(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
ポリマー染料およびシクロデキストリンを含む組成物であって、該ポリマー染料は、リンカーLによって共有結合された2個またはこれより多くの染料部分Mを含む、組成物。
Mは、各存在において、独立して、4個もしくはこれより多くのアリールもしくはヘテロアリール環、またはこれらの組み合わせを含む部分である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
Qは、スルフヒドリル、ジスルフィド、活性化エステル、イソチオシアネート、アジド、アルキン、アルケン、ジエン、ジエノフィル、酸ハライド、スルホニルハライド、ホスフィン、α−ハロアミド、ビオチン、アミノまたはマレイミド官能基を含む、請求項34に記載の組成物。
サンプルを染色するための方法であって、該方法は、該サンプルに、請求項1〜40のいずれか1項に記載の組成物を、該サンプルが適切な波長で照射される場合に光学的応答を生じるために十分な量で添加する工程を包含する方法。
サンプル中の死細胞の存在を決定するための方法であって、該方法は、該サンプルと請求項1〜40のいずれか1項に記載の組成物とを接触させ、それによって、前記ポリマー染料と該死細胞とを結合または会合させる工程、および該死細胞と結合または会合した該ポリマー染料からの蛍光シグナルを観察する工程を包含する方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(詳細な説明)
以下の説明において、ある種の具体的詳細が、本発明の種々の実施形態の完全な理解を提供するために示される。しかし、当業者は、これら詳細なしに本発明が実施され得ることを理解する。
【0022】
状況が別段要求しなければ、本明細書および特許請求の範囲全体を通じて、文言「含む、包含する(comprise)」ならびにそのバリエーション(例えば、「含む、包含する(comprises)」および「含む、包含する(comprising)」)は、開放系の包括的な意味で、すなわち、「が挙げられるが、これらに限定されない」として解釈されるべきである。
【0023】
本明細書全体を通じて「一実施形態(one embodiment)」または「ある実施形態(an embodiment)」への言及は、上記実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通じて種々の箇所での語句「一実施形態において」または「ある実施形態において」の存在は、必ずしも全てが、同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1もしくはこれより多くの実施形態において任意の適切な様式で組み合わせられ得る。
【0025】
「カルボキシ」とは、−CO
2H基をいう。
【0027】
「ホルミル」とは、−C(=O)H基をいう。
【0028】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」とは、−OH基をいう。
【0032】
「スルフヒドリル」とは、−SH基をいう。
【0034】
「アルキル」とは、炭素原子および水素原子のみからなり、不飽和を含まず、1〜12個の炭素原子(C
1−C
12アルキル)、1〜8個の炭素原子(C
1−C
8アルキル)または1〜6個の炭素原子(C
1−C
6アルキル)を有し、そして単結合によって分子の残部に結合される直鎖状または分枝状の炭化水素鎖の基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソ−プロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)、3−メチルヘキシル、2−メチルヘキシルなど)をいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、アルキル基は、必要に応じて置換される。
【0035】
「アルキレン」または「アルキレン鎖」とは、分子の残部をラジカル基に連結し、炭素および水素のみからなり、不飽和を含まず、そして1〜12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の二価の炭化水素鎖(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、エテニレン、プロペニレン、n−ブテニレン、プロピニレン、n−ブチニレンなど)をいう。上記アルキレン鎖は、単結合を介して分子の残部に結合され、単結合を介してラジカル基に結合される。分子の残部へのまたはラジカル基への上記アルキレン鎖の結合点は、上記鎖の中の1個の炭素または任意の2個の炭素を介し得る。本明細書で別段具体的に述べられなければ、アルキレンは、必要に応じて置換される。
【0036】
「アルケニレン」または「アルケニレン鎖」とは、分子の残部をラジカル基に連結し、炭素および水素のみからなり、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含み、そして2〜12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の二価の炭化水素鎖(例えば、エテニレン、プロペニレン、n−ブテニレンなど)をいう。アルケニレン鎖は、単結合を介して分子の残部に結合され、二重結合または単結合を介してラジカル基に結合される。分子の残部へのおよびラジカル基へのアルケニレン鎖の結合点は、その鎖中の1個の炭素または任意の2個の炭素を介し得る。本明細書で別段具体的に述べられなければ、アルケニレンは、必要に応じて置換される。
【0037】
「アルキニレン」または「アルキニレン鎖」とは、分子の残部をラジカル基に連結し、炭素および水素のみからなり、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含み、そして2〜12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の二価の炭化水素鎖(例えば、エテニレン、プロペニレン、n−ブテニレンなど)をいう。アルキニレン鎖は、単結合を介して分子の残部に結合され、二重結合または単結合を介してラジカル基に結合される。分子の残部へのおよびラジカル基へのアルキニレン鎖の結合点は、その鎖中の1個の炭素または任意の2個の炭素を介し得る。本明細書で別段具体的に述べられなければ、アルキニレンは、必要に応じて置換される。
【0038】
「アルキルエーテル」とは、上記で定義されるとおりの任意のアルキル基であって、ここで少なくとも1個の炭素−炭素結合が炭素−酸素結合で置き換わっているものをいう。この炭素−酸素結合は、末端部分に(アルコキシ基の中にあるように)あってもよいし、炭素酸素結合は、内部に(すなわち、C−O−C)あってもよい。アルキルエーテルは、少なくとも1個の炭素酸素結合を含むが、1個より多く含んでいてもよい。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)は、アルキルエーテルの意味の中に含まれる。本明細書で別段具体的に述べられなければ、アルキルエーテル基は、必要に応じて置換される。例えば、いくつかの実施形態において、アルキルエーテルは、アルコールまたは−OP(=R
a)(R
b)R
cで置換され、ここでR
a、R
bおよびR
cの各々は、構造(I)の化合物について定義される通りである。
【0039】
「アルコキシ」とは、式−OR
aであって、ここでR
aは、1〜12個の炭素原子を含む上記で定義されるとおりのアルキル基である基をいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、アルコキシ基は、必要に応じて置換される。
【0040】
「アルコキシアルキルエーテル」とは、式−OR
aR
bの基であって、ここでR
aは、1〜12個の炭素原子を含む上記で定義されるとおりのアルキレン基であり、R
bは、本明細書で定義されるとおりのアルキルエーテル基であるものをいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、アルコキシアルキルエーテル基は、必要に応じて置換され、例えば、アルコールまたは−OP(=R
a)(R
b)R
cで置換され、ここでR
a、R
bおよびR
cの各々は、構造(I)の化合物について定義されるとおりである。
【0041】
「ヘテロアルキル」とは、アルキル基内にまたはアルキル基の末端に、少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、N、O、PまたはS)を含むアルキル基(上記で定義されるとおり)をいう。いくつかの実施形態において、ヘテロ原子は、アルキル基内にある(すなわち、ヘテロアルキルは、少なくとも1個の炭素−[ヘテロ原子]
x−炭素結合を含み、ここでxは、1、2または3である)。他の実施形態において、ヘテロ原子は、アルキル基の末端にあり、従って、アルキル基を分子の残部に結合するように働く(例えば、M1−H−A(ここでM1は、分子の一部であり、Hは、ヘテロ原子であり、Aは、アルキル基である))。本明細書で別段具体的に述べられなければ、ヘテロアルキル基は、必要に応じて置換される。例示的なヘテロアルキル基は、エチレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド)を含み、必要に応じて、リン−酸素結合(例えば、ホスホジエステル結合)を含む。
【0042】
「ヘテロアルコキシ」とは、式−OR
aの基であって、ここでR
aは、1〜12個の炭素原子を含む上記で定義されるとおりのヘテロアルキル基であるものをいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、ヘテロアルコキシ基は、必要に応じて置換される。
【0043】
「ヘテロアルキレン」とは、少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、N、O、PまたはS)を、アルキレン鎖内またはアルキレン鎖の末端に含む、上で定義されたようなアルキレン基をいう。いくつかの実施形態において、上記ヘテロ原子は、アルキレン鎖の中にある(すなわち、上記ヘテロアルキレンは、少なくとも1個の炭素−[ヘテロ原子]−炭素結合を含み、ここでxは1、2または3である)。他の実施形態において、上記ヘテロ原子は、アルキレンの末端にあり、従って、上記アルキレンを分子の残部に結合するように働く(例えば、M1−H−A−M2、ここでM1およびM2は、分子の一部であり、Hは、ヘテロ原子であり、Aは、アルキレンである)。本明細書で別段具体的に述べられなければ、ヘテロアルキレン基は、必要に応じて置換される。例示的なヘテロアルキレン連結基は、エチレンオキシドおよび以下で図示されるリンカー:
【化1】
を含む。
【0044】
上記C−リンカーのマルチマーは、ヘテロアルキレンリンカーの種々の実施形態に含まれる。
【0045】
「ヘテロアルケニレン」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含むヘテロアルキレン(上記で定義されるとおり)である。本明細書で別段具体的に述べられなければ、ヘテロアルケニレン基は、必要に応じて置換される。
【0046】
「ヘテロアルキニレン」とは、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含むヘテロアルキレンである。本明細書で別段具体的に述べられなければ、ヘテロアルキニレン基は、必要に応じて置換される。
【0047】
「ヘテロ原子リンカー」に関して「ヘテロ原子(の)」とは、1個もしくはこれより多くのヘテロ原子からなるリンカー基をいう。例示的なヘテロ原子リンカーは、O、N、PおよびSからなる群より選択される1個の原子、および複数のヘテロ原子を含む(例えば、式−P(O
−)(=O)O−または−OP(O
−)(=O)O−ならびにそのマルチマーおよび組み合わせを有するリンカー)。
【0048】
「ホスフェート」とは、−OP(=O)(R
a)R
b基であって、ここでR
aは、OH、O
−またはOR
cであり;そしてR
bは、OH、O
−、OR
c、チオホスフェート基またはさらなるホスフェート基であり、ここでR
cは、対イオン(例えば、Na
+など)であるものをいう。
【0049】
「ホスホアルキル」とは、−OP(=O)(R
a)R
b基であって、ここでR
aは、OH、O
−またはOR
cであり;そしてR
bは、−Oアルキルであり、ここでR
cは、対イオン(例えば、Na
+など)であるものをいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、ホスホアルキル基は、必要に応じて置換される。例えば、ある種の実施形態において、ホスホアルキル基の中の上記−Oアルキル部分は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、チオホスホアルキルエーテルまたは−OP(=R
a)(R
b)R
cのうちの1個もしくはこれより多くで必要に応じて置換され、ここでR
a、R
bおよびR
cの各々は、構造(I)について定義されるとおりである。
【0050】
「ホスホアルキルエーテル」とは、−OP(=O)(R
a)R
b基であって、ここでR
aは、OH、O
−またはOR
cであり;そしてR
bは、−Oアルキルエーテルであり、ここでR
cは、対イオン(例えば、Na
+など)であるものをいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、ホスホアルキルエーテル基は、必要に応じて置換される。例えば、ある種の実施形態において、ホスホアルキルエーテル基の中の−Oアルキルエーテル部分は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、チオホスホアルキルエーテルまたは−OP(=R
a)(R
b)R
cのうちの1個もしくはこれより多くで必要に応じて置換され、ここでR
a、R
bおよびR
cの各々は、構造(I)について定義されるとおりである。
【0051】
「チオホスフェート」とは、−OP(=R
a)(R
b)R
c基であって、ここでR
aは、OまたはSであり;R
bは、OH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;そしてR
cは、OH、SH、O
−、S
−、OR
d、SR
d、ホスフェート基またはさらなるチオホスフェート基であり、ここでR
dは、対イオン(例えば、Na
+など)であり、そしてただし:i)R
aは、Sであり;ii)R
bは、S
−またはSR
dであり;iii)R
cは、SH、S
−またはSR
dであるか;あるいはiv) i)、ii)および/またはiii)の組み合わせであるものをいう。
【0052】
「チオホスホアルキル」とは、−OP(=R
a)(R
b)R
c基であって、ここでR
aは、OまたはSであり;R
bは、OH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;そしてR
cは、−Oアルキルであり、ここでR
dは、対イオン(例えば、Na
+など)であり、そしてただし:i)R
aは、Sであるか、ii)R
bは、S
−もしくはSR
dであるか;またはiii)R
aは、Sであり、そしてR
bは、S
−もしくはSR
dであるものをいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、チオホスホアルキル基は、必要に応じて置換される。例えば、ある種の実施形態において、チオホスホアルキル基の中の−Oアルキル部分は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、チオホスホアルキルエーテルまたは−OP(=R
a)(R
b)R
cのうちの1個もしくはこれより多くで必要に応じて置換され、ここでR
a、R
bおよびR
cの各々は、構造(I)について定義されるとおりである。
【0053】
「チオホスホアルキルエーテル」とは、−OP(=R
a)(R
b)R
c基であって、ここでR
aは、OまたはSであり、R
bは、OH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;そしてR
cは、−Oアルキルエーテルであり、ここでR
dは、対イオン(例えば、Na
+など)であり、そしてただし:i)R
aは、Sであるか、ii)R
bは、S
−もしくはSR
dであるか;またはiii)R
aは、Sであり、そしてR
bは、S
−もしくはSR
dであるものをいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、チオホスホアルキルエーテル基は、必要に応じて置換される。例えば、ある種の実施形態において、チオホスホアルキル基の中の−Oアルキルエーテル部分は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、チオホスホアルキルエーテルまたは−OP(=R
a)(R
b)R
cのうちの1個もしくはこれより多くで必要に応じて置換され、ここでR
a、R
bおよびR
cの各々は、構造(I)について定義されるとおりである。
【0054】
「炭素環式」とは、3〜18個の炭素原子を含む安定な3〜18員の芳香族または非芳香族の環をいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、炭素環式環は、縮合環系もしくは架橋環系を含み得、部分的にまたは完全に不飽和であり得る単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり得る。非芳香族カルボシクリルラジカルとしては、シクロアルキルが挙げられる一方で、芳香族カルボシクリルラジカルは、アリールが挙げられる。本明細書で別段具体的に述べられなければ、炭素環式基は、必要に応じて置換される。
【0055】
「シクロアルキル」とは、縮合環系もしくは架橋環系を含み得、3〜15個の炭素原子を有し、好ましくは、3〜10個の炭素原子を有し、そして飽和または不飽和であり、単結合によって分子の残部に結合される安定な非芳香族の単環式または多環式の炭素環式環をいう。単環式シクロアルキル(cyclocalkyl)としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。多環式シクロアルキルとしては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7−ジメチル−ビシクロ−[2.2.1]ヘプタニルなどが挙げられる。本明細書で別段具体的に述べられなければ、シクロアルキル基は、必要に応じて置換される。
【0056】
「アリール」とは、少なくとも1個の炭素環式芳香環を含む環系をいう。いくつかの実施形態において、アリールは、6〜18個の炭素原子を含む。このアリール環は、縮合環系もしくは架橋環系を含み得る単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり得る。アリールとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン、およびトリフェニレンに由来するアリール。本明細書で別段具体的に述べられなければ、アリール基は、必要に応じて置換される。
【0057】
「複素環式」とは、1〜12個の炭素原子ならびに窒素、酸素および硫黄からなる群より選択される1〜6個のヘテロ原子を含む安定な3〜18員の芳香族または非芳香族の環をいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、上記複素環式環は、縮合環系もしくは架橋環系を含み得、上記複素環式環の中の窒素、炭素または硫黄原子は、必要に応じて酸化され得;窒素原子は、必要に応じて四級化され得;そして上記複素環式環は、部分的にまたは完全に不飽和であり得る単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり得る。芳香族複素環式環の例は、ヘテロアリールの定義の中で以下に列挙される(すなわち、ヘテロアリールは、複素環式の部分セットである)。非芳香族複素環式環の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾロピリミジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリオキサニル、トリチアニル、トリアジナニル(triazinanyl)、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1−オキソ−チオモルホリニル、および1,1−ジオキソ−チオモルホリニル。本明細書で別段具体的に述べられなければ、複素環式基は、必要に応じて置換される。
【0058】
「ヘテロアリール」とは、1〜13個の炭素原子、窒素、酸素および硫黄からなる群より選択される1〜6個のヘテロ原子、ならびに少なくとも1個の芳香環を含む5〜14員の環系をいう。本発明のある種の実施形態の目的に関して、ヘテロアリールラジカルは、縮合環系もしくは架橋環系を含み得;上記ヘテロアリールラジカルの中の窒素、炭素または硫黄原子は、必要に応じて酸化され得;上記窒素原子は、必要に応じて四級化され得る単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり得る。例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4−ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、ベンゾオキサゾリノニル、ベンゾイミダゾールチオニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1−オキシドピリジニル、1−オキシドピリミジニル、1−オキシドピラジニル、1−オキシドピリダジニル、1−フェニル−1H−ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プテリジノニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリジノニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリミジノニル(pryrimidinonyl)、ピリダジニル、ピロリル、ピリド[2,3−d]ピリミジノニル、キナゾリニル、キナゾリノニル、キノキサリニル、キノキサリノニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オニル、チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−オニル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、およびチオフェニル(すなわち、チエニル)。本明細書で別段具体的に述べられなければ、ヘテロアリール基は、必要に応じて置換される。
