(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019522127
(43)【公表日】20190808
(54)【発明の名称】導電性ジオシンセティック粘土ライナー
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/02 20060101AFI20190712BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20190712BHJP
   D06M 11/74 20060101ALI20190712BHJP
   G01N 27/20 20060101ALI20190712BHJP
   G01M 3/16 20060101ALI20190712BHJP
   E02B 3/12 20060101ALI20190712BHJP
   E03F 5/04 20060101ALI20190712BHJP
   B32B 19/06 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   !E02B7/02 Z
   !B32B5/02 Z
   !D06M11/74
   !G01N27/20 A
   !G01M3/16 K
   !E02B3/12
   !E03F5/04 Z
   !B32B19/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】2018554356
(86)(22)【出願日】20170412
(85)【翻訳文提出日】20181017
(86)【国際出願番号】AU2017050322
(87)【国際公開番号】WO2017177269
(87)【国際公開日】20171019
(31)【優先権主張番号】2016901355
(32)【優先日】20160412
(33)【優先権主張国】AU
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518359753
【氏名又は名称】イマジン インテリジェント マテリアルズ リミテッド
【住所又は居所】オーストラリア 2234 ニューサウスウェールズ メナイ 私書箱1140
(74)【代理人】
【識別番号】100153394
【弁理士】
【氏名又は名称】謝 卓峰
(74)【代理人】
【識別番号】100145056
【弁理士】
【氏名又は名称】當別當 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100116311
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 忠行
(72)【発明者】
【氏名】エイチスン、フィリップ
【住所又は居所】オーストラリア 2068 ニューサウスウェールズ、キャッスルクラック、ザ ランパート 17
(72)【発明者】
【氏名】マシソン、グラント
【住所又は居所】オーストラリア 5076 サウスオーストラリア、アテルストーン、トレイシー コート 7
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジオ、ビトー
【住所又は居所】オーストラリア 3215 ビクトリア、ベル パーク、レボチャ コート 2
【テーマコード(参考)】
2D063
2D118
2G060
2G067
4F100
4L031
【Fターム(参考)】
2D063CA30
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2D118BA01
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2G067EE08
4F100AA37A
4F100AC03A
4F100AC03B
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4L031AA14
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4L031AB01
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4L031DA15
(57)【要約】
導電性繊維グラフェンを組み込む導電性ジオシンセティック粘土ライナー。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性テキスタイルを組み込むジオシンセティック粘土ライナー(GCL)。
