範囲(例えば、約10〜90nm、10〜80nm、10〜70nm、10〜60nm、または10〜50nmの範囲)の大きさを有する。ある特定の実施形態では、好適なリポソームは、約100nm未満の大きさを有する。
【0139】
リポソーム集団の寸法決定に対して、当該技術分野において既知の様々な別の方法を利用することができる。こうした寸法決定方法の1つは、米国特許第4,737,323号に記載されており、この文献は参照によって本明細書に援用される。バス超音波処理またはプローブ超音波処理のいずれかによるリポソーム懸濁液の超音波処理によって、直径が約0.05マイクロメートル未満の小さいULVまでサイズ漸減する。ホモジナイゼーションは別の方法であり、大きいリポソームをより小さいものに断片化するのに剪断エネルギーを利用する。典型的なホモジナイゼーション手順において、MLVは、選択されたリポソームの大きさ、典型的には約0.1〜0.5マイクロメートルの大きさが観察されるまで、標準的なエマルジョンホモジナイザーを用いて再循環される。リポソームの大きさは、Bloomfield,Ann.Rev.Biophys.Bioeng.,10:421−150(1981)(参照によって本明細書に援用される)に記載された準電気光散乱(QELS)によって算出され得る。平均リポソーム直径を、形成されたリポソームを超音波処理することによって減少させることができる。断続的な超音波処理サイクルをQELS評価と交互に行って、効率的なリポソーム合成を導くことができる。
【0140】
医薬組成物
in vivoでのmRNAの発現を促進するために、リポソームなどの送達ビヒクルは、1つ以上の追加の核酸、担体、標的化リガンドもしくは安定化試薬と組み合わせて製剤化されてもよく、または好適な賦形剤と混合されている薬理組成物中で製剤化されてもよい。薬物の製剤化及び投与の技術は、”Remington’s Pharmaceutical Sciences,”Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,latest editionで知ることができる。
【0141】
提供されるリポソーム封入mRNA、またはリポソーム結合mRNA、及びそれを含む組成物は、対象の臨床状態、投与の部位及び投与方法、投与スケジュール、対象の年齢、性別、体重、ならびに当該技術分野の臨床医に関連する他の要因を考慮して、現在の医療行為に従い投与及び投薬され得る。本明細書における目的に適う「有効量」は、実験臨床研究、薬理学、臨床、及び医療分野の当業者に既知のこうした適切な考慮すべき事項により決定され得る。一部の実施形態では、投与される量は、症状や、当業者によって疾患の進行、退行、または改善の適切な基準として選択される他の指標を、少なくともいくらか安定化、改善、または排除するのに有効である。例えば、好適な量及び投薬レジメンは、少なくとも一過性タンパク質(例えば、酵素)の産生をもたらすものである。
【0142】
好適な投与経路として、例えば、経口投与、直腸投与、膣投与、経粘膜投与、気管内投与もしくは吸入投与を含めた経肺投与、または経腸投与;皮内注射、経皮(局所)注射、筋肉内注射、皮下注射、髄内注射を含めた非経口送達、ならびに髄腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、もしくは鼻腔内が挙げられる。特定の実施形態では、筋肉内投与は、骨格筋、平滑筋、及び心筋からなる群から選択される筋肉に行う。一部の実施形態では、投与の結果、mRNAが筋細胞に送達される。一部の実施形態では、投与の結果、mRNAが肝細胞(すなわち肝臓細胞)に送達される。特定の実施形態では、筋肉内投与の結果、mRNAが筋細胞に送達される。
【0143】
あるいはまたは加えて、本発明のリポソーム封入mRNA及び組成物は、全身的にではなく局所的に、例えば、好ましくは徐放性製剤中で、医薬組成物を標的組織内へ直接注射することによって投与され得る。局所送達は、標的とされる組織により様々な形で用いることができる。例えば、本発明の組成物を含むエアロゾルを吸引する場合があり(鼻送達、気管送達、または気管支送達として);本発明の組成物を、例えば、損傷、疾患出現、または痛みの部位内に注射する場合があり;組成物を、経口、気管、または食道用途にトローチ剤で提供する場合があり;胃もしくは腸への投与用に液体、錠剤またはカプセル形態で供給する場合があり;直腸もしくは膣用途に坐剤形態で供給する場合があり;またはクリーム、液滴、さらには注射を使用することにより眼に送達する場合もある。治療用の分子またはリガンドと複合体を形成した提供される組成物を含む製剤は、例えば、組成物を移植部位から周囲細胞に拡散させることができるポリマーまたは他の構造もしくは物質と合わせて、外科的に投与することもできる。あるいは、これらは、ポリマーまたは支持体を使用することなく外科的に適用され得る。
【0144】
本発明の提供される方法は、本明細書に記載される治療剤(例えば、OTCタンパク質をコードするmRNA)の治療有効量の単回投与ならびに複数回投与を企図する。治療剤は、対象の状態(たとえばOTC欠損症)の性質、重篤度、及び程度によって規則的な間隔で投与されてもよい。一部の実施形態では、本発明の治療剤(例えば、OTCタンパク質をコードするmRNA)の治療有効量を、規則的な間隔で(例えば、年に1回、6か月に1回、5か月に1回、3か月に1回、隔月(2か月に1回)、毎月(毎月1回)、隔週(2週間に1回)、月2回、30日に1回、28日に1回、14日に1回、10日に1回、7日に1回、毎週、週2回、毎日、または連続して)、周期的に髄腔内に投与してもよい。
【0145】
一部の実施形態では、提供されるリポソーム及び/または組成物は、その中に含まれるmRNAの徐放に適するように製剤化される。こうした徐放性組成物は、投薬間隔を延長させて対象に適宜投与することができる。例えば、一実施形態では、本発明の組成物は、1日2回、毎日、または1日おきに対象に投与される。好適な実施形態では、本発明の組成物は、週2回、週1回、7日に1回、10日に1回、14日に1回、28日に1回、30日に1回、2週間に1回、3週間に1回もしくはより好ましくは4週間に1回、1か月に1回、1か月に2回、6週間に1回、8週間に1回、隔月に1回、3か月に1回、4か月に1回、6か月に1回、8か月に1回、9か月に1回、または毎年対象に投与される。長期間にわたるmRNAの送達または放出のいずれかを行うために、デポ投与(例えば、筋肉内、皮下、硝子体内)用に製剤化される組成物及びリポソームも企図される。好ましくは、採用される徐放手段は、安定性を強化するためにmRNAに施される修飾と組み合わされる。
【0146】