【0059】
「縮合された」とは、少なくとも2個の環を含み、ここでこの2個の環が少なくとも1個の共通環原子、例えば、2個の共通環原子を共有する環系をいう。縮合環がヘテロシクリル環またはヘテロアリール環である場合、その共通環原子は、炭素または窒素であり得る。縮合環は、二環式、三環式、四環式などを含む。
【0060】
本明細書で使用される用語「置換された」とは、上記基のうちのいずれか(例えば、アルキル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、ホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、チオホスホアルキル、チオホスホアルキルエーテル、炭素環式、シクロアルキル、アリール、複素環式および/またはヘテロアリール)であって、ここで少なくとも1個の水素原子(例えば、1個、2個、3個または全ての水素原子)が、非水素原子(例えば、以下が挙げられるが、これらに限定されない:F、Cl、Br、およびIのようなハロゲン原子;ヒドロキシル基、アルコキシ基、およびエステル基のような基の中の酸素原子;チオール基、チオアルキル基、スルホン基、スルホニル基、およびスルホキシド基のような基の中の硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N−オキシド、イミド、およびエナミンのような基の中の窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、およびトリアリールシリル基のような基の中のケイ素原子;ならびに種々の他の基の中の他のヘテロ原子)への結合によって置き換えられることを意味する。「置換された」とはまた、1個もしくはこれより多くの水素原子が、ヘテロ原子(例えば、オキソ、カルボニル、カルボキシル、およびエステル基の中の酸素;ならびにイミン、オキシム、ヒドラゾンおよびニトリルのような基の中の窒素)へのより高次の結合(例えば、二重結合または三重結合)によって置き換えられる上記の基のうちのいずれかを意味する。例えば、「置換された」は、1個もしくはこれより多くの水素原子が−NR
gR
h、−NR
gC(=O)R
h、−NR
gC(=O)NR
gR
h、−NR
gC(=O)OR
h、−NR
gSO
2R
h、−OC(=O)NR
gR
h、−OR
g、−SR
g、−SOR
g、−SO
2R
g、−OSO
2R
g、−SO
2OR
g、=NSO
2R
g、および−SO
2NR
gR
hで置き換えられる上記の基のうちのいずれかを含む。「置換された」はまた、1個もしくはこれより多くの水素原子が−C(=O)R
g、−C(=O)OR
g、−C(=O)NR
gR
h、−CH
2SO
2R
g、−CH
2SO
2NR
gR
hで置き換えられる上記基のうちのいずれかを意味する。前述において、R
gおよびR
hは、同じであるかまたは異なっており、そして独立して、水素、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N−ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N−ヘテロアリールおよび/またはヘテロアリールアルキルである。「置換された」とは、1個もしくはこれより多くの水素原子がアミノ、シアノ、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N−ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N−ヘテロアリールおよび/またはヘテロアリールアルキル基への結合によって置き換えられる上記の基のうちのいずれかをさらに意味する。いくつかの実施形態において、選択肢的置換基は、−OP(=R
a)(R
b)R
cであり、ここでR
a、R
bおよびR
cの各々は、構造(I)について定義されるとおりである。さらに、前述の置換基の各々はまた、上記の置換基のうちの1個もしくはこれより多くで必要に応じて置換され得る。
【0061】
「共役」とは、1つのp軌道と別のp軌道とが、間に挟まるσ結合を横断して重なり合っていることをいう。共役は、環式または非環式の化合物で起こり得る。「共役度」とは、少なくとも1つのp軌道と別のp軌道とが間に挟まっているシグマ結合を横断して重なり合っていることをいう。例えば、1,3−ブタジエンは、1の共役度を有する一方で、ベンゼンおよび他の芳香族化合物は、代表的には、多重の共役度を有する。蛍光および有色化合物は、代表的には、少なくとも1の共役度を含む。
【0062】
「蛍光(性)(fluorescent)」とは、特定の周波数の光を吸収し、異なる周波数の光を発することができる分子をいう。蛍光(fluorescence)は、当業者に周知である。
【0063】
「有色(の)(colored)」とは、有色のスペクトル内の光(すなわち、赤、黄、青など)を吸収する分子をいう。
【0064】
「リンカー」とは、分子の一部をその同じ分子の別の部分にまたは異なる分子、部分もしくは固体支持体(例えば、微粒子)に接続する、少なくとも1個の原子(例えば、炭素、酸素、窒素、硫黄、リンおよびこれらの組み合わせ)の連続する鎖に言及する。リンカーは、共有結合または他の手段(例えば、イオン結合または水素結合相互作用)を介して上記分子を接続し得る。
【0065】
用語「生体分子」とは、種々の生物学的物質のうちのいずれか(核酸、炭水化物、アミノ酸、ポリペプチド、糖タンパク質、ホルモン、アプタマーおよびこれらの混合物が挙げられる)をいう。より具体的には、この用語は、RNA、DNA、オリゴヌクレオチド、改変または誘導体化されたヌクレオチド、酵素、レセプター、プリオン、レセプターリガンド(ホルモンを含む)、抗体、抗原、および毒素、ならびに細菌、ウイルス、血球、および組織細胞が挙げられるが、これらに限定されないことが意図される。本発明の視覚的に検出可能な生体分子(例えば、生体分子が連結されている構造(I)の化合物)は、本明細書でさらに記載されるように、生体分子と化合物(これは、上記生体分子上のアミノ、ヒドロキシ、カルボキシル、またはスルフヒドリル基のような任意の利用可能な原子または官能基を介して上記化合物への生体分子の結合を可能にする反応性基を有する)とを接触させることによって調製される。
【0066】
「反応性基」とは、第2の反応性基(例えば、「相補的反応性基」)と反応して、1個もしくはこれより多くの共有結合を、例えば、置換、酸化、還元、付加または環化付加反応により形成し得る部分である。例示的な反応性基は、表1に提供され、例えば、求核性基、求電子性基、ジエン、ジエノフィル、アルデヒド、オキシム、ヒドラゾン、アルキン、アミン、アジド、アシルアジド、アシルハライド、ニトリル、ニトロン、スルフヒドリル、ジスルフィド、スルホニルハライド、イソチオシアネート、イミドエステル、活性化エステル、ケトン、α,β−不飽和カルボニル、アルケン、マレイミド、α−ハロイミド、エポキシド、アジリジン、テトラジン、テトラゾール、ホスフィン、ビオチン、チイランなどが挙げられる。
【0067】
用語「視覚的」および「視覚的に検出可能な」とは、事前の照射、または化学的活性化もしくは酵素的活性化なしで、目視によって観察可能である物質に言及するために、本明細書で使用される。このような視覚的に検出可能な物質は、約300〜約900nmの範囲に及ぶスペクトルの領域にある光を吸収し、発する。好ましくは、このような物質は、強く有色であり、好ましくは、少なくとも約40,000、より好ましくは、少なくとも約50,000、さらにより好ましくは、少なくとも約60,000、なおさらにより好ましくは、少なくとも約70,000、および最も好ましくは、少なくとも約80,000M
−1cm
−1のモル吸光係数を有する。本発明の化合物は、裸眼で、または光学ベースの検出デバイス(吸光分光光度計、透過型光学顕微鏡(transmission light microscope)、デジタルカメラおよびスキャナが挙げられるが、これらに限定されない)の助けを借りて観察することによって検出され得る。視覚的に検出可能な物質は、可視スペクトルの中の光を発するおよび/または吸収するものに限定されない。紫外線(UV)領域(約10nm〜約400nm)、赤外線(IR)領域(約700nm〜約1mm)の中の光を発するおよび/または吸収する物質、ならびに電磁スペクトルの他の領域において発するおよび/または吸収する物質はまた、「視覚的に検出可能な」物質の範囲内に含まれる。
【0068】
本発明の実施形態の目的のために、用語「光安定性視覚的染料(photostable visible dye)」とは、本明細書上記で定義されるように、視覚的に検出可能であり、そして光に曝露した際に、顕著に変化も分解もしない化学部分に言及する。好ましくは、上記光安定性視覚的染料は、少なくとも1時間光に曝された後に、顕著な漂白も分解も示さない。より好ましくは、上記視覚的染料は、少なくとも12時間、さらにより好ましくは、少なくとも24時間、さらになおより好ましくは、少なくとも1週間、および最も好ましくは、少なくとも1ヶ月間光に曝した後に安定である。本発明の化合物および方法における使用に適した光安定性視覚的染料の非限定的例としては、アゾ染料、チオインディゴ染料、キナクリドン顔料、ジオキサジン、フタロシアニン、ペリノン、ジケトピロロピロール、キノフタロン、およびトルアリーカルボニウム(truarycarbonium)が挙げられる。
【0069】
本明細書で使用される場合、用語「ペリレン誘導体」とは、視覚的に検出可能である任意の置換されたペリレンを含むことが意図される。しかし、この用語は、ペリレン自体を含むことは意図されない。用語「アントラセン誘導体」、「ナフタレン誘導体」、および「ピレン誘導体」が、同様に使用される。いくつかの好ましい実施形態において、誘導体(例えば、ペリレン、ピレン、アントラセンまたはナフタレンの誘導体)は、ペリレン、アントラセン、ナフタレン、またはピレンのイミド、ビスイミドまたはヒドラザムイミド(hydrazamimide)誘導体である。
【0070】
本発明の種々の実施形態の視覚的に検出可能な分子は、特定の分析物(例えば、生体分子)の存在、位置、または量を決定する必要がある広く種々の分析用途(例えば、生化学的および生物医学的用途)に有用である。従って、別の局面において、本発明は、生体分子を視覚的に検出するための方法を提供し、上記方法は、(a)生物学的系に、生体分子に連結された構造(I)の化合物を含む視覚的に検出可能な生体分子を提供する工程;および(b)上記生体分子をその視覚的特性によって検出する工程を包含する。本発明の実施形態の目的のために、語句「生体分子をその視覚的特性によって検出する」とは、生体分子が、照射または化学的もしくは酵素的活性化なしに、裸眼で、または光学ベースの検出デバイス(吸光分光光度計、透過型光学顕微鏡、デジタルカメラおよびスキャナが挙げられるが、これらに限定されない)の助けを借りて観察されることを意味する。デンシトメーターは、存在する視覚的に検出可能な生体分子の量を定量するために使用され得る。例えば、2つのサンプル中の上記生体分子の相対的量は、相対的光学密度を測定することによって決定され得る。1生体分子あたりの染料分子の化学量論が既知でありかつ上記染料分子の吸光係数が既知である場合、上記生体分子の絶対濃度もまた、光学密度の測定から決定され得る。本明細書で使用される場合、用語「生物学的系」は、視覚的に検出可能な生体分子に加えて、1もしくはこれより多くの生体分子を含む任意の溶液または混合物をいうために使用される。このような生物学的系の非限定的例としては、細胞、細胞抽出物、組織サンプル、電気泳動ゲル、アッセイ混合物、およびハイブリダイゼーション反応混合物が挙げられる。
【0071】
「固体支持体」とは、分子の固相支持のための当該分野で公知の任意の固体基材をいい、例えば、「微粒子」とは、本発明の化合物への結合に有用な多くの小さな粒子のうちのいずれか(ガラスビーズ、磁性ビーズ、ポリマービーズ、非ポリマービーズなどが挙げられるが、これらに限定されない)をいう。ある種の実施形態において、微粒子は、ポリスチレンビーズを含む。
【0072】
「固体支持体残基(solid support reside)」とは、分子が固体支持体から切断される場合に、その分子に結合されたままである官能基をいう。固体支持体残基(solid support residue)は、当該分野で公知であり、固体支持体の構造および固体支持体にその分子を連結する基に基づいて容易に導かれ得る。
【0073】
「標的化部分」とは、特定の標的(例えば、分析物分子)と選択的に結合するかまたは会合する部分である。「選択的に」結合または会合するとは、標的化部分が他の標的と比較して所望の標的と優先的に会合するかまたは結合することを意味する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される化合物は、化合物を目的の分析物(すなわち、標的化部分の標的)と選択的に結合させるかまたは会合させ、従ってその分析物の検出を可能にするという目的のために、その標的化部分への連結を含む。例示的な標的化部分としては、抗体、抗原、核酸配列、酵素、タンパク質、細胞表面レセプターアンタゴニストなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記標的化部分は、抗体のような、細胞上にまたは細胞中にある標的特徴(例えば、細胞膜または他の細胞構造上にある標的特徴)と選択的に結合するかまたは会合し、従って、目的の細胞の検出を可能にする部分である。所望の分析物と選択的に結合するかまたは会合する低分子はまた、ある種の実施形態において標的化部分として企図される。当業者は、種々の実施形態において有用である他の分析物および相当する標的化部分を理解する。
【0074】
「塩基対合部分」とは、相補的な複素環式部分と水素結合(例えば、ワトソン−クリック塩基対合)を介してハイブリダイズし得る複素環式部分をいう。塩基対合部分は、天然および非天然の塩基を含む。塩基対合部分の非限定的例は、RNA塩基およびDNA塩基(例えば、アデノシン、グアノシン、チミジン、シトシンおよびウリジンならびにこれらのアナログ)である。
【0075】
本明細書で開示される本発明の実施形態はまた、1個もしくはこれより多くの原子が異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換わることによって、同位体標識されている構造(I)、(II)(III)または(IV)の化合物を含む組成物包含することが意味される。開示される化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、およびヨウ素の同位体(例えば、それぞれ、
2H、
3H、
11C、
13C、
14C、
13N、
15N、
15O、
17O、
18O、
31P、
32P、
35S、
18F、
36Cl、
123I、および
125I)が挙げられる。
【0076】
構造(I)、(II)(III)または(IV)の同位体標識された化合物は一般に、当業者に公知の従来技術によって、または以下でおよび以下の実施例において記載されるものに類似のプロセスによって、以前に使用されていた標識されていない試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を使用して調製され得る。
【0077】
「安定な化合物」および「安定な構造」とは、反応混合物から有用な純度への単離および有効な治療剤への製剤化に耐えるように十分に強い化合物を示すことが意味される。
【0078】
「選択肢的な(optional)」または「必要に応じて(optionally)」とは、その後に記載される事象または状況が起こっても起こらなくてもよいこと、ならびにその記載が上記事象または状況が起こる場合およびそれが起こらない場合を含むことを意味する。例えば、「必要に応じて置換されたアルキル」とは、そのアルキル基が置換されていてもされていなくてもよいこと、ならびにその記載が、置換されたアルキル基および置換を有しないアルキル基の両方を含むことを意味する。
【0079】
「塩」とは、酸付加塩および塩基付加塩の両方を包含する。
【0080】
「酸付加塩」とは、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられるが、これらに限定されない)および有機酸(例えば、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、カンファー酸、カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2−オキソ−グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などが挙げられるが、これらに限定されない)と形成される塩をいう。
【0081】
「塩基付加塩」とは、遊離酸に無機塩基または有機塩基を添加することから調製される塩をいう。無機塩基に由来する塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩などが挙げられるが、これらに限定されない。有機塩基に由来する塩としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:一級、二級、および三級アミン、置換されたアミン(天然に存在する置換されたアミン、環式アミンおよび塩基性イオン交換樹脂(例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂など)が挙げられる)の塩。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインである。
【0082】
結晶化は、本明細書中に記載される化合物の溶媒和物を生じ得る。本発明の実施形態は、記載される化合物の全ての溶媒和物を包含する。本明細書で使用される場合、用語「溶媒和物」とは、1分子もしくはこれより多くの本発明の化合物と、1分子もしくはこれより多くの溶媒とを含む凝集物をいう。上記溶媒は水であり得、この場合、この溶媒和物は水和物であり得る。あるいは、上記溶媒は、有機溶媒であり得る。従って、本発明の化合物は、水和物(一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物などが挙げられる)ならびにその対応する溶媒和形態として存在し得る。本発明の化合物は、真の溶媒和物であり得る一方で、他の場合には、本発明の化合物は、偶発の水もしくは別の溶媒を保持しているに過ぎなくてもよいし、水と何らかの偶発の溶媒との混合物であってもよい。
【0083】
本発明のポリマー染料の実施形態(例えば、構造(I)、(II)(III)もしくは(IV)の化合物)またはそれらの塩、互変異性体もしくは溶媒和物は、1もしくはこれより多くの不斉中心を含み得、従って、エナンチオマー、ジアステレオマー、および絶対立体化学の点から、(R)−もしくは(S)−として、またはアミノ酸に関しては(D)−もしくは(L)−として定義され得る他の立体異性形態を生じ得る。本発明の実施形態は、全てのこのような考えられる異性体、ならびにそれらのラセミ形態および光学的に純粋な形態を含むことが意味される。光学的に活性な(+)および(−)、(R)−および(S)−、または(D)−および(L)−異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を使用して調製され得るか、または従来技術(例えば、クロマトグラフィーおよび分別結晶化)を使用して分離され得る。個々のエナンチオマーの調製/単離のための従来技術としては、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、あるいは例えば、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ混合物(または塩もしくは誘導体のラセミ混合物)の分離が挙げられる。本明細書で記載される化合物がオレフィン性二重結合または他の幾何的非対称性の中心を含み、そして別段特定されなければ、上記化合物がEおよびZ両方の幾何異性体を含むことは、意図される。同様に、全ての互変異性形態がまた、含まれることが意図される。
【0084】
「立体異性体」とは、同じ結合によって結合されるが、交換可能ではない異なる三次元構造を有する同じ原子から構成される化合物をいう。本発明は、種々の立体異性体およびその混合物を企図し、分子が互いに重ね合わせることができない鏡像である2つの立体異性体をいう「エナンチオマー」を含む。
【0085】
「互変異性体」とは、分子の1つの原子からその同じ分子の別の原子へのプロトンシフトに言及する。本発明は、任意の上記化合物の互変異性体を含む。上記化合物の種々の互変異性形態は、当業者によって容易に導き出される。
【0086】
本明細書で使用される化学的命名法プロトコルおよび構造図は、ACD/Name Version 9.07ソフトウェアプログラムおよび/またはChemDraw Ultra Version 11.0ソフトウェア命名プログラム(CambridgeSoft)を使用するI.U.P.A.C.命名法体系の改変形態である。当業者が精通する一般名もまた、使用される。
【0087】
上記のように、本発明の一実施形態において、種々の分析法において蛍光染料および/または有色染料として有用な組成物が提供される。一般論として、本発明の実施形態は、染料化合物(例えば、蛍光染料)および1つまたはこれより多くのシクロデキストリンを含む組成物に関する。いくつかの実施形態において、これらの組成物は、ポリマー染料を含む。例えば、いくつかの実施形態において、ポリマー染料およびシクロデキストリンを含む組成物であって、このポリマー染料が、リンカーLによって共有結合された2個またはこれより多くの染料部分Mを含む、組成物が提供される。理論によって拘束されることは望まないが、このシクロデキストリンは、これらの染料部分(例えば、蛍光部分および/または有色部分)の分子内クエンチングを防止または低減する一助となり、従って、より高いモル「明度」(例えば、高蛍光発光)を有する染料化合物を生じる一助となると考えられる。