【請求項2】
前記導電性テキスタイルが、グラフェンでコーティングされた繊維を組み込む、請求項1に記載のGCL。
【請求項3】
前記導電性テキスタイルが、グラフェンでコーティングされている、請求項1に記載のGCL。
【請求項4】
前記導電性テキスタイルが、グラフェンを含有する繊維から製作される、請求項1に記載のGCL。
【請求項5】
形成された回路の導電率が、少なくとも1メートルの距離にわたって測定することができる、前記請求項のいずれか1項に記載のGCL。
【請求項6】
前記距離が少なくとも10メートルである、請求項5に記載のGCL。
【請求項7】
前記距離が少なくとも100メートルである、請求項5に記載のGCL。
【請求項8】
前記テキスタイルのグラフェン含量が20質量%以下である、前記請求項のいずれか1項に記載のGCL。
【請求項9】
前記テキスタイルのグラフェン含量が10質量%以下である、請求項8に記載のGCL。
【請求項10】
前記テキスタイルのグラフェン含量が5質量%以下である、請求項8に記載のGCL。
【請求項11】
前記テキスタイルのグラフェン含量が2質量%以下である、請求項8に記載のGCL。
【請求項12】
前記テキスタイルの前記繊維がポリマー繊維である、前記請求項のいずれか1項に記載のGCL。
【請求項13】
前記テキスタイルポリマーが、PET、PPまたはPEである、請求項12に記載のGCL。
【請求項14】
前記請求項のいずれか1項に記載のGCLを組み込む多層構造物。
【請求項15】
更に防水層を組み込む、請求項14に記載の多層構造物。
【請求項16】
前記防水層が電気絶縁体である、請求項15に記載の多層構造物。
【請求項17】
水バリアーが無傷であるかどうかを判断する検査プロセスの一部として使用するための請求項14〜16のいずれか1項に記載の多層構造物。
【請求項18】
水バリアーの完全性を検査する方法であって、前記水バリアーが、請求項14〜16のいずれか1項による多層シートを組み込み、該GCLの前記導電性テキスタイル部分に近接している前記シートの片側に電圧をかけるステップと、これにより該GCLに電気回路が形成されているか否かを検出するステップを含む、前記方法。
【請求項19】
前記テキスタイルの抵抗が、2500オーム/スクエア未満である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記テキスタイルの抵抗が、1000オーム/スクエア未満である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記テキスタイルの抵抗が、500オーム/スクエア未満である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記テキスタイルの抵抗が、50オーム/スクエア未満である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記測定方法が電気容量を介した不連続な電気回路を採用し、前記テキスタイルの抵抗が500,000オーム/スクエア未満である、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記測定方法が電気容量を介した不連続な電気回路を採用し、前記テキスタイルの抵抗が200,000オーム/スクエア未満である、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記測定方法が電気容量を介した不連続な電気回路を採用し、前記テキスタイルの抵抗が100,000オーム/スクエア未満である、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記測定方法が電気容量を介した不連続な電気回路を採用し、前記テキスタイルの抵抗が50,000オーム/スクエア未満である、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
グラフェンを含有するジオテキスタイルを組み込む導電性ジオシンセティック粘土ライナー(GCL)。








【発明の詳細な説明】
【発明の技術分野】
【0001】
本発明は、ジオシンセティック材料およびその製造の分野に関する。具体的には、本発明は、導電性を有するジオテキスタイルを含むジオシンセティック粘土ライナーに関する。
【発明の背景技術】
【0002】