本明細書で使用される場合、用語「治療有効量」は、主として、本発明の医薬組成物に含まれる治療剤の総量に基づいて決定される。一般に、治療有効量は、対象に対して意義のある利益を得る(例えば、OTC欠損症を治療、調節、治癒、防止、及び/または改善する)のに十分な量である。例えば、治療有効量は、所望の治療作用及び/または予防作用を得るのに十分な量であり得る。通常、その必要のある対象に投与される治療剤(例えば、OTCタンパク質をコードするmRNA)の量は、当該対象の特徴に依存するであろう。このような特徴には、対象の状態、疾患重篤度、全般的健康、年齢、性別および体重が含まれる。当業者は、これらおよび他の関連因子に応じて適切な用量を容易に決定することができるであろう。さらに、最適な投薬量範囲を同定するために、客観的および主観的アッセイの両方を任意に用いることができる。
【0147】
治療上有効な量は、複数の単位用量を含み得る投薬レジメンで一般的に投与される。任意の特定の治療用タンパク質について、治療上有効な量(および/または有効な投与レジメン内の適切な単位投与量)は、例えば、投与経路に応じて、他の医薬品と組み合わせて変化し得る。また、任意の特定の患者に固有の治療有効量(及び/または単位用量)は、治療される障害及び障害の重篤度;採用される特定の医薬作用剤の活性;採用される特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、及び食事;投与時間、投与経路、及び/または採用される特定のタンパク質の排出または代謝速度;治療期間;ならびに医療分野において周知の類似要因を含む様々な要因に依存し得る。
【0148】
一部の実施形態では、治療有効投与量は、約0.005mg/kg(体重)〜500mg/kg(体重)、例えば、約0.005mg/kg(体重)〜400mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)〜300mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)〜200mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)〜100mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)〜90mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)〜80mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)〜70mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)〜60mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)〜50mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)〜40mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)〜30mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)〜25mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)〜20mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)〜15mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)〜10mg/kg(体重)の範囲である。
【0149】
一部の実施形態では、治療有効投与量は、約0.1mg/kg(体重)超、約0.5mg/kg(体重)超、約1.0mg/kg(体重)超、約3mg/kg(体重)超、約5mg/kg(体重)超、約10mg/kg(体重)超、約15mg/kg(体重)超、約20mg/kg(体重)超、約30mg/kg(体重)超、約40mg/kg(体重)超、約50mg/kg(体重)超、約60mg/kg(体重)超、約70mg/kg(体重)超、約80mg/kg(体重)超、約90mg/kg(体重)超、約100mg/kg(体重)超、約150mg/kg(体重)超、約200mg/kg(体重)超、約250mg/kg(体重)超、約300mg/kg(体重)超、約350mg/kg(体重)超、約400mg/kg(体重)超、約450mg/kg(体重)超、約500mg/kg(体重)超である。特定の実施形態では、治療有効投与量は1.0mg/kgである。一部の実施形態では、1.0mg/kgの治療有効投与量は筋肉内または静脈内に投与される。
【0150】
また、本明細書に開示されるリポソームのうちの1つ以上を含む凍結乾燥された医薬組成物と、例えば、2012年6月8日に出願された国際特許出願PCT/US12/41663に開示されるような、かかる組成物を使用するための関連方法も、本明細書において企図される。当該出願の教示内容はその全体で参照により本明細書に組み込まれる。例えば、本発明による凍結乾燥された医薬組成物は、投与前に戻されるか、またはin vivoで戻され得る。例えば、凍結乾燥された医薬組成物は、適切な剤形(例えば、ディスク、ロッド、または膜などの皮内剤形)に製剤化され、剤形が個体の体液によってin vivoで経時的に再水和されるように投与され得る。
【0151】
提供されるリポソーム及び組成物は、任意の所望の組織に投与され得る。一部の実施形態では、提供されるリポソームまたは組成物によって送達されるOTC mRNAは、リポソーム及び/または組成物が投与された組織で発現される。一部の実施形態では、送達されるmRNAは、リポソーム及び/または組成物が投与された組織とは異なる組織で発現される。送達されるmRNAが送達及び/または発現され得る組織の例としては、限定されないが、肝臓、腎臓、心臓、脾臓、血清、脳、骨格筋、リンパ節、皮膚、及び/または脳脊髄液が挙げられる。
【0152】
一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、対象由来の生体試料におけるOTC mRNAの発現レベルが、治療前のベースライン発現レベルと比較して増加する。通例、ベースラインレベルは、治療直前に測定される。生体試料としては、例えば、全血、血清、血漿、尿、及び組織試料(例えば、筋肉、肝臓、皮膚線維芽細胞)が含まれる。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、OTC mRNAの発現レベルが、治療直前のベースラインレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%まで増加する。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、OTC mRNAの発現レベルが、治療をしていない対象のOTC mRNAの発現レベルと比較して増加する
【0153】