【0088】
シクロデキストリンが染料部分の分子内クエンチングを低減または防止するならば、任意のシクロデキストリンが、種々の実施形態の実施において使用され得る。代表的に、特定の染料部分への親和性を有するシクロデキストリンが選択される。いくつかの実施形態において、このシクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンまたはγ−シクロデキストリンである。例えば、いくつかの実施形態において、このシクロデキストリンはβ−シクロデキストリンである。
【0089】
任意のポリマー染料(すなわち、2個またはこれより多くの染料部分を含む化合物)が、本発明の実施形態を実施するために使用され得る。いくつかの実施形態において、この染料は、本明細書に開示されるような化合物(すなわち、構造(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物)である。他の実施形態において、このポリマー染料は、当該分野において公知である染料であり、例えば、PCT公開番号WO 2015/027176、WO/2016/138461およびWO/2016/183185、ならびに米国特許第7,423,133号、同第6,670,193号および同第6,218,108号(これらの全開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される)に提供されるポリマー染料である。
【0090】
有利には、本明細書で使用されるポリマー染料の特定の実施形態は、水溶性であり、従って、水性環境を必要とする種々のアッセイにおいてこれらのポリマー染料を使用することを可能にする。従って、種々の実施形態において、これらの組成物は水を含む。
【0091】
染料部分Mは、特定のアッセイに依存して選択され、そして異なる実施形態において異なり得る。いくつかの実施形態において、各Mは同じである。他の実施形態において、上記ポリマー染料は、2種の異なるタイプのM部分を含む。様々な実施形態において、上記ポリマー染料は、2個〜10個のM部分を含み、この染料部分は、各存在において、同じであっても異なっていてもいずれでもよい。
【0092】
Mは、所望の光学的特性に基づいて、例えば、所望の色および/または蛍光発光波長に基づいて選択される。いくつかの実施形態において、Mは、各存在において同じである;しかし、Mの各存在が同一のMである必要はないことに注意することは重要であり、ある種の実施形態は、Mが各存在において同じでない化合物を含む。例えば、いくつかの実施形態において、各Mは、同じではなく、異なるM部分は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法における使用のための吸光度および/または発光を有するように選択される。例えば、いくつかの実施形態において、その異なるM部分は、1つの波長における放射線の吸光度が、FRET機構によって異なる波長における放射線の発光を引き起こすように選択される。例示的なM部分は、所望の最終用途に基づいて、当業者によって適切に選択され得る。FRET法の例示的なM部分としては、フルオレセインおよび5−TAMRA(5−カルボキシテトラメチルローダミン,スクシンイミジルエステル)染料が挙げられる。
【0093】
Mは、M上の任意の位置(すなわち、原子)から分子の残部に結合され得る。当業者は、Mを分子の残部に結合する手段を認識する。例示的な方法は、本明細書中に記載される「クリック」反応を含む。
【0094】
いくつかの実施形態において、Mは、蛍光部分または有色部分である。任意の蛍光部分および/または有色部分が使用され得、例えば、当該分野で公知でありかつ比色アッセイ、UVアッセイ、および/または蛍光アッセイにおいて代表的に使用されるものが、使用され得る。本発明の種々の実施形態において有用なM部分の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:キサンテン誘導体(例えば、フルオレセイン、ローダミン、オレゴングリーン、エオシンまたはテキサスレッド);シアニン誘導体(例えば、シアニン、インドカルボシアニン、オキサカルボシアニン、チアカルボシアニンまたはメロシアニン);スクアライン誘導体および環置換されたスクアライン(Seta、SeTau、およびSquare染料が挙げられる);ナフタレン誘導体(例えば、ダンシルおよびプロダン誘導体);クマリン誘導体;オキサジアゾール誘導体(例えば、ピリジルオキサゾール、ニトロベンゾオキサジアゾールまたはベンゾオキサジアゾール);アントラセン誘導体(例えば、アントラキノン(DRAQ5、DRAQ7およびCyTRAKオレンジが挙げられる));ピレン誘導体(例えば、カスケードブルー);オキサジン誘導体(例えば、ナイルレッド、ナイルブルー、クレシルバイオレット、オキサジン170);アクリジン誘導体(例えば、プロフラビン、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー);アリールメチン誘導体:オーラミン、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン;ならびにテトラピロール誘導体(例えば、ポルフィン、フタロシアニンまたはビリルビン)。他の例示的なM部分としては、以下が挙げられる:シアニン染料、キサンテート染料(例えば、Hex、Vic、Nedd、JoeまたはTet);Yakimaイエロー;Redmondレッド;tamra;テキサスレッドおよびalexa fluor(登録商標)染料。
【0095】
前述のうちのいずれかのさらに他の実施形態において、Mは、3個もしくはこれより多くのアリールもしくはヘテロアリール環、またはこれらの組み合わせ、例えば、4個もしくはこれより多くのアリールもしくはヘテロアリール環、またはこれらの組み合わせ、あるいはさらには5個もしくはこれより多くのアリールもしくはヘテロアリール環、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、Mは、6個のアリールまたはヘテロアリール環、またはこれらの組み合わせを含む。さらなる実施形態において、上記環は縮合される。例えば、いくつかの実施形態において、Mは、3個もしくはこれより多くの縮合環、4個もしくはこれより多くの縮合環、5個もしくはこれより多くの縮合環、またはさらには6個もしくはこれより多くの縮合環を含む。
【0096】
いくつかの実施形態において、Mは、環式である。例えば、いくつかの実施形態において、Mは、炭素環式である。他の実施形態において、Mは、複素環式である。前述のうちのさらに他の実施形態において、Mは、各存在において、独立して、アリール部分を含む。これら実施形態のうちのいくつかにおいて、上記アリール部分は、多環式である。他のより具体的な実施形態において、上記アリール部分は、縮合多環式アリール部分であり、例えば、これは、少なくとも3個、少なくとも4個、またはさらには4個より多くのアリール環を含み得る。
【0097】
構造(I)の前述の化合物のうちのいずれかの他の実施形態において、Mは、各存在において、独立して、少なくとも1個のヘテロ原子を含む。例えば、いくつかの実施形態において、上記ヘテロ原子は、窒素、酸素または硫黄である。
【0098】
前述のうちのいずれかのさらにより多くの実施形態において、Mは、各存在において、独立して、少なくとも1個の置換基を含む。例えば、いくつかの実施形態において、上記置換基は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルコキシ、アリールオキシ、フェニル、アリール、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、カルボキシ、スルホネート、アミド、またはホルミル基である。
【0099】
前述のうちのいくつかのさらにより具体的な実施形態において、Mは、各存在において、独立して、ジメチルアミノスチルベン、キナクリドン、フルオロフェニル−ジメチル−BODIPY、his−フルオロフェニル−BODIPY、アクリジン、テリレン、セキシフェニル、ポルフィリン、ベンゾピレン、(フルオロフェニル−ジメチル−ジフルオロボラ−ジアザ−インダセン)フェニル、(ビス−フルオロフェニル−ジフルオロボラ−ジアザ−インダセン)フェニル、クアテルフェニル、ビ−ベンゾチアゾール、ター−ベンゾチアゾール、ビ−ナフチル、ビ−アントラシル、スクアライン、スクアリリウム、9,10−エチニルアントラセンまたはター−ナフチル部分である。他の実施形態において、Mは、各存在において、独立して、p−ターフェニル、ペリレン、アゾベンゼン、フェナジン、フェナントロリン、アクリジン、チオキサントレン、クリセン、ルブレン、コロネン、シアニン、ペリレンイミド、もしくはペリレンアミドまたはその誘導体である。さらにより多くの実施形態において、Mは、各存在において、独立して、クマリン染料、レゾルフィン染料、ジピロメテンボロンジフルオリド染料、ルテニウムビピリジル染料、エネルギー移動染料、チアゾールオレンジ染料、ポリメチンまたはN−アリール−1,8−ナフタルイミド染料である。
【0100】
前述のうちのいずれかのさらにより多くの実施形態において、Mは、各存在において同じである。他の実施形態において、各Mは、異なる。さらにより多くの実施形態において、1個もしくはこれより多くのMは、同じであり、そして1個もしくはこれより多くのMは、異なる。
【0101】
いくつかの実施形態において、Mは、ピレン、ペリレン、ペリレンモノイミドもしくは6−FAMまたはその誘導体である。いくつかの他の実施形態において、Mは、以下の構造:
【化2】
のうちの1つを有する。
【0102】
いくつかの他の実施形態において、Mは、以下の構造のうちの一方:
【化3】
を有する。
【0103】
カルボン酸基を含むM部分はときおり、上記でアニオン形態(CO
2−)で示されるが、当業者は、これが、pHに依存して変わり、そのプロトン化形態(CO
2H)が種々の実施形態において含まれることを理解する。
【0104】
いくつかの実施形態において、ポリマー染料化合物は、以下の構造(A):
【化4】
を有し、ここで:
Lは、リンカーであり;
Mは、各存在において、独立して、染料部分であり;
L
1は、各存在において、独立して、i)選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンもしくはヘテロ原子リンカー;またはii)2個の相補的反応性基の反応によって形成できる官能基を含むリンカー、のいずれかであり;
L
2およびL
3は、各存在において、独立して、選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンまたはヘテロ原子リンカーであり;
R
1は、各存在において、独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり;
R
2およびR
3は、各々独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアルキル、−OP(=R
a)(R
b)R
c、QまたはL’であり;
R
aは、OまたはSであり;
R
bは、OH、SH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;
R
cは、OH、SH、O
−、S
−、OR
d、OL’、SR
d、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり;
R
dは、対イオンであり;
Qは、各存在において、独立して、分析物分子、標的化部分、固体支持体または相補的反応性基Q′と共有結合を形成できる反応性基またはその保護されたアナログを含む部分であり;
L’は、各存在において、独立して、Qへの共有結合を含むリンカー、標的化部分への共有結合を含むリンカー、分析物分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカー、ヌクレオシドへの共有結合を含むリンカーまたは構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり;そして
nは、1またはこれより大きな整数である。
【0105】
(A)の異なる実施形態において:
Lは、リンカーであり;
Mは、各存在において、独立して、染料部分であり;
L
1、L
2およびL
3は、各存在において、独立して、選択肢的なリンカーであり;
R
1は、各存在において、独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり;
R
2およびR
3は、各々独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、−OP(=R
a)(R
b)R
c、Q、Qへの共有結合を含むリンカー、分析物分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカーまたは構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり、ここで:R
aは、OまたはSであり;R
bは、OH、SH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;R
cは、OH、SH、O
−、S
−、OR
d、SR
d、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり;そしてR
dは、対イオンであり;
Qは、各存在において、独立して、分析物分子、固体支持体または相補的反応性基Q′と共有結合を形成できる反応性基を含む部分であり;そして
nは、1またはこれより大きな整数である。
【0106】
染料部分Mはしばしば、疎水性であり、従って、ある種の実施形態において、Lは、ポリマー染料化合物の水溶性を改善するために選択される。いくつかの実施形態において、Lは、親水性官能基を含む。他の実施形態において、Lは、荷電した官能基(例えば、水性環境において1〜14の範囲に及ぶpH値において荷電する)を含む。異なる実施形態において、Lは、ホスフェート、アミノ酸またはアルキレンオキシド官能基を含む。
【0107】
ポリマー染料は、代表的には、2個またはこれより多くのM部分を含む。ポリマー染料の正確な構造は重要ではないが、種々の実施形態は、以下に示されるとおりの構造(I)、(II)、(III)または(IV)のうちの1つを有するポリマー染料を含む。
【0108】
構造(I)のポリマー染料
いくつかの実施形態において、構造(I)の化合物が提供される。いくつかの異なる実施形態において、シクロデキストリンおよび構造(I)の化合物を含む組成物が提供される。構造(I)の化合物は、以下の構造:
【化5】
またはその立体異性体、塩もしくは互変異性体を有し、ここで:
Mは、各存在において、独立して、2個またはこれより多くの炭素−炭素二重結合および少なくとも1の共役度を含む部分であり;
L
1は、各存在において、独立して、i)選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンもしくはヘテロ原子リンカー;またはii)2個の相補的反応性基の反応によって形成できる官能基を含むリンカー、のいずれかであり;
L
2およびL
3は、各存在において、独立して、選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンまたはヘテロ原子リンカーであり;
L
4は、各存在において、独立して、長さが3原子より大きいヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり、ここで該ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンおよびヘテロアルキニレンリンカーの中のヘテロ原子は、O、NおよびSから選択され;
R
1は、各存在において、独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり;
R
2およびR
3は、各々独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアルキル、−OP(=R
a)(R
b)R
c、QまたはL’であり;
R
4は、各存在において、独立して、OH、SH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;
R
5は、各存在において、独立して、オキソ、チオキソまたは非存在であり;
R
aは、OまたはSであり;
R
bは、OH、SH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;
R
cは、OH、SH、O
−、S
−、OR
d、OL’、SR
d、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり;
R
dは、対イオンであり;
Qは、各存在において、独立して、分析物分子、標的化部分、固体支持体または相補的反応性基Q′と共有結合を形成できる反応性基またはその保護されたアナログを含む部分であり;
L’は、各存在において、独立して、Qへの共有結合を含むリンカー、標的化部分への共有結合を含むリンカー、分析物分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカー、ヌクレオシドへの共有結合を含むリンカーまたは構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり;
mは、各存在において、独立して、0またはこれより大きな整数であるが、ただしmの少なくとも1個の存在は、1またはこれより大きな整数であり;そして
nは、1またはこれより大きな整数である。
【0109】
構造(I)の化合物の異なる実施形態において:
Mは、各存在において、独立して、染料部分であり;
L
1は、各存在において、独立して、i)選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンもしくはヘテロ原子リンカー;またはii)2個の相補的反応性基の反応によって形成できる官能基を含むリンカー、のいずれかであり;
L
2およびL
3は、各存在において、独立して、選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンまたはヘテロ原子リンカーであり;
L
4は、各存在において、独立してヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり;
R
1は、各存在において、独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり;
R
2およびR
3は、各々独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、−OP(=R
a)(R
b)R
c、Q、Qへの共有結合を含むリンカー、分析物分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカーまたは構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり、ここで:R
aは、OまたはSであり;R
bは、OH、SH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;R
cは、OH、SH、O
−、S
−、OR
d、SR
d、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり;そしてR
dは、対イオンであり;
R
4は、各存在において、独立して、OH、SH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;
R
5は、各存在において、独立して、オキソ、チオキソまたは非存在であり;
Qは、各存在において、独立して、分析物分子、固体支持体または相補的反応性基Q′と共有結合を形成できる反応性基を含む部分であり;
mは、各存在において、独立して、0またはこれより大きな整数であるが、ただしmの少なくとも1個の存在は、1またはこれより大きな整数であり;そして
nは、1またはこれより大きな整数である。
【0110】
構造(I)の化合物中の種々のリンカーおよび置換基(例えば、M、Q、R
1、R
2、R
3、R
c、L
1、L
2、L
3およびL
4)は、さらに1個の置換基で必要に応じて置換される。例えば、いくつかの実施形態において、選択肢的な置換基は、構造(I)の化合物の水溶性または他の特性を最適化するために選択される。ある種の実施形態において、構造(I)の化合物中の各アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルおよびチオホスホアルキルエーテルは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、スルフヒドリル、アミノ、アルキルアミノ、カルボキシル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルおよびチオホスホアルキルエーテルからなる群より選択されるさらに1個の置換基で必要に応じて置換される。構造(I)のある種の実施形態において、選択肢的な置換基は、−OP(=R
a)(R
b)R
cであり、ここでR
a、R
bおよびR
cは、構造(I)の化合物について定義されるとおりである。
【0111】
いくつかの実施形態において、L
1は、各存在において、独立して、選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンまたはヘテロ原子リンカーである。他の実施形態において、L
1は、各存在において、独立して、2個の相補的反応性基、例えば、Q基の反応によって形成できる官能基を含むリンカーである。
【0112】
構造(I)のいくつかの実施形態において、L
4は、各存在において、独立して、ヘテロアルキレンリンカーである。他のより具体的な実施形態において、L
4は、各存在において、独立して、アルキレンオキシドリンカーである。例えば、いくつかの実施形態において、L
4は、ポリエチレンオキシドであり、化合物は、以下の構造(IA):
【化6】
