(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019522064
(43)【公表日】20190808
(54)【発明の名称】吸水性または水溶性ポリマー、中間化合物、及びそれらの方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/332 20060101AFI20190712BHJP
   C08L 71/00 20060101ALI20190712BHJP
   C08L 55/00 20060101ALI20190712BHJP
   C08F 290/00 20060101ALI20190712BHJP
   C08F 22/10 20060101ALI20190712BHJP
   C09D 151/00 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   !C08G65/332
   !C08L71/00 B
   !C08L55/00
   !C08F290/00
   !C08F22/10
   !C09D151/00
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】30
(21)【出願番号】2018556795
(86)(22)【出願日】20170525
(85)【翻訳文提出日】20181122
(86)【国際出願番号】US2017034501
(87)【国際公開番号】WO2017210084
(87)【国際公開日】20171207
(31)【優先権主張番号】62/345,334
(32)【優先日】20160603
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/452,543
(32)【優先日】20170131
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/234,191
(32)【優先日】20160811
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/472,379
(32)【優先日】20170329
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/437,164
(32)【優先日】20170220
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】513099186
【氏名又は名称】シラス・インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国、オハイオ・45140、ラブランド、ワーズ・コーナー・ロード・422・スイート・ビー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サリバン,ジェフリー・エム
【住所又は居所】アメリカ合衆国、オハイオ・45122、ゴーシェン、ステート・ルート・132・6174
(72)【発明者】
【氏名】ドッシ,アミ
【住所又は居所】アメリカ合衆国、オハイオ・45140、ラブランド、ダートマス・ウェイ・9870
【テーマコード(参考)】
4J002
4J005
4J038
4J100
4J127
【Fターム(参考)】
4J002BQ001
4J002CH051
4J002FD016
4J002FD037
4J002FD099
4J002FD188
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4J127BE37Y
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4J127BG142
4J127BG14Y
4J127BG171
4J127BG172
4J127BG17Y
4J127CB221
4J127CC161
4J127FA07
(57)【要約】
グラフトコポリマー、グラフトコポリマーを含む組成物、中間体物質、及び関連する方法が開示され、ここで該グラフトコポリマーは、1,1−二置換−1−アルケン化合物(好ましくはメチレンマロン酸エステル化合物)を含む第1ポリマー成分を含み、第2成分にグラフトされる。結果として生じたグラフトコポリマーは、親水性または水溶性であり得る。第2成分は、好ましくは親水性成分である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフトポリマーであって、
i.1,1−二置換−1−アルケン化合物を含む1つ以上のモノマーを重合することによって形成されたポリマーを含む第1成分であって、
ii.親水性成分である第2成分に結合され、
前記親水性成分はカチオンまたは水溶性ポリマーを含む、前記第1成分、
を含む、
前記グラフトポリマー。
【請求項2】
前記第1成分の前記ポリマーは第1末端及び第2末端、ならびに前記第1末端及び前記第2末端を接続している主鎖を有し、前記主鎖は、約92原子パーセント以上の炭素原子を含む、請求項1に記載のグラフトポリマー。
【請求項3】
前記親水性成分が、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルコキシド(例えば、ポリエチレングリコールホモポリマーまたはポリエチレングリコールコポリマー)、水溶性のアミン含有ポリマー(例えば、ポリアミン、ポリエチレンイミン、及び4級アンモニウム化合物を含むポリマー)、ビニルメチルエーテル及び無水マレイン酸のコポリマー、ポリビニルピロリドン、これらのコポリマー、またはこれらの組合せからなる群から選択される水溶性ポリマーである、請求項1または2に記載のグラフトポリマー。
【請求項4】
前記第2成分が、4級アンモニウム化合物を含む、請求項1または2に記載のグラフトポリマー。
【請求項5】
前記第2成分が、ポリアルコキシド(好ましくはエチレングリコールホモポリマーまたはコポリマー)を含み、ここで前記ポリアルコキシドが、前記ポリアルコキシドの総重量に基づいて、65重量パーセント以上のエチレンオキシド基を含む、請求項1から3のいずれかに記載のグラフトポリマー。
【請求項6】
前記グラフトポリマーが、網目構造(例えば、前記グラフトポリマーが架橋型である、多官能モノマーを含む、または前記第2成分が2つ以上の1,1−二置換−1−アルケン化合物に結合している)を有する、請求項1から5のいずれかに記載のグラフトポリマー。
【請求項7】
前記1つ以上のモノマーが、2つ以上の重合性アルケン基を有する多官能1,1−二置換−1−アルケンモノマー(例えば、多官能マクロマー)を含む、請求項1から6のいずれかに記載のグラフトポリマー。
【請求項8】
前記グラフトポリマーが、以下の1つまたは任意の組合せ(例えば、全て)によって特徴づけられる、請求項1から7のいずれかに記載のグラフトポリマー:
i)前記第1成分の前記モノマーの約20原子パーセント以上(好ましくは約30原子パーセント以上、さらにより好ましくは約38原子パーセント以上、及び最も好ましくは約46原子パーセント以上)が前記第2成分に直接結合する、または
ii)前記第1成分が、前記グラフトポリマーの総重量に基づいて、約10重量パーセント以上(好ましくは約15重量パーセント以上、より好ましくは約20重量パーセント以上、及びさらにより好ましくは約30重量パーセント以上)の量で存在する、または
iii)前記第2成分(例えば、ポリエチレングリコールホモポリマーまたはコポリマー)が、前記グラフトポリマーの総重量に基づいて、約20重量パーセント以上(好ましくは、約30重量パーセント以上、及びより好ましくは、約40重量パーセント以上)の量で存在する、または
iv)前記第1成分及び前記第2成分の総量が、前記グラフトポリマーの総重量に基づいて、約50重量パーセント以上(好ましくは約70重量パーセント以上、さらにより好ましくは約90重量パーセント以上、及び最も好ましくは約97重量パーセント以上)である。
【請求項9】
前記第1成分のモノマーの約10原子パーセント以上が、前記親水性成分へ直接結合しない1,1−ジエステル−1−アルケンである、請求項1から8のいずれかに記載のグラフトポリマー。
【請求項10】
前記グラフトポリマーが、1つ以上の1,1−ジエステル−1−アルケン化合物のみからなる前記第1成分と水溶性ポリマーのみからなる前記第2成分またはカチオンから本質的になる、請求項1から9のいずれかに記載のグラフトポリマー。
【請求項11】
前記グラフトポリマーがアニオンと会合しており、好ましくは前記アニオンはスルホン酸イオンまたは硫酸イオンを含む、請求項1から10のいずれかに記載のグラフトポリマー。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載のグラフトポリマーであって、前記1,1−二置換−1−アルケン化合物が、好ましくは構造:
【化1】
を有する1つ以上の1,1−ジエステル−1−アルケンを含み、
ここでRは、1つ以上のヘテロ原子を含有し得るヒドロカルビル基であり、Xは、酸素または直接結合(例えば、メチレンβ−ケトエステル)である、
前記グラフトポリマー。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載のグラフトポリマーであって、前記1,1−二置換−1−アルケン化合物が、構造:
【化2】
を有するメチレンマロン酸エステルであり、
ここでRは、各出現において別個に、アルキル、アルケニル、C−Cシクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキルヘテロシクリル、アリール、アラルキル、アルカリル、ヘテロアリール、またはアルクヘテロアリール、またはポリオキシアルキレンであるか、または前記Rの両方が5〜7員環または複素環を形成する(好ましくは、Rは、各出現において別個に、C−C15アルキル、C−C15アルケニル、C−Cシクロアルキル、C2−20ヘテロシクリル、C3−20アルクヘテロシクリル、C6−18アリール、C7−25アルカリル、C7−25アラルキル、C5−18ヘテロアリールまたはC6−25アルキルヘテロアリール、またはポリオキシアルキレンであるか、または前記R基の両方が5〜7員環または複素環を形成する)、
前記グラフトポリマー。
【請求項15】
