(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019522362
(43)【公表日】20190808
(54)【発明の名称】パターン配置及びパターンサイズ計測装置及び方法、並びにそのためのコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20190712BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20190712BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20190712BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   !H01L21/66 J
   !G01B11/00 C
   !G01B11/02 Z
   !H01J37/22 502H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】2018566384
(86)(22)【出願日】20160627
(85)【翻訳文提出日】20190215
(86)【国際出願番号】US2016039531
(87)【国際公開番号】WO2018004511
(87)【国際公開日】20180104
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
【住所又は居所】アメリカ合衆国、95035、カリフォルニア州、ミルピタス、ワン テクノロジイ ドライブ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イヤリング ステファン
【住所又は居所】ドイツ ウェイルバーグ オウフ デン ホーヘン グレーベン 9
(72)【発明者】
【氏名】ラスキ フランク
【住所又は居所】ドイツ ヴァイルムンスター オウフ デン ホーヘン グレーベン 18
【テーマコード(参考)】
2F065
4M106
【Fターム(参考)】
2F065AA01
2F065AA12
2F065AA21
2F065AA22
2F065AA23
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2F065RR08
4M106AA01
4M106AA09
4M106BA02
4M106BA03
4M106BA04
4M106CA39
4M106DB02
4M106DB07
4M106DJ07
4M106DJ17
4M106DJ18
(57)【要約】
半導体産業用基板の表面上におけるパターン配置及び/又はエッジ配置及び/又はパターンサイズの計測装置及び方法が開示される。少なくとも1個の検出用線源とそれに割り当てられている少なくとも1個の検出器を用い、基板上におけるパターンの位置を計測する。可動ステージで以て基板を動かしつつ検出を実行する。その運動中に変位計測システムが可動ステージの位置を求める。導出されたトレースラインに沿い上記少なくとも1個の検出器により検出された信号を、コンピュータを用い、ステージの運動中におけるそのステージの実位置と関連付ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体産業用基板の表面上におけるパターン配置及び/又はエッジ配置及び/又はパターンサイズの計測装置であって、
少なくとも1個の検出用線源と、
上記少なくとも1個の検出用線源に割り当てられた少なくとも1個の検出器と、
上記基板を保持する可動ステージであり、上記少なくとも1個の検出用線源及びそれに割り当てられている検出器と、その基板の上記表面と、の間に、選択トラック曲線に沿い相対運動を発生させる可動ステージと、
上記検出用線源及びそれに割り当てられている検出器に対する上記可動ステージの実位置をその可動ステージの上記運動中に求め更にトレースラインを導出する位置又は変位計測システムと、
導出されたトレースラインに沿い上記少なくとも1個の検出器により検出された信号を、上記ステージの上記運動中におけるそのステージの実位置と関連付けるコンピュータと、
を備える装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置であって、上記少なくとも1個の検出用線源が、走査型近視野光学顕微鏡(SNOM)との関連で用いられる光ビームである装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置であって、上記少なくとも1個の検出用線源が原子間力顕微鏡(AFM)である装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置であって、上記少なくとも1個の検出用線源が粒子ビームである装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置であって、上記粒子ビームが電子ビームである装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置であって、少なくとも1個の検出用線源が、複数個の検出用線源のリニアアレイ又は行列配置である装置。
【請求項7】
請求項1記載の装置であって、上記可動ステージの運動を監視するよう、ひいては上記検出用線源及びそれに割り当てられている検出器が上記トレースラインに沿い進行するよう、且つそのトレースラインに沿い上記少なくとも1個の検出器の計測データを集めるよう、上記コンピュータが構成されている装置。
【請求項8】
請求項7記載の装置であって、上記コンピュータがネットワーク経由で少なくとも上記位置又は変位計測システム、上記可動ステージ、上記検出用線源及び上記検出器に接続されている装置。
【請求項9】
半導体産業用基板の表面上におけるパターン配置及び/又はエッジ配置及び/又はパターンサイズを計測する方法であって、
a.データ準備を実行することで少なくとも1本の待望トラック曲線、即ち少なくとも1個の検出用線源及びそれに割り当てられている検出器と上記基板の上記表面との間の相対運動がそれに沿い行われる曲線を生成するステップと、
b.上記基板のパターン化された上記表面からの検出器信号の計測データを可動ステージの運動中に反復的に評価しそれと並行してその可動ステージの運動を監視するステップと、
c.上記基板の上記表面上におけるパターン配置の計測結果を表す計測取得プロファイルをトレースラインに沿い上記計測データから生成するステップと、