を有し、ここでzは、2〜100の整数、例えば、3〜6の整数である。(IA)のいくつかの実施形態において、zは、2〜30の、例えば、約20〜25の整数、または約23である。いくつかの実施形態において、zは、2〜10、例えば、3〜6の整数である。いくつかの実施形態において、zは、3である。いくつかの実施形態において、zは、4である。いくつかの実施形態において、zは、5である。いくつかの実施形態において、zは、6である。
【0113】
選択肢的なリンカーL
1は、化合物の残部へのM部分の結合点として使用され得る。例えば、いくつかの実施形態において、構造(I)の化合物への合成前駆体が調製され、M部分は、当該分野で公知の任意の数の容易な方法(例えば、「クリック化学」といわれる方法)を使用して、その合成前駆体に結合される。この目的のために、迅速でありかつ実質的に不可逆性である任意の反応は、Mをその合成前駆体に結合して、構造(I)の化合物を形成するために使用され得る。例示的な反応としては、トリアゾールを形成するアジドおよびアルキンの銅触媒性の反応(ヒュスゲン1,3−双極環化付加反応)、ジエンおよびジエノフィルの反応(ディールス−アルダー)、歪み促進性アルキン−ニトロン環化付加(strain−promoted alkyne−nitrone cycloaddition)、歪みアルケンと、アジド、テトラジンまたはテトラゾールの反応、アルケンおよびアジドの[3+2]環化付加、アルケンおよびテトラジン逆電子要請型ディールス−アルダー、アルケンおよびテトラゾール光化学反応、ならびに種々の置換反応(例えば、求電子性原子に対する求核攻撃による脱離基の置換)が挙げられる。例示的な置換反応は、アミンと以下:活性化エステル;N−ヒドロキシスクシンイミドエステル;イソシアネート;イソチオシアネート(isothioscyanate)などとの反応を含む。いくつかの実施形態において、L
1を形成する反応は、水性環境の中で行われ得る。
【0114】
よって、いくつかの実施形態において、L
1は、各存在において、2個の相補的反応性基の反応によって形成し得る官能基、たとえば、前述の「クリック」反応のうちの1つの生成物である官能基、を含むリンカーである。種々の実施形態において、L
1の少なくとも1個の存在に関して、官能基は、アルデヒド、オキシム、ヒドラゾン、アルキン、アミン、アジド、アシルアジド、アシルハライド、ニトリル、ニトロン、スルフヒドリル、ジスルフィド、スルホニルハライド、イソチオシアネート、イミドエステル、活性化エステル(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、ケトン、α,β−不飽和カルボニル、アルケン、マレイミド、α−ハロイミド、エポキシド、アジリジン、テトラジン、テトラゾール、ホスフィン、ビオチンまたはチイラン官能基と、相補的反応性基との反応によって形成され得る。例えば、アミンとN−ヒドロキシスクシンイミドエステルまたはイソチオシアネートとの反応。
【0115】
他の実施形態において、L
1の少なくとも1個の存在に関して、官能基は、アルキンおよびアジドの反応によって形成され得る。他の実施形態において、L
1の少なくとも1個の存在に関して、官能基は、アミン(例えば、一級アミン)およびN−ヒドロキシスクシンイミドエステルまたはイソチオシアネートの反応によって形成され得る。
【0116】
より多くの実施形態において、L
1の少なくとも1個の存在に関して、官能基は、アルケン、エステル、アミド、チオエステル、ジスルフィド、炭素環式、複素環式またはヘテロアリール基を含む。より多くの実施形態において、L
1の少なくとも1個の存在に関して、官能基は、アルケン、エステル、アミド、チオエステル、チオウレア、ジスルフィド、炭素環式、複素環式またはヘテロアリール基を含む。他の実施形態において、官能基は、アミドまたはチオウレアを含む。いくつかのより具体的な実施形態において、L
1の少なくとも1個の存在に関して、L
1は、トリアゾリル官能基を含むリンカーである。一方で他の実施形態において、L
1の少なくとも1個の存在に関して、L
1は、アミドまたはチオウレア官能基を含むリンカーである。
【0117】
さらに他の実施形態において、L
1の少なくとも1個の存在に関して、L
1−Mは、以下の構造:
【化7】
を有し、ここでL
1aおよびL
1bは、各々独立して、選択肢的なリンカーである。
【0118】
異なる実施形態において、L
1の少なくとも1個の存在に関して、L
1−Mは、以下の構造:
【化8】
を有し、ここでL
1aおよびL
1bは、各々独立して、選択肢的なリンカーである。
【0119】
前述のものの種々の実施形態において、L
1aもしくはL
1b、または両方が、非存在である。他の実施形態において、L
1aもしくはL
1b、または両方が存在する。
【0120】
いくつかの実施形態において、L
1aおよびL
1bは、存在する場合、各々独立して、アルキレンまたはヘテロアルキレンである。例えば、いくつかの実施形態において、L
1aおよびL
1bは、存在する場合、独立して、以下の構造:
【化9】
のうちの1つを有する。
【0121】
構造(I)のさらに他の異なる実施形態において、L
1は、各存在において、独立して、選択肢的なアルキレンまたはヘテロアルキレンリンカーである。ある種の実施形態において、L
1は、以下の構造:
【化10】
のうちの1つを有する。
【0122】
より多くの実施形態において、L
2およびL
3は、各存在において、独立して、C
1−C
6アルキレン、C
2−C
6アルケニレンまたはC
2−C
6アルキニレンである。例えば、いくつかの実施形態において、化合物は、以下の構造(IB):
【化11】
を有し、ここで:
x
1、x
2、x
3およびx
4は、各存在において、独立して、0〜6の整数であり;そして
zは、2〜100の整数、例えば、3〜6の整数である。
【0123】
構造(IB)の化合物のある種の実施形態において、x
1、x
2、x
3またはx
4のうちの少なくとも1個の存在は、1である。他の実施形態において、x
1、x
2、x
3およびx
4は、各存在において、各々1である。他の実施形態において、x
1およびx
3は、各存在において、各々0である。いくつかの実施形態において、x
2およびx
4は、各存在において、各々1である。さらに他の実施形態において、x
1およびx
3は、各存在において、各々0であり、x
2およびx
4は、各存在において、各々1である。
【0124】
構造(IB)の化合物のいくつかのより具体的な実施形態において、L
1は、各存在において、独立して、トリアゾリル官能基を含む。構造(IB)の化合物のいくつかの他の具体的な実施形態において、L
1は、各存在において、独立して、アミドまたはチオウレア官能基を含む。構造(IB)の化合物の他の実施形態において、L
1は、各存在において、独立して、選択肢的なアルキレンまたはヘテロアルキレンリンカーである。
【0125】
構造(I)の化合物のうちのいずれかのさらに他の実施形態において、R
4は、各存在において、独立して、OH、O
−またはOR
dである。「OR
d」および「SR
d」は、カチオンと会合したO
−およびS
−をいうことが意図されることは、理解される。例えば、ホスフェート基の二ナトリウム塩は、
【化12】
として表され得、ここでR
dは、ナトリウム(Na
+)である。
【0126】
構造(I)の化合物のうちのいずれかの他の実施形態において、R
5は、各存在において、オキソである。
【0127】
前述の化合物のうちのいずれかのいくつかの異なる実施形態において、R
1は、Hである。
【0128】
他の種々の実施形態において、R
2およびR
3は、各々独立して、OHまたは−OP(=R
a)(R
b)R
cである。いくつかの異なる実施形態において、R
2またはR
3は、OHまたは−OP(=R
a)(R
b)R
cであり、R
2またはR
3の他方は、QまたはQへの共有結合を含むリンカーである。
【0129】
構造(I)の前述の化合物のうちのいずれかのさらにより異なる実施形態において、R
2およびR
3は、各々独立して、−OP(=R
a)(R
b)R
cである。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、R
cは、OL’である。
【0130】
他の実施形態において、R
2およびR
3は、各々独立して、−OP(=R
a)(R
b)OL’であり、L’は、Q、標的化部分、分析物(例えば、分析物分子)、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドまたは構造(I)のさらなる化合物への、アルキレンまたはヘテロアルキレンリンカーである。
【0131】
リンカーL’は、Q、標的化部分、分析物(例えば、分析物分子)、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドまたは構造(I)のさらなる化合物を、構造(I)の化合物に結合させるために適した任意のリンカーであり得る。有利なことには、ある種の実施形態は、化合物の水溶性を増大または最適化するために選択されるL’部分の使用を含む。ある種の実施形態において、L’は、ヘテロアルキレン部分である。いくつかの他のある種の実施形態において、L’は、アルキレンオキシドもしくはホスホジエステル部分、またはこれらの組み合わせを含む。
【0132】
ある種の実施形態において、L’は、以下の構造:
【化13】
を有し、ここで:
m”およびn”は、独立して、1〜10の整数であり;
R
eは、H、電子対または対イオンであり;
L”は、R
eもしくは直接結合であるか、またはQ、標的化部分、分析物(例えば、分析物分子)、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドもしくは構造(I)のさらなる化合物への、連結である。
【0133】
いくつかの実施形態において、m”は、4〜10の整数、例えば、4、6または10である。他の実施形態において、n”は、3〜6の整数、例えば、3、4、5または6である。
【0134】
いくつかの他の実施形態において、L”は、アルキレンまたはヘテロアルキレン部分である。いくつかの他のある種の実施形態において、L”は、アルキレンオキシド、ホスホジエステル部分、スルフヒドリル、ジスルフィドもしくはマレイミド部分、またはこれらの組み合わせを含む。
【0135】
前述の実施形態のうちのある種のものにおいて、標的化部分は、抗体または細胞表面レセプターアンタゴニストである。
【0136】
構造(I)の前述の化合物のうちのいずれかの他のより具体的な実施形態において、R
2またはR
3は、以下の構造:
【化14】
【化15】
のうちの1つを有する。
【0137】
構造(I)の化合物のうちのある種の実施形態は、オリゴヌクレオチドの調製に関して当該分野で公知のものに類似である固相合成法に従って調製され得る。よって、いくつかの実施形態において、L’は、固体支持体、固体支持体残基またはヌクレオシドへの連結である。活性化デオキシチミジン(dT)基を含む固体支持体は、容易に入手可能であり、いくつかの実施形態において、構造(I)の化合物の調製のための出発物質として使用され得る。よって、いくつかの実施形態において、R
2またはR
3は、以下の構造:
【0139】
当業者は、上記で示されるdT基が合成のしやすさおよび経済効率のみのために含まれ、必須ではないことを理解する。他の固体支持体が使用され得、そしてL’に存在する異なるヌクレオシドまたは固体支持体残基を生じるか、あるいはそのヌクレオシドまたは固体支持体残基は、合成後に除去または改変され得る。
【0140】
なお他の実施形態において、Qは、各存在において、独立して、分析物分子または固体支持体と共有結合を形成し得る反応性基を含む部分である。他の実施形態において、Qは、各存在において、独立して、相補的反応性基Q′と共有結合を形成し得る反応性基を含む部分である。例えば、いくつかの実施形態において、Q′は、構造(I)のさらなる化合物上に(例えば、R
2位またはR
3位に)存在し、QおよびQ′は、構造(I)の化合物および構造(I)のさらなる化合物の反応が構造(I)の化合物の共有結合したダイマーを生じるように、相補的反応性基を含む。構造(I)のマルチマー化合物はまた、類似の様式で調製され得、本発明の実施形態の範囲内に含まれる。
【0141】
Q基のタイプおよび構造(I)の化合物の残部へのQ基の接続は、Qが、所望の結合を形成するために適切な反応性を有することを条件として、限定されない。
【0142】
ある種の実施形態において、Qは、水性条件下で加水分解を受けにくい部分であるが、分析物分子または固体支持体上の対応する基(例えば、アミン、アジドまたはアルキン)と結合を形成するために十分に反応性である。
【0143】
構造(I)の化合物のある種の実施形態は、生体結合反応の分野において一般に使用されるQ基を含む。例えば、いくつかの実施形態において、Qは、求核性反応性基、求電子性反応性基もしくは環化付加反応性基を含む。いくつかのより具体的な実施形態において、Qは、スルフヒドリル、ジスルフィド、活性化エステル、イソチオシアネート、アジド、アルキン、アルケン、ジエン、ジエノフィル、酸ハライド、スルホニルハライド、ホスフィン、α−ハロアミド、ビオチン、アミノもしくはマレイミド官能基を含む。いくつかの実施形態において、上記活性化エステルは、N−スクシンイミドエステル、イミドエステルまたはポリフルオロフェニルエステルである。他の実施形態において、上記アルキンは、アルキルアジドまたはアシルアジドである。
【0144】
Q基は、便宜的に、貯蔵安定性または他の所望の特性を増大するために保護された形態で提供され得、次いで、その保護基は、例えば、標的化部分または分析物との結合体化のために適時に除去され得る。よって、Q基は、反応性基の「保護された形態」を含み、これらとしては、上記でまたは以下の表1に記載される反応性基のうちのいずれかが挙げられる。Qの「保護された形態」とは、所定の反応条件下で、Qと比較してより低い反応性を有するが、好ましくは、構造(I)の化合物の他の部分を分解もせず、その部分と反応もしない条件下で、Qに変換され得る部分をいう。当業者は、特定のQならびに所望の最終用途および貯蔵条件に基づいて、Qの適切な保護された形態を導き得る。例えば、QがSHである場合、Qの保護された形態は、一般に公知の技術および試薬を使用してSH部分を現すために還元され得るジスルフィドを含む。
【0145】
例示的なQ部分は、以下の表Iに提供される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0146】
QがSHであるいくつかの実施形態において、このSH部分は、例えば構造(I)の別の化合物上の別のスルフヒドリル基とジスルフィド結合を形成する傾向にあることに注意するべきである。よって、いくつかの実施形態は、ジスルフィドダイマーの形態にあり、このジスルフィド結合がSH Q基に由来する構造(I)の化合物を含む。
【0147】
また、ある種の実施形態の範囲内に含まれるのは、R
2およびR
3のうちの一方または両方が構造(I)のさらなる化合物への連結を含む構造(I)の化合物である。例えば、R
2およびR
3のうちの一方または両方は、−OP(=R
a)(R
b)R
cであり、R
cは、OL’であり、そしてL’は、構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーである。このような化合物は、例えば、約10個の「M」部分(すなわち、n=9)を有し、構造(I)の第2の化合物上の相補的Q’基との反応に適切な「Q」を有する構造(I)の第1の化合物を調製することによって、調製され得る。このようにして、任意の数の「M」部分(例えば、100個またはこれより多く)を有する構造(I)の化合物は、各モノマーを連続的にカップリングする必要性なしに調製され得る。構造(I)のこのような化合物の例示的実施形態は、以下の構造(I’):
【化17】
を有し、ここで:
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、L
1、L
2、L
3、L
4、M、mおよびnの各存在は、独立して、構造(I)の化合物について定義されるとおりであり;
L”は、Q部分と相当するQ’部分との反応から生じる官能基を含むリンカーであり;そして
αは、1より大きな、例えば、1〜100、または1〜10の整数である。
【0148】
構造(I’)の例示的化合物は、実施例5に提供される。構造(I’)の他の化合物は、当業者によって、例えば、本明細書で提供される構造(I)の化合物をダイマー化またはポリマー化することによって、導かれ得る。
【0149】
他の実施形態において、そのQ部分は、ジスルフィド部分として便宜上マスクされる(例えば、保護される)。その部分は、後に、所望の分析物分子または標的化部分に結合するために、還元されて、活性化Q部分を提供し得る。例えば、そのQ部分は、以下の構造:
【化18】
を有するジスルフィドとしてマスクされ得、ここでRは、必要に応じて置換されたアルキル基である。例えば、いくつかの実施形態において、Qは、以下の構造:
【化19】
を有するジスルフィド部分として提供され、ここでnは、1〜10の整数、例えば、6である。
【0150】
構造(I)のいくつかの他の実施形態において、R
2またはR
3のうちの一方は、OHまたは−OP(=R
a)(R
b)R
cであり、かつR
2またはR
3のうちの他方は、分析物分子への共有結合を含むリンカーまたは固体支持体への共有結合を含むリンカーである。例えば、いくつかの実施形態において、上記分析物分子は、核酸、アミノ酸またはこれらのポリマーである。他の実施形態において、上記分析物分子は、酵素、レセプター、レセプターリガンド、抗体、糖タンパク質、アプタマーまたはプリオンである。さらに異なる実施形態において、上記固体支持体は、ポリマービーズまたは非ポリマービーズである。
【0151】
mについての値は、所望の蛍光および/または色の強度に基づいて選択され得る別の変数である。いくつかの実施形態において、mは、各存在において、独立して、1〜10、3〜10または7〜9の整数である。他の実施形態において、mは、各存在において、独立して、1〜5の整数、例えば、1、2、3、4または5である。他の実施形態において、mは、各存在において、独立して、5〜10の整数、例えば、5、6、7、8、9または10である。他の実施形態において、mの各存在は、1またはこれより大きい整数である。例えば、いくつかの実施形態において、mの各存在は、2もしくはこれより大きいか、または3もしくはこれより大きい整数である。
【0152】
他の実施形態において、mは、各存在において、独立して、2より大きな整数であり、zは、3〜10の整数であり、例えば、いくつかの実施形態において、mは、各存在において、独立して、2より大きな整数(例えば、3、4、5または6)であり、zは、3〜6の整数である。
【0153】
蛍光強度はまた、nの種々の値の選択によって整調され得る。ある種の実施形態において、nは、1〜100の整数である。他の実施形態において、nは、1〜10の整数である。いくつかの実施形態において、nは、1である。いくつかの実施形態において、nは、2である。いくつかの実施形態において、nは、3である。いくつかの実施形態において、nは、4である。いくつかの実施形態において、nは、5である。いくつかの実施形態において、nは、6である。いくつかの実施形態において、nは、7である。いくつかの実施形態において、nは、8である。いくつかの実施形態において、nは、9である。いくつかの実施形態において、nは、10である。
【0154】
化合物の構造中のMは、上記で記載される部分のうちのいずれかから選択される。
【0155】
いくつかの具体的実施形態において、組成物中のポリマー染料化合物は、表2から選択される化合物である。表2の中の化合物は、実施例に示される手順に従って調製し、それらが何であるかを質量分析法によって確認した。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【表2-13】
【表2-14】
【表2-15】
【表2-16】
【表2-17】
【表2-18】
【表2-19】
【表2-20】
【表2-21】
【表2-22】
【表2-23】
【表2-24】
【表2-25】
*TBD=未決定
【0156】
表2において、および本出願全体を通じて使用される場合、R
2、R
3、m、nおよびL′は、別段示されなければ、構造(I)の化合物に関して提供される定義を有し、F、F′およびF′′は、それぞれ、以下の構造:
【化20】
を有するフルオレセイン部分をいう。
「dT」とは、以下の構造:
【化21】
をいう。
【0157】
いくつかの実施形態は、標的化部分(例えば、抗体)に結合体化される表2に提供される具体的化合物を含め、前述の化合物のうちのいずれかを含む。
【0158】
構造(II)のポリマー染料化合物
いくつかの実施形態において、構造(II)の化合物が提供される。いくつかの異なる実施形態において、シクロデキストリンおよび構造(II)の化合物を含む組成物が提供される。構造(II)の化合物は、以下の構造:
【化22】
またはその立体異性体、塩もしくは互変異性体を有し、ここで:
Mは、各存在において、独立して、染料部分であり;
L
1は、各存在において、独立して、2個の相補的反応性基の反応によって形成できる官能基を含むリンカーであり;
L
2およびL
3は、各存在において、独立して、選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンまたはヘテロ原子リンカーであり;
L
4は、各存在において、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり;
R
1は、各存在において、独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり;
R
2およびR
3は、各々独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアルキル、−OP(=R
a)(R
b)R
c、QまたはL’であり;
R
4は、各存在において、独立して、OH、SH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;
R
5は、各存在において、独立して、オキソ、チオキソまたは非存在であり;
R
aは、OまたはSであり;
R
bは、OH、SH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;