前記グラフトポリマーが、水溶性であるのに十分な量の前記第2成分を含み、好ましくは前記グラフトポリマーが、前記グラフトポリマーの総重量に基づいて、約30〜約95重量パーセントの前記水溶性ポリマーを含む、請求項1から14のいずれかに記載のグラフトポリマー。
【請求項16】
ポリマー組成物であって、
i)前記ポリマー組成物の総重量に基づいて、約10重量パーセント以上の請求項1から17のいずれかに記載のグラフトポリマー、及び
ii)約0.5〜約90重量パーセントの、充填剤、安定剤、加工助剤、殺生物剤、ポリマー、着色剤、塩、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の化合物を含む、
前記ポリマー組成物。
【請求項17】
水溶性ポリマーにグラフトされた1,1−二置換−1−アルケン化合物を含む重合性組成物(例えば、請求項1から15のいずれかに記載のグラフトポリマーの重合のためのもの)であって、好ましくは、約20重量パーセント以上のグラフト1,1−二置換−1−アルケン化合物を含む、前記重合性組成物。
【請求項18】
前記水溶性ポリマーが、2つ以上の1,1−二置換−1−アルケン化合物にグラフトされる、請求項17に記載の重合性組成物。
【請求項19】
前記1,1−二置換−1−アルケン化合物が、単一の水溶性ポリマーにグラフトされている、請求項17に記載の重合性組成物。
【請求項20】
カチオンにグラフトされた1,1−二置換−1−アルケン化合物を含む重合性組成物(例えば、請求項1から15のいずれかに記載のグラフトポリマーの重合のためのもの)であって、好ましくは、前記1,1−二置換−1−アルケン化合物は2つのカチオンに(例えば、前記1,1−二置換−1−アルケン化合物の対向する末端で)グラフトされている、前記重合性組成物。
【請求項21】
グラフトされていない(例えば、カチオンを有さない及び水溶性ポリマーを有さない)1つ以上の1,1−二置換−1−アルケン化合物及び/もしくは未反応水溶性ポリマーまたはカチオンを含む、請求項20に記載の重合性組成物。
【請求項22】
前記1,1−二置換−1−アルケン化合物(例えば、2つ以上の重合性アルケン基を有する多官能1,1−二置換−1−アルケン化合物)を架橋結合するための架橋剤を含む、請求項17から21のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項23】
前記1,1−二置換−1−アルケン化合物(例えば、前記グラフト1,1−ジエステル−アルケン化合物)の重合反応を促進するための触媒を含む、請求項17から22のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項24】
1,1−ジエステル−1−アルケン化合物を4級アンモニウム化合物または水溶性ポリマーとグラフトするステップ(好ましくは前記グラフトステップは、酸触媒または酵素触媒よって触媒され、より好ましくは前記グラフトステップは、ブレンステッド酸によって触媒される)を含む、グラフト化合物を形成する方法。
【請求項25】
前記グラフトステップが、エステル交換反応を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記水溶性ポリマーが、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルコキシド(例えば、ポリエチレングリコールホモポリマーまたはポリエチレングリコールを含むコポリマー)、水溶性のアミン含有ポリマー(例えば、ポリアミン、ポリエチレンイミン、及び4級アンモニウム化合物を含むポリマー)、ビニルメチルエーテル及び無水マレイン酸のコポリマー、ポリビニルピロリドン、これらのコポリマー、またはこれらの組合せ、からなる群から選択される、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記1,1−ジエステル−1−アルケン化合物を重合するステップを(好ましくは、前記グラフトステップの後で)含む、請求項24から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
請求項17から23のいずれかに記載の重合性組成物を重合するステップを含むグラフトポリマーを形成する方法であって、好ましくは前記重合ステップは、(例えば、テトラメチルグアニジンによって)触媒される、前記方法。
【請求項29】
伝導性ポリマー組成物であって、
1つ以上の塩が(例えば、前記組成物の総重量に基づいて、約20重量パーセント以上の濃度で)ドーピングされている、請求項1から15のいずれかに記載のグラフトポリマーを含む、
前記組成物。
【請求項30】
請求項1から15のいずれかに記載のグラフトポリマーを含むコーティングであって、好ましくは前記グラフトポリマーが、架橋型であるか、または網目構造を有する、前記コーティング。
【請求項31】
界面活性剤、アイオノマー、防汚剤としての、石油回収用の、水処理用の、凝集剤としての、湿式製錬用の、洗浄剤としての、製薬工程における、またはこれらの組合せにおける、請求項1から15のいずれかに記載のグラフトポリマーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、Sullivanらによる2017年1月31日出願の米国仮出願第62/452,543号及びPalsuleらによる2016年6月3日出願の米国仮出願第62/345,334号及びPalsuleらによる2016年8月11日出願の米国特許出願第15/234,191号の優先権の利益を主張し、これらの内容は各々その全体が、参照により本明細書に援用される。
【0002】
分野
1,1−ジエステル−アルケンを含む1つ以上のモノマーを重合することによって形成されたポリマーを含む第1成分を、親水性成分である第2成分に結合されて含む新規ポリマー及びポリマー組成物が開示される。親水性成分は、好ましくは親水性ポリマーまたは親水性官能基を含む。好ましいポリマーは、吸水性ポリマーまたは水に溶解するポリマーである。中間化合物、及び関連する方法も開示される。これらのグラフトポリマーは、界面活性剤として、アイオノマー、防汚剤、石油回収用、水処理用、凝集剤として、湿式製錬用、洗浄剤として、製薬工程で、またはこれらの組合せを含むさまざまな用途に使用され得る。
【背景技術】
【0003】
さまざまな用途のための新しい吸水性ポリマー及び新しい水溶性ポリマーの必要性が存在する。
【0004】
架橋されて、水に溶解しない新しい親水性ポリマーの必要性も存在する。
【0005】
また、多くの水を吸収することのできるポリマーの必要性も存在する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書の教示の一態様は、1,1−二置換−1−アルケン化合物を含む1つ以上のモノマーを重合することによって形成されたポリマーを含む第1成分を、親水性成分である第2成分に結合されて含むグラフトポリマーに関し、ここで親水性成分は、カチオンまたは水溶性ポリマーを含む。
【0007】
本発明のこの態様は、以下の特長の1つまたは任意の組合せによりさらに特徴づけられ得る。第1成分のポリマーが第1末端及び第2末端、及びその第1と第2末端を結合する主鎖を有し、ここで主鎖は、約92原子パーセント以上の炭素原子を含む。親水性成分がポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルコキシド(例えば、ポリエチレングリコールホモポリマーまたはポリエチレングリコールコポリマー)、水溶性のアミン含有ポリマー(例えば、ポリアミン、ポリエチレンイミン、及び4級アンモニウム化合物を含むポリマー)、ビニルメチルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー、ポリビニルピロリドン、このコポリマー、またはこれらの任意の組合せ、からなる群から選択される水溶性ポリマーである。第2成分が4級アンモニウム化合物を含む。第2成分がポリアルコキシド(好ましくはエチレングリコールホモポリマーまたはコポリマー)を含む。ポリアルコキシドがポリアルコキシドの総重量に基づいて、65重量パーセント以上のエチレンオキシド基を含む。グラフトポリマーが網目構造(例えば、グラフトポリマーが架橋型である、多官能モノマーを含む、または第2成分が2つ以上の1,1−二置換−1−アルケン化合物に結合している)を有する。1つ以上のモノマーが2つ以上の重合性アルケン基を有する多官能1,1−二置換−1−アルケンモノマー(例えば、多官能マクロマー)を含む。第1成分のモノマーの約20原子パーセント以上(好ましくは約30原子パーセント以上、より好ましくは約38原子パーセント以上、及び最も好ましくは約46原子パーセント以上)が第2成分に直接結合している。第1成分が、グラフトポリマーの総重量に基づいて、約10重量パーセント以上(好ましくは約15重量パーセント以上、より好ましくは約20重量パーセント以上、及びさらにより好ましくは約30重量パーセント以上)の量で存在する。第2成分が、グラフトポリマーの総重量に基づいて、約20重量パーセント以上(好ましくは、約30重量パーセント以上、及びより好ましくは、約40重量パーセント以上)の量で存在する。第1成分及び第2成分の総量が、グラフトポリマーの総重量に基づいて、約50重量パーセント以上(好ましくは約70重量パーセント以上、さらにより好ましくは約90重量パーセント以上、及び最も好ましくは約97重量パーセント以上)である。第1成分のモノマーの約10原子パーセント以上が、親水性成分への直接結合していない1,1−ジエステル−1−アルケンである。グラフトポリマーが1つ以上の1,1−ジエステル−1−アルケン化合物のみを含む第1成分、及び水溶性ポリマーのみを含む第2成分またはカチオン主成分とする。グラフトポリマーがアニオンと会合している。アニオンはスルホン酸イオンまたは硫酸イオンを含む。1,1−二置換−1−アルケン化合物が1つ以上の1,1−ジエステル−1−アルケンを含む。グラフトポリマーが、水溶性であるのに十分な量の第2成分を含む。またはグラフトポリマーが、グラフトポリマーの総重量に基づいて、約30〜約95重量パーセントの水溶性ポリマーを含む。
【0008】
好ましくは1,1−二置換−1−アルケン化合物は下記の構造:
【化1】
を有する化合物であり、
ここでRは、1つ以上のヘテロ原子を含有し得るヒドロカルビル基であり、Xは、酸素または直接結合(例えば、メチレンβ−ケトエステル)である。より好ましくは、1,1−二置換−1−アルケン化合物は、構造:
【化2】
を有するメチレンマロン酸であり、
ここでRは、各出現において別個に、アルキル、アルケニル、C−Cシクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキルヘテロシクリル、アリール、アラルキル、アルカリル、ヘテロアリール、またはアルクヘテロアリール、またはポリオキシアルキレンであるか、またはRの両方が5〜7員環または複素環を形成する(好ましくは、Rは、各出現において別個に、C−C15アルキル、C−C15アルケニル、C−Cシクロアルキル、C2−20ヘテロシクリル、C3−20アルクヘテロシクリル、C6−18アリール、C7−25アルカリル、C7−25アラルキル、C5−18ヘテロアリールまたはC6−25アルキルヘテロアリール、またはポリオキシアルキレンであるか、またはR基の両方が5〜7員環または複素環を形成する)。
【0009】
本教示のもう一つの態様は、ここでの教示に従う1つ以上のグラフトポリマーを含むポリマー組成物に関する。好ましくは、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、約10重量パーセント以上のグラフトポリマーを含む。好ましくは、ポリマー組成物は、約0.5〜約90重量パーセントの、充填剤、安定剤、加工助剤、殺生物剤、ポリマー、着色剤、塩、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の化合物を含む。
【0010】
本発明のもう一つの態様の教示は、(例えば、ここでの教示に従うグラフトポリマーの重合のための)水溶性ポリマーまたはカチオンを含む化合物にグラフトされた1,1−二置換−1−アルケン化合物を含む重合性組成物である。水溶性ポリマーは、1つ、2つ以上の1,1−二置換−1−アルケン化合物にグラフトされ得る。グラフト1,1−二置換−1−アルケン化合物は、(例えば、1,1−二置換−1−アルケン化合物の対向する末端で)1つまたは2つの水溶性ポリマーにグラフトされ得る。1,1−二置換−1−アルケン化合物は、(例えば、1,1−二置換−1−アルケン化合物の対向する末端で)1つまたは2つのカチオンにグラフトされ得る。重合性組成物は、好ましくは約20重量パーセント以上のグラフト1,1−二置換−1−アルケン化合物を含む。重合性組成物は、任意に、グラフトされていない(例えば、カチオンを有さず水溶性ポリマーを有さない)1つ以上の1,1−二置換−1−アルケン化合物を含み得る。重合性組成物及び/またはグラフトポリマーは、1つ以上の架橋剤を含み得る。例えば、重合性組成物は、任意に2つ以上の重合性アルケン基を有する多官能1,1−二置換−1−アルケン化合物を含み得る。重合性組成物は、1,1−二置換−1−アルケン化合物(例えば、グラフトされた1,1−ジエステル−アルケン化合物)の重合反応を促進するための触媒を含み得る。
【0011】
本明細書の教示に従うもう一つの態様は、1,1−ジエステル−1−アルケン化合物を4級アンモニウム化合物または水溶性ポリマーとグラフトするステップを含む、グラフト化合物を形成する方法である。
【0012】
これらの態様は、以下の特長の1つまたは任意の組合せにより特徴づけられ得る。1,1−ジエステル−1−アルケンは各エステル上でグラフトされる。グラフトステップは、酸触媒(好ましくは、ブレンステッド酸)または酵素触媒によって触媒される。グラフトステップは、エステル交換反応を含む。または方法は、(好ましくは、グラフトのステップ後で)1,1−ジエステル−1−アルケン化合物を重合するステップを含む。
【0013】
好ましくは、水溶性ポリマーは、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルコキシド(例えば、ポリエチレングリコールホモポリマーまたはポリエチレングリコールコポリマー)、水溶性のアミン含有ポリマー(例えば、ポリアミン、ポリエチレンイミン、及び4級アンモニウム化合物を含むポリマー)、ビニルメチルエーテル及び無水マレイン酸のコポリマー、ポリビニルピロリドン、これらのコポリマー、またはこれらの任意の組合せ、からなる群から選択される。
【0014】
本明細書の教示のもう一つの態様は、本明細書で教示される重合性組成物のような重合性組成物を重合するステップを含む、グラフトポリマーを形成する方法である。重合反応は、表面または触媒によって触媒され得る。特に好ましい触媒は、テトラメチルグアニジンである。
【0015】
本明細書の教示のもう一つの態様は、1つ以上の塩が(例えば、組成物の総重量に基づいて、約20重量パーセント以上の濃度で)ドーピングされたグラフトポリマー(例えば、本明細書で記載のようなグラフトポリマー)を含む伝導性ポリマー組成物である。
【0016】
本明細書の教示のもう一つの態様は、本明細書に記載のようなグラフトポリマーを含むコーティングである。
【0017】
さまざまな用途のために、グラフトポリマーは、好ましくは、架橋型であるか網目構造を有する。
【0018】
さまざまな態様において、グラフトポリマーは水溶性であり得及び/またはグラフトポリマーは、概して水溶性である相または成分を含み得る。例えば、ポリマーは、水溶性ポリアルコキシドを含み得る。水に曝されたときに、ポリマーが溶解するのを防ぐために、グラフトポリマーは、網目構造が形成されるのに十分な量の架橋結合(例えば、十分な量の架橋剤を利用することによって)を有し得る。架橋結合の量は、好ましくは、ポリマーによる水の吸収が架橋部間のポリマーセグメントの伸展によって制限されるのに十分な量である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】Aは、DEMMとポリエチレングリコールPEG300のエステル交換の例示的な全域H−NMRである。新種の形成は、6.5ppmメチレン(二重結合)領域で確認することができる。図1Bは、ポリエチレングリコールPEG300ポリオールとグラフトされたDEMMの例示的なH−NMRスペクトログラムであり、Aの6.5ppm領域のスペクトラムにおいて2つの種を示す未反応DEMMを含む。エステル交換された種の量は約35パーセントであり、未反応DEMMの量は約65パーセントである。
【図2】Aは、DEMMとグリセロールエトキシレートのエステル交換の例示的なH−NMRスペクトログラムである。新種の形成は、6.5ppmメチレン(二重結合)領域で確認することができる。Bは、Aにおける6.5ppm領域のスペクトラムに見られる2つの種の統合を示す、例示的なH−NMRスペクトログラムである。エステル交換された種の量は約42パーセントであり、未反応DEMMの量は約58パーセントである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に示す説明及び例示は、本発明、その原理、及びその実用的な用途を他の当業者に周知させることを意図する。当業者は、特定の用途の要求に最適であるように、多くの形態で本発明を適応及び適用し得る。従って、記載された本発明の具体的な実施形態は、その教示を網羅または限定することを意図しない。その教示の範囲は、従って、上記の記載を参照して決定するべきではなく、添付の特許請求の範囲を、それが権利を有する同等物の全範囲と共に参照して決定すべきである。特許出願及び出版物を含む全ての論文及び引用文献の開示は、あらゆる目的のために、参照により援用される。下記の特許請求の範囲から明らかになるように、他の組合せもまた可能であり、文書による説明に参照により組み込まれる。
【0021】
特に明記しない限り、本明細書で使用される技術的及び科学的用語は、本開示が属する分野における当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。下記の参照はこの開示に使用される用語の多くの一般的な定義を当業者に提供する。Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(2nd ed. 1994)、The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker ed.、1988)、The Glossary of Genetics、5th Ed.,R. Rieger et al.(eds.),Springer Verlag(1991)、及びHale & Marham,The Harper Collins Dictionary of Biology(1991)。
【0022】
酸触媒は、本明細書で使用される場合、副反応を最小限に抑えながら、または副反応をもたらさずに、エステル交換反応を触媒する酸性種である。本明細書で使用される場合、1つ以上は、列挙の成分の少なくとも1つ、または1つ超が、開示されるように使用され得ることを意味する。官能基数に関して使用される公称とは、理論官能基数を指し、これは概して、使用される原料の化学量論から算出することができる。ヘテロ原子は、または窒素、酸素、硫黄、及びリン等の、炭素または水素ではない原子を指し、ヘテロ原子は、窒素及び酸素を含み得る。ヒドロカルビルは、本明細書で使用される場合、任意に1つ以上のヘテロ原子を含有し得る、1つ以上の炭素原子の主鎖及び水素原子を含有する基を指す。ヒドロカルビル基がヘテロ原子を含有する場合、ヘテロ原子は、当業者に周知の1つ以上の官能基を形成し得る。ヒドロカルビル基は、脂環式、脂肪族、芳香族、またはこれらのセグメントの任意の組合せを含有し得る。脂肪族セグメントは、直鎖または分岐鎖であることができる。脂肪族及び脂環式セグメントは、1つ以上の二重結合及び/または三重結合を含み得る。ヒドロカルビル基には、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルカリル、及びアラルキル基が含まれる。脂環式基は、環状部分及び非環状部分の両方を含有し得る。ヒドロカルビレンは、ヒドロカルビル基またはアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、アルカリーレン及びアラルキレン等の1つを超える原子価を有する任意の記載されたサブセットを意味する。本明細書で使用される場合、重量パーセントまたは重量部は、特別の定めのない限り、記載の化合物または組成物の重量を指すか、あるいはそれらに基づく。特に明記しない限り、重量部は関連する組成物の100部に基づく。
【0023】
第1成分