本発明によると、提供される組成物の治療有効量は、定期的に投与された場合、治療前のベースラインのOTCタンパク質の発現レベルまたは活性レベルと比較して、対象におけるOTCタンパク質の発現レベルまたは活性レベルの増加をもたらす。典型的には、OTCタンパク質の発現レベルまたは活性レベルは、たとえば血液、血漿もしくは血清、尿、または固形組織抽出物などの対象から取得された生体試料において測定される。ベースラインレベルは、治療直前に測定される。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、生体試料(たとえば血漿/血清または尿)中のOTCタンパク質の発現レベルまたは活性レベルは、治療前のベースラインレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%まで増加する。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、生体試料(たとえば血漿/血清または尿)中のOTCタンパク質の発現レベルまたは活性レベルは、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、少なくとも11日、少なくとも12日、少なくとも13日、少なくとも14日、または少なくとも15日間の治療前のベースラインレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%まで増加する。
【0154】
様々な実施形態によると、送達されるmRNAの発現の時期を、特定の医学的要求に合うように調整することができる。一部の実施形態では、送達されるmRNAによってコードされるタンパク質の発現は、提供されるリポソーム及び/または組成物の投与の1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週、2週、または1カ月後に検出可能である。
【0155】
一部の実施形態では、提供される組成物の治療有効量は、定期的に投与された場合、治療前のベースラインシトルリン産生と比較して、対象におけるシトルリン産生の増加をもたらす。典型的には、治療前または治療後のシトルリン値は、たとえば血液、血漿もしくは血清、尿、または固形組織抽出物などの対象から取得された生体試料において測定され得る。一部の実施形態では、本発明に従う治療により、ベースラインシトルリン値と比較して、生体試料(たとえば血漿、血清または尿)中のシトルリン値がそれぞれ少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、または3倍まで増加する。
【0156】
本発明によると、提供される組成物の治療有効量は、定期的に投与された場合、OTC欠損症の少なくとも1つの症状または特徴の、強度、重篤度または頻度における低下をもたらすか、または発症の遅延をもたらす。一部の実施形態では、提供される組成物の治療有効量は、定期的に投与された場合、治療前のベースラインのオロチン酸値と比較して、対象におけるオロチン酸値の低下をもたらす。一部の実施形態では、提供される組成物の治療有効量は、定期的に投与された場合、治療前のベースラインのアンモニア値と比較して、対象におけるアンモニア値の低下をもたらす。一部の実施形態では、提供される組成物の治療有効量は、定期的に投与された場合、治療前のベースラインのグルタミン値と比較して、対象におけるグルタミン値の低下をもたらす。
【0157】
典型的には、治療前または治療後のオロチン酸値、アンモニア値、またはグルタミン値は、たとえば血液、血漿、血清、尿、または固形組織抽出物などの対象から取得された生体試料において測定され得る。ベースラインのオロチン酸値、アンモニア値、またはグルタミン値は、治療直前に測定される。一部の実施形態では、本発明に従う治療により、それぞれベースラインのオロチン酸値、アンモニア値、またはグルタミン値と比較して、対象から取得された生体試料(たとえば血液、血清または尿)においてオロチン酸値、アンモニア値、またはグルタミン値が少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%まで低下する。一部の実施形態では、提供される組成物の治療有効量は、定期的に投与された場合、約500μmol/L、400μmol/L、300μmol/L、200μmol/L、150μmol/L、または100μmol/L未満にまで血漿アンモニア値が低下する。一部の実施形態では、提供される組成物の治療有効量は、定期的に投与された場合、約800μmol/L、700μmol/L、または600μmol/L未満にまで血漿グルタミン値が低下する。一部の実施形態では、提供される組成物の治療有効量は、定期的に投与された場合、約20μmol/mmolのクレアチニン、15μmol/mmolのクレアチニン、または10μmol/mmolのクレアチニン未満にまで尿オロチン酸値が低下する。
【0158】
一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、対象の肝臓におけるOTCタンパク質のレベルが、治療前のベースライン発現レベルと比較して増加する。通例、ベースラインレベルは、治療直前に測定される。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、肝臓におけるOTCタンパク質のレベルが、治療直前のベースラインレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%まで増加する。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、肝臓におけるOTCタンパク質のレベルが、治療をしていない対象の肝臓におけるOTCタンパク質のレベルと比較して増加する。
【0159】
一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、対象の肝臓細胞(たとえば肝細胞)におけるOTCタンパク質のレベルが、治療前のベースラインのレベルと比較して増加する。通例、ベースラインレベルは、治療直前に測定される。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、肝臓細胞におけるOTCタンパク質のレベルが、治療直前のベースラインレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%まで増加する。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、肝臓細胞におけるOTCタンパク質のレベルが、治療をしていない対象の肝臓細胞におけるOTCタンパク質のレベルと比較して増加する。
【0160】