d.上記計測取得プロファイルを評価することで、パターン化された上記表面上におけるエッジ若しくはパターンの位置若しくはCDを求め及び/又はパターン化された上記表面上にて同一トレースラインに沿い配置誤差若しくはCD誤差を検出するステップと、
を有する方法。
【請求項10】
請求項9の方法であって、ステップdが、
e.上記トレースラインに沿いデザインデータベース上のデザインデータからデザインプロファイルを生成するステップと、
f.同一トレースラインに沿い上記計測取得プロファイルと上記デザインプロファイルとを比較することで、パターン化された上記表面上にて同一トレースラインに沿いエッジ若しくはパターンの位置若しくはCDを求め及び/又はパターン化された上記表面上にて同一トレースラインに沿い配置誤差若しくはCD誤差を検出するステップと、
を実行することで実行される方法。
【請求項11】
請求項9の方法であって、上記待望トラック曲線からの偏差から上記トレースラインが導出され、その待望トラック曲線に沿った上記可動ステージの運動がそのステージの運動中に継続的に監視される方法。
【請求項12】
請求項10の方法であって、上記トレースラインが上記検出器と上記基板の上記表面との間の上記相対運動に対応しており、線源、検出器、線源・パターン間相互作用のうち少なくとも一種類に備わる特性をモデル化することで、そのトレースラインに沿いデザインデータから上記デザインプロファイルが抽出される方法。
【請求項13】
請求項9の方法であって、上記検出用線源又は検出器を調整することで上記可動ステージの位置誤差の補正が実行され、当該検出用線源又は検出器の上記調整がオンザフライで実行される方法。
【請求項14】
請求項9の方法であって、上記基板上におけるエッジ若しくはパターンの位置又はCDがステップdにてコンピュータ内実施アルゴリズムを用い導出され、そのアルゴリズムが本質的にエッジ検出アルゴリズム、しきい値依拠技術又は相関依拠技術で構成される方法。
【請求項15】
請求項9の方法であって、ステップb及びcが第1個所にて実行され、ステップdが第2個所にて実行され、それら第1個所及び第2個所が区域的に異なる方法。
【請求項16】
請求項10の方法であって、ステップb及びcが第1個所にて実行され、ステップe及びfが第2個所にて実行され、それら第1個所及び第2個所が区域的に異なる方法。
【請求項17】
非一時的コンピュータ可読媒体上に所在しており、半導体産業用基板の表面上におけるエッジ及び/又はパターン配置及び/又はパターンサイズの計測用のコンピュータプログラム製品であって、その動作により少なくとも1個のコンピュータを制御し、
・データ準備を実行することで少なくとも1本の待望トラック曲線、即ち少なくとも1個の検出用線源及びそれに割り当てられている検出器と上記基板の上記表面との間の相対運動がそれに沿い行われる曲線を生成すること、
・上記基板のパターン化された上記表面からの検出器信号の計測データを可動ステージの運動中に継続的に評価しそれと並行してその可動ステージの運動を監視すること、
・上記基板の上記表面上におけるパターン配置の計測結果を表す計測取得プロファイルをトレースラインに沿い上記計測データから生成すること、
・上記トレースラインに沿いデザインデータベース中のデザインデータからデザインプロファイルを生成すること、並びに
・同一トレースラインに沿い上記計測取得プロファイルと上記デザインプロファイルとを比較することでパターン化された上記表面上にて同一トレースラインに沿い配置誤差又はCD誤差を検出すること、
が可能なコンピュータ可実行処理ステップを有するコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
請求項17のコンピュータプログラム製品であって、上記待望トラック曲線からの偏差から上記トレースラインが導出され、その待望トラック曲線に沿った上記可動ステージの運動がそのステージの運動中に継続的に監視されるコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
請求項17のコンピュータプログラム製品であって、上記トレースラインが上記検出器と上記基板の上記表面との間の上記相対運動に対応しており、検出器、線源、線源・パターン間相互作用のうち少なくとも一種類に備わる特性をモデル化することで、そのトレースラインに沿いデザインデータから上記デザインプロファイルが抽出されるコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
請求項17のコンピュータプログラム製品であって、上記検出用線源又は検出器を調整することで上記可動ステージの位置誤差の補正が実行され、当該検出用線源又は検出器についてのその調整がオンザフライで実行されるコンピュータプログラム製品。
【請求項21】
請求項17のコンピュータプログラム製品であって、上記計測取得プロファイルと上記デザインプロファイルとの比較により、上記基板上におけるパターンの位置又はCDがコンピュータ内実施アルゴリズムを用い導出され、そのアルゴリズムが本質的にエッジ検出アルゴリズム、しきい値依拠技術又は相関依拠技術で構成されるコンピュータプログラム製品。
【請求項22】
非一時的コンピュータ可読媒体上に所在しており、その動作により少なくとも1個のコンピュータを制御し請求項9の方法を実行させることが可能なコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体産業用基板の表面上におけるパターン配置及び/又はパターンサイズの計測装置に関する。
【0002】
更に、本発明は、半導体産業用基板の表面上におけるパターン配置及び/又はパターンサイズの計測方法に関する。
【0003】
加えて、本発明は、非一時的コンピュータ可読媒体上に所在するコンピュータプログラム製品、特に半導体産業用基板の表面上におけるパターン配置及び/又はパターンサイズの計測用のコンピュータプログラム製品に関する。
【0004】
更に、本発明の装置、方法及びコンピュータプログラム製品は、より広義には半導体産業用基板の表面上におけるエッジ配置を計測すべく提供されるものであり、2個のパターンエッジ間の距離がそのパターンのサイズに関連していること並びにパターンエッジの位置によりそのパターンの位置が定まることから、エッジ配置の計測にはパターン配置及びパターンサイズの計測が包含される。
【背景技術】
【0005】