ジオシンセティックメンブレンは、保水設備(例えば、ダムや池)または誘水施設(例えば、排水溝や運河)を構築する際にバリアー層として広く使用される防水層である。前記メンブレンは、大規模で配置され、数千平方メートルを及ぶこともあり得る。該保護層は、しばしば「ジオシンセティックス(geosynthetics)」と呼ばれ、防水プラスチックメンブレンおよび/または粘土を含有する複合材料であってもよい。
【0003】
粘土ライニングは防水性の保水設備の伝統的な方法である。粘土およびジオテキスタイルの最新の複合材料は「ジオシンセティック粘土ライナー」または「GCL」として知られ、従来の粘土土工より優れた性能をもち、貯水池や埋立地に用いられる。
【0004】
典型的には、GCLは少なくとも次の3つの層から成る。即ち、2つのジオシンセティック層およびこれらの間に挟まれた粘土の層である。前記粘土を挟み込むために用いる前記2つのジオシンセティック層は、織物または非織物ジオテキスタイル、ジオグリッド、ジオネットまたはジオメンブレンを任意に組み合わせたものであってもよい。例えば、該構造は、ジオグリッドまたはジオネットの強化層またはバッキング層と非織物ジオテキスタイルから成るものであってもよい。該強化層が織物テキスタイルまたはネットであってもよい。前記粘土がしばしばベントナイトであり、また、ポリマー結合剤および/または安定剤のような添加剤を含有してもよい。
【0005】
繊維を使って各ジオシンセティック層を、粘土中間部を介して他方に固定することで前記サンドイッチ構造を堅牢にすることができる。いくつかの場合では、前記繊維として非織物ジオテキスタイルを用いる。前記粘土を通って該繊維を他方のジオシンセティックに針で打ち抜き、または水絡合する。有利には、溶融や接着等当技術分野において公知されている方法でジオテキスタイル繊維をバッキング層に固定する。他の場合では、前記サンドイッチを縫い合わせてもよい。いくつかの場合では、接着剤が使ってジオシンセティックスを前記粘土に固定する。接着されたGCLの堅牢性を更に強化するため、前記粘土に接着剤を混合してもよい。他の場合では、ただ1種のジオシンセティックを用いて前記粘土はそれ自体で、また接着剤でジオシンセティックに保持する。該既知のGCL構造を組み合わせてもよく、他の構造を想像してもよい。
【0006】
池ライナーおよびGCLのような防水層はバリヤー機能を維持しなければない。また、該バリヤー機能の維持を確保するための検査ができなければならない。ライナーにおいて、特に時間の経過による微小な穴でさえ深刻な水漏れを引き起こしうる。例えば、環境保護のため汚染水を貯蔵または誘導するような鉱業廃棄物の保管といった場合では、少量な漏れでさえ重要であり、環境に重大な損害を引き起こしうる。それを是正するために巨額なコストがかかりうる。このような用途において、ライナーの完全性および該完全性を常に検査できることが肝要である。
【0007】
更なる使用のために水を貯蔵するような他の用途において、水の損失にはバリアーの完全性を確保するための投資に値する程のコストがかかる。
【0008】
多くの場合では、準備された土工のベースの上にGCLの層を用い、次いで、プラスチックの防水ジオメンブレンの層を前記GCLの上に直接に放置するか、あるいは場合によって両者の間に空間層および/または保護層を介して放置する。いくつかの場合では、前記ジオメンブレンが前記GCLの一部となる。
【0009】
防水ジオメンブレンバリアー(通常は電気的に絶縁性のもの)の完全性検査には、電気的検査は含まれることがある。即ち、前記絶縁バリアーの表面に電圧をかけ、適切な条件で該バリアー材料中の欠陥を通って回路が形成される。回路の形成には、電圧がかけられた前記バリアーの反対側に導電メカニズムが必要である。前記バリアーの下に電解質が存在すれば、弱いものさえでもよいが、前記欠陥を通って検査装置へ充分な電流が流れ、回路を形成することができる。例えば、粘土が塩分や水分を含有していることから、しばしば十分な電解質である。図1は該種の回路を示す。
【0010】
導電経路の形成を助けるため、水を前記構造の一部として使用し、検査プロセスを容易にすることができる。粘土が乾燥している場合では、粘土が電解質として機能しないため前記導電検査のメカニズムは信頼できなくなる。前記バリアー層に多層の絶縁体が存在している場合では、回路を形成するためのメカニズムは信頼できない。
【0011】