一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、対象の血漿または血清におけるOTCタンパク質のレベルが、治療前のベースラインのレベルと比較して増加する。通例、ベースラインレベルは、治療直前に測定される。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、血漿または血清におけるOTCタンパク質のレベルが、治療直前のベースラインのレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%まで増加する。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、血漿または血清におけるOTCタンパク質のレベルが、治療をしていない対象の血漿または血清におけるOTCタンパク質のレベルと比較して増加する。
【0161】
一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、対象由来の生体試料におけるOTC酵素活性が、治療前のベースラインのレベルと比較して増加する。通例、ベースラインレベルは、治療直前に測定される。生体試料としては、例えば、全血、血清、血漿、尿、及び組織試料(例えば、肝臓)が含まれる。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、OTC酵素活性が、治療直前のベースラインのレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%まで増加する。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、OTC酵素活性が、治療をしていない対象のOTC酵素活性と比較して増加する。
【0162】
様々な実施形態によると、送達されるmRNAの発現の時期を、特定の医学的要求に合うように調整することができる。一部の実施形態では、送達されるmRNAによりコードされるタンパク質の発現は、提供されるリポソーム及び/または組成物の投与の1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間及び/または96時間後に検出可能である。一部の実施形態では、送達されるmRNAによりコードされるタンパク質の発現は、投与の1週間、2週間、及び/または1か月後に検出可能である。
【実施例】
【0163】
本発明の特定の化合物、組成物、及び方法について、特定の実施形態に従って具体的に説明してきたが、以下の実施例は、本発明の化合物を単に説明するという役割を果たすものであり、それを制限することを意図するものではない。
実施例1. OTC mRNAの送達および発現のためのリポソーム製剤の例
本実施例は、in vivoでのOTC mRNAの効果的な送達および発現のためのリポソーム製剤の例を提供する。
【0164】
脂質材料
本明細書に記載される製剤は、OTCタンパク質をコードするmRNAを封入するよう設計された、1種以上のカチオン性脂質、ヘルパー脂質(たとえば非カチオン性脂質および/またはコレステロール系脂質)、およびPEG化脂質を活用する、様々な比率の多成分脂質混合物を含む。カチオン性脂質としては、(限定ではないが)DOTAP(1,2−ジオレイル−3−トリメチルアンモニウムプロパン)、DODAP(1,2−ジオレイル−3−ジメチルアンモニウムプロパン)、DOTMA(1,2−ジ−O−オクタデセニル−3−トリメチルアンモニウムプロパン)、DLinDMA(Heyes,J.;Palmer,L.;Bremner,K.;MacLachlan,I.“Cationic lipid saturation influences intracellular delivery of encapsulated nucleic acids”J.Contr.Rel.2005,107,276−287)、DLin−KC2−DMA(Semple,S.C.et al.“Rational Design of Cationic Lipids for siRNA Delivery”Nature Biotech.2010,28,172−176)、C12−200(Love,K.T.et al.“Lipid−like materials for low−dose in vivo gene silencing”PNAS 2010,107,1864−1869)、cKK−E12(3,6−ビス(4−(ビス(2−ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)ピペラジン−2,5−ジオン)、HGT5000、HGT5001、HGT4003、ICE、OF−02、ジアルキルアミノ系、イミダゾール系、グアニジニウム系などが挙げられる。ヘルパー脂質としては(限定ではないが)、DSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)、DPPC(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)、DOPE(1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン)、DOPC(1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−ホスホチジルコリン)DPPE(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン)、DMPE(1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン)、DOPG(,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−(1’−rac−グリセロール))、コレステロールなどが挙げられる。PEG化脂質は、C−C20の長さのアルキル鎖を有する脂質に共有結合された、長さが最大5kDaのポリ(エチレン)グリコール鎖が挙げられる(限定ではない)。
【0165】
コドン最適化されたヒトオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)メッセンジャーRNAは、当該遺伝子をコードするプラスミドDNA鋳型からのin vitro転写により合成された。その後、5’キャップ構造(Cap1)(Fechter,P.;Brownlee,G.G.“Recognition of mRNA cap structures by viral and cellular proteins”J.Gen.Virology 2005,86,1239−1249)と、およそ250ヌクレオチドの長さの3’ポリ(A)テールの付加が行われ、ゲル電気泳動により測定された。各mRNA産物中に存在する5’および3’の非翻訳領域はそれぞれXおよびYと表されており、述べられるように定義される(以下を参照)。
コドン最適化されたヒトオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)mRNAの例