第1成分は、1,1−二置換−1−アルケン化合物から実質的になるまたは更にそれから完全になるホモポリマー、または1つ以上の1,1−二置換−1−アルケン化合物を含むコポリマーであり得る。コポリマーは、2つ以上の異なる1,1−二置換−1−アルケン化合物を含み得る。コポリマーは、1,1−二置換−1−アルケン化合物ではないが、1,1−二置換−1−アルケン化合物と共重合可能なモノマーを含み得る。コポリマーは、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり得る。1,1−二置換−1−アルケン化合物のいくつかまたは全ては、第2成分に結合される。第1成分は、第1成分のコポリマーを架橋結合するため及び/または網目構造を形成するための架橋剤を含み得る。
【0024】
1,1−二置換−1−アルケン化合物
【0025】
開示される組成物は、好ましくは1,1−ジカルボニル置換アルケン化合物である、1,1−二置換−1−アルケン化合物を含む。好ましい1,1−ジカルボニル置換アルケン化合物は、1,1−ジカルボニル置換エチレン化合物である。1,1−ジカルボニル置換エチレン化合物は、二重結合が付き、さらに2つのカルボニル炭素原子に結合している炭素を有する化合物を指す。例示的な化合物は、式1:
【化3】
で示され、
ここでRは、1つ以上のヘテロ原子を含有し得るヒドロカルビル基であり、及びXは、酸素または直接結合(メチレンβ−ケトエステル等)である。1,1−ジカルボニル置換エチレンの代表的な種類は、メチレンマロン酸エステル、メチレンβ−ケトエステルまたはジケトンである。メチレンマロン酸エステルは、式2:
【化4】
によって例示され、
Rは、各出現において別個に、アルキル、アルケニル、C−Cシクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキルヘテロシクリル、アリール、アラルキル、アルカリル、ヘテロアリール、またはアルクヘテロアリール、またはポリオキシアルキレンであり得、またはRの両方が5〜7員環または複素環を形成し得る。Rは、各出現において別個に、C−C15アルキル、C−C15アルケニル、C−Cシクロアルキル、C2−20ヘテロシクリル、C3−20アルクヘテロシクリル、C6−18アリール、C7−25アルカリル、C7−25アラルキル、C5−18ヘテロアリールまたはC6−25アルキルヘテロアリール、またはポリオキシアルキレンであり得、またはR基の両方が5〜7員環または複素環を形成し得る。列挙の基は、本明細書で開示の反応に干渉しない1つ以上の置換基で置換され得る。好ましい置換基としては、ハロアルキルチオ、アルコキシ、ヒドロキシル、ニトロ、アジド、シアノ、アシルオキシ、カルボキシ、またはエステルが含まれる。Rは、各出現において別個に、C−C15アルキル、C−Cシクロアルキル、C4−18ヘテロシクリル、C4−18アルクヘテロシクリル、C6−18アリール、C7−25アルカリル、C7−25アラルキル、C5−18ヘテロアリールまたはC6−25アルキルヘテロアリール、またはポリオキシアルキレンであり得る。Rは、各出現において別個に、C1−4アルキルであり得る。Rは、各出現において別個に、メチルまたはエチルであり得る。Rは、1,1−ジカルボニル置換エチレン上の各エステル基に対して同一であり得る。例示的な化合物は、ジメチル、ジエチル、エチルメチル、ジプロピル、ジブチル、ジフェニル、及びマロン酸エチル−グルコン酸エチル;またはジメチル及びメチレンマロン酸ジエチル(Rはメチルまたはエチルのどちらか)である。
【0026】
本明細書で開示の1,1−ジカルボニル置換エチレン化合物は、それが重合されるのに十分に高い純度を示す。1,1−ジカルボニル置換エチレンの純度は、70モルパーセント以上、好ましくは80モルパーセント以上、より好ましくは90モルパーセント以上、さらにより好ましくは95モルパーセント以上、及び最も好ましくは99モルパーセント以上の1,1−ジカルボニル置換エチレンが、重合工程の間にポリマーに変換されるのに十分に高い純度であり得る。1,1−ジカルボニル置換エチレンの純度は、1,1−ジカルボニル置換エチレンの総重量に基づいて、約96モルパーセント以上、約97モルパーセント以上、約98モルパーセント以上、約99モルパーセント以上、または約99.5モルパーセント以上である。1,1−ジカルボニル置換エチレンは、4モルパーセント以下の1,1−ジカルボニル置換−1,1ビス(ヒドロキシメチル)−メタン、3モルパーセント以下の1,1−ジカルボニル置換−1,1ビス(ヒドロキシメチル)−メタン、2モルパーセント以下の1,1−ジカルボニル置換−1,1ビス(ヒドロキシメチル)−メタン、1モルパーセント以下の1,1−ジカルボニル置換−1,1ビス(ヒドロキシメチル)−メタン、または0.5モルパーセント以下の1,1−ジカルボニル置換−1,1ヒドロキシメチル−メタンを含有する。ジオキサン基を含有する任意の不純物の濃度は、好ましくは、1,1−ジカルボニル置換エチレンの総重量に基づいて、約2モルパーセント以下、より好ましくは約1モルパーセント以下、さらにより好ましくは約0.2モルパーセント以下、及び最も好ましくは約0.05モルパーセント以下である。(例えば、アルケンと水のマイケル付加反応により)類似ヒドロキシアルキル基によって置換されたアルケン基を有する任意の不純物の総濃度は、1,1−ジカルボニル置換エチレン中の総モルに基づいて、好ましくは、約3モルパーセント以下、より好ましくは、約1モルパーセント以下、さらにより好ましくは約0.1モルパーセント以下、及び最も好ましくは約0.01モルパーセント以下である。好ましい1,1−ジカルボニル置換エチレンは、反応生成物または中間反応生成物(例えば、ホルムアルデヒド及びマロン酸エステル原料の反応生成物または中間反応生成物)を蒸留する、1つまたは複数(例えば、2つ以上)のステップを含む工程によって調製される。
【0027】
官能性化合物は、同一または異なり得る1つ以上のメチレンマロン酸エステルを含み得る。
【0028】
1,1−二置換−1−アルケン化合物は、全体が参照により本明細書に援用される、2016年2月2日発行の米国特許番号第9,249,265B1号(例えば、カラム5の44行からカラム10の30行参照)に開示される、1,1−二置換アルケン化合物及び1,1−二置換エチレン化合物の1つまたは任意の組合せを含み得る。
【0029】
特に好ましいモノマーとしては、メチレンマロン酸メチルプロピル、メチレンマロン酸ジヘキシル、メチレンマロン酸ジイソプロピル、メチレンマロン酸ブチルメチル、メチレンマロン酸エトキシエチルエチル、メチレンマロン酸メトキシエチルメチル、メチレンマロン酸ヘキシルメチル、メチレンマロン酸ジペンチル、メチレンマロン酸エチルペンチル、メチレンマロン酸メチルペンチル、エチルメトキシメチレンマロン酸エチル、メチレンマロン酸エトキシエチルメチル、メチレンマロン酸ブチルエチル、メチレンマロン酸ジブチル、メチレンマロン酸ジエチル(DEMM)、メチレンマロン酸ジエトキシエチル、メチレンマロン酸ジメチル、メチレンマロン酸ジ−N−プロピル、メチレンマロン酸エチルヘキシル、メチレンマロン酸メチルフェンキル、メチレンマロン酸エチルフェンキル、メチレンマロン酸2−フェニルプロピルエチル、メチレンマロン酸3−フェニルプロピルエチル、及びメチレンマロン酸ジメトキシエチルが挙げられる。
【0030】
1,1−二置換−1−アルケン化合物は、2016年11月14日出願の米国仮出願第62/421,754号に記載されるようなエステル交換によって調製される化合物であり得、その内容はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0031】
架橋剤
第1成分は、架橋剤を含み得る。架橋剤は、ポリマーの架橋結合のため及び/または網目構造の形成のために利用され得る。架橋剤は、第1成分の他のモノマーと共重合する化合物であり得る。例えば、架橋剤は、1つ以上(好ましくは2つ以上)のアルケン基を含み得る。好ましくは、各アルケン基は、高分子の間に連結を形成するために個別の高分子上で共重合することができる。もう一つの例では、架橋剤は、2つの高分子を連結するために、2つのそれぞれの高分子上で官能基(すなわち、アルケン基以外の官能基)に結合し得る。架橋剤は、本明細書に記載のような多官能モノマーであり得る。
【0032】
多官能モノマー
1,1−二置換−1−アルケン化合物は、2つ以上のアルケン基を含む多官能性化合物を含み得る。本明細書で利用され得る多官能性化合物の例としては、2016年2月2日発行の米国特許番号第9,249,265B1号(例えば、カラム9の12行からカラム9の46行参照)に記載されるものが挙げられ、その全体が参照により本明細書に援用される。複数のアルケニル基を有する多官能性化合物の他の例としては、米国特許出願第US2016/0068616A1号(例えば、パラグラフ0042参照)に記載のものが挙げられ、本明細書に参照により援用される。例えば、1,1−二置換アルケンのいくつかまたは全ては、1つを超えるコアユニットを有する多官能で、そしてそれによって1つを超えるアルケン基であることもできる。例示的な多官能性1,1−二置換アルケンは、式:
【化5】
によって例示され、
ここでR、R及びXは、前に定義したとおりであり、nは1以上の整数であり、Rはヒドロカルビル基であり、1,1−二置換アルケンはn+1アルケンを有する。好ましくはnは、1〜約7であり、及びより好ましくは1〜約3、及びさらにより好ましくは1である。例示的な実施形態ではRは、各出現において別個に、直鎖または分岐鎖アルキル、直鎖または分岐鎖アルケニル、直鎖または分岐鎖アルキニル、シクロアルキル、アルキル置換シクロアルキル、アリール、アラルキル、またはアルカリルであり、ここでヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基の主鎖に1つ以上のヘテロ原子を含有し得、及び化合物またはその化合物から調製されるポリマーの最終的な機能に悪影響を及ぼさない置換基で置換され得る。例示的な置換基は、Rに関して有用だと開示されるものである。ある特定の実施形態では、Rは、各出現において別個に、C1−15直鎖または分岐鎖アルキル、C2−15直鎖または分岐鎖アルケニル、C5−18シクロアルキル、C6−24アルキル置換シクロアルキル、C4−18アリール、C4−20アラルキルまたはC4−20アラルキル基である。ある特定の実施形態では、Rは、各出現において別個に、C1−8直鎖または分岐鎖アルキル、C5−12シクロアルキル、C6−12アルキル置換シクロアルキル、C4−18アリール、C4−20アラルキルまたはC4−20アルカリル基である。