個々別々な用途(例えば、オーバレイ計量、パターン配置計量及び限界寸法(CD)計量)をターゲットとする幾通りかの従来方法がある。
【0006】
オーバレイ計量は主に光学イメージング又はスキャタロメトリに依拠している。KLA−Tencor CorporationのARCHERシリーズは光学的オーバレイ制御に用いることができる。ARCHERシリーズ製品の機械的、電気的及び光学的機構の全容を、この参照を以て本願に繰り入れることにする。
【0007】
パターン配置計量は、通常はレティクル上のみで用いられ、それにより正確なステージ位置計量と光学イメージングとが結合されるものである。パターン配置計量はKLA−Tencor CorporationのIPROシリーズにより実行することができる。IPROシリーズ製品の機械的、電気的及び光学的機構の全容を、この参照を以て本願に繰り入れることにする。
【0008】
CD計量は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)で以てオンターゲットデバイスパターンSEMイメージングの態で実行することができる。CD計量もまた、例えばKLA−TencorのIPRO計量ツールで以て実行することができる。
【0009】
KLA−Tencor CorporationのTERONシリーズは193nm波長レティクル検査システムを提供するものである。TERONシリーズは開発時,生産時双方における光学及びEUVレティクルのフォトマスク欠陥検査向けに設計されている。TERONシリーズ製品の全容をこの参照を以て本願に繰り入れることにする。
【0010】
2013年9月24日を国際出願日とする国際特許出願PCT/US13/69138号には、モデル依拠レジストレーション(位置合わせ)及び限界寸法計測を実行する方法及びシステムが記されている。計測サイトの模擬画像が少なくとも1枚生成されている。コンピュータモデルのパラメタのうち少なくとも1個を調整することで、その模擬画像と光学像との間の非類似性が最小化されている。模擬画像・光学像間非類似性が最小化されたときに、そのコンピュータモデルのパターンレジストレーションパラメタ又は限界寸法パラメタが通知されている。
【0011】
2012年8月21日付特許文献1はこの参照を以て本願に繰り入れられる文献であり、パターン配置計量の一例を述べている。この方法は専らレティクルに適するものであり、正確なステージ位置計量と光学イメージングとが結合されている。同方法は計量ツールにて実行されており、その計量ツールにはX座標方向及びY座標方向に動かせる計測テーブルが備わっている。第1強度プロファイルが第1計測方向、即ちX座標方向に対し平行な方向に沿い記録されている。第2強度プロファイルが第2計測方向、即ちY座標方向に対し平行な方向に沿い記録されている。その計量ツールの座標系に対する重心の二次元位置が、それら第1強度プロファイル及び第2強度プロファイルから求められている。
【0012】
2010年3月9日付特許文献2はこの参照を以て本願に繰り入れられる文献であり、CD計量方法の一例を述べている。この計測方法は、基板上にある少なくとも1個の構造を計測するのに用いられており、その計測対象にその構造の位置及び/又は幅が入っている。
【0013】
加えて、他の幾つかの米国特許、例えば特許文献3、4又は5により、マスク上における構造の位置を求める装置又は方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第8248618号明細書
【特許文献2】米国特許第7675633号明細書
【特許文献3】米国特許第8582113号明細書
【特許文献4】米国特許第8352886号明細書
【特許文献5】米国特許第7823295号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
これら従来方法ではやや統計的な手法が用いられている。光学イメージングには分解能上の限界がある。オンデバイスパターンCD及びレジストレーション計量は大難題であり、ある程度小さなフィーチャサイズにてコントラストが損なわれることがその一因となっている。CD−SEM計量では電子ビームが用いられ、その電子ビームが計測対象個所へと差し向けられている。帯電及び損傷効果が生じることがあり、それらがパターンに物理的な影響を及ぼし又は計量の不正確化に道を開く可能性がある。
【0016】
本発明の目的は、半導体産業用基板の表面上におけるパターンの位置及びサイズ又は少なくとも1個のパターンエッジの位置を計測するよう構成された装置を提供すること、またその計測を高い精度及び正確度で以て超高速な要領で実行することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上掲の目的は、半導体産業用基板の表面上におけるパターン配置及び/又はパターンサイズ及び/又は少なくとも1個のパターンエッジの位置を計測する装置により、達成される。本装置は、少なくとも1個の検出用線源と、当該少なくとも1個の検出用線源に割り当てられた少なくとも1個の検出器と、を有する。可動ステージがその基板を保持し、選択トラック曲線に沿い相対運動を発生させる。この相対運動は、かたや少なくとも1個の検出用線源及びそれに割り当てられている検出器、かたや基板の表面、の間の相対運動である。変位計測システムは、検出用線源及びそれに割り当てられている検出器に対する可動ステージの実位置を、その可動ステージの運動中に求めるように構成される。その情報からトレースラインが導出される。そして、少なくとも1個のデータ処理デバイスに、導出されたトレースラインに沿い少なくとも1個の検出器により検出された信号を、ステージの運動中におけるそのステージの実位置に関連付けるという役割を与える。そのデータ処理デバイスは、例えば、専用の集積回路(IC)配列その他の専用ハードウェアを、これに限られるものではないが1枚又は数枚の印刷回路基板上等に配置したものとすることができるほか、例えば1個又は複数個のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)とすることや、その他の何らかの好適なデータ処理デバイス、例えば1個又は複数個のパーソナルコンピュータ、ワークステーション又はメインフレームコンピュータとすること、それらをオンサイトなもの又はリモートなものとすること、或いはクラウド依拠データ処理システムとすることができる。コンピュータが複数台ある場合、本発明の方法、装置及びコンピュータプログラム製品との関連でコンピュータにより実行されるべきタスクを、それらコンピュータで分かち合うようにしてもよいし、またそれらコンピュータを1個所に所在させても複数個所に分散させてもかまわない。以下の記述では、これらの種類のデータ処理デバイス全てを、コンピュータなる語で呼ぶことにする。