該信頼性の問題を克服するため、以前該分野において、信頼できる導電性を組立てに導入するアプローチがいくつか提案された。1つのアプローチでは、金属ワイヤーを組み込むことが含まれる。これは、テキスタイルに該ワイヤーを組み込むこと、2層のテキスタイルの間に該ワイヤーを挟み込むことおよびテキスタイルの上に該ワイヤーを置くことで試みられた。次に、通常では防水ジオメンブレンの下にあるバリアー層の構造に該テキスタイルを組み込む。もう1つのアプローチは、防水ジオメンブレンライナーを二重層に作ることで行われた。電気絶縁性の表面(水に面する側)と導電性の反対側を、例えば2層のプラスチックにより積層し、カーボンブラックを含む反対側の層が導電性を提供する。同様に、3つ以上の層を該バリアー層に用いてもよい。
【0012】
しかし、これらのアプローチはいずれも各種層の製造や設置または組立ての点検に関して1つあるいは全ての面において問題がある。
【0013】
従って、本発明の目的は、前記先行技術に関連する問題点の少なくともいくつかを改善するジオシンセティック粘土ライナーを提供することである。
【発明の概要】
【0014】
本発明の最初の態様によれば、導電性テキスタイルを組み込んだジオシンセティック粘土ライナーが提供される。前記テキスタイルは、導電性繊維を組み込んでもよく、または導電性のコーティングでコーティングされてもよい。該導電性繊維が、好ましくはグラフェンを含有するか、またはグラフェンでコーティングされるか、あるいは該テキスタイル自体がグラフェンでコーティングされてもよい。
【0015】
グラフェンは、グラファイトカーボンの個々の層であり、多くの技法により製作できる。それには、グラファイトの機械的または電気化学的な剥離、グラファイトの化学的な酸化およびグラフェン酸化物として剥離した後に部分的にまたは完全にグラフェンに還元するような「トップダウーン」アプローチおよび基質または触媒の上でガスまたはプラズマから成長するような「ボトムアップ」アプローチが含まれる。該グラフェンの性質は様々に変化でき、ほぼ原子的に完全な単層グラフェンから、2層グラフェン、数層グラフェンおよび多層グラフェンを経て、最終的に超微細グラファイトに類似した巨大凝集体の数スケールの層に至る。グラフェンは、極端的にはただ単一原子の層程の厚さ(1ナノメートル未満)であり、典型的には平面方向に数百ナノメートルから数百ミクロン程の高いアスペクト比を有している。このため、グラフェンはしばしば二次元(2D)材料と呼ばれている。グラフェンは優れた導電体である。
【0016】
本発明者らは、グラフェンが繊維やテキスタイルの中や上に組み込むことができ、水を貯蔵する用途におけるバリアーライナーの検査に必要な信頼できるメカニズムを提供する導電性テキスタイルを形成することを見出した。これは、提案された他のバリアーライナーの検査法より実質に有利である。
【0017】
好ましくは、前記テキスタイルは、導電率が少なくとも1メートルの距離、有利には100メートル以上までの距離にわたって測定できる電気回路を形成する。
【0018】
好ましくは、該テキスタイル中のグラフェン含量は、20質量%以下、または有利には10質量%以下、または有利には5質量%以下である。
【0019】
好ましくは、該テキスタイルの繊維は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)のようなポリマー繊維である。
【0020】
本発明の別の態様によれば、前記導電性ジオテキスタイルを組み込んだ多層構造物が提供される。該多層構造物は、水バリアー層およびバッキングテキスタイルまたはネットの役割を果たす粘土を組み込んでいる。好ましくは、前記ジオテキスタイルを粘土に絡み合わせ、バッキングテキスタイルまたはネットに固定することで該3つの層を一つの多層サンドイッチに形成する。必要であれば、3つより多くの層を組み込むことができる。
【0021】
このような多層構造物は、該水バリアーが無傷であるかどうかを判断するためのインサイチュ検査プロセスを有利に簡易化することができる。
【0022】
本発明の別の態様によれば、水バリアーの完全性を検査する方法が提供される。前記水バリアーが、上記のような多層構造物を組み込んでおり、前記方法が、前記導電性GCLに近接している前記絶縁の水バリアーの片側に電圧をかけるステップと、これにより該GCLに電気回路が形成されているか否かを検出するステップを含む。
【0023】
電気抵抗は多くの方法で表記できる。薄いシートにおける導電には単位「オーム/スクエア」(「Ohm/sq」または「Ohm/o」)がしばしば用いられ、「シート抵抗」と呼ばれる。該単位が、測定される材料がどのように構築されたかに関わらず、所望の結果を反映するという点で実用上では有利である。例えば、2枚の導電体のシートは、厚さが異なっていれば、具体的な抵抗が違っていても、同じ望ましいシート抵抗を与える。通常では、厚さの均一なフィルムにシート抵抗を適用するが、ここで記載されたテキスタイルのような不均一な導体のシートに適用してもよい。