コンストラクト設計:
X−配列番号3−Y
X−配列番号7−Y
5’および3’のUTR配列
X(5’UTR配列)=
GGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACG(配列番号11)
Y(3’UTR配列)=
CGGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUCAAGCU(配列番号12)
または
GGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUCAAAGCU(配列番号13)
【0166】
コドン最適化されたヒトOTC mRNA配列の例としては、詳細な説明の項に記載される配列番号3または配列番号7が挙げられる。
【0167】
コドン最適化されたヒトオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)メッセンジャーRNA配列の全長の例を以下に示す:
GGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACGAUGCUGUUCAACCUUCGGAUCUUGCUGAACAACGCUGCGUUCCGGAAUGGUCACAACUUCAUGGUCCGGAACUUCAGAUGCGGCCAGCCGCUCCAGAACAAGGUGCAGCUCAAGGGGAGGGACCUCCUCACCCUGAAAAACUUCACCGGAGAAGAGAUCAAGUACAUGCUGUGGCUGUCAGCCGACCUCAAAUUCCGGAUCAAGCAGAAGGGCGAAUACCUUCCUUUGCUGCAGGGAAAGUCCCUGGGGAUGAUCUUCGAGAAGCGCAGCACUCGCACUAGACUGUCAACUGAAACCGGCUUCGCGCUGCUGGGAGGACACCCCUGCUUCCUGACCACCCAAGAUAUCCAUCUGGGUGUGAACGAAUCCCUCACCGACACAGCGCGGGUGCUGUCGUCCAUGGCAGACGCGGUCCUCGCCCGCGUGUACAAGCAGUCUGAUCUGGACACUCUGGCCAAGGAAGCCUCCAUUCCUAUCAUUAAUGGAUUGUCCGACCUCUACCAUCCCAUCCAGAUUCUGGCCGAUUAUCUGACUCUGCAAGAACAUUACAGCUCCCUGAAGGGGCUUACCCUUUCGUGGAUCGGCGACGGCAACAACAUUCUGCACAGCAUUAUGAUGAGCGCUGCCAAGUUUGGAAUGCACCUCCAAGCAGCGACCCCGAAGGGAUACGAGCCAGACGCCUCCGUGACGAAGCUGGCUGAGCAGUACGCCAAGGAGAACGGCACUAAGCUGCUGCUCACCAACGACCCUCUCGAAGCCGCCCACGGUGGCAACGUGCUGAUCACCGAUACCUGGAUCUCCAUGGGACAGGAGGAGGAAAAGAAGAAGCGCCUGCAAGCAUUUCAGGGGUACCAGGUGACUAUGAAAACCGCCAAGGUCGCCGCCUCGGACUGGACCUUCUUGCACUGUCUGCCCAGAAAGCCCGAAGAGGUGGACGACGAGGUGUUCUACAGCCCGCGGUCGCUGGUCUUUCCGGAGGCCGAAAACAGGAAGUGGACUAUCAUGGCCGUGAUGGUGUCCCUGCUGACCGAUUACUCCCCGCAGCUGCAGAAACCAAAGUUCUGACGGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUCAAGCU (配列番号14)。
【0168】
別の例において、コドン最適化されたヒトオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)メッセンジャーRNA配列の全長を以下に示す:
GGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACGAUGCUGUUCAACCUUCGGAUCUUGCUGAACAACGCUGCGUUCCGGAAUGGUCACAACUUCAUGGUCCGGAACUUCAGAUGCGGCCAGCCGCUCCAGAACAAGGUGCAGCUCAAGGGGAGGGACCUCCUCACCCUGAAAAACUUCACCGGAGAAGAGAUCAAGUACAUGCUGUGGCUGUCAGCCGACCUCAAAUUCCGGAUCAAGCAGAAGGGCGAAUACCUUCCUUUGCUGCAGGGAAAGUCCCUGGGGAUGAUCUUCGAGAAGCGCAGCACUCGCACUAGACUGUCAACUGAAACCGGCUUCGCGCUGCUGGGAGGACACCCCUGCUUCCUGACCACCCAAGAUAUCCAUCUGGGUGUGAACGAAUCCCUCACCGACACAGCGCGGGUGCUGUCGUCCAUGGCAGACGCGGUCCUCGCCCGCGUGUACAAGCAGUCUGAUCUGGACACUCUGGCCAAGGAAGCCUCCAUUCCUAUCAUUAAUGGAUUGUCCGACCUCUACCAUCCCAUCCAGAUUCUGGCCGAUUAUCUGACUCUGCAAGAACAUUACAGCUCCCUGAAGGGGCUUACCCUUUCGUGGAUCGGCGACGGCAACAACAUUCUGCACAGCAUUAUGAUGAGCGCUGCCAAGUUUGGAAUGCACCUCCAAGCAGCGACCCCGAAGGGAUACGAGCCAGACGCCUCCGUGACGAAGCUGGCUGAGCAGUACGCCAAGGAGAACGGCACUAAGCUGCUGCUCACCAACGACCCUCUCGAAGCCGCCCACGGUGGCAACGUGCUGAUCACCGAUACCUGGAUCUCCAUGGGACAGGAGGAGGAAAAGAAGAAGCGCCUGCAAGCAUUUCAGGGGUACCAGGUGACUAUGAAAACCGCCAAGGUCGCCGCCUCGGACUGGACCUUCUUGCACUGUCUGCCCAGAAAGCCCGAAGAGGUGGACGACGAGGUGUUCUACAGCCCGCGGUCGCUGGUCUUUCCGGAGGCCGAAAACAGGAAGUGGACUAUCAUGGCCGUGAUGGUGUCCCUGCUGACCGAUUACUCCCCGCAGCUGCAGAAACCAAAGUUCUGAGGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUCAAAGCU(配列番号15)。
別の例において、コドン最適化されたヒトオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)メッセンジャーRNA配列の全長を以下に示す:
GGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACGAUGCUGUUUAACCUGAGAAUUCUGCUGAACAACGCCGCGUUCAGGAACGGCCACAAUUUCAUGGUCCGCAACUUUAGAUGCGGACAGCCUCUCCAAAACAAGGUCCAGCUCAAGGGGCGGGACUUGCUGACCCUUAAGAACUUUACCGGCGAAGAGAUCAAGUACAUGCUGUGGUUGUCAGCGGACCUGAAGUUCCGCAUCAAGCAGAAAGGGGAGUAUCUGCCGCUGCUCCAAGGAAAGUCGCUCGGCAUGAUCUUCGAGAAGCGCUCGACCAGAACCCGGCUGUCCACUGAAACUGGUUUCGCCCUUCUGGGUGGACACCCUUGUUUCCUGACAACCCAGGACAUCCAUCUGGGCGUGAACGAAAGCCUCACUGACACCGCCAGGGUGCUGAGCUCCAUGGCCGACGCUGUCCUUGCCCGGGUGUACAAGCAGUCCGAUCUGGACACUCUGGCCAAGGAAGCGUCCAUCCCGAUCAUUAACGGACUGUCCGACCUGUACCACCCGAUCCAGAUUCUGGCCGACUACCUGACCUUGCAAGAGCACUACAGCUCACUGAAGGGCUUGACCCUGAGCUGGAUCGGCGACGGAAACAACAUUCUGCAUUCGAUCAUGAUGUCCGCGGCCAAGUUCGGAAUGCAUCUGCAGGCCGCAACUCCCAAGGGAUACGAACCUGAUGCGUCCGUGACUAAGCUGGCCGAGCAGUACGCAAAGGAAAACGGCACCAAGCUGCUGCUGACCAACGACCCGCUCGAAGCUGCCCACGGAGGGAACGUGCUCAUUACCGACACUUGGAUCUCCAUGGGGCAGGAAGAAGAGAAGAAGAAGCGGCUCCAGGCAUUCCAGGGUUACCAGGUCACCAUGAAAACGGCCAAAGUGGCCGCUUCGGAUUGGACUUUCCUCCACUGCCUUCCCCGCAAACCUGAGGAAGUGGAUGAUGAAGUGUUCUACUCCCCACGCUCCCUCGUGUUCCCCGAGGCCGAGAAUCGGAAGUGGACCAUUAUGGCCGUGAUGGUGUCACUGCUGACCGACUACAGCCCCCAACUGCAAAAGCCGAAGUUCUGACGGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUCAAGCU(配列番号4)
【0169】
製剤プロトコールの例
A. cKK−E12
cKK−E12の50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG−PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈した。別個に、OTC mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製した。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得た。得られたナノ粒子懸濁液を濾過し、1xPBS(pH7.4)で透析ろ過し、濃縮して2〜8℃で保存した。OTC封入化mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定した。
【0170】
B. C12−200
c12−200の50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG−PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、OTC mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得る。得られたナノ粒子懸濁液を濾過し、1xPBS(pH7.4)で透析ろ過し、濃縮して2〜8℃で保存する。OTC封入化mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定する。
【0171】
C. HGT4003
HGT4003の50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG−PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、OTC mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得る。得られたナノ粒子懸濁液を濾過し、1xPBS(pH7.4)で透析ろ過し、濃縮して2〜8℃で保存する。OTC封入化mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定する。
D. ICE
ICEの50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG−PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、OTC mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得る。得られたナノ粒子懸濁液を濾過し、1xPBS(pH7.4)で透析ろ過し、濃縮して2〜8℃で保存する。OTC封入化mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定する。
【0172】
E. HGT5001
HGT5001の50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG−PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、OTC mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得る。得られたナノ粒子懸濁液を濾過し、1xPBS(pH7.4)で透析ろ過し、濃縮して2〜8℃で保存する。OTC封入化mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定する。
【0173】
F. HGT5000
HGT5000の50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG−PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、OTC mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得る。得られたナノ粒子懸濁液を濾過し、1xPBS(pH7.4)で透析ろ過し、濃縮して2〜8℃で保存する。OTC封入化mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定する。