R
cは、OH、SH、O
−、S
−、OR
d、OL’、SR
d、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり;
R
dは、対イオンであり;
Qは、各存在において、独立して、分析物分子、標的化部分、固体支持体または相補的反応性基Q′と共有結合を形成できる反応性基またはその保護されたアナログを含む部分であり;
L’は、各存在において、独立して、Qへの共有結合を含むリンカー、標的化部分への共有結合を含むリンカー、分析物分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカー、ヌクレオシドへの共有結合を含むリンカーまたは構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり;
mは、各存在において、独立して、0またはこれより大きな整数であり;そして
nは、1またはこれより大きな整数である。
【0159】
構造(II)の他の実施形態において:
Mは、各存在において、独立して、染料部分であり;
L
1は、各存在において、独立して、2個の相補的反応性基の反応によって形成できる官能基を含むリンカーであり;
L
2およびL
3は、各存在において、独立して、選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンまたはヘテロ原子リンカーであり;
L
4は、各存在において、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり;
R
1は、各存在において、独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり;
R
2およびR
3は、各々独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、−OP(=R
a)(R
b)R
c、Q、Qへの共有結合を含むリンカー、分析物分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカーまたは構造(II)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり、ここで:R
aは、OまたはSであり;R
bは、OH、SH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;R
cは、OH、SH、O
−、S
−、OR
d、SR
d、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり;そしてR
dは、対イオンであり;
R
4は、各存在において、独立して、OH、SH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;
R
5は、各存在において、独立して、オキソ、チオキソまたは非存在であり;
Qは、各存在において、独立して、分析物分子、固体支持体または相補的反応性基Q′と共有結合を形成できる反応性基を含む部分であり;
mは、各存在において、独立して、0またはこれより大きな整数であり;そして
nは、1またはこれより大きな整数である。
【0160】
いくつかの実施形態において、mの少なくとも1個の存在は、1またはこれより大きな整数である。他の実施形態において、mの少なくとも1個の存在は、2またはこれより大きな整数である。さらに異なる実施形態において、mの少なくとも1個の存在は、3またはこれより大きな整数である。さらに異なる実施形態において、mの少なくとも1個の存在は、4またはこれより大きな整数である。さらに異なる実施形態において、mの少なくとも1個の存在は、5またはこれより大きな整数である。
【0161】
構造(II)の化合物の中の種々のリンカーおよび置換基(例えば、M、Q、R
1、R
2、R
3、R
c、L
1、L
2、L
3およびL
4)は、構造(I)に関して上記で記載されるとおりのさらに1個の置換基で必要に応じて置換される。
【0162】
構造(II)の化合物におけるリンカーL
1は、上記で示される構造(I)の実施形態のうちのいずれかで定義されるとおりである。
【0163】
よって、いくつかの実施形態において、ポリマー染料化合物は、以下の構造(IIA):
【化23】
を有し、ここで:
L
1aおよびL
1bは、各存在において、独立して、選択肢的なリンカーであり;そして
x
1、x
2、x
3およびx
4は、各存在において、独立して、0〜6の整数である。
【0164】
異なる実施形態において、構造(II)の化合物は、以下の構造(IIB):
【化24】
を有し、ここで:
L
1aおよびL
1bは、各存在において、独立して、選択肢的なリンカーであり;そして
x
1、x
2、x
3およびx
4は、各存在において、独立して、0〜6の整数である。
【0165】
前述の種々の実施形態において、L
1aもしくはL
1b、または両方は、非存在である。他の実施形態において、L
1aもしくはL
1b、または両方は、存在する。
【0166】
いくつかの実施形態において、L
1aおよびL
1bは、存在する場合、各々独立して、アルキレンまたはヘテロアルキレンである。例えば、いくつかの実施形態において、L
1aおよびL
1bは、存在する場合、独立して、以下の構造:
【化25】
のうちの1つを有する。
【0167】
より多くの実施形態において、L
1、L
2、L
3およびL
4は、各存在において、独立して、C
1−C
6アルキレン、C
2−C
6アルケニレンまたはC
2−C
6アルキニレンである。他の実施形態において、L
4は、各存在において、独立して、C
1−C
6アルキレン、C
2−C
6アルケニレンまたはC
2−C
6アルキニレンである。例えば、いくつかの実施形態において、化合物は、以下の構造(IIC):
【化26】
を有し、ここで:
x
1、x
2、x
3およびx
4は、各存在において、独立して、0〜6の整数であり;そして
yは、各存在において、独立して、1〜6の整数である。
【0168】
構造(IIC)のいくつかの実施形態において、L
1は、各存在において、独立して、トリアゾリル官能基を含む。(IIC)の他の実施形態において、yは、mの各整数値に対して2である。
【0169】
構造(IIC)の化合物のある種の実施形態において、x
3およびx
4は、各存在において、ともに2である。他の実施形態において、x
1、x
2、x
5およびx
6は、各存在において、各々1である。異なる実施形態において、x
2およびx
4は、各々0であり、x
3は、1である。
【0170】
構造(II)の前述の化合物のうちのいずれかのさらに他の実施形態において、R
4およびR
5は、独立して、上記の構造(I)について定義されるとおりである。
【0171】
さらに異なる実施形態において、構造(II)の化合物は、以下の構造(ID)または(IE):
【化27】
のうちの一方を有する。
【0172】
(IID)および(IIE)のいくつかの具体的実施形態において、L
1は、各存在において、独立して、トリアゾリル官能基を含む。
【0173】
構造(II)においてR
1、R
2、R
3、Q、M、mおよびnは、独立して、構造(I)の前述の実施形態のうちのいずれかで定義されるとおりである。
【0174】
構造(II)の前述の化合物のうちのいずれかのさらにより異なる実施形態において、R
2およびR
3は、各々独立して、−OP(=R
a)(R
b)R
cである。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、R
cは、OL’である。
【0175】
他の実施形態において、R
2およびR
3は、各々独立して、−OP(=R
a)(R
b)OL’であり、L’は、Q、標的化部分、分析物(例えば、分析物分子)、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドまたは構造(II)のさらなる化合物への、アルキレンまたはヘテロアルキレンリンカーである。
【0176】
リンカーL’は、Q、標的化部分、分析物(例えば、分析物分子)、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドまたは構造(II)のさらなる化合物を、構造(II)の化合物に結合するために適した任意のリンカーであり得る。ある種の実施形態は、化合物の水溶性を増大または最適化するために選択されるL’部分の使用を含む。ある種の実施形態において、L’は、ヘテロアルキレン部分である。いくつかの他のある種の実施形態において、L’は、アルキレンオキシドもしくはホスホジエステル部分、またはこれらの組み合わせを含む。
【0177】
ある種の実施形態において、L’は、以下の構造:
【化28】
を有し、ここで:
m”およびn”は、独立して、1〜10の整数であり;
R
eは、H、電子対または対イオンであり;
L”は、R
eもしくは直接結合であるか、またはQ、標的化部分、分析物(例えば、分析物分子)、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドもしくは構造(II)のさらなる化合物への、連結である。
【0178】
いくつかの実施形態において、m”は、4〜10の整数、例えば、4、6または10である。他の実施形態において、n”は、3〜6の整数、例えば、3、4、5または6である。
【0179】
いくつかの他の実施形態において、L”は、アルキレンまたはヘテロアルキレン部分である。いくつかの他のある種の実施形態において、L”は、アルキレンオキシド、ホスホジエステル部分、スルフヒドリル、ジスルフィドもしくはマレイミド部分、またはこれらの組み合わせを含む。
【0180】
前述の実施形態のうちのある種のものにおいて、標的化部分は、抗体または細胞表面レセプターアンタゴニストである。
【0181】
構造(II)の前述の化合物のうちのいずれかの他のより具体的な実施形態において、R
2またはR
3は、以下の構造:
【0182】
【化29】
【化30】
のうちの1つを有する。
【0183】
構造(II)の化合物のうちのある種の実施形態は、オリゴヌクレオチドの調製に関して当該分野で公知のものに類似である固相合成法に従って調製され得る。よって、いくつかの実施形態において、L’は、固体支持体、固体支持体残基またはヌクレオシドへの連結である。活性化デオキシチミジン(dT)基を含む固体支持体は、容易に入手可能であり、いくつかの実施形態において、構造(II)の化合物の調製のための出発物質として使用され得る。よって、いくつかの実施形態において、R
2またはR
3は、以下の構造:
【0185】
当業者は、上記で示されるdT基が合成のしやすさおよび経済効率のみのために含まれ、必須ではないことを理解する。他の固体支持体が使用され得、そしてL’に存在する異なるヌクレオシドまたは固体支持体残基を生じるか、あるいはそのヌクレオシドまたは固体支持体残基は、合成後に除去または改変され得る。
【0186】
いくつかの具体的実施形態において、構造(II)の化合物は、表3から選択される化合物である:
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【0187】
表3において、および本願全体を通じて使用される場合、F、EおよびYは、それぞれ、フルオレセイン、ペリレンおよびピレン部分をいい、以下の構造:
【化32】
を有する。
【0188】
構造(III)のポリマー染料化合物
いくつかの実施形態において、構造(III)の化合物が提供される。いくつかの異なる実施形態において、シクロデキストリンおよび構造(III)の化合物を含む組成物が提供される。構造(III)の化合物は、以下の構造:
【化33】
またはその立体異性体、塩もしくは互変異性体を有し、ここで:
Mは、各存在において、独立して、染料部分であり;
L
1は、各存在において、独立して、i)選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンもしくはヘテロアルキニレンリンカー;またはii)2個の相補的反応性基の反応によって形成できる官能基を含むリンカー、のいずれかであり;
L
2、L
3、L
4およびL
5は、各存在において、独立して、選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり;
R
1は、各存在において、独立して、天然または非天然のアミノ酸の側鎖であり;
R
2およびR
3は、各々独立して、H、−OH、−SH、−NH
2、−CO
2H、アルキル、アルキルエーテル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アルキルアミニル、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、Q、Qへの共有結合を含むリンカー、標的化部分への共有結合を含むリンカー、分析物分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカーまたは構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり、ここで上記アルキル、アルキルエーテル、アルキルアミニル、アルキルカルボニルおよびアルキルオキシカルボニルは、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルもしくはチオホスホアルキルエーテル、またはこれらの組み合わせで必要に応じて置換され;Qは、各存在において、独立して、分析物分子、固体支持体または相補的反応性基Q′と共有結合を形成できる反応性基を含む部分であり;
mは、各存在において、独立して、0またはこれより大きな整数であり;そして
nは、1またはこれより大きな整数である。
【0189】
構造(III)の他の実施形態において:
Mは、各存在において、独立して、染料部分であり;
L
1は、各存在において、独立して、i)選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンもしくはヘテロアルキニレンリンカー;またはii)2個の相補的反応性基の反応によって形成できる官能基を含むリンカー、のいずれかであり;
L
2、L
3、L
4およびL
5は、各存在において、独立して、選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり;
R
1は、各存在において、独立して、天然または非天然のアミノ酸の側鎖であり;
R
2およびR
3は、各々独立して、H、−OH、−SH、−NH
2、−CO
2H、アルキル、アルキルエーテル、アルキルアミニル、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、Q、Qへの共有結合を含むリンカー、分析物分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカーまたは構造(III)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり、ここで上記アルキル、アルキルエーテル、アルキルアミニル、アルキルカルボニルおよびアルキルオキシカルボニルは、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルもしくはチオホスホアルキルエーテル、またはこれらの組み合わせで必要に応じて置換され;
Qは、各存在において、独立して、分析物分子、固体支持体または相補的反応性基Q′と共有結合を形成できる反応性基を含む部分であり;
mは、各存在において、独立して、0またはこれより大きな整数であり;そして
nは、1またはこれより大きな整数である。
【0190】
構造(I)の化合物における種々のリンカーおよび置換基(例えば、M、Q、R
1、R
2、R
3、L
1、L
2、L
3、L
4およびL
5)は、構造(I)に関して上記で記載されるとおりのさらに1個の置換基で必要に応じて置換される。
【0191】
構造(III)の化合物における選択肢的なリンカーL
1は、上記で示される構造(I)の実施形態のうちのいずれかで定義されるとおりである。
【0192】
いくつかの実施形態において、少なくとも1個のR
1は、天然アミノ酸の側鎖、例えば、Hまたはアルキルである。
【0193】
構造(III)の他の実施形態において、少なくとも1個のR
1は、荷電したアミノ酸の側鎖、例えば、アミジニル、グアニジニルまたはイミダゾリル基を含む側鎖である。
【0194】
他の実施形態において、R
1は、各存在において、独立して、H、アルキル、−CH
2CO
2−、−CH
2CH
2CO
2−、−CH
2CH
2CH
2CH
2NH
3+、−CH
2CH
2CH
2NHC(=NH
2+)NH
2またはイミダゾリルである。
【0195】
種々の他の実施形態において、R
1、L
4およびmは、
【化34】
が、(G)
10、(GDGDGDGDGD)または(GKGKGKGKGK)というアミノ酸配列を有するように選択される。
【0196】
異なる実施形態において、R
1、L
4およびmは、
【化35】
がα−ヘリックスまたはβ−シート二次構造を形成できるアミノ酸配列を有するように選択される。例えば、いくつかの実施形態において、アミノ酸配列は、(GGEEFMLVYKFARKHGG)または(GGMSMVVSGG)である。
【0197】
異なる実施形態において、L
4およびL
5は、各存在において非存在である。他の実施形態において、L
4もしくはL
5、または両方は、少なくとも1個の存在に対して存在する。例えば、いくつかの実施形態において、存在する場合、L
4もしくはL
5、または両方は、ヘテロアルキレンリンカーである。
【0198】
L
4および/またはL
5は、荷電した部分を含みうる。例えば、いくつかの実施形態において、L
4および/またはL
5は、水性溶液中で3〜11の範囲に及ぶpH値において正電荷または負電荷を維持できる官能基を含むヘテロアルキレンリンカーである。いくつかの実施形態において、L
4および/またはL
5は、水性溶液中で3〜11の範囲に及ぶpH値において正電荷を維持できる官能基を含むヘテロアルキレンリンカーである。いくつかの実施形態において、L
4および/またはL
5は、水性溶液中で3〜11の範囲に及ぶpH値において負電荷を維持できる官能基を含むヘテロアルキレンリンカーである。
【0199】
いくつかの実施形態において、L
4もしくはL
5のうちの少なくとも1個の存在、または両方は、以下の構造:
【化36】
を有する。
【0200】
他の実施形態において、L
4もしくはL
5のうちの少なくとも1個の存在、または両方は、以下の構造:
【化37】
を有する。
【0201】
構造(III)のさらに他の異なる実施形態において、L
1は、各存在において、独立して、選択肢的なアルキレンまたはヘテロアルキレンリンカーである。
【0202】
構造(III)のより多くの他の実施形態において、L
2およびL
3は、各存在において、独立して、非存在またはヘテロアルキレンリンカーである。例えば、いくつかの実施形態において、ヘテロアルキレンリンカーは、アミノ酸またはペプチジルリンカーである。
【0203】
構造(III)の他の種々の実施形態において、R
2は、−NH
2である。他の実施形態において、R
3は、Q、Qへの共有結合を含むリンカーまたは固体支持体への共有結合を含むリンカーである。
【0204】
構造(III)の種々の異なる実施形態において、構造(II)におけるR
1、R
2、R
3、Q、M、mおよびnは、独立して、構造(I)の前述の実施形態のうちのいずれかで定義されるとおりである。
【0205】
いくつかの具体的実施形態において、構造(III)の化合物は、表4から選択される化合物である。表4の中の化合物は、実施例に示される手順に従って調製し、それらが何であるかを質量分析法によって確認した。
【表4】
【0206】
エントリーIII−6およびIII−7において表5で使用される場合、ならびに本願全体を通じて示される場合、構造図の中に組み込まれた文字配列は、当該分野で公知の1文字コードによって示されるアミノ酸配列を示す。
【0207】
構造(IV)のポリマー染料化合物
いくつかの実施形態において、構造(IV)の化合物が提供される。いくつかの異なる実施形態において、シクロデキストリンおよび構造(IV)の化合物を含む組成物が提供される。構造(IV)の化合物は、以下の構造:
【化38】
またはその立体異性体、塩もしくは互変異性体を有し、ここで:
Aは、各存在において、独立して、1個またはこれより多くの縮合した炭素環式環系または複素環式環系を含む部分であり;
Mは、各存在において、独立して、染料部分であり;
L
1は、各存在において、独立して、i)選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンもしくはヘテロ原子リンカー;またはii)2個の相補的反応性基の反応によって形成できる官能基を含むリンカー、のいずれかであり;
L
2、L
3、L
4およびL
5は、各存在において、独立して、選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンリンカーまたはヘテロ原子リンカーであり;
R
1は、各存在において、独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり;
R
2およびR
3は、各々独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアルキル、−OP(=R
a)(R
b)R
c、QまたはL’であり;
R
4は、各存在において、独立して、OH、SH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;
R
5は、各存在において、独立して、オキソ、チオキソまたは非存在であり;
R
aは、OまたはSであり;
R
bは、OH、SH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;
R
cは、OH、SH、O
−、S
−、OR
d、OL’、SR
d、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり;
R
dは、対イオンであり;
Qは、各存在において、独立して、分析物分子、標的化部分、固体支持体または相補的反応性基Q′と共有結合を形成できる反応性基またはその保護されたアナログを含む部分であり;