【0033】
利用される場合、多官能性化合物の量は、好ましくは、ポリマーのガラス転移温度が重合の際に形成される架橋により形成される網目構造によって大きく影響されないということを満たすのに十分に少ない量である。例えば、多官能性化合物によるガラス転移温度の任意の上昇は、好ましくは、約50℃以下である。好ましくは多官能性化合物の量は、1,1−二置換−1−アルケン化合物の総重量に基づいて(例えば、重合性組成物またはグラフトポリマー中)、約50重量パーセント以下、より好ましくは約30重量パーセント以下、及び最も好ましくは約12重量パーセント以下である。多官能性化合物の量は、好ましくは、網目または他の架橋構造が得られるのに及び/または重合反応を促進するのに、十分に多い量である。網目構造は、グラフトポリマーが水に完全に吸収されるのを避けるのに特に有用であり得る。重合反応の促進は、グラフトポリマーを含む接着剤またはコーティングの硬化時間を低減させるのに特に有用であり得る。多官能化合物の量は、1,1−二置換−1−アルケン化合物の総重量に基づいて、好ましくは約0.2重量パーセント以上、より好ましくは約0.5重量パーセント以上、さらにより好ましくは約1.5重量パーセント以上、及び最も好ましくは約3.6重量パーセント以上の量で存在する。
【0034】
第2成分
1,1−二置換−1−アルケン化合物(例えば、1,1−ジエステル−1−アルケン化合物)の一部または全ては、グラフト化合物に親水性の特徴を付与する第2成分とグラフトされる。第2成分(すなわち、親水性成分)は、水溶性ポリマーまたはイオン性の性質を有する官能性化合物であり得る。
【0035】
親水性成分は、オリゴマーのポリマー(例えば、約200g/モル〜約8500g/モルの分子量を有する)または高分子量ポリマー(8500g/モルを超える分子量を有する)を含み得る。そのようなポリマーとしては、ポリアクリルアミドホモポリマー及びコポリマー、ポリビニルアルコールホモポリマー及びコポリマー、ポリアクリレートホモポリマー及びコポリマー、ポリアルコキシドホモポリマー及びコポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド)、アミン含有ポリマー(例えば、ポリアミン、ポリエチレンイミン、及び4級アンモニウム化合物を含むポリマー)、ビニルメチルエーテル及び無水マレイン酸のコポリマー、ならびにポリビニルピロリドンホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。
【0036】
第2成分は、下記の構造:
【化6】
を持つカチオンを有する塩等の1つ以上の4級アンモニウム化合物を含み得るか本質的にこれらからなり得、
ここで窒素は、4つの炭素原子に結合される。好ましくは、窒素原子は、1つ以上のアルコキシ基に直接結合する。例えば、4級アンモニウム化合物は構造:
【化7】
を有し得、
ここでXは、対アニオンである。好ましくは、R、R、R、及びRは、各アルキルまたはアルコキシ基、最も好ましくはC、C、C、またはCアルキルまたはC、C、C、またはCアルコキシ基である。4級アンモニウム化合物上のアルコキシ基の数は、1つ、2つ、またはそれ以上であり得、最も好ましくは1つである。
【0037】
4級アンモニウム化合物に対する対アニオンは、任意のアニオンであり得る。アニオンの例としては、ハロゲンアニオン(フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、またはヨウ素イオン)、水酸化イオン、酢酸イオン、塩素酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、及び亜硫酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸アニオン、亜硫酸塩アニオン、及び炭酸イオンが挙げられる。特に好ましいアニオンとしては、亜硫酸イオン、硝酸イオン、及び炭酸イオンが挙げられる。
【0038】
グラフトまたはエステル交換反応
第2成分は、化合物を結合することのできる任意の方法を使用して、1,1−二置換−1−アルケン化合物(例えば、1,1−ジエステル−1−アルケン化合物)にグラフトされ得る。好ましくは、1,1−二置換−1−アルケン化合物は、共有結合によって第2成分に直接結合され得る。第2成分をグラフトするための好ましい反応は、エステル交換反応である。エステル交換反応は、1つ以上の触媒を利用し得る。グラフト反応は1,1−二置換−1−アルケン化合物の重合の前または後に起こり得ることが理解されよう。好ましくは、グラフト反応は、重合反応の前に実施される。
【0039】
例示的なグラフト反応が下に示され、ここで1,1−二置換−1−アルケン化合物(例えば、DEMM)が、触媒(例えば、酸触媒または酵素触媒)を用いたエステル交換反応によって、4級アンモニウム塩と反応させられる。
【化8】
【0040】
もう一つの例示的なグラフト反応が下に示され、ここで1,1−二置換−1−アルケン化合物(例えば、DEMM)が、エステル交換反応によって、水溶性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)と反応させられる。
【化9】
【0041】
触媒
本明細書の教示に従うエステル交換反応は、典型的に、1つ以上の触媒の存在下で実施される。エステル交換触媒は、酸、それらの酸のエステルまたは酵素であり得る。エステル交換触媒は、酵素であり得る。エステル交換触媒は、リパーゼ酵素であり得る。酵素を使用したエステル交換の工程が、米国特許出願第2014/0329980号に開示され、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0042】
エステル交換触媒は、極性非プロトン性溶媒中約−5〜約14のpKa値を有する1つ以上の酸または酸のエステルであり得る。酸または酸のエステルは、エステル交換された化合物を含有するエステルの1モル当量あたり、約3.0モル当量以下の酸または酸のエステル量で存在し得る。触媒が酸または酸のエステルであるとき、方法は、約20℃〜約160℃の温度で実施され得る。エステル交換触媒は、リパーゼ酵素触媒であり得る。触媒がリパーゼ酵素触媒であるとき、エステル交換ステップは約20℃及び70℃の間の高温で実施される。エステル交換反応の最中、揮発性副生物が生成され、反応混合物から除去され得る。揮発性副生物は、減圧をかけることによって反応混合物から除去され得る。揮発性副生物は、アルコールであり得る。
【0043】
触媒は、酸またはそのエステルであり得る。酸またはエステルを使用したエステル交換の工程は、2015年7月31日出願の米国特許出願番号第14/814,961号に開示され、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。副反応を最小限に抑えながらエステル交換を触媒するいずれの酸またはそのエステルが使用され得る。いくつかの実施形態では、酸またはエステルを生成するのに使用される酸は、以下に開示されるように、アセトニトリルまたはジオキサン等の極性非プロトン性溶媒中にpKa値を有する酸である。具体的にはpKa値は、副反応と反応混合物における触媒の濃度を最小限に抑えながら、効率的にエステル交換反応を触媒するように選ばれる。使用される酸は、約−5以上、約−3以上、または約1.0以上のpKa値を有し得る。使用される酸は、約14以下、約11以下、または約9以下のpKa値を有し得る。酸は、開示のようなpKa値を有するブレンステッド酸であることができる。触媒は、超酸またはそのエステルであり得る。超酸とは、硫酸100パーセントの強度を超える酸の強度を有する酸を意味する。そのエステルとは、酸触媒のコンテクストで使用される場合、酸上の水素がヒドロカルビル基、好ましくはアルキル基と置換される化合物を指す。超酸は、硫酸100パーセントの強度を超える強度を有し、pKa値は、硫酸100パーセントを下回る値を有する、すなわち、8未満、より好ましくは約5未満、及び最も好ましくは約2未満である酸である。酸度の測定は、本明細書に参照により援用される、2010年12月17日にウェブ上で出版されたKutt et al.“Equilibrium Acidities of Super Acids”Journal of Organic Chemistry Vol 76 pages 391〜395、2011、に基づく。例示的な超酸としては、トリフルオロメタンスルホン酸(トリフリック酸)、硫酸化酸化スズ、三フッ化酸化スズ、硫酸化ジルコニア、三フッ化ジルコニア、及び三フッ化HZSM−5が挙げられる。最も好ましい超酸は、トリフリック酸及びフルオロ硫酸である。
【0044】
例示的な酸触媒としては、トリフリック酸、フルオロ硫酸、及び硫酸が挙げられる。一置換(アルコール上の1つだけのヒドロキシル基が、エステル交換によって置換されている)を必要する反応には、硫酸と等しいまたはより高いpKa値を持つ、より弱い酸が所望され得る。そのような酸の例としては、硫酸またはメタンスルホン酸が挙げられる。二置換(アルコール上の2つのヒドロキシル基が、エステル交換によって置換されている)を必要とする反応には、硫酸と等しいまたはより低いpKa値を持つ、より強い酸が所望され得る。そのような酸の例としては、硫酸、フルオロ硫酸、及びトリフリック酸が挙げられる。多置換(アルコール上で2つを超えるヒドロキシル基)を必要とする反応には、酸触媒の選択は、二置換反応のための場合と似たものとすることができるが、反応時間を増加させる必要があり得る。触媒として有用な酸のエステルは、アルキルトリフレートが挙げられる。
【0045】