【0024】
電気抵抗を測定するには、マルチメーターを単に読み取ることを含む多くの方法がある。導電性ジオテキスタイルのいくつかの実施形態の場合のような高い抵抗が存在する場合には、例えば、電気絶縁抵抗計(一般的に、「メガオームメーター」;商品名「Megger」または「Meggar」と呼ばれる)を用いた測定のような高圧測定が有用である。工業的な用途では、絶縁層における欠陥の検出にはしばしば高圧「ホリディー」検出器が用いられる。非常に低レベルの導電率を検出するには、テスラコイルのような簡単な高電圧、低電流源を用いてもよい。4ポイント抵抗計を用いてより精確な測定ができる。
【0025】
好ましくは、前記テキスタイルの電気抵抗が、2500オーム/スクエア未満、有利には50オーム/スクエア以下である。
【0026】
好ましくは、前記測定方法が、内在的な電気容量を介した不連続な電気回路を採用している。ここで、前記テキスタイルの抵抗が、500,000 オーム/スクエア未満、有利には50,000 オーム/スクエア以下である。
【0027】
ここで、図面を参照しながら非限定的な具体例を用いて本発明の好ましい実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】は、先行技術によるバリアー層の役割を果たす防水ジオメンブレンにおける欠陥の検出に用いられる検査回路の概略図である。
【0029】
【図2】は、先行技術によるバリアー層の役割を果たす防水ジオメンブレンにおける欠陥の検出に用いられる代替の検査回路の概略図である。
【0030】
【図3】は、本発明による防水ジオメンブレンにおける欠陥の検出に用いられる検査回路内の導電性GCLの使用の概略図である。
【0031】
【図4】は、本発明による防水ジオメンブレンにおける欠陥の検出に用いられる検査回路に適用した導電性GCLの概略図である。
【発明の詳細な説明】
【0032】
本発明は、ジオテキスタイル用のポリマー繊維の導電性成分としてのグラフェンの使用に関する。該ジオテキスタイルが多層ジオシンセティック粘土ライナーに組み込まれ、人工土工のための水バリアーの一部として用いられ、該水バリアーの別の部分は、電気的絶縁のプラスチックのジオメンブレンである。本発明は、グラフェンの電気的特性を利用し、孔等のような欠陥に係るジオメンブレンの検査方法を可能にする。
【0033】
図面を参照すると、図1は、バリアー層(11)における欠陥の検出に用いられた従来の電圧/電流源(14)による検査回路を示す概略図であることが分かる。検査プローブ(13)が穴等の欠陥(16)に近接すると、電流が前記欠陥(16)を通ってアース接点(15)を介して土工ベース(12)に流れ、連続回路を形成する。該回路は、前記土工ベース(12)が導電性である場合のみに形成することができるが、これはよくある状況ではないため、信頼性がない。
【0034】
図2は、図1の検査システムの代替配置を示す概略図である。アース(25)と土工ベース(22)との直接な接触の代わりに、比較的大面積のアースパッド(27)を用いて電気容量を介して間接的な電気的接触を提供する。ここで、バリアー層(21)が、アースパッド(27)と土工ベース(22)との間に誘電体を提供する。
【0035】
図1は、含水の粘土ベースのような導電性の下層を含む単純な水バリアー組立ての漏電検査を行う際に形成される回路の一例を示す。多くの場合では、粘土が保水設備(例えば、ダムや池)および誘水設備(例えば、運河や排水溝)の土台整備に用いられる。また、粘土が水およびイオンを含むことから、良い導電媒体も提供している。粘土ベースが部分的にまたは完全に乾燥していれば、該プロセスは信頼性がなく、全く機能しないこともある。また、例えば空気や水ポケットにより前記バリアー層と粘土ベースとの間の物理的接触が良くなければ、該検査プロセスは信頼できなくなることもある。粘土ベースまたはそれに相当するものがない場合には、該検査プロセスは信頼できない。
【0036】
粘土ベースを水バリアーとして用いる伝統的な土木工事では、実質的に厚い粘土が必要とされ、その厚さが時には数百センチメートルとされる。該伝統的な土木工事は、粘土の厚さが僅か1センチメートル程のジオシンセティック粘土ライナーに代替できる。
【0037】