【0174】
G. DLinKC2DMA
DLinKC2DMAの50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG−PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、OTC mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得る。得られたナノ粒子懸濁液を濾過し、1xPBS(pH7.4)で透析ろ過し、濃縮して2〜8℃で保存する。OTC封入化mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定する。
H. DODAP
【0175】
DODAPの50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG−PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、OTC mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得る。得られたナノ粒子懸濁液を濾過し、1xPBS(pH7.4)で透析ろ過し、濃縮して2〜8℃で保存する。OTC封入化mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定する。
【0176】
I. DODMA
DODMAの50mg/mL エタノール溶液の分注物、DOPE、コレステロールおよびDMG−PEG2Kを混合し、エタノールで最終量3mLまで希釈する。別個に、OTC mRNAの緩衝水溶液(10mM クエン酸/150mM NaCl、pH4.5)を、1mg/mLのストックから調製する。脂質溶液をmRNA水溶液中に素早く注入し、振とうして、20%エタノールの最終懸濁液を得る。得られたナノ粒子懸濁液を濾過し、1xPBS(pH7.4)で透析ろ過し、濃縮して2〜8℃で保存する。OTC封入化mRNAの最終濃度、Zave、Dv(50)およびDv(90)を決定する。
【0177】
実施例2. OTC mRNA担持リポソームナノ粒子の静脈内投与
本実施例は、OTC mRNA担持リポソームナノ粒子の投与方法の例および様々な標的組織における、in vivoのOTC mRNA分析法の例を解説する。
【0178】
全ての実験が、spfashマウスを使用して行われた。0.5mg/kg投与量の単回尾静脈ボーラス注入により、ヒトOTC mRNA担持cKK−E12系脂質ナノ粒子を用いてマウスを治療した。24時間、72時間、8日、11日、および15日でマウスを安楽死させ、生理食塩水でかん流した。
【0179】
たとえば肝臓などの各マウスの組織を採取し、別々の部分に分けて、10%の中性緩衝ホルマリンまたは急速凍結のいずれかで保存し、そして分析を行うまで−80℃で保存した。
【0180】
マウス肝臓ホモジネートにおけるOTCタンパク質のウェスタンブロット検出
サンプルは、HEPES溶解緩衝液を使用してホモジネートされ、凍結/溶解を2回行い、確実にすべての細胞を溶解させた。残渣を沈殿させ、ホモジネートを、BCAアッセイにより総タンパク質定量に関して分析した。NuPage還元剤およびローディング色素とともに10ngの総タンパク質を5分間、95℃でインキュベートし、次いで8〜16%のトリス/グリシンSDS−PAGEゲル上でタンパク質分離を行った。タンパク質をPVDF膜上へ移し、PBST中、2%のi−Block溶液でブロッキングし、その後、特許品の抗OTC抗体(22A03)とともにインキュベートした。ゲルを洗浄し、HRP結合二次抗体とともにインキュベートし、再度洗浄して、Konika Minolta SRX−101aフィルムプロセッサー上でECL−Prime基質を使用して発色させた。
【0181】
マウス肝臓ホモジネートにおけるOTCタンパク質のELISA定量
サンプルは、HEPES溶解緩衝液を使用してホモジネートされ、凍結/溶解を2回行い、確実にすべての細胞を溶解させた。残渣を沈殿させ、アッセイ用の上清を集めた。特許品の抗OTC抗体(25D11)を、50mMの重炭酸ナトリウム溶液、pH9.6中、1μg/mLで1時間、Nunc MaxiSorbプレート上にコーティングした。このプレートをDPBSおよびTween−20洗浄緩衝液を使用して洗浄し、その後、Surmodicsカゼインブロッキング緩衝液とともに1時間、ブロッキングした。このプレートを再度洗浄し、その後、二重実験でサンプルと標準物を添加し、さらに1時間インキュベートした。このプレートを洗浄し、その後HRP結合検出Ab(21C02)を1:5500希釈でプレートに加え、1時間インキュベートした。最終洗浄を行った後、SurmodicsTMB基質を使用してプレートを発色させ、1NのHClを用いて発色停止させ、分光光度計で450nmマイナス650nmで読み取った。
【0182】
マウス肝臓ホモジネートを使用したシトルリン活性のアッセイ
マウスの肝臓ホモジネートは上述の通りに調製した。1xDPBS中でホモジネートを所望の濃度まで希釈して、その後、96ウェルプレート中の超純水に添加した。所定量のシトルリン標準物を加え、較正用物質として役立てた。リン酸カルバモイル、オルニチンおよびトリエタノールアミンを含むリアクションミックスを各ウェルに加え、30分間、37℃で反応を進行させた。リン酸と硫酸の混合物を使用して反応を停止させ、各ウェルにジアセチルモノオキシムを加えた。30分間、85℃でプレートをインキュベートし、簡単に冷却し、分光光度計で490nmで読み取った。
【0183】
マウス尿中のオロチン酸定量
動物の尿サンプルからのオロチン酸の定量は、イオン交換カラムを使用した超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)で行われた。簡潔に記載すると、尿サンプルを、RNaseフリー水を使用して2倍に希釈し、一部をThermoScientific 100xカラムにローディングした。アセトニトリルと25mM酢酸アンモニウムを含む移動相によりオロチン酸が分離され、280nmの吸光度に基づいた検出でオロチン酸が定量された。
【0184】
マウス血漿中のアンモニア定量
全血の分注物をリチウムヘパリン血漿管に集め、血漿へと処理した。新鮮な血漿サンプルを、IDEXX Catalyst Dxアナライザーを使用して分析した。
【0185】
結果
治療マウスの肝臓におけるOTCタンパク質の検出は、免疫組織化学法(たとえばウェスタンブロット)を使用して行われた。図1に示されるように、24時間、72時間、8日、11日および15日に外因性ヒトOTCタンパク質が検出された。
【0186】