L’は、各存在において、独立して、Qへの共有結合を含むリンカー、標的化部分への共有結合を含むリンカー、分析物分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカー、ヌクレオシドへの共有結合を含むリンカーまたは構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり;
mは、各存在において、独立して、0またはこれより大きな整数であるが、ただしmの少なくとも1個の存在は、1またはこれより大きな整数であり;そして
nは、1またはこれより大きな整数である。
【0208】
構造(IV)の他の実施形態において:
Aは、各存在において、独立して、1個またはこれより多くの縮合した炭素環式環系または複素環式環系を含む部分であり;
Mは、各存在において、独立して、染料部分であり;
L
1は、各存在において、独立して、i)選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンもしくはヘテロ原子リンカー;またはii)2個の相補的反応性基の反応によって形成できる官能基を含むリンカー、のいずれかであり;
L
2、L
3、L
4およびL
5は、各存在において、独立して、選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンリンカーまたはヘテロ原子リンカーであり;
R
1は、各存在において、独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり;
R
2およびR
3は、各々独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、−OP(=R
a)(R
b)R
c、Q、Qへの共有結合を含むリンカー、分析物分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカーまたは構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり、ここで:R
aは、OまたはSであり;R
bは、OH、SH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;R
cは、OH、SH、O
−、S
−、OR
d、SR
d、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり;そしてR
dは、対イオンであり;
R
4は、各存在において、独立して、OH、SH、O
−、S
−、OR
dまたはSR
dであり;
R
5は、各存在において、独立して、オキソ、チオキソまたは非存在であり;
Qは、各存在において、独立して、分析物分子、固体支持体または相補的反応性基Q′と共有結合を形成できる反応性基を含む部分であり;
mは、各存在において、独立して、0またはこれより大きな整数であるが、ただしmの少なくとも1個の存在は、1またはこれより大きな整数であり;そして
nは、1またはこれより大きな整数である。
【0209】
構造(IV)の化合物における種々のリンカーおよび置換基(例えば、M、A、Q、R
1、R
2、R
3、R
c、L
1、L
2、L
3、L
4およびL
5)は、構造(I)に関して上記で記載されるとおりのさらに1個の置換基で必要に応じて置換される。
【0210】
構造(IV)の化合物における選択肢的なリンカーL
1は、上記で示される構造(I)の実施形態のうちのいずれかで定義されるとおりである。
【0211】
構造(IV)のいくつかの実施形態において、Aは、各存在において、独立して、1個もしくはこれより多くの、縮合されたアリール環系またはヘテロアリール環系を含む部分である。異なる実施形態において、Aは、各存在において、独立して、1個またはこれより多くの、縮合された二環式または三環式の、アリール環系またはヘテロアリール環系を含む部分である。
【0212】
他のより具体的な実施形態において、Aは、各存在において、独立して、以下の構造:
【化39】
のうちの1つを有する縮合された炭素環式環系または複素環式環系であり、ここで:
a
1、a
2およびa
3は、各存在において、独立して、5員、6員または7員の炭素環式環または複素環式環であり;そして
L
6は、直接結合またはリンカーである。
【0213】
さらに他の実施形態において、Aは、各存在において、独立して、以下の構造:
【化40】
のうちの1つを有する。
【0214】
構造(IV)のより多くの実施形態において、L
2、L
3、L
4およびL
5は、各存在において、独立して、C
1−C
6アルキレン、C
2−C
6アルケニレンまたはC
2−C
6アルキニレンである。例えば、いくつかの実施形態において、化合物は、以下の構造(IVA):
【化41】
を有し、ここで:
x
1、x
2、x
3、x
4、x
5およびx
6は、各存在において、独立して、0〜6の整数である。
【0215】
構造(IVA)の化合物のある種の実施形態において、x
3およびx
4は、各存在においてともに2である。他の実施形態において、x
1、x
2、x
5およびx
6は、各存在において、各々1である。
【0216】
構造(IVA)の化合物のいくつかのより具体的な実施形態において、L
1は、各存在において、独立して、トリアゾリル官能基を含む。構造(IVA)の化合物の他の実施形態において、L
1は、各存在において、独立して、選択肢的なアルキレンまたはヘテロアルキレンリンカーである。
【0217】
構造(IV)の種々の異なる実施形態において、構造(IV)におけるR
1、R
2、R
3、Q、M、mおよびnは、独立して、構造(I)の前述の実施形態のうちのいずれかで定義されるとおりである。
【0218】
構造(IV)の前述の化合物のうちのいずれかのさらにより異なる実施形態において、R
2およびR
3は、各々独立して、−OP(=R
a)(R
b)R
cである。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、R
cは、OL’である。
【0219】
他の実施形態において、R
2およびR
3は、各々独立して、−OP(=R
a)(R
b)OL’であり、そしてL’は、Q、標的化部分、分析物(例えば、分析物分子)、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドまたは構造(IV)のさらなる化合物への、アルキレンまたはヘテロアルキレンリンカーである。
【0220】
リンカーL’は、Q、標的化部分、分析物(例えば、分析物分子)、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドまたは構造(IV)のさらなる化合物を、構造(IV)の化合物に結合するために適した任意のリンカーであり得る。有利なことには、ある種の実施形態は、化合物の水溶性を増大または最適化するために選択されるL’部分の使用を含む。ある種の実施形態において、L’は、ヘテロアルキレン部分である。いくつかの他のある種の実施形態において、L’は、アルキレンオキシドもしくはホスホジエステル部分、またはこれらの組み合わせを含む。
【0221】
ある種の実施形態において、L’は、以下の構造:
【化42】
を有し、ここで:
m”およびn”は、独立して、1〜10の整数であり;
R
eは、H、電子対または対イオンであり;
L”は、R
eもしくは直接結合であるか、またはQ、標的化部分、分析物(例えば、分析物分子)、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドもしくは構造(IV)のさらなる化合物への、連結である。
【0222】
いくつかの実施形態において、m”は、4〜10の整数、例えば、4、6または10である。他の実施形態において、n”は、3〜6の整数、例えば、3、4、5または6である。
【0223】
いくつかの他の実施形態において、L”は、アルキレンまたはヘテロアルキレン部分である。いくつかの他のある種の実施形態において、L”は、アルキレンオキシド、ホスホジエステル部分、スルフヒドリル、ジスルフィドもしくはマレイミド部分、またはこれらの組み合わせを含む。
【0224】
前述の実施形態のうちのある種のものにおいて、標的化部分は、抗体または細胞表面レセプターアンタゴニストである。
【0225】
構造(IV)の前述の化合物のうちのいずれかの他のより具体的な実施形態において、R
2またはR
3は、以下の構造:
【化43】
【化44】
のうちの1つを有する。
【0226】
構造(IV)の化合物のある種の実施形態は、オリゴヌクレオチドの調製に関して当該分野で公知のものに類似である固相合成法に従って調製され得る。よって、いくつかの実施形態において、L’は、固体支持体、固体支持体残基またはヌクレオシドへの連結である。活性化デオキシチミジン(dT)基を含む固体支持体は、容易に入手可能であり、いくつかの実施形態において、構造(IV)の化合物の調製のための出発物質として使用され得る。よって、いくつかの実施形態において、R
2またはR
3は、以下の構造:
【0228】
当業者は、上記で示されるdT基が合成のしやすさおよび経済効率のみのために含まれ、必須ではないことを理解する。他の固体支持体が使用され得、そしてL’に存在する異なるヌクレオシドまたは固体支持体残基を生じるか、あるいはそのヌクレオシドまたは固体支持体残基は、合成後に除去または改変され得る。
【0229】
いくつかの具体的実施形態において、構造(IV)の化合物は、表5から選択される化合物である:
【表5】
【0230】
ある種の実施形態においてモル蛍光は、親発蛍光団(例えば、モノマー)の蛍光発光に対しての倍数増加または減少の点で表され得る。いくつかの実施形態において、本発明の化合物のモル蛍光は、上記親発蛍光団に対して1.1×、1.5×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×またはさらにはより高い。種々の実施形態は、mおよびnの適切な選択によって、親発蛍光団に対して蛍光の所望の倍数増加を有する化合物を調製することを包含する。
【0231】
例証を容易にするために、リン部分(例えば、ホスフェートなど)を含む種々の化合物は、アニオン状態(例えば、−OPO(OH)O
−、−OPO
32−)で示される。当業者は、その電荷がpHに依存し、荷電していない(例えば、プロトン化または塩(例えば、ナトリウムもしくは他のカチオン))形態がまた、本発明の実施形態の範囲に含まれることを容易に理解する。
【0232】
前述の組成物のうちのいずれかおよび1もしくはこれより多くの分析物分子(例えば、生体分子)を含む組成物は、種々の他の実施形態において提供される。いくつかの実施形態において、上記1もしくはより多くの分析物分子の検出のための分析方法でのこのような組成物の使用がまた、提供される。
【0233】
さらに他の実施形態において、上記組成物は、種々の分析法において有用である。例えば、ある種の実施形態において、本開示は、サンプルを染色するための方法を提供し、上記方法は、上記サンプルに上記組成物のうちのいずれか(例えば、上記ポリマー染料化合物が構造(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物(例えば、ここでR
2またはR
3のうちの一方は、分析物分子(例えば、生体分子)または微粒子への共有結合を含むリンカーであり、かつR
2またはR
3のうちの他方は、H、OH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテルまたは−OP(=R
a)(R
b)R
cである)であるもの)を、上記サンプルが適切な波長で照射される場合に光学的応答を生じるために十分な量で添加する工程を包含する。
【0234】
前述の方法のうちのいくつかの実施形態において、R
2は、分析物分子(例えば、生体分子)への共有結合を含むリンカーである。例えば、核酸、アミノ酸またはこれらのポリマー(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)。さらにより多くの実施形態において、上記生体分子は、酵素、レセプター、レセプターリガンド、抗体、糖タンパク質、アプタマーまたはプリオンである。
【0235】
前述の方法のうちのさらに他の実施形態において、R
2は、固体支持体(例えば、微粒子)への共有結合を含むリンカーである。例えば、いくつかの実施形態において、上記微粒子は、ポリマービーズまたは非ポリマービーズである。
【0236】
さらにより多くの実施形態において、上記光学的応答は、蛍光応答である。
【0237】
他の実施形態において、上記サンプルは、細胞を含み、いくつかの実施形態は、フローサイトメトリーによって上記細胞を観察する工程をさらに含む。
【0238】
さらにより多くの実施形態において、上記方法は、上記蛍光応答を、検出可能に異なる光学的特性を有する第2の発蛍光団のものから区別する工程をさらに包含する。
【0239】
他の実施形態において、本開示は、分析物分子(例えば、生体分子)を視覚的に検出するための方法を提供し、上記方法は、
(a)上記組成物のうちのいずれか(例えば、上記ポリマー染料化合物が構造(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物(例えば、ここでR
2またはR
3のうちの一方は、上記分析物分子への共有結合を含むリンカーであり、かつR
2またはR
3のうちの他方は、H、OH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテルまたは−OP(=R
a)(R
b)R
cである)であるもの)を提供する工程;および
(b)上記化合物をその視覚的特性によって検出する工程
を包含する。
【0240】
いくつかの実施形態において、上記分析物分子は、核酸、アミノ酸またはこれらのポリマー(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)である。さらにより多くの実施形態において、上記分析物分子は、酵素、レセプター、レセプターリガンド、抗体、糖タンパク質、アプタマーまたはプリオンである。
【0241】
他の実施形態において、分析物分子(例えば、生体分子)を視覚的に検出するための方法が提供され、上記方法は、
(a)前述の組成物のうちのいずれかと1もしくはこれより多くの分析物分子とを混合する工程;および
(b)上記化合物をその視覚的特性によって検出する工程
を包含する。
【0242】
他の実施形態において、分析物分子を視覚的に検出するための方法が提供され、上記方法は、
(a)上記組成物のうちのいずれか(例えば、上記ポリマー染料化合物が、R
2またはR
3はQまたはQへの共有結合を含むリンカーである構造(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物であるもの)と、上記分析物分子とを混合する工程;
(b)上記化合物および上記分析物分子の結合体を形成する工程;ならびに
(c)上記結合体を、その視覚的特性によって検出する工程、
を包含する。
【0243】
他の例示的な方法は、分析物を検出するための方法を包含し、上記方法は、
(a)前述の実施形態のうちのいずれかに従う組成物またはポリマー染料を提供する工程であって、ここで上記ポリマー染料は、上記分析物への特異性を有する標的化部分への共有結合を含むリンカーを含む工程;
(b)上記組成物またはポリマー染料および上記分析物を混合し、それによって、上記標的化部分および上記分析物を会合させる工程;ならびに;
(c)上記ポリマー染料を、例えば、その視覚的特性または蛍光特性によって検出する工程、
を包含する。
【0244】
前述の方法のある種の実施形態において、分析物は、粒子(例えば、細胞)であり、上記方法は、フローサイトメトリーの使用を含む。例えば、上記化合物(すなわち、ポリマー染料)は、所望の細胞と選択的に会合させ、従って、任意の数の技術(例えば、視覚的または蛍光検出)によって上記細胞を検出可能にするための標的化部分(例えば、抗体)を提供される。適切な抗体は、所望の最終用途に依存して、当業者によって選択され得る。ある種の実施形態における使用のための例示的な抗体としては、UCHT1およびMOPC−21が挙げられる。
【0245】
本発明の組成物およびポリマー染料の実施形態は、従って、任意の数の方法において有用性が見出され、有用性としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:細胞計数;細胞ソーティング;生体マーカー検出;アポトーシスを定量する;細胞生存性を決定する;細胞表面抗原を同定する;全DNAおよび/またはRNA含有量を決定する;特異的核酸配列を(例えば、核酸プローブとして)同定する;および疾患(例えば、血液のがん)を診断する。
【0246】
いくつかの他の異なる実施形態において、上記組成物は、細胞分析のために様々に使用され得る。例えば、フローサイトメトリーの使用によって、上記化合物は、生細胞と死細胞との間を識別し、細胞の健康状態を評価し(例えば、壊死 対 早期のアポトーシス 対 後期のアポトーシス 対 生細胞)、細胞周期の間の倍数性および有糸分裂を追跡し、そして細胞増殖の種々の状態を決定するために使用され得る。理論によって拘束されることは望まないが、特定のポリマー染料化合物の実施形態は、正に荷電した部分と優先的に結合すると考えられる。よって、いくつかの実施形態において、上記組成物は、インタクトでない細胞、例えば、壊死細胞の存在を決定するための方法において使用され得る。例えば、壊死細胞の存在は、細胞を含むサンプルと本明細書に開示される組成物とを混合すること、および上記混合物をフローサイトメトリーによって分析することによって決定され得る。本明細書に開示される特定のポリマー染料は、壊死細胞と結合し、従って、これらの存在は、フローサイトメトリー条件下で検出可能である。壊死細胞に結合するためにアミン反応性基を要する他の染色試薬とは対照的に、開示される組成物の特定のものを使用する染色法の実施形態は、タンパク質を含まないインキュベーション緩衝液を要せず、従って、上記方法は、関連する公知の方法より効率的に行われる。
【0247】
例えば、一実施形態において、サンプル中の死細胞の存在を決定するための方法が提供され、上記方法は、上記サンプルと、開示される組成物とを接触させ、それによって、上記ポリマー染料と上記死細胞とを結合または会合させる工程、および上記死細胞と結合または会合した上記ポリマー染料からの蛍光シグナルを観察する工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記方法はさらに、上記死細胞と結合または会合した上記ポリマー染料を観察するためのフローサイトメトリーの使用を含む。
【0248】
種々の他の実施形態において、上記組成物は、インタクトなもしくはインタクトでない細胞、アポトーシス小体、脱分極した膜および/または透過化した膜における正に荷電した部分の存在を決定するための関連法において使用され得る。
【0249】
上記の方法に加えて、上記組成物の実施形態は、種々の学問分野および方法における有用性(以下が挙げられるが、これらに限定されない:がん組織および他の組織の同定のための内視鏡検査手順における画像化;死細胞への上記化合物の優先的結合による壊死組織の同定;単一細胞および/または単一分子分析法、例えば、増幅がほぼないかもしくは全くないポリヌクレオチドの検出;例えば、がん細胞に優先的に結合する抗体もしくは糖または他の部分に結合可能であるポリマー染料を含む組成物の使用によるがんの画像化;手術手順における画像化;種々の疾患の同定のためのヒストンの結合;例えば、上記化合物におけるM部分を活性薬物部分で置き換えることによる薬物送達;ならびに/あるいは例えば、種々の叢および/または生物へのポリマー染料化合物の優先的結合による歯科作業および他の手順における造影剤)が見出される。
【0250】
本明細書において、示される式の置換基および/または変数の組み合わせは、このような寄与が安定な化合物を生じる場合にのみ許容可能であることは、理解される。
【0251】
本明細書で記載されるプロセスにおいて、中間体化合物の官能基が、適切な保護基によって保護される必要があり得ることはまた、当業者によって認識される。このような官能基としては、ヒドロキシ、アミノ、メルカプトおよびカルボン酸が挙げられる。ヒドロキシの適切な保護基としては、トリアルキルシリルまたはジアリールアルキルシリル(例えば、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジルなどが挙げられる。アミノ、アミジノおよびグアニジノの適切な保護基としては、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。メルカプトの適切な保護基としては、−C(O)−R”(ここでR”は、アルキル、アリールまたはアリールアルキルである)、p−メトキシベンジル、トリチルなどが挙げられる。カルボン酸の適切な保護基としては、アルキル、アリールまたはアリールアルキルエステルが挙げられる。保護基は、当業者に公知でありかつ本明細書で記載されるとおりである標準的技術に従って付加または除去され得る。保護基の使用は、Green, T.W. and P.G.M. Wutz、Protective Groups in Organic Synthesis(1999)、3rd Ed., Wileyに詳細に記載される。当業者が認識するように、上記保護基はまた、ポリマー樹脂(例えば、Wang樹脂、Rink樹脂または2−クロロトリチル−クロリド樹脂)であり得る。
【0252】
さらに、遊離塩基または酸形態で存在する、本明細書に記載される全ての化合物は、当業者に公知の方法による適切な無機塩基もしくは有機塩基または無機酸もしくは有機酸での処理によって、それらの塩に変換され得る。本発明の化合物の塩は、標準的技術によってそれらの遊離塩基形態または遊離酸形態へと変換され得る。
【0253】