通常、電気検査の技術は低電圧または高電圧のいずれかである。低電圧の技術は、典型的には、膜の両面に導電層を必要とする。これは、検査される領域に存在する水によって提供される(しばしば「水ランス」または「水たまり」技術と呼ばれる)。一方、高電圧の技術(しばしば「アーク」または「スパーク」技術と呼ばれる)は、検査されるバリアー層の側面(典型的には「最上」層)に導体を必要とせず、数千ボルトの電圧を使ってピンホールのような小さな穴まで確実に検出できる。
【0038】
図1および図2にはアース接続の2つの主要なメカニズムを示す。図1では、例えば、金属棒を前記粘土ベースに挿入すること、または前記導電性のテキスタイル下層に付着することで導電体を導電性の下層(図1には示せず)に接続し、アース(25)を製作する。図2では、導体領域であるアースパッド(27)は、名目上の絶縁性のバリアー層(21)の上に載っている。いくつかの例では、該バリアー層(21)は完全な絶縁体ではないため、アースパッド(27)により形成されるような大きな接触領域にわたって、プローブ(23)とアース(25)との間に十分な電流が回路を通って流れることができる。その他の例では、前記バリアー層(21)が誘電体の役割を果たす。また、前記アースパッド(27)が蓄電器の一つの電極の役割を果たす。
【0039】
図3は、本発明の応用を具体的に示す概略図である。バリアー層(31)における欠陥の検出は、電圧/電流源(34)を用いた検査回路を使用する。検査プローブ(33)が欠陥(36)に近接すると、電流は該欠陥(36)を通ってアースコンタクト(35、37)を介し、導電性GCL(38)の中に流れ込み、回路を形成する。
【0040】
図4は、ジオシンセティック粘土ライナーの製作に用いられる3つの層を示す概略図である。テキスタイルまたはネットの導電性ジオテキスタイル(41)およびバッキング層(43)は、粘土バリアー層(42)を挟み込んでいる。
【0041】
本発明の図3で示されているように、前記バリアー層(31)の下に導電層を前記GCL(38)の一部として追加すれば、土工ベース(32)は任意の材料であってもよく、該バリアー層(31)の下またはその中に他の導電体は必要とされない。前記GCLに用いられるジオテキスタイルの中または上へのグラフェンの組み込みは、バリアー層(31)の厚さおよび検出する欠陥(36)の大きさに応じた低電圧検査技法および高電圧検査技法の両方を実行できるようにGCLを十分に導電性にする傾向がある。前記欠陥(36)が大きければ大きい程、また前記バリアー層(31)が薄ければ薄いほど、検査に必要な電圧は低くなる。図3は導電性GCL(38)を用いた該配置および該検査配置を示す。
【0042】
前記バリアー層における欠陥の電気的検査は多くの方法で実施できる。検査条件を標準化するための工業規格が制定されている。これらは次の国際規格文書で具体化されている:ASTM D6747、ASTM D7002、ASTM D7007、ASTM D7240、ASTM D7703およびASTM D7852。
【0043】
電気的検査方法は、回路を形成する導電性に依拠する。十分な導電性は、導電路のサイズや長さおよび媒体(水、土壌、導電性テキスタイル、バリアー層)の導電性に依存する。これらの変数の組み合わせによっては、どの検査方法が有効かについての範囲が広い。検査方法を所望の結果および条件に調整することが必要である。これにより、導電性GCLの導電率も所望の用途および検査方法に合わせて調整することができる。いくつかの場合では、検査電圧が高く、欠陥のサイズが大きく、回路経路が短い時のように、前記導電性GCLの導電率は非常に低いことがある。
【0044】
土壌に関わる用途の場合において、ジオテキスタイルは透過性の繊維であり、分離、濾過、強化、保護、または排水といった機能をもつ。典型的には、ポリプロピレンまたはポリエステルのような合成繊維から作られるが、潜在的には、ポリアミド、アクリロニトリル、ポリラクチド、ポリエステル、セルロース、ポリウレタン、ポリエチレンのような他の合成繊維、および/または再生セルロースのような半合成繊維、および/または主にセルロース系である天然繊維、例えば、アバカ、コイア、コットン、亜麻、ジュート、カポック、ケナフ、ラフィア、竹、麻、モーダル、ピニヤ、ラミー、サイザルまたは大豆タンパク質を含む。天然繊維はしばしば生分解性であるが、合成繊維はそうではない。従って、用途に応じて繊維を選択する。
【0045】
他の繊維と同様に、ジオテキスタイル繊維は、絡み合い、編み組み、結び目付け、編組および非織オーバーレイ技法を含む多くの方法で繊維から製作できる。後者には、インタータングリングのような更なる工程(例えば、ニードルパンチ、フェルティング、ハイドロエンタングルメント、スパンレーシング、水ニードリング)が含まれる。また、カーディングや熱接着のような所望の特性を改良するため、様々な工程を含むことがある。