【0018】
本発明の更なる目的は、半導体産業用基板の表面上におけるパターンの位置及び/又はサイズ及び/又は少なくとも1個のパターンエッジの位置を計測する方法を提供すること、またそのパターン配置計測を高い精度及び正確度で以て超高速な要領で実行することにある。
【0019】
上掲の目的は、半導体産業用基板の表面上におけるパターン(又はエッジ)配置及び/又はパターンサイズを計測する方法であり、
a.データ準備を実行することで少なくとも1本の待望トラック曲線、即ち少なくとも1個の検出用線源及びそれに割り当てられている検出器と基板の表面との間の相対運動がそれに沿い行われる曲線を生成するステップと、
b.基板のパターン化された表面からの検出器信号の計測データを可動ステージの運動中に反復的に評価し、それと並行してその可動ステージの運動を監視するステップと、
c.基板の表面上におけるパターン配置の計測結果を表す計測取得プロファイルをトレースラインに沿い計測データから生成するステップと、
d.その計測取得プロファイルを評価することでパターン化された表面上におけるエッジ若しくはパターンの位置又はCDを求めるステップと、
を有するものにより達成される。
【0020】
本方法のある実施形態では、計測取得プロファイルを評価することでパターン化された表面上におけるエッジ若しくはパターンの位置又はCDを求めるステップが、更に、
e.トレースラインに沿いデザインデータベース内のデザインデータからデザインプロファイルを生成するステップと、
f.同一トレースラインに沿い計測取得プロファイルとデザインプロファイルとを比較することで、パターン化された表面上の同一トレースラインに沿いエッジ若しくはパターンの位置又はCDを求め、及び/又は、そのパターン化された表面上の同一トレースラインに沿い配置誤差又はCD誤差を検出するステップと、
を実行することで実行される。
【0021】
ここで、計測データを反復的に評価する、には、可動ステージの運動中における計測データの継続的評価及び擬似継続的評価の双方が含まれており、その例としては、これに限られるものではないが、検出器に備わる感知素子(例.発光する線源の場合はCCD)を動作させ可能な限り最高レートにて出力データを生成するものや、トラック曲線に沿い飛び飛びに定められている諸個所に線源を配置しその個所それぞれにて連続的に計測データを評価する「ステップアンドグラブ」方式がある。
【0022】
本願出願人は、(エッジ又はパターンの)位置又はCDがひとたび求まった後は、個々の位置又はCDに係る想定デザイン値との比較により、それぞれ配置誤差又はCD誤差が検出されるに至ることにも、注目している。
【0023】
本発明の更なる目的は、半導体産業用基板の表面上におけるパターンの位置及びサイズを計測するのに用いられるコンピュータプログラム製品を提供すること、またそのパターン配置の計測及び分析を高い精度及び正確度で以て超高速な要領で実行することにある。
【0024】
上掲の目的は、非一時的コンピュータ可読媒体上に所在し、半導体産業用基板の表面上におけるパターン及び/又はエッジ配置及び/又はパターンサイズを計測するためのコンピュータプログラム製品であって、本発明の装置に割り当てられているコンピュータをその動作により制御することが可能なコンピュータ可実行処理ステップを有するコンピュータプログラム製品により、達成される。そのコンピュータで以てデータ準備を実行することで、少なくとも1本の待望トラック曲線、即ちかたや少なくとも1個の検出用線源及びそれに割り当てられている検出器、かたや基板の表面、の間の相対運動がそれに沿い行われる曲線が生成される。可動ステージの運動中に検出器信号の計測データが反復的に評価される。検出器信号は、可動ステージの運動中に検出用線源が基板のパターン化された表面を通過することで発生する。計測データの評価と並行してその可動ステージの運動が監視される。選択トラック曲線に沿い線源が動くよう可動ステージが制御されるが、その制御は限られた精度でしか成し遂げることができない。とはいえ、そのステージの運動はより高い精度で以て監視することができる。従って選択トラック曲線から線源の実運動を導出することができる。線源の実運動により定まる基板上の曲線のことを本願ではトレースラインと称している。そのトレースラインに沿った計測データから計測取得プロファイル、即ち基板の表面上におけるパターン(又はエッジ)配置の計測結果を表すプロファイルが生成される。その上でその計測取得プロファイルを評価することで、パターン化された表面上におけるエッジ若しくはパターンの位置又はCDを求めることができる。実施形態によっては、こうした評価に先立ちそのプロファイルを適宜に前処理し、例えば計測プロセスにおける非線形性の影響を踏まえそのプロファイルを修正することができ、或いはそのプロファイルを様々なアルゴリズムによる変換に供することができる。
【0025】
ある実施形態では、これに加え、トレースラインに沿いデザインデータベースから採取されたデザインデータからデザインプロファイル、即ちそれと同じトレースラインに沿い計測取得プロファイルを得るのに用いられた計測結果から得られるであろうプロファイルだがデザインデータに相当するパターンたる理想的無誤差パターンに係るプロファイルを表す算出プロファイルが、生成される。そして、コンピュータにより同一トレースラインに沿い計測取得プロファイルとデザインプロファイルとを比較することで、パターン化された表面上におけるエッジ若しくはパターンの位置又はCDを求めること、及び/又は、パターン化された表面上の同一トレースラインに沿った配置誤差又はCD誤差を検出することができる。
【0026】
本発明は、基板のパターン化された表面に対する線源及び/又は検出器の位置を緻密に監視しうる、という事実に依拠している。こうすることでトレースラインについての情報、即ち検出器によりデータが採取される基板上の一群の実位置をつなぐラインとも見なせるラインについての情報が、よくわかる。ある実施形態によれば、検出用線源又は検出器を(例.帯電粒子ビームの場合はデフレクタプレートにより)僅かに調整することで、待望トラック曲線からのステージの小偏差を補償することができる。この手法により、トレースラインをトラック曲線に近づけることができる。