以下の反応スキームは、本発明の化合物を作製するための例示的方法を例証する。ポリマー染料化合物の調製のための他の方法は、PCT公開番号WO 2015/027176、WO/2016/138461およびWO/2016/183185に提供されており、これらの全開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。当業者がこれら化合物を類似の方法によってまたは当業者に公知の他の方法を組み合わせることによって作製する能力があり得ることは、理解される。当業者が以下に記載されるのと類似の様式で、適切な出発構成要素を使用し、必要な場合には、合成のパラメーターを改変することによって、以下で具体的に例証されない他のポリマー染料化合物を作製し得ることもまた、理解される。一般に、出発構成要素は、Sigma Aldrich、Lancaster Synthesis, Inc.、Maybridge、Matrix Scientific、TCI、およびFluorochem USAなどのような供給源から得られ得るか、または当業者に公知の出典に従って合成され得る(例えば、Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure、5th edition(Wiley, December 2000)を参照のこと)か、または本発明において記載されるとおり調製され得る。
【0255】
反応スキームIは、構造(I)の化合物(ここでR
1、L
2、L
3およびMは、上記で定義されるとおりであり、R
2およびR
3は、上記で定義されるとおりであるかまたはこれらの保護された改変体であり、そしてLは選択肢的なリンカーである)の調製のために有用な中間体を調製するための例示的方法を例証する。反応スキーム1を参照すると、構造aの化合物は、購入され得るかまたは当業者に周知の方法によって調製され得る。M−X(ここでxは、ブロモのようなハロゲンである)との、当該分野で公知の鈴木カップリング条件下での反応は、構造bの化合物を生じる。構造bの化合物を、以下で記載されるように構造(I)の化合物の調製のために使用し得る。
【0257】
反応スキームIIは、ポリマー染料化合物の調製に有用な中間体を調製するための例示的方法を例証する。反応スキームII(ここでR
1、L
1、L
2、L
3、GおよびMは上記で定義されるとおりであり、そしてR
2およびR
3は、上記で定義されるとおりであるかまたはその保護された改変体である)を参照すると、構造aの化合物(これは、購入され得るかまたは周知の技術によって調製され得る)をM−G’と反応させて、構造bの化合物を得る。ここでGおよびG’は、相補的反応性を有する官能基(すなわち、反応して共有結合を形成する官能基)を表す。G’は、Mへのペンダントであり得るかまたはMの構造的骨格の一部であり得る。GおよびG’は、任意の数の本明細書に記載される官能基、例えば、それぞれアルキンおよびアジド、それぞれアミンおよび活性化エステル、またはそれぞれアミンおよびイソチオシアネート、などであり得る。
【0258】
ポリマー染料化合物は、周知の自動化DNA合成条件下での以下の構造(c):
【化48】
を有するホスホロアミダイト化合物(ここでLは、独立して、選択肢的なリンカーである)との反応、続いて、構造bの別の化合物との反応によって、構造bから調製され得る。ポリマー染料は、所望の数の構造bの化合物を、連続的に適切なホスホロアミダイト試薬とDNA合成条件下で反応させることによって調製される。
【0259】
あるいは、ポリマー染料は、以下の構造d:
【化49】
を有するダイマー化合物またはオリゴマー化合物(ここでGは、各存在において、独立して、相補的反応性基G′と共有結合を形成できる反応性基を含む部分であり、L
1a、L
2、L
3、R
1、R
2、R
3およびnは、各存在において、独立して、構造(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物に関して本明細書で定義されるとおりである)を、代表的なDNA合成条件下で先ず合成する工程、次いで、構造dの化合物とM−L
1b−G′(ここでM、L
1bおよびG′は、本明細書で定義されるとおりである)とを反応させる工程によって、調製される。
【0260】
DNA合成法は、当該分野で周知である。簡潔には、2個のアルコール基(例えば、上記の中間体bまたはdの中のR
2およびR
3)は、それぞれ、ジメトキシトリチル(DMT)基および2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルアミノホスホロアミダイト基で官能化される。上記ホスホロアミダイト基は、代表的には、テトラゾールのような活性化因子の存在下でアルコール基にカップリングされ、続いて、ヨウ素でリン原子の酸化が行われる。上記ジメトキシトリチル基は、酸(例えば、クロロ酢酸)で除去されて、遊離アルコールを露出させ得、これは、ホスホロアミダイト基と反応させられ得る。この2−シアノエチル基は、水性アンモニアでの処理によるオリゴマー化の後に除去され得る。
【0261】
上記オリゴマー化方法において使用されるホスホロアミダイトの調製もまた、当該分野で周知である。例えば、一級アルコール(例えば、R
3)は、DMT−Clとの反応によって、DMT基として保護され得る。次いで、二級アルコール(例えば、R
2)は、2−シアノエチルN,N−ジイソプロピルクロロホスホロアミダイトのような適切な試薬との反応によってホスホロアミダイトとして官能化される。ホスホロアミダイトの調製およびそれらのオリゴマー化の方法は、当該分野で周知であり、実施例の中でより詳細に記載される。
【0262】
ポリマー染料は、上記の周知のホスホロアミダイト化学に従って、中間体bのオリゴマー化によって調製される。mおよびn個の反復ユニットの所望の数が、ホスホロアミダイトカップリングを所望の回数反復することによって、その分子へと組み込まれる。他の化合物が、類似の方法によって調製され得ることは、理解される。
【0263】
以下の実施例は、例証目的で提供されるのであって、限定目的で提供されるのではない。
【実施例】
【0264】
一般的方法
1Hスペクトルを、JEOL 400MHz分光計で得た。
1Hスペクトルは、TMSを基準とした。逆相HPLC分析を、45℃で保持した2.1mm×50mm Acquity BEH−C18カラム付きのWaters Acquity UHPLCシステムを使用して行った。質量分析を、Waters/Micromass QuattroマイクロMS/MSシステムで(MSのみモードで)、MassLynx 4.1獲得ソフトウェアを使用して行った。LC/MSに使用した移動相は、100mM 1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)、8.6mM トリエチルアミン(TEA)、pH8であった。ホスホロアミダイトおよび前駆体分子をまた、アセトニトリル/水移動相勾配を使用して、45℃において保持した2.1mm×50mm Acquity BEH−C18カラムを備えたWaters Acquity UHPLCシステムを使用して、分析した。モノマー中間体の分子量を、Waters/Micromass Quattro micro MS/MSシステム(MSのみモードで)でのトロピリウムカチオン注入増強イオン化(tropylium cation infusion enhanced ionization)を使用して得た。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を、Superdex 200 increase 5/150 GL分析カラムで達成した。PBS緩衝液での均一濃度溶離および流速0.25mL/分とともに合計実行時間17.5分。494nm、405nm、280nm、および260nmでの検出。生成物の画分を手動で集め、連続実行にわたってプールした。凍結乾燥し、100μLの水で再構成した。吸光度測定を、Thermo Scientific Nanodrop 2000分光光度計で行った。蛍光測定を、Thermo Scientific Nanodrop 3300蛍光光度計で行った。
【0265】
全ての反応を、別段述べられなければ、窒素雰囲気下でオーブン乾燥したガラス器具の中で行った。市販のDNA合成試薬を、Glen Research(Sterling, VA)から購入した。無水ピリジン、トルエン、ジクロロメタン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、酢酸、ピリジン、およびTHFを、Aldrichから購入した。全ての他の化学物質を、AldrichまたはTCIから購入し、さらに精製せずにそのまま使用した。
固相合成
【0266】
全てのポリマー染料化合物を、ABI 394 DNA合成機で、ホスホロアミダイトベースのカップリングアプローチの標準プロトコルを使用して合成した。オリゴヌクレオチドホスホロアミデート合成のための鎖アセンブリサイクルは、以下であった:(i)脱トリチル化、ジクロロメタン中3%トリクロロ酢酸、1分間;(ii)カップリング、アセトニトリル中0.1Mホスホロアミダイトおよび0.45Mテトラゾール、10分間;(iii)キャップ形成、THF/ルチジン、1/1(v/v)中0.5M無水酢酸、15秒間;(iv)酸化、THF/ピリジン/水、10/10/1(v/v/v)中0.1Mヨウ素、30秒間。
【0267】
上記サイクル内の化学的工程の次に、アセトニトリル洗浄および乾燥アルゴンでのフラッシュを0.2〜0.4分間行った。支持体からの切断ならびに塩基およびホスホロアミデート保護基の除去を、1時間、室温においてアンモニアで処理することによって達成した。次いで、化合物を、上記のように逆相HPLCによって分析した。
【0268】
化合物を、Applied Biosystems 394 DNA/RNA合成器またはGE AKTAE 10 OligoPilotで、1μmolまたは10μmolいずれかのスケールで合成したところ、3’−ホスフェート基を有した。化合物を、CPGビーズまたはポリスチレン固体支持体上に直接合成した。その化合物を、3’から5’方向において、標準的固相DNA法によって合成した。カップリング法は、標準的β−シアノエチルホスホロアミダイト化学条件を使用した。異なる数の反復単位を、合成サイクルを所望の回数、適切なホスホロアミダイトで反復することによって組み込んだ。全てのホスホロアミダイトモノマーを、アセトニトリル/ジクロロメタン(0.1M溶液)に溶解し、以下の合成サイクルを使用して連続順序で付加した:1)トルエン中のジクロロ酢酸での5’−ジメトキシトリチル保護基の除去、2)次のアセトニトリル中のホスホロアミダイトと活性化因子とのカップリング、3)ヨウ素/ピリジン/水での酸化、および4)無水酢酸/1−メチルイミダゾール(1−methylimidizole)/アセトニトリルでのキャップ形成。伸長可能なアルキン(化合物9またはGlen Research 10−1992)ホスホロアミダイト(100mg)を、乾燥アセトニトリル(700uL)およびジクロロメタン(300uL)中に溶解した。少しのシーブをフラスコに添加し、それをアルゴンで覆った。配列決定機を、上記のように利用した。合成サイクルを、5’オリゴフロロシド(Oligofloroside)がアセンブリされるまで反復した。鎖アセンブリの最後に、上記モノメトキシトリチル(MMT)基またはジメトキシトリチル(DMT)基を、ジクロロメタン中のジクロロ酢酸またはトルエン中のジクロロ酢酸で除去した。その化合物を、室温において2〜4時間、水性の濃水酸化アンモニウムを使用して、固体支持体から切断した。その生成物を真空中で濃縮し、Sephadex G−25カラムを使用して、主要生成物を単離した。分析を、分子量決定のために質量分析計と繋いでRP−HPLC法で行った。
【0269】
実施例1
構造(I)の例示的化合物の合成
エチレンオキシドリンカーを有する化合物を、以下のように調製した:
【0270】
オリゴフルオロシド(oligofluoroside)構築物(すなわち、構造(I)の化合物)を、Applied Biosystems 394 DNA/RNA合成器で、1μmolスケールで合成したところ、3’−ホスフェート基もしくは3’−S
2−(CH
2)
6−OH基または本明細書で記載される他の基のうちのいずれかを有した。合成を、標準的ホスホロアミダイト化学を使用して、CPGビーズまたはポリスチレン固体支持体上に直接行った。そのオリゴフルオロシドを、3’から5’方向において、標準的固相DNA法を使用して合成し、カップリングは、標準的β−シアノエチルホスホロアミダイト化学を使用した。フルオロシドホスホロアミダイトおよびスペーサー(例えば、ヘキサエチルオキシ−グリコールホスホロアミダイト、トリエチルオキシ−グリコールホスホロアミダイト、ポリエチレングリコールホスホロアミダイト)ならびにリンカー(例えば、5’−アミノ−モディファイアーホスホロアミダイトおよびチオール−モディファイアーS2ホスホロアミダイト)を、アセトニトリル中に溶解して、0.1M溶液を作製し、以下の合成サイクルを使用して連続順序で付加した:1)ジクロロメタン中のジクロロ酢酸での5’−ジメトキシトリチル保護基の除去、2)アセトニトリル中で活性化因子での次のホスホロアミダイトとのカップリング、3)ヨウ素/ピリジン/水で安定なP(v)を形成するためのP(III)の酸化、および4)無水酢酸/1−メチルイミダゾール/アセトニトリルでの任意の未反応5’−ヒドロキシル基のキャップ形成。合成サイクルを、全長オリゴフルオロシド構築物がアセンブリされるまで反復した。鎖アセンブリの最後に、上記モノメトキシトリチル(MMT)基またはジメトキシトリチル(DMT)基を、ジクロロメタン中のジクロロ酢酸で除去した。
【0271】
その化合物を、ラベル付きエッペンドルフチューブの中に0.2μmolスケールにおいて、孔制御ガラス(controlled−pore glass)(CPG)支持体上に提供した。400μLの20〜30% NH
4OHを添加し、穏やかに混合した。開いたチューブを、55℃において約5分間、または過剰なガスが放出されるまで置き、次いで、チューブをきつく閉め、2時間(±15分)インキュベートした。チューブを、加熱ブロックから取り出し、室温に達するようにし、続いて、13,400RPMで30秒間の遠心分離を行って、その上清および固体を固めた。上清を注意深く除去し、ラベル付きチューブに入れ、次いで、150μLアセトニトリルを添加して、支持体を洗浄した。洗浄物をそのチューブに添加した後、それらを、乾燥するまで40℃のCentriVap装置の中に入れた。
【0272】
その生成物を、ESI−MS(表2を参照のこと)、UV吸光度、および蛍光分光法によって特徴付けた。
【0273】
実施例2
ポリマー染料化合物およびシクロデキストリンを含む組成物の調製および試験
【0274】
化合物I−12、I−13、I−14およびI−15を、実施例1に従って調製し、組成物を調製し、以下のように分析した。
【0275】
乾燥オリゴを、0.1M Na
2CO
3中で再構成し、最終ストック濃度を、NanoDrop分光計によって測定した。各配列の2μM溶液を、0.1M Na
2CO
3中で希釈することによって、これらのストックから作製した。スペクトル分析を、1cm×1cm石英キュベット中、Cary UV分光計で行って、吸光度応答をその群に対して示した。2μMストックの各々を、非処理コントロールに対して0.1M Na
2CO
3緩衝液中で10nMまで200倍希釈した。HPbCD(ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)の20mMストックを、1116.8mgを40mLの0.1M Na
2CO
3緩衝液(pH9)中に溶解することによって作製した。その2μMストックの各々を、10nMまでこの緩衝液中で200倍希釈した。その処理済みおよび非処理の10nMストックを、1cm×1cm石英キュベット中、Cary/Agilent Eclipse Fluorimeterで、494nmの励起および499〜700nmの発光スキャンを使用して分析した。その機器を、関連緩衝液を使用して読み取りの間にゼロにした。
【0276】
図1は、試験した染料のUV吸光度が、染料部分の数が増大するとともに増大することを示す。図2は、フルオレセイン部分の数が増大するとともに、蛍光の増大を示すが、吸光度が増大するほどではない。これは、蛍光部分の分子内クエンチングに関連すると考えられる。対照的に、同じ染料を20mM HPbCDを含む溶液中で試験した場合、全ての配列に関する発光強度は増大し、その増大は、蛍光部分の数と実質的に相関した。理論によって拘束されることは望まないが、HPbCDは、従って、分子内クエンチングを低減または防止するようである。
【0277】
図4は、HPbCDが組成物中に存在する場合に、蛍光発光が蛍光部分の数に対して実質的に線形であるが、HPbCDの非存在下では、発光は、おそらく分子内クエンチングに起因して、蛍光部分の数とは線形的に相関しないことを示すデータを提供する。
【0278】
実施例3
フルオレセイン(FAM)アジド化合物の調製
【化50】
【0279】
磁気撹拌子および滴下漏斗を備えた250ml丸底フラスコ中に、FAM−NHSエステル2(2.24g)を入れた。ジクロロメタン(35mL)をそのフラスコに添加し、撹拌を開始し、フラスコを窒素下に置いて、氷上で冷却した。別個のビーカーの中で、2−(2−アミノエトキシ)エタノール(420μL)をジクロロメタン(35mL)、メタノール(7mL)およびトリエチルアミン(1.5mL)中に溶解し、その得られた溶液を滴下漏斗に装填した。そのアミン溶液を、NHSエステルへと30分間かけて滴下により添加した。その最終溶液を1時間、0℃において撹拌し、そのフラスコを、アイスバスから取り出し、室温で2時間撹拌した。その反応混合物を濃縮し、その粗製生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。生成物画分を、TLCおよびLC/MSによって試験し、プールして、1.6g(72%)を得た。
【0280】
磁気撹拌子を備えた250mL丸底フラスコの中に、FAMアルコール3(1.5g)およびクロロホルム(25mL)を入れた。この溶液に、ピリジン(470μL)およびp−トルエンスルホニルクロリド(691mg)を添加した。その混合物を24時間撹拌したところ、その時点でTLCは反応が不完全であることを示したので、さらなるp−トルエンスルホニルクロリド(1.4g)およびピリジン(1.5mL)を添加し、その混合物をさらに24時間撹拌した。48時間後の反応物のTLCは、その反応が完了したことを示した。その混合物を、抽出漏斗の中の飽和炭酸水素ナトリウム(200mL)およびジクロロメタン(100mL)へと注ぎ、分配した。その有機層を保持し、水層をジクロロメタン(100mL)でさらに2回抽出した。その有機層をプールし、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過および濃縮した。その粗製生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。生成物画分をTLCによって同定し、プールして、所望のトシレート4(1.8g)を得た。
【0281】
磁気撹拌装置を備えた200mL丸底フラスコの中に、FAM−トシレート4(1.8g)を入れ、DMF(15mL)を添加し、その混合物を撹拌して、溶解をもたらした。これに、アジ化ナトリウム(830mg)を添加し、その混合物を50℃へと加熱し、一晩撹拌した。その混合物を、抽出漏斗中の100mMクエン酸(150mL)および酢酸エチル(150mL)へと注いだ。その層を分配し、その有機層を保持した。その水層を酢酸エチルでさらに2回抽出した。その有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させた。その溶液を濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。その粗製油状物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、生成物画分をTLCによって同定し、プールした。その生成物を真空下で濃縮して、所望のFAM−アジド5を橙色固体(0.82g)として得た。LCMSは、所望の生成物と一致した。
【0282】
実施例4
アルキンホスホロアミダイトの合成
【化51】
【0283】
滴下漏斗および磁気撹拌装置を備えた500mL丸底フラスコの中に、ジクロロメタン(75mL)中のクロロギ酸プロパルギル(1.3mL)を入れた。そのフラスコを窒素でパージした。別個のビーカーの中に、ジクロロメタン(60mL)、メタノール(10mL)およびトリエチルアミン(1.4mL)中のアミノアルコール6(2.0g)を入れた。滴下漏斗に、そのアミノアルコール溶液を装填し、30分間かけて滴下により添加した。そのフラスコを2時間撹拌したところ、その時点でTLCは反応が完了したことを示した。その反応物をロータリーエバポレーターで濃縮し、高真空下でさらに乾燥させ、次の工程で直接使用した。
【0284】
磁気撹拌装置を備えた500mL丸底フラスコの中に、カルバメート7(約3.1g)を入れた。ピリジンをそのフラスコへと添加し(270mL)、撹拌を開始した。そのカルバメートが一旦溶解した後に、その溶液を氷上に置き、窒素下で15分間撹拌した。ジメトキシトリチルクロリド(5.9g)を、粉末漏斗によって一度にそのフラスコへと添加した。そのフラスコを窒素で再度パージし、0℃で1時間撹拌した。そのフラスコを氷から取り出し、室温で一晩撹拌した。メタノールを添加し(10mL)、その混合物を10分間撹拌した。その混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。生成物画分をTLCによって決定し、プールし、最終油状物へと濃縮して、モノ保護されたジオール8(3.3g)を得た。
【0285】
磁気撹拌子を備えた100mL丸底フラスコの中に、モノ保護されたジオール8(500mg)およびジクロロメタン(5mL)を入れた。その混合物を、その出発物質が溶解するまで撹拌した。ジイソプロピルエチルアミン(600mg)および2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(440mg)を、別個のシリンジで同時に滴下により添加した。その混合物を1時間撹拌したところ、その時点でTLCは反応が完了したことを示した。その物質を炭酸水素ナトリウム溶液へと注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、油状物へと濃縮した。さらなる精製を、5%トリエチルアミンを含むジクロロメタンでのシリカゲルクロマトグラフィーによって達成した。生成物画分をTLCによって同定し、プールし、濃縮した。その最終生成物を、透明な油状物(670mg)として単離した。
【0286】
実施例5
構造(II)の例示的化合物の合成
【0287】