触媒は、反応物質と混合することができ、もしくは膜等の基質上または多孔性支持構造のような不活性担体上に担持させることができる(触媒は不均一系であることができる)。担持されていない触媒は、一般に均一系と称される。触媒は、エステル交換反応を触媒する任意の濃度で使用することができる。反応に使用される触媒の量は、選択されている触媒の種類に応じて変わる。触媒の濃度は、エステル交換を行っているエステル化合物の1当量あたり約3モル当量以下であり、約1モル当量以下、約0.5モル当量以下、約0.1モル当量以下である。触媒の濃度は、エステル交換を行っているエステル化合物の1当量あたり約0.01モル当量以上であり、最も好ましくは約0.1モル当量以上である。列挙したよりも高い触媒濃度が、使用され得る。Malofskyらの米国特許第8,609,885号及び第8,884,051号、ならびにMalofskyらの国際出願第2013/059473号に開示されるように、回収された1,1−二置換アルケン化合物中の酸の存在は、化合物の使用に関して問題を引き起こし得、生成物の使用において酸の低い濃度が所望される。高い酸濃度が最終生成物に含有されている場合、追加の精製または除去ステップが必要とされ得る。列挙した量は、効率的な触媒作用と、使用のための生成物における低い酸濃度の必要性との間のバランスを達成する。触媒が硫酸または硫酸よりも下回るpKa値を有する酸から選択される実施形態では、反応混合物中のそのような触媒の濃度は、好ましくは、本明細書に列挙する範囲の中で最も高いものである。
【0046】
触媒は、酵素触媒を含むか完全にそれからなり得る。エステル交換反応の触媒に適した任意の酵素触媒が使用され得る。さまざまな酵素触媒が、米国特許第7,972,822B2号(Grossらによる、2011年7月5日に発行、例えば、カラム8、行2〜4行及び7〜35行参照)、米国特許第5,416,927A号(Zaksらによる、1994年5月31日に発行、例えば、カラム2、64行〜カラム3、12行参照)、米国特許第5,288,619A号(Brownらによる、1994年2月22日に発行、例えば、カラム4、18行〜カラム5、17行参照)、米国特許出願第2016/177,349A1号(Addyらによる、2016年6月23日に公開、例えば、段落0046〜0048参照)、米国特許出願公開第2014/0017741A1号(Nielsenらによる、2014年1月16日に公開、例えば、段落0026〜0029参照)に記載され、これらの内容は各々、参照により本明細書に援用される。
【0047】
多くの異なる酵素が、ワックスエステルに対して酵素触媒エステル交換反応で利用され得、生物有機体由来/生物有機体から得た酵素、合成的に作成された酵素、ならびに生物学的及び/または合成的のいずれかで作成された完全に人工的な酵素を含む。リパーゼであるこれらの酵素としては、下記の微生物に由来するリパーゼの1つ、いくつか、いずれか、または任意の組合せを含み得る:Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Bacillus subtilis、Bacillus thermocatenulatus、Burkholderia cepacia、Burkholderia glumae、Candida rugosa、Candida antarctica A、Candida antarctica B、Candida cylindracea、Candida parapsilosis、Chromobacterium viscosum、Geotrichum candidum、Geotrichum sp.、Mucor miehei、Humicola lanuginose、Penicillium camembertii、Penicillium chrysogenum、Penicillium roquefortii、Pseudomonas cepacia、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas fluorenscens、Pseudomonas fragi、Pseudomonas alcaligenes、Pseudomonas mendocina、Rhizopus arrhizus、Rhizomucor miehe、Staphylococcus hyicus、Staphylococcus aereus、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus warneria、Staphylococcus xylosus、Thermomyces lanuginosus、Aspergillus sp.、Bacillus sp.、Burkholderia sp.、Candida sp.、Chromobacterium sp.、Geotrichum sp、Mucor sp、Humicola sp、Penicillium sp、Pseudomonas sp、Rhizopus sp.、Staphylococcus sp、及びThermomyces sp。リパーゼは、下記の1つまたは任意の組合せを含み得るあるいはから本質的になる:デンマーク、バウスベアのNovozymes A/Sにより、LIPOZYME TL IMまたはLIPEXの商品名で市販されており、同じくNovozymesによって製造される基質上に固定されているThermomyces lanuginosus由来のリパーゼ;Novozymes、A/Sにより、NOVOZYMの商品名で市販されているCandida antarctica由来のリパーゼ;Novozymesにより、CALB L、NOVOZYME435、NOVOCOR AD L、及びLIPOLASE100Lの商品名で市販されているリパーゼ;ドイツ、ライプチヒのGMBH、c−Lectaにより、CALB、CALA、及びCRL商品名で市販されているリパーゼ;日本、名古屋のAmano Enzyme Inc.により、リパーゼA「アマノ」12、リパーゼAY「アマノ」30SD、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼR「アマノ」、リパーゼDF「アマノ」15、リパーゼMER「アマノ」、及びニューラーゼFの商品名で市販されているリパーゼ;日本、名古屋のMeito Sangyo Co.,Ltd.により、リパーゼMY、リパーゼOF、リパーゼPL、リパーゼPLC/PLG、リパーゼQLM、リパーゼQLC/QLG、リパーゼSL、及びリパーゼTLの商品名で市販されている、Candida antarctica A由来のリパーゼ、Candida antarctica B由来のリパーゼ、及びCandida rugosa由来のリパーゼ。さまざまな実施態様では、リパーゼは、好ましくはそれらの全てが参照により既に援用されている本明細書に開示のリパーゼ、及び本明細書に開示の特許出願のリパーゼのいずれかに対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、またはさらに少なくとも99%の同一性を有する。
【0048】
グラフト1,1−二置換−1−アルケンの重合
グラフト1,1−二置換−1−アルケン化合物は、成長しているポリマー鎖上でアルケン基を反応させることによって重合され得る。好ましくは、アルケン基の約70%以上、さらにより好ましくは約90%以上、及び最も好ましくは約98%以上が重合される。好ましくは、ポリマーは、結果として生じたグラフトポリマーが親水性または水溶性であるように、十分な量の親水性成分(例えば、水溶性ポリマー及び/またはカチオン含有化合物)を含む。重合反応は、(例えば、テトラメチルグアニジンを使用して)触媒され得る。
【0049】
水溶性ポリマーを含むグラフト1,1−二置換アルケンの重合を、下に例示する。
【化10】
【0050】
カチオン含有化合物を含むグラフト1,1−二置換アルケンの重合を、下に例示する。
【化11】
【0051】
重合反応は、モノマーをポリマーに転換するのに十分に高い1つ以上の反応温度で起こり得る。重合反応工程が進行するにつれ、重合性組成物は粘性液体、ガラス性液体(例えば、ポリマーのガラス転移温度未満)またはさらに固体(例えば、ポリマーの溶融温度未満)になり得る。好ましくは、反応温度は、結果として生じるポリマー(例えば、第1成分)のガラス転移温度を超える温度である。好ましくは、反応温度は、結果として生じるポリマーのいずれの溶融温度をも超える温度である。代替として、工程は比較的低い(例えば、ポリマーの任意の溶融温度未満及び/またはガラス転移温度未満の)温度での初期重合、及び、次いでより高い(例えば、ポリマーの溶融温度を超える及び/またはガラス転移温度を超える)温度での二次重合反応を含み得る。反応温度及び反応時間は、重合の所望のレベル及び/または所望のレベルの架橋結合を提供するために選択され得る。
【0052】
重合性系(すなわち、重合性組成物)
本明細書の教示に従う一態様は、グラフト(例えば、4級アンモニウム化合物または水溶性ポリマーとグラフトされた)1,1−二置換アルケン化合物を含み、好ましくは、任意のそのようなグラフトを有さない1つ以上の1,1−二置換アルケン化合物(例えば、メチレンマロン酸エステルモノマー)をさらに含む重合性系に関する。メチレンマロン酸エステルモノマーは、グラフト化合物のアルケニル基と共重合されるように選択され得る。グラフト化合物はメチレンマロン酸エステルモノマーと同一または異なる1,1−二置換−1−アルケン化合物を含み得ることが理解されよう。
【0053】
アルケニル基を有するグラフト化合物に関して本明細書に記載されている任意のメチレンマロン酸エステル化合物が、重合性組成物において追加のモノマーとして利用され得る。メチレンマロン酸エステルモノマーは、部分的にまたは全体的にダイマー、トリマー、またはより長い(例えば、約4〜50、約4〜15、または約4〜8重合度を有する)オリゴマーと置換され得ることが理解されよう。
【0054】
重合性系は、重合性系の重合を防ぐまたは最小限に抑えるために十分な量の安定剤を含み得る。工程は、メチレンマロン酸エステルモノマー及びグラフト化合物に結合されたアルケニル基(複数可)を重合するために、重合性系を活性化するステップを含み得る。
【0055】
重合性系は、1つ以上の1,1−二置換アルケン化合物を含む第1ブロック及び水溶性ポリマーを含む第2ブロックを含むブロックコポリマーであるグラフトポリマーを形成するのに使用され得ることが理解されよう。第1ポリマーブロックの量は、ブロックコポリマーの総重量に基づいて、好ましくは約10重量パーセント以上、より好ましくは約20重量パーセント以上、さらにより好ましくは約25重量パーセント以上、及び最も好ましくは約30重量パーセント以上である。第1ブロックの量は、ブロックコポリマーの総重量に基づいて、約90重量パーセント以下、約80重量パーセント以下、約70重量パーセント以下、約60重量パーセント以下、あるいは約50重量パーセント以下であり得る。
【0056】