【0027】
本発明のある実施形態では、上記少なくとも1個の検出用線源が光ビームとされる。その光ビームの波長又は波長域は、所要分解能と基板の表面上におけるパターン構造とに従い選択される。この光ビームは、例えば、走査型近視野光学顕微鏡(SNOM)との関連で用いられる。本発明の他の実施形態では、当該少なくとも1個の検出用線源が粒子ビーム、好ましくは電子ビームとされる。更なる実施形態では、当該少なくとも1個の検出用線源が原子間力顕微鏡(AFM)とされる。ここでいうAFMは、本発明の記述に用いられる語、線源/検出器に包含される。AFMは、その尖端(チップ)が計測対象基板上のパターンに対峙し、その対峙部分とそのパターンとの間に力が作用することから、分子間力/原子間力源と見なすことができ、その力を求め及び/又は尖端・パターン間距離を特定するのに用いられる部材を以て、検出器と見なすことができる。
【0028】
検出用線源は、検出用線源複数個の二次元配列を有するものとすることができる。好ましくは、それら検出用線源の配列をリニアアレイ又は行列状配置とするとよい。
【0029】
本発明の装置に備わるコンピュータは、可動ステージの運動を監視するよう、ひいては検出用線源及びそれに割り当てられている検出器が対基板運動の態でトレースラインに沿い進行するよう、且つそのトレースラインに沿い少なくとも1個の検出器の計測データを集めるよう、構成される。このコンピュータは、ネットワーク経由で少なくとも位置又は変位計測システム、可動ステージ、検出用線源及び検出器に接続される。
【0030】
本発明の方法では、待望トラック曲線からの偏差からトレースラインが導出される。そのトレースラインについての情報を得るため、可動ステージの運動が、そのステージの運動中にその待望トラック曲線に沿い継続的に監視される。トレースラインは、検出器と基板の表面との間の相対運動に対応している。デザインプロファイルは、そのトレースラインに沿いデザインデータから導出される。ここに、好適な諸実施形態では、検出器の特性、線源の特性、更には線源と基板の表面上にあるパターンとの間の相互作用の特性が勘案される。より一般的にいえば、デザインプロファイルは算出プロファイルであり、それら線源及び検出器による無誤差パターン即ちデザインデータに対応するパターンの計測でもたらされるであろう計測取得プロファイルに対応している。諸実施形態ではここでいう線源及び検出器もモデル化される。
【0031】
ある好適な実施形態では、検出用線源又は検出器を調整することで可動ステージの位置誤差の補正が実行される。検出用線源又は検出器についての調整がオンザフライ(即時)実行される。
【0032】
計測取得プロファイルとデザインプロファイルとの比較により、基板上におけるパターン(又は少なくとも1個のエッジ、典型的には複数個のエッジ)の位置又はCDが導出される。これは、コンピュータ内実施アルゴリズムの使用で以て実行される。適用されるアルゴリズムは、本質的にはエッジ検出アルゴリズム、しきい値依拠技術又は相関依拠技術で構成される。
【0033】
本発明に係る方法のある具体的な実施形態によれば、計測取得プロファイルを第1個所にて得ることができ、デザインプロファイルとの比較、より一般的にはその計測取得プロファイルの評価を第2個所にて実行することができる。それら第1個所及び第2個所は区域的に異ならせることができる。例えば、計測取得プロファイルの取得がサービスとしてカスタマに提供され、その計測取得プロファイルが恐らくは相応なトレースラインを記述するデータと併せカスタマに送られ、更にデザインプロファイルの生成並びに計測取得プロファイル及びデザインプロファイルの比較がカスタマにより実行されるようにすることができる。この場合、通常は、計測取得プロファイルの取得と、計測取得プロファイル及びデザインプロファイルの比較とに、別々のコンピュータが関わることとなろう。
【0034】
本発明の方法の好適な実現形態は、トレースラインに沿いデザインデータをトレースすることで生成されたデザインプロファイルに対し計測取得プロファイルをマッチさせるものである。このデザインプロファイルを更に調整することで、その検出手段の物理特性をモデル化してもよかろう。
【0035】
ほどよい精度及び正確度を得るため、トレースラインに沿い生成された情報をセグメント化すること、例えば1mm長のブロックにすることや、特定種類のパターンがセグメントに含まれるようにすることができる。位置であれ、CDであれ或いは他の何らかの種類であれ、セグメント内で生成された計測取得情報を平均化し、結果として通知することができる。多数のセグメントの通知(平均位置、CDその他の結果)によりマップが形成される。そのマップを用いその基板についての品質情報、例えばレジストレーション、CD、オーバレイ、側壁角等々を導出することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の効果は多様である。可動ステージを常に待望トラック曲線に沿い動かすことができる。これにより、表面を非常に高いスループットでサンプリングすることができる。加えて、トレースラインに沿った可動ステージ計量誤差を均すことができる。更に、(パターン化された表面上で)ある程度好適に画定されている整列位置に対する可動ステージの厳密な位置がわかる。データサンプリングがオンザフライ的であるため、基板の表面上に付与される強度/エネルギが従来技術の方法よりも局所的に低くなる。この事実はより良好な計測正確度をもたらすものである。所与時間内に採取可能なサンプルの個数が、本発明に係る方法では従来方法よりも数桁高くなる。その検出用線源で粒子ビームが用いられている場合、(所与エリア内に)付与されるエネルギが従来技術に比べかなり低くなる。
【0037】
本発明の全般的な目的は、表面上におけるパターンの位置及びサイズを計測し、それらパターンの想定デザインと比較することにある。半導体産業では、厳密なパターン配置及びサイズ(CD)、並びに表面上におけるデバイスパターン位置についての知識が、格別に重要である。本発明によれば、パターン配置を高い精度及び正確度で以て超高速な要領で検出することができる。
【0038】
基板の表面上におけるパターン配置及びCDを非常に密に計測することで、従来技術のツールでは「不可視」な誤差発生源を明らかにすることができる。本発明により提供される装置によれば、パターン化基板を(オンデバイス及びオンターゲットで)非常に高速に計測することができる。即ち、通常なら歩留まり損失につながるであろう肝要構造内パターン配置及びCD誤差を検出することができる。マルチビーム技術使用時のスケーラビリティにより、インライン高分解能オンデバイス(及びオンターゲット)レジストレーション、CD及びオーバレイ技術を実現することができる。