さらに、カスタムのex vivo活性アッセイを使用したシトルリン産生値の測定により示されるように、mRNA由来hOTCタンパク質は酵素的にも活性であることが示された。hOTC mRNAを担持した脂質ナノ粒子によりマウスにおいて産生されたhOTCタンパク質は、hOTC mRNA担持脂質ナノ粒子の0.5mg/kg単回投与後2週間にわたり活性であった(図2A)。図2Bに示されるように、hOTC mRNA担持脂質ナノ粒子の0.5mg/kg単回投与により、最小治療標的範囲である正常活性の10〜15%を上回るhOTCタンパク質活性が生じた。さらに投与後2週で示された活性は、バックグラウンドレベルのおよそ3倍のシトルリン値をもたらした。
【0187】
複数のhOTC mRNA脂質ナノ粒子製剤を使用した場合、spfashマウスにおいてもmRNA由来hOTCタンパク質が産生された(図3Aおよび図3B)。2つの別個の製剤が上述の方法を使用して作製された。それぞれ異なる量の脂質とともにCO−hOTC mRNAが封入されている。N:P 4製剤は、N:P 2製剤の2倍の総脂質を使用した。また、ナンセンス突然変異型hOTC mRNAが組み込まれた類似の対照製剤(STOP N:P 2およびSTOP N:P 4)は、spfashに投与された際、検出可能なhOTCタンパク質をまったく産生しなかった。それとは別に、本実験における別の対照治療として生理食塩水を使用した。単離した肝臓をホモジナイズし、上述のようにhOTCタンパク質の産生と活性を決定した。図3Aおよび図3Bは、各群の代表的なマウス肝臓の免疫ブロット分析を示す。hOTC mRNAを含む製剤の両方とも、ヒトOTCタンパク質の陽性検出が観察された。ナンセンスmRNAを基にした対照群または生理食塩水治療した(未治療の)マウスのいずれに対してもhOTCタンパク質は観察されなかった。
【0188】
図4は、各群で観察されたhOTC活性を示す。hOTC mRNA LNPで治療された群の両方で実質的なhOTC活性が観察された一方、ナンセンス突然変異型mRNA対照群においては、生理食塩水治療(未治療)マウスと比較し、活性の上昇は測定されなかった。この活性は、LNP送達されたhOTC mRNAに由来する活性タンパク質の産生が成功したことに起因し得る。図4は、hOTC mRNAは、シトルリンを産生することができる活性hOTCタンパク質を産生した一方で、検出可能なhOTCタンパク質を産生しない対照製剤は、バックグラウンドレベルを超えるシトルリン産生活性を全く示さなかったことを示す。
【0189】
さらに、治療マウスの尿中オロチン酸値の正常化により、本疾患モデルにおける有効性が示された。具体的には、すべての製剤(および生理食塩水対照の「未治療」)の投与の24時間後に尿サンプルを取得し、オロチン酸を定量測定した。spfashマウスにおけるmRNA由来hOTCタンパク質の活性は、OTC欠損症の公知のバイオマーカーであるオロチン酸をモニタリングすることにより決定された(図5)。hOTC mRNA担持脂質ナノ粒子で治療されたマウスにおいて、尿中オロチン酸値の明白な低下が観察された一方、ナンセンス突然変異型hOTC mRNAを含む対照製剤がマウスに投与された場合には、オロチン酸の有意な低下は観察されなかった。
【0190】
別の実験において、2つの投与量レベル(0.50mg/kg、1.0mg/kg)で、2つの異なるhOTC mRNA LNP製剤(N/P=2、N/P=4)を用いて、spfashを治療した。被験物質は単回静脈内投薬として投与された。図6Aに示されるように、(投与後)24時間後、マウスにアンモニアチャレンジが行われた。チャレンジは、塩化アンモニウム(NHCl)のボーラス注入が腹腔内投与された。これは、OTC欠損症に罹患する患者が経験するであろう、高アンモニア血症の発現を表現するために行われた。NHClチャレンジの40分後、血漿アンモニア値がモニタリングされた。
【0191】
図6Bは、治療マウスの血漿アンモニア値と、未治療spfashマウスならびに野生型マウスの両方の血漿アンモニア値を比較している。野生型(未治療)アンモニア値に対して標準化した場合、hOTC mRNA LNP製剤のすべての投与量で、高アンモニア血症発現の完全な阻止が達成された。未治療spfashマウスは、同一条件下で血漿アンモニア値の著しい上昇を示した。この結果が、これらマウスの肝臓における活性hOTCタンパク質の存在に起因することを確認するために、肝臓を採取し、OTC活性を分析した(図7)。全ての投与量で、野生型活性レベルと比較し、正常活性の35〜103%の範囲の活性レベルがもたらされた。
【0192】
実施例3. OTC mRNA担持リポソームナノ粒子の複数回投与
本実施例は、延長期間にわたるOTC mRNA担持リポソームナノ粒子の投与方法の例、および様々な標的組織における、in vivoのOTC mRNA分析法の例を解説する。
【0193】
本実験は、spfashマウスを使用して行われた。複数回投与の形式であることを除き、実施例2に記載されるようにマウスを治療した。具体的には、0.60mg/kgで静脈内投与されるhOTC mRNA担持LNPを、毎週8回投与することを含む、複数回投与実験をspfashマウスにおいて行った。マウスのコホートを各週で安楽死させ、肝臓をhOTC活性に関して分析し、野生型のOTC活性レベルと比較した。被験物質は耐容性良好であり、肝臓酵素はすべての投与量に対し正常範囲内で維持された。図8は、これら治療マウスにおいて産生されたヒトOTC活性を、野生型レベルの割合として示す。野生型レベルの少なくともおよそ36%のレベルが、投薬した8週間すべてで維持された。
【0194】
1.0mg/kgの投与量のhOTC mRNA担持LNPが毎週4回動物に投与されたことを除き、追加の複数回投与実験が実施例2に記載されるように行われた。図9Aは、1.0mg/kgの投与量でhOTC mRNA担持LNPを毎週投与されたspfashマウスにおける、これら治療マウスで産生されたヒトOTCの活性を、野生型レベルの割合として示す。複数回投与の治療計画により、3週間にわたり、OTC欠損症マウスにおいて治療効果のあるレベルの活性hOTCタンパク質が産生された。図9Bに示されるように、外因性ヒトOTCタンパク質は、1日目、8日目、15日目、22日目に検出された。
【0195】
均等
当業者は、日常的な実験手法を越えない手法を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの均等を認識するか、または確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記の記載に限定されることは意図されず、むしろ以下の特許請求の範囲に記述されるとおりである。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【配列表】
2019522047000001.app
【国際調査報告】