ブロックコポリマー中の水溶性ポリマーの量は、ブロックコポリマーの総重量に基づいて、好ましくは約10重量パーセント以上、より好ましくは約20重量パーセント以上、さらにより好ましくは約30重量パーセント以上、さらにより好ましくは、約40重量パーセント以上、及びそして最も好ましくは約50重量パーセント以上である。水溶性ポリマーの量は、ブロックコポリマーの総重量に基づいて、約90重量パーセント以下、約80重量パーセント以下、約75重量パーセント以下、または約70重量パーセント以下であり得る。ブロックコポリマー中の第1成分の重量の水溶性ポリマーの重量に対する比率は、約0.05以上、約0.10以上、約0.20以上または約0.45以上、または約0.60以上であり得る。第1成分の重量の水溶性ポリマーの重量に対する比率は、約10以下、約8以下、約6以下、約4以下、約3以下、または約2以下であり得る。
【0057】
グラフト1,1−二置換アルケン化合物及び/または重合性系は、膜またはコーティングのために使用され得る。膜またはコーティングは、約0.001μm以上、約0.1μm以上、約1μm以上、または約2μm以上の厚みを有し得る。コーティングまたは膜は、好ましくは約200μm以下、より好ましくは約50μm以下、及び最も好ましくは約20μm以下の厚みを有する。
【0058】
グラフトポリマーは、約10重量パーセント以上のグラフトポリマー、及び約0.5〜約90重量パーセントの充填剤、安定剤、加工助剤、殺生物剤、ポリマー、着色剤、塩、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の化合物、を含むポリマー組成物に使用され得る。例えば、ポリマー組成物は、ポリマー組成物が導電体であるのに十分な量の塩を含み得る。
【0059】
第2成分は、製油分野用途の使用のために1,1−二置換アルケン化合物(または結果として生じたグラフトポリマー)に有用な特性を付与し得る。例えば、グラフト化合物は、油性湿潤剤、殺菌剤、または腐食防止剤として使用され得る。
【0060】
本明細書の教示に従う組成物、化合物及びグラフトポリマーは、グラフトポリマーの成分の1つまたは両方の特長による利点を活かすさまざまな用途に利用され得る。特に、これらの物質は、電子機器において(導電性ポリマー)、界面活性剤として、アイオノマー、製薬工程で、水処理における石油回収で、凝集剤として、湿式製錬工程で、または洗浄剤として利用され得る。他の用途としては、親水性コーティングとしての用途が挙げられる。例えば、このようなコーティングは、防汚用途に有用であり得る。理論によって限定するわけではないが、高い水和量は、タンパク質及び微生物が付着し難い表面をもたらし得ると考えられる。従って、本明細書の教示に従う物質は、表面上の生物体蓄積を防ぐまたは低減し得る。これらは、植物、藻類、微生物、または動物による汚染から保護するために使用され得る。本明細書の教示に従う物質及び組成物は、特に、汚染する、または別様に表面に付着する能力を有する生物を含有する水域に少なくとも部分的に浸った表面上で使用され得る。これらは、ムール貝(例えば、ゼブラ貝)、軟体生物、フジツボ、及び硬質の炭酸カルシウム含有構造を形成する他の生物を含む石灰質汚染有機体による汚れを防ぐために使用され得る。これらは、藻類、生物膜、海藻及び炭酸カルシウム含有構造を欠く他の生物を含む非石灰質有機体による汚れを防ぐのに使用され得る。本明細書の教示に従う物質及び組成物は、表面から水分を除去するため及び/または表面を乾燥状態に保つために使用され得る。本明細書の教示に従う物質及び組成物は、液体廃棄物を安定した固体または液体がグラフトポリマーによって吸収される他の構造に転換するために使用され得る。これは、液体が化学的に有害な化合物、生物学的に有害な物質、毒性物質、または環境的に有害な物質を含む場合、特に有用であり得る。
【0061】
本明細書で列挙される全ての数値は、低い方の値から高い方の値まで、任意の低い方の値と任意の高い方の値との間で少なくとも2単位の分離が存在することを前提に、1単位ずつの増加における全ての値を含む。例として、もし成分の量、または工程の変数例えば温度、圧力、時間などの値が、例えば、1〜90、好ましくは20〜80、より好ましくは30〜70であると述べられている場合、15〜85、22〜68、43〜51、30〜32などのような値が、本明細書で明示的に示されていることを意図する。1未満である値に関して、1単位は、適宜、0.0001、0.001、0.01または0.1とみなされる。これらは単に具体的に意図するものの例であり、示される最小値と最大値の間の数値の可能な組合せが全て同様に明示的に、本出願において提示されるとみなされるべきである。本明細書中で、分かるように、「重量部」と表す量の教示は、重量パーセントに換算して表される同じ範囲も企図する。従って、本発明の詳細な説明において「結果として生じたポリマーブレンド組成物の『x』重量部」によって範囲を表す場合には、また、「x」の同じ列挙量の範囲を、結果として生じたポリマーブレンド組成物の重量パーセントで教示することも企図する。
【0062】
特に明記しない限り、範囲は全て両端点及び両端点間の全ての数を含む。範囲に関連する「約」または「おおよそ」の使用は、その範囲の両端に適用される。従って、「約20〜30」は「約20〜約30」をも意味することを意図し、少なくとも具体的な両端を包含する。
【0063】
特許出願及び出版物を含む全ての論文及び引用文献の開示は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。組合せを説明するための用語「〜から本質的になる」は、特定された要素、原料、成分またはステップと、この組合せの基本的な新規特徴に実質的に影響を与えない他の要素、原料、成分またはステップを含むものとする。本明細書の要素、成分またはステップの組合せを説明するための用語「含む(comprising)」または「含む(including)」の使用は、また、要素、原料、成分またはステップから本質的になる実施例も企図する。
【0064】
複数の要素、原料、成分またはステップは、単一の一体化した要素、原料、成分またはステップによってもたらすことができる。代替的に、単一の一体化した要素、原料、成分またはステップは、個別の複数の要素、原料、成分またはステップに分けられ得る。本開示の要素、原料、成分またはステップを説明する「1つ(a)」または「1つ(one)」は、追加の要素、原料、成分またはステップを排除することを意図しない。
【0065】
上の説明は、例示的な目的であって、限定目的ではないことが理解されるべきである。記載した例以外の多くの実施形態及び多くの用途が、上記説明を読めば、当業者に明白であろう。従って、本発明の範囲は、上記説明を参照して決定すべきではなく、添付の特許請求の範囲を、それが権利を有する同等物の全範囲と共に参照して決定すべきである。特許出願及び出版物を含む全ての論文及び引用文献の開示は、あらゆる目的のために参照により援用される。本明細書で開示される、下記の請求の範囲における、主題のいずれの態様の省略は、そのような主題の放棄を意図せず、また発明者がそのような主題を開示された本発明の主題の一部ないと考えたともみなされるべきではない。
【実施例】
【0066】
実施例1
実施例1は、ポリアルキレングリコールとグラフトされたメチレンマロン酸エステルモノマー及び未反応メチレンマロン酸エステルモノマーを含む反応混合物である。グラフト反応は、PEG化工程を用いて実行される。
【0067】
CARBOWAX(商標)PEG300ポリエチレングリコール(DOW CHEMICAL COMPANYから販売)を、アルミナカラムに通して残留塩基触媒に対して精製する。ポリエチレングリコールは、約285〜300g/モルの数平均分子量、約340〜394mgKOH/gのヒドロキシル価、約−15℃〜約−8℃の融解温度範囲、及び約37cal/gの融解熱を有する。丸底フラスコ250mLに、約30g(0.17モル)のDEMM、約3g(DEMMの10重量%)のCLEA 102B4酵素及び約16.6g(0.083モル)のPEG300(アルミナを通過させた)を充填した。フラスコを、約200mmHgの減圧のロータリーエバポレーターにつなぎ、約45℃に2時間加熱する。減圧は、反応生成物としてのエタノールを除去する。次いで、酵素を20mlシリンジで綿栓を使用して反応混合物から濾過する。NMRの結果は、約35パーセントのDEMMがPEGに反応し、約65パーセントのDEMMが反応混合物中で未反応モノマーのままであったことを示す。図1は、反応混合物のNMRを示す。
【0068】
グラフトDEMMは、ポリアルコキシドを含むポリマー中心部及び下に例示する特長の1つまたは複数(または全て)を有するメチレンマロン酸の末端基を含む構造を有し得る。
【化12】
【0069】
グラフトDEMMの反応混合物をあらかじめ処理した(ブチルセロソルブ中0.1%の安息香酸ナトリウム)冷間圧延鋼板上にマイヤーロッド10を使用して塗り延ばし、24時間室温で完全硬化させ、続いて1時間82℃で加熱して25ミクロン厚のコーティングを結果として得る。コーティングは、容易に表面を湿らせ、継続する暴露をもってやがてコーティング層を通して浸透する水の親水特徴を示す。DEMMモノマーのみを塗り延ばした類似のコーティングは、親水特徴を示さない。これは、DEMMベースのコーティング中のポリエチレングリコールによって付与される親水性を示す。
【0070】
実施例2
実施例2は、メチレンマロン酸エステルモノマーへグラフトされたポリアルキレングリコール、及び未反応メチレンマロン酸エステルモノマーを含む反応混合物である。ポリアルキレングリコールのグラフトは、酸触媒エステル交換工程を用いて実行される。
【0071】
蒸留ヘッド、温度計、真空アダプター、及び収集フラスコを持つ3つ口丸底フラスコ(250mL)を、加熱マントル(及び熱電対)及びマグネチックスターラーと共に高真空用グリースを使用して組み立てる。この丸底フラスコ構成に、約20g(約0.12モル)のDEMM、約4.6g(約0.023モル)のCARBOWAX(商標)PEG200ポリエチレングリコール(DOW CHEMICAL COMPANYから販売)、約0.02g(約1000ppm)のMeHQ及び約0.3ml(約0.0058モル)のHSOの混合物を充填する。CARBOWAX(商標)PEG200ポリエチレングリコールは、約190〜210g/モルの重量平均分子量、約535〜約590mgKOH/gの平均ヒドロキシル価、及び約−65℃より低いの溶融点を有する。約400mmHgの減圧を、反応の間、真空ポンプを使用して保持する。次いで、反応混合物を約130℃に加熱し、約2時間攪拌する。エタノールを反応副生物として収集する。PEGのDEMMへのグラフト量を、NMRを使用して算出する。DEMMの約45パーセントがPEGと反応し、DEMMの約55パーセントがモノマーのまま残る。