【0039】
ご理解頂けるように、上掲の概略記述及び後掲の詳細記述は共に専ら例示及び説明のためのものであり、本件開示を必ずしも限定するものではない。添付図面は明細書に組み込まれ、その一部分をなし、本件開示の主題を描出するものである。記述及び図面は、相俟って本件開示の諸原理を説明する役を負っている。
【0040】
以下、本発明及びその長所について、以下の添付図面を参照して詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】従来方法であり、基板上におけるパターンの位置及び/又は幅(CD)を求めるものの模式的フローチャートである。
【図2】半導体産業用基板の表面上におけるパターン配置及び/又はパターンサイズを計測する装置の代表的実施形態の模式図である。
【図3】複数個の検出用線源をアレイ状に配置する実施形態の模式図である。
【図4】本発明の方法の一実施形態であり、基板上におけるパターンの位置及び/又は幅(CD)を効率的且つ省時間的な要領で求めるものの模式的フローチャートである。
【図4A】本発明の方法の他の実施形態であり、基板上におけるパターンの位置及び/又は幅(CD)を効率的且つ省時間的な要領で求めるものの模式的フローチャートである。
【図5】マスクの模式的頂面図であり、そのマスクの表面を横切るトラック曲線が示されている。
【図6】図5に示した長方形の拡大図である。
【図7A】表面を横切る経路に沿いその検出器により定められるトレースラインの模式図である。
【図7B】基板の表面を横切る運動中に検出器が捉えた信号から導出された計測取得プロファイルである。
【図8A】表面を横切るトレースラインの経路に沿いデザインデータから評定されたトレースラインの模式図である。
【図8B】トレースラインに沿いデザインデータをトレースすることで生成されたデザインプロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図中、類似要素又は類似機能要素には同様の参照符号が用いられている。更に、明瞭化に鑑み、その図について論ずるのに必要な参照符号のみが図中に示されている。
【0043】
発明品は、位置合わせに限られるものではないが、フォトリソグラフィマスク又は半導体ウェハ上のパターンの位置を合わせる目的で設計されている。以下、専らそうしたシステムを仮定するが、そのプロセスは他種システムにも当てはまる。
【0044】
図1は従来方法の模式的フローチャートである。可動ステージが用いられ、それによりパターン化された表面(基板)が検出用線源下で位置決めされる。その検出用線源では検出器が採用され、それにより基板上のパターン(位置又は幅)が計測される。ある典型例に係る従来方法では、計測対象パターンの計測座標11がデータ準備中にデザインデータベース10から抽出される。計測座標11は計測対象パターンのデザインデータを表すものである。デザインデータベース10は基板(図2参照)上パターンのデザイン座標を保持するものである。次に、可動ステージ(図2参照)のステージ位置決め12が開始される。この可動ステージは、所望デザイン(パターン)のできるだけ近くに位置決めされる。更に、その可動ステージが、同ステージの不測運動が排されるよう制御される。次に計測ステップ13が実行され、それにより、そのパターン(位置又は幅)のデザインデータと同パターン(位置又は幅)の計測データとの間の偏差が求められる。計測ステップ13の結果14が通知され、それにより、パターンのデザインデータとそのパターンの計測データとの間の偏差が提示される。
【0045】
一般に、ステージ制御の正確度及び精度は検出器の正確度及び精度よりも劣悪である。そのため、計測13はステージ位置決めシステムによる制約を受ける。
【0046】
図2は、半導体産業用基板2の表面4上におけるパターン3の配置及び/又はサイズの計測装置1につき代表的実施形態を示す模式図である。本装置1は少なくとも1個の検出用線源5を有しており、少なくとも1個の検出器6が当該少なくとも1個の検出用線源5に割り当てられている。こうした検出用線源5は、どのような装置であれ、検出用線源5と基板2の表面4との間の相対走査運動を実行する装置に割り当てることができる。検出用線源5は、例えば、走査型近視野光学顕微鏡、電子ビームシステム又は原子間力顕微鏡(AFM)に依拠したものとすることができよう。また、検出用線源5が複数個の検出用線源5で構成されていてもよく、ある潜在的実施形態によればそれらをリニアアレイ(図3参照)状に配置することができる。検出用線源5の配置の他実施形態(図示せず)としては任意形状行列配置がある。計測機構の調整目的については、図示実施形態では検出用線源5を必要に応じZ座標方向Zに沿い動かすことができる。これに代え又は加え、基板2をZ座標方向Zに沿い調整目的で動かすようにしてもよい。図示実施形態では走査型近視野光学顕微鏡用照明ビーム8が検出用線源5から発せられる。その照明ビーム8が検査軸9に沿い基板2の表面4上へと集束される。Z座標方向Zに沿った運動が必要な調整目的としては検出器尖端6Aの調整がある。諸実施形態特に粒子ビーム使用時における集束は、無論のこと、Z座標方向Zに沿った線源又は基板の運動が不要な手段を含め様々な手段で成し遂げることができる。
【0047】
なお、以下の記述では単一の検出用線源5が想定されているが、本発明はそれに限定されるものではない。その検出用線源5を検出器6との組合せで用い、基板2(例.フォトリソグラフィマスク、半導体ウェハ)の表面4上におけるパターン3の位置及び/又は幅(CD)を計測することができる。X座標方向X及びY座標方向Y沿い相対運動をもたらすべくその基板2が可動ステージ20上に載置される。容易に制御可能な運動とすべくその可動ステージ20では極低摩擦のベアリング21が用いられている。その可動ステージ20はテーブルブロック25の頂部上で用いられている。そのテーブルブロック25の表面25Aはかなり平坦である。外部振動に抗し本装置1を安定化すべくテーブルブロック25その他の必須部材全てを振動遮断システム26上に着座させてある。更に、特に使用線源及び検出器により左右されるが、装置全体、場合によっては線源及び検出器のみを、真空チャンバ内に所在させてもよい。
【0048】