【0046】
本発明に関しては、ジオテキスタイルは繊維から有利に製作され、典型的には織物または非織物のいずれかである。通常では、非織物ジオテキスタイルがフィラメントとしても知られる連続繊維またはステープル繊維のいずれかである。ステープル繊維の長さは比較的に短く、テキスタイルに形成することができる。いくつかの場合では、該ステープル繊維が独特な繊維であり、別の一群の繊維に属している。
【0047】
ジオテキスタイルは、飛行場、銀行の保護、運河、沿岸建設、ダム、残骸処理、堤防、侵食、鉄道、建物維持、貯水池、道路、砂丘の保護、斜面の安定化、ストームサージ、ストリームチャンネル、スワールズおよび波動作用を含む土木工学的な用途からこのように命名された。
【0048】
グラフェンは様々な形態で存在する。理想的なグラフェンは純粋な炭素であり、グラフェン族において最も良い導電体である。これには、欠陥や酸素分子のような他の化学的な置換もない傾向がある。酸化グラフェン(GO)はグラフェンの高度な酸化形態であり、電気絶縁体である。中間種に関しては、部分的に還元された酸化グラフェン(prGO)または機能性グラフェンのように、様々な記載がある。該グラフェンの端面および/または基底面には多様な化学官能基が付着している。
【0049】
該機能性によりグラフェンの電気的および物理的性質の調整は可能となり、例えば、複合材料を形成するためにこれをより容易にプラスチック等の材料の中または上へ組み込む。グラフェンの性質の調整には、炭素原子が他の原子(例えば、窒素および他の共有結合した原子)に置換されている「ヘテロ原子」の組み込みも採用できる。
【0050】
グラフェンは、単層か多層にも関わらず、多様々な次元で存在してもよい。該構造上の順列を説明するには様々な専門用語が用いられており、用語の標準化においていくつかの試みがなされている。用語に関わらず、グラフェンの前記の単層および多層構造は、ここに記載のような複合体ポリマー、繊維およびテキスタイルの性質をもたらす有用な導電性をもっている。ここでは、別途に詳細な記載やその性質の記載がない限り、グラフェンの様々な順列を「グラフェン」と総称している。
【0051】
導電性の形態から電気絶縁性の形態までのスケールをもつことは、多数のグラフェン形態が導電体として使用できることを意味している。特に他の特性によって使用することが望ましい場合、導電性が比較的に弱いグラフェンでも目的を果たすことができる。
【0052】
陽極接合、カーボンナノチューブの切断、化学的剥離、化学合成、化学蒸着、電気化学的剥離、電気化学的インターカレーション、炭化ケイ素上での成長、液相剥離、マイクロメカニカル切断、マイクロ波剥離、分子線エピタキシー、光-剥離、金属からの沈殿および熱剥離を含む多数の方法によりグラフェンを製造することができる。
【0053】
前記いくつかの方法により、化学的に変換されたグラフェン、少数層グラフェン、GO、グラフェン、グラフェン酸化物、グラフェンナノフレーク、グラフェンナノプレートレット、グラフェンナノリボン、グラフェンナノシート、グラファイトナノフレーク、グラファイトナノプレートレット、グラファイトナノシート、グラファイト酸化物、LCGO、液晶グラフェン酸化物、多層グラフェン、部分的還元グラフェン酸化物、部分的還元グラフェン酸化物、prGO、rGO、還元グラフェン酸化物および還元グラファイト酸化物と呼ばれる材料が生まれた。
【0054】
グラフェンをテキスタイルに組み込むには様々な方法があるが、いずれの場合においても、繊維およびテキスタイルの性質は、繊維化学、グラフェン化学、グラフェンの形状やグラフェンを繊維の中または上への組み込みに用いたプロセスおよびテキスタイルを形成するプロセスに依存する。
【0055】
好ましい方法として繊維を形成する前にグラフェンをポリマーの中に混合する方法が含まれるが、繊維またはテキスタイルをグラフェンでコーティングし、導電性テキスタイルを製作することも可能である。ポリマーの中にグラフェンを容易に分散させるため、該グラフェンが粉末または液体中の分散物として存在することもできる。好ましくは、液体中のグラフェン分散物から該グラフェンをコーティングする。
【0056】
ポリマーの中にグラフェンを組み込む方法として、ポリマーにグラフェンの溶融配合、ポリマーのグラフェンとのインサイチュ重合および溶液混合が含まれる。いずれの技法を用いても、最小限のグラフェンで導電性を達成するためにグラフェンを十分に分散させることが望ましい。いくつかの場合では、グラフェンとポリマーの相分離を軽減させるために添加剤が必要とされる。