3マー、5マーおよび10マーのポリアルキンオリゴマーを、実施例4のホスホロアミダイトから、実施例1に記載される一般的手順を使用して調製した(ここでは2炭素スペーサーのホスホロアミダイトを、実施例1のグリコールスペーサーの代わりに使用する)。代表的な3マーの染料を、以下のように調製した:
【0288】
500μL微量遠心分離チューブの中に、ホスフェート緩衝液の溶液(31.5μL、150mM、pH=7.4)を入れた。これに、アジ化クマリンの溶液(22.5μL、DMSO中10mM)およびポリアルキンの溶液(7.5μL、水中1mM)を添加した。別個の200μL微量遠心分離チューブの中に、硫酸銅の溶液(3.0μL、50mM)、トリス(3−ヒドロキシプロピルトリアゾリルメチル)アミンの溶液(THPTA、3.0μL、100mM)およびアスコルビン酸ナトリウムの溶液(7.5μL、100mM)を入れた。その銅の溶液を混合し、その内容物全体を、アジ化クマリン/ポリアルキンチューブへと添加した。その反応物を混合し、一晩室温でインキュベートさせた。その混合物を水(75μL)で希釈し、サイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 200 increase 5/150 GL、PBSでの均一濃度溶離、0.25mL/分、405nMおよび260nMでの検出)によって精製した。
【0289】
構造(II)の化合物およびシクロデキストリンの組成物を、実施例2に記載されるように調製し、試験する。
【0290】
実施例6
構造(III)の例示的化合物の合成
【化52】
【0291】
上記の反応スキームは、構造(III)の化合物の調製に有用な中間体を調製するための例示的方法を図示する(ここでPGは、適切な保護基であり、Xは、ペプチド鎖が上に構築されうる官能基ユニットであり、影付きの円は、適切な固体支持体であり、Dyeは、F’、E’、またはY’である)。
【0292】
小さな多孔性ビーズを、官能基ユニットで最初に処理し、これらが多孔性ビーズの表面に結合する。ペプチド鎖をその官能基ユニット部位上に構築し、それらは切断されるまで、ビーズに共有結合したままになる。結合するとき、ペプチド鎖を固相に固定化し、濾過プロセスの間に保持し、ここでその合成の液体試薬および副生成物を洗い流す。
【0293】
固相合成の一般的サイクルは、脱保護−洗浄−カップリング−洗浄の反復サイクルのうちの1つである。ペプチドの遊離N末端アミン(固相に結合されている)は、(例えば、FmocまたはBocで)N−保護されたアミノ酸基にカップリングされる。新たに導入したアミノ酸ユニットを脱保護して、新たなN末端アミンを現し、これをさらなるアミノ酸とさらに反応させる。このプロセスを反復し、ペプチド鎖を伸長する。
【0294】
そのペプチド鎖が、全ての所望のアミノ酸およびモノマーユニットを組み込んだとき、そのペプチド鎖をビーズから切断する。切断試薬(例えば、無水フッ化水素またはトリフルオロ酢酸)を使用して、ペプチド鎖をビーズから切断し得る。次いで、そのペプチド鎖を集め、精製し、特徴付ける。
【0295】
構造(II)の化合物およびシクロデキストリンを含む組成物を実施例2に記載されるように調製し、試験する。
【0296】
実施例7
ホスホロアミダイト染料モノマーの合成
【化53】
【0297】
撹拌子を入れた250mL丸底フラスコの中に、ピロメリト酸無水物(1.0g, 4.59mmol)およびジオキサン(50mL)を入れた。これに、エタノールアミン(622μL, 11.5mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(4.0mL, 23mmol)を添加した。そのフラスコに還流冷却器を備え付け、オイルバスの中に入れ、加熱して一晩還流させた。その混合物を冷却させた。その固体を濾過し、後のために確保しておいた。その濾液を濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配した。その酢酸エチル層を確保しておき、水層を、酢酸エチルでさらに2回抽出した。その有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、固体へと濃縮した。抽出からの固体および先の濾過物は、TLCによって同一であることが見出されたので、合わせて最終物質を得た(870mg)。
生成物のLC/MSは、最大のピークと関連付けられて、m/z 305を示した。全体の純度は、約79%であった。
【化54】
【0298】
撹拌子を入れた100mL丸底フラスコの中に、ピリジン(15mL)中のジオール(850mg, 2.8mmol)を入れた。その混合物を、窒素の流れの下で、氷上で冷却した。これに、4,4 ジメトキシトリチルクロリド(237mg, 0.7mmol)を添加した。その混合物を、4℃で一晩撹拌した。メタノール(2mL)を添加し、その混合物を15分間撹拌し、その後、ロータリーエバポレーターでペーストへと濃縮した。その残渣を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液とトルエンとの間で分配した。トルエン層を確保し、水層を、ジクロロメタンでさらに2回抽出した。その有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。最終精製を、シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール勾配)で達成して、固体として最終生成物を得た(372mg)。
【化55】
【0299】
撹拌子を入れた100mL丸底フラスコの中に、乾燥ジクロロメタン(25mL)とジイソプロピルエチルアミン(215μL, 1.23mmol)中のモノ保護されたDMTrアルコール(150mg, 0.24mmol)を入れた。2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(110μL, 0.49mmol)を添加し、その混合物を30分間撹拌したところ、その時点でTLCは、反応が完了していることを示した。その混合物をジクロロメタンと飽和炭酸水素ナトリウムとの間で分配した。その有機層を確保しておき、硫酸ナトリウムで乾燥させ、黄色油状物へと濃縮し、これをDNA合成器で直接使用した。
【化56】
【0300】
撹拌子を入れた250mL丸底フラスコの中に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(1.2g, 4.1mmol)およびジオキサン(80mL)を入れた。エタノールアミン(616μL, 10.2mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(3.5mL)を添加し、そのフラスコに還流冷却器を装備し、その混合物を加熱して、一晩還流させた。その反応物を冷却し、撹拌している水のビーカー(1500mL)に添加して、沈殿をもたらした。その固体を濾過によって集め、真空下で乾燥させた(0.74g)。
純度は、>95%であった。推定MWは、380.4である。実測MWは、380.2であった。
【化57】
【0301】
撹拌子を入れた50mL丸底フラスコの中に、ピリジン(9mL)中のジオール(700mg, 1.8mmol)を入れた。その混合物を、窒素下で氷上で冷却した。これに、4,4 ジメトキシトリチルクロリド(468mg, 1.4mmol)を添加した。その混合物を、4℃で一晩撹拌した。メタノール(2mL)を添加し、その混合物を10分間撹拌し、その後、ロータリーエバポレーターでペーストへと濃縮した。最終精製を、シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール勾配)で達成して、最終生成物を固体として得た(151mg)。
全体の純度は、約89%である。M/Z 773.8は、生成物+トロピリウムと一致する。
【化58】
【0302】
撹拌子を入れた100mL丸底フラスコの中に、乾燥ジクロロメタン(25mL)とジイソプロピルエチルアミン(168μL, 0.74mmol)中のモノ保護されたDMTrアルコール(132mg, 0.19mmol)を入れた。2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(86μL, 0.38mmol)を添加し、その混合物を30分間撹拌したところ、その時点で、TLCは、その反応が完了していることを示した。その混合物を、ジクロロメタンと飽和炭酸水素ナトリウムの間で分配した。その有機層を確保しておき、硫酸ナトリウムで乾燥させ、油状物へと濃縮し、これを、DNA合成器で直接使用した。
【化59】
【0303】
撹拌子を入れた250mL丸底フラスコの中に、4,4’−オキシジフタル酸無水物(1.2g, 3.9mmol)およびジオキサン(90mL)を入れた。エタノールアミン(584μL, 9.7mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(3.4mL)を添加し、そのフラスコに、還流冷却器を装備し、その混合物を加熱して一晩還流させた。その反応物を冷却し、ロータリーエバポレーターでペーストへと濃縮し、これを酢酸エチルと水との間で分配した。その有機層を確保しておき、水層を酢酸エチルでさらに1回抽出した。その有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、最終固体生成物へと濃縮した(1.33g)。
全体の純度は、約83%である。主要ピークは、1.16分。計算MWは、396.4である。実測MWは、396.2である。
【化60】
【0304】
撹拌子を入れた20mL丸底フラスコの中に、ピリジン(9mL)中のジオール(700mg, 1.8mmol)を入れた。その混合物を窒素下で氷上で冷却した。これに、4,4 ジメトキシトリチルクロリド(449mg, 1.3mmol)を添加した。その混合物を、4℃で一晩撹拌した。メタノール(2mL)を添加し、その混合物を15分間撹拌し、その後、ロータリーエバポレーターでペーストへと濃縮した。最終精製を、シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール勾配)で達成して、最終生成物を固体として得た(600mg)。
全体の純度は、約82%である。推定MWは、698.7である。実測MWは、788.5である。これは、生成物+トロピリウムと一致する。
【化61】
【0305】
撹拌子を入れた100mL丸底フラスコの中に、乾燥ジクロロメタン(25mL)とジイソプロピルエチルアミン(125μL, 0.71mmol)の中のモノ保護されたDMTrアルコール(100mg, 0.14mmol)を入れた。2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(64μL, 0.28mmol)を添加し、その混合物を30分間撹拌したところ、その時点で、TLCは、その反応が完了していることを示した。その混合物を、ジクロロメタンと飽和炭酸水素ナトリウムの間で分配した。その有機層を確保しておき、硫酸ナトリウムで乾燥させ、黄色油状物へと濃縮し、これを固相オリゴヌクレオチド合成において直接使用した。
【化62】
【0306】
撹拌子を入れた250mL丸底フラスコの中に、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(フタル酸無水物)(4,4’−(4,4’−Isopropylidinediphenoxy)bis(phthalic anhydride))(1.5g, 2.9mmol)およびジオキサン(50mL)を入れた。エタノールアミン(435μL, 7.2mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(2.5mL)を添加し、そのフラスコに還流冷却器を装備し、その混合物を加熱して一晩還流させた。その反応物を冷却し、ロータリーエバポレーターでペーストへと濃縮し、これをジクロロメタンと水との間で分配した。その有機層を確保しておき、水層をジクロロメタンでさらに2回抽出した。その有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、最終固体生成物へと濃縮した(400mg)。
全体の純度は、約89%である。推定MWは、606.6である。実測MWは、606.4である。
【化63】
【0307】
撹拌子を入れた20mL丸底フラスコの中に、ピリジン(3mL)中のジオール(400mg, 0.7mmol)を入れた。その混合物を窒素下で氷上で冷却した。これに、4,4 ジメトキシトリチルクロリド(168mg, 0.5mmol)を添加した。その混合物を4℃で一晩撹拌した。メタノール(1mL)を添加し、その混合物を10分間撹拌し、その後、ロータリーエバポレーターでペーストへと濃縮した。最終精製を、シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール勾配)で達成して、最終生成物を固体として得た。全体の純度は、約36%である。1000のM/Zは、質量+トロピリウムと一致する。
【化64】
【0308】
撹拌子を入れた250mL丸底フラスコの中に、ピロメリト酸二無水物(0.75g, 3.4mmol)およびジオキサン(80mL)を入れた。セリンメチルエステル(1.2g, 7.6mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(4.8mL)を添加し、そのフラスコに還流冷却器を装備し、その混合物を加熱して一晩還流させた。その反応物を冷却し、ロータリーエバポレーターでペーストへと濃縮し、これを酢酸エチルとクエン酸(500mM)との間で分配した。その有機層を確保しておき、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出した。その有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、最終油状物へと濃縮した(1.4g)。
計算MWは、420.33である。実測MWは、420.1である。
【化65】
【0309】
撹拌子を入れた100mL丸底フラスコの中に、ピリジン(17mL)中のジオール(1.4g, 3.5mmol)を入れた。その混合物を窒素下で氷上で冷却した。これに、4,4 ジメトキシトリチルクロリド(883mg, 2.6mmol)を添加した。その混合物を4℃で一晩撹拌した。メタノール(5mL)を添加し、その混合物を10分間撹拌し、その後、ロータリーエバポレーターでペーストへと濃縮した。その残渣を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液と酢酸エチルと間で分配した。有機層を確保しておき、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出した。その有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。最終精製を、シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル勾配)で達成して、最終生成物を油状物として得た(1.7g)。812のMWは、質量+トロピリウムと一致する。
【0310】
実施例8
構造(IV)の例示的化合物の合成
【0311】
構造(IV)のポリマー染料を、実施例7のホスホロアミダイトおよび上記で記載されるものに類似の手順を使用して調製する。例示的化合物およびそれらの分析特徴付けを、表5に提供する。
【0312】
構造(IV)の化合物およびシクロデキストリンの組成物を実施例2に記載されるように調製し、試験する。
【0313】
実施例9
一般的なフローサイトメトリー法および適用
一般的なフローサイトメトリー作業フローは、以下の工程を包含する:
1.細胞を培養し、代謝ストレスの徴候に関して細胞を視覚的に観察する、および/または新鮮な、誘導された、あるいは刺激された細胞を使用する。
2.染料化合物を作業容積へと希釈する。
3.殺傷もアポトーシスの誘導もなく、細胞を採取および調製する。
4.細胞を遠心分離し、適切な緩衝液で洗浄する。
5.血球計算板およびトリパンブルー排除法を使用して細胞計数を行う。
6.細胞を遠心分離および洗浄する。
7.細胞密度を試験サイズへと調節する。
8.染料(予め希釈)または他の目的の同時染色剤を適用する。
9.細胞/染色剤/染料混合物をインキュベートする。
10.細胞を遠心分離し、適切な緩衝液で洗浄する。
11.細胞を獲得緩衝液中で再懸濁する。
12.細胞データをフローサイトメトリーによって獲得する。
【0314】
上記の一般的作業フローを、具他的な適用に従って改変し得る。具体的な適用のためのいくつかの改変を、以下に記載する。
【0315】
生/死区別
細胞を、壊死細胞を陽性染色することによって生存性に関して試験して、損傷細胞と無傷の細胞とを比較する。アッセイを使用して、正に荷電した部分、細胞デブリ、アポトーシス小体、脱分極した細胞膜、および透過化膜を有する無傷でない(固定および非固定の)細胞を標的化する。次いで、細胞を、慣用的な細胞調製物(新鮮または固定)を使用して染料で染色し、フローサイトメトリーを使用して分析する。
【0316】
細胞の健康状態
死細胞(すなわち、壊死細胞)、早期アポトーシス、後期アポトーシス、および生細胞の間で比較を行う。死細胞を陽性染色し、アポトーシス小体を中間に染色し、生細胞を陰性のままにする。このストラテジーは、非常に明るい壊死細胞を生じ、細胞透過性を評価するためにも機能する。アッセイを使用して、正に荷電した部分、細胞デブリ、アポトーシス小体、脱分極した細胞膜、および透過化膜を有する無傷でない(固定および非固定の)細胞を標的化する。染料での染色を、インビトロ培養物、初代細胞、および生体異物で処理したサンプルに対して行い、フローサイトメトリーを使用して分析する。
【0317】
細胞周期
細胞倍数性および有糸分裂、細胞周期を、核酸および細胞周期関連タンパク質を含む全ての細胞および細胞小体において、陽性染色DNAインターカレーターに相関した染色によって追跡する。アッセイを使用して、正に荷電した部分、細胞デブリ、アポトーシス小体、脱分極した細胞膜、および透過化膜を有する無傷でない(非固定のみ)細胞を標的化する。アッセイを使用して、細胞を保存し、固定し、細胞内染色のために透過化した後の正に荷電した部分を染色することによって、無傷の(固定および透過化した)細胞を標的化する。染料での染色(他の染料と併用して)を、インビトロ培養物、初代細胞、および生体異物で処理したサンプルに対して行い、フローサイトメトリーを使用して分析する。
【0318】
増殖
細胞増殖を、核酸および細胞周期関連タンパク質を含む全ての細胞および細胞小体において、陽性染色DNAインターカレーターに相関した染色によってモニターする。アッセイを使用して、正に荷電した部分、細胞デブリ、アポトーシス小体、脱分極した細胞膜、および透過化膜を有する無傷でない(非固定のみ)細胞を標的化する。アッセイを使用して、細胞を保存し、固定し、細胞内染色のために透過化した後の正に荷電した部分を染色することによって、無傷の(固定および透過化した)細胞を標的化する。染料での染色(細胞増殖に関するマーカー、例えば、Ki67、BRDUをモニターすることと併用して)を、インビトロ培養物、初代細胞、および生体異物で処理したサンプルに対して行い、フローサイトメトリーを使用して分析する。
【0319】
実施例10
99マー染料の調製
【0320】
化合物I−42(33個のフルオレセイン部分を有する)を、本明細書で記載されるとおりの標準的固相オリゴヌクレオチド技術を使用して調製した。I−42(以下のスキームの中で「A」によって表される)を、以下で図示および記載されるようにトリマー化して、99マー染料を形成した。
【化66】
【0321】
200μLポリプロピレンチューブの中に、リン酸ナトリウム緩衝液(3.5μL、100mM、pH=6.5)およびI−42ビス−ジスルフィドの溶液(5.5μL、水中0.18mM)を入れた。これに、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンの溶液(TCEP、1.0μL、水中10mM)を添加した。そのチューブにキャップをし、ボルテックスし、室温で2時間インキュベートさせた。その混合物を、micro Zeba Spin脱塩カラム(Pierce,カタログ番号89877)を通して脱塩した。その脱塩した溶液を、リン酸ナトリウム緩衝液(2.0μL、500mM、pH=7.2)およびビスマレイミドエタンのDMSO溶液(BMOE、1.0μL、0.25mM)で処理し、室温で一晩インキュベートした。その反応混合物を水(100μL)で希釈し、PAGEによって分析した(図10、Invitrogen EC6875、10% TBE−尿素ゲル、180V一定、最高MW種の分離が完了したところで電気泳動を停止し、UV照射(365nm)によって可視化した)。
【0322】
任意の所望の数の染料部分を有する他のオリゴマー染料を、類似の様式で調製する。
【0323】
実施例11
ホスホロアミダイトおよび化合物の調製
例示的化合物を、標準的固相オリゴヌクレオチド合成プロトコルおよび以下の構造を有するフルオレセイン含有ホスホロアミダイトを使用して調製した:
【0324】
【化67】
(これを、ChemGenes(カタログ番号CLP−9780)から購入した)。
【0325】
例示的なリンカー(L
4)を、以下の構造を有するホスホロアミダイトとカップリングすることによって、化合物の中に含めた:
【化68】
(これもまた、市販されている)
【0326】
他の例示的な化合物を、以下のスキームに従って調製したホスホロアミダイトを使用して調製した:
【化69】
【0327】
最終脱保護は、所望のF”部分をもたらす。他の市販のホスホロアミダイト試薬を、適切な場合には使用して、化合物の種々の部分を導入した。以下の構造を有するQ部分:
【化70】
を、
【化71】
の反応によって導入した。
【0328】
本明細書において言及される米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物の全ては、本記載と矛盾しない程度までそれらの全体において本明細書に参考として援用される。
【0329】
前述から、本発明の具体的実施形態が例証目的のために本明細書で記載されてきたものの、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の改変がなされ得ることは認識される。よって、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて限定されない。