検出用線源5及び検出器6に対する可動ステージ20の厳密な位置が、精密且つ正確な位置又は変位計測システム24(例.少なくとも1本の光ビーム23を用いる干渉計依拠システム)を用い監視される。その位置又は変位計測システム24が干渉計依拠システムである場合、その干渉計により可動ステージ20の位置が計測される。その干渉計用の基準として固定鏡7が検出用線源5及び検出器6に実装されている。従って、検出用線源5、検出器6及び可動ステージ20の間の相対運動を検出することができる。実施形態によっては、変位計測システム24例えば干渉計により、可動ステージ20の位置に加えその可動ステージ20の速度が計測される。その上でその速度値を用いることで、可動ステージ20の位置計測の正確度を高めることができる。変位計測システム24の他実施形態としては、少なくとも1個のエンコーダを有するものもある。そうしたエンコーダを用い、可動ステージ20の位置及び/又は速度を計測するようにしてもよい。
【0049】
コンピュータ22は、位置又は変位計測システム24、可動ステージ20の運動用のコントローラ(図示せず)、検出用線源5及び検出器6に接続されている。その検出用線源5に備わる検出器6からの信号が、検出用線源5と基板2のパターン化された表面4との間での相対運動中に、トレースライン42(図6参照)に沿い採取される。その信号がコンピュータ22を用い評価される。習熟者には明らかな通り、このコンピュータをリモートコンピュータとして構成すること、並びに本装置を発着するデータをネットワーク(無線又は有線)経由で送ることができる。トレースライン42沿いにおけるパターン3の厳密な位置から、具体的な計測取得プロファイル45(図7参照)が生成される。パターン3の位置がその計測取得プロファイル45から導出される。これを果たすため様々なアルゴリズムをコンピュータ22内で適用することができる。そうしたアルゴリズムの例としてはエッジ検出、しきい値依拠技術及び相関依拠技術がある。とはいえ、本発明は、ここに列挙されているアルゴリズムに限定されるものではない。
【0050】
(トラック曲線50に沿い可動な)走査型検出器6を極正確な位置又は変位計測システム24と組み合わせることは、本発明の独創的着想である。極正確な位置又は変位計測システム24により、パターン化基板2の表面4沿いで、トレースライン42に沿い計測取得プロファイル45(検出されたプロファイル)のレジストレーションを行うことができる。
【0051】
図3は一実施形態に係る検出用線源5の模式図である。ここでは、複数個の個別検出用線源5,5,…,5がリニアアレイ30の態で配列されている。図示実施形態ではそれら個別検出用線源5,5,…,5が共通キャリア31上に実装されている。個別検出用線源5,5,…,5には、それぞれ検出器6が割り当てられている。図3に示した配列によれば、複数本のトレースライン42沿いでのパターン3の位置の特定が可能となる。それら、様々なトレースライン42におけるパターン3の位置は、個々のトレースライン42の計測取得プロファイル45から検出される。他の実施形態としては、複数個の線源が共通の検出器と併用されるものや、複数個の検出器が単一の線源に割り当てられるものがあろう。実施形態としては、複数個の線源を備え、少なくとも2個の線源が、それらにめいめい割り当てられる検出器の個数の面で異なるものも考えられる。
【0052】
図4のフローチャートには本発明の方法が描かれている。本発明では、可動ステージ20の運動を緻密に監視することで、その可動ステージ20の制御条件を緩和し計測性能を向上させている。本発明の方法は複数個のステップで実現される。基板2の表面4上におけるパターン3の位置計測が開始されるのに先立ち、データ準備が実行される。少なくとも1本の待望トラック曲線についての生成ステップ40が実行されるのである。待望トラック曲線は例えばその基板2のデザインデータから生成される。この生成ステップ40に幾ばくかの予備計算を組み込み、爾後の評価プロセスをスピードアップさせてもよい。生成ステップ40の後、本発明の方法では計測ステップ13及びステージ監視ステップ41が並列実行される。計測ステップ13にて、待望トラック曲線50に沿い可動ステージ20を動かすことで継続的計測プロセスが実行される一方、ステージ監視ステップ41では、その待望トラック曲線からの偏差を監視し実トレースライン42を生成することができる。その走査(少なくとも1個の検出用線源5と可動ステージ20との間の相対運動)についてのトレーシングステップ43では、期待信号が生成される。本発明の図示実施形態に係る方法では、(例えば検出器6の特性をモデル化することで)トレースライン42に沿いデザインデータ(デザインデータベース10)からデザインプロファイル44が抽出される。計測ステップ13からは計測取得プロファイル45、即ち基板2の表面4上にあるパターン3の配置の計測結果を表すプロファイルが得られる。結果14は、その計測取得プロファイル45(例.CD又は位置)からのデザインプロファイル44の偏差につき情報をもたらすものである。結果14は比較ステップ46により得られる。ここでは、様々なアルゴリズム(例.エッジ検出又は相関)を用い計測取得プロファイル45がデザインプロファイル44(期待プロファイル)と比較される。
【0053】
本発明では、可動ステージ20の位置を、それに対し行える制御に比べかなり良好に監視できる、という事実が用いられている。そのため、トレースラインの正確度及び精度が、その可動ステージ20に備わる位置又は変位計測システム24の性能のみで制限される。
【0054】
従来方法の概念と、本発明の諸実施形態に係る方法、例えば上述のそれとの間の更なる差異としては、デザインデータベース10を用いデザインプロファイル44が生成される点がある。従来方法にてデザインデータベース10が用いられるのは計測の準備中である。本発明の上掲の実施形態にてデザインデータベース10が用いられるのは、データ準備の際と(これは必須ではない)、実計測後にデザインプロファイル44(期待信号)を抽出する際である。
【0055】
デザインプロファイル44を、トレースライン42に沿ったデザインデータに基づき計測取得プロファイル45と比較することで、配置誤差(レジストレーション計量時)又はCD誤差(CD計量時)を、パターン化された表面4のかなり広いエリアに亘り検出することができる。
【0056】
機械可動ステージ20の位置誤差の補正が、検出用線源5又は検出器6を調整することで実行される。極正確な位置計測結果を用い、検出用線源5又は検出器6をオンザフライ調整することで、機械可動ステージ20の位置誤差を補償することができる。