【0057】
グラフェンコーティングまたはグラフェンを含有するポリマーに他の導電性添加剤を添加してもよい。該導電性添加剤が、導電性の提供におけるグラフェンの有効性を改善できる。例えば、カーボンブラック、炭素繊維およびカーボンナノチューブはいずれも、グラフェンのコーティング液またはポリマー混合物の中での分散を助けることや更なる繋がりを提供することができる導電性炭素である。
【0058】
好ましい実施形態では、導電性ジオテキスタイルはグラフェンを含む繊維から形成され、該繊維がポリマーのペレットまたは粉末から溶融押出して形成される。バルクポリマーと同じであっても異なっていてもよい担体ポリマーの中に濃縮形態で分散された溶融押出物に該グラフェンを添加する。該溶融押出の工程において該濃縮形態のグラフェンポリマー分散液を混合・希釈し、繊維におけるグラフェンの望ましい濃度を得る。
【0059】
代替の実施形態では、油、溶媒または水のような液体の中に前記濃縮形態のグラフェンを分散させる。
【0060】
別の実施形態では、グラフェンを含む凝固浴の中にグラフェンを含むポリマーの溶液またはポリマー繊維を湿式回転して該繊維の上にグラフェンの表面コーティングを作ることにより、該繊維を製作する。
【0061】
別の実施形態では、GCLの中に組み込む前に、グラフェンを粘土に添加することにより、該GCLを導電性にすることができる。
【0062】
別の実施形態では、ポリマーの中にグラフェンを添加し、または形成されたテキスタイルまたはネットの上にコーティングして強化テキスタイルまたはネットを導電性にすることにより、該GCLを導電性にすることができる。
【実施例1】
【0063】
導電性ジオテキスタイルを粉末状のベントナイト粘土を介して針で打ち抜き、織られた非導電性ジオネットの裏地に約100 cm2のGCLの長方形を製作した。突き出た繊維を火炎溶融させ、前記打ち抜かれたジオテキスタイル繊維を該裏地ジオネットに貼付けた。ジオテキスタイルの上にグラフェンを2重量%の装填を得るようなグラフェン分散物を含有する溶液で非織の低重量(150 g/m2)PETジオテキスタイルをコーティングし、導電性ジオテキスタイルを製作した。 該導電性ジオテキスタイルの電気抵抗を測定した結果、2000オーム/スクエアであった。これを組立てられたGCLの中に維持した。
【実施例2】
【0064】
メンブレンを打ち抜いて故意に穴を形成し、この穴のある防水ジオメンブレンの下に実施例1の試料を放置した。前記穴の直径は約1ミリメートルであった。これをスパーク検出器で約15,000ボルトにおいて検査し、該実施例1のGCL試料は、前記防水ジオメンブレンのスパーク検査の実施に適合した導電体であることが判明され、前記孔は確実に検出された。
【実施例3】
【0065】
100 cm2の市販品GCLの正方形を用いた。針で該既存GCLを介して打ち抜き、既存の非織かつ非導電性のジオテキスタイルの表面に導電性ジオテキスタイルを接着した。該導電性ジオテキスタイルは実施例1に用いられたものと同じ材料であった。該試料を実施例2と同様に測定し、実施例2と同様な結果を得た。
【実施例4】
【0066】
100 cm2の市販品GCLの正方形を用いた。接着剤で既存の非織かつ非導電性のジオテキスタイルの表面に導電性ジオテキスタイルを接着した。該導電性ジオテキスタイルは実施例1に用いられたものと同じ材料であった。該試料を実施例2と同様に測定し、実施例2と同様な結果を得た。
【実施例5】
【0067】
実施例1と同様に、導電性ジオテキスタイルからGCLを組立てた。ステープル繊維から該ジオテキスタイルを製作し、該GCLに組立てる前にグラフェンでコーティングし、導電性にした。
【実施例6】
【0068】
100 cm2の市販品GCLの正方形を用いた。グラフェン溶液でコーティングすることにより、該GCLの表面上の非導電性ジオテキスタイルを導電性にした。該試料を実施例2と同様に測定し、実施例2と同様な結果を得た。
【0069】
当業者に理解されるように、上記の実施形態は単なる本発明の概念がどのように実施され得るかに関する若干の例に過ぎない。他の実施形態は細部が異なっても同じ発明概念内にあり、同じ発明を表すものと考えられることが理解されたい。



























【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【国際調査報告】