【0072】
グラフト化合物は、ポリアルコキシドを含むポリマー中心部及び下に例示する特長の1つまたは複数(または全て)を有するメチレンマロン酸の末端基を含む構造を有し得る。
【化13】
【0073】
実施例3
実施例3は、メチレンマロン酸エステルモノマーにグラフトされたグリセロールエトキシレート、及び未反応メチレンマロン酸エステルモノマーを含む反応混合物である。グリセロールエトキシレートのグラフトは、エステル交換工程を用いて実行され得る。
【0074】
丸底フラスコ250mLに、約30g(約0.17モル)のDEMM、約3g(DEMMの100部あたり約10部)の酵素NOVOZYME 435 candida antarticaアイソフォームB(NOVOZYMEから販売)及び約56g(約0.056モル)のグリセロールエトキシレート(約1000の数平均分子量を有し、Sigma Aldrichから入手)を充填する。フラスコを約200mmHgの減圧のロータリーエバポレーターにつなぎ、約55℃に約8時間加熱する。エタノールを反応副生物として除去する。次いで、酵素を反応混合物の単離のために、20mlシリンジで綿栓を使用して生成物から濾過する。反応混合物のNMRの結果を得、グリセロールエトキシレートから末端キャップされた生成物への転換を算出するのに使用する。約40%の所望のエステル交換された生成物(すなわち、末端キャップされた生成物)のが観察される。反応混合物のNMRスペクトラムを図2に示す。反応混合物は、二置換及び三置換グリセロールエトキシレート反応生成物を含むと考えられる。結果として生じた反応混合物は、下の構造に示される特長の1つまたは複数を有するグラフト化合物を含む。
【化14】
【0075】
反応混合物を、あらかじめ処理した(ブチルセロソルブ中0.1%の安息香酸ナトリウム)冷間圧延鋼板上にマイヤーロッド10を使用して塗り延ばし、約24時間室温で完全硬化させ、次いで約82℃で約1時間加熱して約25ミクロン厚のコーティングを結果として得る。コーティングは、容易に表面を湿らせ且つ継続する暴露をもってやがてコーティング層を通して浸透する水の親水性特徴を示す。比較して、DEMMのみと置換され、同一の条件(例えば、DEMMホモポリマーを生じさせる)で硬化させた反応混合物で調製した標本は親水性特徴を示さない。このように、グリセロールエトキシレートをグラフトしたDEMMは、コーティング(例えば、DEMMベースのコーティングのようなメチレンマロン酸エステルコーティングにおいて)に親水性を付与するのに使用され得る。
【0076】
グラフトポリマーの特徴づけ
グラフトポリマーは、水溶性/親水性特性に関して評価され得る。
【0077】
エタノール中、約0.1重量%の安息香酸ナトリウムまたは約0.5重量%のテトラメチルグアニジン(すなわち、TMG)どちらかのプライマー溶液を、マイヤーロッドを使用して鋼板の上に塗り延ばす。溶液を、室温で急速に蒸発させる。次いで、2mlの重合性組成物(例えば、メチレンマロン酸化合物に直接結合する第2成分を含む)を板の上部に塗布し、マイヤーロッドを使用して同様の方法で塗り延ばす。コーティングを、硬化のために室温で終夜約18時間放置する。
【0078】
硬化したコーティングを、逆浸透(すなわち、RO)水の単一液滴を表面に塗布し、コーティングが溶解されるまたは液滴が吸収される時間の量を計測して試験する。コーティングは、容易にコーティングの表面を湿らせ且つ継続する暴露をもってやがてコーティング層を通して浸透し及び好ましくはコーティングを除去する水の親水性特性を示す。
【0079】
いくつかのグラフトポリマーをメチレンマロン酸ジメチルモノマー、グリセロールエトキシレートで官能化したメチレンマロン酸ジエチル、及び架橋剤を下記の表に示すように混合することによって調製し、コーティングを以下の方法で試験した。上記のようにプライマー溶液で処理された鋼基板の上で重合を行う。
【表1】
【0080】
第1成分の重合後、第1成分はD3Mのランダムコポリマー、DEMM、及び架橋剤を含み、ここで架橋剤は、複数の重合性アルケン基を有する多官能1,1−二置換−1−アルケン化合物である。第2成分(すなわち、親水性成分)は、グリセロールエトキシレートから本質的になる。
【0081】
室温で終夜硬化させた後、水の液滴がコーティングを溶解する時間を測定する。架橋剤の量が増加するにつれて、コーティングを溶解する時間が増加する。
【0082】
試料をまた、コーティングを約80℃の温度で約30分加熱して二次硬化させる以外は上に記載したように調製する。二次硬化後、コーティングを溶解するための時間が増加する。
【図1】
【図2】
【手続補正書】
【提出日】20181122
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフトポリマーであって、
i.1,1−二置換−1−アルケン化合物を含む1つ以上のモノマーを重合することによって形成されたポリマーを含む第1成分であって、
ii.親水性成分である第2成分に結合され、
前記親水性成分はカチオンまたは水溶性ポリマーを含む、前記第1成分、
を含む、
前記グラフトポリマー。
【請求項2】
前記親水性成分が、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルコキシド、水溶性のアミン含有ポリマー、ポリエチレンイミン、または4級アンモニウム化合物を含むポリマー、ビニルメチルエーテル及び無水マレイン酸のコポリマー、ポリビニルピロリドン、これらのコポリマー、またはこれらの組合せからなる群から選択される水溶性ポリマーである、請求項1または2に記載のグラフトポリマー。
【請求項3】
前記グラフトポリマーが、以下のの1つまたは任意の組合せによって特徴づけられる、請求項1から3のいずれかに記載のグラフトポリマー:
i)前記第1成分の前記モノマーの20原子パーセント以上が前記第2成分に直接結合する、または
ii)前記第1成分が、前記グラフトポリマーの総重量に基づいて、10重量パーセント以上の量で存在する、または
iii)前記第2成分が、前記グラフトポリマーの総重量に基づいて、20重量パーセント以上の量で存在する、または
iv)前記第1成分及び前記第2成分の総量が、前記グラフトポリマーの総重量に基づいて、50重量パーセント以上である。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のグラフトポリマーであって、前記1,1−二置換−1−アルケン化合物が、構造:
【化1】
を有する1つ以上の1,1−ジエステル−1−アルケンを含み、
ここでRは、1つ以上のヘテロ原子を含有し得るヒドロカルビル基であり、Xは、酸素または直接結合である、
前記グラフトポリマー。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のグラフトポリマーであって、前記1,1−二置換−1−アルケン化合物が構造:
【化2】
有する、メチレンマロン酸エステルであり、
ここでRは、各出現において別個に、アルキル、アルケニル、C−Cシクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキルヘテロシクリル、アリール、アラルキル、アルカリル、ヘテロアリール、またはアルクヘテロアリール、またはポリオキシアルキレンであるか、または前記Rの両方が5〜7員環または複素環を形成する、
前記グラフトポリマー。
【請求項6】
ポリマー組成物であって、
i)前記ポリマー組成物の総重量に基づいて、10重量パーセント以上の請求項1から5のいずれかに記載のグラフトポリマー、及び
ii)0.5〜約90重量パーセントの、充填剤、安定剤、加工助剤、殺生物剤、ポリマー、着色剤、塩、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の化合物を含む、
前記ポリマー組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のグラフトポリマーの重合のための、水溶性ポリマーにグラフトされた1,1−二置換−1−アルケン化合物を含む重合性組成物であって、20重量パーセント以上のグラフト1,1−二置換−1−アルケン化合物を含む、前記重合性組成物。
【請求項8】
前記1,1−二置換−1−アルケン化合物を架橋結合するための架橋剤を含む、請求項7に記載の重合性組成物。
【請求項9】
1,1−ジエステル−1−アルケン化合物を4級アンモニウム化合物または水溶性ポリマーとグラフトするステップを含む、グラフト化合物を形成する方法であって、前記グラフトステップは、酸触媒または酵素触媒よって触媒される、前記方法。
【請求項10】
前記グラフトステップが、エステル交換反応を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項11】
前記1,1−ジエステル−1−アルケン化合物を重合するステップを含む、請求項9から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項9から11のいずれかに記載の重合性組成物を重合するステップを含むグラフトポリマーを形成する方法であって、前記重合ステップは、テトラメチルグアニジンによって触媒される、前記方法。
【請求項13】
伝導性ポリマー組成物であって、
1つ以上の塩が、前記組成物の総重量に基づいて、20重量パーセント以上の濃度でドーピングされている、請求項1から8のいずれかに記載のグラフトポリマーを含む、
前記組成物。
【請求項14】
請求項1から8のいずれかに記載のグラフトポリマーを含むコーティングであって、前記グラフトポリマーが、架橋型であるか、または網目構造を有する、前記コーティング。
【請求項15】
界面活性剤、アイオノマー、防汚剤としての、石油回収用の、水処理用の、凝集剤としての、湿式製錬用の、洗浄剤としての、製薬工程における、またはこれらの組合せにおける、請求項1から8のいずれかに記載のグラフトポリマーの使用。
【国際調査報告】