【0057】
他の実施形態としては、デザインプロファイル44が生成されないものがある。代わりに、計測ステップ13及びステージ監視ステップ41を上述の如く用いることで、トレースライン42及びそのトレースライン42に沿った計測取得プロファイル45を得ることができる。その上でその計測取得プロファイル45を評価することで、結果14として、パターン化された表面上におけるエッジ若しくはパターンの位置又はパターンサイズ若しくはCDを求めることができる。そうした実施形態も図4Aに描かれている。
【0058】
図5はマスクの模式的頂面図であり、マスクたる基板2の表面4を横切るトラック曲線50が示されている。検出用線源5及び検出器6は、この基板2(マスク)の表面4を横切り一緒に移動する。
【0059】
図6は図5に示した長方形51の拡大図である。パターン化された表面4からの信号はトラック曲線50に沿いサンプリングされる。そのトラック曲線50は、アンカー点(他の計量ツールで用いられる具体的パターン又はターゲットに類するもの)及びそれに関連するデバイスパターン3がサンプリングによりカバーされるよう選択されている。加えて、どのような角度についても(例.X座標方向X沿い計測やY座標方向Y沿い計測でも)十分に大きな信号がカバーされる要領で、セットアップすることができる。本発明は、基板2のパターン化された表面4に対する検出器6の位置を緻密に監視しうるという事実に依拠している。このやり方では、表面4に沿いトレースライン42たる実トラック曲線50についての情報がよくわかる。これに代わる実現形態によれば、(例.図2に示した検出用線源5から帯電粒子ビーム8が発せられる場合にはデフレクタプレートにより)検出用線源5又は検出器6を僅かに調整することで、待望トラック曲線50からの可動ステージ20の小偏差を補償することができる。
【0060】
図7Aは、基板2の表面4を横切る経路に沿い検出器6により定められるトレースライン42の模式図である。図7Bには、基板2の表面4を横切り検出器6が運動している間にその検出器6の信号から導出された計測取得プロファイル45が示されている。この信号がコンピュータ22を用い評価される。トレースライン42沿いにおけるパターン3の厳密な位置から計測取得プロファイル45が生成される。その計測取得プロファイル45からパターン3の位置が導出される。これを果たすため様々なアルゴリズムを適用できよう。そうしたアルゴリズムの例としてはエッジ検出、しきい値依拠技術又は相関依拠技術がある。とはいえ、本発明は、ここに列挙されているアルゴリズムに限定されるものではない。
【0061】
図8Aは、基板2の表面4を横切るトレースライン42の経路に沿いデザインデータベース10中のデザインデータから評定されたトレースライン42の模式図である。デザインデータから導出されたトレースライン42はパターン3、即ち計測取得プロファイル45に係るデータサンプリングの途上でトレースライン42が通過したのと同じ位置を有するパターンの位置を通過している。図8Bには、トレースライン42(カットライン)に沿いデザインデータをトレースすることで生成されたデザインプロファイル44が示されている。
【0062】
好適な実現形態では、計測取得プロファイル45をデザインプロファイル44に対しマッチさせる。そのデザインプロファイル44を更に調整し、検出機構の物理特性をモデル化することもできよう。
【0063】
ほどよい精度及び正確度を得るため、トレースライン42に沿い生成された情報をセグメント化すること、例えば1mm長のブロックにすることや、特定種類のパターン3がセグメントに含まれるようにすることができる。位置であれCDであれその他の種類の情報であれ、セグメント内で発生し計測された情報を平均化し、比較ステップ46の結果として通知することができる。多数のセグメントについての通知(平均位置、CDその他の結果)によりマップが形成される。そのマップを用い基板2についての品質情報、例えばレジストレーション、CD、オーバレイ、側壁角等々を導出することができる。
【0064】
上掲の記述では、本発明の諸実施形態についての全般的理解を促すため数多くの具体的細部が提示されている。しかしながら、本発明の図示諸実施形態についての上掲の記述は、排他的な趣旨や被開示形態そのものに本発明を限定する趣旨のものではない。関連分野に習熟した者(いわゆる当業者)であれば、そうした具体的細部のうち1個以上を欠き或いは他の方法、部材等々で以て本発明を実施しうることを、認識されるであろう。また例えば、本発明の諸側面が不明瞭になることを避けるため、周知な構造や動作については図示又は詳細記述していない。本発明の具体的実施形態及び諸例を例証目的で本願中に記述したが、いわゆる当業者にはご認識頂けるように、本発明の技術的範囲内で様々な等価的修正を行うことができる。
【0065】
それらの修正は、上掲の詳細記述に照らし、本発明に施すことができる。後掲の特許請求の範囲中で用いられている語を以て、本発明が明細書及び特許請求の範囲中で開示された具体的実施形態に限定されるものと解すべきではない。寧ろ、本発明の技術的範囲は後掲の特許請求の範囲により決定づけられるべきものであり、また特許請求の範囲は特許請求の範囲の解釈についての確立された理論に従い解釈されるべきものである。
【符号の説明】
【0066】
1 装置、2 基板、3 パターン、4 表面、5 検出用線源、5,5,…,5 検出用線源、6 検出器、6A 検出器尖端、7 固定鏡、8 照明ビーム、9 検査軸、10 デザインデータベース、11 計測座標、12 ステージ位置決め、13 計測ステップ、14 結果、20 可動ステージ、21 ベアリング、22 コンピュータ、23 光ビーム、24 位置又は変位計測システム、25 テーブルブロック、25A 表面、26 振動遮断システム、30 リニアアレイ、31 共通キャリア、40 生成ステップ、41 ステージ監視ステップ、42 トレースライン、43 トレーシングステップ、44 デザインプロファイル、45 計測取得プロファイル、46 比較ステップ、50 トラック曲線、51 長方形、X X座標方向、Y Y座標方向、Z Z座標方向。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5-6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【国際調査報告】